説明

部品実装基板、部品実装基板の製造方法

【課題】はんだ実装および基板としての信頼性向上を実現することが可能な部品実装基板およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】絶縁板と、該絶縁板上に設けられた、半導体部品を実装するためのランドを含む配線パターンとを備えた配線板と、端子パッドを有する半導体チップと、該端子パッドに電気的接続された、グリッド状配列の表面実装用端子とを備え、該表面実装用端子を介して配線板のランド上に実装された半導体部品と、配線板と半導体部品との間に密着性をもって設けられた樹脂部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品が実装された基板である部品実装基板およびその製造方法に係り、特に、実装および基板としての信頼性向上を目指した構成の部品実装基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
はんだにより基板上に実装された部品と、その基板との間にできる隙間をなくして信頼性向上を意図した実装構造の従来例として下記特許文献1記載のものがある。この構造は、部品としてチップ型部品を使用した場合の構造である。隙間をなくすため、部品の下に新たに絶縁材料片を敷設しておいて実装を行う。
【0003】
また、はんだにより基板上に実装された部品と、その基板との間にできる隙間を利用してこの空間に別の部品を容易に実装できる構造の従来例として下記特許文献2記載のものがある。この構造は、部品としてBGA(ball grid array)型半導体装置を用い、別の部品にチップ型のコンデンサや抵抗を用いた構造である。チップ型部品の実装を容易にするため専用のチップ部品収容樹脂板を上記空間に位置させている。
【0004】
これらはいずれも、はんだにより基板上に実装された部品と、その基板との間に新たに絶縁材料板(片)を設けた構造である点で共通している。一方、非はんだ接続であるフリップ接続の場合では、基板上に実装された半導体部品と、その基板との間にできる隙間をなくし信頼性向上を図るため、その隙間に樹脂(いわゆるアンダーフィル樹脂)を充填する構造が一般的である(例えば下記特許文献3を参照)。
【0005】
基板上に半導体部品を実装する場合の形態として、フリップ接続に代わり、低コストで信頼性もよい実装のできるチップスケールパッケージ化された半導体部品を用いることが多くなってきている。この場合、実装接続にはんだが用いられ、フリップ接続とは異なりアンダーフィル樹脂を備えた構造は通常、採らない。しかしながら、チップスケールパッケージ品の実装の場合でも、さらなる信頼性の向上のため、部品と基板との間にできる隙間に注意が必要と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4023229号明細書
【特許文献2】特開2007−19273号公報
【特許文献3】特開平9−181119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した状況を考慮してなされたもので、部品が実装された基板である部品実装基板およびその製造方法において、はんだ実装および基板としての信頼性向上を実現することが可能な部品実装基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様である部品実装基板は、絶縁板と、該絶縁板上に設けられた、半導体部品を実装するためのランドを含む配線パターンとを備えた配線板と、端子パッドを有する半導体チップと、該端子パッドに電気的接続された、グリッド状配列の表面実装用端子とを備え、該表面実装用端子を介して前記配線板の前記ランド上に実装された半導体部品と、前記配線板と前記半導体部品との間に密着性をもって設けられた樹脂部とを具備することを特徴とする。
【0009】
すなわち、この部品実装基板は、半導体部品が実装された基板であって、その半導体部品は、グリッド状配列の表面実装用端子を有している。これにより、基板のランド上にはんだ実装が可能である。そして、配線板と半導体部品との間には、密着性をもって樹脂部が設けられている。したがって、電気的、機械的な実装接続を樹脂部が補強する構造であり、はんだ実装および基板としての信頼性向上が実現される。
【0010】
