説明

運転支援装置

【課題】修正操舵を抑えつつ車線に沿った安定した走行を可能とする。
【解決手段】ステアリングバイワイヤ方式の操舵装置を備える。運転者が操舵する操作子の操舵量の変化に伴い周期的に付与操舵反力を操作子に入力し、一方向に向けた連続する操舵入力中に発生した上記付与操舵反力の数を検出する。そして、本発明は、検出した付与操舵反力の数に応じて、車線に沿って走行するための走行経路を選択し、選択した走行経路に沿って走行するように転舵輪4の転舵を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線に沿った走行を支援するための運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の装置は、運転者の意図する走行ラインと実際の走行ラインとのずれからくる違和感を低減しつつ、走行車線逸脱を有効に防止することが可能な装置である。この特許文献1に記載の装置では、車線維持支援の制御と同期をとって、仮想反発力に応じたステアリングの操舵反力の変動をステアリングホイールに入力することによって、車線維持支援の制御を行ったことを運転者に報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−234560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、仮想反発力は車線に近づくほど漸増的に増えることで、運転者の性別や年齢、体調などによっては運転者は不要な操舵入力を行ってしまう可能性がある。これに対し、運転者は、目的とする走行ラインに沿って走行しようとして修正操舵を増やす必要が生じる場合がある。
本発明は、上記のような点に着目したもので、修正操舵を抑えつつ車線に沿った安定した走行を可能とする運転支援装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、ステアリングバイワイヤ方式の操舵装置を備えた運転支援装置において、運転者が操舵する操作子の操舵量の変化に伴い周期的に付与操舵反力を操作子に入力する構成として、一方向に向けた連続する操舵入力中に発生した上記付与操舵反力の数を検出する。そして、本発明は、検出した付与操舵反力の数に応じて、車線に沿って走行するための走行経路を選択し、選択した走行経路に沿って走行するように転舵輪の転舵を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、運転者の操舵入力によって操舵量が変化すると、その操舵量の変化に沿って付与操舵反力を周期的に付加する。そして、本発明では、運転者の操舵入力を、付与操舵反力の検出数としてデジタルに検出し、検出した付与操舵反力の数によって選択された走行経路に沿って走行するように転舵制御する。
この結果、運転者は走行経路からのずれを微調整するために操作子を細かく修正操舵することをしなくても、車線に沿った安定した走行を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係る全体構造を説明するための図である。
【図2】センサ、コントローラ、アクチュエータにおけるシステム全体を説明するための図である。
【図3】反力装置用コントローラ、転舵装置用コントローラ、操舵制御コントローラ、走行制御コントローラの関係について説明するための図である。
【図4】ベース反力生成部の処理を説明するための図である。
【図5】付与操舵反力の生成部の処理を説明するための図である。
【図6】合計反力の生成部の処理を説明するための図である。
【図7】操舵角の自動調整部の処理を説明するための図である。
【図8】走行経路変更方式部の処理を説明するための図である。
【図9】付与操舵反力入力読取り部の処理を説明するための図である。
【図10】経路変更にかかわる時定数の変更部の処理を説明するための図である。
【図11】経路変更中の付与操舵反力入力処理部の処理を説明するための図である。
【図12】ステアリングホイールの中立位置の自動復帰部の処理説明するための図である。
【図13】現在走行経路予測制御部の処理を説明するための図である。
【図14】付与反力走行経路予測制御部の処理を説明するための図である。
【図15】広角カメラ(魚眼レンズ付カメラ)によって複数の車線を撮像し、撮像結果に基づき複数の走行予想軌跡を同時に算出する機能を説明するための図である。
【図16】操舵制御コントローラの機能を説明するための図である。
【図17】付与操舵反力入力の数(≒操舵角速度)、方向指示器16にON/OFFなどの状態に応じて走行経路を切り替えることを説明する図である。
【図18】経路変更後のステアリングホイールの中立位置を説明する図であり、(a)は直線路の場合を、(b)は曲路の場合を例示している。
【図19】ステアリングホイールの中立位置の自動復帰について説明する図である。
【図20】経路変更中の付与操舵反力入力処理について説明する図である。
【図21】経路変更にかかわる時定数の変更に関する機能について説明する図である。
【図22】操作入力結果に基づき車両を制御する方法について説明する。
【図23】走行経路を変更する際の制御のモードについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る運転支援装置を搭載した車両を説明する概念図である。
本実施形態の運転支援装置は、運転者が操舵する操作子としてのステアリングホイール1と転舵輪4の転舵とが機械的に非接続状態のステアリングバイワイヤ方式の操舵装置を備えた運転支援装置である。運転者が操舵する操作子は、ステアリングホイールである必要はなく、レバー状の操作子であっても良い。以下の例では、操作子としてステアリングホイール1を例に挙げて説明する。
【0009】
運転支援装置は、図1に示すように、操舵反力装置3と転舵装置7とを有する操舵装置を備える。その操舵反力装置3と転舵装置7とは、初期状態(通常状態)ではトルク伝達が遮断された非接続状態となっている。なお、ステアリングの故障時には、不図示のクラッチ装置によって操舵反力装置3と転舵装置7と間のトルク伝達が可能な状態となる。
上記操舵反力装置3は、操舵反力と操舵角を制御するための装置である。上記操舵反力装置3は、ステアリングホイール1と、ステアリングコラムシャフト8と、該ステアリングコラムシャフト8に対し減速ギヤ機構を介して設けられた操舵反力用アクチュエータ2と、を有する。
【0010】
ステアリングホイール1は、運転者が操舵することで操舵入力が行われると共に、操舵反力が伝達される操作子である。ステアリングコラムシャフト8は、ステアリングホイール1に連結して、ステアリングホイール1の操舵に応じた量だけ回転する。
操舵反力用アクチュエータ2は、ステアリングコラムシャフト8を介してステアリングホイール1に操舵反力を入力するアクチュエータである。操舵反力用アクチュエータ2は、例えばモータから構成されて、上記ステアリングコラムシャフト8の回転軸を連結する。操舵反力アクチュエータに対し操舵反力用モータ角センサ9が付設されている。操舵反力用モータ角センサ9は、操舵反力アクチュエータの回転数を検出する。
【0011】
また転舵装置7は、転舵輪4を転舵させるための装置である。転舵装置7は、転舵用アクチュエータ6と、該転舵用アクチュエータ6により駆動されるステアリングギヤ機構14と、該ステアリングギヤ機構14の両端部に設けられた動作変換機構としてのタイロッド15とを備える。
転舵用アクチュエータ6は、操舵反力用アクチュエータ2と同様に、クラッチ付きのモータである。その転舵用アクチュエータ6には、転舵用モータ角センサ17が付設されている。転舵用モータ角センサ17は、転舵用アクチュエータ6の回転軸を検出することで、転舵角(車両前後方向に対する転舵輪4の傾き)を検出する。
