説明

遊技機

【課題】損失補填モードに伴う補填処理を、大当たり遊技に当選したことを契機として実行されるスロットゲームの実行結果に応じて変化させる遊技機を提供する。
【解決手段】複数の入賞領域が設けられた遊技領域を有する遊技盤と、遊技球が通過した入賞領域に応じて所定数の賞球を払い出す賞球払出手段と、特別遊技抽選処理を行いながら遊技を進行させる遊技実行制御手段と、複数の識別情報の変動表示及び停止表示を行う可変表示手段と、変動表示中の前記識別情報を、遊技者の停止操作により停止表示させるスロットゲーム実行手段と、徴収処理と補填処理とを含む損失補填モードの制御を行う損失補填制御手段と、損失補填モードを選択操作可能な選択手段と、を備え、損失補填モードの実行中に、特別遊技抽選処理の結果が当選のときに実行されるスロットゲームのゲーム結果に応じて、補填処理の実行をキャンセルするか否かを決定する遊技機とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特に賞球の一部又は全部を保険として徴収して蓄え、遊技者が損失した遊技球を補填する補填処理を実行可能としたパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパチンコ遊技機では、遊技領域に設けられた特定領域(つまり、始動口)を、遊技球が通過又は入賞した事を契機として、所定の抽選確率(例えば、1/300)で大当たり抽選を行ない、大当たり抽選に当選した場合は、短時間に大量の賞球を遊技者に払い出すことのできる大当たり遊技を実行する遊技機が良く知られている。
【0003】
このようなパチンコ遊技機においては、大当たり抽選に当選することが遊技者における遊技目的といえるが、一般的なパチンコ遊技機においては、例えば、抽選確率が1/300とすると、必ず300回に1回の割合で、大当たり抽選に当選するものではなく、実際には、複数回連続して大当たり抽選に当選する場合もあれば、対照的に例えば1000回以上大当たり抽選に当選しない、所謂「ハマリ」と呼ばれる遊技者に極めて不利な遊技状態が継続する場合もある。1/300の当選確率は、あくまでも何十万回の大当たり抽選の収束値に過ぎないためである。
【0004】
そして、この「ハマリ」と呼ばれる遊技状態においては、その単調な遊技状態に飽きて遊技者の遊技意欲が除々に薄れてしまい、ましてや近隣の他の遊技者が少ないチャンスで大当たり抽選に当選したりすると不公平感すら抱くようになり、当該遊技機に対する興味や関心を失う場合があった。
【0005】
一方、パチンコ遊技機同様に、遊技場に設置されている回胴式遊技機(以下、スロットマシン又はパチスロ遊技機という)においては、遊技者にとって有利な遊技状態であるボーナスゲームへの当選(パチンコ遊技機の大当たり遊技に相当する)が長期間発生せずに、遊技者にとって不利益な遊技状態、つまり、「ハマリ」の遊技状態が長く続いた場合、遊技者を救済するために、スロットマシンのコインの損失が一定数に達したり、所定回数以上(例えば、1000回)のボーナスゲームの抽選回数に到達したりすると、その遊技者に対して一定量のコインを還元するスロットマシンが知られている。
【0006】
そして、コインの一定数の損失に対する一定量の還元は、遊技者にとってはコインを一方的に消費する極めて不利な遊技状態が、所定期間継続したことに対する補償として実行されるので、一般に保険機能と称されている。
【0007】
このような保険機能が付加されたスロットマシンとして、ボーナスゲームの当選や大当たり当選の大入賞以外の入賞に対して、所定の割合の賞を保険として蓄えておき、所定条件が満たされた場合に損失補填を行うといった保険機能を有することによって、「ハマリ」の状態を救済するものが提案されている(特許文献1を参照)。また、保険機能を作動させるための専用のコインの投入口を設け、そこにコインが投入されたことを検知すると、保険機能を作動させ、遊技者が通常遊技で消費したコイン数が一定数に達した場合に、一定量のコインを払い出すスロットマシンも提案されている(特許文献2を参照)。
【0008】
さらに、保険機能の作動抽選を、乱数抽選を用いて抽選して、保険機能の作動抽選に当選したことを遊技者に告知するスロットマシンが提案されている(特許文献3を参照)。そして、タッチパネル等の操作表示手段を用いることにより、保険機能の作動を遊技者が設定できるようにして、保険機能が作動するまでを表示するスロットマシンも提案されている(特許文献4を参照)。
【特許文献1】米国特許第5,910,048号公報
【特許文献2】特開平4−244178号公報
【特許文献3】特開2007−97983号公報
【特許文献4】特開2007−125297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1〜4は、保険機能をあくまでもスロットマシンに対して適用したものであり、パチンコ遊技機で適用されるものではない。すなわち、同じ遊技場で使用される遊技機でも、スロットマシン(パチスロ遊技機)とパチンコ遊技機とでは、そのゲーム性は大きく異なるものであり、単純にスロットマシンの保険機能をパチンコ遊技機に適用できるものではない。
【0010】
また、上記のコイン等を遊技媒体とするスロットマシンのような、「ハマリ」状態を救済するための保険機能が、パチンコ遊技機に一様に付加されることは、遊技者にとって一様に望ましいこととは言えない。
【0011】
例えば、短時間に限ってパチンコ遊技を楽しもうとする遊技者にとっては、当然上述したような「ハマリ」の遊技状態は発生しないにも拘らず、保険機能の作動による保険の徴収、例えば、5個の賞球に対して1個の遊技球が保険料として徴収されることは、当然好まれず、このような遊技者に対しては、逆に保険機能が不公平感に繋がりかねない。
【0012】
また、パチンコ遊技には「ハマリ」がつきものであるとして、保険機能の付加により遊技球が徴収されることを好まないものもいる。
【0013】
また、かかるパチンコ遊技機において、遊技者の不公平感を緩和するためには、具体的にどのような態様で損失補填機能を作動させればよいかなど、例えば、補填処理の実行が全て一様でないようにするなどが課題となる。
【0014】
本発明は、上述した課題を解決することのできる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)本発明では、遊技球が転動するとともに、複数の入賞領域が設けられた遊技領域を有する遊技盤と、前記入賞領域を遊技球が通過した場合、遊技球が通過した入賞領域に応じて所定数の賞球を払い出す賞球払出手段と、この賞球払出手段の動作制御を行うとともに、所定の条件を満たした場合、特別遊技に移行させるか否かを決定する特別遊技抽選処理を行いながら遊技を進行させる遊技実行制御手段と、前記特別遊技抽選処理の抽選結果に応じて複数の識別情報の変動表示及び停止表示を行う可変表示手段と、変動表示中の前記識別情報を、遊技者の停止操作により停止表示させるスロットゲーム実行手段と、遊技者が所有する遊技球の一部を徴収する徴収処理と、前記遊技実行制御手段の前記特別遊技抽選処理に基づく遊技結果に応じて、遊技者が損失した遊技球を補填する補填処理とを含む損失補填モードの制御を行う損失補填制御手段と、前記損失補填モードにするか否かを遊技者により選択操作可能な選択手段と、を備え、前記損失補填制御手段は、前記損失補填モードの実行中、前記特別遊技抽選処理の結果が当選のときに実行される前記スロットゲームのゲーム結果に応じて、前記補填処理の実行をキャンセルするか否かを決定する遊技機とした。
【0016】
(2)本発明は、上記(1)に記載の遊技機において、前記損失補填制御手段は、前記スロットゲームのゲーム結果が、前記遊技実行制御手段により決定された前記識別情報の最終的な停止表示態様と同じでない場合に前記補填処理の実行をキャンセルすることを特徴とする。
【0017】
(3)本発明は、上記(1)又は(2)に記載の遊技機において、前記損失補填制御手段は、前記補填処理の実行をキャンセルするに際し、前記特別遊技抽選処理に当選するまでの前記スロットゲームの複数回のゲーム結果を参照してキャンセルするか否かを決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、パチンコ遊技機に、遊技者の遊技中における損失を補填する損失補填モードでの遊技を、遊技者自身が選択手段を用いて選択することにより行えるようにしているので、遊技者にとって不公平感の少ない遊技機を提供することが可能となる。しかも、損失補填モードの実行中、前記特別遊技抽選処理の結果が当選のときに実行される前記スロットゲームのゲーム結果に応じて、前記補填処理の実行をキャンセルするか否かを決定するようにしている。したがって、スロットゲームという新たな遊技興趣が加わる上、スロットゲームは、遊技者の遊技技量で結果が異なるので、補填処理のキャンセルについても遊技者の技量に左右されることになり、不公平感をより緩和することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
本実施形態に係る遊技機は、遊技球が転動するとともに、複数の入賞領域が設けられた遊技領域を有する遊技盤と、前記入賞領域を遊技球が通過した場合、遊技球が通過した入賞領域に応じて所定数の賞球を払い出す賞球払出手段と、この賞球払出手段の動作制御を行うとともに、所定の条件を満たした場合、特別遊技に移行させるか否かを決定する特別遊技抽選処理を行いながら遊技を進行させる遊技実行制御手段と、前記特別遊技抽選処理の抽選結果に応じて複数の識別情報の変動表示及び停止表示を行う可変表示手段と、変動表示中の前記識別情報を、遊技者の停止操作により停止表示させるスロットゲーム実行手段と、遊技者が所有する遊技球の一部を徴収する徴収処理と、前記遊技実行制御手段の前記特別遊技抽選処理に基づく遊技結果に応じて、遊技者が損失した遊技球を補填する補填処理とを含む損失補填モードの制御を行う損失補填制御手段と、前記損失補填モードにするか否かを遊技者により選択操作可能な選択手段と、を備え、前記損失補填制御手段は、前記損失補填モードの実行中、前記特別遊技抽選処理の結果が当選のときに実行される前記スロットゲームのゲーム結果に応じて、前記補填処理の実行をキャンセルするか否かを決定するものである。
【0021】
すなわち、本実施形態に係る遊技機(つまり、パチンコ遊技機)は、遊技釘や入賞領域などを含む複数の遊技部材が設けられた遊技領域を前面に形成した遊技盤を、透光性のある部材(例えば、アクリル樹脂等)で形成している。そして、前記遊技領域に設けられた複数の入賞領域を遊技球が通過したことを契機として、予め定められた数の遊技球を賞球として払い出す賞球払出手段を備えるとともに、前記複数の入賞領域の中でも特定領域を備えた入賞領域(以下、始動口という)へ遊技球が入賞(通過)したことを契機として、特別遊技(以下、大当たり遊技という)に移行させるか否かを決定する特別遊技抽選処理(以下、大当たり抽選処理という)の実行、つまり、遊技者に有利な大当たり遊技への移行抽選を実行する遊技実行制御手段を備えたものである。
【0022】
また、前記遊技盤の少なくとも透光性領域の背後には、識別情報の可変表示や各種演出表示を行う表示手段としての液晶表示装置、機械的に識別情報を変動表示させた後、所定の表示態様で停止表示させるリール(以下、リールユニットと称する)等の複数の可変表示手段が配設されている。そして、本実施形態におけるスロットゲーム実行手段は、前記可変表示手段で変動表示中の識別情報を、遊技者の停止操作により停止表示させるスロットゲームの実行を制御する構成としている。
【0023】
すなわち、本実施形態においては、前記スロットゲームの実行を実現するために、例えば、可変表示手段にリールユニットを用いた場合は、パチスロ遊技機(スロットマシン)のようにそれぞれの表面に識別情報となる複数の図柄が配された3個の回転リールでリールユニットを構成するとともに、このリールユニットを遊技者が視認可能なように遊技盤に配設して、さらに、3個の回転リールで変動表示される識別情報を停止表示させるために、遊技者による停止操作が可能な3個の操作ボタンからなる停止操作手段(以下、停止ボタンと称する)を遊技者が操作を行ない易い位置に備えることが望ましい。つまり、パチスロ遊技機と同様なリール構成、リール制御及び識別情報の配列を用いることにより、本実施形態においても、パチスロ遊技機と同様な停止ボタンの操作でスロットゲームを実行できるパチンコ遊技機とするのである。
【0024】
上記構成のパチンコ遊技機におけるスロットゲーム実行手段は、例えば、始動口へ遊技球が入賞したことを契機として、前記複数の可変表示手段(液晶表示装置又はリールユニット)の中から前記リールユニットを選択して、リールユニットを構成する3個の回転リールの表面に印刷されている複数の識別情報の中から、所定の識別情報を停止表示することを遊技者に指定する。そして、遊技者は前記3個の回転リールで回転変動表示される識別情報を視認しながら、3個の回転リールに対応した3個の停止ボタンを操作して、所定の識別情報を停止表示させるスロットゲームを実行可能としている。
【0025】
なお、上述した構成において、スロットゲームを実行するために、遊技場等に設置されているパチスロ遊技機(スロットマシーン)と同様な構成で行うように説明したが、近年では、パチスロ遊技機においても、液晶表示装置等を用いて、あたかも機械式のリールユニットが回転表示するような表示画像を用いて識別情報の変動表示が行われる場合もあり、本実施形態においても、液晶表示装置を用いてスロットゲームが実行される構成としても構わない。
【0026】
また、本実施形態においては、遊技実行制御手段による特別遊技抽選処理、つまり、大当たり抽選処理に当選すると、同じく遊技領域に備えられた大当たり遊技の実行時だけに用いられる特別入賞領域(以下、大入賞口という)を遊技領域に広く開放して、遊技領域を流下した遊技球の入球を容易とすることにより、遊技者に短時間で所定数の出玉(賞球)を獲得させる構成としている。つまり、当該パチンコ遊技機における遊技者にとっては、大当たり遊技へ当選することが最大の遊技目的といえる。
【0027】
一方、前述した大当たり遊技の実行時以外は、遊技者が所有する遊技球は確実に消費してゆくものである。つまり、遊技者が当該パチンコ遊技機において勝利するためには、大当たり遊技への当選が必須となる。ところが、遊技実行制御手段の大当たり抽選処理による大当たり遊技の当選確率は、一般に、大当たり遊技の実行時に遊技者が獲得できる賞球数の合計に応じて設定されるものであり、例えば、大当たり遊技の実行時に遊技者が獲得できる賞球数の合計が(1500個)の場合は、大当たり遊技の当選確率は(1/300)が設定されることになる。つまり、平均すると、前述した始動口に遊技球が300回入賞した場合に、1回の大当たり遊技が発生することとなる。
【0028】
しかし、この当選確率(つまり、1/300)は、あくまで何十万回という試行結果に応じた平均確率であるので、遊技者によっては当選確率に見合った始動口への入賞回数(つまり、300回)の2倍、3倍の入賞回数があっても大当たり遊技へ当選しない、所謂「ハマリ」と呼ばれる遊技状況が発生する場合もある。一方、遊技を開始してから始動口に数回遊技球が入球しただけで、大当たり遊技の当選を獲得できる場合もある。この場合、いくら乱数等を用いた公平な抽選処理の結果であっても、「ハマリ」状態の遊技者が、パチンコ遊技機に対する不公平感や不信感を抱くことを防げない。
【0029】
そこで、本実施形態においては、遊技者の所有する遊技球の一部を徴収する徴収処理と、前記遊技実行制御手段の大当たり抽選処理に基づく遊技結果に応じて、言い換えると、遊技者に有利な大当たり遊技の発生状況に応じて、遊技者が損失した遊技球を補填する補填処理とを含む損失補填モードの制御を行う損失補填制御手段を備え、さらに、この損失補填モードを実行するか否かを遊技者により選択可能な選択手段を備えている。
【0030】
つまり、遊技者が選択手段を用いて、損失補填モードを選択した場合には、損失補填制御手段は、徴収処理において遊技者の所有する遊技球の一部を蓄えるとともに、その後、遊技実行制御手段の大当たり抽選処理による抽選結果(つまり、大当たり遊技の発生状況)が所定の条件を満たした場合、例えば、当選確率の3倍(つまり、900回)に亘って大当たり遊技に当選しなかった場合に、所定数の遊技球を遊技者に還元する補填処理を実行する機能を備えている。つまり、損失補填モードは大当たり遊技への当選に恵まれない遊技者に対しての救済処置として、あたかも損害保険や生命保険などのような保険として機能するのである。
【0031】
なお、前記徴収処理における遊技球の徴収は、所謂「ハマリ」状態の遊技者から過剰に遊技球を徴収すると、遊技者の当該遊技機における遊技意欲を失わせることに繋がりかねないため、例えば、所定数(例えば、30個)の遊技球を徴収数の上限値とするよい。そして、損失補填モードにおける補填処理において所定数の遊技球を遊技者に還元する場合には、例えば、大当たり遊技一回分(例えば、1500個)の遊技球を、遊技者に一括して還元するようにすることが望ましい。すなわち、上記構成の徴収処理及び補填処理とすることで、大当たり遊技への当選に恵まれない遊技者にとっても納得のいく損失補填モードとすることができる。
【0032】
また、前記選択手段としては、専用の操作ボタン等で構成された専用の操作部を、当該遊技機の遊技者が操作し易い位置に設けて、さらに、遊技者が操作部を操作することにより、損失補填モードを選択した場合には、現在の遊技状況が損失補填モードであることを、パチンコ遊技機の表示手段である液晶表示装置等を用いて遊技者に解り易く表示するとともに、遊技者が損失した遊技球の補填処理が実行されるまでの、大当たり遊技の抽選回数等もカウントダウン方式で表示することが望ましい。
【0033】
上述してきた構成のパチンコ遊技機において、前記損失補填制御手段は、前記損失補填モードの実行中、前記大当たり遊技抽選処理の結果が、大当たり遊技に当選した場合に実行される前記スロットゲームのゲーム結果に応じて、前記補填処理の実行をキャンセルするか否かを決定するのである。
【0034】
すなわち、本実施形態においては、損失補填モードの実行中に、大当たり抽選処理により大当たり遊技に当選したことを契機としてスロットゲームを実行させて、遊技者による当該スロットゲームの実行結果に応じて、補填処理の実行をキャンセル、つまり、損失補填モードを中途解除するか否かを決定するのである。
【0035】
これにより、損失補填モードの実行中における大当たり抽選処理とスロットゲームを関連付けた新たな遊技性を備えた遊技機を提供することができるとともに、本実施形態における損失補填モードの中途解除を、遊技者によるスロットゲームの技量に応じて決定するため、遊技者に対して不満の少ないパチンコ遊技機を提供することができる。
【0036】
また、前記損失補填制御手段は、前記スロットゲームのゲーム結果が、前記遊技実行制御手段により決定された前記識別情報の最終的な停止表示態様と同じでない場合に前記補填処理の実行をキャンセルすることが望ましい。
【0037】
すなわち、本実施形態においては、大当たり遊技への当選を契機とした、遊技者によるスロットゲームの実行結果が、例えば、大当たり遊技を示唆する所定の識別情報を、リールユニットの有効ライン上に、三つ揃いで停止させることができなかった(つまり、スロットゲームの失敗)ことを条件として、補填処理をキャンセル、つまり、損失補填モードを中途解除するのである。
