配線基板及びその製造方法
【課題】高密度化に対応した導体ポストを備える配線基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】導体層12と導体層12上に積層されたソルダーレジスト層13と、ソルダーレジスト層13に設けられた貫通孔131の下方に配置された導体層12aに導通される導体ポスト16と、を備える配線基板の製造方法であって、熱硬化性樹脂を含むソルダーレジスト層13に貫通孔131を穿設して、導体層12aを貫通孔内に露出させる貫通孔穿設工程と、貫通孔131内に銅を主体とする第1導体部181を形成する第1導体部形成工程と、第1導体部181上に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部182を形成する第2導体部形成工程と、をこの順に備える。
【解決手段】導体層12と導体層12上に積層されたソルダーレジスト層13と、ソルダーレジスト層13に設けられた貫通孔131の下方に配置された導体層12aに導通される導体ポスト16と、を備える配線基板の製造方法であって、熱硬化性樹脂を含むソルダーレジスト層13に貫通孔131を穿設して、導体層12aを貫通孔内に露出させる貫通孔穿設工程と、貫通孔131内に銅を主体とする第1導体部181を形成する第1導体部形成工程と、第1導体部181上に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部182を形成する第2導体部形成工程と、をこの順に備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板及びその製造方法に関する。更に詳しくは、導体ポストを有する配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高密度実装の手法として、例えば、C4(Controlled Collapse Chip Connection)工法が採用されている。C4工法で利用される配線基板は表面がソルダーレジスト層で覆われ、ソルダーレジスト層に必要に応じて穿孔された開口部に立設されたバンプ(導体ポスト)と、配線基板内の導体層と、が電気的に接続されることで、配線基板内外が導通される構造となっている。このようなC4工法で用いられる配線基板に代表されるように、バンプを利用した接続が行われる配線基板においては、高密度化の進行で、昨今のバンプピッチは最小145μmにも達している。しかし、今後も更なる高密度化が進行することが予測され、より狭いバンプピッチ(次々世代でのバンプチップとして、例えば、100μm)が必要となると考えられる。このように、バンプピッチが狭くなるに連れて、ソルダーレジスト層に穿孔される前記開口部の径も小さくなると考えられるが、一方で、必要とされるバンプの高さは今後も維持されると考えられる。即ち、より高いアスペクト比を有する形状のバンプが必要とされると考えられる。
尚、本発明の係る従来技術として下記特許公報1〜3が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7216424号明細書
【特許文献2】米国特許第6229220号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0029110号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記高密度化に対応した高アスペクト比のバンプの形成には困難を伴う。即ち、一般的なバンプ形成方法としては、半田印刷法及びボール搭載法が知られている。
半田印刷法は、スクリーンマスク22を介在させ、スキージ21を用いて半田ペースト30を印刷してバンプを形成する方法である。図12に例示されるように、ソルダーレジスト層13の厚さが薄く、且つ、ソルダーレジスト層13に開口された貫通孔131の大きさが十分である場合には、半田ペースト30を導体層12a上に正常に印刷することができる。
しかし、ソルダーレジスト層13の厚さが大きい場合や、ソルダーレジスト層13に形成された貫通孔131の径が小さい場合には、マスク22自体の製作が難しく、また、その精度を十分に確保し難い。更に、マスク22を形成できたとしても、マスク22に開口される貫通孔131の径が小さいために、マスク22内での目詰まりを起こし易く、半田ペースト30を印刷し難いという問題がある。また、図13に例示されるように、半田ペースト30を印刷できたとしても、印刷された半田ペースト30が導体層12aと接し難いなどの問題がある。
【0005】
一方、ボール搭載法は、予め形成された半田ボール40を導出目的の導体層12a上に接合して、その半田ボール40をバンプとして利用する方法である。図14に例示されるように、ソルダーレジスト層13の厚さが薄く、且つ、ソルダーレジスト層13に開口された貫通孔131の大きさが十分である場合には、半田ボール40を導体層12aと接続することができる。
しかし、ソルダーレジスト層13の厚さが大きい場合や、ソルダーレジスト層13に形成された貫通孔131の径が小さい場合には、貫通孔131の径に合わせた半田ボール40を用いると十分なバンプ高さを確保することができない。一方、図15に例示されるように、バンプの高さを確保するために、半田ボール40の径を大きくすると、半田ボール40の曲率が小さくなるために、ソルダーレジスト層13下の導体層12aに半田ボール40が接することができなくなる(いわゆる「はじき」)という問題がある。また、隣接する半田ボール40同士が接続されてしまう(いわゆる「ブリッジ」)という不具合を生じるおそれもある。
【0006】
これらの従来汎用されている方法に代替し得る方法としてバンプをめっき形成する方法が考えられる。しかし、この方法では、通常、めっき液は樹脂層に対する浸食性を有するために、フォトリソ法を用いて形成されるソルダーレジスト層が十分な耐食性を発揮できない。また、バンプをめっき形成する場合のバンプの概形を決定することとなる型枠層を用いる必要があるものの、この型枠層に形成する開口部と、前記ソルダーレジスト層に形成された開口部と、を十分に一致させて形成することが困難となるという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、高密度化に対応した導体ポストを備える配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は以下に示す通りである。
〈1〉導体層と、該導体層上に積層されたソルダーレジスト層と、該ソルダーレジスト層に設けられた貫通孔の下方に配置された導体層に導通される導体ポストと、を備える配線基板の製造方法であって、
熱硬化性樹脂を含む前記ソルダーレジスト層に前記貫通孔を穿設して、前記導体層を該貫通孔内に露出させる貫通孔穿設工程と、
前記貫通孔内に銅を主体とする第1導体部を形成する第1導体部形成工程と、
前記第1導体部上に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部を形成する第2導体部形成工程と、をこの順に備えることを特徴とする配線基板の製造方法。
〈2〉前記第2導体部形成工程前に、前記第1導体部上に、ニッケル及び金を含む導電性の介在層を形成する介在層形成工程を備え、且つ、
前記第2導体部形成工程では、前記介在層の表面に第2導体部を形成する前記〈1〉に記載の配線基板の製造方法。
