説明

運転姿勢調整装置

【課題】運転席に着座した運転者の着座姿勢を短時間で最適状態に調整できるようにする。
【解決手段】運転席1を前後移動させることにより、その少なくともシートクッション1aの前後位置を調整するシート位置調整機構2と、運転席1に着座した運転者がアクセルペダル11等の操作ペダルを踏み込む際に足の踵部が載置されるフロアボード5からなる可動フロア部を、運転者の指示に応じて昇降変位させるフロア昇降機構6とを備えた運転姿勢調整装置であって、上記シート位置調整機構2により運転席1のシートクッション1aを車体の後方側に移動させる操作が行われ、かつこのシートクッション1aの前後移動量が予め設定された閾値を超えたときに、上記フロア昇降機構6により可動フロア部を自動的に下降させるように制御する制御手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席を前後移動させるシート位置調整機構と、運転者の踵部が載置される可動フロア部を昇降変位させるフロア昇降機構とを備えた運転姿勢調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に示されるように、運転席を前後移動させることによりそのシートクッションの前後位置を調整するシート位置調整機構と、運転席に着座した運転者が操作ペダルを踏み込む際に足の踵部が載置される可動フロア部の昇降変位させるフロア昇降機構とを備えた自動車の運転姿勢調整装置において、体格検出手段により検出された運転者の体格と予め設定された調整特性とに応じて求められた可動フロア部の昇降位置に基づき、上記フロア昇降機構を介して可動フロア部を昇降変位させることにより、可動フロア部の設置高を自動的に調整することが行われている。
【特許文献1】特開2006−44422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されているように、運転者の体格に応じて可動フロア部を自動的に昇降変位させるように構成した場合には、身長が高いほど大きくなる傾向にある足裏サイズに対応させて可動フロア部を自動的に下降させることにより、操作ペダルに対する踏込操作性を向上させることが可能である。また、上記特許文献1に開示された運転姿勢調整装置では、運転者の体格が所定の体格よりも小さい場合に、上記可動フロア部の昇降調整量が抑制された調整特性に基づいて可動フロア部の昇降位置を調整することにより、踵の高い履物を履くことの多い女性ドライバーに対しても可動フロア部の設置高さを適正化できるように構成されている。
【0004】
しかし、上記のように予め設定された調整特性に基づいて可動フロア部を自動的に昇降変位させるように構成した場合には、この可動フロア部の設置高さが運転者の体格に応じて自動的に調整されるため、運転者の好みに応じて上記可動フロア部の設置高さを変化させることができないという問題がある。また、上記のように踵の高い履物を履くことの多い女性ドライバーに対して可動フロア部の設置高さを適正化できるようにするため、運転者の体格が所定の体格よりも小さい場合に、上記可動フロア部の昇降調整量が抑制された調整特性に基づいて可動フロア部の設置高さを調整するように構成したとしても、上記女性ドライバーが踵の高い履物を履くとは限らず、却って操作ペダルに対する踏込操作性が悪化する可能性がある。
【0005】
上記弊害を防止するために、運転席を前後移動させるシート位置調整機構と、運転者の踵部が載置される可動フロア部を昇降変位させるフロア昇降機構とを備えた運転姿勢調整装置において、運転席に着座した運転者が操作ペダルを踏み込む際に足の踵部が載置される可動フロア部を、運転者の好みに応じて昇降変位させるフロア昇降機構を設けた構造とすることもできるが、このように構成した場合には、運転者がその体格等に応じて上記可動フロア部の設置高さを最適状態に調整する操作を正確かつ迅速に行うことが困難であるという問題がある。
【0006】
例えば、女性ドライバー等の低身長者に代わって高身長者が運転席に着座する場合に、上記シート位置調整機構により運転席の前後位置を調整する操作と、フロア昇降機構により可動フロア部を昇降変位させる操作とが交互に繰り返されて運転姿勢を最適状態とするのに長時間を要する虞がある。すなわち、女性ドライバー等の低身長者は、その足裏サイズが小さいために、可動フロア部の設置高さを高く設定することにより、操作ペダルに対する操作性を確保しようとする。さらに、座高が低いとともに手足が短い上記低身長者は、運転席のシートクッションを車体の前方側に移動させることにより、運転席における視界と、ステアリングホイールに対する操作性とを確保しようとする傾向がある。
【0007】
このような状態にある運転席に高身長者が着座する場合には、まず第1ステップで、運転席のシートクッションとステアリングホイールとの間から容易に乗り込むことができるように、シート位置調整機構によりシートクッションを大きく後方に移動させて運転席に着座した後、第2ステップで、運転席の前方に配設されたブレーキペダル等の操作ペダルを適正に踏み込むことができる位置にシートクッションの前後位置を調整する。この場合、上記低身長者により図20に示すように、可動フロア部Fが相対的に高い位置に設置された状態にあるため、高身長者βは、操作ペダルPを上方から踏み込もうとして、その踵部を後方に引き下げるとともに、これに対応して運転席のシートクッション1aを前寄り移動させることにより、膝下部が立ち気味となるように調整する。
【0008】
上記のようにシートクッション1aを前寄りに位置調整して高身長者β(運転者)の膝部が立ち気味になると、その大腿部がシートクッション1aから離間するとともに、ステアリングホイール(図示せず)に干渉する可能性があるため、第3ステップで、矢印に示すようにシートクッション1aを車体の後方側に移動させて膝立ちを解消しようとする。この操作により高身長者βの膝立ちが解消されると、今度は、操作ペダルPに乗せた足の足首角度θが、90°程度に設定された適正角度よりも大きくなって、その踏込操作性が悪化するため、第4ステップで、フロア高さ調整機構により可動フロア部Fを図21に示すように下降させて足首角度θが適正角度となるように調整する。
【0009】
上記第4ステップの操作により可動フロア部Fの設置高さが低くなって操作ペダルPとの間隔が開くと、足の踵部を前方に移動させて操作ペダルPの踏込操作性を確保する必要があるために、今度は、高身長者βの大腿部がシートクッション1aに当接して窮屈な着座状態となる傾向がある。このため、第5ステップで、シート位置調整機構によりシートクッションを矢印に示すように車体の前方側へ移動させて、高身長者βの大腿部とシートクッション1aとの間隔を適正値に調整しようとする。
【0010】