【0012】
ステアリングギヤ機構14は、転舵用アクチュエータ6からの回転駆動力に応じて左右に変位し、その変位を、タイロッド15を介して左右の転舵輪4に伝達する構成となっている。
また、符号11は、車速センサ11であって、車速を検出する。
符号12は、車両前方を撮像するカメラであって、車両の前方風景を撮像する。カメラ12は、例えば広角レンズを備えることで、車両前方に位置する複数の車線の白線情報を検出可能となっている。
【0013】
符号11は、横加速度センサであって、横方向の加速度を検出する。
符号14は、方向指示器であって、運転者の車線変更の意図を検出する装置である。
符号5は、運転者が操作可能な各種のスイッチを表す。本実施形態に関わるスイッチ5としては、付与操舵反力付加制御の有無のスイッチ、ステアリングホイール零点維持制御の有無のスイッチ、現在の走行経路を記憶するかのスイッチなどがある。
【0014】
符号19は、後述の転舵装置用コントローラ36と操舵反力装置用コントローラ35をつなぐ双方向通信線である。
また本装置の制御部として、反力制御装置10と転舵制御装置18とを備える。
反力制御装置10は、操舵反力アクチュエータ6を制御することで、ステアリングホイール1に付加する操舵反力を制御する装置である。その反力制御装置10は、操舵制御コントローラ20と操舵反力装置用コントローラ35とを備える。この2つのコントロールは排他的に作動する。
【0015】
操舵制御コントローラ20は、操舵量に応じた基本となる操舵反力であるベース反力に対し、操舵変化に沿って生成する付与操舵反力を操舵量の変化に応じて重畳した操舵反力をステアリングホールに入力する反力制御を行うコントロールである。また、付与操舵反力の状態に応じて転舵制御を行うためのコントローラである。
操舵反力装置用コントローラ35は、運転者に操舵量に応じた基本の操舵反力分の反力をステアリングホイール1に入力するように操舵アクチュエータを制御するためのコントローラである。このために、操舵反力装置用コントローラ35は、操舵角に応じた制御電流を反力トルクの指令値として出力する。
【0016】
具体的には、操舵反力装置用コントローラ35には、操舵反力用モータ角センサ9と、車速センサ11と、横加速度センサ13と、から入力情報が供給される。操舵反力装置用コントローラ35には、車速Vや横加速度G等から路面μを推定する路面μ推定手段(路面摩擦係数推定手段)と、操舵入力相当分トルクTsと転舵出力相当分トルクTfと外乱相当分トルクToとを加えたモータ制御指令値Tmにリミッタ処理を施すことでモータ制御指令値Tmsを算出するモータ制御指令値算出手段と、モータ制御指令値Tmsを操舵反力用アクチュエータ2の指令電流に変換するモータ駆動回路によるモータ駆動手段と、を有する。これらの基本構成は、公知の構成を採用すればよい。
【0017】
また転舵制御装置18は、走行制御コントローラ21と転舵装置用コントローラ36とを備える。この2つのコントロールは排他的に作動する。
走行制御コントローラ21は、操舵反力装置3からの入力、及び、前方撮像カメラ12からの入力に応じて転舵輪4を制御するためのコントローラである。
転舵装置用コントローラ36は、モデルマッチング補償器、外乱補償器、差分器、電流リミッタを設けたコントローラからなる。すなわち、上記転舵装置用コントローラ36は、ロバスト補償器による外乱推定手段と、モデルマッチング補償器と電流リミッタによりモータ制御指令値を算出するモータ制御指令値算出手段と、モータ制御指令値を転舵用アクチュエータ6の指令電流に変換するモータ駆動回路によるモータ駆動手段と、を有する。
【0018】
上記操舵反力装置用コントローラ35及び転舵装置用コントローラ36の処理について、補足説明する。なお、この操舵反力装置用コントローラ35及び転舵装置用コントローラ36の処理は、例えば特開平2005−96725号公報などに記載される、公知の処理方式を採用すればよい。
上記操舵反力装置用コントローラ35は、転舵装置用コントローラ36からの外乱推定値のみを転舵側から操舵反力側にフィードバックし、転舵用アクチュエータ6からの実転舵角度と、操舵反力用アクチュエータ2からの実操舵角度と、を入力する。そして、指令電流を操舵反力用アクチュエータ2に対し出力すると共に、目標転舵角度を転舵制御装置18に出力する。
【0019】
上記操舵反力用アクチュエータ2は、反力制御装置10からの指令電流と、運転者からの操舵力を入力する。そして、実操舵角度を反力制御装置10に出力する。
上記転舵装置用コントローラ36は、反力制御装置10からの目標転舵角度と、転舵用アクチュエータ6からの実転舵角度を入力する。そして、指令電流を転舵用アクチュエータ6に出力すると共に、外乱推定値を反力制御装置10に出力する。
上記転舵用アクチュエータ6は、転舵制御装置18からの指令電流を入力する。そして、反力制御装置10と転舵制御装置18に対し実転舵角度を出力する。
【0020】
操舵反力装置用コントローラ35は、操舵入力相当分トルクTsの算出部と、転舵出力相当分トルクTfの算出部と、外乱相当分トルクToの算出部と、第1リミッタ処理部と、第2リミッタ処理部と、を有して構成されている。上記操舵入力相当分トルクTsの算出部は、実操舵角度θsにゲインKaを乗じてトルクTaを得るゲイン設定器と、実操舵角度θsを時間微分する微分器と、実操舵角度θsの微分値にゲインKasを乗じてトルクTasを得るゲイン設定器と、トルクTaとトルクTasとを加算して操舵入力相当分トルクTsを算出する加算器と、を有する。上記転舵出力相当分トルクTfの算出部は、目標転舵角度θtaと実転舵角度θtとの転舵角度差分θtsをとる差分器と、転舵角度差分θtsにゲインKfaを乗じてトルクTfaを得るゲイン設定器と、転舵角度差分θtsを時間微分する微分器と、転舵角度差分θtsの微分値にゲインKfasを乗じてトルクTfasを得るゲイン設定器と、トルクTfaとトルクTfasとを加算して転舵出力相当分トルクTfを算出する加算器と、を有する。上記外乱相当分トルクToの算出部は、転舵側外乱推定値TgにゲインKoを乗じて外乱相当分トルクToを算出するゲイン設定器を有する。上記第1リミッタ処理部は、操舵入力相当分トルクTsにリミッタ処理を施して操舵入力相当分トルクリミッタ値Ts(lmit)を作成する。上記第2リミッタ処理部は、加算器により転舵出力相当分トルクTfと外乱相当分トルクToとを加算し、加算器により加算値(Tf+To)に操舵入力相当分トルクリミッタ値Ts(lmit)を加算した値(Ts+Tf+To)にリミッタ処理を施してモータ制御指令値Tmsを算出する。
【0021】
また、ロバストモデルマッチング手法を採用した転舵角制御を採用する。「ロバストモデルマッチング手法」とは、制御対象である車両の動特性を規範モデル(例えば、ヨーレートと横加速度の操舵応答特性)にて予め設定し、モデル化誤差や外乱の影響を最小限に抑制しながら、予め設定された規範モデルに一致するように制御する手法をいう。
【0022】
まず、転舵装置用コントローラ36は、例えばモデルマッチング補償器と、ロバスト補償器(外乱補償器)と、差分器と、電流リミッタと、を有して構成されている。上記モデルマッチング補償器は、指令モータ角と実モータ角を入力し、予め与えた所望の応答特性に一致させるモータ指令電流を出力するフィードフォワード補償器である。上記ロバスト補償器は、制御対象への入力である指令電流と制御対象からの出力である実モータ角を取り込み、モデル化誤差を含む制御阻害要因を外乱として推定した外乱推定値を出力する外乱補償器である。なお、ロバスト補償器からの外乱推定値は、上記のように、操舵反力制御に使用される。上記差分器は、モデルマッチング補償器からのモータ指令電流からロバスト補償器からの外乱推定値を差し引き、外乱をキャンセルした指令電流を作り出す。上記電流リミッタは、差分器からの指令電流がリミット電流以下の場合は指令電流をそのまま制御対象の転舵用アクチュエータ6に出力し、リミッタ電流を超える場合にはリミッタ電流を制御対象の転舵用アクチュエータ6に出力する。
