説明

部品付き配線基板の製造方法、はんだバンプを有する配線基板の製造方法、配線基板

【課題】はんだバンプのコプラナリティの測定値を低減でき、しかもボイドの発生を防止できる部品付き配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】はんだバンプ成形工程では、複数のはんだバンプ22の頂部27を平坦化及び粗化する。フラックス供給工程では、平坦化及び粗化された複数のはんだバンプ22の頂部27にフラックス28を供給する。加熱溶融工程では、ICチップ45における複数の接続端子47を、フラックス供給済みの複数のはんだバンプ22に対応させて配置し、この状態で複数のはんだバンプ22を加熱溶融する。これにより、はんだバンプ22に含まれているフラックス28は、加熱溶融工程において加熱溶融される際に気化して確実に頂部27から外部に放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に配置されたはんだバンプを平坦化する部品付き配線基板の製造方法、はんだバンプを有する配線基板の製造方法、及び、はんだバンプが平坦化された配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を搭載するためのパッド上にはんだバンプが形成された配線基板(半導体パッケージ)が知られている。この種の配線基板としては、ボールグリッドアレイ(BGA)、ピングリッドアレイ(PGA)などの各種のタイプがある。そして、これらの配線基板の有するはんだバンプに対しては、フリップチップ方式にて電子部品が高密度に実装可能となっている。なお、はんだバンプは、例えばソルダーペースト法などにより形成される。具体的に言うと、配線基板上面のパッド上にはんだペーストを印刷してリフローする。これにより、半球状に盛り上がった形状のはんだバンプが形成される。
【0003】
ところで、配線基板と電子部品との接合性等を高めるためには、配線基板上に形成された個々のはんだバンプの高さが揃っていることが好ましい。換言すると、個々のはんだバンプのコプラナリティ(Coplanarity )の測定値は小さい方が好ましい。なお、はんだバンプの高さは、はんだの体積やパッドの面積等に依存している。ところが、LVSB(Low Volume Solder Bump)と呼ばれる体積が小さいはんだバンプが発生(現在の発生率は2〜3%)するなどして、個々のはんだバンプの高さにバラツキが生じてしまうことがある。その結果、コプラナリティの測定値が大きくなってしまい、電子部品との間に接続不良が発生する可能性がある。
【0004】
そこで図18に示されるように、配線基板51上に形成された各はんだバンプ52の上方に治具61をセットし、治具61を用いて各はんだバンプ52を押圧するなどして各はんだバンプ52の頂部を平坦化(図18の破線部分参照)する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。このようにすれば、LVSBの発生を防止することができ、ひいては、各はんだバンプ52のコプラナリティの測定値を低減することができる。なお、各はんだバンプ52の頂部が平坦化された配線基板51において、電子部品71の搭載は以下のように行われる(図19参照)。まず、電子部品71側の接続端子72と、配線基板51側のはんだバンプ52とを位置合わせする。そして、加熱してはんだバンプ52をリフローすることにより、はんだバンプ52と接続端子72とを接合する。これにより、配線基板51上に電子部品71が搭載される。
【特許文献1】特開2004−6926号公報(図2など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電子部品71との接合性を高めるために、通常はんだ付けの際には、はんだバンプ52の頂部にはフラックス53(図19参照)が供給される。このフラックス53は、リフロー時に気化して接続端子72との接合界面から外部に放出されるが、上記したようにはんだバンプ52が平坦化されていると、放出されずにはんだバンプ52内に溜まりやすくなる。その結果、はんだバンプ52と接続端子72との接合界面にボイドが発生してしまい、それに起因して電子部品71との接続に不具合が生じてしまう。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、はんだバンプのコプラナリティの測定値を低減でき、しかもボイドの発生を防止できる部品付き配線基板の製造方法、はんだバンプを有する配線基板の製造方法、及び、はんだバンプを有する配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、配線基板本体の表面側に配置された複数のはんだバンプと、部品の底面側に配置された複数の接続端子とが接合された部品付き配線基板の製造方法であって、複数のはんだバンプの頂部を平坦化及び粗化するはんだバンプ成形工程と、平坦化及び粗化された前記複数のはんだバンプの前記頂部にフラックスを供給するフラックス供給工程と、前記部品における前記複数の接続端子を、フラックス供給済みの前記複数のはんだバンプに対応させて配置し、この状態で前記複数のはんだバンプを加熱溶融する加熱溶融工程とを含むことを特徴とする部品付き配線基板の製造方法がある。
【0008】
従って、手段1の製造方法によると、はんだバンプ成形工程において複数のはんだバンプの頂部が平坦化されるため、コプラナリティに優れていて部品との接続に適したはんだバンプ群を備えた部品付き配線基板を、確実にかつ容易に得ることが可能となる。しかも、はんだバンプ成形工程において複数のはんだバンプの頂部が粗化されて微小な凹凸が形成されるため、その部分にフラックスが溜まりやすくなる。また、はんだバンプの頂部に形成された凹凸は、加熱溶融時に気化したフラックスのガス抜き通路となるため、気化したフラックスは、ガス抜き通路を通過して確実に頂部から外部に放出される。ゆえに、気化したフラックスがはんだバンプ内に溜まることに起因したボイドの発生を防止することができる。よって、はんだバンプと部品の接続端子との接続信頼性が向上する。
