説明

遊技機

【課題】連続してボーナスを当選させた遊技者に有利な条件を設けると、遊技場との利益バランスを図ることができない。
【解決手段】スロットマシンは、ボーナスゲーム終了後にリプレイタイムに移行する特典を遊技者に付与する。リプレイタイムの終了条件は特定種類の小役「チェリー」に入賞することであるが、スロットマシンには「チェリー」の入賞回避(ハズシ)をアシストする特典として、アシストリプレイタイム(ART)が設けられている。ただし、リプレイタイム中にボーナスに連続当選した回数をカウントしておき、このボーナスカウントの値が9以上になると、アシストリプレイタイムの回数を強制的に100回に制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばボーナスゲーム等の特別遊技が終了した後、別の付加価値を遊技者に付与する遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機に関する先行技術として、ボーナスゲームが終了した後の通常ゲームで、遊技者に内部当選役を報知する等の特典(いわゆるATの特典)を付与する遊技機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。通常、遊技者が内部当選役を知らずに操作を行った場合、その当選役を入賞させられずに終わってしまうことが多い。ところが、内部当選役を報知された状態で遊技者が操作を行うと、通常よりも当選役を入賞させやすくなり、それだけ遊技者は多くの遊技媒体を獲得することができる。
【0003】
特に公知の遊技機では、ボーナスゲーム終了後の所定ゲーム回数以内にボーナスに内部当選すると、これを連続当選(いわゆる連チャン)として判定し、連続当選の回数に応じてより多くの特典が付与されるものとなっている。このため公知の遊技機によれば、連続してボーナスを当選させた遊技者に対して、より有利な条件で特典を付与することができる。
【特許文献1】特開2003−325761号公報(第3頁、図15)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した公知の遊技機では、ボーナス当選が連続すればするほど、ボーナスゲーム終了後の特典がますます遊技者に有利になっていくため、射幸性が高くなりすぎ、遊技場だけが一方的に不利益を被るおそれがある。
【0005】
逆に遊技者にとっては、連続でボーナスに当選しない限り多くの特典を受けることは望めないため、公知の遊技機ではハードルが高すぎてほとんど利益を受けられる見込み(勝ち目)がなく、結局のところ遊技者と遊技場との利益をバランスさせることは難しい。また、せっかく時間をかけてボーナスに当選しても、連続で当選しなければ、あまり特典に期待できないため、遊技者が短時間のうちに興ざめし、遊技意欲を失いやすいという欠点がある。
【0006】
さらに、遊技者同士の間でみても、ボーナスを連続当選させた一部の遊技者だけが集中的に利益を獲得し、その他の遊技者はほとんど利益を獲得できないため、遊技者間の不公平が起こりやすいという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、遊技者と遊技場とのバランスを適度に保ちつつ、さらに遊技者間の不公平を抑える技術の提供を課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するため以下の手段を採用する。
解決手段1:本発明は、1回のゲームごとに使用する遊技媒体の数を決定して所定の表示位置を有効にし、複数種類の図柄が周方向に配列して付された複数の表示体を周方向に回転させて図柄の表示を変動させた後、遊技者の停止操作に応じて前記表示体の回転を順次停止させ、全ての前記表示体の停止時に前記有効な表示位置に表示された図柄の組み合わせからゲームの結果を判断する遊技機である。また本発明の遊技機は、前記表示体の回転を始動させる遊技者の始動操作に応じて、遊技者の利益に関わる利益抽選を行う抽選実行手段と、前記表示体が回転した状態で遊技者により前記停止操作が行われると、前記利益抽選の結果に基づいて前記表示体の停止位置を所定の可能範囲内で制御する停止位置制御手段と、遊技者にとって通常の条件でゲームが進行する通常遊技中に前記利益抽選の結果が特別役の当選に該当し、かつ、前記表示体の停止時に前記特別役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、前記通常遊技よりも遊技者にとって特別に有利な条件でゲームが進行する特別遊技に移行させる第1の特別遊技移行手段と、前記特別遊技が終了すると、前記特別遊技とは別に前記通常遊技よりも遊技者に有利な条件でゲームが進行する有利遊技に移行させる有利遊技移行手段と、前記有利遊技中のゲームで前記利益抽選の結果が前記特別役の当選に該当し、かつ、前記特別役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、前記有利遊技から前記特別遊技に移行させる第2の特別遊技移行手段と、前記有利遊技中のゲームで前記利益抽選の結果が特定種類の小役の当選に該当し、かつ、前記表示体の停止時に前記特定種類の小役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、前記有利遊技を終了させて前記通常遊技に復帰させる処理を行う有利遊技終了手段と、前記有利遊技中のゲームで前記利益抽選の結果が前記特定種類の小役の当選に該当した場合であっても、前記停止位置制御手段による制御によって前記表示体の停止時に前記特定種類の小役に対応する図柄の組み合わせが表示されることを回避するべく遊技者による前記停止操作を補助する入賞回避補助手段と、前記第2の特別遊技移行手段により前記有利遊技から前記特別遊技に移行された回数に基づいて、前記入賞回避補助手段による補助を制限する補助制限手段とを備えている。
【0009】
本発明の遊技機では、通常遊技中に特別役に当選し、これに対応する図柄の組み合わせが有効な表示位置に表示されると、特別遊技に移行する利益が遊技者に与えられる。そして特別遊技が終了すると、これとは別に有利遊技に移行する利益(付加価値)が遊技者に与えられるものとなっている。有利遊技は、特別遊技とは異なるが、通常遊技よりも遊技者に有利な条件でゲームが進行するものである。この有利遊技中にも利益抽選が行われており、ここで再び特別役に当選し、これに対応する図柄の組み合わせが有効な表示位置に表示されると、再び特別遊技に移行する利益が遊技者に与えられる。
【0010】
上記の特別遊技では、遊技者にとって特別に有利な条件でゲームが進行するため、通常遊技中や有利遊技中に特別役をいかにして引き当てるかが遊技者の利益を大きく左右する。特に本発明では、有利遊技中に特別役を引き当てると、通常遊技には戻らず、そのまま特別遊技に移行するという特典があるため、遊技者にとっては、有利遊技が終了する前に特別役に当選できるか否かは重要な関心事である。
【0011】
ただし、特別役に当選するまで有利遊技が際限なしに続くとすると、遊技者だけが一方的に利益を受けることになり、遊技場とのバランスを欠くことになる。また、次回の特別遊技まで有利遊技が必ず続くとすると、その時点で遊技者を安心させてしまい、その後は漫然とゲームを消化するだけとなって遊技の面白みに欠ける。
【0012】
そこで本発明では、有利遊技中に特定種類の小役に当選し、これに対応する図柄の組み合わせが有効な表示位置に表示されると(以下「入賞」と称する。)、有利遊技を終了させて通常遊技に復帰させる処理を行うものとしている。これにより、有利遊技中の遊技者に対して「果たして特別役に当選するのが先か、それとも特定種類の小役に入賞して有利遊技が終了してしまうのが先か」といった適度な緊張感(ハラハラドキドキ感)を与えるとともに、有利遊技中の興趣低下をうまく抑制している。なお、「有利遊技を終了させて通常遊技に復帰させる処理」には、有利遊技の終了後、即座に通常遊技に移行させることに他に、有利遊技から別の遊技状態を経て通常遊技に復帰させることが含まれる。
【0013】
さらに本発明の優位性は上記に止まらない。先ず本発明では、有利遊技中に特定種類の小役に当選した場合、その入賞を回避するべく遊技者の停止操作を補助するものとしている。すなわち本発明では、表示体の停止操作は遊技者が自ら行うものであるが、実際の表示体の停止位置は利益抽選の結果に基づいて停止位置制御手段が制御している。この制御は、当選役(小役、特別役等)に対応する図柄を可能な範囲内で有効な表示位置に停止させ、そうでない図柄を停止させないことを目的として行われる。ただし、制御が可能な範囲は限られており、回転中の表示体について、実際に停止操作が行われたタイミングで当選役に対応する図柄が制御の可能範囲内になければ、その図柄を有効な表示位置に停止させることはできず、結果的に入賞が回避されることになる。ただし、利益抽選は遊技機の内部で行われるので、抽選の結果が特定種類の小役に該当していることを知らない限り、遊技者がいかに技術を介入させても入賞を回避できない場合がある。「内部で行われる」とは、遊技者が抽選の様子を直接的に知覚したり、認識したりすることができない状態で抽選が行われることを意味し、例えば乱数抽出方式による抽選であっても、実際にどのような値の乱数が抽出されたか、当選値はいくつであるのかといった情報が遊技者に対して秘匿されているものが該当する。
【0014】
そこで本発明では、有利遊技中の利益抽選で特定種類の小役に当選した場合、制御上で入賞を回避できるように遊技者の停止操作を補助するものとしている。このような補助を受けて遊技者が適切に停止操作を行うことができれば、たとえ内部的には特定種類の小役に当選していても、実際の入賞を回避することができるので、それによって引き続き有利遊技を維持することができる。そして、特定種類の小役の入賞を回避し続けている間に次の特別役の当選が得られれば、上記のように通常遊技に戻されることなく特別遊技に移行することができる。この場合、特別遊技及び有利遊技の利益を長く遊技者に享受させ続けることができるので、長期間にわたり遊技者の興趣を維持することができる。
【0015】
そうはいっても、際限なく遊技者に利益を享受させていれば、やはり遊技場とのバランスを欠くことなる。そこで本発明では、有利遊技から特別遊技に移行する機会がある程度まで続いた場合、有利遊技中の入賞回避の補助に制限を加えている。補助が制限されると、今度は制御本来の機能によって実際に特定種類の小役に入賞する可能性が高まるので、やがて有利遊技が終了し、通常遊技へと復帰することになる。これにより、延々と遊技者が有利遊技及び特別遊技による利益を享受し続けることがなくなり、適度なところで遊技者と遊技場との利益バランスを図ることができる。
【0016】
また遊技者から見れば、それまでは遊技機の補助によって有利遊技の終了を免れていたが、いつまでも延々と遊技機に補助されていると、やがて遊技がマンネリ化し、興趣を維持できなくなる。この点、本発明ではある程度のところまでは遊技者を補助するが、その後は補助を制限することで、遊技に適度な緊張感をもたらし、興趣の低下を抑えることができる。
【0017】
本発明は、さらに以下の解決手段を提供する。
解決手段2:解決手段1において、前記補助制限手段は、前記有利遊技から前記特別遊技に移行された回数が累計して所定回数に達した場合に前記入賞回避補助手段による補助を制限する。
【0018】
解決手段2によれば、遊技者と遊技場との利益バランスを図る上で、有利遊技から特別遊技に移行した累計の回数を具体的に判断した上で入賞回避の補助に制限を加えることができる。例えば、1回の特別遊技又は有利遊技でそれぞれ遊技者が獲得できる遊技媒体の平均的な数が決まっている場合、有利遊技から特別遊技に移行した累計の回数がわかれば、それまでに遊技者の得た利益の大きさ(獲得した遊技媒体の数)をある程度まで推定することができる。したがって、入賞回避補助手段による補助を制限するまでの累計回数を予め適切に決定しておけば、遊技者が得られる利益の増大を適度なところで抑制することができる。これにより、遊技者だけが一方的に過大な利益を受けるのを抑え、遊技者と遊技場との適度なバランスを実現することができる。
【0019】
解決手段3:解決手段1又は2において、本発明の遊技機は、前記利益抽選の結果が前記特別役の当選に該当したことを契機として、予め前記有利遊技に移行した場合に前記入賞回避補助手段による補助を伴って進行するゲームの上限回数を決定する上限回数決定手段をさらに備え、前記補助制限手段は、前記上限回数決定手段により決定された上限回数を減少させることで前記入賞回避補助手段による補助を制限する。
【0020】
なお、ここでいう「上限回数」は、「有利遊技中の延べゲーム回数」についてのことであり、「入賞の回避を補助する回数」ではない。例えば、上限回数が100であるとすると、有利遊技中のゲーム回数がトータルで100回に達するまでの間に入賞の回避が補助されるのであり、特定種類の小役の当選が100回に達するまで補助を行うという意味ではない。また、上限回数の決定には0回を含むゲーム回数の値を割り当てることができ、必ずしも1回以上である必要はない。なお「上限回数」については、これ以降の解決手段においても同様である。
【0021】
解決手段3によれば、先ず特別遊技に移行する前(通常遊技又は有利遊技)のゲームで特別役に当選すると、これを契機として先に上限回数を決定しておき、その上で特別遊技に移行し、その終了後に有利遊技に移行することになる。そして有利遊技に移行した場合、実際のゲーム回数が上限回数に達するまでの間は入賞回避の補助が行われるので、このとき遊技者にとって上限回数が多いか少ないかは重要な関心事となる。すなわち、有利遊技中に特定種類の小役に当選しても、遊技者が入賞を回避し続けている限り有利遊技が継続するため、それだけ遊技者にとって有利な状況が長続きするからである。ただし、特別役に当選する前に実際のゲーム回数が上限に達すると、それ以降のゲームでは入賞回避の補助が行われなくなる。この場合、以降は補助が受けられない状態で有利遊技を続行することになるため、特定種類の小役に入賞してしまうと、有利遊技から通常遊技に復帰することになる。
【0022】
ここで、上限回数は0回を含めてその値が決定されることになっているため、予め上限回数決定手段によって0回が決定されてしまうと、特別遊技から有利遊技に移行しても、実際には入賞回避の補助を受けることができない。一方、極端に多い上限回数(例えば10000回程度)が決定されていると、有利遊技中に特定種類の小役に当選した場合、ほぼ確実に入賞回避の補助を受けられることが保証されているに等しい(遊技場の1日の営業時間内で10000回のゲーム数を消化することは事実上不可能なため。)。
