説明

運転支援装置

【課題】車両の運転者が所望する施設への立ち寄りが容易な車線を走行させるように運転支援を行うことが可能な運転支援装置を提供する。
【課題手段】運転支援装置1では、運転支援ECU10は、道路に沿って存在する施設への立ち寄りの有無に関する立ち寄り情報を取得し、取得された立ち寄り情報に基づいて、自車両を走行させる車線を選択し、選択された車線を走行させるように自車両の走行を支援する。これにより、片側複数車線からなる道路の走行時において、車両の運転者が立ち寄りを所望する施設への立ち寄りが容易となるような運転支援が実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両における運転を支援するための装置として、出発地から目的地までの経路における交差点において、その交差点に対する進入時及び退出時に走行すべき推奨車線を決定し、決定した車線に関する情報を車両の運転者に提示することにより、当該車線に車両を誘導する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−227970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置では、片側複数車線の道路において交差点付近以外の場所を走行しているときに、推奨される車線への誘導は行われない。走行中の道路に沿って存在する施設に立ち寄ることを運転者が望んでいる場合であっても、その施設に入ることが可能な車線以外の車線を走行した場合には、その施設への立ち寄りが困難となる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、車両の運転者が所望する施設への立ち寄りが容易な車線を走行させるように運転支援を行う運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の運転支援装置は、片側複数車線からなる道路の走行時における運転支援を行う運転支援装置であって、道路に沿って存在する施設への立ち寄りの有無に関する立ち寄り情報を取得する立ち寄り情報取得手段と、立ち寄り情報取得手段により取得された立ち寄り情報に基づいて、自車両を走行させる車線を選択する車線選択手段と、車線選択手段により選択された車線を走行させるように自車両の走行を支援する支援手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の運転支援装置によれば、道路沿いの施設への立ち寄り情報が取得され、取得された立ち寄り情報に基づいて車線が選択され、選択された車線を走行させるような運転支援が行われるので、車両の運転者が立ち寄りを所望する施設への立ち寄りが容易となるような運転支援が実現する。
【0008】
また、好ましくは、本発明の運転支援装置は、自車両の運転者が立ち寄る施設を推定する立ち寄り施設推定手段を備え、立ち寄り情報取得手段は、立ち寄り施設推定手段により推定された施設に関する情報を立ち寄り情報として取得することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、立ち寄り施設が推定され、推定された立ち寄り施設に基づいて車線の選択が行われるので、運転者が立ち寄りを所望する施設を明示的に設定しなくとも、適切な運転支援を行うことが可能となる。特に、例えば運転者の趣味や嗜好、生理情報等の情報を利用して立ち寄りの要否を推定することにより、立ち寄りを行うか否かや立ち寄りたいと思う施設が変化した場合であっても、その変化に対応可能となる。
【0010】
また、本発明の運転支援装置では、立ち寄り情報は、自車両のエネルギー残量に関する情報であることが好ましい。この構成によれば、エネルギーの補給の必要性に応じて適切な運転支援を行うことが可能となる。
【0011】
さらに好ましくは、支援手段は、自車両のエネルギーの種類に応じて支援の方法を変更することを特徴とする。エネルギーの補給を行うことができる単位面積あたりの施設数は、エネルギーの種類により異なるので、エネルギーの種類に応じて、例えばより強く立ち寄りを促すような走行支援を行うことで、エネルギー補給の機会を逸することを防止できる。
【0012】
また、本発明の運転支援装置は、立ち寄り情報に含まれる施設の属性と同じ属性を有する代替施設に関する代替施設情報を取得する代替施設情報取得手段を備え、支援手段は、代替施設情報取得手段により取得された代替施設情報に基づいて支援の方法を変更することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、運転者が立ち寄りを所望する施設と同じ属性を有する代替施設に関する代替施設情報が取得される。代替施設は、運転者が立ち寄りを所望する施設と同様の立ち寄りの目的を達することが可能な施設である。例えば代替施設の有無、代替施設の存在する頻度といった代替施設情報に基づいて運転支援の方法が変更されるので、より適切な運転支援を行うことが可能となる。