しかし、上記のように可動フロア部Fの設置高さが低い状態で、シートクッション1aを車体の前方側に移動させ過ぎると、今度は、足首角度θが過度に小さくなって操作ペダルPの踏込操作性が悪化するため、これを改善しようとして可動フロア部Fを上昇させると、膝下部が立ち気味となる。この結果、再び上記第3ステップに移行することとなって、上記操作が繰り返されるという調整サイクルに陥る可能性があり、運転姿勢を短時間で最適状態とすることが困難になるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑み、運転席に着座した運転者の着座姿勢を短時間で最適状態に調整することができる運転姿勢調整装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、運転席を前後移動させることにより、その少なくともシートクッションの前後位置を調整するシート位置調整機構と、運転席に着座した運転者が操作ペダルを踏み込む際に足の踵部が載置される可動フロア部を、運転者の指示に応じて昇降変位させるフロア昇降機構とを備えた運転姿勢調整装置であって、上記シート位置調整機構により運転席のシートクッションを車体の後方側に移動させる操作が行われ、かつこのシートクッションの前後移動量が予め設定された閾値を超えたときに、上記フロア昇降機構により可動フロア部を自動的に下降させるように制御する制御手段を備えたものである。
【0013】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の運転姿勢調整装置において、運転席のシートクッションが予め設定された前後基準位置よりも前方側から後方側に移動させる操作が行われた場合に、フロア昇降機構により可動フロア部を自動的に下降させる制御を実行するものである。
【0014】
請求項3に係る発明は、上記請求項1に記載の運転姿勢調整装置において、上記可動フロア部が予め設定された上下基準位置よりも上方にある状態で、シート位置調整機構により運転席のシートクッションを車体の後方側に移動させる操作が行われた場合に、フロア昇降機構により可動フロア部を自動的に下降させる制御を実行するものである。
【0015】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3の何れか1項に記載の運転姿勢調整装置において、上記シート位置調整機構が、運転者の手動操作に応じてシートクッションを前後移動させるように構成されるとともに、上記フロア昇降機構が、可動フロア部を自動的に下降させる電動駆動部を備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
上記請求項1に係る発明によれば、運転席に着座する運転者が、女性ドライバー等からなる低身長者から、男性ドライバー等からなる高身長者に乗り代わる場合等には、フロア昇降機構により可動フロア部を自動的に下降させる制御が実行されるため、これを体感した運転者は、可動フロア部を適正位置まで上昇させてその設置高さを調整した後に、シート位置調整機構により運転席のシートクッションを前後移動させてその微調整を行うことにより、安楽姿勢を維持しつつ運転者の視線を適正ラインに一致させるように操作することができる。したがって、上記シート位置調整機構によりシートクッションの前後位置を調整する操作と、上記フロア昇降機構により可動フロア部の設置高さを調整する操作とを繰り返すという調整サイクルに陥ることなく、適正位置に調整された可動フロア部に踵部が載置された足の踏込部をアクセルペダル等からなるペダル踏込部に当接させた状態を維持しつつ、シート位置調整機構により運転席のシートクッションを前後移動させてその微調整する操作を容易かつ適正に行うことができる。
【0017】
上記請求項2に係る発明によれば、運転席のシートクッションが予め設定された前後基準位置よりも前方側から後方側に移動させる操作が行われた場合にのみ、上記フロア昇降機構により可動フロア部を自動的に下降させる制御が実行されるため、運転席に着座する運転者が、女性ドライバー等からなる低身長者から、男性ドライバー等からなる高身長者に乗り代わったことを正確に判別して、上記可動フロア部を下方の初期位置に下降させる制御を適正に実行できるという利点がある。
【0018】
上記請求項3に係る発明によれば、可動フロア部が予め設定された上下基準位置よりも上方にある状態で、シート位置調整機構により運転席のシートクッションを車体の後方側に移動させる操作が行われた場合にのみ、上記可動フロア部を自動的に下降させる制御が実行されるため、例えば上記フロア昇降機構により可動フロア部の設置高さを調整している過程等において、上記シート位置調整機構によりシートクッションを後方に移動させる操作が行われた場合等に、上記可動フロア部が所定の下方位置から最下降位置等からなる初期位置に下降してしまうという誤動作の発生を効果的に防止できるという利点がある。
【0019】
上記請求項4に係る発明では、運転者の手動操作に応じてシート位置調整機構を駆動することによりシートクッションを前後移動させるとともに、上記フロア昇降機構に設けられた電動駆動部により可動フロア部を自動的に下降させるように構成したため、製造コストの増大を抑制しつつ、設置高さの変化を正確に体感することが困難である上記可動フロア部の設置高さを、上記電動駆動部を備えたフロア昇降機構により迅速に調整でき、かつ前後位置の変化を正確に体感することが可能な上記シートクッションの前後位置を運転者の意思に基づいて適正かつ迅速に調整できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1〜図4は、本発明に係る運転姿勢調整装置の実施形態を示している。この運転姿勢調整装置は、運転席1を前後移動させることにより、その少なくともシートクッション1aの前後位置を調整するシート位置調整機構2と、運転席1に着座した運転者が、アクセルペダル11またはブレーキペダル12等からなる操作ペダルを踏み込む際に足の踵部が載置される可動フロア部、つまり上記運転席1の着座した運転者の足元部に位置する車体フロア3の上面を覆うように設置されたフロアボード5を運転者の指示に応じて昇降変位させるフロア昇降機構6とを備えている。
【0021】
上記車体フロア3は、エンジンルームと車室とを区画するダッシュパネル7の下端部から後下がりの傾斜状態で車体の後方側に延びるトーボード部8と、その後端部に連続して車体の後方側に延びる略平坦なフロア底部9とを有している。上記車体フロア3の上面には、遮音および断熱機能等を有するフェルト材またはグラスウール等のインシュレータと、その上面を被覆するカーペット材等の表層材とを備えた従来周知のフロアトリム材(図示せず)が設置されている。なお、図2において、符号13はフットレストである。
【0022】
上記フロアボード5は、図4および図5に示すように、ヒンジ部材14により車体フロア3のトーボード部8に前端部が枢支された前側ボード15と、その後端部にヒンジ部材16を介して折曲可能に連結された後側ボード17を有している。上記前側ボード15は、車体フロア3のトーボード部8と同様に前上がりに傾斜したトーボード対応部18と、その後端部に連続して車体の後方側に延びるフロア底対応部19とを有し、これらにより側面から見て逆への字状に形成されている。上記前側ボード15の前方部、つまりトーボード対応部18は、上記アクセルペダル11およびブレーキペダル12等からなる操作ペダルの下方に設置されるとともに、その側方部には上記フットレスト13との干渉を回避するように切り欠かれた干渉回避部20が設けられている。
【0023】