【0023】
次に、本発明に基づく運転支援の処理をより具体的に説明する。
図2は、本実施形態の運転支援装置の操舵反力制御系および転舵角制御系の全体構成を示す図である。
上記操舵制御コントローラ20は、ベース反力生成部23,付与反力生成部24,合計反力生成部25、操舵角自動調整部26、走行経路変更方式部27、付与操舵反力入力読取り部28、経路変更にかかわる時定数の変更部29、経路変更中の付与操舵反力入力処理部30、ステアリングホイールの中立位置の自動復帰部31を備える。
上記操舵制御コントローラ20は、現在走行経路予測制御部34と付与反力走行経路予測制御部32とを備える。
図3は、上記操舵制御コントローラ20及び走行制御コントローラ21の処理例を示すフローチャートである。
【0024】
次に、上記操舵制御コントローラ20及び走行制御コントローラ21に関わる処理を、図3を参照しつつ説明する。
まず初期モード設定部22が、モードを1に設定して、ベース反力生成部23の処理及び現在走行経路予測制御部34の処理に移行する。
ここで、モードは1〜3であって、各モードは次の通りである。
モード1:手動操作(操舵角に応じた転舵角に制御)
モード2:レーン内の経路変更支援
モード3:レーン外に出るための車線変更支援
【0025】
ベース反力生成部23は、操舵量に基づく基本の操舵反力としてのベース反力を生成する。また、付与操舵反力を付加するかどうかを判断する処理を行う。その後、付与反力生成部24の処理若しくは付与操舵反力入力読取り部28の処理に移行する。
付与反力生成部24は、操舵量変化に沿って周期的に発生させる付与操舵反力を生成し、ベース反力に付加する条件を決める処理を行う。その後、合計反力生成部25の処理に移行する。
【0026】
合計反力生成部25は、ベース反力に付与操舵反力を重畳する処理を行う。その後、操舵角自動調整部26の処理に移行する。
操舵角自動調整部26は、転舵角に応じた操舵角にステアリングホイール1を回転させるかを判断し、判断結果に基づきステアリングホイール1の回転を制御する。その後、走行経路変更方式部27の処理に移行する。
走行経路変更方式部27は、経路変更が現在の車線内か、白線を跨いで隣の車線に車線変更するかによって制御方式を変更する。その後、付与操舵反力入力読取り部28の処理若しくは操舵反力装置用コントローラ35の処理に移行する。
【0027】
付与操舵反力入力読取り部28は、運転者の操舵状態を読み取る。その後、経路変更にかかわる時定数の変更部29若しくはベース反力生成部23に移行する。
経路変更にかかわる時定数の変更部29は、運転者の操作入力を完了するまでの時間を調整する。その後、経路変更中の付与操舵反力入力処理部30に移行する。
経路変更中の付与操舵反力入力処理部30は、運転者が入力した操作を完了する前に、運転者が操作入力をキャンセルしたときの処理と運転者が追加で操作入力したときの処理を行う。その後、ステアリングホイール1の中立位置の自動復帰部31,付与反力走行経路予測制御部32,ベース反力生成部23に移行する。
【0028】
ステアリングホイール1の中立位置の自動復帰部31は、運転者が操作した後、中立位置からずれたステアリングホイール1を中立位置に自動で戻す処理を行う。
経路変更中の付与操舵反力入力処理部30は、運転者が入力した操作を完了する前に、運転者が操作入力をキャンセルしたときの処理と運転者が追加で操作入力したときの処理を行う。
【0029】
現在走行経路予測制御部34は、決められた走行経路を自動で走行する処理を行う。
付与反力走行経路予測制御部32は、付与操舵反力の情報に基づき走行経路を決定し走行する処理を行う。
なお、上記操舵制御コントローラ20は、上述のような、モデルマッチング補償器、外乱補償器、差分器、電流リミッタを設けた転舵制御の装置であり、転舵輪4を制御する。
【0030】
上記ベース反力生成部23の処理を、図4を参照して説明する。
ベース反力生成部23は、まずステップS37にて、付与操舵反力制御FLGがONになっているか判定する。付与操舵反力制御FLGがONで無い場合には、付与操舵反力制御を終了して、通常の反力制御となると共に、通常の操舵反力制御及び操舵量に応じた転舵制御に戻る。一方付与操舵反力制御FLGがONの場合には、ステップS38に移行する。
【0031】
付与操舵反力制御を実施するか否かは、運転席の周りに設置されている付与操舵反力制御スイッチ(不図示)によって設定される。すなわち、運転者による付与操舵反力制御スイッチの操作によって、付与操舵反力制御FLGが「ON」に設定される。
ステップS38では、一方向に向けた一連の操舵入力中に発生した付与操舵反力の数が2以下か否かを判定する。付与操舵反力の数が2以下の場合にはステップS39に移行する、付与操舵反力の数が2より大きい場合にはステップS66に移行する。
【0032】
ステップS39では、モードを2に設定して、走行制御コントローラ21にモードの情報を送る(ステップS88へ)と共に、ステップS40に移行する。
ステップS40では、付与操舵反力を付加する前に、車両・操舵状態からベースとなる操舵反力を算出するにあたり、必要なパラメータとして、車速、横G、転舵角、転舵角速度の情報を入力する。その後、ステップS41に移行する。
【0033】
ステップS41では、車両・操舵状態からベースとなる操舵反力を算出する。ベースとなる操舵反力は、下式のように、転舵角と転舵角のゲインの積と、転舵角速度と転舵角速度のゲインの積との和に、車速と横Gのゲインを乗算することによって求める。その後、付与反力生成部24のステップS42に移行する。
ベースとなる操舵反力 = k1×転舵角+k2×転舵速度×kv×kg
【0034】
次に、付与反力生成部24の処理を、図5を参照して説明する。
付与反力生成部24は、まずステップS42にて、付与操舵反力の算出に必要な初期パラメータを読み込む。まず、付与操舵反力のデフォルト波形設定を記録部から読み込む。この波形の周期と振幅は、後の処理で必要に応じて更新する。周期と振幅をかえるために、ステップS82の処理による前方撮像カメラ12の映像の画像処理情報に基づき、一車線内に設定する、予め設定された走行経路の数を求める。また、車両信号(車速・横G・転舵速度)を読み込む。その後、ステップS43に移行する。
【0035】
ステップS43では、前方撮像カメラ12から求めた各車線毎に、車線幅を予め設定した走行経路の数で割り、付与操舵反力を付与する間隔である単位操舵角の角度刻みを計算する。すなわち、単位操舵角の角度刻みは、車線幅に応じて変更し、車線幅が広いほど大きく設定する。その後、付与操舵反力波形の初期パラメータが計算結果よりも長い場合は短く、短い場合は長くなる様に周期を変更する。その後、ステップS44に移行する。付与操舵反力を付与する操舵角の間隔は一定であっても良い。
ステップS44では、付与操舵反力を運転者がしっかりと認識可能なように、車速・横G・転舵速度のいずれかが、予め設定した各設定値よりも大きい場合は、付与操舵反力の振幅が大きくなる様に振幅を変更する。その後、合計反力生成部25のステップS45に移行する。
【0036】
次に、合計反力生成部25の処理を、図6を参照して説明する。
