説明

配線基板の加工方法及びその製造方法、発光装置及びその製造方法、並びに電気機器

【課題】1次モールド樹脂130を配線基板110の実装領域RmにLEDチップLcを覆うよう注入する際、樹脂堰止シートを用いることなく、この1次モールド樹脂130が配線基板110の実装領域Rmから食み出すのを防止する。
【解決手段】LEDチップLcをパッケージ内に封入してなる発光装置100において、該パッケージを構成する配線基板110を、その表面の該LEDチップLcが配置された実装領域Rmの周囲に、該LEDチップLcを封止する1次モールド樹脂130を堰き止めるよう形成された突起部110aを有する構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の加工方法及びその製造方法、発光装置及びその製造方法、並びに電気機器に関し、特に、配線基板上でLEDチップ(半導体発光素子)を封止する際に封止樹脂を堰き止める樹脂堰止構造を有する配線基板の加工方法及びその製造方法、このような樹脂堰止構造を有する配線基板を用いた発光装置及びその製造方法、並びにこのような発光装置を用いた電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、照明装置などの電気機器や液晶ディスプレイのバックライトの光源として半導体発光装置、いわゆるLED(Light Emission Device)が多く用いられるようになってきている。LEDを使った照明装置の白色光を得る方法として、赤色LED、青色LEDおよび緑色LEDの三種類のLEDを用いる方法、青色LEDから発した励起光を変換して黄色光を発する蛍光体を用いる方法などがある。照明用光源としては、十分な輝度の白色光が要求されているために、LEDを複数個用いた照明装置が商品化されている(特許文献1)。
【0003】
このような照明装置は、液晶ディスプレイのバックライト光源または照明用光源に特に好適に用いられる。
【0004】
図9は、上記のような照明装置に用いられている従来の発光装置を説明する図であり、図9(a)は、その構造を示す平面図、図9(b)は、図9(a)のIXa−IXa線断面図である。
【0005】
この発光装置200は、半導体発光素子としてのLEDチップをパッケージ内に封入してなるものであり、セラミックなどからなる絶縁性基板(以下、セラミック基板ともいう。)210と、該セラミック基板210上に載置されたLEDチップLcと、該LEDチップLcを封止する1次モールド樹脂230と、該1次モールド樹脂230を覆うよう形成された2次モールド樹脂240とを有している。
【0006】
ここで、LEDチップLcは青色光を発生するものであり、1次モールド樹脂230には、この発光装置200の発光光が白色光となるよう、黄色蛍光体のみ、あるいは、赤色および緑色蛍光体が混入されたシリコン系樹脂を用いている。また、2次モールド樹脂には、蛍光体を混入しない透明のシリコン系樹脂を用いている。また、LEDチップLcのチップ電極(図示せず)と絶縁性基板210に形成された基板電極(図示せず)とはボンディングワイヤBwにより接続されている。
【0007】
次に、この発光装置の製造方法について説明する。
【0008】
図10は、図9に示す従来の発光装置を製造する方法を説明する図であり、図10(a)〜図10(f)は、その主要工程における断面構造を示している。
【0009】
まず、セラミック基板210を準備し(図10(a))、このセラミック基板210の、LEDチップを実装する実装領域上にLEDチップLcをダイボンドなどにより固着し、該LEDチップLcのチップ電極(図示せず)とセラミック基板210の基板電極(図示せず)を、Au線をボンディングワイヤBwとして用いたワイヤボンディングにより電気的に接続する(図10(b))。
【0010】
次に、上記セラミック基板210のLEDチップを配置した面に、実装領域に塗布されるモールド樹脂がはみ出さないように、各実装領域に対応する部分に開口220aを有する樹脂堰止シート(ダムシート)220を貼り付ける(図10(c))。なお、この樹脂堰止シート220は、ゴム製のシート部材に、セラミック基板上の実装領域の外形に一致した開口を、該実装領域のピッチに合わせて形成したものである。
【0011】
続いて、該樹脂堰止シート220の開口220a内に順次、蛍光体が混入されたシリコン系樹脂を1次モールド樹脂230として充填する(図10(d))。
【0012】
充填した1次モールド樹脂230が乾燥固化した後、上記樹脂堰止シート220を剥し(図10(e))、その後、セラミック基板210の全面に、該1次モールド樹脂230を覆うよう2次モールド樹脂240を形成する。
【0013】
なお、この2次モールド樹脂240の形成には以下のような方法が用いられる。
【0014】
例えば、上記セラミック基板に設定されている複数の実装領域に対応した凹部を有するモールド金型を用い、このモールド金型の凹部に上記透明のシリコン系樹脂を充填しておき、この状態で、上記1次モールド樹脂を形成した後のセラミック基板を、1次モールド樹脂で封止したLEDチップLcが該モールド金型の凹部内に収容されるようモールド金型の表面に圧接し、シリコン系樹脂を熱処理により乾燥固化する。その後、該モールド金型からセラミック基板を引き離して、2次モールド樹脂が形成されたセラミック基板を得る。
【0015】
その後、セラミック基板を分割により、各実装領域毎に分離して発光装置200を得る(図9(a)および(b))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第2009−145248号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記従来の発光装置200の製造方法では、1次モールド樹脂をセラミック基板の実装領域に注入する際、1次モールド樹脂がセラミック基板の実装領域から食み出さないようにするために、予めセラミック基板に樹脂堰止シート220を貼り付けておく必要がある。このため、LEDチップの樹脂封止工程では樹脂堰止シート220が必要となり、また、その樹脂堰止シート220の貼り付け、および剥がしの工程も必要となる。
