説明

選択的酸化プロセス

【課題】部分的なシリコンの選択酸化を行う際、集積回路の露出した金属含有材料が酸化されることを防ぐ製造方法を提供する。
【解決手段】シリコンおよび金属含有材料は、部分的に製造された集積回路の露出された部分であり、例えばトランジスタの一部を形成してもよい。このシリコンおよび金属含有材料は、酸化剤および還元剤を含む雰囲気中で酸化される。いくつかの実施形態では、この還元剤は約10体積%以下の濃度で存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、米国特許法第119条第(e)項に基づき、2009年2月13日出願の仮出願第61/152,617号に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
本願は、半導体加工に関し、より具体的には、金属窒化物などの金属含有材料よりもシリコンの選択的な酸化に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体デバイス製造は複雑なプロセスである。デバイスは、半導体基板上に形成されるのが典型的であり、絶縁要素によって隔てられた導電性素子を含むことがしばしばある。導電性素子は電極および相互接続する導体として作用してもよく、ポリシリコンまたは金属などの材料から形成されてもよい。
【0004】
トランジスタ素子などの種々の電子デバイスが集積回路の今日の製造において存在しており、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)は一般的なトランジスタ素子である。一般に、MOSFETは、ゲート誘電体の上に形成される導電性ゲート電極を含み、このゲート誘電体は、今度は、典型的には単結晶シリコンである半導体基板の上に存在する。信頼性が高いMOSFET性能のために、このゲート電極の電気伝導度を維持することが重要であり、このゲート電極は金属または金属窒化物などの導電性材料から構成されていてもよい。
【0005】
望ましい特徴を備えたMOSFETを成し遂げるために、誘電体を形成するなどのために、酸化が、半導体デバイス中の特定の構成要素においてしばしば行われる。例えば、酸化シリコンは、シリコン基板を酸化することによって作製することができる。残念ながら、シリコン材料の酸化の際の条件は、露出した金属の酸化を生じることが多い。例えば、金属または金属窒化物構造体が露出したままでシリコン基板の酸化を行うと、その金属または金属窒化物の周囲に金属酸化物の層が生じるということが起こり得る。この金属酸化物層は、所望の金属または金属窒化物を消費し、電流を誘導するために利用できる導電性金属の量を低下させる。寸法が連続的に小さくなるにつれて、酸化は、効果的に金属または金属窒化物を破壊することができるであろう。
【0006】
金属または金属窒化物は、その全体の抵抗が使用できるレベルを超えて上昇する点まで容易に酸化され得るため、選択的な酸化に対するニーズが存在する。選択的な酸化は、特性が酸化によって悪影響を受ける可能性がある他の構成要素の酸化、もしくはその構成要素の中での酸化物形成を同時に最少にするかまたは排除しつつ、所望の酸化物構成要素を形成する方法を用いる。シリコンを酸化するあいだタングステンおよびモリブデンを効果的に保護することができる選択的な酸化のための方法が存在する。しかしながら、Hガスの中の希薄な水蒸気の使用などの公知の選択的な酸化手法は、タングステンの酸化を防止するためには効果的であるものの、例えば、チタンまたは窒化チタンの保護にとっては効果的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、他の露出した部分で所望の酸化物を形成しつつ、かつかかる所望の酸化物の窒化を防止しつつまたはかかる所望の酸化物の窒化を許容できるほどに低いレベルまで低下させつつ、チタン構造体などの露出した金属含有部分の完全性を維持することに向けられた選択的な酸化プロセスに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のいくつかの態様によれば、選択的な酸化方法が提供される。この方法は、部分的に製造された集積回路を準備する工程を含む。この部分的に製造された集積回路は露出した金属含有部分および露出したシリコン部分を含む。この露出したシリコン部分は、上記部分的に製造された集積回路を酸化剤および還元剤を含む雰囲気(この還元剤は約10体積%以下の濃度にある)に曝露することによって酸化される。
【0009】
本発明のいくつかの他の態様によれば、選択的な酸化方法が提供される。この方法は、露出した金属含有部分および露出したシリコン部分を有する部分的に製造された電子デバイスを準備する工程を含む。この露出したシリコン部分は、この露出したシリコンおよび金属含有部分を酸化剤に曝露することによって酸化される。この露出したシリコンおよび金属含有部分は、酸化の際に還元剤に曝露される。酸化後、この露出した金属含有部分における酸素濃度は約2原子%以下であり、かつこのシリコン部分の露出した表面の窒素濃度は約20原子%以下である。
【0010】
本願明細書に提示される種々のデバイス、システムおよび方法の種々の特徴、態様および利点は、特定の実施形態の図面を参照して説明される。その図面はかかるデバイス、システム、および方法を図示することを意図しており、それらに限定することを意図してはいない。添付の図面は、本願明細書で論じられる実施形態の着想を図示する目的のためのものであり、原寸に比例していない場合があることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のいくつかの実施形態に係る、部分的に形成された半導体デバイスの略断面図である。
