還元体添加の制御方法
還元体添加の制御方法を開示する。本発明は、車両用リーンバーン内燃機関(12)用の、NOx還元触媒(18)、還元体の供給源、該触媒(18)を該還元体と接触させる手段(20)、該排ガスおよび/または該触媒床の温度を検知する手段(TC1)、および使用中に、還元体添加を制御する手段を備えてなる排気機構(10)であって、該還元体添加制御手段が、該排ガスおよび/または触媒床の温度測定値に対応する率で、ある量の還元体を該触媒に供給し、該温度値が、使用中に、該排ガス中のNOx量と相関するように予め決められているものである。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排ガス中にあるNOxをN2に触媒作用により転化する還元体の添加を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排ガス中にあるNOxを好適な還元体でN2に触媒作用により還元することは公知である。3つの例は、選択的触媒還元(SCR)、リーン−NOx触媒作用およびNOx−トラップ再生である。
【0003】
SCRでは、還元体は、典型的にはNOx特異性還元体である。「NOx特異性還元体」とは、本明細書で我々は、ほとんどの条件で、気体状混合物の他の成分よりもNOxを優先的に還元する還元剤を意味する。NOx特異性還元体の例には、窒素系化合物、例えば水素化窒素、例えばアンモニア(NH3)またはヒドラジン、があり、それ自体またはNH3前駆物質を経由して使用する。
【0004】
「NH3前駆物質」とは、我々は、例えば加水分解によりNH3を誘導できる一種以上の化合物を意味する。これらの化合物は、水溶液として、または固体としての尿素(CO(NH2)2)あるいはカルバミン酸アンモニウム(NH2COONH4)を包含する。尿素を水溶液として使用する場合、共融混合物、例えば32.5%尿素(aq)、が好ましい。添加剤は、結晶化温度を下げるために水溶液中に包含することができる。
【0005】
公知のSCR触媒には、約175℃〜約250℃におけるNH3によるNOxの還元に触媒作用することができるPt系触媒、温度約260℃〜約450℃の中程度の温度で作用するバナジウム系触媒、例えばV2O5/TiO2、および温度増加と共に活性が増加しながら機能するゼオライト系触媒が挙げられる。
【0006】
NH3SCR系では、幾つかの化学反応が起こり、それらのすべてが、NOxを元素状窒素に還元する所望の反応を代表している。全体的に望ましい反応は、式(1)により表される。
4NO+4NH3+O2 → 4N2+6H2O (1)
【0007】
競合する、酸素との選択的反応は、二次的な放出物を発生するか、または非生産的にNH3を消費する。そのような非選択的反応の一つは式(2)により表されるNH3の完全酸化である。
4NH3+5O2 → 4NO+6H2O (2)
【0008】
無論、約100〜200℃未満の低い温度では、NH3はNO2と反応し、硝酸アンモニウム(NH4NO3)と亜硝酸アンモニウム(NH4NO2)の爆発性混合物を形成することもある。この疑念を回避するために、本発明は、そのような反応またはその反応を引き起こす条件の助長を含まない。例えば、この反応は、温度が約200℃未満に確実に下がらないようにするか、またはNOxとの化学量論的反応(1対1モル比)に必要な正確な量よりも低い量のNH3をガス流中に供給することにより、回避することができる。
【0009】
尿素は、160℃を超える温度で式(2)により加水分解し、NH3自体を放出する。尿素は、この温度以上で、式(4)および(5)により熱的に分解し、尿素によるSCRプロセス(どちらもここに参考として含めるSAE900496およびSAE930363参照)の際のCO形成により立証されるように、NOxを還元することも考えられる。
CO(NH2)2+H2O → 2NH3+CO2 (3)
CO(NH2)2 → .NH2+CO (4)
.NH2+NO → N2+H2O (5)
【0010】
リーン−NOx触媒(LNC)は、文献中で、リーン−NOx還元触媒、「DeNox触媒」およびNOx吸蔵触媒とも呼ばれることがある。
【0011】
リーン−NOx触媒作用では、炭化水素(HC)が、酸素(O2)ではなく、反応(6)により窒素酸化物(NOx)と反応し、窒素(N2)、二酸化炭素(CO2)および水(H2O)を形成する。
{HC}+NOx → N2+CO2+H2O (6)
【0012】
競合する非選択的な酸素との反応は、反応(7)により与えられる。
{HC}+Ox → CO2+H2O (7)
【0013】
文献中に記載されている、所望の反応(6)を選択的に促進するLNCの二つの好ましい群、すなわちアルミナ(Al2O3)上の白金(Pt)および銅(Cu)置換されたゼオライト、例えばCu/ZSM−5、がある。
【0014】
典型的なNOx−トラップ処方物は、触媒酸化成分、例えばPt、NOx−貯蔵成分、例えばアルカリ金属、例えばカリウムおよび/またはセシウム、の化合物、アルカリ土類金属、例えばバリウムまたはストロンチウム、の化合物、あるいは希土類金属、典型的にはランタンおよび/またはイットリウム、の化合物、および還元触媒、例えばロジウム、を包含する。この処方物に関して、リーンエンジン作動中のNOx−貯蔵に一般的に与えられる機構の一つは、第一工程で、五酸化二窒素(nitric oxide)がPt上の活性酸化箇所の上で酸素と反応し、NO2を形成する。第二工程では、貯蔵材料によりNO2が無機硝酸塩の形態で吸着される。
【0015】
エンジンが濃縮された条件下で、または高温で間欠的に作動する場合、硝酸塩化学種が熱力学的に不安定になり、分解し、NOまたはNO2を形成する。リッチ条件下では、これらの窒素酸化物が一酸化炭素、水素および炭化水素によりN2に還元されるが、これは還元触媒上で行うことができる。
【0016】
無機NOx貯蔵成分は、典型的には酸化物として存在するが、無論、空気、またはCO2とH2Oを含む排ガスの存在下では、この成分は、炭酸塩または場合により水酸化物の形態で存在することもできる。我々は、我々の国際特許第WO00/21647号明細書(ここに参考として含める)中で、NOx−特異性反応物を使用してNOx−トラップを再生できることを説明している。
【0017】
ヨーロッパ特許第EP−B−0341832号明細書(ここに参考として含める)は、ディーゼル排ガス中の粒子状物質を燃焼させるための方法であって、排ガス中の一酸化窒素を触媒上で二酸化窒素に酸化すること、粒子状物質を排ガスから濾過すること、および濾過した粒子状物質を二酸化窒素中、400℃までで燃焼させることを含んでなる、方法を記載している。そのような機構は、Johnson MattheyからCRT(商品名)として市販されている。
【0018】
本明細書の目的には、一般的に我々は、内燃機関の排ガス中にあるNOxをN2に好適な還元体で触媒還元する方法をNOx還元方法と呼び、NOxからN2への還元を促進する触媒をNOx還元触媒と呼ぶ。そのような触媒には、SCR触媒、リーン−NOx触媒およびNOx−トラップが挙げられる。
【0019】
上記のNOx還元方法に関連する問題は、還元体添加の制御である。添加する還元体が少な過ぎると、NOx還元が放出物規準に適合するのに不十分になる。添加する還元体が多過ぎると、多くの問題を引き起こす。例えば、還元体がアンモニアである場合、アンモニアは生物学的に毒であり、不快臭を有するので、アンモニアの大気中への放出は好ましくない。過剰のアンモニアは、NOx還元触媒の下流に好適な触媒を使用して酸化することができるが、これはNOxを発生し、従ってNOx還元方法の目的そのものを損なう。炭化水素燃料、例えばディーゼルまたはガソリン、も排ガスの規制される成分であり、従って、過剰の炭化水素還元体により、装置が関連する放出物規準に不適合になることがある。
【0020】
還元体添加を制御する装置は公知であるが、複雑なアルゴリズムを実行するための複数のセンサーおよびプロセッサーが関与する非常に複雑な制御方式を必要とする傾向がある。その結果、そのような装置は非常に高価である。
【0021】
米国特許第US−A−2002/0194841号明細書(ここに参考として含める)は、還元触媒を包含するSCR装置に供給される外部還元体により、自動車用ディーゼルエンジンから出るNOx放出物を低減させる方法であって、一つ以上のエンジン作動パラメータ、例えば速度およびトルク、を速度/負荷センサーから感知し、触媒温度が設定した範囲内にある時にエンジンにより発生するNOx放出物の実際量を示唆する放出物の濃度を予測する工程、および触媒が、計算されたNOx放出物濃度を引き下げるのに十分な率で、触媒に外部還元体を計量供給する工程、を含んでなる方法を開示している。
【0022】
日本国特許第JP−A−2002−122019号明細書(ここに参考として含める)は、NOx−トラップ中の温度を検出し、還元体添加を調整してNOx−トラップ温度を予め決められた範囲内に維持することにより、NOx−トラップ中の熱分解を阻止する方法を開示している。
【0023】
独国特許第DE−A−9913268号明細書(ここに参考として含める)は、リーンバーンエンジン中のNOx還元触媒の効率を監視する装置であって、触媒上流で予め決められた量の燃料を排ガス中に供給し、ある量の化学的エネルギーを利用できるようにし、触媒効率に応じて、ある量の熱エネルギーを与えるための燃料供給装置、触媒中への、および触媒から出る熱エネルギーを測定するための流量および温度センサー、および燃料供給装置および温度センサーと連絡するデーター処理装置を備えてなり、触媒に対するエネルギーバランスを構築し、従って、触媒の性能を示唆する相関関係信号を与える装置を開示している。
【0024】
日本国特許第JP−A−62−117620号明細書(ここに参考として含める)には、平行に配置された2個のNOxトラップを使用し、ガソリンエンジン排ガス中の窒素酸化物を除去する方法であって、該NOxトラップを交互に使用し、2方バルブの制御下で排ガスからNOxを吸収する方法が記載されている。オフ−ライン使用されていないNOxトラップは、好適な還元体、例えば水素、アンモニア、一酸化炭素またはメタン、を使用して再生させる。
【0025】
Martin Elsener et al.による「Development and evaluation of a DeNOx system based on urea SCR」、MTZ worldwide、11/2003、64卷、28-31頁(ここに参考として含める)は、SCR触媒を包含する排気機構における還元体送達のフィードバック制御を行うための、アンモニアに対して相互感受性(cross-sensitive)であるNOxセンサーの使用を記載している。
【0026】
我々は、還元体添加を校正し、フィードバックにより還元体添加を制御する方法を研究した。我々は、ここに、還元体系放出物を安価に、効果的に低減させる、多くの簡単な方法および装置を考案した。これらの方法を具体化する装置は、後付け製品市場に特に関連する。
【0027】
本発明の第一の態様は、制御入力として、例えば熱電対を使用し、単一の温度測定だけを使用する。好ましくは、予め決められた温度未満では、完全なNOx除去反応を起こすには温度が低過ぎるので、還元体を添加しない、すなわち還元体添加は、NOx還元触媒が活性である時にのみ還元体が供給されるように制御する。エンジンの負荷が増加するにつれて、排ガス中のNOxレベルがほぼ直線的な様式で増加する。同様に、排ガス温度も負荷と共に増加する。従って、我々は、特定のエンジンで特定の用途には、排ガス中のNOx含有量とその温度との間に、ある関係があると予想している。さらに、これは直線関係に近いであろう。従って、その最も簡単な形態で、本発明のこの態様では、導入する還元体の率は、排ガスの温度に大体比例する。還元体をこのように添加することにより、車両上でNOx還元を維持するための非常に効率的で、簡単な方法が得られる。様々な排ガス温度で添加する還元体の実際的な量は、特定の用途によって異なることがある。しかし、その傾向は、より高い温度で、より多くのNOxを除去するには、より多くの還元体を必要とすることである。実際には、校正プロセスにより正確な量を決定することになろう。
【0028】
第一態様の装置実施態様では、本発明は、車両用リーンバーン内燃機関用の、排ガス中のNOxを好適な還元体でN2に還元するための触媒、還元体の供給源、該触媒を該還元体と接触させる手段、該排ガスおよび/または該触媒床の温度を検知する手段、および使用中に、還元体添加を制御する手段を備えてなる排気機構であって、該還元体添加制御手段が、該排ガスおよび/または触媒床の温度測定値に対応する率で、ある量の還元体を該触媒に供給し、該温度値が、使用中に、該排ガス中のNOx量と相関し、それによって該NOxの還元を促進するように予め決められている、排気機構を提供する。
【0029】
第一態様の方法実施態様では、本発明は、車両用リーンバーン内燃機関の排ガス中にあるNOxを好適な触媒上でN2に還元するのに必要な還元体添加の率を校正する方法であって、複数の排ガスおよび/または触媒床温度で該排ガス中のNOxを測定すること、および各排ガスおよび/または触媒床温度値を、該触媒上でNOxを還元するのに必要な還元体添加の率に相関させることを含んでなる、方法を提供する。
【0030】