【0023】
このため上限回数決定手段による上限回数の決定は、遊技者にとっては入賞回避の補助を受けられるか否かの抽選として考えることができる。つまり、上限回数が0回に決定された場合は抽選に外れたことになり、1回以上に決定された場合は抽選に当たったことになる。さらに、このとき決定された上限回数が多ければ多いほど、有利な条件で抽選に当たったことになる。したがって遊技者にとっては、「特別役の当選」が単に特別遊技に移行する利益に通じるだけのものではなく、その後の有利遊技で入賞回避の補助を受けられるかどうかの瀬戸際でもあり、さらにはどの程度の上限回数まで補助を受けられるかが決まる重要な意義を持つものとして認識されることになり、それだけ付加価値の高い遊技性を提供することができる。
【0024】
その上で解決手段3では、予め決めておいた上限回数を後から減少させることで、入賞回避の補助に対して制限を加えている。すなわち、本来ならば、有利遊技中のゲームが上限回数に達するまでは入賞回避の補助が行われるはずであるが、有利遊技から特別遊技に移行した累計の回数がある程度のところまで達すると、既に決定されていた上限回数を減少させ、入賞回避の補助を早期に終了させることとしている。なお、解決手段3において「上限回数を減少させる」ことには、単純に回数を少なくするだけでなく、回数を減らした結果が0回になる(補助抽選の当選そのものが取り消しになる)ことも含まれる。
【0025】
このように解決手段3では、たとえ極端に遊技者にとって有利な上限回数が事前に決定されていたとしても、後から上限回数を減少させることで、遊技者だけが過度に有利になることを防止し、遊技者と遊技場との利益バランスを適正化することができる。
【0026】
解決手段4:解決手段1から3のいずれかにおいて、本発明の遊技機は、前記利益抽選の結果が再遊技役の当選に該当し、かつ、前記表示体の停止時に前記再遊技役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、改めて遊技媒体を使用することなく今回のゲームと同じ数の遊技媒体を使用して次回のゲームを実行可能とするリプレイ実行手段をさらに備え、前記有利遊技は、前記通常遊技よりも前記利益抽選で前記再遊技役に当選する確率が高く変更された遊技である。
【0027】
好ましくは、通常遊技よりも有利遊技での再遊技役の当選確率が少なくとも倍以上に高く変更されるものとする。また、有利遊技では利益抽選で再遊技役に当選確率が高く変更されている分、非当選(はずれ)になる確率が相対的に低く変更された遊技である。さらに特定種類の小役及びその他の種類の小役については、通常遊技と比較して当選確率が変わらず、非当選の確率だけが相対的に低くなることが好ましい。
【0028】
解決手段4では、有利遊技中は再遊技役に当選しやすくなるため、結果的に遊技者は自己の保有する遊技媒体を改めて使用することなく次回のゲームを実行する機会(以下「リプレイ」)が増えることになる。したがって、遊技者は自己の保有する遊技媒体を極端に減らすことなくゲーム回数を重ねていくことができ、この過程で次の特別役の当選に期待することができるという利益を受けることができる。また、たとえ特別役に当選しなくても、リプレイが高頻度で発生していれば、遊技者が長期間にわたって遊技媒体の現有数を維持し続けることができ、それだけ長く遊技機の稼働を保証することができる。
【0029】
解決手段5:解決手段1から4の遊技機において、少なくとも前記抽選実行手段、前記停止位置制御手段、前記第1の特別遊技移行手段、前記有利遊技移行手段、前記第2の特別遊技移行手段及び前記有利遊技終了手段としての機能を果たすための制御プログラムを実行する主制御用コンピュータと、前記主制御コンピュータから制御上のコマンドを受信して、少なくとも前記入賞回避補助手段及び前記補助制限手段としての機能を果たすための制御プログラムを実行するサブ制御用コンピュータとをさらに備える。
【0030】
解決手段5によれば、毎回のゲームで利益抽選を行ったり、その結果に基づいて表示体の停止位置を制御したりする基本的な動作の制御が主制御用コンピュータで賄われる。さらに、通常遊技から特別遊技への移行や、特別遊技から有利遊技への移行、有利遊技から通常遊技への移行といった遊技機の内部状態の制御もまた、同じ1つの主制御用コンピュータで賄われる。このように、遊技機の基本的な動作の制御や内部状態の制御を1つの独立した主制御用コンピュータ内だけで実行することにより、遊技制御プログラムの公正かつ安定した処理進行を担保することができる。
【0031】
一方、遊技者が停止操作を行うに際して入賞の回避を補助したり、その補助を制限したりする制御は、主制御用コンピュータとは別のサブ制御用コンピュータで賄われる。したがって、上記のように特別役の当選を契機として上限回数を抽選する処理や、抽選で決定した上限回数を減少させる処理はサブ制御用コンピュータ内だけで行われており、それによって遊技機の内部状態を変化させる処理は必要にならないので、主制御用コンピュータの処理負担を増大させることはない。
【0032】
また本発明は、以下の解決手段を提供する。
解決手段6:複数種類の図柄が周方向に配列して付された複数の表示体を有し、遊技者による遊技媒体を投じる操作に応じて所定の表示位置を有効にした状態で、遊技者の始動操作に応じて前記表示体を周方向に回転させることで図柄の表示を変動させた後、遊技者の停止操作に応じて前記表示体の回転を順次停止させ、全ての前記表示体の停止時に前記有効な表示位置に表示された図柄の組み合わせから1回ごとのゲームの結果を判断する遊技機において、1回のゲームごとに前記始動操作に応じて遊技者の利益に関わる利益抽選を実行する抽選実行手段と、前記始動操作に応じて前記表示体が回転している間に遊技者による前記停止操作を受け付ける停止操作受付手段と、回転中の前記表示体について遊技者により前記停止操作がなされた場合、前記停止操作受付手段により前記停止操作が受け付けられたタイミングで前記有効な表示位置に存在している現在図柄を基準に、この現在図柄を含めて前記表示体の周方向でみた所定の停止許容範囲内に含まれる図柄のいずれかを前記利益抽選の結果に基づいて前記有効な表示位置に停止させるべく前記可動体の停止位置を制御する停止位置制御手段と、前記利益抽選の結果が小役の当選に該当した場合、そのゲームで全ての前記表示体の停止時に前記有効な表示位置に前記小役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、前記小役に入賞したと判定して遊技媒体の払い出しを行う入賞払出手段と、前記利益抽選の結果が再遊技役の当選に該当した場合、そのゲームで全ての前記表示体の停止時に前記有効な表示位置に前記再遊技役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、遊技者が遊技媒体を投じる操作を要することなく次回のゲームの実行を可能とするリプレイ実行手段と、遊技者にとって通常の条件でゲームが進行する通常遊技中に、前記利益抽選の結果が特別役の当選に該当した場合、そのゲーム又はこれ以降のゲームで全ての前記表示体の停止時に前記有効な表示位置に前記特別役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、前記通常遊技よりも遊技者に有利な特別の条件でゲームが進行する特別遊技に移行させる第1の特別遊技移行手段と、前記特別遊技中に行われたゲームの結果に基づいて所定の終了条件が満たされた場合、前記特別遊技を終了させて前記通常遊技よりも前記利益抽選で前記再遊技役に当選する確率が高く変更されたリプレイタイム遊技に移行させるリプレイタイム移行手段と、前記リプレイタイム遊技中に前記利益抽選の結果が前記特別役の当選に該当した場合、そのゲーム又はこれ以降のゲームで全ての前記表示体の停止時に前記有効な表示位置に前記特別役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、前記リプレイタイム遊技を終了させて前記特別遊技に移行させる第2の特別遊技移行手段と、前記リプレイタイム遊技中のゲームで前記利益抽選の結果が特定種類の小役の当選に該当し、かつ、全ての前記表示体の停止時に前記有効な表示位置に前記特定種類の小役に対応する図柄の組み合わせが表示されて前記特定種類の小役に入賞したと判定すると、前記リプレイタイム遊技を終了して前記通常遊技へ復帰させる処理を行うリプレイタイム遊技終了手段と、前記リプレイタイム遊技中のゲームで前記利益抽選の結果が前記特定種類の小役に該当した場合、そのゲームで遊技者が前記停止操作を行うに際し、回転中の前記可動体について前記特定種類の小役に対応する図柄が前記停止許容範囲内に存在しないタイミングで遊技者により前記停止操作が行われることを促すことにより、前記特定種類の小役の入賞を回避するべく前記停止操作を補助する入賞回避補助手段と、前記第2の特別遊技移行手段により前記リプレイタイム遊技から前記特別遊技に移行された回数の累計が所定回数に達した場合、前記入賞回避補助手段による補助を制限する補助制限手段とを備えた遊技機である。なお、ここでは重複した記載を省略しているが、解決手段6の個々の要素を解決手段1〜5の要素と組み合わせて本発明を構成してもよい。
【0033】
解決手段6によれば、表示体の停止位置の制御について、実際の停止操作が行われたタイミングと、制御によって有効な表示位置に停止させられる(逆に停止させることができない)図柄との関係がより具体的に特定されている。このため入賞の回避を補助する手段は、特定種類の小役に対応する図柄が停止許容範囲内にないタイミングで停止操作が行われることを促すことにより、その機能を確実に実現することができる。
【0034】
解決手段7:解決手段6において、前記利益抽選の結果が前記特定種類の小役の当選に該当した場合、全ての前記表示体の停止時に、少なくとも特定の配置にある1つの前記可動体について前記特定種類の小役に対応する図柄が前記有効な表示位置に停止していれば、その他の前記可動体について前記有効な表示位置に停止している図柄の種類に関わらず、前記特定種類の小役に入賞したと判定されるものであり、前記入賞回避補助手段は、前記特定の配置にある1つの前記可動体について、その回転中に前記特定種類の図柄が前記停止許容範囲内に存在しないタイミングで遊技者により前記停止操作が行われることを促すものである。ここでも同様に、解決手段7の要素を解決手段1〜5の要素と組み合わせて本発明を構成してもよい。
【0035】
解決手段7によれば、特定種類の小役に入賞したか否かの判断を少なくとも1つの表示体だけで行うことができる。このため、遊技機として行う入賞回避の補助についても、該当する1つの表示体について停止操作を促すだけで済み、極端に複雑な処理や判断を行う必要がなくなる。また遊技者にとっては、複数ある表示体の少なくとも1つについてのみ、特定種類の小役が入賞しないように注意して停止操作を行えばよいので、それだけ遊技者の負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の遊技機によれば、極端に射幸性が高くなるのを防止し、適度に遊技者と遊技場とのバランスを図ることができる。また遊技者にとっても、遊技機の補助によってある程度まで利益を得ることができるため、長期的に見て適度な勝ち目があり、それだけ飽きにくいゲーム性が得られる。さらに、遊技場内で一部の遊技者だけに利益が集中し、その他の遊技者があまり利益を受けられないといった不公平が生じにくいため、いろいろな層の遊技者に受け入れられやすいゲーム性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、回胴式遊技機の一例であるスロットマシン1を示す斜視図である。このスロットマシン1は、例えば遊技メダルを媒体として遊技を行うタイプのものであり、いわゆる「パチスロ機」と称されているものである。この他に、遊技球を媒体として遊技を行うタイプの回胴式遊技機(いわゆる「パロット機」)もあり、こちらも本発明の実施形態として好適である。先ず、スロットマシン1の構成について説明する。
【0038】
スロットマシン1は箱形状の筐体2を備えており、この筐体2を介して遊技場(ホール)の島設備に釘打ち等によって設置される。図1中、左斜め下方はスロットマシン1の正面に相当し、通常、ホール内で遊技者はスロットマシン1に正面から相対するようにして着席する。筐体2は正面側が開口しており、この開口は前面扉4により開閉可能となっている。図1には前面扉4が閉じた状態で示されているが、前面扉4は、例えばその左側端部が図示しないヒンジ機構を介して筐体2に連結されている。また前面扉4の右側端部には、その内側(裏側)に図示しない施錠装置が設けられており、これに対応して筐体2の右側の内壁面にも図示しない施錠具が設けられている。図1に示されるように前面扉4が閉じた状態で、その施錠装置は筐体2の施錠具とともに前面扉4の開放を不能にしている。
【0039】
前面扉4の右側縁部にはシリンダ錠4aが設けられており、例えば、遊技場の管理者が専用キーを用いてシリンダ錠4aを時計回りに捻ると、施錠装置が作動して前面扉4の開放が可能な状態となる。なおシリンダ錠4aを反時計回りに捻ると、スロットマシン1において発生したエラー状態(例えばメダル切れ等)を解除することができる。
【0040】
〔表示体〕
前面扉4の奥、つまり筐体2の内部には、表示体として3つのリール6,8,10が設置されている。リール6,8,10はいずれも円環状に成形されており、その周囲には複数の図柄(図示されていない)が間隔をおいて一列に付されたリール帯が巻かれている。図柄には複数の種類があり、例えば数字の「7」やアルファベットの「BAR」等の文字列をデザインしたもの、「ベル」等の縁起物をデザインしたもの、「チェリー」や「スイカ」等の青果類をデザインしたものの他、スロットマシン1のゲームコンセプトに基づいてデザインされたキャラクターの図柄、あるいは当選種類の1つである「リプレイ」を意味する図柄等が挙げられる。なお、ここでは図柄の種類を例示しているに過ぎず、特にこれらに限定されない。
【0041】
前面扉4の縦方向でみて、その中央から上側の位置にパネル部12が配置されており、このパネル部12には、例えばスロットマシン1のゲームコンセプトに基づく装飾が施されている。また、パネル部12の中央位置には矩形状の表示窓(表示部)14が形成されており、この表示窓14は透明な板状部材によって構成されている。なお表示窓14は、リール6,8,10の図柄を明確に視認可能とする程度の光透過性を有するものである。前面扉4が閉じた状態で、表示窓14はちょうど3つのリール6,8,10の前面側に位置する。この状態で、遊技者は表示窓14の板状部材を透過してリール6,8,10の図柄を視認することができる。通常、表示窓14内では、各リール6,8,10について縦方向に3つの図柄を遊技者が有効に視認することができる(図柄は図示されていない)。なお表示窓14は、各リール6,8,10に対応して3分割されている形態であってもよい。