【図2】本発明のいくつかの実施形態に係る、図1の部分的に形成された半導体デバイスをパターニングプロセスに供した後のこのデバイスの略断面図である。
【図3】本発明のいくつかの実施形態に係る、図2の部分的に形成された半導体デバイスを酸化プロセスに供した後のこのデバイスの略断面図である。
【図4】NHの添加がある場合およびない場合の、選択的な酸化プロセスによって形成される酸化シリコン膜の見かけのSiON膜厚を示す。
【図5】本発明のいくつかの実施形態に係る、異なる温度における様々なレベルの還元剤を用いる酸化プロセスに供した後のTiNの酸素SIMSプロットを示す。
【図6】本発明のいくつかの実施形態に係る、800℃における、様々なレベルの還元剤および様々な酸化継続時間を用いる酸化プロセスに供した後のTiNの酸素SIMSプロットを示す。
【図7】本発明のいくつかの実施形態に係る、900℃における、様々なレベルの還元剤および様々な酸化継続時間を用いる酸化プロセスに供した後のTiNの酸素SIMSプロットを示す。
【図8】本発明のいくつかの実施形態に係る、異なる温度における、様々なレベルの本発明の還元剤を用いる選択的酸化によって形成される酸化シリコン中の窒素の百分率のプロットを示す。
【図9】本発明のいくつかの実施形態に係る、種々の還元剤濃度についての選択的酸化の後および選択的酸化の前の面積抵抗(R)の比(Rs酸化後/Rs酸化前)のプロットを示す。
【図10】本発明のいくつかの実施形態に係る、種々の還元剤濃度についての選択的酸化の後および選択的酸化の前の面積抵抗(R)の比(Rs酸化後/Rs酸化前)の詳細なプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
部分的に製造された集積回路のバルク金属部分は、例えば、トランジスタ用ゲート電極を含むことができる。それらを引き続く酸化プロセスから保護するために、このバルク金属部分の上にパッシベーション層を形成することができる。例えば、その部分的に製造された集積回路の他の部分の上に酸化物を形成するために使用される酸化剤から内部のバルク金属を保護するための金属窒化物を形成するために、このバルク金属の表面は窒化されることができる。
【0013】
しかしながら、金属窒化物もまた、酸化物を形成するために使用される酸化剤によって酸化され得ることが見出されている。酸化された金属窒化物は高い面積抵抗を有する可能性があるが、この金属窒化物は電流を誘導する機能を果たす集積回路構造体を形成するために使用することができるので、この高い面積抵抗は望ましくない。
【0014】
米国特許第6,265,297号では、選択的な酸化環境へのNHの添加が示唆された。この特許は、選択的な酸化のための1,000sccm〜10,000sccm(sccmは、0℃、1気圧における1分間あたりのcmを表す)のNH量および50sccm〜1,000sccmのHO量を開示する。この酸化プロセスは酸化シリコン形成に関しては困難さがある場合があることが見出されている。
【0015】
理論によっては制限されないが、高レベルのNHはシリコンの酸化と競合しそれを妨げると考えられる。さらに、このNHは、望ましくないことに、すでに形成された酸化シリコンを窒化する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、部分的に製造された集積回路の露出したシリコン部分を、この部分的に製造された集積回路の露出した金属含有部分よりも、選択的に酸化するための方法が提供される。この部分的に製造された集積回路は、プロセスチャンバの中で酸化される。酸化の際に、還元剤は、酸化用の酸化剤とともに低レベルでこのプロセスチャンバに与えられる。この還元剤の濃度は、約10体積パーセント(体積%)以下、または約1体積%以下、または約0.4体積%以下とすることができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、シリコンは、窒化チタン(TiN)などの金属窒化物よりも選択的に酸化される。有利なことに、この選択的な酸化は低酸素含有量を有する金属窒化物をもたらす。金属窒化物膜において低酸素含有量を成し遂げることによって、低い面積抵抗を有する金属膜を実現することができる。いくつかの実施形態では、TiN膜の酸素含有量は、酸化後に約2原子パーセント(原子%)以下、約1〜2原子%、または約1.0原子%以下であり、これにより有利に低い面積抵抗を有するTiN膜が形成される。
【0018】
種々の還元剤を酸化の際にプロセスチャンバに提供することができる。還元剤の例としては、NH、ヒドラジン、およびヒドラジン誘導体などの窒素含有還元剤が挙げられる。いくつかの他の実施形態では、この還元剤は、好ましくはアルコール基(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、およびカルボン酸基(−COOH)からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する有機還元剤である。この還元剤は、キャリアガスを用いてプロセスチャンバの中へと流されてもよい。この還元剤はキャリアガス種よりも強い還元剤であることは分かるであろう。
【0019】
窒素含有還元剤は窒素源となることができること、および酸化されたシリコンの窒化は、いくつかの用途では望ましくないことは分かるであろう。加えて、この還元剤は酸化シリコンの形成を妨げることがある。有利なことに、金属または金属窒化物の酸化を抑制しつつも酸化シリコンの窒化を抑制することができることが見出された。本願明細書に開示される還元剤のレベルにおいて、酸化物膜は、その金属または金属窒化物の酸素含有量は約2原子%以下、または約1原子%以下でありながら、十分な所望の厚さ、例えば約0.5nm以上、または約1nm以上まで形成することができる。好ましくは、当該酸化物膜の表面の窒素濃度は約10原子%以下または約10原子%以下である。