【0009】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、配線基板本体の表面側に複数のはんだバンプを配置するはんだバンプ配置工程と、前記複数のはんだバンプの頂部を平坦化及び粗化するはんだバンプ成形工程とを含むことを特徴とするはんだバンプを有する配線基板の製造方法がある。
【0010】
従って、手段2の製造方法によると、はんだバンプ成形工程において複数のはんだバンプの頂部が平坦化されるため、コプラナリティに優れていて他部品との接続に適したはんだバンプを有する配線基板を、確実にかつ容易に得ることが可能となる。しかも、はんだバンプ成形工程において複数のはんだバンプの頂部が粗化されて微小な凹凸が形成されるため、その部分にフラックスが溜まりやすくなる。また、はんだバンプの頂部に形成された凹凸は、はんだバンプを加熱溶融すると気化したフラックスのガス抜き通路となるため、気化したフラックスは、ガス抜き通路を通過して確実に頂部から外部に放出される。ゆえに、気化したフラックスがはんだバンプ内に溜まることに起因したボイドの発生を防止することができる。よって、はんだバンプと他部品との接続信頼性が向上する。
【0011】
本発明における配線基板を構成する基板(配線基板本体)としては、樹脂材料またはセラミック材料などを主体として構成された基板などを挙げることができる。樹脂材料を主体として構成された基板の具体例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)基板、PI樹脂(ポリイミド樹脂)基板、BT樹脂(ビスマレイミド・トリアジン樹脂)基板、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)基板などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板を使用してもよい。あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料からなる基板等を使用してもよい。また、セラミック材料を主体として構成された基板の具体例としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、窒化珪素などのセラミック材料からなる基板などがある。
【0012】
はんだバンプの形成材料となるはんだ合金としては、搭載される部品の接続端子等の材質等に応じて適宜選択すればよいが、90Pb−10Sn、95Pb−5Sn、40Pb−60SnなどのPb−Sn系はんだ、Sn−Sb系はんだ、Sn−Ag系はんだ、Sn−Ag−Cu系はんだ、Au−Ge系はんだ、Au−Sn系はんだ、Au−Si系はんだなどが挙げられる。特に、前記複数のはんだバンプは鉛フリーはんだからなることが好ましい。このようにすれば、はんだバンプに鉛が含まれていないため、配線基板の環境への負荷を低くすることができる。また、鉛フリーはんだは、鉛を含有するはんだよりも濡れ性が悪く、ボイドの発生量が多くなる傾向にあるため、はんだバンプの頂部を粗化してフラックスを放出しやすくすれば、ボイドの発生をより効果的に防止できる。ここで、鉛フリーはんだとしては、Sn−Sb系はんだ、Sn−Ag系はんだ、Sn−Ag−Cu系はんだ、Au−Ge系はんだ、Au−Sn系はんだ、Au−Si系はんだなどが挙げられる。
【0013】
なお、はんだバンプは、前記加熱溶融工程(前記部品を接合する工程)において加熱溶融されることにより、表面張力によって球状に変化して高さが高くなる。よって、前記はんだバンプ成形工程において、はんだバンプの頂部を大きく平坦化して頂部の直径を大きくしておけば、加熱溶融工程を行う際に頂部が部品の接続端子に大きく近づくようになる。このため、はんだバンプの頂部のコプラナリティの測定値が多少大きい場合であっても、はんだバンプと接続端子とを接合しやすくなる。
【0014】
前記はんだバンプ成形工程では、押圧用粗面を有する押圧治具を用いて複数のはんだバンプの頂部をその高さが揃うようにプレスすることにより、前記頂部を平坦化すると同時に粗化することが好ましい。このようにすれば、上記手段1,2の配線基板を効率良く製造することができる。
【0015】
また、はんだバンプ成形工程を行う場合、押圧治具をヒータなどの加熱手段により加熱してもよいし、加熱しなくてもよい。押圧治具を加熱する場合、はんだバンプがある程度軟化する。ゆえに、常温で行う場合と比較してはんだバンプが変形しやすくなり、押圧治具の応力をそれほど大きくすることなく、はんだバンプの頂部を確実に平坦化させることができる。一方、押圧治具を加熱しない場合、加熱手段が不要となるため、簡単な構成ではんだバンプの頂部を平坦化させることができる。
【0016】
ここで、前記押圧治具は、チタンやステンレスなどの金属材、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素などのセラミック材、ガラス材などによって構成されることが好ましく、はんだに濡れない(または濡れにくい)ものが好ましい。特に、前記押圧治具は、加工精度が高く熱による変形が少ないセラミック材によって構成されることがよい。また、押圧治具の押圧用粗面は平面であることが好ましい。このようにすれば、各はんだバンプに押圧力が均等に加わるため、各はんだバンプの頂部を精度よく平坦化することができる。
【0017】
さらに、上記課題を解決するための別の手段(手段3)としては、配線基板本体の表面側に複数のはんだバンプを配置するはんだバンプ配置工程と、前記複数のはんだバンプの頂部を粗化するはんだバンプ成形工程とを含むことを特徴とするはんだバンプを有する配線基板の製造方法がある。
【0018】
従って、手段3の製造方法によると、はんだバンプ成形工程において複数のはんだバンプの頂部が粗化されて微小な凹凸が形成されるため、その部分にフラックスが溜まりやすくなる。また、はんだバンプの頂部に形成された凹凸は、はんだバンプを加熱溶融すると気化したフラックスのガス抜き通路となるため、気化したフラックスは、ガス抜き通路を通過して確実に頂部から外部に放出される。ゆえに、気化したフラックスがはんだバンプ内に溜まることに起因したボイドの発生を防止することができる。よって、はんだバンプと他部品との接続信頼性が向上する。
