配線基板の製造方法
【課題】 信頼性の高い配線基板を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】 チオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を含有するめっき液20を利用して、ベース基板10に設けられた配線パターン12に無電解メッキ処理を行う。アミンを含有する溶剤30を利用してベース基板10を洗浄する。その後、ベース基板10にレジスト層40を形成する。
【解決手段】 チオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を含有するめっき液20を利用して、ベース基板10に設けられた配線パターン12に無電解メッキ処理を行う。アミンを含有する溶剤30を利用してベース基板10を洗浄する。その後、ベース基板10にレジスト層40を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無電解めっき工程によって、配線パターンにめっき層を形成することが知られている。信頼性の高い配線基板を製造するためには、めっき工程後にめっき液を除去することが好ましい。そして、めっき液を除去する工程を短時間で行うことができれば、信頼性の高い配線基板を効率よく製造することが出来る。
【0003】
本発明の目的は、信頼性の高い配線基板を効率よく製造する方法を提供することにある。
【特許文献1】特開2002−124547号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)本発明に係る配線基板の製造方法は、チオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を含有するめっき液を利用して第1の無電解めっき処理を行い、ベース基板に設けられた配線パターンにめっき層を形成すること、
アミンを含有する溶剤を利用して前記ベース基板を洗浄すること、その後、
前記ベース基板に、前記めっき層を部分的に覆うレジスト層を形成すること、及び、
前記めっき層における前記レジスト層からの露出部に、第2の無電解めっき処理を行うことを含む。本発明によれば、ベース基板の洗浄を、アミンを含有する溶剤を利用して行う。そのため、容易に、ベース基板上からめっき液を除去することができ、信頼性の高い配線基板を効率よく製造することができる。
(2)この配線基板の製造方法において、
前記第2の無電解めっき処理工程を、チオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を含有するめっき液を利用して行い、
前記第2の無電解めっき処理工程後に、アミンを含有する溶剤を利用して前記ベース基板を洗浄することをさらに含んでもよい。
(3)この配線基板の製造方法において、
前記配線パターンは、接着剤を介して前記ベース基板に固着されていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。図1〜図8は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【0006】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、図1及び図2に示す、ベース基板10を用意することを含んでもよい。ここで、図1は、ベース基板10の平面図であり、図2は、図1のII−II線断面の一部拡大図である。ベース基板10の材料や構造は特に限定されず、既に公知となっているいずれかの基板を利用してもよい。ベース基板10は、フレキシブル基板であってもよく、リジッド基板であってもよい。あるいは、ベース基板10は、テープ基板であってもよい(図1又は図4参照)。ベース基板10は、積層型の基板であってもよく、あるいは、単層の基板であってもよい。また、ベース基板10の外形も特に限定されるものではない。ベース基板10には、図1に示すように、配線パターン12が設けられてなる。配線パターン12は、ベース基板10の表面に設けられていてもよい。配線パターン12の構造や材料は特に限定されず、既に公知となっているいずれかの配線を利用してもよい。例えば、配線パターン12は、銅(Cu)、クローム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、チタンタングステン(Ti−W)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケルバナジウム(NiV)、タングステン(W)のうちのいずれかを積層して、あるいはいずれかの一層で形成されていてもよい。配線パターン12を形成する方法は特に限定されないが、ベース基板10の表面に導電箔を設け、それをパターニングすることによって形成してもよい。配線パターン12は、図2に示すように、接着剤14を介してベース基板10に固着されていてもよい。接着剤14の材料は特に限定されないが、エポキシ系の接着剤を利用してもよい。ただし、配線パターン12は、接着剤を利用せずにベース基板10に固着されていてもよい(図示せず)。
