説明

部品実装方法

【課題】位置合わせ精度の経時的な変化を排除し、安定した位置合わせ精度を得るために適した部品実装方法を提供することを目的とする。
【解決手段】部品の部品マーク43A,43Bを認識し、基板の側縁部の実装部位の基板マーク44A,44Bを認識し、この認識結果に基づいて基板に部品を実装する部品実装方法において、基板マークを実装高さにて認識する第1の基板認識ステップ、第1の基板認識ステップにおける認識結果に基づいて基板を実装高さに維持したままで平面移動させて部品と当該実装部位とを位置合わせする第1の位置合わせステップの後に、第1の基板認識ステップにて位置認識された実装部位の基板マーク44A,44Bを実装高さにて再度認識した認識結果に基づいて、基板を第1の位置合わせステップにおける補正量よりも小さい補正量で再度位置合わせする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルなどの基板に部品を実装する部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルなどの電子機器の表示パネルは、表示パネルの側縁部に形成された電極に、例えばICチップなどの半導体素子、TAB(Tape Automated Bonding)、TCP(Tape Carrier Package)、フレキシブルプリント基板(FPC基板)、およびIC部品が搭載されたフレキシブル基板等の部品の電極をボンディングして組み立てられる。表示パネルの電極と部品の電極との位置合わせには高度の位置決め精度が必要とされることから、従来より表示パネルの組み立てに際しては、表示パネルや部品に形成された認識マークの位置を検出することにより位置合わせを行う光学的な位置決め方式が用いられている(例えば特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1は、電子部品を印刷配線基板に装着する電子部品装着装置において、電子部品を吸着した後のノズルをカメラによって撮像して回転方向を認識し、回転方向を補正した後に再度カメラによって撮像して認識し、位置補正が正確になされたことを確認した後に電子部品を装着する例が開示されている。
【0004】
また特許文献2は、液晶基板への部品の実装における位置の教示において、液晶基板に設けられた位置合わせマークを撮像するステップと、その撮像の結果から前記液晶基板のθ方向の傾き量を算出して算出された傾き量を補正するステップと、そのθ方向の補正によって生じるX、Y方向の位置変化を算出して算出された位置変化を相殺するようにX、Y方向の位置補正を行うステップとを含む教示方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−291795号公報
【特許文献2】特許第2274587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、表示パネルの生産現場において、始業からの経過時間や季節に応じて位置合わせ精度が経時的に変化する現象が経験されている。昨今、表示パネルの高精細化に伴って、表示パネルの製造にはますます高い位置合わせ精度が要求されるようになっており、この位置合わせ精度の経時変化が、要求される位置合わせ精度を安定して実現する上での障害となりつつある。このような位置合わせ精度を経時的に変化させる一因は、温度条件に応じて部品実装装置の撮像装置および駆動機構を始めとする各部、並びに表示パネル、部品に不同に生じる熱変位である。
【0007】
そしてこの熱変位のために、部品の回転座標を、例えば表示パネルへの装着時の回転座標に合わせるための回転角度補正動作を行う際、部品の画像から認識される回転中心と実際の回転中心には誤差が生じ、また、駆動機構に指令される回転角度と実際に回転する角度には誤差が生じる。これらの誤差が、部品の回転角度補正動作において温度条件に応じた不定なずれとなって、位置合わせ精度を経時的に変化させてしまう。
【0008】
しかしながら、特許文献1,2に記載の先行技術においては、いずれも表示パネルを回転角度であるθ方向補正する際に回転中心位置および回転角度の何れに生じる誤差も考慮
していない。そのため、この技術を部品の方向補正に適用したとしても、回転角度であるθ方向補正動作における不定なずれのために生じる位置合わせ精度の経時変化を除去できない。このように、従来の表示パネルなどの基板への部品の実装においては、位置合わせ精度の経時的な変化に起因して、安定した位置合わせ精度を得ることが困難であるという課題があった。
【0009】
そこで本発明は、位置合わせ精度の経時的な変化を排除し、安定した位置合わせ精度を得るために適した部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の部品実装方法は、少なくとも垂直軸廻りの回転移動および上下移動が可能な部品実装ツールに保持された部品の部品マークを認識し、垂直軸廻りの回転移動および水平方向への平面移動が可能な基板保持部に保持された基板の側縁部の実装部位の基板マークを認識し、この認識結果に基づいて、前記基板の前記実装部位に前記部品を実装する実装位置にて部品を実装する部品実装方法であって、前記部品を保持した前記部品実装ツールが下降されて前記実装位置での実装高さに位置する前記部品を撮像して前記部品マークを認識する部品認識ステップと、前記部品実装ツールに保持された前記部品を前記実装高さより上方に退避させる部品退避ステップと、前記基板保持部に保持された前記基板の前記実装部位が前記実装位置での前記実装高さに移動されて、前記実装部位の前記基板マークを前記実装高さにて認識する第1の基板認識ステップと、前記第1の基板認識ステップにおける認識結果に基づいて前記基板を保持した前記基板保持部を前記実装高さに維持したままで平面移動させることにより、前記部品認識ステップで位置認識された前記部品と当該実装部位とを位置合わせする第1の位置合わせステップと、第1の位置合わせステップ後に前記第1の基板認識ステップにて位置認識された前記実装部位の前記基板マークを前記