〈3〉前記第2導体部形成工程では、前記第2導体部として半田ペーストを印刷する印刷工程を含む前記〈1〉又は〈2〉に記載の配線基板の製造方法。
〈4〉前記第2導体部形成工程は、前記第1導体部上に前記第2導体部として半田ボールを配置するボール配置工程と、前記半田ボールを加熱して第2導体部として成形する半田ボール加熱工程と、をこの順に含む前記〈1〉又は〈2〉に記載の配線基板の製造方法。
〈5〉前記第2導体部形成工程は、
これまでに得られた素基板の表面を覆うようにフォトレジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、
フォトリソグラフィー法を用いて前記第1の貫通孔に連通されると共に、該第1の貫通孔と実質的に同じ大きさ又は該第1の貫通孔よりも大きい径の第2の貫通孔を前記フォトレジスト層に穿設する第2貫通孔穿設工程と、
前記第2の貫通孔内に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部をめっき形成する第2導体部めっき形成工程と、
前記フォトレジスト層を除去するフォトレジスト層除去工程と、をこの順に含む前記〈1〉又は〈2〉に記載の配線基板の製造方法。
〈6〉前記第2導体部形成工程では、前記第2の貫通孔内に、スズからなる第2導体部をめっき形成すると共に、
前記フォトレジスト層除去工程の後に、前記第1導体部及び第2導体部を加熱する加熱工程を備える前記〈5〉に記載の配線基板の製造方法。
〈7〉導体層と、該導体層上に積層されたソルダーレジスト層と、該ソルダーレジスト層に設けられた貫通孔の下方に配置された導体層に導通される導体ポストと、を備える配線基板であって、
前記ソルダーレジスト層は、熱硬化性樹脂を含み、
前記導体ポストは、
前記貫通孔内に形成された第1導体部と、前記第1導体部上に形成された第2導体部とを有し、
前記第1導体部は銅を主体とし、前記第2導体部はスズ、銅又は半田を主体とすることを特徴とする配線基板。
【発明の効果】
【0008】
本発明の配線基板の製造方法によれば、導体ポスト16の高密度化に対応できる。即ち、従来に比べてアスペクト比(幅に対する高さの割合)が大きな導体ポスト16が形成された配線基板10を得ることができる。これにより、ピッチが小さくともソルダーレジスト層の表面から十分な高さを有する導体ポスト16を用いることができる。更に、この導体ポスト16を用いて、配線基板10とこの配線基板10に実装される部品との間で信頼性の高い接続を行うことができる。
第2導体部形成工程PR6前に、第1導体部181上に、ニッケル及び金を含む導電性の介在層17を形成する介在層形成工程PR4を備え、且つ、第2導体部形成工程PR6では、介在層17の表面に第2導体部182を形成する場合は、第1導体部181と第2導体部182との接合強度を向上させることができる。
第2導体部形成工程PR6において、第2導体部182として半田ペーストを印刷する印刷工程PR6−22を含む場合には、本方法を用いることによるメリットを更に効果的に得ることができる。
第2導体部形成工程PR6において、第1導体部181上に第2導体部182として半田ボール40を配置するボール配置工程PR6−31と、半田ボール40を加熱して第2導体部182として成形する半田ボール加熱工程PR6−32と、をこの順に含む場合には、本方法を用いることによるメリットを更に効果的に得ることができる。
第2導体部形成工程PR6において、これまでに得られた素基板20の表面を覆うようにフォトレジスト層15を形成するフォトレジスト層形成工程PR6−11と、フォトリソグラフィー法を用いて第1の貫通孔131に連通されると共に、第1の貫通孔131と実質的に同じ大きさ又は第1の貫通孔131よりも大きい径の第2の貫通孔151をフォトレジスト層15に穿設する第2貫通孔穿設工程PR6−12と、第2の貫通孔151内に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部182をめっき形成する第2導体部めっき形成工程PR6−13と、フォトレジスト層15を除去するフォトレジスト層除去工程PR6−14と、をこの順に含む場合は、本方法を用いることによるメリットを更に効果的に得ることができる。
第2導体部形成工程PR6において、第2の貫通孔151内に、スズからなる第2導体部182をめっき形成すると共に、フォトレジスト層除去工程PR6−14の後に、第1導体部181及び第2導体部182を加熱する加熱工程PR6−16を備える場合には、第1導体部181及び第2導体部182の界面で各部を構成する金属成分同士が拡散しあい、強固に融合されて一体化された導体ポスト16を得ることができ、より信頼性に優れた導体ポスト16を有する配線基板10を得ることができる。
【0009】
本発明の配線基板によれば、導体ポスト16を高密度化することができる。特に従来に比べてアスペクト比(幅に対する高さの割合)が大きな導体ポスト16、即ち、ピッチが小さくともソルダーレジスト層の表面から十分な高さを有した導体ポスト16を有することができる。従って、この導体ポスト16を用いて、実装される半導体チップ部品との間で信頼性の高い接続を行うことができる。また、特にソルダーレジスト層13が熱硬化性樹脂を含むとともに、第1導体部181が銅を主体とすることで、ソルダーレジスト層13及び第1導体部181の熱膨張率を低下でき、ICチップ等の半導体チップ部品を搭載した際の応力ストレスに対する配線基板全体の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本方法により得られる配線基板の一例を示す模式的な断面図である。
【図2】本配線基板の製造方法の概略を説明する模式的な工程図である。
【図3】本方法における介在層形成工程(PR4)から第2導体部形成工程(PR6)の一例を説明する模式的な工程図である。
【図4】図3に続く模式的な工程図である。
【図5】本方法における介在層形成工程(PR4)から第2導体部形成工程(PR6)の一例を説明する模式的な工程図である。
【図6】図5に続く模式的な工程図である。
【図7】本方法における介在層形成工程(PR4)から第2導体部形成工程(PR6)の一例を説明する模式的な工程図である。
【図8】図7に続く模式的な工程図である。
【図9】本方法における介在層形成工程(PR4)から第2導体部形成工程(PR6)の一例を説明する模式的な工程図である。
【図10】第1導体部形成工程(PR3)から第2導体部形成工程(PR6)までの工程のバリエーションを説明する模式的な工程図である。
【図11】第1導体部形成工程(PR3)から第2導体部形成工程(PR6)までの工程のバリエーションを説明する模式的な工程図である。
【図12】従来の製造方法を説明する模式的な説明図である。
【図13】従来の製造方法における問題点を説明する模式的な説明図である。
【図14】従来の製造方法を説明する模式的な他の説明図である。
【図15】従来の製造方法における問題点を説明する模式的な他の説明図である。
【図16】本発明の配線基板の一例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明について、図1〜11及び図16を参照しながら以下詳細に説明する。
[1]配線基板
本発明の配線基板10及び本発明の製造方法により得られる配線基板10は、導体層12と、ソルダーレジスト層13と、導体ポスト16と、を備える。