【0019】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段4)としては、配線基板本体の表面側に配置された複数のはんだバンプと、部品の底面側に配置された複数の接続端子とが接合された部品付き配線基板の製造方法であって、複数のはんだバンプの頂部を粗化するはんだバンプ成形工程と、粗化された前記複数のはんだバンプの前記頂部にフラックスを供給するフラックス供給工程とを含むことを特徴とする部品付き配線基板の製造方法がある。
【0020】
従って、手段4の製造方法によると、はんだバンプ成形工程において複数のはんだバンプの頂部が粗化されて微小な凹凸が形成されるため、その部分にフラックスが溜まりやすくなる。また、はんだバンプの頂部に形成された凹凸は、はんだバンプを加熱溶融すると気化したフラックスのガス抜き通路となるため、気化したフラックスは、ガス抜き通路を通過して確実に頂部から外部に放出される。ゆえに、気化したフラックスがはんだバンプ内に溜まることに起因したボイドの発生を防止することができる。よって、はんだバンプと他部品との接続信頼性が向上する。
【0021】
なお、はんだバンプの表面全体は、はんだバンプよりも融点が高い酸化膜で覆われているため、加熱によりはんだバンプの融点に到達したとしても、はんだバンプが溶融(リフロー)しにくい。ゆえに、はんだバンプと他部品との接続が困難である。そこで、前記フラックスを供給する前の前記複数のはんだバンプが、前記頂部に凹凸を有するとともに表面全体が酸化膜で覆われている場合、前記フラックス供給工程において、前記酸化膜が、前記複数のはんだバンプの前記頂部にフラックスを供給することで溶かされることが好ましい。これにより、酸化膜が溶かされた部分にはんだバンプの表面が露出する。その結果、はんだバンプの融点に到達した時点ではんだバンプが溶け始めるようになるため、はんだバンプが溶融しやすくなり、はんだバンプと他部品との接続が容易になる。また、はんだバンプの頂部は凹凸を有しているため、その部分にフラックスが確実に保持される。ゆえに、頂部にある酸化膜から優先的に溶けやすくなる。
【0022】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段5)としては、頂部が平坦化及び粗化された複数のはんだバンプが配線基板本体の表面上に配置されるとともに、前記頂部のコプラナリティの測定値が1cmあたり10μm以下かつ表面粗さRaが0.3μm以上5μm以下であることを特徴とするはんだバンプを有する配線基板がある。
【0023】
従って、手段5の配線基板によると、複数のはんだバンプの頂部が平坦化されてコプラナリティの測定値が1cmあたり10μm以下となるため、他部品との接続が確実にかつ容易になる。仮に、コプラナリティの測定値が1cmあたり10μmよりも大きくなると、個々のはんだバンプの高さにバラツキが生じてしまい、他部品との間に接続不良が発生する可能性がある。
【0024】
しかも、複数のはんだバンプの頂部が粗化されて表面粗さRaが0.3μm以上5μm以下となるため、はんだバンプに含まれているフラックスは、加熱溶融される際に気化して確実に頂部から外部に放出される。ゆえに、気化したフラックスがはんだバンプ内に溜まることに起因したボイドの発生を防止することができる。仮に、表面粗さRaが0.3μm未満になると、気化したフラックスがはんだバンプ内に溜まりやすくなり、ボイドが発生しやすくなる。一方、表面粗さRaが5μmよりも大きくなると、個々のはんだバンプの高さにバラツキが生じてしまい、コプラナリティの測定値が大きくなる可能性がある。その結果、はんだバンプと他部品との接合強度が低下するおそれがある。また、表面粗さRaが5μmよりも大きくなることではんだバンプの頂部に深い凹部が形成されるため、凹部に溜まったフラックスが外部に放出されにくくなるおそれがある。
【0025】
ここで、本明細書で述べられている「コプラナリティ」とは、「日本電子機械工業会規格EIAJ ED−7304 BGA規定寸法の測定方法」で定義されている端子最下面均一性を示している。そして、「コプラナリティの測定値」とは、「ED−7304 BGA規定寸法の測定方法」で定義されている測定値であり、配線基板本体の表面に対する複数のはんだバンプの頂部の均一性を示す指標である。また、本明細書で述べられている「表面粗さRa」とは、JIS B0601で定義されている算術平均粗さRaである。なお、表面粗さRaの測定方法はJIS B0651に準じるものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[第1実施形態]
【0027】
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図6に基づき詳細に説明する。
【0028】
図1は、はんだバンプ平坦化装置10の概略図である。図2はそのはんだバンプ平坦化装置10にセットされる配線基板11の概略平面図、図3は同じく概略断面図である。図1に示すように、はんだバンプ平坦化装置10は、押圧治具である上治具13、支持治具である下治具14、及び、配線基板11を下治具14にセットするための移動治具15などを備えている。
【0029】
図2,図3等に示すように、本実施形態の配線基板11は、MPUなどの多端子の高密度フリップチップ接続に対応可能なピングリッドアレイ(PGA)タイプの半導体パッケージである。具体的に言うと、この配線基板11は、ガラス繊維を含むビスマレイミド・トリアジンなどの樹脂からなるコア基板の上下面に、公知の手法により複数の樹脂絶縁層を積層した多層配線基板である。この多層配線基板は、厚さ約1mm、約40mm角の平板状部品であり、各樹脂絶縁層間に図示しない銅配線を備えている。
【0030】
配線基板11を構成する配線基板本体12の表面20(図3では上面)において略中央の正方形領域は、バンプ形成領域AR1とされている。バンプ形成領域AR1内には、ICチップ45(図4等参照)を接合するための複数のパッド21がほぼ格子状に整列して形成されるとともに、各パッド21上にははんだバンプ22が形成されている。パッド21は、複数のめっき層によって形成されるものであり、直径が150μmに設定され、厚さが20μmに設定されている。はんだバンプ22は、配線基板11の表面20のパッド21にはんだペーストを印刷してリフローすることで形成されるものであり、半球状に盛り上がった形状を有している。なお、本実施形態のはんだバンプ22は、鉛フリーはんだであるSn−Ag系はんだからなっている。
