説明

道路情報ガイダンス方法およびシステム

【課題】 固定情報板が無い場所でも車両に対して道路情報や気象情報等を提供できるようにする。
【解決手段】 道路90を複数に分割して得た各分割区間毎に仮想情報板を設定し、該各仮想情報板に表示すべき気象あるいは道路に関する情報を各分割区間と対で組み合わせて、センタ100から無線通信網60を経由して車両80に転送し、車両80が特定の分割区間に入ったことが識別されることにより、該特定の分割区間と対の情報を車両80が具備するカーナビ装置82のモニタ821を前記仮想情報板としてそこに表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転者や歩行者に対して道路情報や気象情報等の情報提供を行う道路情報ガイダンス方法およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両運転者に対しては、現在では、道路に沿って設置した固定情報板によってその道路の道路情報や気象情報等を表示する道路情報ガイダンスシステムが運用されている。これは、図6に示すように、道路90に沿って予め情報板30A,30B,・・・・を設置しておき、図7に示すように、気象情報(地震情報、津波情報、注意報・警報等)および道路情報(規制情報、気象センサ情報、トンネル情報等)をガイダンスサーバ10’に定期的に取り込んで、それら情報の中から各々の固定情報板に応じた提供情報を選択し、それら情報に対応する表示語句を編集して固定情報板制御器20に転送し、この固定情報板制御器20によって各々の固定情報板30A,30B,・・・・に表示させるものである。
【0003】
例えば、道路90の進行方向のある箇所が現在工事中であればその「工事規制中」の情報が、また強風であれば「強風注意報発令中」の情報が、津波の恐れがあれば「津波注意報発令中」が、それぞれ表示される。このように固定情報板によって道路情報等を表示するものとして、例えば特許文献1,2に記載がある。
【特許文献1】特開平6−203294号公報
【特許文献2】特開平11−21830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記した道路情報ガイダンスシステムは、固定情報板が設置されていない道路を走行している車両に対しては情報を提供できなかった。また、停車している車両は道路の上り方向、下り方向のいずれに走行するのか不明であり、この場合も有効な情報を提供できなかった。
【0005】
また、固定情報板が設置されている場所を走行している場合であっても、その固定情報板にて通知できる情報は道路管理者が最も重要と考える1つの情報のみであり、当該の車両が必要としている情報とは異なる場合があった。例えば、当該の車両が走行している道路の先方が二股に分かれていて、走行の予定のない道路の工事規制情報が優先されて表示されてしまうことがあった。
【0006】
さらに、情報板を特定の車両に搭載して走行させる移動式情報板の場合については、上記道路情報ガイダンスシステムは対応しておらず、その移動式情報板に表示する情報は手作業で設定する必要があった。
【0007】
本発明の目的は、固定情報板が無い場所でも当該の車両や歩行者に対して最適な道路情報や気象情報等を提供できるようにした道路情報ガイダンス方法およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1にかかる発明の道路情報ガイダンス方法は、道路を複数に分割して得た各分割区間毎に仮想情報板を設定し、該各仮想情報板に表示すべき気象あるいは道路に関する情報を前記分割区間と対で組み合わせて無線通信網を経由して車両に転送し、該車両が特定の分割区間に入ったことが識別されることにより、該特定の分割区間と対の情報を該車両が具備する表示手段を前記仮想情報板としてそこに表示させることを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の道路情報ガイダンス方法において、前記車両が前記特定の分割区間に入ったことの識別は、前記車両が具備するGPSシステムにより行うことを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の道路情報ガイダンス方法において、前記複数の分割区間と対の情報の組合せのすべてを前記車両に転送することを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項1又は2に記載の道路情報ガイダンス方法において、前記複数の分割区間と対の情報の組合せの内、前記車両の現在地と進行方向又は現在地と進行方向および後方方向に応じた分割区間と対の情報の組合せのみを予め選択して前記車両に転送することを特徴とする。