一般的に、先行技術では、NOx還元触媒の温度を測定し、触媒温度が予め決められた範囲を下回った時に還元体の添加を中断し、硝酸アンモニウムおよび亜硝酸アンモニウムの形成を阻止し、NOx還元のための触媒の低温活性温度未満における還元体の放出を阻止することが公知である。本発明の第一態様は、この先行技術とは、触媒および/または排ガスの温度を、排ガス中のNOx量、従って、そのようなNOx量を下げるのに必要な還元体添加の率、を予知するために使用する点で、異なっている。
【0031】
本発明の第二態様は、フィードバックにより還元体添加をリアル−タイムで制御する簡単な手段を提供する。この第二態様では、酸化触媒を、還元体と接触するNOx還元触媒の下流に配置する。この機構は、必要であれば例えば空気の二次的供給により、ガスが酸化触媒上で常にリーンになるように配置される。上記の第一態様と同様に、NOx還元が効果的ではない特定の臨界排ガス温度(図4BのΔT軸に対する破線参照)未満では還元体を添加しないのが望ましい。この温度より上では、還元体量を増加することにより、排ガス中で還元されるNOx量が増加する。実際には、この効果には限界があり、より多くの還元体を導入しても、NOx還元を強化することはできない(図4Aに示す)。従って、望ましい添加率に対応して、僅かに過剰の還元体がNOx還元触媒からすり抜ける区域があり、これより上では、それ以上の還元体が無駄になり、関連する放出物規準に適合しなくなる場合がある。
【0032】
全体的なガス組成は、リーンになるように設定されているので、過剰の還元体はすべて下流の酸化触媒上で酸化され、得られる発熱が酸化触媒全体の温度を増加させることができる。酸化触媒への入口温度は、使用中に著しく変化することがあるが、この方法で、我々は、存在する過剰の還元体の尺度であるΔTだけを問題にしている。この制御戦略(図4Bに示す)は、還元体添加率を調節し、測定されるΔTを、最適NOx除去(図4Bにおける暗くした区域)に対応する予め決められた範囲内に維持することに基づいている、すなわち添加率を、ΔTが小さ過ぎる場合は増加し、ΔTが最適な、効率的NOx転化に望まれるよりも大きい場合、減少させる。
【0033】
本発明の第二態様の装置実施態様では、車両用リーンバーン内燃機関用の、排ガス中のNOxを好適な還元体でN2に還元するための触媒、還元体の供給源、該NOx還元触媒を該還元体と接触させる手段、該NOx還元触媒の下流に配置された酸化触媒、該酸化触媒を横切る温度差(ΔT)を測定する手段、および使用中に、還元体添加を制御する手段を備えてなる排気機構であって、該還元体添加制御手段が、還元体添加率を制御してΔTを予め決められた範囲内に維持し、該機構が、該酸化触媒上の該排ガス組成がリーンになるように設計されている、機構を提供する。
【0034】
本発明の第二態様の方法実施態様では、車両用リーンバーン内燃機関の排ガス中にあるNOxをN2に還元するのに好適な触媒への還元体添加をフィードバックにより制御する方法であって、該還元体を酸化するための酸化触媒を該NOx還元触媒の下流に配置すること、該酸化触媒の上流で該排ガス温度を測定すること、該酸化触媒の下流で該排ガス温度を測定すること、該入口および出口温度の差(ΔT)を決定すること、およびΔTが予め決められた範囲内に入るように、還元体添加の率を調節することを含んでなる方法を提供する。
【0035】
NOx−トラップを包含する機構に本第二態様を適用する際の問題の一つは、NOx−トラップを再生するためにリッチ(すなわちラムダ<1)排ガスを使用しなければならない場合があることである。我々は、二次的な空気注入を必要とせずに、本発明の第二態様をそのようなNOx−トラップに拡張できるようにするための3種類の実施態様を提案する。
【0036】
図5に示す第一実施態様では、少なくとも2個のNOx−トラップを平行に配置し、それぞれに還元体注入装置を接続する。各NOx−トラップ上のガス毎時空間速度(GHSV)は、各ライン中の相対的背圧によって異なるが、通常、配置がそれぞれ等しくなるように、この場合、GHSVが各ラインで実質的に等しくなるように、機構を設定する。NOx−トラップ再生は、機構中のNOx−トラップで直列で行う、すなわち、いずれの場合も、機構中の全NOx−トラップから出る排ガスを混合した時に、その組成がリーン、すなわちラムダ>1、になるように、少なくとも一ラインは還元体を注入しない。混合された排ガスは、上記本発明の第二態様の酸化触媒に送られる。
【0037】
図6Aおよび6Bに示す第二実施態様では、NOx−トラップを単一の基材モノリス上に被覆し、少なくとも2個の注入装置を基材モノリスの上流側に配置し、注入された還元体がモノリス基材の特定区域に向けられるように配置する。
【0038】
この実施態様の利点は、第一実施態様および平行NOx−トラップを使用する他の機構と比較して、機構を収容するための、車両上に必要とする空間が少なくて済むことである。
【0039】
第三の実施態様は、第二実施態様と類似しており、図7および8に示す。この実施態様は、上流の3方フラップバルブおよびフラップバルブの両側に位置する還元体注入装置を備えてなる。NOx−トラップ「充填」の際、フラップバルブを、排ガス流の方向と平行になるように整列させることができる。再生の際、フラップバルブを、NOx−トラップの還元体を受け取っている側の上に倒し、それによって排ガス流の一部を、再生されているNOx−トラップから離れるように向け、その中を通る排ガスの流れを少なくする。
【0040】
この実施態様の利点は、NOx−トラップの、再生すべき部分にある排ガス流が少なくなり、放出されるNOxの還元が促進されるので、第二実施態様よりも再生がより効率的に行われる、すなわち必要とされる還元体が少なくなる。さらに、我々は、第二および第三の実施態様は、それ自体が特許権を受けられるように新規であり、発明であると考えている。
【0041】
従って、第三の態様により、本発明は、車両用リーンバーン内燃機関用の排気機構であって、単一のモノリス基材上に配置されたNOx−トラップ(該基材の上流末端は、流体の流れ方向で少なくとも2つの区域に小分割されている)、および該少なくとも2つの区域の画分を還元体と順次接触させる手段を備えてなり、該NOx−トラップは、全体として排ガス流に対してイン−ラインのままである、排気機構を提供する。
【0042】
一実施態様で、NOx−トラップを還元体と接触させる手段は、還元体の液滴がNOx−トラップと接触するように、基材の上流末端に十分に近い所に配置された注入装置を備えてなる。還元体をNOx−トラップ上流の排ガス中に注入する意図は、排ガスの酸素濃度を下げること、すなわち濃縮することにあるが、排ガス組成をリッチ(ラムダ<1)にする必要はない。先行技術の配置では、還元体をNOx−トラップのはるか上流に、例えば一個以上のエンジンシリンダーの排気行程中に導入するか、またはヨーロッパ特許第0758713A号明細書(ここに参考として含める)の場合では、例えば還元体を、NOx−トラップの上流に配置された酸化触媒およびディーゼル粒子状物質フィルターの上流で排気導管中に注入する。どちらの場合も、液体還元体の滴が蒸発する。さらに、最大ガス流では、ある程度のリッチ状態が得られる前に、単に過剰の酸素をすべて除去する(燃焼により)ためにだけ大量の還元体が必要になる。還元体が炭化水素燃料、例えばディーゼル、である場合、この方式は燃費が悪い。
【0043】
我々は、大きさを制御した燃料滴をNOx−トラップ触媒の上流面の近くに導入し、注入された燃料の蒸発を計画的に制限することにより、燃料の液滴を触媒表面に衝突させることができることを見出した。これが起これば、その環境は強い還元性になり、近くに貯蔵されていた硝酸塩を還元することができる。従って、この配置は、NOx−トラップ再生に伴う燃料損失を大幅に軽減できる。
【0044】
粒子動力学により、液体還元体の滴は、従来のフロースルーセラミックまたは金属モノリス基材を、その壁上に担持されたNOx吸収材上に衝突することなく、通過する場合がある。還元体がNOx吸収材と接触する可能性を増加するために、一実施態様では、セラミックまたは金属フォームを含んでなるフォーム基材を使用する。別の実施態様は、ヨーロッパ特許第EP−A−1057519号明細書または国際特許第WO03/038248号明細書(どちらもここに参考として含める)に記載されているような、内部じゃま板を包含する金属製部分フィルター基材を使用する。別の実施態様では、NOx−トラップは従来のセラミックウォール−フロ−フィルターを含んでなり、そこでは、圧損により動かされる対流(convention)が、燃料滴を確実に、貯蔵されているNOxに接触させる筈である。この後者の実施態様では、粒子状物質(PM)自体の効果的な濾過は重要ではないので、多孔質フィルターを使用できようが、日本国特許第JP−B−2722987号明細書(JP−A−06159037)(ここに参考として含める)に記載されているようにNOxとPMを組み合わせた抑制、すなわちフィルターが煤燃焼触媒/NO酸化触媒、例えばPt、NOx吸収材、例えば酸化バリウム、および所望によりNOx還元触媒、例えばロジウム、を包含するのが望ましいであろう。
【0045】
還元体注入装置とNOx−トラップとの間に配置された従来のフロースルーモノリス上に酸化触媒を被覆することも、粒子動力学にとって有利になる場合がある。モノリスの開いた前方面積およびセル密度に応じて、燃料滴が実質的に酸化せずに酸化触媒を通過し、NOx−トラップ中に貯蔵されたNOxを還元するのに利用できる。対照的に、蒸発した炭化水素還元体は酸化触媒上で、より酸化され易い。
【0046】
別の実施態様では、NOx−トラップ画分を還元体と接触させる手段が、基材の上流末端上に配置されたフラップバルブを備えてなり、それによって基材を少なくとも二つの区域に小分割する。一つの配置では、注入装置が各区域に接続される。
【0047】
第三態様の方法では、車両用リーンバーン内燃機関の排気機構中にあるモノリス基材上に配置されたNOx−トラップが、NOx−トラップの画分を還元体と接触させることにより、再生され、NOx−トラップ全体は排ガス流に対してイン−ラインのままである。
【0048】
一実施態様では、還元体がNOx−トラップの画分と、排ガス流が減少した時に接触する。
【0049】
本発明の第四の態様では、車両用リーンバーン内燃機関用の、NOx還元触媒、該触媒の上流に配置された還元体注入装置、および使用時に、還元体添加を制御する手段を備えてなる排気機構であって、還元体添加制御装置が、デューティサイクル中の全車両速度において、車両の平均デューティサイクル速度で所望のNOx転化に相関するように予め決められた率で、還元体を触媒に供給する排気機構を提供する。
【0050】
第四態様の発明は、デューティサイクルが限られた車両、例えばまたは廃棄物トラック、用の後付け製品市場に特に用途がある。その考え方は、平均デューティサイクル速度において、NOx還元触媒中で特定量のNOx、例えば90%、を還元するのに、どのような還元体注入率が必要であるかを決定することである。例えば、NOx還元触媒がNOx−トラップを含んでなる場合、使用中に、連続的な速度および量のHC燃料注入、例えば毎分2秒間の注入、を行うための機構制御装置を配置することができる。この機構制御装置は、確実にNOx−トラップが実質的に完全に再生されるための比較的長いリッチHC燃料パルスを時々与え、続いてNOx−トラップの貯蔵能力を維持するために、短い濃縮パルスの連続をより頻繁に与えるように設定することもできる。注入戦略のより正確な詳細は、車両およびそのデューティサイクルによって異なる。
【0051】
平均デューティサイクル速度よりも高い速度では、NOxがより多くなり、空気流量が大きくなり、従って、不十分な還元体のために全体的なNOx転化率は低下するが、高速度は、例えば市中心部のバスではあまり起こりそうもないので、そのような高速度におけるNOx転化による燃料損失は、先行技術の、例えば注入タイミングを遅らせた設定と比較して、全走行サイクルにわたって少ないであろう。HC注入率と平均デューティサイクル速度の相関性は、特定の用途に合わせることができる、例えばマンチェスター(英国)市中心部におけるバスは、ロンドン(英国)におけるバスとは異なったデューティサイクルに直面すると予想されるであろう。
【0052】
第四態様の一実施態様では、酸化触媒を還元体注入装置とNOx−トラップの間に配置し、NOx−トラップの再生温度を増加し、排ガスから酸素を除去し、NOx−トラップ再生のためのリッチ排ガスを確保する。
【0053】
第四の態様による車両用内燃機関の排ガス中NOxの還元方法は、デューティサイクル中の全車両速度で、平均デューティサイクル速度における所望のNOx転化率に相関する率で還元体を排ガス中に導入すること、およびNOxおよび還元体を含む排ガスをNOx還元触媒と接触させることを含んでなる。
【0054】
特別な配置では、NOx還元触媒およびここに記載する還元体送達機構を、上記ヨーロッパ特許第EP−B−0341832号明細書に記載されている配置の下流に配置する。
【0055】
他の記載がない限り、本発明で使用する触媒は、金属またはセラミックまたは炭化ケイ素、例えばコージーライト、材料から製造された高表面積基材モノリス上に塗布する。一般的な配置は、100〜600セル/平方インチ(cpsi)、例えば300〜400cpsi(15.5〜93.0セルcm−2、例えば46.5〜62.0セルcm−2)のハニカム、フロースルーモノリス構造である。
【0056】
内燃機関は、ディーゼルまたはリーンバーンガソリンエンジン、例えばガソリン直噴エンジン、でよい。ディーゼルエンジンは、関連する法規に規定されている軽負荷エンジンまたは重負荷エンジンでよい。