【0038】
これにより、遊技者は、大当たり遊技への当選を契機としたスロットゲームの実行を、緊張感をもって楽しむことができるとともに、例えば、当該スロットゲームを失敗した場合、言い換えると、遊技者が選択した損失補填モードがキャンセルされた場合でも、当該大当たり遊技の実行によって所定数の賞球を獲得することができるため、スロットゲームの失敗に対してさほど落胆することなくパチンコ遊技を続行することができる。
【0039】
また、前記損失補填制御手段は、前記補填処理の実行をキャンセルするに際し、前記特別遊技抽選処理(つまり、大当たり抽選処理)に当選するまでの前記スロットゲームの複数回のゲーム結果を参照してキャンセルするか否かを決定することもできる。
【0040】
ここで、本実施形態におけるスロットゲームは、前述した大当たり遊技への当選を契機としたスロットゲーム(以下、特別スロットゲームという)と、所定期間毎に実行させるスロットゲーム(以下、通常スロットゲームという)との2種類のスロットゲームで構成されている。この通常スロットゲームの実行契機を具体的に説明すると、遊技球が始動口に入賞した場合に実行される大当たり抽選処理において、大当たり遊技に当選しなかったことを条件として、所定の確率(例えば、1/10)で通常スロットゲームを実行するか否かを抽選して、当選した場合にのみ通常スロットゲームを実行するのである。これにより、本実施形態における通常スロットゲームは、平均すると遊技球の始動口への入賞に対して10回に1回の割合で実行されることになる。
【0041】
そして、本実施形態においては、上記通常スロットゲームの実行結果を、例えば、所定回数の通常スロットゲームの実行に対して、遊技者が所定の識別情報を停止表示させることができた(つまり、通常スロットゲームの成功)回数を、成功率として算出することにより、大当たり遊技への当選を契機とした特別スロットゲームの実行結果が失敗の場合に、前記成功率を参照して、成功率が所定の割合(例えば、80%)以上の場合は、損失補填モードに伴う補填処理がキャンセルされないようにするのである。
【0042】
なお、前述したように、本実施形態おけるスロットゲームは、リールユニットを構成する3個の回転リールの表面に印刷されている複数の識別情報に中から、所定の識別情報を停止表示することを遊技者に指定して、遊技者は前記3個の回転リールで回転変動表示される識別情報を視認しながら、3個の回転リールに対応した3個の停止ボタンを操作して、指定された識別情報を停止表示させることを目指すものであるが、特別スロットゲームにおいては、リールユニットを構成する3個の回転リールの表面に印刷されている複数の識別情報に中から大当たり遊技への当選を示唆する識別情報が指定されるが、他方、通常スロットゲームにおいては、大当たり遊技への当選を示唆する識別情報以外の識別情報が指定されるようにしている。これにより、遊技者は、当該スロットゲームの開始時に指定された識別情報により、特別スロットゲーム或いは通常スロットゲームが実行されるのかを区別できるようにしている。
【0043】
つまり、本実施形態における特別スロットゲームは、大当たり抽選処理による大当たり遊技に当選したことを契機として実行されるため、前述したように、大当たりの当選確率を1/300とすると、その発生回数は極めて限られてしまう。そこで、始動口に遊技球が入賞したことを契機として1/10の確率で通常スロットゲームの実行抽選を行ない、適度な所定期間をおいて通常スロットゲームを発生させることにより、遊技者に対して負担が少なく、なおかつ、スロットゲームを楽しめるパチンコ遊技機とすることができる。
【0044】
しかも、本実施形態においては、遊技者が損失補填モードを選択した場合に、特別スロットゲームが実行された場合、言い換えると、大当たり遊技に当選した場合に、当該特別スロットゲームの実行結果だけではなく、所定期間毎に実行される通常スロットゲームの実行結果に応じて、損失補填モードに伴う補填処理がキャンセルされるか否かが決定されるため、通常スロットゲームにおける実行結果が重要となるため、通常スロットゲームの実行に対して遊技者の関心を高めたパチンコ遊技機とすることが可能となる。
【0045】
上述してきた構成の遊技機によれば、パチンコ遊技機に、遊技者の遊技中における損失を補填する損失補填モードでの遊技を、遊技者自身が選択手段を用いて選択することができるので、遊技者にとって不公平感の少ない遊技機を提供することが可能となる。しかも、損失補填モードの実行中、前記特別遊技抽選処理の結果が当選のときに実行される特別スロットゲームの実行結果、及び、所定期間毎に実行される通常スロットゲームの実行結果に応じて、損失補填モードに伴う補填処理の実行をキャンセルするか否かを決定するようにしている。したがって、スロットゲームという新たな遊技興趣が加わる上、スロットゲームは、遊技者の遊技技量で結果が異なるので、補填処理のキャンセルについても遊技者の技量に左右されることになり、不公平感をより緩和することが可能となる。
【0046】
なお、本実施形態における各制御手段は、例えば、CPUからなる中央演算処理装置と、ROMやRAMなどからなる記憶装置と、その他必要に応じて設けられた各種制御回路で構成して、前記ROMに記憶されたプログラムに基づいて、賞球払出手段、遊技実行制御手段、スロットゲーム実行手段、損失補填制御手段等の遊技機の実行を制御することが望ましく、識別情報の可変表示手段としては、前述したように、液晶表示装置、リールユニット等を用いるとよい。
【0047】
以下、本発明に係るパチンコ遊技機の好適な実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0048】
[遊技機の構成]
本実施形態におけるパチンコ遊技機10について、図1〜図3を用いて説明する。図1は本実施形態におけるパチンコ遊技機10の概観を示す斜視図、図2は同パチンコ遊技機10の概観を示す分解斜視図、図3は同パチンコ遊技機10の概観を示す正面図である。
【0049】
図1及び図2に示すように、パチンコ遊技機10は、前面に開口12aが形成された本体枠12と、その本体枠12における開口12aの内部に配設される各種の部品と、本体枠12の前方に開閉自在に軸着された前面扉11とから構成されている。そして、前面扉11の上部略半分は、開閉自在に軸着された扉11aが設けられている。そして、図1に示すように、通常の遊技状態では、前面扉11は開口12aを前面から閉鎖し、扉11aも閉鎖された状態で遊技が行われる。また、前面扉11の下方前面には、上皿20、下皿22、発射ハンドル26等が配設されている。さらに、本実施形態においては、上皿20の略中央部の前面側には、後述するリールユニット3の各リール3L,3C,3Rにそれぞれ対応する停止ボタン5L,5C,5Rで構成された停止ボタンユニット5が配設され、さらに、上皿20の上面右側には操作パネル27が配設されている。この操作パネル27は、詳細は後述するが、本実施形態における遊技者による損失補填モード、すなわち保険機能の作動を設定(図22参照)するものであり、また、停止ボタンユニット5は、これも詳細は後述するが、本実施形態におけるスロットゲームの実行時に遊技者によって操作されるものである。
【0050】
本体枠12の開口12a内部には、図2に示すように、液晶表示装置32、遊技盤14、リールユニット3、さらにはその他各種装置等が配設されるが、理解を容易にするために、ここでは、これら液晶表示装置32、遊技盤14、リールユニット3以外の各種の部品(図示せず)についての説明は省略する。
【0051】
遊技盤14は、その全部又は一部が透光性を有する板形状の樹脂(透光性を有する部材)によって形成されている。この透光性を有する部材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂など各種の材質が該当する。また、遊技盤14は、その前面側(遊技者側)に、発射された遊技球が転動可能な遊技領域15を有している。この遊技領域15は、ガイドレール30に囲まれ、遊技球が転動可能な領域である。また、遊技盤14における遊技領域15には複数の遊技釘13が打ちこまれている。
【0052】
液晶表示装置32は、平板状の液晶層を透明電極及び透光性を有する保護板によって挟み込んだ構造であり、非通電領域においては透光性を有するように液晶素子が向いており、通電領域においては液晶素子の向きが変更して画像表示がなされる一枚の平板状の液晶パネルである。そして、液晶表示装置32は、遊技に関する画像表示を可能とする表示領域32aを有しており、画像表示が行われている領域以外の表示領域32aは透光性を有するようにしている。
【0053】
つまり、本実施形態における液晶表示装置32の表示領域32aは、画像表示を行う表示領域32aを任意に限定して通電領域としたり非通電領域としたりすることができる構成として、例えば、リールユニット3の直前方の表示領域32aを通電状態として画像表示を実行している場合は、その後方に配置されたリールユニット3は遊技者から視認不可となるが、一転してリールユニット3の直前方の表示領域32aを非通電領域として透光性を持たせることにより、その後方に配置されたリールユニット3が遊技者から視認可能となるのである。
【0054】
ここで、本実施形態における遊技盤14への液晶表示装置32の設置について、図20を用いて具体的に説明する。図20(a)は、遊技盤14の背面側に液晶表示装置32の取り付けを説明する分解斜視図である。図20(b)は、遊技盤14と略一体に取り付けられた液晶表示装置32と、その背後に配設されたリールユニット3の配置を説明する側面図である。
【0055】
図20(a)に示すように、遊技盤14は、その背面を切削し、この切削された背面下部に挿入溝14mを形成するとともに、背面上部に固定具14a,14bを取付けている。そして、一枚の平板状体の液晶パネルとして形成された液晶表示装置32は、前記遊技盤14の挿入溝14mに底部を挿入して、同じく遊技盤14の背面上部に設けられた固定具14a,14bによって遊技盤14の背面側に固定されている。すなわち、液晶表示装置32は、その表示領域32aが遊技領域15の全部又は一部と、遊技領域外域16の全部又は一部とに重なるように遊技盤14と略一体に収納状態に配設されている。
【0056】
すなわち、本実施形態においては、液晶表示装置32を遊技盤14と略一体に収納状態に配設することにより、遊技盤14と液晶表示装置32は密着して略一体となる構成とできるので、光の乱反射などによって、表示領域32aで表示される識別情報画像を含む各種演出画像が、遊技者にぼやけて見えてしまうなどの問題点を解消できることになる。
【0057】
図20(b)に示すように、遊技盤14の背後には、リールユニット3が設置されている。そして、前述したように、本実施形態における液晶表示装置32は、非通電領域においては透光性を有するため、リールユニット3の直前方の液晶表示装置32の表示領域32aを非通電領域とすることにより、同じく透光性を有する遊技盤14を透して、リールユニット3が遊技者に視認可能となるのである。
【0058】
ここで、図1〜3を用いたパチンコ遊技機10の説明に戻る。図2に示すように、扉11aには、透光性を有する保護板19が配設されており、保護板19は、扉11aが閉鎖された状態で遊技盤14に対面する。また、保護板19の上方位置には、スピーカ46L,46Rが左右に配設されている。
【0059】
遊技盤14の外側となる扉11aの所定位置には、図1に示すように、発光表示手段としての装飾ランプ133a,133bが配設されており、遊技状態に合わせた所定の発光態様の表示を行う。
【0060】
また、本体枠12に対して発射ハンドル26が回動自在に設けられている。一般に、パチンコ遊技機における発射ハンドル26の取り付け位置は、遊技者から見て右側下方に取り付けられ、右手で操作されるのが一般であるが、本実施形態においては、遊技者から見て左側下方に取り付けられ、遊技者が左手で操作する構成としている。
【0061】
これは、詳細は後述するが、本実施形態においては、パチスロ遊技機と同様のリールユニット3が遊技盤14の略中央に設けられており、本実施形態におけるスロットゲームを実行する場合、リールユニット3に内蔵された回転駆動する3個のリール(図3参照)を遊技者が任意のタイミングで停止させるために、遊技者の右手で停止ボタン5L,5C,5R(図3参照)の操作を行なえる構成にしたためである。
【0062】
さらに、発射ハンドル26の周縁部にはタッチセンサ(図示せず)が設けられている。このタッチセンサが遊技者により触接されたときには、遊技者により発射ハンドル26が把持されたと検知される。そして、発射ハンドル26が遊技者によって把持され、かつ、反時計回り方向へ回動操作されたことにより、発射制御回路126(図5参照)により、発射ソレノイド(図示しないが、発射装置130(図5参照)に組み込まれている)に電力が供給され、上皿20に貯留された遊技球が遊技盤14に順次発射され、遊技が進められる。なお、発射ハンドル26を単一のものとせずに、本体枠12の左右側それぞれに設けて、遊技者がいずれかを選択して操作する構成とすることもできる。
【0063】
次に、図3及び図4を参照しながら、パチンコ遊技機10の構成についてさらに詳細に説明する。なお、図3及び図4を用いたパチンコ遊技機10の概観の以下の説明では、図1及び図2を用いた説明と重複する部分を省略することがある。
【0064】
図3に示すように、遊技盤14の遊技領域15には、外レール30a及び内レール30bからなる2つのガイドレール30、遊技釘13、遊技部材57、通過ゲート54、羽根部材23が付設された始動口25、一般入賞口56a〜56d、開閉自在のシャッタ40を備えた大入賞口39、アウト口38が設けられている。
【0065】
遊技盤14に設けられている2つのガイドレール30は、遊技領域15を区画(画定)する外レール30aと、その外レール30aの内側に配設された内レール30bとから構成される。発射された遊技球は、遊技盤14上に設けられたガイドレール30に案内されて、遊技領域15の上部に放出され、複数の遊技釘13、遊技領域15上に設けられた遊技部材57等との衝突により、その進行方向を変えながら遊技領域15の下方に向かって流下する。
【0066】
遊技領域15の左側には、通過ゲート54が設けられている。そして、遊技領域15を転動した遊技球がこの通過ゲート54を通過すると、後述する普通図柄ゲーム及び始動口25に付設された羽根部材23の開放抽選を実行する契機となる。
【0067】
遊技領域15の左側の通過ゲート54の下方には、本実施形態における複数の入賞領域の一つである始動口25が設けられており、遊技球がこの始動口25へ入賞すると、後述する特別図柄ゲーム及び大当たり抽選が開始される。すなわち、始動口25は、特別図柄ゲーム及び大当たり抽選の契機となる入賞口である。
【0068】
遊技領域15の略中央、アウト口38に上方には、開閉自在のシャッタ40を備えた大入賞口39が配置されている。この大入賞口39は、詳細は後述するが、本実施形態における大当たり遊技の実行時に、シャッタ40が開放することにより、遊技領域15を転動流下してきた遊技球が、大入賞口39に入球可能となる構成としている。
【0069】
大入賞口39の左右上方には、遊技者から正面視して、左側に2個の一般入賞口56a,56bが、右側に2個の一般入賞口56c,56dが設けられている。この一般入賞口56a〜56dに遊技球が入賞すると、予め定められた数の遊技球(例えば、5個)が賞球として払い出される。
【0070】
そして、前記大入賞口39の下方及び遊技領域15の最下部には、アウト口38が設けられている。すなわち、遊技領域15を流下転動してきた遊技球が、同じく遊技領域15に設けられた複数の各種入賞口に入賞(入球)しなかった場合は、最終的にアウト口38に入球して遊技盤14の外部に排出されることとなる。
【0071】
また、遊技領域15の左側下部には、電飾ユニット53が設けられている。この電飾ユニット53は、図4に示すように、特別図柄表示器35、普通図柄表示器33、特別図柄保留ランプ34a〜34d、普通図柄保留ランプ50a〜50d、ラウンド数表示器51a〜51dが設けられている。以下、図4を参照して、電飾ユニット53の構成及び機能を説明する。
【0072】
特別図柄表示器35は、2個の7セグメントLEDで構成されている。この7セグメントLEDは、所定の特別図柄の変動表示開始条件の成立(つまり、始動口25への遊技球の入賞)により、点灯・消灯を繰り返す。7セグメントLEDの点灯・消灯によって、“0”から“9”までの10個の数字図柄が、特別図柄として変動表示される。この特別図柄として、特定の数字図柄(例えば、“21”、“50”、又は“64”などの数字図柄)が停止表示された場合は、通常遊技から遊技者に有利な状態である大当たり遊技に遊技状態が移行する。この大当たり遊技となった場合には、詳細は後述するが、大入賞口39に付設されたシャッタ40が開放状態に制御され、大入賞口39(図3参照)へ遊技球が入球可能な状態となる。一方、特別図柄として、特定の数字図柄以外の数字図柄が停止表示された場合は、通常遊技状態が維持される。以上のように、特別図柄が変動表示された後、停止表示され、その結果によって遊技状態が移行又は維持されるゲームを「特別図柄ゲーム」という。
【0073】
特別図柄表示器35の右側には、普通図柄表示器33が設けられている。普通図柄表示器33は、例えば、赤色LEDと緑色LEDの二つの表示用ランプで構成されており、前述した通過ゲート54を遊技球が通過すると、これら表示用ランプが交互に点灯・消灯を繰り返し、普通図柄として所定時間変動表示される。
【0074】
そして、所定時間の経過後、例えば、緑色LEDが点灯した状態で変動停止した場合は、始動口25に付設された羽根部材23を所定時間開放する。以上のように、普通図柄が変動表示された後停止表示され、その停止態様によって始動口25に付設された羽根部材23の動作態様が決定するゲームを「普通図柄ゲーム」という。
【0075】
普通図柄表示器33の下方には、特別図柄保留ランプ34a〜34dが設けられている。この特別図柄保留ランプ34a〜34dは、点灯又は消灯によって保留されている特別図柄の変動表示の実行回数(所謂、「保留個数」、「特別図柄に関する保留個数」)を表示する。例えば、特別図柄の変動表示の実行が1回分保留されている場合には、特別図柄保留ランプ34aが点灯する。
【0076】
また、普通図柄表示器33の下方には、普通図柄保留ランプ50a〜50dが設けられている。この普通図柄保留ランプ50a〜50dは、点灯又は消灯によって保留されている普通図柄の変動表示の実行回数(いわゆる、「保留個数」、「普通図柄に関する保留個数」)を表示する。特別図柄と同様に、普通図柄の変動表示の実行が1回分保留されている場合には、普通図柄保留ランプ50aが点灯する。
【0077】
特別図柄表示器35の左上部には、ラウンド数表示器51a〜51dが設けられている。このラウンド数表示器51a〜51dは、大当たり遊技の実行中におけるラウンド数を表示する。なお、このラウンド数表示器51a〜51dは、4個のLEDから構成されており、LED毎に点灯と消灯の2つのパターンがあるので、少なくとも16パターンの表示が可能である(2の4乗パターン)。なお、ラウンド数表示器51a〜51dは、複数の7セグメントLED、液晶表示部、透光性を有する液晶表示部などから構成される場合もある。