また、上記前側ボード15には、その後辺部を除いて下方に凹入する凹入部21が形成され、この凹入部21内に、発泡ウレタン材または合成ゴム材等の弾性体からなる衝撃吸収部材22が配設されて接着されることにより、前側ボード15の上記トーボード対応部18とフロア底対応部19とに亘ってフロアボード5の上面を覆うように衝撃吸収部材22が配置されている。この衝撃吸収部材22は、その幅寸法がフロアボード5と略同一の値に設定されることにより、このフロアボード5の車幅方向略全域に配設されるとともに、上記衝撃吸収部材22の厚みが上記凹入部21の凹入量と略同一に設定されることにより、上記衝撃吸収部材22の上面部と、凹入部21に連続したフロアボード5の上面部、具体的には上記前側ボード15の後辺部とが略同一高さに設定されている。そして、上記フロアボード5の上面には、パイル材および裏打ち材等からなる一枚の表層マット材23が設置されている。この表層マット材23は、上記凹入部21内に配設された衝撃吸収部材22の上面部と、これに連続したフロアボード5の上面部、つまり上記トーボード対応部18の後辺部および上記後側ボード17とを連続して被覆し得る大きさに形成されている。
【0024】
上記フロアボード5の後側ボード17は、車体フロア3のフロア底部9に対応した位置に配設されたサイドシルとフロアトンネルとの間の略全域を覆うように、その幅寸法が設定されている。また、上記フロアボード5の設置部の後方側には、運転席1が設置されるとともに、その前端部下方にフロアトンネルとサイドシルとを連結するクロスメンバ24が配設されている。そして、このクロスメンバ24の前方側には、上記後側ボード17の後方部をスライド自在に支持する左右一対のガイドレール25が設置されている。
【0025】
上記ガイドレール25は、図5および図6に示すように、ブラケット26を介して車体フロア3上に取り付けられた断面コ字状体からなり、上記後側ボード17の後部下面に突設されたグロメット27が係脱可能に係止されるスライダー28を保持するように構成されている。そして、後述するフロアボード5の昇降変位に応じ、上記スライダー28がガイドレール25に沿ってスライド変位することにより、後側ボード17の後部が、ガイドレール25によって支持されつつ、前後移動するようになっている。
【0026】
上記フロア昇降機構6は、図5、図7および図8に示すように、先端部が前側ボード15の後部下面に枢支された左右一対の駆動リンク31と、前後両端部が車体フロア3の上面に軸受部材を介して回転自在に支持された左右一対のねじ軸32と、このねじ軸32を回転駆動する一対の駆動ケーブル33と、上記ねじ軸32に螺着されるとともに車体フロア3の上面に沿ってスライド自在に支持されたスライドブロック34とを有し、このスライドブロック34の側面に上記駆動リンク31の基端部が枢支されている。そして、上記駆動リンク31と、この駆動リンク31の基端部を車体フロア3に沿って前後移動させるねじ軸32と、上記駆動ケーブル33およびスライドブロック34と、上記駆動ケーブル33を回転駆動する電動駆動部35とにより、上記フロア昇降機構6が構成されている。このフロア昇降機構6は、上記前側ボード15に形成された凹入部21の後方側に位置するフロアボード5の下方部、具体的には上記前側ボード15の後辺部および後側ボード17の下方に配設されている。
【0027】
上記電動駆動部35は、図9に示すように、ギアボックス36内に配設されて回転自在に支持された従動ベベルギア37と、この従動ベベルギア37と歯合する駆動ベベルギア38と、上記ギアボックス36の上面に取り付けられて駆動ベベルギア38を回転駆動する駆動モータ39とを有している。また、上記駆動ケーブル33は、可撓性を有する筒状体内に回転力を伝達可能なケーブル材33aが回転可能に保持されたものであり、このケーブル材33aが上記従動ベベルギア37と一体に回転するように固着されている。
【0028】
そして、上記駆動モータ39が正回転して駆動ベベルギア38が正転駆動されると、その駆動力が上記従動ベベルギア37を介して駆動ケーブル33およびねじ軸32に伝達され、このねじ軸32が正回転することにより、上記スライドブロック34がねじ軸32に沿って車体の前方側にねじ送りされる。これに応じて上記駆動リンク31の後端部が前方に押動されるとともに、駆動リンク31の前端部が押し上げられるため、上記駆動リンク31が倒伏状態から起立状態に移行し、この駆動リンク31を介して前側ボード15の後辺部が上方に押動されることにより、上記ヒンジ部材14を支点として前側ボード15が図1に示す下降位置から図5に示す上昇位置に揺動変位することになる。
【0029】
一方、上記フロアボード5の後側ボード17は、その前辺部がヒンジ部材16により前側ボード15の後端部に連結されているため、この前側ボード15の上昇動作に対応して後側ボード17の前辺部が上方に押動されるとともに、その後辺部が上記ガイドレール25によって車体フロア3に支持されつつ、車体の前方側に移動するように構成されている。これにより上記前側ボード15と後側ボード17との連結部が上昇してフロアボード5が側面視で山形に折曲しつつ上昇位置に変位することになる。
【0030】
また、上記駆動モータ39が逆回転して駆動ベベルギア38が逆転駆動されると、その駆動力が上記従動ベベルギア37を介して駆動ケーブル33およびねじ軸32に伝達され、このねじ軸32が逆回転することにより、スライドブロック34がねじ軸32に沿って車体の後方側にねじ送りされ、上記駆動リンク31が起立状態から倒伏状態に移行して、前側ボード15の後辺部が図5に示す上昇位置から図1に示す下降位置に変位するとともに、後側ボード17が車体フロア3に沿った状態となるように構成されている。
【0031】
上記運転姿勢調整装置には、図10に示すように、電動駆動部35の駆動モータ39に作動指令信号を入力する昇降スイッチ40と、運転席1のシートクッション1aの前後位置を検出する後述のシート位置検出手段41と、運転者の指示に応じて上記フロアボード5からなる可動フロア部を昇降変位させるとともに、上記シート位置検出手段41の検出信号に応じて所定条件が成立したことが確認された場合に上記フロアボード5を自動的に下降させる制御信号をフロア昇降機構6に出力する制御手段42とが設けられている。
【0032】
上記制御手段42は、運転者により操作された昇降スイッチ40の出力信号に応じ、最下限位置と最上限位置と間に予め設定された昇降範囲内で上記フロアボード5を段階的に昇降変位させるようにフロア昇降機構6を制御する機能を有している。具体的には、上記昇降スイッチ40からフロアボード5を上昇変位させることを指示する指令信号が入力された時点で、上記電動駆動部35の駆動モータ39を所定時間に亘って正回転させる制御信号が出力されることにより、上記前側ボード15と後側ボード17との連結部を所定量だけ上昇させる制御が実行され、上記昇降スイッチ40からフロアボード5を下降変位させることを指示する指令信号が入力された場合には、上記電動駆動部35の駆動モータ39を所定時間に亘って逆回転させる制御信号が上記制御手段42から出力されることにより、上記前側ボード15と後側ボード17との連結部を所定量だけ下降させる制御が実行されるように構成されている。
【0033】
上記フロアボード5、つまり前側ボード15と後側ボード17との連結部を段階的に昇降変位させる際の上下移動量は、フロアボード5の設置高さに応じて変化し、フロアボード5が下方領域にある場合に、上方領域にある場合に比べて上記上下移動量が小さな値に設定されている。例えば上記フロアボード5が、図11に示すように、最下降位置Lから予め設定された上下基準位置Rまでの下方領域にある場合には、フロアボード5の上下移動量Δ1が4mm程度に設定され、上記昇降スイッチ40からフロアボード5を昇降変位させることを指示する指令信号が入力される毎に、フロアボード5が4mmずつ上昇または下降するように上記駆動モータ39の回転量が設定されている。
【0034】