【0014】
また、本発明の運転支援装置は、片側複数車線からなる道路の走行時における運転支援を行う運転支援装置であって、自車両の利用目的に関する情報である利用目的情報を取得する利用目的情報取得手段と、利用目的情報取得手段により取得された利用目的情報に基づいて、自車両を走行させる車線を選択する車線選択手段と、車線選択手段により選択された車線を走行させるように自車両の走行を支援する支援手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の運転支援装置によれば、車両の利用目的に関する利用目的情報が取得され、取得された利用目的情報に基づいて車線が選択され、選択された車線を走行させるような運転支援が行われるので、例えば買い物であるのか、通勤であるのかといった利用目的に応じた運転支援を行うことが可能となる。
【0016】
また、本発明の運転支援装置は、片側複数車線からなる道路の走行時における運転支援を行う運転支援装置であって、自車両の運転者の運転方針に関する情報である運転方針情報を取得する運転方針情報取得手段と、運転方針情報取得手段により取得された運転方針情報に基づいて、自車両を走行させる車線を選択する車線選択手段と、車線選択手段により選択された車線を走行させるように自車両の走行を支援する支援手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の運転支援装置によれば、運転者の運転方針に関する運転方針情報が取得され、取得された運転方針情報に基づいて車線が選択され、選択された車線を走行させるような運転支援が行われるので、例えば目的地に到着するまでの時間を重視する、といった運転方針に応じた運転支援を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の運転支援装置によれば、車両の運転者が所望する施設への立ち寄りが容易な車線を走行させるように運転支援を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る運転支援装置の実施形態を示す構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る車両運転支援の処理を示したフローチャートである。
【図3】代替施設情報に基づく運転支援方法の変更の処理を示したフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に係る車両運転支援の処理を示したフローチャートである。
【図5】第3の実施形態に係る車両運転支援の処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明に係る運転支援装置の実施形態について詳細に説明する。なお、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0021】
図1は、本発明に係る運転支援装置の実施形態を示す概略構成図である。運転支援装置1は、片側複数車線からなる道路の走行時における運転支援を行う装置である。より具体的には、例えば、運転支援装置1は、自動運転装置の一部として構成され、自動運転制御において、車両を走行させる車線を選択して、選択された車線に自車両を走行させるように制御する装置である。また、運転支援装置1は、運転者に対して自車両を走行させることを推奨する車線の情報を運転者に通知するカーナビゲーション装置としても構成されることが可能である。なお、「片側複数車線からなる道路」とは、同一進行方向の車線が複数存在する道路である。
【0022】
運転支援装置1は、運転支援ECU(Electronic Control Unit)10、入力装置11、スピーカ12、通信装置13、GPS14、燃料センサ15、血圧センサ16、心拍センサ17、車速センサ18、ヨーレートセンサ19、カメラ20、ミリ波レーダ21、アクセルペダルセンサ22、ブレーキペダルセンサ23、操舵角センサ24、スロットルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26、ステアリングアクチュエータ27及び記憶装置28を備える。記憶装置28は、地図情報DB28a及び運転者特性DB28bを記憶している。以上の構成のうち、運転支援装置1が自動運転装置の一部として構成される場合には、スピーカ12は備えられなくてもよい。一方、運転支援装置1がカーナビゲーション装置として構成される場合には、スロットルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26及びステアリングアクチュエータ27は備えられなくてもよい。なお、図1に示す運転支援装置1の構成は、以下に説明する第1〜3の実施形態で共通である。
