説明

遊技機

【課題】乱数監視中に同一の乱数値を取得した場合において、それが乱数発生装置の異常によるものか否かを正確に判別することができる遊技機を提供する。
【解決手段】乱数クロック発生回路B51、複数の乱数テーブルB53a、及び乱数テーブルB53aを変更する乱数テーブル変更決定部B52を有する乱数発生装置12と、基準クロックを発生させる基準クロック発生回路と、乱数発生装置12の異常を検出する異常判定手段B100とを備え、異常判定手段B100は、異常判定用乱数を3回取得する異常判定乱数取得部B101及び異常判定乱数記憶部B102と、乱数発生装置12に異常が発生したか否かを判断する異常判定乱数比較部B103及び異常判定部B104とを備え、異常判定用乱数を取得する間隔は、乱数テーブルB53aが変更される周期より短く且つクロックの周期より長いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技における当否抽選、図柄抽選、及び演出パターンの抽選等に用いられる乱数を発生させる乱数発生装置を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
このような、乱数発生装置を備えた遊技機では、例えば、発振子で構成される乱数クロック発生回路により所定の周期で発生した乱数クロックに基づいて、クロックカウント回路により所定の桁数の乱数値をカウントさせ、遊技の制御を行うCPUがカウントされた乱数値を抽出して読み込むことにより、当否乱数、図柄抽選用の乱数、及び演出パターン抽選用の乱数として使用する遊技機が周知となっている。このような遊技機においては、ハードウェアで乱数値をカウントすることにより、CPUにより制御されるソフトウェアの負担を軽減させ、乱数クロック発生回路によるクロックの発生周期に応じて、高速に乱数を発生・更新させることが可能な乱数発生装置が用いられている。
【0003】
ところで、上記のように、ハードウェアにより乱数を発生させる場合に、乱数発生装置に何らかの動作異常が生じた場合、クロックカウント回路により乱数値が周期的にカウントされずにカウント停止の状態になることがあった。この状態になると、CPUが同一の乱数値を連続して読み込む事態が生じることがある。そこで、乱数発生装置が正常に動作しているか否かを監視することができる乱数監視装置を用いることで、乱数発生装置の動作異常を検出することが可能な遊技機が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−192919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような乱数監視装置は、乱数発生装置がカウンタのような単純な構造であれば問題ないが、複雑な構造の乱数発生装置を用いる場合は、監視プログラムの構築が困難になるという問題がある。そこで、このような場合は、ソフトウェア等を利用して同一の乱数値を連続的に取得したか否かを判断し、連続的に取得した場合を異常とする方法が採られる。しかしながら、この種の方法では、取得させる乱数値の数を増やすことにより監視の精度自体を上げることはできるものの、プログラムの容量の増大が懸念される。また、この種の方法では、偶然同一の乱数値を取得した場合を排除することはできない。すなわち同一の乱数値を取得した場合、乱数発生装置の異常により同一の乱数値を取得したのか、それとも偶然同一の乱数値を取得したのかを正確に判別することができない、という課題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、乱数監視中に同一の乱数値を取得した場合において、それが乱数発生装置の異常によるものか否かを正確に判別することができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明に係る遊技機は、所定の周波数でクロックを発生させるクロック発生手段(例えば、実施形態における乱数クロック発生回路B51,B151)と、クロック発生手段が発生したクロックに基づいて、定められた範囲内の乱数値を初期値から最終値まで所定の周期で更新する乱数発生装置と、第一の信号(例えば、実施形態におけるスタートレバーSTの操作信号、第1及び第2始動入賞具124a及び124bへの入賞による入賞信号)に応じて第一ラッチ信号を出力する第一ラッチ信号出力手段(例えば、実施形態における第1ラッチ信号出力回路B71,B171)と、第一ラッチ信号に基づいて乱数発生装置から乱数値を取得する乱数値取得手段(例えば、実施形態における抽選用乱数取得部B34a、決定用乱数取得部B134a,B135a)と、乱数値取得手段が取得した乱数値に基づいて当たりか否かを判定する当否判定手段(例えば、実施形態における抽選役判定部B34b、当たり決定部B134b、確率変動決定部B135b)とを備えた遊技機において、第二の信号(例えば、実施形態におけるCPU14により異常判定用乱数を取得するために出力される第2トリガ信号)に応じて第二ラッチ信号を出力する第二ラッチ信号出力手段(例えば、実施形態における第2ラッチ信号出力回路B72,B172)と、第二ラッチ信号に基づいて乱数発生装置から乱数発生装置の異常を検出するための異常検出用乱数値を取得すると共に、乱数発生装置の異常を判定するために所定の間隔でn回(ただし、nは3以上の整数)繰り返し取得する異常検出用乱数値取得手段(例えば、実施形態における異常判定乱数取得部B101)と、異常検出用乱数値取得手段が取得した異常検出用乱数値のうち3個以上が同一であると判定した場合に乱数発生装置に異常が発生したものと判定する異常判定手段(例えば、実施形態における異常判定部B104)とを備え、異常検出用乱数値取得手段が異常検出用乱数値を取得する間隔は、乱数発生装置の所定の時間より短く、且つクロックの周期より長いことを特徴とする。なお、上記乱数発生装置の所定の周期とは、初期値から最終値までの一様の乱数値(例えば0〜65535)を一通り発生させるのに要する時間のことである。
【0008】
また、第2の発明に係る遊技機は、所定の周波数でクロックを発生させるクロック発生手段(例えば、実施形態における乱数クロック発生回路B51,B151)と、クロック発生手段が発生したクロックに基づいて、定められた範囲内の乱数値を初期値から最終値まで所定の周期で更新する乱数発生装置と、第一の信号(例えば、実施形態におけるスタートレバーSTの操作信号、第1及び第2始動入賞具124a及び124bへの入賞による入賞信号)に応じて第一ラッチ信号を出力する第一ラッチ信号出力手段(例えば、実施形態における第1ラッチ信号出力回路B71,B171)と、第一ラッチ信号に基づいて乱数発生装置から乱数値を取得する乱数値取得手段(例えば、実施形態における抽選用乱数取得部B34a、決定用乱数取得部B134a,B135a)と、乱数値取得手段が取得した乱数値に基づいて当たりか否かを判定する当否判定手段(例えば、実施形態における抽選役判定部B34b、当たり決定部B134b、確率変動決定部B135b)とを備えた遊技機において、第二の信号(例えば、実施形態におけるCPU14により異常判定用乱数を取得するために出力される第2トリガ信号)に応じて第二ラッチ信号を出力する第二ラッチ信号出力手段(例えば、実施形態における第2ラッチ信号出力回路B72,B172)と、第二ラッチ信号に基づいて乱数発生装置の異常を検出するための異常検出用乱数値を取得すると共に、乱数発生装置の異常を判定するために所定の間隔でn回(ただし、nは3以上の整数)繰り返し取得する異常検出用乱数値取得手段(例えば、実施形態における異常判定乱数取得部B101)と、異常検出用乱数値取得手段が取得した異常検出用乱数値のうち3個以上が同一であると判断した場合に乱数発生装置に異常が発生したものと判定する異常判定手段(例えば、実施形態における異常判定部B104)とを備え、異常検出用乱数値取得手段が異常検出用乱数値を3回取得するまでに要する期間は、上記乱数発生装置の所定の周期が2度経過するまでに要する期間より短く、且つ異常検出用乱数値を取得する間隔はクロックの周期より長いことを特徴とする。なお、上記乱数発生装置の所定の周期とは、第1の発明と同様、初期値から最終値までの一様の乱数値(例えば0〜65535)を一通り発生させるのに要する時間のことである。
【0009】
また、異常判定手段は、異常検出用乱数値取得手段が異常検出用乱数値を取得するときに、取得した異常検出用乱数値が前回取得した異常検出用乱数値と同一であるか否かを判定し、取得した異常検出用乱数値が前回取得した異常検出用乱数値と同一でないことを判定した時点で、乱数発生装置に異常が発生していないものと判定することが好ましい。
【0010】
そして、異常検出用乱数値取得手段は、当否判定手段の判定に用いられる乱数値の取得が行われていないタイミングで、異常検出用乱数値を取得することが好ましく、更には、当否判定手段の判定に用いられる乱数値の取得が行われていないタイミングが発生するときに異常検出用乱数値を取得し、且つ異常判定手段が乱数発生装置に異常が発生しているか否かの判定を行うことが好ましい。
【0011】
なお、異常検出用乱数値取得手段は、当否判定手段の判定に用いられる乱数値の取得と同時に、1個目の異常検出用乱数値を取得するようにしてもよく、当否判定手段の判定に用いられる乱数値の取得が行われるときに1個目の異常検出用乱数値を取得し、且つ異常判定手段が乱数発生装置に異常が発生しているか否かの判定を行うことが好ましい。
【0012】
また、乱数発生装置は、乱数値取得手段により取得される可能性がある乱数値が初期値から最終値まで互いに異なる所定の順序で更新するように配置されている複数の乱数テーブルと、複数の乱数テーブルのうちの一つの乱数テーブルを所定の周期で選択するテーブル選択手段(例えば、実施形態における乱数テーブル決定部B52)とを備えて構成されることが好ましい。そして、上記テーブル選択手段は、複数の乱数テーブルのうちの一つの乱数テーブルを選択するために用いるテーブル選択用乱数値を取得し、テーブル選択用乱数値に基づいて、選択する乱数テーブルを決定することが好ましく、または、テーブル選択手段は、予め決められた順序で一つの乱数テーブルを選択することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上、第1の発明に係る遊技機によれば、異常検出用乱数値取得手段が異常検出用乱数値を取得する間隔が、乱数発生装置の所定の周期より短く且つクロックの周期より長いため、取得した3個の異常検出用乱数値が同一であることを条件として確実に異常と判定することができる。このように、3回乱数値を取得するだけで異常を検出できることから、プログラム等の容量を削減することができるとともに、偶発的に同一乱数値を取得した場合を排除しつつ、確実に乱数発生装置の異常を検出することができる。
【0014】
また、第2の発明に係る遊技機によれば、異常検出用乱数値を3回取得するまでに要する期間が、乱数発生装置の所定の周期が2度経過するまでに要する時間より短く、且つ異常検出用乱数値を検出する間隔がクロックの周期より長いことにより、乱数発生装置の所定の周期が2回経過する間に少なくとも3回異常検出用乱数値を取得することが可能となり、取得した3個の異常検出用乱数値が同一であることを条件として確実に異常と判定することができる。このように、3回乱数値を取得するだけで異常を検出できることから、第1の発明に係る遊技機と同様に、プログラム等の容量を削減することができるとともに、偶発的に同一乱数値を取得した場合を排除しつつ、確実に乱数発生装置の異常を検出することができる。
【0015】
また、異常判定手段は、取得された異常検出用乱数値が前回取得された異常検出用乱数値と同一でないことを確認した時点で、乱数発生装置に異常が発生していないものと判定することにより、異常判定処理を簡素化することができ、正常時の処理をより高速に行うことができる。
【0016】
そして、異常検出用乱数値取得手段は、当否判定手段の判定に用いられる乱数値の取得が行われていないタイミング(以下、乱数非取得遊技状態と称する)で、異常検出用乱数値を取得することにより、当否抽選、図柄抽選、または演出パターン等の抽選に用いられる乱数の取得処理に影響を与えることなく、異常判定処理を行うことができる。更に、乱数非取得遊技状態が発生するときに、異常検出用乱数値を取得し異常判定手段が異常の有無を判定することにより、当否抽選、図柄抽選、または演出パターンの抽選等の乱数取得処理のサブルーチンとして異常判定処理を構築することができ、プログラム等が使用する容量を削減できるとともに、乱数発生装置の異常を早期に発見することができる。
【0017】
また、異常検出用乱数値取得手段は、当否判定手段の判定に用いられる乱数値の取得と同時に1個目の異常検出用乱数値を取得することにより、異常判定処理を効率良く行うことができ、更に、当否判定手段の判定に用いられる乱数値の取得が行われるときに、1個目の異常検出用乱数値の取得及び乱数発生装置の異常の有無の判定を行うことにより、当否抽選、図柄抽選、または演出パターンの抽選等の乱数取得処理のサブルーチンとして異常判定処理を構築することができ、プログラム等が使用する容量を削減できるとともに、乱数発生装置の異常を早期に発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る遊技機の一例として示す第1実施形態のスロットマシンの正面図である。
【図2】上記スロットマシンの内部構造を表した図である。
【図3】上記スロットマシンの制御システムの構成を表したブロック図である。
【図4】上記スロットマシンの乱数の発生に係る処理を示したブロック図である。
