説明

遊技機

【課題】監視処理負荷の増大化を抑制しつつ不正行為を防止することができる遊技機を提供する。
【解決手段】前面扉12の略中央右部に設けられたメダル投入口75からメダルが投入され、その後前面扉12の略中央左部に設けられたスタートレバー71が操作されると、表示窓31L,31M,31Rを介して視認可能なリールが回転を開始する。そして、ストップスイッチ72〜74が操作されると、各スイッチ72〜74に対応したリールが停止するように構成されている。また、メダル投入口75から投入されたメダルは、前面扉12の背面に設けられた複数のメダル投入センサにより検出されるように構成されている。メダル投入センサでエラーが検知されると、回転しているリールの停止操作を無効にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種として、複数の図柄(識別情報の一種)が所定間隔おきに回胴(環状リール)に付されて構成された図柄列を変動表示した後に停止図柄の組合せを表示する表示装置を備えたスロットマシンが知られている。スロットマシンでは、各リールの外周部に複数の図柄が付与されており、表示窓を通じて各リールに付与された図柄の一部が視認可能な構成となっている。そして遊技者がメダルを投入してスタートレバーを操作することで各リールが回転を開始し、各リールが回転を開始した後にストップスイッチを操作したり所定時間が経過したりすることで各リールが順次停止する。また、スロットマシンの内部ではメダルの投入とスタートレバーの操作を条件として抽選を行っており、抽選の結果が当選であり且つ予め設定された有効ライン上に遊技者が当選となった図柄を停止させることを条件として所定枚数のメダルが払い出されたり、遊技者に有利な所定のゲーム(特別遊技状態)が発生するなどの特典が付与される。
かかる遊技機において、遊技者によりメダルが投入されたことは、メダルを遊技機内部に案内する案内通路に沿って配置された検出センサがメダルの通過を検出することにより確認される。しかしながら近年では、検出センサの付近にてメダルを往復動させる特別な器具を使用した行為によりメダルの通過を誤認させ、メダルを投入することなく遊技を行う不正行為が行われることがあった。そこで、このような不正行為を防止すべく、検出センサを複数個連接させると共にこれら検出センサがメダルを検出した検出順序を確認することで不正行為を防止する構成が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−282413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の検出センサがメダルを検出したその検出順序を確認するためには、各検出センサを監視し続ける必要がある。不正行為を防止すべくこれら検出センサを監視し続ける構成とした場合、不正行為を防止するための監視処理負荷が多大なものとなる問題が生じている。この問題はスロットマシンに限らず、例えば遊技球等の遊技媒体を受け入れることを遊技開始条件の1つとする他の遊技機にも該当する問題である。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、監視処理負荷の増大を抑制しつつ不正行為を防止することができる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、遊技を行うための遊技媒体を受入可能な受入口と、その受入口から受け入れられた遊技媒体を案内する案内通路と、その案内通路を通る遊技媒体を検出すべく、当該遊技媒体の流れ方向に配置される複数の検出手段と、その複数の検出手段より上流側にて前記案内通路から分岐する分岐通路と、前記受入口から受け入れられる遊技媒体の通路を前記案内通路または前記分岐通路へ切り替える切替手段と、複数種の識別情報を変動可能に表示する表示装置と、その表示装置に表示される識別情報の変動表示を開始させるべく始動操作が行われる始動操作手段と、その変動表示を停止させるべく停止操作が行われる停止操作手段と、抽選を行う抽選手段と、前記複数の検出手段が遊技媒体の通過を検出した後に、前記始動操作手段に対する始動操作に基づいて前記表示装置に識別情報の変動表示を開始させ、前記停止操作手段に対する停止操作に基づいて前記表示装置に前記抽選手段の抽選結果に対応した識別情報を停止表示させる制御を行う変動制御手段と、前記表示装置に予め定めた第1識別情報が停止表示された場合にその第1識別情報に対応した数分の遊技媒体を払い出す払出手段とを備え、前記受入口から受け入れられる遊技媒体が前記切替手段によって前記案内通路に沿って案内される期間中に、前記複数の検出手段が予め定めた検出順序に従って遊技媒体の通過を検出したか否かを確認する順序確認手段と、その順序確認手段の確認結果が前記予め定めた検出順序と異なる場合に所定の処理を行う異常処理実行手段と、前記受入口から受け入れられる遊技媒体が前記切替手段によって前記分岐通路へ案内される期間中であって前記識別情報の変動表示中に、前記複数の検出手段の少なくとも1つが遊技媒体の通過を検出したか否かを確認する検出確認手段とを備え、前記変動制御手段は、その検出確認手段の確認結果によって前記遊技媒体の通過が確認された場合には、その通過確認後に所定の条件が成立するまで前記停止操作手段に対する停止操作が行われても前記識別情報の変動表示を継続する変動継続手段とを備えている。
【0007】
この請求項1記載の遊技機によれば、切替手段によって遊技媒体が分岐通路へ案内されずに案内通路に沿って案内される状態においては、複数の検出手段が予め定めた検出順序に従って遊技媒体の通過を検出したか否かが順序確認手段によって確認される。遊技媒体は流れ方向に沿って一方へ流下するのに対し、不正行為として例えば各検出手段の配置付近にて遊技媒体を往復動させて遊技媒体の通過を誤認させようとしても検出順序が予め定めたものとは異なるものとなる。順序確認手段の確認結果が予め定めた検出順序と異なる場合には、異常処理実行手段によって所定の処理が行われ、不正行為が行われた場合の被害の拡大が防止される。
【0008】
また、分岐通路は複数の検出手段より上流側にて案内通路から分岐するので、切替手段によって遊技媒体が分岐通路へ案内される状態においては、遊技媒体の通過は、基本的に複数の検出手段のいずれにも検出されることがない。しかし、特別な工具を案内通路内に差し込んで不正行為が行われる場合、遊技媒体が分岐通路へ案内される状態に切り替わっても特別な工具が差し込まれていれば検出手段が特別な工具を遊技媒体の通過として検出し得る。このため、検出確認手段によって少なくとも1つの検出手段が遊技媒体の通過を検出したか否かを確認することにより、案内通路内へ特別な工具を差し込む不正行為を検出することができる。この場合に、順序確認手段による予め定めた検出順序であるか否かの確認はせず、検出確認手段によって少なくとも1の検出結果のみを確認することにより、検出手段を監視する処理の負荷が低減される。
【0009】
また、切替手段によって遊技媒体が分岐通路へ案内される状態であって識別情報の変動表示中に検出確認手段の確認結果によって遊技媒体の通過が確認された場合には、その通過確認後には、所定の条件が成立するまで停止操作手段に対する停止操作が行われても変動継続手段によって識別情報の変動表示が継続される。識別情報の変動表示が継続している状態においては第1識別情報が停止表示せず、払出手段による所定数の遊技媒体の払い出しが行われない。このため、検出確認手段の確認結果によって不正行為が行われた可能性のある状態を検出した場合に、それ以降に遊技媒体の払い出しを行われないようにすることができ、不正行為が行われた場合における被害の拡大を防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の遊技機によれば、検出確認手段は、切替手段によって遊技媒体が分岐通路へ案内される状態において少なくとも1つの検出手段が遊技媒体の通過を検出したか否かを確認する。この検出確認手段の確認によって、予め定めた検出順序で遊技媒体の通過を検出したかを確認するより検出手段を監視する処理の負荷を低減しつつ、案内通路内への工具の差し込みによる不正行為を検出することができる。よって、監視処理負荷の増大を抑制しつつ不正行為を防止することができるという効果がある。
また、遊技媒体が分岐通路へ案内される状態であって識別情報の変動表示中に遊技媒体の通過が確認された場合、その通過確認後には所定の条件が成立するまで停止操作手段に対する停止操作が行われても識別情報の変動表示が継続される。このため、表示装置には第1識別情報が停止表示されず、不正行為が行われた可能性のある状態においては遊技媒体の払い出しが行われないようにすることができ、不正行為が行われた場合における被害の拡大を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施の形態におけるスロットマシンの正面図である。
【図2】前面扉を閉じた状態を示すスロットマシンの斜視図である。
【図3】前面扉を開いた状態を示すスロットマシンの斜視図である。
【図4】前面扉の背面図である。
【図5】セレクタの内部構造を示す図である。
【図6】筐体の正面図である。
【図7】左リールの組立斜視図である。
【図8】各リールを構成する帯状ベルトの展開図である。
【図9】スロットマシンのブロック回路図である。
【図10】NMI割込み処理を示すフローチャートである。
【図11】タイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【図12】停電時処理を示すフローチャートである。
【図13】メイン処理を示すフローチャートである。
【図14】通常処理を示すフローチャートである。
【図15】メダルが投入された際の各投入メダル検出センサの検出を示すタイミングチャートである。
【図16】抽選処理を示すフローチャートである。
【図17】リール制御処理を示すフローチャートである。
【図18】メダル払出処理を示すフローチャートである。
【図19】特別遊技状態処理を示すフローチャートである。
【図20】ボーナス図柄判定処理を示すフローチャートである。
【図21】RBゲーム初期設定処理時のカウンタ設定を示す説明図である。
【図22】(a)はBBゲーム初期設定処理時のカウンタ設定を示す説明図であり、(b)はBBゲーム中JACゲーム初期設定処理時のカウンタ設定を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、遊技機の一種である回胴式遊技機、具体的にはスロットマシンに適用した場合の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10の正面図、図2はスロットマシン10の前面扉12を閉じた状態の斜視図、図3はスロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図、図4は前面扉12の背面図、図6は筐体11の正面図である。
【0013】
図1〜図4及び図6に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、図3および図6に示すように、木製板状に形成された天板11a、底板11b、背板11c、左側板11d及び右側板11eからなり、隣接する各
板11a〜11eが接着等の固定手段によって固定されることにより、全体として前面を開放した箱状に形成されている。なお、各板11a〜11eは木製のパネルによって構成する以外に、合成樹脂製パネル又は金属製パネルによって構成してもよいし、合成樹脂材料又は金属材料によって一体の箱状に形成することによって構成してもよい。以上のように構成された筐体11は、遊技ホールへの設置の際にいわゆる島設備に対し釘を打ち付ける等して取り付けられる。
【0014】
筐体11の前面側には、前面開閉扉としての前面扉12が開閉可能に取り付けられている。すなわち、筐体11の左側板11dには、図5に示すように、上下一対の支軸25a,25bが設けられている。支軸25a,25bは上方に向けて突出された先細り形状の軸部を備えている。一方、前面扉12には、図4に示すように、各支軸25a,25bに対応して当該支軸25a,25bの軸部が挿入される挿入孔を備えた支持金具26a,26bが設けられている。そして、各支軸25a,25bの上方に支持金具26a,26bを配置させた上で前面扉12を降下させることにより、支持金具26a,26bの挿入孔に支軸25a,25bの軸部が挿入された状態とされる。これにより、前面扉12は筐体11に対して両支軸25a,25bを結ぶ上下方向へ延びる開閉軸線を中心として回動可能に支持され、その回動によって筐体11の前面開放側を開放したり閉鎖することができるように構成されている。
【0015】
前面扉12は、その裏面に設けられた施錠装置によって開放不能な施錠状態とされる。また、前面扉12の右端側上部には、図1に示すように、解錠操作部たるキーシリンダ20が設けられている。キーシリンダ20は施錠装置と一体化されており、キーシリンダ20に対する所定のキー操作によって前記施錠状態が解除されるように構成されている。そこで、施錠装置を含むロック機構について概略を説明する。
【0016】
前面扉12の右端側、すなわち前面扉12の開閉軸の反対側には、その裏面に施錠装置が設けられている。施錠装置は、図1および図4に示すように、上下方向に延び前面扉12に固定された基枠と、基枠の上部から前面扉12の前方に延びるように設けられたキーシリンダ20と、基枠に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆21とを備えている。そして、施錠装置のうちキーシリンダ20だけが前面扉12の前方に突出した状態で設けられている。キーシリンダ20が設けられる位置は前面扉12の中でも肉厚の薄い上部位置とされており、その結果、全長の短い汎用性のあるキーシリンダ20を採用することができる。なお、本実施の形態では、キーシリンダ20として、不正解錠防止機能の高いオムロック(商標名)が用いられている。
【0017】
連動杆21は、キーシリンダ20に差し込んだキーを時計回りに操作することで下方へ移動される。連動杆21には、鉤形状をなす上下一対の鉤金具22が設けられており、筐体11に対して前面扉12を閉鎖した際には、鉤金具22が筐体11側の支持金具23に係止されて施錠状態となる。なお、鉤金具22には施錠状態を維持する側へ付勢するコイルバネ等の付勢部材が設けられている。キーシリンダ20に対してキーが時計回りに操作されると、連動杆21が下方に移動し、前記付勢部材の付勢力に抗して鉤金具22が移動されることにより当該鉤金具22と支持金具23との係止状態が解除され、筐体11に対する前面扉12の施錠状態が解除される。
【0018】
前面扉12の中央部上寄りには、図1に示すように、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル30が設けられている。遊技パネル30には、縦長の3つの表示窓31L,31M,31Rが横並びとなるように形成されている。表示窓31L,31M,31Rは透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓31L,31M,31Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。なお、各表示窓31L,31M,31Rを1つにまとめて共通の表示窓としてもよい。
【0019】
図3に示すように、筐体11は仕切り板40によりその内部が上下2分割されており、仕切り板40の上部には、表示装置を構成するリールユニット41が取り付けられている。リールユニット41は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール42L,中リール42M,右リール42Rを備えている。なお、各リール42L,42M,42Rは少なくとも無端状ベルトとして構成されていればよく、円筒状(円環状)に限定されるものではない。各リール42L,42M,42Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール42L,42M,42Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール42L,42M,42Rが各表示窓31L,31M,31Rと1対1で対応している。従って、各リール42L,42M,42Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓31L,31M,31Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール42L,42M,42Rが正回転すると、各表示窓31L,31M,31Rを通じてリール42L,42M,42Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
【0020】
これら各リール42L,42M,42Rは、それぞれがステッピングモータ61L,61M,61Rに連結されており、各ステッピングモータ61L,61M,61Rの駆動により各リール42L,42M,42Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。これら各リール42L,42M,42Rは同様の構成をしているため、ここでは左リール42Lを例に挙げて図7に基づいて説明する。なお、図7は左リール42Lの組立斜視図である。
【0021】