また、本発明の別の態様である部品実装基板の製造方法は、絶縁板と、該絶縁板上に設けられた、半導体部品を実装するためのランドを含む配線パターンとを備えた配線板の前記ランド上にクリームはんだを付着させる工程と、前記クリームはんだの位置に対応する位置に貫通孔を備えた熱硬化性樹脂板を前記配線板上に載置して、前記貫通孔内に前記クリームはんだを位置させる工程と、端子パッドを有する半導体チップと、該端子パッドに電気的接続された、グリッド状配列の表面実装用端子とを備えた半導体部品を、前記表面実装用端子が前記熱硬化性樹脂板の前記貫通孔上に位置するように、前記熱硬化性樹脂板を介し前記配線板上に載置する工程と、加熱して、前記クリームはんだをリフローし、加えて、前記熱硬化性樹脂板を熱硬化させる工程とを具備することを特徴とする。
【0011】
この製造方法は、上記の部品実装基板を製造するためのひとつの方法である。この方法は、半導体部品がLGA(land grid array)のパッケージの場合に向いている。
【0012】
また、本発明のさらに別の態様である部品実装基板の製造方法は、絶縁板と、該絶縁板上に設けられた、半導体部品を実装するためのランドを含む配線パターンとを備えた配線板上に熱硬化性樹脂板を載置する工程と、端子パッドを有する半導体チップと、該端子パッドに電気的接続された、グリッド状配列のはんだボール付き表面実装用端子とを備えた半導体部品を、前記はんだボールが前記ランドに対応して位置するように、前記熱硬化性樹脂板を介し前記配線板上に載置する工程と、前記半導体部品を前記配線板の側に押圧し、前記はんだボールを前記熱硬化性樹脂板に貫通させる工程と、加熱して、前記はんだボールを溶融し、加えて、前記熱硬化性樹脂板を熱硬化させる工程とを具備することを特徴とする。
【0013】
この製造方法は、上記の部品実装基板を製造するための別の方法である。この方法は、半導体部品がBGA(ball grid array)のパッケージの場合に適用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、部品が実装された基板である部品実装基板およびその製造方法において、はんだ実装および基板としての信頼性向上を実現することが可能な部品実装基板およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る部品実装基板の構成を模式的に示す断面図。
【図2】図1に示した部品実装基板を製造する過程の一部を断面で模式的に示す工程図。
【図3】図2(f)中に示した熱硬化性樹脂板61Aを示す斜視図。
【図4】図2の続図であって、図1に示した部品実装基板を製造する過程の一部を断面で模式的に示す工程図。
【図5】図1に示した部品実装基板を製造する過程の別の一部を断面で模式的に示す工程図。
【図6】図1に示した部品実装基板を製造する過程のさらに別の一部を断面で模式的に示す工程図。
【図7】本発明の別の実施形態に係る部品実装基板の構成を模式的に示す断面図。
【図8】図7に示した部品実装基板中の樹脂部62を形成するための熱硬化性樹脂板を示す斜視図。
【図9】図7に示した部品実装基板を製造する過程の一部を断面で模式的に示す工程図。
【図10】本発明のさらに別の実施形態に係る部品実装基板の構成を模式的に示す断面図。
【図11】図10に示した部品実装基板中の樹脂部62、63を形成するための熱硬化性樹脂板を示す斜視図。
【図12】本発明のさらに別の実施形態に係る部品実装基板の構成を模式的に示す断面図。
【図13】図12に示した部品実装基板中の樹脂部64を形成するための熱硬化性樹脂板を示す斜視図。
【図14】本発明のさらに別の実施形態に係る部品実装基板の構成を模式的に示す断面図。
【図15】図14に示した部品実装基板を製造する過程の一部を断面で模式的に示す工程図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施態様として、前記配線板上に、前記半導体部品を埋設するように積層された積層絶縁板をさらに具備する、とすることができる。この態様は、半導体部品が絶縁板中に内蔵される、いわゆる部品内蔵配線板である。部品内蔵配線板では、半導体部品を内蔵することによる空隙(ボイド)の発生をなくすことが信頼性向上に重要な要素になる。その点で、この態様も半導体部品の表面実装用端子のある側の面に密着性をもって樹脂部が設けられており、部品内蔵に対応した新たな利点が生じる。
【0017】
ここで、前記樹脂部が、前記半導体部品の側面上をも覆っている、とすることができる。半導体部品の側面上も樹脂部が覆うことにより、半導体部品を内蔵、埋設するためにこれと積層絶縁板との間の空間を埋めるため不足しがちな絶縁材料を補うことができる。
【0018】