合計反力生成部25では、まずステップS45にて、ベース反力と付与操舵反力の和を求める。求めた反力の和は、モータに指令値として送るため電流指令値に変換する。その後ステップS46に移行する。
ステップS46では、ステップS45にて求めた電流指令値が、予め設定したリミット値よりも大きい場合には、そのリミット値を電流指令値とする処理を行う。この処理は、電流指令値が大きいとモータが焼け付く恐れがあるため、リミッタを設け、予め決めた値以上は電流を流さない様にするための処理である。その後、操舵角自動調整部26のステップS47へ移行する。
【0037】
次に、操舵角自動調整部26の処理を、図7を参照して説明する。
操舵角自動調整部26は、まずステップS47にて、転舵角によって決まる操舵角指令値と実操舵によって決まる実操舵角の差を検出する。その後、ステップS48に移行する。
ステップS48では、ステアリングホイール零点維持制御FLGがOFFか否かを判定する。ステアリングホイール零点維持制御FLGがOFFの場合にはステップS49に移行する。ステアリングホイール零点維持制御FLGがOFFでない場合にはステップS50に移行する。
【0038】
上記ステアリングホイール零点維持制御FLGは、運転者のスイッチ操作によって設定される。ステアリングホイール零点維持制御FLGは、ステアリングホイール零点維持制御を実行する場合にONとなり、ステアリングホイール零点維持制御を実行しない場合にOFFとなる。
ステップS49では、ステアリングホイール1の目標角度を、転舵角に基づく操舵角に設定する。その後、ステップS51に移行する。
【0039】
ステップS50では、ステアリングホイール1の目標角度を0度に設定する。その後、ステップS51に移行する。
ステップS51では、ステアリングホイール1を目標角度まで戻すのに掛かる時間の情報(時定数)を、記憶部から読み込む。すなわち時定数として予め設定した値を設定する。その後、ステップS52に移行する。
ステップS52では、予め設定した時定数に基づき、ステップS30で求めた差分値が0になる方向にPID制御などを用い操舵角を修正する。その後、走行経路変更方式部27のステップS53に移行する。
【0040】
次に、走行経路変更方式部27の処理を、図8を参照して説明する。
走行経路変更方式部27は、まずステップS53にて、運転者による車線変更の指示があるか否かを判定する、車線変更の指示があると判定した場合には付与操舵反力入力読取り部のステップS58に移行する。なおこの場合、モードは2のままである。一方、車線変更の指示が無いと判定した場合にはステップS54に移行する。
【0041】
車線変更の指示の判定は、例えば方向指示器16がOFFか否かで判定すればよい。
ステップS54では、モードを3に変更する。その後、ステップS55に移行する。
ステップS55では、車線変更前の走行位置記録の処理を行う制御がONか否かを判定する。ONと判定した場合にはステップS56に移行する。OFFと判定した場合にはステップS57に移行する。
【0042】
ステップS56では、車線変更する前における自車の走行位置(現在の車線における走行経路位置)を目標車両位置に設定する。その後、付与操舵反力入力読取り部のステップS58に移行する。
ステップS57では、車線変更する前における自車の走行位置の記録をリセットすると共に、新たに直近の走行経路を目標車両位置に再設定する。その後、付与操舵反力入力読取り部のステップS58に移行する。
【0043】
次に、付与操舵反力入力読取り部28の処理について、図9を参照して説明する。
付与操舵反力入力読取り部28は、ステップS58にて運転者の操作を読み取る。その後、ステップS59に移行する。
ステップS59では、予め設定した単位時間あたりにおける、1方向に向けた連続した操舵入力中に発生した付与操舵反力の数を数える。すなわち、ステップS59では、操舵入力中に発生した付与操舵反力の数を検出する。その後、ステップS60に移行する。本実施形態では、操舵量の変化に伴い、予め設定した操舵角の変化毎に付与操舵反力が発生し、その発生する付与操舵反力をいくつ乗り越えるように操舵したかを検出する。
【0044】
ステップS60では、操舵の方向を検出する。すなわち、右側への操舵か左側への操舵かを判定する。その後、ステップS61に移行する。
ステップS61では、検出した付与操舵反力の数が0か否かを判定する。付与操舵反力が0の場合にはベース反力生成部23に移行する。付与操舵反力が1以上の場合には、ステップS62に移行する。
【0045】
ステップS62では、検出した付与操舵反力の数が1か否かを判定する。付与操舵反力が1の場合にはステップS63に移行する。付与操舵反力が2以上の場合にはステップS64に移行する。
ステップS63では、走行制御コントローラ21が、運転者が1走行経路分だけ走行経路を変更すると認識処理し、認識処理変数kに1を代入する。その後、経路変更にかかわる時定数の変更部29のステップS68に移行する。
【0046】
ステップS64では、付与操舵反力の数が2か否かを判定する。付与操舵反力が2の場合にはステップS65に移行する。付与操舵反力が3以上の場合にはステップS66に移行する。
ステップS65では、走行制御コントローラ21が、運転者が2走行経路分だけ走行経路を変更すると認識処理し、認識処理変数kに2を代入する。その後、経路変更にかかわる時定数の変更部29のステップS68に移行する。
【0047】
ステップS66では、付与操舵反力の数が3以上であるので、操舵角速度が予め設定した設定操舵角速度以上と大きい場合とみなされ、そのように判定した場合には緊急回避とみなし、操舵角に応じた転舵角制御に切り替える。認識処理変数kに3を代入する。その後、ステップS67に移行する。
ステップS67では、モードを1に設定変更する。その後、ベース反力生成部23のステップS37に移行する。これによって、検出した付与操舵反力の数が2以上のときが続く場合に限り、ステップS37→ステップS38→ステップS67の処理を繰り返し実行する。この繰り返し処理の間、転舵角は操舵入力に応じて変更することとなる。
【0048】
次に、経路変更にかかわる時定数の変更部29の処理を図10を参照して説明する。
経路変更にかかわる時定数の変更部29は、まずステップS68にて、経路変更に要する時定数を読み込む。このとき、走行経路を2つ分だけ移動する場合には、時定数は、走行経路を1つ分移動する場合の2倍になるように設定する。その後、ステップS69に移行する。
【0049】
ステップS69では、下記式に基づき、走行経路に応じた時定数の逆数に操舵角速度を掛けて、新たな時定数を求める。これによって、運転者が早い操作を行った場合、車両を速やかに所定の走行経路に移動させるために、操舵角速度に応じた時定数を求める。その後、経路変更中の付与操舵反力入力処理部30のステップS70に移行する。
1/(新たな時定数) =操舵角速度 ×(1/(走行経路に応じた時定数))
【0050】
次に、経路変更中の付与操舵反力入力処理部30の処理を、図11を参照して説明する。
経路変更中の付与操舵反力入力処理部30は、まずステップS70にてカウンタが0か否かを判定する。カウンタが0の場合、ステップS71に移行する。一方、カウンタが0で無い場合にはステップS73に移行する。なお、カウンタは、初期値が0である。
ステップS71では、新たな時定数がカウンタの値と等しいか否かを判定する。等しいと判定した場合にはステップS72に移行する。一方、一致しない場合には、ステップS76に移行する。
【0051】
ステップS72では、走行経路の変更が終了したとものとみなし、カウンタを0に設定、つまりリセットを掛ける。その後、ベース反力生成部23に移行する。