導体層12は、配線基板10において導体回路等として機能される層である。これらの導体層12は、一連(即ち、連続した一枚)の導体からなってもよく、同一平面内に配設された複数の導体からなってもよい。また、導体層12のうち、ソルダーレジスト層13に穿設された貫通孔131の下方に配置された導体層は導体層12aである。この導体層12aは、導体層12内の独立した1つの導体であってもよく、連続する導体の一部であってもよい。また、導体層12の形状等は特に限定されない。また、その材質も特に限定されないが、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金等であることが好ましく、このうち、通常、銅が用いられる。
【0012】
ソルダーレジスト層13は、熱硬化性樹脂を含む層である。このソルダーレジスト層13は、導体層12上に積層された層であり、通常、ソルダーレジスト層13は、この配線基板に部品を実装する際に利用されるリフロー工程において、半田が意図しない部位へ付着することを防止するための層として機能される。このソルダーレジスト層13は、導体層12との間に絶縁層等の他の層を介在していてもよい。
【0013】
導体ポスト16は、ソルダーレジスト層13に設けられた貫通孔131の下方に配置された導体層12aに導通される導体である。そして、導体ポスト16は、貫通孔131の下方に配置された導体層12aをソルダーレジスト層13外へ導出する導体として機能できる。
また、通常、導体ポスト16は、図1及び図16に例示されるように、貫通孔131内を充塞すると共に、ソルダーレジスト層13から外側に張り出した形状をなす。ソルダーレジスト層13から導体ポスト16が外側に張り出すとは、換言すれば、ソルダーレジスト層13の外表面よりも外側へ向かって導体ポスト16が突出していることを意味する。これにより、導体ポスト16は、配線基板10の表面から突出して、部品を実装できる構成となっている。
導体ポスト16のうちのソルダーレジスト層13から外側に張り出した部分の形状(平面形状及び側面形状等を含む)は特に限定されないが、例えば、平面形状は円形状、四角形状等とすることができる。また、側面形状(側断面の形状)は、略円形状、半円形状、四角形状等とすることができる。
【0014】
更に、導体ポスト16は、図16に例示されるように、ソルダーレジスト層13に穿孔された貫通孔(第1の貫通孔)131内に形成された第1導体部181と、この第1導体部181上に形成された第2導体部182とを有する。第1導体部181を有することで、ソルダーレジスト層13に開口された貫通孔131の開口径に対する深さの割合(深さ/開口径)を小さくしたり、或いは、貫通孔131を充填して塞いだりすることができる。これにより、第2導体部182を第1導体部181を介して、導体層12aへ確実に電気的に接続できる。即ち、導体ポスト16と導体層12aとの接続を確実且つ容易に行うことができる。
【0015】
また、第1導体部181は、銅を主体とし、第2導体部182は、スズ、銅又は半田を主体とする。このうち第1導体部181が、銅を主体とすることについては、本方法の「第1導体部形成工程(PR3)」において詳述する。また、第2導体部182が、スズ、銅又は半田を主体とすることについては、本方法の「第2導体部形成工程(PR6)」において詳述する。
更に、導体ポスト16は、第1導体部181と第2導体部182とに挟まれた合金層165を備えることができる。この合金層165は、後述するように、特に、介在層17を利用して形成した場合に、第1導体部181及び第2導体部182の層間で介在層17の合金化(介在層17を構成する成分の拡散)によって形成できる。
【0016】
更に、本発明の配線基板10及び本方法で得られる配線基板10には、前記以外にも他部を備えることができる。他部としては、コア基板、絶縁層、内装部品等が挙げられる。
このうち、コア基板は、絶縁材料から構成され、通常、板状体である。また、配線基板10の厚さ方向における中心部をなすことができる。コア基板を構成する絶縁材料としては絶縁性樹脂が好ましく、例えば、エポキシ樹脂やビスマレイミド−トリアジン樹脂等が挙げられる。また、コア基板には、補強材(ガラス繊維等の補強繊維)及び充填剤(シリカ、アルミナ等の各種フィラー)等が含まれてもよい。即ち、例えば、コア基板としては、ガラス繊維強化エポキシ樹脂等の繊維強化樹脂板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂板等の耐熱性樹脂板などを用いることができる。また、このコア基板は、複層化されていてもよく、更には、内部に導体層(内層パターン)を有していてもよい。また、絶縁層は、コア基板上に積層された導体層間を絶縁する機能を有する層である。この絶縁層は、前記コア基板を構成する絶縁材料と同様の絶縁材料から構成できる。
【0017】
更に、本発明の配線基板10及び本方法で得られる配線基板10は、その内部に収容部を備える場合には、収容部内に内装部品を有することができる。
収容部の平面形状は特に限定されず、例えば、略四角形(四角形、角部が面取りされた四角形等が含まれる)であってもよく、略円形(真円形状、楕円形状等が含まれる)などであってもよい。また、前記内装部品としては、コンデンサ、インダクタ、フィルタ、抵抗及びトランジスタ等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、コンデンサが好ましく、特に積層セラミックコンデンサが好適である。更に、収容部内に内装された内装部品と収容部との間隙には、内装部品とコア基板との熱膨張係特性を緩和する機能を有する絶縁材が充填されてなる充填部を有することができる。通常、充填部は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等の樹脂からなるか、又は、これらの樹脂とシリカ及びアルミナ等の低熱膨張性セラミック;チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム及びチタン酸鉛等の誘電性セラミック;窒化アルミナ、窒化ホウ素、炭化硅素、窒化珪素等の耐熱性セラミック;ホウケイ酸系ガラス等のガラスなどの無機材料からなる無機フィラーと、の混合物からなる。
【0018】
[2]配線基板の製造方法
本発明の配線基板の製造方法は、貫通孔穿設工程PR2と、第1導体部形成工程PR3と、第2導体部形成工程PR6と、をこの順に備えることを特徴とする。
【0019】
前記「貫通孔穿設工程(PR2)」は、熱硬化性樹脂を含むソルダーレジスト層13に貫通孔(第1の貫通孔)131を穿設する工程である。この貫通孔131の穿孔によって、導体層12aがソルダーレジスト層13の層下から、貫通孔131内に(貫通孔131の底部に)露出されることとなる。そして、穿孔された貫通孔131を介して、導体層12aは導体ポスト16と接続され、導体層12aはソルダーレジスト層13外へと導通される。
【0020】
ソルダーレジスト層13の厚さは特に限定されないが、1μm以上100μm以下であることが好ましい。ソルダーレジスト層13の厚さがこの範囲である場合には、本発明による効果をより得易いからである。このソルダーレジスト層13の厚さは5μm以上50μm以下がより好ましく、10μm以上40μm以下が特に好ましい。