さらにここで、前記半導体部品の、前記配線板に対向する側とは反対の側の面上に設けられた第2の樹脂部をさらに具備する、とすることができる。これにより、半導体部品を内蔵、埋設するためにこれと積層絶縁板との間の空間を埋めるため不足しがちな絶縁材料をさらに補うことができる。
【0019】
また、ここで、前記配線板の前記配線パターンが、表面実装型受動素子部品を実装するための第2のランドを含み、前記配線板の前記第2のランド上に実装された表面実装型受動素子部品と、前記配線板と前記表面実装型受動素子部品との間に密着性をもって設けられた第2の樹脂部と、をさらに具備し、前記第2の樹脂部が、前記表面実装型受動素子部品の側面上をも覆っている、とすることができる。この態様は、半導体部品に加えて表面実装型受動素子部品をも内蔵している部品内蔵配線板である。ここで、この表面実装型受動素子部品の実装面側および側面上に第2の樹脂部を設けることで、半導体部品の場合と同様に、信頼性向上を図ることや不足しがちな絶縁材料を補うことができる。
【0020】
また、前記表面実装型受動素子部品の、前記配線板に対向する側とは反対の側の面上に設けられた第3の樹脂部をさらに具備する、とすることができる。これにより、表面実装型受動素子部品を内蔵、埋設するためにこれと積層絶縁板との間の空間を埋めるため不足しがちな絶縁材料をさらに補うことができる。
【0021】
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る部品実装基板の構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、この部品実装基板は、一例として、半導体部品41が埋設、内蔵で実装された基板であり、絶縁層(絶縁板)11〜17(このうち絶縁層12〜17は積層絶縁板)、配線層(配線パターン)21〜28、層間接続体31〜37、半導体部品41、はんだ51、樹脂部61を有する。
【0022】
半導体部品41は、ウエハレベル・チップスケールパッケージによるLGAの半導体素子であり、半導体チップと、この半導体チップ上に形成されたグリッド状配列の表面実装用端子41aとを少なくとも備えている。表面実装用端子41aは、概略として、半導体チップがもともと有する端子パッドから再配線層を介して電気的に導通しつつその位置を再配置して設けられた端子である。このような再配置により、端子としての配置密度が半導体チップ上の端子パッドのそれより粗くなっている。表面実装用端子41aにより、半導体部品41は、配線層22によるランドに、はんだ51を介して電気的、機械的に接続され得る。
【0023】
ここで、さらに、はんだ51をその内部に封ずるように、半導体部品41と配線層22および絶縁層11との間には樹脂部61が設けられている。樹脂部61は、半導体部品41と配線層22および絶縁層11とに密着するように設けられたものである。したがって、はんだ51による電気的、機械的な実装接続を樹脂部61が補強する構造であり、はんだ実装および基板としての信頼性向上が実現されている。
【0024】
配線層21、28は、それぞれ、主面上の配線層であり、その上に各種の部品(不図示)が実装され得る。この実装ではんだ(不図示)が載るべき配線層21、28のランド部分を除いて主面上には、はんだ接続時に溶融したはんだをランド部分に留めかつその後は保護層として機能するはんだレジスト(不図示)が形成され得る。ランド部分の表層には、耐腐食性の高いNi/Auのめっき層(不図示)を形成するようにしてもよい。
【0025】
各配線層21〜28は、それぞれ金属(銅)箔を所定のパターンに加工したものである。配線層21〜28を隔てる絶縁層11〜17は、それぞれ例えばガラスエポキシ樹脂からなるリジッドな素材である。絶縁層13〜15は、埋設された半導体部品41に相当する位置部分が開口部になっており、部品41を収容するための空間を提供する。絶縁層12、16は、埋設された部品41のための絶縁層13〜15の上記開口部の空間を埋めるように変形進入し内部に空隙となる空間が生じないようにしている。
【0026】
配線層21と配線層22とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層11を貫通する層間接続体31により導通し得る。同様に、配線層22と配線層23とは、絶縁層12を貫通して設けられた層間接続体32により導通し得る。配線層23と配線層24とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層13を貫通する層間接続体33より導通し得る。
【0027】