左リール42Lは、円筒状のかごを形成する円筒骨格部材50と、その外周面において無端状に巻かれた帯状のベルトとを備えている。そして、その巻かれた状態を維持するように、ベルトの長辺両側に沿って形成された一対のシール部を介して円筒骨格部材50に貼付されている。前記ベルトの外周面には、識別情報としての図柄が等間隔ごとに多数印刷されている。円筒骨格部材50の中心部にはボス部51が形成されており、円盤状のボス補強板52を介して左リール用ステッピングモータ61Lの駆動軸に取り付けられている。従って、左リール用ステッピングモータ61Lの駆動軸が回転することによりその駆動軸を中心として円筒骨格部材50が自転するように回転され、左リール42Lが円環状のリール面に沿って周回するようになっている。
【0022】
左リール用ステッピングモータ61Lは、リールユニット41(図3)内において起立状態に配置されたモータプレート53の側面にねじ54で固定されている。モータプレート53には、発光素子55aと受光素子55bとが所定間隔をおいて保持されたリールインデックスセンサ(回転位置検出センサ)55が設置されている。一方、左リール42Lと一体化されたボス補強板52には、半径方向に延びるセンサカットバン56の基端部56bがねじ57で固定されている。このセンサカットバン56の先端部56aは、略直角に屈曲されてリールインデックスセンサ55の両素子55a,55bの間を通過できるように位置合わせがなされている。そして、左リール42Lが1回転するごとにセンサカットバン56の先端部56aの通過をリールインデックスセンサ55が検出し、その検出の都度、後述する主制御装置131に検出信号が出力される。従って、主制御装置131はこの検出信号に基づいて左リール42Lの角度位置を1回転ごとに確認し補正できる。
【0023】
ステッピングモータ61Lは例えば504パルスの駆動信号(励磁信号あるいは励磁パルスとも言う。以下同じ)を与えることにより1回転されるように設定されており、この励磁パルスによってステッピングモータ61Lの回転位置、すなわち左リール42Lの回転位置が制御される。
【0024】
各リール42L,42M,42Rの各ベルト上には、その長辺方向(周回方向)に複数個、具体的には21個の図柄が描かれている。従って、所定の位置においてある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、リールインデックスセンサ55の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が表示窓31Lから視認可能な状態となっているかを認識したり、任意の図柄を露出窓31Lから視認可能な状態としたりする制御を行うことができる。
【0025】
各リール42L,42M,42Rに付された図柄のうち、表示窓31L,31M,31Rを介して全体を視認可能な図柄数は、主として表示窓31L,31M,31Rの上下方向の長さによって決定される所定数に限られている。本実施形態では各リール3個ずつとされている。このため、各リール42L,42M,42Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が遊技者に視認可能な状態となる。
【0026】
ここで、各リール42L,42M,42Rに付される図柄について説明する。図8には、左リール42L,中リール42M,右リール42Rのそれぞれに巻かれるベルトに描かれた図柄配列が示されている。同図に示すように、各リール42L,42M,42Rにはそれぞれ21個の図柄が一列に設けられている。各リール42L,42M,42Rに対応して番号が1〜21まで付されているが、これは説明の便宜上付したものであり、リール42L,42M,42Rに実際に付されているわけではない。但し、以下の説明では当該番号を使用して説明する。
【0027】
図柄としては、ビッグボーナスゲームに移行するための第1特別図柄としての「7」図柄(例えば、左ベルト第20番目)と「青年」図柄(例えば、左ベルト19番目)とがある。また、レギュラーボーナスゲームに移行するための第2特別図柄としての「BAR」図柄(例えば、左ベルト第14番目)がある。また、リプレイゲームに移行するための第3特別図柄としての「リプレイ」図柄(例えば、左ベルト第11番目)がある。また、小役の払出が行われる小役図柄としての「スイカ」図柄(例えば、左ベルト第9番目)、「ベル」図柄(例えば、左ベルト第8番目)、「チェリー」図柄(例えば、左ベルト第4番目)がある。そして、図8に示すように、各リール42L,42M,42Rに巻かれるベルトにおいて、各種図柄の数や配置順序は全く異なっている。
【0028】
なお、リールユニット41の各リール42L,42M,42Rは識別情報を変動表示する表示装置の一例であり、表示装置はこれ以外の構成であってもよい。例えば、ベルトを自転させるのではなく周回させるタイプ等の他の機械的なリール構成としてもよく、また、機械的なリール構成に代えて、或いはこれに加えて、液晶表示器、ドットマトリックス表示器等の電気的表示により識別情報を変動表示させるものを設けてもよく、この場合は表示形態に豊富なバリエーションをもたせることが可能となる。
【0029】
遊技パネル30には、各表示窓31L,31M,31Rを結ぶようにして、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、計5本の組合せラインが付されている。勿論、最大組合せライン数を6以上としてもよく、5未満としてもよく、所定条件に応じて最大組合せライン数を変更するようにしてもよい。これら各組合せラインに対応して、表示窓31L,31M,31R群の正面から見て左側には有効ライン表示部32,33,34が設けられている。第1有効ライン表示部32は組合せラインのうち中央の横ライン(中央ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第2有効ライン表示部33は組合せラインのうち上下の横ライン(上ライン及び下ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第3有効ライン表示部34は組合せラインのうち一対の斜めライン(右下がりライン及び右上がりライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。そして、有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に図柄が所定の組合せで停止した場合に入賞となり、予め定められたメダル払出処理や特定遊技への移行処理などが実行される。
【0030】
ここで、入賞となった場合の各図柄に関する払出枚数について説明する。小役図柄に関し、「スイカ」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合には15枚のメダル払出、「ベル」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合には8枚のメダル払出、左リール42Lの「チェリー」図柄が有効ライン上に停止した場合には2枚のメダル払出が行われる。即ち、中リール42M及び右リール42Rの「チェリー」図柄はメダル払出と無関係である。また、「チェリー」図柄に限っては、他の図柄との組合せとは無関係にメダル払出が行われるため、左リール42Lの複数の有効ラインが重なる位置(具体的には上段又は下段)に「チェリー」図柄が停止した場合には、その重なった有効ラインの数を乗算した分だけのメダル払出が行われることとなり、結果として本実施の形態では4枚のメダル払出が行われる。
【0031】
また、その他の図柄に関しては、第1特別図柄(ビッグボーナス図柄)の組合せである「7」図柄又は「青年」図柄が同一図柄にて有効ライン上に左・中・右と揃った場合には15枚のメダル払出、第2特別図柄(レギュラーボーナス図柄)の組合せである「BAR」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合にも15枚のメダル払出が行われる。なお、本実施形態においては、例えば「7」図柄と「チェリー」図柄とが同時に成立する場合が生じ得るが、かかる場合におけるメダル払出は15枚である。これは、1回のメダル払出における上限枚数が15枚に設定されているためである。
【0032】
更に、第3特別図柄の組合せである「リプレイ」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合にはメダル払出は行われない。その他の場合、即ち有効ライン上に左リール42Lの「チェリー」図柄が停止せず、また有効ライン上に左・中・右と同一図柄が揃わない場合が外れとなり、この場合には一切メダル払出は行われない。
【0033】
遊技パネル30の下方左側には、図1に示すように、各リール42L,42M,42Rを一斉(同時である必要はない)に回転開始させるために操作されるスタートレバー71が設けられている。スタートレバー71はリール42L,42M,42Rを回転開始、すなわち図柄の変動表示を開始させるべく始動操作が行われる始動操作手段を構成する。スタートレバー71は、遊技者が遊技(ゲーム)を開始するときに手で押し操作するレバーであり、内蔵されるバネにより手が離れたあと元の位置に自動復帰する。メダルが投入されているときにこのスタートレバー52が操作されると、各リール42L,42M,42Rが一斉に回転を始める。
【0034】
スタートレバー71の右側には、図1に示すように、回転している各リール42L,42M,42Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ72,73,74が設けられている。各ストップスイッチ72,73,74は停止対象となるリール42L,42M,42Rに対応する表示窓31L,31M,31Rの直下にそれぞれ配置されている。ストップスイッチ72,73,74はリール42L,42M,42Rの回転に基づく変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。各ストップスイッチ72,73,74は、左リール42Lが回転を開始してから所定時間が経過すると停止させることが可能な状態となり、かかる状態中には図示しないランプが点灯表示されることによって停止操作が可能であることが報知され、回転が停止すると消灯されるようになっている。
【0035】
表示窓31L,31M,31Rの下方右側には、図1に示すように、遊技を行うための遊技媒体としてのメダルを投入するためのメダル投入口75が設けられている。メダル投入口75は遊技媒体を受入可能な受入口を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴う点に着目すれば、遊技媒体を直接入力する直接入力手段を構成するものともいえる。
【0036】
メダル投入口75から投入されたメダルは、図3に示すように、前面扉12の背面に設けられたセレクタ83によって貯留用通路81か排出用通路82のいずれかへ導かれる。セレクタ83には、後述するメダル通路切替部材84が設けられ、そのメダル通路切替部材84の状態に応じてメダルの通過方向が排出用通路82側か、貯留用通路81側かで切り替えられるようになっている。貯留用通路81に導かれたメダルは、筐体11の内部に収納されたホッパ装置91へと導かれる。一方、排出用通路82に導かれたメダルは、前面扉12の前面下部に設けられたメダル排出口17からメダル受け皿18へと導かれ、遊技者に返却される。
【0037】
図5はセレクタ83の内部構造を示す図である。なお、図中の2点鎖線は、理解を容易なものとするためにメダルの通過経路を示したものである。セレクタ83には、メダル投入口75から投入されたメダルを貯留用通路81へ導くための案内通路85が形成されている。案内通路85は、メダルが1列で通行可能なようにして、図の上端部から右下部にかけて弧を描くような曲線状に形成されている。より詳しくは、セレクタ83を構成するセレクタボディには、図の手前側に突出する突条85aが設けられており、その突条85aに沿って案内通路85が形成されている。これにより、案内通路85に到達したメダルは、突条85a上を転がるようにして下流方向へ流れることとなる。
【0038】
メダル通路切替部材84は、案内通路85の上流部に設けられ該案内通路85に対して出没可能な通路切替片84aと、この通路切替片84aを動作させるためのソレノイド(図示略)とを有している。ソレノイドの非励磁時には案内通路85内に通路切替片84aが突出し、貯留用通路81へのメダルの流れが阻害される。これにより、メダルは前記突条85aを乗り越えるようにして下方に落下し、排出用通路82に導かれる。また、ソレノイドの励磁時には案内通路85外に通路切替片84aが没する。これにより、メダルは案内通路85に沿って流れ、貯留用通路81に導かれる。
【0039】
通路切替片84aの下流側には、メダルの通過を検出する第1投入メダル検出センサ86と、第2投入メダル検出センサ87とが案内通路85の上流下流に並ぶようにして近接配置されている(少なくとも1時期において同一メダルを同時に検出する状態が生じる程度の近接状態とする)。メダル通路切替部材84のソレノイド非励磁時には、メダルは案内通路84の途中から下方に落下するため、各投入メダル検出センサ86,87によりメダルの通過が検出されることがない。一方、メダル通路切替部材84のソレノイド励磁時には、各投入メダル検出センサ86,87によりメダルの通過が順次検出される。
【0040】
メダルを遊技者に付与する払出手段としてのホッパ装置91は、図3に示すように、メダルを貯留する貯留タンク92と、メダルを遊技者に払い出す払出装置93とより構成されている。払出装置93は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、排出用通路82の中央右部に設けられた開口94へメダルを排出し、排出用通路82を介してメダル受け皿18へメダルを払い出すようになっている。また、ホッパ装置91の右方には、図6に示すように、貯留タンク92内に所定量以上のメダルが貯留されることを回避するための予備タンク95が設けられている。ホッパ装置91の貯留タンク92内部には、この貯留タンク92から予備タンク95へとメダルを排出する誘導プレート96が設けられている。したがって、誘導プレート96が設けられた高さ以上にメダルが貯留された場合、かかるメダルが予備タンク95に貯留されることとなる。
【0041】
メダル投入口75の下方には、図2に示すように、ボタン状の返却スイッチ76が設けられている。返却スイッチ76は、メダル投入口75に投入されたメダルがセレクタ83内に詰まった際に押されるスイッチであり、この返却スイッチ76が押されることによりセレクタ83が機械的に連動して動作され、当該セレクタ83内に詰まったメダルがメダル排出口17より返却されるようになっている。
【0042】
表示窓31L,31M,31Rの下方左側には、図2に示すように、遊技媒体としてクレジットされた仮想メダルを一度に3枚投入するためのボタン状の第1クレジット投入スイッチ77が設けられている。また、第1クレジット投入スイッチ77の左方には当該スイッチ77よりも小さなボタン状に形成された第2クレジット投入スイッチ78及び第3クレジット投入スイッチ79が設けられている。第2クレジット投入スイッチ78はクレジットされた仮想メダルを一度に2枚投入するためのものであり、第3クレジット投入スイッチ79は仮想メダルを1枚投入するためのものである。
【0043】
各クレジット投入スイッチ77〜79は前記メダル投入口75とともに遊技媒体を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴うのに対し各クレジット投入スイッチ77〜79は貯留記憶に基づく仮想メダルの投入という動作を伴うに過ぎない点に着目すれば、投資価値を間接入力する間接入力手段を構成するものともいえる。
【0044】
なお、第1クレジット投入スイッチ77は、1ゲームにつき投入できるメダル最大数(3枚)に達していないことを促すため、図示しない発光部材としてのランプが内蔵されている。当該ランプは、第1クレジット投入スイッチ77のスイッチ操作が有効である状況時において点灯されて当該スイッチ77の操作を促すが、クレジットされた仮想メダルが存在しない場合や既に3枚のメダル投入がなされている状況下では消灯される。ここで、上記点灯に代えて、点滅させてメダル投入の促しを遊技者に一層分かり易くしてもよい。
【0045】
スタートレバー71の左側には、図2に示すように、ボタン状の切換スイッチ80が設けられている。切換スイッチ80は、1度押されるとオン状態になり、もう1度押されるとオフ状態になり、その後押下操作が行われるごとにオンオフが切り替わるトグル式に構成されている。切換スイッチ80は、メダル投入口75に必要量より多く投入された投入メダルや、所定の遊技の結果遊技者に返還される獲得メダルの取扱形式を変更するために操作される。
【0046】