【0021】
また、ソルダーレジスト層13は、熱硬化性樹脂(未硬化状態、半硬化状態、硬化状態のいずれをも含む)を含む。ソルダーレジスト層13が、熱硬化性樹脂を含むことにより、リフロー工程(本方法により得られる配線基板10に部品を実装する際に利用される工程)における不要な半田の付着を防止しながら、めっき液に対する耐性(特に耐アルカリ性)を付与できる。これにより、導体層12aの表面12apや、特にソルダーレジスト層13の表面13pにも無電解めっき及び電解めっきのうちの少なくとも一方を形成することが可能となる。
更に、熱硬化性樹脂を含むソルダーレジスト層13は、感光性樹脂のみから形成されたソルダーレジスト層に比べて、より優れた耐クラック性及び耐マイグレーション性を得ることができる。更に、後述するように、導体材料としてSn(スズ)が採用される場合には、感光性樹脂のみから形成されたソルダーレジスト層を備えた配線基板では、半導体チップ部品搭載後の応力ストレスが大きくなることが考えられる。これは、熱膨脹率が4ppm/℃程度の半導体チップ部品に対して、感光性樹脂の熱膨張率が50〜70ppm/℃と高いためである。これに対して、ソルダーレジスト層に感光性樹脂より熱膨脹率の小さい熱硬化性樹脂を含有させることで、半導体チップ部品との熱膨張差を抑制して、半導体チップ部品を搭載した配線基板の応力ストレスを低減することができる。
【0022】
ソルダーレジスト層13を構成する熱硬化性樹脂の種類は特に限定されないが、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、シアネート樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらのなかでも特にエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、などのノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変成した脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0023】
また、ソルダーレジスト層13に含まれる熱硬化性樹脂の量は特に限定されないが、通常、ソルダーレジスト層13を構成する有機材料中に最も多く(体積として最も多く含まれる)含まれる。即ち、ソルダーレジスト層13を構成する有機材料において熱硬化性樹脂が主体となっている。より具体的には、ソルダーレジスト層13を構成する有機材料を100体積%において熱硬化性樹脂は50体積%を超え(100体積%であってもよい)で含まれることが好ましい。このソルダーレジスト層13を構成する有機材料中における熱硬化性樹脂の含有量は特に限定されないが、より好ましくは50体積%を超え且つ100体積%以下とすることができ、更に好ましくは80体積%以上且つ100体積%以下とすることができる。また、ソルダーレジスト層13に含むことができる熱硬化性樹脂以外の他の有機材料としては、ゴム及び熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0024】
また、ソルダーレジスト層には、上記熱硬化性樹脂を含む有機材料以外に充填剤(シリカ、アルミナ等の各種無機フィラー、通常、無機材料である)等が含まれてもよい。充填剤が含まれる場合、ソルダーレジスト層13全体を100質量%とした場合に、充填剤は70質量%以下である。
【0025】
貫通孔穿孔工程PR2では、どのようにして貫通孔13を穿孔してもよい。即ち、例えば、フォトリソグラフィー法を用いて第1貫通孔131を形成してもよく、レーザー穿孔法を用いて第1貫通孔131を形成してもよく、これらの方法を併用してもよい。
また、穿孔する貫通孔131の形態はソルダーレジスト層13を貫通するものであればよく、その形状は特に限定されない。例えば、貫通孔131の平面形状は、円形状であってもよく、四角形等の多角形状であってもよく、更にその他の形状であってもよいが、円形状が好ましい。また、この貫通孔131の大きさも特に限定されないが、通常、導体層12aの一部のみが露出される大きさ(即ち、導体層12aの全部が露出されないことが好ましい)である。
【0026】
更に、通常、貫通孔131の開口の大きさは特に限定されないが、貫通孔131の平面形状が円形状である場合、その直径は10μm以上100μm以下であると共に、深さ(ソルダーレジスト層13の厚さ)は1μm以上100μm以下であることが好ましい。このような貫通孔131を備える配線基板10では、本発明の効果をより得易い。この直径は30μm以上150μm以下であると共に、深さは5μm以上50μm以下であることがより好ましく、直径は40μm以上100μm以下であると共に、深さは5μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
【0027】
前記「第1導体部形成工程(PR3)」は、貫通孔(第1の貫通孔)131の穿孔により導体層12aが露出された貫通孔131内に銅を主体とする第1導体部181を形成する工程である。
この第1導体部181を形成することで、ソルダーレジスト層13に開口された貫通孔131の開口径に対する深さの割合(深さ/開口径)を小さくしたり、或いは、貫通孔131を充填して塞いだりできる。これにより、第2導体部182を第1導体部181を介して、導体層12aへ確実に電気的に接続することができる。即ち、導体ポスト16と導体層12aとの接続を容易に行うことができるようになる。
【0028】
前記第1導体部181は、どのように形成してもよい。即ち、例えば、無電解めっき法により形成してもよく、導体ペーストを用いて充填する方法により形成してもよい。
また、この第1導体部181はどの程度、形成してもよく、例えば、図10に例示されるように、貫通孔131の一部のみ埋まるように第1導体部181を形成してもよく、図2に例示されるように、貫通孔131の全部が埋まるように第1導体部181を形成してもよく、図11に例示されるように、貫通孔131の全部を埋めると共に、貫通孔131からソルダーレジスト層13の外へ張り出す(即ち、外へ突出する)ように第1導体部181を形成してもよい。尚、後述する介在層17を有する場合には、第1導体部181の深さ方向における厚みが、介在層17の厚みよりも大きいことが好ましい。この場合には、本発明で第1導体部181を形成することの技術的意義がより大きい。
【0029】
第1導体部181は、銅を主体とする材料から構成される。第1導体部181が低熱膨張材料である銅を主体とする材料で形成されることで、導体ポスト16全体に占める銅の割合が増えて、導体ポスト16全体の熱膨張率を低下させることができる(例えば、導体ポスト16を熱膨脹率が23.5ppm/℃であるSnのみから形成した場合等に比べて低熱膨張化できる)。
第1導体部181が、銅を主体とするとは、第1導体部全体を100質量%とした場合に、95質量%以上(好ましくは97質量%以上、100質量%であってもよい)のCuを含むことを意味する。また、Cu以外の他の金属元素を含む場合、他の金属元素としては、Sn等が挙げられ、1種のみが含まれてもよく2種以上が含まれてもよい。
尚、第1導体部181に含まれる成分は、EPMAにより1000倍以上に拡大して観察して得られる。
【0030】
