説明

選択的非ステロイド系糖質コルチコイド受容体調節剤

本発明は、各種の自己免疫性および炎症性の疾患もしくは状態を治療するための新規な非ステロイド系選択的糖質コルチコイド受容体調節剤として有用であり、望ましくない副作用、効力、毒性および/または代謝に関してステロイド系糖質コルチコイドリガンドに勝る長所を有する式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物を包含する。医薬組成物および使用方法も含まれる。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
細胞内受容体(IR類)は、遺伝子発現の調節に関与する構造的に関連のあるタンパク質類である。ステロイドホルモン受容体は、このスーパーファミリーの1下位集合であり、その天然リガンドが代表的にはエストラジオール、プロゲステロンおよびコルチゾールからなるものである。これら受容体に対する合成のリガンドは、ヒトの健康において重要な役割を果たし、その受容体の中でも糖質コルチコイド受容体(GR)はヒトの生理および免疫応答において非常に重要な役割を有する。糖質コルチコイド受容体と相互作用するステロイドは、強力な抗炎症剤であることが明らかになっている。ただし、無機質コルチコイド、プロゲステロンおよびアンドロゲン受容体などの他のステロイドホルモン受容体との交差反応性のために、問題となる付随的薬理作用が生じる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
糖質コルチコイド受容体での転写抑制からの転写促進の解離が、ステロイド療法に関連する副作用プロファイルの改善に向けた方途であると考えられている。ステロイド類などのGR調節剤の有用な抗炎症活性は、催炎性サイトカイン類、接着分子および酵素をコードする遺伝子の転写抑制によって起こると考えられている。そのような薬剤に関連する望ましくない副作用の多くが、恒常性内分泌機能の下流での混乱を生じる遺伝子転写の促進または誘発によって生じると考えられている。これらの影響を受ける代謝プロセスの一部には、誘発性糖新生、誘発性アミノ酸分解、骨粗鬆症、HPA軸の抑制、続発性副腎抑制の誘発、電解質濃度における変化、脂質代謝における変化、成長遅延、創傷治癒障害および皮膚薄化などがある。転写促進に関する受容体の可能な拮抗作用など、転写抑制および転写促進に関連するGRの弱い作働作用、部分的作働作用および完全な作働作用を、関節リウマチおよび喘息などの炎症疾患および自己免疫疾患の治療に利用することができる。最近の総説については、(a)カトらの著作(Recent Advances in Glucocorticoid Receptor Action; Cato, A.C.B., Schacke, H., Asadullah, K., Eds.; Springer−Verlag: Berlin−Heidelberg, Germany, 2002.)、(b)コーランらの著作(Coghlan, M.J.; Elmore, S.W.; Kym, P,R,; Kort, M.E. In Annual Reports in Medicinal Chemistry; Doherty, A.M., Hagmann, W.K., Eds.; Academic Press: San Diego, CA, USA, 2002; Vol. 37, Ch. 17, pp 167−176.)を参照する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、下記式Iの化合物:
【0004】
【化9】

【0005】
またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物であって、各種の自己免疫および炎症疾患または状態を治療するための新規な非ステロイド系選択的糖質コルチコイド受容体調節剤として有用であり、望ましくない副作用、効力、毒性および/または代謝に関してステロイド系の糖質コルチコイドリガンドに勝る長所を有するものを包含する。医薬組成物および使用方法も含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、下記式Iによって表される化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物を包含する。
【0007】
【化10】

式中、
nは0、1または2であり;
JはNRまたはC(R)(R)から選択され;
KはNRまたはC(R)(R)から選択され;
LはNRまたはC(R)(R)から選択され;
Xは−OR、−N(R)−Y−Rまたは−S(O)−Rからなる群から選択され;
Yは結合、−C(O)−、−C(O)−O−[「−O−」基の結合箇所はRに対するものであってアルコキシ部分を形成]、−S(O)−および−C(O)−N(R12)−[窒素基の結合箇所はRに対するものである]から選択され;
jは独立に0、1または2であり;
、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に、
(1)水素[ただし、Rは水素ではなく、RはYが結合もしくは−C(O)−N(R12)−である場合に限って水素である]、
(2)C1−6アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)C2−6アルキニル、
(5)C3−6シクロアルキル、
(6)アリール、
(7)アラルキル、
(8)HET
(9)−C1−6アルキル−HET
(10)アラルケニル、
(11)アラルキニルおよび
(12)アリールスルホニルアルキル
からなる群から選択され、
上記の項(2)〜(5)ならびに上記の項(7)、(9)および(12)のアルキル部分ならびに上記の項(10)のアルケニル部分ならびに上記の項(11)のアルキニル部分は、1から最大数までの置換可能な位置で、独立にハロ、オキソ、OR11、N(R12、C3−6シクロアルキルおよびC1−4アルキル−S(O)−(mは0、1または2である)からなる群から選択される置換基によって置換されていても良く;
上記の項(6)および(8)ならびに上記の項(7)、(10)、(11)および(12)のアリール部分ならびに上記の項(9)のHET部分は、1から最大数までの置換可能な位置で、独立に
(a)ハロ、
(b)OR11
(c)N(R12
(d)C1−6アルキル、
(e)C2−6アルケニル、
(f)C2−6アルキニル、
(g)C1−6アルキル−S(O)−(pは0、1または2である)、
(h)アリール、
(i)アリール−S(O)−(qは0、1または2である)、
(j)HET
(k)アラルキル、
(l)アロイル、
(m)アリールオキシ、
(n)アラルコキシおよび
(o)CN
からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
上記の項(d)〜(g)ならびに上記の項(k)のアルキル部分は、1から最大数までの置換可能な位置で、独立にハロ、OR11およびN(R12からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
上記の項(h)、(i)、(j)、(l)および(m)ならびに上記の項(k)および(n)のアリール部分は、1から最大数までの置換可能な位置で、独立にハロ、OR12およびC1−4アルキルからなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に
(1)水素、
(2)ハロ、
(3)C1−6アルキル、
(4)C2−6アルケニル、
(5)C2−6アルキニル、
(6)C3−6シクロアルキル、
(7)C1−6アルコキシ、
(8)C1−6アルキル−S(O)−(rは0、1または2である)、
(9)アリール、
(10)アラルキル、
(11)HETおよび
(12)−C1−6アルキル−HET
からなる群から選択され;
上記の項(3)〜(8)ならびに上記の項(10)および(12)のアルキル部分は、1から最大数までの置換可能な位置で、独立にハロ、OR11、N(R12およびC1−6アルキル−S(O)−(sは0、1または2である)からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
項(9)および(11)ならびに項(10)の前記アリール部分ならびに項(12)の前記HET部分は、1個から最大数の置換可能な位置で、独立に
(a)ハロ、
(b)OR11
(c)N(R12
(d)C1−6アルキル、
(e)C2−6アルケニル、
(f)C2−6アルキニルおよび
(g)C1−6アルキル−S(O)−(tは0、1または2である)
からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
上記の項(d)〜(g)は、1から最大数までの置換可能な位置で、独立にハロ、OR11およびN(R12からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
あるいはRおよびRまたはRおよびRが一体となって、二重結合を形成していても良く;
は、
(1)水素、
(2)OR11
(3)C1−4アルキル、
(4)アリールおよび
(5)アラルキル
からなる群から選択され;
上記の項(3)および上記の項(5)のアルキル部分は、1個から最大数の置換可能な位置で、独立にハロ、OR11およびN(R12からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
上記の項(4)および上記の項(5)のアリール部分は、1個から最大数の置換可能な位置で、独立に
(a)ハロ、
(b)OR11
(c)N(R12
(d)C1−6アルキル、
(e)C2−6アルケニルおよび
(f)C2−6アルキニル
からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
上記の項(d)〜(f)は、1個から最大数の置換可能な位置で、独立にハロ、OR11およびN(R12からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
各RおよびR10は独立に、
(1)ハロ、
(2)C1−6アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)C1−6アルコキシおよび
(5)ヒドロキシ
からなる群から選択され;
上記の項(2)〜(4)は、1個から最大数の置換可能な位置で、独立にハロ、OR12、N(R11およびC1−6アルキル−S(O)(uは0、1または2である)からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
各R11およびR12は独立に、水素ならびに1個から最大数の置換可能な位置でハロで置換されていても良いC1−4アルキルからなる群から選択され;
HET、HET、HET、HETおよびHETはそれぞれ独立に、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキザリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルからなる複素環の群から選択される。
【0008】
式Iの化合物の環Aで示した適宜の二重結合は、点線として描かれており、下記で示したようにその二重結合が存在しても存在しなくても良いことを意味する。
【0009】
【化11】

式Iにおける置換基R10は、存在していても存在していなくても良い。存在する場合、1個または2個のR10基が下記の位置を占有していることができる。
【0010】
【化12】

2個のR10基が同一炭素原子上にあっても良い。
【0011】
式Iにおける置換基Rは、存在していても存在していなくても良い。存在する場合、2個または3個のR基が下記の位置を占有していることができる。
【0012】
【化13】

2個のR基が同一炭素原子上にあっても良い。
【0013】
式Iの化合物の環Bで示した適宜の二重結合は、下記の位置を占有することができる。
【0014】
【化14】


式Iで定義のJ、KおよびLは、例えば下記の構造を意味する。
【0015】
【化15】


本発明の1実施形態は、
JがNRであり;
KがNRであり;
LがC(R)(R)であり;
およびRが一体となって二重結合を形成している式Iの化合物の一つの属を包含する。
【0016】
本発明の別の実施形態は、式Iの化合物の環Aにおける適宜の二重結合が存在する式Iの化合物を包含する。
【0017】
本発明の別の実施形態は、Xが−ORである式Iの化合物を包含する。
【0018】
本発明の別の実施形態は、Xが−N(R)−Y−Rであり;Yが−C(O)−、−C(O)−O−[前記「−O−」基の結合箇所がRに対するものでアルコキシ部分を形成している]、−S(O)−および−C(O)−N(R12)−[窒素基の結合箇所がRに対するものである]から選択される式Iの化合物を包含する。
【0019】
本発明の別の実施形態は、Xが−S(O)−Rである式Iの化合物を包含する。
【0020】
本発明の別の実施形態は、nが0であり;環Bにおける適宜の二重結合が存在しない式Iの化合物を包含する。
【0021】
本発明の1実施形態は、下記式IIの化合物またはその化合物の製薬上許容される塩もしくは水和物を包含する。
【0022】
【化16】