【0023】
運転支援ECU10は、CPU、ROM、RAMおよび入出力インターフェース等からなるコンピュータにより構成されており、道路に沿って存在する施設への立ち寄りの有無に関する立ち寄り情報を取得する立ち寄り情報取得手段、立ち寄り情報に基づいて、自車両を走行させる車線を選択する車線選択手段、選択された車線を走行させるように自車両の走行を支援する支援手段、自車両の運転者が立ち寄る施設を推定する立ち寄り施設推定手段、及び立ち寄り情報に含まれる施設の属性と同じ属性を有する代替施設に関する代替施設情報を取得する代替施設情報取得手段として機能するものである。運転支援ECU10が、自車両を走行させる車線を選択し、選択した車線を走行させるための運転支援を行うための処理の詳細については、後述する。
【0024】
入力装置11は、運転者からの種々の情報の入力を受け付け、入力された情報を運転支援ECU10に送出する装置である。例えば、入力装置11は、運転者からの立ち寄り情報の入力を受け付ける。立ち寄り情報は、道路に沿って存在し、運転者が立ち寄ることを望む施設に関する情報である。また、運転支援装置1が自動運転装置の一部として構成される場合には、入力装置11は、自動運転の制御を実施するか否かの指示入力を受け付ける。一方、運転支援装置1がカーナビゲーション装置として構成される場合には、入力装置11は、例えばタッチ式ディスプレイ等により構成され、目的地に関する情報等を受け付ける。
【0025】
スピーカ12は、運転支援装置1がカーナビゲーション装置として構成される場合において、運転者に対して音声による運転支援を行うものである。例えば、スピーカ12は、運転支援ECU10による制御に応じて、自車両を走行させるべき車線に関する情報を運転者に通知するための音声を出力する。
【0026】
通信装置13は、自車両が走行している道路に関する情報を受信し、運転支援ECU10に送出する装置である。道路に関する情報には、例えば渋滞情報、駐車車両情報、車線毎の平均車速情報といった情報が含まれる。また、通信装置13は、現在時刻に関する情報を受信する。
【0027】
GPS14は、自車両の位置情報を取得し、取得した位置情報を運転支援ECU10に送出する装置である。運転支援ECU10は、GPS14から取得した位置情報と、地図情報DBに記憶されている地図情報とに基づいて、自車両の地図上における位置や、進行方向といった情報を得ることができ、さらに、自車両の現在位置近辺に存在する施設に関する情報を抽出することができる。
【0028】
燃料センサ15は、自車両のエネルギー残量を取得し、取得したエネルギー残量に関する情報を運転支援ECU10に送出する。
【0029】
血圧センサ16及び心拍センサ17は、運転者の血圧及び心拍を検出し、検出した血圧及び心拍に関する情報を運転支援ECU10に送出する。運転支援ECU10は、血圧及び心拍に関する情報に基づいて、運転者の生理状態を判断することができ、例えば運転者がトイレへの立ち寄りを望んでいるか否か、といった判断を行うことができる。
【0030】
車速センサ18は、自車両の速度を検出し、検出した速度に関する情報を運転支援ECU10に送出する。
【0031】
ヨーレートセンサ19は、自車両に発生するヨーレートを検出し、検出したヨーレートに関する情報を運転支援ECU10に送出する。
【0032】
カメラ20及びミリ波レーダ21は、自車両の周囲の車両を検出し、検出した車両に関する情報を運転支援ECU10に送出する。運転支援ECU10は、カメラ20及びミリ波レーダ21から取得した情報に基づいて、自車両が走行している道路に停められている駐車車両の状態、自車両が走行している道路の渋滞の状態を取得することができる。
【0033】
アクセルペダルセンサ22は、運転者により操作されるアクセルペダルの開度を検出し、検出したアクセルペダルの開度に関する情報を運転支援ECU10に送出する。運転支援ECU10は、アクセルペダルの開度に関する情報に基づいて、運転者により行われる運転操作の状態を取得することができる。
【0034】
ブレーキペダルセンサ23は、運転者により操作されるブレーキペダルの操作量を検出し、検出したブレーキペダルの操作量に関する情報を運転支援ECU10に送出する。運転支援ECU10は、ブレーキペダルの操作量に関する情報に基づいて、運転者により行われる運転操作の状態を取得することができる。
【0035】