前記「第2導体部形成工程(PR6)」は、第1導体部181上に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部182を形成する工程である。
この第2導体部182はスズ、銅又は半田を主体とする。第2導体部182が、スズを主体とするとは、第2導体部全体を100質量%とした場合に、95質量%以上(好ましくは97質量%以上、100質量%であってもよい)のSnを含むことを意味する。また、Sn以外の他の金属元素を含む場合、他の金属元素としては、Cu、Ag、Zn、In、Bi、Sb及びPb等が挙げられ、これらは1種のみが含まれてもよく2種以上が含まれてもよい。
【0031】
また、第2導体部182が、銅を主体とするとは、第2導体部全体を100質量%とした場合に、95質量%以上(好ましくは97質量%以上、100質量%であってもよい)のCuを含むことを意味する。また、Cu以外の他の金属元素を含む場合、他の金属元素としては、Sn等が挙げられ、1種のみが含まれてもよく2種以上が含まれてもよい。
更に、第2導体部182が、半田を主体とするとは、Sn、Ag、Cu、Zn、Al、Ni、Ge、Bi、In、Pb及びAuの群から選ばれる2種以上の金属元素の合計含有量が、第1導体部全体を100質量%とした場合に、95質量%以上(好ましくは97質量%以上、100質量%であってもよい)であることを意味する。より具体的には、第2導体部182を構成する半田として、SnPb半田、SnAgCu半田、SnBi半田、SnZnBi半田、SnCu半田、SnAgInBi半田、SnZnAl半田、SnCuNiGe半田等が挙げられる。
尚、第2導体部182に含まれる成分は、EPMAにより1000倍以上に拡大した状態で測定して得られる。
また、第1導体部181と、第2導体部182とは、同じ材料からなってもよく、異なる材料からなってもよい。
【0032】
この第2導体部182も、前記第1導体部181と同様に、どのようにして形成してもよい。即ち、例えば、(1)図3〜図4{(PR6−11)〜(PR6−16)}、及び、図5〜図6{(PR6−11)〜(PR6−16)}、に例示されるようにフォトリソ法を用いて第2導体部182を形成する方法、(2)図7及び図8に例示されるようにスクリーン印刷法を用いて第2導体部182を形成する方法、(3)図9に例示されるように半田ボール40を用いて第2導体部182を形成する方法、などが挙げられる。以下、これらの方法について説明する。
【0033】
(1)フォトリソ法を用いた第2導電部182の形成(図3〜4及び図5〜6参照)
このフォトリソ法を用いて第2導電部182を形成する第2導体部形成工程PR6は、
これまでに得られた素基板20の表面を覆うようにフォトレジスト層15を形成するフォトレジスト層形成工程PR6−11と、
フォトリソグラフィー法を用いて前記第1の貫通孔131に連通されると共に、該第1の貫通孔131と実質的に同じ大きさ又は該第1の貫通孔131よりも大きい径の第2の貫通孔151を前記フォトレジスト層15に穿設する第2貫通孔穿設工程PR6−12と、
前記第1の貫通孔131及び前記第2の貫通孔151の両孔内に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部182をめっき形成する第2導体部めっき形成工程PR6−13と、
前記フォトレジスト層15を除去するフォトレジスト層除去工程PR6−14と、をこの順に含む。
【0034】
前記フォトレジスト層形成工程(PR6−11)は、これまでに得られた素基板20を覆うようにフォトレジスト層15を形成する工程である。即ち、(1)第1導体部形成工程PR3を経て第1導体部181が形成された素基板20上にフォトレジスト層15を形成する工程、(2)後述する介在層形成工程PR4を経て介在層17が形成された素基板20上にフォトレジスト層15を形成する工程(図3参照)、(3)後述する無電解めっき層形成工程PR5(第2導体部182を電解めっき形成する際の通電極として利用される無電解めっき層14)を経て無電解めっき層14が形成された素基板20上にフォトレジスト層15を形成する工程(図5参照)、のこれら(1)〜(3)のうちのいずれかを行う工程である。
【0035】
フォトレジスト層15を形成する方法は特に限定されず、(A)液状のフォトレジスト組成物を、ソルダーレジスト層13上に、塗布した後、必要に応じて乾燥、硬化(半硬化)等を行って得ることができる。更に、(B)フォトレジスト層15となるドライフィルムを、ソルダーレジスト層13上に、貼着した後、必要に応じて乾燥、硬化(半硬化)等を行って得ることができる。前記(A)の方法を利用する場合には、液状のフォトレジスト組成物は、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布方法により塗布できる。一方、前記(B)の方法を利用する場合には、ドライフィルムを押圧して密着させることができる。この場合には、バッチ式プレス機で行ってもよいが、製造ラインを流通させながら押圧を行うことができるために、ローラー式プレス機等を用いることができる。
【0036】
前記フォトレジスト層15の厚さは特に限定されないが、1μm以上500μm以下であることが好ましい。フォトレジスト層15の厚さがこの範囲である場合には、第2導体部182をソルダーレジスト層13より外側へ十分に張り出して形成できると共に、導体ポスト16を介した外部との良好な接続を得ることができる。このフォトレジスト層15の厚さは5μm以上300μm以下がより好ましく、10μm以上100μm以下が特に好ましい。
【0037】
前記第2貫通孔穿設工程(PR6−12)」は、フォトリソグラフィー法を用いて第1の貫通孔131に連通されると共に、第1の貫通孔131と実質的に同じ大きさ、又は、第1の貫通孔131よりも大きい径の第2の貫通孔151をフォトレジスト層15に穿設する工程である。第2の貫通孔151は、フォトレジスト層15の表裏に貫通された貫通孔であり、フォトレジスト層15の表面側から穿孔されて、ソルダーレジスト層13の側まで貫通されている。この第2の貫通孔151は、第2導体部182を形成するための型枠となる孔である。
尚、図11に例示されるようなソルダーレジスト層13の外側へ突出して第1導体部181が形成されている場合や、介在層17が形成されている場合には、第2の貫通孔151内に第1導体部181や介在層17が配置された状態となる。
【0038】
また、この第2の貫通孔151は、第1の貫通孔131と実質的に同じ大きさの孔、又は、第1の貫通孔131よりも大きい径の孔である。実質的に同じ大きさの孔とは、即ち、第1の貫通孔131の直径をL131とし、第2の貫通孔の直径をL151とした場合に、0.5≦L151/L131≦1であることを意味する。一方、第2の貫通孔151が第1の貫通孔131よりも大きい径の孔である場合には、1<L151/L131≦5であることが好ましく、1<L151/L131≦1.5がより好ましく、1<L151/L131≦1.2が特に好ましい。尚、直径L131は、第1の貫通孔131の開口面を8等分する4本の直径の長さの平均長さである。また、同様に、直径L151は、第2の貫通孔151の開口面を8等分する4本の直径の長さの平均長さである。
【0039】