【0031】
また、配線基板本体12の裏面23(図3では下面)の全域には、複数のパッド24がほぼ格子状に整列して形成されるとともに、各パッド24上にはソケット実装用の複数のピン25がはんだ付けによって接合されている。なお、配線基板11の裏面23側に配置される各ピン25は、表面20側のはんだバンプ22より高融点のはんだではんだ付けされている。
【0032】
図3等に示されるように、各ピン25は、断面円形状の軸部とその軸部よりも径が大きい頭部26とを有している。そして、頭部26がパッド24に対してはんだ付けされている。なお、各ピン25は、図示しない専用の位置決め治具のピン挿入孔に一度にセットされ、一回のはんだ付け工程で配線基板11に接合される。そのため、配線基板11における各ピン25同士の位置精度は比較的高くなっている。
【0033】
図1に示す前記移動治具15は、配線基板11の四隅を支持した状態で、図示しない搬送装置により搬送レールに沿って水平方向に移動するとともに、垂直方向に移動する。この移動治具15の水平・垂直移動によって配線基板11が下治具14にセットされる。
【0034】
前記上治具13の下面は平坦な押圧用粗面30である。本実施形態において、押圧用粗面30の平坦度は1cmあたり10μm以下に設定されており、押圧用粗面30の表面粗さRaは0.4μmに設定されている。上治具13は、図示しない加圧装置(エアプレスや油圧プレスなど)により下方に向けて駆動され、押圧用粗面30によって前記はんだバンプ22を押圧する。これにより、はんだバンプ22が平坦化されるとともに、はんだバンプ22の頂部27の上面が粗化される(図4参照)。なお本実施形態では、セラミック材(窒化ホウ素)によって上治具13を構成している。
【0035】
図1に示すように、前記下治具14は、その中央部に四角柱状に突出した支持部31を備えている。支持部31の先端面(上端面)は、前記配線基板本体12の裏面23に接触可能な接触面32となる。支持部31の接触面32には、上方に向けて開口する複数のピン逃がし穴34が、前記ピン25と等しいピッチで格子状に配列されている。
【0036】
本実施形態のピン逃がし穴34は、開口部よりも深い部分が等断面形状に形成されている一方、開口部が開口端(上端)に向かうに従って徐々に断面積が大きくなるよう形成されている。また、これらのピン逃がし穴34の開口部は、ピン25の頭部26を収容可能な大きさの穴径を有し、ピン先端側の径に対しては多少の余裕がある。なお、下治具14の支持部31は、機械的強度の高い金属材料によって形成されることが好ましく、例えば、タングステン・カーバイド(WC)とコバルト(Co)などからなる超硬合金を用いて形成される。
【0037】
図1に示されるように、本実施形態のはんだバンプ平坦化装置10には、上治具13及び下治具14を所定温度に加熱するための電熱ヒータ41,42が設けられている。この電熱ヒータ41,42によって各治具13,14を加熱した状態で、前記はんだバンプ22の頂部27の平坦化及び粗化が行われる。
【0038】
図4に示される平坦化及び粗化されたはんだバンプ22において、前記配線基板本体12の表面20からはんだバンプ22の頂部27までの高さは、本実施形態において30μmに設定されている。また、頂部27の表面粗さRaは0.4μmに設定されており、頂部27の平坦面には凹凸が生じている。さらに、頂部27のコプラナリティの測定値は、上治具13の押圧用粗面30の平坦度と等しく、1cmあたり10μm以下に設定されている。
【0039】
なお、平坦化及び粗化されたはんだバンプ22の最大径は、前記パッド21の直径の0.5倍以上1.2倍以下に設定されることが好ましい。仮に、はんだバンプ22の最大径がパッド21の直径の1.2倍よりも大きいと、はんだバンプ22を加熱溶融して前記ICチップ45を接合する際に、パッド21からはみ出したはんだが隣接するパッド21のはんだバンプ22に接触し、ショートするおそれがある。一方、はんだバンプ22の最大径がパッド21の0.5倍未満であると、はんだバンプ22を加熱溶融してもあまり高くならず、頂部27がICチップ45の接続端子47に近づきにくいため、はんだバンプ22と接続端子47とを接合しにくい。なお本実施形態では、パッド21の直径が150μmであるため、はんだバンプ22の最大径は75μm以上180μm以下であることが好ましい。また、はんだバンプ22の頂部27の直径は、はんだバンプ22の最大径の0.5倍以上1.0未満に設定されることが好ましく、はんだバンプ22の最大径の0.8倍以上1.0未満に設定されることがより好ましい。仮に、頂部27の直径がはんだバンプ22の最大径の0.5倍未満であると、ICチップ45を接合する際に必要なフラックス28を頂部27の平坦面にあまり溜めることができなくなる。一方、頂部27の直径がはんだバンプ22の最大径の1.0倍以上であると、はんだバンプ22を加熱溶融してICチップ45を接合する際に、頂部27を構成するはんだが隣接するパッド21のはんだバンプ22に接触し、ショートするおそれがある。なお本実施形態では、はんだバンプ22の最大径が75μm以上180μm以下であるため、頂部27の直径は37.5μm以上180μm未満であることが好ましい。
【0040】
次に、本実施形態における配線基板11(及び部品付き配線基板)の製造方法を説明する。
【0041】
配線基板11は以下のようにして製造される。まず、コア基板上にエポキシ樹脂からなる樹脂絶縁層を形成するとともに、コア基板及び樹脂絶縁層の表面に、無電解銅めっき及び電解銅めっきを用いたセミアディティブ法によって銅配線を形成する。これにより、配線基板本体12が形成される。なお、銅配線を、サブトラクティブ法やフルアディティブ法によって形成してもよい。
【0042】