実装高さにて再度認識する第2の基板認識ステップと、前記第2の基板認識ステップにおける認識結果に基づいて前記基板を保持した前記基板保持部を前記実装高さに維持したままで平面移動させることにより、前記部品と、前記第1の位置合わせステップにおける補正量よりも小さい補正量で当該実装部位とを位置合わせする第2の位置合わせステップと、前記部品実装ツールを下降させて上方に退避している前記部品を当該実装部位に実装する部品実装ステップとを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、部品実装ツールに保持された部品の部品マークを認識し、基板保持部に保持された基板の側縁部の実装部位の基板マークを認識し、この認識結果に基づいて、基板の前記実装部位に部品を実装する部品実装方法を、基板マークを実装高さにて認識する第1の基板認識ステップと、第1の基板認識ステップにおける認識結果に基づいて基板を実装高さに維持したままで平面移動させて部品と当該実装部位とを位置合わせする第1の位置合わせステップと、第1の位置合わせステップ後に第1の基板認識ステップにて位置認識された実装部位の基板マークを実装高さにて再度認識する第2の基板認識ステップと、第2の基板認識ステップにおける認識結果に基づいて基板を実装高さに維持したままで平面移動させて第1の位置合わせステップにおける補正量よりも小さい補正量で部品と当該実装部位とを位置合わせする第2の位置合わせステップとを含む構成とすることにより、位置合わせ精度の経時的な変化を排除し、安定した位置合わせ精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置が用いられるパネル組み立て装置の平面図
【図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の斜視図
【図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置の部分側断面図
【図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置の下受け部の機能説明図(部分正面図)
【図5】本発明の一実施の形態の部品実装方法における工程を示すフロー図
【図6】本発明の一実施の形態の部品実装装置における基板下受け動作の説明図
【図7】本発明の一実施の形態の部品実装方法における工程を示すフロー図
【図8】本発明の一実施の形態の部品実装装置における基板下受け動作の説明図
【図9】本発明の一実施の形態の部品実装方法における部品マークおよび基板マークの認識動作の説明図
【図10】本発明の一実施の形態の部品実装方法における部品マークおよび基板マークの認識動作の手順を示す工程説明図(部分側面図)
【図11】本発明の一実施の形態の部品実装方法における部品マークおよび基板マークの認識動作の手順を示す工程説明図(部分側面図)
【図12】本発明の一実施の形態の部品実装方法における部品マークおよび基板マークの位置認識処理および位置合わせの説明図
【図13】本発明の一実施の形態の部品実装方法における部品マークおよび基板マークの位置認識処理および位置合わせの説明図
【図14】本発明の一実施の形態の部品実装方法における部品マークおよび基板マークの位置認識処理および位置合わせの説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、本発明の部品実装装置が用いられるパネル組立て装置1の構成について説明する。パネル組立て装置1は、共通の基台1a上に、テープ貼付け部2、仮圧着部3および本圧着部4をX方向(基板搬送方向)に直列に配置した構成となっており、ガラス等の基板(以下、基板と称す)の側縁部にドライバ用等の部品をACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電テープ)(以下、ACFテープと称す)を介して接合することにより、表示パネルを組み立てる機能を有している。
【0014】
基台1aのY方向の手前側には、基板移載ユニット5がX方向(基板搬送方向)に配設されており、基板移載ユニット5には組み立て対象の基板10を移載アーム6aによって下面側から保持する機能を有する基板移載テーブル6A,6B、6C、6Dが装着されている。基板移載ユニット5を駆動することにより、基板移載テーブル6A,6B、6C、6DはX方向に往復動し、これにより基板移載動作が行われる。すなわち基板移載テーブル6Aは、側縁部10aに予め電極11(図9参照)が形成された基板10を基板搬送方向の上流側(矢印a)から受け取り、受け取った基板10をテープ貼付け部2へ搬送する。基板移載テーブル6B、6Cはそれぞれテープ貼付け部2、仮圧着部3から受け渡された基板10を、次工程の仮圧着部3、本圧着部4へ搬送する。そして基板移載テーブル6Dは、本圧着部4から受け渡された組み立て済みの基板10を、基板搬送方向の下流側(矢印b)へ受け渡す。
【0015】
次に、テープ貼付け部2、仮圧着部3、本圧着部4の概略構成および機能について説明する。基台1a上には基板移載ユニット5に沿って共通のX軸テーブル7がX方向に配設されている。テープ貼付け部2には、X軸テーブル7上にY軸テーブル8A、Zθ軸テーブル9Aを積層した構成の基板保持部2aが設けられており、基板移載テーブル6Aによって基板搬送方向の上流側から搬送された基板10はZθ軸テーブル9Aによって下面側から保持される。
【0016】
テープ貼付け部2は基板移載ユニット5に隣接して配置されたテープ貼付けユニット12を備えており、基板保持部2aを駆動することにより、Zθ軸テーブル9Aに保持された基板10の側縁部10aは、テープ貼付けユニット12の貼付けヘッド13に対して位置合わせされる。このとき、第1カメラ15A、第2カメラ15Bによって側縁部10a
に設けられた基板マークの位置が認識され、テープ貼付けユニット12の貼付けヘッド13に対して基板10の側縁部10aの実装部位10bの位置合せが行われる。貼付けヘッド13を作動させることにより、側縁部10aに設定された実装部位10bには、ACFテープ14が貼り付けられる。