【0018】
また、樹脂堰止シート220を剥す際には、1次モールド樹脂への応力によりこの比較的柔らかい1次モールド樹脂が変形して、ボンディングワイヤとしてのAu線の変形が生ずる虞もあり、発光装置の信頼性の低下が懸念されるという問題もある。
【0019】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであり、モールド樹脂をセラミック基板の実装領域にLEDチップを覆うよう注入する際、樹脂堰止シートを用いることなく、このモールド樹脂がセラミック基板の実装領域から食み出すのを防止することができ、これにより、LEDチップを樹脂封止する工程で樹脂堰止部材を不要とでき、製造に用いる部品点数を削減するとともに、樹脂堰止部材の貼り付けおよび剥し工程を省くことができ、この結果、製造コストの低減および製造プロセスの簡略化を図ることができる配線基板の加工方法及びその製造方法、発光装置及びその製造方法、並びにこのような発光装置を用いた電気機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る配線基板の加工方法は、半導体発光素子を収容する樹脂封止パッケージを構成する配線基板を加工する方法であって、該配線基板の表面を硬化する前に、該配線基板の表面に加工金型を用いて環状に突起部を形成するステップを含み、該加工金型は、その加工面に環状に形成した刃先を有し、該突起部を形成するステップでは、硬化前の該配線基板の表面に接触させた該加工金型の刃先を、硬化前の該配線基板の表面に該突起部が形成されるよう硬化前の該配線基板の表面から引き上げるものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0021】
本発明は、上記配線基板の加工方法において、前記加工金型は、その加工面の刃先の内側に、空気を吹き出すための空気吹出口を形成したものであり、前記突起部を形成するステップでは、硬化前の前記配線基板の表面に接触させた該加工金型の刃先を硬化前の該配線基板の表面から引き上げる際、該刃先の引き上げにより形成された該突起部が乾燥固化するよう該加工面の空気吹出口から空気を吹き出すことが好ましい。
【0022】
本発明は、上記配線基板の加工方法において、前記突起部を形成するステップでは、硬化前の前記配線基板の表面に接触させた前記加工金型の刃先を硬化前の該配線基板の表面から引き上げる際、該刃先の引き上げにより形成された該突起部が該刃先の外側に傾いて乾燥固化するよう、該加工面の空気吹出口から空気を吹き出すことが好ましい。
【0023】
本発明は、上記配線基板の加工方法において、前記加工金型は、前記加工面に形成された刃先を含む刃先形成部と、該刃先形成部を保持する金型本体部とを有し、該刃先形成部を該金型本体部に着脱可能な構造としたものであることが好ましい。
【0024】
本発明は、上記配線基板の加工方法において、前記加工金型は、その加工面に環状に形成した刃先を複数有し、硬化前の前記配線基板の表面に接触させた該加工金型の刃先を硬化前の該配線基板の表面から引き上げる際、該刃先の引き上げにより硬化前の該配線基板の表面に該突起部が複数形成されることが好ましい。
【0025】
本発明は、上記配線基板の加工方法において、前記加工金型は、その加工面に環状に形成した刃先の先端をギザギザ形状に加工したものであることが好ましい。
【0026】
本発明に係る配線基板の製造方法は、半導体発光素子を収容する樹脂封止パッケージを構成する配線基板を製造する方法であって、支持部材上に所定の粘性を有する絶縁性材料膜を該配線基板の材料として形成するステップと、該絶縁性材料膜の表面に加工金型を用いて環状に突起部を形成するステップとを含み、該加工金型は、その加工面に環状に形成した刃先を有し、該突起部を形成するステップでは、該絶縁性材料膜に接触させた該加工金型の刃先を、該絶縁性材料膜の表面に該突起部が形成されるよう該絶縁性材料膜から引き上げるものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0027】
本発明に係る発光装置は、半導体発光素子をパッケージ内に封入してなる発光装置であって、該パッケージを構成する配線基板は、その表面の該半導体発光素子が配置された領域の周囲に、該半導体発光素子を封止する封止樹脂を堰き止めるよう形成された突起部を有し、該配線基板の該突起部により囲まれた領域は、該半導体発光素子を封止する封止樹脂により覆われており、そのことにより上記目的が達成される。
【0028】
本発明は、上記発光装置において、前記突起部は、前記配線基板と同一の材料で構成されていることが好ましい。
【0029】
本発明は、上記発光装置において、前記突起部は、前記配線基板の表面を変形させて形成されたものであることが好ましい。
【0030】
本発明は、上記発光装置において、前記突起部および前記配線基板の構成材料はセラミックであることが好ましい。
【0031】
本発明は、上記発光装置において、前記突起部は、前記配線基板上に配置された該半導体発光素子を囲むよう形成されていることが好ましい。
【0032】
本発明は、上記発光装置において、前記突起部の平面形状は、楕円形状あるいは円形形状、または矩形形状の角部を曲線状にした形状であることが好ましい。
【0033】
本発明は、上記発光装置において、前記突起部は、前記配線基板上に配置された該半導体発光素子を囲むよう、多重に形成されていることが好ましい。
【0034】
本発明は、上記発光装置において、前記突起部は、均一な高さを有することが好ましい。
【0035】
本発明は、上記発光装置において、前記突起部の高さは100um以下であることが好ましい。
【0036】
本発明は、上記発光装置において、前記突起部の断面形状は三角形形状であることが好ましい。
【0037】
本発明は、上記発光装置において、前記突起部の断面形状は、前記三角形形状の頂点が前記半導体発光素子が配置された領域の中心から外側に向かう方向にシフトした形状となっていることが好ましい。