【図5】本発明の遊技機における、乱数発生のためのカウント回路及び記憶回路を示す回路図である。
【図6】上記スロットマシンにおける、役抽選、乱数発生装置、及び異常判定手段の制御の概略を示したブロック図である。
【図7】乱数テーブル決定部による乱数テーブルの決定のために用いられる対応表を示したものであり、(a)は乱数テーブルが格納されている対応表の例、(b)は乱数テーブルの選択の順序が規定されているテーブル順序表の例である。
【図8】本発明の遊技機における異常判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の遊技機における異常判定用乱数の取得周期、出力乱数値の更新周期、及びクロック周期の関係を示す図である。(a)及び(b)は異常判定用乱数の取得周期と出力乱数値の更新周期との関係、(c)は異常判定用乱数の取得周期とクロック周期との関係を示す図である。
【図10】上記スロットマシンにおける抽選用乱数取得処理の流れを示すフローチャートである。(a)は抽選用乱数取得処理そのものの流れ、(b)は異常判定用乱数の1回目の取得を抽選用乱数取得処理に併せ込んだ処理の流れ、をそれぞれ示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る遊技機の一例として示す第2実施形態のパチンコ機の正面図である。
【図12】上記パチンコ機の内部構造を示す背面図である。
【図13】上記パチンコ機における、当否及び確率変動をするか否かの決定、乱数発生装置、及び異常判定手段の制御の概略を示したブロック図である。
【図14】上記パチンコ機の乱数の発生に係る処理を示したブロック図である。
【図15】上記パチンコ機における遊技用乱数取得処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】上記パチンコ機において、(a)は、打球が連続して始動入賞センサに流れる様子を示す図、(b)は、始動入賞センサが打球の入賞を検出する時間と、1個目の打球が通過してから2個目の打球が通過するまでの時間との関係を示す図、(c)は、始動入賞センサが打球の入賞を検出する時間と遊技用乱数の取得時間との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用させた遊技機として、第1実施形態としてスロットマシン1(図1参照)について、第2実施形態としてパチンコ機PM(図11参照)についてそれぞれ説明する。まずは、第1実施形態のスロットマシン1の概略構成について図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、本実施形態におけるスロットマシン1の外部構造を表した平面図、図2は、スロットマシン1の内部構造を表した平面図、図3は、スロットマシン1における制御システムの構成を表したブロック図である。スロットマシン1は、図1及び図2に示すように、遊技者に面するフロントドア2と、フロントドア2を開閉可能に取り付ける筐体3(図2参照)とを備えて構成される。フロントドア2は、上部パネル部4と、中央パネル部5と、下部パネル部6とを備え、全体的に金属製のフレーム(不図示)と硬化プラスチックにより成形された前面パネルとで形成され、これにより、構造が強化されている。
【0020】
上部パネル部4には、上部ランプと称される演出用ランプ4aと、スピーカが取り付けられた放音部4b,4cと、カラー画像を表示する液晶ディスプレイ等で形成され遊技者が目視可能な演出表示装置4dとが設けられている。演出表示装置4dは、遊技中の演出を行うときに、各種の画像表示を行うものである。中央パネル部5には、演出用ランプ5a,5b、及びモータ駆動により回転可能に設けられ複数個(本実施形態では3個)配設される回胴リールR1,R2,R3を備えた回胴リール装置7が設けられるとともに、回胴リールR1,R2,R3の前方には、透明な硬化プラスチック板で形成された略長方形の透明窓WDが設けられ、この透明窓WDにより、回胴リール装置7を外部から保護するとともに、遊技者が透明窓WDを介して回胴リールR1,R2,R3を視認することが可能となっている。
【0021】
回胴リールR1,R2,R3は、それぞれリング状に構成され、その外周面には複数の入賞図柄(入賞役を構成する図柄)を印刷したテープリールが貼られている。回胴リールR1,R2,R3には、例えば21個の複数種類の図柄が等間隔で配置されており、各リールR1,R2,R3毎に異なった図柄配列がなされている。また、中央パネル部5上であって回胴リール装置7の下方には、遊技者の獲得したメダル数を表示させたり、遊技動作や機械動作に異常が生じたときはエラーコードを表示させたりする獲得枚数表示部(エラー表示部)5cが設けられている。エラーコードが表示されたときは、遊技機は遊技不可の状態となる。
【0022】
更に、中央パネル部5の下端には、遊技者が操作するための操作部5dが設けられ、当該操作部5dには、遊技用メダルを投入するためのメダル投入部MDと、1ゲーム当たりのメダル数を提示するためのベットボタンB1,B2,B3と、1ゲームの開始を指示するためのスタートレバーSTと、回胴中の回胴リールR1,R2,R3を個別に停止させるための3個のストップボタンSP1,SP2,SP3が設けられている。下部パネル部6には、スロットマシン1のゲーム内容に関連した画像等(不図示)が描かれており、遊技者の獲得したメダルを払い出すための排出口6a及び受皿6bと、スピーカが取り付けられた放音部6cが設けられている。なお、遊技中には、種々の演出、例えば演出用ランプ4a,5a,5bの点灯・点滅や、演出用スピーカSR,SL,SWからの放音、演出表示装置4dによる画像表示等が行われる。更に、演出の中には、役の当選可能性の告知演出が含まれる。
【0023】
次に、図2を参照して、フロントドア2の裏面構造と、筐体3の内部構造を概略的に説明する。なお、図2は、フロントドア2を解錠して筐体3から開いた状態を示している。図2において、フロントドア2の裏面上部に、上述の放音部4b,4cを構成する演出用スピーカSR,SLが設けられ、演出用スピーカSR,SLの間に演出表示装置4dが設けられるとともに、演出表示装置4dの裏面側にサブ制御基板20が取り付けられている。演出表示装置4d及びサブ制御基板20の下方には、上述の透明窓WDと、中央パネル部5のパネル面とが形成された略長方形の枠体5eが取り付けられている。
【0024】
また、枠体5eの下方には、メダル投入部MDより投入される投入物を正規の遊技用メダルか異物かを判別して振り分ける振分機構G1と、振分機構G1で振り分けられた遊技用メダルを筐体3側に設けられているホッパ装置HPへ案内するガイド部材G2と、振分機構G1で振り分けられた異物を排出口6aへ案内して排出するガイド部材G3と、ホッパ装置HPから出力される払い出し用のメダルを排出口6aへ案内して出力するガイド部材G4とが設けられ、排出口6aの近傍に、演出用スピーカSWが放音部6cに対応して取り付けられている。更に、枠体5eと振分機構G1との間の領域に長尺状の中央表示基板30が取り付けられ、当該中央表示基板30の裏面側の一端に、設定ボタンCSと、数字の0から6までのセグメント表示を行う発光ダイオードで構成された設定表示素子CTが設けられている。
【0025】
筐体3内には、電源装置PWUと、ホッパ装置HPから溢れた遊技用メダルを収容するための補助貯留部SHPと、上述の透明窓WDに対向する回胴リールR1,R2,R3を備えた回胴リール装置7が設けられるほか、電源装置PWUの側面に電源装置基板40、回胴リール装置7の上端に回胴装置基板50、回胴リール装置7の上方に主基板10、筐体3の内壁の一端に外部集中端子装置としての外部集中端子基板70が各々取り付けられている。
【0026】
ここで、上述した主基板10と、サブ制御基板20、回胴装置基板50、中央表示基板30、電源装置基板40及び外部集中端子基板70は、何れも導電性配線パターンで形成された絶縁性樹脂基板上に集積回路装置(IC)やトランジスタ、抵抗、コンデンサ等の電子部品が搭載されて配線接続されたいわゆる電気回路基板として形成され、特に、主基板10とサブ制御基板20と外部集中端子基板70は、各々硬化プラスチックの収納ケース内に個別に収納されたユニット構造となっている。
【0027】
以下で、図3のブロック図を参照して制御システムの構成についてその概略を説明する。主基板10は、スロットマシン1の動作全体を管理するシステムプログラム及びスロットマシンゲーム用の実行プログラムが予め記憶されている半導体メモリ等で構成された記憶部及びこれらのプログラムを実行するCPU14(後に詳述)からなるメインコントロール部11と、後述する役抽選等に用いられる乱数値を発生させる乱数発生装置12とを有し、CPUに設けられている入力ポート及び出力ポートと残余の基板20,50,30,40,70との間は、配線ケーブルにより接続されている。なお、本発明において、乱数とは、数学的な意味においてランダムに生成される値のみだけではなく、生成は規則的であっても、その取得のタイミングがランダムであるために実質的に乱数として機能しうる値をも意味する。
【0028】
また、演出用スピーカSR,SL,SWと演出用ランプ4a,5a,5bと演出表示装置4dが配線ケーブルを介してサブ制御基板20に配線接続され、主基板10中のCPU14から供給される演出制御信号に従って、サブ制御基板20に設けられている電気回路がこれら演出用スピーカSR,SL,SWと演出用ランプ4a,5a,5bと演出表示装置4dとを駆動させることにより、遊技者の視覚と聴覚に訴える演出を行う。
【0029】
回胴装置基板50は、電動モータにより回転駆動される回胴リールR1,R2,R3を備えた回胴リール装置7が配線接続されており、主基板10中のCPU14から供給されるリール制御信号に従って、上述の電動モータを制御することにより、回胴リールR1,R2,R3の回転と制動及び停止の制御を行う。中央表示基板30には、振分機構G1、ベットボタンB1,B2,B3、スタートレバーST、ストップボタンSP1,SP2,SP3、設定表示素子CT、及び設定ボタンCSが配線接続されており、振分機構G1から出力されるメダル検出信号と、ベットボタンB1,B2,B3とスタートレバーST及びストップボタンSP1,SP2,SP3からそれぞれ出力されるオン・オフ信号を主基板10中のCPU14に転送するとともに、CPU14から供給されるセグメント表示信号に基づいて、設定表示素子CTに0から6までの数字を表示させる。
【0030】
電源装置基板40には、設定スイッチBO、電源スイッチBQ、ホッパ装置HP、電源装置PWUが配線接続され、設定スイッチBOと電源スイッチBQからそれぞれ出力されるオン・オフ信号を主基板10中のCPU14に転送する。更に、電源装置基板40には、電源装置PWUにより発生される各種電源電圧をホッパ装置HPその他各所に配電する配電回路が形成されており、かかる配電回路からスロットマシン1の動作に必要な電源供給が行われている。
【0031】
メインコントロール部11には、図4に示すように、CPU14、ROM15、RAM16が設けられており、CPU14が実行すべき制御プログラム及び制御の過程で必要なデータはROM15に保存されている。また、メインコントロール部11には、基準クロック発生回路B21及び入出力回路部B40が設けられている。基準クロック発生回路B21は、スロットマシン1の中枢を担うCPU14の動作基準をなす基準クロックを発生させる回路であって、水晶発振器や水晶振動子等を用いて所定間隔のパルス(クロック信号)を発生させるものである。また、このパルスを分周部(不図示)において適宜分周したものを基準クロックとすることもある。また、入出力回路部B40は、主基板10の外部からの入力情報及び乱数発生装置12が発生させた乱数を入力させるために設けられ、バッファ用のIC等により構成される。具体的には、入出力回路部B40は、各種信号が入力されるセンサ入力部、及び乱数発生装置12が発生させた所定のビット数(例えば、4ビット、8ビット、16ビット等)の乱数値が入力される乱数読込部等が設けられて構成されている。
【0032】
スタートレバーSTには回動回転始動装置センサB11が設けられ、回動回転始動装置センサB11は、スタートレバーSTの操作に伴いオン信号を出力するように構成される。主基板10は、スタートレバーSTの操作により回動回転始動装置センサB11から出力されたオン信号を検出すると、図示しないモータを駆動させて各回胴リールR1,R2,R3を回転させるとともに、後述する役抽選手段B34が、乱数発生装置12から1つの乱数値(以下、抽選用乱数と称する)を取得する。これにより、役の抽選などが行われる(後に詳述)。
【0033】
メインコントロール部11において実行される(CPU14が実行する)制御プログラムとしては、役抽選手段B34及び本発明に係る異常判定手段B100がある(図6参照)。乱数発生装置12は、後述する実施例1〜3に示す構成を有しており、乱数(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)を発生させることが可能となっている。本発明に係る異常判定手段B100の構成については後述するが、乱数発生装置12が、実施例1〜3のいずれの構成であっても、本発明に係る異常判定手段B100を適用することができるようになっている。まずは、メインコントロール部11と乱数発生装置12の構成について以下で説明する。
【0034】
メインコントロール部11における役抽選手段B34は、特別役、小役、リプレイ等の役の抽選を行うプログラムである。ここで、特別役とは、通常ゲームとは異なるゲームであって遊技者に有利な特別遊技に移行させるための役である。また、小役とは、所定枚数のメダルを遊技者に払い出す役であり、複数種類設けられている。そして、リプレイとは、前ゲームで投入したメダル枚数を維持した再ゲームを行う権利を遊技者に与える役である。