【0017】
仮圧着部3には、X軸テーブル7上にY軸テーブル8B、Zθ軸テーブル9Bを積層した構成の基板保持部3aが設けられており、基板移載テーブル6Bによってテープ貼付け部2から搬送された基板10は、Zθ軸テーブル9Bによって下面側から保持される。仮圧着部3は基板保持部3aにY方向に隣接して配置された部品実装ユニット17を備えており、基板保持部3aを駆動することによりZθ軸テーブル9Bに保持された基板10の側縁部10aは、図2に示す下受け部30に対して位置合わせされる。このとき、第1カメラ20A、第2カメラ20Bによって側縁部10aの位置が認識される。
【0018】
部品実装ユニット17は、図1に示すように複数の実装ヘッド19をインデックス機構18によってインデックス回転(間欠回転)させる機能を有しており、部品実装ユニット17の背後(図示Y方向の後方側)には、側縁部10aに実装される部品21を供給する部品供給部16が配置されている。部品供給部16から部品21を取り出した実装ヘッド19は、インデックス機構18によってインデックス回転(矢印c)することにより、Zθ軸テーブル9Bに保持された基板10の側縁部10aの上方に設定された部品実装位置P(図2参照)に移動する。そしてここで実装ヘッド19に備えられた部品実装ツール19a(図2参照)を下降させることにより、側縁部10aに設定された実装部位10bに貼り付けられたACFテープ14上には、部品21が仮圧着される。
【0019】
本圧着部4には、X軸テーブル7上にY軸テーブル8C、Zθ軸テーブル9Cを積層した構成の基板保持部4aが設けられており、基板移載テーブル6Cによって仮圧着部3から搬送された基板10は、Zθ軸テーブル9Cによって下面側から保持される。本圧着部4は基板保持部3aにY方向に隣接して配置された本圧着ユニット22を備えており、基板保持部4aを駆動することにより、Zθ軸テーブル9Cに保持された基板10の側縁部10aは、本圧着ユニット22の本圧着ヘッド23に対して位置合わせされる。このとき、第1カメラ24A、第2カメラ24Bによって側縁部10aの位置が認識される。そして本圧着ヘッド23を下降させて、仮圧着された部品21を側縁部10aに対して加熱押圧することにより、実装部位10bに部品21を本圧着する。
【0020】
次に図2,図3,図4を参照して、部品実装装置としての仮圧着部3の構成および機能を説明する。この部品実装装置の仮圧着部3は、基板10の側縁部10aに設定された実装部位10bに部品21を実装する位置として設定された部品実装位置Pにて、実装部位10bに部品21を実装して仮圧着する機能を有するものである。基板保持部3aは前述のように、X軸テーブル7、Y軸テーブル8B上にZθ軸テーブル9Bを積層した構成となっており(図1参照)、保持した基板10をX,Y,θ方向の平面移動に加えて、Z方向に垂直移動させることが可能となっている。
【0021】
実装ヘッド19は部品実装ツール19aによって部品21を保持して、側縁部10aに設定された実装部位10bに実装する機能を有しており、部品実装ユニット17のインデックス機構18によってインデックス回転(矢印cの方向に間欠回転)することにより、部品実装位置Pに移動する。実装ヘッド19を駆動することにより、部品実装ツール19aは軸廻りの位置合わせのためのθ回転(矢印d)および部品実装のための昇降動作(矢印e)を行う。
【0022】
部品実装位置Pの下方には、下受け部30が配設されている。下受け部30は、部品実装ツール19aによって部品21を側縁部10aに対して押圧する仮圧着動作において、
部品実装位置Pにて側縁部10aを下方から支持して下受けする機能を有するものである。図2,図3において、垂直姿勢で配設された昇降駆動機構31には、プレート32を介してX方向に配列された1対の昇降ブロック33が結合されている。昇降ブロック33の上面には断熱部材34を介して加熱部35が装着されており、2つの加熱部35の上面には、石英等の透光性材質より成るバックアップステージ37A,37Bがそれぞれ固着されている。
【0023】
下受け部30は、バックアップステージ37Aとバックアップステージ37Bとの間の隙間Sが、部品実装位置Pの直下に位置するように配置されており(図4参照)、基板保持部3aによって基板10を位置合わせする際には、作業対象となる実装部位10bの両端部が、バックアップステージ37A、37Bによってそれぞれ下受けされるように、位置が調整される。
【0024】
バックアップステージ37A、37Bの下方には、第1カメラ20A、第2カメラ20BがX方向の位置が可変に配設されている(矢印f、図2参照)。第1カメラ20A、第2カメラ20Bはバックアップステージ37A、37Bを透過して部品21に設けられた部品マーク、実装部位10bに設けられた基板マークを撮像可能となっており(図9参照)、作業対象の基板10、部品21に応じてX方向の位置が調整される。
【0025】
昇降ブロック33から基板保持部3aに対して反対側のY方向の後方に延出した水平ベース部33aの上面には、接触式の高さ検出センサ40が配置されている。高さ検出センサ40は、検出部41および検出部41からバックアップステージ37Aとバックアップステージ37Bとの間の隙間に延出した棒状のプローブ42を備えており、プローブ42の当接部42aに、部品21が実装される基板10の側縁部10aの実装部位10bの下面が当接することにより、部品21が実装される側縁部10aの実装部位10bの高さ位置を検出部41により検出する機能を有している。高さ検出センサ40による高さ検出結果は、制御部38に伝達される。
【0026】
加熱部35はインバー材など低熱膨張性の素材にヒータ36を挿入した構成となっており、ヒータ36を作動させることにより、加熱部35は側縁部10aの裏面10cに当接して支持するバックアップステージ37A,37Bの基板支持面37aを加熱する。加熱部35と昇降ブロック33との間には、焼結材料など多孔質素材を用いた断熱部材34が介在している。断熱部材34内にエアを流通させることにより、加熱部35から昇降ブロック33やさらには高さ検出センサ40への熱伝達を抑制することができ、昇降機構部や高さ検出センサ40の熱変位による動作精度や検出精度の低下を防止することができる。すなわち断熱部材34は、加熱部35と高さ検出センサ40との間に介在して、加熱部35から高さ検出センサ40への熱伝達を抑制する機能を有している。