次に、配線基板本体12の表面20における複数箇所に、無電解Ni−Pめっきを施し、さらに無電解Auめっきを施すことにより、Ni−Pめっき層及びAuめっき層からなるパッド21を形成する。なお、配線基板本体12の表面20においてパッド21が形成されない部位には、アクリル樹脂やエポキシ樹脂などを用いてソルダーレジスト19(図4等参照)を形成する。
【0043】
そして、はんだバンプ配置工程において、配線基板本体12の表面20に形成されたパッド21の上に、図示しないメタルマスクを用いてはんだペーストを印刷する。そして、はんだペーストを印刷した配線基板本体12をリフロー炉内に配置して、はんだの融点より10〜40℃高い温度に加熱し、その後冷却する。これにより、半球状に盛り上がった形状の複数のはんだバンプ22が配線基板本体12の表面20側に配置される。また、配線基板本体12の裏面23に複数のパッド24を形成し、各パッド24の上にピン25をはんだ付けする。その結果、配線基板11が完成する(図1〜図3参照)。
【0044】
次に、配線基板11を、表面20側を上に向けた状態で移動治具15にセットする。また、電熱ヒータ41,42によって上治具13及び下治具14を110℃に加熱する。そして、移動治具15の搬送及びリフト動作によって、配線基板11を下治具14の支持部31に支持させる。その結果、配線基板11の裏面23において被支持領域AR2(図1,図3参照)内にある複数のピン25が支持部31に形成されたピン逃がし穴34に確実に案内され、配線基板11が支持部31の接触面32に密着した状態で支持される。
【0045】
そして、はんだバンプ成形工程において、上治具13を下降させ、配線基板11上の各はんだバンプ22の頂部27を上治具13の押圧用粗面30でプレスする。このとき、各頂部27の高さが揃うようにプレスする。すると、各はんだバンプ22の頂部27に確実にかつ均等に圧力(本実施形態では、1バンプあたり0.07kg)が加わり、頂部27が押し潰される結果、はんだバンプ22が平坦化されると同時に粗化される。その後、はんだバンプ成形工程を終えた配線基板11は、移動治具15の搬送及びリフト動作によって装置外部に搬送される。その後、フラックス供給工程において、平坦化及び粗化された各はんだバンプ22の頂部27にフラックス28を供給する。なお、フラックス28を供給する方法としては、液状のフラックス28を頂部27に塗布する方法、液状のフラックス28をフラックスディスペンサによって頂部27に供給する方法、泡状のフラックス28を頂部27と接触させる発泡式の方法、霧状のフラックス28を頂部27に吹き付けるスプレー式の方法などが挙げられる。なお、フラックス28の種類は特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。
【0046】
さらに、加熱溶融工程において、ICチップ45の底面46側に配置された複数の接続端子47を、配線基板11の表面20側に配置されたフラックス供給済みの複数のはんだバンプ22に対応させて配置する(図4参照)。そして、この状態で各はんだバンプ22を加熱溶融(リフロー)することにより、フラックス28が気化されるとともに、各はんだバンプ22と各接続端子47とが接合される(図5,図6参照)。これにより、ICチップ45が配線基板11上に搭載された部品付き配線基板が完成する。
【0047】
次に、コプラナリティ及びボイドについての評価方法及びその結果を説明する。
【0048】
まず、測定用サンプルを次のように準備した。本実施形態と同じはんだバンプ22(平坦化及び粗化されたはんだバンプ)を配置した基板を準備し、これを実施例とした。また、平坦化も粗化もされていないはんだバンプ81を配置した基板82(図7参照)を準備し、これを比較例1とした。さらに、従来技術と同じはんだバンプ91(平坦化されているが、粗化されていないはんだバンプ)を配置した基板92(図10参照)を準備し、これを比較例2とした。なお、実施例のはんだバンプ22の頂部27の表面粗さRaを0.4μmとし、比較例2のはんだバンプ91の頂部の表面粗さRaを0.05μmとした。
【0049】
次に、各測定用サンプル(実施例、比較例1,2)に対してコプラナリティ測定を行った。また、評価の信頼度を上げるために、測定用サンプルの作成日を変更して測定を2回実施した。なお、平坦化されていないはんだバンプ81のコプラナリティ測定と、平坦化されたはんだバンプ22,91のコプラナリティ測定とを、同じ測定器を用いて実施することができなかった。そこで、はんだバンプ81のコプラナリティ測定にSolvision 社製の測定器を使用し、はんだバンプ22,91のコプラナリティ測定にタカノ株式会社製の測定器を使用した。
【0050】
コプラナリティ測定を行った結果、平坦化されていない比較例1のはんだバンプ81のコプラナリティの測定値が最も大きくなった。一方、実施例のはんだバンプ22及び比較例1のはんだバンプ91では、コプラナリティの測定値をともに小さくできることが確認された。また、2回目のコプラナリティ測定を行った結果も、1回目の測定と同様の結果となることが確認された。
【0051】
また、各測定用サンプル(実施例、比較例1,2)に対してボイドの測定を行った。具体的に言うと、はんだバンプ22,81,91とダミーダイ101の底面側に配置された接続端子102とを接合し、そのときの状態を観察することによりボイドの測定を行った(図8,図9,図11,図12等参照)。詳述すると、ダミーダイ101の接合前にはボイドが確認されていないが、ダミーダイ101の接合後にはじめてボイドが確認される箇所について、X線回折装置(XRD)による観察(XRD観察)を行ってボイドの個数をカウントした。また、はんだバンプ22,81,91の断面を観察(クロス観察)することによってもボイドの個数をカウントした。また、それぞれの観察による評価の信頼度を上げるために、測定用サンプルの作成日を変更して測定を2回ずつ実施した。なお、はんだバンプ22,81,91を加熱溶融させるのに必要な温度と同じ温度の熱を加えた状態で、ボイドの測定を行ってもよい。
【0052】