【0078】
また、特別図柄表示器35において表示される特別図柄と関連する識別情報が、液晶表示装置32において表示される。例えば、特別図柄表示器35で表示される特別図柄に関連する識別情報を、リールユニット3の前面の液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、識別情報の変動画像及び演出画像等(図21参照)が表示される。また、特別図柄表示器35において変動表示されていた特別図柄が停止表示されると、液晶表示装置32においても変動表示されていた識別情報の変動画像が停止表示される。このように、液晶表示装置32は、所定の条件を満たしたときに、識別情報の変動表示および停止表示が行われる表示装置の一例である。
【0079】
図1〜図3を用いたパチンコ遊技機10の説明に戻る。
【0080】
本実施形態における大当たり遊技の実行時は、前述したように、大入賞口39に付設されたシャッタ40が駆動(つまり、大入賞口39を開放)される。そして、所定個数(例えば10個)の遊技球の入賞、又は、所定時間(例えば30秒)が経過するまで開放状態に保持され、開放状態において大入賞口39への所定数の遊技球の入賞又は所定時間の経過のいずれかの条件が成立すると、大入賞口39に付設されたシャッタ40は、遊技球を受け入れ難い閉鎖状態になるように駆動される。その結果、大入賞口39への遊技球の入球は不可となる。
【0081】
なお、大入賞口39が遊技球を受け入れやすい状態となっている開放状態から遊技球を受け入れ難い状態となっている閉鎖状態までの遊技をラウンドゲームという。したがって、シャッタ40は、ラウンドゲーム時に大入賞口39を開放し、各ラウンドゲーム間では閉鎖することになる。また、ラウンドゲームは、“1”ラウンド、“2”ラウンド等のラウンド数として計数されるため、ラウンドゲームの1回目を第1ラウンド、2回目を第2ラウンドと呼称する場合がある。
【0082】
続いて、開放状態から閉鎖状態に駆動されたシャッタ40は、所定の時間(例えば、1秒)経過後に再度開放状態に駆動される。つまり、次のラウンドゲームへ継続して進むことができる。なお、第1ラウンドのラウンドゲームから、次のラウンドゲームに継続して進むことができない(最終の)ラウンドゲームが終了するまでの遊技状態を大当たり遊技状態という。すなわち、大当たり遊技状態は遊技者にとって有利な遊技状態である。
【0083】
また、前述した始動口25、一般入賞口56a〜56d、大入賞口39に遊技球が入賞したときには、それぞれの入賞口の種類に応じて予め設定されている数の遊技球が上皿20又は下皿22に払い出される。
【0084】
このように、本実施形態に係るパチンコ遊技機10では、通常遊技状態において、大当たり遊技状態へ移行するか否かの大当たり抽選(特別図柄ゲーム)が行われ、大当たり遊技の抽選結果に基づいて、前記特別図柄表示器35に停止表示される特別図柄に対応した識別情報の組み合わせが、液晶表示装置32の表示領域32aに停止表示されるとともに、前述した大当たり遊技状態に移行するのである。
【0085】
つまり、大当たり遊技への抽選契機となるのは、遊技領域15に発射した遊技球が始動口25に入賞した場合であり、通常遊技状態において、始動口25に遊技球が入賞すると、遊技実行制御手段の機能を担う主制御回路60(図5参照)により大当たり遊技の抽選が行なわれ、その抽選結果に基づいて、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、遊技者に抽選結果を示唆する識別情報を変動表示させて、所定時間経過後に所定の識別情報を停止表示するのである。
【0086】
また、本実施形態では、大当たり遊技状態の実行中において、最初のラウンド数から最もラウンドゲームが継続された場合の最後のラウンドゲームまでのラウンド数(最大継続ラウンド数)は、15ラウンド又は2ラウンドである。なお、大当たり遊技状態の実行中における最大継続ラウンド数は限定されるものではない。例えば、最大継続ラウンド数は、ラウンド数抽選手段(後述するメインCPU66を含む主制御回路60(図5参照))による抽選により、“1”ラウンドから“15”ラウンドまでの間から選択されるなど、任意のラウンド数であってもよい。
【0087】
また、本実施形態では、図2及び図3に示すように、液晶表示装置32の略中央部の背後にリールユニット3を設けている。このリールユニット3は、その内部に3個のリール(リール3L,3C,3R)を内蔵し、本実施形態におけるスロットゲームの実行開始時に3個のリール3L,3C,3Rが回転駆動される。そして、前述したように上皿20の略中央の前面には、リールユニット3の内部で回転駆動される3個のリール3L,3C,3Rの回転を停止(つまり、スロットゲームの実行)させるために、遊技者により操作される停止ボタンユニット5が設けられている。この停止ボタンユニット5には、前述した3個のリール3L,3C,3Rにそれぞれ対応した停止ボタンが3個(停止ボタン5L,停止ボタン5C,停止ボタン5R)設けられている。
【0088】
[リールユニットの構成]
ここで、図16〜図19を参照し、遊技盤14の略中央部の背後に取り付けられたリールユニット3の構成を説明する。図16(a)はリールユニット3の分解斜視図、図16(b)はリールユニット3の斜視図である。また、図17はリールユニット3に内蔵されている3個のリール3L,3C,3Rの内部を示すために一部を切欠した説明図である。図18は、3個のリール3L,3C,3Rの外周に印刷されている識別情報としての複数の図柄を示す図柄配置図、図19はリールユニット3の正面拡大図である。
【0089】
図16(a)に示すように、リールユニット3は、それぞれ回転自在に配設された3個のリール3L,3C,3Rと、これら3個のリール3L,3C,3Rを内蔵するカバー体とからなり、このカバー体は、遊技盤14の背後における3個のリール3L,3C,3Rに対向する部位に配設される透明な前面カバー3Fと、この前面カバー3Fに係合する裏カバー3Bとから構成されている。このように、3個のリール3L,3C,3Rを、前後に結合した前面カバー3Fと裏カバー3Bとから形成されるリール収容空間内に内蔵してリールユニット3が構成されている。
【0090】
すなわち、図16(a)に示すように、裏カバー3Bは、断面略C字状の湾状に形成した周壁部3cと、この周壁部3cの左右に形成された略円形の左右壁3dとからなり、この左右壁3dに、それぞれ略L字状とした係合溝3bを設けている。一方、3個のリール3L,3C,3Rは心棒3aにより並列状態に連結されている。
【0091】
そして、前記心棒3aの両端を前記係合溝3b,3bに掛け渡して組み込み、前面カバー3Fと裏カバー3Bを一体に結合して、図16(b)に示すように、リールユニット3が形成され、遊技盤14の背後の所定の位置に取り外し自在に設置されることとなる。
【0092】
なお、図16(a)に示す3eは前記係合溝3bに連続する案内溝であり、この案内溝3eによって、リール3L,3C,3Rを連結した前記心棒3aを係合溝3bにガイド可能としている。また、3hは裏カバー3Bに形成した係合爪であり、この係合爪3hによって裏カバー3Bと前面カバー3Fとが突合せ状態に結合される。
【0093】
また、図17に示すように、3個のリール3L,3C,3Rは、それぞれ同一構造からなり、リール枠本体に内蔵され、リール3L,3C,3Rをそれぞれ回転駆動及び停止させるステッピングモータ6と、各リール3L,3C,3Rの外周に印刷された識別情報である複数の図柄を、背後から照明するための発光体4a,4b,4cを設けたバックランプユニット4を具備している。このように、高速で回転するリールの背後に照明を設けることにより、遊技者にとって、識別情報である複数の図柄を見分け易くなる。さらに、リール外周に印刷される識別情報(図柄)も半透明な特殊インク等で印刷することにより、なお一層、複数の図柄の判別が容易になるため、本実施形態におけるスロットゲームを実行する場合に、遊技者が任意の図柄を狙って停止ボタン5L,5C,5Rを操作できることとなる。
【0094】
そして、図18に示すように、3個のリール3L,3C,3Rの外周には、識別情報である複数の図柄がそれぞれ異なる配置で印刷されている。また、各リールには21個の図柄が印刷されており、その種類は7種類の異なる図柄が用いられている。数字の7(図柄81)及びアルファベットのV(図柄80)は、本実施形態における大当たり遊技状態の発生を遊技者に示唆する特別な図柄である。他にも、CHANCE(図柄82)、チェリー(図柄83)、スイカ(図柄84)、ベル(図柄85)、リプレイ(図柄86)等の複数の図柄が設けられる。
【0095】
次に、図19を参照して、本実施形態における3個のリールの有効ラインを説明する。図19に示すように、リールユニット3の前面カバー3Fの前側面には5本のライン、すなわち、中段にラインL1、上段及び下段にそれぞれにラインL2、斜めに2本のラインL3が表示されている。これは、リールユニット3に内蔵されている3個のリール3L,3C,3Rが停止した際の図柄の組合せを規定する有効ラインを示している。
【0096】
一般に、パチスロ遊技機においては、その遊技媒体であるコイン(又は、遊技メダル等と呼ばれる)をパチスロ遊技機に投入した枚数によって有効ラインは変化する。例えば、1枚のコイン投入で中段のラインL1のみ有効となり、2枚のコイン投入で中段のラインL1と共に上下段のラインL2も有効(つまり、中段、上段、下段の3ラインが有効)となる。さらに、3枚のコイン投入で中段のラインL1、上下段のラインL2にあわせて斜めラインL3も有効(つまり、中段、上段、下段、右上がり斜め、右下がり斜めの5ラインが有効)となる。
【0097】
しかし、本実施形態においては、パチンコ遊技機10におけるスロットゲームを実行させるために常時「5ライン」を有効ラインとしている。そして、本実施形態におけるスロットゲームが実行される場合に、遊技者が停止ボタンユニット5に設置されている各リールに対応した停止ボタン5L,5C,5Rを操作して、回転中の各リールの所定の図柄を狙って停止させる場合、前記「5ライン」上のいずれかに同一の図柄が停止すれば、所謂「目押し」と呼ばれる停止ボタン操作が的確だったこととなる。
【0098】
[遊技機の電気的構成]
本実施形態におけるパチンコ遊技機10の制御回路について図5を用いて説明する。図5は、本実施形態におけるパチンコ遊技機10の制御回路を示すブロック図である。
【0099】
本実施形態におけるパチンコ遊技機10の制御回路は、主に、遊技制御手段としての主制御回路60と、演出制御手段としての副制御回路200とから構成される。主制御回路60は、主にパチンコ遊技の進行を制御するものであり、副制御回路200は、遊技の進行に応じた演出の制御(例えば、画像表示制御、音声出音制御、装飾ランプ制御)を行うものである。
【0100】
主制御回路60は、図5に示すように、制御手段であるメインCPU(中央演算処理装置)66、メインROM(読み出し専用メモリ)68、メインRAM(読み書き可能メモリ)70を備えている。
【0101】
メインCPU66には、メインROM68、メインRAM70等が接続されており、このメインROM68に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有する。このように、このメインCPU66は、例えば、賞球払出手段、遊技実行制御手段、スロットゲーム実行手段、損失補填制御手段として機能するなど、後述の各種手段として機能することとなる。
【0102】
さらに、メインROM68には、メインCPU66によりパチンコ遊技機10の動作を制御するためのプログラムだけではなく、その他には、乱数抽選によって大当たり判定をする際に参照される大当たり抽選テーブル(図6参照)等の各種のテーブルが記憶されている。
【0103】
メインRAM70は、メインCPU66の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。
【0104】
また、この主制御回路60は、所定の周波数のクロックパルスを生成するクロックパルス発生回路62、電源投入時においてリセット信号を生成する初期リセット回路64、後述する副制御回路200に対してコマンドを供給するためのシリアル通信用IC72を備えている。また、これらのクロックパルス発生回路62、初期リセット回路64、シリアル通信用IC72は、メインCPU66に接続されている。なお、このクロックパルス発生回路62は、後述するシステムタイマ割込処理を実行するために、所定の周期(例えば2ミリ秒)毎にクロックパルスを発生する。尚、このシリアル通信用IC72は、各種のコマンドを副制御回路200(副制御回路200に含まれる各種の手段)へ送信する送信手段に相当する。
【0105】
また、主制御回路60には、各種の装置が接続されており、例えば、図5に示すように、カウントセンサ104、一般入賞球センサ106、107、108、109、通過球センサ114、始動入賞球センサ116、普通電動役物ソレノイド118、大入賞口ソレノイド120、操作パネルセンサ125が接続されている。
【0106】
カウントセンサ104は、大入賞口39の内部(図示せず)に設けられている。このカウントセンサ104は、大入賞口39に遊技球が入球した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0107】
一般入賞球センサ106、107、108、109は、一般入賞口56a〜56dにそれぞれ対応して設けられている。この一般入賞球センサ106、107、108、109は、各一般入賞口56a〜56dへ遊技球が入賞した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0108】
通過球センサ114は、通過ゲート54に設けられている。この通過球センサ114は、通過ゲート54を遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0109】
遊技球検出手段である始動入賞球センサ116は、始動口25に設けられている。始動入賞球センサ116は、始動口25に遊技球が入賞したことを検出して、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0110】
普通電動役物ソレノイド118は、リンク部材(図示せず)を介して羽根部材23に接続されており、メインCPU66から供給される駆動信号に応じて、羽根部材23を開放状態又は閉鎖状態とする。
【0111】
大入賞口ソレノイド120は、リンク部材(図示せず)を介してシャッタ40に接続されており、メインCPU66から供給される駆動信号に応じて駆動され、大入賞口39を開放状態又は閉鎖状態とする。
【0112】
操作パネルセンサ125は、操作パネル27に接続されており、操作パネル27に設けられている各種操作スイッチ(図22参照)を遊技者が操作したことを検知すると、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0113】
そして、主制御回路60には、発射制御回路126が接続されている。この発射制御回路126は、遊技者によって発射ハンドル26が把持され、回動操作された場合、発射装置130の発射ソレノイド(図示せず)へ電力が供給されて、上皿20に貯留された遊技球が発射されることとなる。なお、発射制御回路126は、遊技者による発射ハンドル26の回動操作量に応じた電力を、発射ソレノイド(図示せず)へ供給するため、遊技者は発射ハンドル26の回動操作量を調節することにより、遊技球の発射強度を変更することができる。
【0114】
また、主制御回路60には、払出制御回路127が接続されている。この払出制御回路127には、遊技球の払出を行なう払出装置128、カードユニット150が接続されている。また、払出制御回路127は、遊技場で遊技者が購入可能な所定の記憶媒体(磁気カード、ICチップが埋め込まれたコイン等)又は紙幣等の現金をカードユニット150(図3参照)に投入して、遊技者が所定の貸し玉ボタン(図示せず)を操作すると、カードユニット150から供給される貸し球制御信号を受け取り、払出装置128に対して所定の信号を送信することにより、払出装置128に所定金額(例えば、千円単位)の貸し玉をパチンコ遊技機10の上皿20に払い出させる。つまり、遊技球の貸出制御を実行するものである。なお、カードユニット150は、遊技者が投入した前記記憶媒体や現金等の残り(残度数)があった場合は、遊技者が返却ボタン(図示せず)を操作することにより、残度数が記憶された記憶媒体を遊技者に返却する。
【0115】
さらに、主制御回路60は、電飾ユニット53(図4参照)の各種表示器、表示ランプを制御する表示器制御回路76を備えている。この表示器制御回路76はメインCPU66からの指示に従い、パチンコ遊技機10の遊技状態に応じて、特別図柄表示器35、普通図柄表示器33の変動の制御(例えば、変動の開始及び所定の図柄での表示停止)を行い、さらに、特別図柄保留ランプ34a〜34d、普通図柄保留ランプ50a〜50d、ラウンド数表示器51a〜51dの点灯及び消灯の制御を行うものである。
【0116】
そして、本実施形態においては、前述したスロットゲームを実行するために、主制御回路60には、リールモータ駆動/停止制御回路77及びリール停止信号制御回路78を備えている。
【0117】
リールモータ駆動/停止制御回路77は、スロットゲームを実行する場合に、メインCPU66から供給されるメインROM68に記憶されたプログラムに従って、リールユニット3に内蔵されている3個のリール3L,3C,3Rのステッピングモータ6(図17参照)の回転制御を行うものである。また、リールユニット3に内蔵されている3個のリール3L,3C,3Rが既に回転していた場合は、後述のリール停止信号制御回路78により、遊技者による停止ボタン(停止ボタン5L,5C,5R)の押下を検出すると、それぞれの停止ボタンに応じたリールの停止制御を行なうものである。また、本実施形態においては、リールユニット3に内蔵されている3個のリール3L,3C,3Rの背後に設置されているバックランプユニット4(図17参照)の発光制御も行なっている。
【0118】
リール停止信号制御回路78は、遊技者による停止ボタンユニット5の停止ボタン5L,5C,5Rが押下された場合、所定の検知信号をメインCPU66に供給する。そして、メインCPU66は、メインROM68に記憶されたプログラムに従って、前記リールモータ駆動/停止制御回路77に対して、押下された停止ボタン5L,5C,5Rに応じたリールの停止制御を指示するものである。
【0119】
一方、シリアル通信用IC72には、副制御回路200が接続されている。この副制御回路200は、主制御回路60から供給される各種のコマンドに応じて、液晶表示装置32における表示制御、スピーカ46L,46Rから発生させる音声に関する制御、装飾ランプ133a,133bの発光制御等を行なう。
【0120】
なお、本実施形態においては、主制御回路60から副制御回路200に対してコマンドを供給するとともに、副制御回路200から主制御回路60に対して信号を供給できないように構成したが、これに限らず、副制御回路200から主制御回路60に対して信号を送信できるように構成しても問題ない。
【0121】