式中、
Xは−OR、−N(R)−Y−R、−S(O)−Rからなる群から選択され;
Yは結合、−C(O)−、−C(O)−O−[「−O−」基の結合箇所はRに対するものであってアルコキシ部分を形成]、−S(O)−および−C(O)−N(R12)−[窒素基の結合箇所はRに対するものである]から選択され;
jは0、1または2であり;
nは0または1であり;
、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に、
(1)水素[ただし、Rは水素ではなく、RはYが結合もしくは−C(O)−N(R12)−である場合に限って水素である]、
(2)C1−6アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)C2−6アルキニル、
(5)C3−6シクロアルキル、
(6)アリール、
(7)アラルキル、
(8)HET
(9)−C1−6アルキル−HET
(10)アラルケニル、
(11)アラルキニルおよび
(12)アリールスルホニルアルキル
からなる群から選択され、
上記の項(2)〜(5)ならびに上記の項(7)、(9)および(12)のアルキル部分ならびに上記の項(10)のアルケニル部分ならびに上記の項(11)のアルキニル部分は、オキソならびに適宜にハロ、OR11、N(R12、C3−6シクロアルキルおよびC1−4アルキル−S(O)−(mは0、1または2である)からなる群から独立に選択される1〜3個の置換基によって置換されていても良く;
上記の項(6)および(8)ならびに上記の項(7)、(10)、(11)および(12)のアリール部分ならびに上記の項(9)のHET部分は、独立に
(a)ハロ、
(b)OR11
(c)N(R12
(d)C1−6アルキル、
(e)C2−6アルケニル、
(f)C2−6アルキニル、
(g)C1−6アルキル−S(O)−(pは0、1または2である)、
(h)アリール、
(i)アリール−S(O)−(qは0、1または2である)、
(j)HET
(k)アラルキル、
(l)アロイル、
(m)アリールオキシ、
(n)アラルコキシおよび
(o)CN
からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く;
上記の項(d)〜(g)ならびに上記の項(k)のアルキル部分は、独立にハロ、OR11およびN(R12からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く;
上記の項(h)、(i)、(j)、(l)および(m)ならびに上記の項(k)および(n)のアリール部分は、独立にハロ、OR12およびC1−4アルキルからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く;
各R11およびR12は独立に、水素ならびに1〜3個のハロ基で置換されていても良いC1−4アルキルからなる群から選択され;
HET、HETおよびHETはそれぞれ独立に、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキザリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルからなる複素環の群から選択される。
【0023】
本発明の別の実施形態は、
Xが−ORであり;
nが1であり;
が、
(1)水素、
(2)アセチル、
(3)ベンジル、
(4)C1−6アルキル、
(5)C2−6アルケニル、
(6)C2−6アルキニルおよび
(7)C3−6シクロアルキル
からなる群から選択され、
が、
(1)水素、
(2)C1−6アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)C2−6アルキニル、
(5)C3−6シクロアルキル、
(6)アリール、
(7)アラルキル、
(8)HET
(9)−C1−6アルキル−HET
(10)アラルケニル、
(11)アラルキニルおよび
(12)アリールスルホニルアルキル
からなる群から選択され、
上記の項(2)〜(5)ならびに上記の項(7)、(9)および(12)のアルキル部分ならびに上記の項(10)のアルケニル部分ならびに上記の項(11)のアルキニル部分が、オキソならびに適宜にハロ、OR11およびC3−6シクロアルキルからなる群から独立に選択される1〜3個の置換基によって置換されていても良く;
上記の項(6)および(8)ならびに上記の項(7)、(10)、(11)および(12)のアリール部分ならびに上記の項(9)のHET部分が、独立に
(a)ハロ、
(b)C1−6アルキル、
(c)C1−4アルコキシおよび
(d)アリール
からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く;
11が、水素ならびに1〜3個のハロ基で置換されていても良いC1−4アルキルからなる群から選択され;
HETおよびHETがそれぞれ独立に、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキザリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルからなる複素環の群から選択される式IIの化合物を包含する。
【0024】
この実施形態には、