【0007】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、第1の無電解めっき処理を行うことを含む。第1の無電解めっき処理は、チオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を含有するめっき液20を利用して行う。第1の無電解めっき処理によって、配線パターン12にめっき層15を形成する(図3参照)。めっき処理を行うことによって、半導体チップ等の電子部品と電気的に接続することが容易な、信頼性の高い配線基板を形成することができる。無電解めっき処理工程は、ベース基板10(配線パターン12)をめっき液20に浸漬することを含んでいてもよい。めっき液20は、スズめっき液であってもよい。すなわち、めっき液20は、スズイオンを含む溶液であってもよい。このとき、配線パターン12は、銅配線であってもよい。そして、配線パターン12の表面をスズに置換して、めっき層15を形成してもよい。この場合、めっき層15は、Sn−Cu合金で形成されてもよい。ところで、本工程の直後は、通常、図3に示すように、ベース基板10上(接着剤14上)には、めっき液20の残渣が存在する。特に、配線パターン12間に、めっき液20が残留することがあった。配線基板の品質の劣化防止や、マイグレーションの発生を防止するためには、ベース基板10上からめっき液20の残渣を除去することが好ましい。そのため、本実施の形態に係る配線基板の製造方法では、めっき液20の残渣を取り除くための洗浄工程を行う。
【0008】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、アミンを含有する溶剤30を利用してベース基板10を洗浄することを含む。本工程は、例えば、図4に示すように、リール・トゥ・リール搬送によってベース基板10を溶剤30に浸漬することを含んでいてもよい。または、本工程は、シャワー洗浄、浸漬とシャワー洗浄の併用でもよい。そして、本工程によって、図5に示すように、ベース基板10及び配線パターン12(めっき層15)の表面から、めっき液20を除去する。配線パターン12が接着剤14によってベース基板10に固着されている場合、接着剤14の表面からめっき液20を除去してもよい。本実施の形態に係る配線基板の製造方法では、先に説明したように、めっき液20はチオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を有している。そのため、めっき工程後、ベース基板10上に残留するめっき液20中には、チオ尿素又はその誘導体から形成されたチオ尿素の錯体が存在している。例えば、配線パターン12の表面が銅である場合、めっき液20中には銅とチオ尿素の錯体が存在する。従って、チオ尿素の錯体に近い極性を有する溶剤(極性溶媒)を利用すれば、容易にチオ尿素の錯体を溶剤中に溶解させることができ、ベース基板10上(接着剤14上)から効率よくめっき液20を除去することができる。すなわち、チオ尿素の錯体と極性の近い、アミンを含有する溶剤30を利用することで、効率よくめっき液20を除去することができる。特に、配線パターン12が接着剤14によって固着されている場合、チオ尿素の錯体がイオン化して接着剤14の表面に引き寄せられ、めっき液20を除去しにくくなることがあった。しかし、この場合でも、アミンを含有する溶剤30を利用することで、容易にめっき液20を除去することができるため、効率よく配線基板を製造することができる。なお、溶剤30に含有されるアミンは、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N(β−アミノエチル)エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、イソプロパノールアミン及びN−エチルエタノールアミンのうちのいずれか1つ、又は、2つ以上であってもよい。あるいは、溶剤30は、前記アミン類とエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニールエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類とを含んでもよい。このとき、溶剤30に含まれるアミン類の濃度を20〜50%の範囲で混合することで、より洗浄効果を高めることができる。また、溶剤30は、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。これによれば、さらに効率よくめっき液20を除去することができる。また、洗浄工程は、溶剤30(あるいは、ベース基板10及び配線パターン12)を30℃以上、好ましくは50〜70℃に加熱し、攪拌しながら行ってもよい。これによれば、さらに効率よくめっき液20を除去することができる。洗浄工程は、さらに、ベース基板10上から、溶剤30を除去する工程を含んでいてもよい。
【0009】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、ベース基板10を加熱することを含んでいてもよい。このとき、めっき層15を加熱してもよい。本工程によって、めっき層15の表面にウイスカーが発生することを防止することができるため、信頼性の高い配線基板を製造することができる。
【0010】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、ベース基板10に、図6及び図7に示すように、めっき層15(配線パターン12)を部分的に覆うレジスト層40を形成することを含む。ここで、図7は、図6のVII−VII線断面の一部拡大図である。レジスト層40によって、めっき層15(配線パターン12)の腐食やショート等を防止することができるため、信頼性の高い配線基板を製造することができる。レジスト層40は、図6に示すように、開口42を有していてもよい。開口42からめっき層15(配線パターン12)の一部を露出させて、半導体チップなどの電子部品との電気的な接続に利用してもよい。本工程は、上述の洗浄工程の後に行う。そのため、ベース基板10とレジスト層40との間にめっき液20が残存することを防止することができ、めっき液20による品質の劣化や、マイグレーションが発生しにくい、信頼性の高い配線基板を製造することができる。