副制御回路200は、可変表示制御手段、音発生制御手段としてのサブCPU206、記憶手段としてのプログラムROM208、ワークRAM210、液晶表示装置32における表示制御を行うための表示制御回路250、スピーカ46L,46Rから発生させる音声に関する制御を行う音声制御回路230、演出用の装飾ランプ133a,133bの制御を行うランプ制御回路240等から構成されている。すなわち、副制御回路200は、主制御回路60からの指令に応じて遊技の進行に応じた演出を実行するものである。
【0122】
サブCPU206には、プログラムROM208、ワークRAM210等が接続されている。サブCPU206は、このプログラムROM208に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有する。特に、サブCPU206は、後述するように、主制御回路60から供給される各種のコマンドに従って、副制御回路200の制御を行う。サブCPU206は、後述する各種の手段として機能することとなる。
【0123】
プログラムROM208には、サブCPU206によりパチンコ遊技機10の特別図柄の変動表示に関連して実行される液晶表示装置32の画像表示に伴う複数種類の演出画像データや、大当たり遊技中のラウンドゲームに関連して実行される複数種類の演出画像データが記憶されており、その他には、リーチ演出の表示期間を定めたリーチ時間テーブル等各種のテーブルも記憶されている。
【0124】
ワークRAM210は、サブCPU206の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。例えば、リーチ演出時間を制御するためのタイマ変数、演出パターンを選択するための演出表示選択用乱数カウンタ等、各種の変数等が位置付けられている。
【0125】
表示制御回路250は、サブCPU206から供給される、特別図柄の変動表示に関連して実行される演出表示の進行に伴う複数種類の演出パターンや、大当たり遊技中のラウンドゲームに関連して実行される複数種類の演出パターン等の演出画像データ等を、液晶表示装置32に画像を表示させる制御を行うものである。
【0126】
音声制御回路230は、サブCPU206から供給される音声発生命令に応じて、スピーカ46L,46Rから音声を発生させるものである。
【0127】
ランプ制御回路240は、サブCPU206から供給されるプログラムROM208に記憶されたプログラムに従って、装飾ランプ133a,133bの発光制御を行うものである。
【0128】
また、本実施形態においては、パチンコ遊技機10の制御回路において、遊技制御手段としての主制御回路60と、演出制御手段としての副制御回路200を別々に構成しているが、主制御回路60と副制御回路200とを同じ基板で構成しても構わない。
【0129】
なお、本実施形態においては、プログラム、テーブル等を記憶する記憶手段として、主制御回路60ではメインROM68を、副制御回路200ではプログラムROM208を用いるように構成したが、これに限らず、制御手段を備えたコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体であれば別態様であってもよく、例えば、ハードディスク装置、CD−ROM及びDVD−ROM、ROMカートリッジ等の記憶媒体に、プログラム、テーブル等が記録されていてもよい。また、これらのプログラムは、予め記録されているものでなくとも、電源投入後にこれらのプログラムをダウンロードし、主制御回路60ではメインRAM70、副制御回路200ではワークRAM210等に記録されるものでもよい。なお、本実施形態においては、メインCPU66の一時記憶領域としてメインRAM70を、サブCPU206の一時記憶領域としてワークRAM210を用いているが、これに限らず、読み書き可能な記憶媒体であればよい。
【0130】
[遊技機の動作]
ここで、本実施形態におけるパチンコ遊技機10の遊技について簡潔に説明する。
【0131】
本実施形態においては、主制御回路60のメインROM68に記憶されたプログラムに従ったメインCPU66による制御により、以下のパチンコ遊技機10の遊技動作が実行されるものである。
【0132】
すなわち、パチンコ遊技機10の遊技は、大別して通常遊技(大当たり抽選を行いながら遊技球を消費する遊技であり、大当たり遊技に比べて遊技者には相対的に不利な遊技)と大当たり遊技(遊技者にとって短時間で大量の遊技球の獲得が期待できる、所謂遊技者にとって有利な遊技)とに分かれる。
【0133】
さらに、前記大当たり遊技は、前記特別図柄表示器35に停止表示される特定の数字図柄により、15R確変大当たり遊技、15R通常大当たり遊技、2R確変大当たり遊技(所謂「突確」と呼ばれる大当たり遊技)又は2R通常大当たり遊技の4種類の大当たり遊技が決定する。そして、前記4種類の大当たり遊技は、大当たり抽選テーブル(図6参照)を参照し、通常遊技の通常モード又は確変モードに応じてそれぞれ異なる抽選確率で抽選される。
【0134】
さらに、前記4種類の大当たり遊技のいずれか一つに当選した場合に、前記特別図柄表示器35(図4参照)に特別図柄が停止表示されるのと同じタイミングで、液晶表示装置32においても、特別な識別情報(例えば、「7」の三つ揃い等)によって表示される。
【0135】
また、前記4種類の大当たり遊技のいずれかが実行されると、4種類の大当たり遊技にそれぞれ応じた所定の回数を上限として(例えば、2R確変大当たり遊技及び2R通常大当たり遊技では2回、15R確変大当たり遊技及び15R通常大当たり遊技では15回、)、大入賞口39に付設されたシャッタ40(図3参照)が、大入賞口39を所定時間(例えば、30秒)の開放動作を繰り返すことにより、遊技領域15に発射された遊技球の大入賞口39への入賞が容易となり、遊技者は短時間で大量の賞球を獲得することが可能となる。かかる大当たり遊技の獲得(大当たり遊技への当選)は、一般の遊技者の最大の目的であり、パチンコ遊技の醍醐味ともいえる。
【0136】
他方、本実施形態における通常遊技は、通常モード(通常低確率遊技状態)、確変モード(特別高確率遊技状態)、時短モード(特別遊技モード)の3種類の遊技モードの下で実行される。ここで、3種類の通常遊技(通常モード、確変モード、時短モード)のモードの移行及びそれぞれの特徴を、以下に簡単に説明する。
【0137】
通常モードは、パチンコ遊技機10における基本モードであり、パチンコ遊技機10に電源を投入すると、この通常モードから遊技が開始される。なお、この通常モードにおける大当たりの抽選確率は、確変モードと比較すると相対的に低確率に設定されている。
【0138】
確変モードは、通常遊技において、前記4種類の大当たり遊技のうち15R確変大当たり遊技又は2R確変大当たり遊技に当選すると、当該大当たり遊技の終了後に移行する特別高確率遊技状態であり、この確変モードの特徴は、通常モードにおける大当たりの抽選確率よりも確変モードにおける大当たりの抽選確率の方が高確率に設定されることである。
【0139】
具体的にいうと、本実施形態においては、通常モードにおける大当たりの抽選確率は「1/300」であるのに対して、確変モードにおける大当たりの抽選確率は「1/30」と10倍の抽選確率が設定(図6、大当たり抽選テーブル参照)されている。つまり、確変モードでは通常モードと比較して、10倍の頻度で大当たり遊技が発生することになるので遊技者にとって有利な遊技状態であると言える。
【0140】
最後に、時短モード(特別遊技モード)は、前述した4種類の大当たり遊技のいずれに当選した場合でも、当該大当たり遊技の終了後に設定される遊技モードである。この通常遊技における時短モードとは、特別図柄及び普通図柄が変動表示を開始して停止表示されるまでの変動時間が、通常モードよりも短く設定され、さらに、前記普通図柄の抽選の結果が“当たり”の場合(つまり、前述した普通図柄表示器33(図4参照)において、例えば、緑色LEDの表示用ランプが点灯した場合)、始動口25に付設された羽根部材23の開放時間が通常モードよりも長く設定される。なお、かかる制御を、本実施形態では、「電チューサポート」と呼ぶ場合がある。
【0141】
このように、「電チューサポート」が実行されると、始動口25に遊技球が入賞し易くなるので、単位時間当たりの大当たり抽選回数が通常モードに比べて著しく増加し、かつ始動口25への入賞に対する賞球の払い出しも増加するため、遊技球の目減りが少なく(所謂「球持ち」がよい状態となる)、遊技者にとって有利な状態といえる。
【0142】
また、この時短モードは、前述した4種類の大当たり遊技に対応して、継続期間が定められている。すなわち、大当たり遊技が15R通常大当たり遊技又は2R通常大当たり遊技の場合は、当該大当たり遊技終了後に、特別図柄の変動回数(例えば、50回又は100回)が継続期間として設定される。一方、大当たり遊技が15R確変大当たり遊技又は2R確変大当たり遊技の場合の継続期間は、当該大当たり遊技終了後、実質的に次回の大当たり遊技への当選が期待できる特別図柄の変動回数(例えば、10000回)に設定される。
【0143】
以上説明したように、本実施形態においては、「通常モード」、「確変モード」、「通常モード+時短モード」及び「確変モード+時短モード」の4つの遊技モードの下で通常遊技が行われることになり、パチンコ遊技機10の遊技状態の変化に応じて、適宜遊技状態が推移してゆくことになる。
【0144】
さらに、上述した3種類(通常モード、確変モード、時短モード)の遊技モードに加え、本実施形態における要部といえる損失補填モードが設けられている。この損失補填モードは、詳細は後述の損失補填制御処理(図13参照)で説明するが、遊技者が操作パネル27(図1参照)において、所定の操作を行なうことで選択されるものであり、一度選択された損失補填モードは、所定回数(例えば900回)の可変表示ゲームを消化して、所定数(例えば1500個)の遊技球を、一括して遊技者に還元する補填処理が実行された場合に終了する。しかし、本実施形態においては、所定回数の可変表示ゲームが消化されない場合でも、所定の条件、例えば、大当たり遊技に当選した場合に実行される特別スロットゲームの遊技者による実行結果に応じて中途解除される場合がある。
【0145】
すなわち、本実施形態における損失補填モードは、遊技者が当該パチンコ遊技機10で遊技を行なう場合に任意に選択可能であり、遊技者が損失補填モードを選択すると、損失補填モードの作動条件、つまり、大当たり遊技の抽選回数(可変表示ゲームの実行回数)、徴収処理における徴収球の数、補填処理における還元球の数等が設定され、設定された大当たり遊技の抽選回数(可変表示ゲームの実行回数)を消化した場合に、設定された所定数の還元球を、一括して遊技者に還元するものである。つまり、スロットマシン等でよく知られている利益の受けられない遊技者を救済するための保険機能に相当するものである。
【0146】
以下、上述した遊技状態の変化に合わせてパチンコ遊技機10で実行される処理を図7〜図15に示す。
【0147】
[メイン処理]
最初に、図7に示すように、主制御回路60のメインCPU66は、RAMアクセス許可、バックアップ復帰処理、作業領域を初期化等の初期設定処理を実行する(ステップS11)。そして、詳しくは図9を用いて後述するが、特別図柄ゲームの進行、液晶表示装置32、特別図柄表示器35に表示される特別図柄、装飾図柄に関する特別図柄制御処理を実行する(ステップS12)。そして、詳しくは図11を用いて後述するが、普通図柄ゲームの進行、普通図柄表示器33に表示される普通図柄に関する普通図柄制御処理を実行する(ステップS13)。さらに、これも詳細は図13を用いて後述するが、本実施形態における損失補填モードの選択、解除及び損失補填を制御する損失補填制御処理(ステップS14)、そして、これも詳細は図14を用いて後述するが、本実施形態におけるスロットゲームの実行を制御するスロットゲーム制御処理(ステップS15)を実行する。このように、メイン処理においては、ステップS11の初期設定処理が終了した後、ステップS12〜ステップS15の処理を繰り返し実行することとなる。
【0148】
[システムタイマ割込処理]
また、メインCPU66は、メイン処理を実行している状態であっても、メイン処理を中断させ、システムタイマ割込処理を実行する場合がある。クロックパルス発生回路62から所定の周期(例えば2ミリ秒)毎に発生されるクロックパルスに応じて、以下のシステムタイマ割込処理を実行する。このシステムタイマ割込処理について図8を用いて説明する。
【0149】
図8に示すように、最初に、メインCPU66は、大当たり抽選用乱数値等の各抽選値を更新する乱数更新処理を実行する(ステップS21)。そして、メインCPU66は、始動口25等への遊技球の入賞を検知する入力検出処理を実行する(ステップS22)。この処理においては、メインCPU66は、各種の入賞口に遊技球が入賞したことを条件として、遊技球を払出す(賞球する)旨のデータをメインRAM70の所定領域に記憶することとなる。
【0150】
そして、この入力検出処理(ステップS22)において、メインCPU66は、始動口25への遊技球の入賞を検出すると、前記乱数更新処理(ステップS21)において更新された大当たり抽選用乱数値を読み出して、最大4個を保留個数の上限として、メインRAM70の所定の領域に記憶する。そして、ここでメインRAM70の所定の領域に記憶された始動口25への遊技球の入賞と大当たり抽選用乱数値は、後述の特別図柄記憶チェック処理(図10参照)の大当たり抽選処理(ステップS64)において参照されることとなる。
【0151】
ステップS23においては、タイマ更新処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、主制御回路60と副制御回路200との同期をとるための待ち時間タイマ、大当たり遊技が発生した際に開放する大入賞口39の開放時間を計測するための大入賞口開放タイマ等、各種のタイマの更新処理を実行する。そして、この処理が終了するとステップS24へ処理を移す。
【0152】
ステップS24においては出力処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、メインRAM70の所定の領域に記憶されている各種の出力要求に基づいて駆動制御するための信号をソレノイド、モータ等に供給する。すなわち、後述する各処理において、メインCPU66は、各種駆動遊技部材(つまり、パチンコ遊技機10の遊技領域15に配設されており、なおかつ遊技状態に応じて、その形態を変化させる遊技部材)に対する信号出力要求がメインRAM70の所定領域に記憶された場合は、それに応じた信号を出力する。例えば、始動口25に付設されている羽根部材23を開放又は閉鎖するための普通電動役物ソレノイド118、大入賞口39を開放又は閉鎖するための大入賞口ソレノイド120の駆動要求があった場合、制御信号を出力して、各種駆動遊技部材を駆動させる処理を行なう。
【0153】
さらに、この出力処理において、メインCPU66は、電飾ユニット53(図4参照)に設置されている各種表示器類(特別図柄表示器35、普通図柄表示器33、特別図柄保留ランプ34a〜34d、普通図柄保留ランプ50a〜50d、ラウンド数表示器51a〜51d)のそれぞれに対応した図柄の変動要求又は停止要求、或いはランプの点灯要求又は消灯要求がメインRAM70の所定の領域に記憶されていた場合は、それに対応した電飾ユニット53(図4参照)に設置されている各種表示器類の、図柄の変動又は停止、或いはランプの点灯又は消灯を制御する。そして、この処理が終了した場合には、ステップS25に処理を移す。
【0154】
ステップS25においては、コマンド出力処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、メインRAM70の所定の領域に記憶されている各種コマンドの送信要求に応じた各種のコマンド信号を副制御回路200に送信して、ステップS26に処理を移す。ここで副制御回路200に送られる各種コマンド信号としては、例えば、デモ表示コマンド、導出図柄指定コマンド、損失補填表示コマンド、スロットゲーム実行コマンド等が含まれる。そして、送られたコマンド信号に応じて、後述の副制御回路メイン処理(図15参照)の表示制御処理(ステップS204)において、液晶表示装置32の表示領域32aに様々な演出及び表示画像が表示されることとなる。
【0155】
具体的に説明すると、デモ表示コマンドが送信された場合は、デモ表示画像(図23参照)、導出図柄指定コマンドが送信された場合は、識別情報の変動画像やそれに伴う演出画像(図21(a)参照)、損失補填表示コマンドが送信された場合は、損失補填モードに伴う各種画像(図21(b)、図22参照)が液晶表示装置32の表示領域32aにおいて表示されることとなる。
【0156】
なお、スロットゲーム実行コマンドが送信された場合は、液晶表示装置32の表示領域32aにおけるリールユニット3の直前方の表示領域32aを非通電領域することで、液晶表示装置32の略中央部の後方に配設されたリールユニット3の前面に透光性をもたせることにより遊技者が視認可能(図24〜図27参照)とする。
【0157】
ステップS26の処理において、メインCPU66は、後述の損失補填制御処理(図13参照)により、メインRAM70の所定の領域に損失補填作動中のフラグが記憶されていた場合は、各種の入賞口に遊技球が入賞したことで払出される賞球に応じた遊技球の徴収処理を実行する。つまり、賞球に対して所定の数(例えば、1個)の遊技球を徴収して、メインRAM70の所定の領域に加算して記憶するのである。但し、本実施形態における徴収処理は、所定数(例えば、30個)の遊技球の数を上限として実行されるものであり、既に所定数(例えば、30個)の遊技球が、メインRAM70の所定の領域に蓄積されて記憶されていた場合は、それ以上の徴収処理は実行されない。そして、この処理が終了するとステップS27へ処理を移す。
【0158】
ステップS27において、メインCPU66は、後述の損失補填制御処理(図13参照)の損失補填実行処理(ステップS167)において、メインRAM70の所定の領域に遊技球還元要求が記憶されていた場合は、所定数(例えば、1500個)の遊技球を、一括で遊技者に還元する補填処理を実行する。つまり、この補填処理において、メインCPU66は、本実施形態における大当たり遊技(15R確変大当たり遊技)1回分の数(例えば、1500個)の遊技球を、一括して払い出す賞球制御コマンド信号を払出制御回路127へ供給して、ステップS28へ処理を移す。
【0159】
ステップS28の処理において、メインCPU66は、賞球払出処理を実行する。この賞球払出処理では、各種の入賞口に遊技球が入賞したことを契機として、予め定められた数の賞球払出を行うための賞球制御コマンド信号を払出制御回路127へ供給する。なお、上述した徴収処理(ステップS26)において、賞球の徴収が実行された場合は、予め定められた数の賞球から徴収された数を差し引いた数の賞球制御コマンド信号が、払出制御回路127へ供給されることとなる。そして、この処理が終了すると本サブルーチンを終了し、割込発生前のアドレスへ復帰し、メイン処理を実行させる。
【0160】