(1)水素、
(2)C1−6アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)C2−6アルキニル、
(5)C3−6シクロアルキル、
(6)フェニルもしくはナフチル、
(7)ベンジルもしくはフェネチル、
(8)ベンゾチオフェン、
(9)フェニルエテニル、
(10)フェニルエチニル、および
(11)フェニルスルホニルメチル
からなる群から選択され;
上記の項(2)〜(5)が、独立にハロ、OR11およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く;
上記の項(6)ならびに上記の項(7)、(9)、(10)および(11)のフェニル部分が独立に、
(a)ハロ、
(b)C1−6アルキル、
(c)C1−4アルコキシおよび
(d)フェニル
からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換されていても良い式IIの化合物が包含される。
【0025】
本発明の別の実施形態は、
Xが、−N(R)−Y−Rであり;
Yが、−C(O)−、−C(O)−O−[「−O−」基の結合箇所はRに対するものであってアルコキシ部分を形成]、−S(O)−および−C(O)−N(R12)−[窒素基の結合箇所はRに対するものである]から選択され;
nが1であり;
およびRがそれぞれ独立に、
(1)水素(ただし、Rは水素ではない)、
(2)C1−6アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)C2−6アルキニル、
(5)C3−6シクロアルキル、
(6)アリール、
(7)アラルキル、
(8)HET
(9)−C1−6アルキル−HET
(10)アラルケニル、
(11)アラルキニルおよび
(12)アリールスルホニルアルキル
からなる群から選択され、
上記の項(2)〜(5)ならびに上記の項(7)、(9)および(12)のアルキル部分ならびに上記の項(10)のアルケニル部分ならびに上記の項(11)のアルキニル部分が、オキソならびに適宜にハロ、OR11、N(R12、C3−6シクロアルキルおよびC1−4アルキル−S(O)−(mは0、1または2である)からなる群から独立に選択される1〜3個の置換基によって置換されていても良く;
上記の項(6)および(8)ならびに上記の項(7)、(10)、(11)および(12)のアリール部分ならびに上記の項(9)のHET部分が、独立に
(a)ハロ、
(b)OR11
(c)N(R12
(d)C1−6アルキル、
(e)C2−6アルケニル、
(f)C2−6アルキニル、
(g)C1−6アルキル−S(O)−(pは0、1または2である)、
(h)アリール、
(i)アリール−S(O)−(qは0、1または2である)、
(j)HET
(k)アラルキル、
(l)アロイル、
(m)アリールオキシ、
(n)アラルコキシおよび
(o)CN
からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く;
上記の項(d)〜(g)ならびに上記の項(k)のアルキル部分が、独立にハロ、OR11およびN(R12からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く;
上記の項(h)、(i)、(j)、(l)および(m)ならびに上記の項(k)および(n)のアリール部分が、独立にハロ、OR12およびC1−4アルキルからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く;
各R11およびR12が独立に、水素ならびに1〜3個のハロ基で置換されていても良いC1−4アルキルからなる群から選択され;
HET、HETおよびHETがそれぞれ独立に、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキザリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルからなる複素環の群から選択される式IIの化合物を包含する。
【0026】
この実施形態には、
およびRがそれぞれ独立に、
(1)水素(ただし、Rが水素であるのはYが結合もしくは−C(O)−N(R12)−である場合のみである)、
(2)C1−6アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)C2−6アルキニル、
(5)C3−6シクロアルキル、
(6)アリール、
(7)アラルキル、
(8)HET
(9)−C1−6アルキル−HET
(10)アラルケニルおよび
(11)アラルキニル
からなる群から選択され、
上記の項(2)〜(5)が、1〜3個のハロ基によって置換されていても良く;
上記の項(6)および(8)ならびに上記の項(7)、(10)および(11)のアリール部分ならびに上記の項(9)のHET部分が、独立に
(a)ハロ、
(b)1〜3個のハロ基で置換されていても良いC1−4アルキル、および
(c)C1−4アルキルチオ
からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く;
HETおよびHETがそれぞれ独立に、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキザリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルからなる複素環の群から選択される式IIの化合物を包含する。
【0027】
この実施形態には、
が、水素およびC1−4アルキルからなる群から選択され;
が、
(1)C1−4アルキル、
(2)フェニルもしくはベンジル(それぞれ、独立にフッ素、塩素およびトリフルオロメチルから選択される1〜5個の基で置換されていても良い)、
(3)ナフチル、
(4)チオフェネイル、
(5)ピリジル、
(6)イソキノリル、
(7)ピリミジルおよび
(8)ピラジル
からなる群から選択され;
上記の項(4)〜(8)が、独立にフッ素、塩素、メチル,メチルチオおよびトリフルオロメチルから選択される1〜5個の基で置換されていても良い式IIの化合物も包含される。
【0028】
本発明のこの実施形態には、Rが、独立にフッ素、塩素およびトリフルオロメチルから選択される1〜5個の基で置換されていても良いフェニルである式IIの化合物も包含される。
【0029】
本発明の別の実施形態は、
Xが、−S(O)−R(jは0、1または2である)であり;
nが1であり;
が水素であり;
が、
(1)C1−6アルキル、
(2)C2−6アルケニル、
(3)C2−6アルキニル、
(4)C3−6シクロアルキル、
(5)アリール、
(6)アラルキル、
(7)HET
(8)−C1−6アルキル−HET
(9)アラルケニルおよび
(10)アラルキニル
からなる群から選択され;
上記の項(1)〜(4)が1〜3個のハロ基で置換されていても良く;
上記の項(5)および(7)ならびに上記の項(6)、(9)および(10)のアリール部分ならびに上記の項(8)のHET部分が、独立に
(a)ハロ、
(b)1〜3個のハロ基で置換されていても良いC1−4アルキル、および
(c)C1−4アルキルチオ
からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く;
HETおよびHETがそれぞれ独立に、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキザリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルからなる複素環の群から選択される式IIの化合物を包含する。
【0030】
この実施形態には、Rが、独立にフッ素、塩素およびトリフルオロメチルから選択される1〜5個の基で置換されていても良いフェニルである式IIの化合物が包含される。
【0031】
本発明の別の実施形態には、製薬上許容される担体と組み合わせて式Iの化合物を含む医薬組成物が包含される。
【0032】
本発明の別の実施形態には、処置を必要とする哺乳動物患者での糖質コルチコイド受容体が介在する疾患または状態の治療方法において、その患者に、その糖質コルチコイド受容体介在疾患または状態を治療する上で有効な量で、式Iの化合物を投与する段階を有する方法が包含される。
【0033】
この実施形態の範囲には、前記糖質コルチコイド受容体介在疾患または状態が、組織拒絶、白血病、リンパ腫、クッシング症候群、急性副腎不全症、先天性副腎過形成、リウマチ熱、結節性多発動脈炎、肉芽腫性多発動脈炎、骨髄細胞系の阻害、免疫増殖/アポトーシス、HPA軸の抑制および調節、高コルチゾール血症(hypercortisolemia)、卒中および脊髄損傷、高カルシウム血症、高脂血症、急性副腎不全症、慢性原発性副腎不全症、続発性副腎不全症、先天性副腎過形成、脳浮腫、血小板減少症、リトル病、肥満、代謝症候群、炎症性腸疾患、全身エリテマトーデス、結節性多発動脈炎、ヴェグナー肉芽腫症、巨大細胞性動脈炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、ブドウ膜炎、花粉症、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、脈管神経症性浮腫、慢性閉塞性肺疾患、喘息、腱炎、滑液嚢炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、自己免疫慢性活動性肝炎、臓器移植、肝炎、肝硬変、炎症性禿髪症、脂肪織炎、乾癬、円盤状エリテマトーデス、炎症嚢胞、アトピー性皮膚炎、壊疽性膿皮症、尋常性天疱瘡、ブフラウス(buflous)類天疱瘡、全身エリテマトーデス、皮膚筋炎、妊娠性疱疹、好酸球性筋膜炎、再発性多発性軟骨炎、炎症性脈管炎、サルコイドーシス、スウィート病、I型反応性癩病、毛細管血管腫、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、扁平苔癬、剥脱性皮膚炎、結節性紅斑、アクネ、男性型多毛症、中毒性表皮壊死症、多形性紅斑、皮膚T細胞性リンパ腫、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)、細胞アポトーシス、癌、カポジ肉腫、色素性網膜炎、認知パフォーマンス、記憶および学習増進、抑鬱、耽溺、気分障害、慢性疲労症候群、精神分裂病、睡眠障害および不安からなる群から選択される上記方法が包含される。
【0034】
本発明の別の実施形態は、哺乳動物での糖質コルチコイド受容体の転写促進、転写抑制、作働および拮抗効果を選択的に調節する方法において、前記糖質コルチコイド受容体を調節する上で有効な量の式Iの化合物をその哺乳動物に投与する段階を有する方法が包含される。
【0035】
別段の断りがない限り、本発明は下記の定義を用いて説明される。
【0036】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、F、Cl、BrおよびIを含む。
【0037】
「アルキル」という用語は、指定数の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐の構造およびそれらの組合せを意味する。そこで例えば、C1−6アルキルには、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、s−およびt−ブチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、1,1−ジメチルエチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどがある。
【0038】
「アルコキシ」という用語は、指定数の炭素原子を有する直鎖、分岐または環状の形態のアルコキシ基を意味する。例えばC1−6アルコキシには、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどがある。
【0039】
「アルキルチオ」という用語は、直鎖、分岐または環状の形態を有する指定数の炭素原子を有するアルキルチオ基を意味する。例えばC1−6アルキルチオには、メチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオなどがある。
【0040】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有し、水素が別の炭素−炭素二重結合によって置き換わっていても良い指定数の炭素原子の直鎖または分岐構造およびそれらの組合せを意味する。例えばC2−6アルケニルには、エテニル、プロペニル、1−メチルエテニル、ブテニルなどがある。
【0041】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する指定数の炭素原子の直鎖または分岐構造およびそれらの組合せを意味する。例えばC3−6アルキニルには、プロペニル、1−メチルエテニル、ブテニルなどがある。 「シクロアルキル」という用語は、直鎖または分岐の構造との組合せであっても良い指定数の炭素原子を有する単環式、二環式または三環式構造を意味する。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロドデシルメチル、2−エチル−1−ビシクロ[4.4.0]デシルなどがある。
【0042】
「アリール」という用語は、単環式または二環式芳香族環系と定義され、例えばフェニル、ナフチルなどを含む。
【0043】
「アラルキル」という用語は、アルキル水素原子の一つに置換された上記で定義のアリール基を有する炭素原子数1〜6個の上記で定義のアルキルを意味し、例えばベンジルなどがある。
【0044】
「アラルケニル」という用語は、アルケニル水素原子の一つに置換された上記で定義のアリール基を有する炭素原子数2〜6個の上記で定義のアルケニルを意味し、例えばフェネテニルなどがある。
【0045】
「アラルキニル」という用語は、アルキニル水素原子の一つに置換された上記で定義のアリール基を有する炭素原子数2〜6個の上記で定義のアルキニルを意味し、例えばフェネチニルなどがある。
【0046】
「アリールオキシ」という用語は、酸素原子によって分子に結合した上記で定義のアリール基(アリール−O)を意味し、例えばフェノキシ、ナフトキシなどがある。
【0047】
「アラルコキシ」という用語は、酸素原子によって分子に結合した上記で定義のアラルキル基(アラルキル−O)を意味し、例えば、ベンジルオキシなどがある。
【0048】
「アリールチオ」という用語は、硫黄原子によって分子に結合した上記で定義のアリール基(アリール−S)と定義され、例えばチオフェノキシ、チオナフトキシなどがある。
【0049】
「アロイル」という用語は、カルボニル基によって分子に結合した上記で定義のアリール基(アリール−C(O)−)を意味し、例えばベンゾイル、ナフトイルなどがある。
【0050】
「アロイルオキシ」という用語は、酸素原子によって分子に結合した上記で定義のアロイル基(アロイル−O)を意味し、例えば、ベンゾイルオキシまたはベンゾキシ、ナフトイルオキシなどがある。
【0051】
上記の全ての定義について、ある基についての各言及は、本明細書で言及される場合には同一の基についての他の全ての言及から独立したものである。例えば、RおよびRの両方がアリールである場合、アリールの定義は互いに独立であり、RおよびRは異なるアリール基、例えばフェニルおよびナフチルであることができる。
【0052】
「アリールスルホニルアルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する上記で定義のアルキル基に連結したスルホニル基に連結した上記で定義のアリールを意味し、フェニルスルホニルメチルなどがある。
【0053】
「治療」という用語は、患者を治療してその患者における疾患または状態の徴候および症状を緩和することだけでなく、無症候の患者を予防的に処置して疾患または状態の発症を予防することならびに疾患および状態の進行を予防、遅延または逆転させることも含む。「治療上有効な量」という用語は、研究者、獣医、医師その他の臨床関係者が追求する組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する薬剤または医薬の量を意味する。その用語はまた、研究者、獣医、医師その他の臨床関係者が組織、系、動物またはヒトで予防しようとしている生物学的または医学的事象の発生を防止またはリスク低下する医薬の量をも含む。
【0054】
以下の略称は、下記に示した意味を有する。
【0055】
9−BBN=9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、
BOP=ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート、
デス−マーチンペルヨージナン=[1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンゾヨードキソール−3−(1H)−オン]、
dba=ジベンジリデンアセトン、
DIEA=ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)、
DMAC=N,N−ジメチルアセトアミド、
DMAP=4−(ジメチルアミノ)ピリジン、
DME=エチレングリコールジメチルエーテル、
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、
DMSO=ジメチルスルホキシド、
dppf=1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、
E=トランソイド、
HMPA=ヘキサメチルホスホルアミド、
HOBt=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、
HPLC=高速液体クロマトグラフィー、
LCMS=タンデムHPLCとそれに続くMS、
MS=質量分析スペクトラム(または質量分析)、
MsCl=メタンスルホニルクロライド、
N=窒素置換、
NBS=N−ブロモコハク酸イミド、
NMR=核磁気共鳴、
NSAID=非ステロイド系抗炎症薬、
TFA=トリフルオロ酢酸、
THF=テトラヒドロフラン、
TLC=薄層クロマトグラフィー、
Z=シソイド。
【0056】
アルキル基略称
n=ノルマル、
Me=メチル、
Et=エチル、
n−Pr=ノルマルプロピル、
i−Pr=イソプロピル、
n−Bu=ノルマルブチル、
i−Bu=イソブチル、
s−Bu=セカンダリーブチル、
t−Bu=(tert)またはターシャリーブチル。
【0057】
c−Pr=シクロプロピル、
c−Bu=シクロブチル、
c−Pen=シクロペンチル、
c−Hex=シクロヘキシル。
【0058】
本明細書に記載の化合物の一部は、1以上の不斉中心を有することから、ジアステレオマーおよび光学異性体を生じる。本発明は、そのようなジアステレオマーならびにそれらのラセミ体および分割されてエナンチオマー的に純粋なものならびにそれらの製薬上許容される塩を包含するものである。
【0059】
本明細書に記載の化合物の一部は、オレフィン性二重結合を有することができ、別段の断りがない限り、EおよびZの両方の幾何異性体を含むものである。
【0060】
本発明の医薬組成物は、有効成分としての式Iの化合物またはそれの製薬上許容される塩を含み、製薬上許容される担体および適宜に他の治療成分を含むこともできる。「製薬上許容される塩」という用語は、無機塩基および有機塩基などの製薬上許容される無毒性の塩基から製造される塩を指す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩などがある。特に好ましいものは、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩およびナトリウム塩である。製薬上許容される有機無毒性塩基から誘導される塩には、1級、2級および3級アミン類、天然置換アミン類などの置換アミン類、環状アミン類および塩基性イオン交換樹脂の塩などがあり、例を挙げるとアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂類、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンの塩などがある。
【0061】
本発明の化合物が塩基性である場合、無機酸および有機酸などの製薬上許容される無毒性酸から塩を製造することができる。そのような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、パラ−トルエンスルホン酸などがある。特に好ましいものは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸である。
【0062】
下記の治療方法の説明において、式Iの化合物についての言及は、製薬上許容される塩をも含むものであることは明らかであろう。
【0063】
式Iの化合物の予防用量または治療用量の大きさは、当然のことながら、治療対象の状態の性質および重度、ならびに式Iの特定の化合物およびそれの投与経路に応じて変動するものである。それはまた、個々の患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時刻、排泄速度、薬剤併用および応答に応じても変動する。一般に、哺乳動物の体重1kg当たり約0.001mg〜約100mg、好ましくは約0.01mg〜約10mg/kgの1日用量とする。他方、場合によっては、これらの範囲外の用量を用いる必要がある場合がある。
【0064】
担体材料と組み合わせて単一用量を与えることができる有効成分の量は、処置を受ける宿主および特定の投与形態に応じて変動するものである。例えば、ヒトの経口投与用の製剤は、適切かつ簡便な量の担体材料との混合で、活性薬剤約0.5mg〜約5gを含むことができ、担体材料の量は組成物全体の約5%〜約95%で変動し得る。単位製剤は概して、有効成分約1mg〜約2g、代表的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mgまたは1000mgを含む。治療に関しての「有効量」とは、望ましい薬理効果と望ましくない副作用の間で最大の指数を誘発する薬剤または医薬の至適量を指す。
【0065】
糖質コルチコイド受容体介在疾患の治療において、式Iの化合物は、従来の無毒性で製薬上許容される担体、補助剤および媒体を含む単位製剤で、経口投与、局所投与、非経口投与、吸入噴霧または直腸投与することができる。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下注射、静脈注射、筋肉注射、胸骨内注射あるいは注入法を含むものである。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコなどの温血動物の治療以外に、本発明の化合物はヒトの治療において有効である。
【0066】
上記有効成分を含む医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ剤、液剤、水系もしくは油系の懸濁液、分散性粉剤もしくは粒剤、乳濁液、硬もしくは軟カプセル、シロップまたはエリキシル剤などの経口使用に好適な製剤とすることができる。経口用組成物は、医薬組成物製造に関して当業界で公知のいずれかの方法に従って調製することができ、そのような組成物には、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される1以上の薬剤を含有させて、医薬的に見た目が良く、風味の良い製剤を提供することができる。錠剤は、錠剤製造に好適な無毒性で製薬上許容される賦形剤との混合で、上記有効成分を含有する。その賦形剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;例えばコーンスターチもしくはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;例えばデンプン、ゼラチンもしくはアカシアなどの結合剤;ならびに例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルクなどの潤滑剤などがあり得る。錠剤は未コーティングとすることができるか、あるいは公知の方法によってコーティングを施して、消化管における崩壊および吸収を遅延させ、それによって比較的長期間にわたって持続的作用を提供させることができる。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの遅延材料を用いることができる。その材料は米国特許4256108号、同4166452号および同4265874号に記載の方法によってコーティングして、徐放用の浸透性治療錠剤を形成することもできる。
【0067】
経口用製剤は、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンなどの不活性固体希釈剤と前記有効成分を混合した硬ゼラチンカプセルとして、あるいはプロピレングリコール、PEG類およびエタノールなどの水混和性溶媒または例えば落花生油、液体パラフィンもしくはオリーブ油などのオイル媒体と上記有効成分とを混合した軟ゼラチンカプセルとしても提供することができる。
【0068】
水系懸濁液は、水系懸濁液の製造に好適な賦形剤との混合で活性材料を含有する。そのような賦形剤は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガムなどの懸濁剤であり;分散剤もしくは湿展剤は、例えばレシチンなどの天然ホスファチド、または例えばステアリン酸ポリオキシエチレンなどの脂肪酸とアルキレンオキサイドとの縮合生成物、または例えばヘプタデカエチレンオキシセタノールなどの長鎖脂肪族アルコールとエチレンオキサイドとの縮合生成物、またはモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールなどの脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキサイドとの縮合生成物、または例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンなどの脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキサイドとの縮合生成物などがあり得る。水系懸濁液は、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn−プロピルなどの1以上の保存剤、1以上の着色剤、1以上の香味剤、ならびにショ糖、サッカリンもしくはアスパルテームなどの1以上の甘味剤を含有することもできる。
【0069】
油系懸濁液は、有効成分を、落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油などの植物油、あるいは液体パラフィンなどの鉱物油に懸濁させることで製剤することができる。油系懸濁液には、例えば蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含有させることができる。上記のものなどの甘味剤および香味剤を加えて、風味の良い経口製剤を提供することができる。このような組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を加えることで防腐することができる。
【0070】
水の添加による水系懸濁液の調製に好適な分散性粉体および顆粒は、分散剤もしくは湿展剤、懸濁剤および1以上の保存剤との混合で有効成分を提供するものである。好適な分散剤もしくは湿展剤および懸濁剤の例としては、すでに上述したものがある。例えば甘味剤、香味剤および着色剤などの別の賦形剤も存在させることができる。
【0071】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳濁液の剤型とすることもできる。その油相は、例えばオリーブ油もしくは落花生油などの植物油または例えば液体パラフィンなどの鉱物油あるいはこれらの混合物とすることができる。好適な乳化剤としては、例えば大豆レシチンなどの天然ホスファチド、ならびに例えばモノオレイン酸ソルビタンなどの脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導されるエステルもしくは部分エステル、ならびに例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどの前記部分エステルとエチレンオキサイドとの縮合生成物があり得る。乳濁液はさらに、甘味剤および香味剤を含有することもできる。
【0072】
シロップおよびエリキシル剤は、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールまたはショ糖などの甘味剤を加えて製剤することができる。そのような製剤には、粘滑剤、保存剤および香味剤ならびに着色剤を含有させることもできる。その医薬組成物は、無菌の注射用水系もしくは油系懸濁液の形態とすることができる。この懸濁液は、上述した好適な分散剤もしくは湿展剤および懸濁剤を用いて、公知の技術に従って製剤することができる。その無菌注射製剤は、例えば1,3−ブタンジオール溶液として、無毒性で非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒中での無菌注射溶液もしくは懸濁液とすることもできる。使用可能な許容される媒体および溶媒には、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液などがある。エタノール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール類などの共溶媒も使用可能である。さらに従来のように、溶媒もしくは懸濁媒体として、無菌の固定油を用いる。それに関しては、合成モノもしくはジグリセリド等のいかなる銘柄の固定油も使用可能である。さらに、注射剤の製剤には、オレイン酸などの脂肪酸が用いられる。
【0073】
式Iの化合物は、その薬剤の直腸投与用の坐剤の形態で投与することもできる。そのような組成物は、常温で固体であるが直腸温度では液体であることから、直腸で融解して上記薬剤を放出する好適な非刺激性の賦形剤と薬剤とを混和することで調製することができる。そのような材料には、カカオバターおよびポリエチレングリコール類がある。
【0074】
局所投与用には、式Iの化合物を含むクリーム、軟膏、ゲル、液剤または懸濁液などを用いる(その投与法に関して、局所投与は含嗽液およびうがい剤を含むものとする)。局所製剤は通常、医薬担体、共溶媒、乳化剤、透過増強剤、保存系および皮膚緩和剤からなるものとすることができる。
【0075】
式Iの化合物が選択的に糖質コルチコイド受容体を調節する能力によって、その化合物は各種の炎症および自己免疫性の疾患および状態を治療、予防または進行逆転させる上で有用となる。従って本発明の化合物は、炎症、組織拒絶、自己免疫、白血病およびリンパ腫などの各種悪性腫瘍、クッシング症候群、急性副腎不全症、先天性副腎過形成、リウマチ熱、結節性多発動脈炎、肉芽腫性多発動脈炎、骨髄細胞系の阻害、免疫増殖/アポトーシス、HPA軸の抑制および調節、高コルチゾール血症、卒中および脊髄損傷、高カルシウム血症、高脂血症、急性副腎不全症、慢性原発性副腎不全症、続発性副腎不全症、先天性副腎過形成、脳浮腫、血小板減少症、リトル病、肥満および代謝症候群という疾患または状態の治療、予防または改善において有用である。
【0076】
本発明の化合物はまた、炎症性腸疾患、全身エリテマトーデス、結節性多発動脈炎、ヴェグナー肉芽腫症、巨大細胞性動脈炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、ブドウ膜炎、花粉症、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、脈管神経症性浮腫、慢性閉塞性肺疾患、喘息、腱炎、滑液嚢炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、自己免疫慢性活動性肝炎、臓器移植、肝炎および肝硬変などの全身炎症が関与する疾患状態の治療、予防または進行逆転においても有用である。
【0077】
本発明の化合物は、炎症性禿髪症、脂肪織炎、乾癬、円盤状エリテマトーデス、炎症嚢胞、アトピー性皮膚炎、壊疽性膿皮症、尋常性天疱瘡、ブフラウス(buflous)類天疱瘡、全身エリテマトーデス、皮膚筋炎、妊娠性疱疹、好酸球性筋膜炎、再発性多発性軟骨炎、炎症性脈管炎、サルコイドーシス、スウィート病、I型反応性癩病、毛細管血管腫、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、扁平苔癬、剥脱性皮膚炎、結節性紅斑、アクネ、男性型多毛症、中毒性表皮壊死症、多形性紅斑、皮膚T細胞性リンパ腫などの各種の局所疾患の治療、予防または進行逆転において有用である。
【0078】
本発明の化合物は、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)、細胞アポトーシスおよびカポジ肉腫など(これに限定されるものではない)の癌に関連する疾患状態の治療、予防または進行逆転、免疫系の活性化および調節、炎症応答の脱感作、IIL−I発現、ナチュラルキラー細胞形成、リンパ球性白血病、ならびに色素性網膜炎の治療においても有用である。認知および行動プロセスも糖質コルチコイド療法に対して感受性であり、その場合には拮抗薬が認知パフォーマンス、記憶および学習増進、抑鬱、耽溺、気分障害、慢性疲労症候群、精神分裂病、卒中、睡眠障害および不安などのプロセスの治療において有用である可能性がある。
【0079】
本発明はまた、糖質コルチコイド受容体介在疾患の治療方法において、そのような治療を必要とする患者に対して、式Iの化合物および1種類またはさらに別の薬剤を併用投与する段階を有する方法も包含する。喘息または慢性閉塞性肺疾患の治療または予防では、式Iの化合物を、θ−作働薬(例:サルメテロール)、テオフィリン、抗コリン作用薬(例:アトロピンおよび臭化イプラトロピウム)、クロモリン、ネドクロミルおよびロイコトリエン調節剤(例:モンテルカスト)からなる群から選択される1以上の薬剤と併用することができる。炎症の治療または予防においては、式Iの化合物を、アセチルサリチル酸などのサリチル酸化合物、インドメタシン、スリンダク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、トルフェナム酸、トルメチン、ケトロラク、ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフィン(flurbiprofin)およびオキサプロジンなどの非ステロイド系抗炎症薬、エタネルセプトおよびインフリキシマブなどのTNF阻害薬、アナキンラ(anakinra)などのIL−1受容体拮抗薬、メトトレキセート、レフルノミド、アザチオプリンおよびシクロスポリンなどの細胞傷害剤または免疫抑制剤、金化合物、ヒドロキシクロロキンまたはスルファサラジン、ペニシラミン、ダルブフェロンおよびp38キナーゼ阻害薬のうちの1以上と併用することができる。式Iの化合物は、アレンドロネートなどのビホスフェートと併用して、糖質コルチコイド介在疾患を治療し、同時に破骨細胞介在骨吸収を阻害することもできる。
【0080】
合成方法
本発明の化合物は、下記の反応図式によって製造される。置換基はいずれも、別段の断りがない限り上記で定義の通りである。
【0081】
【化17】