【0011】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、めっき層15におけるレジスト層40からの露出部に、第2の無電解めっき処理を行うことを含む。無電解めっき処理を二段階で行うことによって、配線パターン12のえぐれ(特に、レジスト層40の開口42近辺でのえぐれ)の発生を防止することができ、信頼性の高い配線基板を製造することができる。第2の無電解めっき処理によって、図8に示すように、めっき層15におけるレジスト層40からの露出部に、第2のめっき層17を形成してもよい。第2の無電解めっき処理を、チオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を含有するめっき液を利用して行ってもよい。このとき、第2の無電解めっき処理工程後に、アミンを含有する溶剤を利用してベース基板10を洗浄してもよい。これにより、効率よく洗浄工程を行えるため、配線基板を効率よく製造することができる。なお、この場合、めっき液20と同じ組成のめっき液を利用して、第2の無電解めっき処理工程を行ってもよい。
【0012】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、ベース基板10を加熱する工程を含んでいてもよい。このとき、第1及び第2のめっき層15,17を加熱してもよい。これにより、ウイスカーが発生しにくい、信頼性の高い配線基板を製造することができる。そして、検査工程や、ベース基板10を切断する工程等を経て、配線基板1を製造してもよい(図9参照)。ただし、ベース基板10を切断しない状態を指して、配線基板と称してもよい。
【0013】
そして、図9には、本発明を適用した実施の形態に係る方法で製造した配線基板1を有する電子モジュール1000を示す。電子モジュール1000では、配線基板1に半導体チップ2が実装されてなる。半導体チップ2を実装する方法は特に限定されず、既に公知となっている実装方法のいずれかを適用してもよい。なお、電子モジュール1000は、表示デバイスであってもよい。表示デバイスは、例えば液晶表示デバイスやEL(Electrical Luminescence)表示デバイスであってもよい。さらに、配線基板1を有する電子機器として、図10にノート型パーソナルコンピュータ2000を、図11に携帯電話3000を、それぞれ示す。
【0014】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図2】図2は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図3】図3は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図4】図4は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図5】図5は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図6】図6は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図7】図7は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図8】図8は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図9】図9は、本発明を適用した実施の形態に係る方法で製造した配線基板を有する電子モジュールを示す図である。
【図10】図10は、本発明を適用した実施の形態に係る方法で製造した配線基板を有する電子機器を示す図である。
【図11】図11は、本発明を適用した実施の形態に係る方法で製造した配線基板を有する電子機器を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
10 ベース基板、 12 配線パターン、 14 接着剤、 15 メッキ層、 20 めっき液、 30 溶剤、 40 レジスト層
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無電解めっき工程によって、配線パターンにめっき層を形成することが知られている。信頼性の高い配線基板を製造するためには、めっき工程後にめっき液を除去することが好ましい。そして、めっき液を除去する工程を短時間で行うことができれば、信頼性の高い配線基板を効率よく製造することが出来る。
【0003】
本発明の目的は、信頼性の高い配線基板を効率よく製造する方法を提供することにある。
【特許文献1】特開2002−124547号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)本発明に係る配線基板の製造方法は、チオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を含有するめっき液を利用して第1の無電解めっき処理を行い、ベース基板に設けられた配線パターンにめっき層を形成すること、
