部品移載装置および部品移載方法
【課題】第1の保持体の保持面に保持された複数の部品を、第2の保持体に各部品ごとに対応して予め定めれた所定の移載位置に移載する処理時間の短縮を図れる技術を提供する。
【解決手段】ダイシングテープ6の保持面およびガラス基板8の部品実装面8aが対向して支持された状態で、ダイシングテープ6に保持された当該部品7がガラス基板8の部品実装面8aに押圧されることで、当該部品7がダイシングテープ6からガラス基板8の部品実装面8aに設けられた移載位置に移載されるため、ダイシングテープ6の保持面からの部品7の取り出しと、取り出された部品7のガラス基板8の部品実装面8aへの移載が同一工程で行われるので、処理時間の短縮を図ることができる。
【解決手段】ダイシングテープ6の保持面およびガラス基板8の部品実装面8aが対向して支持された状態で、ダイシングテープ6に保持された当該部品7がガラス基板8の部品実装面8aに押圧されることで、当該部品7がダイシングテープ6からガラス基板8の部品実装面8aに設けられた移載位置に移載されるため、ダイシングテープ6の保持面からの部品7の取り出しと、取り出された部品7のガラス基板8の部品実装面8aへの移載が同一工程で行われるので、処理時間の短縮を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の保持体の保持面に保持された複数の部品を、第2の保持体に各部品ごとに対応して予め定められた所定の移載位置に移載する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台紙に貼り付けられたウエハがダイシングされることによるICチップが、台紙からピックアップされてガラス基板にフリップチップ(反転)接合されることにより、ICチップが台紙からガラス基板に移載される装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の装置は、ウエハがダイシングされることによる複数のICチップが貼着された台紙が装着されるキャリアフレームと、キャリアフレームに装着された台紙(ダイシングされたウエハ)の下部からICチップを突き上げる突き上げ部材と、突き上げ部材により台紙から突き上げられたICチップを吸着によりピックアップする移載手段と、移載手段によりピックアップされたICチップを反転する反転手段と、反転手段による反転後にICチップを搭載テーブルに固定されたガラス基板に搭載する搭載手段とを備えている。
【0003】
この装置では、表面にバンプが設けられて台紙に貼着されたICチップを、突き上げ手段で下方から突き上げることによりピックアップして、ピックアップしたICチップをバンプがガラス基板の電極と対向するように反転することでICチップをガラス基板に移載することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−97489号公報(段落0010〜0020、図1〜図5など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の装置では、第1の保持体(台紙)に貼着されたウエハがダイシングされることによる部品(ICチップ)を、第1の保持体から第2の保持体(ガラス基板)に移載する際に、第1の保持体から部品を剥離してピックアップする工程と、ピックアップされた部品を、当該部品に対応して第2の保持体に予め定められた移載位置に位置合わせする工程と、位置合わせされた当該部品を第2の保持体の移載位置に搭載する工程の3つの工程を実行する必要があるが、処理時間の短縮を図るため、さらなる技術の改善が求められていた。
【0006】
この発明は上記した課題に鑑みてなされたものであり、第1の保持体の保持面に保持された複数の部品を、第2の保持体に各部品ごとに対応して予め定めれた所定の移載位置に移載する処理時間の短縮を図れる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明にかかる部品移載装置は、第1の保持体の保持面に保持された複数の部品を、第2の保持体に前記各部品ごとに対応して予め定めれた所定の移載位置に移載する部品移載装置において、前記第1、第2の保持体を対向した状態で支持する支持手段と、前記支持手段により前記第1、第2の保持体が支持された状態で、前記第1の保持体に保持された当該部品を、当該部品に対応する前記第2の保持体の前記移載位置に位置合わせする位置合わせ手段と、前記位置合わせ手段による位置合わせが完了した状態で、前記第1の保持体の保持面に保持された当該部品を前記第2の保持体に押圧して、当該部品を前記第1の保持体から前記第2の保持体の前記移載位置に移載する押圧手段とを備えることを特徴としている(請求項1)。
【0008】
また、前記複数の部品は前記第1の保持体の保持面に粘着剤により貼着されて保持されており、前記押圧手段は、当該部品を前記第2の保持体に押圧する際に、前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除する機能を有しているとよい(請求項2)。
【0009】
また、前記粘着剤は、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤からなり、前記押圧手段は、前記紫外線型粘着剤に紫外線を照射して当該部品の前記貼着状態を解除する紫外線照射部を有しているとよい(請求項3)。
【0010】
また、前記押圧手段は、当該部品を押圧する押圧体と、前記押圧体の当該部品を押圧する部分に設けられた収容穴と、前記収容穴に出没自在に設けられた突出ピンと、前記突出ピンを前記収容穴から突出する方向に付勢する付勢手段とを備え、前記付勢手段の付勢力により前記収容穴から突出した前記突出ピンで前記第1の保持体から当該部品を突き出すことにより、前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除してもよい(請求項4)。
【0011】
また、前記押圧手段は、当該部品を前記第2の保持体に押圧して接合してもよい(請求項5)。
【0012】
また、前記第1の保持体は、可撓性を有するシート状部材の表面に前記粘着剤が設けられることにより前記保持面が形成されてなるものであり、前記押圧手段は、当該部品を前記第2の保持体に押圧する際に、前記シート状部材の当該部品の周囲部分を前記シート状部材の裏面側から吸引して、前記周囲部分を前記第2の保持体から離間した状態に維持する吸引部を有しているとよい(請求項6)。
【0013】
また、本発明の部品移載方法は、第1の保持体の保持面に保持された複数の部品を、第2の保持体に前記各部品ごとに対応して予め定められた所定の移載位置に移載する部品移載方法において、前記第1、第2の保持体が対向して支持された状態で、前記第1の保持体に保持された当該部品を、当該部品に対応する前記第2の保持体の前記移載位置に位置合わせする位置合わせ工程と、前記位置合わせが完了した状態で、前記第1の保持体に保持された当該部品を前記第2の保持体に押圧して、当該部品を前記第1の保持体から前記第2の保持体の前記移載位置に移載する移載工程とを備えることを特徴としている(請求項7)。
【0014】
また、シート状部材の表面に粘着剤が設けられることで前記保持面が形成されてなる前記第1の保持体の前記保持面に、前記部品としてウエハがダイシングされることによる複数のチップが貼着されて保持されており、前記移載工程において、当該チップを、基板により形成された前記第2の保持体に押圧して接合すると同時に移載してもよい(請求項8)。
【0015】
また、前記粘着剤は、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤からなり、前記移載工程において、当該チップを前記第2の保持体に押圧する際に、当該チップが保持されている部分の前記紫外線型粘着剤に紫外線を照射して前記粘着性を喪失させることにより前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除してもよい(請求項9)。
【0016】
また、前記移載工程において、突出ピンにより前記第1の保持体から当該部品を突き出すことにより、前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除してもよい(請求項10)。
【発明の効果】
【0017】
請求項1,7に記載の発明によれば、第1の保持体の保持面に保持された複数の部品が、第2の保持体に各部品ごとに対応して予め定められた所定の移載位置に移載される際に、第1、第2の保持体が対向して支持された状態で、第1の保持体に保持された当該部品と、当該部品に対応する第2の保持体の移載位置とが位置合わせされ、第1の保持体に保持された当該部品が第2の保持体に押圧されて、当該部品が第1の保持体から第2の保持体の移載位置に移載されるため、第1の保持体の保持面からの部品の取り出しと、取り出された部品の第2の保持体への移載が同一工程で行われるので、処理時間の短縮を図ることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、複数の部品は第1の保持体の保持面に粘着剤により貼着されて保持されており、当該部品が押圧手段により第2の保持体に押圧される際に、粘着剤による当該部品の貼着状態が解除されるため、効率よく当該部品を第1の保持体から取り出して第2の保持体の移載位置に移載することができる。
【0019】
請求項3,9に記載の発明によれば、複数の部品が、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤により第1の保持体の保持面に貼着されて保持されている場合に、当該部品が第2の保持体に押圧される際に、当該部品が保持されている部分の紫外線型粘着剤に紫外線が照射されて粘着性が喪失することにより粘着剤による当該部品の貼着状態が解除されるため、効率よく当該部品を第1の保持体から取り出して第2の保持体の移載位置に移載することができる。
【0020】
請求項4,10に記載の発明によれば、複数の部品が第1の保持体の保持面に粘着剤により貼着されて保持されている場合に、当該部品が第2の保持体に押圧される際に、突出ピンにより第1の保持体から当該部品が突き出されることにより、粘着剤による当該部品の貼着状態が解除されるため、効率よく当該部品を第1の保持体から取り出して第2の保持体の移載位置に移載することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、第1の保持体の保持面に保持された複数の部品が、第2の保持体に各部品ごとに対応して予め定められた所定の移載位置に移載される際に、当該部品は押圧手段により第2の保持体に押圧されて接合されるため、非常に実用的である。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、第1の保持体は、可撓性を有するシート状部材の表面に粘着剤が設けられることにより保持面が形成されてなるものであり、当該部品が押圧手段により第2の保持体に押圧される際に、シート状部材の当該部品の周囲部分がシート状部材の裏面側から吸引部により吸引されて、移載される当該部品の周囲部分が第2の保持体から離間した状態に維持されるため、移載される当該部品の周囲の部品が第2の保持体に接触するおそれがなく、当該部品以外の部品が誤って第2の保持体に移載されるのを防止することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、シート状部材の表面に粘着剤が設けられることで保持面が形成された第1の保持体の保持面に、部品としてウエハがダイシングされることによる複数のチップが貼着されて保持されており、当該チップが、基板により形成された第2の保持体に押圧されて接合されると同時に移載されるため、非常に実用的である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の部品移載装置の第1実施形態を示す図である。
【図2】部品移載処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】部品移載処理の一例を示す図であって、ウエハ載置工程を示す図である。
【図4】部品移載処理の一例を示す図であって、ウエハ載置工程を示す図である。
【図5】部品移載処理の一例を示す図であって、基板載置工程を示す図である。
【図6】部品移載処理の一例を示す図であって、対向配置工程を示す図である。
【図7】部品移載処理の一例を示す図であって、移載部品認識工程を示す図である。
【図8】部品移載処理の一例を示す図であって、移載部品吸着工程を示す図である。
【図9】部品移載処理の一例を示す図であって、近接工程を示す図である。
【図10】部品移載処理の一例を示す図であって、位置合わせ工程を示す図である。
【図11】部品移載処理の一例を示す図であって、移載工程を示す図である。
【図12】部品移載処理の一例を示す図であって、部品移載処理が完了した状態を示す図である。
【図13】本発明の部品移載装置の第2実施形態を示す要部拡大図である。
【図14】部品移載処理の一例を示す図であって、移載部品認識工程を示す図である。
【図15】部品移載処理の一例を示す図であって、移載部品吸着工程を示す図である。
【図16】部品移載処理の一例を示す図であって、近接工程を示す図である。
【図17】部品移載処理の一例を示す図であって、位置合わせ工程を示す図である。
【図18】部品移載処理の一例を示す図であって、移載工程を示す図である。
【図19】部品移載処理の一例を示す図であって、移載部品に対する押圧が解除された直後の状態を示す図である。
【図20】部品移載処理の一例を示す図であって、部品移載処理が完了した状態を示す図である。
【図21】本発明の部品移載装置の第3実施形態における、部品移載処理の移載工程を示す図である。
【図22】図21の移載装置における、部品移載処理が完了した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態について図1〜図12を参照して説明する。図1は本発明の部品移載装置の第1実施形態を示す図である。図2は部品移載処理の一例を示すフローチャートである。図3〜図12は部品移載処理の一例を示す図であって、図3および図4はウエハ載置工程を示す図、図5は基板載置工程を示す図、図6は対向配置工程を示す図、図7は移載部品認識工程を示す図、図8は移載部品吸着工程を示す図、図9は近接工程を示す図、図10は位置合わせ工程を示す図、図11は移載工程を示す図、図12は部品移載処理が完了した状態を示す図である。