【0020】
別の実施形態では、露出した金属または金属窒化物の酸化を十分に防ぎつつも露出したシリコン上での酸化シリコンの形成を妨げない非窒化性の有機還元剤が、上記窒素含有還元剤とともに、または上記窒素含有還元剤の代わりに当該選択的な酸化プロセスに加えられる。
【0021】
ここで図面を参照することにする。図面では同じ数字は、全体を通して同じ部分を指す。本願明細書に開示される選択的な酸化プロセスは、露出したシリコンおよび金属含有表面を有する種々の構造体に対して適用できるということは分かるであろう。いくつかの特に有利な実施形態では、この構造体は露出したTiNに隣接した露出したシリコンを有する。
【0022】
図1を参照すると、この構造体は、シリコン基板の上に存在するトランジスタゲートスタックを含むことができる。このトランジスタゲートスタックは、下部電極および上部電極を有するゲート電極構造体を含むことができる。この上部電極は遷移金属、例えばチタン金属を含み、チタンから実質的になることができる。
【0023】
図1は、部分的に製造された集積回路100の略断面図を図示する。部分的に製造された集積回路100は、シリコン半導体基板110、ゲート誘電体層120、下部電極として使用するための導電層128および上部電極として使用するための遷移金属/金属窒化物層140を含む複数の半導体デバイス層を含む。シリコン半導体基板110は、典型的にはシリコンウエハの上に形成されるか、またはシリコンウエハの一部である。ゲート誘電体120は、酸化シリコン、高k材料、または異なる誘電材料の多層組み合わせであってよい。1つの実施形態では、および図1に示されるように、ポリシリコン、金属、金属合金または金属ケイ化物から形成される導電層128は、下部電極として使用するために、ゲート誘電体層120の上に形成される。遷移金属/金属窒化物層140は、上部電極として使用するために、導電層128の上に形成される。いくつかの実施形態では、層140は約5nm〜約100nmの厚さを有する。1つの実施形態では、層140はおよそ20nmの厚さを有する。図1に示される層を用いて、当該技術分野で公知のように適切な材料を堆積および/またはエッチングし、かつ適切なドーパントを選択された領域へと注入することによって、ゲート領域、ソース領域およびドレイン領域を有するMOSFETデバイスを確立することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、さらなる導電層または絶縁層が設けられてもよい。例えば、続けて図1を参照すると、拡散障壁150を層140と導電層128との間に設けることができる。拡散障壁150は、上部電極および下部電極144、130(図2)を形成する異なる材料間の拡散障壁として作用する非反応性の薄い導電性膜であることができる。
【0025】
図2は、ゲートスタックを形成するためにスタックされた層をマスキングおよびエッチングした後の図1の部分的に製造された集積回路100を図示する。ゲートスタックを形成するためのエッチングの後、存在する場合は、何らかの上に存在するマスクは取り除かれる。従って、このエッチングは、上部ゲート電極144、エッチングされた拡散障壁151、下部ゲート電極130、およびエッチングされたゲート誘電体層122を形成する。
【0026】
部分的に製造された集積回路100をエッチングした後、露出したシリコンが酸化される。図2に示されるように、シリコン基板110は、このエッチングプロセスによって損傷する可能性がある露出したシリコン領域124、126を有する。これらの領域を酸化することで、表面シリコン(ここにトランジスタの上記ソース領域またはドレイン領域が置かれてもよいことは理解されるであろう)を修復することができる。ある場合には、露出したシリコン領域124、126は、エッチングプロセスの際に損傷を受けた酸化シリコン層などの、上に存在する誘電体層(図示せず)を有していてもよい。上に存在する誘電体は、この誘電体を修復するために再酸化されてもよく、または下部界面の酸化物をその誘電体の中へと成長させてもよい。いくつかの実施形態では、露出したシリコン基板に加えて他の領域の酸化が、同様に所望されてもよく、その他の領域としては下部電極130が挙げられる。
【0027】
図3を参照すると、当該部分的に製造された集積回路100は、その後に選択的な酸化プロセスに供される。いくつかの実施形態では、露出したシリコン領域124、126および上部電極144、拡散障壁151および下部電極130は、水蒸気を含む酸化剤に曝露される。水蒸気は、シリコン領域124、126(図2)を選択的に酸化して酸化シリコン(例えば、熱的SiO)層314、315を形成するが、他方、上記電極スタックの導電性金属はわずかに酸化されるだけである。
【0028】
1つの実施形態では、このシリコンは、酸化の際には約550℃〜約900℃、より好ましくは約650℃〜約850℃の温度にある。好ましい実施形態では、この酸化は約750℃で起こる。この酸化は、水素で希釈された約0.0005体積%〜約90体積%の範囲の水蒸気濃度を有するチャンバの中で行ってもよく、より高い水蒸気圧は増強された酸化およびより低い選択性を生じる。好ましい酸化剤混合物は、水素で希釈された約0.05体積%〜約20体積%の水蒸気を含む。プロセスチャンバ中の条件(温度および圧力など)に応じて、酸化の継続時間は約2分間〜約240分間であってもよい。1つの実施形態では、酸化は750℃のチャンバの中で30分間行われ、露出したシリコン上に形成された約20Å〜約30Åの厚さを有する酸化シリコン層314が生じる。
【0029】