アミンを含有する溶剤を利用して前記ベース基板を洗浄すること、その後、
前記ベース基板に、前記めっき層を部分的に覆うレジスト層を形成すること、及び、
前記めっき層における前記レジスト層からの露出部に、第2の無電解めっき処理を行うことを含む。本発明によれば、ベース基板の洗浄を、アミンを含有する溶剤を利用して行う。そのため、容易に、ベース基板上からめっき液を除去することができ、信頼性の高い配線基板を効率よく製造することができる。
(2)この配線基板の製造方法において、
前記第2の無電解めっき処理工程を、チオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を含有するめっき液を利用して行い、
前記第2の無電解めっき処理工程後に、アミンを含有する溶剤を利用して前記ベース基板を洗浄することをさらに含んでもよい。
(3)この配線基板の製造方法において、
前記配線パターンは、接着剤を介して前記ベース基板に固着されていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。図1〜図8は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【0006】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、図1及び図2に示す、ベース基板10を用意することを含んでもよい。ここで、図1は、ベース基板10の平面図であり、図2は、図1のII−II線断面の一部拡大図である。ベース基板10の材料や構造は特に限定されず、既に公知となっているいずれかの基板を利用してもよい。ベース基板10は、フレキシブル基板であってもよく、リジッド基板であってもよい。あるいは、ベース基板10は、テープ基板であってもよい(図1又は図4参照)。ベース基板10は、積層型の基板であってもよく、あるいは、単層の基板であってもよい。また、ベース基板10の外形も特に限定されるものではない。ベース基板10には、図1に示すように、配線パターン12が設けられてなる。配線パターン12は、ベース基板10の表面に設けられていてもよい。配線パターン12の構造や材料は特に限定されず、既に公知となっているいずれかの配線を利用してもよい。例えば、配線パターン12は、銅(Cu)、クローム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、チタンタングステン(Ti−W)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケルバナジウム(NiV)、タングステン(W)のうちのいずれかを積層して、あるいはいずれかの一層で形成されていてもよい。配線パターン12を形成する方法は特に限定されないが、ベース基板10の表面に導電箔を設け、それをパターニングすることによって形成してもよい。配線パターン12は、図2に示すように、接着剤14を介してベース基板10に固着されていてもよい。接着剤14の材料は特に限定されないが、エポキシ系の接着剤を利用してもよい。ただし、配線パターン12は、接着剤を利用せずにベース基板10に固着されていてもよい(図示せず)。
【0007】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、第1の無電解めっき処理を行うことを含む。第1の無電解めっき処理は、チオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を含有するめっき液20を利用して行う。第1の無電解めっき処理によって、配線パターン12にめっき層15を形成する(図3参照)。めっき処理を行うことによって、半導体チップ等の電子部品と電気的に接続することが容易な、信頼性の高い配線基板を形成することができる。無電解めっき処理工程は、ベース基板10(配線パターン12)をめっき液20に浸漬することを含んでいてもよい。めっき液20は、スズめっき液であってもよい。すなわち、めっき液20は、スズイオンを含む溶液であってもよい。このとき、配線パターン12は、銅配線であってもよい。そして、配線パターン12の表面をスズに置換して、めっき層15を形成してもよい。この場合、めっき層15は、Sn−Cu合金で形成されてもよい。ところで、本工程の直後は、通常、図3に示すように、ベース基板10上(接着剤14上)には、めっき液20の残渣が存在する。特に、配線パターン12間に、めっき液20が残留することがあった。配線基板の品質の劣化防止や、マイグレーションの発生を防止するためには、ベース基板10上からめっき液20の残渣を除去することが好ましい。そのため、本実施の形態に係る配線基板の製造方法では、めっき液20の残渣を取り除くための洗浄工程を行う。