【0027】
基板保持部3aおよび昇降駆動機構31は制御部38によって制御され、昇降駆動機構31を駆動することにより、昇降ブロック33を昇降させて(矢印g)、バックアップステージ37A、37Bを側縁部10aの実装部位10bの下面に対して接離させることができる。また基板保持部3aを構成するZθ軸テーブル9Bを駆動して昇降させる(矢印h)ことにより、バックアップステージ37A、37Bに対して側縁部10aの下面を接離させることができる。
【0028】
図4(a)に示すように、基板10は作業対象とする実装部位10bの両端部がバックアップステージ37A、37Bによって下受けされるように位置が調整され、この状態で下受け部30を上昇させる。この過程においてプローブ42が、部品21が実装される側縁部10aの実装部位10bの裏面10cに当接することにより、この当接結果に基づいて部品21が実装される側縁部10aの実装部位10bの高さ位置が検出される。そして
高さ検出のタイミングから、予め設定された所定値だけ下受け部30をさらに上昇させることにより、図4(b)に示すように、基板支持面37aが裏面10cに当接し、作業対象の実装部位10bがバックアップステージ37A、37Bによって下受けされる。
【0029】
本実施の形態においては、上述の基板10の下受け動作における高さ検出は、作業対象となる部品21が実装される実装部位10b毎に行われる。すなわち基板10を保持した基板保持部3aを移動させて、部品21が実装される実装部位10bを部品実装位置Pに移動させる度に、高さ検出センサ40による側縁部10aの実装部位10bの高さ検出を行い、この高さ検出結果に基づいてバックアップステージ37A、37Bの高さを調整するようにしている。これにより、基板10の厚みのばらつきやそり変形が存在することに起因して、複数の実装部位10bの高さ位置にばらつきがある場合にも、常に各実装部位10bを安定した高さ位置で下受けすることが可能となっている。
【0030】
すなわち上記構成において、下受け部30は、部品実装位置Pにて実装部位10bの両端部を、裏面10c側(実装部位10bに部品21を実装する表面側とは反対側)から、バックアップステージ37Aとバックアップステージ37Bの2つの部材によって下受けする構成となっている。そして下受け部30には高さ検出センサ40が備えられており、高さ検出センサ40は、バックアップステージ37A、37Bによって下受けされた実装部位10bの両端部の中間において、裏面10c側から側縁部10aの実装部位10bの裏面10cにプローブ42が当接することにより、実装部位10bの高さ位置を検出する機能を有している。そして昇降駆動機構31は下受け部30を高さ検出センサ40とともに昇降させる機能を有しており、制御部38は、高さ検出センサ40の検出結果に基づいて昇降駆動機構31による下受け部30の昇降動作を制御する。また制御部38は、高さ検出センサ40の検出結果に基づいて基板保持部3aによる下受け部30に対する昇降動作を制御することも可能となっている。
【0031】
次に部品実装装置である仮圧着部3による部品実装方法の具体例について説明する。まず、図5,図6を参照して、バックアップステージ37A、37Bを昇降させることにより、基板10を下受けする実施例について説明する。図5において、仮圧着部3への基板搬入が行われる(ST1)。次いでバックアップステージ37A、37B上部に、基板10を配置する(ST2)。すなわち、基板10を保持した基板保持部3aを少なくとも水平方向へ平面移動させて、基板10の側縁部10aの実装部位10bの両端部を、裏面10c側(実装部位10bに部品21を実装する表面側とは反対側)から下受けする下受け部30のバックアップステージ37A、37Bの上方に位置させる(基板位置合わせステップ)。
【0032】
このとき、図6(a)に示すように、当接部42aの上端はバックアップステージ37A、37Bの基板支持面37aから初期値h(例えば0.1mm以下)だけ突出した状態に設定されている。そしてこの状態で、下受け部30を上昇させて(矢印j)、バックアップステージ37A、37Bを上昇させる(ST3)。この過程において、高さ検出センサ40のプローブ42が基板10の側縁部10aの実装部位10bの裏面10cにコンタクトしたか否かを監視しながら(ST4)下受け部30の上昇を継続する。
【0033】
次いで図6(b)に示すように、プローブ42が基板10の側縁部10aの実装部位10bの裏面10cにコンタクトしたことが検知されたならば、バックアップステージ37A、37Bの上昇を一旦停止し(ST5)、そのタイミングにおける基板高さ(実装部位10bの高さ)を検出する。すなわち(ST3)、(ST4)においては、下受け部30を上昇させて、下受け部30に設けられている高さ検出センサ40を側縁部10aの実装部位10bの裏面10c側から当接させることにより、実装部位10bの高さ位置を検出する(高さ検出ステップ)。
【0034】
そして、高さ検出ステップにおける高さ検出結果に基づいて、下受け部30を高さ検出センサ40とともに昇降させる昇降駆動機構31によって、下受け部30を予め初期値hに応じて設定された所定値だけ上昇させる(ST6)ことにより(矢印k)、実装部位10bを裏面10c側から下受けする(下受けステップ)。次いで部品21を保持した部品実装ツール19aを下降させて、下受けされた実装部位10bに部品21を仮圧着により実装する(ST7)(部品実装ステップ)。そして実装部位10bに部品21が仮圧着された仮圧着工程終了後の基板10は、次工程に搬出される(ST8)。
【0035】