【0057】
本発明をより深く理解するために、その実施態様を、添付の図面を参照しながら説明する。
【0058】
全体的に番号10で示す本発明の第一態様による機構を図1に示すが、そこでは12がディーゼルエンジンを、14が排気マニホルドを、16が排気ラインを、18がNOx還元触媒、例えば5重量%Cu/ベータゼオライトリーン−NOx触媒を表す。還元体供給手段20は、触媒18の上流で排気ライン16中に、ある量のディーゼル燃料を注入するための注入装置を包含する。熱電対TC1は、触媒18への入口で排ガスの温度を検出し、検出した温度をエンジン管理装置(ECU)(図には示していない)中のプロセッサーに伝達する。
【0059】
エンジンに対する負荷が増加するにつれて、排ガス中のNOxレベルがほぼ直線的な様式で増加する。同様に、排ガス温度も負荷と共に増加する。特定の臨界温度未満では、温度が完全なNOx除去反応が起こるには低過ぎるので、還元体を添加しない。図2Aおよび2Bは、特定エンジン12のデューティサイクル全体にわたる、エンジン負荷に対する排ガスNOx濃度およびエンジン負荷に対する温度の相関性を示す。実際には、様々な排ガス温度で添加される還元体の実際量は、特定のデューティサイクルの性質によって異なるが、高温でより大量のNOxを除去するには、より多くの還元体を必要とするという傾向がある。そのような決定は、当業者には公知の適切な装置および技術を使用して、例えば好適なエンジンダイナモメータおよびNOxセンサーを使用して、行うことができる。これらの測定から、走行サイクル全体にわたって排ガス中のNOxを触媒上でN2に還元するのに必要な還元体添加の率を計算すること、および図2Cに示すようにこれを排ガス温度に相関させることが可能である。これらの相関関係を、図1のシステムを動かしているそのような全車両のECUプロセッサーに搭載し、ルックアップテーブルとして保存することができる。使用の際、還元体添加の率および量を、熱電対TC1により検出する排ガスの温度と比例するように、ECUにより制御する。このように還元体を添加することにより、車両上でNOx還元を効率的に、簡単に制御することができる。
【0060】
図3に全体的に30で示す、本発明の第二態様の一実施態様による機構は、図1と同じ番号で示す同様の特徴を有する。図3に示す、図1の機構に追加する新規な特徴は、酸化触媒32、例えばガンマ−アルミナウォッシュコート上に担持された白金1重量%、を包含し、TC1が、NOx還元触媒18の下流で、触媒18と酸化触媒32の間に配置され、第二の熱電対TC2が酸化触媒32の下流に配置されていることである。
【0061】
使用の際、この機構は、ガスが確実に酸化触媒32上で常にリーンになるように操作する。図1の機構と同様に、NOx還元触媒が、その、NOx還元に触媒作用するための低温活性温度未満にある、特定の臨界排ガス温度未満では、還元体は添加されない。この温度を超えると、還元体の量を増加することにより、排ガス中で還元されるNOx量が増加する。僅かに過剰のすり抜けた還元体が酸化触媒32上で酸化され、その結果、生じる発熱により、TC2とTC1で検出された温度の差、すなわちΔT=TC2−TC1、として測定される、触媒を横切る温度増加を引き起こす。この制御戦略は、測定されるΔTが、最適NOx除去に対応する予め決められた値に実質的に維持されるように、還元体添加率を調節することである。還元体流は、ΔTが小さ過ぎる場合に増加し、ΔTが最も効率的なNOx転化に望ましい値より大きい場合に減少させる。
【0062】
図5に全体的に40で表す、本発明の第二態様の第二実施態様による機構では、図3と同様の特徴を同じ参照番号で示す。図5に示す、図3の機構に追加する新規な特徴は、平行な排気ライン44で配置された複数のNOx−トラップ42を包含し、各ラインは独自の還元体供給手段20を有することである。
【0063】
この、図3に示す、本発明の第二態様の配置は、リーン条件下で作動するリーンNOx触媒またはアンモニアSCR機構に応用した時に特に問題を生じないが、NOx−トラップ42の再生がより問題となる。リッチNOx−トラップ再生の必要性から生じる問題の一つは、下流の酸化触媒32が、酸素不足の際に過剰の還元体を除去できないことである。これは、テールパイプにおける高度の還元体放出、および他の起こり得る問題につながる。
【0064】
図5の機構は、排ガス流を、それぞれ独自のNOx−トラップ42および還元体注入装置20を備えた2本以上の平行ライン44にどのように分割できるかを示す。どの時点においても、少なくとも一本のラインは還元体が注入されていないので、NOx−トラップ42から出るガス流をすべて混合すると、得られるガスは、下流の酸化触媒32の上を通過する前は、全体的にリーンである。このようにして、過剰の還元体はすべて酸化され、得られるΔTは、図3の実施態様に関して上に記載するように、NOx還元機構に使用することができる。
【0065】
本発明の第二態様の第三実施態様を図6Aおよび6Bに示すが、そこでは図5に示す実施態様の複数の平行NOx−トラップ42が、単一のNOx−トラップ42AおよびNOx−トラップの上流末端で等間隔に配置された3個の還元体供給手段20によって置き換えられ、還元体スプレーを、基材モノリスの前面にある並列した区域45に向けており、その中心は注入点46により限定される。この配置は、図5に示す第一実施態様と同じ全体的な効果を与えるが、2個以上の還元体注入装置を備えた、より大きな単一の、すなわち一体的なNOx−トラップを使用している。これらの注入装置は、逐次的な様式で操作されるので、どの時点でも、NOx−トラップの一部だけが再生を受け、この部分から出るガスは、再生されていない部分から出る排ガスと混合され、全体的にリーンのガス流を触媒32上での酸化に供給する。
【0066】
この実施態様に対する還元体供給手段は、燃料の液滴が触媒表面に衝突するように、制御された大きさの滴を触媒前面の近くに与えるように設定される。これが起これば、環境は強い還元性になり、近くに貯蔵されていた硝酸塩を還元することができる。この配置の利点は、NOx−トラップ再生のための燃料損失が、エンジンの一個以上のシリンダーで注入タイミングを調節する機構よりも少ないことである。
【0067】
図7に関して、排ガス後処理機構80は、煤燃焼反応器120を備えてなり、その入口は、ディーゼルエンジン(図には示していない)の排気マニホルドに接続されている。反応器120は、その上流部分に、アルミナ系ウォッシュコートおよびPtを担持するセラミックハニカムからなる酸化触媒122を含む。反応器120は、その下流部分に、フィルター等級セラミックハニカムからなるウォール−フロ−フィルター124を含み、その通路は、入口末端と出口末端で交互に閉鎖および開放されており、入口末端で閉鎖されている通路は、出口末端では開放されており、入口末端で開放されている通路は、出口末端では閉鎖されている。そのような配置は、ヨーロッパ特許第EP−B−0341832号明細書に記載されており、その配置はCRT(商品名)と呼ばれている。反応器120の出口末端から、NOx−トラップ容器130の入口にあるフラップバルブ128X、Y、Zの操作チャンバーとして、プレナム126が続いている。容器130は、酸化バリウムおよび金属PtおよびRhを含むアルミナウォッシュコートを担持するフロースルーセラミックハニカムモノリス基材からなるNOx−トラップ131X、Yを含む。フラップバルブ128X、Y、Zの支点は、仕切り129の上に取り付けてあり、その仕切りは、反応器130の面を直径方向に横切って伸び、NOx−トラップ131の面に対してガスを通さない用に密封されている。反応器130の各区域X、Yは、バルブ128の両側に、反応物注入装置132X、Yを備えている。図に示すような完全な反応器130では、バルブ128は中央位置Zにある。バルブ位置XおよびYは、一方の側への流入位置(inset)として示す。反応器130には、大気中またはその後の処理につながる出口134が形成されている。好ましくは、反応器130の2個の半部分中への流量は、最終的にリーンの組成物を与えるように制御され、その混合物は、図3または5に示す配置で酸化触媒上に送られる。
【0068】
この機構の正常な運転では、蒸気(H2O(g))、二窒素(N2)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、未燃焼炭化水素燃料(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)および粒子状物質(PM)を含んでなる排ガスが、例えば300℃で、触媒122と接触し、その上でNOがNO2に酸化され、HCおよびCOの一部が蒸気およびCO2に酸化される。次いで、排ガスは、フィルター124に入り、その上でPMの大部分が集められ、触媒122中で形成されたNO2および場合によりO2との反応により燃焼する。次いで、PMが除去されたガスは、3通りの様式、すなわち128Zでは、NOx−トラップ区域130Xおよび130Yの両方がNOxを吸収(または吸着)し、128Xでは、区域131Xが、プレナム126を離れるガスの小画分および132Xでディーゼル燃料の注入を受ける。区域131Xは再生を受け、その流出物は区域130Yの流出物と再び混合され、区域131Yは、ガスの主要部分を受け、NOxを吸収し、その流出物を134で大気中に放出し、128Yでは、区域131Yが、128Xで記載した役目を行う。
【0069】
NOx−トラップ131YがNOxを吸収するための空き容量を有している時に、エンジン管理装置(図には示していない)が、区域Xから区域Yに切り換え、その逆も行う。
【0070】
図8に関して、図7に示す機構とは別の機構を全体的に番号90で示し、図7と共通の特徴は同じ番号で示すが、ここでは反応器120が触媒122だけを含む。ここでは番号125のPMフィルター容器は、別の容器121の中にある。この容器は、フィルターを通る流れの方向を反転させる点で異なっている。反応器120の出口は、位置123Aと123B(流入)で操作できる4方バルブ123によりフィルター容器121に接続され、フィルター125を通してそれぞれ右側から左側へ、および左側から右側への流れを与えることができるが、中間点はフィルター125をバイパスさせるので、閉塞させる中間点は無い。バルブ123の操作は、非常に急速になるように制御する。フィルター125をどちらかの方向に離れることにより、ガスはバルブ123AまたはBを通って、構造的および機能的に図7と同等であるNOx−トラップ130に流れる。
【0071】
最新型ディーゼルエンジンの特徴は、エンジンから出るNOxおよび/または排ガスの温度が、ヨーロッパ特許第EP−B−0341832号明細書に記載されているようにNOの酸化により触媒作用で発生したNO2を使用する受動的フィルター再生には低過ぎる場合があることである。この問題に対する解決策の一つは、排気機構中の温度を増加することによりPMをフィルター上で燃焼させ、フィルターを横切る背圧を妥当な設計公差内に維持し、能動的にフィルターを再生することである。そのような能動的再生技術は、例えばヨーロッパ特許第0758713A号明細書に記載されている。
【0072】
図8に開示する機構の、CRT(商品名)プロセスの実際的用途に対する優位性は、フィルター中の流れ反転を使用し、走行サイクル全体にわたってNO2中で容易に燃焼されないPMを除去できることにある。未燃焼PMは、第二の使い捨てフィルター上に集め、適当な間隔で除去することができる。従って、この配置は、特に後付け製品市場において、高価で、燃費のかかる能動的再生装置を取り付ける代わりに、実用的で経済的な解決策を提供する。
【0073】
図8に示す実施態様でガス流の方向を切り換えるには、図9Aおよび9Bに示す好適な4方バルブ123を使用することができる。これらの図面に示す平面図は、実質的に円筒形のバルブケーシング100に関し、そのケーシングは、内部に直径が大きい周辺部区域102が形成され、回転シャフト106を有する長方形バタフライデフレクタ104の横行範囲を限定しており、その回転シャフトは、バルブケーシングの外に、シールを経由してアクチュエータ(図には示していない)に伸びている。横行範囲の極限は、直径が異なる区域間の段差108により限定され、そのような段差は、その意図する通路からのガス漏れを制限する。「LHS」は「左側」を、RHSは「右側」を意味する。
【0074】
図7、8および9に示す配置は、少なくとも下記の理由から独立して発明になると考えられる。機構内バルブ使用は、複雑な配管を避けるために望ましいことが分かっているが、その採用は、比較的高温の排ガス中ではバルブ機構が腐食し易く、バルブの耐用寿命前に交換することになるために、限られている。この問題は、重負荷ディーゼル車両に特に関連する。しかし、本配置では、ガスはディーゼル排気であり、これは、特に最新のエンジンでは先行技術のエンジン程高温ではなく、排ガスは、低硫黄ディーゼルを使用するためにSOx分が低く、フィルター下流のガスに含まれる、バルブを損なう可能性があるPMは比較的少量であり、ガスはリーンであり、従って、鋼を不動態化する。そのため、これらの特徴を組み合わせることにより、機構中のバルブ使用は実用的な提案になる。
【0075】