【0026】
(部品移載装置)
部品移載装置1は、ダイシングテープ6(第1の保持体)の保持面に保持されたICチップなどの複数の部品7を、ガラス基板8(第2の保持体)に各部品7ごとに対応して予め定められた所定の移載位置に移載する。
【0027】
この実施形態では、ダイシングテープ6は、ポリエチレンテレフタラート(PET)やポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィンなどの樹脂材料からなる可撓性を有するシート状部材の表面に、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤による粘着層が設けられることにより保持面が形成された一般的なものであり、保持面に貼着されたウエハがダイシングされることによる複数のICチップが部品7として保持面に保持される。また、図1に示すように、ダイシングテープ6は、その保持面の粘着層の周縁部分が、樹脂材料やステンレスなどにより平面視略リング状に形成された中空のダイシングフレーム6aの開口の周縁部分に貼着されて、ダイシングフレーム6aに保持される。
【0028】
また、ダイシングテープ6の保持面に保持された部品7の上面、すなわち、部品7のダイシングテープ6への貼着面と反対側の表面にはバンプ7aが設けられ、ガラス基板8の部品実装面8aに各部品7ごとに対応して予め定められた移載位置には部品7のバンプ7aと電気的に接続される電極(図示省略)が設けられている。そして、この実施形態では、部品7がダイシングテープ6からガラス基板8の部品実装面8aに移載される際に、部品7のバンプ7aとガラス基板8の移載位置に設けられた電極とが接合される。
【0029】
なお、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤としては、一般的に、紫外線の照射により粘着力が弱まるものや、紫外線の照射により微小球が膨脹することにより粘着力が弱まるもの、紫外線の照射により窒素ガスなどが発生することにより粘着力が弱まるものなどが知られており、上記したように形成されるダイシングテープ6は周知のものであるため、その構成および製造方法についての詳細な説明は省略する。また、この実施形態のガラス基板8は、液晶ディスプレイの液晶パネルなどを形成するものであり、ドライバICとして形成された部品7がガラス基板8の部品実装面8aに予め定められた所定の移載位置に移載(実装)される。
【0030】
図1に示すように、部品移載装置1は、ダイシングテープ6およびガラス基板8を対向した状態で支持する支持手段2と、支持手段2に支持されたダイシングテープ6およびガラス基板8を同図中の矢印Zの方向にほぼ直交する水平面内のXY方向に移動するXYテーブル3と、ダイシングテープ6の保持面に保持された部品7およびガラス基板8それぞれに設けられたアライメントマーク(図示省略)を認識することにより、部品7に設けられたバンプ7aおよびガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極(移載位置)の位置を認識する認識手段4と、ダイシングテープ6の保持面に保持された部品7を、ダイシングテープ6の裏面側から上方のガラス基板8に押圧するヘッド5とを備えている。
【0031】
支持手段2は、ガラス基板8を支持するアライメントテーブル23(本発明の「位置合わせ手段」に相当)を有する第1支持部21と、ダイシングテープ6を支持する第2支持部22とを備えている。第1支持部21および第2支持部22は回動軸24によりヒンジ状に連結されており、図1中の一点鎖線矢印で示すように第1支持部21は、ダイシングテープ6およびガラス基板8が対向する第1の位置(以下、第1の位置においてダイシングテープ6およびガラス基板8が対向する状態を「閉塞状態」と称する)と、ダイシングテープ6(第2支持部22)の上方が開放された同図中の点線で示す第2の位置(以下、第2の位置においてダイシングテープ6の上方が開放された状態を「開放状態」と称する)との間を回動する。
【0032】
また、第2支持部22には、閉塞状態における第1、第2支持部21,22を所定の間隔に固定するための支柱25が設けられており、閉塞状態において、第1支持部21はボルトやねじなどにより支柱25に固定される。また、第1支持部21およびアライメントテーブル23にはそれぞれ透明な石英ガラスなどにより形成される透過窓21a,23aが設けられ、第2支持部22には開口22aが形成されており、透過窓21a,23aおよび開口22aは上下方向(図1中の矢印Zの方向)において重なるように配置されている。
【0033】
また、アライメントテーブル23および第2支持部22は、それぞれ真空吸着機構(図示省略)を備えており、アライメントテーブル23は、ガラス基板8に各部品7の移載位置として形成された複数の電極が透過窓23aに配置されるようにガラス基板8の周縁部分を吸着支持し、第2支持部22はダイシングテープ6の保持面に保持された複数の部品7が開口22aに配置されるようにダイシングテープ6(ダイシングフレーム6a)の周縁部分を吸着支持する。
【0034】
また、第2支持部22の上面には、開口22aの端縁に沿って凸部22bが形成されており、ダイシングテープ6(ダイシングフレーム6a)が第2支持部22の上面に支持された際に、ダイシングテープ6の保持面の各部品7が保持された部分の周縁部分が凸部22bにより下方から上方に僅かに突き上げられた状態となる。したがって、ダイシングテープ6は、第2支持部22の上面に支持された状態で全方向に僅かに伸長された状態となるため、ウエハがダイシングされることによりダイシングテープ6の保持面に密着配置されている各部品7間に微小な隙間が生じるので、容易に各部品7を個別にガラス基板8の部品実装面8aに移載することができる。
【0035】
アライメントテーブル23は、図1中の矢印Z方向にほぼ直交するXY方向に移動可能に形成されると共に、矢印Z方向を回転中心とするθ方向に回転可能に形成されており、アライメントテーブル23が駆動されることで、アライメントテーブル23に支持されたガラス基板8のダイシングテープ6に対する相対的な位置が調整される。これにより、アライメントテーブル23は、閉塞状態において支持手段2によりダイシングテープ6およびガラス基板8が対向して支持された状態で、ダイシングテープ6に保持された部品7のバンプ7aと、各部品7それぞれに対応してガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極(移載位置)とを位置合わせする。なお、アライメントテーブル23は、サーボモータを有するボールナット機構やリニアモータなどのアクチュエータにより駆動される。
【0036】
XYテーブル3は、X軸31aを有するXテーブル31と、Y軸32aを有するYテーブル32とを備え、Yテーブル32は、Xテーブル31のX軸31a上に配設されている。したがって、Xテーブル31が駆動されることによりYテーブル32はX軸31a上をX方向に移動する。また、支持手段2の第2支持部22は、Yテーブル32のY軸32a上に配設されており、Yテーブル32が駆動されることにより支持手段2はY軸32a上をY方向に移動する。したがって、XYテーブル3が駆動されることにより、支持手段2に支持されたダイシングテープ6およびガラス基板8のXY方向における位置が調整される。
【0037】
なお、XYテーブル3は、サーボモータを有するボールナット機構やリニアモータなどのアクチュエータにより駆動される。また、Xテーブル31およびYテーブル32には開口31b,32bが形成されており、開口31b,32bは、透過窓21a,23aおよび開口22aと上下方向において重なるように配置されている。
【0038】
認識手段4は、支持手段2の下方に配置される第1のカメラ41と、支持手段2の上方に配置される第2のカメラ42とを備えており、第1、第2のカメラ41,42は、それぞれCCDカメラなどの撮像手段により形成される。また、第1、第2のカメラ41,42には、それぞれLEDなどにより形成される照明部41a,42aが設けられており、第1、第2のカメラ41,42は、部品7およびガラス基板8にそれぞれ設けられたアライメントマークを認識する際に、照明部41a,42aによる照明を行ってそれぞれのアライメントマークを認識する。
【0039】
また、第1のカメラ41は、支持手段2の下方から、ダイシングテープ6の保持面に保持された複数の部品7のうち、移載対象である部品7を認識するものであり、第1のカメラ41の認識結果に基づいてXYテーブル3が駆動されることにより、移載対象である部品7がヘッド5の上方に配置される。
【0040】
また、第2のカメラ42は、ダイシングテープ6およびガラス基板8が対向して支持された状態で、支持手段2の上方から、移載対象である部品7に設けられたアライメントマークと、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに予め定められた移載位置(電極)に対応して設けられたアライメントマークとを同時に認識するものであり、これにより、当該部品7に設けられたバンプ7aと当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極との相対的な位置(ずれ)が認識される。この第2のカメラ42の認識結果に基づいてアライメントテーブル23が駆動されることにより、ダイシングテープ6に保持された移載対象の部品7のバンプ7aと、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極(移載位置)とが位置合わせされる。
【0041】
ヘッド5(本発明の「押圧手段」、「押圧体」に相当)は、支持手段2の下方に設けられており、エアシリンダやリニアモータなどのアクチュエータにより上下方向(矢印Z方向)に移動可能に形成されている。そして、ヘッド5は、アライメントテーブル23により移載対象の部品7のバンプ7aと、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極との位置合わせが完了した状態で、ガラス基板8が配置された上方に駆動されて、先端に設けられた押圧面5aにより当該部品7をダイシングテープ6の裏面側から上方のガラス基板8の部品実装面8aに押圧して接合することで、当該部品7をダイシングテープ6からガラス基板8の部品実装面8aに予め定められた移載位置に移載する。
【0042】
また、ヘッド5の先端に凸状に設けられた押圧面5aは、ダイシングテープ6の保持面の移載対象の部品7の周囲に保持されている他の部品7をガラス基板8の部品実装面8aに押圧しないように、部品7の背面(ダイシングテープ6との貼着面)の面積とほぼ同じ面積か、一回り小さい面積に形成されている。
【0043】
また、ヘッド5の部品7を押圧する押圧面5aに吸着孔51aが設けられており、吸着孔51aに連通する吸引孔51bから図示省略された真空ポンプなどの吸引手段により吸引することにより、ヘッド5は、先端の押圧面5aにダイシングテープ6の裏面を吸着することができる。また、ヘッド5の先端部分には、吸着孔51aおよび吸引孔51bと連通する空間52が設けられており、空間52の内部には、プリズムやミラーなどにより形成される光路変換手段53が配設されている。そして、紫外線ランプ(図示省略)による紫外線がヘッド5の側方から空間52内に配設された光路変換手段53に投光されることにより、紫外線が光路変換手段53を介してダイシングテープ6の粘着層を形成する紫外線型粘着剤に照射される。
【0044】
したがって、ヘッド5の押圧面5aにより移載対象の部品7をガラス基板8の部品実装面8aに押圧する際に、ダイシングテープ6の当該部品7が保持されている部分の粘着層を形成する紫外線型粘着剤に紫外光が照射されることで、紫外線が照射された部分の粘着層の粘着性が喪失し、粘着層による当該部品7の貼着状態が解除される。以上のように、紫外線ランプ、光路変換手段53により本発明の「紫外線照射部」が形成されている。
【0045】
なお、この実施形態では、部品7に設けられたバンプ7aと、ガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極とは、紫外線照射部による紫外光を利用して、紫外線硬化型の導電性接着剤により接合されるが、ヘッド5にヒータなどの加熱手段を設けることにより、熱硬化型の導電性接着剤やはんだなどを用いて接合を行ってもよい。また、ヘッド5を共振器により形成することで、超音波振動を印加することにより、部品7に設けられたバンプ7aと、ガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極とを接合してもよい。
【0046】
また、単に加圧することにより、部品7に設けられたバンプ7aと、ガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極とを圧着接合してもよく、一般的に採用されるどのような接合方法を用いてバンプ7aと電極とを接合してもよい。また、バンプ7aと電極との接合は必ずしも行う必要はなく、ガラス基板8の表面に粘着層を設け、粘着層に部品7を貼着することにより部品7をダイシングテープ6からガラス基板8に移載したり、ガラス基板8の表面に部品7を移載すると同時にダイシングテープ6の保持面の粘着層による部品7の貼着状態を解除することにより部品7をダイシングテープ6からガラス基板8に移載してもよい。
【0047】
(部品移載処理)
次に、部品移載装置1において実行される、部品7をガラス基板8の所定の移載位置に移載する部品移載処理の一例について説明する。
【0048】
まず、支持手段2が開放状態とされ、ウエハ載置工程において、バンプ7aを有する複数の部品7を保持面に保持するダイシングテープ6が第2支持部22に供給されて吸着支持される(ステップS1、図3,4)。次に、基板載置工程において、各部品7ごとに対応して予め定められた移載位置に複数の電極が設けられたガラス基板8がアライメントテーブル23に供給されて吸着保持され(ステップS2、図5)、第1支持部21が、回動軸24を回動の中心として図6中の一点鎖線矢印の方向に第2の位置から第1の位置へ回動されることにより支持手段2が閉塞状態とされ、ダイシングテープ6とガラス基板8とが対向配置される(ステップS3、図6)。