一方、フロアボード5が、上記上下基準位置Rから最上昇位置Hまでの上方領域にある場合には、フロアボード5の上下移動量Δ2が例えば8mm程度に設定され、上記昇降スイッチ40からフロアボード5を昇降変位させることを指示する指令信号が入力される毎に、フロアボード5が8mmずつ上昇または下降するように上記駆動モータ39の回転量が設定されている。上記上下基準位置Rは、予め行った実験例等に基づいて求められた女性ドライバー等の低身長者αが主に利用する領域と、男性ドライバー等の高身長者βが主に利用する領域との境界ライン等に設定されている。
【0035】
また、制御手段42は、上記シート位置調整機構2より運転席1のシートクッション1aを予め設定された前後基準位置よりも前方側から後方側に移動させる操作が行われ、かつ上記シートクッション1aの後方移動量が予め設定された閾値を超えたことが、シート位置検出手段41の出力信号に応じて検出された場合に、フロア昇降機構6によりフロアボード5を、上記最下降位置Lまたはその近傍に予め設定された初期位置まで自動的に下降させる制御を実行するように構成されている。
【0036】
上記フロアボード5を自動的に下降させる制御を実行するか否かの判断基準となる上記前後基準位置は、女性ドライバー等からなる低身長者が運転席1に着座してそのシートクッション1aの前後位置を調整した際の標準位置と、男性ドライバー等からなる高身長者が運転席1に着座してそのシートクッション1aの前後位置を調整した際の標準位置との中間点またはその近傍に設定されている。さらに、上記フロアボード5を自動的に下降させる制御を実行するか否かの判断基準となる上記閾値は、一定量以上の身長差がある低身長者から高身長者に運転者が乗り代わって上記シートクッション1aを前後移動させる際の最低移動量を予め行った実験のデータに基づいて求め、この最低移動量等に相当する値、例えば50mm程度に設定されている。
【0037】
上記運転席1の設置部に位置する車体フロア3上には、図12〜図14に示すように、シートクッション1aを前後移動可能に支持する左右一対のシートレール45と、このシートレール45に沿って前後移動可能に支持されたスライド部材48,49とが配設されている。上記シートレール45は、上面が開口したC型鋼等からなり、その前後両端部には、取付ブラケット50,51が溶接される等により一体に接合されている。そして、上記取付ブラケット50,51が、車体フロア3上に設置された前後一対のクロスメンバ24,53の上面に締結ボルト等を介して固定されることにより、上記シートレール45が、例えば15°程度の仰角で前上がりに傾斜した状態で車体フロア3に固定されるようになっている。
【0038】
上記シートレール45の側方部上面には、車体の前後方向に延びるラックギア55が設けられるとともに、シート位置調整機構2の作動部となる前後一対の転動ギア46a,46bが上記ラックギア55上を転動するように配設されている。また、上記シートレール45の後方部側面には、板状部材からなる支持プレート57がシートレール45の上方に突出するように設置され、この支持プレート57に開穿されたガイド溝58に、上記シートクッション1aの後部に設けられた係合ピン60が摺動可能に支持されている。
【0039】
すなわち、上記支持プレート57には、シートレール45の設置角度よりも急角度の前上がり状態で傾斜して延びるガイド溝58が形成されている。また、上記シートクッション1aの後部には、突片59が下方に向けて突設されるとともに、この突片59には、上記ガイド溝58に係合される係合ピン60が固定されている。そして、後述するように運転席1のシートクッション1aが車体の前後方向に移動するのに応じ、上記係合ピン60がガイド溝58に沿って摺動することにより、シートクッション1aの後部が昇降変位するように構成されている。
【0040】
上記シートクッション1aの下面前方部には、突片54が下方に向けて突設されるとともに、この突片54に支持された連結軸52がスライド部材48,49の前端部に枢支されている。そして、運転席1のシートクッション1aをシートレール45に沿って前後移動させるとともに、上記係合ピン60をガイド溝58に沿って摺動させると、シートクッション1aの後部が昇降駆動されることにより、上記連結軸52を支点にシートクッション1aが揺動変位してその座面角度が変化するように構成されている。
【0041】
上記スライド部材48,49には、車幅方向に延びる前後一対の回転軸61a,61bが回動可能に支持され、この回転軸61a,61bの左右両側方部に上記転動ギア46a,46bがそれぞれ固着されている。また、上記回転軸61a,61bの左右両端部のうち車体の中央部側(フロアトンネル側)に位置する部分には、それぞれ断続クラッチ62a,62bを介して従動ギア63a,63bが接続されている。この従動ギア63a,63bと、上記回転軸61a,61bとの間には、それぞれワンウェイクラッチ64a,64bが配設されている。
【0042】
上記両ワンウェイクラッチ64a,64bのうち車体の前方側に位置するワンウェイクラッチ64aは、下記駆動レバー65の揺動操作に応じてシートクッション1aを前進させる方向の駆動力が、上記従動ギア63a,63bの間に配設された駆動ギア66を介して入力された場合に、その駆動力を、上記断続クラッチ62aを介して前方側の転動ギア46aに伝達するとともに、シートクッション1aを後進させる方向の駆動力が上記駆動ギア66を介して入力された場合に、その駆動力の伝達を遮断する機能を有している。
【0043】
一方、両ワンウェイクラッチ64a,64bのうち後方側のワンウェイクラッチ64bは、駆動レバー65の揺動操作に応じてシートクッション1aを後退させる方向の駆動力が、上記駆動ギア66を介して入力された場合に、その駆動力を、上記断続クラッチ62bを介して後方側の転動ギア46bに伝達するとともに、シートクッション1aを前進させる方向の駆動力が上記駆動ギア66を介して入力された場合に、その駆動力の伝達を遮断する機能を有している。
【0044】
また、上記従動ギア63a,63bの間に配設された駆動ギア66は、上記両スライド部材48,49のうち車室内側に位置するスライド部材48に回転自在に支持された駆動軸56と一体に回転するように係止されるとともに、この駆動軸56の端部に固定された駆動レバー65により回転駆動されるように構成されている。この駆動レバー65には、上記両断続クラッチ62a,62bの一方を選択して接続状態とするとともに、他方を離脱状態とする押しボタンスイッチ67が把持部65aの先端部に設けられている。
【0045】
上記押しボタンスイッチ67は、例えば図外の動力伝達ケーブルを介して上記両断続クラッチ62a,62bを選択的に駆動する駆動部材等に連結されることにより、上記押しボタンスイッチ67の押圧操作に応じて前方側の断続クラッチ57aを接続状態とするとともに、後方側の断続クラッチ57bを離脱状態とし、かつ上記押しボタンスイッチ67の押圧操作が解除されるのに応じて後方側の断続クラッチ57bを接続状態とするとともに、前方側の断続クラッチ57bが離脱状態とするように構成されている。なお、上記押しボタンスイッチ67等の操作に応じて上記断続クラッチ62a,62bを選択的に駆動する電動駆動機構を設けた構造としてもよい。
【0046】