図10に示す機構50で、52は条件付きシステム制御装置(CSC)であり、54はマスタースイッチであり、56は同期発電機であり、58はブロックコンデンサーであり、60は熱電対であり、62は注入制御装置(ICU)であり、64は燃料ポンプであり、66はバルブであり、68は燃料注入装置であり、70は正の電力線である。CSC52は、マスタースイッチ54をオンにし、DCブロックコンデンサー58の後にある同期発電機56からのACリプルにより決定されるようにエンジンが作動しており、排気機構を検出するために適当に配置された熱電対60の出力が、好適なNOx−トラップ上のNOx還元用に予め決められた最低温度を超えていれば、電力をICU62に供給するスイッチである。マスタースイッチ54は、キー−オン位置に接続する必要はない。
【0076】
CSC52は、3つの特徴(マスタースイッチ位置、同期発電機リプルの検出および予め決められた最小値を超える排ガス温度)のすべてが一致すれば、連続速度および量のHCを発生するように設計されている。CSC52がオンになると、注入ポンプ64およびICU62に電力が供給され、ICU62がソレノイドバルブ66を操作し、排ガスがNOx吸収成分の上流にある酸化触媒上を通過する前に排ガスを濃縮する一連のパルスを発生する。典型的には、注入制御装置は、比較的非常に長いリッチパルスを時々発生し、確実にNOx−トラップを実質的に完全に空にし、その後でより頻繁な一連の短い濃縮パルス、例えば毎分2秒間の注入、を発生し、NOx−トラップの貯蔵能力を維持する(図11参照)。
【0077】
この燃料注入率は、選択したNOx転化、例えば平均デューティサイクル速度で90%、に相関している。平均デューティサイクル速度よりも高い速度では、より多くのNOxおよび大量の空気流があり、従って、NOx転化は低下するであろう。しかし、高速度は、例えば市中心部のバスまたは廃棄物トラックでは、あまり起こりそうもなく、そのような高速度により引き起こされるNOx転化による燃料損失の増加は、先行技術の配置、例えば遅延注入タイミングを使用する先行技術の配置と比較して、走行サイクル全体にわたって少ない。
【0078】
非常に一般的に、NOx−トラップ再生を何時行うべきかを予見するための簡単な制御機構を、特に後付けする用途で提供するために、ここに記載するNOx−トラップを使用する機構を開発したが、多くの車両は、車両運転の他の特徴を制御するためのデータをECUに入力する一連のセンサーをすでに包含している。ECUを適切に再プログラム化することにより、そのような既存のセンサー入力の一つ以上を、残留NOx−トラップ容量を予見する目的に使用することができる。これら入力には、好適な時計手段の状態を感知することにより、予め決められた、または予見される、キー−オンまたは前の再生から経過した時間、TWC上の空気流またはマニホルド真空、点火タイミング、エンジン速度、スロットル位置、例えばラムダセンサー、好ましくは直線的ラムダセンサーを使用する排ガスレドックス組成、エンジン中に注入される燃料の量、車両が排ガス再循環(EGR)を包含する場合、EGRバルブの位置、およびそれによって検出されるEGRの量、エンジン冷却剤温度、排気機構がNOxセンサーを包含する場合、NOx−トラップの上流および/または下流で検出されるNOxの量が挙げられるが、これらに限定するものではない。時計実施態様を使用する場合、予見される時間を、データ入力に応答して調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、本発明の第一態様による機構を図式的に示す図である。
【図2A】図2Aは、図1に示す機構の排ガス中NOx濃度をエンジン負荷に対してプロットしたグラフを図式的に示す図である。
【図2B】図2Bは、図1に示す機構の排ガス温度をエンジン負荷に対してプロットしたグラフを図式的に示す図である。
【図2C】図2Cは、図1に示す機構の排ガス温度をNOx濃度(左側y軸)および還元体添加(右側y軸)に対してプロットしたグラフを図式的に示す図である。
【図3】図3は、本発明の第二態様による機構を図式的に示す図である。
【図4A】図4Aは、図3に示す機構におけるNOx還元触媒上で還元されるNOxを還元体添加に対してプロットしたグラフを図式的に示す図である。
【図4B】図4Bは、図3に示す機構におけるNOx還元触媒上で還元されるNOxをΔTに対してプロットした、臨界温度(x軸に対する破線)より上における還元体添加および検出されたΔTに対応する最適還元体添加(暗くした区域)を示すグラフを図式的に示す図である。
【図5】図5は、本発明の第二態様の一実施態様による機構を図式的に示す図である。
【図6A】図6Aは、本発明の第二態様の別の実施態様を図式的に示す図であり、単一基材モノリスを含んでなるNOx−トラップの末端図を示し、基材の上流末端における複数の還元体注入装置の注入点およびスプレー区域を示す。
【図6B】図6Bは、図6Aに示す単一基材モノリスを図式的に示す側面図である。
【図7】図7は、ディーゼルエンジンの排ガス処理に使用するNOx−トラップと煤燃焼反応器の組合せを包含する、本発明の第三態様の一実施態様を図式的に示す断面図である。
【図8】図8は、図7と類似のNOx−トラップを備えてなるが、2つの部分からなる煤燃焼反応器を使用し、その第二部分が流れ反転フィルターを収容する、本発明の第三態様の別の実施態様を示す断面図である。
【図9】図9A(位置123A)および9B(位置123B)は、図8で使用する4方バルブの、2つの極限位置を示すバルブの拡大平面図である。
【図10】図10は、本発明の第四態様による機構を図式的に示す図である。
【図11】図11は、図9の機構で使用するための燃料注入戦略を示す、量と時間の関係をプロットしたグラフを図式的に示す図である。
【発明の分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排ガス中にあるNOxをN2に触媒作用により転化する還元体の添加を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排ガス中にあるNOxを好適な還元体でN2に触媒作用により還元することは公知である。3つの例は、選択的触媒還元(SCR)、リーン−NOx触媒作用およびNOx−トラップ再生である。
【0003】
SCRでは、還元体は、典型的にはNOx特異性還元体である。「NOx特異性還元体」とは、本明細書で我々は、ほとんどの条件で、気体状混合物の他の成分よりもNOxを優先的に還元する還元剤を意味する。NOx特異性還元体の例には、窒素系化合物、例えば水素化窒素、例えばアンモニア(NH3)またはヒドラジン、があり、それ自体またはNH3前駆物質を経由して使用する。
【0004】
「NH3前駆物質」とは、我々は、例えば加水分解によりNH3を誘導できる一種以上の化合物を意味する。これらの化合物は、水溶液として、または固体としての尿素(CO(NH2)2)あるいはカルバミン酸アンモニウム(NH2COONH4)を包含する。尿素を水溶液として使用する場合、共融混合物、例えば32.5%尿素(aq)、が好ましい。添加剤は、結晶化温度を下げるために水溶液中に包含することができる。
【0005】
公知のSCR触媒には、約175℃〜約250℃におけるNH3によるNOxの還元に触媒作用することができるPt系触媒、温度約260℃〜約450℃の中程度の温度で作用するバナジウム系触媒、例えばV2O5/TiO2、および温度増加と共に活性が増加しながら機能するゼオライト系触媒が挙げられる。
【0006】
NH3SCR系では、幾つかの化学反応が起こり、それらのすべてが、NOxを元素状窒素に還元する所望の反応を代表している。全体的に望ましい反応は、式(1)により表される。
4NO+4NH3+O2 → 4N2+6H2O (1)
【0007】
競合する、酸素との選択的反応は、二次的な放出物を発生するか、または非生産的にNH3を消費する。そのような非選択的反応の一つは式(2)により表されるNH3の完全酸化である。
4NH3+5O2 → 4NO+6H2O (2)
【0008】
無論、約100〜200℃未満の低い温度では、NH3はNO2と反応し、硝酸アンモニウム(NH4NO3)と亜硝酸アンモニウム(NH4NO2)の爆発性混合物を形成することもある。この疑念を回避するために、本発明は、そのような反応またはその反応を引き起こす条件の助長を含まない。例えば、この反応は、温度が約200℃未満に確実に下がらないようにするか、またはNOxとの化学量論的反応(1対1モル比)に必要な正確な量よりも低い量のNH3をガス流中に供給することにより、回避することができる。
【0009】
尿素は、160℃を超える温度で式(2)により加水分解し、NH3自体を放出する。尿素は、この温度以上で、式(4)および(5)により熱的に分解し、尿素によるSCRプロセス(どちらもここに参考として含めるSAE900496およびSAE930363参照)の際のCO形成により立証されるように、NOxを還元することも考えられる。
CO(NH2)2+H2O → 2NH3+CO2 (3)
CO(NH2)2 → .NH2+CO (4)
.NH2+NO → N2+H2O (5)
【0010】
リーン−NOx触媒(LNC)は、文献中で、リーン−NOx還元触媒、「DeNox触媒」およびNOx吸蔵触媒とも呼ばれることがある。
【0011】
リーン−NOx触媒作用では、炭化水素(HC)が、酸素(O2)ではなく、反応(6)により窒素酸化物(NOx)と反応し、窒素(N2)、二酸化炭素(CO2)および水(H2O)を形成する。
{HC}+NOx → N2+CO2+H2O (6)
【0012】
競合する非選択的な酸素との反応は、反応(7)により与えられる。
{HC}+Ox → CO2+H2O (7)
【0013】
文献中に記載されている、所望の反応(6)を選択的に促進するLNCの二つの好ましい群、すなわちアルミナ(Al2O3)上の白金(Pt)および銅(Cu)置換されたゼオライト、例えばCu/ZSM−5、がある。
【0014】
典型的なNOx−トラップ処方物は、触媒酸化成分、例えばPt、NOx−貯蔵成分、例えばアルカリ金属、例えばカリウムおよび/またはセシウム、の化合物、アルカリ土類金属、例えばバリウムまたはストロンチウム、の化合物、あるいは希土類金属、典型的にはランタンおよび/またはイットリウム、の化合物、および還元触媒、例えばロジウム、を包含する。この処方物に関して、リーンエンジン作動中のNOx−貯蔵に一般的に与えられる機構の一つは、第一工程で、五酸化二窒素(nitric oxide)がPt上の活性酸化箇所の上で酸素と反応し、NO2を形成する。第二工程では、貯蔵材料によりNO2が無機硝酸塩の形態で吸着される。
【0015】
エンジンが濃縮された条件下で、または高温で間欠的に作動する場合、硝酸塩化学種が熱力学的に不安定になり、分解し、NOまたはNO2を形成する。リッチ条件下では、これらの窒素酸化物が一酸化炭素、水素および炭化水素によりN2に還元されるが、これは還元触媒上で行うことができる。
【0016】
無機NOx貯蔵成分は、典型的には酸化物として存在するが、無論、空気、またはCO2とH2Oを含む排ガスの存在下では、この成分は、炭酸塩または場合により水酸化物の形態で存在することもできる。我々は、我々の国際特許第WO00/21647号明細書(ここに参考として含める)中で、NOx−特異性反応物を使用してNOx−トラップを再生できることを説明している。
【0017】
ヨーロッパ特許第EP−B−0341832号明細書(ここに参考として含める)は、ディーゼル排ガス中の粒子状物質を燃焼させるための方法であって、排ガス中の一酸化窒素を触媒上で二酸化窒素に酸化すること、粒子状物質を排ガスから濾過すること、および濾過した粒子状物質を二酸化窒素中、400℃までで燃焼させることを含んでなる、方法を記載している。そのような機構は、Johnson MattheyからCRT(商品名)として市販されている。
【0018】
本明細書の目的には、一般的に我々は、内燃機関の排ガス中にあるNOxをN2に好適な還元体で触媒還元する方法をNOx還元方法と呼び、NOxからN2への還元を促進する触媒をNOx還元触媒と呼ぶ。そのような触媒には、SCR触媒、リーン−NOx触媒およびNOx−トラップが挙げられる。
【0019】
上記のNOx還元方法に関連する問題は、還元体添加の制御である。添加する還元体が少な過ぎると、NOx還元が放出物規準に適合するのに不十分になる。添加する還元体が多過ぎると、多くの問題を引き起こす。例えば、還元体がアンモニアである場合、アンモニアは生物学的に毒であり、不快臭を有するので、アンモニアの大気中への放出は好ましくない。過剰のアンモニアは、NOx還元触媒の下流に好適な触媒を使用して酸化することができるが、これはNOxを発生し、従ってNOx還元方法の目的そのものを損なう。炭化水素燃料、例えばディーゼルまたはガソリン、も排ガスの規制される成分であり、従って、過剰の炭化水素還元体により、装置が関連する放出物規準に不適合になることがある。
【0020】
還元体添加を制御する装置は公知であるが、複雑なアルゴリズムを実行するための複数のセンサーおよびプロセッサーが関与する非常に複雑な制御方式を必要とする傾向がある。その結果、そのような装置は非常に高価である。
【0021】
米国特許第US−A−2002/0194841号明細書(ここに参考として含める)は、還元触媒を包含するSCR装置に供給される外部還元体により、自動車用ディーゼルエンジンから出るNOx放出物を低減させる方法であって、一つ以上のエンジン作動パラメータ、例えば速度およびトルク、を速度/負荷センサーから感知し、触媒温度が設定した範囲内にある時にエンジンにより発生するNOx放出物の実際量を示唆する放出物の濃度を予測する工程、および触媒が、計算されたNOx放出物濃度を引き下げるのに十分な率で、触媒に外部還元体を計量供給する工程、を含んでなる方法を開示している。