いくつかの実施形態では、上部電極144は主に金属からなるが、その外側表面は金属窒化物の保護層で覆われている。これは、金属窒化物は純粋な金属よりも選択的な酸化条件に良好に耐えることができるからである。保護用の金属窒化物膜は、窒素含有環境の中での金属電極の窒化によって形成することができるし、またはCVD、ALDまたはPVDなど(これらに限定されない)の堆積方法によって堆積することができる。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、酸化の際には、還元剤は酸化剤とともにプロセスチャンバに与えられる。異常に低いレベルの還元剤が窒化チタンの酸化を防止するのに、または酸化を無視できるレベルに保つのに効果的であることが見出された。いくつかの実施形態では、この還元剤は、プロセスチャンバの中に約10体積%以下、または約1体積%以下、または約0.4体積%以下の濃度で存在する。
【0031】
酸化の後、金属窒化物中の酸素の濃度は、いくつかの実施形態では例えば約2原子%以下、または約1原子%以下である。有利なことに、低い面積抵抗はこれらの酸素濃度で成し遂げられる。この金属窒化物を酸化剤による酸化に供しなくとも、アニールによってこの金属窒化物の面積抵抗を下げることができることは分かるであろう。他方、酸化は金属窒化物の面積抵抗を上昇させることができる。有利なことに、いくつかの実施形態では、選択的な酸化の後の面積抵抗の減少は、酸化を伴わないアニールによって引き起こされる減少と類似している。例えば、選択的な酸化の後および選択的な酸化の前の面積抵抗(R)の比(Rs酸化後/Rs酸化前)は、約0.3以下、または約0.25以下であってよい。
【0032】
還元剤は、トランジスタの形成およびシリコン表面の修復の際などに、いくつかの用途のための所望の厚さの酸化シリコンの形成を防止することができる。例えば、還元反応は酸化反応と競合することができ、これにより厚い酸化シリコン層の形成が防止される。加えて、酸化物の窒化はまた酸化シリコン膜の形成を妨げることもできる。これは図4に示される。選択的な酸化条件におけるSiO(N)層の増加が、20slm(slmは、0℃、1気圧における1分間あたりのリットルを表す) Hの流れを使用して、900℃に対する時間の関数として示される。加えて、5slm Nまたは4.9slm Nおよび0.1slm NHの流れを適用した。HO蒸気の分圧は560mTorr(約74Pa)であった。SiO(N)膜厚は、エリプソメータを使用して測定された。分析の際には屈折率は一定に保たれた。NHの添加によって酸化シリコン成長速度の強い減少が生じることを認めることができるが、これは望ましくない。有利なことに、本発明の実施形態は、酸化の際に還元剤をプロセスチャンバに与えつつも、相対的に厚い酸化シリコン層の形成を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、当該酸化シリコン層は約0.5nm以上、または約1.0nm以上、例えば、約0.5〜6nmまたは約1〜3nmの厚さを有する。
【0033】
還元剤に由来する元素が当該酸化された材料に組み込まれてもよいことは分かるであろう。例えば、還元剤が窒素含有化合物である場合、窒素が酸化された材料に組み込まれて、例えばSiONが形成されてもよい。いくつかの用途では、かかるSiON形成は最少にされる場合があるが、他方、他の用途ではSiONの形成は望ましい。有利なことに、本願明細書に開示される還元剤は、広い範囲の濃度にわたって金属または金属窒化物の酸化を防止するのに、または無視できるレベルの酸化を成し遂げるのに、一貫して効果的であることが見出された。しかしながら、窒素の組み込みは、還元剤濃度および温度とともに変わる。結果として、依然として金属窒化物の酸化を無視できるように保ちつつ所望のレベルの窒素の組み込みを成し遂げるために、還元剤を変えることができるということが見出された。
【0034】
加えて、酸化温度は、とりわけ還元剤の性質(identity)、部分的に製造された集積回路100の露出した表面との所望の反応性、および部分的に製造された集積回路100内部の化学種の反応性に基づいて選択することができるということは分かるであろう。例えば、酸化温度は、露出したシリコン表面の十分な酸化を成し遂げつつも、望ましくないその還元剤の早すぎる分解、および/または部分的に製造された集積回路100内部の化学種間の望ましくない反応を防止するように選択することができる。
【0035】
約850℃より低い選択的な酸化の温度は、還元剤が添加された場合、還元剤なしでの酸化よりもTiN膜中の酸素の比較的均一な減少をもたらすことが見出された。いくつかの実施形態では、TiN膜の中の酸素の量は、一桁減少する。約900℃以上では、バルクのTiNの中の酸素減少は同様であるが、TiNおよびSiOの界面の酸素のレベルは、例えばアニール前の酸素レベルよりも一桁増加することが見出された。理論によっては制限されないが、この増加は、その界面におけるTiNとSiOとの間の反応に起因すると考えられる。いくつかの実施形態では、TiN膜の中の比較的均一な酸素分布を成し遂げるため、およびTiNとSiOとの反応を防止するために、このアニールは約850℃で行われる。
【0036】
いくつかの実施形態では、この還元剤は窒素含有化合物、例えば、NHである。他の窒素含有還元剤の例としては、ヒドラジン(N)、メチルヒドラジン(N4−n(CH、n=1〜4)、エチルヒドラジン(N4−n(C、n=1〜4)、水素で飽和しているかまたはその水素原子のうちの1以上がハライドによって置換され、かつ酸素を含まない1〜4個の炭素原子の炭素鎖を有する他の有機ヒドラジン、アンモニア(NH)およびこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0037】