【0038】
本発明は、上記発光装置において、前記突起部の断面形状は、二等辺三角形形状であることが好ましい。
【0039】
本発明は、上記発光装置において、前記突起部の断面形状は、二等辺三角形形状の2つの斜辺を凹状に湾曲させた形状を有することが好ましい。
【0040】
本発明は、上記発光装置において、前記配線基板の前記突起部の両側には、凹部が形成されていることが好ましい。
【0041】
本発明は、上記発光装置において、前記封止樹脂は、蛍光体を混入したものであることが好ましい。
【0042】
本発明に係る発光装置の製造方法は、半導体発光素子をパッケージ内に封入してなる発光装置を製造する方法であって、配線基板上に該半導体発光素子を実装するステップと、該配線基板上に実装した半導体発光素子を樹脂封止するステップとを含み、該配線基板は、その表面の該半導体発光素子を実装する領域の周囲に、該半導体発光素子を封止する封止樹脂を堰き止めるよう形成された突起部を有し、該半導体発光素子を樹脂封止するステップは、該配線基板の、該突起部により囲まれた領域に封止樹脂を、該封止樹脂が該半導体発光素子を覆うよう供給するステップを含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0043】
本発明は、上記発光装置の製造方法において、該半導体発光素子を樹脂封止するステップは該配線基板の、該突起部により囲まれた領域には、蛍光体を含む封止樹脂を供給するステップを含むことが好ましい。
【0044】
本発明は、上記発光装置の製造方法において、該半導体発光素子を樹脂封止するステップは該配線基板の、該突起部により囲まれた領域に、蛍光体を含む封止樹脂を供給して、該半導体発光素子を該封止樹脂により封止した後、該封止樹脂の外側を表面樹脂により被覆するステップを含むことが好ましい。
【0045】
本発明に係る発光装置の製造方法は、半導体発光素子をパッケージ内に封入してなる発光装置を製造する方法であって、該パッケージを構成する配線基板を作製するステップと、該配線基板上に該半導体発光素子を実装するステップと、該配線基板上に実装した半導体発光素子を樹脂封止するステップとを含み、該配線基板を作製するステップは、支持部材上に所定の粘性を有する絶縁性材料膜を該配線基板の材料として形成するステップと、該絶縁性材料膜の表面に加工金型を用いて環状に突起部を形成するステップとを含み、該突起部を形成するステップは、該加工金型の加工面に環状に形成した刃先を該絶縁性材料膜に接触させた後に、該絶縁性材料膜の表面に該突起部が形成されるよう該絶縁性材料膜から該加工金型の刃先を引き上げるステップを含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0046】
本発明は、上記発光装置の製造方法において、該半導体発光素子を樹脂封止するステップは、該配線基板の、該突起部により囲まれた領域に封止樹脂を、該封止樹脂が該半導体発光素子を覆うよう供給するステップを含むことが好ましい。
【0047】
本発明に係る電気機器は、発光装置を備えた電気機器であって、該発光装置は、上述した本発明に係る発光装置であり、そのことにより上記目的が達成される。
【0048】
次に作用について説明する。
【0049】
本発明においては、半導体発光素子のパッケージを構成する配線基板を、その表面の該半導体発光素子が配置された領域の周囲に、該半導体発光素子を封止する封止樹脂を堰き止めるよう形成された突起部を有する構造としたので、モールド樹脂を配線基板の実装領域に半導体発光素子を覆うよう注入する際、樹脂堰止部材を用いることなく、このモールド樹脂が配線基板の実装領域から食み出すのを防止することができる。
【0050】
例えば、配線基板を製造する際に、その材料であるセラミック膜の硬度が低い(柔らかい)段階で、環状の刃先を有する加工金型を、セラミック膜に押し込み、つまり少なくとも接触させて、引き上げて突起部を形成するので、配線基板に簡単に封止樹脂を堰き止める突起部を形成することができる。
【0051】
またその際、刃先の引き上げにより形成される突起部に空気(エアー)を吹き付けて突起を外側に倒すことも可能である。
【0052】
また、セラミック板の温度、金型の温度押し当て速度などの調整により凹み部を設けることも可能である。
【発明の効果】
【0053】
以上のように、本発明によれば、半導体発光素子のパッケージを構成する配線基板を、その表面の該半導体発光素子が配置された領域の周囲に、該半導体発光素子を封止する封止樹脂を堰き止めるよう形成された突起部を有する構造としたので、モールド樹脂を配線基板の実装領域に半導体発光素子を覆うよう注入する際、樹脂堰止部材を用いることなく、このモールド樹脂が配線基板の実装領域から食み出すのを防止することができ、これにより、半導体発光素子を樹脂封止する工程で樹脂堰止部材を不要とでき、発光装置の製造に用いる部品点数を削減するとともに、樹脂堰止部材の貼り付けおよび剥し工程を省くことができ、この結果、製造コストの低減および製造プロセスの簡略化を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明の実施形態1による発光装置を説明する図であり、図1(a)は、該発光装置の構造を示す平面図、図1(b)は、図1(a)のIa−Ia線断面図である。
【図2】図2は、上記実施形態1の発光装置を構成する配線基板を説明する図であり、図2(a)は、該配線基板の構造を示す平面図、図2(b)は、図2(a)のIIa−IIa線断面図、図2(c)は、図2(b)のX部分を拡大して示す図である。
【図3】図3は、上記実施形態1の発光装置を製造する方法を説明する図であり、図3(a)〜図3(d)は、その主要工程における断面構造を示している。
【図4】図4は、上記実施形態1の発光装置を構成する配線基板の加工方法を説明する図であり、図4(a)は、この加工方法に用いる加工金型の加工面の構造を示す平面図、図4(b)は、図4(a)のIVa−IVa線断面図、図4(c)は、図4(b)のY部分を拡大して示す断面図である。