前記第2導体部めっき形成工程(PR6−13)は、第1の貫通孔131及び第2の貫通孔151の両孔内に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部182をめっき形成する工程である。但し、図3及び図11に例示されるように、第1の貫通孔131が第1導体部181により充塞されている場合には、第2の貫通孔151の孔内に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部182をめっき形成する工程である。即ち、第1導体部181上(後述する介在層17や、無電解めっき層14を介してもよい)に第2導体部182を形成する工程である。
この工程PR6−13では、どのようなめっき形成手段を用いてもよい。即ち、例えば、無電解めっきで第2導体部182を形成してもよく、電解めっきで第2導体部182を形成してもよい。
【0040】
前記フォトレジスト層除去工程(PR6−14)は、フォトレジスト層15を除去する工程である。即ち、フォトレジスト層15を除去すると共に、第2導体部182を基板上に露出させる工程である。フォトレジスト層15の除去はどのような方法で行ってもよく、例えば、レーザーや熱を加える等して焼失させて(アッシングして)もよく、また、溶剤等により溶解除去してもよい。特にフォトレジストとして、ポジ型フォトレジストを用いた場合には、溶剤により簡便に除去することができる。
【0041】
更に、この第2導体部形成工程PR6では、図6に例示されるように、フォトレジスト層除去工程PR6−14においてフォトレジスト層15を除去した後、その層下に無電解めっき層14が現れる場合には、この無電解めっき層14の不要部を除去する無電解めっき層除去工程PR6−15を備えることができる。この工程は、エッチング等の方法により行うことができる。
【0042】
また、第2導体部形成工程PR6では、図4及び図6に例示されるように、これまでの工程において形成された導体部(第1導体部181、介在層17、無電解めっき層14、第2導体部182等)を加熱(リフロー)して一体化させる加熱工程PR6−16を備えることができる。即ち、第1導体部181及び第2導体部182を加熱する加熱工程PR6−16を備えることができる。この工程PR6−16により、第1導体部181及び第2導体部182の界面で各部を構成する金属成分同士が拡散しあい、強固に融合されて一体化された導体ポスト16を得ることができる。更に、この加熱により、各導体部が適度に溶解されると共に、特に溶解された第2導体部182は、その表面張力によって形状の歪みを補正でき、丸みを帯びさせることができる(図4及び図6参照)。更には、セルフアライメント効果により、導体層12aと軸中心を合わせるように導体ポスト16全体の位置を補正できる。これらの作用により、より信頼性に優れた導体ポスト16を有する配線基板10を得ることができる。この加熱工程PR6−16による上記効果は、第2導体部182がスズを主体として形成されている場合に特に効果的である。
【0043】
加熱工程PR6−16における加熱条件(リフロー条件)などは特に限定されないが、例えば、第2導体部がスズ又は半田を主体として形成される場合には、大気雰囲気下において、温度100℃以上400℃以下に加熱するものであることが好ましい。この範囲の温度であれば、前記セルフアライメント効果をも得ることができる。この温度は150℃以上300℃以下がより好ましく、180℃以上260℃以下が特に好ましい。特にリフロー時の最高到達温度は、第2導体部182を構成する材料(とりわけSn又は半田)の融点(第2導体部182自体の融点)よりも30℃以上高温であることが好ましい。
【0044】
また、第2導体部めっき形成工程PR6−13を、電解めっきにより行う場合には、図5に例示されるように、無電解めっき層形成工程PR5を備えることができる。即ち、工程PR5を行うまでに得られた素基板20の表面に、無電解めっきを行って、無電解めっき層14を形成する工程である。この工程で得られる無電解めっき層14は、第2導体部182を電解めっき法により形成する際の通電極として利用される。
この無電解めっき層14を構成する材料は導電性を有すればよく特に限定されないが、上記第2導体部182を構成する材料と同様に、スズ、銅を主体とすることが好ましい。また、図6に例示されるように、フォトレジスト層除去工程PR6−14においてフォトレジスト層15を除去した後、フォトレジスト層15の層下から露出された無電解めっき層14の不要部を除去する無電解めっき層除去工程PR6−15を、通常、備えることとなる。無電解めっき層除去工程PR6−15は、通常、エッチングにより行う。
【0045】
(2)スクリーン印刷法を用いた第2導電部182の形成(図7及び図8参照)
スクリーン印刷法を用いて第2導電部182を形成する第2導体部形成工程PR6は、前記第2導体部として半田ペースト30を印刷する印刷工程を含む。より具体的には、図7及び図8に例示されるように、スクリーンマスク22を配置するマスク配置工程PR6−21と、スクリーンマスク22を利用して半田ペースト30を第1導体部181上(後述する介在層17を介してもよい)に印刷する半田ペースト印刷工程PR6−22と、半田ペースト印刷工程PR6−22後に、スクリーンマスク22を除去するマスク除去工程PR6−23と、を備えることができる。
【0046】
また、この第2導体部形成工程PR6では、図8に例示されるように、これまでの工程において形成された導体部を加熱(リフロー)して一体化させることができる。即ち、第1導体部181及び第2導体部182(半田ペースト30)を加熱する加熱工程PR6−25を備えることができる。この工程PR6−25により、第1導体部181及び第2導体部182の界面で各部を構成する金属成分同士が拡散しあい、強固に融合されて一体化された導体ポスト16を得ることができる。更に、この加熱により、各導体部が適度に溶解されると共に、特に溶解された第2導体部182は、その表面張力によって形状の歪みを補正でき、丸みを帯びさせることができる。更には、セルフアライメント効果により、導体層12aと軸中心を合わせるように導体ポスト16全体の位置を補正できる。これらの作用により、より信頼性に優れた導体ポスト16を有する配線基板10を得ることができる。この加熱工程PR6−25による上記効果は、第2導体部182がスズを主体として形成されている場合に特に効果的である。
加熱工程PR6−25における加熱条件(リフロー条件)などは特に限定されないが、前記(1)フォトリソ法を用いた第2導電部182の形成における条件をそのまま適用できる。
【0047】
(3)半田ボールを用いた第2導電部182の形成(図9参照)
半田ボールを用いて第2導電部182を形成する第2導体部形成工程PR6は、第1導体部181上(図9中の介在層17は形成してもしなくてもよい)に前記第2導体部として半田ボール40を配置するボール配置工程PR6−31と、前記半田ボール40を加熱して第2導体部182として成形する半田ボール加熱工程PR6−32と、をこの順に含むことができる。