XRD観察によってボイドの個数をカウントした結果、比較例2のはんだバンプ91には最も多くのボイド93が発生していることが確認された。一方、実施例及び比較例1のはんだバンプ22,81に発生したボイドの個数は、比較例2よりも少ないことが確認された。また、実施例のはんだバンプ22に発生したボイドの個数と、比較例1のはんだバンプ81に発生したボイドの個数との差が殆どないことも確認された。なお、2回目のXRD観察によってボイドの個数を再度カウントしたが、1回目のXRD観察と同様の結果となることが確認された。
【0053】
また、クロス観察によってボイドの個数をカウントした結果、比較例2のはんだバンプ91には多くのボイド93が発生した。具体的に言うと、比較例2では、98個のうち9個のはんだバンプ91にボイド93が発生し、ボイド93の発生率は9/98=約9.2%となった。一方、実施例及び比較例1のはんだバンプ22,81に発生したボイドの個数は、比較例2よりも少ないことが確認された。具体的に言うと、実施例では、98個のうち2個のはんだバンプ22にボイドが発生し、ボイドの発生率は2/98=約2.0%となった。比較例1では、98個のうち1個のはんだバンプ81にボイドが発生し、ボイドの発生率は1/98=約1.0%となった。また、比較例2のはんだバンプ91に発生したボイド93は、実施例及び比較例1のはんだバンプ22,81に発生したボイドよりも大きいことが確認された。なお、実施例のはんだバンプ22に発生したボイドの数は、比較例1のはんだバンプ81に発生したボイドの数よりもやや多かったものの、大きさは同等であることが確認された。
【0054】
さらに、2回目のクロス観察を行い、比較例1,2のはんだバンプ81,91に発生したボイドの個数を再度カウントした。なお、実施例のはんだバンプ22に発生したボイドの個数は、比較例1の場合と略同じであるため、2回目のクロス観察を特に行わなかった。その結果、1回目のクロス観察と同じ傾向が見られることが確認された。即ち、比較例2では、144個のうち3個のはんだバンプ91にボイド93が発生し、ボイド93の発生率は3/144=約2.0%となった。一方、比較例1では、144個のうち1個のはんだバンプ81にボイドが発生し、ボイドの発生率は1/144=約0.7%となった。
【0055】
以上により、実施例及び比較例2のはんだバンプ22,91のコプラナリティの測定値は、比較例1のはんだバンプ81のコプラナリティの測定値よりも大きいことが確認された。従って、実施例及び比較例2を配線基板11に採用すれば、ダミーダイ101の接続端子102との接続に不具合が生じにくくなることが証明された。しかし、比較例2のはんだバンプ91に発生するボイド93は、実施例及び比較例1のはんだバンプ22,81に発生したボイドよりも個数が多く、しかも大きいことが確認されている。よって、配線基板11には、コプラナリティの測定値が小さく、しかもボイドの発生に対する懸念も小さい実施例が適することが確認された。
【0056】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0057】
(1)本実施形態の配線基板11では、はんだバンプ成形工程において複数のはんだバンプ22の頂部27が平坦化されてコプラナリティの測定値が1cmあたり10μm以下となるため、ICチップ45の接続端子47との接続が確実にかつ容易になる。ゆえに、はんだバンプ22の一部と接続端子47とが未接続状態となる問題(オープン不良)の発生を防止できる。
【0058】
しかも、はんだバンプ成形工程において各はんだバンプ22の頂部27が粗化されて表面粗さRaが0.4μmとなり、頂部27の平坦面に微小な凹凸が形成されるため、その部分にフラックス28が溜まりやすくなる。また、頂部27に形成された凹凸は、加熱溶融時に気化したフラックスのガス抜き通路となるため、気化したフラックス28は、ガス抜き通路を通過して確実に頂部27から外部に放出される。ゆえに、気化したフラックス28がはんだバンプ22内に溜まることに起因したボイドの発生を防止することができる。よって、はんだバンプ22とICチップ45の接続端子47との接続信頼性が向上する。
【0059】
(2)本実施形態では、頂部27の平坦面に凹凸が生じており、接続端子47との接合性を向上させるフラックス28が頂部27に溜まりやすくなっているため、加熱溶融工程においてフラックス28が接続端子47に接触しやすくなる。ゆえに、はんだバンプ22と接続端子47との接合性が向上する。
【0060】
(3)本実施形態では、はんだバンプ22押圧時に被支持領域AR2に押圧力が集中しやすいが、全体的に被支持領域AR2を下治具14の支持部31によって支持することができる。このため、配線基板11の撓みを防止することができ、コプラナリティに優れたはんだバンプ群を備える配線基板11を確実にかつ容易に得ることができる。ゆえに、上治具13によってバンプ形成領域AR1内にある複数のはんだバンプ22を確実に押圧して平坦化することができる。
[第2実施形態]
【0061】
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図13〜図16に基づいて詳細に説明する。ここでは第1実施形態と相違する部分を中心に説明し、共通する部分については同じ部材番号を付す代わりに説明を省略する。
【0062】
本実施形態では、フラックス28を供給する前のはんだバンプ111が、頂部112が凹凸を有するとともに表面全体が酸化膜113で覆われている点や、はんだバンプ平坦化装置10により平坦化されていない点が上記第1実施形態と異なっている(図13参照)。以下、本実施形態における配線基板11a(部品付き配線基板)の製造方法を説明する。
【0063】
まず、はんだバンプ配置工程では、パッド21の上にはんだペーストが印刷された配線基板本体12をリフロー炉内に配置して、はんだの融点より10〜40℃高い温度に加熱する。この時点で、はんだペーストを溶融し、半球状に盛り上がった形状のはんだバンプ111となる。続くはんだバンプ成形工程では、配線基板11a上に金型(図示略)を配置し、はんだバンプ111の表面に金型の粗面を接触させた状態で、はんだバンプ111を冷却する。その結果、頂部112に凹凸が形成(粗化)されたはんだバンプ111が形成される(図13参照)。また、はんだバンプ111の表面が酸化し、はんだバンプ111の表面全体が鉛からなる酸化膜113で覆われるようになる。なお、はんだバンプ111の頂部112を、CZ処理や、研磨装置を用いた研磨などの他の方法によって粗化するようにしてもよい。