【0049】
続いて、移載部品認識工程において、第1のカメラ41の照明部41aにより各部品7が照明されて、第1のカメラ41により移載対象の部品7(以下、「当該部品7」と称する)が認識される(ステップS4、図7)。そして、移載部品吸着工程において、移載部品認識工程における認識結果に基づいてXYテーブル3が駆動されて支持手段2の位置調整が行われることにより、当該部品7がヘッド5の押圧面5aの上方に配置され、ヘッド5が上方に駆動されると共に、吸引孔51bから吸引が行われることにより、当該部品7がダイシングテープ6の裏面側から押圧面5aに吸着される(ステップS5、図8)。
【0050】
次に、近接工程において、図9中の点線内の拡大図に示すように、ヘッド5がさらに上方に駆動されて、当該部品7のバンプ7aが形成された面と、ガラス基板8の部品実装面8aとの間隔Dが第2のカメラ42の焦点深度以内、例えば、50μm以下となるように、当該部品7およびガラス基板8が近接配置される(ステップS6)。続いて、位置合わせ工程において、第2のカメラ42の照明部42aにより当該部品7およびガラス基板8が照明されて、当該部品7に設けられたアライメントマークと、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに形成された電極に対応するアライメントマークとが、第2のカメラ42により同時に認識され、第2のカメラ42の認識結果に基づいてアライメントテーブル23が駆動されることにより、当該部品7のバンプ7aと、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに形成された電極との位置合わせが行われる(ステップS7、図10)。
【0051】
そして、移載工程において、図11中の点線内の拡大図に示すように、ヘッド5がさらに上方に駆動されることにより、当該部品7がガラス基板8の部品実装面8aの所定の移載位置に押圧面5aにより押圧されて、光路変換手段53に投光された紫外光Lが、ダイシングテープ6の保持面を形成する粘着層の当該部品7を保持する部分に照射される。したがって、ヘッド5の押圧面5aにより押圧される当該部品7が、ガラス基板8の部品実装面8aの所定の移載位置に接合されると共に、ダイシングテープ6の粘着層による当該部品7の貼着状態が解除される(ステップS8)。
【0052】
そして、図12中の点線内の拡大図に示すように、押圧面5aによダイシングテープ6の吸着状態を維持しつつヘッド5を下方に駆動することで、押圧面5aに吸着されたダイシングテープ6が下方に移動しガラス基板8の部品実装面に8aに接合された当該部品7がダイシングテープ6の保持面から剥離される。当該部品7とダイシングテープ6の保持面との剥離が完了すれば、押圧面5aによるダイシングテープ6の吸着状態を解除して、ヘッド5を支持手段2の下方に設定された待機位置に復帰移動することで処理が終了する。
【0053】
以上のように、この実施形態によれば、ダイシングテープ6の保持面に保持された複数の部品7が、ガラス基板8の部品実装面8aに各部品7ごとに対応して電極が設けられることにより予め定められた所定の移載位置に移載される際に、ダイシングテープ6の保持面およびガラス基板8の部品実装面8aが対向して支持された状態で、ダイシングテープ6に保持された移載対象の部品7と、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに設けられた移載位置とが位置合わせされ、ダイシングテープ6に保持された当該部品7がガラス基板8の部品実装面8aに押圧されて、当該部品7がダイシングテープ6からガラス基板8の部品実装面8aに設けられた移載位置に移載されるため、ダイシングテープ6の保持面からの部品7の取り出しと、取り出された部品7のガラス基板8の部品実装面8aへの移載が同一工程で行われることになり、処理時間の短縮を図ることができる。
【0054】
また、複数の部品7が、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤により形成された粘着層により、ダイシングテープ6の保持面に貼着されて保持されており、移載対象の部品7がガラス基板8の部品実装面8aに押圧される際に、当該部品7が保持されている部分の紫外線型粘着剤に紫外線が照射されて粘着性が喪失することにより粘着剤による当該部品7の貼着状態が解除されるため、効率よく当該部品7をダイシングテープ6の保持面から取り出してガラス基板8の部品実装面8aに設けられた移載位置に移載することができる。
【0055】
また、シート状部材の表面に粘着剤が設けられることで保持面が形成されたダイシングテープ6の保持面に、部品7としてウエハがダイシングされることによる複数のICチップが貼着されて保持されており、移載対象の部品7が、ガラス基板8の部品実装面8aに各部品7ごとに対応して予め定められた所定の移載位置に移載される際に、当該部品7は、ヘッド5の押圧面5aによりガラス基板8の部品実装面8aに押圧されて接合されると同時に移載されるため、非常に実用的である。
【0056】
また、ダイシングテープ6の保持面に貼着されたウエハが複数のICチップ(部品7)にダイシングされる際に、ウエハの切粉がダイシングテープ6上に残留している場合であっても、第2支持部22に支持されたダイシングテープ6はアライメントテーブル23に支持されたガラス基板8の下方に配置されているため、ダイシングテープ6上に残留するウエハの切粉がガラス基板8の部品実装面8aに落下して付着するのを防止することができる。
【0057】
また、従来の装置では、ダイシングテープ6の保持面に粘着保持されて表面にバンプ7aが設けられた複数の部品7をガラス基板8に移載する際に、個別にダイシングテープ6から取り出した部品7をフリップチップ(反転)手段により反転させてガラス基板8の部品実装面8aに搭載する必要があった。しかしながら、この実施形態では、支持手段2により、部品7のバンプ7a形成面と、ガラス基板8の部品実装面8aとが対向した状態で支持されており、ヘッド5により部品7を部品実装面8aに押圧することで、ダイシングテープ6からの部品7の取り出しと部品実装面8aへの部品7の移載がほぼ同時に行われる。したがって、ダイシングテープ6から取り出した部品7を反転させる必要がなくフリップチップ手段を必要としないため、装置コストの低減を図ることができる。また、ダイシングテープ6から取り出した部品7を反転させる工程が必要ないため、部品7をダイシングテープ6からガラス基板8に移載する処理時間の大幅な短縮を図ることができる。
【0058】
<第2実施形態>
この発明の第2実施形態について図13〜図20を参照して説明する。図13は本発明の部品移載装置の第2実施形態を示す要部拡大図である。図14〜図20は部品移載処理の一例を示す図であって、図14は移載部品認識工程を示す図であり、図15は移載部品吸着工程を示す図であり、図16は近接工程を示す図であり、図17は位置合わせ工程を示す図であり、図18は移載工程を示す図であり、図19は移載部品に対する押圧が解除された直後の状態を示す図であり、図20は部品移載処理が完了した状態を示す図である。
【0059】
この実施形態が上記した第1実施形態と異なる点は、図13に示すように、ヘッド105(本発明の「押圧手段、押圧体」に相当)の構成が異なる点である。その他の構成および動作は上記した第1実施形態と同様であるため、同一符号を引用することにより、その構成および動作の説明は省略する。
【0060】
図13に示すように、ヘッド105の先端には、部品7をガラス基板8の部品実装面8aに押圧する凸状の押圧面105aが設けられている。そして、押圧面105aの略中央部分には収容穴154が形成されており、収容穴154には、収容穴154から出没自在に設けられた突出ピン155と、突出ピン155を収容穴154から突出する方向に付勢するコイルばねやエアシリンダ、油圧シリンダなどにより形成される付勢手段156とが設けられており、突出ピン155は、付勢手段156の付勢力により先端が収容穴154から突出した状態で該収容穴154に収容される。
【0061】
したがって、ヘッド105の押圧面105aにより、移載対象の部品7がダイシングテープ6の裏面側からガラス基板8の部品実装面8aに押圧される際に、付勢手段156の付勢力により収容穴154から突出した突出ピン155の先端で移載対象の部品7がダイシングテープ6の裏面側から上方に突き出されるため、粘着剤による当該部品7の貼着状態が解除される。
【0062】
また、ヘッド105の先端部分の後端には凹曲面157aが形成され、ヘッド105の基部先端には凸曲面157bが形成されており、凹曲面157aおよび凸曲面157bが摺接可能にヘッド105の先端部分がヘッド105の基部に取着されることにより倣い機構157が形成されている。したがって、凹曲面157aと凸曲面157bとが摺接することによる倣い機構157により、例えば、ガラス基板8の部品実装面8aの傾斜に応じて押圧面105aの傾斜を調整することができる。また、突出ピン155には吸着孔151aが形成されており、吸着孔151aに連通する吸引孔151bから真空ポンプなどにより形成される吸引手段による吸引を行うことにより、押圧面105aにダイシングテープ6の裏面を吸着することができる。
【0063】
また、ヘッド105の先端に凸状に設けられた押圧面105a周囲のフランジ部105bには、吸着孔158aが形成されており、吸着孔158aに連通する吸引孔158bから吸引手段による吸引を行うことにより、ダイシングテープ6裏面の吸着孔151aにより吸着される部分の周囲部分が吸引される。すなわち、ヘッド105の押圧面105aにより、移載対象の部品7がダイシングテープ6の裏面側からガラス基板8の部品実装面8aに押圧される際に、吸着孔158aに連通する吸引孔158bから吸引手段による吸引が行われると、当該部品7の周囲部分がダイシングテープ6裏面側から吸引されて吸着孔158aに吸着されるため、ダイシングテープ6の当該部品7の周囲部分がガラス基板8の部品実装面8aから離間した状態に維持される。以上のように、吸引手段(図示省略)、吸着孔158a、吸引孔158bにより本発明の「吸引部」が構成されている。
【0064】
なお、この実施形態では、ダイシングテープ6の保持面を形成する粘着剤は、紫外線型の粘着剤でなくともよく、一般的な感圧タイプの粘着剤を用いてダイシングテープ6の保持面を形成してもよい。
【0065】
次に、この実施形態において実行される、部品7をガラス基板8の所定の移載位置に移載する部品移載処理について、上記した第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0066】
まず、ウエハ載置工程(ステップS1)〜対向配置工程(ステップS3)が実行された後、上記した第1実施形態と同様に、移載部品認識工程において、第1のカメラ41の照明部41aにより各部品7が照明されて、第1のカメラ41により移載対象の部品7(以下、「当該部品7」と称する)が認識される(ステップS4、図13)。そして、移載部品吸着工程において、移載部品認識工程における認識結果に基づいてXYテーブル3が駆動されて支持手段2の位置調整が行われることにより、当該部品7がヘッド105の押圧面105aの上方に配置され、ヘッド105が上方に駆動されると共に、吸引孔151bから吸引が行われることにより、当該部品7がダイシングテープ6の裏面側から突出ピン155の先端に吸着される(ステップS5、図15)。
【0067】
次に、近接工程において、図16中の点線内の拡大図に示すように、ヘッド105がさらに上方に駆動されて、当該部品7のバンプ7aが形成された面と、ガラス基板8の部品実装面8aとの間隔Dが第2のカメラ42の焦点深度以内、例えば、50μm以下となるように、当該部品7およびガラス基板8が近接配置されると共に、吸引孔158bから吸引が行われることにより当該部品7の周囲部分がダイシングテープ6の裏面側から吸引されて吸着孔158aに吸着される。このとき、突出ピン155の先端により、当該部品7がダイシングテープ裏面側から上方に突き出されて、粘着剤による当該部品7の貼着状態が部分的に解除される(ステップS6)。
【0068】
続いて、位置合わせ工程において、第2のカメラ42の照明部42aにより当該部品7およびガラス基板8が照明されて、当該部品7に設けられたアライメントマークと、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに形成された電極に対応するアライメントマークとが、第2のカメラ42により同時に認識され、第2のカメラ42の認識結果に基づいてアライメントテーブル23が駆動されることにより、当該部品7のバンプ7aと、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに形成された電極との位置合わせが行われる(ステップS7、図17)。
【0069】
次に、移載工程において、図18中の点線内の拡大図に示すように、ヘッド105がさらに上方に駆動されることにより、突出ピン155が付勢手段156の付勢力に抗しつつ移動して全体が収容穴154に収容され、当該部品7がガラス基板8の部品実装面8aの所定の移載位置に押圧面105aにより押圧される。そして、この実施形態では、ヘッド105に設けられた図示省略されたヒータにより加熱されることで、ヘッド105の押圧面105aにより押圧される当該部品7が、ガラス基板8の部品実装面8aの所定の移載位置に熱硬化性導電性接着剤により接合される(ステップS8)。
【0070】
続いて、図19中の点線内の拡大図に示すように、吸着孔151a,158aによるダイシングテープ6の吸着状態を維持しつつヘッド105を下方に駆動することで、収容穴154に収容された突出ピン155が再突出して当該部品7をダイシングテープ6の裏面側から突出すことにより、粘着剤による当該部品7の貼着状態がさらに解除されると共に、吸着孔151a,158aに吸着されたダイシングテープ6が下方に移動し、ガラス基板8の部品実装面8aに接合された当該部品7がダイシングテープ6の保持面から剥離される。当該部品7とダイシングテープ6の保持面との剥離が完了すれば、吸着孔151a,158aによるダイシングテープ6の吸着状態を解除して、ヘッド105を支持手段2の下方に設定された待機位置に復帰移動することで処理が終了する。
【0071】