【0035】
役抽選手段B34は、抽選用乱数取得部B34aと、抽選役判定部B34bとを備えて構成されており(図6参照)、抽選用乱数取得部B34aは、乱数発生装置12が発生させた乱数を抽選用乱数として取得し、抽選役判定部B34bは、該抽選用乱数の値に基づいて、役を決定する。また、ROM15には、アドレス値を有する役抽選テーブルが設けられ、役抽選テーブルは、当該アドレス値に対応した特別役当選領域、小役当選領域、リプレイ当選領域、及び非当選(外れ)領域等、予め所定の割合に設定された領域を備えている。抽選役判定部B34bは、抽選用乱数取得部B34aが取得した抽選用乱数の乱数値と、役抽選テーブルのアドレス値とを照合させることにより、その乱数値が属する領域を参照し、その乱数値が属する領域に対応する役を決定する。例えば、抽出した乱数値が特別役当選領域に属する場合は、特別役の当選と判定し、非当選領域に属する場合は、外れと判定する。このように、役抽選テーブルのアドレス値に対応して少なくとも1つの役、または1つの判定結果が特定されることになっている。
【0036】
このように、上述した役抽選テーブルにはアドレス値が付与されており、アドレス値は、抽選用乱数取得部B34aが取得した、乱数発生装置12が発生させた乱数値に対応するものである。以下で、メインコントロール部11及び乱数発生装置12における乱数値を発生させるための回路について説明する。乱数発生装置12は、図4に示すように、乱数クロック発生回路B51、クロック反転回路B61、並びに第1及び第2ラッチ信号出力回路B71,B72を備えて構成される。この乱数発生装置12により発生する乱数は、CPU14により取得された後、RAM16(またはCPUレジスタ)に一時的に記憶される。
【0037】
乱数クロック発生回路B51は、乱数発生用のクロックを発生させるために設けられ、クロック反転回路B61は、NOTゲート等のICから構成され上記乱数クロック発生回路B51から出力されるクロックを反転させ、これを反転クロックとして、抽選用乱数の取得に関する第1ラッチ信号出力回路B71、及び異常判定用乱数の取得に関する第2ラッチ信号出力回路B72に出力する。なお、異常判定用乱数とは異常判定手段B100が行う、乱数発生装置12に異常があるか否かを判定するために用いられる乱数のことをいう(後に詳述)。
【0038】
また、異常判定手段B100では、抽選用乱数を発生させる際に用いる乱数クロック発生回路B51のクロックではなく、基準クロックをもとに動作するCPU14によって異常判定用乱数の取得タイミング及び異常判定のタイミングを定めるようにしているが、この乱数クロック発生回路B51が発生するクロックと上記基準クロックとは、周期が異なり且つ非同期の関係になっている。同じ周期または互いに同期するクロックを用いることも理論的には可能であるが、上記のように、周期が異なり且つ非同期であることが好ましい。これらのクロックを周期非同一且つ非同期としておけば、抽選に用いられる乱数クロック発生回路B51のクロックの周期を外部から察知されにくくなるという利点が得られるからである。また、同じ周期または互いに同期するクロックや単一のクロックを用いた場合でも、CPU14もしくは乱数生成回路B86に入力させる一方のクロックを分周させることにより、上記同様の利点は得られる。
【0039】
第1ラッチ信号出力回路B71及び第2ラッチ信号出力回路B72には、上述したクロック反転回路B61からの反転クロックが入力される。また、CPU14から入出力回路部B40を介して出力されたトリガ信号(ハイ信号)が入力される。そして、第1ラッチ信号出力回路B71及び第2ラッチ信号出力回路B72は、トリガ信号が入力されたときは、この信号の立ち上がりエッジを、クロック反転回路B61から入力される反転クロックの立ち上がりエッジと同期するように遅延させて、第1ラッチ信号出力回路B71は第1ラッチ信号を、第2ラッチ信号出力回路B72は第2ラッチ信号を、それぞれ後述する乱数生成回路B86へ出力する。
【0040】
なお、上記では、クロック反転回路B61、第1ラッチ信号出力回路B71、及び第2ラッチ信号出力回路B72とが別体として設けられる例について説明した。しかし、上記の構成に限定されることなく、図4の破線に示すように、クロック反転回路B61及び第1ラッチ信号出力回路B71を第1ラッチクロック同期回路B66、クロック反転回路B61及び第2ラッチ信号出力回路B72を第2ラッチクロック同期回路B67として、それぞれ一体として設けてもよい。
【0041】
乱数生成回路B86は、第1ラッチ信号出力回路B71から出力される第1ラッチ信号、または第2ラッチ信号出力回路B72から出力される第2ラッチ信号に基づいてCPU14に生成した乱数値を出力する。乱数生成回路B86により乱数値を発生させる方法について3種の実施例(実施例1、実施例2、及び実施例3)を挙げて説明する。実施例1は、従来から周知になっているクロックカウント回路B81〜B84及びカウント値記憶回路B91(後に詳述)を用いた場合の例を示す。なお、実施例1では16ビットの乱数値を出力する例を示すが、4ビット、8ビット等の乱数値を出力させるようにしてもよく、特にビット数による制限はない。実施例1の乱数生成回路B86は、所定の時間Fをかけて一通りの乱数値(例えば0〜65535)を出力するように構成されている。
【実施例1】
【0042】
実施例1の乱数生成回路B86は、図4及び図5に示すように、第1〜第4クロックカウント回路B81,B82,B83,B84、及びカウント値記憶回路B91を備えて構成される。第1〜第4クロックカウント回路B81,B82,B83,B84は、図5に示すように、クロックを入力する乱数クロック入力部(CK)と、計数したカウント値が出力されるカウント出力部(QA〜QD)をそれぞれ有している。この第1〜第4クロックカウント回路B81,B82,B83,B84は、4ビットのインクリメントカウンタを4個(IC1からIC4まで)カスケード接続した回路で構成され、乱数クロック発生回路B51から発生したクロックの立ち上がりエッジにより加算を行い、その加算結果を出力するための回路である。第1〜第4クロックカウント回路B81,B82,B83,B84としては、種々のカウンタを用いることができるが、以下では、「0000」から「1111」まで1ずつの加算を行うインクリメントカウンタを用いた例について説明する。
【0043】
乱数クロック発生回路B51からのクロックの入力により、まず、第1クロックカウント回路B81(IC1)において、4桁分の値(例えば、「0001」や「0011」)がカウントされる。そして、4桁分の値のカウントが終了すると、その都度、桁上がり信号がIC1のCO端子から第2クロックカウント回路B82(IC2)のENT端子へ出力される。第2クロックカウント回路B82がカウントを開始するには、第1クロックカウント回路B81からの当該桁上がり信号の入力が必要である。すなわち、IC2においては、この桁上がり信号とCK端子に入力されるクロックとが同時に入力された後次の4桁分のカウントが開始される。
【0044】
同様に、IC2において、4桁分の値がカウントされると、その都度、桁上がり信号がIC2のCO端子から第3クロックカウント回路B83(IC3)のENT端子へ出力される。第3クロックカウント回路B83がカウントを開始するには、第2クロックカウント回路B82からの当該桁上がり信号の入力が必要である。すなわち、IC3においては、この桁上がり信号とCK端子に入力されるクロックとが同時に入力された後次の4桁分の値のカウントが開始される。第3クロックカウント回路B83(IC3)及び第4クロックカウント回路B84(IC4)も同様にしてそれぞれ4桁分の値のカウントを実行する。
【0045】
以上のようにして、実施例1ではクロックカウント回路B81〜B84により、例えば16ビット(他のビット数でもよい)の2進数が生成される。すなわち、上述した16ビットの例の場合は、16桁の2進数のうち、第1クロックカウント回路B81(IC1)が最下位の4桁、第2クロックカウント回路B82(IC2)がその上の4桁、第3クロックカウント回路B83(IC3)がさらにその上の4桁及び第4クロックカウント回路B84(IC4)が最上位の4桁をそれぞれ担当している。
【0046】
上記4つのクロックカウント回路B81〜B84により加算されているカウントは、各々のカウント出力部(QA、QB、QC及びQD端子)を経てカウント値記憶回路B91へ出力されて記憶される。なお、上記では16ビットの乱数(4ビット×4)を生成する例を示しているが、乱数の生成の方法はこれに限られず、8ビット×2で生成、また、16ビットを一括して生成してもよいし、また、ビット数自体も16ビットに限らず適宜変更することができる。
【0047】
カウント値記憶回路B91は、クロックカウント回路B81〜B84によりカウントされたカウント値を、第1ラッチ信号出力回路B71からの第1ラッチ信号、または第2ラッチ信号出力回路B72からの第2ラッチ信号に基づいて記憶するものである。カウント値記憶回路B91は、図5に示すように、8ビットのIC2個からなるレジスタ部(IC5及びIC6)と、8ビットのIC2個からなるバッファ部(IC7及びIC8)とから構成される。カウント値記憶回路B91のレジスタ部のうち、IC5には、第1クロックカウント回路B81(IC1)からの4桁のカウント値がD0端子からD3端子までを介して入力され、また、第2クロックカウント回路B82(IC2)からの4桁のカウント値がD4端子からD7端子までを介して入力される。すなわち、IC5のD1端子〜D8端子まではカウント入力部として機能し、IC5には、これらを通じて16ビットの2進数のカウント値のうち下8桁が入力される。
【0048】
カウント値記憶回路B91のレジスタ部のうち、IC6には、第3クロックカウント回路B83(IC3)からの4桁のカウント値がD8端子からD11端子までを介して入力され、また、第4クロックカウント回路B84(IC4)からの4桁のカウント値がD12端子からD15端子までを介して入力される。すなわち、IC6のD1端子〜D8端子まではカウント入力部として機能し、IC6には、これらを通じて16ビットの2進数のカウント値のうち上8桁が入力される。
【0049】
カウント値記憶回路B91のレジスタ部(IC5及びIC6)におけるCLOCK端子には、第1ラッチ信号出力回路B71からの第1ラッチ信号または第2ラッチ信号出力回路B72からの第2ラッチ信号が入力される。すなわち、これらのCLOCK端子は、ラッチ信号入力部として機能しており、このラッチ信号入力部から入力されるラッチ信号がハイ信号となった立ち上がりエッジの時点でクロックカウント回路B81〜B84から入力されているカウント値が、レジスタ部に記憶される。
【0050】
カウント値記憶回路B91のバッファ部(IC7及びIC8)におけるG1端子には、乱数取得のために実行されるプログラムに基いてメインコントロール部11の入出力回路部B40から出力される読込信号に応じて、カウント値記憶回路B91に記憶された16桁からなる1つのカウント値がCPU14のCPUデータバスへ出力される。すなわち、この読込信号入力部から入力される読込信号がロー信号となる立ち下がりエッジの時点で、レジスタ部(IC5およびIC6)に記憶されている乱数値が、Y1端子〜Y8端子をそれぞれ介してCPUデータバスへ出力されるようになっている。なお、カウント値記憶回路B91から出力される乱数値のうち、IC7を経由するものは、CPU14に入力されて、16桁の乱数値のうちの下位8桁分として取り扱われる。一方、カウント値記憶回路B91から出力される乱数値のうち、IC8を経由するものは、CPU14に入力されて、16桁の乱数値のうちの上位8桁分として取り扱われる。実施例1では、クロックカウント回路B81〜B84及びカウント値記憶回路B91が以上のように、例えば所定範囲内の値(例えば0〜65535の値)を一通り出力し、一通り出力した後は同様の動作をして、繰り返し所定範囲内の値(例えば0〜65535の値)を出力するようになっている。
【0051】
以上、実施例1では、従来の周知となっている回路を備えた乱数発生装置12について説明したが、実施例2及び実施例3における乱数発生装置12は、図6に示すように、乱数クロック発生回路B51、乱数テーブル決定部B52、乱数テーブル群B53、乱数値決定部B54、及び乱数値出力部B55を備えて構成される。乱数クロック発生回路B51は、実施例1と同様、乱数値出力のためのクロックを発生させる。また、乱数テーブル群B53は複数の(図6では2つ示しているが実際は2つ以上の)乱数テーブルB53aを備えて構成され、乱数テーブル決定部B52は、乱数テーブル群B53のうち一つの乱数テーブルB53aを決定する。乱数値決定部B54は、乱数テーブル決定部B52により決定された乱数テーブルB53aに基づいて出力する乱数値を決定し、乱数値出力部B55は、乱数クロック発生回路B51が発生したクロックに基づいて乱数値決定部B54により決定された乱数値を出力する。
【0052】
また、実施例2と実施例3とでは、上述した乱数テーブルB53aの更新の方法が異なっており、まずは図7を参照しながら実施例2について説明する。なお、実施例2及び実施例3では、説明を簡潔にするため、乱数値のビット数を4ビットとする例について示すが、実際は、例えば8ビット、16ビット等、4ビットと異なるビット数の場合でも実施例2及び実施例3に示す方法で乱数値を発生させることは可能である。
【実施例2】