切換スイッチ80がオン状態のときには、所定の最大値(例えばメダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルがクレジットメダルとして貯留記憶されるように設定された「クレジットモード」となる。切換スイッチ80がオフ状態のときには、余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルを現実のメダルとして払い出すように設定された「ダイレクトモード」となる。なお、クレジットモードからダイレクトモードに切り換えられた際にクレジットメダルがある場合には、その分のクレジットメダルが現実のメダルとして払い出される。このように、遊技者はクレジットモードとダイレクトモードとを切り換えることにより自身の好みに応じた形式で遊技を実行することができる。かかる切換スイッチ80は投入価値及び遊技価値の取扱形式を切り換える切換操作手段を構成する。また、クレジットされた仮想メダルを現実のメダルとして払い出すという機能に着目すれば、切換スイッチ80は貯留記憶された遊技価値を実際に払い出すための精算操作手段を構成するものともいえる。なお、切換スイッチ80の操作により「クレジットモード」と「ダイレクトモード」とを切り換えるように構成する他、常に「クレジットモード」としておき切換スイッチ80が操作されると貯留記憶された仮想メダルを払い出すだけの精算スイッチとして機能させてもよい。
【0047】
遊技パネル30の表示窓31L,31M,31R下方には、クレジットモード時に有効化されて貯留記憶されたメダル数を表示する残数表示部35と、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等の特別遊技状態の際に例えば残りのゲーム数等を表示するゲーム数表示部36と、獲得メダルの枚数を表示する獲得枚数表示部37とがそれぞれ設けられている。これら表示部35〜37は7セグメント表示器によって構成されているが、液晶表示器等によって代替することは当然可能である。
【0048】
ここで、メダルがベットされる手順について説明する。ダイレクトモード、クレジットモードのいずれのモードにおいても、遊技の開始時にメダル投入口75からメダルが投入されるとベットとなる。
【0049】
すなわち、1枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、第1有効ライン表示部32が点灯し、そしてこれに対応する中央ラインが有効ラインとなり、2枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第2有効ライン表示部33が点灯すると共に、これに対応する上ライン及び下ラインを含む合計3本の組合せラインがそれぞれ有効ラインとなり、3枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第3有効ライン表示部34が点灯し、そしてこれに対応する一対の斜めラインを含む合計5本の組合せライン全てが有効ラインとなる。
【0050】
また、4枚以上のメダルがメダル投入口75に投入されると、3枚を超える余剰メダルは、そのときのモードがダイレクトモードであればセレクタ83により排出用通路82への切替がなされてメダル排出口17からメダル受け皿18へ返却される。一方、クレジットモードであればスロットマシン内部に貯蓄されると共に残数表示部35に貯蓄枚数が表示される。この貯留枚数には上限枚数が決められており(例えば50枚)、それを越える枚数のメダルが投入されたときにはメダル排出口17からメダル受け皿18へ返却される。
【0051】
また、クレジットモードにて遊技が行われ且つ残数表示部35に貯留枚数が表示されている場合には、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際にも仮想メダルが投入されたこととなりベットとなる。
【0052】
第3クレジット投入スイッチ79が押された際には、仮想メダルが1枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が1つディクリメントされ、第1有効ライン表示部32が点灯して中央ラインが有効ラインとなる。第2クレジット投入スイッチ78が押された際には、仮想メダルが2枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が2つディクリメントされ、第1有効ライン表示部32および第2有効ライン表示部33が点灯して合計3本の組合せラインが有効ラインとなる。第1クレジット投入スイッチ77が押された際には、仮想メダルが3枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が3つディクリメントされ、全ての有効ライン表示部32〜34が点灯して合計5本の組合せラインが有効ラインとなる。
【0053】
なお、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際に投入されるべき仮想メダルが貯留されていない場合、例えば残数表示部35の表示が2のときに第1クレジット投入スイッチ77が押された場合等には、残数表示部35の数値が全てディクリメントされて0となり、投入可能な仮想メダル分だけベットされる。
【0054】
前面扉12の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりするランプ13と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ14と、遊技者に各種情報を与える補助表示部15とが設けられている。ランプ13は、スロットマシン10の上辺に沿って横長の形状に形成された上部ランプ13aと、その上部ランプ13aの左下側に配設された投入異常ランプ13bとにより構成されている。
【0055】
補助表示部15は、本実施形態では表示内容の多様化及び表示演出の重厚化を意図して液晶表示器によって構成されているが、ドットマトリックス表示器等の他の表示器を使用してもよい。補助表示部15は、遊技の進行に伴って各種表示演出を実行するためのものであり、各リール42L,42M,42Rによる遊技を主表示部によるものと考えることができることから、本実施形態では補助表示部15と称している。補助表示部15の背面には上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部15を駆動させるための表示制御装置111が設けられている。なお、ランプ13及びスピーカ14の形状や位置、数等は特に以上説明したものに限られない。
【0056】
メダル受け皿18の上方には、図2に示すように、機種名や遊技に関わるキャラクタなどが表示された下段プレート16が装着されている。また、メダル受け皿18の左方には、手前側下方に反転可能な灰皿19が設けられている。
【0057】
筐体11の内部においてホッパ装置91の左方には、図3に示すように、電源ボックス121が設けられている。電源ボックス121は、電源スイッチ122やリセットスイッチ123や設定キー挿入孔124などを備えている。電源スイッチ122は、主制御装置131を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。
【0058】
リセットスイッチ123は、スロットマシン10の各種状態をリセットするためのスイッチである。本スロットマシン10は各種データのバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、例えば遊技ホールの営業が終了する場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、リセットスイッチ123を押しながら電源スイッチ122をオンすると、バックアップデータがリセットされるようになっている。また、電源スイッチ122がオンされている状態でリセットスイッチ123を押した場合には、エラー状態がリセットされる。
【0059】
設定キー挿入孔124は、ホール管理者などがメダルの出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が設定キーを設定キー挿入孔124へ挿入して操作することにより、スロットマシン10の設定状態(当選確率設定処理)を「設定1」から「設定6」まで変更できるようになっている。
【0060】
リールユニット41の上方には、図6に示すように、主制御装置131が筐体11の背板11cに取り付けられている。主制御装置131は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを一時的に記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路等を含む主基板を具備しており、主基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックスに収容されて構成されている。基板ボックスは、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印ユニットによって開封不能に連結され、これにより基板ボックスが封印されている。なお、ボックスベースとボックスカバーとを鍵部材を用いて開封不能に連結する構成としてもよい。
【0061】
次に、本スロットマシン10の電気的構成について、図9のブロック図に基づいて説明する。
【0062】
主制御装置131には、演算処理手段であるCPU151を中心とするマイクロコンピュータが搭載されている。CPU151には、電源ボックス121の内部に設けられた電源装置161の他に、所定周波数の矩形波を出力するクロック回路154や、入出力ポート155などが内部バスを介して接続されている。かかる主制御装置131は、スロットマシン10に内蔵されるメイン基盤としての機能を果たすものである。
【0063】
主制御装置131の入力側には、スタートレバー71の操作を検出するスタート検出センサ71a、各ストップスイッチ72,73,74の操作を個別に検出するストップ検出センサ72a,73a,74a、メダル投入口75から投入されたメダルを検出する第1投入メダル検出センサ86及び第2投入メダル検出センサ87(以下、これら各センサを総称する場合、投入メダル検出センサ86,87ともいう)、各クレジット投入スイッチ77,78,79の操作を個別に検出するクレジット投入検出センサ77a,78a,79a、切換スイッチ80の操作を検出する切換検出センサ80a、各リール42の回転位置(原点位置)を個別に検出するリールインデックスセンサ55、ホッパ装置91から払い出されるメダルを検出する払出検出センサ91a、リセットスイッチ123の操作を検出するリセット検出センサ123a、設定キー挿入孔124に設定キーが挿入されたことを検出する設定キー検出センサ124a等の各種センサが接続されており、これら各種センサからの信号は入出力ポート155を介してCPU151へ出力されるようになっている。
【0064】
また、投入メダル検出センサ86,87の検出信号は検出信号ラッチ回路88にも入力される。この検出信号ラッチ回路88は、第1投入メダル検出センサ86からの検出信号と第2投入メダル検出センサ87からの検出信号とを入力する信号検出回路部と、該信号検出回路部の出力信号をラッチするラッチ回路部とを備える。信号検出回路部はOR回路を主要な構成としており、第1投入メダル検出センサ86からの検出信号、第2投入メダル検出センサ87からの検出信号の少なくとも一方の検出信号が入力されることで、それらの論理和に相応する信号がラッチ回路部に出力され、更にラッチ回路部から主制御装置131にラッチ信号が出力される。検出信号ラッチ回路88のラッチ信号出力状態は、主制御装置131から信号解除指令が入力されるまで保持される。詳細は後述する。
【0065】
また、主制御装置131の入力側には、入出力ポート155を介して電源装置161に設けられた停電監視回路161bが接続されている。電源装置161には、主制御装置131を始めとしてスロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部161aや、上述した停電監視回路161bなどが搭載されている。
【0066】
停電監視回路161bは電源の遮断状態を監視し、停電時はもとより、電源スイッチ122による電源遮断時に停電信号を生成するためのものである。そのため停電監視回路161bは、電源部161aから出力されるこの例では直流12ボルトの安定化駆動電圧を監視し、この駆動電圧が例えば10ボルト未満まで低下したとき電源が遮断されたものと判断して停電信号が出力されるように構成されている。停電信号はCPU151と入出力ポート155のそれぞれに供給され、CPU151ではこの停電信号を認識することにより後述する停電時処理が実行される。
【0067】
電源部161aからは出力電圧が10ボルト未満まで低下した場合でも、主制御装置131などの制御系における駆動電圧として使用される5ボルトの安定化電圧が出力されるように構成されており、この安定化電圧が出力されている時間としては、主制御装置131による停電時処理を実行するに十分な時間が確保されている。
【0068】
主制御装置131の出力側には、各有効ライン表示部32,33,34、残数表示部35、ゲーム数表示部36、獲得枚数表示部37、各リール42L,42M,42Rを回転させるための各ステッピングモータ61(61L,61M,61R)、セレクタ83に設けられたメダル通路切替部材84、ホッパ装置91、表示制御装置111、図示しないホール管理装置などに情報を送信できる外部集中端子板171等が入出力ポート155を介して接続されている。
【0069】
表示制御装置111は、ランプ13を構成する上部ランプ13aおよび投入異常ランプ13b、スピーカ14並びに補助表示部15を駆動させるための制御装置であり、これらを駆動させるためのCPU、ROM、RAM等が一体化された基板を備えている。そして、主制御装置131からの信号を受け取った上で、表示制御装置111が独自に各ランプ13a,13b、スピーカ14及び補助表示部15を駆動制御する。従って、表示制御装置111は、遊技を統括管理するメイン基盤たる主制御装置131との関係では補助的な制御を実行するサブ基盤となっている。即ち、間接的な遊技に関する音声やランプ、表示についてはサブ基盤を設けることにより、メイン基盤の負担軽減を図っている。なお、各種表示部32〜37を表示制御装置111が制御する構成としてもよい。
【0070】
上述したCPU151には、このCPU151によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM152と、このROM152内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM153のほかに、図示はしないが周知のように割込み回路を始めとしてタイマ回路、データ送受信回路などスロットマシン10において必要な各種の処理回路や、クレジット枚数をカウントするクレジットカウンタなどの各種カウンタが内蔵されている。ROM152とRAM153によって記憶手段としてのメインメモリが構成され、図10以降に示される各種のフローチャートに示される処理を実行するためのプログラムは、制御プログラムの一部として上述したROM152に記憶されている。
【0071】
RAM153は、スロットマシン10の電源が遮断された後においても電源ボックス121内に設けられた電源装置161からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM153には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリアが設けられている。
【0072】
バックアップエリアは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(電源スイッチ122の操作による電源遮断をも含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、停電解消時(電源スイッチ122の操作による電源投入をも含む。以下同様)には、バックアップエリアの情報に基づいてスロットマシン10の状態が電源遮断前の状態に復帰できるようになっている。バックアップエリアへの書き込みは停電時処理(図12参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリアに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(図13参照)において実行される。なお、CPU151のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路161bからの停電信号が入力されるように構成されており、停電等の発生に伴う停電フラグ生成処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
【0073】
続いて、主制御装置131内のCPU151により実行される各制御処理を図10から図20のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU151の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では1.49msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
【0074】
図10はNMI割込み処理の一例を示すフローチャートである。停電の発生などによって電源が遮断されると、電源装置161の停電監視回路161bでは停電信号が生成され、主制御装置131に対して出力される。NMI端子を介して停電信号を受信した主制御装置131では、NMI割込み処理が実行される。
【0075】