請求項5にかかる発明は、請求項1又は2に記載の道路情報ガイダンス方法において、前記複数の分割区間と対の情報の組合せの内、前記車両の通行予定のある道路の分割区間と対の情報の組合せのみを予め選択して前記車両に転送することを特徴とする。
請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の道路情報ガイダンス方法において、前記分割区間と組み合わせる対の情報を複数として前記車両に転送し、所定の分割区間において、前記車両において予め設定した優先順位にしたがって、前記複数の情報のうち1つが選択されるようにしたことを特徴とする。
請求項7にかかる発明は、請求項1乃至6のいずれか1つに記載の道路情報ガイダンス方法において、前記分割区間は、前記道路の制限速度又は平均速度が高くなるほど長くなるよう設定することを特徴とする法。
請求項8にかかる発明は、請求項1乃至6のいずれか1つに記載の道路情報ガイダンス方法において、前記車両を携帯無線通信機器に置き換えたことを特徴とする。
請求項9にかかる発明の道路情報ガイダンスシステムは、道路を複数に分割して各分割区間に仮想情報板を設定すると共に、該各仮想情報板に表示すべき気象あるいは道路に関する情報を取り込んで前記各分割区間と対の情報の組合せを生成するセンタと、該センタから無線通信網を経由して転送されて来る前記各分割区間と対の情報の組合せを取得し、特定の分割区間に入ることによりそれを認識して該特定の分割区間と対の情報を内部の表示手段を前記仮想情報板としてそこに表示させる車両と、を備えることを特徴とする。
請求項10にかかる発明は、請求項9に記載の道路情報ガイダンスシステムにおいて、
前記車両が、前記特定の分割区間に入ったことの識別を前記車両が具備するGPSシステムにより行うことを特徴とする。
請求項11にかかる発明は、請求項9又は10に記載の道路情報ガイダンスシステムにおいて、前記センタが、前記複数の分割区間と対の情報の組合せのすべてを前記車両に転送することを特徴とする。
請求項12にかかる発明は、請求項9又は10に記載の道路情報ガイダンスシステムにおいて、前記センタが、前記複数の分割区間と対の情報の組合せの内、前記車両の現在地と進行方向又は現在地と進行方向および後方方向に応じた分割区間と対の情報の組合せのみを予め選択して前記車両に転送することを特徴とする。
請求項13にかかる発明は、請求項9又は10に記載の道路情報ガイダンスシステムにおいて、前記センタは、前記複数の分割区間と対の情報の組合せの内、前記車両の通行予定のある道路の分割区間と対の情報の組合せのみを予め選択して前記車両に転送することを特徴とする。
請求項14にかかる発明は、請求項9乃至13のいずれか1つに記載の道路情報ガイダンスシステムにおいて、前記センタは、前記分割区間と組み合わせる対の情報を複数として前記車両に転送し、前記車両は、所定の分割区間において、予め設定した優先順位にしたがって、前記複数の情報のうち1つを選択するようにしたことを特徴とする。
請求項15にかかる発明は、請求項9乃至14のいずれか1つに記載の道路情報ガイダンスシステムにおいて、前記センタは、前記分割区間を前記道路の制限速度又は平均速度が高くなるほど長くなるよう設定することを特徴とする。
請求項16にかかる発明は、請求項9乃至14のいずれか1つに記載の道路情報ガイダンスシステムにおいて、前記車両を携帯無線通信機器に置き換えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1,2,9,10にかかる発明によれば、道路を走行する車両に対して、その車両が備える表示手段を仮想情報板として、通行する分割区間に応じて道路や気象等の情報の表示を行わせることができるので、道路に沿って固定情報板が設置されていない道路であっても、車両に必要な情報を提供することができる。
請求項3,11にかかる発明によれば、道路を走行する車両に対してすべての分割区間の情報を転送するので、転送する情報の選別をセンタ側で行う必要がなくその負担が少なくて済む。
請求項4,12にかかる発明によれば、道路を走行する車両に対して当該車両に必要な情報のみを転送するので、車両に転送する情報量が少なくて済み、無線通信網の使用コストや車両側に備える設備コスト等を少なく抑えることができる。
請求項5,13にかかる発明によれば、車両の通行予定に沿った分割区間に関する情報のみが表示されることになるので、二股に分かれていても、通行予定のある道路の情報のみが表示され、表示に無駄がなくなる。
請求項6,14にかかる発明によれば、車両側において当該の分割区間用として取り込んだ複数の情報の内の1つの情報を、優先順位に従って表示できるので、車両運転者がその優先順位を任意に設定できるようにすれば、車両運転者が本当に必要としている道路や気象の情報の提供が可能となる。