いくつかの他の実施形態では、この還元剤は、アルコール(−OH)、アルデヒド(−CHO)、およびカルボン酸(−COOH)からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する有機還元剤である。有利なことに、有機還元剤は、窒素を含まないように選択することができ、これにより、窒素含有還元剤を用いるアニールの際に起こり得るような酸化された半導体の窒化を防止することができる。
【0038】
この有機還元剤の望ましくない分解を防止するために、上記選択的な酸化環境は、酸素を含まないか、または非常に低い酸素含有量を有することが好ましい。なぜなら、酸素が存在すると当該化合物の酸化が生じるからである。酸素の場合とは異なり、水蒸気が当該有機化合物の酸化を生じることは見出されていないため、水蒸気が存在することは問題ではない。上記の有機化合物の多くの、酸素が存在しない場合の熱安定性は驚くほどに良好であり、それらは約800〜約900℃という温度に容易に耐えることができるが、酸素が存在すると、それらは数百℃で酸化を始めることになるということが見出された。
【0039】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアルコール基を含む還元剤は、一級アルコール、二級アルコール、三級アルコール、ポリヒドロキシアルコール、環状アルコール、芳香族アルコール、ハロゲン化アルコール、およびアルコールの他の誘導体からなる群から選択される。
【0040】
一級アルコールの例としては、別の炭素原子に結合した炭素原子に結合した−OH基を有するアルコール、例えば一般式(I):
【化1】

(式中、Rは直鎖状または分枝状のC〜C20アルキルまたはアルケニル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシル基である)
に係る一級アルコールが挙げられる。一級アルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−メチルプロパノールおよび2−メチルブタノールが挙げられる。
【0041】
二級アルコールの例としては、2つの他の炭素原子に結合した炭素原子に結合した−OH基を有するアルコール、例えば一般式(II):
【化2】

(式中、各Rは、独立に直鎖状または分枝状のC〜C20アルキルおよびアルケニル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシル基の群から選択される)
を有する二級アルコールが挙げられる。二級アルコールの例としては、2−プロパノールおよび2−ブタノールが挙げられる。
【0042】
三級アルコールの例としては、3つの他の炭素原子に結合した炭素原子に結合した−OH基を有するアルコール、例えば一般式(III):
【化3】

(式中、各Rは独立に、直鎖状または分枝状のC〜C20アルキルおよびアルケニル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシル基の群から選択される)
を有する三級アルコールが挙げられる。三級アルコールの例はtert−ブタノールである。
【0043】
ジオールおよびトリオールなどのポリヒドロキシアルコールいくつかの例は、上記のとおりの一級、二級および/または三級アルコール基を有する。好ましいポリヒドロキシアルコールの例はエチレングリコールおよびグリセロールである。
【0044】
環状アルコールのいくつかの例は、1〜10個、または5〜6個の炭素原子の環の一部である少なくとも1つの炭素原子に結合した−OH基を有する。
【0045】
芳香族アルコールの例としては、ベンゼン環または側鎖にある炭素原子のいずれかに結合された少なくとも1つの−OH基を有する芳香族アルコールが挙げられる。芳香族アルコールの例としては、ベンジルアルコール、o−、p−およびm−クレゾールおよびレゾルシノールが挙げられる。
【0046】
ハロゲン化アルコールの例としては、一般式(IV):
【化4】

(式中、Xは、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択され、nは0〜2の整数であり、Rは直鎖状または分枝状のC〜C20アルキルおよびアルケニル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシル基の群からから選択される)
を有するアルコールが挙げられる。いくつかの実施形態では、XはFおよびClからなる群から選択され、Rはメチルおよびエチル基からなる群から選択される。好ましいハロゲン化アルコールの例は2,2,2−トリフルオロエタノールである。
【0047】
アルコールの他の好ましい誘導体としては、メチルエタノールアミンなどのアミンが挙げられる。
【0048】
少なくとも1つのアルデヒド基(−CHO)を含む還元剤の例としては、一般式(V)を有する化合物、一般式(VI)を有するアルカンジアール化合物、ハロゲン化アルデヒドおよびアルデヒドの他の誘導体からなる群から選択される化合物が挙げられる。
【0049】
従って、1つの実施形態では、当該還元剤は、一般式(V):
【化5】

(式中、Rは、水素および直鎖状または分枝状のC〜C20アルキルおよびアルケニル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシル基からなる群から選択される)
を有するアルデヒドである。いくつかの実施形態では、Rはメチルまたはエチル基からなる群から選択される。式(V)に係る化合物の例は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドおよびブチルアルデヒドである。
【0050】
いくつかの他の実施形態では、この還元剤は一般式(VI):
【化6】

(式中、Rは直鎖状または分枝状のC〜C20の飽和または不飽和の炭化水素である)
を有するアルデヒドである。あるいは、このアルデヒド基は互いに直接結合されていてもよい(Rは存在しないかまたは除かれている)。
【0051】