図6(c)は、上述過程におけるバックアップステージ37A、37Bの高さの変化をグラフで示している。すなわち上昇開始のタイミングt0において待機高さ位置H0にあったバックアップステージ37A、37Bは、下受け部30が上昇することによってともに上昇し(図6(a))、高さ検出センサ40の当接部42aが実装部位10bの裏面10cに当接するタイミングt1(図6(b))において、検出高さ位置H1に到達する。そしてこのタイミングt1から、制御部38の制御指令により、予め設定された所定値h*だけ高い下受け高さ位置H2まで、バックアップステージ37A、37Bを上昇させる。所定値h*は、部品21を仮圧着する際の望ましい下受け状態が実現されるように、初期値hに応じて設定される。なお下受け部30の上昇速度については、タイミングt0からタイミングt1までの第1の上昇速度v1に対して、タイミングt1からタイミングt2までの第2の上昇速度v2をより低速に設定するのが望ましいが、基板10の保持状態あるいは、バックアップステージ37A、37Bによる基板10の側縁部10aの下受け状態に不都合がなければ同一速度で上昇させてもよい。
【0036】
次に、図7,図8を参照して、基板10を保持した基板保持部3aのZθ軸テーブル9Bを昇降させることにより、基板10の側縁部10aの実装部位10bの裏面10cをバックアップステージ37A、37Bの上面に下受けする実施例について説明する。図7において、仮圧着部3への基板搬入が行われる(ST11)。次いでバックアップステージ37A、37Bの上部に、基板10を配置する(ST12)。すなわち、基板10を保持した基板保持部3aを少なくとも水平方向へ平面移動させて、基板10の側縁部10aの実装部位10bの両端部を裏面10c側(実装部位10bに部品21を実装する表面側とは反対側)から下受けする下受け部30の上方に位置させる(基板位置合わせステップ)。
【0037】
このとき、図8(a)に示すように、当接部42aの上端はバックアップステージ37A、37Bの基板支持面37aから初期値h(例えば0.1mm以下)だけ突出した状態に設定されている。そしてこの状態で、基板保持部3aのZθ軸テーブル9Bを下降させて(矢印l)、基板10を下降させる(ST13)。この過程において、高さ検出センサ40のプローブ42が基板10の側縁部10aの実装部位10bの裏面10cにコンタクトしたか否かを監視しながら(ST14)Zθ軸テーブル9Bの下降を継続する。
【0038】
次いで図8(b)に示すように、プローブ42が基板10の側縁部10aの実装部位10bの裏面10cにコンタクトしたことが検知されたならば、基板10の下降を一旦停止し(ST15)、そのタイミングにおける基板高さ(実装部位10bの高さ)を検出する。すなわち(ST13)、(ST14)においては、基板10を下降させて、下受け部30に設けられている高さ検出センサ40を部品21が実装される側縁部10aの実装部位10bの裏面10c側から当接させることにより、この当接結果に基づいて部品21が実装される実装部位10bの高さ位置を検出する(高さ検出ステップ)。そして、高さ検出ステップにおける高さ検出(実装部位10bの高さ)結果に基づいて、そして、基板10を保持した基板保持部3aのZθ軸テーブル9Bを、予め初期値hに応じて設定された所定値だけ下降させる(ST16)ことにより(矢印m)、下受け部30のバックアップス
テージ37A、37Bによって部品21が実装される実装部位10bを裏面10c側から下受けする(下受けステップ)。次いで部品21を保持した部品実装ツール19aを下降させて、下受けされた実装部位10bに部品21を仮圧着により実装する(ST17)(部品実装ステップ)。そして実装部位10bに部品21が仮圧着された仮圧着工程終了後の基板10は、次工程に搬出される(ST18)。
【0039】
図8(c)は、上述過程における基板保持部3aのZθ軸テーブル9Bに保持された基板10の下降高さの変化をグラフで示している。すなわち下降開始のタイミングt10において待機高さ位置H10にあった基板10が下降し(図8(a))、高さ検出センサ40の当接部42aが基板10の側縁部10aの実装部位10bの裏面10cに当接するタイミングt11(図8(b))において、基板10の下降高さが検出高さ位置H11に到達する。そしてこのタイミングt11から、制御部38の制御指令により予め設定された所定値h*だけ低い下受け高さ位置H12まで、基板10を下降させる。所定値h*は、部品21を仮圧着する際の望ましい下受け状態が実現されるように、初期値hに応じて設定される。なお、基板10の下降速度については、タイミングt10からタイミングt11までの第1の下降速度v1に対して、タイミングt11からタイミングt12までの第2の下降速度v2をより低速に設定するのが望ましいが、基板10の保持状態あるいは、バックアップステージ37A、37Bによる基板10の側縁部10aの下受け状態に不都合がなければ同一速度で下降させてもよい。
【0040】
次に図9を参照して、部品21の基板10への仮圧着に際して実行されるマークの認識動作について説明する。図9(a)に示すように、部品21は部品実装ツール19aによって保持され、基板保持部3a(図1参照)によって保持された状態の基板10の側縁部10aに設けられている実装部位10bに仮圧着される。側縁部10aには複数の実装部位10bが列状に設定されており、仮圧着のための実装動作においては、部品実装ツール19aに保持された部品21と基板保持部3aに保持された基板10の実装部位10bとのそれぞれのマークを認識することにより部品21の実装部位10bへの位置合わせが行われる。
【0041】
すなわち図9(b)に示すように、部品21の下面に設けられた複数の端子21aより成る端子列の両端部には、第1部品マーク43Aおよび第2部品マーク43Bが形成されている。第1部品マーク43Aは、凸字形状、第2部品マーク43Bはクロス形状となっており、形状により区別が可能となっている。基板10の側縁部10aにおいて部品21が実装される実装部位10bには、端子21aに対応して複数の電極11より成る電極列が形成されており、さらにこの電極列の両端部には、第1基板マーク44A、第2基板マーク44Bが形成されている。第1基板マーク44A、第2基板マーク44Bはいずれも、4つの正方形のマークを点対称に配置して中央にクロス形状の余白部を形成した形状となっている。第1部品マーク43Aと第1基板マーク44A、第2部品マーク43Bと第2基板マーク44Bは、それぞれX方向(矢印n)に位置調整可能な第1カメラ20A、第2カメラ20Bによってバックアップステージ37A、37Bを透過して撮像される。