【0053】
実施例2では、乱数テーブルB53aを更新するため、乱数テーブル決定部B52がテーブル選択用乱数(例えば、ソフト乱数等)を取得し、乱数テーブル決定部B52は、上記取得したテーブル選択用乱数の値に基づいて対象の乱数テーブルB53aを更新する。また、実施例2では、図7(a)に示すような、例えば4ビットの乱数テーブルB53a(図7の「0123」「1023」など)を24個格納する対応表が設けられる。乱数テーブル決定部B52は、乱数テーブルB53aを更新するときに例えば「Ax」という乱数と「By」という乱数(xは1〜4の自然数、yは1〜6の自然数)を取得し、例えば、取得した乱数が「A1」及び「B1」であった場合、「0123」の乱数テーブルB53aに更新する。そして、1クロックの入力毎に「0」「1」「2」「3」の値が乱数値決定部B54により決定されこの順で乱数値出力部B55により出力される。
【0054】
なお、上記の例において「0」の出力を開始し「3」の出力を終了するまでの時間はFとなっており、時間Fが経過した後には乱数テーブル決定部B52が再度テーブル選択用乱数を取得する。そして、取得したテーブル選択用乱数が「A3」及び「B5」であった場合は乱数テーブル決定部B52は「2301」の乱数テーブルB53aに更新し、乱数値出力部B55により「2」「3」「0」「1」の順で値が出力される。また、取得した乱数が「A4」及び「B1」であった場合は、乱数テーブル決定部B52が「3012」の乱数テーブルB53aに更新し、上記同様に「3」「0」「1」「2」の順で乱数値出力部B55により値が出力される。このように、乱数テーブル決定部B52が時間Fごとに、図7(a)に示す対応表に基づいて乱数テーブルB53aを更新し、該更新された乱数テーブルB53aに基づいて乱数値がクロックの入力により順次出力されるようになっている。
【実施例3】
【0055】
実施例3は、実施例2のように乱数テーブル決定部B52が乱数テーブルB53aを更新させる度にテーブル選択用乱数の取得を行うわけではなく、予め乱数テーブルB53aを更新する順序が規定されており、乱数テーブル決定部B52が一度テーブル選択用乱数を取得した後は、その規定された順序に基づいて、乱数テーブルB53aを更新し、更新した乱数テーブルB53aに並べられた乱数値の順序に基づいて乱数値を出力する。そして、該乱数テーブルB53aに基づく乱数値の出力が完了し時間Fが経過した後に、規定された順序に基づいて乱数テーブルB53aを順次更新するようになっている。
【0056】
実施例3では、図7(a)に示すような対応表と、図7(b)に示すようなテーブル順序表が設けられる。乱数テーブル決定部B52は、テーブル選択用乱数(例えば図7(b)における1、2…Zの値)を取得し、例えば、取得したテーブル選択用乱数が「1」であった場合は、テーブル順序表の「A1B1」に基づいて、対応表の「0123」の乱数テーブルB53aに更新し、該乱数テーブルB53aに基づいて「0」「1」「2」「3」の順で値が乱数値出力部B55により出力される。そして、「0」「1」「2」「3」全ての値の出力が完了し時間Fが経過した後に、テーブル順序表の「A1B1」の隣のセルの「A2B1」に基づいて、対応表の「1023」の乱数テーブルB53aに更新し、該乱数テーブルB53aに基づき「1」「0」「2」「3」の順で値が出力され再度時間Fが経過した後に、「A3B1」に基づいて、対応表の「2013」の乱数テーブルB53aに更新し「2」「0」「1」「3」の順で乱数値出力部B55により値が出力される。また、最初に取得したテーブル選択用乱数が「Z」であった場合は、テーブル順序表の「A1B1」に基づいて、その後「A4B6」に基づいて、更にその後「A1B4」に基づいて、乱数テーブル決定部B52による乱数テーブルB53aの更新、及び該乱数テーブルB53aに基づく乱数値出力部B55による乱数値の出力が行われるようになっている。
【0057】
乱数テーブル決定部B52が取得したテーブル選択用乱数が「1」であり、上記のように乱数値の出力及び乱数テーブルB53aの更新が繰り返され、最終的に図7(b)の「1」の行の右端に示す「A4B6」に基づいて対応表の「3210」の乱数テーブルB53aに更新し「3」「2」「1」「0」の順で値の出力が完了した後は、乱数テーブル決定部B52は再度テーブル選択用乱数(図7(b)における1、2…Zの値)を取得し、この取得したテーブル選択用乱数の値とテーブル順序表に基づいて、上記同様に乱数テーブルB53aの更新及び乱数値出力部B55による乱数値の出力が行われる。
【0058】
また、テーブル順序表における最後の乱数テーブルB53a(例えば、取得した乱数が「1」のときは「A4B6」のテーブル)の更新及び乱数値出力部B55による乱数値の出力が完了した後について、上記のように再度テーブル選択用乱数(図7(b)における1、2…Z)の値を取得するのではなく、例えば乱数テーブル決定部B52が最初に取得したテーブル選択用乱数が「1」の場合において「A4B6」の乱数テーブルB53aの更新及び乱数値の出力が完了した後に、テーブル選択用乱数「2」の順序、すなわち、「A1B1」「A1B2」「A1B3」…の順序で乱数テーブルB53aの更新及び乱数値の出力を行うようにしてもよい。このように、乱数テーブル決定部B52がテーブル選択用乱数を取得する回数を減らし(または例えばテーブル選択用乱数を取得せずに)、予め決められた順序(例えば、図7(b)のテーブル順序表等)に基づいて乱数テーブルB53aの更新及び乱数値の出力を繰り返すようにしてもよい。
【0059】
以上のように、実施例2では、乱数テーブル決定部B52が図7(a)に示すような対応表に基づいて乱数値の出力と乱数テーブルB53aの更新を繰り返す処理を行い、実施例3では、乱数テーブル決定部B52がテーブル選択用乱数を取得した後に所定の順序で乱数テーブルB53aを更新及び乱数値の出力を行うようになっている。実施例3は、実施例2と異なりテーブル順序表を設ける必要があるが、実施例2のようにテーブル更新毎にテーブル選択用乱数を取得する必要がなくなるため、プログラムによる負荷を小さくすることができるという利点がある。
【0060】
なお、上述した乱数テーブルB53aに基づく乱数値の出力については、乱数テーブルB53aにおける値の格納領域毎にアドレス番号を付して、クロックの入力毎に該アドレス番号をずらすとともに、該アドレス番号に対応する格納領域の値を出力させるようにしてもよい。
【0061】
以上、上記実施例2及び実施例3では、乱数テーブルB53aに規定された順序に基づいて乱数値を発生させる例を示したが、上記のような乱数テーブルB53a及び乱数テーブル決定部B52を用いないで、例えば、所定のクロックに基づいて所定の演算処理を行うことにより乱数値を発生させることも当然可能である。また、実施例2または実施例3により乱数値を発生させる場合にはクロックカウント回路B81〜B84は不要となる。また、乱数値を発生させるための構成については、上記実施例1〜3のいずれかに限定されることはない。例えば、実施例1と実施例2または実施例3とを組み合わせた構成にして、クロックカウント回路B81〜B84から出力されたカウント値に基づいて乱数テーブルB53aの値を生成するなどの方法によって乱数値を発生させるようにしてもよい。
【0062】
ところで、乱数発生装置12において、例えばクロックカウント回路B81〜B84等に異常が発生したり、または、乱数テーブルB53aの更新処理に不具合が発生したりすることにより、一定の乱数値が出力され続けるという問題が発生することがある。第1実施形態のスロットマシン1では、この異常を検出する異常判定手段B100が設けられている。この異常判定手段B100について、以下で説明する。異常判定手段B100は、異常判定乱数取得部B101と、異常判定乱数記憶部B102と、異常判定乱数比較部B103と、異常判定部B104とを備えて構成されている(図6参照)。異常判定乱数取得部B101は、乱数発生装置12から異常か否かを判定するための乱数(以下、異常判定用乱数と称する。)を取得し、前記取得した異常判定用乱数は、RAM16またはCPUレジスタの異常判定乱数記憶部B102に記憶される。異常判定乱数比較部B103は、異常判定乱数記憶部B102に記憶された乱数の値の比較を行い、異常判定部B104は、前記異常判定乱数比較部B103による比較結果に基づいて、乱数発生装置12が正常か否かの判定を行う。
【0063】
以上のように構成される異常判定手段B100の処理について、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、1個目の異常判定用乱数(以下、基準乱数と称する)を取得するため、CPU14により第2トリガ信号が第2ラッチ信号出力回路B72に出力され、ステップS301に示す基準乱数のラッチが行われる。その後、ステップS302において、第2ラッチ信号が第2ラッチ信号出力回路B72から出力されることにより、乱数のうちの下位8桁分が読み込まれ、CPUデータバスに出力された後、異常判定乱数記憶部B102に保存される(ステップS303)。そして、ステップS304にて、上位8桁分が読み込まれた後、ステップS305で、上位8桁分がCPUデータバスに出力され、異常判定乱数記憶部B102に保存される。
【0064】
そして、時間Δt(後に詳述)が経過した後、2個目の異常判定用乱数(以下、第1比較用乱数と称する)を取得するため、CPU14により入出力回路部B40を介して第2トリガ信号が第2ラッチ信号出力回路B72に出力され、ステップS306に示す比較用乱数のラッチが行われる。その後、ステップS307において、第2ラッチ信号が第2ラッチ信号出力回路B72から出力されることにより、ステップS308において、乱数のうちの下位8桁分が読み込まれる。そして異常判定乱数記憶部B102に保存され、ステップS309にて、上位8桁分が読み込まれた後、ステップS310で、上位8桁分がCPUデータバスに出力され、異常判定乱数記憶部B102に記憶される。
【0065】
その後、ステップS311において、異常判定乱数記憶部B102に記憶された基準乱数と第1比較用乱数を用いて、異常判定乱数比較部B103が、これらの乱数値が同一であるか否かの比較を行う。そして、ステップS312において、異常判定乱数比較部B103の比較結果が同一でない場合、異常判定部B104が正常と判断して処理を終了する。また、ステップS313において、異常判定乱数比較部B103の比較結果が同一で且つ異常判定用乱数の取得回数が3回に達しておらず検索が終了していない場合、再度、ステップS306に戻り上記のように、異常判定乱数取得部B101が3個目の異常判定用乱数(以下、第2比較用乱数と称する)の16ビット中の下位8ビットを取得しその後上位8ビットを取得し、取得した第2比較用乱数は異常判定乱数記憶部B102に記憶される(ステップS307〜310)。
【0066】
そして、ステップS311に移行して、異常判定乱数記憶部B102に記憶された基準乱数(第1比較用乱数でもよい)と第2比較用乱数を用いて、異常判定乱数比較部B103が、これらの乱数値が同一であるか否かの比較を行う。そして、ステップS312にて異常判定乱数比較部B103の比較結果が同一でない場合、異常判定部B104は正常と判断して処理を終了する。また、異常判定乱数比較部B103の比較結果が同一であり、乱数の取得回数が3回に達し検索が終了した場合(すなわち、基準乱数、第1比較用乱数、及び第2比較用乱数が全て同一の値であると判断された場合)、異常と判断し処理を終了する。
【0067】
なお、プログラムの処理時間については、CPU14のクロック周波数が8MHzである場合、ラッチから乱数の読み込みまで(ステップS301〜S302、S306〜S307)はそれぞれ0.875μs、乱数の保存(ステップS303、S305、S308、S310)はそれぞれ1.5μs、上位桁の乱数の読み込み(ステップS304、S309)はそれぞれ0.5μs、乱数の比較及び一致したか否かの判断(ステップS311、S312)は5.875μs、検索を終了するか否かの判断(ステップS313)は、1.625μsかかり、その他の処理も加えると全体でおおよそ28.375μsとなる。
【0068】
異常判定手段B100は、異常と判断して処理を終了する場合、エラー表示部5cにエラーコードを表示させて、遊技機を遊技不可の状態にすることもできる。なお、エラーを表示する手段としては、上記エラー表示部5cに限られず、ランプ、音声、画像等で表示させてもよい。また遊技機単体で上記表示を行うのではなく、後述する第2実施形態のパチンコ機PMのように、遊技機が外部集中端子基板70(図3参照)を介して信号を出力し、遊技機に接続して設けられたホール全体の遊技機を管理する管理コンピュータに該信号を受信させることにより、管理コンピュータに異常が発生した旨を報知させるようにしてもよい。
【0069】
以上のように、異常判定手段B100は、2回または3回乱数の取得を行い乱数発生装置12が正常か異常かの判断を行っているが、異常判定用乱数の取得回数が2回または3回である理由及び上記異常判定乱数取得部B101が乱数を取得する時間Δtについて、以下で図9を参照しながら説明する。まず、乱数テーブルB53aを更新させる周期など、一通りの乱数値を出力する所定の時間F(以下、出力乱数値更新時間Fと称する)、乱数クロック発生回路B51から発生するクロックの周期をf、異常判定乱数取得部B101が乱数を取得する間隔を上記のようにΔtとすると、図9(a)及び(b)に示すように、間隔Δtは、出力乱数値更新時間Fより短い。こうすることにより、出力乱数値更新時間Fの間に少なくとも2回異常判定用乱数を取得できる可能性が高くなる。