【0022】
日本国特許第JP−A−2002−122019号明細書(ここに参考として含める)は、NOx−トラップ中の温度を検出し、還元体添加を調整してNOx−トラップ温度を予め決められた範囲内に維持することにより、NOx−トラップ中の熱分解を阻止する方法を開示している。
【0023】
独国特許第DE−A−9913268号明細書(ここに参考として含める)は、リーンバーンエンジン中のNOx還元触媒の効率を監視する装置であって、触媒上流で予め決められた量の燃料を排ガス中に供給し、ある量の化学的エネルギーを利用できるようにし、触媒効率に応じて、ある量の熱エネルギーを与えるための燃料供給装置、触媒中への、および触媒から出る熱エネルギーを測定するための流量および温度センサー、および燃料供給装置および温度センサーと連絡するデーター処理装置を備えてなり、触媒に対するエネルギーバランスを構築し、従って、触媒の性能を示唆する相関関係信号を与える装置を開示している。
【0024】
日本国特許第JP−A−62−117620号明細書(ここに参考として含める)には、平行に配置された2個のNOxトラップを使用し、ガソリンエンジン排ガス中の窒素酸化物を除去する方法であって、該NOxトラップを交互に使用し、2方バルブの制御下で排ガスからNOxを吸収する方法が記載されている。オフ−ライン使用されていないNOxトラップは、好適な還元体、例えば水素、アンモニア、一酸化炭素またはメタン、を使用して再生させる。
【0025】
Martin Elsener et al.による「Development and evaluation of a DeNOx system based on urea SCR」、MTZ worldwide、11/2003、64卷、28-31頁(ここに参考として含める)は、SCR触媒を包含する排気機構における還元体送達のフィードバック制御を行うための、アンモニアに対して相互感受性(cross-sensitive)であるNOxセンサーの使用を記載している。
【0026】
我々は、還元体添加を校正し、フィードバックにより還元体添加を制御する方法を研究した。我々は、ここに、還元体系放出物を安価に、効果的に低減させる、多くの簡単な方法および装置を考案した。これらの方法を具体化する装置は、後付け製品市場に特に関連する。
【0027】
本発明の第一の態様は、制御入力として、例えば熱電対を使用し、単一の温度測定だけを使用する。好ましくは、予め決められた温度未満では、完全なNOx除去反応を起こすには温度が低過ぎるので、還元体を添加しない、すなわち還元体添加は、NOx還元触媒が活性である時にのみ還元体が供給されるように制御する。エンジンの負荷が増加するにつれて、排ガス中のNOxレベルがほぼ直線的な様式で増加する。同様に、排ガス温度も負荷と共に増加する。従って、我々は、特定のエンジンで特定の用途には、排ガス中のNOx含有量とその温度との間に、ある関係があると予想している。さらに、これは直線関係に近いであろう。従って、その最も簡単な形態で、本発明のこの態様では、導入する還元体の率は、排ガスの温度に大体比例する。還元体をこのように添加することにより、車両上でNOx還元を維持するための非常に効率的で、簡単な方法が得られる。様々な排ガス温度で添加する還元体の実際的な量は、特定の用途によって異なることがある。しかし、その傾向は、より高い温度で、より多くのNOxを除去するには、より多くの還元体を必要とすることである。実際には、校正プロセスにより正確な量を決定することになろう。
【0028】
第一態様の装置実施態様では、本発明は、車両用リーンバーン内燃機関用の、排ガス中のNOxを好適な還元体でN2に還元するための触媒、還元体の供給源、該触媒を該還元体と接触させる手段、該排ガスおよび/または該触媒床の温度を検知する手段、および使用中に、還元体添加を制御する手段を備えてなる排気機構であって、該還元体添加制御手段が、該排ガスおよび/または触媒床の温度測定値に対応する率で、ある量の還元体を該触媒に供給し、該温度値が、使用中に、該排ガス中のNOx量と相関し、それによって該NOxの還元を促進するように予め決められている、排気機構を提供する。
【0029】
第一態様の方法実施態様では、本発明は、車両用リーンバーン内燃機関の排ガス中にあるNOxを好適な触媒上でN2に還元するのに必要な還元体添加の率を校正する方法であって、複数の排ガスおよび/または触媒床温度で該排ガス中のNOxを測定すること、および各排ガスおよび/または触媒床温度値を、該触媒上でNOxを還元するのに必要な還元体添加の率に相関させることを含んでなる、方法を提供する。
【0030】
一般的に、先行技術では、NOx還元触媒の温度を測定し、触媒温度が予め決められた範囲を下回った時に還元体の添加を中断し、硝酸アンモニウムおよび亜硝酸アンモニウムの形成を阻止し、NOx還元のための触媒の低温活性温度未満における還元体の放出を阻止することが公知である。本発明の第一態様は、この先行技術とは、触媒および/または排ガスの温度を、排ガス中のNOx量、従って、そのようなNOx量を下げるのに必要な還元体添加の率、を予知するために使用する点で、異なっている。
【0031】
本発明の第二態様は、フィードバックにより還元体添加をリアル−タイムで制御する簡単な手段を提供する。この第二態様では、酸化触媒を、還元体と接触するNOx還元触媒の下流に配置する。この機構は、必要であれば例えば空気の二次的供給により、ガスが酸化触媒上で常にリーンになるように配置される。上記の第一態様と同様に、NOx還元が効果的ではない特定の臨界排ガス温度(図4BのΔT軸に対する破線参照)未満では還元体を添加しないのが望ましい。この温度より上では、還元体量を増加することにより、排ガス中で還元されるNOx量が増加する。実際には、この効果には限界があり、より多くの還元体を導入しても、NOx還元を強化することはできない(図4Aに示す)。従って、望ましい添加率に対応して、僅かに過剰の還元体がNOx還元触媒からすり抜ける区域があり、これより上では、それ以上の還元体が無駄になり、関連する放出物規準に適合しなくなる場合がある。
【0032】
全体的なガス組成は、リーンになるように設定されているので、過剰の還元体はすべて下流の酸化触媒上で酸化され、得られる発熱が酸化触媒全体の温度を増加させることができる。酸化触媒への入口温度は、使用中に著しく変化することがあるが、この方法で、我々は、存在する過剰の還元体の尺度であるΔTだけを問題にしている。この制御戦略(図4Bに示す)は、還元体添加率を調節し、測定されるΔTを、最適NOx除去(図4Bにおける暗くした区域)に対応する予め決められた範囲内に維持することに基づいている、すなわち添加率を、ΔTが小さ過ぎる場合は増加し、ΔTが最適な、効率的NOx転化に望まれるよりも大きい場合、減少させる。
【0033】
本発明の第二態様の装置実施態様では、車両用リーンバーン内燃機関用の、排ガス中のNOxを好適な還元体でN2に還元するための触媒、還元体の供給源、該NOx還元触媒を該還元体と接触させる手段、該NOx還元触媒の下流に配置された酸化触媒、該酸化触媒を横切る温度差(ΔT)を測定する手段、および使用中に、還元体添加を制御する手段を備えてなる排気機構であって、該還元体添加制御手段が、還元体添加率を制御してΔTを予め決められた範囲内に維持し、該機構が、該酸化触媒上の該排ガス組成がリーンになるように設計されている、機構を提供する。
【0034】
本発明の第二態様の方法実施態様では、車両用リーンバーン内燃機関の排ガス中にあるNOxをN2に還元するのに好適な触媒への還元体添加をフィードバックにより制御する方法であって、該還元体を酸化するための酸化触媒を該NOx還元触媒の下流に配置すること、該酸化触媒の上流で該排ガス温度を測定すること、該酸化触媒の下流で該排ガス温度を測定すること、該入口および出口温度の差(ΔT)を決定すること、およびΔTが予め決められた範囲内に入るように、還元体添加の率を調節することを含んでなる方法を提供する。
【0035】
NOx−トラップを包含する機構に本第二態様を適用する際の問題の一つは、NOx−トラップを再生するためにリッチ(すなわちラムダ<1)排ガスを使用しなければならない場合があることである。我々は、二次的な空気注入を必要とせずに、本発明の第二態様をそのようなNOx−トラップに拡張できるようにするための3種類の実施態様を提案する。
【0036】
図5に示す第一実施態様では、少なくとも2個のNOx−トラップを平行に配置し、それぞれに還元体注入装置を接続する。各NOx−トラップ上のガス毎時空間速度(GHSV)は、各ライン中の相対的背圧によって異なるが、通常、配置がそれぞれ等しくなるように、この場合、GHSVが各ラインで実質的に等しくなるように、機構を設定する。NOx−トラップ再生は、機構中のNOx−トラップで直列で行う、すなわち、いずれの場合も、機構中の全NOx−トラップから出る排ガスを混合した時に、その組成がリーン、すなわちラムダ>1、になるように、少なくとも一ラインは還元体を注入しない。混合された排ガスは、上記本発明の第二態様の酸化触媒に送られる。
【0037】
図6Aおよび6Bに示す第二実施態様では、NOx−トラップを単一の基材モノリス上に被覆し、少なくとも2個の注入装置を基材モノリスの上流側に配置し、注入された還元体がモノリス基材の特定区域に向けられるように配置する。
【0038】
この実施態様の利点は、第一実施態様および平行NOx−トラップを使用する他の機構と比較して、機構を収容するための、車両上に必要とする空間が少なくて済むことである。
【0039】
第三の実施態様は、第二実施態様と類似しており、図7および8に示す。この実施態様は、上流の3方フラップバルブおよびフラップバルブの両側に位置する還元体注入装置を備えてなる。NOx−トラップ「充填」の際、フラップバルブを、排ガス流の方向と平行になるように整列させることができる。再生の際、フラップバルブを、NOx−トラップの還元体を受け取っている側の上に倒し、それによって排ガス流の一部を、再生されているNOx−トラップから離れるように向け、その中を通る排ガスの流れを少なくする。
【0040】
この実施態様の利点は、NOx−トラップの、再生すべき部分にある排ガス流が少なくなり、放出されるNOxの還元が促進されるので、第二実施態様よりも再生がより効率的に行われる、すなわち必要とされる還元体が少なくなる。さらに、我々は、第二および第三の実施態様は、それ自体が特許権を受けられるように新規であり、発明であると考えている。
【0041】
従って、第三の態様により、本発明は、車両用リーンバーン内燃機関用の排気機構であって、単一のモノリス基材上に配置されたNOx−トラップ(該基材の上流末端は、流体の流れ方向で少なくとも2つの区域に小分割されている)、および該少なくとも2つの区域の画分を還元体と順次接触させる手段を備えてなり、該NOx−トラップは、全体として排ガス流に対してイン−ラインのままである、排気機構を提供する。
【0042】
一実施態様で、NOx−トラップを還元体と接触させる手段は、還元体の液滴がNOx−トラップと接触するように、基材の上流末端に十分に近い所に配置された注入装置を備えてなる。還元体をNOx−トラップ上流の排ガス中に注入する意図は、排ガスの酸素濃度を下げること、すなわち濃縮することにあるが、排ガス組成をリッチ(ラムダ<1)にする必要はない。先行技術の配置では、還元体をNOx−トラップのはるか上流に、例えば一個以上のエンジンシリンダーの排気行程中に導入するか、またはヨーロッパ特許第0758713A号明細書(ここに参考として含める)の場合では、例えば還元体を、NOx−トラップの上流に配置された酸化触媒およびディーゼル粒子状物質フィルターの上流で排気導管中に注入する。どちらの場合も、液体還元体の滴が蒸発する。さらに、最大ガス流では、ある程度のリッチ状態が得られる前に、単に過剰の酸素をすべて除去する(燃焼により)ためにだけ大量の還元体が必要になる。還元体が炭化水素燃料、例えばディーゼル、である場合、この方式は燃費が悪い。
【0043】
我々は、大きさを制御した燃料滴をNOx−トラップ触媒の上流面の近くに導入し、注入された燃料の蒸発を計画的に制限することにより、燃料の液滴を触媒表面に衝突させることができることを見出した。これが起これば、その環境は強い還元性になり、近くに貯蔵されていた硝酸塩を還元することができる。従って、この配置は、NOx−トラップ再生に伴う燃料損失を大幅に軽減できる。
【0044】
粒子動力学により、液体還元体の滴は、従来のフロースルーセラミックまたは金属モノリス基材を、その壁上に担持されたNOx吸収材上に衝突することなく、通過する場合がある。還元体がNOx吸収材と接触する可能性を増加するために、一実施態様では、セラミックまたは金属フォームを含んでなるフォーム基材を使用する。別の実施態様は、ヨーロッパ特許第EP−A−1057519号明細書または国際特許第WO03/038248号明細書(どちらもここに参考として含める)に記載されているような、内部じゃま板を包含する金属製部分フィルター基材を使用する。別の実施態様では、NOx−トラップは従来のセラミックウォール−フロ−フィルターを含んでなり、そこでは、圧損により動かされる対流(convention)が、燃料滴を確実に、貯蔵されているNOxに接触させる筈である。この後者の実施態様では、粒子状物質(PM)自体の効果的な濾過は重要ではないので、多孔質フィルターを使用できようが、日本国特許第JP−B−2722987号明細書(JP−A−06159037)(ここに参考として含める)に記載されているようにNOxとPMを組み合わせた抑制、すなわちフィルターが煤燃焼触媒/NO酸化触媒、例えばPt、NOx吸収材、例えば酸化バリウム、および所望によりNOx還元触媒、例えばロジウム、を包含するのが望ましいであろう。