【0064】
続くフラックス供給工程では、各はんだバンプ111の表面全体(頂部112及び側面)にフラックス28を供給する。これにより、頂部112に形成された凹凸を起点として酸化膜113が溶かされ、凹凸を構成する突起の先端が露出する(図14参照)。その後、配線基板本体12の裏面23に複数のパッド24を形成し、各パッド24の上にピン25をはんだ付けすれば、配線基板11aが完成する。
【0065】
さらに、加熱溶融工程では、ICチップ45の複数の接続端子47を複数のはんだバンプ111に対応させて配置し(図15参照)、各はんだバンプ111を加熱溶融(リフロー)する。これにより、フラックス28が気化されるとともに、各はんだバンプ111と各接続端子47とが接合され(図15,図16参照)、部品付き配線基板が完成する。
【0066】
従って本実施形態では、酸化膜113の一部が、フラックス供給工程において各はんだバンプ111にフラックス28を供給することで溶かされ、溶かされた部分にはんだバンプ111の表面が露出する。その結果、はんだバンプ111の融点(本実施形態では183℃)に到達した時点ではんだバンプ111が溶け始めるようになるため、はんだバンプ111が溶融しやすくなり、はんだバンプ111とICチップ45との接続が容易になる。
【0067】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
【0068】
・上記第1実施形態では、はんだバンプ成形工程において、はんだバンプ22の頂部27を平坦化すると同時に粗化していた。しかし、はんだバンプ成形工程において、頂部27を平坦化する平坦化工程と、頂部27を粗化する粗化工程とを別々に行ってもよい。
【0069】
・上記第1実施形態では、上治具13を用いて複数のはんだバンプ22の頂部27をプレスすることにより、頂部27を平坦化及び粗化するようになっていた。しかし、平面研磨によってはんだバンプ22の頂部27を平坦化及び粗化するようにしてもよい。例えば、複数のはんだバンプ22を有する配線基板11を多数の貫通孔を有する真空吸着板上に載置し、真空吸着板の下面側の気圧を低減して、配線基板11を真空吸着によって固定する。次に、グラインダーのような回転研磨板を有する研磨装置を用いて、複数のはんだバンプ22の頂部27を一括して研磨する。具体的には、粗さが#1000の円板状の回転研磨板を、120rpmで回転させつつ、0.2mm/秒の速度で下降させて、複数のはんだバンプ22の頂部27を一括して研磨し、平坦化及び粗化する。なお、研磨方式としては、乾式及び湿式の両方を用いることができる。
【0070】
・上記第2実施形態では、頂部112が平坦化されていないはんだバンプ111を有する配線基板11a(部品付き配線基板)を製造していたが、図17に示されるように、頂部122が平坦化されたはんだバンプ121を有する配線基板11b(部品付き配線基板)を製造してもよい。
【0071】
・上記実施形態のはんだバンプ22,111は、配線基板11,11aとICチップ45との接合に用いられるものに適用されていたが、例えば、配線基板11,11aとマザーボードとの接合に用いられるものに適用してもよい。
【0072】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0073】
(1)配線基板本体の表面側に配置された複数のはんだバンプと、部品の底面側に配置された複数の接続端子とが接合された部品付き配線基板の製造方法であって、複数のはんだバンプの頂部をその高さが揃うようにプレスして平坦化する平坦化工程と、複数のはんだバンプの頂部を粗化する粗化工程と、平坦化及び粗化された複数のはんだバンプの頂部にフラックスを供給するフラックス供給工程と、前記部品における前記複数の接続端子を、フラックス供給済みの前記複数のはんだバンプに対応させて配置し、この状態で前記複数のはんだバンプを加熱溶融する加熱溶融工程とを含むことを特徴とする部品付き配線基板の製造方法。
【0074】
(2)配線基板本体の表面側に配置された複数のはんだバンプと、部品の底面側に配置された複数の接続端子とが接合された部品付き配線基板の製造方法であって、複数のはんだバンプの頂部を平坦化及び粗化するはんだバンプ成形工程と、平坦化及び粗化された前記複数のはんだバンプの前記頂部にフラックスを供給するフラックス供給工程と、前記部品における前記複数の接続端子を、フラックス供給済みの前記複数のはんだバンプに対応させて配置し、この状態で前記複数のはんだバンプを加熱溶融する加熱溶融工程とを含んでおり、前記はんだバンプ成形工程では、押圧用粗面を有する押圧治具を用いて複数のはんだバンプの頂部をその高さが揃うようにプレスすることにより、前記頂部を平坦化すると同時に粗化し、前記押圧治具は、同押圧治具を加熱するための加熱手段を有していることを特徴とする部品付き配線基板の製造方法。
【0075】
(3)配線基板本体の表面側に配置された複数のはんだバンプと、部品の底面側に配置された複数の接続端子とが接合された部品付き配線基板の製造方法であって、複数のはんだバンプの頂部を平坦化及び粗化するはんだバンプ成形工程と、平坦化及び粗化された前記複数のはんだバンプの前記頂部にフラックスを供給するフラックス供給工程と、前記部品における前記複数の接続端子を、フラックス供給済みの前記複数のはんだバンプに対応させて配置し、この状態で前記複数のはんだバンプを加熱溶融する加熱溶融工程とを含んでおり、前記はんだバンプ成形工程では、押圧用粗面を有するセラミック製の押圧治具を用いて複数のはんだバンプの頂部をその高さが揃うようにプレスすることにより、前記頂部を平坦化すると同時に粗化し、前記押圧治具は、同押圧治具を加熱するための加熱手段を有していることを特徴とする部品付き配線基板の製造方法。
【0076】
(4)頂部が平坦化及び粗化された複数のはんだバンプが配線基板本体の表面上に配置されるとともに、前記頂部のコプラナリティの測定値が1cmあたり10μm以下かつ表面粗さRaが0.3μm以上5μm以下であり、前記配線基板本体の表面から前記頂部までの高さが10μm以上30μm以下であることを特徴とするはんだバンプを有する配線基板。