ここで、本実施形態においては、前記乱数更新処理(ステップS21)において所定の範囲(例えば1〜30000)内で更新された乱数値を、前記始動口25へ遊技球が入賞したタイミングで読み出し、大当たり抽選にかかる乱数値として用いるようにしている。しかし、乱数値の取得手段は、本実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、専用の乱数発生器等を主制御回路60に備え、そこで所定の範囲(例えば1〜30000)内でランダムに更新される乱数値を、前記始動口25へ遊技球が入賞したタイミングで読み出し、大当たり抽選にかかる乱数値として用いるようにしてもよい。
【0161】
[特別図柄制御処理]
図7のステップS12において実行される特別図柄制御処理について、図9を用いて説明する。
【0162】
最初に、ステップS31の処理において、メインCPU66は、特別図柄制御フラグをロードする。この処理において、メインCPU66は、特別図柄制御フラグを読み出しステップS32に処理を移す。
【0163】
ステップS32においては、メインCPU66は、特別図柄制御フラグが(00)であるか否かを判断し、特別図柄制御フラグが(00)でない場合には、ステップS34に処理を移す。また、特別図柄制御フラグが(00)の場合には、ステップS33へ処理を移し、特別図柄記憶チェック処理を行う。この特別図柄記憶チェック処理では、詳細は後述するが、特別図柄の保留個数を調べ、保留個数がある場合に、“大当たり”の抽選、特別図柄の変動開始、特別図柄変動タイマのセット等を行い、特別図柄制御フラグに次のステップの処理要求である(01)をセットする。そして、この処理が終了すると本サブルーチンを終了する。
【0164】
ステップS34においては、メインCPU66は、特別図柄制御フラグが(01)であるか否かを判断し、特別図柄制御フラグが(01)でない場合には、ステップS40に処理を移す。また、特別図柄制御フラグが(01)の場合には、特別図柄変動時間監視処理を行う。すなわち、ステップS35において、特別図柄変動タイマがタイムアップ(つまり“0”)か否かを判断し、タイムアップしていなければ本サブルーチンを終了する。そしてタイムアップしていた場合はステップS36へ処理を移す。
【0165】
ステップS36においては、メインCPU66は、特別図柄停止処理を行なう。この特別図柄停止処理では、メインCPU66は、特別図柄表示器35(図4参照)に変動表示中の特別図柄の変動停止要求を、メインRAM70の所定の領域に記憶する。そして、この処理でメインRAM70の所定の領域に記憶された特別図柄の変動停止要求は、前述したシステムタイマ割込処理の出力処理(図8、ステップS24)において電飾ユニット53(図4参照)へ出力され、特別図柄表示器35(図4参照)に変動表示中の特別図柄が変動停止される。この処理が終了するとステップS37へ処理を移す。
【0166】
そして、メインCPU66は、ステップS37において特別図柄が大当たりか否かを判断し、大当たりでなければステップS39に処理を移す。一方、大当たりであった場合は、ステップS38の大入賞口開放待ち処理を行う。この大入賞口開放待ち処理では、メインCPU66は、特別図柄制御フラグに大入賞口開放待ちを示す値(02)をセットし、待ち時間(例えば1秒)を大入賞口開放待ちタイマにセットして本サブルーチンを終了する。
【0167】
ステップS39においては、メインCPU66は、特別図柄制御フラグをクリア(つまり特別図柄記憶チェック処理を要求する値(00)をセットする)して本サブルーチンを終了する。
【0168】
ステップS40においては、メインCPU66は、特別図柄制御フラグが(02)であるか否かを判断し、特別図柄制御フラグが(02)でない場合には、ステップS43に処理を移す。また、特別図柄制御フラグが(02)の場合には、大入賞口開放処理を行う。大入賞口開放処理では、まず、メインCPU66は、ステップS41で大入賞口開放待ちタイマがタイムアップ(つまり“0”)かを判断し、タイムアップしていなければ本サブルーチンを終了する。そしてタイムアップした場合は、ステップS42で大入賞口開放処理を行う。
【0169】
すなわち、この大入賞口開放処理において、メインCPU66は、大入賞口39の開放要求(メインRAM70の所定の領域に、シャッタ40の開放指示を記憶する)をセットするとともに、大入賞口開放タイマに開放する大入賞口39の開放時間(例えば、30秒)をセットする。そして、特別図柄制御フラグに大入賞口開放監視処理を示す値(03)をセットして本サブルーチンを終了する。
【0170】
ステップS43においては、メインCPU66は、特別図柄制御フラグが(03)であるか否かを判断し、特別図柄制御フラグが(03)でない場合には、ステップS49に処理を移す。また、特別図柄制御フラグが(03)の場合には、大入賞口開放監視処理を行う。大入賞口開放監視処理では、まずメインCPU66は、ステップS44で大入賞口開放タイマがタイムアップ(つまり“0”)したか、又は、開放した大入賞口39へ規定の個数(例えば、10個)の遊技球が入賞したか否かを判断する。そして大入賞口開放タイマのタイムアップ、同時に、開放した大入賞口39へ規定の個数の遊技球が入賞していなければ本サブルーチンを終了する。そして大入賞口開放タイマのタイムアップ、又は、開放した大入賞口39へ規定の個数の遊技球が入賞のいずれか一方の条件を満たしたことで、ステップS45へ処理を移行する。
【0171】
ステップS45においては、メインCPU66は、大入賞口閉鎖処理を実行する。この大入賞口閉鎖処理においては、メインCPU66は、開放した大入賞口39に対する閉鎖要求(メインRAM70の所定の領域に、シャッタ40の閉鎖指示を記憶する)を実行する。そして、この処理が終了するとステップS46へ処理を移す。
【0172】
ステップS46においては、メインCPU66は、大入賞口開放回数(所謂ラウンド数)をカウントし、規定回数(15回又は2回)に達したか否かを判断し、規定回数に達した場合はステップS48で特別図柄制御フラグに大当たり終了処理を要求する値(04)をセットして本サブルーチンを終了する。一方、メインCPU66は、大入賞口開放回数が規定回数に達していなかった場合は、ステップS47において、メインCPU66は、大入賞口開放待ち処理を行う。この大入賞口開放待ち処理では、特別図柄制御フラグに開放する大入賞口39の開放を要求する値(02)をセットし、待ち時間(例えば1秒)を大入賞口開放待ちタイマにセットして本サブルーチンを終了する。
【0173】
ステップS49においては、メインCPU66は、大当たり終了処理を行う。大当たり終了処理では、大当たり図柄が15R確変大当たり又は2R確変大当たりの場合は、通常遊技を「確変モード+時短モード」とするとともに、時短モードの継続期間として、所定の特別図柄の変動回数(例えば、10000回)を、メインRAM70の所定の領域に記憶する。一方、大当たり図柄が15R通常大当たり又は2R通常大当たりの場合には、通常遊技を「通常モード+時短モード」とするとともに、所定の特別図柄の変動回数(例えば、100回)を、メインRAM70の所定の領域に記憶する。
【0174】
そして、最後にメインCPU66は、特別図柄制御フラグをクリア(つまり特別図柄記憶チェック処理を要求する値(00)をセットする)して、特別図柄制御処理を終了する。
【0175】
ここで、上述してきた特別図柄制御処理において、メインRAM70の所定の領域に記憶された、シャッタ40に対する開放及び閉鎖指示は、システムタイマ割込処理(図8参照)の出力処理(ステップS24)において、大入賞口ソレノイド120に対して出力され、大入賞口39が開放又は閉鎖されることになる。
【0176】
[特別図柄記憶チェック処理]
図9のステップS33において実行される特別図柄記憶チェック処理について図10を用いて説明する。
【0177】
最初に、メインCPU66は、ステップS61において、始動口25に遊技球が入賞した場合に保留された特別図柄の保留個数が“0”であるか否かを判断し、特別図柄の保留個数が“0”の場合には、ステップS62に処理を移す。一方、特別図柄の保留個数が“0”でない場合(つまり、特別図柄の変動要求がある場合)には、ステップS63に処理を移す。
【0178】
ステップS62においては、メインCPU66は、デモ表示処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、デモ表示を行わせるための要求(つまり、デモ表示コマンドの送信要求)をメインRAM70の所定の領域に記憶する。これにより、前述したシステムタイマ割込処理(図8参照)のコマンド出力処理(ステップS25)において、主制御回路60から副制御回路200へデモ表示コマンドが送信される。これによって、副制御回路200において、客待ち状態(所定の待機状態)となったことを認識させるための客待デモ画像92(図23参照)が、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて表示されることになる。そして、この処理が終了した場合には、特別図柄記憶チェック処理を終了する。
【0179】
ここで、上記デモ表示について、図23を参照して説明する。図23は、本実施形態におけるデモ表示の一例である。すなわち、図23(a)に示すように、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、遊技者に対して当該パチンコ遊技機10での遊技の実行をアピールするために、キャラクタ等を用いた客待デモ画像92を表示するとともに、その客待デモ画像92と重ならない位置に損失補填モードの案内画像101も同時に表示するのである。そして、図23(b)に示すように、損失補填モードの案内画像101では、本実施形態における損失補填モードの概要をメッセージ画像として遊技者に表示することにより、損失補填モードの機能を遊技者に解り易く案内する構成としている。
【0180】
図10を用いた特別図柄記憶チェック処理の説明に戻る。
【0181】
ステップS63においては、メインCPU66は、特別図柄変動時間管理を要求する値(01)を、特別図柄制御フラグにセットし、ステップS64に処理を移す。
【0182】
ステップS64においては、大当たり抽選処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、パチンコ遊技機10の現在の遊技モード(通常モード、確変モード)に基づいて、大当たりの抽選値が異なる複数の大当たり抽選テーブル(図6参照)から1つの大当たり抽選テーブルを選択する。そして、始動口25へ遊技球が入賞した時に抽出された大当たり抽選用乱数値と、前記選択された大当たり抽選テーブルを参照し、大当たり遊技の抽選処理を実行する。
【0183】
ここで、本実施形態に係る大当たり抽選テーブルについて説明する。
【0184】
図6に示すように、例えば、通常モードにおける大当たり抽選テーブルと確変モードにおける大当たり抽選テーブルでは、乱数値を1〜30000に設定した中で、大当たり遊技の抽選値の合計は、通常モードでは「100/30000」に設定されているのに対し、確変モードでは「1000/30000」と設定されている。
【0185】
すなわち、15R通常大当たり遊技、15R確変大当たり遊技、ラウンドゲーム数が少なく、大当たり遊技の継続期間が短い大当たり遊技である2R確変大当たり遊技(所謂「突確」)、2R通常大当たり遊技の抽選値の合計、つまり、大当たり遊技に当選する確率は、通常モードでは1/300であるのに対し、確変モードでは10/300(1/30)に設定されている。
【0186】
つまり、遊技モード(通常モードと確変モード)によって、大当たり遊技に移行する確率が異なっており、通常遊技が確変モードの下で行われている場合には、大当たり遊技に移行する確率は、通常モードよりも10倍向上することとなるので、確変モードは、遊技者にとって極めて有利な状態といえる。
【0187】
図10に示す特別図柄記憶チェック処理の説明に戻る。
【0188】
上述した大当たり抽選テーブルを用いたステップS64の大当たり抽選処理が終了すると、メインCPU66は処理をステップS65に移す。
【0189】
ステップS65においては、メインCPU66は、大当たり遊技に当選したか否かの判断処理を行う。この処理において、メインCPU66は、前述したステップS64の大当たり抽選処理における抽選結果が大当たり遊技に当選していた場合は、ステップS66に処理を移し、一方、大当たり遊技に当選していなかった場合は、ステップS68に処理を移す。
【0190】
ステップS66においては、大当たり図柄である特別図柄の決定処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、ステップS64で決定された大当たりの種類に対応して表示される特別図柄を決定する。例えば、「15R確変大当たり遊技」に対しては、特別図柄は“64”、「2R確変大当たり遊技」に対しては、特別図柄は“50”、「15R通常大当たり遊技」に対しては、特別図柄は“11”、「2R通常大当たり遊技」に対しては、特別図柄は“21”というように、それぞれの大当たり遊技に対応して特別図柄は決定される。そして、決定された特別図柄は、メインRAM70の所定の領域に記憶されることにより、電飾ユニット53(図4参照)に設置されている特別図柄表示器35において、大当たり遊技に対応した特別図柄が導出表示されることとなる。
【0191】
さらに、本実施形態においては、このステップS66の処理で、メインCPU66は、ステップS64で決定された大当たりの種類(2R確変大当たり遊技、15R確変大当たり遊技、2R通常大当たり遊技、15R通常大当たり遊技)と大当たりの発生回数とを、メインRAM70の所定の領域に、「大当たり遊技の履歴」として記憶更新する。そして、この処理が終了した場合には、ステップS67に処理を移す。
【0192】
ステップS67においては、特別スロットゲーム実行処理を行う。この処理において、メインCPU66は、大当たり遊技に当選したことを契機とした特別スロットゲームの開始要求をメインRAM70の所定の領域に記憶して、ステップS70へ処理を移す。
【0193】
ステップS68においては、はずれ図柄の決定処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、はずれ図柄に対応した特別図柄(例えば“11”、“21”、“50”、“64”以外の数字)を決定し、メインRAM70の所定領域に記憶する。これによって、電飾ユニット53(図4参照)に設置されている特別図柄表示器35において、はずれに対応した特別図柄が導出表示されることとなる。この処理が終了するとステップS69へ処理を移す。
【0194】
ステップS69において、メインCPU66は、通常スロットゲーム実行抽選処理を行う。このスロットゲーム実行抽選処理において、メインCPU66は、所定の抽選確率(例えば、1/10)で通常スロットゲームの実行を抽選する。そして、通常スロットゲームの実行抽選に当選した場合は、メインCPU66は、メインRAM70の所定の領域に、通常スロットゲームの開始要求を記憶してステップS70に処理を移す。
【0195】
なお、本実施形態においては、上述したように、大当たり遊技の抽選結果に応じて、特別スロットゲーム又は通常スロットゲームの2種類のスロットゲームが実行される構成としている。そして、上記ステップS67又はステップS69の処理において、メインRAM70の所定の領域に記憶された特別スロットゲームの開始要求又は通常スロットゲームの開始要求は、後述のスロットゲーム制御処理(図14参照)において参照され、本実施形態における2種類のスロットゲームが実行されることになる。
【0196】
ステップS70では、遊技状態判別処理を行う。この遊技状態判別処理において、メインCPU66は、現在の通常遊技が、時短モードであるか否か判断し、時短モードの場合は、ステップS72へ処理を移行する。一方、現在の通常遊技が時短モードでないと判断した場合は、ステップS71において、通常モードの特別図柄変動時間(例えば30秒)を、特別図柄変動タイマにセットし、メインRAM70の所定の領域に記憶する。そして、ステップS73へ処理を移行する。
【0197】
ステップS72においては、メインCPU66は、確変モード又は時短モードの特別図柄変動時間(通常モードの特別図柄変動時間より短い時間、例えば5秒)を、特別図柄変動タイマにセットし、メインRAM70の所定の領域に記憶する。また、このステップS72の処理において、メインCPU66は、時短モードの継続期間としてメインRAM70の所定の領域に記憶された特別図柄の変動回数(例えば、100回)を「−1」減算して記憶更新する。そして、特別図柄の変動回数が“0”になった場合、つまり、時短モードの継続期間が終了した場合は、時短モードをリセット(メインRAM70の所定の領域に記憶された時短モードのフラグをクリア)して、ステップS73へ処理を移行する。
【0198】
ステップS73においては、メインCPU66は、特別図柄表示器35(図4参照)に対し、変動表示を開始させる要求をメインRAM70の所定の領域に記憶してステップS74へ処理を移す。この処理によって、前記ステップS71及びステップS72で特別図柄変動タイマにセットされた変動時間にあわせて、特別図柄表示器35において特別図柄の変動表示が行なわれ、所定時間経過後(特別図柄変動タイマがタイムアップした後)、前記ステップS66及びステップS68で決定された“大当たり”又は“はずれ”の特別図柄が停止表示されることとなる。
【0199】
ステップS74においては、メインCPU66は、本実施形態における液晶表示装置32の表示領域32aに表示停止される識別情報や変動時間の決定処理を行う。この処理において、メインCPU66は、ステップS66又はステップS68で記憶された“大当たり”又は“はずれ”のデータ、そしてステップS71又はステップS72で記憶された特別図柄変動時間等のデータに基づき、液晶表示装置32に表示停止される識別情報や変動時間を決定して、導出図柄指定コマンドの送信要求としてメインRAM70の所定の領域に記憶する。そして、この処理が終了するとステップS75へ処理を移す。
【0200】
なお、上記ステップS74の処理でメインRAM70の所定の領域に記憶された導出図柄指定コマンドの送信要求は、システムタイマ割込処理(図8参照)のコマンド出力処理(ステップS25)により、主制御回路60から副制御回路200へ導出図柄指定コマンドとして送信される。これによって、副制御回路200において、液晶表示装置32の表示領域32aに表示停止される識別情報の変動表示が開始されるとともに、その変動時間も決定される。つまり、電飾ユニット53(図4参照)において、特別図柄表示器35で導出表示される特別図柄の変動時間と、液晶表示装置32の識別情報の変動時間は、同期して行われることとなる。
【0201】
ステップS75の処理において、メインCPU66は、損失補填が実行されるまでの可変表示ゲーム減算処理を実行する。この処理においてメインCPU66は、メインRAM70の所定の領域に、損失補填作動中のフラグがセットされているか否かを判断して、セットされていた場合は、同じくメインRAM70の所定の領域に記憶されている可変表示ゲームの実行回数を−1して記憶更新する。そして、記憶更新した可変表示ゲームの実行回数を液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、損失補填表示画像100(図21(b)参照)を表示する要求(つまり、損失補填表示コマンドの送信要求)をメインRAM70の所定の領域に記憶する。