【0070】
ここで、一通りの乱数値を出力している出力乱数値更新時間Fの間において、乱数発生装置12が正常に稼動している場合は、取得する乱数値は必ず異なった値となる。そこで、図9(a)のように、出力乱数値更新時間Fの間に2回異常判定用乱数を取得できたときは、これらの異常判定用乱数が同一であれば直ちに異常と判断できるが、図9(b)のように、1回目の異常判定用乱数を取得してから2回目の異常判定用乱数を取得するまでの間に、出力乱数値更新時間Fが経過し例えば乱数テーブルB53aが更新されたような場合、取得した異常判定用乱数の値が同一であっても必ずしも異常とは判断できず、偶然同一の乱数値を取得した可能性もある。従って、異常判定用乱数を2回取得しただけでは、異常か否か(偶然同一の乱数値を取得したのか)を判断することはできない。
【0071】
そこで、図9(b)のように、1回目の異常判定用乱数を取得してから2回目の異常判定用乱数を取得するまでの間に出力乱数値更新時間Fが経過したとき(偶然同一の異常判定用乱数を取得したとき)のことを考慮して、異常判定手段B100は、もう1回(合計3回)異常判定用乱数を取得することとしている。こうすれば、図9(b)のように1回目の異常判定用乱数を取得してから2回目の異常判定用乱数を取得するまでの間に出力乱数値更新時間Fが経過したときでも、2回目の異常判定用乱数を取得してから再度出力乱数値更新時間Fが経過する前に3回目の異常判定用乱数を取得すれば、乱数発生装置12が正常な場合2回目で取得した異常判定用乱数と3回目で取得した異常判定用乱数とは同一となることはありえないので、乱数値が同一であれば確実に異常であると判断できる。このようにして、異常判定手段B100は、異常判定用乱数を取得する間隔Δtを出力乱数値更新時間Fより短くし、出力乱数値更新時間Fの2周期の間に3回、この間隔Δtで異常判定用乱数を取得することにより、確実に異常か否かの判定を行うことができる。
【0072】
また、異常判定乱数取得部B101が乱数を取得する間隔Δtについては、図9(a)及び(b)の一部を拡大させた図9(c)に示すように、乱数生成回路B86に入力されるクロックの周期fよりは長い。間隔Δtが周期fより短いと、上記クロックに基づき乱数値が変更される間に2回異常判定用乱数を取得することになり、この場合、同一の乱数値となるのは自明であり、このような場合を排除する必要があるからである。
【0073】
以上のように、異常判定手段B100の処理は行われるが、異常判定用乱数の取得及び判定のビット数の単位はいくつであっても構わない。例えば上述した実施例1のように、クロックカウント回路B81,B82,B83,B84を用いる場合には、異常判定用乱数を4ビット毎に取得、判定するようにし、これを4回繰り返すようにしてもよい。このように、4ビット毎に異常か否かの判定をすることにより、判定の精度がより高くなるとともに、例えば、クロックカウント回路B81,B82,B83,B84のうちのいずれかが故障するような、いわゆるビット不良の故障を検出することも可能となる。
【0074】
また、上記では、異常判定乱数取得部B101が乱数を取得する間隔をΔtとする例について示したが、このΔtを周期とし、周期的に異常判定用乱数を取得してもよい。また、これとは逆にΔtを必ずしも固定値とする必要もなく可変であってもよい。すなわち、異常判定乱数取得部B101が異常判定用乱数を取得する間隔については、周期的であってもまたは周期的でなくても、同様の効果が得られる。
【0075】
なお、上記では、異常判定手段B100が3回乱数を取得して、異常か否かを判断する例について説明したが、乱数を取得する回数は3回に限られることなく、4回、5回、またはそれ以上取得しても同じ効果が得られる。ただし、取得回数を増加させても効果は同一なのでプログラムの容量等を考慮した場合、3回が最適である。
【0076】
次に、実際の遊技における抽選用乱数の取得及び上記異常判定手段B100を稼動させるフロー等について、図10(a)のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、以下では、16ビットの乱数を用いる例について説明するが、4ビット、8ビット等でもよく、特にビット数による制限はない。まず、実際の遊技における抽選用乱数の取得及び利用するために実行されるプログラムのフローについて説明する。スロットマシン1の電源が投入されると、必要なパラメータの初期化等を行った後、ステップS100において、スタートレバーSTの操作によるオン信号(例えばハイ信号)を回動回転始動装置センサB11が検出する。そして、入出力回路部B40を介して、第1ラッチ信号出力回路B71に第1トリガ信号が出力される。
【0077】
続くステップS110においては、第1ラッチ信号出力回路B71から、16ビットの乱数値のうち下位8ビット分を読み込むための第1ラッチ信号が出力され、乱数生成回路B86に入力される。そして、乱数生成回路B86に記憶された乱数値が出力されて、ステップS120に進む。ステップS120においては、ステップS110で出力された乱数値がCPUデータバスを経由して、入出力回路部B40からCPU14に送られる。そして、ステップS130に進む。このステップS130においては、ステップS120で出力された乱数値が、16ビットの乱数値のうちの下位8ビット分として、抽選用乱数取得部B34aに格納される。そして、ステップS140に進む。
【0078】
続くステップS140においては、第1ラッチ信号出力回路B71から、16ビットの乱数値のうち上位8ビット分を読み込むための第1ラッチ信号が出力され、乱数生成回路B86に入力される。そして、乱数生成回路B86に記憶された乱数値が出力されて、ステップS150に進む。ステップS150においては、ステップS140で出力された乱数値がCPUデータバスを経由して、入出力回路部B40からCPU14に送られる。そして、ステップS160に進む。ステップS160においては、ステップS150で出力された乱数値が、16ビットの乱数値のうちの上位8ビット分として、抽選用乱数取得部B34aに格納される。そして、先のステップS130で格納された下位8ビット分と合わせて、抽選結果を決定するための16ビットの乱数値として取り扱われることとなる。
【0079】
スロットマシン1における抽選用乱数の取得は上記のようなフローで行われるが、異常判定手段B100による異常判定処理を、スタートレバーSTが操作され抽選用乱数を取得しているタイミングで行うことは好ましくない。その理由について以下で説明する。まず上述したように、スタートレバーSTが操作されスタートレバーSTのオン信号が出力されると、第1ラッチ信号出力回路B71から第1ラッチ信号が出力されるが、この出力とほぼ同じタイミングで、第2ラッチ信号が第2ラッチ信号出力回路B72から出力されると、出力される乱数値が、第1ラッチ信号と第2ラッチ信号のどちらによるものか、すなわち、抽選用乱数の取得によるものか、異常判定用乱数の取得によるものかがわからなくなるという事象が発生する。この事象が発生すると、例えば、スタートレバーSTの操作により出力される第1ラッチ信号による乱数値が当たりであったとしても、第2ラッチ信号により乱数値が切り替わり、取得した乱数値がスタートレバーSTの操作によるものでなくなり、本来当たりであったものが外れとなる、といったように抽選結果が変わる好ましくない問題が発生する。そこで、第1実施形態のスロットマシン1では、異常判定手段B100を、以下の実施例4及び実施例5に示すタイミングで稼動させている。
【実施例4】
【0080】
上述したように、異常判定手段B100は、最低3回(1回目の乱数値と2回目の乱数値が相違する場合は2回)異常判定用乱数を取得するが、実施例4は、この異常判定用乱数の取得タイミングを完全に抽選用乱数の取得タイミングに重ならないようにして取得するというものである。例えば、実施例4では、抽選用乱数取得処理実行フラグを用いる。そして、図10(a)に示す抽選用乱数取得処理の開始直後(ステップS100の実行前)に、抽選用乱数取得処理実行フラグをオンにし、抽選用乱数取得処理の終了直前(ステップS160の実行後)に、抽選用乱数取得処理実行フラグをオフにする処理を追加する。
【0081】
そして、異常判定処理においては、基準乱数のラッチ(ステップS301)を開始させる前に、抽選用乱数取得処理実行フラグがオンであるか否かの確認処理を追加し、該フラグがオンであるときには該確認処理をループさせ、該フラグがオフになったときに初めて異常判定処理をステップS301から開始するようにしてもよい。上述したように異常判定処理に要する時間はCPU14のクロック周波数が8MHzの時で28.375μsほどなので、抽選用乱数取得処理実行フラグがオフになった直後瞬時に異常判定処理を行うことができ、再度スタートレバーSTが操作され次の抽選用乱数取得処理と重ならないタイミングで異常判定処理を行うことができる。また、上記の方法に限らず、実施例4では、スタートレバーSTが操作され、それに伴い抽選用乱数取得処理が行われステップS160まで完了したことを検出し、その後に異常判定処理を開始するようにしてもよい。
【0082】
また、実施例4では、上記に限らず、抽選用乱数を取得していないことを条件に異常判定用の乱数を取得し異常判定処理を開始すればよいので、抽選用乱数の取得が可能な、ベットを受け付けてからスタートレバーSTが操作されオン信号が出力されるまでの間以外のタイミングで異常判定処理を開始させるようにしてもよい。例えば、スタートレバーSTが操作されオン信号が出力されてからリールの回転が開始され回転速度が定速になるまでの間、メダルの払出処理中、大当たりの開始デモ期間、または大当たりの終了デモ期間、等が好ましいタイミングとして例示される。
【実施例5】
【0083】
実施例5では、3回の異常判定用乱数の取得のうち、1回目の異常判定用乱数(基準乱数)の取得を、抽選用乱数の取得と併せて実施しようとする方法である。すなわち、異常判定処理(ステップS301〜S313)のうち、基準乱数の取得(ステップS301からS305まで)を、抽選用乱数取得処理と併せて行おうとするものである。具体的には、図10(b)のフローチャートに示すように、図10(a)に示す抽選用乱数の取得フローとほぼ同様の処理を行うが、下位8ビット出力(ステップS220)の後の乱数の格納処理(ステップS230)、及び上位8ビット出力(ステップS250)の後の乱数格納処理(ステップS260)において、取得した乱数値を抽選用乱数取得部B34aに格納するだけでなく、これを1回目の異常判定用乱数(基準乱数)として異常判定乱数記憶部B102に保存させる。
【0084】
上記のように基準乱数を異常判定乱数記憶部B102に記憶させた後は、実施例4のように抽選用乱数取得処理が実行されていないことを条件として、ステップS306〜S313の処理を行い、異常判定用乱数の取得、比較、そして正常か異常かの判断を行えば、抽選用乱数の取得に影響を与えることなく、異常判定用乱数の取得及び正常か否かの判定ができる。
【0085】
以上、実施例4では、異常判定処理における3回の異常判定用乱数の取得を、抽選用乱数の取得と重ならないタイミングで行い、実施例5では、3回の異常判定用乱数の取得のうち1回目を抽選用乱数の取得と同時に行い、残りの2回の異常判定用乱数の取得を抽選用乱数の取得と重ならないタイミングで行う例を示した。上記のように実施例5では、1回目の異常判定用乱数の取得を抽選用乱数の取得と併せて実施できるため、実施例4と比較して、異常判定処理のプログラムの容量を減らすことが可能となりこの点では有利である。
【0086】
以上、第1実施形態のスロットマシン1においては、乱数発生装置12が役抽選手段B34に対応して1つ設けられる例について説明したが、役抽選手段B34のみならず、図柄または演出パターンを抽選するプログラムに用いられる乱数発生装置など、複数の乱数発生装置が設けられている場合にも、本発明に係る異常判定処理を適用させることができる。具体的には、異常判定を行う優先度が高い乱数発生装置に対して優先的に異常判定処理を適用させてもよいし、全ての乱数発生装置に対して異常判定処理を適用させてもよい。
【0087】
また、第1実施形態では、異常判定処理をスロットマシンに適用させた例について説明したが、本発明に係る異常判定処理を適用させる対象の遊技機としては、スロットマシンに限定されない。以下、異常判定処理をパチンコ機PMに適用させた例を第2実施形態として、特に第1実施形態と異なる部分を強調させながら図11〜図15を参照して説明する。
【0088】
まず、上記遊技機の一例として説明するパチンコ機PMの概要構成を図11および図12を参照して説明する。図11に示すように、パチンコ機PMは、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠101の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載用の前枠102が正面左側上下に配設されたヒンジ部材103a,103bにより横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置104を利用して通常は外枠101と係合された閉鎖状態に保持される。
【0089】