以上のように、この実施形態では、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができると共に、以下の効果を奏することができる。すなわち、ダイシングテープ6は、可撓性を有するシート状部材の表面に粘着剤が設けられることにより保持面が形成されてなるものであり、移載対象の部品7がヘッド105によりガラス基板8の部品実装面8aに押圧される際に、ダイシングテープ6の当該部品7の周囲部分がダイシングテープ6の裏面側から吸着孔158aにより吸引されて、当該部品7の周囲部分が、ガラス基板8の部品実装面8aから離間した状態に維持されるため、当該部品7の周囲の部品7がガラス基板8に接触するおそれがなく、当該部品7以外の部品7が誤ってガラス基板8の部品実装面8aに移載されるのを防止することができる。
【0072】
また、ダイシングテープ6の保持面に粘着剤により貼着されて保持された当該部品7が、ガラス基板8の部品実装面8a押圧される際に、突出ピン155によりダイシングテープ6から当該部品7が突き出されることにより、粘着剤による当該部品7の貼着状態が解除されるため、効率よく当該部品7をダイシングテープ6の保持面から取り出してガラス基板8の部品実装面8aに移載することができる。
【0073】
<第3実施形態>
この発明の第3実施形態について図21および図22を参照して説明する。図21は本発明の部品移載装置の第3実施形態における、部品移載処理の移載工程を示す図である。図22は図21の移載装置における、部品移載処理が完了した状態を示す図である。
【0074】
この実施形態が上記した第1および第2実施形態と異なる点は、図21に示すように、アライメントテーブル23が第2支持部22に設けられており、第1支持部21にダイシングテープ6が支持され、アライメントテーブル23に基板8が支持されている点である。また、上記した第1および第2実施形態と異なり、第1支持部21には開口221aが形成されており、第2支持部22には透明な石英ガラスなどにより透過窓222aが設けられている。また、ヘッド205の先端の押圧面205aには上記した実施形態と同様に、吸着孔251aが形成されており、吸着孔251aに連通する吸引孔251bから吸引を行うことで、押圧面205aにダイシングテープ6の裏面を吸着することができる。
【0075】
また、ヘッド205(本発明の「押圧手段」、「押圧体」に相当)には、上記した第2実施形態と同様に、凹凸面が摺接することによる倣い機構257が設けられている。また、この実施形態では、ヘッド205および第1のカメラ41は支持手段2の上方に配置され、第2のカメラ42は支持手段2の下方に配置される。その他の構成および動作は上記した第1実施形態と同様であるため、同一符号を引用することにより、その構成および動作の説明は省略する。
【0076】
このように構成された部品移載装置1においても、上記した実施形態と同様に部品移載処理が実行される。
【0077】
すなわち、上記した実施形態と同様に、ウエハ載置工程(ステップS1)〜位置合わせ工程(ステップS7)が実行された後、移載工程において、図21中の点線内の拡大図に示すように、ヘッド205がさらに下方に駆動されることにより、当該部品7がガラス基板8の部品実装面8aの所定の移載位置に押圧面205aにより押圧されて、ヘッド205に設けられた図示省略されたヒータにより加熱されることで、ヘッド205の押圧面205aにより押圧される当該部品7が、ガラス基板8の部品実装面8aの所定の移載位置に熱硬化性導電性接着剤により接合される(ステップS8)。
【0078】
そして、図22中の点線内の拡大図に示すように、押圧面205aへのダイシングテープ6の吸着状態を維持しつつヘッド205を上方に駆動することで、押圧面205aに吸着されたダイシングテープ6が上方に移動しガラス基板8の部品実装面に8aに接合された当該部品7がダイシングテープ6の保持面から剥離される。当該部品7とダイシングテープ6の保持面との剥離が完了すれば、押圧面205a(吸着孔251a)によるダイシングテープ6の吸着状態を解除して、ヘッド205を支持手段2の上方に設定された待機位置に復帰移動することで処理が終了する。
【0079】
以上のように、この実施形態では、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0080】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限
りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能であり、上記実施形態における各構成を発明の趣旨を逸脱しない限りにおいてどのように組合わせてもよく、XYテーブル3やアライメントテーブル23などの位置調整機構や、突出ピン155および紫外線照射部などによる、粘着剤による部品7のダイシングテープ6の保持面への貼着状態を解除する機能などを、どのように組合わせてもよい。
【0081】
また、第1の保持体(ダイシングテープ6)から第2の保持体(ガラス基板8)に移載される部品7の個数は1つに限られるものではなく、2つ以上の部品を同時に移載するように構成してもよい。
【0082】
また、上記した実施形態では、ガラス基板8の部品実装面8aには電極が設けられており、部品7をガラス基板8の部品実装面8aに移載する際に、部品7に設けられたバンプ7aと部品実装面8aの電極とを電気的に接合する例を挙げて部品移載処理を説明したが、電極が設けられていないガラス基板8の部品実装面8aに粘着剤による粘着層を設け、部品移載処理において、バンプ7aを有する部品7を部品実装面8aの粘着層に、フェイスアップやフェイスダウンで移載することもできる。すなわち、部品移載処理は、第1の保持体に保持された部品と、ガラス基板8などの第2の保持体との電気的な接続を目的とするものでなくともよく、部品移載処理において、第1の保持体に保持された部品を、単に、第2の保持体に載置するだけでもよいし、絶縁性の接着剤や粘着剤などにより部品を第2の保持体の被移載面に貼着したり、加熱や超音波振動により接合したりするだけでもよい。
【0083】
また、第1の保持体および第2の保持体は上記した例に限られるものではなく、複数の部品が配設されるチップトレイを第1の保持体として採用したり、ウエハ、有機材料からなるリジッド基板やフレキシブル基板、セラミック基板などを第2の保持体として採用してもよい。チップトレイを第1の保持体と採用する場合には、押圧手段により部品7をチップトレイの裏面側から第2の保持体に押圧するための穴を、チップトレイの各部品が載置される収容部の底面に設けるとよい。また、移載対象である部品は、必ずしも電気的な機能を有する電子部品である必要はなく、目的に応じて、第1、第2の保持体および部品を選択することで、第1の保持体に保持された種々の部品を第2の保持体に移載することができる。
【0084】
また、上記した実施形態では、第1のカメラ41で移載対象の部品7を認識したが、第1のカメラ41を設けずに、第2のカメラ42により移載対象の部品7を認識してもよい。また、第1のカメラ41を設けずに、第1の保持体(ダイシングテープ6)に保持された部品7の、不良品の位置情報も含むマップデータを予め取得しておき、当該マップデータに基づいて移載対象の部品7がヘッド5の上方に配置されるように制御してもよい。
【0085】
また、上記した実施形態では、透過窓21a,23a,222aを透明な石英ガラスにより形成したが、透過窓21a,23a,222aを設ける換わりに、開口22a,221aと同様の開口を形成してもよい。また、開口は、部品7およびガラス基板8に設けられたアライメントマークを認識可能に、該アライメントマークに相当する位置にのみ部分的に穴を形成するだけでもよい。
【0086】
また、上記した実施形態では、可視光領域に感度を有する第1、第2のカメラ41,42を用いて部品7およびガラス基板8のアライメントマークの認識を行ったが、第1、第2の保持体および部品が赤外線を透過する部材、例えばGaAsやSiなどの半導体により形成されている場合には、赤外線カメラを用いて、部品および第2の保持体に設けられたアライメントマークを認識してもよい。
【0087】
また、倣い機構などを設けることにより、第2の保持体を支持するアライメントテーブル23の傾きを調整できるようにしてもよい。
【0088】
さらに、上記した実施形態では、第1、第2の保持体を上下方向(図1に示す矢印Z方向)に配置したが、第1、第2の保持体の配置方向としてはこれに限定されず、上下方向にほぼ直交する左右方向に配置してもよい。
【0089】
また、支持手段2の構成は、上記した第1、第2の支持部21,22がヒンジ状に連結された例に限られるものではなく、第1、第2の保持体を対向した状態で支持することができればどのように構成してもよい。例えば、第1の保持体を支持する第1の支持部および第2の保持体を支持する第2の支持部の少なくと一方をスライド可能に構成することにより、第1、第2の保持体が対向する状態と、第1、第2の保持体が対向しない状態とに切換え可能に支持手段2を構成してもよい。また、第1の保持体を支持する第1の支持部および第2の保持体を支持する第2の支持部を個別に設け、単に、第1、第2の保持体を重ね合わせてねじやボルトにより締結することで第1、第2の保持体が対向するように支持手段2を構成してもよい。
【0090】
そして、第1の保持体の保持面に保持された複数の部品を、第2の保持体に各部品ごとに対応して予め定めれた所定の移載位置に移載する部品移載装置に本発明を広く適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1…部品移載装置
2…支持手段
23…アライメントテーブル(位置合わせ手段)
5,105,205…ヘッド(押圧手段、押圧体)
53…光路変換手段(紫外線照射部)
6…ダイシングテープ(第1の保持体)
7…部品
8…ガラス基板(第2の保持体)
154…収容穴
155…突出ピン
156…付勢手段
158a…吸着孔(吸引部)
158b…吸引孔(吸引部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の保持体の保持面に保持された複数の部品を、第2の保持体に各部品ごとに対応して予め定められた所定の移載位置に移載する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台紙に貼り付けられたウエハがダイシングされることによるICチップが、台紙からピックアップされてガラス基板にフリップチップ(反転)接合されることにより、ICチップが台紙からガラス基板に移載される装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の装置は、ウエハがダイシングされることによる複数のICチップが貼着された台紙が装着されるキャリアフレームと、キャリアフレームに装着された台紙(ダイシングされたウエハ)の下部からICチップを突き上げる突き上げ部材と、突き上げ部材により台紙から突き上げられたICチップを吸着によりピックアップする移載手段と、移載手段によりピックアップされたICチップを反転する反転手段と、反転手段による反転後にICチップを搭載テーブルに固定されたガラス基板に搭載する搭載手段とを備えている。
【0003】
この装置では、表面にバンプが設けられて台紙に貼着されたICチップを、突き上げ手段で下方から突き上げることによりピックアップして、ピックアップしたICチップをバンプがガラス基板の電極と対向するように反転することでICチップをガラス基板に移載することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−97489号公報(段落0010〜0020、図1〜図5など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の装置では、第1の保持体(台紙)に貼着されたウエハがダイシングされることによる部品(ICチップ)を、第1の保持体から第2の保持体(ガラス基板)に移載する際に、第1の保持体から部品を剥離してピックアップする工程と、ピックアップされた部品を、当該部品に対応して第2の保持体に予め定められた移載位置に位置合わせする工程と、位置合わせされた当該部品を第2の保持体の移載位置に搭載する工程の3つの工程を実行する必要があるが、処理時間の短縮を図るため、さらなる技術の改善が求められていた。
【0006】
この発明は上記した課題に鑑みてなされたものであり、第1の保持体の保持面に保持された複数の部品を、第2の保持体に各部品ごとに対応して予め定めれた所定の移載位置に移載する処理時間の短縮を図れる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明にかかる部品移載装置は、第1の保持体の保持面に保持された複数の部品を、第2の保持体に前記各部品ごとに対応して予め定めれた所定の移載位置に移載する部品移載装置において、前記第1、第2の保持体を対向した状態で支持する支持手段と、前記支持手段により前記第1、第2の保持体が支持された状態で、前記第1の保持体に保持された当該部品を、当該部品に対応する前記第2の保持体の前記移載位置に位置合わせする位置合わせ手段と、前記位置合わせ手段による位置合わせが完了した状態で、前記第1の保持体の保持面に保持された当該部品を前記第2の保持体に押圧して、当該部品を前記第1の保持体から前記第2の保持体の前記移載位置に移載する押圧手段とを備えることを特徴としている(請求項1)。
【0008】
また、前記複数の部品は前記第1の保持体の保持面に粘着剤により貼着されて保持されており、前記押圧手段は、当該部品を前記第2の保持体に押圧する際に、前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除する機能を有しているとよい(請求項2)。
【0009】
また、前記粘着剤は、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤からなり、前記押圧手段は、前記紫外線型粘着剤に紫外線を照射して当該部品の前記貼着状態を解除する紫外線照射部を有しているとよい(請求項3)。
【0010】