さらに同様に、配線層24と配線層25とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層14を貫通する層間接続体34より導通し得る。配線層25と配線層26とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層15を貫通する層間接続体35より導通し得る。配線層26と配線層27とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層16を貫通する層間接続体36より導通し得る。配線層27と配線層28とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層17を貫通する層間接続体37より導通し得る。
【0028】
層間接続体31〜37は、それぞれ、導電性組成物のスクリーン印刷により形成される導電性バンプを由来とする柱状構造のものであり、その製造工程に依拠して軸方向(図1の図示で上下の積層方向、貫通方向)に径が変化している。これらの層間接続体31〜37は、小さな領域に高密度に設けることができ、基板設計のファイン化に資することができる。
【0029】
次に、図1に示した部品実装基板の製造工程を図2ないし図6を参照して説明する。図2、および図4ないし図6は、それぞれ、図1に示した部品実装基板の製造過程の一部を模式的断面で示す工程図である。図3は、図2(f)中に示した熱硬化性樹脂板61Aを示す斜視図である。図2ないし図6において、図1中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。
【0030】
図2から説明する。図2は、図1中に示した各構成のうち絶縁層11を中心とした部分の製造工程を示している。まず、図2(a)に示すように、配線パターン22とすべき金属箔(電解銅箔)22Aを用意し、その面上所定の位置に例えばスクリーン印刷により、層間接続体31となるペースト状の導電性組成物をほぼ円錐形のバンプ状に形成する。この導電性組成物は、ペースト状の樹脂中に銀、金、銅などの金属微細粒または炭素微細粒を分散させたものである。説明の都合で金属箔22Aの下面に印刷しているが上面でもよい(以下の各図も同じである)。層間接続体31の印刷後これを乾燥させて硬化させる。
【0031】
次に、図2(b)に示すように、金属箔22A上に例えばFR−4のプリプレグ11Aを積層して層間接続体31を貫通させ、その頭部が露出するようにする。露出に際してあるいはその後その先端を塑性変形でつぶす。続いて、図2(c)に示すように、プリプレグ11A上に金属箔(電解銅箔)21Aを積層配置して加圧・加熱し全体を一体化する。このとき、金属箔21Aは層間接続体31と電気的導通状態となり、プリプレグ11Aは完全に硬化して絶縁層11になる。
【0032】
次に、図2(d)に示すように、両面の金属箔21A、22Aに例えば周知のフォトリソグラフィによるパターニングを施し、配線パターン21、22に加工する。このうち配線パターン22は、部品41を接続(実装)するためのランドを含むように加工される。図2(d)の形態は、いわゆる両面配線板の形態である。続いて、配線パターン22が含むランド上に、図2(e)に示すように、クリームはんだ51Aを例えばスクリーン印刷を用いて適用、付着させる。スクリーン印刷によれば容易に効率的に所定パターンに印刷できる。スクリーン印刷に代えてディスペンサで適用することもできる。
【0033】
次に、図2(f)に示すように、付着されたクリームはんだ51Aの位置に対応する位置に貫通孔を備えた、樹脂部61とすべき熱硬化性樹脂板61Aを上記両面配線板上に例えばマウンタを用いて載置し、この貫通孔内にクリームはんだ51Aを位置させる。貫通孔の直径は、クリームはんだ51Aの占める面積と同じ程度になる直径、または熱硬化性樹脂板61Aが発揮すべき密着性を考慮して、クリームはんだ51Aの占める面積より少し小さい程度の面積に対応の直径に設定してある。
【0034】
図3は、図2(f)中に示した熱硬化性樹脂板61Aを示す斜視図である。熱硬化性樹脂板61Aは、その厚さが、熱硬化性樹脂板61A上に部品41が実装されたときに、部品41と絶縁層11および配線層22との間の空間を十分埋めるに足る体積をもつような厚さとして設定されている。ただし、部品41の表面実装用端子41aと配線パターン22によるランドとのはんだ51による接続が妨げられないような厚さになっている。
【0035】