前枠102の正面側には、前枠102の前面域に合わせた方形状をなし中央部に取り付けられたポリカーボネート板やガラス板等の透明板材を通して遊技盤120を透視可能なガラス扉105と、球皿に貯留された遊技球を整列させて1個ずつ打球発射装置109(図12を参照)に導く上球皿106とが、ともに左側縁に内蔵されたヒンジ機構により横開き開閉および着脱が可能に組付けられ、通常は施錠装置104および図示しないロック機構を利用して前枠102の前面を覆う閉止状態で保持される。上球皿106のうち横型長方形をなし前枠102に対して開閉可能な当て板106aの左側上部には賞球払出用の賞球払出口106bが設けられている。上球皿106の左側下部には、遊技の展開状況に応じた効果音を発生させる図示しないスピーカからの音声が外部に放出される放音部106cが設けられている。また、前枠102の下部には遊技球を貯留する下球皿107が設けられ、この下球皿107と並んで遊技球の発射操作を行う操作ハンドル108が取り付けられている。
【0090】
遊技盤120は、板厚19mm程度の積層合板を所定形状に切断等して、その表面に所定意匠のセルを貼り付けた化粧板(ベニヤとも称される)121を基板として構成される。化粧板121の前面側には、帯状の外レール123aおよび内レール123bが円弧状に固設され、これらの外レール123a及び内レール123bで囲まれた内側に遊技領域PAが区画される。遊技領域PAには、第1始動入賞具124a、第2始動入賞具124b、一般入賞具125並びに大入賞具126を備えたアタッカー等の入賞具、および遊技の進行状況に応じて所定の図柄を遊技者が視認可能に表示させる図柄表示装置128などが取り付けられ、遊技領域PAの下端には入賞具124a,124b,125,126に入賞せずに落下した遊技球を遊技盤120の裏面側に排出させるアウト口127が設けられている。また、図柄表示装置128の上方には4個の特別図柄保留ランプ190,190,190,190が設けられている。図柄表示装置128は、遊技盤120のほぼ中央に位置しており、3桁の絵柄の組合せからなる「特別図柄」を液晶画面にて変動表示させるもので、この特別図柄のうち、3桁がいずれも同一種類の絵柄の組合せからなるものを「当たり図柄」と称する。
【0091】
第1始動入賞具124a又は第2始動入賞具124bへの入賞があると、上球皿106の賞球払出口106bから所定数の賞球(例えば5球)が遊技者に払い出されるのに加え、図柄表示装置128が作動し、図柄の変動が開始される。この変動の結果、停止表示される図柄が当たり図柄の場合には、遊技者にとって有利な「大当たり遊技」が発生する。
【0092】
この大当たり遊技においては、普段は閉鎖している大入賞具126が開放される。大入賞具126への入賞があると、賞球払出口106bから所定数(例えば15球)の賞球が遊技者に払い出される。この大入賞具126は、開放されてから所定時間(例えば30秒)経過するか、又は所定数(例えば10球)の入賞があるかのいずれかにより一旦閉鎖する。そして、この大入賞具126が開放されている間に、この大入賞具126の内部に設けられている図示しないVゾーンへの入賞があると、大入賞具126は一旦閉鎖した後、再度開放することとなっている。これにより、大入賞具126の開放は、最大16回連続することが可能となっている。また、大入賞具126が16回開放し終えるか、又は大入賞具126の開放中に上記Vゾーンへの入賞がなかった場合には、この大当たり遊技は終了する。
【0093】
なお、図柄表示装置128における変動表示の最中などに打球が第1始動入賞具124a又は第2始動入賞具124bに入賞した場合には、特別図柄保留ランプ190,190,190,190が最大4個まで点灯することとなっている。すなわち、この特別図柄保留ランプ190,190,190,190が点灯している個数分に相当する回数だけ、以後の図柄表示装置128の作動が保証されることとなっている。
【0094】
第1始動入賞具124a内における打球の流路には、第1始動入賞具124aへの打球の入賞を検出して検出信号を出力し、図柄表示装置128における図柄の変動表示を開始させるための第1始動入賞センサ151が設けられている。この第1始動入賞センサ151は磁気センサを用いており、検出信号としてハイ信号およびロー信号の2通りの状態をとる第1入賞信号を出力する。この第1入賞信号は、打球を検出していないときにはハイ信号として出力され、打球を検出している間のみロー信号として出力される。なお、光学的又は機械的センサがこの第1始動入賞センサ151として使用されることもある。
【0095】
また、第2始動入賞具124b内における打球の流路には、第1始動入賞センサ151と同じ磁気センサにより第2始動入賞具124bへの打球の入賞を検出して検出信号を出力し、図柄表示装置128における図柄の変動表示を開始させるための第2始動入賞センサ152が設けられている。この第2始動入賞センサ152は、検出信号としてハイ信号及びロー信号の2通りの状態をとる第2入賞信号を出力する。そして、この第2入賞信号は、打球を検出していないときにはハイ信号を出力しているが、打球が通過している間のみロー信号を出力する。なお、光学的又は機械的センサがこの第2始動入賞センサ152として使用されることもある。以下では、上記第1入賞信号と第2入賞信号とを総称して、単に「入賞信号」と称する。
【0096】
図12に示すように、前枠102の裏面下部には、遊技球を外レール123aに向けて発射する打球発射装置109、および操作ハンドル108の回動操作を受けて打球発射装置109の作動を制御する発射装置制御基板200が取り付けられている。また、上球皿106の背後には、通常は閉鎖保持される上球皿106によりその前面側が覆われている遊技補助盤と称される補助機構部が形成され、その前面側に打球発射装置109によって打ち出された遊技球を外レール123aに向けて案内する発射レールや、遊技領域PAに到達できずに打球発射装置109側に戻ってきたファール球を下球皿107に排出させるファール球回収経路部材、遊技の展開状況に応じた効果音を発生させる図示しないスピーカなどが取り付けられている。
【0097】
また、前枠102の背後には、裏セット盤130が取り付けられている。この裏セット盤130は、外枠101の内寸サイズよりも幾分小さめの方形状をなし、中央に表裏貫通する窓口131wを有して一体成形された基枠体131をベースとして構成される。基枠体131の側縁部には上下に所定間隔をおいて裏セット盤揺動ヒンジ部材132,133が固定されており、この上下の裏セット盤揺動ヒンジ部材132,133を前枠102側の上下の固定ヒンジ部材112,113に係合させて揺動あるいは係脱させることで、裏セット盤130が前枠102の背後に横開き開閉および着脱可能に装備され、通常は3箇所の閉鎖レバー134を利用して前枠102の背面を覆うように閉鎖保持される。
【0098】
裏セット盤130には、窓口131wを取り囲むようにして賞球を払い出すための賞球経路が設けられる。すなわち、基枠体131の裏面側には、遊技球の貯留・供給を行うタンク部材135、タンク部材135から供給される遊技球を整列させて流下させる整列樋部材136、整列樋部材136から供給される遊技球を受けて所定数量の遊技球を待機保持させる賞球待機通路137、賞球待機通路137に待機された遊技球を所定の入賞条件等に基いて払い出す球払出装置138、球払出装置138から払い出された遊技球を上下の球皿106,107に導く賞球払出経路139などの賞球経路が設けられている。また、基枠体131の前面側には、窓口131wの下方に位置して遊技盤120の裏面側に排出されたアウト球およびセーフ球、球抜き機構によって賞球経路の途上から排出された抜き球等を集合させる図示しない集合経路が形成され、基枠体131の裏面側には集合経路と繋がって集合された遊技球を遊技施設側の回収バケットに排出させる図示しない球排出経路が形成されている。
【0099】
裏セット盤130の裏面各部には、パチンコ機PMの作動を統括的に制御する主基板700や、主基板700からの指令信号に基いて球払出装置138の作動制御を行う球払出基板300、効果照明や効果音の作動制御を行うランプ・音声制御基板400、これらの制御基板や各種電子機器等に電力を供給する電源基板500、遊技ホールに設置された遊技機管理装置(管理コンピュータ)に対して各種の遊技情報を出力する外部接続装置としての外部端子板600などの回路基板が着脱交換可能に取り付けられ、各回路基板や電子機器が図示しないワイヤーハーネスで接続されてパチンコ機PMが構成される。また、球払出基板300の下方には、主基板700を含むこれら回路基板に何らかの異常動作等が生じたときに、これを発光ダイオードによる画面にて報知するためのエラー表示装置161(エラーLED)が設けられている。
【0100】
パチンコ機PMは、ガラス扉105、上球皿106、裏セット盤130等がそれぞれ閉鎖され、前枠102が外枠101に閉鎖施錠された状態で遊技に供される。遊技は上球皿106に遊技球を貯留させて操作ハンドル108を回動操作することにより開始され、上球皿106に貯留された遊技球が1球ずつ打球発射装置109に送られ操作ハンドル108の回動操作角度に応じた強度で遊技領域PAに打ち出されてパチンコゲームが展開される。
【0101】
次に、パチンコ機PMを制御する制御システムの概略を図13を参照しながら説明する。本制御システムは、主基板700、第1始動入賞センサ151、第2始動入賞センサ152、図柄表示装置128、外部端子板600およびエラー表示装置161を有して構成され、これらがケーブル等により電気的に接続されている。主基板700は、パチンコ機PMの動作全体を管理するシステムプログラム及び遊技用の実行プログラムが予め記憶されている半導体メモリ等で形成された記憶部を有しこれらのプログラムを実行するメインコントロール部730と、後述する当たりか否かの決定等に用いられる乱数(0〜65535の65536個の乱数値)を発生させる乱数発生装置750とから構成されている。
【0102】
主基板700は、図13に示すように、外部端子板600を介してパチンコ機PM外部に電気的に接続されており、主基板700から出力される各種の遊技情報をパチンコ機PM外部の管理コンピュータに対して伝送させることができるようになっている。この遊技情報には、何らかの異常を検出した主基板700から出力される報知信号が含まれており、管理コンピュータに対してパチンコ機PMの異常を報知させることができるため、遊技ホールはこの異常を直ちに認識することが可能となっている。さらに、エラー表示装置161がそれぞれ配線ケーブルを介して主基板700に接続されているため、主基板700等の各回路基板における異常を検出した主基板700から出力される報知信号により、エラー表示装置161の点灯を行わせることができる。
【0103】
メインコントロール部730は、基準クロック発生回路731、CPU732、ROM733、及びRAM734を備えて構成され、メインコントロール部730が実行すべき制御プログラム及び制御の過程で必要なデータはROM733に記載されている(図14参照)。また、基準クロック発生回路731は、パチンコ機PMの制御の中枢を担うCPU732の動作基準をなす基準クロックを発生する回路であって、水晶発振器や水晶振動子等を用いて所定間隔のパルス(クロック信号)を発生するものである。また、このパルスを分周部(不図示)において適宜分周したものを基準クロックとすることもできる。
【0104】
メインコントロール部730において実行される(CPU732が実行する)制御プログラムは、図13に示すように、当たりか否かを決定する当たり決定手段B134と、当たりが出る確率を変動させる確率変動を行うか否かを決定する確率変動決定手段B135と、異常判定手段B200とを備えて構成される。乱数発生装置750は、上記当たり決定手段B134及び確率変動決定手段B135に対応した当たり決定用乱数発生装置750a及び確率変動決定用乱数発生装置750bを備えて構成されている。それぞれの乱数発生装置750a,750bは、乱数を発生させるために設けられ、第1実施形態の乱数発生装置12の乱数クロック発生回路B51と同様に、乱数クロック発生回路B151等を備えて構成されている(後に詳述)。
【0105】
当たり決定手段B134は、決定用乱数取得部B134aと、当たり決定部B134bとを備えて構成され、決定用乱数取得部B134aは、当たり決定用乱数発生装置750aが発生させた乱数を決定用乱数(当否乱数)として取得し、当たり決定部B134bは、該決定用乱数の値に基づいて、当たりか否かを決定する。確率変動決定手段B135は、決定用乱数取得部B135aと、確率変動決定部B135bとを備えて構成され、決定用乱数取得部B135aは、確率変動決定用乱数発生装置750bが発生させた乱数を決定用乱数として取得し、確率変動決定部B135bは、該決定用乱数の値に基づいて、確率変動をするかしないかを決定する。
【0106】
また、ROM733には、当たりか否かを決定するために用いる当たり決定テーブル、及び確率変動をするか否かを決定するために用いる確率変動決定テーブルが格納されており、これらのテーブルには、決定用乱数取得部B134a,B135aが取得した乱数値(以下、決定用乱数と称する)の全範囲について、一の乱数値に対して、例えば「当たり乱数」か、それとも「外れ乱数」かの一意な結果が定まるようなデータが記録されている。当たり決定部B134b及び確率変動決定部B135bは、決定用乱数取得部B134a,B135aが取得した決定用乱数の値と上記テーブルのアドレス値とを比較参照して、当該乱数値に対応する結果を取得する。すなわち、これらのテーブルのアドレス値に対応して1つの結果が特定されることになっている。
【0107】