【0042】
〔表示位置〕
表示窓14内には、横方向に並んだ3つのリール6,8,10同士の間で図柄の組み合わせが構成される表示位置、つまり、表示ラインが形成されている。表示ラインは、例えば表示窓14内で水平方向及び斜め方向に規定される5本の仮想線(図1中に示される一点鎖線)である。このうち水平方向の3本の表示ライン上では、3つのリール6,8,10につき、上段・中段・下段の各位置でそれぞれ3つずつの図柄の組み合わせが構成されている。また斜め方向の2本の表示ライン上では、左リール6の上段位置、中リール8の中段位置、右リール10の下段位置で3つの図柄の組み合わせが構成されるほか、左リール6の下段位置、中リール8の中段位置、右リール10の上段位置でも3つの図柄の組み合わせが構成される。なお、水平方向及び斜め方向の表示ラインは一例に過ぎず、表示ラインは水平方向と斜め方向とを合成したもの(折れ線状)であってもよい。
【0043】
〔表示位置の有効化〕
パネル部12には、例えば表示窓14の左側に3つのベット数表示部12aが設けられている。これらベット数表示部12aは、1回ごとの遊技で遊技者が投じたメダルの枚数(「ベット数」、「掛け数」等と称する。)を表示するためのものである。またベット数表示部12aは、そのときのベット数に応じて有効化される表示ライン、つまり有効ラインの本数を表している。以下の説明では、ベット数に応じて表示ラインが有効化された状態を「有効ライン」と称する。
【0044】
前面扉4の裏面側には、ちょうどベット数表示部12aの背後に図示しない照明器具(白熱ランプ又はLEDを備えたもの)が設置されており、ベット数表示部12aでは、照明器具による透過光を用いてベット数及び有効ライン数の表示(発光表示)が行われるものとなっている。遊技者は、ベット数表示部12aの表示から現在のベット数を知るとともに、表示窓14内での有効ラインの本数を知ることができる。例えば、ベット数が3枚の場合、水平方向で上段・中段・下段の3本の有効ラインに加えて、斜め方向で右上がりの有効ラインと右下がりの有効ラインの計5本が形成される。またベット数が2枚の場合、例えば水平方向で中段の有効ライン1本と、斜め方向で2本の有効ラインの計3本が形成される(上段・中段・下段の3本でもよい)。なお、有効ラインの本数や形態は一例に過ぎず、これより多くても少なくてもよい。
【0045】
前面扉4には、表示窓14の直ぐ右下方にメダル投入口16が設けられている。遊技者が投入したメダルはメダル投入口16を通じて1枚ずつ受け入れられ、ゲームに投じた枚数として計上される。なお1回のゲームに投じることができる最大枚数(例えば3枚)を超えてメダルが投入されると、その分はクレジットとして貯留される。パネル部12の表示窓14の下方にクレジット表示部12bが設けられており、クレジットとして貯留されたメダルの枚数は、このクレジット表示部12bにて数値表示される。なおクレジットは、例えば最大で50まで貯留することができる。
【0046】
前面扉4の裏側には、メダル投入口16から筐体2の内部に延びる案内路(図示されていない)が形成されており、投入されたメダルは案内路に沿って1列で(1枚ずつ)案内される。メダルの投入を受け付け可能な状態であれば、投入されたメダルは筐体2の内部で払出装置(図1には示されていない)のホッパーに受け止められる。またクレジット数が上限を超えると、それ以上のメダルを投入しても受け付けられなくなる。前面扉4の下部中央にはメダル排出口26が形成されており、さらに前面扉4の下縁部にはメダル受皿28が形成されている。メダルの投入が受け付けられない状態であれば、メダル投入口16から投入されたメダルはメダル排出口26を通じてメダル受皿28に返却される。
【0047】
また前面扉4には、パネル部12の左下方にスタートレバー18が設置されている。このスタートレバー18は、各リール6,8,10の回転を開始(始動)させるために遊技者によって操作(押下)される。ゲームにメダルを投じた状態でスタートレバー18が操作されると、各リール6,8,10が一斉に回転を始める。
【0048】
また、クレジット表示部12bの右横にはスタートランプ12c、インサートランプ12d及びリプレイランプ12eが配置されている。このうちスタートランプ12cは、ゲームに投じたメダルがそのとき必要な最少枚数(例えば1〜3枚)を満たすと点灯し、スタートランプ12cの点灯は、スタートレバー18の操作が可能な状態になったことを意味する。またインサートランプ12dは、ゲームに投じるためのメダルの投入が可能な状態で点灯する他、追加のメダルを投入することでクレジットの貯留が可能な状態でも点灯する。リプレイランプ12eは、遊技の結果が再遊技、つまり「リプレイ」に該当する場合に点灯する。
【0049】
メダル投入口16の奧には、案内路の上流位置に切り替え機構(図示されていない)が設けられており、この切り替え機構は、例えばソレノイドを用いてメダルの案内先を案内路又はメダル排出口26のいずれかに切り替える動作を行う。クレジット数が上限に達した場合は、切り替え機構が作動してメダルの案内先をメダル排出口26に切り替え、それ以上のメダルの投入を受け付けなくする。また、1回の遊技でスタートレバー18が操作されると、リール6,8,10が停止するまで切り替え機構が作動し、それ以上のメダルの受け付けを不能にする。なおリール6,8,10の停止後でも、遊技の結果が「リプレイ」であった場合は切り替え機構が作動して、次回の遊技ではメダルの投入を受け付けない。
【0050】
前面扉4には、スタートレバー18の右側に3つの停止ボタン20,22,24が横並びに配置されている。これら停止ボタン20,22,24は、順番にそれぞれ左・中・右のリール6,8,10に対応している。リール6,8,10が一定速度で回転している状態で遊技者が停止ボタン20,22,24を1つずつ操作(押下)すると、対応するリール6,8,10の回転が個別に停止する。
【0051】
〔ゲームの概要〕
上記のようにメダルのベット及びスタートレバー18の操作を経てリール6,8,10が回転中に遊技者により停止ボタン20,22,24が操作され、全てのリール6,8,10が回転を停止すると、表示窓14内で有効ライン上(有効な表示位置)に表示された図柄の組み合わせから1回のゲームの結果が判定される。例えば、有効ライン上に「ベル」や「スイカ」等の同種の図柄が3つ揃う組み合わせが表示された場合、それぞれ「ベル」又は「スイカ」という小役に入賞したと判定され、各小役について予め決められた枚数のメダルが払い出される。小役に対応する図柄の組み合わせには、3つのリール6,8,10で同種の図柄を組み合わせるものの他、例えば左リール6に「チェリー」の図柄があれば、他のリール8,10の図柄は何でもよい組み合わせ(「チェリー」−「ANY」−「ANY」)もある。このような組み合わせは実質的に単独の図柄だけで構成されているため、2本の有効ラインが交差する位置(上段又は下段の位置)で「チェリー」の図柄が停止していた場合、二重入賞となって払い出し枚数が加算される。
【0052】
表示窓14の下方には、上記のクレジット表示部12bとは別に払出枚数表示部12fが設けられており、ここには1回ごとの入賞時に払い出されたメダルの枚数が表示される。なおクレジットモードの場合、その最大数に達するまでの間は払い出された枚数分がクレジットに加算される。また、クレジットモード中にメダルの払い出しによってクレジット数が上限を超えると、その分はクレジットの増加としてではなく実際のメダルとしてメダル排出口26から払い出され、メダル受皿28に蓄えられる。
【0053】
この他、3つのリール6,8,10の停止時に上述した「リプレイ」に対応する図柄の組み合わせ態様が有効ライン上に表示されていれば、そのときのゲームの結果は再遊技(リプレイ)と判定される。ゲームの結果が再遊技であれば、新たにメダルを投じることなく、今回のゲームに投じたメダルの枚数(ベット数又は掛け数)と同じ条件で次回のゲームをリプレイすることができる。なお、ゲームの結果が再遊技と判定されると、上記のリプレイランプ12eが点灯して再遊技が可能であることを表示する。またベット数表示部12aでは、前回のゲームに投じたメダル枚数(有効ライン数)の表示が復元される。
【0054】
〔特別遊技:ボーナスゲーム〕
一方、有効ライン上に例えば赤色の「7」−「7」−「7」等の図柄の組み合わせが表示されると、いわゆる「ビッグボーナスゲーム」等の特別遊技に移行する利益が遊技者に与えられる。あるいは、有効ライン上に例えば黒色の「BAR」−「BAR」−「BAR」等の図柄の組み合わせが表示されると、いわゆる「レギュラーボーナスゲーム」等の特別遊技に移行する利益が遊技者に与えられる(いずれもメダルは払い出されない)。特別遊技に移行すると、遊技者に有利な特別の条件でゲームが進行し、例えば、通常よりも高頻度に「ベル」や「スイカ」等の小役に入賞する機会が得られたり、入賞に対する払い出し枚数が増加したり、通常では入賞することがない種類の小役に入賞したりすることが可能になる。
【0055】
〔有利遊技:リプレイタイム〕
また本実施形態では、特別遊技の終了後、高確率で上記の「リプレイ」の結果が得られる有利遊技状態として、リプレイタイム(RT)に移行する利益が遊技者に与えられるものとなっている。このリプレイタイム中は、通常遊技よりも再遊技に当選する確率が高く(例えば6倍程度の高確率に)変更され、その分、非当選の確率が相対的に減少することになる。この結果、リプレイタイム中にゲーム回数を重ねても、遊技者が保有するメダルの減少は少なく抑えられる(場合によっては微増する)。
【0056】
パネル部12には、表示窓14の右側に遊技状態表示部12hが形成されている。パネル部12の裏面側には、ベット数表示部12aと同様に照明器具が設置されており、上記のように特別遊技に移行するか、もしくは特別遊技への移行が可能な状態(内部抽選で当選した状態)になると、照明器具によって遊技状態表示部12hが点灯表示される。なお、有効ライン上で特に規定された図柄の組み合わせが表示されていなければ、そのゲームの結果は入賞や再遊技、特別遊技への移行等はなかったものと判定される。
【0057】
上記のようにして1回ごとにゲームの結果が判定されると、遊技者により改めて次回のゲームに投じるメダルの枚数が決定される(再遊技の場合を除く)。払出枚数表示部12fの左側には3つのベットランプ12gが設けられており、これら3つのベットランプ12gは、その回のゲームに投じるメダルの必要枚数に応じた数を点灯表示する。例えば、その回のゲームに3枚のメダルを投じる必要があれば、3つのベットランプ12gが全て点灯する。このときメダル投入口16を通じて遊技者が3枚のメダルを投入する操作を行えば、それによってゲームに投じるメダルの枚数(3枚掛け、3ベット)が決定される。なお必要枚数は、1回の遊技あたり2枚(2枚掛け、2ベット)又は1枚(1枚掛け、1ベット)でもよい。なお、メダルの必要枚数に応じた数の点灯表示は、ベットランプ12gではなくベット数表示部12aにて行ってもよい。
【0058】
また、表示窓14の左下方にはベットボタン30及びMAXベットボタン32がそれぞれ設置されており、遊技者はこれらボタン30,32を操作することで、クレジットの残数を用いてゲームに投じるメダルの枚数を決定することもできる。ベットボタン30が1回押下されるとクレジットの数が1ずつ減り、その分がゲームに投じたメダルの枚数として充当される。最大枚数に達するまで繰り返しベットボタン30が押下されると、それぞれ押下された回数分だけクレジット数が減り、代わりにベット数が加算される。また、充分なクレジットの残数(3以上)があれば、遊技者がMAXベットボタン32を1回操作することで、その回のゲームに投じることができる最大枚数(例えば3枚)をクレジット残数から差し引き、その分をゲームに投じたメダルの枚数として充当することができる。
【0059】
ベットボタン30の左側には精算ボタン34が設けられており、クレジットの残数がある場合、遊技者が精算ボタン34を操作することにより、その残数を精算してメダルの返却を受けることができる。精算ボタン34が押下されると、メダル排出口26を通じてメダル受皿28にメダルが返却される。
【0060】
前面扉4の下部分で、メダル受皿28よりも上側には装飾パネル36が設置されている。この装飾パネル36には、スロットマシン1の製品機種名が表示されているほか、そのゲームコンセプトに基づく装飾が施されている。
【0061】
またスロットマシン1には、演出を行うための装備が設けられている。例えば前面扉4には、その上縁部に横長の演出ユニット105が設置されている。演出ユニット105は、その上部の中央がトップランプ37として形成されているほか、上部の左右端部がそれぞれ、左トップランプ38、右トップランプ39として形成されている。これら各ランプ37,38,39は、例えば内蔵するLEDから発する光を拡散して発光し、ゲームの進行に伴う演出を実行することができる。また演出ユニット105には、その内部の中央に液晶表示器44が装備されている。この液晶表示器44は、前面側に向いた表示画面上にて画像や文字情報等を表示し、ゲームの進行に伴う演出を実行することができる。また演出ユニット105には、その左右両側部に図示しない高音スピーカが内蔵されている。これら高音スピーカは、効果音や音声、BGM等を出力することで演出を実行することができる。
【0062】
さらに演出ユニット105には、表示画面の前面側に前扉ユニット81及び後扉ユニット82が装備されている。これら前扉ユニット81及び後扉ユニット82は、液晶表示器44の前面側で前後に2重をなしており、このうち前扉ユニット81が手前側に位置し、その奥側に後扉ユニット82が位置している。また各扉ユニット81,82はいずれも左右で一対をなし、各一対の扉ユニット81,82は液晶表示器44の表示画面に沿って引き扉のように左右方向にスライド可能となっている。
【0063】
その他に前面扉4には、パネル部12の左右両側縁部に沿って左パネルランプ40及び右パネルランプ42が設置されている。さらに筐体2の内部には、例えばその背面側の板材に低音スピーカ(図示されていない)が設置されており、この低音スピーカは、上記の高音スピーカとともに効果音や音声、BGM等を出力することで演出を実行することができる。
【0064】