【0082】
【化18】

【0083】
【化19】

【0084】
【化20】

【0085】
【化21】

【0086】
【化22】

【0087】
【化23】

【0088】
【化24】

【0089】
代表例
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。下記において、別段の断りがない限り、
(i)操作はいずれも室温または環境温度、すなわち18〜25℃の範囲で行った。
(ii)溶媒の留去は、浴温60℃以下にて減圧下で(600〜4000パスカル:4.5〜30mmHg)、ロータリーエバポレータを用いて行った。
【0090】
(iii)反応の経過はTLCおよび/またはLCMSによって追跡し、反応時間は例示のみを目的として示している。
【0091】
(iv)全ての最終生成物の構造および純度は、TLC、HPLC、MSまたはNMRスペクトル測定という技術のうちの少なくとも1種類によって確認した。
【0092】
(v)収率が与えられている場合、それは例示のみを目的としたものである。
【0093】
(vi)NMRデータが列記されている場合、それは主要な判定に役立つプロトンについてのデルタ(δ)値で示されており、指定の溶媒を用いて500MHzまたは600MHzで測定された、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率(ppm)で示している。シグナルの形状に関して使用される従来の略称は、s:一重線、d:二重線、t:三重線、m:多重線、br:広い線などである。さらに、「Ar」は芳香族シグナルを意味する。
【0094】
(vii)化学的な記号は、それらの通常の意味を有する。v(容量)、w(重量)、b.p.(沸点)、m.p.(融点)、L(リットル)、mL(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq(当量)、IC50(可能な最大阻害の50%を生じるモル濃度)、μM(ミクロモル)、nM(ナノモル)という略称も用いている。
【0095】
製造例
化合物A
【0096】
【化25】

化合物Aを、化合物Bの製造について以下に記載のものと同じ反応手順および方法に従って、公知のハジョス−パリッシュ(Hajos−Parrish)ケトン(J. Org. Chem. 1974, 39 (12), 1612−1621)から製造した。
【0097】
化合物B
【0098】
【化26】


【0099】
段階1
4Åモレキュラーシーブス(約5g)およびp−トルエンスルホン酸(5.34g、28.05mmol)を、公知のビーランド−ミーシャー(Wieland−Miescher)ケトン(5g、28.05mmol)(Org. Synth. 1961, 41, 38 :CV−5, 486)のエチレングリコール(140mL)溶液に加えた。室温で23分間攪拌後、反応液を氷水/飽和NaHCO水溶液(150mL)の2:1混合物にゆっくり投入した。反応液をEtOAcで抽出し(100mLで4回)、合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して(0%から40%EtOAc/ヘキサン)、ケタール5.77g(93%)を白色固体として得た。LCMS=223;(M+1)H NMR(CDCl、500MHz):δ5.83(広いd、J=1.8Hz、1H)、4.43〜3.94(m、4H)、2.49〜2.40(m、3H)、2.39〜2.27(m、2H)、1.95〜1.88(m、1H)、1.84〜1.78(m、1H)、1.76〜1.64(m、3H)、1.37(s、3H)。
【0100】
段階2
前記ケタールの脱水ベンゼン(200mL)溶液を冷却し(−40℃)、それにギ酸エチル(7.36mL、86.48mmol)および水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液;3.46g、86.48mmol)を加えた。MeOH(450TL)を15分間かけて滴下し、反応液を昇温させて室温とした。3時間攪拌後、反応液を冷却して0℃とし、HO 50mLを加えた。得られた2相系を振盪し、有機層をHOで洗浄した(50mLで3回)。合わせた水層をジエチルエーテル(100mL)で洗浄し、飽和KHPO水溶液でpH5.5〜6の酸性とした。水層をEtOAcで抽出した(200mLで5回)。合わせた抽出液をNaSOで脱水し、減圧下に濃縮して、ヒドロキシケトン生成物5.04g(93%)を橙赤色油状物として得た。LCMS=251;(M+1)
【0101】
段階3
前記ヒドロキシケトン(4.1g、16.4mmol)を氷酢酸(40mL)に溶かし、パラ−フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩(2.8g、17.22mmol)および酢酸ナトリウム(1.41g、17.22mmol)を加えた。室温で2時間攪拌後、反応液を10%NaHCO(1リットル)にゆっくり投入し、EtOAcで抽出した(500mLで6回)。合わせた抽出液をブライン(500mL)で洗浄し、MgSOで脱水し、減圧下に濃縮した。粗取得物を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、ピラゾールケタール2.26g(41%)を橙赤色固体として得た。LCMS=421;(M+1)H NMR(CDCl、500MHz):δ7.47〜7.44(m、2H)、7.43(s、1H)、7.18〜7.16(d、J=8.5Hz、1H)、7.16〜7.14(d、J=8.7Hz、1H)、6.22(広いd、J=2.2Hz、1H)、4.11〜4.01(m、4H)、3.20〜3.16(d、J=15.7Hz、1H)、2.54〜2.51(d、J=16Hz、1H)、2.51〜2.40(m、1H)、2.34〜2.28(m、1H)、1.88〜1.64(m、4H)、1.23(s、3H)。
【0102】
段階4
前記ピラゾールケタール(2.26g、6.65mmol)をTHF(65mL)に溶かし、6N HCl(4.43mL、26.6mL)を加えた。反応液を65℃で3.5時間加熱し、10%NaHCO(150mL)にゆっくり投入した。混合物をEtOAcで抽出し(250mLで4回)、合わせた抽出液をブラインで洗浄し(200mLで2回)、MgSOで脱水し、減圧下に濃縮して、化合物B 1.97g(100%)を褐色油状物として得た。LCMS=297;(M+1)H NMR(CDCl、500MHz):δ7.50(s、1H)、7.49〜7.45(m、2H)、7.20〜7.16(m、2H)、6.31(広いd、J=2Hz、1H)、2.96〜2.88(m、2H)、2.72〜2.62(m、2H)、2.59〜2.53(m、2H)、2.14〜2.80(m、1H)、1.75〜1.64(qt、J=13.1Hz、J=4.3Hz、1H)、1.27(s、3H)。
【実施例】
【0103】
(実施例1)
【0104】
【化27】