また、前記押圧手段は、当該部品を押圧する押圧体と、前記押圧体の当該部品を押圧する部分に設けられた収容穴と、前記収容穴に出没自在に設けられた突出ピンと、前記突出ピンを前記収容穴から突出する方向に付勢する付勢手段とを備え、前記付勢手段の付勢力により前記収容穴から突出した前記突出ピンで前記第1の保持体から当該部品を突き出すことにより、前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除してもよい(請求項4)。
【0011】
また、前記押圧手段は、当該部品を前記第2の保持体に押圧して接合してもよい(請求項5)。
【0012】
また、前記第1の保持体は、可撓性を有するシート状部材の表面に前記粘着剤が設けられることにより前記保持面が形成されてなるものであり、前記押圧手段は、当該部品を前記第2の保持体に押圧する際に、前記シート状部材の当該部品の周囲部分を前記シート状部材の裏面側から吸引して、前記周囲部分を前記第2の保持体から離間した状態に維持する吸引部を有しているとよい(請求項6)。
【0013】
また、本発明の部品移載方法は、第1の保持体の保持面に保持された複数の部品を、第2の保持体に前記各部品ごとに対応して予め定められた所定の移載位置に移載する部品移載方法において、前記第1、第2の保持体が対向して支持された状態で、前記第1の保持体に保持された当該部品を、当該部品に対応する前記第2の保持体の前記移載位置に位置合わせする位置合わせ工程と、前記位置合わせが完了した状態で、前記第1の保持体に保持された当該部品を前記第2の保持体に押圧して、当該部品を前記第1の保持体から前記第2の保持体の前記移載位置に移載する移載工程とを備えることを特徴としている(請求項7)。
【0014】
また、シート状部材の表面に粘着剤が設けられることで前記保持面が形成されてなる前記第1の保持体の前記保持面に、前記部品としてウエハがダイシングされることによる複数のチップが貼着されて保持されており、前記移載工程において、当該チップを、基板により形成された前記第2の保持体に押圧して接合すると同時に移載してもよい(請求項8)。
【0015】
また、前記粘着剤は、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤からなり、前記移載工程において、当該チップを前記第2の保持体に押圧する際に、当該チップが保持されている部分の前記紫外線型粘着剤に紫外線を照射して前記粘着性を喪失させることにより前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除してもよい(請求項9)。
【0016】
また、前記移載工程において、突出ピンにより前記第1の保持体から当該部品を突き出すことにより、前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除してもよい(請求項10)。
【発明の効果】
【0017】
請求項1,7に記載の発明によれば、第1の保持体の保持面に保持された複数の部品が、第2の保持体に各部品ごとに対応して予め定められた所定の移載位置に移載される際に、第1、第2の保持体が対向して支持された状態で、第1の保持体に保持された当該部品と、当該部品に対応する第2の保持体の移載位置とが位置合わせされ、第1の保持体に保持された当該部品が第2の保持体に押圧されて、当該部品が第1の保持体から第2の保持体の移載位置に移載されるため、第1の保持体の保持面からの部品の取り出しと、取り出された部品の第2の保持体への移載が同一工程で行われるので、処理時間の短縮を図ることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、複数の部品は第1の保持体の保持面に粘着剤により貼着されて保持されており、当該部品が押圧手段により第2の保持体に押圧される際に、粘着剤による当該部品の貼着状態が解除されるため、効率よく当該部品を第1の保持体から取り出して第2の保持体の移載位置に移載することができる。
【0019】
請求項3,9に記載の発明によれば、複数の部品が、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤により第1の保持体の保持面に貼着されて保持されている場合に、当該部品が第2の保持体に押圧される際に、当該部品が保持されている部分の紫外線型粘着剤に紫外線が照射されて粘着性が喪失することにより粘着剤による当該部品の貼着状態が解除されるため、効率よく当該部品を第1の保持体から取り出して第2の保持体の移載位置に移載することができる。
【0020】
請求項4,10に記載の発明によれば、複数の部品が第1の保持体の保持面に粘着剤により貼着されて保持されている場合に、当該部品が第2の保持体に押圧される際に、突出ピンにより第1の保持体から当該部品が突き出されることにより、粘着剤による当該部品の貼着状態が解除されるため、効率よく当該部品を第1の保持体から取り出して第2の保持体の移載位置に移載することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、第1の保持体の保持面に保持された複数の部品が、第2の保持体に各部品ごとに対応して予め定められた所定の移載位置に移載される際に、当該部品は押圧手段により第2の保持体に押圧されて接合されるため、非常に実用的である。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、第1の保持体は、可撓性を有するシート状部材の表面に粘着剤が設けられることにより保持面が形成されてなるものであり、当該部品が押圧手段により第2の保持体に押圧される際に、シート状部材の当該部品の周囲部分がシート状部材の裏面側から吸引部により吸引されて、移載される当該部品の周囲部分が第2の保持体から離間した状態に維持されるため、移載される当該部品の周囲の部品が第2の保持体に接触するおそれがなく、当該部品以外の部品が誤って第2の保持体に移載されるのを防止することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、シート状部材の表面に粘着剤が設けられることで保持面が形成された第1の保持体の保持面に、部品としてウエハがダイシングされることによる複数のチップが貼着されて保持されており、当該チップが、基板により形成された第2の保持体に押圧されて接合されると同時に移載されるため、非常に実用的である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の部品移載装置の第1実施形態を示す図である。
【図2】部品移載処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】部品移載処理の一例を示す図であって、ウエハ載置工程を示す図である。
【図4】部品移載処理の一例を示す図であって、ウエハ載置工程を示す図である。
【図5】部品移載処理の一例を示す図であって、基板載置工程を示す図である。
【図6】部品移載処理の一例を示す図であって、対向配置工程を示す図である。
【図7】部品移載処理の一例を示す図であって、移載部品認識工程を示す図である。
【図8】部品移載処理の一例を示す図であって、移載部品吸着工程を示す図である。
【図9】部品移載処理の一例を示す図であって、近接工程を示す図である。
【図10】部品移載処理の一例を示す図であって、位置合わせ工程を示す図である。
【図11】部品移載処理の一例を示す図であって、移載工程を示す図である。
【図12】部品移載処理の一例を示す図であって、部品移載処理が完了した状態を示す図である。
【図13】本発明の部品移載装置の第2実施形態を示す要部拡大図である。
【図14】部品移載処理の一例を示す図であって、移載部品認識工程を示す図である。
【図15】部品移載処理の一例を示す図であって、移載部品吸着工程を示す図である。
【図16】部品移載処理の一例を示す図であって、近接工程を示す図である。
【図17】部品移載処理の一例を示す図であって、位置合わせ工程を示す図である。
【図18】部品移載処理の一例を示す図であって、移載工程を示す図である。
【図19】部品移載処理の一例を示す図であって、移載部品に対する押圧が解除された直後の状態を示す図である。
【図20】部品移載処理の一例を示す図であって、部品移載処理が完了した状態を示す図である。
【図21】本発明の部品移載装置の第3実施形態における、部品移載処理の移載工程を示す図である。
【図22】図21の移載装置における、部品移載処理が完了した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態について図1〜図12を参照して説明する。図1は本発明の部品移載装置の第1実施形態を示す図である。図2は部品移載処理の一例を示すフローチャートである。図3〜図12は部品移載処理の一例を示す図であって、図3および図4はウエハ載置工程を示す図、図5は基板載置工程を示す図、図6は対向配置工程を示す図、図7は移載部品認識工程を示す図、図8は移載部品吸着工程を示す図、図9は近接工程を示す図、図10は位置合わせ工程を示す図、図11は移載工程を示す図、図12は部品移載処理が完了した状態を示す図である。
【0026】
(部品移載装置)
部品移載装置1は、ダイシングテープ6(第1の保持体)の保持面に保持されたICチップなどの複数の部品7を、ガラス基板8(第2の保持体)に各部品7ごとに対応して予め定められた所定の移載位置に移載する。
【0027】
この実施形態では、ダイシングテープ6は、ポリエチレンテレフタラート(PET)やポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィンなどの樹脂材料からなる可撓性を有するシート状部材の表面に、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤による粘着層が設けられることにより保持面が形成された一般的なものであり、保持面に貼着されたウエハがダイシングされることによる複数のICチップが部品7として保持面に保持される。また、図1に示すように、ダイシングテープ6は、その保持面の粘着層の周縁部分が、樹脂材料やステンレスなどにより平面視略リング状に形成された中空のダイシングフレーム6aの開口の周縁部分に貼着されて、ダイシングフレーム6aに保持される。
【0028】
また、ダイシングテープ6の保持面に保持された部品7の上面、すなわち、部品7のダイシングテープ6への貼着面と反対側の表面にはバンプ7aが設けられ、ガラス基板8の部品実装面8aに各部品7ごとに対応して予め定められた移載位置には部品7のバンプ7aと電気的に接続される電極(図示省略)が設けられている。そして、この実施形態では、部品7がダイシングテープ6からガラス基板8の部品実装面8aに移載される際に、部品7のバンプ7aとガラス基板8の移載位置に設けられた電極とが接合される。
【0029】
なお、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤としては、一般的に、紫外線の照射により粘着力が弱まるものや、紫外線の照射により微小球が膨脹することにより粘着力が弱まるもの、紫外線の照射により窒素ガスなどが発生することにより粘着力が弱まるものなどが知られており、上記したように形成されるダイシングテープ6は周知のものであるため、その構成および製造方法についての詳細な説明は省略する。また、この実施形態のガラス基板8は、液晶ディスプレイの液晶パネルなどを形成するものであり、ドライバICとして形成された部品7がガラス基板8の部品実装面8aに予め定められた所定の移載位置に移載(実装)される。
【0030】
図1に示すように、部品移載装置1は、ダイシングテープ6およびガラス基板8を対向した状態で支持する支持手段2と、支持手段2に支持されたダイシングテープ6およびガラス基板8を同図中の矢印Zの方向にほぼ直交する水平面内のXY方向に移動するXYテーブル3と、ダイシングテープ6の保持面に保持された部品7およびガラス基板8それぞれに設けられたアライメントマーク(図示省略)を認識することにより、部品7に設けられたバンプ7aおよびガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極(移載位置)の位置を認識する認識手段4と、ダイシングテープ6の保持面に保持された部品7を、ダイシングテープ6の裏面側から上方のガラス基板8に押圧するヘッド5とを備えている。
【0031】
支持手段2は、ガラス基板8を支持するアライメントテーブル23(本発明の「位置合わせ手段」に相当)を有する第1支持部21と、ダイシングテープ6を支持する第2支持部22とを備えている。第1支持部21および第2支持部22は回動軸24によりヒンジ状に連結されており、図1中の一点鎖線矢印で示すように第1支持部21は、ダイシングテープ6およびガラス基板8が対向する第1の位置(以下、第1の位置においてダイシングテープ6およびガラス基板8が対向する状態を「閉塞状態」と称する)と、ダイシングテープ6(第2支持部22)の上方が開放された同図中の点線で示す第2の位置(以下、第2の位置においてダイシングテープ6の上方が開放された状態を「開放状態」と称する)との間を回動する。
【0032】
また、第2支持部22には、閉塞状態における第1、第2支持部21,22を所定の間隔に固定するための支柱25が設けられており、閉塞状態において、第1支持部21はボルトやねじなどにより支柱25に固定される。また、第1支持部21およびアライメントテーブル23にはそれぞれ透明な石英ガラスなどにより形成される透過窓21a,23aが設けられ、第2支持部22には開口22aが形成されており、透過窓21a,23aおよび開口22aは上下方向(図1中の矢印Zの方向)において重なるように配置されている。
【0033】
また、アライメントテーブル23および第2支持部22は、それぞれ真空吸着機構(図示省略)を備えており、アライメントテーブル23は、ガラス基板8に各部品7の移載位置として形成された複数の電極が透過窓23aに配置されるようにガラス基板8の周縁部分を吸着支持し、第2支持部22はダイシングテープ6の保持面に保持された複数の部品7が開口22aに配置されるようにダイシングテープ6(ダイシングフレーム6a)の周縁部分を吸着支持する。
【0034】
また、第2支持部22の上面には、開口22aの端縁に沿って凸部22bが形成されており、ダイシングテープ6(ダイシングフレーム6a)が第2支持部22の上面に支持された際に、ダイシングテープ6の保持面の各部品7が保持された部分の周縁部分が凸部22bにより下方から上方に僅かに突き上げられた状態となる。したがって、ダイシングテープ6は、第2支持部22の上面に支持された状態で全方向に僅かに伸長された状態となるため、ウエハがダイシングされることによりダイシングテープ6の保持面に密着配置されている各部品7間に微小な隙間が生じるので、容易に各部品7を個別にガラス基板8の部品実装面8aに移載することができる。