NMI割込み処理では、まずステップS101(以下、ステップS101を単に「S101」と略し、他のステップにおいても同様に略して表示する。)において、CPU151内に設けられた使用レジスタのデータをRAM153内に設けられたバックアップエリアに退避させる(S101)。続いて、停電フラグをRAM153内に設けられた停電フラグ格納エリアにセットする(S102)。その後、RAM153のバックアップエリアに退避させたデータを再びCPU151の使用レジスタに復帰させる(S103)。このS103の復帰処理を実行してNMI割込み処理が終了する。なお、CPU151の使用レジスタのデータを破壊せずに停電フラグのセット処理が可能な場合には、バックアップエリアへの退避および復帰処理を省くことができる。
【0076】
図11は、主制御装置131で定期的に実行されるタイマ割込み処理のフローチャートであり、主制御装置131のCPU151により例えば1.49msecごとにタイマ割込みが発生する。
【0077】
先ず、S201に示すレジスタ退避処理では、後述する通常処理で使用しているCPU151内の全レジスタの値をRAM153のバックアップエリアに退避させる(S201)。その後、停電フラグがセットされているか否かを確認し(S202)、停電フラグがセットされているときに限って停電時処理を実行してから(S203)、処理をS204へ移行する。
【0078】
ここで、停電時処理(S203)について図12を用いて説明する。この停電時処理(S203)は、タイマ割込み処理のうち特にレジスタ退避処理の直後に行われるため、その他の割込み処理を中断することなく実行できる。従って、例えば各種コマンドの送信処理中、スイッチの状態(オンオフ)の読み込み処理中などのように、それぞれの処理に割り込んでこの停電時処理が実行されることはなく、かかるタイミングで実行されることをも考慮した停電時処理のプログラムを作成する必要がなくなる。これにより停電時処理用の処理プログラムを簡略化してプログラム容量を削減できる。なお、このことは後述する復電時処理用の処理プログラムについても同様である。
【0079】
停電時処理(S203)では、まず、コマンド送信が終了しているか否かを判定する(S301)。送信が終了していない場合には(S301:No)、停電時処理(S203)を終了して図11のタイマ割込み処理に復帰し、コマンド送信を終了させる。このように停電時処理の初期段階でコマンドの送信が完了しているか否かを判断し、送信が未完であるときには送信処理を優先し、単位コマンドの送信処理終了後に停電時処理(S203)を実行する構成とすることにより、コマンドの送信途中で停電時処理が実行されることをも考慮した停電時処理プログラムを構築する必要がなくなる。その結果停電時処理プログラムを簡略化してROM152の小容量化を図ることができる。
【0080】
S301の処理においてコマンドの送信が完了している場合には(S301:Yes)、CPU151のスタックポインタの値をRAM153内のバックアップエリアに保存する(S302)。その後、停止処理として後述するRAM判定値をクリアすると共に入出力ポート155における出力ポートの出力状態をクリアし、図示しない全てのアクチュエータをオフ状態にする(S303)。更に、RAM判定値を算出し、バックアップエリアに保存する(S304)。RAM判定値とは、具体的にはRAM153の作業領域アドレスにおけるチェックサムの2の補数である。RAM判定値をバックアップエリアに保存することにより、RAM153のチェックサムは0となる。RAM153のチェックサムを0とすることにより、それ以後のRAMアクセスを禁止する(S305)。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。なお、例えばノイズ等に起因して停電フラグが誤ってセットされる場合を考慮し、無限ループに入るまでは停電信号が出力されているか否かを確認する。停電信号が出力されていなければ停電状態から復旧したこととなるため、RAM153への書き込みを許可すると共に停電フラグをリセットし、図11のタイマ割込み処理に復帰する。停電信号の出力が継続してなされていれば、そのまま無限ループに入る。
【0081】
なお、電源装置161の電源部161aは、上述したNMI割込み処理及び停電時処理を実行するのに十分な時間、制御系の駆動電圧として使用される安定化電圧(5ボルト)の出力が保持されるように構成されている。本実施形態では、30msecの間、駆動電圧が出力され続けるようになっている。
【0082】
図11に戻って、タイマ割込み処理について説明する。S202の処理にて停電フラグがセットされていない場合、または、停電時処理(S203)が終了した後には、S204以降の各種処理を行う。
【0083】
S204では、誤動作の発生を監視するためのウオッチドッグタイマの値を初期化するウオッチドッグタイマのクリア処理を行う(S204)。S205では、CPU151自身に対して割込み許可を出す割込み終了宣言処理を行う(S205)。S206では、各リール42L,42M,42Rを回転させるために、それぞれの回胴駆動モータであるステッピングモータ61L〜61Rを駆動させるステッピングモータ制御処理を行う(S206)。S207では、入出力ポート155に接続された各種センサ(図9参照)の状態を監視するセンサ監視処理を行う(S207)。S208では、各カウンタやタイマの値を減算するタイマ演算処理を行う(S208)。S209では、メダルのベット数や、払い出し枚数をカウントした結果を外部集中端子板171へ出力するカウンタ処理を行う(S209)。
【0084】
S210では、表示制御装置111へコマンドなどを送信するコマンド出力処理を行う(S210)。S211では、残数表示部35、ゲーム数表示部36および獲得枚数表示部37にそれぞれ表示されるセグメントデータを設定するセグメントデータ設定処理を行う(S211)。S212では、セグメントデータ設定処理で設定されたセグメントデータを各表示部35〜37に供給して該当する数字、記号などを表示するセグメントデータ表示処理を行う(S212)。S213では、入出力ポート155からI/O装置に対応するデータを出力するポート出力処理を行う(S213)。S214では、先のS201にてバックアップエリアに退避させた各レジスタの値をそれぞれCPU151内の対応するレジスタに復帰させる(S214)。その後、次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行い(S215)、この一連のタイマ割込み処理を終了する。
【0085】
図13は電源投入後に実行される主制御装置131でのメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理は、停電からの復旧や電源スイッチ122のオン操作によって電源が投入された際に実行される。
【0086】
先ず、初期化処理として、スタックポインタの値をCPU151内に設定すると共に、割込み処理を許可する割込みモードを設定し、その後CPU151内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う(S401)。
【0087】
これらの初期化処理(S401)が終了すると、次にリセットスイッチ123がオン操作されているか否かを判定する(S402)。リセットスイッチ123がオン操作されている場合には(S402:Yes)、RAMクリア処理としてRAM153に記憶されたデータを全てクリアする(S403)。
【0088】
S402にてリセットスイッチが操作されていないことを確認した後(S402:No)、またはRAMクリア処理(S403)を行った後には、設定キーが設定キー挿入孔124に挿入されているか否かを判定する(S404)。設定キーが挿入されている場合には設定変更処理(S405)を行う。設定変更処理(S405)では、先ずRAM153に記憶されたデータを全てクリアし、その後に予め設定された6段階の設定状態(「設定1」〜「設定6」)のうちどの設定状態が選択されたかを判定した上で、選択された設定状態に応じた内部処理を実行する。
【0089】
S406では停電フラグがセットされているか否かを確認する(S406)。停電フラグがセットされていない、すなわち先のS403又はS405にてRAM153のデータがクリアされている場合には(S406:No)、後述する通常処理(S407)を実行する。
【0090】
S406において停電フラグがセットされた状態にあるときには(S406:Yes)、S408以降に示す復電処理に移行する。ここで、停電フラグがセットされた状態にあるということは、S403のRAMクリア処理、S405の設定変更処理等のサブルーチン処理が全く実行されていない場合である。従って、RAM153のデータは全く書き替えられていないこととなり、復電処理ではRAM153のデータなどが正常であるかどうかなどの確認処理が必要となる。
【0091】
そのためにまず、RAM判定値が正常であるか否かを確認する(S408)。具体的には、RAM153のチェックサムの値を調べ、その値が正常、つまりRAM判定値を加味したチェックサムの値が0か否かを確認する(S408)。RAM判定値を加味したチェックサムの値が0である場合(S408:Yes)、RAM153のデータは正常であると判定する。
【0092】
S408においてRAM判定値が異常である、つまりチェックサムの値が0でなかったときには(S408:No)、RAM153のデータが破壊された可能性が高いため、エラー表示処理を行う(S409)。エラー表示処理(S409)としては、先ず割込み処理を禁止し、入出力ポート155内の全ての出力ポートをクリアすることにより、入出力ポート155に接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御する。その後、ホール管理者などにエラーの発生を報知するエラー表示を行うと共に、リセットスイッチ123がオン操作されるまでかかる状態を維持する。
【0093】
S408においてRAM判定値が正常であると判定した場合には、バックアップエリアに保存されたスタックポインタの値をCPU151のスタックポインタに書き込み、スタックの状態を電源が遮断される前の状態に復帰させる(S410)。次に、復電処理の実行を伝える復電コマンドを表示制御装置111に送信する(S411)。その後、遊技状態として打ち止めおよび自動精算設定保存処理を行い(S412)、スタート検出センサ71a等の各種センサの初期化を行う(S413)。
【0094】
以上の処理が終了した後には停電フラグをリセットし(S414)、電源遮断前の番地に戻る。具体的には、先に説明したタイマ割込み処理に復帰し、ウォッチドッグタイマクリア処理(S204)が実行されることとなる。
【0095】
次に、遊技に関わる主要な制御を行う通常処理(S407)について図14のフローチャートに基づき説明する。
【0096】
通常処理(S407)においては、先ず、メダルがベットされているか否かを判定する(S501)。すなわち、クレジット投入スイッチ77〜79の操作により仮想メダルがベットされたか、又はメダル投入口75よりメダルが投入されたか否かを判定するのである。
【0097】
ここで、メダルが投入されたか否かを確認する方法について、図15のタイミングチャートに基づいて詳細に説明する。なお、理解を容易なものとするため、案内通路85を直線状に記載するとともにメダル通路切替部材84を省略している。図中のt1〜t4はメダルの通過タイミングを示している。
【0098】
メダル投入口75より投入されたメダルは、ベット時であれば貯留用通路81へ導かれるべく案内通路85を案内される。メダルを投入する前には、メダルは第1投入メダル検出センサ86及び第2投入メダル検出センサ87の検出部を通過していないため、これら各センサ86,87はオフ状態である。メダル投入口75からメダルを投入されてから所定時間が経過したタイミングt1で、メダルは第1投入メダル検出センサ86の検出部を通過し始めることとなり、かかるタイミングで第1投入メダル検出センサ86はオン状態となる。その後、案内通路85を進行したメダルは、タイミングt2で第2投入メダル検出センサ87の検出部を通過し始めることとなり、かかるタイミングで第2投入メダル検出センサ87はオン状態となる。このタイミングにおいては第1投入メダル検出センサ86もオン状態となっている。
【0099】
タイミングt3では、第1投入メダル検出センサ86の検出部をメダルが通過し終わるため、かかるタイミングで第1投入メダル検出センサ86がオフ状態となり、第2投入メダル検出センサ87のみがオン状態となる。投入されたメダルが第2投入メダル検出センサ87の検出部を通過し終わるタイミングt4では、第1投入メダル検出センサ86と第2投入メダル検出センサ87とが共にオフ状態となる。
【0100】
主制御装置131は、S501の処理においてこれら各センサ86,87がオンオフされる順序を常時監視し、第1,第2投入メダル検出センサ86,87が共にオフ、第1投入メダル検出センサ86のみオン、第1,第2投入メダル検出センサ86,87が共にオン、第2投入メダル検出センサ87のみオン、第1,第2投入メダル検出センサ86,87が共にオフという順序通りになった場合で、かつ各オンオフ切換に移行する時間が所定時間内である場合にのみメダルが正常に貯留用通路81へ取り込まれたと判断し、それ以外の場合はエラーとする。エラーと判定した場合には、エラー表示処理として、先ず割込み処理を禁止し、入出力ポート155内の全ての出力ポートをクリアすることにより、入出力ポート155に接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御する。その後、ホール管理者などにエラーの発生を報知するエラー表示を行うと共に、リセットスイッチ123がオン操作されるまでかかる状態を維持する。このようにするのは、メダルを投入メダル検出センサ86,87付近で往復動させてメダル投入と誤認させる不正行為を防止するためである。また、エラーと判定された後には、クレジットモードとダイレクトモードとを切り替える切替スイッチ80の操作を無効とし、クレジットされたメダルの払い出しは行われないようになっている。具体的には、切替スイッチ80の状態を確認し、クレジットモード中に切替スイッチ80の押下操作が検出された場合にクレジットされたメダルの払い出しを行う処理は、エラーと判定された後にはリセットスイッチ123がオン操作されるまで実行しない。なお、メダルを投入されたか否かを確認する際に行われるエラー表示処理については公知の技術であるため、図示を省略する。また、メダルの投入を検出する構成については3つ以上のセンサを用いてメダルの投入を検出する等、公知の種々の技術を使用することができる。
【0101】
図14に戻って通常処理について説明する。S501の処理においてメダルがベットされていると判定された場合には(S501:Yes)、次にスタートレバー71が操作されたか否かを判定する(S502)。S502の処理においてスタートレバー71が操作されたと判定された場合には(S502:Yes)、メダル投入不許可処理を行う(S503)。具体的には、メダル通路切替部材84のソレノイドを非励磁とし、仮にメダル投入口75からメダルが投入されたとしても排出用通路82を介して遊技者にかかるメダルが返却されるようにする。また、S503の処理の中で検出信号ラッチ回路88のラッチ信号をクリアする処理も併せて行う。
【0102】
その後、抽選処理(S504)、リール制御処理(S505)、メダル払出処理(S506)、特別遊技状態処理(S507)を順に実行し、更にメダル投入許可処理(S508)を行う。かかる処理では、メダル通路切替部材84のソレノイドを励磁し、メダル投入口75からメダルが投入された際に貯留用通路81へ導かれるようにする。以上の処理を行った後、S501に戻る。一方、S501の処理にてメダルがベットされていないと判定された場合(S501:No)、またはS502にてスタートレバー71が操作されていないと判定された場合(S502:No)には、S501に戻って処理を繰り返す。
【0103】
ここで、図示は省略しているが、S501の処理においてメダルがベットされていないと判定されるか(S501:No)、S502の処理においてスタートレバー71が操作されていないと判定された場合には、切替スイッチ80のオンオフを主制御装置561の制御によって切り替えてクレジットモードとダイレクトモードとを切り替えるクレジットモード切替処理が行われる。スロットマシン10におけるクレジットモードの切り替えは、メダルの投入時またはスタートレバー71に対する始動操作の待機時であってメダルの投入が許可された期間中に限定して行われる。クレジットモード切替処理において切替スイッチ80がオンからオフに切り替えられてクレジットモードからダイレクトモードへモードが切り替わる際には、まず、S503と同一のメダル投入不許可処理が行われてから、クレジットされた枚数分のメダルを払い出す処理が行われ、クレジットされた全枚数分のメダルが払い出されると、S508と同一のメダル投入許可処理が行われてメダルの投入が許可された状態に復帰する。クレジットモード切替処理の後には、S501へ処理が移行する。このクレジットモード切替処理は、S503の処理によってメダル投入不許可処理が行われてからS508のメダル投入許可処理が行われる間までは実行されることがない。このため、スロットマシン10においてリセットスイッチ123の操作を待機した状態においてはクレジットされたメダルが払い出されず、不正行為の実行を検出した場合に更にメダルが払い出されることによる被害の拡大が防止されている。このクレジットモードとダイレクトモードとを切り替える処理の詳細については公知の技術であるため、説明を省略する。
【0104】