請求項7,15にかかる発明によれば、分割区間がほぼ車両の速度に応じた距離に設定されるので、仮想情報板による提供情報の切り替えを適切に行うことが可能となる。
請求項8,16にかかる発明によれば、携帯通信無線機器を保持して道路を歩行している歩行者に対しても、気象や道路に関する必要な情報の提供を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の1つの実施例の道路情報ガイダンスシステムの全体の概略構成を示す図である。10はガイダンスサーバであり、外部システムから提供される気象情報(地震情報、津波情報、注意報・警報等)および道路情報(規制情報、気象センサ情報、トンネル情報等)を取り込み、固定情報板用の提供情報および仮想情報板用の提供情報を後記するようにして生成する。
【0011】
20は固定情報板制御器であり、ガイダンスサーバ10で選別された固定情報板用の提供情報を入力して複数の固定情報板30A,30B,・・・に表示情報として出力する。
【0012】
40は仮想情報板情報提供サーバであり、ガイダンスサーバ10で生成された仮想情報板用の提供情報をファイアウォール50を介して取り込み、当該車両の現在位置、上り下りの別、走行停止の別、等に応じて、当該車両に備えられたカーナビ装置(GPSシステムを利用したカーナビゲーションシステムの装置)のモニタに必要な情報を出力する。60はDopa網(携帯電話機を使用するパケットデータ通信網)やWeb網等の無線通信網であり、ルータ70を介して仮想情報板情報提供サーバ40と接続され、また複数の車両80A,80B,・・・とも接続されている。
【0013】
以上において、ガイダンスサーバ10、固定情報板制御器20、ファイアウォール50、仮想情報板情報提供サーバ40、ルータ70はセンタ100を構成する。
【0014】
図2は車両80の本実施例に関連するシステムの概略構成を示す図である。車両80は、緯度、経度を検出するGPSアンテナ81、そのGPSアンテナ81の出力情報により地図上の現在位置等を演算したり、モニタ821に所定の表示を行うカーナビ装置82、そのカーナビ装置82からの上記情報を取り込んだり、逆にそのカーナビ装置82に表示すべき気象情報や道路情報を送出する仮想情報板情報受信装置83、その仮想情報板情報受信装置83が無線通信網60とデータのやり取りを行うための携帯電話機84、を備えている。
【0015】
図3は図1のガイダンスサーバ10の処理内容を示すフローチャートである。このガイダンスサーバ10は、本実施例の道路情報ガイダンスシステムが適用される道路の全部について、その道路を複数の区間に分割し、各分割区間毎に仮想情報板を設定する(S11)。この仮想情報板は、車両80に備えられたモニタ821により実現される情報板であり、その車両80が通過する分割区間に応じて提供情報が切り替わるようにしたものであり、固定情報板に対向する概念である。
【0016】
ステップS11の道路分割のアルゴリズムは次の通りである。(1).国道などの道路を固定情報板が設置されている場所と交差点とを基準に大まかに分割する。(2).道路の上りと下りを区別して分割する。(3).(2)によって分割された分割区間の車両走行の制限速度又は平均速度を基にして、何Km間隔で更に分割すればよいかを決定し、その分割区間をより細かく再分割する。このとき、制限速度を基にして分割する場合は、当該道路では分割区間が常に一定の距離となるが、平均速度を基に分割する場合はその距離が朝、昼、夜の時間帯によって変わってくることもある。なお、速度が速いほど、分割区間の距離は長くなる。(4).以上のようにして得た複数の分割区間毎に1つの仮想情報板が存在するものとする。以上の結果、各道路は上り、下り毎に複数の区間に分割され、その分割区間の一部には固定情報板が設置されることがあり、且つ全ての分割区間には仮想情報板が設置されることになり、一部の分割区間では固定情報板と仮想情報板が重複することになる。
【0017】
次に、外部システムから、気象情報(地震情報、津波情報、注意報・警報等)および道路情報(規制情報、気象センサ情報、トンネル情報等)を取得する(S12)。
【0018】
次に、ステップS12において取得した複数の情報の中から、各固定情報板および各仮想情報板のそれぞれに表示すべき事象を選別する(S13)。例えば、ある固定情報板に表示すべき事象としてA,B,Cのように複数を選別し、ある仮想情報板に表示すべき事象としてD,E,Fのように複数を選別する。残りの各固定情報板および各仮想情報板についても同様である。事象とは、特定の情報の内のより詳しい内容をいう。
【0019】
なお、このとき、外部システムから取り込まれる複数の情報の内、各固定情報板および各仮想情報板で提供する情報の範囲は、それら情報板毎に予め決めておき、その内から選別する。例えば、トンネル情報を表示する情報板にはトンネルに関係しない情報は不要であるので、選別対象から外しておく。