操舵角センサ24は、運転者のステアリング操作による車両の操舵角を検出し、検出した操舵角に関する情報を運転支援ECU10に送出する。運転支援ECU10は、操舵角に関する情報に基づいて、運転者により行われる運転操作の状態を取得することができる。
【0036】
スロットルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26及びステアリングアクチュエータ27は、運転支援装置1が自動運転装置の一部として構成される場合において、運転支援ECU10の制御に基づいて、それぞれスロットル、ブレーキ及びステアリングを制御するものである。
【0037】
記憶装置28は、例えばフラッシュメモリやHDDといった記憶手段により構成され、各種のデータを記憶している。ここでは、記憶装置28は、地図情報DB28a及び運転者特性DB28bを記憶している。
【0038】
地図情報DB28aは、地図データを記憶しているデータベースであり、例えば自車両が走行している道路に沿って存在する施設に関する情報の取得等に用いられる。
【0039】
運転者特性DB28bは、運転者に関する種々の情報を記憶しているデータベースであり、運転者の趣味及び嗜好に関する情報、過去に立ち寄った施設の情報、通勤に用いる通勤ルートの情報等を記憶している。
【0040】
次に、図2を用いて、運転支援装置1により行われる第1の実施形態にかかる車両運転支援の処理内容を説明する。図2は、車両運転支援の処理手順を示したフローチャートである。
【0041】
まず、ステップS20において、運転支援装置1が自動運転装置の一部として構成される場合には、運転支援ECU10は、自動運転中であるか否かを判断する。例えば、入力装置11を介して、運転者により自動運転の制御を実施する旨の指示入力が行われた場合には、自動運転が実施される。
【0042】
一方、運転支援装置1がカーナビゲーション装置として構成される場合には、運転支援ECU10は、所定の目的地までのルート案内中であるか否かを判断する。例えば、入力装置11を介して、運転者により所定の目的地に関する情報と共にルート案内を実施する旨の指示入力が行われた場合には、ルート案内中であると判断される。
【0043】
運転支援ECU10が自動運転中またはルート案内中であると判断した場合には、処理手順はステップS21に進められ、運転支援ECU10が自動運転中またはルート案内中であると判断しなかった場合には、処理手順は終了する。
【0044】
次に、ステップS21において、運転支援ECU10は、立ち寄り情報を取得する。立ち寄り情報は、目的地に向かうルートの途上における道路沿い施設への立ち寄りに関する情報である。立ち寄り情報は、例えば入力装置11を介して運転者により明示的に入力された施設に関する情報から取得することができる。また、運転支援ECU10は、運転者が立ち寄る施設を推定することができる。立ち寄り施設の推定について以下に説明する。
【0045】
立ち寄り施設の推定の第1の例では、運転支援ECU10は、過去に立ち寄った施設の実績に基づいて、立ち寄り施設を推定することができる。過去に立ち寄った施設の実績に関する情報は、運転者特性DB28bに記憶されており、運転支援ECU10は、例えば運転者特性DB28bを参照し、所定頻度以上の回数の立ち寄り実績がある施設を立ち寄り施設として抽出する。
【0046】
立ち寄り施設の推定の第2の例では、運転支援ECU10は、運転者の趣味及び嗜好に関する情報に基づいて、立ち寄り施設を推定することができる。運転者の趣味及び嗜好に関する情報は、運転者特性DB28bに記憶されている。運転支援ECU10は、例えば、運転者特性DB28bを参照し、運転者の趣味に関する情報を抽出し、その趣味に用いる用具を販売する商店を立ち寄り施設として抽出する。
【0047】
立ち寄り施設の推定の第3の例では、運転支援ECU10は、運転者の生体情報に基づいて、立ち寄り施設を推定することができる。運転者の生体情報は、血圧センサ16及び心拍センサ17から取得することができる。運転支援ECU10は、例えば、取得した生体情報に基づいて、トイレ、病院及び薬局といった施設への立ち寄りの要否を判断し、立ち寄りが必要と判断された施設を立ち寄り施設として抽出する。
【0048】
立ち寄り施設の推定の第4の例では、運転支援ECU10は、エネルギー残量に関する情報に基づいて、立ち寄り施設を推定することができる。エネルギー残量に関する情報は、燃料センサ15から取得することができる。運転支援ECU10は、例えば、取得したエネルギー残量に関する情報に基づいて、エネルギー残量が所定量よりも少ない場合に、エネルギー補給が可能な施設を立ち寄り施設として抽出する。
【0049】
運転支援ECU10は、以上のように抽出された立ち寄り施設に関する情報を立ち寄り情報として取得する。
【0050】