熱硬化性樹脂板61Aは、その素材として、各種の熱硬化性を有する樹脂、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂(ユリア樹脂)、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド、シアン酸エステル樹脂、マレイミド−シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂、トリアジン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、不飽和ポリフェニレンエーテル樹脂などのうちから選択することができる。また、これらの樹脂中に、熱伝導性を向上するために無機材料フィラーを混ぜるようにしてもよい。さらに、機械的な強度を上げるため、ガラスクロス、グラスファイバー、カーボンナノチューブなどの補強材を含有させておくこともできる。
【0036】
次に、図4を参照して説明する。図4は、図2の続図であって、図1に示した部品実装基板を製造する過程の一部を断面で模式的に示す図である。図2(f)に示すように熱硬化性樹脂板61Aが絶縁層11上所定の位置に載置されたら、次に、図4に示すように半導体部品41を実装する。
【0037】
より具体的には、まず、半導体部品41を、熱硬化性樹脂板61Aを介した絶縁層11上の位置に例えばマウンタで載置する。続いて、例えばリフロー炉で加熱してクリームはんだ51Aをリフローする(温度は例えば240℃)。このリフロー温度に至る、より低い温度(120℃〜190℃)において熱硬化性樹脂板61Aには流動性が現れるので、半導体部品41と、絶縁層11および配線パターン22との間には流動性を得た樹脂が密着した状態になる。このような熱硬化性樹脂板61Aによる密着状態を保ちつつクリームはんだ51Aはリフローされる。リフロー工程のあと常温に戻され、はんだ51と樹脂部61とによる、半導体部品41の補強された実装状態が得られる。
【0038】
なお、はんだ51Aのリフロー工程は、熱硬化性樹脂板61Aを完全には熱硬化させるに至らせない工程として設定してよい。完全に熱硬化させるには、はんだ51の溶融温度より低い温度(例えば150℃)でこのあと別途、多少長い時間(例えば1時間)かけて加熱工程を行えばよい。
【0039】
以上により得られた図4に示す素材を、積層素材1とする。この積層素材1を用いる後の工程については図6で述べる。
【0040】
次に、図5を参照して説明する。図5は、図1中に示した各構成のうち絶縁層12〜15を中心とした部分の製造工程を示している。まず、図5(a)に示すような積層工程を行う。ここで、絶縁層13、配線層23、24、層間接続体33を有する積層素材は、すでに説明した図2(a)〜図2(d)の工程と同様の要領により得られたものである。また、絶縁層15、配線層25、26、層間接続体35、34、プリプレグ14Aを有する積層素材は、次にようにして得ることができる。すなわち、図2(a)中に示した金属箔22Aに代えて、図2(d)に示したような両面配線板を用い、以下、図2(a)、図2(b)に示した工程と同様の要領の工程を行う。
【0041】
図5(a)に示す積層工程により、上下の積層素材を加圧・加熱し全体を一体化する。このとき、配線パターン24は層間接続体34と電気的導通状態となり、プリプレグ14Aは完全に硬化して絶縁層14になる。また、積層時のプリプレグ14Aの流動性により、配線パターン24は絶縁層14の側に落ち込んで位置することになる。
【0042】
図5(a)に示す積層工程を行ったら、次に、得られた積層体に、図5(b)に示すように、内蔵する部品41に相当する部分に部品用開口部71を例えばドリルやルータを用い形成する。続いて、この積層体に対し、図5(c)に示すように、層間接続体32の形成、プリプレグ12Aの積層を行う。これには、図2(a)における層間接続体31の形成、およびプリプレグ11Aの積層と同様の要領の工程を行えばよい。
【0043】
さらに、ここで得られた積層体のプリプレグ12Aに対し、図5(d)に示すように、部品用開口部71と同じ位置の孔を形成し、部品用開口部711として貫通させる。なお、プリプレグ12Aに形成するこの孔は、絶縁層13上に積層する前にあらかじめ形成しておくようにしてもよい。以上により得られた素材を積層素材2とする。
【0044】
次に、図6を参照して説明する。図6は、上記で得られた積層素材1、2などを積層する配置関係を示す図である。ここで、図示上側の配線板素材3は、図5(a)中に示す上側の積層素材と同様の要領により得られたものである。
【0045】