ステップS73では、走行経路の変更方向と操舵方向とが同じ方向か否かを判定する。同じ方向と判定した場合にはステップS74に移行する。異なる方向と判定した場合にはステップS75に移行する。
【0052】
ステップS74では、走行経路変更終了前に運転者が追加で経路変更するための操作入力を行っているかの検出処理を行う。その後、経路変更中の付与操舵反力処理部30のステップS100に移行する。本実施形態では、1以上の付与操舵反力を発生した後に操舵位置を維持する時間が予め設定した維持時間以上維持された場合に、追加の経路変更有りと判定する。
【0053】
ステップS75では、走行経路終了前に運転者が直前の操作入力をキャンセルしようとしているかの検出処理を行う。その後ステップS76に移行する。経路変更方向とは反対側に1付与操舵反力分の操舵を検出するとキャンセルと判定する。
ステップS76では、キャンセル操作があったか否かを判定する。キャンセル操作があった場合にはステップS77に移行する。キャンセル操作が無い場合にはステップS78に移行する。
【0054】
ステップS77では、カウンタの値を1だけ減算する。その後、ステップS79及びS92の処理に移行する。これによって、経路変更数が1だけ小さくなる。
ステップS78では、カウンタの値を1だけ加算する。その後、ステップS79及びS92の処理に移行する。これによって、経路変更数が1だけ大きくなる。
ステップS100では、追加操作があったか否かを判定する。追加操作があったと判定した場合にはステップS101に移行する。追加操作が無かった場合にはステップS71に移行する。
ステップS101では、カウンタの値を0にリセットする。その後ステップS71に移行する。
【0055】
次に、ステアリングホイール1の中立位置の自動復帰部31の処理を、図12を参照して説明する。
ステアリングホイール1の中立位置の自動復帰部31は、まずステップS79にて、転舵角によって決まる操舵角指令値と運転者による操作があるときの操舵角との間に差があるかを検出する。すなわち、ステップS79にて、転舵角に基づき操舵角(操舵角指令値)と実操舵角との差分を算出する。その後、ステップS80に移行する。
ステップS80では、予め決めた時定数に基づき、ステップS79で求めた差分が0になる方向に操舵角を制御する。本ステップの制御は、PID制御でも何でも良い。その後、ステップS100に移行する。
【0056】
次に、現在走行経路予測制御部34の処理を、図13を参照して説明する。
現在走行経路予測制御部34は、カメラ12が撮像した車両前方の映像を取得する。その後、ステップS82に移行する。
ステップS82では、取得した映像に対し、車線検出するため前処理としての画像処理(グレースケール、2値化など)を施す。その後、ステップS83に移行する。この画像処理の情報は、ステップS42の処理でも使用される。
ステップS83では、上記前処理を施し映像データから、例えばカルマンフィルタを用いて白線を検出する。その後、ステップS84に移行する。
【0057】
ステップS84では、ステップS83で検出した白線に基づき、車線数及び走行経路を検出する。
ステップS85では、車両を選択された走行経路に沿って走行させるための変数として、左右側方向に対する横変位差を算出する。その後、ステップS86に移行する。
ステップS86では、車両を走行経路に沿って走行させるための変数として、左右側方向に対するヨー角偏差を算出する。その後、ステップS87に移行する。
【0058】
ステップS87では、走行路のカーブの曲率に応じた偏差の補正ゲインを求める。偏差の補正ゲインは、カーブの曲率が大きいほど大きく設定する。その後、ステップS88に移行する。
ステップS88では、左右輪の目標転舵角を算出する。その後ステップS90に移行する。
ステップS90では、転舵輪4を目標転舵角になる様に転舵制御を実行する。その後、付与操舵反力入力読取り部28のステップS58に移行する。
【0059】
次に、付与反力走行経路予測制御部32の処理を図14を参照して説明する。
付与反力走行経路予測制御部32では、まずステップS91にて、認識処理変数kに応じて、車両の移動先である走行経路を決める。認識処理変数kが1のときは隣接する走行経路、認識処理変数kが2のときは2つとなりの走行経路とする。走行経路の変更方向は操舵方向側である。その後ステップS92に移行する。
【0060】
ステップS92では、操舵角速度に応じて決まるCをパラメータとするロジスティック関数とカルマンフィルタを元に、変更する走行経路への変更経路を求める。その後、ステップS93に移行する。
ステップS93では、映像などの自車両の周囲環境の情報に基づき、上記変更経路上に他車両などの障害物がないか判定する。障害物が存在する場合には、経路変更を中断若しくは遅らせるか、変更経路の再設定を行う。この場合には、運転者にその旨を報知することが好ましい。その後、ステップS94に移行する。
【0061】
ステップS94では、車両を走行経路に沿って走行させるための変数として、左右側方向に対する横変位差を算出する。その後、ステップS95に移行する。
ステップS95では、車両を走行経路に沿って走行させるための変数として、左右側方向に対するヨー角偏差を算出する。その後、ステップS96に移行する。
ステップS96では、走行路のカーブの曲率に基づき偏差の補正ゲインを設定変更する。偏差の補正ゲインは、カーブの曲率が大きいほど、大きな値に設定する。その後、ステップS97に移行する。
【0062】
ステップS97では、モードの値に応じて、偏差の補正ゲインを設定変更する。このとき、モード=3の場合には、モード=2に比べて偏差の補正ゲインを大きくする。その後、ステップS98に移行する。
ステップS98では、左右輪の目標転舵角を算出する。その後、ステップS99に移行する。
ステップS99では、転舵輪4を目標転舵角になる様に転舵制御する。そのステップS100に移行する。
【0063】
(動作その他)
本運転支援装置では、検出された各車線内にそれぞれ複数の走行経路を設定し、その設定された複数の走行経路から選択された1つの走行経路に沿って車両が走行するように転舵輪4の転舵制御を実行する。
ここで、各車線内にそれぞれ複数の走行経路を設定するために、図15のように、本実施形態の運転支援装置は、広角カメラ12で、自車線を含む複数の車線を撮像し、その撮像した画像を画像処理して、白線位置を検出すると共に、各白線間、つまり各車線内に複数の走行経路を設定する。図15では、運転支援装置は、各車線毎に3本の走行経路を設定する場合を例示している。例えば、運転支援装置は、魚眼レンズ付カメラ12(広角カメラ12)で進行方向にある複数の車線を検出し、その結果から自車が走行可能な走行経路(右下図の白い点線、車線中央だけとは限らない)を算出する。このとき、運転支援装置は、魚眼レンズ付カメラ12で映像を座標変換して、人の見えと同様な座標系にし、計算に必要な映像部分を切り出してグレースケール(or2値化)し、そして、カルマンフィルタを用いて白線検出を行い、予め定義した1車線内の走行経路の数に応じて自車が走行可能な走行経路(図中央では走行予想軌跡と表記、右下図では白い点線)を複数求める。
【0064】
このとき、運転者によるステアリングホイール1の操舵入力に伴い、運転支援装置は、操舵変化に応じて発生する付与操舵反力の数を検出し、その反力数が1以上の場合を走行経路変更と判定して、新たな走行経路に変更する。そして、その走行経路に沿って走行するように転舵制御を行う。