【図5】図5は、上記実施形態1の発光装置を構成する配線基板の加工方法を説明する図であり、図5(a)〜図5(d)は、その主要工程における該加工金型と該絶縁性基板との位置関係を示している。
【図6】図6は、上記実施形態1の発光装置を構成する配線基板の加工方法で用いる加工金型の他の構造を説明する図であり、図6(a)及び(b)は、加工金型の刃先の構造として、図4に示す構造とは異なる構造を示す断面図、図6(c)は、図6(a)に示す加工金型を用いた加工を示している。
【図7】図7は、上記実施形態1の発光装置を構成する配線基板の加工方法で用いる加工金型の他の構造を説明する図であり、加工金型本体に対して加工刃先部を着脱可能な構造とした加工金型を示している。
【図8】図8は、本発明の他の実施形態による発光装置を説明する図であり、図8(a)は、本発明の実施形態2による発光装置の構造を示す平面図、図8(b)は、本発明の実施形態3による発光装置を構成する配線基板の構造を示す断面図である。
【図9】図9は、従来の発光装置を説明する図であり、図9(a)は、従来の発光装置の構造を示す平面図、図9(b)は、図9(a)のIXa−IXa線断面図である。
【図10】図10は、図9に示す従来の発光装置を製造する方法を説明する図であり、図10(a)〜図10(d)は、その主要工程における断面構造を示している。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0056】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による発光装置を説明する図であり、図1(a)は、該発光装置の構造を示す平面図、図1(b)は、図1(a)のIa−Ia線断面図である。
【0057】
この実施形態1による発光装置100は、2重ドームタイプのLEDパッケージ内に半導体発光素子(LDEチップ)を封入してなるものであり、セラミックなどの絶縁性材料からなる配線基板110と、該配線基板110上に載置されたLEDチップ(半導体発光素子)Lcと、該LEDチップLcを封止する1次モールド樹脂130と、該1次モールド樹脂130を覆うよう形成された2次モールド樹脂140とを有している。
【0058】
ここで、LEDパッケージは、該配線基板110と、第1および第2のモールド樹脂130および140により構成されている。
【0059】
そして、配線基板110は、その表面の該LEDチップLcが配置された領域(実装領域)Rmの周囲に、該LEDチップLcを封止する1次モールド樹脂130を堰き止めるよう形成された突起部110aを有し、該配線基板110の該突起部110aにより囲まれた領域(実装領域)Rmは、該LEDチップLcを封止する1次モールド樹脂130により覆われている。
【0060】
また、突起部110aは、配線基板110と同一の材料で、該配線基板110と一体に形成されている。この突起部110aの平面形状は円形形状となっている。ただし、この突起部の平面形状は円形形状に限定されるものではなく、楕円形状であってもよく、さらには、正方形や長方形などの矩形形状、あるいはこれらの矩形形状の角部を面取りして滑らかな曲線状にした形状としてもよい。
【0061】
また、ここでは、前記突起部110aは、均一な高さを有する構造とし、100um以下で、かつ実装領域に充填した1次モールド樹脂が該実装領域から食み出さない程度の高さ(例えば、50um)以上に設定している。
【0062】
上記突起部110aの最高高さは、LEDチップの厚みやボンディングワイヤの配置、またLEDチップあるいはボンディングワイヤと2次モールド樹脂との位置関係に基づいて決定され、また最低高さは、1次モールド樹脂の粘性、その充填量などから決定される。
【0063】
図2は、上記実施形態1の発光装置を構成する配線基板を説明する図であり、図2(a)は、該配線基板の構造を示す平面図、図2(b)は、図2(a)のIIa−IIa線断面図、図2(c)は、図2(b)のX部分を拡大して示す図である。
【0064】
ここでは、上記突起部110aは、図2(c)に示すように、二等辺三角形形状の2つの斜辺を凹状に湾曲させた形状を有する断面形状としている。さらに、この突起部110aは、その頂点が実装領域の中央から外側にシフトした構造としている。
【0065】
ただし、上記突起部の断面形状はこのような形状に限定されるものではなく、二等辺三角形形状やそれ以外の三角形形状であってもよい。
【0066】
なお、本実施形態の発光装置100においても、LEDチップLcは青色光を発生するものとし、1次モールド樹脂130には、この発光装置100の発光光が白色光となるよう、黄色蛍光体のみ、あるいは、赤色および緑色蛍光体が混入されたシリコン系樹脂を用いている。また、2次モールド樹脂140には、蛍光体を混入しない透明のシリコン系樹脂を用いている。また、LEDチップLcに電気供給を行なうために、LEDチップLcのチップ電極(図示せず)と配線基板110上に形成された導体層(図示せず)とは、ボンディングワイヤBwとしてのAu線により接続されている。なお、導体層(図示せず)は、配線基板110に形成され、外部電源(図示せず)に接続される外部端子(図示せず)と電気的に接続されている。
【0067】
次に、上記発光装置の製造方法について説明する。
【0068】
図3は、上記実施形態1の発光装置を製造する方法を説明する図であり、図3(a)〜図3(d)は、その主要工程における断面構造を示している。
【0069】
この実施形態1による発光装置100の製造方法は、半導体発光素子をパッケージ内に封入してなる発光装置を製造するものであり、以下工程順に説明する。
【0070】
まず、配線基板として、LEDチップを実装する実装領域Rmにこれを囲むよう突起部110aを形成した配線基板110を準備する(図3(a))。なお、この配線基板110には、電気的な接続を行う為の導体層が形成されている。
【0071】
次に、該配線基板(以下、セラミック基板ともいう。)110の実装領域Rmに該LEDチップLcをダイボンドなどにより固着し、該LEDチップLcのチップ電極(図示せず)と配線基板110の導体層(図示せず)を、Au線(ボンディングワイヤ)Bwを用いたワイヤボンディングにより電気的に接続して、該配線基板110上にLEDチップLcを実装する(図3(b))。