図6に示すような配置で各積層素材1、2、3を積層配置してプレス機で加圧・加熱する。これにより、プリプレグ12A、16Aが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ12A、16Aの流動性により、半導体部品41の周りの空間にはプリプレグ12A、16Aが変形進入し空隙は発生しない。空隙を発生させないこの効果は、半導体部品41の下側があらかじめ樹脂部61で満たされているため、より完全になる。特に、部品41の面積が比較的大きくなるに従い有効性は非常に大きくなる。積層工程により、配線層22、26は、層間接続体32、36にそれぞれ電気的に接続される。
【0046】
以上説明の工程により、図1に示した部品実装基板を得ることができる。なお、以上の説明では、部品41を埋設、内蔵で有する部品実装基板を説明したが、図4に示した積層素材1の段階のような、主面上に部品41が実装された部品実装基板も、電気的、機械的な実装接続を樹脂部61が補強する構造である点では変わりなく、有用性がある。
【0047】
次に、本発明の別の実施形態に係る部品実装基板について図7を参照して説明する。図7は、別の実施形態に係る部品実装基板の構造を模式的に示す断面図である。同図において、すでに説明した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部分については加える事項がない限り説明を省略する。
【0048】
この実施形態は、図1に示した部品実装基板に比較して、図1中で使用の樹脂部61に代わる樹脂部62として、半導体部品41の絶縁層11側のみならず部品41の側面をも覆う形態のものを設けた点が異なっている。半導体部品41の側面上も樹脂部62が覆うことにより、部品41を内蔵、埋設するためにこれと積層絶縁板12〜17との間の空間を埋めるため不足しがちな絶縁材料を補うことができる。絶縁材料が不足する点は、図6において説明していないが、この空間にはプリプレグ12A、16Aが変形侵入するので、絶縁層12、16の均一厚を保つ上では、もともと小さな隙間である方が好ましい。なお、樹脂部62として熱伝導率の高いものを使用することで、部品41の放熱性を向上する効果も期待できる。
【0049】
図8は、図7に示した部品実装基板中の樹脂部62を形成するための熱硬化性樹脂板62Aを示す斜視図である。このように熱硬化性樹脂板62Aは、図3に示した、貫通孔を有する熱硬化性樹脂板61Aと同様の形状を底部として、この底部の4辺から起立した起立部を有して全体としてトレイ状の形状になっている。
【0050】
トレイ状の熱硬化性樹脂板62Aを得るには例えば以下のようにする。貫通孔のない平板の矩形状樹脂板を用意し、これより多少面積の小さな矩形状凹部を有する金型の上に、その凹部をふさぐようにその矩形状樹脂板を載せる。そしてこの樹脂板が多少の流動性を得る程度の温度に加熱しつつ、上記金型の凹部より多少小さな面積の矩形状凸部を有する第2の金型のこの凸部を上記凹部に押し込む。これにより、樹脂板が、平板から、起立部を有するトレイ状に成形される。成形のあと、クリームはんだ51A(図2(e)参照)の位置に対応すべく、その底部に貫通孔を例えばドリルを用いて形成する。
【0051】
図9は、図7に示した部品実装基板を製造する過程の一部を断面で模式的に示す工程図であり、図6に示した積層工程に相当する段階の工程を示している。図9に示すように、積層素材1Aが、図6における積層素材1の代わりに用いられる。積層素材1Aは、図2(f)の段階における熱硬化性樹脂板61Aに代えて、上記説明のトレイ状の熱硬化性樹脂板62Aを使用すれば得ることができる。
【0052】
次に、本発明のさらに別の実施形態に係る部品実装基板について図10を参照して説明する。図10は、さらに別の実施形態に係る部品実装基板の構造を模式的に示す断面図である。同図において、すでに説明した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部分については加える事項がない限り説明を省略する。
【0053】
この実施形態は、図7に示した部品実装基板に比較して、図7中で使用の樹脂部62に加えて、樹脂部63として、半導体部品41の上面をも新たに覆った点が異なっている。半導体部品41の上面上も樹脂部63が覆うことにより、部品41を内蔵、埋設するためにこれと積層絶縁板12〜17との間の空間を埋めるため不足しがちな絶縁材料をさらに補うことができる。また、樹脂部63として熱伝導率の高いものを使用することで、部品41の放熱性をさらに向上する効果も期待できる。
【0054】
図11は、図10に示した部品実装基板中の樹脂部62、63を形成するための熱硬化性樹脂板62A、63Aを示す斜視図である。図示のように、熱硬化性樹脂板62Aは、図8に示したものと同様の形状である。熱硬化性樹脂板63Aは、熱硬化性樹脂板62Aの蓋となるような板形状のものである。