次に、スロットマシン1の制御に関する構成について説明する。図2は、スロットマシン1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。
【0065】
〔主制御用コンピュータ〕
スロットマシン1には、主制御用コンピュータ100(マイクロコンピュータ)が装備されており、この主制御用コンピュータ100は主に、スロットマシン1における遊技の進行を制御する機能を有する。主制御用コンピュータ100には、中央演算処理装置であるメインCPU102を実装した回路基板が装備されており、メインCPU102には、ROM104、RAM106等の半導体メモリがバスを通じて接続されている。なおメインCPU102は、ROM104及びRAM106を合わせて集積したパッケージとして構成されていてもよい。
【0066】
また主制御用コンピュータ100には、乱数発生器108や乱数サンプリング回路110、クロックパルス発生回路112、分周器114、図示しない入出力ドライバ(インタフェース)等が装備されており、これらはメインCPU102やROM104、RAM106とともに回路基板上に実装されている。また回路基板上には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。
【0067】
上述したベットボタン30やMAXベットボタン32には、それぞれの操作を検出するベットボタンスイッチ116,118が装備されており、遊技者によるベットボタン30又はMAXベットボタン32を用いてゲームにメダルを投じる操作(投入操作)は、それぞれのベットボタンスイッチ116,118を用いて検出される。また、上述したメダルの案内路にも投入メダルセンサ120が装備されており、遊技者がメダル投入口16を通じてゲームにメダルを投じる操作(投入操作)は、投入メダルセンサ120を用いて検出される。なお投入メダルセンサ120は、ゲームに投じるものとしてでなく、クレジットの貯留分として投入されたメダルを検出することもできる。これらスイッチ116,118及びセンサ120の検出信号はメインCPU102に入力され、メインCPU102は入力された検出信号に基づいて、遊技者による投入操作を受け付けたり、クレジットの貯留数を加減算したりする処理を行う。
【0068】
同様に、上述したスタートレバー18には、その操作を検出するスタートスイッチ122が装備されている。遊技者により行われるスタートレバー18の操作(始動操作)は、スタートスイッチ122を用いて検出される。また各リール6,8,10に対応した3つの停止ボタン20,22,24には、それぞれ停止スイッチ124が設けられており、これら停止スイッチ124はリール停止信号回路126に接続されている。遊技者により停止ボタン20,22,24が操作(停止操作)されると、各停止スイッチ124からリール停止信号回路126に検出信号が入力される。リール停止信号回路126は、検出信号に基づいてリール停止信号を発生させる。スタートスイッチ122からの検出信号及びリール停止信号回路126からのリール停止信号は、メインCPU102に入力される。メインCPU102は入力された検出信号又はリール停止信号に基づいて、遊技者による始動操作又は停止操作を受け付ける処理を行う。
【0069】
3つのリール6,8,10は、例えば1つのリールユニット128の形態で筐体2の内部に設置されている。リールユニット128は、各リール6,8,10に対応して3つのステッピングモータを内蔵しており、各ステッピングモータにはインデックスセンサが装備されている。また主制御用コンピュータ100には、モータ駆動回路130及びリール位置検出回路132が形成されている。メインCPU102は、モータ駆動回路130を通じて各ステッピングモータに駆動パルス(例えば1−2相励磁信号)を出力し、リール6,8,10を回転させたり、所定の位置で停止させたりする制御を行う。またリール位置検出回路132は、インデックスセンサからインデックス信号に基づいてリール位置検出信号を発生し、これをメインCPU102に出力する。メインCPU102は、このリール位置検出信号に基づいて各リール6,8,10の回転に関する位置(例えば、基準位置からのステップ数)を検出することができる。
【0070】
払出装置134は、実際にメダルを払い出すための払出モータや、実際に払い出したメダルを検出する払出センサを備える他、投入されたメダルを蓄えるホッパとしての機能をも備えている。払出装置134は、例えば筐体2の底面上に設置されており、メダルを蓄えるホッパ部分は上面が大きく開口している。上記のメダル投入口16から投入され、案内路を通過したメダルは、前面扉4の奧で払出装置134のホッパ部分に投下される。また払出装置134は、その払出モータを回転させてメダルを1枚ずつ、連続的にスロットマシン1の正面に向けて射出することができる。射出されたメダルは前面扉4の裏側でメダル排出口26に導かれ、メダル受皿28に払い出される。
【0071】
主制御用コンピュータ100には、払出モータ駆動回路136及び払出完了信号回路138が形成されている。メインCPU102は、払出モータ駆動回路136を通じて払出モータに駆動信号を出力し、メダルの払い出しやクレジットの精算等を実行させる処理を行う。実際に払出装置134からメダルが払い出されると、払出センサからの検出信号が払出完了信号回路138に入力される。検出信号が入力されると、払出完了信号回路138は払出完了信号をメインCPU102に入力する。メインCPU102は、払出完了信号に基づいて払出枚数をカウントし、規定の払出枚数に達したところでモータの駆動を停止させる処理を行う。
【0072】
上述したベット数表示部12aやクレジット表示部12b、スタートランプ12c、インサートランプ12d、リプレイランプ12e、払出枚数表示部12f、ベットランプ12g及び遊技状態表示部12hは、制御に関する構成上、これらを遊技情報表示装置140として一括することができる。例えば、遊技情報表示装置140はベット数表示部12a及び遊技状態表示部12hの照明器具(白熱ランプ又はLED)やクレジット表示部12b及び払出枚数表示部12fの7セグメントLED、あるいは、スタートランプ12c、インサートランプ12d、リプレイランプ12e及びベットランプ12gのLEDから構成される。主制御用コンピュータ100にはランプ類駆動回路142が形成されており、メインCPU102は、ランプ類駆動回路142を通じて遊技情報表示装置140を制御し、各種表示部やランプを作動(点灯又は消灯)させる処理を行う。またメインCPU102は、インサートランプ12dの駆動とともに切り替え機構のソレノイドを動作させる処理を行う。
【0073】
その他、筐体2の内部には設定キースイッチ144や設定値変更スイッチ146等が設置されている。メインCPU102には、設定キースイッチ144から設定変更モード切替信号が入力され、また、設定値変更スイッチ146から設定変更信号が入力されるものとなっている。メインCPU102は、例えばスロットマシン1の電源投入時に設定変更モード切替信号が入力されると、設定変更モードに移行し、設定値変更スイッチ146からの設定変更信号の入力を受け付ける処理を行う。「設定」は、予め定められたスロットマシン1の機械割を複数段階に変更するためのものであり、「設定」には例えば1から6までの段階が用意されている。なお、ここでは「設定」やその変更等の詳細については省略する。
【0074】
また、メインCPU102は図示しない外部端子板を通じてスロットマシン1の外部に信号(メダルイン信号、メダルアウト信号、遊技ステータス信号等)を出力することができる。外部端子板から出力する信号は、例えば遊技場のホールコンピュータで集計される。
【0075】
〔サブ制御用コンピュータ〕
上記の主制御用コンピュータ100とは別に、スロットマシン1は制御上の構成としてサブ制御用コンピュータ150(マイクロコンピュータ)を備えている。このサブ制御用コンピュータ150は、スロットマシン1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。サブ制御用コンピュータ150にもまた、中央演算処理装置であるサブCPU152を実装した回路基板が装備されている。サブCPU152にもまた、ROM154やRAM156等の半導体メモリがバスを通じて接続されている。このサブCPU152もまた、ROM154及びRAM156を合わせて集積したLSIパッケージとして構成されていてもよい。
【0076】
またサブ制御用コンピュータ150には、図示しない入出力ドライバや各種のICが装備されている他、スピーカ駆動回路158やランプ駆動回路160が装備されている。このうちスピーカ駆動回路158は、例えばサウンドROMやアンプ(いずれも図示されていない)を備えており、上記の高音又は低音のスピーカ162を駆動して音響出力を行う。またランプ駆動回路160は、例えばPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、LEDを含むランプ164に与られえる駆動電圧をスイッチング(又はデューティ切替)してその発光・点滅等の動作を管理する。ランプ164は、上記のトップランプ37や左右のトップランプ38,39、左右のパネルランプ40,42での発光動作による演出を行う他、リール6,8,10の表面を照明したり、あるいはリール6,8,10の内周側から透過光(バックライト)を照射して図柄を照らし出したりする演出を行う。
【0077】
サブCPU152は、メインCPU102から送信される演出用のコマンドに基づいて演出の制御を行い、スピーカ駆動回路158やランプ駆動回路160に指令を与えてスピーカ162から実際に音を出力させたり、ランプ164を発光させたりする処理を行う。
【0078】
上記の液晶表示器44は、演出ユニット105の一部に組み込まれた状態で前面扉4の裏側に実装されている。演出ユニット105は液晶制御回路166を備えており、この液晶制御回路166は液晶表示器44による表示動作を制御する。液晶制御回路166には、汎用のCPUや表示制御用のVDP、VRAM等が実装されており、VRAMは、その記憶領域の一部をフレームバッファとして利用可能である。また図2には示されていないが、上述した演出ユニット105には前扉ユニット81や後扉ユニット82を駆動するためのステッピングモータが装備されており、サブ制御用コンピュータ150にはモータ駆動回路が接続されている。
【0079】
サブ制御用コンピュータ150のROM154には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、サブCPU152は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のようにスピーカ162やランプ164を用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器44を用いた画像表示による演出の制御や、各扉ユニット81,82を用いた演出の制御が含まれる。サブCPU152は、液晶制御回路166のCPUに対して演出に関する基本的な情報を送信し、これを受け取ったCPUは、基本的な情報に基づいて具体的に演出用の画像を表示する制御を行う。またサブCPU152は、モータ駆動回路を通じてステッピングモータに駆動パルスを出力し、ステッピングモータの回転方向及び回転角度を制御する。これにより、前扉ユニット81や後扉ユニット82が液晶表示器44の前面側で開閉するようにしてスライド動作する。
【0080】
その他、図示していないが、筐体2の内部には電源ユニットが内蔵されている。この電源ユニットは島設備から外部電力(例えばAC100V、24V等)を取り込み、そこから必要な電力(例えばDC24V、12V等)を生成する。電源ユニットで生成された電力は、主制御用コンピュータ100やサブ制御用コンピュータ150、演出ユニット105をはじめ、スロットマシン1の各所に供給される。
【0081】
以上がスロットマシン1の制御に関する構成例である。続いて、メインCPU102やサブCPU152により実行される制御上の処理について説明する。なお、以下では特に本実施形態と直接関係しない処理(タイマ割込処理、停電時処理、電源投入時処理、設定変更処理等)の説明を省略する。
【0082】
〔メイン処理〕
先ず図3は、メインCPU102により実行されるメイン処理の手順を示すフローチャートである。このメイン処理は、スロットマシン1の電源投入後に実行される。以下、各手順に沿って説明する。
【0083】
ステップS10:メダル投入処理では、メインCPU102は投入メダルセンサ120又はベットボタンスイッチ116,118からの検出信号を確認する。いずれかの検出信号を受け取ると、メインCPU102は例えばRAM106上でベット数カウンタをインクリメントし、それに伴ってランプ類駆動回路142に駆動信号を出力する。これにより、ベット数表示部12aではベット数カウンタの値に応じた表示が行われる。
【0084】
ベット数カウンタが上限(例えば3)に達すると、メインCPU102はベットボタン30,32の操作を無効にし、それに伴ってランプ類駆動回路142に駆動信号を出力する。これにより、例えばMAXベットボタン32の内蔵LEDは消灯するが、引き続きインサートランプ12dは点灯する。また引き続き、メインCPU102は投入メダルセンサ120からの検出信号を確認し、その検出信号を受け取ると、例えばRAM106上でクレジット数カウンタをインクリメントし、それに伴ってランプ類駆動回路142に駆動信号を出力する。これにより、クレジット表示部12bにてクレジット数カウンタに応じた数値表示が行われる。
【0085】
なお、メインCPU102は投入メダルセンサ120又はベットボタンスイッチ116,118からの検出信号を受け取ると、その都度、サブCPU152に投入処理コマンドを送信する。投入処理コマンドには、遊技者による投入操作やクレジットを追加する操作が受け付けられた旨の情報が含まれる他、例えばそのときのベット数カウンタの値やクレジット数カウンタの値等の情報が含まれている。
【0086】
ステップS12:スタートレバー処理では、ベット数カウンタの値が必要枚数(例えば3)に達していると、メインCPU102はスタートレバー18の操作を受け付け可能にし、それに伴ってランプ類駆動回路142に駆動信号を出力する。これにより、スタートランプ12cが点灯した状態となる。
【0087】