【0035】
アライメントテーブル23は、図1中の矢印Z方向にほぼ直交するXY方向に移動可能に形成されると共に、矢印Z方向を回転中心とするθ方向に回転可能に形成されており、アライメントテーブル23が駆動されることで、アライメントテーブル23に支持されたガラス基板8のダイシングテープ6に対する相対的な位置が調整される。これにより、アライメントテーブル23は、閉塞状態において支持手段2によりダイシングテープ6およびガラス基板8が対向して支持された状態で、ダイシングテープ6に保持された部品7のバンプ7aと、各部品7それぞれに対応してガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極(移載位置)とを位置合わせする。なお、アライメントテーブル23は、サーボモータを有するボールナット機構やリニアモータなどのアクチュエータにより駆動される。
【0036】
XYテーブル3は、X軸31aを有するXテーブル31と、Y軸32aを有するYテーブル32とを備え、Yテーブル32は、Xテーブル31のX軸31a上に配設されている。したがって、Xテーブル31が駆動されることによりYテーブル32はX軸31a上をX方向に移動する。また、支持手段2の第2支持部22は、Yテーブル32のY軸32a上に配設されており、Yテーブル32が駆動されることにより支持手段2はY軸32a上をY方向に移動する。したがって、XYテーブル3が駆動されることにより、支持手段2に支持されたダイシングテープ6およびガラス基板8のXY方向における位置が調整される。
【0037】
なお、XYテーブル3は、サーボモータを有するボールナット機構やリニアモータなどのアクチュエータにより駆動される。また、Xテーブル31およびYテーブル32には開口31b,32bが形成されており、開口31b,32bは、透過窓21a,23aおよび開口22aと上下方向において重なるように配置されている。
【0038】
認識手段4は、支持手段2の下方に配置される第1のカメラ41と、支持手段2の上方に配置される第2のカメラ42とを備えており、第1、第2のカメラ41,42は、それぞれCCDカメラなどの撮像手段により形成される。また、第1、第2のカメラ41,42には、それぞれLEDなどにより形成される照明部41a,42aが設けられており、第1、第2のカメラ41,42は、部品7およびガラス基板8にそれぞれ設けられたアライメントマークを認識する際に、照明部41a,42aによる照明を行ってそれぞれのアライメントマークを認識する。
【0039】
また、第1のカメラ41は、支持手段2の下方から、ダイシングテープ6の保持面に保持された複数の部品7のうち、移載対象である部品7を認識するものであり、第1のカメラ41の認識結果に基づいてXYテーブル3が駆動されることにより、移載対象である部品7がヘッド5の上方に配置される。
【0040】
また、第2のカメラ42は、ダイシングテープ6およびガラス基板8が対向して支持された状態で、支持手段2の上方から、移載対象である部品7に設けられたアライメントマークと、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに予め定められた移載位置(電極)に対応して設けられたアライメントマークとを同時に認識するものであり、これにより、当該部品7に設けられたバンプ7aと当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極との相対的な位置(ずれ)が認識される。この第2のカメラ42の認識結果に基づいてアライメントテーブル23が駆動されることにより、ダイシングテープ6に保持された移載対象の部品7のバンプ7aと、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極(移載位置)とが位置合わせされる。
【0041】
ヘッド5(本発明の「押圧手段」、「押圧体」に相当)は、支持手段2の下方に設けられており、エアシリンダやリニアモータなどのアクチュエータにより上下方向(矢印Z方向)に移動可能に形成されている。そして、ヘッド5は、アライメントテーブル23により移載対象の部品7のバンプ7aと、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極との位置合わせが完了した状態で、ガラス基板8が配置された上方に駆動されて、先端に設けられた押圧面5aにより当該部品7をダイシングテープ6の裏面側から上方のガラス基板8の部品実装面8aに押圧して接合することで、当該部品7をダイシングテープ6からガラス基板8の部品実装面8aに予め定められた移載位置に移載する。
【0042】
また、ヘッド5の先端に凸状に設けられた押圧面5aは、ダイシングテープ6の保持面の移載対象の部品7の周囲に保持されている他の部品7をガラス基板8の部品実装面8aに押圧しないように、部品7の背面(ダイシングテープ6との貼着面)の面積とほぼ同じ面積か、一回り小さい面積に形成されている。
【0043】
また、ヘッド5の部品7を押圧する押圧面5aに吸着孔51aが設けられており、吸着孔51aに連通する吸引孔51bから図示省略された真空ポンプなどの吸引手段により吸引することにより、ヘッド5は、先端の押圧面5aにダイシングテープ6の裏面を吸着することができる。また、ヘッド5の先端部分には、吸着孔51aおよび吸引孔51bと連通する空間52が設けられており、空間52の内部には、プリズムやミラーなどにより形成される光路変換手段53が配設されている。そして、紫外線ランプ(図示省略)による紫外線がヘッド5の側方から空間52内に配設された光路変換手段53に投光されることにより、紫外線が光路変換手段53を介してダイシングテープ6の粘着層を形成する紫外線型粘着剤に照射される。
【0044】
したがって、ヘッド5の押圧面5aにより移載対象の部品7をガラス基板8の部品実装面8aに押圧する際に、ダイシングテープ6の当該部品7が保持されている部分の粘着層を形成する紫外線型粘着剤に紫外光が照射されることで、紫外線が照射された部分の粘着層の粘着性が喪失し、粘着層による当該部品7の貼着状態が解除される。以上のように、紫外線ランプ、光路変換手段53により本発明の「紫外線照射部」が形成されている。
【0045】
なお、この実施形態では、部品7に設けられたバンプ7aと、ガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極とは、紫外線照射部による紫外光を利用して、紫外線硬化型の導電性接着剤により接合されるが、ヘッド5にヒータなどの加熱手段を設けることにより、熱硬化型の導電性接着剤やはんだなどを用いて接合を行ってもよい。また、ヘッド5を共振器により形成することで、超音波振動を印加することにより、部品7に設けられたバンプ7aと、ガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極とを接合してもよい。
【0046】
また、単に加圧することにより、部品7に設けられたバンプ7aと、ガラス基板8の部品実装面8aに設けられた電極とを圧着接合してもよく、一般的に採用されるどのような接合方法を用いてバンプ7aと電極とを接合してもよい。また、バンプ7aと電極との接合は必ずしも行う必要はなく、ガラス基板8の表面に粘着層を設け、粘着層に部品7を貼着することにより部品7をダイシングテープ6からガラス基板8に移載したり、ガラス基板8の表面に部品7を移載すると同時にダイシングテープ6の保持面の粘着層による部品7の貼着状態を解除することにより部品7をダイシングテープ6からガラス基板8に移載してもよい。
【0047】
(部品移載処理)
次に、部品移載装置1において実行される、部品7をガラス基板8の所定の移載位置に移載する部品移載処理の一例について説明する。
【0048】
まず、支持手段2が開放状態とされ、ウエハ載置工程において、バンプ7aを有する複数の部品7を保持面に保持するダイシングテープ6が第2支持部22に供給されて吸着支持される(ステップS1、図3,4)。次に、基板載置工程において、各部品7ごとに対応して予め定められた移載位置に複数の電極が設けられたガラス基板8がアライメントテーブル23に供給されて吸着保持され(ステップS2、図5)、第1支持部21が、回動軸24を回動の中心として図6中の一点鎖線矢印の方向に第2の位置から第1の位置へ回動されることにより支持手段2が閉塞状態とされ、ダイシングテープ6とガラス基板8とが対向配置される(ステップS3、図6)。
【0049】
続いて、移載部品認識工程において、第1のカメラ41の照明部41aにより各部品7が照明されて、第1のカメラ41により移載対象の部品7(以下、「当該部品7」と称する)が認識される(ステップS4、図7)。そして、移載部品吸着工程において、移載部品認識工程における認識結果に基づいてXYテーブル3が駆動されて支持手段2の位置調整が行われることにより、当該部品7がヘッド5の押圧面5aの上方に配置され、ヘッド5が上方に駆動されると共に、吸引孔51bから吸引が行われることにより、当該部品7がダイシングテープ6の裏面側から押圧面5aに吸着される(ステップS5、図8)。
【0050】
次に、近接工程において、図9中の点線内の拡大図に示すように、ヘッド5がさらに上方に駆動されて、当該部品7のバンプ7aが形成された面と、ガラス基板8の部品実装面8aとの間隔Dが第2のカメラ42の焦点深度以内、例えば、50μm以下となるように、当該部品7およびガラス基板8が近接配置される(ステップS6)。続いて、位置合わせ工程において、第2のカメラ42の照明部42aにより当該部品7およびガラス基板8が照明されて、当該部品7に設けられたアライメントマークと、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに形成された電極に対応するアライメントマークとが、第2のカメラ42により同時に認識され、第2のカメラ42の認識結果に基づいてアライメントテーブル23が駆動されることにより、当該部品7のバンプ7aと、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに形成された電極との位置合わせが行われる(ステップS7、図10)。
【0051】
そして、移載工程において、図11中の点線内の拡大図に示すように、ヘッド5がさらに上方に駆動されることにより、当該部品7がガラス基板8の部品実装面8aの所定の移載位置に押圧面5aにより押圧されて、光路変換手段53に投光された紫外光Lが、ダイシングテープ6の保持面を形成する粘着層の当該部品7を保持する部分に照射される。したがって、ヘッド5の押圧面5aにより押圧される当該部品7が、ガラス基板8の部品実装面8aの所定の移載位置に接合されると共に、ダイシングテープ6の粘着層による当該部品7の貼着状態が解除される(ステップS8)。
【0052】
そして、図12中の点線内の拡大図に示すように、押圧面5aによダイシングテープ6の吸着状態を維持しつつヘッド5を下方に駆動することで、押圧面5aに吸着されたダイシングテープ6が下方に移動しガラス基板8の部品実装面に8aに接合された当該部品7がダイシングテープ6の保持面から剥離される。当該部品7とダイシングテープ6の保持面との剥離が完了すれば、押圧面5aによるダイシングテープ6の吸着状態を解除して、ヘッド5を支持手段2の下方に設定された待機位置に復帰移動することで処理が終了する。
【0053】
以上のように、この実施形態によれば、ダイシングテープ6の保持面に保持された複数の部品7が、ガラス基板8の部品実装面8aに各部品7ごとに対応して電極が設けられることにより予め定められた所定の移載位置に移載される際に、ダイシングテープ6の保持面およびガラス基板8の部品実装面8aが対向して支持された状態で、ダイシングテープ6に保持された移載対象の部品7と、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに設けられた移載位置とが位置合わせされ、ダイシングテープ6に保持された当該部品7がガラス基板8の部品実装面8aに押圧されて、当該部品7がダイシングテープ6からガラス基板8の部品実装面8aに設けられた移載位置に移載されるため、ダイシングテープ6の保持面からの部品7の取り出しと、取り出された部品7のガラス基板8の部品実装面8aへの移載が同一工程で行われることになり、処理時間の短縮を図ることができる。
【0054】
また、複数の部品7が、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤により形成された粘着層により、ダイシングテープ6の保持面に貼着されて保持されており、移載対象の部品7がガラス基板8の部品実装面8aに押圧される際に、当該部品7が保持されている部分の紫外線型粘着剤に紫外線が照射されて粘着性が喪失することにより粘着剤による当該部品7の貼着状態が解除されるため、効率よく当該部品7をダイシングテープ6の保持面から取り出してガラス基板8の部品実装面8aに設けられた移載位置に移載することができる。
【0055】
また、シート状部材の表面に粘着剤が設けられることで保持面が形成されたダイシングテープ6の保持面に、部品7としてウエハがダイシングされることによる複数のICチップが貼着されて保持されており、移載対象の部品7が、ガラス基板8の部品実装面8aに各部品7ごとに対応して予め定められた所定の移載位置に移載される際に、当該部品7は、ヘッド5の押圧面5aによりガラス基板8の部品実装面8aに押圧されて接合されると同時に移載されるため、非常に実用的である。
【0056】
また、ダイシングテープ6の保持面に貼着されたウエハが複数のICチップ(部品7)にダイシングされる際に、ウエハの切粉がダイシングテープ6上に残留している場合であっても、第2支持部22に支持されたダイシングテープ6はアライメントテーブル23に支持されたガラス基板8の下方に配置されているため、ダイシングテープ6上に残留するウエハの切粉がガラス基板8の部品実装面8aに落下して付着するのを防止することができる。
【0057】