【0045】
還元体注入装置とNOx−トラップとの間に配置された従来のフロースルーモノリス上に酸化触媒を被覆することも、粒子動力学にとって有利になる場合がある。モノリスの開いた前方面積およびセル密度に応じて、燃料滴が実質的に酸化せずに酸化触媒を通過し、NOx−トラップ中に貯蔵されたNOxを還元するのに利用できる。対照的に、蒸発した炭化水素還元体は酸化触媒上で、より酸化され易い。
【0046】
別の実施態様では、NOx−トラップ画分を還元体と接触させる手段が、基材の上流末端上に配置されたフラップバルブを備えてなり、それによって基材を少なくとも二つの区域に小分割する。一つの配置では、注入装置が各区域に接続される。
【0047】
第三態様の方法では、車両用リーンバーン内燃機関の排気機構中にあるモノリス基材上に配置されたNOx−トラップが、NOx−トラップの画分を還元体と接触させることにより、再生され、NOx−トラップ全体は排ガス流に対してイン−ラインのままである。
【0048】
一実施態様では、還元体がNOx−トラップの画分と、排ガス流が減少した時に接触する。
【0049】
本発明の第四の態様では、車両用リーンバーン内燃機関用の、NOx還元触媒、該触媒の上流に配置された還元体注入装置、および使用時に、還元体添加を制御する手段を備えてなる排気機構であって、還元体添加制御装置が、デューティサイクル中の全車両速度において、車両の平均デューティサイクル速度で所望のNOx転化に相関するように予め決められた率で、還元体を触媒に供給する排気機構を提供する。
【0050】
第四態様の発明は、デューティサイクルが限られた車両、例えばまたは廃棄物トラック、用の後付け製品市場に特に用途がある。その考え方は、平均デューティサイクル速度において、NOx還元触媒中で特定量のNOx、例えば90%、を還元するのに、どのような還元体注入率が必要であるかを決定することである。例えば、NOx還元触媒がNOx−トラップを含んでなる場合、使用中に、連続的な速度および量のHC燃料注入、例えば毎分2秒間の注入、を行うための機構制御装置を配置することができる。この機構制御装置は、確実にNOx−トラップが実質的に完全に再生されるための比較的長いリッチHC燃料パルスを時々与え、続いてNOx−トラップの貯蔵能力を維持するために、短い濃縮パルスの連続をより頻繁に与えるように設定することもできる。注入戦略のより正確な詳細は、車両およびそのデューティサイクルによって異なる。
【0051】
平均デューティサイクル速度よりも高い速度では、NOxがより多くなり、空気流量が大きくなり、従って、不十分な還元体のために全体的なNOx転化率は低下するが、高速度は、例えば市中心部のバスではあまり起こりそうもないので、そのような高速度におけるNOx転化による燃料損失は、先行技術の、例えば注入タイミングを遅らせた設定と比較して、全走行サイクルにわたって少ないであろう。HC注入率と平均デューティサイクル速度の相関性は、特定の用途に合わせることができる、例えばマンチェスター(英国)市中心部におけるバスは、ロンドン(英国)におけるバスとは異なったデューティサイクルに直面すると予想されるであろう。
【0052】
第四態様の一実施態様では、酸化触媒を還元体注入装置とNOx−トラップの間に配置し、NOx−トラップの再生温度を増加し、排ガスから酸素を除去し、NOx−トラップ再生のためのリッチ排ガスを確保する。
【0053】
第四の態様による車両用内燃機関の排ガス中NOxの還元方法は、デューティサイクル中の全車両速度で、平均デューティサイクル速度における所望のNOx転化率に相関する率で還元体を排ガス中に導入すること、およびNOxおよび還元体を含む排ガスをNOx還元触媒と接触させることを含んでなる。
【0054】
特別な配置では、NOx還元触媒およびここに記載する還元体送達機構を、上記ヨーロッパ特許第EP−B−0341832号明細書に記載されている配置の下流に配置する。
【0055】
他の記載がない限り、本発明で使用する触媒は、金属またはセラミックまたは炭化ケイ素、例えばコージーライト、材料から製造された高表面積基材モノリス上に塗布する。一般的な配置は、100〜600セル/平方インチ(cpsi)、例えば300〜400cpsi(15.5〜93.0セルcm−2、例えば46.5〜62.0セルcm−2)のハニカム、フロースルーモノリス構造である。
【0056】
内燃機関は、ディーゼルまたはリーンバーンガソリンエンジン、例えばガソリン直噴エンジン、でよい。ディーゼルエンジンは、関連する法規に規定されている軽負荷エンジンまたは重負荷エンジンでよい。
【0057】
本発明をより深く理解するために、その実施態様を、添付の図面を参照しながら説明する。
【0058】
全体的に番号10で示す本発明の第一態様による機構を図1に示すが、そこでは12がディーゼルエンジンを、14が排気マニホルドを、16が排気ラインを、18がNOx還元触媒、例えば5重量%Cu/ベータゼオライトリーン−NOx触媒を表す。還元体供給手段20は、触媒18の上流で排気ライン16中に、ある量のディーゼル燃料を注入するための注入装置を包含する。熱電対TC1は、触媒18への入口で排ガスの温度を検出し、検出した温度をエンジン管理装置(ECU)(図には示していない)中のプロセッサーに伝達する。
【0059】
エンジンに対する負荷が増加するにつれて、排ガス中のNOxレベルがほぼ直線的な様式で増加する。同様に、排ガス温度も負荷と共に増加する。特定の臨界温度未満では、温度が完全なNOx除去反応が起こるには低過ぎるので、還元体を添加しない。図2Aおよび2Bは、特定エンジン12のデューティサイクル全体にわたる、エンジン負荷に対する排ガスNOx濃度およびエンジン負荷に対する温度の相関性を示す。実際には、様々な排ガス温度で添加される還元体の実際量は、特定のデューティサイクルの性質によって異なるが、高温でより大量のNOxを除去するには、より多くの還元体を必要とするという傾向がある。そのような決定は、当業者には公知の適切な装置および技術を使用して、例えば好適なエンジンダイナモメータおよびNOxセンサーを使用して、行うことができる。これらの測定から、走行サイクル全体にわたって排ガス中のNOxを触媒上でN2に還元するのに必要な還元体添加の率を計算すること、および図2Cに示すようにこれを排ガス温度に相関させることが可能である。これらの相関関係を、図1のシステムを動かしているそのような全車両のECUプロセッサーに搭載し、ルックアップテーブルとして保存することができる。使用の際、還元体添加の率および量を、熱電対TC1により検出する排ガスの温度と比例するように、ECUにより制御する。このように還元体を添加することにより、車両上でNOx還元を効率的に、簡単に制御することができる。
【0060】
図3に全体的に30で示す、本発明の第二態様の一実施態様による機構は、図1と同じ番号で示す同様の特徴を有する。図3に示す、図1の機構に追加する新規な特徴は、酸化触媒32、例えばガンマ−アルミナウォッシュコート上に担持された白金1重量%、を包含し、TC1が、NOx還元触媒18の下流で、触媒18と酸化触媒32の間に配置され、第二の熱電対TC2が酸化触媒32の下流に配置されていることである。
【0061】
使用の際、この機構は、ガスが確実に酸化触媒32上で常にリーンになるように操作する。図1の機構と同様に、NOx還元触媒が、その、NOx還元に触媒作用するための低温活性温度未満にある、特定の臨界排ガス温度未満では、還元体は添加されない。この温度を超えると、還元体の量を増加することにより、排ガス中で還元されるNOx量が増加する。僅かに過剰のすり抜けた還元体が酸化触媒32上で酸化され、その結果、生じる発熱により、TC2とTC1で検出された温度の差、すなわちΔT=TC2−TC1、として測定される、触媒を横切る温度増加を引き起こす。この制御戦略は、測定されるΔTが、最適NOx除去に対応する予め決められた値に実質的に維持されるように、還元体添加率を調節することである。還元体流は、ΔTが小さ過ぎる場合に増加し、ΔTが最も効率的なNOx転化に望ましい値より大きい場合に減少させる。
【0062】
図5に全体的に40で表す、本発明の第二態様の第二実施態様による機構では、図3と同様の特徴を同じ参照番号で示す。図5に示す、図3の機構に追加する新規な特徴は、平行な排気ライン44で配置された複数のNOx−トラップ42を包含し、各ラインは独自の還元体供給手段20を有することである。
【0063】
この、図3に示す、本発明の第二態様の配置は、リーン条件下で作動するリーンNOx触媒またはアンモニアSCR機構に応用した時に特に問題を生じないが、NOx−トラップ42の再生がより問題となる。リッチNOx−トラップ再生の必要性から生じる問題の一つは、下流の酸化触媒32が、酸素不足の際に過剰の還元体を除去できないことである。これは、テールパイプにおける高度の還元体放出、および他の起こり得る問題につながる。
【0064】
図5の機構は、排ガス流を、それぞれ独自のNOx−トラップ42および還元体注入装置20を備えた2本以上の平行ライン44にどのように分割できるかを示す。どの時点においても、少なくとも一本のラインは還元体が注入されていないので、NOx−トラップ42から出るガス流をすべて混合すると、得られるガスは、下流の酸化触媒32の上を通過する前は、全体的にリーンである。このようにして、過剰の還元体はすべて酸化され、得られるΔTは、図3の実施態様に関して上に記載するように、NOx還元機構に使用することができる。
【0065】
本発明の第二態様の第三実施態様を図6Aおよび6Bに示すが、そこでは図5に示す実施態様の複数の平行NOx−トラップ42が、単一のNOx−トラップ42AおよびNOx−トラップの上流末端で等間隔に配置された3個の還元体供給手段20によって置き換えられ、還元体スプレーを、基材モノリスの前面にある並列した区域45に向けており、その中心は注入点46により限定される。この配置は、図5に示す第一実施態様と同じ全体的な効果を与えるが、2個以上の還元体注入装置を備えた、より大きな単一の、すなわち一体的なNOx−トラップを使用している。これらの注入装置は、逐次的な様式で操作されるので、どの時点でも、NOx−トラップの一部だけが再生を受け、この部分から出るガスは、再生されていない部分から出る排ガスと混合され、全体的にリーンのガス流を触媒32上での酸化に供給する。
【0066】
この実施態様に対する還元体供給手段は、燃料の液滴が触媒表面に衝突するように、制御された大きさの滴を触媒前面の近くに与えるように設定される。これが起これば、環境は強い還元性になり、近くに貯蔵されていた硝酸塩を還元することができる。この配置の利点は、NOx−トラップ再生のための燃料損失が、エンジンの一個以上のシリンダーで注入タイミングを調節する機構よりも少ないことである。
【0067】
図7に関して、排ガス後処理機構80は、煤燃焼反応器120を備えてなり、その入口は、ディーゼルエンジン(図には示していない)の排気マニホルドに接続されている。反応器120は、その上流部分に、アルミナ系ウォッシュコートおよびPtを担持するセラミックハニカムからなる酸化触媒122を含む。反応器120は、その下流部分に、フィルター等級セラミックハニカムからなるウォール−フロ−フィルター124を含み、その通路は、入口末端と出口末端で交互に閉鎖および開放されており、入口末端で閉鎖されている通路は、出口末端では開放されており、入口末端で開放されている通路は、出口末端では閉鎖されている。そのような配置は、ヨーロッパ特許第EP−B−0341832号明細書に記載されており、その配置はCRT(商品名)と呼ばれている。反応器120の出口末端から、NOx−トラップ容器130の入口にあるフラップバルブ128X、Y、Zの操作チャンバーとして、プレナム126が続いている。容器130は、酸化バリウムおよび金属PtおよびRhを含むアルミナウォッシュコートを担持するフロースルーセラミックハニカムモノリス基材からなるNOx−トラップ131X、Yを含む。フラップバルブ128X、Y、Zの支点は、仕切り129の上に取り付けてあり、その仕切りは、反応器130の面を直径方向に横切って伸び、NOx−トラップ131の面に対してガスを通さない用に密封されている。反応器130の各区域X、Yは、バルブ128の両側に、反応物注入装置132X、Yを備えている。図に示すような完全な反応器130では、バルブ128は中央位置Zにある。バルブ位置XおよびYは、一方の側への流入位置(inset)として示す。反応器130には、大気中またはその後の処理につながる出口134が形成されている。好ましくは、反応器130の2個の半部分中への流量は、最終的にリーンの組成物を与えるように制御され、その混合物は、図3または5に示す配置で酸化触媒上に送られる。
【0068】