【0072】
次に、該配線基板110の実装領域Rmに、蛍光体が混入されたシリコン系樹脂を1次モールド樹脂130として注入する(図3(c))。
【0073】
このとき、注入する1次モールド樹脂の量は、該1次モールド樹脂により上記LEDチップLcが完全に被覆され、かつ、該1次モールド樹脂130が、実装領域Rmの周りに形成されている突起部110aによる樹脂堰止作用と、該1次モールド樹脂の表面張力とにより、該実装領域Rmから溢れないような量に調整する。
【0074】
次に、充填した1次モールド樹脂130が乾燥固化した後、配線基板110の全面に、該1次モールド樹脂130を覆うよう2次モールド樹脂140として形成する。
【0075】
なお、この2次モールド樹脂140の形成は、従来の発光装置の製造方法で説明した方法と同様に行われる。
【0076】
つまり、上記配線基板110の複数の実装領域Rmに対応した凹部を有するモールド金型を用い、このモールド金型の凹部に2次モールド樹脂140としての透明のシリコン系樹脂を充填しておき、この状態で、上記1次モールド樹脂を形成した後の配線基板110を、1次モールド樹脂130で封止したLEDチップLcが該モールド金型の凹部内に収容されるようモールド金型の表面に圧接し、上記透明のシリコン系樹脂を熱処理により乾燥固化する。その後、該モールド金型からセラミック基板を引き離して、2次モールド樹脂が形成された配線基板を得る。
【0077】
その後、配線基板110を分割により各実装領域Rm毎に分離して発光装置100を得る(図1(a)および(b))。
【0078】
次に、LEDチップを実装する実装領域にこれを囲むよう突起部110aを形成した配線基板110を製造する方法について説明する。
【0079】
図4は、上記実施形態1の発光装置を構成する配線基板の製造方法を説明する図であり、図4(a)は、この製造方法に用いる加工金型の加工面の構造を示す平面図、図4(b)は、図4(a)のIVa−IVa線断面図、図4(c)は、図4(b)のY部分を拡大して示す断面図である。
【0080】
この加工金型Mは、その加工面Msに環状に形成した刃先Mpを有している。また、この加工金型Mは、その加工面Msの刃先Mpの内側に、空気を吹き出すための空気吹出口Mhを形成したものであり、この加工金型Mの構成材料には、配線基板を構成するセラミック材料との濡れ性を考慮して、該所定の粘度を有するセラミック材料に該加工金型の刃先が接触したとき、該刃先にセラミック材料が弾くことなく付着する程度の濡れ性を有する材料が用いられる。ここで、該加工金型Mの刃先Mpの断面形状は、図4(c)に示すように二等辺三角形形状としている。
【0081】
また、ここでは、加工金型Mは、その加工面Msには左右一対の刃先Mpを形成したものを示しているが、加工金型は、配線基板上に設定されている複数の実装領域、例えば、マトリクス状に並ぶよう設定されている複数の実装領域Rmのそれぞれに対応する複数の刃先をその加工面に形成したものでもよい。
【0082】
図5は、上記実施形態1の発光装置を構成する配線基板の製造方法を説明する図であり、図5(a)〜図5(d)は、その主要工程における該加工金型と該配線基板との位置関係を示している。
【0083】
この配線基板の製造方法は、上記LEDチップLcを収容するLEDパッケージを構成する配線基板を製造する方法である。
【0084】
具体的には、所定の支持部材、例えば下側金型部材Mu上に、所定の粘性を有する絶縁性材料膜、例えばセラミック材料膜111を、該配線基板110の材料として形成し、該下側金型部材Muの上方に配置されている加工金型Mをその下面(加工面)Msの環状の刃先Mpが、該セラミック材料膜111に垂直に突き刺さるよう下降させる(図5(a))。
【0085】
次に、該加工金型Mの刃先Mpを、該刃先Mpがセラミック材料膜111を貫通しない程度の深さまで、(例えば、セラミック材料膜110の膜厚の1/2以下の厚さに相当する深さ、もしくは100〜200um程度の深さ)まで突き刺さし(図5(b))、その後、該セラミック材料膜に突き刺した該加工金型の刃先を、該セラミック材料膜111の表面に該突起部111aが形成されるよう該セラミック材料膜111から引き上げる(図5(c))。
【0086】
また、該セラミック材料膜111に接触させた該加工金型Mの刃先Mpを該セラミック材料膜111から引き上げる際、該刃先Mpの引き上げにより形成された該突起部111aが乾燥固化するよう該加工面Msの空気吹出口Mhから空気Aを吹き出す。
【0087】
また、この実施形態では、このように加工金型の刃先Mpをセラミック材料膜111から引き上げる際、加工面Msの空気吹出口Mhから噴出す空気Aの勢いを調整することにより、該刃先の引き上げにより該セラミック材料膜の表面に形成される突起部を、実装領域Rmに配置されたLEDチップの中心からその側方に向けて傾斜させる。
【0088】
その後、上記加工金型Mbをさらに上昇させて、その刃先Mpをセラミック材料膜111から引き離す(図5(d))。
【0089】
その後は、上記のように突起部111aを形成したセラミック材料膜111を焼成することにより、上記突起部110aを有する配線基板110を形成する。
【0090】
このように本発明の実施形態1では、LEDチップLcをパッケージ内に封入してなる発光装置100において、該パッケージを構成する配線基板(セラミック基板)110を、その表面の該LEDチップLcが配置される実装領域Rmの周囲に、該LEDチップLcを封止する1次モールド樹脂130を堰き止めるよう形成された突起部110aを有する構造としたので、1次モールド樹脂130を配線基板110の実装領域RmにLEDチップLcを覆うよう注入する際、樹脂堰止シートを用いることなく、この1次モールド樹脂130が配線基板110の実装領域Rmから食み出すのを防止することができ、これにより、LEDチップLcを樹脂封止する工程で樹脂堰止シートを不要とでき、製造に用いる部品点数を削減するとともに、樹脂堰止シートの貼り付けおよび剥し工程を省くことができ、この結果、製造コストの低減および製造プロセスの簡略化を図ることができる。