【0105】
化合物A(1.0g、3.53mmol)を、アルゴン雰囲気下で脱水THF 10mLに溶かし、冷却して−50℃とした。次に、4.0当量のフェニルエチニルマグネシウムブロマイド(1M THF溶液、14.12mmol、14mL)を滴下した。得られた反応混合物を、6時間かけて徐々に昇温させて23℃とした。飽和NHCl水溶液100mLで反応停止し、塩化メチレンで抽出し(75mLで3回)、得られた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を黄色泡状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:385(M+1))によって特性決定した。
【0106】
(実施例2)
【0107】
【化28】

【0108】
実施例1(408mg、1.41mmol)をEtOAc 10mLに溶かし、10%Pd/C(100mg)を加えた。反応混合物を水素雰囲気(1気圧)下に20分間攪拌してから、それをセライトで濾過し、EtOAc(50mL)で洗浄し、減圧下に溶媒留去した。粗反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、アセトン/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を淡黄色泡状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:389(M+1))によって特性決定した。
【0109】
化合物I
【0110】
【化29】

【0111】
2,4−ジクロロフェネチルアルコール(10g、52.0mmol)を塩化メチレン100mLに溶かし、窒素雰囲気下に0℃まで冷却し、1.5当量の三臭化リン(1M CHCl、80mmol、80mL)を滴下した。得られた反応混合物を昇温させて23℃とし、2時間攪拌してから、飽和重炭酸ナトリウム水溶液200mLを非常にゆっくり加え、塩化メチレンで抽出した(150mLで2回)。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗生成物をSiO層(5%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、2,4−ジクロロフェネチルブロマイドを得た。生成物をH NMRおよびHPLCによって特性決定した。
【0112】
化合物II
【0113】
【化30】

【0114】
化合物I(254mg、1.0mmol)を、アルゴン雰囲気下にTHF 2mLに溶かし、1.0当量のマグネシウム削片(24mg、1mmol)を加えた。得られた懸濁液を短時間加熱し、マグネシウムが全て反応し終わるまで攪拌した(2時間)。その0.5M 2,4−ジクロロフェネチルマグネシウムブロマイド溶液を、実施例3の化合物を得るための次の変換で用いた。
【0115】
(実施例3)
【0116】
【化31】

【0117】
化合物A(100mg、0.336mmol)を、アルゴン雰囲気下に脱水THF 2mLに溶かし、3.0当量の脱水CeCl(1.0mmol、246mg)を加え、得られた懸濁液を23℃で30分間超音波装置に入れ、次に攪拌した(1時間)。この反応混合物を冷却して−30℃とし、3.0当量の化合物IIの溶液(0.5M THF溶液、1.0mmol、2mL)を加えた。得られた反応混合物を15時間かけて徐々に昇温させて23℃とした。1N HCl 35mLで反応停止し、塩化メチレンで抽出し(20mLで3回)、得られた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を黄色泡状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:457(M+1))によって特性決定した。
【0118】
化合物III
【0119】
【化32】

【0120】
水素化リチウムアルミニウム(65g)を、窒素雰囲気下に脱水THF(1.5リットル)に懸濁させ、その混合物を2,4−ジフルオロフェニル酢酸(169g)の脱水THF(1リットル)溶液で90分間かけて0℃で処理した。反応混合物を0℃で70分間攪拌し、20%(重量/体積比)KOH(水溶液)(340mL)を0℃でゆっくり滴下することで反応停止した。無機塩をハイフロ(Hi flo)(200g)およびMgSO(200g)で濾過し、酢酸エチル(200g)で洗浄し、濾液を減圧下に濃縮して、2,4−ジフルオロフェネチルアルコールを得た。そのアルコールを、化合物IおよびIIについて記載の方法と同様にして、それぞれ臭素化し、グリニャル塩に変換した。その0.5M 2,4−ジフルオロフェネチルマグネシウムブロマイド溶液を、実施例4の化合物を得るための下記の変換で用いた。
【0121】
(実施例4)
【0122】
【化33】

【0123】
化合物A(200mg、0.71mmol)をアルゴン雰囲気下で脱水THF 4mLに溶かし、冷却して−30℃とし、5.0当量の化合物IIIの溶液(0.5M THF溶液、3.54mmol、7mL)を加えた。得られた反応混合物を15時間かけて徐々に昇温させて23℃とした。飽和NHCl水溶液50mLで反応停止し、塩化メチレンで抽出し(30mLで3回)、得られた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、EtO/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を黄褐色泡状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:425(M+1))によって特性決定した。
【0124】
(実施例5)
【0125】
【化34】

【0126】
トリブチルエチニルスズ(6.73mmol、16mL)をアルゴン雰囲気下で脱水THF 40mLに溶かし、冷却して−80℃とした。フェニルリチウム(1.8M THF溶液、56.73mmol、32mL)を加え、得られた反応混合物を5分間攪拌した。次に、化合物A(4.0g、14.18mmol)の脱水THF(40mL)溶液を滴下し、反応混合物を3時間かけて昇温させて23℃とした。飽和NHCl水溶液300mLで反応停止し、塩化メチレンで抽出し(100mLで3回)、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン)によって精製して、微量のトリブチルスタンナン生成物および少量の回収原料とともに、所望の脱スタニル化生成物を白色泡状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:309(M+1))によって特性決定した。
【0127】
(実施例6)
【0128】
【化35】

【0129】
実施例5の化合物(4.0g、13.05mmol)をアセトンに溶かし、N−ブロモコハク酸イミド(15.58mmol、2.8g)および触媒量のAgNO(50mg)を加えた。2.5時間後、追加のN−ブロモコハク酸イミド(250mg)を加えた。1時間後、反応が完結し、反応混合物をHO 300mLで希釈し、EtOAcで抽出し(100mLで3回)、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、アセトン/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を白色固体として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:389(M+1))によって特性決定した。
【0130】
(実施例7)
【0131】
【化36】

【0132】
実施例6の化合物(4.76g、12.33mmol)をアルゴン雰囲気下で脱気DMF 80mLに溶かし、3.0当量の脱気NaCO水溶液(2M、37.0mmol、18mL)、1.5当量の3−クロロフェニルボロン酸(18.49mmol、3.0g)、およびジクロロ[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)塩化メチレン付加物(500mg)を加えた。得られた懸濁液を90℃で2時間加熱し、HO 400mLを加えることで反応停止した。混合物を塩化メチレンで抽出し(200mLで3回)、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を明橙赤色油状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:419(M+1))によって特性決定した。
【0133】
(実施例8)
【0134】
【化37】

【0135】
実施例7の化合物(3.7g、8.88mmol)をEtOAc80mLに溶かし、10%Pd/C(600mg)を加えた。反応混合物を水素雰囲気(2気圧)下に6時間攪拌してから、それをセライトで濾過し、EtOAc(250mL)で洗浄し、減圧下に溶媒留去した。粗反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、アセトン/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を淡黄色泡状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:423(M+1))によって特性決定した。
【0136】
(実施例9)
【0137】
【化38】

【0138】
ベンゾチオフェン(3.0当量)を、アルゴン雰囲気下に脱水THF 2mLに溶かし、冷却して−80℃とした。次に、3.0当量のn−ブチルリチウム(1.6M THF溶液、0.504mmol、0.32mL)を加えた。15分後、化合物A(50mg、0.168mmol)のTHF(1.0mL)溶液を滴下し、得られた反応混合物を6時間かけて徐々に昇温させて23℃とした。反応混合物を飽和NHCl水溶液20mLで反応停止し、塩化メチレンで抽出し(15mLで3回)、有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を黄色泡状物として得た。生成物を、H NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:417(M+1))によって特性決定した。
【0139】
(実施例10)
【0140】
【化39】

【0141】
3−ブロモベンゾチオフェン(2.0当量)を、アルゴン雰囲気下に脱水THF 2mLに溶かし、冷却して−80℃とし、4.0当量のtert−ブチルリチウム(1.5M THF、0.672mmol、0.45mL)を加えた。5分後、化合物A(50mg、0.168mmol)のTHF(1.0mL)溶液を滴下し、得られた反応混合物を6時間かけて徐々に昇温させて23℃とした。反応混合物を飽和NHCl水溶液20mLで反応停止し、塩化メチレンで抽出し(15mLで3回)、有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を黄色泡状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:417(M+1))によって特性決定した。
【0142】
(実施例11)
【0143】
【化40】

【0144】
メチルフェニルスルホン(3当量)を、アルゴン雰囲気下に脱水THF 1.5mLに溶かし、冷却して−10℃とし、4.0当量のn−ブチルリチウム(1.5M THF溶液、0.672mmol、0.45mL)を加えた。0℃で1時間後、化合物A(50mg、0.168mmol)のTHF(1.0mL)溶液を滴下し、得られた反応混合物を3時間かけて徐々に昇温させて23℃とした。反応混合物を飽和NHCl水溶液20mLで反応停止し、塩化メチレンで抽出し(15mLで3回)、有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を黄色泡状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:439(M+1))によって特性決定した。
【0145】
(実施例12〜87)
上記実施例に記載し、図式1〜3に示した条件と同様の条件下で、下記の化合物を製造した。R=Hである場合、化合物AおよびBの水素化ホウ素ナトリウム還元を、下記の実施例210に記載の方法に従って実施した。下記の実施例化合物は、H NMR、HPLCおよび質量分析によって特性決定した。
【0146】
【表7】