乱数発生装置750は、図14に示すように、乱数クロック発生回路B151、クロック反転回路B161、並びに第1及び第2ラッチ信号出力回路B171,B172により構成される。これらは、それぞれ、第1実施形態の、乱数クロック発生回路B51、第1及びB61、並びに第1及び第2ラッチ信号出力回路B71,B72と同一の構成、及び同様の役割を果たすものであるが、入出力回路部B140に入出力される信号が、スタートレバーSTの操作に応じて出力される操作信号ではなく、第1始動入賞具124aもしくは第2始動入賞具124bへの入賞に伴う第1始動入賞センサ151または第2始動入賞センサ152が出力した入賞信号である点が異なる。入出力回路部B140は、第1始動入賞センサ151または第2始動入賞センサ152からの入賞信号に基づいて、第1ラッチ信号出力回路B171に第1トリガ信号を送出し、これにより、上記決定用乱数(当たり決定用乱数、確率変動決定乱数)を取得できるようになっている。なお、第1実施形態と同様、クロック反転回路B161及び第1ラッチ信号出力回路B171を第1ラッチクロック同期回路B166、または、クロック反転回路B161及び第2ラッチ信号出力回路B172を第2ラッチクロック同期回路B167として、それぞれ一体として設けてもよい。
【0108】
上述した決定用乱数を出力する手段としては、第1実施形態と同様の、クロックカウント回路B81,B82,B83,B84及びカウント値記憶回路B91に相当するクロックカウント回路B181,B182,B183,B184及びカウント値記憶回路B191(実施例1)、または、乱数テーブル(実施例2及び実施例3)を用いることができる。実施例1を採用した場合は、クロックカウント回路B181,B182,B183,B184及びカウント値記憶回路B191を用いてカウント値を乱数値として出力させる。また、実施例2及び実施例3(図7参照)を採用した場合、時間Fごとに乱数テーブルを更新し、更新した乱数テーブルに基づいて乱数値を一通り出力させ、乱数テーブルの更新と乱数値の出力を繰り返す。
【0109】
乱数発生装置750は、第1実施形態の乱数発生装置12と同じように、以上の実施例1〜3のいずれか、または、これらを組み合わせた構成等を用いて乱数値を生成し、生成した乱数をCPUデータバスに出力させることにより乱数を発生させるが、第1実施形態と同様、一定の乱数値が出力され続ける問題が発生することがある。第2実施形態のパチンコ機PMには、この異常を検出するプログラムである異常判定手段B200が設けられている。この異常判定手段B200は、図6に示す第1実施形態の異常判定手段B100と同じ構成となっており、異常判定乱数取得部と、異常判定乱数記憶部と、異常判定乱数比較部と、異常判定部とを備えて構成される。すなわち、異常判定手段B200においては、異常判定用乱数として、基準乱数及び第1比較用乱数を間隔Δt毎に取得し、基準乱数と第1比較用乱数が同一の場合にのみ、第2比較用乱数を取得し、基準乱数、第1比較用乱数、及び第2比較用乱数が全て同一の値であると判断した場合にのみ異常と判断するという処理を行う(図8のステップS301〜S313参照)。
【0110】
異常判定手段B200は、異常と判断して処理を終了する場合、上述した報知信号、すなわち、主基板700から異常が発生した旨の信号を出力する処理を行う。具体的には、エラー表示装置161に該信号を出力しエラー表示装置161を点灯させたり、また、該信号をパチンコ機PM外部の管理コンピュータに送出し、管理コンピュータにその旨を表示させたりすることができる。
【0111】
また、異常判定手段B200による異常判定用乱数の取得の間隔も第1実施形態と同様にΔtとなっており、Δtは、出力乱数値更新時間F(乱数テーブルの更新時間F等)より短く且つクロックの周期fより長くなっている(図9参照)。そして、第1実施形態と同様、より細かいビット数単位で異常判定を行うことにより、判定の精度を高め、ビット不良を検出することも可能である。更に、乱数を取得する回数も3回に限定されず、4回、5回、またはそれ以上取得しても同じ効果が得られる点、Δtが固定値(周期的)であっても可変値(非周期的)であってもよい点、は第1実施形態と同様である。
【0112】
次に、実際の遊技における当たり決定及び確率変動決定用の乱数(以下、遊技用乱数と称する。)の取得、利用の手順を、図15に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、下記において示されるフローチャートに沿って、CPU732により制御プログラムが実行されるが、CPU732が実行すべき当該制御プログラム及び制御の過程で必要なデータはROM733に格納されている。
【0113】
まず、パチンコ機PMの電源が投入されると、必要なパラメータの初期化等を行った後、所定のメインルーチンに従って遊技の処理に関するプログラムが実行される。このメインルーチンに呼び出されるサブルーチンとして、上述した遊技用乱数取得処理が図15に示すフローチャートに従って実行される。まず、ステップS600で第1始動入賞具124a及び第2始動入賞具124bへの打球の入賞がチェックされる。
【0114】
ここで、CPU732による始動入賞センサ151,152からの入賞信号の検出周期は、所定の周期に設定されている。そして、ある検出周期において入賞信号がロー信号であることが検出され、且つ、その次の検出周期及びさらにその次の検出周期と2回連続でハイ信号が検出された場合にのみ有効な入賞と判定される。続くステップS610においては、第1始動入賞具124aへの入賞があったか否かが判断される。ここで、入賞がなかったと判断された場合、もしくは入賞はあったものの既に保留球数が所定の上限個数(例えば4個)に達している場合には、ステップS700に進む。一方、保留球数が上限個数未満で、且つ、入賞があったと判断された場合には、保留球数を1加算した上で、ステップS620に進む。
【0115】
ステップS620においては、第1ラッチ信号出力回路B171から、16ビットの乱数値のうち下位8ビット分を読み込むための第1ラッチ信号が出力され、乱数生成回路B186に入力される。そして、乱数生成回路B186に記憶された乱数値が出力される(ステップS630)。ステップS640においては、上記の段階で出力された乱数値が、16ビットの乱数値のうちの上位8ビット分として、RAM734の決定用乱数取得部B134a,135aに格納される。そして、ステップS650に進む。ステップS650においては、第1ラッチ信号出力回路B171から、16ビットの乱数値のうち上位8ビット分を読み込むための第1ラッチ信号が出力され、乱数生成回路B186に入力される。そして、乱数生成回路B186に記憶された乱数値が出力され(ステップS660)、ステップS670へ進む。ステップS670においては、上記の段階で出力された乱数値が、16ビットの乱数値のうちの上位8ビット分として、決定用乱数取得部B134a,B135aに格納される。そして、先のステップS640で格納された下位8ビット分と合わせて、16ビットの乱数値として取り扱われる。
【0116】
図15のステップS700〜S760においては、ステップS700において、第2始動入賞具124bへの入賞があったか否かが判断され、入賞がなかったと判断された場合、もしくは入賞はあったものの既に保留球数が上限個数に達している場合には、処理を終了してメインルーチンに戻る。また、上記入賞があり且つ保留球数が上限個数未満の場合は、ステップS710へ進み、上述したステップS620〜S670と同様の処理を行い、16ビットの遊技用乱数を取得する。
【0117】
パチンコ機PMにおける遊技用乱数の取得は上記のようなフローで行われるが、異常判定手段B200による異常判定処理を、第1始動入賞具124aまたは第2始動入賞具124bへの入賞が検出され、遊技用乱数を取得しているタイミングで行うことは好ましくない。その理由について以下で説明する。まず第1始動入賞具124aまたは第2始動入賞具124bへ入賞したとき第1ラッチ信号出力回路B171から第1ラッチ信号が出力されるが、この出力とほぼ同じタイミングで、第2ラッチ信号出力回路B172から第2ラッチ信号が出力されると、記憶された乱数値が、第1ラッチ信号と第2ラッチ信号のどちらによるものかわからなくなるという事象が発生する。そして、第1始動入賞具124aまたは第2始動入賞具124bへの入賞による第1ラッチ信号による乱数値が当たりであったとしても、第2ラッチ信号により乱数値が切り替わり、本来当たりだったものが外れとなるという問題が発生する。そこで、第2実施形態のパチンコ機PMでは、異常判定手段B200を、以下の実施例6及び実施例7に示すタイミングで稼動させている。
【実施例6】
【0118】
異常判定手段B200は、最低3回(1回目の乱数値と2回目の乱数値が相違する場合は2回)異常判定用乱数を取得するが、実施例6は、この異常判定用乱数の取得タイミングを完全に遊技用乱数の取得タイミングに重ならないようにして取得するというものである。例えば、上記遊技用乱数取得処理において、第1始動入賞フラグ及び第2始動入賞フラグを設け、ステップS610における、第1始動入賞具124aへの入賞があるか否か及び保留球数が上限個数に達しているか否かの判断を行った後、入賞があり且つ保留球数が上限個数に達していないと判断したときに(ステップS620に移行する前に)第1始動入賞フラグをオンにし、入賞がなかったときまたは保留球数が上限個数に達しているときに(ステップS700に移行する前に)第1始動入賞フラグをオフに処理を追加する。同様にステップS700における第2始動入賞具124bへの入賞があるか否か及び保留球数が上限個数に達しているか否かの判断を行った後、入賞があり且つ保留球数が上限個数に達していないと判断したときに(ステップS710に移行する前に)第2始動入賞フラグをオンにし、入賞がなかったときまたは保留球数が上限個数に達しているときに(メインルーチンに戻る前に)第2始動入賞フラグをオフにする処理を追加する。
【0119】
そして、異常判定手段B200においては、基準乱数のラッチ(ステップS301)を開始させる前に、第1始動入賞フラグ及び第2始動入賞フラグの両方がオフであるか否かの確認処理を追加し、両方がオフでないときには該確認処理をループさせ、両方がオフになったときに初めてステップS301から処理を開始するようにすればよい。
【0120】
また、実施例6では、上記に限らず、遊技用乱数を取得していないことを条件に異常判定用の乱数を取得すればよいので、例えば、操作ハンドル108が操作されていないことを検出したときに異常判定処理を開始してもよいし、RAMがクリアされたとき、または、パチンコ機PMの電源を投入した直後の、初期動作中や遊技に関するバックアップデータが存在しないときに異常判定処理を開始してもよい。
【実施例7】
【0121】
実施例7では、3回の異常判定用乱数の取得のうち、1回目の異常判定用乱数(基準乱数)の取得を、遊技用乱数の取得と併せて実施しようとする方法である。すなわち、異常判定手段B200が行う異常判定処理(ステップS301〜S314)のうち、基準乱数値の取得(ステップS301からS305まで)を、決定用乱数取得処理と併せて行おうとするものである。具体的には、図15のフローチャートに示す遊技用乱数の取得フローとほぼ同様の処理を行うが、下位8ビットの乱数格納処理(ステップS640)、及び上位8ビットの乱数格納処理(ステップS670)において、取得した乱数値をRAM734の決定用乱数取得部B134a,135bの決定用乱数取得部B134a,135bに格納するだけでなく、これを基準乱数として異常判定手段B200の異常判定乱数記憶部に保存させる。なお、第2始動入賞具124bの入賞を検出した(ステップS700)後の、下位ビット格納(ステップS730)及び上位ビット格納(ステップS760)のタイミングで異常判定乱数記憶部に保存させてもよい。
【0122】
異常判定手段B200は、上記のように基準乱数を異常判定乱数記憶部B102に記憶させた後は、実施例6のように遊技用乱数取得処理が実行されていないことを条件としてステップS306〜S313の処理を行い、異常判定用乱数の取得、比較、そして乱数発生装置750が正常か異常かの判断を行えば、遊技用乱数の取得に影響を与えることなく、異常判定用乱数の取得及び判定ができる。
【0123】
以上、実施例6では、異常判定処理における3回の異常判定用乱数の取得を、抽選用乱数の取得と重ならないタイミングで行い、実施例7では、3回の異常判定用乱数の取得のうち1回目を遊技用乱数の取得と同時に行い、残りの2回の異常判定用乱数の取得を遊技用乱数の取得と重ならないタイミングで行う例を示した。上記のように実施例7では、1回目の異常判定用乱数の取得を遊技用乱数の取得と併せて実施できるため、実施例6と比較して異常判定処理のプログラムの容量を減らすことが可能となりこの点では有利である。ところが、パチンコ機PMでは遊技が実行されている限り、遊技用乱数の取得がランダムに行われるため、異常判定用乱数の取得を間隔Δtで行わなければならないことなどを考えると、実施例6のように、確実に遊技用乱数の取得が行われていないタイミングを検出してから異常判定処理を行う方が、上述した、乱数値が上記第1ラッチ信号と第2ラッチ信号のどちらによるものかわからなくなるという事象の発生を確実に排除できる。
【0124】