次に、S504の抽選処理について、図16のフローチャートに基づき説明する。抽選処理(S504)では、まず、スロットマシン10の現在の設定状態やベットされたメダルの枚数、小役確率の高低等に基づき、当否決定用の乱数テーブルを選択する(S601)。ここで、スロットマシン10の設定状態は図示しない設定キーを用いてセットされた「設定1」〜「設定6」のいずれかであり、「設定1」のときに役の当選確率が最も低い乱数テーブルが選択され、「設定6」のときに役の当選確率が最も高い乱数テーブルが選択される。また、ベットされたメダルの枚数は1〜3枚のいずれかであり、ベット枚数が多いほど役の当選確率が高くなるような乱数テーブルが選択される。例えば3枚ベットされたときの役の当選確率は、1枚ベットされたときの役の当選確率と比して3倍よりも高い確率となっている。さらに、小役確率については高低2種類存在し、現在の出玉率が所定の期待値を下回っているときには小役当選確率が高い乱数テーブルが選択され、所定の期待値を上回っているときには小役当選確率が低い乱数テーブルが選択される。
【0105】
S602では、このようにして選択された乱数テーブルに、スタートレバー71が操作されたときに乱数カウンタよりラッチした乱数を照らして役の抽選を行う(S602)。そして、いずれかの役に当選したか否かを判定し(S603)、いずれの役にも当選していない場合には(S603:No)そのまま本処理を終了する。いずれかの役に当選した場合には(S603:Yes)、その役に応じた当選フラグをセットし(S604)、図柄を揃えるべき有効ラインを決定する。S604の処理後、リール停止制御用のスベリテーブルを決定し(S605)、これをRAM153のスベリテーブル格納エリアに格納する。ここで、スベリテーブルとは、ストップスイッチ72〜74が押されたタイミングにおける所定の有効ライン上の図柄と、その有効ライン上に停止させるべき図柄とが異なる場合に、その停止させるべき図柄を所定の有効ライン上で止まるようにリールをどれだけ滑らせるかを定めたテーブルである。
【0106】
次に、S505のリール制御処理について、図17のフローチャートに基づき説明する。リール制御処理(S505)では、先ずウエイト処理(S701)を行う。このウエイト処理(S701)は、前回のゲームにおいてリールの回転を開始した時点から所定時間(例えば4.1秒)が経過するまで今回のゲームにおいてリールの回転を開始せずに待機する処理である。この処理は、一定時間中に行われるゲームの回数を制限して、一定時間中に消費されるメダルの枚数を制限するために設けられており、遊技者がメダルをベットしてスタートレバー71を操作したとしても、直ちに各リール42L,42M,42Rが回転しないことがある。
【0107】
S701のウエイト処理の後、リール回転処理を行い(S702)、各リール42L,42M,42Rを回転させる。その後、左リール42Lが回転を開始してから所定時間(例えば8秒)が経過したか否かを判定し(S703)、経過していない場合には(S703:No)所定時間が経過するまで待機する(S703)。所定時間が経過した場合には(S703:Yes)S704へ処理を移行する。
【0108】
S704の処理では、検出信号ラッチ回路88がラッチ信号を出力中であるか否かを判定する(S704)。この処理においてラッチ信号が出力されていれば(S704:Yes)、メダルの投入に異常が発生したと判断してS705へ処理を移行し、異常の発生に対応した処理を実行する。メダルがベットされた状態でスタートレバー71に対する始動操作が行われると、メダル投入不許可処理(図14のS503の処理)によってメダル投入口75から投入されたメダルが遊技者に返却される状態となるため、この状態においてラッチ信号が出力されるのは正常な状態ではあり得ない。このため、異常の発生として、ホール管理者などに投入異常ランプ13bの点灯によりエラーの発生を報知し、リセットスイッチ123がオン操作されるまでかかる状態を維持する。
【0109】
具体的には、S705の処理においてエラーランプ点灯処理を行う(S705)。エラーランプ点灯処理(S705)では、スロットマシン10の左上側に設けられる投入異常ランプ13bを点灯(或いは点滅)させるためのコマンドを表示制御装置111に出力する。表示制御装置111は、電源投入から通常に遊技が行われている間には投入異常ランプ13bを常に消灯し続け、投入異常ランプ13bを点灯させるためのコマンドを受信した場合に限って、消灯のコマンドを受信するまで投入異常ランプ13bを点灯し続ける。
【0110】
S705の処理後、リセットスイッチ123がオンされたか否かを判定し(S706)、リセットスイッチ123がオンされるまで処理の進行を停止して、投入異常ランプ13bの点灯状態を維持する。このS706にて処理の進行が停止した状態においては、S702の処理において回転が開始されたリール42L,42M,42Rはリセットスイッチ123がオンされるまで回転を継続する。また、切替スイッチ80が操作されても、クレジットされたメダルを払い出す処理が行われず、メダルの払い出しはリセットスイッチ123が操作されるまで全く不能となっている。なお、S710以降の処理においてリール42L,42M,42Rのいずれかに対する停止処理が行われた後に、S704の処理にてラッチ信号の出力が確認された場合には、停止処理が行われたリールの回転は停止した状態で、そのラッチ信号の出力確認時に回転していたリールのみが回転を継続する。
【0111】
S706の処理においてリセットスイッチ123のオンと判定された場合には(S706:Yes)、処理の進行を再開し、エラーランプ消灯処理を行う(S707)。エラーランプ消灯処理(S707)では、投入異常ランプ13bを消灯させるためのコマンドを表示制御装置111に出力し、表示制御装置111はS705の処理に基づいて点灯した投入異常ランプ13bを消灯する。これにより、投入異常ランプ13bの点灯に基づいて異常が発生したか否かを遊技場の店員が確認をし、その確認後にはリセットスイッチ123を操作して処理の進行を再開させることができる。
【0112】
S707の処理後、検出信号ラッチ回路88へ信号解除指令を出力してラッチ信号の出力を停止するラッチ信号解除処理を行い(S708)、更に、最大回転時間を計時するためのカウンタの値を初期化(例えば、0クリア)して(S709)、処理をS710へ移行する。スロットマシン10では、各リール42L,42M,42Rの回転開始後に、ストップスイッチ72〜74の押下操作が無くても予め定めた最大回転時間(例えば、40秒)が経過した場合には、回転中の全てのリールを強制的に順次停止させるものであり、この最大回転時間は、例えば、S702のリール回転処理において0クリアされ、S711の最大回転時間の経過を確認する毎に1ずつ加算して更新されるカウンタによって計時される。
【0113】
ここで、投入異常が発生したと判断されてリセットスイッチ123が操作されるまでS706の処理において処理の進行が停止された場合、その後に処理の進行が再開された直後にリールが強制的に停止させられると、遊技者が意図する図柄に狙いを定めて停止操作をすることができない。遊技者がリールの回転を目視しつつ表示窓31L,31M,31R内に狙いを定めるまでには一定の時間が必要となる。S709の処理にて最大回転時間を計時するためのカウンタを初期化することにより、遊技場の店員によりリセットスイッチ123の操作が行われた後に、リールが強制的に停止されるまでの時間を十分に確保して、遊技者が狙いを定めて停止操作を行うための時間を確保することができる。
【0114】
また、必ずしもS709の処理において最大回転時間を計時するためのカウンタを初期化する必要はなく、S706の処理において処理の進行が停止された後には最大回転時間を計時するためのカウンタの更新を停止し、処理の進行が再開された後にカウンタの更新を再開するようにしても良い。この場合には、最大回転時間(本実施形態においては40秒)に対して、スタートレバー71が操作されて変動が開始されたときから処理の進行が停止させられるまでの時間を減算した残り時間分だけ変動が継続したタイミングで遊技者の停止操作が無くてもリールの回転が停止する。1回のゲームにおいてリールが回転する時間が長すぎると遊技者が狙いを定めやすく遊技者側に有利なものとなるので、S709の処理によってカウンタを初期化すると遊技者が狙いを定める時間が長くなって遊技者側に一方的に有利なものとなってしまう。これに対し、リセットスイッチ123の操作後には、変動開始から処理の進行が停止させられるまでの時間を最大回転時間より減算した残り時間分だけ変動が継続したタイミングでリールの回転を停止させることにより、1回のゲームにおいて停止操作が可能なリールの回転時間を一定にすることができ、遊技のバランスを考慮して予め設定された時間だけリールの回転に対する停止操作を可能にすることができる。
【0115】
S710の処理では、ストップスイッチ72〜74のいずれかが押下操作されてリールの停止指令が発生したか否か、より具体的にはストップ検出センサ72a〜74aからのオン信号を受信しているか否かを判定する(S710)。なお、本実施形態では、左リール42Lが回転を開始してから所定時間が経過するまでの期間を無効期間として設定しており、この無効期間内にストップスイッチ72〜74が押下操作されても、ストップ検出センサ72a〜74aからのオン信号を無効化する。
【0116】
S710の処理において停止指令が発生していないと判定された場合には(S710:No)、予め定められた各リール42L,42M,42Rの最大回転時間(例えば40秒)を経過したか否かを判定する(S711)。最大回転時間が経過していない場合には(S711:No)S704に戻ってS704以降の処理を繰り返す。S711の処理において最大回転時間が経過したと判定された場合には(S711:Yes)、回転中の全てのリールを強制的に順次停止させる強制停止処理を行い(S712)、処理をS718へ移行する。
【0117】
一方、S710にてストップスイッチ72〜74のいずれかが押下操作されて停止指令が発生したと判定された場合には(S710:Yes)、リール停止処理を行う(S713)。このリール停止処理(S713)では、押下操作されたストップスイッチに対応するリールを停止させるが、役の抽選において役に当選し、当選フラグがセットされている場合にはRAM153のスベリテーブル格納エリアに格納されたスベリテーブルを参照して、可能な限り当選した役が所定の有効ライン上に並ぶように制御する。例えば、下ライン上に「スイカ」図柄が並ぶという役に当選し、「スイカ」図柄が上ラインに停止するタイミングでストップスイッチが押下操作された場合には、下ラインに停止するように図柄2つ分だけリールを滑らせる。但し、滑らせることのできる範囲は予め決められている(例えば最大で図柄4つ分)ため、ストップスイッチを押したタイミングによっては下ライン上に「スイカ」図柄が停止しないこともある。なお、S712の強制停止処理においても、当選フラグがセットされている場合にはこれと同様の処理を行う。
【0118】
続いて、今回の停止指令が第1停止指令か否か、すなわち3つのリール全てが回転しているときにストップスイッチが押下操作されたか否かを判定し(S714)、第1停止指令の場合には(S714:Yes)スベリテーブル変更処理を行う(S715)。このスベリテーブル変更処理(S715)では、例えば当選した有効ライン上で役を揃えようとしたときに役の複合が発生するか否かを判定し、役の複合が発生しないときにはそのまま次のステップに移行し、役の複合が発生するときには当選した有効ラインを別の有効ラインに変更すると共に変更後の有効ラインに合ったスベリテーブルに変更した後に次のステップに移行する。ここで、役の複合とは、例えば上ライン上で「スイカ」図柄を揃えようとしたときに左リールにて「チェリー」図柄が下ライン上に現れる場合のように複数の役が同時に発生する場合をいう。なお、スベリテーブル変更処理(S715)は役の複合を回避するとき以外にも行われることがある。
【0119】
一方、S714の処理で今回の停止指令が第1停止指令でないと判定された場合には(S714:No)、第2停止指令か否か、つまり3つのリールのうち1つのリールが停止し2つのリールが回転しているときにストップスイッチが押下操作されたか否かを判定する(S716)。第2停止指令のときには(S716:Yes)、停止目判定処理を行う(S717)。この停止目判定処理(S717)では、2つのリールが停止したときにその2つが「7」図柄等のボーナス図柄で揃っているか否かを判定し、揃っていないときにはそのまま次のステップに移行し、揃っているときにはスピーカ14から効果音等を発生させた後に次のステップに移行する。なお、停止目判定処理ではボーナス図柄が2つ揃う以外の別の条件が成立したか否かを判定してもよいし、効果音以外に補助表示部15を用いた演出を行ってもよい。
【0120】
強制停止処理(S712)の後、スベリテーブル変更処理(S715)の後、S716の処理において今回の停止指令が第2停止指令でなかったと判定された場合(S716:No)、又は停止目判定処理(S717)の後には、左、中、右リール42L,42M,42Rのすべての回転が停止したか否かを判定する(S718)。いずれかのリールが回転していると判定された場合には(S718:No)、S704に戻ってS704以降の処理を繰り返す。すべてのリール42L,42M,42Rの回転が停止したと判定された場合には(S718:Yes)、払出判定処理を行う(S719)。払出判定処理(S719)では、役が有効ライン上に並んでいるか否かを判定し、役が有効ライン上に並んでいないときにはRAM153の払出予定数格納エリアに0をセットし、役が有効ライン上に並んでいるときにはその役が当選した役と一致しているか否かを判定し、一致していないときには上部ランプ13aを点滅させる等してエラー表示を行うと共に払出予定数格納エリアに0をセットする。一致しているときには払出予定数格納エリアに並んだ役と対応する払出数をセットする。
【0121】
次に、S506のメダル払出処理について、図18のフローチャートに基づき説明する。メダル払出処理(S506)では、先ず、ラッチ信号確認処理を行う(S801)。ラッチ信号確認処理(S801)では、検出信号ラッチ回路88からラッチ信号が出力されているか否かを確認し、出力されていなければS802へ処理を移行し、出力されている場合にはS801の処理の一部としてエラー表示処理を行う。エラー表示処理は先に説明した通常処理のベット確認時に行われるエラー表示処理と同様であり、リセットスイッチ123に対するリセット操作が行われるまでメダルが払い出されないようにし、また、切替スイッチ80の操作によってクレジットされたメダルを払い出す処理も実行不能となっている。
【0122】
S801の処理後、払出数カウンタがカウントした払出数と、払出予定数格納エリアに格納された払出予定数とが一致しているか否かを判定する(S802)。払出数と払出予定数とが一致していないときには(S802:No)、遊技がクレジットモードにて行われているか否かを判定する(S803)。クレジットモードであるときには(S803:Yes)、クレジットカウンタのカウント値が上限(貯留されているメダル数が50枚)に達しているか否かを判定する(S804)。上限に達していないときには(S804:No)、クレジットカウンタのカウント値及び払出数をそれぞれ1インクリメントする(S805)。これにより残数表示部35及び獲得枚数表示部37の枚数がそれぞれ1インクリメントされる。
【0123】
一方、遊技がダイレクトモードにて行われているとき(S803:No)、またはクレジットカウンタのカウント値が上限に達しているときには(S804:Yes)、S806の処理にてメダル払出用回転板を駆動し、ホッパ装置91からメダル排出口17を介してメダル受け皿18へメダルを払い出す(S806)。また、ホッパ装置91に取り付けられた払出検出センサ91aのメダル検出信号に応じて払出数を1インクリメントする(S807)。これにより獲得枚数表示部37の枚数が1インクリメントされる。S805またはS807により払出数が1インクリメントされた後には、再びS801の処理を実行する。
【0124】
S802の処理において払出数と払出予定数とが一致したときには(S802:Yes)、S808にてホッパ装置91のメダル払出用回転板を停止させてから、メダル払出処理(S506)を終了する。なお、払出数や獲得枚数表示部37は、次回スタートレバー71が操作されたときにリセット(更新)される。
【0125】
次に、S507の特別遊技状態処理について、図19のフローチャートに基づき説明する。まず、特別遊技状態処理の説明に先立ち、ボーナスゲームについて説明する。レギュラーボーナス(以下「RB」という)ゲームは、12回のJACゲームで構成されている。JACゲームは、1枚ベットのみ許されるゲームであり、JAC図柄(ここではリプレイ図柄で代用)が有効ライン上に揃う確率つまりJAC図柄成立の確率が非常に高いゲームである。JACゲームでJAC図柄が成立すると最大枚数(ここでは15枚)のメダルが払い出される。そして、JAC図柄が8回成立すると、JACゲームが12回に達する前であってもRBゲームが終了する。一方、ビッグボーナス(以下「BB」という)ゲームは、30回の小役ゲームと3回のJACインとから構成されている。小役ゲームとは高確率で小役が当選する(有効ライン上に「ベル」図柄などが揃う)ゲームであり、JACインとは12回のJACゲームに突入することを意味し、小役ゲーム中にJAC図柄が有効ライン上に揃うとJACインが成立する。JACゲームはRBゲームの場合と同様である。また、3回目のJACインによるJACゲームが終了すると小役ゲームが30回に達する前であってもBBゲームは終了し、30回の小役ゲームが終了するとJACインが3回に達する前であってもBBゲームは終了する。