また、従来の装置では、ダイシングテープ6の保持面に粘着保持されて表面にバンプ7aが設けられた複数の部品7をガラス基板8に移載する際に、個別にダイシングテープ6から取り出した部品7をフリップチップ(反転)手段により反転させてガラス基板8の部品実装面8aに搭載する必要があった。しかしながら、この実施形態では、支持手段2により、部品7のバンプ7a形成面と、ガラス基板8の部品実装面8aとが対向した状態で支持されており、ヘッド5により部品7を部品実装面8aに押圧することで、ダイシングテープ6からの部品7の取り出しと部品実装面8aへの部品7の移載がほぼ同時に行われる。したがって、ダイシングテープ6から取り出した部品7を反転させる必要がなくフリップチップ手段を必要としないため、装置コストの低減を図ることができる。また、ダイシングテープ6から取り出した部品7を反転させる工程が必要ないため、部品7をダイシングテープ6からガラス基板8に移載する処理時間の大幅な短縮を図ることができる。
【0058】
<第2実施形態>
この発明の第2実施形態について図13〜図20を参照して説明する。図13は本発明の部品移載装置の第2実施形態を示す要部拡大図である。図14〜図20は部品移載処理の一例を示す図であって、図14は移載部品認識工程を示す図であり、図15は移載部品吸着工程を示す図であり、図16は近接工程を示す図であり、図17は位置合わせ工程を示す図であり、図18は移載工程を示す図であり、図19は移載部品に対する押圧が解除された直後の状態を示す図であり、図20は部品移載処理が完了した状態を示す図である。
【0059】
この実施形態が上記した第1実施形態と異なる点は、図13に示すように、ヘッド105(本発明の「押圧手段、押圧体」に相当)の構成が異なる点である。その他の構成および動作は上記した第1実施形態と同様であるため、同一符号を引用することにより、その構成および動作の説明は省略する。
【0060】
図13に示すように、ヘッド105の先端には、部品7をガラス基板8の部品実装面8aに押圧する凸状の押圧面105aが設けられている。そして、押圧面105aの略中央部分には収容穴154が形成されており、収容穴154には、収容穴154から出没自在に設けられた突出ピン155と、突出ピン155を収容穴154から突出する方向に付勢するコイルばねやエアシリンダ、油圧シリンダなどにより形成される付勢手段156とが設けられており、突出ピン155は、付勢手段156の付勢力により先端が収容穴154から突出した状態で該収容穴154に収容される。
【0061】
したがって、ヘッド105の押圧面105aにより、移載対象の部品7がダイシングテープ6の裏面側からガラス基板8の部品実装面8aに押圧される際に、付勢手段156の付勢力により収容穴154から突出した突出ピン155の先端で移載対象の部品7がダイシングテープ6の裏面側から上方に突き出されるため、粘着剤による当該部品7の貼着状態が解除される。
【0062】
また、ヘッド105の先端部分の後端には凹曲面157aが形成され、ヘッド105の基部先端には凸曲面157bが形成されており、凹曲面157aおよび凸曲面157bが摺接可能にヘッド105の先端部分がヘッド105の基部に取着されることにより倣い機構157が形成されている。したがって、凹曲面157aと凸曲面157bとが摺接することによる倣い機構157により、例えば、ガラス基板8の部品実装面8aの傾斜に応じて押圧面105aの傾斜を調整することができる。また、突出ピン155には吸着孔151aが形成されており、吸着孔151aに連通する吸引孔151bから真空ポンプなどにより形成される吸引手段による吸引を行うことにより、押圧面105aにダイシングテープ6の裏面を吸着することができる。
【0063】
また、ヘッド105の先端に凸状に設けられた押圧面105a周囲のフランジ部105bには、吸着孔158aが形成されており、吸着孔158aに連通する吸引孔158bから吸引手段による吸引を行うことにより、ダイシングテープ6裏面の吸着孔151aにより吸着される部分の周囲部分が吸引される。すなわち、ヘッド105の押圧面105aにより、移載対象の部品7がダイシングテープ6の裏面側からガラス基板8の部品実装面8aに押圧される際に、吸着孔158aに連通する吸引孔158bから吸引手段による吸引が行われると、当該部品7の周囲部分がダイシングテープ6裏面側から吸引されて吸着孔158aに吸着されるため、ダイシングテープ6の当該部品7の周囲部分がガラス基板8の部品実装面8aから離間した状態に維持される。以上のように、吸引手段(図示省略)、吸着孔158a、吸引孔158bにより本発明の「吸引部」が構成されている。
【0064】
なお、この実施形態では、ダイシングテープ6の保持面を形成する粘着剤は、紫外線型の粘着剤でなくともよく、一般的な感圧タイプの粘着剤を用いてダイシングテープ6の保持面を形成してもよい。
【0065】
次に、この実施形態において実行される、部品7をガラス基板8の所定の移載位置に移載する部品移載処理について、上記した第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0066】
まず、ウエハ載置工程(ステップS1)〜対向配置工程(ステップS3)が実行された後、上記した第1実施形態と同様に、移載部品認識工程において、第1のカメラ41の照明部41aにより各部品7が照明されて、第1のカメラ41により移載対象の部品7(以下、「当該部品7」と称する)が認識される(ステップS4、図13)。そして、移載部品吸着工程において、移載部品認識工程における認識結果に基づいてXYテーブル3が駆動されて支持手段2の位置調整が行われることにより、当該部品7がヘッド105の押圧面105aの上方に配置され、ヘッド105が上方に駆動されると共に、吸引孔151bから吸引が行われることにより、当該部品7がダイシングテープ6の裏面側から突出ピン155の先端に吸着される(ステップS5、図15)。
【0067】
次に、近接工程において、図16中の点線内の拡大図に示すように、ヘッド105がさらに上方に駆動されて、当該部品7のバンプ7aが形成された面と、ガラス基板8の部品実装面8aとの間隔Dが第2のカメラ42の焦点深度以内、例えば、50μm以下となるように、当該部品7およびガラス基板8が近接配置されると共に、吸引孔158bから吸引が行われることにより当該部品7の周囲部分がダイシングテープ6の裏面側から吸引されて吸着孔158aに吸着される。このとき、突出ピン155の先端により、当該部品7がダイシングテープ裏面側から上方に突き出されて、粘着剤による当該部品7の貼着状態が部分的に解除される(ステップS6)。
【0068】
続いて、位置合わせ工程において、第2のカメラ42の照明部42aにより当該部品7およびガラス基板8が照明されて、当該部品7に設けられたアライメントマークと、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに形成された電極に対応するアライメントマークとが、第2のカメラ42により同時に認識され、第2のカメラ42の認識結果に基づいてアライメントテーブル23が駆動されることにより、当該部品7のバンプ7aと、当該部品7に対応してガラス基板8の部品実装面8aに形成された電極との位置合わせが行われる(ステップS7、図17)。
【0069】
次に、移載工程において、図18中の点線内の拡大図に示すように、ヘッド105がさらに上方に駆動されることにより、突出ピン155が付勢手段156の付勢力に抗しつつ移動して全体が収容穴154に収容され、当該部品7がガラス基板8の部品実装面8aの所定の移載位置に押圧面105aにより押圧される。そして、この実施形態では、ヘッド105に設けられた図示省略されたヒータにより加熱されることで、ヘッド105の押圧面105aにより押圧される当該部品7が、ガラス基板8の部品実装面8aの所定の移載位置に熱硬化性導電性接着剤により接合される(ステップS8)。
【0070】
続いて、図19中の点線内の拡大図に示すように、吸着孔151a,158aによるダイシングテープ6の吸着状態を維持しつつヘッド105を下方に駆動することで、収容穴154に収容された突出ピン155が再突出して当該部品7をダイシングテープ6の裏面側から突出すことにより、粘着剤による当該部品7の貼着状態がさらに解除されると共に、吸着孔151a,158aに吸着されたダイシングテープ6が下方に移動し、ガラス基板8の部品実装面8aに接合された当該部品7がダイシングテープ6の保持面から剥離される。当該部品7とダイシングテープ6の保持面との剥離が完了すれば、吸着孔151a,158aによるダイシングテープ6の吸着状態を解除して、ヘッド105を支持手段2の下方に設定された待機位置に復帰移動することで処理が終了する。
【0071】
以上のように、この実施形態では、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができると共に、以下の効果を奏することができる。すなわち、ダイシングテープ6は、可撓性を有するシート状部材の表面に粘着剤が設けられることにより保持面が形成されてなるものであり、移載対象の部品7がヘッド105によりガラス基板8の部品実装面8aに押圧される際に、ダイシングテープ6の当該部品7の周囲部分がダイシングテープ6の裏面側から吸着孔158aにより吸引されて、当該部品7の周囲部分が、ガラス基板8の部品実装面8aから離間した状態に維持されるため、当該部品7の周囲の部品7がガラス基板8に接触するおそれがなく、当該部品7以外の部品7が誤ってガラス基板8の部品実装面8aに移載されるのを防止することができる。
【0072】
また、ダイシングテープ6の保持面に粘着剤により貼着されて保持された当該部品7が、ガラス基板8の部品実装面8a押圧される際に、突出ピン155によりダイシングテープ6から当該部品7が突き出されることにより、粘着剤による当該部品7の貼着状態が解除されるため、効率よく当該部品7をダイシングテープ6の保持面から取り出してガラス基板8の部品実装面8aに移載することができる。
【0073】
<第3実施形態>
この発明の第3実施形態について図21および図22を参照して説明する。図21は本発明の部品移載装置の第3実施形態における、部品移載処理の移載工程を示す図である。図22は図21の移載装置における、部品移載処理が完了した状態を示す図である。
【0074】
この実施形態が上記した第1および第2実施形態と異なる点は、図21に示すように、アライメントテーブル23が第2支持部22に設けられており、第1支持部21にダイシングテープ6が支持され、アライメントテーブル23に基板8が支持されている点である。また、上記した第1および第2実施形態と異なり、第1支持部21には開口221aが形成されており、第2支持部22には透明な石英ガラスなどにより透過窓222aが設けられている。また、ヘッド205の先端の押圧面205aには上記した実施形態と同様に、吸着孔251aが形成されており、吸着孔251aに連通する吸引孔251bから吸引を行うことで、押圧面205aにダイシングテープ6の裏面を吸着することができる。
【0075】
また、ヘッド205(本発明の「押圧手段」、「押圧体」に相当)には、上記した第2実施形態と同様に、凹凸面が摺接することによる倣い機構257が設けられている。また、この実施形態では、ヘッド205および第1のカメラ41は支持手段2の上方に配置され、第2のカメラ42は支持手段2の下方に配置される。その他の構成および動作は上記した第1実施形態と同様であるため、同一符号を引用することにより、その構成および動作の説明は省略する。
【0076】
このように構成された部品移載装置1においても、上記した実施形態と同様に部品移載処理が実行される。
【0077】
すなわち、上記した実施形態と同様に、ウエハ載置工程(ステップS1)〜位置合わせ工程(ステップS7)が実行された後、移載工程において、図21中の点線内の拡大図に示すように、ヘッド205がさらに下方に駆動されることにより、当該部品7がガラス基板8の部品実装面8aの所定の移載位置に押圧面205aにより押圧されて、ヘッド205に設けられた図示省略されたヒータにより加熱されることで、ヘッド205の押圧面205aにより押圧される当該部品7が、ガラス基板8の部品実装面8aの所定の移載位置に熱硬化性導電性接着剤により接合される(ステップS8)。
【0078】
そして、図22中の点線内の拡大図に示すように、押圧面205aへのダイシングテープ6の吸着状態を維持しつつヘッド205を上方に駆動することで、押圧面205aに吸着されたダイシングテープ6が上方に移動しガラス基板8の部品実装面に8aに接合された当該部品7がダイシングテープ6の保持面から剥離される。当該部品7とダイシングテープ6の保持面との剥離が完了すれば、押圧面205a(吸着孔251a)によるダイシングテープ6の吸着状態を解除して、ヘッド205を支持手段2の上方に設定された待機位置に復帰移動することで処理が終了する。
【0079】
以上のように、この実施形態では、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0080】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限
りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能であり、上記実施形態における各構成を発明の趣旨を逸脱しない限りにおいてどのように組合わせてもよく、XYテーブル3やアライメントテーブル23などの位置調整機構や、突出ピン155および紫外線照射部などによる、粘着剤による部品7のダイシングテープ6の保持面への貼着状態を解除する機能などを、どのように組合わせてもよい。
【0081】
また、第1の保持体(ダイシングテープ6)から第2の保持体(ガラス基板8)に移載される部品7の個数は1つに限られるものではなく、2つ以上の部品を同時に移載するように構成してもよい。
【0082】
また、上記した実施形態では、ガラス基板8の部品実装面8aには電極が設けられており、部品7をガラス基板8の部品実装面8aに移載する際に、部品7に設けられたバンプ7aと部品実装面8aの電極とを電気的に接合する例を挙げて部品移載処理を説明したが、電極が設けられていないガラス基板8の部品実装面8aに粘着剤による粘着層を設け、部品移載処理において、バンプ7aを有する部品7を部品実装面8aの粘着層に、フェイスアップやフェイスダウンで移載することもできる。すなわち、部品移載処理は、第1の保持体に保持された部品と、ガラス基板8などの第2の保持体との電気的な接続を目的とするものでなくともよく、部品移載処理において、第1の保持体に保持された部品を、単に、第2の保持体に載置するだけでもよいし、絶縁性の接着剤や粘着剤などにより部品を第2の保持体の被移載面に貼着したり、加熱や超音波振動により接合したりするだけでもよい。