【0042】
図9(c)に示すように、部品21を保持した部品実装ツール19aを下降させて部品21を実装対象となる基板10の実装部位10bに正しく位置合わせした状態では、それぞれの端子21aは対応する電極11に着地する。そしてこの状態では、第1部品マーク43A、第2部品マーク43Bの位置は、それぞれ、第1基板マーク44A、第2基板マーク44Bにおけるそれぞれの中央のクロス形状の余白部の中心の位置に一致する。すなわち、第1部品マーク43A、第2部品マーク43Bが第1基板マーク44A、第2基板マーク44Bのそれぞれの中心に位置するように位置合わせを行うことにより、部品21は実装部位10bに正しく位置合わせされる。
【0043】
次に、仮圧着部3によって部品21を基板10に実装する部品実装方法について、図10〜図14を参照して説明する。この部品実装方法は、少なくとも垂直軸廻りの回転移動および上下移動が可能な部品実装ツール19aに保持された部品21の部品マークを認識し、垂直軸廻りの回転移動および水平方向への平面移動が可能な基板保持部3aに保持された基板10の側縁部10aの実装部位10bの基板マークを認識し、この認識結果に基づいて、部品実装位置Pにて部品21を基板10の実装部位10bに実装するものである。図10,図11は、部品実装動作における動作説明図であり、図12,図13,図14は、いずれも部品実装過程における第1カメラ20A、第2カメラ20Bによる撮像視野20a,20bを示している。
【0044】
まず図10(a)に示すように、部品21を保持した部品実装ツール19aを部品実装位置Pに移動させ、次いで部品21が実際に基板10の実装部位10bに実装されるべき高さ位置を示す実装高さHPに位置するよう、部品実装ツール19aを下降させる。すなわちここでは、部品21を保持した部品実装ツール19aが下降されて、部品実装位置Pでの実装高さHPに位置する部品21を撮像して部品マーク43A,43Bを認識する(部品認識ステップ)。これにより、図12(a)Iに示す認識画像が取得される。ここでは、部品マーク43A,43Bを結ぶ方向線L1がX軸基準線、すなわち基板搬送方向の基準線から角度αだけ回転位置ずれした状態にある。
【0045】
次いで図10(b)に示すように、部品実装ツール19aに保持された部品21を実装高さHPより上方に退避させ(矢印p)(部品退避ステップ)、その後、基板10を保持した基板保持部3aを駆動して、基板10の実装部位10bの上面が部品実装位置Pにおいて、実装高さHBに位置するよう、基板10を移動させる。実装高さHBは、基板10に部品21が実際に実装される際の側縁部10aの実装部位10bの上面の高さ位置を示すものである。ここで、部品21の実装高さHPと基板10の実装高さHBは、実際の実装時には部品21の端子21aの厚さや基板10の電極11の厚み程度の差が有るが、認識カメラ(第1カメラ20A、第2カメラ20B)の焦点深度における許容高さの範囲内であり、実質的に同一高さである。
【0046】
次いで、バックアップステージ37A,37Bを上昇させ、基板10の側縁部10aの実装部位10bの裏面10cに当接させて下受けする。このとき、図6,図8に示す高さ検出処理による検出結果に基づいてバックアップステージ37A,37Bの上昇位置を制御する。
【0047】
そしてこの状態で、バックアップステージ37A,37Bを透過して第1カメラ20A、第2カメラ20Bによってそれぞれ第1基板マーク44A、第2基板マーク44Bを撮像する。これにより、図12(a)IIに示す認識画像が取得される。ここでは、第1基板マーク44A,第2基板マーク44Bを結ぶ方向線L2がX軸基準線、すなわち基板搬送方向(X方向)と平行な基準線から角度β1だけ回転位置ずれした状態にある。
【0048】
この基板認識において、基板10の高さ検出結果に基づいて、バックアップステージ37A,37Bの上昇を制御することにより、基板10を構成する偏光板の厚みのばらつきや基板10の側縁部10aのそり変形が存在して、側縁部10aの個々の実装部位10bの高さ位置がばらついている場合にあっても、基板10の実装部位10bを正しい実装高さHBに保持することが可能となっている。すなわち、ここでは、基板保持部3aに保持された基板10の実装部位10bが部品実装位置Pでの実装高さHBに少なくとも水平方向に移動されて、実装部位10bの基板マーク44A,44Bを実装高さHBにて認識する(第1の基板認識ステップ)。
【0049】
また、上述の部品実装ツール19aに保持された部品21を実装高さHPより上方に退
避させる部品待避ステップの後、部品認識ステップにおける認識結果に基づいて部品21のZ方向周りの回転方向の位置補正が行われる。すなわち、部品実装ツール19aを反時計方向に位置ずれ角度αだけ回転させる補正を行う(矢印o、図10(b)参照)。これにより、図12(b)Iに示すように、部品21の第1部品マーク43A,第2部品マーク43Bを結ぶ方向線L1がX軸基準線(基板搬送方向(X方向)と平行な基準線)に沿った方向になるように位置補正される。これとともに、あるいは部品21の位置補正の後に、基板保持部3aを駆動して(矢印q、図10(b)参照)、基板10の側縁部10aの実装部位10bを部品位置補正後の部品21に位置合わせする位置補正を行う。
【0050】
すなわち、実装高さHBでの第1の基板認識ステップにおける認識結果に基づいて基板10を保持した基板保持部3aを、基板10の側縁部10aの高さ位置を実装高さHBに維持したままでX,Y、θ方向に平面移動(位置補正移動)させることにより、部品認識ステップで位置認識された部品21と当該実装部位10bとを位置合わせする(第1の位置合わせステップ)。この位置合わせ動作は、下受け部30を下降させてバックアップステージ37A,37Bを基板10の側縁部10aの裏面10cから離隔させた状態で行われる。