【0055】
次に、本発明のさらに別の実施形態に係る部品実装基板について図12を参照して説明する。図12は、さらに別の実施形態に係る部品実装基板の構造を模式的に示す断面図である。同図において、すでに説明した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部分については加える事項がない限り説明を省略する。
【0056】
この実施形態は、上記の各実施形態と比較して、内蔵で埋設の部品として、表面実装型受動素子部品42(例えば、チップコンデンサ、チップ抵抗など)をはんだ52による実装で設けた点が異なる。ただし、図7に示した実施形態と同様に、樹脂部64として、部品42の絶縁層11側のみならず部品42の側面をも覆う形状のものを設けている。したがって、部品42を内蔵、埋設するためにこれと積層絶縁板12〜17との間の空間を埋めるため不足しがちな絶縁材料を補うことができる。
【0057】
図13は、図12に示した部品実装基板中の樹脂部64を形成するための熱硬化性樹脂板64Aを示す斜視図である。熱硬化性樹脂板64Aは、図8に示した熱硬化性樹脂板62Aと比較して、その底部の態様が異なる点を除いて、底部の4辺から起立した起立部を有して全体としてトレイ状の形状になっている点で共通している。底部の態様の違いは、半導体部品41と表面実装型受動素子部品42との端子の構造(形状)の違いに起因する。
【0058】
図12に示す態様は、半導体部品41に加えて表面実装型受動素子部品42が混載で埋設、内蔵される部品実装基板の場合にも、その表面実装型受動素子部品42に対して適用できる。
【0059】
次に、本発明のさらに別の実施形態に係る部品実装基板について図14を参照して説明する。図14は、さらに別の実施形態に係る部品実装基板の構造を模式的に示す断面図である。同図において、すでに説明した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部分については加える事項がない限り説明を省略する。
【0060】
この実施形態は、半導体部品41が、その端子41a上に、はんだボール53を伴ったBGAパッケージの場合に好適な形態である。はんだボール53をその内部に封ずるように、半導体部品41と配線層22および絶縁層11との間に、樹脂部65が設けられる点は、上記の実施形態と同様である。したがって、はんだボール53による電気的、機械的な実装接続を樹脂部65が補強する構造であり、はんだ実装および基板としての信頼性向上が実現されている。
【0061】
図15は、図14に示した部品実装基板を製造する過程の一部を断面で模式的に示す工程図である。図15において、すでに説明した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部分については加える事項がない限り説明を省略する。
【0062】
図15(a)は、図2(e)、図2(f)に示した段階に代えて行う工程である。すなわち、部品実装用のランドを含む配線パターン22が形成できたら、その部品実装位置に樹脂部65とすべき熱硬化性樹脂板65Aを例えばマウンタを用いて載置する。熱硬化性樹脂板65Aは、図3に示した熱硬化性樹脂板61Aとは異なり貫通孔は設けられていない。
【0063】
次に、図15(b)に示すように、端子41a上にはんだボール53を伴った半導体部品41を、熱硬化性樹脂板65Aを介して絶縁層11上に例えばマウンタで載置する。このとき、マウンタのヘッドには加熱源81が設けられており、加熱源81により加熱しつつさらにこのヘッドで半導体部品41を絶縁層の側に加圧する。
【0064】
このときの加熱温度は、はんだボール53の溶融温度には達しないが、熱硬化性樹脂板65Aに流動性が現れる温度とする。これにより、加圧とあいまって、はんだボール53は熱硬化性樹脂板65Aを貫通して、配線層22によるランドに達する。このとき、半導体素子41と、絶縁層11および配線パターン22との間には流動性を得た樹脂が密着した状態になる。そして、加熱温度を上げて、熱硬化性樹脂板65Aによる密着状態を保ちつつはんだボール53を溶融する。このあと常温に戻され、はんだボール53と樹脂部65とによる、半導体部品41の補強された実装状態が得られる。
【0065】
なお、はんだボール53の溶融は、熱硬化性樹脂板65Aを完全には熱硬化させるに至らせない工程として設定してよい。完全に熱硬化させるには、はんだボール53の溶融温度より低い温度(例えば150℃)でこのあと別途、多少長い時間(例えば1時間)かけて加熱工程を行えばよい。
【符号の説明】
【0066】