すなわち、図16,図17のように、運転者が操舵入力を行うと、その操舵入力に伴う操舵量の変化に沿って周期的な付与操舵反力が発生し、操舵を開始してから予め設定した設定操舵時間内において、運転支援装置は、一方向に向けた1回の連続した操舵入力によって乗り越えた付与操舵反力の数を検出する。そして運転支援装置は、検出した付与操舵反力の数に応じてデジタル的に走行経路が決定されて、その決定された走行経路に沿って転舵制御が実施される。
【0065】
なお、本実施形態の運転支援装置では、予め設定した操舵角の変化が生じる度に付与操舵反力が発生する。このため、付与操舵反力の検出数によって操舵角速度を推定することが可能である。
ここで、本実施形態では、ステアリングホイール1は転舵輪4と切り離されている。運転支援装置は、付与操舵反力とステアリングホイール1が呈する角度(操舵停止角度)はモータに流す指令電流で制御する。操舵停止角度は、操舵入力に伴い発生する付与操舵反力によって、付与操舵反力の山と山の間の谷部分となる。付与操舵反力は、操舵角の変化に応じて予め設定した操舵角毎に周期的に起こる。付与操舵反力は車両挙動に応じて決まる反力(ベース反力)に付加される。ただし、ベース反力は車速や横Gに応じて増えるが転舵角、転舵角速度に応じて増えない様にする。付与操舵反力は、転舵角や転舵角速度、横G、車速に応じて変えるようにする。
【0066】
これによって、運転者がステアリングホイール1を操作しない場合には、つまりステアリングホイール1を操作しなくても、運転支援装置は、現在選択されている走行経路に沿って走行するように転舵輪4を転舵制御する。また運転者が無意識的にステアリングホイール1を小さく操舵しても、付与操舵反力が発生するだけの操舵が無いか、1つの付与操舵反力が発生するだけの操舵をしても、その付与操舵反力を乗り越えるだけの操舵入力をしなければ、現在選択されている走行経路に沿っての走行が維持される。
【0067】
また運転支援装置は、運転者が操作入力しない状態での走行制御、または運転者が操作入力した情報に基づき所定の走行経路に向かうまでの経路変更に関する制御を自動で行う。
運転支援装置は、経路変更に要する時間と経路変更のための軌跡はロジスティック関数から算出する。すなわち、経路変更はロジスティック関数(ロジスティック曲線)で定義する。運転支援装置は、ロジスティック関数の引数であるCを操舵角速度と車速、横Gに応じてかえる。運転支援装置は、自車位置がロジスティック関数上のどこにあるかはカルマンフィルタなどを用い自車位置推定と次にあるべき自車位置を逐次計算しながら行う。
【0068】
この際、運転支援装置は、走行経路の変更がなければ、ステアリングホイール1は走行経路を走行するように転舵制御される転舵輪4の転舵に応じた位置を中立位置とし、その中立位置に、ステアリングホイール1を維持するように制御する。
このため、車線がカーブしている場合には、カーブに応じた位置が中立位置となるように、つまりカーブに沿った方向にステアリングホイール1が操舵制御される。
【0069】
例えば、図18(a)に示すように、新たな走行経路に移行した際、その走行経路が直進路であれば、ステアリングホイール1は0度の位置に戻る。また、図18(b)に示すように、新たな走行経路に移行した際、その走行経路がカーブ路であれば、ステアリングホイール1は、そのカーブに応じた角度を中立位置として、その中立位置に向かう復元力が当該ステアリングホイール1に付加される。
【0070】
すなわち、図19に示すように、転舵角に応じて自動で回転しているステアリングホイール1の角度を中立位置として左右に付与操舵反力による操作入力が行えるステアリングホイール1において、付与操舵反力入力を行ったのち、ステアリングホイール1を中立位置に自動で戻すことができる。これより、運転者自らステアリングホイール1を中立位置に戻す必要がない。付与操舵反力入力の始まりと終わりが認識し易い。
【0071】
また、現在の車線内における走行経路を変更したい場合には、運転者は、1付与操舵反力分だけステアリングホイール1を操作するだけで良く。その操舵によって、現在の走行経路から操舵方向側の隣の走行経路が選択され、選択された隣の走行経路に向けて自動的に経路変更と、その走行経路に沿って走行するように転舵制御される。このように、操舵量の変化に沿って周期的に入力される付与操舵反力を乗り越えるだけ操舵、つまりデジタル的に操舵入力をすることで、自動的に隣の走行経路に移動するように転舵制御する。なお、運転者は、操舵入力に伴い乗り越えた周期的な付与操舵反力を認知出来る。
【0072】
また、運転者が、1付与操舵反力分を乗り越えるだけステアリングホイール1を操作した後、ステアリングホイール1を放すと、ステアリングホイール1は、転舵輪4の転舵角に応じた操舵位置を中立位置として、その中立に戻る。
このとき、運転者が、1付与操舵反力分を乗り越えるだけステアリングホイール1を操作した後、その操舵状態を、予め設定した設定維持時間だけ維持したと判定した場合には、更に隣の走行経路が選択されたとして、その再選択された走行経路に沿って走行するように転舵輪4を転舵制御して、当該再選択された走行経路に自動的に移行する。
【0073】
但し、運転者が1付与操舵反力分ステアリングホイール1を回した後、予め設定したキャンセル時間以内に、運転者が、ステアリングホイール1を逆方向に向けて1付与操舵反力分だけ操舵したことを検出すると、走行経路の経路変更をキャンセルする。
すなわち、図20に示すように、1付与操舵反力入力分、経路変更している最中に逆に1付与操舵反力入力すると経路変更をキャンセルできる。1付与操舵反力入力分、経路変更している最中に、そのままステアリングホイール1を戻さないでいる、もしくは、ステアリングホイール1を同じ方向にきるとともに、もう1付与操舵反力分経路変更を行う。これより、運転者は誤操作をキャンセルできる。
【0074】
また図17に示すように、単位時間当たりの付与操舵反力入力の数(≒操舵角速度)、方向指示器16にON/OFFなどの状態に応じて経路変更の内容をきりかえることができる。付与操舵反力1つでは、上述のように隣の1経路だけ斜め前方に車両を移動する。また、1回の操舵入力によって乗り越えた付与操舵反力の数の場合には、2経路だけ斜め前方に車両を移動させる様に転舵制御の指令を出力する。ここで、本実施形態では、認識処理変数kを使用し、付与操舵反力1つでは認識処理変数k=1を、付与操舵反力2つでは認識処理変数k=2とする。また、予め設定された1車線内の走行経路の数が3以上の場合、付与操舵反力3つでは3経路だけ斜め前方に車両を移動できる様に指令を出す。
【0075】
一方、方向指示器16をONにしながら、付与操舵反力1つ操作入力すると(方向指示器16+1付与操舵反力)車線を横切って斜め前方に車両を移動させる様に指令を出す。この場合認識処理変数kに3を代入する。これによって、車線変更が実施される。
車線変更前の車線内における自車位置を記録するボタンをONにしている場合、方向指示器16+1付与操舵反力分の操舵で、車線変更した車線内における相対的に同じ位置に存在する走行経路を選択するようにして、隣の車線に自車を移動させる様に指令を出す(認識処理変数kに4を代入する)。車線変更前のレーンに対する自車位置を記録するボタンをOFFにしている場合、車線直近の走行経路に車両を移動させる様に指令を出す(認識処理変数kに5を代入する)。
【0076】
このように、付与操舵反力入力の数、単位時間当たりの付与操舵反力入力の数(≒操舵角速度)、方向指示器16にON/OFFなどの状態に応じて経路変更の内容をきりかえることができる。これより、運転者は少ない操作で車両挙動を制御できる様になる。
また、図21に示すように、操舵角速度が大きいときに経路変更の時間を短くする。車速と横Gが大きいときは経路変更の時間を長くする。経路変更の時間を操舵状態に応じてかえることができる様になり、運転者が早く経路変更を終えたいというニーズを満たすことができる。