【0077】
(5)表面側に複数のはんだバンプが設けられた配線基板を支持治具上に支持し、この状態で押圧治具により前記複数のはんだバンプを押圧して平坦化する装置において、前記支持治具は、前記配線基板本体の裏面に接触可能な接触面を有する支持部を備え、前記押圧治具は、表面粗さRaが0.3μm以上2μm以下の押圧用粗面を備えることを特徴とするはんだバンプ平坦化装置。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】第1実施形態のはんだバンプ平坦化装置を示す概略構成図。
【図2】はんだバンプ成形工程実施前の配線基板の概略平面図。
【図3】はんだバンプ成形工程実施前の配線基板の概略断面図。
【図4】ICチップとはんだバンプ成形工程実施後の配線基板とを示す要部断面図。
【図5】加熱溶融工程の説明図。
【図6】加熱溶融工程の説明図。
【図7】比較例1の説明図。
【図8】比較例1の説明図。
【図9】比較例1の説明図。
【図10】比較例2の説明図。
【図11】比較例2の説明図。
【図12】比較例2の説明図。
【図13】第2実施形態におけるはんだバンプ成形工程実施後の配線基板を示す要部断面図。
【図14】同じく、フラックス供給工程実施時の配線基板を示す要部断面図。
【図15】同じく、加熱溶融工程の説明図。
【図16】同じく、加熱溶融工程の説明図。
【図17】他の実施形態におけるはんだバンプ成形工程実施後の配線基板を示す要部断面図。
【図18】従来技術におけるはんだバンプを成形する工程の説明図。
【図19】同じく、ICチップとはんだバンプ成形後の配線基板とを示す要部断面図。
【符号の説明】
【0079】
11,11a,11b…配線基板
12…配線基板本体
13…押圧治具としての上治具
20…配線基板本体の表面
22,111,121…はんだバンプ
27,112,122…頂部
28…フラックス
30…押圧用粗面
45…部品としてのICチップ
46…部品の底面
47…接続端子
113…酸化膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板本体の表面側に配置された複数のはんだバンプと、部品の底面側に配置された複数の接続端子とが接合された部品付き配線基板の製造方法であって、
複数のはんだバンプの頂部を平坦化及び粗化するはんだバンプ成形工程と、
平坦化及び粗化された前記複数のはんだバンプの前記頂部にフラックスを供給するフラックス供給工程と、
前記部品における前記複数の接続端子を、フラックス供給済みの前記複数のはんだバンプに対応させて配置し、この状態で前記複数のはんだバンプを加熱溶融する加熱溶融工程と
を含むことを特徴とする部品付き配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記はんだバンプ成形工程では、押圧用粗面を有する押圧治具を用いて複数のはんだバンプの頂部をその高さが揃うようにプレスすることにより、前記頂部を平坦化すると同時に粗化することを特徴とする請求項1に記載の部品付き配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記複数のはんだバンプは鉛フリーはんだからなることを特徴とする請求項1または2に記載の部品付き配線基板の製造方法。
【請求項4】
配線基板本体の表面側に複数のはんだバンプを配置するはんだバンプ配置工程と、前記複数のはんだバンプの頂部を平坦化及び粗化するはんだバンプ成形工程とを含むことを特徴とするはんだバンプを有する配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記はんだバンプ成形工程では、押圧用粗面を有する押圧治具を用いて複数のはんだバンプの頂部をその高さが揃うようにプレスすることにより、前記頂部を平坦化すると同時に粗化することを特徴とする請求項4に記載のはんだバンプを有する配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記複数のはんだバンプは鉛フリーはんだからなることを特徴とする請求項4または5に記載のはんだバンプを有する配線基板の製造方法。
【請求項7】
頂部が平坦化及び粗化された複数のはんだバンプが配線基板本体の表面上に配置されるとともに、前記頂部のコプラナリティの測定値が1cmあたり10μm以下かつ表面粗さRaが0.3μm以上5μm以下であることを特徴とするはんだバンプを有する配線基板。
【請求項8】
前記複数のはんだバンプは鉛フリーはんだからなることを特徴とする請求項7に記載のはんだバンプを有する配線基板。
【請求項9】
配線基板本体の表面側に複数のはんだバンプを配置するはんだバンプ配置工程と、前記複数のはんだバンプの頂部を粗化するはんだバンプ成形工程とを含むことを特徴とするはんだバンプを有する配線基板の製造方法。
【請求項10】
配線基板本体の表面側に配置された複数のはんだバンプと、部品の底面側に配置された複数の接続端子とが接合された部品付き配線基板の製造方法であって、
複数のはんだバンプの頂部を粗化するはんだバンプ成形工程と、
粗化された前記複数のはんだバンプの前記頂部にフラックスを供給するフラックス供給工程と
を含むことを特徴とする部品付き配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記フラックスを供給する前の前記複数のはんだバンプは、前記頂部に凹凸を有するとともに表面全体が酸化膜で覆われており、
前記フラックス供給工程において、前記酸化膜は、前記複数のはんだバンプの前記頂部にフラックスを供給することで溶かされる
ことを特徴とする請求項10に記載の部品付き配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−205446(P2008−205446A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11110(P2008−11110)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】