【0147】
(実施例88)
【0148】
【化41】

【0149】
実施例17の化合物(14mg、0.039mmol)を、アルゴン雰囲気下にTHF 1.0mLに溶かし、冷却して0℃とし、4.0当量の9−BBN(0.5M THF溶液、0.156mmol、0.312mL)を加えた。反応混合物を昇温させて23℃とし、15時間攪拌してから、エタノール1mL、6N NaOH水溶液0.052mL、および30%過酸化水素水0.1mLを加えることで反応停止した。反応液を水5.0mLで希釈し、塩化メチレンで抽出し(4mLで3回)、有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗残留物を分取薄層クロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン)によって精製して所望の生成物を透明フィルム状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:371(M+1))によって特性決定した。
【0150】
(実施例89)
【0151】
【化42】

【0152】
実施例15の化合物(60mg、0.178mmol)を、アルゴン雰囲気下にTHF 2.0mLに溶かし、冷却して−10℃とし、2.0当量のメチルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、0.356mmol、0.35mL)を加えた。5分後、無水酢酸(0.267mmol、0.25mL)を加え、得られた反応混合物を昇温させて65℃として15時間経過させた。飽和水溶液NHCl 10mLで反応停止し、塩化メチレンで抽出し(10mLで3回)、有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を白色泡状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:381(M+1))によって特性決定した。
【0153】
(実施例90)
【0154】
【化43】

【0155】
実施例88で記載の上記手順に従って、実施例90の化合物を実施例89の化合物から製造した。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:399(M+1))によって特性決定した。
【0156】
(実施例91)
【0157】
【化44】

【0158】
実施例90の化合物(25mg、0.059mmol)を、アルゴン雰囲気下に塩化メチレン2.0mLに溶かし、冷却して0℃とした。次に、20当量のピリジン(1.18mmol、0.094mL)および3.0当量のデス−マーチンペルヨージナン(0.177mmol、75mg)を加え、得られた反応混合物を3時間かけて徐々に昇温させて23℃とした。飽和NHCl水溶液20mLで反応停止し、塩化メチレンで抽出し(15mLで3回)、有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を黄色油状物として得た。生成物を、H NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:397(M+1))によって特性決定した。
【0159】
(実施例92)
【0160】
【化45】

【0161】
実施例91の化合物(15mg、0.038mmol)を、アルゴン雰囲気下でMeOH 1.0mLに溶かし、10当量の酢酸アンモニウム(0.38mmol、30mg)および3.0当量のフェニルグリオキサール(0.114mmol、16mg)を加えた。得られた反応混合物を65℃で15時間加熱し、冷却し、減圧下に溶媒留去した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、エチルエーテル/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を黄色泡状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:511(M+1))によって特性決定した。
【0162】
(実施例93)
【0163】
【化46】

【0164】
実施例92の化合物(7mg、0.014mmol)を0.5Mの脱水MeOHに溶かし、冷却して0℃とし、2.0当量の炭酸カリウム(0.027mmol、4.0mg)を加えた。2時間後、反応混合物を水10mLで希釈し、塩化メチレンで抽出し(10mLで3回)、有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を黄色フィルム状物として得た。生成物をNMR、HPLCおよび質量分析(m/z:469(M+1))によって特性決定した。
【0165】
(実施例94)
【0166】
【化47】

【0167】
化合物A(50mg、0.168mmol)をアルゴン雰囲気下にTHF 1.0mLに溶かし、(CF)Si(CH[0.5M THF溶液](0.504mmol、1.0mL)と次に触媒量のフッ化テトラブチルアンモニウム[1M THF溶液](0.005mL)を加えた。得られた反応混合物を15時間攪拌してから、1N HCl水溶液25mLで希釈し、塩化メチレンで抽出し(20mLで3回)、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を黄色油状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:353(M+1))によって特性決定した。
【0168】
(実施例95)
【0169】
【化48】

【0170】
実施例89に記載の条件下にて、実施例5の化合物をアセチル化した。そのプロパルギル酢酸エステル(20mg、0.168mmol)をアルゴン雰囲気下にてTHF 0.5mLに溶かし、ベンジルアミン(0.11mmol、0.12mL)とそれに続いて触媒量の塩化銅(I)(3mg)を加えた。得られた反応混合物を封管中100℃で22時間加熱してから、冷却して室温とし、HO 20mLで希釈し、塩化メチレンで抽出し(20mLで3回)、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を透明油状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:309(M+1))によって特性決定した。
【0171】
(実施例96)
【0172】
【化49】

【0173】
実施例8の化合物(3.0g、7.10mmol)をアルゴン雰囲気下に5:1 THF/HMPA 40mLに溶かし、水素化ナトリウム(鉱油中60%品、28.44mmol、1.0g)を加え、反応混合物を23℃で10分間攪拌した。ヨウ化アリル(35.54mmol、3.2mL)を加え、反応液を100℃で3時間加熱してから、冷却して23℃とした。飽和NHCl水溶液250mLを加えることで反応停止し、塩化メチレンで抽出し(100mLで3回)、得られた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。粗反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、アセトン/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を橙赤色泡状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:463(M+1))によって特性決定した。
【0174】
(実施例97)
【0175】
【化50】

【0176】
実施例96の化合物(2.32g、5.02mmol)を、EtOAc 30mLに溶かし、10%Pd/C(300mg)を加えた。反応混合物を水素雰囲気(1気圧)下に2時間撹拌してから、それをセライトで濾過し、EtOAc(200mL)で洗浄し、減圧下に溶媒留去した。粗反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、アセトン/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物を白色泡状物として得た。生成物をH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:465(M+1))によって特性決定した。
【0177】
(実施例98〜125)
上記実施例に記載され、図式3に示した条件と同様の条件下で下記の化合物を製造した。当業者には公知の他のハロゲン化アルキルをヨウ化アリルに代えて用いることで、下記の表に示したエーテル類を得た。実施例97に記載のように、水素化を用いて、下記の表に示した飽和エーテル類の一部を製造した。下記の実施例化合物は、H NMR、HPLCおよび質量分析によって特性決定した。
【0178】
【表8】



【0179】
(実施例126)
【0180】
【化51】

【0181】
化合物A(250mg、0.88mmol)をCHCl(11mL)で希釈し、n−プロピルアミン塩酸塩(842mg、8.87mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(2.4mL、13.3mmol)、そして次に水素化ホウ素トリアセトキシナトリウム(376mg、1.77mmol)で処理した。反応混合物を23℃で15時間維持した。混合物をNaHCO(水溶液)とCHClとの間で分配し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮した。粗生成物をそのまま以降の反応で用いるか、フラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ(Biotage)40S、SiO、1:9:90 NHOH−MeOH−CHCl)によって精製して生成物を得た。それをH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:326(M+1))によって特性決定した。
【0182】
(実施例127)
【0183】
【化52】

【0184】
実施例126の化合物(2g、6.15mmol)をCHCl(31mL)で希釈し、ジイソプロピルエチルアミン(2.3mL、12.3mmol)と次に2−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロライド(1.4mL、9.23mmol)で処理した。反応混合物を23℃で2時間維持した。混合物をNaHCO(水溶液)とCHClとの間で分配し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ65M、SiO、30%EtOAc−ヘキサン)によって精製して生成物を得た。それをH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:498(M+1))によって特性決定した。
【0185】
(実施例128)
【0186】
【化53】

【0187】
化合物A(200mg、0.71mmol)をピリジン(2mL)で希釈し、ヒドロキシルアミン塩酸塩(56mg、0.81mmol)で処理し、混合物を90℃で2時間加熱した。反応混合物を0.01N HCl(水溶液)とCHClとの間で分配し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮した。粗オキシム中間体を脱水THF(6mL)で希釈し、固体水素化リチウムアルミニウム(230mg、6.05mmol)で処理した。反応混合物を23℃で16時間維持し、(1:1)ロシェル塩/NaHCO(水溶液)とCHClとの間で分配し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮した。得られた粗1級アミンをH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:284(M+1))によって特性決定し、それを以降の反応に直接用いた。
【0188】
(実施例129)
【0189】
【化54】

【0190】
実施例128の化合物(6mg、0.021mmol)をCHCl(0.5mL)で希釈し、2−チオフェンカルボン酸(8mg、0.064mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.018mL、0.11mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(14mg、0.11mmol)および最後にBOP試薬(34mg、0.076mmol)で処理した。混合物を25℃で4時間維持し、NaHCO(水溶液)とCHClとの間で分配し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮し、分取薄層クロマトグラフィー(500ミクロンSiO、20×20cm、30%EtOAc−ヘキサン)によって精製して生成物を得た。それをH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:394(M+1))によって特性決定した。
【0191】
(実施例130)
【0192】
【化55】

【0193】
水素化ナトリウム(13mg、0.530mmol)を秤取し、実施例129の化合物(21mg、0.053mmol)THF(0.5mL)溶液で希釈し、ヨウ化アリル(0.025mL、0.265mmol)で処理した。混合物を25℃で12時間維持し、NHCl(水溶液)とCHClとの間で分配し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮した。粗N−アリルアミドを酢酸エチル(1mL)で希釈し、触媒量の10%Pd−Cで処理した。その系に水素ガス風船を取り付け、混合物をH雰囲気下に25℃で1時間撹拌した。混合物をセライトで濾過し、EtOAcで洗浄し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物を分取薄層クロマトグラフィー(500ミクロンSiO、20×20cm、30%EtOAc−ヘキサン)によって精製して生成物を得た。それをH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:436(M+1))によって特性決定した。
【0194】
(実施例131〜209)
上記実施例に記載され、図式4および5に示した条件と同様の条件下で下記の化合物を製造した。ヨウ化アリルまたはn−プロピルアミン塩酸塩に代えて、それぞれヨウ化メチルまたはメチルアミン塩酸塩を用いて、下記の表に示したN−メチル類縁体を製造した。アミド以外の例として、クロルギ酸エステルまたはイソシアネートまたはスルホニルクロライドを用いて、下記の表に示したカーバメートまたは尿素またはスルホンアミドをそれぞれ製造した。下記の実施例化合物は、H NMR、HPLCおよび質量分析によって特性決定した。
【0195】
【表9】




【0196】
(実施例210)
【0197】
【化56】

【0198】
化合物A(300mg、1.06mmol)をメタノール(10mL)で希釈し、水素化ホウ素ナトリウム(40mg、1.06mmol)で処理した。混合物を23℃で1.5時間維持し、NHCl(水溶液)と塩化メチレンとの間で分配し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮した。そのアルコール中間体(130mg、0.46mmol)をCHCl(5mL)で希釈し、冷却して−20℃とし、EtN(0.092mL、0.64mmol)と次にメタンスルホニルクロライド(0.042mL、0.55mmol)で処理した。混合物を−20℃で10分間攪拌し、昇温させて23℃とし、1時間維持した。混合物を直ちに冷NHCl(水溶液)と塩化メチレンとの間で分配し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮した。粗生成物であるメシレートは、以降の反応で用いる上で十分な純度のものであり、H NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:363(M+1))によって特性決定した。
【0199】
(実施例211)
【0200】
【化57】

【0201】
実施例210の化合物(64mg、0.177mmol)をジメチルアセトアミド(18mL)で希釈し、アジ化ナトリウム(530mg、8.16mmol)と次に水(0.20mL)で処理した。混合物を再封止可能な圧力管中にて90℃で14時間加熱し、冷却して23℃とし、水とジエチルエーテルとの間で分配し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮した(DMACが残留)。粗生成物を分取逆相HPLC(C18 SiO、0.1%TFA含有0%から100%アセトニトリル/水の勾配溶離液)によって精製した。生成物であるアジド中間体(100mg、0.324mmol)を酢酸エチル(4mL)で希釈し、触媒量の10%Pd−Cで処理した。その系に水素ガスの風船を取り付け、混合物をH雰囲気下にて25℃で30分間攪拌した。混合物をセライトで濾過し、EtOAcで洗浄し、濾液を減圧下に濃縮して、純粋なアミン生成物を得た。それをH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:284(M+1))によって特性決定した。
【0202】
(実施例212〜233)
上記実施例に記載され、図式4〜6に示した条件と同様の条件下で、下記のエピマー化化合物を製造した。下記の実施例化合物は、H NMR、HPLCおよび質量分析によって特性決定した。
【0203】
【表10】