このとき図22に示すように、操舵角速度と現在の車両位置と移動先の走行経路から、ロジスティック曲線に応じて経路変更に要する時間と車両軌跡を決め、決められた情報を元に車線変更を行う。これより、付与操舵反力信号だけで車線変更できる様になる。
【0077】
図22を参照して、操作入力結果に基づき車両を制御する方法について説明する。付与操舵反力入力読取り部28の指令である認識処理変数kに応じて経路変更先を決める。認識処理変数kが1のときは隣接する走行経路、認識処理変数kが2のときは2つとなりの走行経路、認識処理変数kが4のときは隣のレーン、認識処理変数kが5のときは隣のレーンの自車よりの走行経路とする。経路変更の軌跡の生成にはロジスティック関数を用いる。横軸を時間、縦軸を移動量としたときの図でロジスティック関数を示した。ロジスティック関数の数式を図中に示した。分母のCによってロジスティック曲線が左右に移動することが分かる。Cを操舵角速度に応じてかわる様にすることにより、経路変更軌跡を操舵角速度でコントロールできる様になる。走行経路軌跡に自車位置が沿って走れそうかはカルマンフィルタを用いる。経路変更軌跡と車速&GPSからもとまる自車の横変異差およびヨー角偏差を最小にする様に転舵輪4をPID制御する。PID制御の偏差の補正ゲインについて、カーブの曲率が大きい場合は補正ゲインを大きくする方向に、モード3はモード2に比べてカーブの曲率が大きいので補正ゲインを大きくする。
【0078】
なお、操舵速度が予め設定した設定操舵速度よりも大きく、且つ予め設定した設定操舵角以上の大舵角(所定時間あたりの付与操舵反力数が一定数値以上)と判定すると、上記反力数の数による転舵制御を中断して、操舵入力された操舵角に応じた転舵角となるように転舵を調整する。すなわち、通常の操舵ゲインで操舵入力を可能とする。
【0079】
また、上述のように、自車の走行中の車線内の走行経路選択と隣りの車線の走行経路選択を異なるモードとして定義する。この結果、運転者が不意な付与操舵反力入力を行っても車両がレーン外に飛び出ない様にする。
モード2からモード3への遷移は、方向指示器16の指示を使用して行う。これより、レーン内とレーン外に操作の自由度をわけることにより、運転者にかかる行動選択の負荷を減らすことができる。
【0080】
図23は走行経路を変更する際のモードについて説明するための図である。モード1では手動操作を、モード2ではレーン内の経路変更支援を、モード3ではレーン外に出るための車線変更支援を行う。モード1からモード2とその逆の切り替えは、運転席のステアリングホイール1上、もしくは、脇にあるプッシュスイッチで行うものとする。モード2からモード3への切り替えは、方向指示器16で行う。モード3からモード2への切り替えは、車線変更が終わると自動で行われる。モード2や3において早い操舵角速度の場合で付与操舵反力の数が3つ以上の場合、操舵制御コントローラ20は運転者が緊急回避を行おうとしていると判断し、モード1の手動操作となって、操舵角に応じた転舵角の制御に切り替える。
【0081】
ここで、従来の修正操舵の算出方法の一つに、運転者がステアリングホイール1を切り返す回数をカウントする方法(Steering Reversal Rate、以下SRR)がある。SRRが小さいと、運転者のフィードバック制御が少ないことを意味する。フィードバック制御が少なくなると、運転者の運転に余裕ができ身体が疲労し難くなる。右側への自車位置の変更を例としてSRRを求めると、この従来技術では3回左右に操舵する必要がある。これに対し、本実施形態では、1方向に向けた1回の操舵入力で同様の作用を得ることが可能である。
【0082】
ここで、ステアリングホイール1は操作子を構成する。
ベース反力生成部23は基本操舵反力算出手段を構成する。付与反力生成部24は付与操舵反力算出手段を構成する。合計反力生成部25は操舵反力入力手段を構成する。
付与反力入力読取り部28は、反力数検出手段、経路選択手段を構成する。現在走行経路予測制御部34及び付与反力走行経路予測制御部32は、車線検出手段、走行経路設定手段、転舵制御手段を構成する。方向指示器16は、車線変更指示検出手段を構成する。
【0083】
(本実施形態の効果)
本実施形態は、次の効果を奏する。
(1)操舵制御コントローラ20は、上記操作子の操舵量に応じた基本の操舵反力を算出する。操舵制御コントローラ20は、上記操作子の操舵量の変化に伴い周期的に付加する付与操舵反力を算出する。操舵制御コントローラ20は、上記算出した基本の操舵反力に対し上記算出した付与操舵反力を重畳した操舵反力を上記操作子に入力する。操舵制御コントローラ20は、1方向に向けた操舵入力に伴い発生した上記付与操舵反力の数を検出する。走行制御コントローラ21は、自車両の進行方向前方に存在する車線を検出する。走行制御コントローラ21は、上記検出した車線内に複数の走行経路を設定する。操舵制御コントローラ20は、上記検出した付与操舵反力の数に基づき、設定した複数の走行経路の一つを選択する。走行制御コントローラ21は、選択した走行経路に沿って走行するように、上記転舵輪4の転舵を制御する。
【0084】
上記構成によれば、運転者が1方向への操舵入力に向けて所定量だけ操舵することで、その操舵入力に伴い発生した付与操舵反力の数によって複数の走行経路の1つ走行経路が選択されて、その選択された走行経路に沿って走行するように転舵制御される。
このように、一方向に向けた操舵入力だけによって、デジタル的に、複数の走行経路の1つ走行経路が選択され、その選択された走行経路に沿って走行するように転舵制御される。この結果、走行経路変更のために要する修正操舵が抑制されて、運転者は、走行経路からのずれを微調整するために操作子を細かく修正操舵することをしなくても、車線に沿った安定した走行を行うことが可能となる。
【0085】
(2)操舵制御コントローラ20は、上記操作子が予め設定した設定操舵角分変化する毎に発生する。
これによって、付与操舵反力を、より簡易且つ確実に、操作子の操舵量の変化に伴い周期的に付加することが可能となる。
(3)走行制御コントローラ21は、車両前方を撮像するカメラ12が撮像した画像に基づき車線位置を検出する。
これによって、より確実に、車線毎に複数の走行経路を設定することが出来る。
【0086】
(4)操舵制御コントローラ20は、上記反力数検出手段が検出した付与操舵反力の数が大きいほど、操舵方向に向けて、現在の自車走行位置から離れた位置の走行経路を選択する。
この構成によれば、操舵した方向に操舵量に応じたデジタル値だけ走行経路が変更される。このため、経路変更が容易に実施される。
【0087】
(5)方向指示器16は、運転者による車線変更の指示を検出する。操舵制御コントローラ20は、上記付与操舵反力の数が予め設定した数以上であって、且つ方向指示器16による検出に基づき車線変更の指示があると判定した場合に、現在走行中の車線とは異なる車線内の走行経路を選択する。
これによって、車線変更の選択が容易となる。又、現在の車線内での経路変更と車線変更とが、方向指示器16の指示で区別される別のモードとして定義される結果、不意な操舵入力によって複数の付与反力数が検出されても、レーン外に飛び出ることが防止される。
【0088】
(6)走行制御コントローラ21は、選択した新たな走行経路への経路変更のための転舵制御中に、経路変更方向とは反対方向への操舵入力による1以上の付与操舵反力を検出すると、上記経路変更を中断する。
この構成によれば、誤操作や経路変更意図の思い直しなどについて、容易の対応可能となる。