【0126】
さて、特別遊技状態処理(S507)では、まず遊技状態がボーナスゲーム中か否かを判定し(S901)、ボーナスゲーム中でなければ(S901:No)、ボーナス図柄判定処理を行う(S902)。
【0127】
図20は、ボーナス図柄判定処理(S902)のフローチャートである。ボーナス図柄判定処理(S902)では、まず、RB当選フラグがセットされているか否かを判定し(S1001)、セットされているときには(S1001:Yes)今回有効ライン上にRB図柄(例えば「BAR」図柄)が揃ったか否かを判定し(S1002)、RB図柄が揃っていなければ(S1002:No)ボーナス図柄判定処理(S902)を終了する。
【0128】
一方、今回有効ライン上にRB図柄が揃ったときには(S1002:Yes)、RB当選フラグのリセットとRB設定フラグのセットとを行ってボーナスゲームの1種であるRBゲームとし、更に、図21に示すように各カウンタに値をセットするRBゲーム初期設定処理を実行する(S1003)。S1003の処理後にはボーナス図柄判定処理(S902)を終了する。
【0129】
S1001の処理においてRB当選フラグがセットされていなければ(S1001:No)、BB当選フラグがセットされているか否かを判定し(S1004)、セットされていないときには(S1004:No)ボーナス図柄判定処理(S902)を終了する。S1004の処理においてBB当選フラグがセットされているときには(S1004:Yes)、今回有効ライン上にBB図柄(例えば図柄「7」)が揃ったか否かを判定し(S1005)、BB図柄が揃っていないときには(S1005:Yes)ボーナス図柄判定処理(S902)を終了する。
【0130】
一方、今回有効ライン上にBB図柄が揃ったときには(S1005:Yes)、BB当選フラグをリセットしBB設定フラグをセットしてボーナスゲームの1種であるBBゲームとし、図22に示すように各カウンタの値をセットするBBゲーム初期設定処理を実行する(S1006)。S1006の処理後にはボーナス図柄判定処理(S902)を終了する。
【0131】
なお、図21および図22において、残小役ゲームカウンタは小役ゲームの残りゲーム数(残小役ゲーム数ともいう)を記憶するカウンタ、残JACインカウンタはJACイン可能な残り回数(残JACイン回数ともいう)を記憶するカウンタ、残JAC成立カウンタはJAC図柄が成立可能な残り回数(残JAC成立数ともいう)を記憶するカウンタ、残JACゲームカウンタはJACゲームの残りゲーム数(残JACゲーム数ともいう)をを記憶するカウンタであり、主制御装置131のCPU151のRAM153に設けられる。残小役ゲーム数や、残JACイン回数や、残JAC成立数、残JACゲーム数は、適宜、各カウンタの値に基づいてゲーム数表示部36に表示される。ちなみに、役の抽選で小役またはリプレイに当選して小役当選フラグまたはリプレイ当選フラグがセットされたときには、そのゲームで小役図柄またはリプレイ図柄を有効ライン上に揃えられないとこれらの当選フラグはリセットされるが、役の抽選でRBまたはBBに当選してRB当選フラグまたはBB当選フラグがセットされたときには、そのゲームでRB図柄またはBB図柄を有効ライン上に揃えられなかったとしてもこれらの当選フラグは次回に持ち越される。なお、BB又はRB当選フラグを持ち越した次ゲームにおける抽選処理(S504)では、小役又はリプレイの当選可否に関する抽選は行われるが、BB又はRBに関する抽選は行われない。また、BB又はRB当選フラグを持ち越した状態で小役又はリプレイに当選した場合には、小役又はリプレイが優先して揃えられるようにスベリテーブルが格納される。
【0132】
図19に戻って特別遊技状態処理(S507)について説明する。S901にて遊技状態がボーナスゲーム中と判定された場合には(S901:Yes)、そのボーナスゲームがJACゲームか否かを判定する(S903)。JACゲームでないときには(S903:No)BBゲームの小役ゲーム中であり、JAC図柄が有効ライン上に揃ったか否かを判定する(S904)。JAC図柄が有効ライン上に揃ったときには(S904:Yes)、JACゲームを開始するために図22(b)に示すように各カウンタの値を設定するBBゲーム中JACゲーム初期設定処理を行い(S905)、特別遊技状態処理(S507)を終了する。
【0133】
一方、S904でJAC図柄が有効ライン上に揃わなかったときには(S904:No)、小役ゲームが1ゲーム消化されているため、残小役ゲーム数を1ディクリメントし(S906)、ディクリメント後の残小役ゲーム数が0になったか否かを判定する(S907)。残小役ゲーム数が0でないと判定された場合には(S907:No)、特別遊技状態処理(S507)を終了する。一方、残小役ゲーム数が0と判定された場合には(S907:Yes)、各種設定フラグやBB設定フラグや各種カウンタなどを適宜リセットしたりエンディング処理を行ったりする特別遊技状態終了処理を行い(S908)、特別遊技状態処理(S507)を終了する。
【0134】
S903の処理において遊技状態がJACゲームであると判定された場合には(S903:Yes)、JAC図柄が有効ライン上に揃ったか否かを判定し(S909)、JAC図柄が有効ライン上に揃ったと判定された場合には(S909)残JAC成立数を1ディクリメントする(S910)。S910の処理後、又は、S909の処理においてJAC図柄が有効ライン上に揃わなかったと判定された場合には(S909:No)、JACゲームを1つ消化したことになるため、残JACゲーム数を1ディクリメントする(S911)。続いて、残JAC成立数か残JACゲーム数のいずれかが0になったか否かを判定し(S912)、いずれも0になっていないとき(S912:No)、つまりJAC図柄がまだ8回成立しておらずJACゲームも12回消化されていないときには、そのまま特別遊技状態処理(S507)を終了する。一方、いずれかが0になっていたとき(S912:Yes)、つまりJAC図柄が8回成立したかJACゲームが12回消化されたときには、JACインが1回消化されたことになるため、残JACイン回数を1ディクリメントし(S913)、その残JACイン回数が0か否かを判定する(S914)。残JACイン回数が0のときには(S914:Yes)、先に述べた特別遊技状態終了処理(S908)を行ってから、特別遊技状態処理(S507)を終了する。ここで、当該ボーナスゲームがRBボーナスである場合には、初期設定として設定される残JACイン回数が1であるからS913の処理が1回実行されると残JACイン回数が0になり、S914の処理で必ず肯定判定され、S908の特別遊技状態終了処理にてRB設定フラグがリセットされる。
【0135】
一方、S914の処理において残JACイン回数が0でないと判定された場合(S914:No)、つまりBBゲームでJACインが3回消化されていないときには、JACゲーム設定フラグをリセットしてJACゲームを解消するJACゲーム終了処理を行い(S915)、その後にS906以降の処理を行う。即ち、今回JACインしたときに小役ゲームを1ゲーム消化しているため残小役ゲーム数を1ディクリメントし(S906)、ディクリメント後の残小役ゲーム数が0になったか否かを判定し(S907)、残小役ゲーム数が0のときには(S907:Yes)特別遊技状態終了処理(S908)を行ってから特別遊技状態処理(S507)を終了する。残小役ゲーム数が0でないと判定された場合には(S907:No)、BBボーナスにおける小役ゲームが30回に達しておらず且つJACインも3回に達していないため、特別遊技状態終了処理(S908)を行わずに特別遊技状態処理(S507)を終了する。
【0136】
次に、図14から図17を主に参照して、投入メダル検出センサ86,87の付近にてメダルを往復動させる特別な器具を使用した不正行為を中心にスロットマシン10の動作について説明する。
【0137】
まず、スロットマシン10においては、図14に示す通常処理(S407)によってメダル通路切替部材84の状態が制御され、メダル投入口75から投入されたメダルの通路が排出用通路82側か、貯留用通路81側かに切り替えられる(図5参照)。メダルの投入とスタートレバー71に対する始動操作を待機している状態(図14のS501およびS502の処理中)においてはメダル投入口75から投入されたメダルが貯留用通路81へ導かれてメダルの投入が可能なメダル投入許可状態となっている。
【0138】
メダル投入許可状態においては、S501の処理により2つの投入メダル検出センサ86,87が予め定めた順序に従ってメダルの通過を検出したか否かが確認される。この確認結果が予め定めた検出順序と異なる場合には、主制御装置131の制御により全てのアクチュエータをオフ状態にすると共にエラー表示が行われ、リセットスイッチ123がオン状態となるまでかかる状態が維持されて遊技を行うことができなくなる。
【0139】
ここで、メダル投入口75から投入されたメダルは重力による流れ方向に沿って下方へ流下するのに対し、投入メダル検出センサ86,87の付近にてメダルを往復動させる特別な器具を使用した不正行為では、投入メダル検出センサ86,87の検出順序が異なるものとなる。即ち、図15に示すように、メダルの投入時には、第1,第2投入メダル検出センサ86,87が共にオフ、第1投入メダル検出センサ86のみオン、第1,第2投入メダル検出センサ86,87が共にオン、第2投入メダル検出センサ87のみオン、第1,第2投入メダル検出センサ86,87が共にオフという順序に各センサ86,87のオンオフが切り替わる。これに対し、投入メダル検出センサ86,87の付近にてメダルを往復動させた場合には、メダルが上流側に戻る動作を伴うため、第2投入メダル検出センサ87のみオン、第1,第2投入メダル検出センサ86,87が共にオン、第1投入メダル検出センサ86のみオンという順序で投入メダル検出センサ86,87のオンオフが切り替わり、メダルが上流側に移動する動作が検出されるのである。このため、投入メダル検出センサ86,87によるメダルの検出順序に基づいて不正行為を検出することができ、また不正行為の検出後には遊技が継続できない状態にして被害の拡大を防止することができる。
【0140】
また、メダルがベットされた状態でスタートレバー71に対する始動操作が行われると遊技の開始となって各リール42L,42M,42Rの回転が開始されるが、遊技中には、S503のメダル投入不許可処理によってメダル投入口75から投入されたメダルがメダル通路切替部材84によって排出用通路82側に導かれて遊技者に返却されるメダル投入不許可状態となる。このメダル投入不許可状態は、各リール42L,42M,42Rの回転が停止し、またメダルの払い出しや特別遊技状態の設定が行われて、1回の遊技が終了するまで継続される。1回の遊技が終了すると、メダル投入許可処理(図14、S508参照)によってメダル投入口75から投入されたメダルが貯留用通路81へ導かれてメダルの投入が可能なメダル投入許可状態に切り替わる。
【0141】
メダル通路切替部材84によって排出用通路82側にメダルが導かれるメダル投入不許可状態においては、メダルの通過は、基本的には第1,第2投入メダル検出センサ86,87のいずれにも検出されることがない。排出用通路82は、第1,第2投入メダル検出センサ86,87より上流側にて案内通路85(具体的には、案内通路85と貯留用通路81とを結ぶ通路)から分岐しており、メダル投入口75から投入されたメダルは投入メダル検出センサ86,87の配置位置を通過しないで排出用通路82より排出されるからである。しかし、特別な工具を案内通路85内に差し込んで不正行為が行われる場合、メダルが排出用通路82へ案内される状態に切り替わっても特別な工具が差し込まれていれば第1,第2投入メダル検出センサ86,87が特別な工具をメダルの通過として検出し得る。
【0142】
スロットマシン10においては、リール制御処理(S505)にて検出信号ラッチ回路88からのラッチ信号の出力を確認し(図17、S704参照)、第1,第2投入メダル検出センサ86,87のいずれかがメダルの通過を検出したか否かを確認する。案内通路85内へ特別な工具を差し込む不正行為が行われた場合には、S704の確認の処理において特別な工具をメダルの通過と誤認して検出する。よって、メダルの検出順序の確認はしなくても、S704の処理によってラッチ信号の出力を確認することにより不正行為を検出することができる。即ち、主制御装置131に接続される検出信号ラッチ回路88は、第1,第2投入メダル検出センサ86,87のいずれかがメダルの通過を検出した場合には、そのメダルの通過の検出に対応したラッチ信号を出力し続ける。このため、主制御装置131はリール42L,42M,42Rの回転を制御する期間中に定期的にラッチ信号の出力状態を確認するだけで第1,第2投入メダル検出センサ86,87がメダルの通過を検出したか否かを確認することができる。よって、リール42L,42M,42Rの回転制御中において主制御装置561が第1,第2投入メダル検出センサを監視する処理の負荷を低減しつつ不正行為を防止することができる。この主制御装置561における監視処理負荷の増大を抑制することにより、主制御装置561の制御の信頼性を高めたり、制御プログラムの開発や製造を簡易にしてコスト低減を図ることができる。
【0143】
また、図17のリール制御処理(S505)の中でもベット時と同様に検出順序を確認する構成とすれば、不正行為はより好適に防止することが可能であるが、かかる構成とすれば、主制御装置131はリール制御処理やメダル払出処理等の処理と並行しながら各検出センサ86,87の検出順序を確認する必要が生じ、これは主制御装置131の制御負荷が多大なものとなる。そこで、遊技に関わるリールの回転制御等を行っているときには検出信号ラッチ回路88からのラッチ信号を確認する構成とすることにより、主制御装置131の制御負荷が増加することを抑制しつつ不正行為を防止することができる。
【0144】
また、メダル投入不許可状態であってリール42L,42M,42Rの少なくとも1つが回転している期間中に、S704の処理によりラッチ信号の出力を確認する処理が行われ、その確認結果によってメダル投入不許可状態中にメダルの通過が確認されると、リセットスイッチ123がオン操作されるまで処理の進行が停止する(図17、S706参照)。このため、S704の処理によりメダルの通過が確認された後にはストップスイッチ72,73,74に対する停止操作が行われても、S706の処理によってリール42L,42M,42Rの回転が継続される。このリール42L,42M,42Rの回転が継続している状態においては、表示窓31L,31M,31Rから視認できる有効ライン上に図柄が停止せず、入賞となる図柄の組合せが成立しない。つまり、ラッチ信号の出力を確認する処理(S704)の確認結果によってメダル投入不許可状態中にメダルの通過が検出された場合には、それ以降に入賞となる図柄の組合せが成立せず、その入賞に伴うメダルの払い出しは行われない。よって、案内通路85内へ特別な工具を差し込む不正行為が行われた場合に、その不正行為を検出して不正行為による被害の拡大を防止することができる。また、S706の処理によって処理の進行が停止された状態においては、リール42L,42M,42Rの回転が継続するため停止操作が無効となる。このため、スロットマシン10に異常が生じていることを、停止操作を無効にして遊技者に判り易く示唆することができる。
【0145】
また、メダル投入不許可状態中にメダルの通過が検出された場合には、本実施形態のスロットマシン10のように停止操作を無効にするだけでなく、停止操作が無くても強制的にリールの回転を停止し、更には異常発生に対応した「ビービー」等のビープ音を大音量で発するなどして報知するように構成しても良いが、この場合には、正当に遊技者が遊技を行っている最中にゴミなどの通過をメダルの通過と誤って検出してしまった場合に遊技者に不快感を与えてしまう。即ち、正当に遊技を行っている最中にリールの回転が突然停止してしまうと、犯罪者に疑われたかの印象を抱く遊技者も生じ、その遊技者にとっては折角の遊技が愉しめなくなってしまう。これに対し、スロットマシン10に異常が生じていることを、停止操作を無効にして示すことにより、遊技者には、機器の故障であるかの印象を抱かせることができ、突然リールの回転が停止してしまう場合に比べて遊技者に不快感を抱かせないようにすることができる。
【0146】
更に、スロットマシン10では、基本的には、スタートレバー71に対する始動操作が行われた後には、ストップスイッチ72,73,74に対する停止操作が無くても、図17のS711の処理により各リール42L,42M,42Rの回転開始後に40秒が経過したタイミングで各リール42L,42M,42Rの回転を停止する。しかし、S704の処理によってメダル投入不許可状態中にメダルの通過が検出された場合には、S706の処理により各リール42L,42M,42Rの回転開始後に40秒が経過してもリール42L,42M,42Rの回転が継続される。このため、始動操作後の一定時間が経過したタイミングでリール42L,42M,42Rの回転が停止しその停止時の図柄の組合せに基づいてメダルの払い出しが行われることがないので、不正行為による被害の拡大を確実に防止することができる。
【0147】