【0204】
(実施例234)
【0205】
【化58】

【0206】
実施例128の合成についての手順を用い、図式7に示した方法に従って、化合物Bを1級アミンに変換した。そのアミン(20mg、0.067mmol)を4−クロロ−2−メチルチオピリミジン(0.008mL、0.067mmol)、KPO(286mg、1.35mmol)と合わせ、アルゴン雰囲気下に脱気トルエン(0.7mL)で希釈した。それに、トリス(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム(0)(6mg、0.007mmol)および(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(7mg、0.014mmol)を加え、得られた反応混合物を100℃で15時間加熱した。冷却後、反応混合物をセライトで濾過し、塩化メチレンで洗浄し、減圧下に溶媒留去した。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(1000ミクロンSiO、20×20cm、50%EtOAc−ヘキサン)によって精製して生成物を得た。それをH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:422(M+1))によって特性決定した。
【0207】
(実施例235〜250)
上記実施例に記載され、図式7に示した条件と同様の条件下で、下記の化合物を製造した。Rvii基(下記の表で示した水素以外)の導入は、実施例96〜125に記載の条件を用いて行った。下記の実施例化合物は、H NMR、HPLCおよび質量分析によって特性決定した。
【0208】
【表11】


【0209】
(実施例251)
【0210】
【化59】

【0211】
炭酸セシウム(46mg、0.141mmol)を脱水DMF(0.7mL)で希釈し、溶液をベンゼンチオール(0.014mL、0.141mmol)で処理した。反応混合物を23℃で20分間攪拌し、実施例210の化合物(17mg、0.047mmol)の脱水DMF(0.8mL)溶液で処理した。反応混合物を70℃で16時間加熱し、冷却して23℃とし、EtOAcとNaHCO(水溶液)との間で分配し、有機相を非常に多くの水で洗浄してDMFを除去し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮した。残留物を分取逆相HPLC(C18 SiO、0.1%TFA含有0%から100%アセトニトリル/水勾配溶離液)によって精製して生成物を得た。それをH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:377(M+1))によって特性決定した。
【0212】
(実施例252)
【0213】
【化60】

【0214】
実施例251の化合物(4mg、0.011mmol)をメタノール(0.4mL)に溶かし、オキソン(14mg、0.022mmol)の水(0.20mL)溶液で処理し、反応混合物を23℃で1.5時間高攪拌した。メタノールを減圧下に除去し、残った水層を塩化メチレンで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮して純粋な生成物を得た。それをH NMR、HPLCおよび質量分析(m/z:409(M+1))によって特性決定した。
【0215】
(実施例253〜257)
上記の実施例に記載され、図式8に示した条件と同様の条件下で、下記の化合物を製造した。下記の実施例化合物は、H NMR、HPLCおよび質量分析によって特性決定した。
【0216】
【表12】


【0217】
生物アッセイ
糖質コルチコイド受容体アフィニティに関する本発明の化合物の活性は、下記のヒトGR結合アッセイを用いて評価することができる。
【0218】
GRリガンド結合アッセイ
hGRIリガンド結合アッセイのため、組換えバキュロウィルス発現受容体から細胞質ゾルを得た。凍結細胞ペレットを、「B」プランジャーを用いて、氷冷KPO緩衝液(10mM KPO、20mMモリブデン酸ナトリウム、1mM EDTA、5mM DTTおよびベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim)からの完全プロテアーゼ阻害薬錠)中でダウンス(dounce)ホモジナイザーで破砕した。得られたホモジネートを、JA−20ローターにて4℃で1時間にわたり、35000×gで遠心した。冷デキサメタゾンおよびリガンドの濃度を徐々に上昇させながら(10−11〜10−6)、4℃で24時間にわたり、 [1,2,4,6,7−H]デキサメタゾンの最終濃度2.5nMで細胞質ゾルをインキュベートすることで、IC50値を測定した。ゲル濾過アッセイ(ガイスラー(Geissler)ら、私信)によって、結合したものと遊離のものを分離した。1mg/mLのBSAを含むKPO緩衝液で予め平衡状態としたセファデクス(sephadex)G−25ビーズを含むゲル濾過プレート(ミリポア(Millipore))に、前記反応液の半量を加え、1000×gで5分間遠心した。反応プレートを1000×gで5分間遠心し、反応液を第2の96ウェルプレートに採り、シンチレーションカクテルを加え、(ワラック(Wallac))二重一致β−カウンタでカウンティングを行った。4パラメータ適合プログラムを用いて、IC50値を計算した。本発明の化合物は、上記アッセイで広範囲のGRアフィニティを示し、IC50値は10μM〜1nMであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iによって表される化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは水和物。
【化1】

[式中、
nは0、1または2であり;
JはNRまたはC(R)(R)から選択され;
KはNRまたはC(R)(R)から選択され;
LはNRまたはC(R)(R)から選択され;
Xは−OR、−N(R)−Y−Rまたは−S(O)−Rからなる群から選択され;
Yは結合、−C(O)−、−C(O)−O−[「−O−」基の結合箇所はRに対するものであってアルコキシ部分を形成]、−S(O)−および−C(O)−N(R12)−[窒素基の結合箇所はRに対するものである]から選択され;
jは独立に0、1または2であり;
、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に、
(1)水素[ただし、Rは水素ではなく、RはYが結合もしくは−C(O)−N(R12)−である場合に限って水素である]、
(2)C1−6アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)C2−6アルキニル、
(5)C3−6シクロアルキル、
(6)アリール、
(7)アラルキル、
(8)HET
(9)−C1−6アルキル−HET
(10)アラルケニル、
(11)アラルキニルおよび
(12)アリールスルホニルアルキル
からなる群から選択され、
上記の項(2)〜(5)ならびに上記の項(7)、(9)および(12)のアルキル部分ならびに上記の項(10)のアルケニル部分ならびに上記の項(11)のアルキニル部分は、1から最大数までの置換可能な位置で、独立にハロ、オキソ、OR11、N(R12、C3−6シクロアルキルおよびC1−4アルキル−S(O)−(mは0、1または2である)からなる群から選択される置換基によって置換されていても良く;
上記の項(6)および(8)ならびに上記の項(7)、(10)、(11)および(12)のアリール部分ならびに上記の項(9)のHET部分は、1から最大数までの置換可能な位置で、独立に
(a)ハロ、
(b)OR11
(c)N(R12
(d)C1−6アルキル、
(e)C2−6アルケニル、
(f)C2−6アルキニル、
(g)C1−6アルキル−S(O)−(pは0、1または2である)、
(h)アリール、
(i)アリール−S(O)−(qは0、1または2である)、
(j)HET
(k)アラルキル、
(l)アロイル、
(m)アリールオキシ、
(n)アラルコキシおよび
(o)CN
からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
上記の項(d)〜(g)ならびに上記の項(k)のアルキル部分は、1から最大数までの置換可能な位置で、独立にハロ、OR11およびN(R12からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
上記の項(h)、(i)、(j)、(l)および(m)ならびに上記の項(k)および(n)のアリール部分は、1から最大数までの置換可能な位置で、独立にハロ、OR12およびC1−4アルキルからなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に
(1)水素、
(2)ハロ、
(3)C1−6アルキル、
(4)C2−6アルケニル、
(5)C2−6アルキニル、
(6)C3−6シクロアルキル、
(7)C1−6アルコキシ、
(8)C1−6アルキル−S(O)−(rは0、1または2である)、
(9)アリール、
(10)アラルキル、
(11)HETおよび
(12)−C1−6アルキル−HET
からなる群から選択され;
上記の項(3)〜(8)ならびに上記の項(10)および(12)のアルキル部分は、1から最大数までの置換可能な位置で、独立にハロ、OR11、N(R12およびC1−6アルキル−S(O)−(sは0、1または2である)からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
項(9)および(11)ならびに項(10)の前記アリール部分ならびに項(12)の前記HET部分は、1個から最大数の置換可能な位置で、独立に
(a)ハロ、
(b)OR11
(c)N(R12
(d)C1−6アルキル、
(e)C2−6アルケニル、
(f)C2−6アルキニルおよび
(g)C1−6アルキル−S(O)−(tは0、1または2である)
からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
上記の項(d)〜(g)は、1から最大数までの置換可能な位置で、独立にハロ、OR11およびN(R12からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
あるいはRおよびRまたはRおよびRが一体となって、二重結合を形成していても良く;
は、
(1)水素、
(2)OR11
(3)C1−4アルキル、
(4)アリールおよび
(5)アラルキル
からなる群から選択され;
上記の項(3)および上記の項(5)のアルキル部分は、1個から最大数の置換可能な位置で、独立にハロ、OR11およびN(R12からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
上記の項(4)および上記の項(5)のアリール部分は、1個から最大数の置換可能な位置で、独立に
(a)ハロ、
(b)OR11
(c)N(R12
(d)C1−6アルキル、
(e)C2−6アルケニルおよび
(f)C2−6アルキニル
からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
上記の項(d)〜(f)は、1個から最大数の置換可能な位置で、独立にハロ、OR11およびN(R12からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
各RおよびR10は独立に、
(1)ハロ、
(2)C1−6アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)C1−6アルコキシおよび
(5)ヒドロキシ
からなる群から選択され;
上記の項(2)〜(4)は、1個から最大数の置換可能な位置で、独立にハロ、OR12、N(R11およびC1−6アルキル−S(O)(uは0、1または2である)からなる群から選択される置換基で置換されていても良く;
各R11およびR12は独立に、水素ならびに1個から最大数の置換可能な位置でハロで置換されていても良いC1−4アルキルからなる群から選択され;
HET、HET、HET、HETおよびHETはそれぞれ独立に、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキザリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルからなる複素環の群から選択される。]
【請求項2】
JがNRであり;
KがNRであり;
LがC(R)(R)であり;
およびRが一体となって二重結合を形成している請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記式Iの化合物の環A中に示した適宜の二重結合が存在する請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Xが−ORである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Xが−N(R)−Y−Rであり;Yが−C(O)−、−C(O)−O−[前記「−O−」基の結合箇所がRに対するものでアルコキシ部分を形成している]、−S(O)−および−C(O)−N(R12)−[窒素基の結合箇所がRに対するものである]から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Xが−S(O)−Rである請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
nが0であり;環B中に示した前記適宜の二重結合が非存在である請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
下記式IIの請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは水和物。
【化2】