【0020】
次に、各固定情報板および各仮想情報板に表示すべき事象の数が2以上になったときは、予め設定した優先順位にしたがって、そこに表示すべき事象を所定の数に絞り込む(S14)。例えば、ある固定情報板に表示すべき事象として例えば10個が選別されているときは、優先順位にしたがって1個の事象に絞り込む。また、ある仮想情報板に表示すべき事象として例えば10個が選別されているときは、優先順位にしたがって例えば5個の事象に絞り込む。固定情報板への情報はそのまま表示するので1個の事象に絞り込むが、仮想情報板への情報は車両側で更に選別できるように複数の事象に絞り込むのである。
【0021】
次に、各固定情報板および各仮想情報板毎に、それらに表示すべき絞り込まれた事象について、その表示語句を編集する(S15)。例えば、ある固定情報板の設置場所あるいはある仮想情報板に対応する分割区間の先5Kmで工事による1車線交通規制が行われている場合は、当該の情報板への表示内容として「5Km先工事で1車線規制中」等の語句を編集して作成する。
【0022】
次に、以上のようにして作成された各固定情報板毎の表示語句を、各固定情報板と対の組合せで固定情報板制御器20に対して出力する(S16)。これにより、各固定情報板に対して、固定情報板制御器20によって対の組合せの表示語句が転送され、そこで表示される。
【0023】
また、以上のようにして作成された各仮想情報板毎の表示語句を、各分割区間と対の組合せで仮想情報板情報提供サーバ40に対して出力する(S17)。これにより、仮想情報板情報提供サーバ40によって車両80に各分割区間と対の組合せの複数の表示語句が転送される。
【0024】
以上において、固定情報板の設置されている箇所と仮想情報板に対応する分割区間が重なった場合は、それらの情報板に表示される内容は一致した事象になったり、あるいは車両側の優先順位(後記する)によっては異なった事象となる。
【0025】
図4は仮想情報板情報提供サーバ40の処理内容を示すフローチャートである。仮想情報板情報提供サーバ40は、まず、車両80から、当該車両80が現在走行している道路の国道番号、キロポスト、上り下りの別、走行中停止中の別等の要求電文を取得する(S41)。これは個々の車両80に固有の要求電文となる。
【0026】
ガイダンスサーバ10から取得した各仮想情報板用(道路の各分割区間用)の提供情報は、各分割区間と対の情報としてメモリ41に格納されており、その中から、当該車両80の要求電文に該当する提供情報を取り出す(S42)。すなわち、当該車両80の走行方向は、上り下りの別から識別できるので、その走行方向上の複数の分割区間を対の情報を提供情報として取り出す。その反対方向についても同様に取り出す。このとき、道路が分岐している場合は、分岐している両方の道路の情報を取り出す。
【0027】
この取り出した提供情報は、当該車両80が走行中の場合は、当該車両80の進行方向の前方の道路についての仮想情報板に表示すべき情報として応答電文にセットし(S43)、当該車両80が停車中の場合は、当該車両80の現在位置から前方および後方の道路についての仮想情報板に表示すべき情報として応答電文にセットする(S44)。
【0028】
ここで応答電文は、当該車両80の走行方向の各分割区間で表示すべき情報を含む電文であり、各分割区間とそこで表示する情報とが対になったものである。この応答電文にセットする情報の数は、予め決めた固定数である。例えば、その情報数が10の場合は、10個の分割区間の情報となり、道路の分割数は車両の速度に比例するので、ある一定時間走行する間の情報数となる。つまり、ある一定時間走行する際に通過するであろう複数の分割区間の仮想情報板用についての全てをセットする。以上のようにして応答電文を作成した後に、要求電文を発した車両80に対してその応答電文を転送する(S45)
【0029】
図5は車両80での処理のフローチャートである。車両80のカーナビ装置82は、GPSアンテナ81からの経度緯度情報により車両現在位置等を演算し(S81)、仮想情報板情報受信装置83がそれを取り込み前記した要求電文を作成し(S82)、これを携帯電話機84を経由して仮想情報板情報提供サーバ40に転送する(S83)。
【0030】