【0091】
また、本実施形態では、配線基板の製造工程において、その硬度が低い(柔らかい)段階で、環状状の突起部を設けた加工金型の刃先をセラミック材料膜に押し込み、つまり少なくとも接触させ、その後、該刃先を引き上げて突起部を形成するので、配線基板の表面に簡単に封止樹脂を堰き止める部分を形成することができる。
【0092】
また、その際、エアーを吹き付けて突起部を実装領域の外側に向けて倒すことも可能であり、これにより、突起部による樹脂の堰止効果を変えて、実装領域に注入する樹脂の量などに応じた突起部の形状とすることができる。
【0093】
また、セラミック材料膜の温度、加工金型の温度、押し当て速度、引き上げ速度などの調整により、突起部の周囲に凹み部を形成することも可能であり、また、場合によっては、突起部をなくし、環状の凹み部のみを形成することで、基板平面上で180°方向(つまり、基板表面に平行な水平方向)にも発光することができる。
【0094】
なお、上記実施形態1では、発光装置は、LEDチップを1次モールド樹脂と2次モールド樹脂で2重に封止したものを示したが、発光装置は、1次モールド樹脂のみでLEDチップを封止したものでもよい。
【0095】
また、図6は、上記実施形態1の発光装置を構成する配線基板の製造方法で用いる加工金型の他の構造を説明する図であり、図6(a)及び(b)は、加工金型の刃先の構造として、図4に示す構造とは異なる構造を示す断面図、図6(c)は、図6(a)に示す加工金型を用いた加工を示している。
【0096】
これらの加工金型は、実施形態1で説明した図4に示す加工金型における刃先の構造を変更したものである。
【0097】
具体的には、上記配線基板の製造に用いる加工金型の刃先として、図6(a)および(b)に示すように、刃先の先端をギザギザ形状(複数の凹凸形状)に加工したものとしてもよく、例えば、図6(a)に示す刃先Mp2の先端Mp2aはギザギザ形状として2つの山を形成したもの、図6(b)に示す刃先Mp3の先端Mp3aはギザギザ形状として3つの山を形成したものである。
【0098】
また図6(c)は、図6(a)に示す先端Mp2aを有する刃先Mp2を用いて突起部を形成する工程を示しており、この場合、セラミック材料膜の粘度と、刃先とセラミック材料との濡れ性にもよるが、刃先の先端を2山のギザギザ形状とすることで、セラミック材料膜と刃先Mp2の先端Mp2aとの接触面積が広がり、セラミック材料膜から刃先に付着して引き上げられるセラミック材料の量が多くなり、この刃先の引き上げにより形成された突起部112aの周囲に窪み部112bを形成することも可能である。このような窪み部112bにより、その上に形成される1次モールド樹脂と配線基板との接触面積の増大などにより接着強度を高めることも可能となる。
【0099】
図7は、上記実施形態1の発光装置を構成する絶縁性基板の加工方法で用いる加工金型の他の構造を説明する図であり、加工金型本体に対して加工刃先部を着脱可能な構造とした加工金型を示している。
【0100】
この加工金型M1は、加工面Ms2aに形成された刃先Mp2を含む刃先形成部Mb2と、該刃先形成部Mb2を保持する金型本体部Mb1とを有し、該刃先形成部Mb2を該金型本体部Mb1に着脱可能な構造としたものである。
【0101】
つまり、上記刃先形成部Mb2は、その加工面Ms2aに、図4に示す加工金型Mにおける刃先Mpと同一構造の刃先Mp2を形成し、さらに、図4に示す加工金型Mと同様に、空気吹出口Mh2を形成したものであり、上記金型本体部Mb1に形成した係合溝Mb1aに係合する係合突出部Mb2aが、加工面Ms2aと反対側の金型本体部Mb1との接合面Ms2bに形成されている。また金型本体部Mb1にも、刃先形成部Mb2の空気吹出口Mh2と一致した位置に空気吹出口Mh1が形成されている。
【0102】
このような構造の加工金型M1では、刃先形成部を金型本体部に着脱可能な構造となっているため、刃先がセラミック材料膜との接触により磨耗した場合や形状変更などの場合は、加工金型全体ではなく、その刃先形成部Mb2の交換により刃先を修復することができ、経済的であるとともに、加工金型の修復作業も簡単にすることができる。
【0103】
なお、上記実施形態1では、発光装置を構成する配線基板の製造方法について説明したが、グリーンシートと呼ばれる焼成前(硬化前)の柔らかいセラミック基板(以下、セラミックシートという。)を準備できる場合は、このセラミックシートを加工するだけで、上記配線基板を得ることができる。
【0104】
以下、簡単に、セラミックシートの加工方法について、図5を用いて説明する。
【0105】
加工台上に載置したセラミックシートの表面に、加工台上に配置されている加工金型M(図5(a)参照)をその下面(加工面)Msの環状の刃先Mpが、該セラミックシートの表面に垂直に突き刺さるよう下降させる。
【0106】
その後は、該加工金型Mの刃先Mpを、該刃先Mpがセラミックシートを貫通しない程度の深さまで、まで突き刺さし(図5(b))、該セラミックシートに突き刺した該加工金型の刃先を、該セラミックシートの表面に該突起部が形成されるよう該セラミックシートから引き上げる。その際、該刃先Mpの引き上げにより形成された該突起部が乾燥固化するよう該加工面Msの空気吹出口Mhから空気Aを吹き出す(図5(c))。
【0107】
さらに、このように加工金型の刃先Mpをセラミックシートから引き上げる際、加工面Msの空気吹出口Mhから噴出す空気Aの勢いを調整することにより、該刃先の引き上げにより該セラミックシートの表面に形成される突起部を、実装領域Rmに配置されたLEDチップの中心からその側方に向けて傾斜させることもできる。
【0108】
その後、上記加工金型Mbをさらに上昇させて、その刃先Mpをセラミックシートから引き離す(図5(d))。
【0109】
その後は、上記のように突起部を形成したセラミックシートを焼成することにより、上記突起部を有するセラミック基板(配線基板)を形成する。