1,1A,2,3…積層素材、11…絶縁層(絶縁板)、12,13,14,15,16,17…積層絶縁層(積層絶縁板)、11A,12A,14A,16A…プリプレグ、21,22,23,24,25,26,27,28…配線層(配線パターン)、21A,22A…金属箔(銅箔)、31,32,33,34,35,36,37…層間接続体、41…半導体部品(チップスケールパッケージによる)、41a…表面実装用端子(グリッド状配列端子)、42…表面実装型受動素子部品、51,52…はんだ、51A…クリームはんだ、53…はんだボール、61…樹脂部、61A…熱硬化性樹脂板、62…樹脂部(トレイ状)、62A…熱硬化性樹脂板(トレイ状)、63…樹脂部、63A…熱硬化性樹脂板(蓋部)、64…樹脂部、64A…熱硬化性樹脂板(トレイ状)、65…樹脂部、65A…熱硬化性樹脂板、71,711…部品用開口部、81…加熱源(加熱源付きマウンタヘッド)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁板と、該絶縁板上に設けられた、半導体部品を実装するためのランドを含む配線パターンとを備えた配線板と、
端子パッドを有する半導体チップと、該端子パッドに電気的接続された、グリッド状配列の表面実装用端子とを備え、該表面実装用端子を介して前記配線板の前記ランド上に実装された半導体部品と、
前記配線板と前記半導体部品との間に密着性をもって設けられた樹脂部と
を具備することを特徴とする部品実装基板。
【請求項2】
前記配線板上に、前記半導体部品を埋設するように積層された積層絶縁板をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の部品実装基板。
【請求項3】
前記樹脂部が、前記半導体部品の側面上をも覆っていることを特徴とする請求項2記載の部品実装基板。
【請求項4】
前記半導体部品の、前記配線板に対向する側とは反対の側の面上に設けられた第2の樹脂部をさらに具備することを特徴とする請求項3記載の部品実装基板。
【請求項5】
前記配線板の前記配線パターンが、表面実装型受動素子部品を実装するための第2のランドを含み、
前記配線板の前記第2のランド上に実装された表面実装型受動素子部品と、
前記配線板と前記表面実装型受動素子部品との間に密着性をもって設けられた第2の樹脂部と、をさらに具備し、
前記第2の樹脂部が、前記表面実装型受動素子部品の側面上をも覆っていること
を特徴とする請求項3記載の部品実装基板。
【請求項6】
前記表面実装型受動素子部品の、前記配線板に対向する側とは反対の側の面上に設けられた第3の樹脂部をさらに具備することを特徴とする請求項5記載の部品実装基板。
【請求項7】
絶縁板と、該絶縁板上に設けられた、半導体部品を実装するためのランドを含む配線パターンとを備えた配線板の前記ランド上にクリームはんだを付着させる工程と、
前記クリームはんだの位置に対応する位置に貫通孔を備えた熱硬化性樹脂板を前記配線板上に載置して、前記貫通孔内に前記クリームはんだを位置させる工程と、
端子パッドを有する半導体チップと、該端子パッドに電気的接続された、グリッド状配列の表面実装用端子とを備えた半導体部品を、前記表面実装用端子が前記熱硬化性樹脂板の前記貫通孔上に位置するように、前記熱硬化性樹脂板を介し前記配線板上に載置する工程と、
加熱して、前記クリームはんだをリフローし、加えて、前記熱硬化性樹脂板を熱硬化させる工程と
を具備することを特徴とする部品実装基板の製造方法。
【請求項8】
絶縁板と、該絶縁板上に設けられた、半導体部品を実装するためのランドを含む配線パターンとを備えた配線板上に熱硬化性樹脂板を載置する工程と、
端子パッドを有する半導体チップと、該端子パッドに電気的接続された、グリッド状配列のはんだボール付き表面実装用端子とを備えた半導体部品を、前記はんだボールが前記ランドに対応して位置するように、前記熱硬化性樹脂板を介し前記配線板上に載置する工程と、
前記半導体部品を前記配線板の側に押圧し、前記はんだボールを前記熱硬化性樹脂板に貫通させる工程と、
加熱して、前記はんだボールを溶融し、加えて、前記熱硬化性樹脂板を熱硬化させる工程と
を具備することを特徴とする部品実装基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−77195(P2011−77195A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225389(P2009−225389)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】