ステップS14:メインCPU102は、必要枚数分のメダルが投入済みであり、かつ、スタートレバー18が操作されたか否かを判断する。これらの条件は、ベット数カウンタの値とスタートスイッチ122からの検出信号に基づいて判断することができる。メインCPU102はベット数カウンタの値を参照しつつ、スタートスイッチ122からの検出信号が入力されたか否かを確認し、いずれかの条件が満たされていなければ(No)、メインCPU102はステップS10〜ステップS14を繰り返す。
【0088】
なお、ステップS14でスタートスイッチ122からの検出信号を受け取った場合、メインCPU102はスタートレバー18の操作を受け付け不可にし、それに伴ってランプ類駆動回路142に駆動信号(OFF命令)を出力する。これにより、スタートランプ12c及びインサートランプ12dがともに消灯する。また、メインCPU102は上述した切り替え機構を作動させ、メダル投入口16から案内路に通じる経路をメダル排出口26に切り替える。
【0089】
またメインCPU102は、スタートスイッチ122からの検出信号を受け取った場合、始動操作コマンドをサブCPU152に送信する。始動操作コマンドには、遊技者によるスタートレバー18の操作が受け付けられた旨の情報が含まれる。合わせてメインCPU102は、図示しない外部端子板を通じて枚数分のメダルイン信号を出力する。
【0090】
〔利益抽選の実行〕
ステップS16:先のステップS14で両方の条件が満たされたと判断すると(Yes)、メインCPU102は次に抽選処理を行う。抽選処理では、メインCPU102は乱数発生器108から乱数サンプリング回路110を通じて乱数(例えば10進数表記で0〜65535のいずれか)を取得し、その値をキャッシュする。そしてメインCPU102は、ROM104から読み出した抽選テーブルを参照し、取得した乱数値がいずれかの当り値と一致しているか否かを判断する。抽選テーブルには、全乱数値(0〜65535)の中でいくつかの当選範囲及び非当選範囲が規定されており、さらに当選範囲に対しては何らかの当選種類(当選役)が割り当てられている。
【0091】
当選種類には、上述した図柄の「ベル」や「スイカ」、「チェリー」に対応する小役、「リプレイ」に対応する再遊技役、「7」や「BAR」に対応する特別役がある。なお「7」は、色の違いにより複数の当選種類に対応する。また当選範囲には、複数の当選種類を兼ねるものもある。例えば、1つの当選範囲が「スイカ」という小役と「7」の特別役を兼ねる場合があったり、「チェリー」という小役と「7」の特別役を兼ねる場合があったりする。いずれにしても、全乱数値の数(65536)に占める当り値の数(N)で当選の確率(N/65536)が決められている。なお抽選テーブルは、上記の「設定1」〜「設定6」ごとに用意されており、一般的に「設定1」で最も当選の確率が低く、「設定6」で最も当選の確率が高い。
【0092】
またメインCPU102は、抽選の結果に基づいてRAM106のフラグ記憶領域に抽選結果フラグをセットする。抽選結果フラグは、今回のゲームで行われた利益抽選の結果を判別するために用いる内部情報である。抽選結果フラグには、抽選結果が非当選であればデフォルト値(例えば0)のままであり、当選であれば当選種類に応じた当選番号(例えば01〜36程度)がそれぞれセットされる。
【0093】
なお、メインCPU102は抽選処理を行うと、サブCPU152に当選番号コマンドを送信する。当選番号コマンドには、抽選の結果が非当選であるか、または当選であればいずれの当選種類に該当するかの情報が含まれる。
【0094】
ステップS18:次にメインCPU102は、回胴回転処理を実行する。この処理では、メインCPU102は前回のゲームでリール6,8,10の回転を始動してからの経過時間を確認する。メインCPU102は例えばタイマカウンタを内蔵しており、このタイマカウンタの読み書き用レジスタには、予め設定された計時情報(例えば4.1秒)が記憶されている。前回の遊技でリール6,8,10の回転を始動させると、メインCPU102は読み書き用レジスタの計時情報をタイマカウンタにロードし、その後、所定の割り込み周期ごとにタイマカウンタをデクリメントする。そしてメインCPU102は、タイマカウンタの値を読み書き用のレジスタを通じて参照し、その値が0になっていればモータ駆動回路130に駆動パルスを出力する。これにより、3つのリール6,8,10が回転を開始する。
【0095】
〔停止位置の制御〕
ステップS20:リール6,8,10を回転させると、次にメインCPU102は回胴停止処理を実行する。この処理は、いわゆる「リール制御」に相当するものである。メインCPU102はリール6,8,10の回転速度が一定になったことを確認すると、各停止ボタン20,22,24について停止スイッチ124及びリール停止信号回路126の機能を有効にする。これにより、例えば停止ボタン20,22,24にLEDが内蔵していれば、リール停止信号回路126はLEDを点灯させたり、その発光色を切り替えたりする処理を行う。
【0096】
次にメインCPU102は、抽選結果フラグに対応するリール制御テーブルをROM104から読み出してRAM106上に格納する。リール制御テーブルには、予め各リール6,8,10の停止位置を個別に制御するための情報が記録されている。具体的には、メインCPU102がリール停止信号を受け付けたタイミングを基準として、そこから各リール6,8,10のステッピングモータを停止させるまでのステップ数(図柄単位の駆動パルス出力回数)が記録されており、通常は停止操作が行われてから4図柄(4図柄分のステップ数)以内が最大の停止許容範囲である。
【0097】
実際に、いずれかの停止ボタン20,22,24についてリール停止信号を受け取ると、メインCPU102は、リール制御テーブルに基づいてステッピングモータに出力する駆動パルス信号を調整し、対応するリール6,8,10の停止位置を制御する。これにより、表示窓14内では見かけ上、有効ライン上に停止してはならない図柄が追い出されたり、逆に停止してよい図柄が引き込まれたりして停止(いわゆる「滑り」が発生)する。合わせてメインCPU102は、リール停止信号回路126からリール停止信号を受け取った順に第1停止フラグ、第2停止フラグ、第3停止フラグをそれぞれRAM106上にセットするとともに、既に停止済みのリール6,8,10については、それぞれについて停止済みフラグをセットする。
【0098】
メインCPU102は回胴停止処理を実行すると、サブCPU152に操作回胴コマンド、押下位置コマンド及び停止位置コマンドを送信する。このうち操作回胴コマンドには、左リール6、中リール8、右リール10のいずれについて停止操作がなされたかを表す情報が含まれる。また押下位置コマンドには、各リール6,8,10について、表示窓14内にいずれの図柄が位置する状態で停止ボタン20,22,24が押下されたかを表す情報が含まれる。そして停止位置コマンドには、各リール6,8,10の停止位置、つまり、表示窓14内の上段・中段・下段の各位置に停止した図柄の種類(いわゆる「出目」)を表す情報が含まれる。
【0099】
回胴停止処理では、メインCPU102がリール制御テーブルに基づいて各リール6,8,10の停止位置を個別に制御する結果、可能な限り当選種類に対応する図柄が有効ライン上に停止する。例えば、当選種類に対応する図柄が「スイカ」であり、3つのリール6,8,10が回転中であって、最初に遊技者が左リール6について停止操作を行った場合を考える。このとき、例えば「スイカ」の図柄が上段に位置するタイミングで停止ボタン20が押下されたとき、その押下位置に対してリール制御テーブルに例えば2図柄分の滑りを発生させる情報が記憶されていれば、上段位置ではなく下段位置に「スイカ」の図柄を停止させるべく、メインCPU102はリール6を図柄2つ分だけ余計に回転させた位置で停止させる。その他の中リール8、右リール10については、停止ボタン22,24がそれぞれ押下されたタイミングで、下段の有効ラインに位置する図柄から周方向(上方向)に数えて4コマ(図柄4個分)以内に「スイカ」の図柄が存在していれば、リール制御によって「スイカ」の図柄が引き込まれ、下段の有効ライン上に停止する。ただし、このとき下段の位置(有効ラインを通り過ぎていない位置)に「スイカ」の図柄が存在していれば、そのまま下段に停止する。このように、リール制御テーブルによって図柄を停止させられる範囲は予め決まっているため、停止ボタン20,22,24が操作されたタイミングによっては有効ライン上に「スイカ」の図柄が停止しないことがある。
【0100】
ステップS22:メインCPU102は、3つのリール6,8,10の全てが停止済みか否かを判断する。未だいずれかのリール6,8,10が回転中であれば(No)、メインCPU102はステップS20の回胴停止処理を実行する。3つのリール6,8,10が全て停止したと判断すると(Yes)、メインCPU102は次のステップS24に進む。
【0101】
ステップS24:3つのリール6,8,10が全て停止済みになると、メインCPU102は結果判定処理を行う。この処理では、メインCPU102は表示窓14内の有効ライン上に停止した図柄の組み合わせ態様に基づいてゲームの結果を判定する。上記のように、下段の有効ライン上に「スイカ」の図柄が3つ揃って停止する組み合わせ態様が表示されていると、メインCPU102は「スイカ」の小役に入賞したと判定する。これ以外にも、「ベル」の図柄の組み合わせ態様(3つの「ベル」)が表示されていたり、「チェリー」の図柄の組み合わせ態様(「チェリー」−ANY−ANY)が表示されていたりした場合、メインCPU102はそれぞれ「ベル」、「チェリー」の小役に入賞したと判定する。
【0102】
あるいは、「リプレイ」の図柄の組み合わせ態様が表示されていると、メインCPU102はゲームの結果を再遊技と判定する。また、「7」の図柄の組み合わせ態様が表示されていた場合、メインCPU102はゲームの結果を特別遊技への移行として判定する。特に図柄の組み合わせ態様が入賞や再遊技、特別遊技への移行に該当していなければ、メインCPU102はゲームの結果を「その他」と判定する。「その他」と判定されるのは、そもそも抽選で非当選であった場合か、もしくは当選していても、ステップS20の回胴停止処理において当選に対応する図柄の組み合わせを表示する(図柄を引き込む)ことができなかった場合である。前者の場合はいわゆる「はずれ」であるが、後者の場合は遊技者が停止ボタン20,22,24を操作するタイミングがリール制御テーブルの条件に合わなかったことに起因するため、いわゆる当選役の「取りこぼし」か、もしくは意図的な「はずし」である。
【0103】
なお、結果判定処理で小役に入賞したと判定した場合、メインCPU102は対応する払出予定数の値(例えば10,15等)をRAM106上に書き込む。それ以外の場合、メインCPU102は払出予定数の値を0(デフォルト)のままとする。
【0104】
ステップS26:ゲームの結果を判定すると、メインCPU102は次に払出処理を行う。この処理では、メインCPU102はRAM106に記録された払出予定数の値を参照して払出装置134の動作を制御する。クレジットモードの場合、払出予定数に0以外の値が記録されていれば、メインCPU102はクレジット数カウンタの値を参照し、最大数に達していなければ、払出予定数の値をクレジット数カウンタの値に加算し、その分を払出予定数から減算する。クレジット数カウンタの値が最大数に達すると、メインCPU102は払出モータ駆動回路136を通じて払出装置134に駆動信号を出力し、実際にメダルの払出動作を実行させる。そしてメインCPU102は、払出完了信号回路138から払出完了信号を受け取ると、その分を払出予定数から減算し、値が0になると払出モータを停止させる。
【0105】
また、メインCPU102は払出処理を実行すると、サブCPU152に回胴停止後コマンドを送信する。回胴停止後コマンドには、全てのリール6,8,10が停止した旨を表す情報が含まれる。なおメダルの払い出しがある場合、メインCPU102は、図示しない外部端子板を通じて枚数分のメダルアウト信号を出力する。
【0106】
結果判定処理で再遊技と判定した場合、メインCPU102は今回のゲームで記憶したベット数カウンタの値を保持(又は復元)してステップS10に移行する。この場合、上記のように新たなメダルの投入が受け付けられない。また、結果判定処理で特別遊技への移行と判定した場合、メインCPU102はRAM106上に特別遊技フラグをセットし、例えばメイン処理とは別の特別遊技中処理に移行する。それ以外の場合、メインCPU102は当選フラグを消去して払出処理を終了し、ステップS10に戻る。ただし、特別遊技への移行に該当する当選フラグ(例えば「7」の図柄に対応するもの)がセットされていた場合であって、結果判定処理で図柄の組み合わせ態様が表示されていないと判定した場合、メインCPU102は当選フラグを消去することなく払出処理を終了し、ステップS10に戻る。これにより、当選フラグは次回以降のゲームに持ち越される。
【0107】
〔特別遊技中処理〕
特に図示しないが、上記の特別遊技中処理に移行すると、メインCPU102は例えば「ビッグボーナスゲーム」や「レギュラーボーナスゲーム」等と称する特別遊技の条件でゲームの進行を制御する。合わせてメインCPU102は、図示しない外部端子板を通じて「ボーナス中」を表す遊技ステータス信号を出力する。この場合、メインCPU102はRAM106上の当選フラグを消去し、また、ROM104から取得した基本的な遊技情報(必要枚数、抽選テーブル等)を特別遊技中のものに書き換える。これにより、特別遊技に移行する前の通常遊技とは異なる条件でゲームが進行する。特に抽選テーブルは、通常遊技中のものより小役の当選確率が高く設定されているため、毎回のゲームで高確率で小役に当選し、その結果、高い頻度で入賞によるメダルの払い出しを受ける機会が遊技者に与えられる。なお特別遊技は、その間の払出枚数が規定枚数に達すると終了条件が満たされる。メインCPU102は、この終了条件が満たされたときのゲームで特別遊技中処理を終了する。
【0108】
〔有利遊技中処理〕
次に、有利遊技中処理について説明する。上記の特別遊技中処理を終了すると、メインCPU102は次に有利遊技中処理を実行する。図示していないが、メインCPU102は有利遊技中処理に移行すると、例えば「リプレイタイム」等と称する有利遊技の条件でゲームの進行を制御する。合わせてメインCPU102は、図示しない外部端子板を通じて「リプレイタイム中」を表す遊技ステータス信号を出力する。
【0109】