この機構の正常な運転では、蒸気(H2O(g))、二窒素(N2)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、未燃焼炭化水素燃料(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)および粒子状物質(PM)を含んでなる排ガスが、例えば300℃で、触媒122と接触し、その上でNOがNO2に酸化され、HCおよびCOの一部が蒸気およびCO2に酸化される。次いで、排ガスは、フィルター124に入り、その上でPMの大部分が集められ、触媒122中で形成されたNO2および場合によりO2との反応により燃焼する。次いで、PMが除去されたガスは、3通りの様式、すなわち128Zでは、NOx−トラップ区域130Xおよび130Yの両方がNOxを吸収(または吸着)し、128Xでは、区域131Xが、プレナム126を離れるガスの小画分および132Xでディーゼル燃料の注入を受ける。区域131Xは再生を受け、その流出物は区域130Yの流出物と再び混合され、区域131Yは、ガスの主要部分を受け、NOxを吸収し、その流出物を134で大気中に放出し、128Yでは、区域131Yが、128Xで記載した役目を行う。
【0069】
NOx−トラップ131YがNOxを吸収するための空き容量を有している時に、エンジン管理装置(図には示していない)が、区域Xから区域Yに切り換え、その逆も行う。
【0070】
図8に関して、図7に示す機構とは別の機構を全体的に番号90で示し、図7と共通の特徴は同じ番号で示すが、ここでは反応器120が触媒122だけを含む。ここでは番号125のPMフィルター容器は、別の容器121の中にある。この容器は、フィルターを通る流れの方向を反転させる点で異なっている。反応器120の出口は、位置123Aと123B(流入)で操作できる4方バルブ123によりフィルター容器121に接続され、フィルター125を通してそれぞれ右側から左側へ、および左側から右側への流れを与えることができるが、中間点はフィルター125をバイパスさせるので、閉塞させる中間点は無い。バルブ123の操作は、非常に急速になるように制御する。フィルター125をどちらかの方向に離れることにより、ガスはバルブ123AまたはBを通って、構造的および機能的に図7と同等であるNOx−トラップ130に流れる。
【0071】
最新型ディーゼルエンジンの特徴は、エンジンから出るNOxおよび/または排ガスの温度が、ヨーロッパ特許第EP−B−0341832号明細書に記載されているようにNOの酸化により触媒作用で発生したNO2を使用する受動的フィルター再生には低過ぎる場合があることである。この問題に対する解決策の一つは、排気機構中の温度を増加することによりPMをフィルター上で燃焼させ、フィルターを横切る背圧を妥当な設計公差内に維持し、能動的にフィルターを再生することである。そのような能動的再生技術は、例えばヨーロッパ特許第0758713A号明細書に記載されている。
【0072】
図8に開示する機構の、CRT(商品名)プロセスの実際的用途に対する優位性は、フィルター中の流れ反転を使用し、走行サイクル全体にわたってNO2中で容易に燃焼されないPMを除去できることにある。未燃焼PMは、第二の使い捨てフィルター上に集め、適当な間隔で除去することができる。従って、この配置は、特に後付け製品市場において、高価で、燃費のかかる能動的再生装置を取り付ける代わりに、実用的で経済的な解決策を提供する。
【0073】
図8に示す実施態様でガス流の方向を切り換えるには、図9Aおよび9Bに示す好適な4方バルブ123を使用することができる。これらの図面に示す平面図は、実質的に円筒形のバルブケーシング100に関し、そのケーシングは、内部に直径が大きい周辺部区域102が形成され、回転シャフト106を有する長方形バタフライデフレクタ104の横行範囲を限定しており、その回転シャフトは、バルブケーシングの外に、シールを経由してアクチュエータ(図には示していない)に伸びている。横行範囲の極限は、直径が異なる区域間の段差108により限定され、そのような段差は、その意図する通路からのガス漏れを制限する。「LHS」は「左側」を、RHSは「右側」を意味する。
【0074】
図7、8および9に示す配置は、少なくとも下記の理由から独立して発明になると考えられる。機構内バルブ使用は、複雑な配管を避けるために望ましいことが分かっているが、その採用は、比較的高温の排ガス中ではバルブ機構が腐食し易く、バルブの耐用寿命前に交換することになるために、限られている。この問題は、重負荷ディーゼル車両に特に関連する。しかし、本配置では、ガスはディーゼル排気であり、これは、特に最新のエンジンでは先行技術のエンジン程高温ではなく、排ガスは、低硫黄ディーゼルを使用するためにSOx分が低く、フィルター下流のガスに含まれる、バルブを損なう可能性があるPMは比較的少量であり、ガスはリーンであり、従って、鋼を不動態化する。そのため、これらの特徴を組み合わせることにより、機構中のバルブ使用は実用的な提案になる。
【0075】
図10に示す機構50で、52は条件付きシステム制御装置(CSC)であり、54はマスタースイッチであり、56は同期発電機であり、58はブロックコンデンサーであり、60は熱電対であり、62は注入制御装置(ICU)であり、64は燃料ポンプであり、66はバルブであり、68は燃料注入装置であり、70は正の電力線である。CSC52は、マスタースイッチ54をオンにし、DCブロックコンデンサー58の後にある同期発電機56からのACリプルにより決定されるようにエンジンが作動しており、排気機構を検出するために適当に配置された熱電対60の出力が、好適なNOx−トラップ上のNOx還元用に予め決められた最低温度を超えていれば、電力をICU62に供給するスイッチである。マスタースイッチ54は、キー−オン位置に接続する必要はない。
【0076】
CSC52は、3つの特徴(マスタースイッチ位置、同期発電機リプルの検出および予め決められた最小値を超える排ガス温度)のすべてが一致すれば、連続速度および量のHCを発生するように設計されている。CSC52がオンになると、注入ポンプ64およびICU62に電力が供給され、ICU62がソレノイドバルブ66を操作し、排ガスがNOx吸収成分の上流にある酸化触媒上を通過する前に排ガスを濃縮する一連のパルスを発生する。典型的には、注入制御装置は、比較的非常に長いリッチパルスを時々発生し、確実にNOx−トラップを実質的に完全に空にし、その後でより頻繁な一連の短い濃縮パルス、例えば毎分2秒間の注入、を発生し、NOx−トラップの貯蔵能力を維持する(図11参照)。
【0077】
この燃料注入率は、選択したNOx転化、例えば平均デューティサイクル速度で90%、に相関している。平均デューティサイクル速度よりも高い速度では、より多くのNOxおよび大量の空気流があり、従って、NOx転化は低下するであろう。しかし、高速度は、例えば市中心部のバスまたは廃棄物トラックでは、あまり起こりそうもなく、そのような高速度により引き起こされるNOx転化による燃料損失の増加は、先行技術の配置、例えば遅延注入タイミングを使用する先行技術の配置と比較して、走行サイクル全体にわたって少ない。
【0078】
非常に一般的に、NOx−トラップ再生を何時行うべきかを予見するための簡単な制御機構を、特に後付けする用途で提供するために、ここに記載するNOx−トラップを使用する機構を開発したが、多くの車両は、車両運転の他の特徴を制御するためのデータをECUに入力する一連のセンサーをすでに包含している。ECUを適切に再プログラム化することにより、そのような既存のセンサー入力の一つ以上を、残留NOx−トラップ容量を予見する目的に使用することができる。これら入力には、好適な時計手段の状態を感知することにより、予め決められた、または予見される、キー−オンまたは前の再生から経過した時間、TWC上の空気流またはマニホルド真空、点火タイミング、エンジン速度、スロットル位置、例えばラムダセンサー、好ましくは直線的ラムダセンサーを使用する排ガスレドックス組成、エンジン中に注入される燃料の量、車両が排ガス再循環(EGR)を包含する場合、EGRバルブの位置、およびそれによって検出されるEGRの量、エンジン冷却剤温度、排気機構がNOxセンサーを包含する場合、NOx−トラップの上流および/または下流で検出されるNOxの量が挙げられるが、これらに限定するものではない。時計実施態様を使用する場合、予見される時間を、データ入力に応答して調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、本発明の第一態様による機構を図式的に示す図である。
【図2A】図2Aは、図1に示す機構の排ガス中NOx濃度をエンジン負荷に対してプロットしたグラフを図式的に示す図である。
【図2B】図2Bは、図1に示す機構の排ガス温度をエンジン負荷に対してプロットしたグラフを図式的に示す図である。
【図2C】図2Cは、図1に示す機構の排ガス温度をNOx濃度(左側y軸)および還元体添加(右側y軸)に対してプロットしたグラフを図式的に示す図である。
【図3】図3は、本発明の第二態様による機構を図式的に示す図である。
【図4A】図4Aは、図3に示す機構におけるNOx還元触媒上で還元されるNOxを還元体添加に対してプロットしたグラフを図式的に示す図である。
【図4B】図4Bは、図3に示す機構におけるNOx還元触媒上で還元されるNOxをΔTに対してプロットした、臨界温度(x軸に対する破線)より上における還元体添加および検出されたΔTに対応する最適還元体添加(暗くした区域)を示すグラフを図式的に示す図である。
【図5】図5は、本発明の第二態様の一実施態様による機構を図式的に示す図である。
【図6A】図6Aは、本発明の第二態様の別の実施態様を図式的に示す図であり、単一基材モノリスを含んでなるNOx−トラップの末端図を示し、基材の上流末端における複数の還元体注入装置の注入点およびスプレー区域を示す。
【図6B】図6Bは、図6Aに示す単一基材モノリスを図式的に示す側面図である。
【図7】図7は、ディーゼルエンジンの排ガス処理に使用するNOx−トラップと煤燃焼反応器の組合せを包含する、本発明の第三態様の一実施態様を図式的に示す断面図である。
【図8】図8は、図7と類似のNOx−トラップを備えてなるが、2つの部分からなる煤燃焼反応器を使用し、その第二部分が流れ反転フィルターを収容する、本発明の第三態様の別の実施態様を示す断面図である。
【図9】図9A(位置123A)および9B(位置123B)は、図8で使用する4方バルブの、2つの極限位置を示すバルブの拡大平面図である。
【図10】図10は、本発明の第四態様による機構を図式的に示す図である。
【図11】図11は、図9の機構で使用するための燃料注入戦略を示す、量と時間の関係をプロットしたグラフを図式的に示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用リーンバーン内燃機関(12)用の排気機構(10)であって、
排ガス中のNOxを好適な還元体でN2に還元するための触媒(18)と、
還元体の供給源と、
前記触媒(18)を前記還元体と接触させる手段(20)と、
前記排ガスおよび/または前記触媒床の温度を検知する手段(TC1)と、および
使用中に、還元体添加を制御する手段とを備えてなり、
前記還元体添加制御手段が、前記排ガスおよび/または触媒床の温度測定値に対応する率による量の還元体を前記触媒に供給するものであり、
前記温度値が、使用中に、前記排ガス中のNOx量と相関し、それによって前記NOxの還元を促進するように、予め決められている、排気機構。
【請求項2】
車両用リーンバーン内燃機関(12)の排ガス中にあるNOxを好適な触媒(18)上でN2に還元するのに必要な還元体添加の率を校正する方法であって、
複数の排ガスおよび/または触媒床温度で前記排ガス中のNOxを測定し、および
各排ガスおよび/または触媒床温度値を、前記触媒上で前記NOxを還元するのに必要な還元体添加の率に相関させることを含んでなる、方法。
【請求項3】
車両用リーンバーン内燃機関(12)用の排気機構(30、40)であって、
排ガス中のNOxを好適な還元体でN2に還元するための触媒(18、42、42A)と、
還元体の供給源と、
前記NOx還元触媒(18、42、42A)を前記還元体と接触させる手段(20)と、
前記NOx還元触媒(18、42、42A)の下流に配置された酸化触媒(32)と、
前記酸化触媒(32)を横切る温度差(ΔT)を決定する手段(TC1、TC2)と、および
使用中に、還元体添加を制御する手段とを備えてなり、
前記還元体添加制御手段が、還元体添加率を制御してΔTを予め決められた範囲内に維持するものであり、
前記機構が、前記酸化触媒上の前記排ガス組成がリーンになるように設計されてなる、排気機構。
【請求項4】
車両用リーンバーン内燃機関(12)の排ガス中にあるNOxをN2に還元する触媒(18、42、42A)への還元体添加をフィードバックにより制御する方法であって、
前記還元体を酸化するための酸化触媒(32)を前記NOx還元触媒(18、42、42A)の下流に配置し、
前記酸化触媒(32)の上流で前記排ガス温度を測定し、
前記酸化触媒(32)の下流で前記排ガス温度を測定し、
前記入口および出口温度の差(ΔT)を決定し、および
還元体添加の率を調節し、ΔTが予め決められた範囲内に入るようにすることを含んでなる、方法。
【請求項5】
車両用リーンバーン内燃機関用の排気機構であって、
単一のモノリス基材上に配置されたNOx−トラップ(42A、131)と、および
前記基材の上流末端が、流体の流れ方向で少なくとも2つの区域(45;131X、131Y)に小分割されてなり、
前記NOx−トラップ(42A、131)が、全体として排ガス流に対してイン−ラインのままである間に、前記少なくとも2つの区域(45;131X、131Y)の画分を還元体と順次接触させる手段とを備えてなる、排気機構。
【請求項6】