また、S704の処理においてメダル投入不許可状態中にメダルの通過が検出された場合には、そのメダルの通過確認に対応する通過確認情報としてスロットマシン10の左上側に設けられる投入異常ランプ13bが点灯し、その点灯状態はリセットスイッチ123がオンされるまで継続する。これにより、遊技場の店員などに対して不正行為が行われた可能性があることを判り易く示唆することができ、不正行為の対処を速やかに行わせることができる。
【0148】
更に、S706の処理によってリール42L,42M,42Rの回転が継続された状態においてはリセットスイッチ123に対する操作が実行されなければ処理が進行しない。このため、S706の処理によるリール42L,42M,42Rの回転継続後にストップスイッチ72,73,74に対する停止操作に基づいて回転が停止するのは、S706の処理によってリセットスイッチ123に対する操作が実行されたと判断されることが必要条件となる。よって、リセットスイッチ123に対するリセット操作が遊技再開の条件となり、不正行為が行われた状態において一定時間が経過するなどして遊技が再開されて被害が拡大することを防止することができる。
【0149】
また、S706の処理によりリセットスイッチ123に対するリセット操作が実行されたと判断される(S706:Yes)ことを十分条件として、回転が継続されたリール42L,42M,42Rの回転がS710及びS713からS717の処理によってストップスイッチ72,73,74に対する停止操作の実行に基づいて停止する。このため、不正行為が行われていないことが遊技場の店員に確認された際にはリセット操作を実行して速やかに遊技を再開可能とすることができる。また、リセットスイッチ123は、遊技者によっては操作されないように筐体11の内部に設置され、S706の処理によりリールの回転が継続中となったときに遊技者の操作によって遊技が再開されることを防止している。
【0150】
更に、S706の処理により回転が継続されたリール42L,42M,42Rの回転がストップスイッチ72,73,74に対する停止操作の実行に基づいて停止する図柄は、S704の処理においてメダル投入不許可状態中にメダルの通過が検出される前であってリール42L,42M,42Rの回転が継続される前の抽選結果に基づくものである。主制御装置131は、図14の通常処理(S407)に設けられる抽選処理(S504)により有効ライン上に停止し得る図柄の組合せを抽選するものであり、リール42L,42M,42Rの回転停止中にスタートレバー71が操作されたタイミングで役の抽選を行い、その抽選結果に基づいて停止図柄を制御する。S706の処理によりリール42L,42M,42Rの回転が継続される場合には、その回転継続前の抽選結果に基づいて停止図柄を制御する。このため、遊技者が不正行為を行っていないのにたまたまS706の処理によりリール42L,42M,42Rの回転が継続し、その回の遊技において偶然に遊技者にとって有利なビッグボーナス役の成立等に対応する抽選結果が導出されていた場合であっても、その抽選結果に基づく利益を遊技者に還元することができる。なお、必ずしも抽選結果をリールの回転継続前のものとする必要はなく、回転が継続した場合にはビッグボーナス役や小役等、遊技者にとって有利な役の抽選に当選していてもその当選を無効にして外れとする等、抽選結果より遊技者にとって低価値な図柄の組合せでリール42L,42M,42Rの回転が停止するように構成しても良い。また、遊技場の店員等によりリセットスイッチ123に対するリセット操作が実行された場合には一旦リール42L,42M,42Rの回転を停止し、その後に再度スタートレバー71に対する始動操作に基づいて役の抽選を行い、遊技が再開される構成としても良い。この場合には、リセット操作が実行された後の遊技に対してメダルの投入を必要としても良く、メダルの投入は前回の遊技において投入されているものとして不要としても良い。
【0151】
また、主制御装置131は、メダルの払い出しを制御するメダル払出処理の中でも検出信号ラッチ回路88からのラッチ信号を確認し、その確認結果に対応した処理を行う(図18、S801参照)。このため、各検出センサ86,87の付近にてメダルを往復動させる等の行為によりメダルの通過を誤認させ、メダルを投入することなく遊技を行ってメダルを払い出させる行為を防止することができる。また、スロットマシン10のようにクレジット機能を備えた構成にあっては、遊技を行うことなくクレジット数を増加させた後に切替スイッチ80を操作してメダルを返却させる不正行為を防止することができる。
【0152】
また、従来のスロットマシンには、メダル投入許可状態中には複数のセンサによってメダルの投入を確認する一方、リールの回転中やメダルの払出中にはメダル投入不許可状態にしてメダルの通過を全く確認しないものがあった。しかし、この種のスロットマシンでは、メダル投入許可状態中において特別な工具を使用してクレジット数を増加させた後に切替えスイッチを操作して不正にクレジットされたメダルを払い出させることを繰り返して行い、メダルを不正に獲得する行為が行われ易かった。また、メダルを不正に獲得した後には、リールの回転中やメダルの払出中などメダルの通過が確認されないタイミングで特別な工具を抜き出すことにより、スロットマシンにおいて不正行為が検出できず、遊技場側で対策が施し難いものであった。これに対し、本実施形態のスロットマシン10では、主制御装置131によってメダル投入不許可状態中にもメダルの通過を確認し続け、メダル投入不許可状態中におけるメダルの通過の検出は不正行為の可能性があるため処理の進行を停止させてその後にメダルの払出が行われないようにする。このため、メダル投入不許可状態中における特別な工具の抜き出し操作を困難にして不正行為をより確実に検出することができ、不正行為を防止することができる。
【0153】
以上、一実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0154】
例えば、上記実施の形態では、主制御装置131がリール制御処理時やメダル払出処理時にラッチ信号を確認する構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく、例えばタイマ割込み処理にて確認する構成としてもよい。
【0155】
また、上記実施の形態では、処理の進行を停止する処理(図17のS706の処理)によって、リール42L,42M,42Rの回転が継続して停止操作が無効となる状態を形成したが、この停止操作が無効な状態を必ずしも処理の進行を停止させることにより形成する必要は無い。例えば、メダル投入不許可状態中にメダルの通過が検出されることを条件に特定のフラグをオン(又はオフ)し、ストップスイッチ72,73,74に対する停止操作の実行を検出する処理(図17のS710の処理)によって停止操作の実行が検出された後には特定のフラグがオン(又はオフ)であるか否かを確認し、その確認によって特定のフラグがオフ(又はオン)である場合に限ってリールを停止する処理(S713)を実行することにより停止操作が無効な状態を形成するようにしても良い。
【0156】
また、上記実施の形態では、各投入メダル検出センサ86,87からの検出信号が検出信号ラッチ回路88にも出力され、主制御装置131がそのラッチ信号をリール制御処理の中で確認した場合にリール42L,42M,42Rの回転を継続する構成としたが、投入メダル検出センサ86,87の何れか一方の検出信号を確認する構成としたり、両方の検出信号を確認する構成としてもよい。この場合においても、各投入メダル検出センサ86,87の検出順序を確認する必要はないため、主制御装置131の制御負荷の増大化を抑制しつつ不正行為を防止することが可能となる。
【0157】
更に、上記実施の形態では、メダル通路切替部材84のソレノイドを励磁と非励磁とに切替えることでメダルを貯留用通路81へ案内するか排出用通路82へ案内するかを決定する構成としたが、かかる構成に限定されるものではない。例えば、ソレノイドに代えてモータを使用してもよいし、ロータリーソレノイドを使用してもよい。
【0158】
また、上記実施の形態では、リール42L,42M,42Rの回転中に投入メダル検出センサ86,87がメダルの通過を確認した場合には、異常の発生を示唆する情報として投入異常ランプ13bを点灯するように構成した。しかし、異常の発生を示唆するのは、ランプの点灯に限らず、ビープ音等の音声をスピーカ14より出力しても良く、或いは、スロットマシン10に接続される別の機器によって異常の発生を示唆する情報を視認可能または聴覚可能に表出するために、その異常の発生に対応した信号や情報を外部出力端子より出力する構成としても良い。
【0159】
更に、上記実施の形態では、リールを3つ並列して備え、有効ラインとして5ラインを有するスロットマシンについて説明したが、かかる構成に限定されるものではなく、例えばリールを5つ並列して備えたスロットマシンや、有効ラインを7ライン有するスロットマシンであってもよい。また、いわゆるAタイプのスロットマシンに限らず、Bタイプ、Cタイプ、AタイプとCタイプの複合タイプ、BタイプとCタイプの複合タイプなど、どのようなスロットマシンにこの発明を適用してもよく、何れの場合であっても上述した実施の形態と同様の作用効果を奏することは明らかである。
【0160】
また、各リール42L,42M,42Rの図柄としては、絵、数字、文字等に限らず、幾何学的な線や図形等であってもよい。また、光や色等によって図柄を構成することも可能であるし、立体的形状等によっても図柄を構成し得るし、これらを複合したものであっても図柄を構成し得る。即ち、図柄は識別性を有した情報(識別情報)としての機能を有するものであればよい。
【0161】
更に、上記実施の形態では、スロットマシン10について具体化した例を示したが、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機に適用してもよい。即ち、スロットマシンのうち、メダル投入及びメダル払出機能に代えて、パチンコ機のような球投入及び球払出機能をもたせた遊技機としてもよい。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
【0162】
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0163】
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
【0164】
以下に本発明の遊技機および変形例を示す。なお以下においては、理解の容易のため、本発明の遊技機を構成する要件と、各構成要件に対応する発明の実施の形態の構成との対応を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に各構成要件が限定されるものではない。
【0165】
遊技を行うための遊技媒体(メダル)を受入可能な受入口(メダル投入口75)と、その受入口から受け入れられた遊技媒体を案内する案内通路と、その案内通路を通る遊技媒体を検出すべく、当該遊技媒体の流れ方向に配置される複数の検出手段(第1投入メダル検出センサ86,第2投入メダル検出センサ87)と、その複数の検出手段より上流側にて前記案内通路から分岐する分岐通路(排出用通路82)と、前記受入口から受け入れられる遊技媒体の通路を前記案内通路または前記分岐通路へ切り替える切替手段(メダル通路切替部材84)と、複数種の識別情報(図柄の組合せ)を変動可能に表示する表示装置(リール42L,42M,42R、表示窓31L,31M,31Rおよびステッピングモータ61)と、その表示装置に表示される識別情報の変動表示を開始させるべく始動操作が行われる始動操作手段(スタートレバー71)と、その変動表示を停止させるべく停止操作が行われる停止操作手段(ストップスイッチ72〜74)と、抽選を行う抽選手段(主制御装置131)と、前記複数の検出手段が遊技媒体の通過を検出した後に、前記始動操作手段に対する始動操作に基づいて前記表示装置に識別情報の変動表示を開始させ、前記停止操作手段に対する停止操作に基づいて前記表示装置に前記抽選手段の抽選結果に対応した識別情報を停止表示させる制御を行う変動制御手段(主制御装置131)と、前記表示装置に予め定めた第1識別情報が停止表示された場合にその第1識別情報に対応した数分の遊技媒体を払い出す払出手段(主制御装置131、ホッパ装置91)とを備えた遊技機において、前記受入口から受け入れられる遊技媒体が前記切替手段によって前記案内通路に沿って案内される期間中に、前記複数の検出手段が予め定めた検出順序に従って遊技媒体の通過を検出したか否かを確認する順序確認手段(図14のS501の処理)と、その順序確認手段の確認結果が前記予め定めた検出順序と異なる場合に所定の処理(エラー表示処理)を行う異常処理実行手段と、前記受入口から受け入れられる遊技媒体が前記切替手段によって前記分岐通路へ案内される期間中であって前記識別情報の変動表示中に、前記複数の検出手段の少なくとも1つが遊技媒体の通過を検出したか否かを確認する検出確認手段(図17のS704の処理)とを備え、前記変動制御手段は、その検出確認手段の確認結果によって前記遊技媒体の通過が確認された場合には、その通過確認後に所定の条件が成立するまで前記停止操作手段に対する停止操作が行われても前記識別情報の変動表示を継続する変動継続手段(図17のS706の処理)とを備えていることを特徴とする遊技機1。
【0166】
なお、請求項1記載の遊技機および遊技機1として、表示装置は、複数種の図柄が周方向に付された複数の無端状ベルトと、その複数の無端状ベルトに付された各図柄のうち一部の図柄を視認可能とする表示窓と、前記各無端状ベルト毎に設けられ該各無端状ベルトを回転させる駆動手段とを備え、各無端状ベルトを回転させることにより図柄の変動表示を行うものであり、変動制御手段は、複数の検出手段が遊技媒体の通過を検出した後に、始動操作手段に対する始動操作に基づいて前記各無端状ベルトの回転を開始させ、前記停止操作手段に対する停止操作に基づいて各無端状ベルトの回転を停止させるように、前記各駆動手段を駆動制御し、払出手段は、各無端状ベルトが停止した際に前記表示窓から視認できる有効位置に予め定めた特定の図柄の組合せが停止表示された場合にその停止表示された図柄の組合せに対応した数分の遊技媒体を払い出すものとしても良い。また、請求項1記載の遊技機および遊技機1において、検出確認手段の確認結果によって遊技媒体の通過が確認された場合に処理の進行を停止する処理停止手段(図17のS706の処理)を備え、その処理停止手段によって処理の進行を停止することにより検出確認手段により遊技媒体の通過が確認された場合に払出手段による遊技媒体の払い出しを停止するとしても良い。
【0167】
また、請求項1記載の遊技機および遊技機1において、所定の条件が成立したか否かを判定する判定手段を備え、変動継続手段は、その判定手段の判定に基づいて識別情報の変動表示を継続するとしても良い。ここで、請求項1記載の遊技機および遊技機1における「所定の条件が成立する」とは、一定の時間が経過するなど時間の経過に基づく条件が成立すること、遊技場の店員によるリセット操作など所定の入力装置に対する所定操作の実行に基づく条件が成立すること、またはこれらの条件を組合せた条件が成立することが例示される。
【0168】
遊技機1において、前記変動制御手段は、前記停止操作手段に対する停止操作が無くても前記始動操作手段に対する始動操作後に一定時間が経過したタイミングで前記識別情報の変動表示を停止する第1時間経過停止手段(図17のS711およびS712の処理)を備え、前記変動継続手段は、前記検出確認手段の確認結果によって前記遊技媒体の通過が確認された場合には、その通過確認後に前記所定の条件が成立するまで前記停止操作手段に対する停止操作が行われても、また前記第1時間経過停止手段により前記識別情報の変動表示を停止する前記始動操作後の一定時間が経過しても前記識別情報の変動表示を継続するものであることを特徴とする遊技機2。従来の遊技機において、始動操作後に一定時間が経過すると、各無端状ベルトの回転に例示される識別情報の変動表示が停止操作無しに停止するものが一般的である。しかし、不正行為が行われた場合にまで、始動操作後に一定時間が経過した際に識別情報の変動表示が停止してしまい、その停止時に第1識別情報が停止表示されて所定数の遊技媒体の払い出しが行われると、不正行為の被害が拡大される。
【0169】
遊技機2においては、通常の遊技においては第1時間経過停止手段によって始動操作後に一定時間が経過したタイミングで識別情報の変動表示を停止し、変動表示中に遊技媒体の通過が確認された場合には始動操作後に一定時間が経過した後にも変動継続手段によって識別情報の変動表示が継続される。よって、始動操作後の一定時間が経過したタイミングで変動表示が停止しその停止時の識別情報に基づいて所定数の遊技媒体の払い出しが行われることがなく、不正行為による被害の拡大をより確実に防止することができる。
【0170】
遊技機2において、前記変動制御手段は、前記変動継続手段による変動表示の継続後に前記所定の条件が成立した場合に、その所定の条件が成立してから前記一定時間が経過したタイミングで前記識別情報の変動表示を停止する第2時間経過停止手段(図17のS709、S711およびS712の処理)を備えていることを特徴とする遊技機3。
【0171】
遊技機3によれば、変動継続手段による変動表示の継続後に所定の条件が成立した場合には、その条件成立から一定時間が経過したタイミングで識別情報の変動表示が停止する。この一定時間は、始動操作後から継続して停止操作が無い場合に変動表示を停止するまでの時間と同一であるので、識別情報の変動表示が継続された後にも遊技者に十分に狙いを定めて識別情報の変動表示を停止する遊技性を提供することができる。