少なくとも1つの−COOH基を含む還元剤は、一般式(VII)の化合物、ポリカルボン酸、ハロゲン化カルボン酸およびカルボン酸の他の誘導体からなる群から選択されてもよい。
【0052】
従って、いくつかの実施形態では、この還元剤は一般式(VII):
【化7】

(式中、Rは水素、または直鎖状もしくは分枝状のC〜C20アルキルまたはアルケニル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルもしくはヘキシル、より好ましくはメチルまたはエチル基である)
を有するカルボン酸である。式(VII)に係る化合物の例は、ギ酸および酢酸である。
【0053】
本願明細書に開示される種々の還元剤は、酸化後アニールの際に単独でまたは互いと組み合わせて使用することができることは分かるであろう。
【実施例】
【0054】
SiO上に堆積された厚さ45nmのPVDブランケットTiN膜を有する基板およびむき出しのSi基板を、種々の条件下で酸化プロセスに供した。これらのTiN膜は実際のデバイスで通常使用される膜よりも厚いが、このTiN膜によって、SIMS厚さプロファイルを良好な深さの分解能で測定することができた。この良好な深さの分解能は、酸化メカニズムについての情報を提供することができ、その膜の界面と本体(bulk)とを区別することを可能にする。
【0055】
複数の上記基板を、オランダ、アルメレ(Almere)のエーエスエム・インターナショナル社(ASM International,N.V.)から市販されているA412(商標)バッチ反応器の中に入れた(loaded)。図5〜図10に注記した条件および流量を使用してこの基板を酸化した。NおよびHをキャリアガスとして使用した。NHを還元剤として使用した。当業者なら、プロセスチャンバの中のNHの体積%は、このプロセスチャンバに入るガスの流れ中のNHの体積%を測定することによって算出できることは理解するであろう。ほとんどの例において、0.1slmのNH流量は約0.4体積%のNH濃度に対応し、0.5slmのNH流量は約2体積%のNH濃度に対応し、2.5slmのNH流量は約10体積%のNH濃度に対応する。
【0056】
Oを酸化剤として使用した。このHOは、上記H流れの一部を20.8℃の温度に維持されかつおよびこのHOを収容しているバブラーへと迂回させ、次いでこのH+HO流れを上記プロセスチャンバへと導くことによって、上記プロセスチャンバの中へと流した。図中に示したHO分圧は、飽和HO/H流れを仮定し、HOの飽和蒸気圧を18.4Torr(約2.45kPa)と考え、かつ全流れに対するH流れの分率を考慮して、上記Hの流量から算出した。
【0057】
種々の実験から、金属窒化物の酸化を低下させる上での還元剤の有効性およびまた当該還元剤が有効である大きな濃度範囲が示された。図5〜図7の各々において、この金属窒化物の表面において高い酸素濃度が見出され、これは、この金属窒化物の表面における未変性の金属酸化物(例えば、TiO)の存在を示す。約530Åの縦線は、金属窒化物(これらの実験においてはTiN)の厚さを示す。酸化シリコン層がこの金属窒化物の下に存在している。
【0058】
図5を参照すると、酸素SIMSプロットは、酸化後の深さの関数としての酸素の濃度を示す。この酸化は、還元剤を用いておよび還元剤を用いずに、ならびに異なる温度において行った。この酸化は、約800℃〜約900℃の温度で行った。
【0059】
続けて図5を参照して、酸素濃度は、酸化の際に還元剤を加えなかった場合に最も高かった。還元剤を添加すると、還元剤をまったく添加しなかった場合よりも酸素濃度が少なくとも一桁減少した。約800℃において、この減少は、この金属窒化物の深さにわたって非常に均一であった。約900℃というより高い温度およびより高い還元剤濃度では、酸素濃度は、当該膜の本体(bulk)ではより低いが、下に存在する酸化シリコンに近づくにつれて増加することが判明した。理論によっては制限されないが、この増加は酸化シリコンと金属窒化物との相互作用に起因していると考えられる。酸化物または他の酸素含有材料が金属窒化物と接触しない場合では、酸素濃度のこの増加は起こらない。条件1および2に対する当該膜の本体(bulk)における比較的平坦な酸素濃度プロファイルは、このTiN膜における酸素原子の移動度が高いことを示す。TiNは金属に対する良好な拡散障壁であるが、酸素に対してはそのような良好な障壁ではない。
【0060】
図6を参照すると、温度を800℃で一定に保って酸化の継続時間および還元剤の濃度を変化させた。酸素濃度はこの金属窒化物層の厚さにわたって非常に均一であり、境界におけるより高いレベルの酸素は上側表面におけるTiOの存在および下側表面における酸化シリコンとの相互作用に起因する。注目すべきは、3倍を超えて酸化の継続時間を増加しても、酸素濃度は著しくは変化しなかったことである。加えて、還元剤濃度を5倍増加させても、わずかのさらなる酸素濃度の減少しか生じなかった。
【0061】
図7を参照すると、温度を900℃で一定に保って酸化の継続時間および還元剤の濃度を変化させた。金属窒化物層の表面より下で減少した後、酸素濃度は、下に存在する酸化シリコンに近づくにつれて増加した。理論によっては制限されないが、これは、金属窒化物の中への酸素の移動を生じる金属窒化物と酸化物との間の相互作用によって引き起こされると考えられる。注目すべきは、3倍を超えて酸化の継続時間を増加しかつ還元剤濃度を5倍変化させても、酸素濃度は著しくは変化しなかったことである。
【0062】
図5〜図7のすべてにおいて、TiN膜の内部での酸素濃度を約1×1021原子/cm未満のレベルまで減少させるには、わずかの濃度のNHの添加で十分であった。
【0063】