続くステップS22において、運転支援ECU10は、ステップS21において取得した立ち寄り情報に含まれる立ち寄り施設が接近したか否かを判定する。具体的には、運転支援ECU10は、現在位置から立ち寄り施設までの距離を取得し、取得した距離が所定値以下である場合には、立ち寄り施設が接近したと判定する。現在位置に関する情報は、例えばGPS14より取得することができる。立ち寄り施設の位置は、例えば、当該立ち寄り施設の属性に基づいて、地図情報DB28aを検索することにより取得することができる。立ち寄り施設が接近したと判定された場合には、処理手順はステップS23に進められ、立ち寄り施設が接近したと判定されなかった場合には、処理手順はステップS24に進められる。
【0051】
ステップS23において、運転支援ECU10は、自車両を走行させる車線として最も左側の車線を選択し、選択された最も左側の車線を走行させるように自車両の走行を支援する。具体的には、運転支援装置1が自動運転装置の一部として構成される場合には、運転支援ECU10は、スロットルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26及びステアリングアクチュエータ27を介してそれぞれスロットル、ブレーキ及びステアリングを制御して、自車両を最も左側の車線に進入させる。一方、運転支援装置1がカーナビゲーション装置として構成される場合には、運転支援ECU10は、スピーカ12からの音声や、入力装置11としても機能するタッチ式ディスプレイの表示により、運転者に対して最も左側の車線を走行するように指示する。
【0052】
また、運転支援ECU10は、ステップS23において行う運転支援の方法を自車両のエネルギーの種類に応じて変更することができる。ガソリン、電気、水素、エタノール、メタノールといった車両のエネルギーの種類に応じて、エネルギーの補給を行うことができる単位面積あたりの施設数は異なる。自車両が使用するエネルギーを補給可能な施設数が一定数より少ない場合には、運転支援ECU10は、その施設への立ち寄りをより強く促すように走行支援を行う。例えば、運転支援装置1がカーナビゲーション装置として構成される場合には、運転者に対する指示の頻度を多くしたり、音声による指示の音量を大きくすることにより、その施設への立ち寄りをより強く促すことができる。これにより、エネルギー補給の機会を逸することを防止することができる。
【0053】
なお、ステップS23において、最も左側の車線を走行するように走行を支援するのは、日本のように左側通行の場合であり、右側通行の国においては、最も右側の車線を走行するように走行を支援する。また、一方通行の複数車線の道路においては、立ち寄り施設が存在する側の車線を走行するように走行を支援する。また、駐車車両に起因して最も左側の車線を走行することが困難な場合には、運転支援ECU10は、左から2番目の車線を走行するように走行を支援する。駐車車両の有無は、カメラ20やミリ波レーダ21により取得することができる。
【0054】
一方、ステップS24において、運転支援ECU10は、走行させる車線として最も平均速度が速い車線を選択し、選択された最も平均速度が速い車線を走行させるように自車両の走行を支援する。なお、右折または左折する交差点が近い場合には、ステップS24において、最も平均速度が速い車線を選択することに代えて、右折または左折のための車線を選択することとしてもよい。走行の支援は、ステップS23と同様に、スロットルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26及びステアリングアクチュエータ27を介して、またはスピーカ12及びタッチ式ディスプレイを介して行われる。こうして、車両運転支援の処理手順は終了する。
【0055】
次に、図3を用いて、立ち寄り施設の代替施設に関する代替施設情報に基づく運転支援について説明する。図3は、代替施設情報に基づく運転支援方法の変更の処理を示したフローチャートである。図3に示す処理は、例えば図2におけるステップS22とステップS23との間に行われる。
【0056】
まず、ステップS30において、運転支援ECU10は、立ち寄り情報に含まれる立ち寄り施設の代替施設の情報を取得する。代替施設は、立ち寄り施設と同じ属性を有する施設である。施設の属性は、例えば、商店、病院、トイレ、エネルギー補給施設といった施設の種類に関する情報や、商店において扱われている商品の種類の情報といったものを含む。地図情報DB28aに記憶されている各種の施設の情報には、予め属性が対応付けられている。ステップS30では、運転支援ECU10は、代替施設の有無、代替施設の位置に関する情報を取得する。
【0057】
続くステップS31において、運転支援ECU10は、ステップS30において取得した代替施設の位置に関する情報に基づいて、当該代替施設までの距離Lを算出する。