【0172】
遊技機2において、前記変動制御手段は、前記変動継続手段による変動表示の継続後に前記所定の条件が成立した場合には、その所定の条件が成立した後に、始動操作後に前記検出確認手段の確認結果によって前記遊技媒体の通過が確認されるまでの経過時間を前記一定時間より減算した残り時間が経過したタイミングで前記識別情報の変動表示を停止する残時間経過停止手段を備えていることを特徴とする遊技機4。
【0173】
遊技機4によれば、変動継続手段による変動表示の継続後に所定の条件が成立した場合には、その所定の条件が成立した後に、始動操作後に遊技媒体の通過が確認されるまでの経過時間を一定時間より減算した残り時間が経過したタイミングで識別情報の変動表示が停止する。このため、1回の遊技において変動表示が継続されて遊技者が狙いを定めやすく遊技者側に一方的に有利な遊技が発生することが防止することができ、遊技のバランスを考慮して予め設定された時間どおりに変動表示を停止させることができる。
【0174】
遊技機1から4のいずれかにおいて、前記検出確認手段の確認結果によって前記遊技媒体の通過が確認された場合にその遊技媒体の通過確認に対応する通過確認情報を表出する表出装置(投入異常ランプ13b)を備えていることを特徴とする遊技機5。
【0175】
遊技機5によれば、検出確認手段の確認結果によって遊技媒体の通過が確認された場合には、その遊技媒体の通過確認に対応する通過確認情報が表出装置によって表出される。このため、遊技場の店員などに対して不正行為が行われた可能性があることを判り易く示唆することができ、不正行為の対処を速やかに行わせることができる。
【0176】
なお、遊技機5における通過確認情報としては、LCDやランプ、LEDなどに代表される表示装置の表示態様であって色、点灯パターン、文字、図形またはそれらの組合せにより視認可能な表示情報が例示され、また、音声を出力する音声出力装置により出力されるビープ音等による音声情報が例示され、更には遊技機に接続される別の機器によって遊技媒体の通過確認に対応する情報を視認可能または聴覚可能にするために信号や情報を外部に出力可能な出力装置により出力される信号情報が例示される。また、遊技機5における通過確認情報としては、検出確認手段の確認結果によって遊技媒体の通過が確認された場合に限って表出されるものとすることは好ましく、これにより、遊技場の店員などに対し、検出確認手段によって遊技媒体の通過が確認されて不正行為が行われた可能性があることを他の状態とは区別して判り易く認識させることができ、その対処を迅速に行わせることができる。
【0177】
遊技機1から5のいずれかにおいて、所定のリセット操作が行われるリセット操作手段(リセットスイッチ123)を備え、前記変動制御手段は、そのリセット操作手段に対するリセット操作が前記変動継続手段による前記識別情報の変動継続期間中に実行されたか否かを判断するリセット検出手段(図17のS706の処理)と、そのリセット検出手段によって前記リセット操作が実行されたと判断されることを必要条件として前記変動継続手段によって継続される識別情報の変動表示を前記停止操作手段に対する停止操作の実行に基づいて停止する変動継続停止手段(図17のS710およびS714からS717の処理)とを備えていることを特徴とする遊技機6。
【0178】
遊技機6によれば、識別情報の変動表示が継続された後に、停止操作手段に対する停止操作の実行に基づいて変動表示が停止するのは、リセット検出手段によりリセット操作が実行されたと判断されることを必要条件としている。このため、リセット操作手段に対するリセット操作が遊技再開の条件となり、不正行為が行われた状態において一定時間が経過するなどの条件の成立のみによって遊技が再開されて被害が拡大することを防止することができる。
【0179】
なお、遊技機6において、変動継続停止手段は、リセット検出手段によってリセット操作が実行されたと判断されることを必要十分条件として変動継続手段によって継続される識別情報の変動表示を停止操作手段に対する停止操作の実行に基づいて停止することは好ましく、これにより、不正行為による被害の拡大を防止しつつ、不正行為が行われていないことが確認された際にはリセット操作を実行して速やかに遊技を再開可能とすることができる。また、リセット操作手段は、遊技者によっては操作されないように遊技機の裏面側や、特定の操作部材(専用の鍵等)がなければ触れられない位置に配置することが好ましい。
【0180】
遊技機6において、前記変動継続停止手段は、前記変動継続手段により識別情報の変動表示が継続される前に行われた前記抽選手段の抽選結果に対応した識別情報を前記表示装置に停止表示させるものであることを特徴とする遊技機7。
【0181】
遊技機7によれば、変動継続手段により識別情報の変動表示が継続される前に行われた前記抽選手段の抽選結果に対応した識別情報が変動継続停止手段によって表示装置に停止表示させられる。このため、遊技者が不正行為を行っていないのに変動継続手段によって識別情報の変動表示が継続し、そのとき偶然に遊技者にとって有利な抽選結果が導出されていた場合であっても、その抽選結果に基づく利益を遊技者に還元することができる。よって、公平な抽選結果に基づく遊技性を提供することができる。
【0182】
なお、遊技機6において、変動継続停止手段が、変動継続手段により識別情報の変動表示が継続される前に行われた抽選手段の抽選結果とは別の識別情報を表示装置に停止表示させるようにしても良い。例えば、抽選手段の抽選結果が遊技者にとって有利な抽選結果(例えばボーナス役)である場合に、その抽選結果より遊技者にとって低価値の抽選結果(例えば、外れやリプレイ役)に対応した識別情報を表示装置に停止表示させるようにしても良く、不正行為が行われた場合における被害の拡大をより確実に防止することができる。
【0183】
遊技機1から7のいずれかにおいて、前記受入口から受け入れられる遊技媒体が前記切替手段によって前記分岐通路へ案内される期間中であって前記識別情報の変動表示が停止された期間中に、前記複数の検出手段の少なくとも1つが遊技媒体の通過を検出したか否かを確認する第2検出確認手段(図18のS801の処理)と、その第2検出確認手段によって前記遊技媒体の通過が確認された場合にはその確認後に遊技媒体の払い出しが行われないように処理の進行を停止する継続払出停止手段(図18のS801の処理)とを備えていることを特徴とする遊技機8。
【0184】
遊技機8によれば、識別情報の変動表示が停止された期間中であっても、遊技媒体が運気通路へ案内される期間中に遊技媒体の通過が確認されると処理の進行が停止され、その確認後に遊技媒体の払い出しが行われないようになる。よって、監視処理負荷の増大を抑制しつつ不正行為を防止することができる。
【0185】
遊技機1から8のいずれかにおいて、前記切替手段の動作を制御する切替制御手段(主制御装置131)を備え、その切替制御手段は、前記変動制御手段が前記表示装置に前記識別情報を変動表示させている間には前記受入口から受け入れられる遊技媒体の通路を前記分岐通路とするものであることを特徴とする遊技機9。
【0186】
遊技機9によれば、変動制御手段の制御によって識別情報が変動表示されている間は遊技媒体が分岐通路へ案内される。遊技媒体の投入は遊技を開始するための条件であり、識別情報の変動表示が行われている遊技中においては遊技媒体を投入する必要がないため、遊技媒体が投入できなくても一般の遊技者が不利益を被る恐れはない。したがって、不正行為を好適に防止することができる。
【0187】
遊技機1から9のいずれかにおいて、前記切替手段の動作を制御する切替制御手段(主制御装置131)を備え、その切替制御手段は、前記払出手段が前記所定数の遊技媒体の払出を行う間には遊技媒体の通路を前記分岐通路とするものであることを特徴とする遊技機10。払出手段が所定数の遊技媒体の払出を行う間に遊技媒体を案内通路に沿って案内する構成とした場合には、遊技媒体の払出を行う処理と、順序確認手段によって複数の検出手段が予め定めた検出順序に従って遊技媒体の通過を検出したかを確認する処理とを並行して行う必要がある。これは、遊技媒体の払出を行う処理に時間がかかったり、その処理が不安定になる等、遊技に関わる処理負荷の増加につながる。
【0188】
遊技機10によれば、払出手段が所定数の遊技媒体の払出を行う間は遊技媒体が分岐通路へ案内される。よって、遊技に関わる処理負荷の増加を抑制しつつ好適に不正行為を防止することができる。
【0189】
遊技機1から10のいずれかにおいて、前記受入口より受け入れられた遊技媒体又は前記払出手段より払出されるべき遊技媒体を仮想的に貯留すべく、当該貯留数を記憶する仮想遊技媒体貯留手段(主制御装置131のクレジット機能)と、当該仮想遊技媒体貯留手段に記憶された貯留数分の仮想遊技媒体を現実の遊技媒体として返却させるべく操作される返却操作手段(切換スイッチ80)と、前記切替手段の動作を制御する切替制御手段(主制御装置131)とを備え、その切替制御手段は、前記返却操作手段の操作に基づいて前記払出手段が遊技媒体の払出処理を行う間には遊技媒体の通路を前記分岐通路とするものであることを特徴とする遊技機11。
【0190】
遊技機11によれば、払出手段が所定数の遊技媒体の払出処理を行う間は遊技媒体が分岐通路へ案内される。よって、遊技に関わる処理負荷の増加を抑制しつつ好適に不正行為を防止することができる。
【0191】
遊技機1から11のいずれかにおいて、前記分岐通路は、遊技機前面部に備えられた遊技媒体受け皿へ遊技媒体を案内するよう構成されていることを特徴とする遊技機12。
【0192】
遊技機12によれば、分岐通路へ案内された遊技媒体は、遊技機前面部に備えられた遊技媒体受け皿へと案内される。このため、遊技媒体が分岐通路へ案内される投入不可時に誤って遊技媒体を受入口へ投入しても遊技者に速やかに遊技媒体を返却することができ、遊技者が不利益を被ることを回避することができる。
【0193】
遊技機1から12のいずれかにおいて、前記検出確認手段は、前記複数の検出手段の全ての検出結果を確認するものであり、前記変動継続手段は、前記検出確認手段の確認結果によって前記複数の検出手段のいずれかが前記遊技媒体の通過を検出した場合に前記識別情報の変動表示を継続するものであることを特徴とする遊技機13。
【0194】
遊技機13によれば、複数の検出手段のいずれか1つが遊技媒体の通過を検出した場合であっても識別情報の変動表示は継続される。よって、不正行為が行われた可能性のある遊技機において遊技が継続されることにより、不正に遊技媒体が継続して獲得されることを防止することができる。
【0195】
遊技機13において、前記複数の検出手段の全ての信号を入力可能に各検出手段に接続され、各検出手段からの入力信号に対する論理和を出力する論理和出力手段(検出信号ラッチ回路88)を備え、前記検出確認手段は、その論理和出力手段の出力に基づいて前記複数の検出手段の全ての検出結果を確認するものであることを特徴とする遊技機14。
【0196】
遊技機14によれば、複数の検出手段の全ての出力が論理和出力手段に入力され、その論理和出力手段からの出力を検出確認手段が確認する。このため、簡易な手法で全ての検出手段において遊技媒体の通過が検出されたか否かのチェックを行うことができる。また、変動制御手段において検出結果を確認する処理の負担を軽減させることができ、遊技に関わる処理負荷の増加を抑制しつつ好適に不正行為を防止することができる。
【0197】
遊技機13または14において、前記複数の検出手段の全ての信号を入力可能に各検出手段に接続され、前記複数の検出手段のいずれかが遊技媒体の通過を検出して一時的に出力される信号の入力に基づいて所定の解除条件が成立するまで遊技媒体の通過に対応した信号(ラッチ信号)を出力し続ける信号継続出力手段(検出信号ラッチ回路88)を備え、前記検出確認手段は、その信号継続出力手段によって出力される信号に基づいて複数の検出手段の全ての検出結果を確認するものであることを特徴とする遊技機15。
【0198】
遊技機15によれば、信号継続出力手段によって出力される信号に基づいて検出確認手段は複数の検出手段の全ての検出結果を確認する。このため、変動制御手段においては、検出結果の確認を常時行う必要はなく、検出手段の監視に要する処理の負担を軽減させることができる。よって、遊技に関わる処理負荷の増加を抑制しつつ好適に不正行為を防止することができる。
【0199】
遊技機1から15のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機16。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列(具体的には図柄が付されたリール)を変動表示(具体的にはリールの回動)した後に識別情報列を確定停止表示する表示装置(具体的にはリールユニット)を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の識別情報の組合せが特定識別情報の組合せであることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)の発生等の特典を付与する遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0200】
遊技機1から15のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機17。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列(具体的には図柄が付されたリール)を変動表示(具体的にはリールの回動)した後に識別情報列を確定停止表示する表示装置(具体的にはリールユニット)を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の識別情報の組合せが特定識別情報の組合せであることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)の発生等の特典を付与し、さらに、球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。」となる。

【符号の説明】
【0201】
10 スロットマシン(遊技機)
31 表示窓(表示装置の一部)
42 リール(表示装置の一部)
61 ステッピングモータ(表示装置の一部)
71 スタートレバー(始動操作手段)
72〜74 ストップスイッチ(停止操作手段)
75 メダル投入口(受入口)
82 排出用通路(分岐通路)
84 メダル通路切替部材(切替手段)
85 案内通路
86 第1投入メダル検出センサ(検出手段)
87 第2投入メダル検出センサ(検出手段)
91 ホッパ装置(払出手段の一部)
131 主制御装置(抽選手段、変動制御手段、払出手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を行うための遊技媒体を受入可能な受入口と、その受入口から受け入れられた遊技媒体を案内する案内通路と、その案内通路を通る遊技媒体を検出すべく、当該遊技媒体の流れ方向に配置される複数の検出手段と、その複数の検出手段より上流側にて前記案内通路から分岐する分岐通路と、前記受入口から受け入れられる遊技媒体の通路を前記案内通路または前記分岐通路へ切り替える切替手段と、複数種の識別情報を変動可能に表示する表示装置と、その表示装置に表示される識別情報の変動表示を開始させるべく始動操作が行われる始動操作手段と、その変動表示を停止させるべく停止操作が行われる停止操作手段と、抽選を行う抽選手段と、前記複数の検出手段が遊技媒体の通過を検出した後に、前記始動操作手段に対する始動操作に基づいて前記表示装置に識別情報の変動表示を開始させ、前記停止操作手段に対する停止操作に基づいて前記表示装置に前記抽選手段の抽選結果に対応した識別情報を停止表示させる制御を行う変動制御手段と、前記表示装置に予め定めた第1識別情報が停止表示された場合にその第1識別情報に対応した数分の遊技媒体を払い出す払出手段とを備えた遊技機において、
前記受入口から受け入れられる遊技媒体が前記切替手段によって前記案内通路に沿って案内される期間中に、前記複数の検出手段が予め定めた検出順序に従って遊技媒体の通過を検出したか否かを確認する順序確認手段と、
その順序確認手段の確認結果が前記予め定めた検出順序と異なる場合に所定の処理を行う異常処理実行手段と、
前記受入口から受け入れられる遊技媒体が前記切替手段によって前記分岐通路へ案内される期間中であって前記識別情報の変動表示中に、前記複数の検出手段の少なくとも1つが遊技媒体の通過を検出したか否かを確認する検出確認手段とを備え、
前記変動制御手段は、その検出確認手段の確認結果によって前記遊技媒体の通過が確認された場合には、その通過確認後に所定の条件が成立するまで前記停止操作手段に対する停止操作が行われても前記識別情報の変動表示を継続する変動継続手段とを備えていることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−34876(P2013−34876A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−210041(P2012−210041)
【出願日】平成24年9月24日(2012.9.24)
【分割の表示】特願2004−130847(P2004−130847)の分割
【原出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】