【0051】
この第1の位置合わせにおいては、基板10の実装部位10bの位置を示す第1基板マーク44A、第2基板マーク44Bは、図12(a)IIに示す位置から、図12(b)IIに示す位置に移動する。このとき移動後の第1基板マーク44A、第2基板マーク44Bは、以下に示す理由により、部品21の第1部品マーク43A,第2部品マーク43Bの位置とは一致せず、幾分かの位置ずれが残留した状態となる。この位置ずれについて、図13を参照して説明する。図13は、基板10の実装部位10bのθ方向の位置補正における基板10を保持したZθ軸テーブル9Bの回転中心の位置変動と、Zθ軸テーブル9Bの回転による基板10の実装部位10bの回転移動との関係を示したものである。
【0052】
基板10を保持したZθ軸テーブル9Bを駆動することによるθ方向の位置補正は、Zθ軸テーブル9Bのθ回転機構において定められた回転中心廻りに基板10が回転することにより行われ、この回転中心の位置は装置座標系における固定点として予め登録されている。そして基板マークの認識によって検出された位置ずれを補正するための補正量の算出においては、補正動作によって基板10がこの予め登録された固定回転中心RC1廻りに回動することを前提として幾何演算が行われる。
【0053】
しかしながら実際の装置においては、回転中心は必ずしも絶対的な固定点ではなく、経時的に変動する。例えば環境温度の変動により、また装置稼働時の発熱による温度上昇などにより、Zθ軸テーブル9Bや周囲の機構部には熱変位が生じ、これにより実際の回転中心は熱変位の状態に応じて変動回転中心R2に移動する。このため、予め設定された固定回転中心RC1を用いた補正演算計算式に基づいて補正量を演算し、この演算結果に基づいて位置補正動作を実行させると、位置ずれは完全には補正されず補正誤差が残留する。
【0054】
このような補正誤差を極力小さくして実装位置精度を向上させるため、本実施の形態においては、実装高さHBでの第1の基板認識ステップにおける認識結果に基づいて基板10を保持した基板保持部3aを、基板10の側縁部10aの高さ位置を実装高さHBに維持したままでX,Y、θ方向に平面移動(位置補正移動)させる第1の位置合わせステップ後に再度、基板10の側縁部10aの高さ位置を実装高さHBに維持したままで基板マーク認識を行い、この認識結果に基づいて基板10を保持した基板保持部3aを、基板10の側縁部10aの高さ位置を実装高さHBに維持したままで実装部位10bの位置の微調整(平面方向の位置補正移動)を行うようにしている。
【0055】
すなわち、図10(c)に示すように、第1の基板認識ステップにて位置認識された基板10の実装部位10bの第1基板マーク44A,第2基板マーク44Bを、実装高さHBにて再度認識する(第2の基板認識ステップ)。すなわちバックアップステージ37A,37Bを再度上昇させ、側縁部10aの裏面10cに当接させて下受けする。そしてこの状態で、バックアップステージ37A,37Bを透過して第1カメラ20A、(第2カメラ20B)によって第1基板マーク44A、第2基板マーク44Bをより高精度に撮像する。これにより、図14(a)IIに示す認識画像が取得される。このとき、上述の理由により、第1基板マーク44A、第2基板マーク44Bは、第1部品マーク43A,第2部品マーク43Bに対して基板10を保持したZθ軸テーブル9Bの回転中心の位置の経時変動に起因する誤差分だけ、X,Y,θ方向に位置ずれした状態にあり、基板マーク44A,44Bを結ぶ方向線L2は、X軸基準線(基板搬送方向(X方向)と平行な基準線)から微小な角度β2だけ回転位置ずれした状態にある。
【0056】
次いでこの位置ずれを補正するための微調整を行う。すなわち図11(a)に示すように、バックアップステージ37A,37Bを再度下降させて(矢印s)、側縁部10aの裏面10cから離隔させる。そしてこの状態で、第2の基板認識ステップにおける認識結果に基づいて、基板10を保持した基板保持部3aを基板10の高さ位置を実装高さHBに維持したままで、X,Y,θ方向に平面移動させる(矢印r)ことにより、部品21と当該実装部位10bとを、第1の位置合わせステップにおける補正量よりも小さい補正量で位置合わせする(第2の位置合わせステップ)。
【0057】
図14(b)IIは、第2の位置合わせステップ後の状態を示している。この第2の位置合わせステップにおいては、θ方向の位置ずれ補正のために、第1の位置合わせステップと同様に、基板10を第2の基板認識ステップにおいて検出されたθ方向の位置ずれ分(角度β2、図14(a)参照)だけZ方向周りに回動させる。これにより、図14(c)に示すように、基板10の実装部位10bの第1基板マーク44A,第2基板マーク44Bを結ぶ方向線L2がX軸基準線(基板搬送方向(X方向)と平行な基準線)に一致するとともに、部品21の第1部品マーク43A,第2部品マーク43Bに対して位置合わせされる。
【0058】
この第2の位置合わせステップにおいては、角度β2が微小で補正量が小さいことから、実際の変動回転中心RC2が経時変動により固定回転中心RC1から移動している場合においても、補正誤差はきわめて小さく抑制され、高精度の位置補正結果を得ることができる。すなわち従来技術においては、±3μm/3σ程度が限界とされていた位置合わせ精度を、±2μm/3σ程度までより減少させることが可能となっており、位置合わせ精度の経時的な変化を排除し、安定した位置合わせ精度を得ることができる。
【0059】
次いで、図11(b)に示すように、バックアップステージ37A,37Bを再度上昇させて側縁部10aを下受けした状態で、部品実装ツール19aを下降させて(矢印t)上方に退避している部品21を当該実装部位10bに実装する(部品実装ステップ)。そして図11(c)に示すように、部品21を基板10の実装部位10bに実装した後の空の部品実装ツール19aを上昇させ(矢印u)、次いでバックアップステージ37A,37Bを下降させて(矢印v)、1つの実装部位10bを対象とした部品21の部品実装動作が完了し、これ以降他の実装部位10bを対象として同様の部品実装動作が反復して実行される。