メインCPU102は、ROM104からリプレイタイム中の基本的な遊技情報(必要枚数、抽選テーブル等)を読み出し、RAM106の情報記憶領域を書き換える。リプレイタイム中は、毎ゲームの利益抽選で再遊技役に当選する確率が通常よりも高く変更(例えば7.3分の1から1.3分の1程度へ変更)され、その分、非当選(はずれ)になる確率が相対的に低くなっている。またリール6,8,10には、再遊技役に対応する「リプレイ」の図柄が最大4コマ間隔で付されており、遊技者が特にタイミングを計ることなく無作為に停止ボタン20,22,24を操作しても、上述したリール制御によって有効ライン上に「リプレイ」の図柄が停止し、再遊技が高頻度に発生する。これにより、リプレイタイム中に遊技者は自己の保有しているメダルをほとんど使用することなく、繰り返し多くのゲームを実行することができる。一方、「7」や「BAR」等の特別役に当選する確率は通常遊技中と同じであるため、リプレイタイム中に特別役に当選すると、遊技者は、ほとんどメダルの保有数を減らすことなく次回のボーナスゲームに移行することができる。
【0110】
〔リプレイタイム終了条件〕
ただし、リプレイタイム中のゲームで「チェリー」という特定種類の小役に入賞すると、メインCPU102は有利遊技中処理を終了し、リプレイタイムとは別の遊技状態を経由して通常遊技に復帰させる処理を行う。リプレイタイムから別の遊技状態に移行すると、例えば再遊技役の当選確率が通常遊技よりも低く変更される。ただし、別の遊技状態は数回(例えば1〜3回)のゲーム数を消化すると終了し、その次のゲームから通常遊技に復帰する。
【0111】
〔リプレイタイム中の遊技性〕
上記のように、本実施形態のスロットマシン1による遊技では、ボーナスゲームの終了後にリプレイタイムに移行するという付加価値が遊技者に与えられる。この間にボーナス(特別役)に当選すると、さらにリプレイタイムからボーナスゲームに移行する利益が遊技者に与えられる。特にリプレイタイム中は遊技者が保有するメダルの数がほとんど減少しないことから、リプレイタイム中にボーナスに当選する(いわゆる連チャンする)ことは遊技者にとって大きな利益である。
【0112】
ただし、ボーナスに当選する前に「チェリー」の小役に入賞すると、そこでリプレイタイムが一旦途切れ、通常遊技に戻ってしまう。したがって遊技者から見れば、リプレイタイム中には可能な限り「チェリー」に当選することを避けるか、もしくは当選しても入賞を回避することを目的とした遊技性が提供されることになる。
【0113】
そうはいっても、リプレイタイム中に「チェリー」の当選確率が極端に低くなっているわけではなく(例えば確率36分の1程度)、ある程度のゲーム回数を消化するうちに「チェリー」に当選することは自然な事象として発生し得る。なお本実施形態では、「チェリー」の図柄をさらに3色(例えば赤チェリー、青チェリー、白チェリー等)に分け、各色別に当選フラグを割り当てている。したがって、当選値の範囲も3色の「チェリー」で異なるが、各色で当選確率は均等(例えば12分の1ずつ)である。一方、左リール6の図柄配列上、これら3色の「チェリー」の図柄は周方向に等間隔(例えば全21図柄中で6図柄おき)で付されているため、3色いずれかの「チェリー」に当選した場合、遊技者が無作為に停止ボタン20を操作すると、リール制御上は3分の1の確率でそのとき当選した色の「チェリー」が有効ライン上に引き込まれて入賞することになる。
【0114】
ただし、そのとき当選した「チェリー」の色が停止操作前に分かっていれば、遊技者の技術介入によって積極的に入賞を回避することもできる。例えば、ある1色の「チェリー」に当選した場合であっても、これに対応する「チェリー」の図柄がリール制御上の停止許容範囲内(4図柄以内)にないタイミングで遊技者が正しく停止ボタン20を操作すれば、リール制御によって確実に入賞は回避される。
【0115】
そこで本実施形態では、リプレイタイム中のさらなる特典として、遊技者が積極的に「チェリー」の入賞を回避できるように停止操作を補助する機能を備えている。以下、入賞回避の補助機能について説明する。
【0116】
スロットマシン1において入賞回避の補助機能は、上述したサブ制御用コンピュータ150(サブCPU152)で賄うことができる。すなわち、リプレイタイム中のゲームでメインCPU102が抽選処理を実行すると、上記のように当選番号コマンドがサブCPU152に送信される。サブCPU152は、受け取った当選番号コマンドを解析し、そのときの当選種類(当選フラグの種類)を判別することができる。このとき当選種類が3色いずれかの「チェリー」に該当していれば、サブCPU152は液晶表示器44やスピーカ162等を作動させ、遊技者の停止操作を補助するための画像や文字情報、音声等を出力させる処理を行う。なお、補助の詳細については後述する。
【0117】
補助機能によって遊技者が「チェリー」の入賞を回避し続けることができれば、それだけリプレイタイムを長く継続することができる。すなわち、本実施形態ではリプレイタイムのゲーム回数に制限が設けられていないため、ボーナスに当選する前に「チェリー」に当選しても、遊技者が入賞させない限りリプレイタイムが終了しない。
【0118】
ただし、既に述べたようにリプレイタイムからボーナスゲームへの移行を何回も繰り返していくと、遊技者の受ける利益が一方的に累積し、それだけ遊技場が不利になるため、本実施形態ではリプレイタイムからボーナスゲームへの移行が連続した場合、ある程度の回数をもって入賞回避の補助に制限を加えている。以下、このような処理について詳細に説明する。
【0119】
〔ボーナス連続回数カウンター更新処理〕
図4は、サブCPU152により実行されるボーナス連続カウンター更新処理の手順を示すフローチャートである。この更新処理は、スロットマシン1の電源投入後に実行される。以下、各手順に沿って説明する。
【0120】
ステップS30:スロットマシン1の電源投入後、サブ制御用コンピュータ150が起動すると、サブCPU152はスロットマシン1の設定変更が行われたか否かを判断する。設定変更は、上述のように主制御用コンピュータ100において行われる処理であり、設定変更が行われると、メインCPU102からサブCPU152に設定変更コマンドが送信される。この設定変更コマンドに基づき、サブCPU152は設定変更が行われた旨と、その変更後の設定値を知ることができる。通常、遊技場の営業時間内に設定変更が行われることはほとんどないため、実際にスロットマシン1の稼働中は、サブCPU152はステップS30からステップS34に進む。
【0121】
ステップS32:一方、設定変更が行われたと判断した場合(ステップS30:Yes)、サブCPU152はボーナスカウントの値をリセット(=0)する。すなわち設定変更が行われると、主制御用コンピュータ100においてRAM106がクリアされるため、それまでの遊技履歴(ボーナス当選フラグ、ボーナスゲーム中、リプレイタイム中)が消去されるからである。なおボーナスカウントの値は、例えばRAM156のカウント領域に記憶されている。
【0122】
ステップS34,S36:特に設定変更が行われていなければ(ステップS30:No)、サブCPU152はメインCPU102からのコマンド待ちとなる。特にコマンドを受信していない間(ステップS34:No)は、サブCPU152はここで待機する。
【0123】
ここで、現在の状態が通常遊技中であることを前提とすると、ゲームの進行に伴ってメインCPU102から送信されるコマンドは、概ね時系列順にすると以下の通りとなる。
【0124】
(1)投入処理コマンド・・・メダルを投入又はベットボタン30,32を押下する投入操作が受け付けられたことを表す。
(2)始動操作コマンド・・・スタートレバー18を押下する始動操作が受け付けられたことを表す。
(3)当選番号コマンド・・・抽選の結果が非当選であるか、もしくは当選であれば、その当選種類(小役、リプレイ、ボーナス)を表す。なお、このコマンドには3色別の「チェリー」の当選番号が含まれる。
(4)回胴回転コマンド・・・リール6,8,10の回転が開始したこと(回胴始動)を表す。
(5)操作回胴コマンド・・・左リール6、中リール8、右リール10のいずれについて停止ボタン20,22,24が操作されたかを表す。
(6)押下位置コマンド・・・各リール6,8,10について、有効ライン上にどの図柄が位置するタイミングで停止ボタン20,22,24が押下されたかを表す(サブ制御用コンピュータ150で出目履歴等を表示する場合に利用される。)。
(7)停止番号コマンド・・・各リール6,8,10について、有効ライン上にどの図柄が停止したかを表す。
(8)回胴停止後コマンド・・・全てのリール6,8,10が停止したことを表す。
(9)遊技ステータスコマンド・・・通常遊技、ボーナスゲーム、リプレイタイム等の内部状態を表す。
【0125】
上記(1)〜(8)のコマンドは、遊技者の操作が受け付けられたことに応じて順番に送信される。また上記(9)の遊技ステータスコマンドは、例えばメインCPU102において内部状態が変化した場合に送信される。サブCPU152は、ステップS36でいずれかのコマンドを受信すると(Yes)、次のステップS38でコマンドの種類を解析する。
【0126】
ステップS38:サブCPU152は、受信したコマンドの種類を解析し、上記(3)の当選番号コマンドであるか否かを判断する。
ステップS40:当選番号コマンドであることを確認すると(ステップS38:Yes)、次にサブCPU152はボーナスに当選したか否か(ボーナスの当選番号か否か)を判断する。ビッグボーナス又はレギュラーボーナスに当選したと判断すると、サブCPU152は次にステップS42に進む。
【0127】
ステップS42:サブCPU152は、アシストリプレイタイム抽選処理を実行する。この抽選処理は、例えばROM154に格納されている「ARTゲーム数抽選テーブル」に基づいて行われる。なお、「ARTゲーム数抽選テーブル」の詳細については別図を参照しながら後述する。
【0128】
ステップS44:次にサブCPU152は、今現在のステージがリプレイタイム(RT)又はアシストリプレイタイム(ART)であるか否かを判断する。ここでいう「ステージ」とは、サブCPU152の現在の内部状態を表すものである。具体的には、メインCPU102の制御において内部状態がリプレイタイム中である場合に、サブCPU152の制御において入賞回避の補助機能が作動している場合、これを「アシストリプレイタイム(ART)ステージ」としてサブCPU152は認識する。逆に、サブCPU152において入賞回避の補助機能が作動していない場合、単に「リプレイタイム(RT)ステージ」として認識する。なおRAM156のステージ記憶領域には、今現在の「ステージ」の種類を表すフラグが格納されている。
【0129】
ステップS46:今現在が「リプレイタイムステージ」又は「アシストリプレイタイムステージ」である場合(ステップS44:Yes)、サブCPU152はボーナスカウントの値を1だけインクリメントする。
【0130】
ステップS48:これに対し、今現在が「リプレイタイムステージ」又は「アシストリプレイタイムステージ」のいずれでもない場合(ステップS44:No)、サブCPU152はボーナスカウントの値をリセット(=0)する。
【0131】
ステップS50:先のステップS38で当選番号コマンド以外であると判断した場合(No)、もしくはステップS40でボーナスの当選番号以外であると判断した場合(No)、サブCPU152はその他の処理を実行する。その他の処理では、例えば各種コマンドの内容をRAM156に記憶させる。あるいは、メインCPU102からエラー(メダル逆行、メダル切れ、不当入賞等)に関するコマンドを受信した場合、サブCPU152はスピーカ駆動回路158やランプ駆動回路160、液晶制御回路166にエラー情報を出力させる指示を与える。
【0132】
以上の手順を経ると、サブCPU152はステップS34に戻り、それ移行の手順を繰り返し実行する。なお図4のボーナス連続カウンター更新処理は、電源投入後にステップS30の判断を最初に終えると、その後はステップS34移行の手順を一定の割込周期(例えば数ミリ秒毎)で実行してもよい。
【0133】
〔ARTゲーム数抽選テーブル〕
図5は、上記のART抽選処理(図4中のステップS42)で抽選に用いられる「ARTゲーム数抽選テーブル」の一例を示したものである。この「ARTゲーム数抽選テーブル」は、スロットマシン1の設定値(1〜6)別に、それぞれARTゲームの上限回数
「0回」〜「10000回」ごとの振り分け確率を定めたものである。サブCPU152は、例えばRAM156上に抽選用乱数の格納領域を確保しており、この抽選用乱数の値(例えば0〜65535)を一定の割り込み周期(例えば数ミリ秒周期)でインクリメントしている。そしてサブCPU152は、ART抽選処理を実行するタイミングで抽選用乱数の値を別の記憶領域にキャッシュし、この値と現在の設定値に基づいて「ARTゲーム数抽選テーブル」を参照し、ARTゲーム数(上限回数)を決定する。なお図5のテーブル中に示される数値は確率の分子を表す。また、確率の分母はいずれも全乱数値(65536)である。
【0134】
図5に示される「ARTゲーム数抽選テーブル」の一般的な傾向として、スロットマシン1の設定値が高い(例えば設定4〜6)ほど、より多いARTゲーム数が選択される確率が高い。なお、ARTゲーム数の最低は「0回」であり、これが選択された場合、結果的にART抽選そのものにはずれた(非当選)ことになる。一方、「100回」以上が選択された場合はART抽選に当選したことになり、その上でより多いARTゲーム数(最高「10000回」)が選択されると、それだけ遊技者の利益が大きくなる。例えば最高の「10000回」は、実際に遊技場の1日の営業時間内では消化しきれない回数であるため、これが選択された場合、実質的に次回のボーナス当選までがARTゲーム数となる(「チェリー」に入賞した場合を除く)。
【0135】
〔ARTゲーム数の記憶〕
なお特に図示していないが、上記のART抽選処理で「0回」以外のARTゲーム数を決定すると、サブCPU152は決定したARTゲーム数の値をRAM156のゲーム数記憶領域に格納する。
【0136】
〔ARTゲーム数の減算〕
この後、メインCPU102の内部状態がボーナスゲーム中からリプレイタイム中に移行し、その旨を表す遊技ステータスコマンドを受信すると、サブCPU152は毎回のゲームでARTゲーム数を減算していく。例えば、サブCPU152は上記(8)の回胴停止後コマンドを受信すると、図4中のその他の処理(ステップS50)において、RAM156のゲーム数記憶領域に記憶されたARTゲーム数の値を1だけデクリメントする。これにより、ART抽選処理で例えば「100回」のARTゲーム数が選択された後、実際にリプレイタイムに移行してゲーム回数を消化すると、1回のゲームが終了するごとにARTゲーム残数が減少していくことになる。
【0137】