前記NOx−トラップ画分を還元体と接触させる前記手段が、液体還元体の滴が前記NOx−トラップと接触するように、前記基材の上流末端に十分に近い所に配置された注入装置(20;132X、132Y)を備えてなる、請求項5に記載の排気機構。
【請求項7】
前記基材がセラミックまたは金属フォームを備えてなる、請求項6に記載の排気機構。
【請求項8】
前記NOx−トラップ画分を還元体と接触させる前記手段が、前記基材の上流末端上に配置されたフラップバルブ(128)を備えてなり、それによって前記基材を少なくとも二つの区域(131X、131Y)に小分割するものである、請求項5に記載の排気機構。
【請求項9】
注入装置(132X、132Y)が各区域に接続されてなる、請求項8に記載の排気機構。
【請求項10】
車両用リーンバーン内燃機関の排気機構中にあるモノリス基材上に配置されたNOx−トラップ(42A、131)を再生する方法であって、
前記NOx−トラップ全体が排ガス流に対してイン−ラインのままである間に、前記NOx−トラップの画分(45;131X、131Y)を還元体と接触させることを含んでなる、方法。
【請求項11】
前記NOx−トラップの画分が液体還元体の滴と接触する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記還元体が前記NOx−トラップの画分と、減少した排ガス流中で接触する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
車両用リーンバーン内燃機関用の排気機構であって、
NOx還元触媒と、
前記触媒の上流に配置された還元体注入装置(68)と、および
使用中に、還元体添加を制御する手段(50)とを備えてなり、
前記還元体添加制御手段が、デューティサイクル中の全車両速度において、前記車両の平均デューティサイクル速度で所望のNOx転化に相関するように予め決められた率で、還元体を前記触媒に供給するものである、排気機構。
【請求項14】
前記還元体注入装置(68)と前記NOx還元触媒の間に配置された酸化触媒を備えてなる、請求項13に記載の排気機構。
【請求項15】
車両用内燃機関の排ガス中にあるNOxを還元する方法であって、
デューティサイクル中の全車両速度で、平均デューティサイクル速度における所望のNOx転化率に相関する率で還元体を前記排ガス中に導入し、および
前記NOxおよび前記還元体を含む前記排ガスをNOx還元触媒と接触させることを含んでなる、方法。
【請求項16】
前記還元体を、前記NOx還元触媒の上流で酸化触媒と接触させ、それによって前記排ガスの温度を増加すること、および/または前記排ガス中の酸素濃度を下げることを含んでなる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
使用中に、前記NOx還元触媒が活性である時にのみ、前記NOx還元触媒に還元体を供給する制御手段を備えてなる、請求項1、3、5〜9、13または14のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項18】
前記NOx還元触媒が活性である時にのみ、NOx還元に触媒作用させるために、還元体が前記NOx還元触媒に供給される、請求項2、4、10〜12、15または16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ΔTが大き過ぎる場合、還元体添加率が低下する、請求項3に記載の排気機構。
【請求項20】
ΔTが大き過ぎる場合、還元体添加率が低下する、請求項4に記載の方法。
【請求項21】
前記還元体が炭化水素であり、前記触媒がリーンNOx触媒である、請求項1、3、5〜9、13、14または17のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項22】
前記還元体がNOx特異性還元体であり、および
前記触媒が選択的触媒還元(SCR)触媒である、請求項1、3、5〜9、13、14または17のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項23】
前記触媒がNOx吸収材を含んでなる、請求項21または22に記載の排気機構。
【請求項24】
前記還元体が炭化水素であり、および
前記触媒がリーンNOx触媒である、請求項2、4、10〜12、15、16または18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記還元体がNOx特異性還元体であり、および
前記触媒が選択的触媒還元(SCR)触媒である、請求項2、4、10〜12、15、16または18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記触媒がNOx吸収材を含んでなる、請求項24または25に記載の方法。
【請求項1】
車両用リーンバーン内燃機関(12)用の排気機構(10)であって、
排ガス中のNOxを好適な還元体でN2に還元するための触媒(18)と、
還元体の供給源と、
前記触媒(18)を前記還元体と接触させる手段(20)と、
前記排ガスおよび/または前記触媒床の温度を検知する手段(TC1)と、および
使用中に、還元体添加を制御する手段とを備えてなり、
前記還元体添加制御手段が、前記排ガスおよび/または触媒床の温度測定値に対応する率による量の還元体を前記触媒に供給するものであり、
前記温度値が、使用中に、前記排ガス中のNOx量と相関し、それによって前記NOxの還元を促進するように、予め決められている、排気機構。
【請求項2】
車両用リーンバーン内燃機関(12)の排ガス中にあるNOxを好適な触媒(18)上でN2に還元するのに必要な還元体添加の率を校正する方法であって、
複数の排ガスおよび/または触媒床温度で前記排ガス中のNOxを測定し、および
各排ガスおよび/または触媒床温度値を、前記触媒上で前記NOxを還元するのに必要な還元体添加の率に相関させることを含んでなる、方法。
【請求項3】
車両用リーンバーン内燃機関(12)用の排気機構(30、40)であって、
排ガス中のNOxを好適な還元体でN2に還元するための触媒(18、42、42A)と、
還元体の供給源と、
前記NOx還元触媒(18、42、42A)を前記還元体と接触させる手段(20)と、
前記NOx還元触媒(18、42、42A)の下流に配置された酸化触媒(32)と、
前記酸化触媒(32)を横切る温度差(ΔT)を決定する手段(TC1、TC2)と、および
使用中に、還元体添加を制御する手段とを備えてなり、
前記還元体添加制御手段が、還元体添加率を制御してΔTを予め決められた範囲内に維持するものであり、
前記機構が、前記酸化触媒上の前記排ガス組成がリーンになるように設計されてなる、排気機構。
【請求項4】
車両用リーンバーン内燃機関(12)の排ガス中にあるNOxをN2に還元する触媒(18、42、42A)への還元体添加をフィードバックにより制御する方法であって、
前記還元体を酸化するための酸化触媒(32)を前記NOx還元触媒(18、42、42A)の下流に配置し、
前記酸化触媒(32)の上流で前記排ガス温度を測定し、
前記酸化触媒(32)の下流で前記排ガス温度を測定し、
前記入口および出口温度の差(ΔT)を決定し、および
還元体添加の率を調節し、ΔTが予め決められた範囲内に入るようにすることを含んでなる、方法。
【請求項5】
車両用リーンバーン内燃機関用の排気機構であって、
単一のモノリス基材上に配置されたNOx−トラップ(42A、131)と、および
前記基材の上流末端が、流体の流れ方向で少なくとも2つの区域(45;131X、131Y)に小分割されてなり、
前記NOx−トラップ(42A、131)が、全体として排ガス流に対してイン−ラインのままである間に、前記少なくとも2つの区域(45;131X、131Y)の画分を還元体と順次接触させる手段とを備えてなる、排気機構。
【請求項6】
前記NOx−トラップ画分を還元体と接触させる前記手段が、液体還元体の滴が前記NOx−トラップと接触するように、前記基材の上流末端に十分に近い所に配置された注入装置(20;132X、132Y)を備えてなる、請求項5に記載の排気機構。
【請求項7】
前記基材がセラミックまたは金属フォームを備えてなる、請求項6に記載の排気機構。
【請求項8】
前記NOx−トラップ画分を還元体と接触させる前記手段が、前記基材の上流末端上に配置されたフラップバルブ(128)を備えてなり、それによって前記基材を少なくとも二つの区域(131X、131Y)に小分割するものである、請求項5に記載の排気機構。
【請求項9】
注入装置(132X、132Y)が各区域に接続されてなる、請求項8に記載の排気機構。
【請求項10】
車両用リーンバーン内燃機関の排気機構中にあるモノリス基材上に配置されたNOx−トラップ(42A、131)を再生する方法であって、
前記NOx−トラップ全体が排ガス流に対してイン−ラインのままである間に、前記NOx−トラップの画分(45;131X、131Y)を還元体と接触させることを含んでなる、方法。
【請求項11】
前記NOx−トラップの画分が液体還元体の滴と接触する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記還元体が前記NOx−トラップの画分と、減少した排ガス流中で接触する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
車両用リーンバーン内燃機関用の排気機構であって、
NOx還元触媒と、
前記触媒の上流に配置された還元体注入装置(68)と、および
使用中に、還元体添加を制御する手段(50)とを備えてなり、
前記還元体添加制御手段が、デューティサイクル中の全車両速度において、前記車両の平均デューティサイクル速度で所望のNOx転化に相関するように予め決められた率で、還元体を前記触媒に供給するものである、排気機構。
【請求項14】
前記還元体注入装置(68)と前記NOx還元触媒の間に配置された酸化触媒を備えてなる、請求項13に記載の排気機構。
【請求項15】
車両用内燃機関の排ガス中にあるNOxを還元する方法であって、
デューティサイクル中の全車両速度で、平均デューティサイクル速度における所望のNOx転化率に相関する率で還元体を前記排ガス中に導入し、および
前記NOxおよび前記還元体を含む前記排ガスをNOx還元触媒と接触させることを含んでなる、方法。
【請求項16】
前記還元体を、前記NOx還元触媒の上流で酸化触媒と接触させ、それによって前記排ガスの温度を増加すること、および/または前記排ガス中の酸素濃度を下げることを含んでなる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
使用中に、前記NOx還元触媒が活性である時にのみ、前記NOx還元触媒に還元体を供給する制御手段を備えてなる、請求項1、3、5〜9、13または14のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項18】
前記NOx還元触媒が活性である時にのみ、NOx還元に触媒作用させるために、還元体が前記NOx還元触媒に供給される、請求項2、4、10〜12、15または16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ΔTが大き過ぎる場合、還元体添加率が低下する、請求項3に記載の排気機構。
【請求項20】
ΔTが大き過ぎる場合、還元体添加率が低下する、請求項4に記載の方法。
【請求項21】
前記還元体が炭化水素であり、前記触媒がリーンNOx触媒である、請求項1、3、5〜9、13、14または17のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項22】
前記還元体がNOx特異性還元体であり、および
前記触媒が選択的触媒還元(SCR)触媒である、請求項1、3、5〜9、13、14または17のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項23】
前記触媒がNOx吸収材を含んでなる、請求項21または22に記載の排気機構。
【請求項24】
前記還元体が炭化水素であり、および
前記触媒がリーンNOx触媒である、請求項2、4、10〜12、15、16または18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記還元体がNOx特異性還元体であり、および
前記触媒が選択的触媒還元(SCR)触媒である、請求項2、4、10〜12、15、16または18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記触媒がNOx吸収材を含んでなる、請求項24または25に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2006−527815(P2006−527815A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516452(P2006−516452)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002643
【国際公開番号】WO2004/113691
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002643
【国際公開番号】WO2004/113691
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]