【0202】
このステップS75の処理において参照される、損失補填作動中のフラグや可変表示ゲームの実行回数は、後述の損失補填制御処理(図13参照)において、遊技者により損失補填モードが選択された場合に設定されるものであり、本実施形態においては、詳細は後述するが、遊技者により損失補填モードが選択された場合は、損失補填を実行するまでの可変表示ゲームの実行回数が、本特別図柄記憶チェック処理を実行する毎に1回ずつ減算されて記憶更新されることとなる。そして、この処理が終了すると本サブルーチンを終了する。
【0203】
また、ステップS75の処理でメインRAM70の所定の領域に記憶された損失補填表示コマンドの送信要求は、上述した導出図柄指定コマンドと同様に、システムタイマ割込処理(図8参照)のコマンド出力処理(ステップS25)により、主制御回路60のメインCPU66から副制御回路200のサブCPU206に損失補填表示コマンドとして送信され、副制御回路200において、損失補填表示画像100(図21(b)参照)の表示制御が実行されることになる。
【0204】
[普通図柄制御処理]
図7のステップS13において実行されるサブルーチンについて図11を用いて説明する。
【0205】
最初に、メインCPU66は、ステップS101において、普通図柄制御フラグをロードする。この処理において、メインCPU66は、普通図柄制御フラグを読み出す。この処理が終了した場合には、ステップS102に処理を移す。
【0206】
ステップS102においては、メインCPU66は、普通図柄制御フラグが普通図柄記憶チェック要求を示す値(00)であるか否か判断し、普通図柄制御フラグが(00)でない場合はステップS104へ処理を移す。また、普通図柄制御フラグが(00)の場合は、ステップS103の普通図柄記憶チェック処理を行う。この普通図柄記憶チェック処理では、詳しくは図12を用いて説明するが、メインCPU66は、普通図柄の保留個数を調べ、保留個数がある場合に、普通図柄の当り判定、普通図柄の変動開始、普通図柄の変動タイマのセット等を行い、普通図柄制御フラグに次のステップの処理要求である(01)をセットして本サブルーチンを終了する。
【0207】
ステップS104においては、メインCPU66は、普通図柄制御フラグが(01)であるか否かを判断し、普通図柄制御フラグが(01)でない場合は、ステップS107へ処理を移す。また、普通図柄制御フラグが(01)である場合は、ステップS105において、普通図柄変動タイマがタイムアップ(つまり“0”)したかを判断し、タイムアップしていなかった場合は本サブルーチンを終了する。一方、普通図柄変動タイマがタイムアップした場合は、メインCPU66は、ステップS106において、普通図柄停止処理を行なう。この普通図柄停止処理においては、メインCPU66は、普通図柄表示器33に対して変動を停止する要求をセットし、メインRAM70の所定の領域に記憶する。これにより、普通図柄表示器33において、前記普通図柄記憶チェック処理で判定された、普通図柄の“当り”又は“はずれ”の判定結果が表示(例えば、普通図柄表示器33を構成する二色のLEDにおいて、“当り”の場合は緑色LEDを点灯させ、“はずれ”の場合は赤色LEDを点灯させる)されることとなる。この処理が終了すると、メインRAM70の所定の領域に記憶されている普通図柄保留個数を“1”減少するように記憶更新する。そして、普通図柄制御フラグに(02)をセットして本サブルーチンを終了する。
【0208】
ステップS107においては、メインCPU66は、普通図柄制御フラグが(02)であるか否かを判断し、普通図柄制御フラグが(02)でない場合は、ステップS111へ処理を移す。また、普通図柄制御フラグが(02)であった場合は、ステップS108へ処理を移し、普通図柄が当りか否かを判断する。そして、メインCPU66は、普通図柄が当りであると判断した場合は、ステップS109の普通電動役物開放処理に処理を移す。一方、メインCPU66は、普通図柄が当りではないと判断すると、ステップS110において、普通図柄制御フラグに普通図柄記憶チェックを要求する値(00)をセットして本サブルーチンを終了する。
【0209】
ステップS109における普通電動役物開放処理では、メインCPU66は、普通電動役物の羽根部材23の開放処理(メインRAM70の所定の領域に普通電動役物の開放を記憶する)を行う。さらに遊技台の遊技状態に合わせて、普通電動役物の羽根部材23の開放時間(例えば、遊技状態が時短モードの場合は3秒、通常モードの場合は0.2秒)を普通電動役物開放タイマにセットし、普通図柄制御フラグに(03)をセットして本サブルーチンを終了する。
【0210】
ステップS111においては、メインCPU66は、普通図柄制御フラグが(03)であるか否かを判断し、普通図柄制御フラグが(03)でない場合は、ステップS114へ処理を移す。また、普通図柄制御フラグが(03)であった場合は、ステップS112へ処理を移し、普通電動役物開放タイマがタイムアップ(つまり“0”)したかを判断する。そして、普通電動役物開放タイマがタイムアップしていない場合は本サブルーチンを終了する。一方、普通電動役物開放タイマがタイムアップしたと判断した場合は、ステップS113の普通電動役物閉鎖処理において、普通電動役物である羽根部材23を閉鎖状態(メインRAM70の所定の領域に普通電動役物の閉鎖を記憶する)にさせる。そして普通図柄制御フラグに(04)をセットして本サブルーチンを終了する。
【0211】
ステップS114においては、メインCPU66は、普通図柄制御フラグをクリア(つまり普通図柄の記憶チェックを要求する値“00”をセット)して普通図柄制御処理を終了する。
【0212】
[普通図柄記憶チェック処理]
図11のステップS103において実行されるサブルーチンについて図12を用いて説明する。
【0213】
最初に、ステップS121において、メインCPU66は、普通図柄保留個数が“0”であるか否かの判断を行い、普通図柄保留個数が“0”であると判断した場合には、普通図柄記憶チェック処理を終了する。尚、この普通図柄保留個数はメインRAM70の所定の領域に記憶され、通過ゲート54を遊技球が通過したことを検出した場合に、所定個数(例えば“4”)を上限として“1”増加して記憶更新され、普通図柄ゲームにおける普通図柄の可変表示が終了したときには、“1”減算して記憶更新される。一方、メインCPU66は、普通図柄の保留個数が“0”でないと判断した場合には、ステップS122において、普通図柄制御フラグに普通図柄変動タイマ監視要求の値“01”をセットし、ステップS123へ処理を移す。
【0214】
ステップS123においては、普通図柄当り判定処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、普通図柄始動領域通過時に(通過ゲート54を遊技球が通過することによって)抽出された普通図柄当り判定用乱数値と、メインROM68に記憶されている普通図柄当り判定値とを参照する。そして、メインCPU66は、参照した結果、普通図柄当り判定用乱数値が普通図柄当り判定値と一致する場合には、当り図柄(例えば、普通図柄表示器33、緑色LEDの点灯(図4参照))を示すデータをメインRAM70の所定の領域に記憶する。一方、メインCPU66は、参照した結果、普通図柄当り判定用乱数値が普通図柄当り判定値と一致しない場合には、はずれ図柄(例えば、普通図柄表示器33、赤色LEDの点灯)を示すデータをメインRAM70の所定の領域に記憶する。そして、表示器制御回路76(図5参照)により、二色のLEDで構成される普通図柄表示器33は、変動表示(例えば緑色LEDと赤色LEDを交互に点滅させる)を開始する。この後、ステップS124に処理を移す。
【0215】
ステップS124においては、メインCPU66は、通常遊技状態が時短モードであるか否かを判断し、通常遊技状態が時短モードであった場合は、ステップS126において、メインCPU66は、通常モードより短い普通図柄変動停止時間(例えば5秒)を、普通図柄変動タイマにセットして本サブルーチンを終了する。一方、遊技状態が時短モードでない(つまり確変モード又は通常モード)場合は、ステップS125において、メインCPU66は、時短モードより長い普通図柄変動停止時間(例えば30秒)を、普通図柄変動タイマにセットして本サブルーチンを終了する。
【0216】
[損失補填制御処理]
図7のステップS14において実行されるサブルーチンについて図13を用いて説明する。
【0217】
最初に、メインCPU66は、ステップS151において、本サブルーチンにおける内部フラグとして、損失補填作動中のフラグを読み出し、損失補填モードが現在選択されているか否かを判断し、選択されていた場合はステップS160へ処理を移す。一方、選択されていない場合はステップS152において、これも損失補填作動中のフラグと同様に内部フラグである損失補填設定中のフラグを読み出し、遊技者による損失補填モードの選択設定中か否かを判断して、設定中の場合はステップS153に処理を移す。また、設定中でない場合はステップS157へ処理を移す。
【0218】
ステップS153において、メインCPU66は、遊技者により操作パネル27に設けられている決定ボタン27b(図22(a)参照)の入力を検知したか否かを判断して、入力を検知しなかった場合は、ステップS155へ処理を移す。一方、入力を検知した場合は、ステップS154において、損失補填作動処理を行う。この損失補填作動処理は、本実施形態における損失補填モードを作動開始させるものであり、損失補填モードが終了するまでの可変表示ゲーム数の実行回数(例えば、900回)や損失補填モードが選択中であることを示す損失補填作動中のフラグをセット(つまり、“1”)して、メインRAM70の所定の領域に記憶した後本サブルーチンを終了する。
【0219】
ステップS155において、メインCPU66は、操作パネル27に設けられているキャンセルボタン27c(図22(a)参照)の入力を検知したか、又は、損失補填モードの選択設定待ちタイマがタイムアウト(つまり、“0”)したか否かを判断して、キャンセルボタン27cの入力を検知したか、又は、損失補填モードの選択設定待ちタイマがタイムアウト(つまり、“0”)の何れかの条件が満たされた場合は、ステップS156において、メインCPU66は、損失補填設定中のフラグをクリアしてメインRAM70の所定の領域に記憶更新して本サブルーチンを終了する。また、キャンセルボタン27cの入力を検知せずに、同時に損失補填モードの選択設定待ちタイマがタイムアウト(つまり、“0”)していなかった場合は、本サブルーチンを終了する。
【0220】
ステップS157において、メインCPU66は、遊技者による操作パネル27に設けられた各種スイッチ(図22(a)参照)の操作を検知したか否かを判断して、検知しなかった場合は本サブルーチンを終了する。一方、検知した場合は、ステップS158において、メインCPU66は、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、損失補填モードの選択設定画像(図22(b)参照)を表示させる要求をメインRAM70の所定の領域に記憶する。
【0221】
そして、ステップS159において、メインCPU66は、遊技者による損失補填モードの選択設定中であることを示す内部フラグである損失補填設定中をセット(つまり、“1”)するとともに、損失補填モードの選択設定待ちタイマに所定時間(例えば、30秒)をメインRAM70の所定の領域に記憶して、本サブルーチンを終了する。
【0222】
ステップS160において、メインCPU66は、前述した特別図柄記憶チェック処理(図10参照)の大当たり抽選処理(ステップS64)の抽選結果が、大当たり遊技の当選したことを契機として実行される特別スロットゲームの終了がメインRAM70の所定の領域に記憶されているか否かを判断して、特別スロットゲームの終了が記憶されていた場合は、ステップS161に処理を移す。一方、特別スロットゲームの終了が記憶されていない場合はステップS164へ処理を移す。
【0223】
ステップS161において、メインCPU66は、損失補填解除決定処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、後述のスロットゲーム制御処理(図14参照)においてメインRAM70の所定の領域に記憶された、本実施形態における2種類のスロットゲーム(特別スロットゲーム及び通常スロットゲーム)の実行結果を参照して、本実施形態における補填処理をキャンセル、つまり、損失補填モードを中途解除するか否かを決定する。すなわち、遊技者による特別スロットゲームの実行結果が成功の場合、又は、特別スロットゲームの実行結果が失敗でも、当該特別スロットゲームが実行されるまでに、所定回数(例えば、10回)実行された通常スロットゲームの成功率が所定の割合(例えば、80%)以上の場合は、損失補填モードの継続を決定する。一方、特別スロットゲームの実行結果が失敗で、なおかつ、通常スロットゲームの成功率が所定の割合(例えば、80%)未満の場合は、補填処理をキャンセル、つまり、損失補填モードの中途解除が決定されることとなる。そして、この処理が終了するとステップS162へ処理を移す。
【0224】
なお、この損失補填解除決定処理で参照される2種類のスロットゲーム(特別スロットゲーム及び通常スロットゲーム)の実行結果は、詳細は後述のスロットゲーム制御処理(図14参照)で説明するが、例えば、特別スロットゲームの実行結果とは、大当たり遊技を示唆する所定の識別情報を、遊技者が停止ボタンユニット5を操作することにより、リールユニットの前面の有効ライン上に三つ揃いで停止させることができた場合は、当該特別スロットゲームの実行結果は成功として、一方、リールユニットの前面の有効ライン上に三つ揃いで停止させることができなかった場合は、当該特別スロットゲームの実行結果は失敗としてメインRAM70の所定の領域に記憶されたものである。
【0225】
また、通常スロットゲームの実行結果としての通常スロットゲームの成功率とは、始動口25への遊技球の入賞に応じて、所定の確率(例えば、1/10)で抽選されて実行される通常スロットゲームの実行結果を、例えば、所定回数(例えば、10回)に亘って記憶して、所定回数に占める通常スロットゲームの成功回数を算出することにより、通常スロットゲームの成功率としてメインRAM70の所定の領域に記憶されたものである。
【0226】
ステップS162において、メインCPU66は、上記損失補填解除決定処理において、損失補填モードの解除が決定されたか否かを判断して、損失補填モードの解除が決定されなかった場合は本サブルーチンを終了する。一方、損失補填モードの解除が決定されていた場合は、ステップS163において、メインCPU66は、損失補填モードを選択中であることを示す損失補填作動中のフラグをリセット(つまり、損失補填モードの中途解除をセット)してメインRAM70の所定の領域に記憶更新した後、本サブルーチンを終了する。
【0227】
ステップS164において、メインCPU66は、損失補填モードの作動期間が終了したか否かを判断して、終了していなかった場合は、ステップS165へ処理を移す。一方、終了していた場合は、ステップS167へ処理を移す。このステップS164において、メインCPU66により判断される損失補填モードの作動期間の終了は、メインRAM70の所定の領域に記憶された、保険機能が終了するまでの可変表示ゲーム数(例えば、900回)が可変表示ゲームを消化するたびに一回ずつ減算して記憶更新され、最終的に“0”になった場合である。つまり、可変表示ゲームが900回消化されたことを意味するのである。
【0228】
ステップS165において、メインCPU66は、カードユニット150(図3参照)に残度数があるか否かを判断して、残度数がない場合は本サブルーチンを終了する。一方、残度数があった場合はステップS166へ処理を移す。つまり、前述したように、本実施形態においては、カードユニット150(図3参照)に専用の記憶媒体又は現金を投入して、遊技者が貸し出しボタン(図示せず)を操作すると、予め定められた所定の金額(例えば、千円)に応じた数(例えば、250個)の遊技球が上皿20に払い出されるものであるが、例えば、記憶媒体又は現金が所定の金額以上投入された場合は、当然のことながら、所定の金額を差し引いた残りの金額が、カードユニット150(図3参照)に残ることになる。すなわち、本実施形態においては、カードユニット150(図3参照)における残金高を残度数として記述しているのである。
【0229】
そして、ステップS166において、メインCPU66は、カードユニット150(図3参照)の返却ボタン(図示せず)が遊技者に操作されたか否かを判断して、操作された場合はステップS168へ処理を移す。一方、操作されていなかった場合は本サブルーチンを終了する。すなわち、このステップS165とステップS166の処理では、カードユニット150(図3参照)に残度数があった場合に、遊技者が返却ボタン(図示せず)を操作した場合は、当該パチンコ遊技機10での遊技を終了するものとして、それまで選択された損失補填モードを中途解除するのである。
【0230】
ステップS167において、メインCPU66は、損失補填実行処理を行なう。この損失補填実行処理では、上記ステップS164の処理において、保険機能が終了するまでの可変表示ゲーム数(例えば、900回)が消化されたことを条件として、所定数(例えば、1500個)の遊技球を、遊技者に一括して払い出す遊技球還元要求をメインRAM70の所定の領域に記憶してステップS168へ処理を移す。
【0231】
なお、ここでメインRAM70の所定の領域に記憶された遊技球還元要求は、前述したシステムタイマ割込処理(図8参照)の補填処理(ステップS27)において参照されて、所定数(例えば、1500個)の遊技球が一括で遊技者に還元されることとなる。つまり、所定数の遊技球が、賞球としてではなく、損失補填として払い出される。
【0232】
ステップS168において、メインCPU66は、損失補填モードが選択中であることを示す損失補填作動中のフラグをリセット(つまり、損失補填モードの終了をセット)し、メインRAM70の所定の領域に記憶更新して、本サブルーチンを終了する。
【0233】
以上、上述してきた本実施形態における損失補填制御処理によれば、まず、遊技者が操作パネル27を用いて所定の操作を行なうことにより、損失補填モードを設定するか否かが任意に選択される。そして、一旦設定された損失補填モードは、所定回数(例えば、900回)の可変表示ゲームを消化することで解除されて、所定数(例えば、1500個)の遊技球が、一括して遊技者に還元されることになる。
【0234】
なお、本実施形態においては、損失補填モードが設定された状態でも、大当たり遊技に当選したことを契機として実行される特別スロットゲームの実行結果が失敗で、なおかつ、当該特別スロットゲームが実行されるまでの間に、所定回数(例えば、10回)に亘って実行された通常スロットゲームの成功率が所定の割合(例えば、80%)未満の場合や、カードユニット150の残度数が残っているにもかかわらず、遊技者が返却ボタンを操作した場合、言い換えると、当該パチンコ遊技機10において遊技者が遊技を継続する意志がないと判断された場合は、設定された損失補填モードは中途解除される構成としている。そして、当然のことながら、損失補填モードが中途解除された場合は、それまで徴収された遊技球は遊技者に還元されない。