上記のようにスライド部材48,49に設けられた駆動レバー65、駆動ギア66、従動ギア63a,63b、ワンウェイクラッチ64a,64b、断続クラッチ62a,62bおよび回転軸61a,61b等により、上記転動ギア46a,46bを回転駆動してラックギア55に沿って転動させるシート位置調節機構2の駆動部が構成されている。そして、上記駆動レバー65の揺動操作に応じ、後述するようにシートレール45に沿ってシートクッション1aを、車体の前後方向にスライド変位させるように構成されている。
【0047】
また、スライド部材49には、図15および図16に示すように、上記シート位置検出手段41を構成するスイッチボックス71が取り付けられるとともに、上記スライド部材49を支持するすシートレール45には、上記シートクッション1aの前後基準位置を示す第1検知ピン72と、上記閾値表示用の第2検知ピン73とが設けられている。上記スイッチボックス71内には、上記検知ピン72,73に当接して揺動変位する検知レバー74が揺動可能に枢支されるとともに、この検知レバー74の揺動変位に応じてON状態となって上記制御手段42に検出信号を出力する前後一対の第1,第2接点75,76が配設されている。
【0048】
そして、上記第1検知ピン72の前方側に位置する検知レバー74が、シートクッション1aの後方移動に応じて第1検知ピン72に当接し、図17示すように、上記検知レバー74の下端部が前方側に揺動変位すると、後方側の第2接点76がON状態となってその検出信号が上記制御手段42に出力されることにより、シートクッション1aが上記前後基準位置の前方側から後方側に移動したことが検出されるようになっている。上記位置からシートクッション1aがさらに後退することにより、検知レバー74が第2検知ピン73に当接して揺動変位すると、第2接点76が再びON状態となってその検出信号が上記制御手段42に出力され、シートクッション1aが上記閾値を超えて後方に移動したことが検出されることになる。
【0049】
また、上記シートクッション1aが車体の前方側に移動するのに応じ、上記第2検知ピン73の後方側に位置する検知レバー74が第2検知ピン72に当接し、その下端部が後方側に揺動変位すると、前方側の第1接点75がON状態となってその検出信号が上記制御手段42に出力されるとともに、シートクッション1aがさらに前方移動することにより上記検知レバー74が第1検知ピン72に当接して揺動変位すると、第1接点75が再びON状態となってその検出信号が上記制御手段42に出力されることにより、上記シートクッション1aが予め設定された上記前後基準位置の前方側に移動したことが検出されようになっている。
【0050】
上記シート位置調整機構2により、図1に示すように、後方位置にある運転席1のシートクッション1aをシートレール45に沿って前進させる場合には、上記駆動レバー65の押しボタンスイッチ67を押圧操作して前方側の断続クラッチ62aを接続状態とするとともに、後方側の断続クラッチ62bを離脱状態としつつ、上記駆動レバー65の把持部65aを持って下方位置から上方位置に引き上げるように揺動操作する。これにより、上記駆動ギア66が図14の矢印A方向に回転駆動されるとともに、その駆動力が従動ギア63a、ワンウェイクラッチ64a、断続クラッチ62aおよび回転軸61aを介して転動ギア46aに伝達され、この転動ギア46aが図14の矢印B方向に回転しつつ、ラックギア55上を転動して前進する。
【0051】
上記駆動レバー65の把持部65aが所定位置まで上昇した時点で、この把持部65aを元の位置に下降させた後、再び上記把持部65aを上方位置に引き上げる操作を繰り返すと、上記駆動レバー65の把持部65aを下降させる際に、上記駆動ギア66が図14の矢印Aと逆方向に回転駆動されるとともに、その駆動力が従動ギア63aに伝達されるが、この従動ギア63aにはワンウェイクラッチ64aが設けられているため、上記従動ギア63aの回転力が回転軸61aを介して転動ギア46aに伝達されることはない。
【0052】
上記のように押しボタンスイッチ67を押圧した状態で、駆動レバー65の把持部65aを下方位置から上方位置に引き上げる揺動操作を繰り返すことにより、上記転動ギア46aがラックギア55上を矢印Cに示す方向に転動し、スライド部材48,49およびシートクッション1aがシートレール45に沿って徐々に上昇しつつ前進する。また、シート位置調整機構2によるシートクッション1aの前進動作に連動してシートクッション1aの後端部に設けられた係合ピン60がガイド溝58に沿って摺動することにより、図18に示すように、シートクッション1aの後端部が上昇するとともに、これに対応してシートクッション1aの傾斜角度が小さく、つまり水平状態に近くなるように変化する。
【0053】
なお、上記のように押しボタンスイッチ67を押圧操作しつつ、駆動レバー65の把持部65aを上下させる揺動操作を行う際には、後方側の断続クラッチ62bが離脱状態に保持されているため、上記駆動ギア66の駆動力が従動ギア63bおよび回転軸61bを介して上記転動ギア46bに伝達されることが防止されるようになっている。
【0054】
一方、上記シート位置調整機構2により、図18に示す前方位置にある運転席1のシートクッション1aをシートレール45に沿って後退させる場合には、上記押しボタンスイッチ67の押圧状態を解除して後方側の断続クラッチ62bを接続状態とするとともに、前方側の断続クラッチ62aを離脱状態としつつ、上記駆動レバー65の把持部65aを持って上方位置から下方位置に押し下げるように揺動操作する。これにより、図14の矢印Aと逆方向に上記駆動ギア66が回転駆動されるとともに、その駆動力が従動ギア63b、ワンウェイクラッチ64b、断続クラッチ62bおよび回転軸61bを介して転動ギア46bに伝達され、この転動ギア46bが図14の矢印Dに示す方向に回転しつつ、ラックギア55上を転動して後退する。
【0055】
上記駆動レバー65の把持部65aを上方位置から下方位置に押し下げる揺動操作を繰り返すことにより、上記転動ギア46bがラックギア55上を転動しつつ、スライド部材48,49およびシートクッション1aがシートレール45に沿って下降しつつ徐々に後退する。また、シート位置調整機構2によるシートクッション1aの前進動作に連動してシートクッション1aの後端部に設けられた係合ピン60がガイド溝58に沿って後方側摺動することにより、図1に示すように、シートクッション1aの後端部が下降するとともに、これに対応してシートクッション1aの傾斜角度が大きく、つまり大きく前上がりに傾斜した状態となる。
【0056】
したがって、男性ドライバー等の高身長者βが着座する際には、運転席1を車体の後方側に移動させることにより、シートレール45に沿ってシートクッション1aが下降するとともに、その後方部が引き下げられることになる。この結果、シートクッション1aに対する運転者の着座中心であるヒップポイントが後部下方側に移動するとともに、これに対応して運転者の頭部が下部後方側に移動するため、上記シートクッション1aの後方移動距離を大きく設定することなく、運転席1に着座した高身長者βの視線を適正ラインlに一致させることができる。
【0057】
また、上記運転席1の後方移動に応じてシートクッション1aが大きく前上がりの状態で傾斜することとなるため、膝下長さが長い傾向にある高身長者βは、膝部を所定角度で折曲げた状態で膝下部を前方に伸ばした着座姿勢を採ることにより、その踵部を比較的前方に位置させてアクセルペダル11等からなる操作ペダルを後方側から操作、つまり足裏の起立角度を鉛直に近付けた状態で操作しようとする。この場合、上記高身長者βの足裏サイズが大きいことと相俟って、アクセルペダル11等の踏込部よりも上方に足裏の適正当接部(親指の付け根部分)が位置する傾向があり、これを修正するために高身長者βは、上記フロア昇降機構6を作動させてフロアボード5を図1に示すように下方位置に調整することになる。