仮想情報板情報提供サーバ40はこの要求電文を受け取ると図4に示した処理により応答電文を作成するので、これを仮想情報板情報受信装置83が受け取る(S84)。この応答電文には仮想情報板(分割区間)とそこで提供すべき情報の対の組合せが複数組含まれているので、これをカーナビ装置82にセットする(S85)。以降は、GPSシステムで得られた車両現在位置情報によって分割区間が判別され、応答電文に含まれている当該分割区間と対の情報がカーナビ装置82のモニタ821に表示される。このとき、応答電文に分割区間と対の情報が2以上ある場合は、カーナビ装置82において予め設定しておいた優先順位によりその情報の内の1個が選択され、モニタ821に表示される。以上により、車両80では、このモニタ821が仮想情報板となり、車両80が走行する分割区間の切り替わりがGPSシステムによって判別される毎に、新たな分割区間に応じた提供情報がモニタ821に表示される。
【0031】
[変形例1]
なお、以上では特定の仮想情報板(特定の分割区間)で提供すべき情報は、外部システムからガイダンスサーバ10に取り込んだ複数の情報の内から、当該の車両に必要な提供情報のみをガイダンスサーバ10で選別して当該の車両に転送するようにしたので、当該の車両に転送するデータ量が少なくなり、無線通信網の使用コストや車両側の設備コスト等を削減できる。しかし、外部システムからガイダンスサーバ10に取り込んだ複数の情報のすべてをすべての車両に転送して、車両側において、該車両側で作成した要求電文に応じて応答電文を作成し、車両側で提供情報を選択して表示させることもできる。この場合は、個々の車両側に仮想情報板情報提供サーバ40に相当する構成を備えればよい。このようにすると、無線通信網の使用コストや車両側の設備コストは高くなるが、センタ100側のシステムを簡略化できる。
【0032】
[変形例2]
また、以上では車両が分割区間に入る毎に当該分割区間と対の情報が仮想情報板で表示されるようにしたが、予め車両の目的地を設定し、その目的地に沿った道路(運行予定のある道路)の各分割区間と対の情報を含む応答電文を当該車両に転送しておけば、道路の途中が二股に分かれていても、常に目的地に沿った道路の分割区間に応じた情報を表示することができるようになる。
【0033】
[変形例3]
また、以上では仮想情報板としてカーナビ装置82のモニタ821を使用したが、比較的大きな情報板を仮想情報板として車両の荷台や屋根に後ろ向きに設置した移動式情報板を使用することもできる。この場合は、当該車両の運転者に対してではなく、当該車両の後ろを同じ方向に走行する車両の運転者に対して、当該車両が分割区間を通過する際に切り替わることのある情報を表示して提供することができる。
【0034】
[変形例4]
また、以上では車両80のカーナビ装置82のモニタ821を仮想情報板としてそこに提供情報を表示するようにしたが、道路を歩行する人間に携帯電話機等の携帯無線通信機器を持たせ、この携帯無線通信機器のモニタを仮想情報板としてそこに提供情報を表示することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例の道路情報ガイダンスシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】車両側のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】ガイダンスサーバでの処理内容のフローチャートである。
【図4】仮想情報板情報提供サーバでの処理内容のフローチャートである。
【図5】車両側での処理内容のフローチャートである。
【図6】従来の固定情報板の設置の説明図である。
【図7】従来の固定情報板を使用する道路情報ガイダンスシステムの概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0036】
10:ガイダンスサーバ
20:固定情報板制御器
30:固定情報板
40:仮想情報板情報提供サーバ、41:メモリ
50:ファイヤウォール
60:無線通信網
70:ルータ
80:車両、81:GPSアンテナ、82:カーナビ装置、821:モニタ、83:仮想情報板情報受信装置、84:携帯電話機
90:道路
100:センタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を複数に分割して得た各分割区間毎に仮想情報板を設定し、該各仮想情報板に表示すべき気象あるいは道路に関する情報を前記分割区間と対で組み合わせて無線通信網を経由して車両に転送し、該車両が特定の分割区間に入ったことが識別されることにより、該特定の分割区間と対の情報を該車両が具備する表示手段を前記仮想情報板としてそこに表示させることを特徴とする道路情報ガイダンス方法。
【請求項2】
請求項1に記載の道路情報ガイダンス方法において、
前記車両が前記特定の分割区間に入ったことの識別は、前記車両が具備するGPSシステムにより行うことを特徴とする道路情報ガイダンス方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の道路情報ガイダンス方法において、