【0235】
[損失補填モードの選択設定及び画像表示]
ここで、図21及び図22を参照して、遊技者による損失補填モードの選択設定と、それに応じて、液晶表示装置32の表示領域32aで表示される損失補填が実行されるまでの可変表示ゲームの表示画像について説明する。図21は通常時の表示演出画像と、損失補填モードを選択中の表示画像を説明する図である。図22は損失補填モードの選択設定操作を説明する図である。
【0236】
まず、図21(a)に示すように、通常遊技状態(つまり、損失補填モードを非選択)では、液晶表示装置32の表示領域32aの略中央部において、大当たり抽選の抽選結果を遊技者に示唆するための可変表示ゲームとして、識別情報である数字画像90が変動表示されている。そして、数字画像90の変動表示以外の表示領域32aにおいては、演出画像として、複数のキャラクタ画像や、メッセージ画像等で構成される演出画像91が、数字画像90の下方に画像表示されている。
【0237】
そして、図21(b)に示すように、損失補填モードを選択中は、通常遊技状態と同様に、数字画像90及び演出画像91が、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて表示されるとともに、損失補填表示画像100も数字画像90に右側に、専用の別枠で同時に表示されるものである。つまり、本実施形態における損失補填表示画像100は、従来のパチンコ遊技機10における可変表示ゲームの表示画像(数字画像90、演出画像91)を妨げることなく、透明な遊技盤14を透して、従来の遊技機よりも広く構成された、液晶表示装置32の表示領域32aに、専用の別枠で同時に表示されるものである。
【0238】
なお、図21(b)においては、数字画像90の右側に損失補填表示画像100を表示する実施形態で説明したが、特に、損失補填表示画像100の表示位置は限定されるものではなく、可変表示ゲームの表示画像(数字画像90、演出画像91)を遊技者が視認することを妨げず、なおかつ、遊技者が見やすい位置であればよいし、また、演出画像91は表示領域32aを移動しながら表示される場合があるので、その場合は、損失補填表示画像100も移動又は表示位置を変更しても構わない。
【0239】
次に、図22(a)に示すように、本実施形態における操作パネル27は、上下左右に押下可能な十字方向ボタン27a、決定ボタン27b及びキャンセルボタン27cで構成されている。そして、遊技者が何れかのボタン操作を行なうと、図22(b)に示すように、最初に、損失補填選択画像100aが表示領域32aに表示される。
【0240】
そして、損失補填選択画像100aが表示されている状態で、遊技者が決定ボタン27bを押下すると、図22(c)に示すように、損失補填表示画像100bが表示され、損失補填を実行するまでの可変表示ゲームの実行回数が表示される。そして、1回の可変表示ゲームの終了毎に、図22(d)に示すように、損失補填表示画像100cにより損失補填を実行するまでの可変表示ゲームの実行回数が1回ずつ減算して表示されることになる。これにより、遊技者は後何回の可変表示ゲームを実行すると、損失補填が実行されるかを知ることができる。なお、図21(b)に示す損失補填表示画像100は、この損失補填表示画像100b,100cと同じ表示画像である。
【0241】
上述してきたように、本実施形態においては、通常遊技状態(つまり、損失補填モードを非選択)実行時に、遊技者による操作パネル27に設けられた何れかのボタン操作を検知すると、損失補填モードを選択できる損失補填選択画像100aが表示され、そこで決定ボタン27bが押下されることで、損失補填モードが選択される。そして、損失補填モードの選択中は、損失補填表示画像100b,100cにおいて、損失補填を実行するまでの可変表示ゲームの実行回数が表示されることとなる。
【0242】
なお、本実施形態においては、損失補填が実行されるまでの可変表示ゲームの実行回数を「900回」に設定したが、これは、通常遊技状態における大当たり遊技への当選確率が「1/300」(図6参照)のため、その確率分母の3倍を、可変表示ゲームの実行回数「900回」として設定しただけであり、可変表示ゲームの実行回数は、例えば、損失補填を実行する場合に、遊技者に還元される遊技球の数に応じて適宜変更しても構わない。
【0243】
[スロットゲーム制御処理]
図7のステップS15において実行されるサブルーチンについて図14を用いて説明する。
【0244】
最初に、メインCPU66は、ステップS301において、スロットゲームを実行中か否か判断し、スロットゲームを実行中でない場合はステップS302へ処理を移す。一方、スロットゲームを実行中の場合はステップS310へ処理を移す。
【0245】
ステップS302において、メインCPU66は、メインRAM70の所定の領域に特別スロットゲーム又は通常スロットゲームの開始要求が記憶されているか否かを判断し、開始要求が記憶されていた場合は、ステップS303へ処理を移す。一方、開始要求が記憶されていなかった場合は本サブルーチンを終了する。このステップS302で判断される特別スロットゲーム又は通常スロットゲームの開始要求は、前述した特別図柄記憶チェック処理(図10参照)の特別スロットゲーム実行処理(ステップS67)又は通常スロットゲーム実行抽選処理(ステップS69)において、メインRAM70の所定の領域に記憶されたものである。
【0246】
ステップS303において、メインCPU66は、内部フラグであるスロットゲーム実行中をセット(つまり、“1”)してメインRAM70の所定の領域に記憶するとともに、メインRAM70の所定の領域に記憶されている特別スロットゲーム又は通常スロットゲームの開始要求をリセット(つまり、“0”)して記憶更新する。さらに、特別スロットゲーム又は通常スロットゲームの開始に応じたスロットゲーム実行コマンドの送信要求をメインRAM70の所定の領域に記憶してステップS304へ処理を移す。
【0247】
なお、このステップS303の処理でメインRAM70の所定の領域に記憶されたスロットゲーム実行コマンドの送信要求は、前述したシステムタイマ割込処理(図8参照)のコマンド出力処理(ステップS25)において、主制御回路60から副制御回路200へスロットゲーム実行コマンドとして送信される。これによって、副制御回路200において、実行される2種類のスロットゲーム(特別スロットゲーム又は通常スロットゲーム)に応じた識別情報の指定画像(通常指定画像93又は特別指定画像94)が、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて表示される(図24〜図26参照)ことになる。
そして、ステップS304において、メインCPU66は、リールユニット3に内蔵されている3個のリール3L,3C,3Rの回転駆動要求を、リールモータ駆動/停止制御回路77(図5参照)に対して指示する。そして、ステップS305において、メインCPU66は、リール回転時間監視タイマをセットして、メインRAM70の所定の領域に記憶して本サブルーチンを終了する。
【0248】
上記ステップS305の処理においてメインRAM70の所定の領域に記憶されたリール回転監視タイマは、特別図柄表示器35(図4参照)における特別図柄の変動時間と連動しており、特別スロットゲーム又は通常スロットゲームの実行時間を規定するものである。つまり、本実施形態における特別スロットゲーム又は通常スロットゲームは、その実行時間に制限が設けられており、遊技者による停止ボタンユニット5の操作が、前述した特別図柄の変動時間が終了するまでの間に行われない場合は、後述の全リール停止処理(ステップS321)において、自動的にリールユニット3に内蔵されている3個のリール3L,3C,3Rの回転停止がリールモータ駆動/停止制御回路77(図5参照)に対して指示されることとなる。
【0249】
ステップS310において、メインCPU66は、リールユニット3に内蔵されている3個のリール3L,3C,3Rの全てのリールが回転停止したか否かを判断して、全てのリールが回転停止していなかった場合(つまり、まだ回転中のリールが残っていた場合)はステップS318へ処理を移す。一方、全てのリールが回転停止していた場合は、ステップS311において、メインCPU66は、当該スロットゲームの実行が特別スロットゲームであるか否かを判断して、特別スロットゲームの場合はステップS312へ処理を移す。一方、特別スロットゲームでない(つまり、通常スロットゲームの実行)場合はステップS313へ処理を移す。
【0250】
ステップS312において、メインCPU66は、特別スロットゲームが終了したことをメインRAM70の所定の領域に記憶してステップS314へ処理を移す。なお、ここでメインRAM70の所定の領域に記憶された特別スロットゲームの終了は、前述した損失補填制御処理(図13参照)で参照されることになり、特別スロットゲームの実行結果に応じて損失補填モードに伴う補填処理をキャンセルするか否かが決定される。
【0251】
ステップS313において、メインCPU66は、通常スロットゲーム成功率算出処理を実行する。この通常スロットゲーム成功率算出処理において、メインCPU66は、通常スロットゲームの実行結果をメインRAMの所定の領域に所定回数(例えば、10回)分記憶する。そして、所定回数(つまり、10回)の通常スロットゲームに実行結果の中から成功した回数をカウントすることにより、通常スロットゲームの成功率を算出して、メインRAM70の所定の領域に記憶する。具体的に説明すると、所定回数(つまり、10回)の通常スロットゲームに実行結果に対して成功回数が8回の場合は、成功率は「80%」として算出されることとなる。そして、この処理が終了するとステップS314へ処理を移す。
【0252】
なお、ここでメインRAM70の所定の領域に記憶された通常スロットゲームの成功率は、上記ステップS312の処理で記憶された特別スロットゲームの実行結果と同様に、前述した損失補填制御処理(図13参照)で参照されて、通常スロットゲームの成功率に応じて損失補填モードに伴う補填処理をキャンセルするか否かが決定される。
【0253】
ステップS314において、メインCPU66は、当該スロットゲームの実行が成功したか否かを判断して、成功の場合はステップS315へ処理を移す。一方、成功でない(つまり、失敗)場合はステップS316へ処理を移す。
【0254】
なお、上記ステップS314の処理において判断される当該スロットゲームの成功は、本実施形態における2種類のスロットゲーム(特別スロットゲーム又は通常スロットゲーム)の開始と同時に、リールユニット3に内蔵されている全てのリールが回転開始した状態で、遊技者が回転中のリールを視認しながら停止ボタン5L,5C,5Rを操作して、指定された識別情報を有効ラインに三つ揃いで停止(図25(b)又は図27(b)参照)させた場合である。
【0255】
ステップS315において、メインCPU66は、当該スロットゲームの実行結果が成功した場合のメッセージ画像を表示する要求を、メインRAM70の所定の領域に記憶して、ステップS317へ処理を移す。
【0256】
ステップS316において、メインCPU66は、当該スロットゲームの実行結果が失敗した場合のメッセージ画像を表示する要求を、メインRAM70の所定の領域に記憶して、ステップS317へ処理を移す。
【0257】
なお、このステップS315又はステップS316において、メインRAM70の所定の領域に記憶された当該スロットゲームの実行結果に応じたメッセージ画像の表示要求は、前述した、システムタイマ割込処理(図8参照)のコマンド出力処理(ステップS25)において参照され、主制御回路60から副制御回路200へコマンド信号として送られることにより、例えば、成功した場合は、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて(通常指定画像93又は特別指定画像94(図25(b)又は図27(b)参照)が表示されることとなる。
【0258】
ステップS317において、メインCPU66は、当該スロットゲームの終了を示すスロットゲーム実行中の内部フラグをリセット(つまり、“0”)して、メインRAM70の所定の領域に記憶した後本サブルーチンを終了する。
【0259】
ステップS318において、メインCPU66は、リール停止信号制御回路78(図5参照)により、遊技者による停止ボタン5L,5C,5Rの操作を検知したか否かを判断し、停止ボタン5L,5C,5Rの操作を検知しなかった場合はステップS320へ処理を移す。また、停止ボタン5L,5C,5Rの操作を検知した場合はステップS319へ処理を移す。
【0260】
ステップS319において、メインCPU66は、リール停止信号制御回路78(図5参照)により検知された停止ボタン5L,5C,5Rに対応したリール3L,3C,3Rが回転中の場合に、その回転を停止させる要求をリールモータ駆動/停止制御回路77(図5参照)に対して指示する。この時、メインCPU66は、予め有効ライン上に成立させる識別情報である特定の図柄が決まっている場合は、リールモータ駆動/停止制御回路77(図5参照)に対して、当該リールの回転停止の要求とともに特定の図柄も指示することになる。
【0261】
これにより、リールモータ駆動/停止制御回路77(図5参照)は、パチスロ遊技機において一般に「引き込み制御」といわれ、遊技者による所謂「目押し」をアシストするためのリール制御を行なう。すなわち、有効ライン上に特定の図柄を最大4コマの範囲で引き込み、自動的に有効ライン上に特定の図柄の三つ並びを成立させるリール停止制御を行う。そして、この処理が終了すると本ザブルーチンを終了する。
【0262】
ステップS320において、メインCPU66は、リール回転監視タイマがタイムアップ(つまり“0”)したか否かを判断し、タイムアップしていない場合は本サブルーチンを終了する。また、タイムアップした場合は、メインCPU66は、ステップS321において、全リール停止処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、現在回転中の全てのリールを停止させる要求を、リールモータ駆動/停止制御回路77(図5参照)に対して指示する。すなわち、本実施形態においては、遊技者によるスロットゲームを実行する場合において、所定の時間(例えば、特別図柄表示器35(図4参照)において特別図柄が停止表示されるまでの時間)が経過すると、リールユニット3の回転動作は強制的に停止されることとなる。
【0263】
なお、上記全リール停止処理を実行する場合は、メインCPU66は、リールモータ駆動/停止制御回路77(図5参照)に対して、当該スロットゲームにおける所定の識別情報が有効ライン上に三つ揃いする、つまり、スロットゲームの成功の停止態様にならないように制御して、3個のリール3L,3C,3Rを回転停止させるように指示する。そして、この処理が終了すると本サブルーチンを終了する。
【0264】
上述してきたように、本実施形態におけるスロットゲーム制御処理においては、特別スロットゲーム又は通常スロットゲームの開始要求がメインRAM70の所定の領域に記憶されていた場合に当該スロットゲームを実行して、遊技者による3個のリール3L,3C,3Rの表面上に回転中表示される所定の識別情報を狙った、停止ボタン5L,5C,5Rの停止操作のタイミングに応じて、パチスロ遊技機と同様のリール停止制御(所謂「引き込み制御」)を用いる事により、遊技者に対してパチスロ遊技機と同等の停止ボタン操作を行なえることを可能としている。
【0265】
[スロットゲームの具体例]
ここで、本実施形態において実行されるスロットゲーム(特別スロットゲーム又は通常スロットゲーム)について、図24〜図26を用いて簡潔に説明する。図24は通常スロットゲームの開始から停止ボタン5Lの操作までを示す図である。図25は通常スロットゲームにおける停止ボタン5Cの操作から停止ボタン5Rの操作までを示す図である。図25は特別スロットゲームの開始から停止ボタン5Lの操作までを示す図である。図26は特別スロットゲームにおける停止ボタン5Cの操作から停止ボタン5Rの操作までを示す図である。
【0266】
まず、図24及び図25を参照して本実施形態における通常スロットゲームの実行について、簡潔に説明する。図24(a)に示すように、通常スロットゲームが開始される場合は、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、リールユニット3に内蔵されているリール3L,3C,3Rが回転動作を開始するとともに、リールユニット3の下方に、リールユニット3の前面の有効ライン上に停止させる識別情報を指定する通常指定画像93「スロットゲーム開始!!スイカ(図柄84、図18参照)を揃えろ」が表示される。
【0267】
次に、図24(b)に示すように、遊技者により高速で回転する左のリール3L上の指示された記別情報を狙って停止ボタン5Lが操作されると、所定の識別情報(スイカ(図柄84、図18参照))が左のリール3Lに停止表示される。
【0268】
そして、図25(a)に示すように、遊技者により高速で回転する中央のリール3C上の指示された記別情報を狙って停止ボタン5Cが操作されると、所定の識別情報(スイカ(図柄84、図18参照))が中央のリール3Cに停止表示される。
【0269】
最後に、図25(b)に示すように、遊技者により高速で回転する右のリール3R上の指示された記別情報を狙って停止ボタン5Rが操作されると、所定の識別情報(スイカ(図柄84、図18参照))が中央のリール3Rに停止表示される。このように、遊技者による停止ボタン5L,5C,5Rの操作が的確で、所定の識別情報(スイカ(図柄84、図18参照))を有効ラインに揃えることができた場合、つまり、通常スロットゲームに成功した場合は、リールユニット3の下方の液晶表示装置32の表示領域32aにおいては、「おみごと!!」等の遊技者を賞賛する通常指定画像93が表示される。
【0270】
次に、図26及び図27を参照して本実施形態における特別スロットゲームの実行について、簡潔に説明する。なお、前述した通常スロットゲームと重複する説明は、一部省略して説明する。図25(a)に示すように、特別スロットゲームが開始される場合は、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、リールユニット3に内蔵されているリール3L,3C,3Rが回転動作を開始するとともに、リールユニット3の下方に、リールユニット3の前面の有効ライン上に停止させる識別情報を指定する特別指定画像94「スロットゲーム開始!!7(図柄81、図18参照)を揃えろ」が表示される。
【0271】
そして、前述した通常スロットゲームと同様に、図26(b)、図27(a)、図27(b)に示すように、遊技者により高速で回転する3個のリール3L,3C,3R上の指定された記別情報を狙った停止ボタン5L,5C,5Rの操作に応じて、指定された識別情報(7(図柄81、図18参照))が3個のリール3L,3C,3Rに停止表示されることになる。
【0272】