更に、他の形成方法におけると同様に、この第2導体部形成工程PR6でも、図9に例示されるように、これまでの工程において形成された導体部を加熱(リフロー)して一体化させることができる。即ち、第1導体部181及び第2導体部182(半田ボール40)を加熱する加熱工程PR6−32を備えることができる。この工程PR6−32により、第1導体部181及び第2導体部182の界面で各部を構成する金属成分同士が拡散しあい、強固に融合されて一体化された導体ポスト16を得ることができる。更に、この加熱により、各導体部が適度に溶解されると共に、特に溶解された第2導体部182は、その表面張力によって形状の歪みを補正でき、丸みを帯びさせることができる。更には、セルフアライメント効果により、導体層12aと軸中心を合わせるように導体ポスト16全体の位置を補正できる。これらの作用により、より信頼性に優れた導体ポスト16を有する配線基板10を得ることができる。この加熱工程PR6−32による上記効果は、第2導体部182がスズを主体として形成されている場合に特に効果的である。
加熱工程PR6−32における加熱条件(リフロー条件)などは特に限定されないが、前記(1)フォトリソ法を用いた第2導電部182の形成における条件をそのまま適用できる。
【0048】
このように、本発明の製造方法では、PR1〜PR6までの前記に説明した各工程を備えることができる他、更に他の工程を備えることができる。更に他の工程としては、第2導体部形成工程PR6前に、第1導体部181の表面に、ニッケル及び金を含む導電性の介在層17を形成する介在層形成工程PR4が挙げられる。この介在層形成工程PR4を備える場合には、第2導体部形成工程PR6では、介在層17の表面に第2導体部182を形成することとなる。第2導体部182を形成する前に、下地層としてこの介在層17を、第2導体部182と第1導体部181との間に介在させることにより、第1導体部181及び第2導体部182が異なる材料からなる場合においては、前記加熱工程(PR6−16、PR6−25及びPR6−32等)において各構成成分が相互に拡散される際の接合強度を低下させる要因となる成分(例えば、Cu6:Sn5の組成比で各金属元素が含まれる成分等)の形成を効果的に抑制できる。その結果、より優れた接合強度を有する導体ポスト16を有する配線基板10を得ることができる。
【0049】
この介在層17の形成方法は特に限定されないが、例えば、無電解ニッケルめっきを施し、無電解ニッケルめっき層を形成した後、無電解金めっきを施すことで、無電解ニッケルめっき層上に無電解金めっき層を形成した複層構造の介在層17を得ることができる。
介在層17におけるニッケル及び金の含有量は特に限定されないが、例えば、前記の無電解ニッケルめっき層と、この無電解ニッケルめっき層上に積層された無電解金めっき層とを備える複層構造の介在層17である場合には、無電解ニッケルめっき層全体を100質量%とした場合に、無電解ニッケルめっき層におけるニッケル含有量は90〜95質量%であることが好ましい。更に、無電解金めっき層全体を100質量%とした場合に、無電解金めっき層における金の含有量は95〜100質量%であることが好ましい。この範囲では、前記接合強度を低下させる要因となる成分の形成を効果的に抑制できる。
【0050】
更に、この介在層17の厚さも特に限定されないが、1μm以上20μm以下であることが好ましい。介在層17の厚さがこの範囲である場合には、前記接合強度を低下させる要因となる成分の形成をより効果的に抑制できる。この介在層17の厚さは3μm以上15μm以下がより好ましく、6μm以上12μm以下が特に好ましい。
【0051】
本発明の方法では、前記各工程以外にも、他の工程を備えることができる。他の工程としては、デスミア工程が挙げられる。デスミア工程は、第1の貫通孔131を形成した後、第2の貫通孔151を形成した後、等に行うことができる。このデスミア工程を行うことで、貫通孔内の残留物除去することができる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明の配線基板10について実施例により具体的に説明する。但し、本発明は本実施例において利用する条件等に拘束されるものではない。
【0053】
(1)配線基板10
本実施例で製造する配線基板10(図1参照)は、コア基板11の一面側に積層された導体層12と、この導体層12上に積層されたソルダーレジスト層13と、ソルダーレジスト層13に設けられた貫通孔131の下方に配置された導体層12aに導通される導体ポスト16と、を備える。
コア基板11は、厚さ0.8mmのガラスエポキシ(ガラス繊維を芯材として含むエポキシ樹脂)からなる。また、導体層12は、コア基板11の一面に貼着された、厚さ12μmの銅箔をパターニングしてなる。
更に、ソルダーレジスト層13は、厚さ21μmであり、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂(ソルダーレジスト層13は、40質量%のシリカからなるフィラーと、60質量%の有機材料とを含む、更に、有機材料は、エポキシ樹脂をその全体100体積%に対して、80体積%含有する)を含む。ソルダーレジスト層13に穿孔された貫通孔(第1の貫通孔)131は、口径64μmの円形状であり、ソルダーレジスト層13の層下の導体層12aまで表裏に貫通されている。
【0054】
導体ポスト16は、貫通孔131内を充塞してなる。更に、導体ポスト16のうちのソルダーレジスト層13内に位置された円柱形状をなす下部は、直径64mm且つ高さ21μmである。また、ソルダーレジスト層13外に位置された略球形状の上部は、最大径が74μm且つ高さ(最も高い位置)58μmである。
【0055】
以下、この配線基板10の製造方法を図2〜4を用いて説明する。尚、各工程における製造途中の基板についての各々異なる名称を用いるのは煩雑であるため、配線基板10となる以前の各工程における基板は全て素基板20という。
図2に示す、工程PR1以前の素基板20を用意する。この素基板20は、厚さ0.8mmのガラスエポキシ(ガラス繊維を芯材として含むエポキシ樹脂)からなるコア基板11と、コア基板11の一面に貼着された厚さ12μmの銅箔がパターニングされてなる導体層12と、を備える。
【0056】
(2)ソルダーレジスト層形成工程PR1
前記(1)の素基板20の導体層12を備える側の表面に、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を含むフィルム状のソルダーレジスト層形成用組成物を貼着した後、加熱硬化させ、厚さ21μmの、熱硬化性樹脂からなるソルダーレジスト層13を得る。
【0057】
(3)第1貫通孔穿設工程PR2
前記(2)で得られたソルダーレジスト層13に表面側からレーザーを照射し、直径60μmの第1の貫通孔131を穿孔する。これにより、ソルダーレジスト層13下の導通が必要な導体層12aが露出される。また、その後、第1の貫通孔131内のスミアを除去するためにデスミア処理を行う。
【0058】
(4)第1導体部形成工程PR3
前記(3)までに得られた第1の貫通孔131が穿孔された素基板20を、ニッケル塩、硫酸銅、水酸化ナトリウム、キレート剤、錯化剤等を含む無電解銅めっき液に浸漬して、無電解銅めっきを行い、第1導体部181を形成した。
【0059】
(5)介在層形成工程PR4
前記(4)までに得られた第1導体部181が形成された素基板20の第1導体部181の表面に、無電解ニッケルめっきにより無電解ニッケルめっき層を形成し、次いで、この無電解ニッケルめっき層に積層するように、無電解金めっきにより無電解金めっき層を形成して、ニッケル及び金を含む導電性の介在層17を形成する。得られる介在層17は、無電解ニッケルめっき層全体を100質量%とした場合にこの層にニッケルを93量%、無電解金めっき層全体を100質量%とした場合、この層に金を100質量%、各々含有し、厚さが3μmである。