【0058】
一方、女性ドライバー等からなる低身長者αが着座する際には、運転席1を車体の前方側に移動させることにより、シートレール45に沿ってシートクッション1aが上昇するとともに、その後方部が押し上げられることになる。この結果、図18に示すように、シートクッション1aに対する運転者の着座中心であるヒップポイントが前部上方側に移動するとともに、これに対応して運転者の頭部が上部前方側に移動するため、上記シートクッション1aの前方移動距離を大きく設定することなく、運転席1に着座した低身長者αの視線を適正ラインlに一致させることができる。
【0059】
また、上記運転席1の前方移動に応じてシートクッション1aの傾斜角度が水平に近い状態となるため、膝下長さが短い傾向にある低身長者αが、膝下部を下方に伸ばした着座姿勢を採ることにより、アクセルペダル11等からなる操作ペダルを上方から操作、つまり高身長者βに比べて足裏の起立角度を水平に近付けた状態で操作しようとする。この場合、上記低身長者αの足裏サイズが小さいことと相俟って、アクセルペダル11等の踏込部よりも下方に足裏の適正当接部が位置する傾向があり、これを修正するために低身長者αは、上記フロア昇降機構6を作動させてフロアボード5を図18に示すように上方位置に調整することになる。
【0060】
次に、上記運転席1に着座する運転者が、女性ドライバー等からなる低身長者αから、男性ドライバー等からなる高身長者βに乗り代わる場合における運転姿勢の調整方法について説明する。まず図18に示すように、車体の前方側に位置した状態にある運転席1に着座しようとする上記高身長者βは、その視線を適正ラインに合わせるとともに、ステアリングハンドル等に対する操作性を確保するために、シートクッション1aを後方へ大きく移動させる操作を行うことにより、この操作が上記シート位置検出手段41によって検出される。
【0061】
そして、運転席1のシートクッション1aを予め設定された前後基準位置よりも前方側から後方側に移動させる操作が行われ、かつ上記シートクッション1aの後方移動量が予め設定された閾値を超えたことが、シート位置検出手段41の出力信号に応じて検出された時点で、上記制御手段42からフロア昇降機構6にフロアボード5を予め設定された初期位置まで下降させる制御信号が出力され、図1に示すように、フロアボード5を自動的に下降させる制御が実行される。このフロアボード5が最下降位置等に設定された初期位置に下降したことを体感した上記高身長者βは、上記アクセルペダル11等からなる操作ペダルに足を載せてこれを適正に踏み込むことができるか否かを確認し、フロアボード5が低すぎると感じれば、上記昇降スイッチ40を操作してフロアボード5の設置高さを調整することになる。
【0062】
運転者の指示操作に応じて上記初期位置に下降したフロアボード5の設置高さを調節する際には、予め設定された昇降範囲内で上記フロアボード5を段階的に昇降変位させるとともに、その上下移動量を上記最下降位置Lから上下基準位置Rまでの下方領域において小さな値に設定し、フロアボード5を小刻みに上下動させる制御が上記制御手段42において実行されるため、上記フロアボード5の設置高さを適正位置に調整する操作を迅速に行うことが可能である。
【0063】
すなわち、運転席1に着座した状態にある運転者はフロアボード5の微妙な昇降変位を正確に体感することが困難であり、フロアボード5の設置高さが数mm以上変化した時点で、初めてこれを体感することができる。このため、運転者の指示操作に応じて上記フロアボード5を連続的に昇降変位させるように構成した場合には、上記フロアボード5を初期位置から上昇させる際に適正位置よりも上方に行き過ぎるという事態が生じ易く、これを修正するためにフロアボード5を下降させると、下方に行きすぎ易くなることが避けられず、上記フロアボード5を上下動させる操作を繰り返さなければ適正値に調整することができないという可能性がある。
【0064】
これに対して上記フロアボード5を段階的に昇降変位させてその設置高さを調整するように構成した場合には、フロアボード5が一定量だけ昇降変位した時点でその変位が一旦停止するため、この時点でフロアボード5の設置高さが適正か否かを判断し、上下変位量が足りないと判別した時点で、フロアボード5をさらに昇降変位させることにより、正確かつ容易にフロアボード5を適正位置まで上昇または下降させることができる。そして、上記フロアボード5の設置高さを調整した後、シート位置調整機構2により運転席1のシートクッション1aをシートレール45に沿ってスライド変位させて前後位置等を調整することにより、運転者の安楽姿勢を維持しつつ、その視線を適正ラインlに一致させる操作が行われることになる。
【0065】
上記のように運転席1を前後移動させることにより、その少なくともシートクッションの前後位置を調整するシート位置調整機構2と、運転席1に着座した運転者がアクセルペダル11等からなる操作ペダルを踏み込む際に足の踵部が載置される上記フロアボード5からなる可動フロア部を、運転者の指示に応じて昇降変位させるフロア昇降機構6とを備えた運転姿勢調整装置において、上記シート位置調整機構2により運転席1のシートクッション1aを車体の後方側に移動させる操作が行われ、かつこのシートクッション1aの前後移動量が予め設定された閾値を超えたときに、上記フロア昇降機構6によりフロアボード5を自動的に下降させる制御を上記制御手段42において実行するように構成したため、運転者が乗り代わった場合に、自動的に下降状態となった上記フロアボード5を適正位置まで上昇させてその設置高さを調整した後に、シート位置調整機構2により運転席1のシートクッション1aを前後移動させてその微調整を行うことにより、安楽姿勢を維持しつつ運転者の視線を適正ラインlに一致させる操作を容易に行うことができる。
【0066】
すなわち、上記運転席1に着座する運転者が、女性ドライバー等からなる低身長者αから、男性ドライバー等からなる高身長者βに乗り代わる場合等には、上記シート位置調整機構2によりシートクッション1aの前後位置を調整する操作と、上記フロア昇降機構6によりフロアボード5の設置高さを調整する操作とを繰り返すという調整サイクルに陥る可能性があるが、上記のように運転者が乗り代わった場合に、自動的に下降状態となった上記フロアボード5を適正位置まで上昇させてその設置高さを調整した後に、シート位置調整機構2により運転席1のシートクッション1aを前後移動させてその微調整を行うようにした構成によると、適正位置に調整されたフロアボード5に踵部が載置された足裏の適正当接部をアクセルペダル11等からなるペダル踏込部に当接させた状態を維持しつつ、シート位置調整機構2により運転席1のシートクッション1aを前後移動させてその微調整を容易かつ適正に行うことができるという利点がある。
【0067】
特に、上記のようにシートクッション1aの前後移動量が予め設定された閾値を超えたときに、上記フロア昇降機構6によりフロアボード5を自動的に下降させるように制御を実行するように構成したため、運転席1に着座する運転者が、女性ドライバー等からなる低身長者αから、男性ドライバー等からなる高身長者βに乗り代わっていないにも拘わらず、上記運転席1の前後位置を微調整する操作が行われた場合に運転者が乗り代わったと誤検出され、上記フロアボード5を下方の初期位置に下降してしまうという事態の発生を効果的に防止することができる。