【0058】
ステップS32において、運転支援ECU10は、ステップS31において算出された距離Lが予め設定した閾値L1より大きいか否かを判定する。距離Lが閾値L1より大きい場合には、処理手順はステップS33に進められ、距離Lが閾値L1より大きくない場合には、処理手順は終了する。
【0059】
ステップS33において、運転支援ECU10は、立ち寄り施設への立ち寄りをより強く促すように運転支援の方法を変更する。距離Lが閾値L1より大きい場合には、ステップS21において取得した立ち寄り施設情報に含まれる立ち寄り施設に立ち寄らないと、同じ目的を達成することのできる代替施設に到達するまでの距離が遠いことを意味する。従って、この場合には、立ち寄り施設への立ち寄りを強く促すことが好ましい。例えば、運転支援装置1がカーナビゲーション装置として構成される場合には、運転者に対する指示の頻度を多くしたり、音声による指示の音量を大きくすることにより、その施設への立ち寄りをより強く促すことができる。また、運転支援装置1が自動運転装置の一部として構成される場合には、運転者の操作に関わらず強制的な車線の変更を行うことにより、その施設への立ち寄りをより強く促すことができる。こうして、代替施設情報に基づく運転支援方法の変更の処理手順は終了する。
【0060】
次に、図4を用いて、運転支援装置1により行われる第2の実施形態にかかる車両運転支援の処理内容を説明する。図4は、車両運転支援の処理手順を示したフローチャートである。第2の実施形態では、運転支援ECU10は、第1の実施形態における各手段に加えて、自車両の利用目的に関する情報である利用目的情報を取得する利用目的情報取得手段として機能する。
【0061】
ステップS40において行われる処理は、図2におけるステップS20の処理と同様である。
【0062】
ステップS41において、運転支援ECU10は、運転者の車両の利用目的を推定し、推定された利用目的に関する情報を利用目的情報として取得する。ここで、利用目的は、例えば買い物、通勤といったものを指す。
【0063】
この利用目的は、様々な方法により推定することができる。例えば、運転支援ECU10は、現在走行中のルートをGPS14及び地図情報DB28aから取得し、取得した現在走行中のルートが通勤経路であるのか、商業地の中であるのかといったことを判断して、利用目的を推定することができる。
【0064】
また、運転支援ECU10は、車速センサ18、ヨーレートセンサ19、アクセルペダルセンサ22、ブレーキペダルセンサ23及び操舵角センサ24から取得される加減速や操舵の状態から利用目的を推定することができる。例えば、加減速や操舵がスムーズな場合や、速度が速い場合には、利用目的は通勤であると推定される。また、加減速や操舵が不規則である場合には、例えば運転者が立ち寄り先を迷っていると考えられるので、利用目的は買い物であると推定される。
【0065】
さらに、通信装置13等を介して取得される現在時刻が通勤時間帯に該当する場合には、運転支援ECU10は、利用目的を通勤であると推定することができる。
【0066】
なお、ステップS41において、利用目的は、運転支援ECU10により推定されることとしたが、運転者により入力装置11を介して入力されることとしてもよい。
【0067】
続くステップS42において、ステップS41において取得された利用目的が買い物である場合には、処理手順はステップS43に進められ、利用目的が買い物でない場合には、処理手順はステップS44に進められる。ステップS43及びステップS44における処理の内容は、図2におけるステップS23及びステップS24の処理と同様である。即ち、車両の利用目的が買い物といった、いずれかの施設への立ち寄りを伴うものである場合には、車両を立ち寄りが容易な車線を走行させることが好ましいので、ステップS43に示す処理が行われる。
【0068】
なお、ステップS42とステップS43との間において、図2に示すステップS21〜S22に示す処理手順が行われることとしてもよい。この場合には、車両の利用目的が買い物である場合において、その買い物のために立ち寄る施設を推定して取得し(S21)、取得された立ち寄り施設に接近したか否かにより(S22)、適切な車線への運転支援を実施することができる。
【0069】
また、ステップS44の処理の後に、図2に示すステップS21〜S23に示す処理手順が行われることとしてもよい。この場合には、利用目的が例えば通勤と判定され(S42)、平均速度が速い車線を走行していた場合であっても、運転支援ECU10が立ち寄り施設を取得した場合には(S21)、その施設への立ち寄りが容易となるように運転支援が行われる(S22、S23)。こうして、第2の実施形態にかかる車両運転支援の処理手順は終了する。