【0008】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、アミンを含有する溶剤30を利用してベース基板10を洗浄することを含む。本工程は、例えば、図4に示すように、リール・トゥ・リール搬送によってベース基板10を溶剤30に浸漬することを含んでいてもよい。または、本工程は、シャワー洗浄、浸漬とシャワー洗浄の併用でもよい。そして、本工程によって、図5に示すように、ベース基板10及び配線パターン12(めっき層15)の表面から、めっき液20を除去する。配線パターン12が接着剤14によってベース基板10に固着されている場合、接着剤14の表面からめっき液20を除去してもよい。本実施の形態に係る配線基板の製造方法では、先に説明したように、めっき液20はチオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を有している。そのため、めっき工程後、ベース基板10上に残留するめっき液20中には、チオ尿素又はその誘導体から形成されたチオ尿素の錯体が存在している。例えば、配線パターン12の表面が銅である場合、めっき液20中には銅とチオ尿素の錯体が存在する。従って、チオ尿素の錯体に近い極性を有する溶剤(極性溶媒)を利用すれば、容易にチオ尿素の錯体を溶剤中に溶解させることができ、ベース基板10上(接着剤14上)から効率よくめっき液20を除去することができる。すなわち、チオ尿素の錯体と極性の近い、アミンを含有する溶剤30を利用することで、効率よくめっき液20を除去することができる。特に、配線パターン12が接着剤14によって固着されている場合、チオ尿素の錯体がイオン化して接着剤14の表面に引き寄せられ、めっき液20を除去しにくくなることがあった。しかし、この場合でも、アミンを含有する溶剤30を利用することで、容易にめっき液20を除去することができるため、効率よく配線基板を製造することができる。なお、溶剤30に含有されるアミンは、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N(β−アミノエチル)エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、イソプロパノールアミン及びN−エチルエタノールアミンのうちのいずれか1つ、又は、2つ以上であってもよい。あるいは、溶剤30は、前記アミン類とエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニールエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類とを含んでもよい。このとき、溶剤30に含まれるアミン類の濃度を20〜50%の範囲で混合することで、より洗浄効果を高めることができる。また、溶剤30は、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。これによれば、さらに効率よくめっき液20を除去することができる。また、洗浄工程は、溶剤30(あるいは、ベース基板10及び配線パターン12)を30℃以上、好ましくは50〜70℃に加熱し、攪拌しながら行ってもよい。これによれば、さらに効率よくめっき液20を除去することができる。洗浄工程は、さらに、ベース基板10上から、溶剤30を除去する工程を含んでいてもよい。
【0009】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、ベース基板10を加熱することを含んでいてもよい。このとき、めっき層15を加熱してもよい。本工程によって、めっき層15の表面にウイスカーが発生することを防止することができるため、信頼性の高い配線基板を製造することができる。
【0010】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、ベース基板10に、図6及び図7に示すように、めっき層15(配線パターン12)を部分的に覆うレジスト層40を形成することを含む。ここで、図7は、図6のVII−VII線断面の一部拡大図である。レジスト層40によって、めっき層15(配線パターン12)の腐食やショート等を防止することができるため、信頼性の高い配線基板を製造することができる。レジスト層40は、図6に示すように、開口42を有していてもよい。開口42からめっき層15(配線パターン12)の一部を露出させて、半導体チップなどの電子部品との電気的な接続に利用してもよい。本工程は、上述の洗浄工程の後に行う。そのため、ベース基板10とレジスト層40との間にめっき液20が残存することを防止することができ、めっき液20による品質の劣化や、マイグレーションが発生しにくい、信頼性の高い配線基板を製造することができる。
【0011】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、めっき層15におけるレジスト層40からの露出部に、第2の無電解めっき処理を行うことを含む。無電解めっき処理を二段階で行うことによって、配線パターン12のえぐれ(特に、レジスト層40の開口42近辺でのえぐれ)の発生を防止することができ、信頼性の高い配線基板を製造することができる。第2の無電解めっき処理によって、図8に示すように、めっき層15におけるレジスト層40からの露出部に、第2のめっき層17を形成してもよい。第2の無電解めっき処理を、チオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を含有するめっき液を利用して行ってもよい。このとき、第2の無電解めっき処理工程後に、アミンを含有する溶剤を利用してベース基板10を洗浄してもよい。これにより、効率よく洗浄工程を行えるため、配線基板を効率よく製造することができる。なお、この場合、めっき液20と同じ組成のめっき液を利用して、第2の無電解めっき処理工程を行ってもよい。
【0012】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、ベース基板10を加熱する工程を含んでいてもよい。このとき、第1及び第2のめっき層15,17を加熱してもよい。これにより、ウイスカーが発生しにくい、信頼性の高い配線基板を製造することができる。そして、検査工程や、ベース基板10を切断する工程等を経て、配線基板1を製造してもよい(図9参照)。ただし、ベース基板10を切断しない状態を指して、配線基板と称してもよい。