前記複数の分割区間と対の情報の組合せのすべてを前記車両に転送することを特徴とする道路情報ガイダンス方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の道路情報ガイダンス方法において、
前記複数の分割区間と対の情報の組合せの内、前記車両の現在地と進行方向又は現在地と進行方向および後方方向に応じた分割区間と対の情報の組合せのみを予め選択して前記車両に転送することを特徴とする道路情報ガイダンス方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の道路情報ガイダンス方法において、
前記複数の分割区間と対の情報の組合せの内、前記車両の通行予定のある道路の分割区間と対の情報の組合せのみを予め選択して前記車両に転送することを特徴とする道路情報ガイダンス方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の道路情報ガイダンス方法において、
前記分割区間と組み合わせる対の情報を複数として前記車両に転送し、所定の分割区間において、前記車両において予め設定した優先順位にしたがって、前記複数の情報のうち1つが選択されるようにしたことを特徴とする道路情報ガイダンス方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つに記載の道路情報ガイダンス方法において、
前記分割区間は、前記道路の制限速度又は平均速度が高くなるほど長くなるよう設定することを特徴とする道路情報ガイダンス方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1つに記載の道路情報ガイダンス方法において、
前記車両を携帯無線通信機器に置き換えたことを特徴とする道路情報ガイダンス方法。
【請求項9】
道路を複数に分割して各分割区間に仮想情報板を設定すると共に、該各仮想情報板に表示すべき気象あるいは道路に関する情報を取り込んで前記各分割区間と対の情報の組合せを生成するセンタと、
該センタから無線通信網を経由して転送されて来る前記各分割区間と対の情報の組合せを取得し、特定の分割区間に入ることによりそれを認識して該特定の分割区間と対の情報を内部の表示手段を前記仮想情報板としてそこに表示させる車両と、
を備えることを特徴とする道路情報ガイダンスシステム。
【請求項10】
請求項9に記載の道路情報ガイダンスシステムにおいて、
前記車両は、前記特定の分割区間に入ったことの識別を前記車両が具備するGPSシステムにより行うことを特徴とする道路情報ガイダンスシステム。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の道路情報ガイダンスシステムにおいて、
前記センタは、前記複数の分割区間と対の情報の組合せのすべてを前記車両に転送することを特徴とする道路情報ガイダンスシステム。
【請求項12】
請求項9又は10に記載の道路情報ガイダンスシステムにおいて、
前記センタは、前記複数の分割区間と対の情報の組合せの内、前記車両の現在地と進行方向又は現在地と進行方向および後方方向に応じた分割区間と対の情報の組合せのみを予め選択して前記車両に転送することを特徴とする道路情報ガイダンスシステム。
【請求項13】
請求項9又は10に記載の道路情報ガイダンスシステムにおいて、
前記センタは、前記複数の分割区間と対の情報の組合せの内、前記車両の通行予定のある道路の分割区間と対の情報の組合せのみを予め選択して前記車両に転送することを特徴とする道路情報ガイダンスシステム。
【請求項14】
請求項9乃至13のいずれか1つに記載の道路情報ガイダンスシステムにおいて、
前記センタは、前記分割区間と組み合わせる対の情報を複数として前記車両に転送し、
前記車両は、所定の分割区間において、予め設定した優先順位にしたがって、前記複数の情報のうち1つを選択するようにしたことを特徴とする道路情報ガイダンスシステム。
【請求項15】
請求項9乃至14のいずれか1つに記載の道路情報ガイダンスシステムにおいて、
前記センタは、前記分割区間を前記道路の制限速度又は平均速度が高くなるほど長くなるよう設定することを特徴とする道路情報ガイダンスシステム。
【請求項16】
請求項9乃至14のいずれか1つに記載の道路情報ガイダンスシステムにおいて、
前記車両を携帯無線通信機器に置き換えたことを特徴とする道路情報ガイダンスシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−79653(P2007−79653A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263145(P2005−263145)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】