【0070】
次に、図5を用いて、運転支援装置1により行われる第3の実施形態にかかる車両運転支援の処理内容を説明する。図5は、第3の実施形態に係る車両運転支援の処理手順を示したフローチャートである。第3の実施形態では、運転支援ECU10は、第1及び第2の実施形態における各手段に加えて、自車両の運転者の運転方針に関する情報である運転方針情報を取得する運転方針情報取得手段として機能する。
【0071】
ステップS50において行われる処理は、図2におけるステップS20の処理と同様である。
【0072】
ステップS51において、運転支援ECU10は、運転者の運転方針を推定し、推定された運転方針に関する情報を運転方針情報として取得する。ここで、運転方針は、例えば目的地に到着するまでの所要時間を優先するか否かといったものを指す。
【0073】
この運転方針は、様々な方法により推定することができる。例えば、運転支援ECU10は、車速センサ18、ヨーレートセンサ19、アクセルペダルセンサ22、ブレーキペダルセンサ23及び操舵角センサ24から取得される加減速や操舵の状態から運転方針を推定することができる。例えば、加減速や操舵がスムーズな場合や、速度が速い場合には、運転方針は、目的地に到着するまでの所要時間を優先していると推定される。
【0074】
また、カーナビゲーション装置(図示せず)に対して設定した目的地に対して、最短経路を設定している場合には、運転方針は、目的地に到着するまでの所要時間を重視していると推定され、最短経路を設定していない場合には、目的地に到着するまでの所要時間を優先していないと推定される。
【0075】
なお、ステップS51において、運転方針は、運転支援ECU10により推定されることとしたが、運転者により入力装置11を介して入力されることとしてもよい。
【0076】
続くステップS52において、ステップS51において取得された運転方針が目的地までの所要時間を優先するものでない場合には、処理手順はステップS53に進められ、運転方針が目的地までの所要時間を優先するものである場合には、処理手順はステップS54に進められる。ステップS53及びステップS54における処理の内容は、図2におけるステップS23及びステップS24の処理と同様である。即ち、運転方針が目的地までの所要時間を優先するものでない場合には、いずれかの施設への立ち寄りを行うことが想定されるので、車両を立ち寄りが容易な車線を走行させることが好ましい。このため、ステップS53に示す処理が行われる。こうして、第3の実施形態にかかる車両運転支援の処理手順は終了する。
【0077】
なお、上述した実施形態は、本発明に係る運転支援装置の一例を説明したものであり、本発明に係る運転支援装置は、本実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る運転支援装置は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る運転支援装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0078】
以上のように、本実施形態の運転支援装置1にあっては、運転支援ECU10により、道路沿いの施設への立ち寄り情報が取得され、取得された立ち寄り情報に基づいて車線が選択され、選択された車線を走行させるような運転支援が行われるので、車両の運転者が立ち寄りを所望する施設への立ち寄りが容易となるような運転支援が実現する。
【0079】
また、運転支援ECU10により、立ち寄り施設が推定され、推定された立ち寄り施設に基づいて車線の選択が行われるので、運転者が立ち寄りを所望する施設を明示的に設定しなくとも、適切な運転支援を行うことが可能となる。特に、運転者の趣味や嗜好、生理情報等を利用して立ち寄りの要否を推定することにより、立ち寄りを行うか否かや立ち寄りたいと思う施設が変化した場合であっても、その変化に対応可能となる。
【0080】
また、立ち寄り情報として、自車両のエネルギー残量に関する情報を用いた場合には、エネルギーの補給の必要性に応じて適切な運転支援を行うことが可能となる。
【0081】
また、運転支援ECU10は、自車両のエネルギーの種類に応じて支援の方法を変更するので、エネルギーの種類に応じて、例えばより強く立ち寄りを促すような走行支援を行うことができる。これにより、エネルギー補給の機会を逸することを防止できる。
【0082】
さらに、運転支援ECU10は、運転者が立ち寄りを所望する施設と同様の立ち寄りの目的を達することが可能な施設である代替施設に関する代替施設情報を取得し、例えば代替施設の有無、代替施設の存在する頻度といった代替施設情報に基づいて運転支援の方法を変更する。これにより、より適切な運転支援を行うことが可能となる。