【0068】
また、上記実施形態では、運転席1のシートクッション1aが予め設定された前後基準位置よりも前方側から後方側に移動させる操作が行われた場合に、上記フロア昇降機構6によりフロアボード5からなる可動フロア部を自動的に下降させる制御を実行し、上記前後基準位置よりも後方側にあるシートクッション1aを後方移動させる操作が行われた場合には、上記フロアボード5からなる可動フロア部の下降制御を禁止するように構成したため、上記閾値をそれ程大きな値に設定することなく、運転席1に着座する運転者が、女性ドライバー等からなる低身長者αから、男性ドライバー等からなる高身長者βに乗り代わったことを正確に検出し、上記フロアボード5を下方の初期位置に下降させる制御を適正に実行することができる。したがって、上記閾値が大きな値に設定されることに起因して、運転席1に着座する運転者が、女性ドライバー等からなる低身長者αから、男性ドライバー等からなる高身長者βに乗り代わったことが検出されないという事態の発生を効果的に防止できるという利点がある。
【0069】
なお、上記実施形態では、シート位置調整機構2により運転席1のシートクッション1aを車体の後方側に移動させる操作が行われ、かつこのシートクッション1aの前後移動量が予め設定された閾値を超えたことが確認された時点で、フロアボード5の設置高さの如何に拘わらず、フロア昇降機構6によりフロアボード5を自動的に下降させるように構成した例について説明したが、上記フロアボード5が予め設定された上下基準位置、例えば女性ドライバー等の低身長者αが主に利用する領域と、男性ドライバー等の高身長者βが主に利用する領域との境界ライン等よりも上方にある状態で、シート位置調整機構2により運転席1のシートクッション1aを車体の後方側に移動させる操作が行われた場合にのみ、上記フロアボード5を自動的に下降させる制御を実行するように構成してもよい。
【0070】
上記のように構成した場合には、例えば上記フロア昇降機構6によりフロアボード5の設置高さを微調整している過程等において、何らかの理由で上記シート位置調整機構2によりシートクッション1aを後方に移動させる操作が行われた場合等に、上記フロアボード5が所定の下方位置から最下降位置等からなる初期位置に下降してしまうという誤動作の発生を効果的に防止し、必要なときにのみ上記フロアボード5を初期位置に下降させる制御を適正に実行できるという利点がある。
【0071】
また、上記実施形態では、運転者の指示操作に応じて予め設定された昇降範囲内において上記フロアボード5を段階的に昇降変位させるように構成したため、例えば上記フロアボード5を下方の初期位置から適正位置に上昇させる操作を行う際に、フロアボード5が一定高さに上昇した時点でその上昇が一旦停止することになる。したがって、上記フロアボード5の昇降変位が停止した時点でフロアボード5の設置高さが適正か否かを判断し、上昇量が足りなければ、フロアボード5をさらに上昇させることにより、このフロアボード5を適正位置まで正確かつ容易に上昇させることができ、上記フロアボード5を初期位置から上昇させる際に適正位置よりも上方に行き過ぎるという事態等が生じるのを効果的に防止できるという利点がある。
【0072】
さらに、上記実施形態では、フロアボード5の設置高さが下方領域にある場合における上下移動量を、上方領域にある場合に比べて小さな値に設定するように構成したため、上記のように運転席1のシートクッション1aを車体の後方側に移動させる操作が行われて上記初期位置に下降したフロアボード5の設置高さを調整する際等に、このフロアボード5を徐々に上昇させることにより、運転者が上記アクセルペダル11等からなる操作ペダルに足を載せてこれを適正に踏み込むことができる位置に、上記フロアボード5の設置高さを微調整できるという利点がある。
【0073】
一方、上記フロアボード5の設置高さが上方領域にある場合には、下方領域にある場合に比べて、このフロアボード5を段階的に昇降変位させる際の上下移動量が大きな値に設定されるため、上記フロアボード5を基準位置Rから最上昇位置Hまでの上方領域において昇降変位させる際に、1回の操作でフロアボード5を大きく上下移動させてその設置高さを迅速に調整できるという利点がある。
【0074】
すなわち、上記上方領域でフロアボード5の設置高さを調整する機会の多い女性ドライバーは、その装いに応じてヒールの高い靴と低い靴とを使い分けることが多く、このヒール高さが変化すると、フロアボード5の適正な設置高さも大きく変化する傾向があるが、上記実施形態のようにフロアボード5の設置高さが上方領域にある場合に、下方領域にある場合に比べてフロアボード5を段階的に昇降変位させる際の上下移動量を大きな値に設定した構成によれば、女性ドライバー等からなる低身長者αが下方位置にあるフロアボード5を適正位置に上昇させる際等に、1回の指示操作でフロアボード5の設置高さを大きく変化させて上記ヒール高さの変化等に容易かつ適正に対応させることができる。
【0075】
なお、上記実施形態では、上記駆動レバー65を用いた手動操作によりシートクッション1aをシートレール45に沿って前後移動させるように構成した例について説明したが、駆動モータおよびねじ送り機構等を備えた電動駆動機構をシート位置調節機構に設け、運転者のスイッチ操作に応じて上記シートクッション1aを自動で前後移動させるように構成してもよい。しかし、上記実施形態に示すように、運転者の手動操作に応じてシート位置調整機構2を駆動することによりシートクッション1aを前後移動させるとともに、上記フロア昇降機構6に設けられた電動駆動部35によりフロアボード5を自動的に下降させるように構成した場合には、上記シート位置調整機構2およびフロア昇降機構6の両方に電動駆動部を設けた場合に比べて製造コストを安価に抑えることができる。しかも、設置高さの変化を正確に体感することが困難である上記フロアボード5の設置高さを、上記電動駆動部35を備えたフロア昇降機構6により迅速に調整でき、かつ前後位置の変化を正確に体感することが可能な上記シートクッション1aの前後位置を運転者の意思に基づいて適正かつ迅速に調整できるという利点がある。
【0076】
また、上記第1,第2検知ピン72,73、検知レバー74、および第1,第2接点75,76等からなるシート位置検出手段41を設けてなる上記実施形態に代え、シートクッション1aの移動状態を検出するビデオカメラ等からなる撮像手段またはシートクッション1aの移動状態に応じて出力電圧が変化するポテンショメータ等を設け、これらによって運転者がシート位置調整機構2により運転席1のシートクッション1aを車体の後方側へ移動させる操作が行われ、かつシートクッション1aの前後移動量が予め設定された閾値を超える状態となったことが検出された時点で、上記フロア昇降機構6によりフロアボード5を自動的に下降させるように構成してもよい。
【0077】
また、上記昇降スイッチ40として、図19に示すように、運転者により揺動操作される揺動レバー81と、この揺動レバー81に設けられたプッシャー部82,83の下方に配設されたコモン接点84,85と、このコモン接点84,85の下方に配設されたステップ接点86,87と、このステップ接点86,87の下方に配設されたワンタッチ接点87,89とを有する揺動操作スイッチを、運転席の前方部に位置するインストルメントパネル等に設けた構造としてもよい。
【0078】