図8を参照すると、この酸化シリコンの中への窒素の組み込みを、酸化温度および還元剤濃度を変えて分析した。この窒素の組み込みは、温度の上昇およびこの還元剤の濃度の上昇とともに上昇することが判明した。最も高いNH濃度(25slmの総流量において5slm=20体積%)について、この酸化シリコンの表面領域における窒素濃度は約20原子%であった。NH濃度を低下させると、10原子%以下の窒素濃度が生じた。
【0064】
図9を参照すると、選択的な酸化の後および選択的な酸化の前の面積抵抗(R)の比(Rs酸化後/Rs酸化前)を、異なる厚さ(10nmおよび45nm)のTiN膜について分析した。この酸化は、900℃で3時間、146mTorr(約19Pa)のHO分圧および図中に示すような還元剤流れ(NH流れ)で行った。加えて、Nを4.5slmで直接プロセスチャンバの中へと流し、Hを20slmで直接プロセスチャンバの中へと流した。基準として、厚さ45nmのTiN層を、HOをそのチャンバの中へと流さなかったことを除いて同じ条件下で処理した。この基準についてのRs酸化後/Rs酸化前は0.16であった。基準試料の面積抵抗の減少は、H/N中でのアニーリングに起因し、その膜の構造の改良に関連する。他の試料について、面積抵抗の変化は、アニーリング効果による面積抵抗の減少とTiN膜の酸化に起因する抵抗の増加との組み合わせである。分かるとおり、NH還元剤の添加は、45nm膜については約0.2、および10nm膜については約0.24〜0.27の有利なことに低いRs酸化後/Rs酸化前比を生じた。注目すべきは、この還元剤の添加は、広い範囲の濃度にわたって効果的であったことである。
【0065】
図10を参照すると、厚さ45nmのTiN膜についての選択的な酸化の後および選択的な酸化の前の面積抵抗(R)の比(Rs酸化後/Rs酸化前)を、より小さいNH流れまで広げて広い範囲のNH流れにわたって検討した。このRs酸化後/Rs酸化前は、約0.22〜約0.19の間で変化し、これはさらに、このTiN膜を酸化から「保護する」ための、還元剤(この試料ではNH)の有効性を示す。約0.2体積%(25slmの中の0.05slm NH)のNH濃度が効果的であることが判明した。
【0066】
図示した実施形態はTiN層を有するトランジスタスタックを有する部分的に製造された集積回路を記載するが、露出した金属または金属窒化物およびシリコン部分を有する種々の他の構造が、金属または金属窒化物よりもシリコンが選択的に酸化されるように選択的に酸化されてもよいことは分かるであろう。いくつかの実施形態では、1以上の他のTiN層の代わりにまたは1以上の他のTiN層に加えて(例えば、本願明細書に記載される方法によって形成される)TiNパッシベーション層を有するトランジスタスタックが提供されてもよい。TiNに加えて他の金属含有層が、本願明細書に記載される還元剤を用いるアニールを使用することから恩恵を受け得ることも、当業者なら分かるであろう。例えば、他の金属(金属窒化物を含む)の層を有する半導体構造体を、TiNに加えてまたはTiNの代わりに、同様に使用してよく、その構造体としては窒化タングステンを有する構造体が挙げられることは、当業者なら分かるであろう。例えば、TaN、WN、MoNおよびNbNはTiNと類似した特性を有するので、これらの窒化物をTiNの代わりに使用することができる。さらに、VN、HfNおよびZrNを考慮することができる。より一般的には、本発明は、遷移金属および/または遷移金属窒化物を含む構造体に応用することができる。
【0067】
加えて、いくつかの実施形態では、トランジスタ構造体は、典型的にはシリコンを含む基板の上に1以上の導電層および絶縁層を含んでいてもよいことは分かるであろう。このトランジスタ構造体は、チタン金属ゲート層がゲート誘電体の上に形成されるパターン形成されたゲート構造を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、このチタン金属ゲート層は、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)デバイスまたはFLASHメモリデバイスなどのトランジスタメモリデバイスの一部として電荷またはデータを格納してもよい、ポリシリコンをしばしば含む「フローティングゲート」の上の制御ゲートとしての役割を果たしてもよい。
【0068】
従って、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、本発明において種々の変更および変形をなすことができるということは当業者には明らかであろう。従って、本発明の変更および変形が添付の特許請求の範囲またはその均等物の範囲内に入る限り、本発明はそれらにも及ぶということが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的な酸化方法であって、
部分的に製造された集積回路を準備する工程であって、前記部分的に製造された集積回路は露出した金属含有部分および露出したシリコン部分を含む工程と、
前記部分的に製造された集積回路を酸化剤および還元剤を含む雰囲気に曝露することによって前記露出したシリコン部分を酸化する工程であって、前記還元剤は約10体積%以下の濃度にある工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記還元剤の濃度が約1体積%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記還元剤の濃度が約0.4体積%以下である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記還元剤がNHである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、HおよびNを含むキャリアガスを用いて前記還元剤を流す工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