〔演出制御処理〕
次に図6は、サブCPU152により実行される演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。また図7は、演出制御処理で表示される画像の例を示す図である。サブCPU152は、この演出制御処理を所定の割込周期で実行する。また演出制御処理の実行を通じて、リプレイタイム中に「チェリー」の入賞を回避させる補助が行われる。以下、具体的に説明する。
【0138】
ステップS60:サブCPU152は、コマンド待ち処理を実行する。メインCPU102からコマンドを受信すると、次にステップS62に進む。
【0139】
ステップS62:サブCPU152は受信したものが当選番号コマンドであるか否かを確認する。当選番号コマンドを受信したと判断すると(Yes)、次にサブCPU152はステップS64に進む。
【0140】
ステップS64:サブCPU152は、当選結果が「チェリー」に該当しているか否かを判断する。すなわちサブCPU152は、いずれかの色の「チェリー」の当選番号コマンド(赤チェリー、青チェリー又は白チェリー)を受信したと判断すると(Yes)、次にステップS66に進む。
【0141】
ステップS66:サブCPU152は、今現在の内部状態がリプレイタイム中であるか否かを判断する。なお、ここではメインCPUの内部状態を判断する代わりに、サブCPU152の内部状態が上記の「リプレイタイムステージ」又は「アシストリプレイタイムステージ」に該当するか否かを判断してもよい。
【0142】
ステップS68:内部状態がリプレイタイム中であれば(ステップS66:Yes)、次にサブCPU152は、RAM156のゲーム数記憶領域を参照し、今現在でARTゲーム残数が0より大きいか否かを確認する。
【0143】
ステップS70:ARTゲーム残数が未だ0より大きければ(ステップS68:Yes)、サブCPU152はアシスト演出処理を実行する。このアシスト演出処理では、例えば液晶表示器44により画像を表示し、あわせてスピーカ162から音声を出力することで、遊技者に対して「チェリー」の入賞を回避するための停止操作を補助する。
【0144】
〔図7中(A):アシスト演出処理による画像表示例〕
例えば、今回のゲームで当選番号が白チェリーに該当している場合、液晶表示器44の表示画面上に「白チェリー」に対応する図柄を画像として表示させる。このような画像に接した遊技者は、今回のゲームで「白チェリー」に当選したことを明確に覚知することができる。また、合わせてスピーカ162から「白チェリーを外してください」等の音声情報を出力させるとともに、表示画面上にも文字情報を表示させることで、遊技者に対して白色の「チェリー」を入賞させないタイミングで停止操作が行われることを促すことができる。
【0145】
このとき、遊技者は回転中の左リール6を注意深く観察しつつ、例えば「白チェリー」の図柄が下段の有効ラインを通過し、表示窓14の枠下に移動したあたりのタイミングを計って停止ボタン20を操作することができる。あるいは、遊技者は上段の有効ラインから上流方向の4図柄以内に「白チェリー」の図柄が存在しないタイミングを計って停止ボタン20を操作してもよい。いずれの場合も、左リール6は「白チェリー」の図柄を有効ライン上に停止させることなくリール制御によって停止するので、実際に「白チェリー」の小役に入賞することを回避することができる。
【0146】
〔図6:演出制御処理〕
ステップS72:これに対し、ARTゲーム残数が0以下であれば(ステップS68:No)、サブCPU152は非アシスト演出処理を実行する。なお、もともとART抽選処理(図4中のステップS42)で「0回」が選択されていた(ART非当選)場合も同様である。
【0147】
非アシスト演出処理では、いずれの色の「チェリー」に当選したのかを遊技者に教示しない内容の画像を表示させたり、スピーカ162から演出用の警報音を出力させたりすることで、遊技者に対して「チェリー」に当選したことを教示するが、具体的に入賞を回避するための停止操作は補助しない。
【0148】
〔図7中(B):非アシスト演出処理による画像表示例〕
例えば、今回のゲームで当選番号が白チェリーに該当していたとしても、液晶表示器44の表示画面上には単に「注意!」等の文字情報とともに、例えば3色全ての「チェリー」の図柄が並んで表示されるだけであり、具体的にいずれの色の「チェリー」に当選したかを特定する画像は表示されない。このような画像に接した遊技者は、今回のゲームで3色いずれかの「チェリー」に当選したことを認識することはできるものの、果たしてどの色であるかを特定することができない。したがって、遊技者がどのようなタイミングで停止ボタン20を操作しても、3分の1の確率で「チェリー」に入賞することになる。
【0149】
〔図6:演出制御処理中のその他の手順〕
ステップS74:なお、サブCPU152が当選番号コマンド以外を受信した場合(ステップS62:No)、その他演出処理を実行する。その他演出処理では、例えば上記(1)の投入処理コマンドや(4)の回胴回転コマンド、(5)の操作回胴コマンドを受信した場合、サブCPU152はスピーカ駆動回路158に対してベット効果音やメダル投入音、リール始動音、リール停止音等を出力させる指示を与える。これにより、ゲームの進行状況に応じてスピーカ162から効果音を出力する演出が実行される。あるいは、(7)の停止番号コマンドを受信した場合、サブCPU152は有効ライン上に停止した図柄の組み合わせを判断し、スピーカ駆動回路158及びランプ駆動回路160に対してテンパイ演出や入賞演出を指示する。これにより、スピーカ162からテンパイ音やメダルの払出音を出力させたり、トップランプ37や左右のパネルランプ40,42を点灯・点滅させたり、あるいは、入賞時にリール6,8,10のバックランプを点滅させて有効ライン上の各図柄を強調したりする演出が実行される。
【0150】
ステップS76:また、先のステップS64で「チェリー」以外の当選番号コマンドを受信していた場合(No)、あるいは、先のステップS66でリプレイタイム中でないと判断した場合(No)、いずれもサブCPU152は当選演出処理を実行する。この当選演出処理では、サブCPU152は当選番号に基づいて演出抽選を実行し、当選時の演出の進行を制御する。ここでの演出は、例えば何らかの演出が行われる予定であることを意味する予告演出であったり、小役、ボーナス等の当選を遊技者に対して教示するための告知演出であったりする。
【0151】
〔演出制御処理のまとめ〕
以上の演出制御処理を通じて、リプレイタイム中のゲームで「チェリー」に当選した場合、今現在のARTゲーム残数が0より大きければ(ステップS68:Yes)、サブCPU152はアシスト演出処理(ステップS70)を実行する。この場合、遊技者に対して「チェリー」の入賞回避を補助するための動作が演出(アシスト演出)として提供される。このようなアシスト演出は、抽選で決定されたARTゲーム数の期間にわたって継続するので、この期間は遊技者にとって「入賞回避の補助を受けられる期間」、つまり「アシストリプレイタイム」となる。
【0152】
一方、リプレイタイム中のゲームで「チェリー」に当選しても、今現在のARTゲーム残数が0以下であれば(ステップS68:No)、サブCPU152は非アシスト演出処理(ステップS72)を実行する。この場合、遊技者に対して「チェリー」の入賞回避を補助するための動作は行われないが、「チェリー」に当選した旨を教示する演出が行われる。これにより、遊技者に対して「チェリー」に入賞する可能性があることを示唆し、それによって「リプレイタイム」も終了する可能性があることを事前に知らせることができる。このような演出は、遊技者に対して自力で「チェリー」の入賞を回避しようと試みさせる契機となるため、それによってハラハラドキドキした遊技性を提供することができる。
【0153】
〔ARTリミット処理〕
図8は、サブCPU152が実行するARTリミット処理の手順例を示したフローチャートである。サブCPU152は、ARTリミット処理を所定の割込周期で実行する。このARTリミット処理は、図4のボーナス連続カウンター更新処理で更新されたボーナスカウントの値に基づき、既に決定されているARTゲーム数を後から減少させるものである。以下、手順を追って説明する。
【0154】
ステップS100,S102:サブCPU152は、メインCPU102から送信されるコマンドを待ち受け、コマンドを受信した場合は次のステップS104に進む。
【0155】
ステップS104:サブCPU152は、受信したコマンドに基づいてボーナスゲームが終了したか否かを判断する。この判断は、上記の遊技ステータスコマンドに基づいて行われる。例えば、先ずボーナスゲームに移行する際、メインCPU102からサブCPU152に対して「ボーナスゲーム中」を表す遊技ステータスコマンドが送信される。次にボーナスゲームが終了し、リプレイタイムに移行する際、メインCPU102は「ボーナスゲーム終了」及び「リプレイタイム中」を表す遊技ステータスコマンドをサブCPU152に送信する。これらのコマンドを受信すると、サブCPU152はボーナスゲームが終了したと判断し(Yes)、次にステップS106に進む。
【0156】
ステップS106:サブCPU152は、上記の「アシストリプレイタイム」に突入するか否かを判断する。具体的には、RAM156のゲーム数記憶領域に記憶されたARTゲーム数の値を参照し、「0回」以外のARTゲーム数が記憶されていれば、「アシストリプレイタイム」に突入すると判断する(Yes)。この場合、サブCPU152はステップS108を実行する。
【0157】
ステップS108:次にサブCPU152は、RAM156のカウント領域に記憶されたボーナスカウントの値を参照し、その値が9以上であるか否かを判断する。その結果、ボーナスカウントの値が9以上であれば(Yes)、次にサブCPU152はステップS110を実行する。
【0158】
ステップS110:サブCPU152は、既に決定されているARTゲーム数を100に書き換える。例えば、先に行われたART抽選処理(図4中のステップS42)で「100回」より多いARTゲーム数(例えば10000回)が選択されていた場合であっても、サブCPU152は強制的にRAM156のゲーム数記憶領域に記憶されているARTゲーム数を「100回」に書き換える。なお、もともと「100回」であった場合は実質的な変化はない。
【0159】
これに対し、先のステップS106で「アシストリプレイタイム」に突入しないと判断した場合(No)、あるいは、ステップS108でボーナスカウントの値が9未満であると判断した場合(No)、いずれもサブCPU152は、そこでARTリミット処理をひとまず終了する。
【0160】
ステップS112:なお、先のステップS104で特にボーナスゲーム終了を表すコマンド以外を受信したと判断した場合(No)、サブCPU152はその他の処理を実行する。
【0161】
〔ARTリミット処理のまとめ〕
以上のARTリミット処理では、特にボーナスカウントの値が10以上であった場合、たとえ「100回」より多いARTゲーム数が選択されていても、後から強制的に「100回」に制限される。これは、リプレイタイム中にボーナスに当選した回数が10回以上(いわゆる10連チャン以上)にもなっていれば、すでに遊技者には充分な利益(獲得したメダル数)が与えられていると考えられることから、それ以上に遊技者が有利になる状況を制限しようという考え方に基づいている。
【0162】
したがって、10回以上連続でリプレイタイム中にボーナスを当選させた遊技者は、そこから先のリプレイタイムでは「チェリー」の入賞回避の補助を受ける機会が最少に制限されることになる。この後、たとえ11回、12回と連続でリプレイタイム中にボーナスを当選させても、同様にARTゲーム数は「100回」に制限されることになる。そして、「アシストリプレイタイム」が終了し、「チェリー」に入賞すると、それによってリプレイタイムが終了することになる。この後は通常遊技に復帰するので、遊技者がゲームを継続する場合、それまでの有利な条件ではなく通常の条件でゲームを進行させることになり、遊技者だけが一方的に有利であり続けることはない。
【0163】
以上の説明から本実施形態の詳細は既に明らかとなっているが、以下に実際のタイムチャート上でボーナスカウント及びARTゲーム数の変化を示しつつ説明する。
【0164】
図9は、実際のゲームの進行に伴い、ボーナスカウントとARTゲーム数の値が変化する様子を示すタイムチャートである。なお、図9中の横軸はゲームの実行回数(消化したゲーム回数)を表している。
【0165】
図9中(A):例えば、通常遊技中をスタート時点として考えると、この時点でボーナスカウントの値はデフォルト(例えば「0」)である。この後、ボーナスに初当選すると、図4のボーナス連続カウンター更新処理(ステップS48)においてボーナスカウントがリセット(=0)される。
【0166】
図9中(B):ボーナス初当選を契機として、ART抽選処理(図4中のステップS42)で「ARTゲーム数抽選テーブル」に基づく抽選が行われ、ARTゲーム数が選択される(例えば100回)。
【0167】
この後、ボーナスゲームが終了し、リプレイタイムに移行すると、サブCPU152の内部状態は「アシストリプレイタイムステージ」となり、実際に「アシストリプレイタイム」に突入する(図9中に「ART中」と表記)。この間、1回のゲームごとにARTゲーム数はデクリメントされていく(「チェリー」の当選回数は無関係)。
【0168】
「アシストリプレイタイム」では、上記のように「チェリー」の入賞回避が補助されるため、遊技者がリール6の停止操作を適切なタイミングで行っている限り、リール制御によって「チェリー」の入賞を回避し続けることができ、リプレイタイムを継続することができる。
【0169】
図9中(A):リプレイタイム中にボーナスに当選(2連続)すると、図4のボーナス連続カウンター更新処理(ステップS46)においてボーナスカウントが1だけインクリメント(+1)される。これにより、ボーナスカウントの値は「1」に繰り上がる。
【0170】
図9中(B):またボーナス当選を契機として、ART抽選処理(図4中のステップS42)で「ARTゲーム数抽選テーブル」に基づく抽選が行われ、ARTゲーム数が改めて選択される(例えば200回)。
【0171】
以下同様にして、ボーナスゲーム終了後にリプレイタイムに移行すると、サブCPU152では「アシストリプレイタイム」に突入する。
【0172】
図9中(A):さらに3連続、4連続、・・・10連続までリプレイタイム中にボーナスに当選すると、その都度、ボーナスカウントが1ずつインクリメントされていき、10連続当選したところでボーナスカウントの値は「9」に達している。