【0110】
このようにして、焼成前の軟らかいセラミック基板であるグリーンシートを使用して、その表面に対して、上記加工金型を用いた方法にて環状状の突起物を形成してもよい。
【0111】
(実施形態2)
図8は、本発明の他の実施形態による発光装置を説明する図であり、図8(a)は、本発明の実施形態2による発光装置の構造を示す平面図である。
【0112】
この実施形態2による発光装置101は、実施形態1の発光装置100における、平面円形形状の突起部110aを有する配線基板110に代えて、平面矩形形状の突起部113aを有する配線基板113を用いたものである。また、この発光装置101では、LEDチップLcを封止する1次モールド樹脂131の平面形状も、上記突起部113aの平面形状に応じた矩形形状となっており、さらに、1次モールド樹脂131を覆う2次モールド樹脂141も平面矩形形状となっている。
【0113】
その他の構成は、上記実施形態1の発光装置100と同一である。
【0114】
このような構成の本発明の実施形態2による発光装置101においても、上記実施形態1の発光装置100と同様の効果が得られる。
【0115】
(実施形態3)
図8(b)は、本発明の実施形態3による発光装置を構成する配線基板の構造を示す断面図である。
【0116】
この実施形態3の発光装置を構成する配線基板114は、その表面のLEDチップLcを実装する実装領域毎に、実施形態1の配線基板110に形成した突起部を、配線基板の実装領域を囲むよう2重に形成したものであり、その他の構成は実施形態1における配線基板110と同一である。つまり、この実施形態3の配線基板114は、実施形態1の配線基板110の各実装領域Rmに形成されている平面円形形状の突起部110aに代えて、直径が異なる2重の平面円形形状の突起部、つまり内側の環状突起部114a(内側環状突起部)と外側の環状突起部114b(外側環状突起部)とを有するものである。
【0117】
このような2重の突起部は、図4で説明した加工金型Mに代えて、上記配線基板に形成すべき内側の環状突起部114aと外側の環状突起部114bとに対応する2重の刃先を有する加工金型を用いることにより簡単に形成することができる。
【0118】
さらに、上記実施形態1〜3では、特に説明しなかったが、上記実施形態1〜3の発光装置は、照明装置、表示装置などの電気機器の光源装置として用いることができ、例えば液晶ディスプレイのバックライトとして用いることができる。
【0119】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、配線基板の加工方法及びその製造方法、発光装置及びその製造方法、並びに電気機器の分野において、半導体発光素子(LEDチップ)を樹脂封止する工程で樹脂堰止部材を不要とでき、製造に用いる部品点数を削減するとともに、樹脂堰止部材の貼り付けおよび剥し工程を省くことができ、この結果、製造コストの低減および製造プロセスの簡略化を図ることができる配線基板の製造方法及び加工方法、発光装置及びその製造方法、並びにこのような発光装置を用いた電気機器を得ることができる。
【符号の説明】
【0121】
100、101 発光装置
101a、110a、112 環状突起部
110、111、112、113、114 配線基板
112b 窪み部
114a 内側環状突起部
114b 外側環状突起部
130、131 1次モールド樹脂
140、141 2次モールド樹脂
A 空気
Bw ボンディングワイヤ(Au線)
M、M1 加工金型
Mb、Mb1 金型本体部
Mb1a 係合溝
Mb2 刃先形成部
Mb2a 係合突出部
Mh、Mh1、Mh2 空気吹出口
Mp、Mp1、Mp2、Mp3 環状刃先
Mp1a、Mp2a、Mp3a 環状刃先端
Ms、Ms2a 加工面
Ms2b 接合面
Lc LEDチップ
Rm 実装領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子を収容する樹脂封止パッケージを構成する配線基板を加工する方法であって、
該配線基板の表面を硬化する前に、該配線基板の表面に加工金型を用いて環状に突起部を形成するステップを含み、
該加工金型は、その加工面に環状に形成した刃先を有し、
該突起部を形成するステップでは、
硬化前の該配線基板の表面に接触させた該加工金型の刃先を、硬化前の該配線基板の表面に該突起部が形成されるよう硬化前の該配線基板の表面から引き上げる、配線基板の加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板の加工方法において、
前記加工金型は、
その加工面の刃先の内側に、空気を吹き出すための空気吹出口を形成したものであり、
前記突起部を形成するステップでは、
硬化前の前記配線基板の表面に接触させた該加工金型の刃先を硬化前の該配線基板の表面から引き上げる際、該刃先の引き上げにより形成された該突起部が乾燥固化するよう該加工面の空気吹出口から空気を吹き出す、配線基板の加工方法。
【請求項3】
請求項2に記載の配線基板の加工方法において、
前記突起部を形成するステップでは、
硬化前の前記配線基板の表面に接触させた前記加工金型の刃先を硬化前の該配線基板の表面から引き上げる際、該刃先の引き上げにより形成された該突起部が該刃先の外側に傾いて乾燥固化するよう、該加工面の空気吹出口から空気を吹き出す、配線基板の加工方法。
【請求項4】
請求項1に記載の配線基板の加工方法において、
前記加工金型は、前記加工面に形成された刃先を含む刃先形成部と、該刃先形成部を保持する金型本体部とを有し、該刃先形成部を該金型本体部に着脱可能な構造としたものである、配線基板の加工方法。
【請求項5】
請求項1に記載の配線基板の加工方法において、
前記加工金型は、その加工面に環状に形成した刃先を複数有し、
硬化前の前記配線基板の表面に接触させた該加工金型の刃先を硬化前の該配線基板の表面から引き上げる際、該刃先の引き上げにより硬化前の該配線基板の表面に該突起部が複数形成される、配線基板の加工方法。
【請求項6】
請求項1に記載の配線基板の加工方法において、