上記揺動操作スイッチからなる昇降スイッチ40は、上記揺動レバー81を運転者が軽い力で操作すると、プッシャー部82,83の一方が上記コモン接点84,85に当接し、このコモン接点84,85がステップ接点86,87の一方に接触して図外の検知回路が導通状態となることにより、上記フロアボード5からなる可動フロア部を予め設定された所定量だけ上昇または下降させることを指示する指示信号を上記制御手段42に出力するように構成されている。また、上記揺動レバー81が強い力で操作されると、プッシャー部82,83が上記コモン接点84,85を介してステップ接点86,87を下方に押圧してこのステップ接点86,87の一方が、上記ワンタッチ接点88,89に接触することにより、上記フロアボード5からなる可動フロア部を、最上限位置まで上昇させ、あるいは最下限位置に下降させることを指示する指示信号が上記昇降スイッチ40から制御手段42に出力されるようになっている。
【0079】
上記構成によれば、運転者の指示操作に応じて予め設定された昇降範囲内で上記フロアパネル5からなる可動フロア部を段階的に上昇させ、あるいは下降させる操作と、上記フロアボード5からなる可動フロア部を、最上限位置にワンタッチで上昇させ、あるいは最下限位置にワンタッチで下降させる操作とを、必要に応じて選択的に実行することができるという利点がある。
【0080】
さらに、ヒンジ部材14により連結された上記前側ボード15と、後側ボード17とからなるフロアボード5により上記可動フロア部を構成するとともに、先端部が前側ボード15の後部下面に枢支された左右一対の駆動リンク31を起伏させることにより、上記フロアボード5を昇降駆動するように構成された上記実施形態に代え、一枚板からなるフロアボードによって上記可動フロア部を構成してもよく、かつ可動フロア部の下面から側方突設された係合ピンを斜め方向に延びるように形成されたガイド溝に沿って摺動させる等により、上記可動フロア部を昇降変位させるように構成してもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、シートクッション1aの前部に設けられた連結軸52をスライド部材48,49の前端部に枢支するとともに、上記シートクッション1aの後部に設けられた係合ピン60を、シートレール45の後方部に設けられたガイド溝58等に沿って摺動させることにより、シートクッション1aの後部を昇降変位させてその座面角度を変化させるように構成した例について説明したが、座面角度を一定に維持しつつ上記シートレール45に沿ってシートクッション1aを前後移動させるように構成してもよい。
【0082】
さらに、上記シートクッション1aの揺動支点となる連結軸をシートクッション1aの後部に設けるとともに、上記シートクッション1aの前部に設けられた係合ピンを、シートレール45の前方部に設けられたガイド溝等に沿って摺動させることにより、シートクッション1aの前部を昇降変位させてその座面角度を変化させるように構成してもよい。このようにシートクッション1aの後部に設けられた連結軸を支点にしてシートクッション1aの前部を昇降変位させることによりその座面角度を変化させる場合には、シートクッション1aの前方移動に応じてシートクッション1aの前部を下降させることにより、低身長者αが運転席1に着座する際にシートクッション1aの傾斜角度を水平状態に近付けるように構成することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る運転姿勢調整装置の実施形態を示す説明図である。
【図2】フロア昇降機構の構成を示す平面図である。
【図3】フロア昇降機構の構成を示す斜視図である。
【図4】フロア昇降機構の構成を示す分解斜視図である。
【図5】フロア昇降機構の構成を示す側面図である。
【図6】フロアボードの後辺部の支持構造を示す正面断面図である。
【図7】フロア昇降機構の構成を示す正面断面図である。
【図8】フロア昇降機構の駆動部の構成を示す斜視図である。
【図9】フロア昇降機構の駆動部の構成を示す断面図である。
【図10】フロア昇降機構の制御部の構成を示すブロック図である。
【図11】フロアボードの上下変位量を示す側面図である。
【図12】シート位置調整機構の構成を示す側面図である。
【図13】シート位置調整機構の構成を示す平面図である。
【図14】シート位置調整機構の構成を示す斜視図である。
【図15】シート位置検出手段の具体的構成を示す斜視図である。
【図16】シート位置検出手段の具体的構成を示す側面断面図である。
【図17】シート位置検出手段の検出状態を示す側面断面図である。
【図18】シートクッションを前方移動させた状態を示す説明図である。
【図19】昇降スイッチの具体的構成を示す説明図である。
【図20】シートクッションの前後位置調整操作を示す説明図である。
【図21】シートクッションの前後位置調整操作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0084】
1 運転席
1a シートクッション
2 シート位置調整機構
5 フロアボード(可動フロア部)
6 フロア昇降機構
35 電動駆動部
42 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席を前後移動させることにより、その少なくともシートクッションの前後位置を調整するシート位置調整機構と、運転席に着座した運転者が操作ペダルを踏み込む際に足の踵部が載置される可動フロア部を、運転者の指示に応じて昇降変位させるフロア昇降機構とを備えた運転姿勢調整装置であって、上記シート位置調整機構により運転席のシートクッションを車体の後方側に移動させる操作が行われ、かつこのシートクッションの前後移動量が予め設定された閾値を超えたときに、上記フロア昇降機構により可動フロア部を自動的に下降させるように制御する制御手段を備えたことを特徴とする運転姿勢調整装置。
【請求項2】
運転席のシートクッションが予め設定された前後基準位置よりも前方側から後方側に移動させる操作が行われた場合に、フロア昇降機構により可動フロア部を自動的に下降させる制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の運転姿勢調整装置。
【請求項3】
上記可動フロア部が予め設定された上下基準位置よりも上方にある状態で、シート位置調整機構により運転席のシートクッションを車体の後方側に移動させる操作が行われた場合に、フロア昇降機構により可動フロア部を自動的に下降させる制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の運転姿勢調整装置。
【請求項4】
上記シート位置調整機構は、運転者の手動操作に応じてシートクッションを前後移動させるように構成されるとともに、上記フロア昇降機構は、可動フロア部を自動的に下降させる電動駆動部を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の運転姿勢調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−213599(P2008−213599A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51913(P2007−51913)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】