記還元剤が、N、N4−n(CH(式中、n=1〜4)、N4−n(C(式中、n=1〜4)、水素で飽和しているかまたはその水素原子のうちの1以上がハライドによって置換され、かつ酸素を含まない1〜4個の炭素原子の炭素鎖を有する他の有機ヒドラジンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記還元剤が有機還元剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記有機還元剤が、アルコール基(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、およびカルボン酸基(−COOH)からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アルコール基を有する前記有機還元剤が、一級アルコール、二級アルコール、三級アルコール、ポリヒドロキシアルコール、環状アルコール、およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アルデヒド基を有する前記有機還元剤が、
一般式R−CHOを有する化合物(式中、Rは水素または直鎖状もしくは分枝状のC〜C20アルキルまたはアルケニル基である)、
一般式OHC−R−CHOを有する化合物(式中、Rは直鎖状または分枝状のC〜C20の飽和または不飽和の炭化水素である)、
式OHC−CHOの化合物、
ハロゲン化アルデヒド、および
アルデヒドの他の誘導体
からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記カルボン酸基を有する前記有機還元剤が、
一般式RCOOHの化合物(式中、Rは水素または直鎖状もしくは分枝状のC〜C20アルキルまたはアルケニル基である)、
ポリカルボン酸、
ハロゲン化カルボン酸、および
カルボン酸の他の誘導体
からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記酸化剤がHOである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記金属含有部分が遷移金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記金属含有部分が金属窒化物である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記金属窒化物がTiNである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記金属含有部分がトランジスタゲートスタックの一部を形成する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記露出したシリコン構造体が前記トランジスタゲートスタックに隣接するソース領域およびドレイン領域を画定する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記露出したシリコン部分を酸化することによって、約0.5nm以上の厚さを有する酸化シリコン層が形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記露出したシリコン部分を酸化する工程が、約850℃以下の基板温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
選択的な酸化方法であって、
露出した金属含有部分および露出したシリコン部分を有する部分的に製造された電子デバイスを準備する工程と、
前記露出したシリコンおよび金属含有部分を酸化剤に曝露することによって、前記露出したシリコン部分を酸化する工程と、
酸化の際に、前記露出したシリコンおよび金属含有部分を還元剤に曝露する工程であって、酸化後は、前記露出した金属含有部分における酸素濃度が約2原子%以下であり、かつ前記シリコン部分の露出した表面の窒素濃度は約20原子%以下である工程と
を含む方法。
【請求項21】
前記部分的に製造された電子デバイスが部分的に製造されたトランジスタである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
酸化シリコン層が、前記露出したシリコン部分を酸化した後に、約10%以下の表面窒素濃度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記金属含有部分の内部が、前記露出したシリコン部分を酸化した後に、約1×1021原子/cm以下の酸素濃度を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記還元剤がNHである、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記還元剤が、N、N4−n(CH(式中、n=1〜4)、N4−n(C(式中、n=1〜4)、水素で飽和しているかまたはその水素原子のうちの1以上がハライドによって置換され、かつ酸素を含まない1〜4個の炭素原子の炭素鎖を有する他の有機ヒドラジンからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−199576(P2010−199576A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−27166(P2010−27166)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(501380070)エーエスエム インターナショナル エヌ.ヴェー. (26)
【氏名又は名称原語表記】ASM INTERNATIONAL N.V.
【Fターム(参考)】