(7)操舵制御コントローラ20は、付与操舵反力の数に応じて走行経路を選択したとき、その選択時の操舵位置が予め設定した設定維持時間以上維持されたと判定すると、現在選択した走行経路の隣の走行経路に選択を変更する。
この構成によれば、選択した経路選択の変更が容易となる。
【0089】
(8)転舵輪4の転舵角に応じた操作子の操舵角位置を中立位置とする。操舵制御コントローラ20は、選択した新たな走行経路への経路変更が終了すると、上記中立位置に向けた復元力を操作子に付与する。
この構成によれば、運転者が自らステアリングホイール1を、走行経路に応じた中立位置に戻す必要がない。また中立位置に自動復帰することで、経路選択のための操舵入力の終了を認識し易いという効果もある。
(9)操舵制御コントローラ20は、選択した新たな走行経路への経路変更に要する時間を、操舵角速度が大きいほど短くすると共に、車速若しくは横加速度が大きいほど長くする。
この構成によれば、走行状態に応じて経路変更の時間を適性に設定可能となる。
【0090】
(10)走行制御コントローラ21は、選択した新たな走行経路への経路変更は、操舵角速度と現在の車両位置と移動先の走行経路に基づき、ロジスティック曲線とカルマンフィルタに応じて経路変更に要する時間と車両軌跡を決定し、決定した情報を元に車線変更を行う。
これによって、確実に新たな走行経路への移動が可能となる。
(11)走行制御コントローラ21は、操舵速度が予め設定した操舵速度以上で予め設定した操舵量以上の操舵を検出すると、付与操舵反力数に関係無く、その操舵角に応じた転舵角に制御する。
この構成によれば、緊急回避的な操舵が可能となる。
【符号の説明】
【0091】
1 ステアリングホイール(操作子)
2 操舵反力用アクチュエータ
3 操舵反力装置
4 転舵輪
6 転舵用アクチュエータ
7 転舵装置
9 操舵反力用モータ角センサ
10 反力制御装置
12 カメラ
16 方向指示器
17 転舵用モータ角センサ
18 転舵制御装置
20 操舵制御コントローラ
21 走行制御コントローラ
22 初期モード設定部
23 ベース反力生成部
24 付与反力生成部
25 合計反力生成部
26 操舵角自動調整部
27 走行経路変更方式部
28 付与反力入力読取り部
29 経路変更にかかわる時定数の変更部
30 経路変更中の付与操舵反力入力処理部
31 ステアリングホイールの中立位置の自動復帰部
32 付与反力走行経路予測制御部
34 現在走行経路予測制御部
35 操舵反力装置用コントローラ
36 転舵装置用コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が操舵する操作子と転舵輪とが機械的に非接続状態の操舵装置を備えた運転支援装置において、
上記操作子の操舵量に応じた基本の操舵反力を算出する基本操舵反力算出手段と、
上記操作子の操舵量の変化に伴い周期的に付加する付与操舵反力を算出する付与操舵反力算出手段と、
上記基本操舵反力算出手段が算出した基本の操舵反力に対し上記付与操舵反力算出手段が算出した付与操舵反力を重畳した操舵反力を上記操作子に入力する操舵反力入力手段と、
1方向に向けた操舵入力に伴い発生した上記付与操舵反力の数を検出する反力数検出手段と、
自車両の進行方向前方に存在する車線を検出する車線検出手段と、
上記車線検出手段が検出した車線毎に複数の走行経路を設定する走行経路設定手段と、
上記反力数検出手段が検出した付与操舵反力の数に基づき、走行経路設定手段が設定した複数の走行経路の一つを選択する経路選択手段と、
上記経路選択手段が選択した走行経路に沿って走行するように、上記転舵輪の転舵を制御する転舵制御手段と、を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
上記付与操舵反力は、上記操作子が予め設定した設定操舵角分変化する毎に発生することを特徴とする請求項1に記載した運転支援装置。
【請求項3】
上記車線検出手段は、車両前方を撮像するカメラが撮像した画像に基づき車線位置を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した運転支援装置。
【請求項4】
上記径路選択手段は、上記反力数検出手段が検出した付与操舵反力の数が大きいほど、操舵方向に向けて、現在の自車走行位置から離れた位置の走行経路を選択することを特徴する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した運転支援装置。
【請求項5】
運転者による車線変更の指示を検出する車線変更指示検出手段を備え、
上記経路選択手段は、上記反力数検出手段が検出した付与操舵反力の数が予め設定した数以上であって、且つ車線変更指示検出手段の検出に基づき車線変更の指示があると判定した場合にだけ、現在走行中の車線とは異なる車線内の走行経路を選択することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した運転支援装置。
【請求項6】
上記転舵制御手段は、経路選択手段が選択した新たな走行経路への経路変更のための転舵制御中に、経路変更方向とは反対方向への操舵入力による1以上の付与操舵反力を反力数検出手段が検出すると、上記経路変更を中断することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した運転支援装置。
【請求項7】
上記径路選択手段は、付与操舵反力の数に応じて走行経路を選択したとき、その選択時の操舵位置が予め設定した設定維持時間以上維持されたと判定すると、現在選択した走行経路の隣の走行経路に選択を変更することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載した運転支援装置。
【請求項8】
転舵輪の転舵角に応じた操作子の操舵角位置を中立位置とし、
経路選択手段が選択した新たな走行経路への経路変更が終了すると、上記中立位置に向けた復元力を操作子に付与することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に運転支援装置。
【請求項9】
転舵制御手段は、経路選択手段が選択した新たな走行経路への経路変更に要する時間を、操舵角速度が大きいほど短くすると共に、車速若しくは横加速度が大きいほど長くすることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載した運転支援装置。
【請求項10】
経路選択手段が選択した新たな走行経路への経路変更は、操舵角速度と現在の車両位置と移動先の走行経路に基づき、ロジスティック曲線とカルマンフィルタに応じて経路変更に要する時間と車両軌跡を決定し、決定した情報を元に車線変更を行うことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載した運転支援装置。
【請求項11】
転舵制御手段は、操舵速度が予め設定した操舵速度以上で予め設定した操舵量以上の操舵を検出すると、付与操舵反力数に関係無く、その操舵角に応じた転舵角に転舵輪を制御することを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載した運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−91443(P2013−91443A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235242(P2011−235242)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】