【0013】
そして、図9には、本発明を適用した実施の形態に係る方法で製造した配線基板1を有する電子モジュール1000を示す。電子モジュール1000では、配線基板1に半導体チップ2が実装されてなる。半導体チップ2を実装する方法は特に限定されず、既に公知となっている実装方法のいずれかを適用してもよい。なお、電子モジュール1000は、表示デバイスであってもよい。表示デバイスは、例えば液晶表示デバイスやEL(Electrical Luminescence)表示デバイスであってもよい。さらに、配線基板1を有する電子機器として、図10にノート型パーソナルコンピュータ2000を、図11に携帯電話3000を、それぞれ示す。
【0014】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図2】図2は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図3】図3は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図4】図4は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図5】図5は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図6】図6は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図7】図7は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図8】図8は、本発明を適用した実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図9】図9は、本発明を適用した実施の形態に係る方法で製造した配線基板を有する電子モジュールを示す図である。
【図10】図10は、本発明を適用した実施の形態に係る方法で製造した配線基板を有する電子機器を示す図である。
【図11】図11は、本発明を適用した実施の形態に係る方法で製造した配線基板を有する電子機器を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
10 ベース基板、 12 配線パターン、 14 接着剤、 15 メッキ層、 20 めっき液、 30 溶剤、 40 レジスト層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を含有するめっき液を利用して第1の無電解めっき処理を行い、ベース基板に設けられた配線パターンにめっき層を形成すること、
アミンを含有する溶剤を利用して前記ベース基板を洗浄すること、その後、
前記ベース基板に、前記めっき層を部分的に覆うレジスト層を形成すること、及び、
前記めっき層における前記レジスト層からの露出部に、第2の無電解めっき処理を行うことを含む配線基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板の製造方法において、
前記第2の無電解めっき処理工程を、チオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を含有するめっき液を利用して行い、
前記第2の無電解めっき処理工程後に、アミンを含有する溶剤を利用して前記ベース基板を洗浄することをさらに含む配線基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の配線基板の製造方法において、
前記配線パターンは、接着剤を介して前記ベース基板に固着されてなる配線基板の製造方法。
【請求項1】
チオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を含有するめっき液を利用して第1の無電解めっき処理を行い、ベース基板に設けられた配線パターンにめっき層を形成すること、
アミンを含有する溶剤を利用して前記ベース基板を洗浄すること、その後、
前記ベース基板に、前記めっき層を部分的に覆うレジスト層を形成すること、及び、
前記めっき層における前記レジスト層からの露出部に、第2の無電解めっき処理を行うことを含む配線基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板の製造方法において、
前記第2の無電解めっき処理工程を、チオ尿素及びその誘導体の少なくとも一方を含有するめっき液を利用して行い、
前記第2の無電解めっき処理工程後に、アミンを含有する溶剤を利用して前記ベース基板を洗浄することをさらに含む配線基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の配線基板の製造方法において、
前記配線パターンは、接着剤を介して前記ベース基板に固着されてなる配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−32483(P2006−32483A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206068(P2004−206068)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]