しかし、実施例7の場合において、例えば2個連続して打球が第1始動入賞具124aまたは第2始動入賞具124bに入賞したとしても、上記異常判定処理を行うことは可能である。図16(a)に示すように、2個連続して打球が第1または第2始動入賞具124a,124bに入った場合において、打球の直径(連続した2つの打球間の距離)をα、第1または第2始動入賞センサ151,152における打球の通過距離をβ、打球がαの距離を通過する時間をΔt4、第1または第2始動入賞センサ151,152を通過する時間をΔt2とする。この場合、1個目の打球が検出されてから2個目の打球が検出されるまでの時間がΔt4になり、これは、図16(b)に示すように上記センサを通過し入力受付をしている時間Δt2より長い。また、遊技用乱数の取得間隔をΔt3とすると、遊技用乱数は打球の入賞を検出、すなわちΔt2が開始されてから行われる。ここで、Δt2はおおよそ40ms、Δt3はその10分の1の4ms程度であるため、Δt2間における抽選用乱数の取得は、図16(c)に示すようなタイミングで行われる。すなわち、Δt2の開始から最大でも8msの間には遊技用乱数の取得が完了することになり、異常判定用乱数の取得はその後、Δt2−2Δt3の間(最小でも32msの間)に行えばよいことになる。従って、上述したように異常判定処理に要する時間は28.375μs程度であるため、実施例7の場合においても、図16(c)のΔt2−2Δt3の間(最小でも32msの間)に異常判定用乱数を取得し、異常判定処理を行うことは十分可能である。
【0125】
以上、第2実施形態のパチンコ機PMにおいては、乱数発生装置750が当たり決定用乱数発生装置750aと確率変動決定用乱数発生装置750bとを備え、当たり決定用乱数発生装置750aと確率変動決定用乱数発生装置750bとがそれぞれ当たり決定部B134bと確率変動決定部B135bとに対応して設けられる例について説明したが、例えば、図柄抽選用プログラム(例えば、大当たり時の確率変動の有無またはラウンド数等、発生させる利得の種類を一意に定めるプログラム等)、演出パターン抽選用プログラム(例えば、演出に伴う変動時間の種類または演出に伴うリーチの種類を一意に定めるプログラム等)、及びこれらのプログラムでそれぞれ使用する乱数発生装置(例えば、図柄抽選用乱数発生装置及び演出パターン抽選用乱数発生装置)が設けられていても、本発明に係る異常判定手段B200により行われる異常判定処理を適用させることができる。具体的には、異常判定を行う優先度が高い乱数発生装置に対して優先的に異常判定処理を実行させてもよいし、全ての乱数発生装置に対して異常判定処理を実行させるようにしてもよい。
【0126】
また、上記のように乱数値を用いるプログラムが複数存在する場合、例えば乱数値が必要な第1のプログラムと第2のプログラムがある場合において、第1のプログラムに対応した乱数発生装置により発生させた乱数値に、所定の一律の値や別のソフト乱数等の値を加算等により組み合わせ、この組み合わせの結果得られる値を第2のプログラムで用いる乱数値として使用してもよい。具体的には、例えば、当たり決定用乱数発生装置750aにより発生させた乱数値に、別のソフト乱数等の乱数値を演算等により組み合わせて、図柄抽選用プログラム又は演出パターン抽選用プログラムで用いる乱数値として使用してもよい。
【0127】
以上、第1実施形態のスロットマシン1及び第2実施形態のパチンコ機PMにおいては、異常判定手段B100(B200)が、出力乱数値更新時間F(例えば、乱数テーブルの更新時間F)より短く且つクロックの周期fより長い間隔Δtで異常判定用乱数を3回(1回目と2回目の値が異なる場合は2回)取得することにより、偶然同一の乱数値を取得するケースを排除しつつ、確実に乱数発生装置が正常か否かの判定を行うことができる。また、異常判定手段は、3回異常判定用乱数を取得するだけで上記判定を行うことができるため、従来よりもプログラムの容量を小さくすることもできる。
【0128】
また、第1実施形態のスロットマシン1及び第2実施形態のパチンコ機PMにおいては、上記実施例4及び実施例6に示すように、抽選用あるいは遊技用の乱数を取得していないタイミングで、上記異常判定処理を稼動させている。これにより、通常の遊技における乱数の取得に影響を与えずに異常判定を行うことができる。なお、上記では、抽選用または遊技用の乱数を取得していない状態を検出したときに異常判定処理を行う例を示したが、この抽選用または遊技用乱数を取得していない状態を検出するときに毎回異常判定を行うようにすることも可能であり、この場合、異常判定処理のプログラムをサブルーチン化することができるため、プログラムの容量を削減しつつ、異常の判定及び検出を早期に行うことができる。
【0129】
そして、第1実施形態のスロットマシン1及び第2実施形態のパチンコ機PMにおいては、上記実施例5及び実施例7に示すように、抽選用あるいは遊技用乱数の取得と共に、上記異常判定処理で使用する1回目の異常判定用乱数の取得を行うこともできる。これにより、異常判定処理のプログラムの容量を削減できるとともに、異常判定処理を効率良く行うことができる。なお、上記では、抽選用または遊技用乱数の取得に合わせて1回目の異常判定用乱数を取得し異常判定処理を行う例について示したが、この抽選用または遊技用乱数の取得毎に毎回異常判定をすることも可能であり、この場合も、異常判定処理のプログラムをサブルーチン化することができるため、容量を削減しつつ、異常の判定及び検出を早期に行うことができる。また、他の異常検出処理、例えば、払出処理の異常や振動センサが振動を検出した時等に、該検出に合わせて上記異常判定処理を実行させるようにすることも可能である。そして、上記異常判定処理は、スロットマシン1及びパチンコ機PMに限らず、他の遊技機で実行される各種処理に組み込んだり、転用させたりすることも可能である。
【0130】
また、第1実施形態におけるスロットマシン1及び第2実施形態におけるパチンコ機PMでは、上記異常判定処理の結果、異常と判定された場合にその旨を表示させる表示手段(エラー表示部5c及びエラー表示装置161)が設けられている。この表示手段が設けられていることにより、ホールの管理者などに容易に異常状態を把握させることができ、異常が発生した遊技機を停止させる等、適切な対応を迅速にとることが可能となる。更には、上記表示手段の他に、遊技機の動作を停止または規制する遊技機異常時制御手段を設け、上記異常判定処理の結果異常と判定された場合に、自動的に遊技機の動作を停止または規制するようにしてもよい。具体的には、第2実施形態におけるパチンコ機PMでは遊技球の発射を停止させてもよいし、スロットマシン1及びパチンコ機PMでは、賞球及びメダルの払出処理、抽選処理、入賞処理等が行われなくなるように制御してもよい。このように、遊技機の動作を停止または規制する遊技機異常時制御手段が設けられることにより、異常による遊技者や遊技店が被る不利益の発生を確実に抑止することができる。
【0131】
なお、本発明に係る異常判定手段B100(B200)の適用対象としては、上記スロットマシン1またはパチンコ機PM等の遊技機に限定されない。すなわち、乱数発生装置が設けられている機器であれば適用することが可能であり、この異常判定手段を用いることにより、当該乱数発生装置の異常動作を検出することができる。
【符号の説明】
【0132】
1 スロットマシン(第1実施形態の遊技機)
PM パチンコ機(第2実施形態の遊技機)
12,750 乱数発生装置
B34a 抽選用乱数取得部(第1実施形態の乱数値取得手段)
B34b 抽選役判定部(第1実施形態の当否判定手段)
B51 乱数クロック発生回路(第1実施形態のクロック発生手段)
B52 乱数テーブル決定部(テーブル選択手段)
B53a 乱数テーブル
B71 第1ラッチ信号出力回路(第1実施形態の第一ラッチ信号出力手段)
B72 第2ラッチ信号出力回路(第1実施形態の第二ラッチ信号出力手段)
B101 異常判定乱数取得部(異常検出用乱数値取得手段)
B104 異常判定部(異常判定手段)
B134a 決定用乱数取得部(第2実施形態の乱数値取得手段)
B134b 当たり決定部(第2実施形態の当否判定手段)
B135a 決定用乱数取得部(第2実施形態の乱数値取得手段)
B135b 確率変動決定部(第2実施形態の当否判定手段)
B151 乱数クロック発生回路(第2実施形態のクロック発生手段)
B171 第1ラッチ信号出力回路(第2実施形態の第一ラッチ信号出力手段)
B172 第2ラッチ信号出力回路(第2実施形態の第二ラッチ信号出力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数でクロックを発生させるクロック発生手段と、
前記クロック発生手段が発生したクロックに基づいて、定められた範囲内の乱数値を初期値から最終値まで所定の周期で更新する乱数発生装置と、
第一の信号に応じて第一ラッチ信号を出力する第一ラッチ信号出力手段と、
前記第一ラッチ信号に基づいて前記乱数発生装置から乱数値を取得する乱数値取得手段と、
前記乱数値取得手段が取得した乱数値に基づいて当たりか否かを判定する当否判定手段とを備えた遊技機において、
第二の信号に応じて第二ラッチ信号を出力する第二ラッチ信号出力手段と、
前記第二ラッチ信号に基づいて前記乱数発生装置から前記乱数発生装置の異常を検出するための異常検出用乱数値を取得すると共に、所定の間隔でn回(ただし、nは3以上の整数)繰り返し取得する異常検出用乱数値取得手段と、
前記異常検出用乱数値取得手段が取得した異常検出用乱数値のうち3個以上が同一であると判定した場合に前記乱数発生装置に異常が発生したものと判定する異常判定手段とを備え、
前記異常検出用乱数値取得手段が異常検出用乱数値を取得する間隔は、前記乱数発生装置の前記所定の周期より短く、且つ前記クロックの周期より長いことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
所定の周波数でクロックを発生させるクロック発生手段と、
前記クロック発生手段が発生したクロックに基づいて、定められた範囲内の乱数値を初期値から最終値まで所定の周期で更新する乱数発生装置と、
第一の信号に応じて第一ラッチ信号を出力する第一ラッチ信号出力手段と、
前記第一ラッチ信号に基づいて前記乱数発生装置から乱数値を取得する乱数値取得手段と、
前記乱数値取得手段が取得した乱数値に基づいて当たりか否かを判定する当否判定手段とを備えた遊技機において、
第二の信号に応じて第二ラッチ信号を出力する第二ラッチ信号出力手段と、
前記第二ラッチ信号に基づいて前記乱数発生装置の異常を検出するための異常検出用乱数値を取得すると共に、所定の間隔でn回(ただし、nは3以上の整数)繰り返し取得する異常検出用乱数値取得手段と、
前記異常検出用乱数値取得手段が取得した異常検出用乱数値のうち3個以上が同一であると判定した場合に前記乱数発生装置に異常が発生したものと判定する異常判定手段とを備え、
前記異常検出用乱数値取得手段が異常検出用乱数値を3回取得するまでに要する期間は、前記所定の周期が2度経過するまでに要する期間より短く、且つ異常検出用乱数値を取得する間隔は前記クロックの周期より長いことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
前記異常判定手段は、前記異常検出用乱数値取得手段が異常検出用乱数値を取得するときに、前記取得した異常検出用乱数値が前回取得した異常検出用乱数値と同一であるか否かを判定し、前記取得した異常検出用乱数値が前回取得した異常検出用乱数値と同一でないことを判定した時点で、前記乱数発生装置に異常が発生していないものと判定することを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記異常検出用乱数値取得手段は、前記当否判定手段の判定に用いられる乱数値の取得が行われていないタイミングで、異常検出用乱数値を取得することを特徴とする請求項1〜3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記異常検出用乱数値取得手段は、前記当否判定手段の判定に用いられる乱数値の取得が行われていないタイミングが発生するときに、異常検出用乱数値を取得し、且つ前記異常判定手段は前記乱数発生装置に異常が発生しているか否かの判定を行うことを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記異常検出用乱数値取得手段は、前記当否判定手段の判定に用いられる乱数値の取得と同時に、1個目の異常検出用乱数値を取得することを特徴とする請求項1〜3に記載の遊技機。
【請求項7】
前記異常検出用乱数値取得手段は、前記当否判定手段の判定に用いられる乱数値の取得が行われるときに、1個目の異常検出用乱数値を取得し、且つ前記異常判定手段は前記乱数発生装置に異常が発生しているか否かの判定を行うことを特徴とする請求項6に記載の遊技機。
【請求項8】
前記乱数発生装置は、前記乱数値取得手段により取得される可能性がある乱数値が初期値から最終値まで互いに異なる所定の順序で更新するように配置されている複数の乱数テーブルと、前記複数の乱数テーブルのうちの一つの乱数テーブルを所定の周期で選択するテーブル選択手段とを備えて構成されることを特徴とする請求項1〜7に記載の遊技機。
【請求項9】
前記テーブル選択手段は、複数の乱数テーブルのうちの一つの乱数テーブルを選択するために用いるテーブル選択用乱数値を取得し、前記テーブル選択用乱数値に基づいて、選択する乱数テーブルを決定することを特徴とする請求項8に記載の遊技機。
【請求項10】
前記テーブル選択手段は、予め決められた順序で前記一つの乱数テーブルを選択することを特徴とする請求項8または9に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−139885(P2011−139885A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184737(P2010−184737)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【分割の表示】特願2010−776(P2010−776)の分割
【原出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】