【0083】
また、第1の保持体および第2の保持体は上記した例に限られるものではなく、複数の部品が配設されるチップトレイを第1の保持体として採用したり、ウエハ、有機材料からなるリジッド基板やフレキシブル基板、セラミック基板などを第2の保持体として採用してもよい。チップトレイを第1の保持体と採用する場合には、押圧手段により部品7をチップトレイの裏面側から第2の保持体に押圧するための穴を、チップトレイの各部品が載置される収容部の底面に設けるとよい。また、移載対象である部品は、必ずしも電気的な機能を有する電子部品である必要はなく、目的に応じて、第1、第2の保持体および部品を選択することで、第1の保持体に保持された種々の部品を第2の保持体に移載することができる。
【0084】
また、上記した実施形態では、第1のカメラ41で移載対象の部品7を認識したが、第1のカメラ41を設けずに、第2のカメラ42により移載対象の部品7を認識してもよい。また、第1のカメラ41を設けずに、第1の保持体(ダイシングテープ6)に保持された部品7の、不良品の位置情報も含むマップデータを予め取得しておき、当該マップデータに基づいて移載対象の部品7がヘッド5の上方に配置されるように制御してもよい。
【0085】
また、上記した実施形態では、透過窓21a,23a,222aを透明な石英ガラスにより形成したが、透過窓21a,23a,222aを設ける換わりに、開口22a,221aと同様の開口を形成してもよい。また、開口は、部品7およびガラス基板8に設けられたアライメントマークを認識可能に、該アライメントマークに相当する位置にのみ部分的に穴を形成するだけでもよい。
【0086】
また、上記した実施形態では、可視光領域に感度を有する第1、第2のカメラ41,42を用いて部品7およびガラス基板8のアライメントマークの認識を行ったが、第1、第2の保持体および部品が赤外線を透過する部材、例えばGaAsやSiなどの半導体により形成されている場合には、赤外線カメラを用いて、部品および第2の保持体に設けられたアライメントマークを認識してもよい。
【0087】
また、倣い機構などを設けることにより、第2の保持体を支持するアライメントテーブル23の傾きを調整できるようにしてもよい。
【0088】
さらに、上記した実施形態では、第1、第2の保持体を上下方向(図1に示す矢印Z方向)に配置したが、第1、第2の保持体の配置方向としてはこれに限定されず、上下方向にほぼ直交する左右方向に配置してもよい。
【0089】
また、支持手段2の構成は、上記した第1、第2の支持部21,22がヒンジ状に連結された例に限られるものではなく、第1、第2の保持体を対向した状態で支持することができればどのように構成してもよい。例えば、第1の保持体を支持する第1の支持部および第2の保持体を支持する第2の支持部の少なくと一方をスライド可能に構成することにより、第1、第2の保持体が対向する状態と、第1、第2の保持体が対向しない状態とに切換え可能に支持手段2を構成してもよい。また、第1の保持体を支持する第1の支持部および第2の保持体を支持する第2の支持部を個別に設け、単に、第1、第2の保持体を重ね合わせてねじやボルトにより締結することで第1、第2の保持体が対向するように支持手段2を構成してもよい。
【0090】
そして、第1の保持体の保持面に保持された複数の部品を、第2の保持体に各部品ごとに対応して予め定めれた所定の移載位置に移載する部品移載装置に本発明を広く適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1…部品移載装置
2…支持手段
23…アライメントテーブル(位置合わせ手段)
5,105,205…ヘッド(押圧手段、押圧体)
53…光路変換手段(紫外線照射部)
6…ダイシングテープ(第1の保持体)
7…部品
8…ガラス基板(第2の保持体)
154…収容穴
155…突出ピン
156…付勢手段
158a…吸着孔(吸引部)
158b…吸引孔(吸引部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の保持体の保持面に保持された複数の部品を、第2の保持体に前記各部品ごとに対応して予め定めれた所定の移載位置に移載する部品移載装置において、
前記第1、第2の保持体を対向した状態で支持する支持手段と、
前記支持手段により前記第1、第2の保持体が支持された状態で、前記第1の保持体に保持された当該部品を、当該部品に対応する前記第2の保持体の前記移載位置に位置合わせする位置合わせ手段と、
前記位置合わせ手段による位置合わせが完了した状態で、前記第1の保持体の保持面に保持された当該部品を前記第2の保持体に押圧して、当該部品を前記第1の保持体から前記第2の保持体の前記移載位置に移載する押圧手段と
を備えることを特徴とする部品移載装置。
【請求項2】
前記複数の部品は前記第1の保持体の保持面に粘着剤により貼着されて保持されており、
前記押圧手段は、当該部品を前記第2の保持体に押圧する際に、前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の部品移載装置。
【請求項3】
前記粘着剤は、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤からなり、
前記押圧手段は、前記紫外線型粘着剤に紫外線を照射して当該部品の前記貼着状態を解除する紫外線照射部を有することを特徴とする請求項2記載の部品移載装置。
【請求項4】
前記押圧手段は、
当該部品を押圧する押圧体と、
前記押圧体の当該部品を押圧する部分に設けられた収容穴と、
前記収容穴に出没自在に設けられた突出ピンと、
前記突出ピンを前記収容穴から突出する方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記付勢手段の付勢力により前記収容穴から突出した前記突出ピンで前記第1の保持体から当該部品を突き出すことにより、前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除することを特徴とする請求項2または3に記載の部品移載装置。
【請求項5】
前記押圧手段は、当該部品を前記第2の保持体に押圧して接合を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の部品移載装置。
【請求項6】
前記第1の保持体は、可撓性を有するシート状部材の表面に前記粘着剤が設けられることにより前記保持面が形成されてなるものであり、
前記押圧手段は、当該部品を前記第2の保持体に押圧する際に、前記シート状部材の当該部品の周囲部分を前記シート状部材の裏面側から吸引して、前記周囲部分を前記第2の保持体から離間した状態に維持する吸引部を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の部品移載装置。
【請求項7】
第1の保持体の保持面に保持された複数の部品を、第2の保持体に前記各部品ごとに対応して予め定められた所定の移載位置に移載する部品移載方法において、
前記第1、第2の保持体が対向して支持された状態で、前記第1の保持体に保持された当該部品を、当該部品に対応する前記第2の保持体の前記移載位置に位置合わせする位置合わせ工程と、
前記位置合わせが完了した状態で、前記第1の保持体に保持された当該部品を前記第2の保持体に押圧して、当該部品を前記第1の保持体から前記第2の保持体の前記移載位置に移載する移載工程と
を備えることを特徴とする部品移載方法。
【請求項8】
シート状部材の表面に粘着剤が設けられることで前記保持面が形成されてなる前記第1の保持体の前記保持面に、前記部品としてウエハがダイシングされることによる複数のチップが貼着されて保持されており、
前記移載工程において、当該チップを、基板により形成された前記第2の保持体に押圧して接合すると同時に移載することを特徴とする請求項7に記載の部品移載方法。
【請求項9】
前記粘着剤は、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤からなり、
前記移載工程において、当該チップを前記第2の保持体に押圧する際に、当該チップが保持されている部分の前記紫外線型粘着剤に紫外線を照射して前記粘着性を喪失させることにより前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除することを特徴とする請求項8に記載の部品移載方法。
【請求項10】
前記移載工程において、突出ピンにより前記第1の保持体から当該部品を突き出すことにより、前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除することを特徴とする請求項8または9に記載の部品移載方法。
【請求項1】
第1の保持体の保持面に保持された複数の部品を、第2の保持体に前記各部品ごとに対応して予め定めれた所定の移載位置に移載する部品移載装置において、
前記第1、第2の保持体を対向した状態で支持する支持手段と、
前記支持手段により前記第1、第2の保持体が支持された状態で、前記第1の保持体に保持された当該部品を、当該部品に対応する前記第2の保持体の前記移載位置に位置合わせする位置合わせ手段と、
前記位置合わせ手段による位置合わせが完了した状態で、前記第1の保持体の保持面に保持された当該部品を前記第2の保持体に押圧して、当該部品を前記第1の保持体から前記第2の保持体の前記移載位置に移載する押圧手段と
を備えることを特徴とする部品移載装置。
【請求項2】
前記複数の部品は前記第1の保持体の保持面に粘着剤により貼着されて保持されており、
前記押圧手段は、当該部品を前記第2の保持体に押圧する際に、前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の部品移載装置。
【請求項3】
前記粘着剤は、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤からなり、
前記押圧手段は、前記紫外線型粘着剤に紫外線を照射して当該部品の前記貼着状態を解除する紫外線照射部を有することを特徴とする請求項2記載の部品移載装置。
【請求項4】
前記押圧手段は、
当該部品を押圧する押圧体と、
前記押圧体の当該部品を押圧する部分に設けられた収容穴と、
前記収容穴に出没自在に設けられた突出ピンと、
前記突出ピンを前記収容穴から突出する方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記付勢手段の付勢力により前記収容穴から突出した前記突出ピンで前記第1の保持体から当該部品を突き出すことにより、前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除することを特徴とする請求項2または3に記載の部品移載装置。
【請求項5】
前記押圧手段は、当該部品を前記第2の保持体に押圧して接合を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の部品移載装置。
【請求項6】
前記第1の保持体は、可撓性を有するシート状部材の表面に前記粘着剤が設けられることにより前記保持面が形成されてなるものであり、
前記押圧手段は、当該部品を前記第2の保持体に押圧する際に、前記シート状部材の当該部品の周囲部分を前記シート状部材の裏面側から吸引して、前記周囲部分を前記第2の保持体から離間した状態に維持する吸引部を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の部品移載装置。
【請求項7】
第1の保持体の保持面に保持された複数の部品を、第2の保持体に前記各部品ごとに対応して予め定められた所定の移載位置に移載する部品移載方法において、
前記第1、第2の保持体が対向して支持された状態で、前記第1の保持体に保持された当該部品を、当該部品に対応する前記第2の保持体の前記移載位置に位置合わせする位置合わせ工程と、
前記位置合わせが完了した状態で、前記第1の保持体に保持された当該部品を前記第2の保持体に押圧して、当該部品を前記第1の保持体から前記第2の保持体の前記移載位置に移載する移載工程と
を備えることを特徴とする部品移載方法。
【請求項8】
シート状部材の表面に粘着剤が設けられることで前記保持面が形成されてなる前記第1の保持体の前記保持面に、前記部品としてウエハがダイシングされることによる複数のチップが貼着されて保持されており、
前記移載工程において、当該チップを、基板により形成された前記第2の保持体に押圧して接合すると同時に移載することを特徴とする請求項7に記載の部品移載方法。
【請求項9】
前記粘着剤は、紫外線により粘着性を喪失する紫外線型粘着剤からなり、
前記移載工程において、当該チップを前記第2の保持体に押圧する際に、当該チップが保持されている部分の前記紫外線型粘着剤に紫外線を照射して前記粘着性を喪失させることにより前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除することを特徴とする請求項8に記載の部品移載方法。
【請求項10】
前記移載工程において、突出ピンにより前記第1の保持体から当該部品を突き出すことにより、前記粘着剤による当該部品の貼着状態を解除することを特徴とする請求項8または9に記載の部品移載方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−156473(P2012−156473A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16896(P2011−16896)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(307044493)株式会社アドウェルズ (24)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(307044493)株式会社アドウェルズ (24)
【Fターム(参考)】
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