【0060】
上記部品実装方法においては、第1の位置合わせステップを行う前に、部品認識ステップにおける認識結果に基づいて部品実装ツール19aを移動させることにより、部品21の少なくともZ方向の垂直軸廻りの回転位置が予め設定されている基準位置(X軸基準線(基板搬送方向(X方向)と平行な基準線))と一致するように、位置補正する(部品位
置補正ステップ)。
【0061】
そして部品実装装置としての仮圧着部3は、基板10の側縁部10aの実装部位10bをその裏面である裏面10c側から支持する昇降可能な下受け部30を備え、第1の基板認識ステップおよび第2の基板認識ステップにおいて、基板10の実装部位10bを下受け部30のバックアップステージ37A,37Bで支持してより高精度に位置認識し、第1の位置合わせステップおよび第2の位置合わせステップにおいて、側縁部10aの裏面10cから下受け部30のバックアップステージ37A,37Bを離隔させることで、実装高さHBにて位置認識された基板保持部3aに保持された基板10の実装部位10bを、その実装高さHBのままで位置補正するようにしている。
【0062】
このように、部品21の部品マーク認識、基板10の基板マーク認識や基板位置補正を、部品21が実際に基板10の実装部位10bに実装される実装高さで行うことにより、部品21を保持した部品実装ツール19aや基板10を保持した基板保持部3aが垂直移動することによって生じる水平方向の位置誤差を実装位置精度からより排除することができる。これにより、基板マーク認識と基板位置補正とを複数回反復することによる位置合わせ精度向上の効果と相俟って、より安定した位置合わせ精度を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の部品実装方法は、位置合わせ精度の経時的な変化を排除し、安定した位置合わせ精度を得るために適しているという特徴を有し、表示パネルなど基板の側縁部の実装部位に部品を実装する分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 パネル組立て装置
2 テープ貼付け部
3 仮圧着部
4 本圧着部
2a、3a、4a 基板保持部
10 基板
10a 側縁部
10b 実装部位
10c 裏面
14 ACFテープ
17 部品実装ユニット
19 実装ヘッド
19a 部品実装ツール
20A 第1カメラ
20B 第2カメラ
21 部品
30 下受け部
31 昇降駆動機構
34 断熱部材
35 加熱部
36 ヒータ
37A、37B バックアップステージ
40 高さ検出センサ
43A 第1部品マーク
43B 第2部品マーク
44A 第1基板マーク
44B 第2基板マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも垂直軸廻りの回転移動および上下移動が可能な部品実装ツールに保持された部品の部品マークを認識し、垂直軸廻りの回転移動および水平方向への平面移動が可能な基板保持部に保持された基板の側縁部の実装部位の基板マークを認識し、この認識結果に基づいて、前記基板の前記実装部位に前記部品を実装する部品実装位置にて部品を前記実装部位に実装する部品実装方法であって、
前記部品を保持した前記部品実装ツールが下降されて前記実装位置での実装高さに位置する前記部品を撮像して前記部品マークを認識する部品認識ステップと、
前記部品実装ツールに保持された前記部品を前記実装高さより上方に退避させる部品退避ステップと、
前記基板保持部に保持された前記基板の前記実装部位が前記実装位置での前記実装高さに移動されて、前記実装部位の前記基板マークを前記実装高さにて認識する第1の基板認識ステップと、
前記第1の基板認識ステップにおける認識結果に基づいて前記基板を保持した前記基板保持部を前記実装高さに維持したままで平面移動させることにより、前記部品認識ステップで位置認識された前記部品と当該実装部位とを位置合わせする第1の位置合わせステップと、
第1の位置合わせステップ後に前記第1の基板認識ステップにて位置認識された前記実装部位の前記基板マークを前記実装高さにて再度認識する第2の基板認識ステップと、
前記第2の基板認識ステップにおける認識結果に基づいて前記基板を保持した前記基板保持部を前記実装高さに維持したままで平面移動させることにより、前記部品と、前記第1の位置合わせステップにおける補正量よりも小さい補正量で当該実装部位とを位置合わせする第2の位置合わせステップと、
前記部品実装ツールを下降させて上方に退避している前記部品を当該実装部位に実装する部品実装ステップとを含むことを特徴とする部品実装方法。
【請求項2】
前記第1の位置合わせステップを行う前に、前記部品認識ステップにおける認識結果に基づいて前記部品実装ツールを移動させることにより、前記部品の少なくとも垂直軸廻りの回転位置が予め設定されている基準位置と一致するように位置補正する部品位置補正ステップを行うことを特徴とする請求項1記載の部品実装方法。
【請求項3】
前記部品実装装置は、前記側縁部の実装部位を裏面側から支持する昇降可能な下受け部を備え、
前記第1の基板認識ステップおよび第2の基板認識ステップにおいて、前記実装部位を前記下受け部で支持し、
前記第1の位置合わせステップおよび第2の位置合わせステップにおいて、前記側縁部の裏面から前記下受け部を離隔させることで、前記実装高さにて位置認識された前記基板保持部に保持された前記基板の前記実装部位を、その前記実装高さのままで位置補正することを特徴とする請求項1記載の部品実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−96955(P2011−96955A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251683(P2009−251683)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】