[式中、
Xは−OR、−N(R)−Y−R、−S(O)−Rからなる群から選択され;
Yは結合、−C(O)−、−C(O)−O−[「−O−」基の結合箇所はRに対するものであってアルコキシ部分を形成]、−S(O)−および−C(O)−N(R12)−[窒素基の結合箇所はRに対するものである]から選択され;
jは0、1または2であり;
nは0または1であり;
、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に、
(1)水素[ただし、Rは水素ではなく、RはYが結合もしくは−C(O)−N(R12)−である場合に限って水素である]、
(2)C1−6アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)C2−6アルキニル、
(5)C3−6シクロアルキル、
(6)アリール、
(7)アラルキル、
(8)HET
(9)−C1−6アルキル−HET
(10)アラルケニル、
(11)アラルキニルおよび
(12)アリールスルホニルアルキル
からなる群から選択され、
上記の項(2)〜(5)ならびに上記の項(7)、(9)および(12)のアルキル部分ならびに上記の項(10)のアルケニル部分ならびに上記の項(11)のアルキニル部分は、オキソならびに適宜にハロ、OR11、N(R12、C3−6シクロアルキルおよびC1−4アルキル−S(O)−(mは0、1または2である)からなる群から独立に選択される1〜3個の置換基によって置換されていても良く;
上記の項(6)および(8)ならびに上記の項(7)、(10)、(11)および(12)のアリール部分ならびに上記の項(9)のHET部分は、独立に
(a)ハロ、
(b)OR11
(c)N(R12
(d)C1−6アルキル、
(e)C2−6アルケニル、
(f)C2−6アルキニル、
(g)C1−6アルキル−S(O)−(pは0、1または2である)、
(h)アリール、
(i)アリール−S(O)−(qは0、1または2である)、
(j)HET
(k)アラルキル、
(l)アロイル、
(m)アリールオキシ、
(n)アラルコキシおよび
(o)CN
からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く;
上記の項(d)〜(g)ならびに上記の項(k)のアルキル部分は、独立にハロ、OR11およびN(R12からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く;
上記の項(h)、(i)、(j)、(l)および(m)ならびに上記の項(k)および(n)のアリール部分は、独立にハロ、OR12およびC1−4アルキルからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く;
各R11およびR12は独立に、水素ならびに1〜3個のハロ基で置換されていても良いC1−4アルキルからなる群から選択され;
HET、HETおよびHETはそれぞれ独立に、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキザリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルからなる複素環の群から選択される。]
【請求項9】
Xが−ORであり;
nが1であり;
が、
(1)水素、
(2)アセチル、
(3)ベンジル、
(4)C1−6アルキル、
(5)C2−6アルケニル、
(6)C2−6アルキニルおよび
(7)C3−6シクロアルキル
からなる群から選択され、
が、
(1)水素、
(2)C1−6アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)C2−6アルキニル、
(5)C3−6シクロアルキル、
(6)アリール、
(7)アラルキル、
(8)HET
(9)−C1−6アルキル−HET
(10)アラルケニル、
(11)アラルキニルおよび
(12)アリールスルホニルアルキル
からなる群から選択され、
上記の項(2)〜(5)ならびに上記の項(7)、(9)および(12)のアルキル部分ならびに上記の項(10)のアルケニル部分ならびに上記の項(11)のアルキニル部分が、オキソならびに適宜にハロ、OR11およびC3−6シクロアルキルからなる群から独立に選択される1〜3個の置換基によって置換されていても良く;
上記の項(6)および(8)ならびに上記の項(7)、(10)、(11)および(12)のアリール部分ならびに上記の項(9)のHET部分が、独立に
(a)ハロ、
(b)C1−6アルキル、
(c)C1−4アルコキシおよび
(d)アリール
からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く;
11が、水素ならびに1〜3個のハロ基で置換されていても良いC1−4アルキルからなる群から選択され;
HETおよびHETがそれぞれ独立に、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキザリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルからなる複素環の群から選択される請求項8に記載の化合物。
【請求項10】

(1)水素、
(2)C1−6アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)C2−6アルキニル、
(5)C3−6シクロアルキル、
(6)フェニルもしくはナフチル、
(7)ベンジルもしくはフェネチル、
(8)ベンゾチオフェン、
(9)フェニルエテニル、
(10)フェニルエチニル、および
(11)フェニルスルホニルメチル
からなる群から選択され;
上記の項(2)〜(5)が、独立にハロ、OR11およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く;
上記の項(6)ならびに上記の項(7)、(9)、(10)および(11)のフェニル部分が独立に、
(a)ハロ、
(b)C1−6アルキル、
(c)C1−4アルコキシおよび
(d)フェニル
からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換されていても良い請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Xが、−N(R)−Y−Rであり;
Yが、−C(O)−、−C(O)−O−[「−O−」基の結合箇所はRに対するものであってアルコキシ部分を形成]、−S(O)−および−C(O)−N(R12)−[窒素基の結合箇所はRに対するものである]から選択され;
nが1であり;
およびRがそれぞれ独立に、
(1)水素(ただし、Rは水素ではない)、
(2)C1−6アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)C2−6アルキニル、
(5)C3−6シクロアルキル、
(6)アリール、
(7)アラルキル、
(8)HET
(9)−C1−6アルキル−HET
(10)アラルケニル、
(11)アラルキニルおよび
(12)アリールスルホニルアルキル
からなる群から選択され、
上記の項(2)〜(5)ならびに上記の項(7)、(9)および(12)のアルキル部分ならびに上記の項(10)のアルケニル部分ならびに上記の項(11)のアルキニル部分が、オキソならびに適宜にハロ、OR11、N(R12、C3−6シクロアルキルおよびC1−4アルキル−S(O)−(mは0、1または2である)からなる群から独立に選択される1〜3個の置換基によって置換されていても良く;
上記の項(6)および(8)ならびに上記の項(7)、(10)、(11)および(12)のアリール部分ならびに上記の項(9)のHET部分が、独立に
(a)ハロ、
(b)OR11
(c)N(R12
(d)C1−6アルキル、
(e)C2−6アルケニル、
(f)C2−6アルキニル、
(g)C1−6アルキル−S(O)−(pは0、1または2である)、
(h)アリール、
(i)アリール−S(O)−(qは0、1または2である)、
(j)HET
(k)アラルキル、
(l)アロイル、
(m)アリールオキシ、
(n)アラルコキシおよび
(o)CN
からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く;
上記の項(d)〜(g)ならびに上記の項(k)のアルキル部分が、独立にハロ、OR11およびN(R12からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く;
上記の項(h)、(i)、(j)、(l)および(m)ならびに上記の項(k)および(n)のアリール部分が、独立にハロ、OR12およびC1−4アルキルからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く;
各R11およびR12が独立に、水素ならびに1〜3個のハロ基で置換されていても良いC1−4アルキルからなる群から選択され;
HET、HETおよびHETがそれぞれ独立に、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキザリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルからなる複素環の群から選択される請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
およびRがそれぞれ独立に、
(1)水素(ただし、Rが水素であるのはYが結合もしくは−C(O)−N(R12)−である場合のみである)、
(2)C1−6アルキル、
(3)C2−6アルケニル、
(4)C2−6アルキニル、
(5)C3−6シクロアルキル、
(6)アリール、
(7)アラルキル、
(8)HET
(9)−C1−6アルキル−HET
(10)アラルケニルおよび
(11)アラルキニル
からなる群から選択され、
上記の項(2)〜(5)が、1〜3個のハロ基によって置換されていても良く;
上記の項(6)および(8)ならびに上記の項(7)、(10)および(11)のアリール部分ならびに上記の項(9)のHET部分が、独立に
(a)ハロ、
(b)1〜3個のハロ基で置換されていても良いC1−4アルキル、および
(c)C1−4アルキルチオ
からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く;
HETおよびHETがそれぞれ独立に、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキザリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルからなる複素環の群から選択される請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
が、水素およびC1−4アルキルからなる群から選択され;
が、
(1)C1−4アルキル、
(2)フェニルもしくはベンジル(それぞれ、独立にフッ素、塩素およびトリフルオロメチルから選択される1〜5個の基で置換されていても良い)、
(3)ナフチル、
(4)チオフェネイル、
(5)ピリジル、
(6)イソキノリル、
(7)ピリミジルおよび
(8)ピラジル
からなる群から選択され;
上記の項(4)〜(8)が、独立にフッ素、塩素、メチル,メチルチオおよびトリフルオロメチルから選択される1〜5個の基で置換されていても良い請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が、独立にフッ素、塩素およびトリフルオロメチルから選択される1〜5個の基で置換されていても良いフェニルである請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
Xが、−S(O)−R(jは0、1または2である)であり;
nが1であり;
が水素であり;
が、
(1)C1−6アルキル、
(2)C2−6アルケニル、
(3)C2−6アルキニル、
(4)C3−6シクロアルキル、
(5)アリール、
(6)アラルキル、
(7)HET
(8)−C1−6アルキル−HET
(9)アラルケニルおよび
(10)アラルキニル
からなる群から選択され;
上記の項(1)〜(4)が1〜3個のハロ基で置換されていても良く;
上記の項(5)および(7)ならびに上記の項(6)、(9)および(10)のアリール部分ならびに上記の項(8)のHET部分が、独立に
(a)ハロ、
(b)1〜3個のハロ基で置換されていても良いC1−4アルキル、および
(c)C1−4アルキルチオ
からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く;
HETおよびHETがそれぞれ独立に、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキザリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルからなる複素環の群から選択される請求項8に記載の化合物。
【請求項16】
が、独立にフッ素、塩素およびトリフルオロメチルから選択される1〜5個の基で置換されていても良いフェニルである請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
下記の群から選択される化合物または下記のいずれかの表から選択されるいずれかの化合物の製薬上許容される塩。
【化3】



【表1】




【化4】



【表2】



【化5】


【表3】




【化6】

【表4】


【化7】

【表5】


【化8】

【表6】


【請求項18】
製薬上許容される担体と組み合わせて請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項19】
処置を必要とする哺乳動物患者での糖質コルチコイド受容体が介在する疾患または状態の治療方法であって、前記患者に、前記糖質コルチコイド受容体介在疾患または状態を治療する上で有効な量で、請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する、前記方法。
【請求項20】
前記糖質コルチコイド受容体介在疾患または状態が、組織拒絶、白血病、リンパ腫、クッシング症候群、急性副腎不全症、先天性副腎過形成、リウマチ熱、結節性多発動脈炎、肉芽腫性多発動脈炎、骨髄細胞系の阻害、免疫増殖/アポトーシス、HPA軸の抑制および調節、高コルチゾール血症、卒中および脊髄損傷、高カルシウム血症、高脂血症、急性副腎不全症、慢性原発性副腎不全症、続発性副腎不全症、先天性副腎過形成、脳浮腫、血小板減少症、リトル病、肥満、代謝症候群、炎症性腸疾患、全身エリテマトーデス、結節性多発動脈炎、ヴェグナー肉芽腫症、巨大細胞性動脈炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、ブドウ膜炎、花粉症、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、脈管神経症性浮腫、慢性閉塞性肺疾患、喘息、腱炎、滑液嚢炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、自己免疫慢性活動性肝炎、臓器移植、肝炎、肝硬変、炎症性禿髪症、脂肪織炎、乾癬、円盤状エリテマトーデス、炎症嚢胞、アトピー性皮膚炎、壊疽性膿皮症、尋常性天疱瘡、ブフラウス類天疱瘡、全身エリテマトーデス、皮膚筋炎、妊娠性疱疹、好酸球性筋膜炎、再発性多発性軟骨炎、炎症性脈管炎、サルコイドーシス、スウィート病、I型反応性癩病、毛細管血管腫、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、扁平苔癬、剥脱性皮膚炎、結節性紅斑、アクネ、男性型多毛症、中毒性表皮壊死症、多形性紅斑、皮膚T細胞性リンパ腫、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)、細胞アポトーシス、癌、カポジ肉腫、色素性網膜炎、認知パフォーマンス、記憶および学習増進、抑鬱、耽溺、気分障害、慢性疲労症候群、精神分裂病、睡眠障害および不安からなる群から選択される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
哺乳動物での糖質コルチコイド受容体の転写促進、転写抑制、作働および拮抗効果を選択的に調節する方法であって、前記糖質コルチコイド受容体を調節する上で有効な量の請求項1に記載の化合物を前記哺乳動物に投与する段階を有する、前記方法。

【公表番号】特表2006−518752(P2006−518752A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503780(P2006−503780)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/005199
【国際公開番号】WO2004/075840
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】