【0083】
また、本実施形態の運転支援装置1にあっては、運転支援ECU10により、車両の利用目的に関する利用目的情報が取得され、取得された利用目的情報に基づいて車線が選択され、選択された車線を走行させるような運転支援が行われるので、例えば買い物であるのか、通勤であるのかといった利用目的に応じた運転支援を行うことが可能となる。
【0084】
また、本実施形態の運転支援装置1にあっては、運転支援ECU10により、運転者の運転方針に関する運転方針情報が取得され、取得された運転方針情報に基づいて車線が選択され、選択された車線を走行させるような運転支援が行われるので、例えば目的地に到着するまでの時間を重視する、といった運転方針に応じた運転支援を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0085】
1…運転支援装置、10…運転支援ECU、11…入力装置、12…スピーカ、13…通信装置、14…GPS、15…燃料センサ、16…血圧センサ、17…心拍センサ、18…車速センサ、19…ヨーレートセンサ、20…カメラ、21…ミリ波レーダ、22…アクセルペダルセンサ、23…ブレーキペダルセンサ、24…操舵角センサ、25…スロットルアクチュエータ、26…ブレーキアクチュエータ、27…ステアリングアクチュエータ、28…記憶装置、28a…地図情報DB、28b…運転者特性DB。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片側複数車線からなる道路の走行時における運転支援を行う運転支援装置であって、
前記道路に沿って存在する施設への立ち寄りの有無に関する立ち寄り情報を取得する立ち寄り情報取得手段と、
前記立ち寄り情報取得手段により取得された前記立ち寄り情報に基づいて、自車両を走行させる車線を選択する車線選択手段と、
前記車線選択手段により選択された前記車線を走行させるように自車両の走行を支援する支援手段と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記自車両の運転者が立ち寄る前記施設を推定する立ち寄り施設推定手段を備え、
前記立ち寄り情報取得手段は、前記立ち寄り施設推定手段により推定された前記施設に関する情報を立ち寄り情報として取得すること
を特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記立ち寄り情報は、前記自車両のエネルギー残量に関する情報であることを特徴とする請求項1または2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記支援手段は、前記自車両のエネルギーの種類に応じて前記支援の方法を変更することを特徴とする請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記立ち寄り情報に含まれる前記施設の属性と同じ属性を有する代替施設に関する代替施設情報を取得する代替施設情報取得手段を備え、
前記支援手段は、前記代替施設情報取得手段により取得された代替施設情報に基づいて前記支援の方法を変更すること
を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項6】
片側複数車線からなる道路の走行時における運転支援を行う運転支援装置であって、
自車両の利用目的に関する情報である利用目的情報を取得する利用目的情報取得手段と、
前記利用目的情報取得手段により取得された前記利用目的情報に基づいて、自車両を走行させる車線を選択する車線選択手段と、
前記車線選択手段により選択された前記車線を走行させるように自車両の走行を支援する支援手段と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項7】
片側複数車線からなる道路の走行時における運転支援を行う運転支援装置であって、
自車両の運転者の運転方針に関する情報である運転方針情報を取得する運転方針情報取得手段と、
前記運転方針情報取得手段により取得された前記運転方針情報に基づいて、自車両を走行させる車線を選択する車線選択手段と、
前記車線選択手段により選択された前記車線を走行させるように自車両の走行を支援する支援手段と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−210405(P2010−210405A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56691(P2009−56691)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】