前記加工金型は、その加工面に環状に形成した刃先の先端をギザギザ形状に加工したものである、配線基板の加工方法。
【請求項7】
半導体発光素子を収容する樹脂封止パッケージを構成する配線基板を製造する方法であって、
支持部材上に所定の粘性を有する絶縁性材料膜を該配線基板の材料として形成するステップと、
該絶縁性材料膜の表面に加工金型を用いて環状に突起部を形成するステップとを含み、
該加工金型は、その加工面に環状に形成した刃先を有し、
該突起部を形成するステップでは、
該絶縁性材料膜に接触させた該加工金型の刃先を、該絶縁性材料膜の表面に該突起部が形成されるよう該絶縁性材料膜から引き上げる、配線基板の製造方法。
【請求項8】
半導体発光素子をパッケージ内に封入してなる発光装置であって、
該パッケージを構成する配線基板は、その表面の該半導体発光素子が配置された領域の周囲に、該半導体発光素子を封止する封止樹脂を堰き止めるよう形成された突起部を有し、
該配線基板の該突起部により囲まれた領域は、該半導体発光素子を封止する封止樹脂により覆われている、発光装置。
【請求項9】
請求項8に記載の発光装置において、
前記突起部は、前記配線基板と同一の材料で構成されている、発光装置。
【請求項10】
請求項9に記載の発光装置において、
前記突起部は、前記配線基板の表面を変形させて形成されたものである、発光装置。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の発光装置において、
前記突起部および前記配線基板の構成材料はセラミックである、発光装置。
【請求項12】
請求項8に記載の発光装置において、
前記突起部は、前記配線基板上に配置された該半導体発光素子を囲むよう形成されている、発光装置。
【請求項13】
請求項12に記載の発光装置において、
前記突起部の平面形状は、楕円形状あるいは円形形状、または矩形形状の角部を曲線状にした形状である、発光装置。
【請求項14】
請求項12に記載の発光装置において、
前記突起部は、前記配線基板上に配置された該半導体発光素子を囲むよう、多重に形成されている、発光装置。
【請求項15】
請求項12に記載の発光装置において、
前記突起部は、均一な高さを有する、発光装置。
【請求項16】
請求項15に記載の発光装置において、
前記突起部の高さは100um以下である、発光装置。
【請求項17】
請求項12に記載の発光装置において、
前記突起部の断面形状は三角形形状である、発光装置。
【請求項18】
請求項17に記載の発光装置において、
前記突起部の断面形状は、前記三角形形状の頂点が前記半導体発光素子が配置された領域の中心から外側に向かう方向にシフトした形状となっている、発光装置。
【請求項19】
請求項18に記載の発光装置において、
前記突起部の断面形状は、二等辺三角形形状である、発光装置。
【請求項20】
請求項19に記載の発光装置において、
前記突起部の断面形状は、二等辺三角形形状の2つの斜辺を凹状に湾曲させた形状を有する、発光装置。
【請求項21】
請求項12に記載の発光装置において、
前記配線基板の前記突起部の両側には、凹部が形成されている、発光装置。
【請求項22】
請求項8に記載の発光装置において、
前記封止樹脂は、蛍光体を混入したものである、発光装置。
【請求項23】
半導体発光素子をパッケージ内に封入してなる発光装置を製造する方法であって、
配線基板上に該半導体発光素子を実装するステップと、
該配線基板上に実装した半導体発光素子を樹脂封止するステップとを含み、
該配線基板は、その表面の該半導体発光素子を実装する領域の周囲に、該半導体発光素子を封止する封止樹脂を堰き止めるよう形成された突起部を有し、
該半導体発光素子を樹脂封止するステップは、
該配線基板の、該突起部により囲まれた領域に封止樹脂を、該封止樹脂が該半導体発光素子を覆うよう供給するステップを含む、発光装置の製造方法。
【請求項24】
請求項23に記載の発光装置の製造方法において、
該半導体発光素子を樹脂封止するステップは
該配線基板の、該突起部により囲まれた領域には、蛍光体を含む封止樹脂を供給するステップを含む、発光装置の製造方法。
【請求項25】
請求項24に記載の発光装置の製造方法において、
該半導体発光素子を樹脂封止するステップは
該配線基板の、該突起部により囲まれた領域に、蛍光体を含む封止樹脂を供給して、該半導体発光素子を該封止樹脂により封止した後、該封止樹脂の外側を表面樹脂により被覆するステップを含む、発光装置の製造方法。
【請求項26】
半導体発光素子をパッケージ内に封入してなる発光装置を製造する方法であって、
該パッケージを構成する配線基板を作製するステップと、
該配線基板上に該半導体発光素子を実装するステップと、
該配線基板上に実装した半導体発光素子を樹脂封止するステップとを含み、
該配線基板を作製するステップは、
支持部材上に所定の粘性を有する絶縁性材料膜を該配線基板の材料として形成するステップと、
該絶縁性材料膜の表面に加工金型を用いて環状に突起部を形成するステップとを含み、
該突起部を形成するステップは、
該加工金型の加工面に環状に形成した刃先を該絶縁性材料膜に接触させた後に、該絶縁性材料膜の表面に該突起部が形成されるよう該絶縁性材料膜から該加工金型の刃先を引き上げるステップを含む、発光装置の製造方法。
【請求項27】
請求項26に記載の発光装置の製造方法において、
該半導体発光素子を樹脂封止するステップは、
該配線基板の、該突起部により囲まれた領域に封止樹脂を、該封止樹脂が該半導体発光素子を覆うよう供給するステップを含む、発光装置の製造方法。
【請求項28】
発光装置を備えた電気機器であって、
該発光装置は、請求項8に記載の発光装置である電気機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−209417(P2012−209417A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73665(P2011−73665)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】