そして、遊技者による停止ボタン5L,5C,5Rの操作が的確で、所定の識別情報(7(図柄81、図18参照))を有効ラインに揃えることができた場合、つまり、特別スロットゲームに成功した場合は、前述した通常スロットゲームと同様に、リールユニット3の下方の液晶表示装置32の表示領域32aにおいては、「大成功!!」等の遊技者を賞賛する特別指定画像94が表示される。
【0273】
なお、上述した通常スロットゲーム又は特別スロットゲームの実行と同時に、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、装飾図柄(大当たり遊技の抽選結果を遊技者に示唆する識別情報)等の画像表示を行う場合は、図24〜図27に示すように、通常はリールユニット3の前面の表示領域32aにおいて変動表示している識別情報としての数字画像90(図21参照)を、その表示面積を縮小して、リールユニット3の上方の表示領域32aで変動表示させるとよい。
【0274】
つまり、本実施形態におけるスロットゲームは、通常スロットゲーム及び特別スロットゲームの2種類のスロットゲームが実行される場合があり、リールユニット3に内蔵されているリール3L,3C,3Rの回転開始とともに表示される通常指定画像93又は特別指定画像94により、スロットゲームの開始と、リールユニット3の前面の有効ライン上に停止させる識別情報の種類が遊技者に報知されることで開始するものである。
【0275】
そして、通常スロットゲームを実行する場合は、通常スロットゲームに対応した識別情報を指定する通常指定画像93「スロットゲーム開始!!スイカ(図柄84、図18参照)を揃えろ」により、また、特別スロットゲームを実行する場合は、特別スロットゲームに対応した識別情報を指定する特別指定画像94「スロットゲーム開始!!7(図柄81、図18参照)を揃えろ」により、遊技者に対して異なる識別情報を報知することにより、遊技者は当該スロットゲームが通常スロットゲームなのか特別スロットゲームなのかが判別できる構成としている。
【0276】
なお、上述したスロットゲームにおいては、左のリール3Lに対する停止ボタン5L、中央のリール3Cに対する停止ボタン5C、右のリール3Rに対する停止ボタン5Rと、順番に停止操作を説明したが、停止操作の順番は、リールユニット3に内蔵されているリール3L,3C,3Rのうち、どの順番から停止させても構わない。
【0277】
[副制御回路メイン処理]
一方、副制御回路200は、副制御回路メイン処理を実行することとなる。この副制御回路メイン処理について図15を用いて説明する。尚、この副制御回路メイン処理は、電源が投入されたときに開始される処理である。
【0278】
最初に、ステップS201において、サブCPU206は、RAMアクセス許可、作業領域を初期化等の初期設定処理を実行する。つまり、サブCPU206は、電源が投入されたことに基づいて、遊技を正常に行わせるための所定の初期設定を行うこととなる。尚、本実施形態においては、ステップS201を実行するサブCPU206は、初期設定手段の一例に相当する。この処理が終了した場合には、ステップS202に処理を移す。
【0279】
ステップS202において、サブCPU206は、乱数更新処理を実行する。この処理において、サブCPU206は、ワークRAM210の所定領域に位置付けられた各種の乱数値を更新する。この処理が終了した場合には、ステップS203に処理を移す。
【0280】
ステップS203において、サブCPU206は、コマンド解析処理を実行する。この処理において、サブCPU206は、主制御回路60のメインCPU66から送られてきた各種コマンド(例えば、デモ表示コマンド、導出図柄指定コマンド、損失補填表示コマンド、スロットゲーム実行コマンド等)を解析し、その解析したコマンドに応じた処理を実行することとなる。この処理が終了した場合には、ステップS204に処理を移す。
【0281】
ステップS204において、サブCPU206は、表示制御処理を実行する。この処理において、サブCPU206は、前記コマンド解析処理において、主制御回路60のメインCPU66からの各種コマンド(デモ表示コマンド、導出図柄指定コマンド、損失補填表示コマンド、スロットゲーム実行コマンド等)を受信した場合に、その受信したコマンドに応じた画像表示制御を、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて実行することとなる。
【0282】
具体的に説明すると、デモ表示コマンドが送信された場合は、デモ表示画像(図23参照)、導出図柄指定コマンドが送信された場合は、識別情報の変動画像やそれに伴う演出画像(図21参照)、損失補填表示コマンドが送信された場合は、損失補填モードに伴う各種画像(図21(b)、図22参照)が液晶表示装置32の表示領域32aにおいて表示されることとなる。
【0283】
なお、スロットゲーム実行コマンドが送信された場合は、つまり、本実施形態におけるスロットゲームを実行する場合は、サブCPU206は、リールユニット3の直前面に位置する液晶表示装置32の表示領域32aを、非通電領域とするように表示制御回路250に対して指示する。その結果、当該表示領域32aは透光性を有することとなり、その背後に配設されたリールユニット3を遊技者が視認可能となる。
【0284】
なお、前述したように、リールユニット3の直前面の表示領域32aの下方では、本実施形態において、実行される2種類スロットゲーム(通常スロットゲーム又は特別スロットゲーム)に応じた通常指定画像93又は特別指定画像94(図25(b)又は図27(b)参照)が表示されることとなる。
【0285】
そして、サブCPU206は、スピーカ46L,46Rから発生させる音の制御を行う音声制御処理(ステップS205)、各種の装飾ランプ133a,133bの発光制御を行うランプ制御処理(ステップS206)を実行する。この処理が終了した場合にはステップS202に処理を移す。
【0286】
このように、副制御回路メイン処理においては、ステップS201の初期設定処理が終了した後、ステップS202〜ステップS206の処理を繰り返し実行する。
【0287】
以上、上述してきた本実施形態によれば、パチンコ遊技機10に、遊技者の遊技中における損失を補填する損失補填モードでの遊技を、遊技者自身が選択手段である操作パネル27を用いて選択することができるので、遊技者にとって不公平感の少ない遊技機を提供することが可能となる。しかも、損失補填モードの実行中、特別遊技抽選処理(つまり、大当たり遊技抽選処理)の結果が当選のときに実行される特別スロットゲームの実行結果、及び、所定期間毎に実行される通常スロットゲームの実行結果に応じて、損失補填モードに伴う補填処理の実行をキャンセルするか否かを決定するようにしている。したがって、スロットゲームという新たな遊技興趣が加わる上、スロットゲームは、遊技者の遊技技量で結果が異なるので、補填処理のキャンセルについても遊技者の技量に左右されることになり、不公平感をより緩和することが可能となる。また、たとえ補填処理がキャンセルされた場合でも、その実行契機は大当たり遊技への当選であり、当該大当たり遊技による賞球が見込めるため、スロットゲームの実行結果に対して、遊技者が過剰に負担と感じないようにしている。
【0288】
以上の実施形態により、以下の遊技機が実現される。すなわち、遊技球が転動するとともに、複数の入賞領域(例えば、始動口25、一般入賞口56a〜56d、大入賞口39)が設けられた遊技領域15を有する遊技盤14と、前記入賞領域を遊技球が通過した場合、遊技球が通過した入賞領域に応じて所定数の賞球を払い出す賞球払出手段(例えば、主制御回路60、システムタイマ割込処理(図8)の賞球払出処理(ステップS28))と、この賞球払出手段の動作制御を行うとともに、所定の条件を満たした場合、特別遊技に移行させるか否かを決定する特別遊技抽選処理(例えば、主制御回路60、特別図柄記憶チェック処理(図10)の大当たり抽選処理(ステップS64))を行いながら遊技を進行させる遊技実行制御手段(例えば、主制御回路60、メイン処理(図7))と、前記特別遊技抽選処理の抽選結果に応じて複数の識別情報(例えば、図柄配置図(図18))の変動表示及び停止表示を行う可変表示手段(例えば、リールユニット3、液晶表示装置32)と、変動表示中の前記識別情報を、遊技者の停止操作により停止表示させるスロットゲーム実行手段(例えば、主制御回路60、スロットゲーム制御処理(図14))と、遊技者が所有する遊技球の一部を徴収する徴収処理(例えば、主制御回路60、システムタイマ割込処理(図8)の徴収処理(ステップS26))と、前記遊技実行制御手段の前記特別遊技抽選処理に基づく遊技結果に応じて、遊技者が損失した遊技球を補填する補填処理(例えば、主制御回路60、システムタイマ割込処理(図8)の補填処理(ステップS27))とを含む損失補填モードの制御を行う損失補填制御手段(例えば、主制御回路60、損失補填制御処理(図13))と、前記損失補填モードにするか否かを遊技者により選択操作可能な選択手段(例えば、操作パネル27)と、を備え、前記損失補填制御手段は、前記損失補填モードの実行中、前記特別遊技抽選処理の結果が当選のときに実行される前記スロットゲームのゲーム結果に応じて、前記補填処理の実行をキャンセルするか否かを決定する遊技機(パチンコ遊技機10)。
【0289】
前記損失補填制御手段(例えば、主制御回路60、損失補填制御処理(図13))は、前記スロットゲームのゲーム結果が、前記遊技実行制御手段(例えば、主制御回路60、メイン処理(図7))により決定された前記識別情報(例えば、図柄配置図(図18))の最終的な停止表示態様と同じでない場合に前記補填処理(例えば、主制御回路60、システムタイマ割込処理(図8)の補填処理(ステップS27))の実行をキャンセルする遊技機(パチンコ遊技機10)。
【0290】
前記損失補填制御手段(例えば、主制御回路60、損失補填制御処理(図13))は、前記補填処理(例えば、主制御回路60、システムタイマ割込処理(図8)の補填処理(ステップS27))の実行をキャンセルするに際し、前記特別遊技抽選処理(例えば、主制御回路60、特別図柄記憶チェック処理(図10)の大当たり抽選処理(ステップS64))に当選するまでの前記スロットゲームの複数回のゲーム結果を参照してキャンセルするか否かを決定する遊技機(パチンコ遊技機10)。
【0291】
なお、本実施形態においては、損失補填モードを設定中に実行される徴収処理において、遊技領域15に複数設けられた各入賞口へ遊技球が入球したことに応じた賞球の一部を所定数(例えば、30個)に達するまで徴収するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、カードユニット150から供給される貸し球制御信号を受け取り、払出装置128に対して所定の信号を送信することにより、払出装置128に所定金額(例えば、千円単位)の貸し玉をパチンコ遊技機10の上皿20に払い出す場合に、その貸し玉の一部を徴収するようにしても構わない。
【0292】
また、本実施形態においては、損失補填モードが設定されていた場合は、徴収処理において賞球の一部を実際に徴収して、遊技者に払い出す賞球数を減らす構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、損失補填モードを設定中の徴収処理において、遊技領域15に設けられた複数の入賞口に遊技球が入球した個数をカウントするだけで、必ずしも賞球数を減らす構成としなくても構わない。
【0293】
さらに、本実施形態においては、当選した大当たり遊技の実行ラウンド回数が所定回数の場合を所定の条件として、損失補填モードを中途解除(つまり、終了)させるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、当選した大当たり遊技における実行ラウンド数の所定回数等は、遊技機に設定されている大当たり遊技の種類に合わせて適宜変更可能である。
【0294】
また、本実施形態においては、スロットゲームの実行時において、リールユニット3を遊技者が視認可能としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、大当たり遊技の抽選結果を表示するための表示手段として、液晶表示装置32とリールユニット3を遊技状態に合わせて適宜切り替えて用いることもできる。
【0295】
なお、本発明の実施例に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0296】
【図1】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機における概観を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機における概観を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機における概観を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機において構成される電飾ユニットを示す正面図である。
【図5】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機において構成される主制御回路及び副制御回路を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機において参照される大当たり判定テーブルである。
【図7】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機において実行される制御処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機において実行される制御処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機において実行される制御処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機において実行される制御処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機において実行される制御処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機において実行される制御処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機において実行される制御処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機において実行される制御処理を示すフローチャートである。
【図15】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機において実行される制御処理を示すフローチャートである。
【図16】本発明の一実施形態のリールユニットの分解斜視図である。
【図17】本発明の一実施形態のリールの切欠図である。
【図18】本発明の一実施形態のリールの図柄配置図である。
【図19】本発明の一実施形態のリールユニットの正面図である。
【図20】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機における遊技盤14に液晶表示装置32の設置態様を説明する分解斜視図及び側面図である。
【図21】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機における表示画像を説明する図である。
【図22】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機における損失補填実行までの可変表示ゲーム数の表示画像を説明する図である。
【図23】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機におけるデモ表示の表示画像を説明する図である。
【図24】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機におけるスロットゲームの実行例を説明する図である。
【図25】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機におけるスロットゲームの実行例を説明する図である。
【図26】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機におけるスロットゲームの実行例を説明する図である。
【図27】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機におけるスロットゲームの実行例を説明する図である。
【符号の説明】
【0297】
3 リールユニット
5 停止ボタンユニット
10 パチンコ遊技機
14 遊技盤
15 遊技領域
27 操作パネル
32 液晶表示装置
60 主制御回路
200 副制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が転動するとともに、複数の入賞領域が設けられた遊技領域を有する遊技盤と、
前記入賞領域を遊技球が通過した場合、遊技球が通過した入賞領域に応じて所定数の賞球を払い出す賞球払出手段と、
この賞球払出手段の動作制御を行うとともに、所定の条件を満たした場合、特別遊技に移行させるか否かを決定する特別遊技抽選処理を行いながら遊技を進行させる遊技実行制御手段と、
前記特別遊技抽選処理の抽選結果に応じて複数の識別情報の変動表示及び停止表示を行う可変表示手段と、
変動表示中の前記識別情報を、遊技者の停止操作により停止表示させるスロットゲーム実行手段と、
遊技者が所有する遊技球の一部を徴収する徴収処理と、前記遊技実行制御手段の前記特別遊技抽選処理に基づく遊技結果に応じて、遊技者が損失した遊技球を補填する補填処理とを含む損失補填モードの制御を行う損失補填制御手段と、
前記損失補填モードにするか否かを遊技者により選択操作可能な選択手段と、
を備え、
前記損失補填制御手段は、
前記損失補填モードの実行中、前記特別遊技抽選処理の結果が当選のときに実行される前記スロットゲームのゲーム結果に応じて、前記補填処理の実行をキャンセルするか否かを決定することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記損失補填制御手段は、
前記スロットゲームのゲーム結果が、前記遊技実行制御手段により決定された前記識別情報の最終的な停止表示態様と同じでない場合に前記補填処理の実行をキャンセルすることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記損失補填制御手段は、
前記補填処理の実行をキャンセルするに際し、前記特別遊技抽選処理に当選するまでの前記スロットゲームの複数回のゲーム結果を参照してキャンセルするか否かを決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2009−213667(P2009−213667A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60297(P2008−60297)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】