【0173】
図9中(B):またこの間のボーナス当選を契機として、その都度、ARTゲーム数が選択される。この例では、10連続目のボーナス当選を契機として、「700回」のARTゲーム数が選択されている。
【0174】
10連続目に当選したボーナスについて、実際にボーナスゲームが終了した場合を考える。このとき、図8のARTリミット処理ではボーナスカウントの値が「9以上」と判定されるため、ARTゲーム数が強制的に「700回」から「100回」に減少させられることになる。これにより、10連続目のボーナスゲーム終了後のリプレイタイムでは、最少のARTゲーム数で「アシストリプレイタイム」に突入することになる。
【0175】
この後、100回のゲームが行われる間にボーナスに当選しなければ、そこで「アシストリプレイタイム」は終了する(ARTゲーム数「0回」)。この場合、サブCPU152の内部状態は「リプレイタイムステージ」に移行するので、この後、「チェリー」に当選しても、上記の非アシスト演出処理(図6中のステップS72)が実行される。このため、やがて3分の1の確率で「チェリー」の入賞が発生し、リプレイタイムが終了する。
【0176】
以上のように本実施形態によれば、遊技者だけが一方的に有利な状況が延々と継続するのを抑制し、遊技場との適度なバランスを図ることができる。また、一部の遊技者だけが連続的にボーナス当選を引き当てていても、ある程度のところまで連続すると、通常遊技に復帰しやすい状況がもたらされるため、遊技者間の不公平を起きにくくすることができる。また、ボーナス連続カウンター更新処理やARTリミット処理はサブCPU152で実行されており、これら処理の結果でサブCPU152での内部状態が変化しても、メインCPU102での内部状態に影響を与えることはないため、メインCPU102の処理負担を増大させることはない。
【0177】
〔その他の実施形態〕
本発明は上述した一実施形態に制約されることなく、種々の変形を伴って実施することができる。一実施形態で挙げたアシスト演出用の画像はあくまで好ましい例示であり、これ以外の画像を用いることは当然に可能である。
【0178】
また、一実施形態で用いたボーナスカウントの値やARTゲーム数は適宜に変更可能であり、とくに例として挙げたものに限定されることはない。特に、図8のARTリミット処理(ステップS110)では、既に決定されているARTゲーム数を「100回」に書き換えるものとしているが、これを「0回」に書き換えてもよい。この場合、その前のART抽選処理でどのようなARTゲーム数が選択されていても、これを強制的に「0回」に減少させられる結果、ART抽選の当選が取り消されたかのような効果が得られる。
【0179】
一実施形態では、リプレイタイムの終了条件として「チェリー」の入賞を例に挙げているが、これ以外の小役でもよい。また、一実施形態では有利遊技の例としてリプレイタイムを挙げているが、有利遊技はアシストタイム(AT)でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】回胴式遊技機の一例であるスロットマシンを示す斜視図である。
【図2】スロットマシンに装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。
【図3】メインCPUにより実行されるメイン処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】サブCPUにより実行されるボーナス連続カウンター更新処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】「ARTゲーム数抽選テーブル」の一例を示した図である。
【図6】サブCPUにより実行される演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。
【図7】演出制御処理で表示される画像の例を示す図である。
【図8】サブCPUが実行するARTリミット処理の手順例を示したフローチャートである。
【図9】実際のゲームの進行に伴い、ボーナスカウントとARTゲーム数の値が変化する様子を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0181】
1 スロットマシン
6 左リール
8 中リール
10 右リール
14 表示窓
16 メダル投入口
18 スタートレバー
20 左停止ボタン
22 中停止ボタン
24 右停止ボタン
30 ベットボタン
32 MAXベットボタン
38 トップランプ
40 左パネルランプ
42 右パネルランプ
44 液晶表示器
100 主制御用コンピュータ
102 メインCPU
150 サブ制御用コンピュータ
152 サブCPU
162 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1回のゲームごとに使用する遊技媒体の数を決定して所定の表示位置を有効にし、複数種類の図柄が周方向に配列して付された複数の表示体を周方向に回転させて図柄の表示を変動させた後、遊技者の停止操作に応じて前記表示体の回転を順次停止させ、全ての前記表示体の停止時に前記有効な表示位置に表示された図柄の組み合わせからゲームの結果を判断する遊技機において、
前記表示体の回転を始動させる遊技者の始動操作に応じて、遊技者の利益に関わる利益抽選を行う抽選実行手段と、
前記表示体が回転した状態で遊技者により前記停止操作が行われると、前記利益抽選の結果に基づいて前記表示体の停止位置を所定の可能範囲内で制御する停止位置制御手段と、
遊技者にとって通常の条件でゲームが進行する通常遊技中に前記利益抽選の結果が特別役の当選に該当し、かつ、前記表示体の停止時に前記特別役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、前記通常遊技よりも遊技者にとって特別に有利な条件でゲームが進行する特別遊技に移行させる第1の特別遊技移行手段と、
前記特別遊技が終了すると、前記特別遊技とは別に前記通常遊技よりも遊技者に有利な条件でゲームが進行する有利遊技に移行させる有利遊技移行手段と、
前記有利遊技中のゲームで前記利益抽選の結果が前記特別役の当選に該当し、かつ、前記特別役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、前記有利遊技から前記特別遊技に移行させる第2の特別遊技移行手段と、
前記有利遊技中のゲームで前記利益抽選の結果が特定種類の小役の当選に該当し、かつ、前記表示体の停止時に前記特定種類の小役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、前記有利遊技を終了させて前記通常遊技に復帰させる処理を行う有利遊技終了手段と、
前記有利遊技中のゲームで前記利益抽選の結果が前記特定種類の小役の当選に該当した場合であっても、前記停止位置制御手段による制御によって前記表示体の停止時に前記特定種類の小役に対応する図柄の組み合わせが表示されることを回避するべく遊技者による前記停止操作を補助する入賞回避補助手段と、
前記第2の特別遊技移行手段により前記有利遊技から前記特別遊技に移行された回数に基づいて、前記入賞回避補助手段による補助を制限する補助制限手段と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記補助制限手段は、
前記有利遊技から前記特別遊技に移行された回数が累計して所定回数に達した場合に前記入賞回避補助手段による補助を制限することを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の遊技機において、
前記利益抽選の結果が前記特別役の当選に該当したことを契機として、予め前記有利遊技に移行した場合に前記入賞回避補助手段による補助を伴って進行するゲームの上限回数を決定する上限回数決定手段をさらに備え、
前記補助制限手段は、
前記上限回数決定手段により決定された上限回数を減少させることで前記入賞回避補助手段による補助を制限することを特徴とする遊技機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の遊技機において、
前記利益抽選の結果が再遊技役の当選に該当し、かつ、前記表示体の停止時に前記再遊技役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、改めて遊技媒体を使用することなく今回のゲームと同じ数の遊技媒体を使用して次回のゲームを実行可能とするリプレイ実行手段をさらに備え、
前記有利遊技は、
前記通常遊技よりも前記利益抽選で前記再遊技役に当選する確率が高く変更された遊技であることを特徴とする遊技機。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の遊技機において、
少なくとも前記抽選実行手段、前記停止位置制御手段、前記第1の特別遊技移行手段、前記有利遊技移行手段、前記第2の特別遊技移行手段及び前記有利遊技終了手段としての機能を果たすための制御プログラムを実行する主制御用コンピュータと、
前記主制御コンピュータから制御上のコマンドを受信して、少なくとも前記入賞回避補助手段及び前記補助制限手段としての機能を果たすための制御プログラムを実行するサブ制御用コンピュータとをさらに備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項6】
複数種類の図柄が周方向に配列して付された複数の表示体を有し、遊技者による遊技媒体を投じる操作に応じて所定の表示位置を有効にした状態で、遊技者の始動操作に応じて前記表示体を周方向に回転させることで図柄の表示を変動させた後、遊技者の停止操作に応じて前記表示体の回転を順次停止させ、全ての前記表示体の停止時に前記有効な表示位置に表示された図柄の組み合わせから1回ごとのゲームの結果を判断する遊技機において、
1回のゲームごとに前記始動操作に応じて遊技者の利益に関わる利益抽選を実行する抽選実行手段と、
前記始動操作に応じて前記表示体が回転している間に遊技者による前記停止操作を受け付ける停止操作受付手段と、
回転中の前記表示体について遊技者により前記停止操作がなされた場合、前記停止操作受付手段により前記停止操作が受け付けられたタイミングで前記有効な表示位置に存在している現在図柄を基準に、この現在図柄を含めて前記表示体の周方向でみた所定の停止許容範囲内に含まれる図柄のいずれかを前記利益抽選の結果に基づいて前記有効な表示位置に停止させるべく前記可動体の停止位置を制御する停止位置制御手段と、
前記利益抽選の結果が小役の当選に該当した場合、そのゲームで全ての前記表示体の停止時に前記有効な表示位置に前記小役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、前記小役に入賞したと判定して遊技媒体の払い出しを行う入賞払出手段と、
前記利益抽選の結果が再遊技役の当選に該当した場合、そのゲームで全ての前記表示体の停止時に前記有効な表示位置に前記再遊技役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、遊技者が遊技媒体を投じる操作を要することなく次回のゲームの実行を可能とするリプレイ実行手段と、
遊技者にとって通常の条件でゲームが進行する通常遊技中に、前記利益抽選の結果が特別役の当選に該当した場合、そのゲーム又はこれ以降のゲームで全ての前記表示体の停止時に前記有効な表示位置に前記特別役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、前記通常遊技よりも遊技者に有利な特別の条件でゲームが進行する特別遊技に移行させる第1の特別遊技移行手段と、
前記特別遊技中に行われたゲームの結果に基づいて所定の終了条件が満たされた場合、前記特別遊技を終了させて前記通常遊技よりも前記利益抽選で前記再遊技役に当選する確率が高く変更されたリプレイタイム遊技に移行させるリプレイタイム移行手段と、
前記リプレイタイム遊技中に前記利益抽選の結果が前記特別役の当選に該当した場合、そのゲーム又はこれ以降のゲームで全ての前記表示体の停止時に前記有効な表示位置に前記特別役に対応する図柄の組み合わせが表示されると、前記リプレイタイム遊技を終了させて前記特別遊技に移行させる第2の特別遊技移行手段と、
前記リプレイタイム遊技中のゲームで前記利益抽選の結果が特定種類の小役の当選に該当し、かつ、全ての前記表示体の停止時に前記有効な表示位置に前記特定種類の小役に対応する図柄の組み合わせが表示されて前記特定種類の小役に入賞したと判定すると、前記リプレイタイム遊技を終了して前記通常遊技へ復帰させる処理を行うリプレイタイム遊技終了手段と、
前記リプレイタイム遊技中のゲームで前記利益抽選の結果が前記特定種類の小役に該当した場合、そのゲームで遊技者が前記停止操作を行うに際し、回転中の前記可動体について前記特定種類の小役に対応する図柄が前記停止許容範囲内に存在しないタイミングで遊技者により前記停止操作が行われることを促すことにより、前記特定種類の小役の入賞を回避するべく前記停止操作を補助する入賞回避補助手段と、
前記第2の特別遊技移行手段により前記リプレイタイム遊技から前記特別遊技に移行された回数の累計が所定回数に達した場合、前記入賞回避補助手段による補助を制限する補助制限手段と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項7】
請求項6に記載の遊技機において、
前記利益抽選の結果が前記特定種類の小役の当選に該当した場合、全ての前記表示体の停止時に、少なくとも特定の配置にある1つの前記可動体について前記特定種類の小役に対応する図柄が前記有効な表示位置に停止していれば、その他の前記可動体について前記有効な表示位置に停止している図柄の種類に関わらず、前記特定種類の小役に入賞したと判定されるものであり、
前記入賞回避補助手段は、
前記特定の配置にある1つの前記可動体について、その回転中に前記特定種類の図柄が前記停止許容範囲内に存在しないタイミングで遊技者により前記停止操作が行われることを促すことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−34293(P2009−34293A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200280(P2007−200280)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】