【0060】
(6)フォトレジスト層形成工程PR6−11
前記(5)までに得られた介在層17が形成された素基板20の表面に、厚さが75μmのドライフィルム式フォトレジスト層15を圧着する。
【0061】
(7)第2貫通孔穿設工程PR6−12
前記(6)までに得られたフォトレジスト層15が形成された素基板20に、フォトリソグラフィー法を用いて第1の貫通孔131に連通され、且つ、第1貫通孔131と同径の第2貫通孔151を穿設する。即ち、露光工程及び現像工程等を経て第2の貫通孔151を形成する。これにより、フォトレジスト層15下の介在層17の表面が第2の貫通孔151内に露出される。また、その後、第2の貫通孔151内のスミアを除去するためにデスミア処理を行う。
【0062】
(8)第2導体部めっき形成工程PR6−13
前記(7)までに得られた第2の貫通孔151が形成された素基板20を、第1塩化スズ、スズ酸ナトリウムをスズ源として含有するめっき液に浸漬して、無電解Snめっきを行い、第2の貫通孔151内をスズめっきで充塞して、第2導体部182を形成する。
【0063】
(9)フォトレジスト層除去工程PR6−14
前記(8)までに得られた第1導体部181及び第2導体部182を備える素基板20の表面からフォトレジスト層15をアミン系剥離液に浸漬して除去する。
【0064】
(10)加熱工程PR6−16
前記(9)までに得られた素基板20を、所定のリフロー炉にてスズの融点以上の温度となるように、最高温度270℃(融点以上の温度を50秒間保持)でリフローに供した。これにより、第1導体部181及び第2導体部182が一体的な1つの導体となり、第1導体部181及び第2導体部182の層間では、介在層17の合金化(介在層17を構成する成分の拡散)も促進されて、これらが一体の導体ポスト16となる。そして、合金層165が形成される。更に、セルフアライメント効果により、導体ポスト16は、導体層12aの中心軸上に寄ると共に、溶解された導体金属の表面張力により、より綺麗な円形状に成形される。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は電子部品関連分野において広く利用できる。また、本発明の配線基板等は、マザーボード等の通常の配線基板、フリップチップ用配線基板、CSP用配線基板及びMCP用配線基板等の半導体素子搭載用配線基板、アンテナスイッチモジュール用配線基板、ミキサーモジュール用配線基板、PLLモジュール用配線基板及びMCM用配線基板等のモジュール用配線基板等に利用される。
【符号の説明】
【0066】
10;配線基板、
11;コア基板、
12;導体層、12a;導体層、12ap;導体層12aの表面、
13;ソルダーレジスト層、131;貫通孔(第1の貫通孔)、131c;内側面(第1の貫通孔の内側面)、
14;無電解めっき層、
15;フォトレジスト層、151;貫通孔(第2の貫通孔)、
16;導体ポスト、181;第1導体部、182;第2導体部、
165;合金層、
17;介在層、
20;素基板、21;スキージ、22;スクリーンマスク、
30;半田ペースト、
40;半田ボール、
PR1;ソルダーレジスト層形成工程、PR2;貫通孔(第1の貫通孔)穿孔工程、PR3;第1導体部形成工程、PR4;介在層形成工程、PR5;無電解めっき層形成工程、PR6;第2導体部形成工程、PR6−11;フォトレジスト層形成工程、PR6−12;第2貫通孔穿設工程、PR6−13;第2導体部めっき形成工程、PR6−14;フォトレジスト層除去工程、PR6−15;無電解めっき層除去工程、PR6−16;加熱工程、PR6−21;マスク配置工程、PR6−22;半田ペースト印刷工程、PR6−23;マスク除去工程、PR6−25;加熱工程、PR6−31;ボール配置工程、PR6−32;加熱工程。
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板及びその製造方法に関する。更に詳しくは、導体ポストを有する配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高密度実装の手法として、例えば、C4(Controlled Collapse Chip Connection)工法が採用されている。C4工法で利用される配線基板は表面がソルダーレジスト層で覆われ、ソルダーレジスト層に必要に応じて穿孔された開口部に立設されたバンプ(導体ポスト)と、配線基板内の導体層と、が電気的に接続されることで、配線基板内外が導通される構造となっている。このようなC4工法で用いられる配線基板に代表されるように、バンプを利用した接続が行われる配線基板においては、高密度化の進行で、昨今のバンプピッチは最小145μmにも達している。しかし、今後も更なる高密度化が進行することが予測され、より狭いバンプピッチ(次々世代でのバンプチップとして、例えば、100μm)が必要となると考えられる。このように、バンプピッチが狭くなるに連れて、ソルダーレジスト層に穿孔される前記開口部の径も小さくなると考えられるが、一方で、必要とされるバンプの高さは今後も維持されると考えられる。即ち、より高いアスペクト比を有する形状のバンプが必要とされると考えられる。
尚、本発明の係る従来技術として下記特許公報1〜3が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7216424号明細書
【特許文献2】米国特許第6229220号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0029110号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記高密度化に対応した高アスペクト比のバンプの形成には困難を伴う。即ち、一般的なバンプ形成方法としては、半田印刷法及びボール搭載法が知られている。
半田印刷法は、スクリーンマスク22を介在させ、スキージ21を用いて半田ペースト30を印刷してバンプを形成する方法である。図12に例示されるように、ソルダーレジスト層13の厚さが薄く、且つ、ソルダーレジスト層13に開口された貫通孔131の大きさが十分である場合には、半田ペースト30を導体層12a上に正常に印刷することができる。
しかし、ソルダーレジスト層13の厚さが大きい場合や、ソルダーレジスト層13に形成された貫通孔131の径が小さい場合には、マスク22自体の製作が難しく、また、その精度を十分に確保し難い。更に、マスク22を形成できたとしても、マスク22に開口される貫通孔131の径が小さいために、マスク22内での目詰まりを起こし易く、半田ペースト30を印刷し難いという問題がある。また、図13に例示されるように、半田ペースト30を印刷できたとしても、印刷された半田ペースト30が導体層12aと接し難いなどの問題がある。
【0005】
一方、ボール搭載法は、予め形成された半田ボール40を導出目的の導体層12a上に接合して、その半田ボール40をバンプとして利用する方法である。図14に例示されるように、ソルダーレジスト層13の厚さが薄く、且つ、ソルダーレジスト層13に開口された貫通孔131の大きさが十分である場合には、半田ボール40を導体層12aと接続することができる。
しかし、ソルダーレジスト層13の厚さが大きい場合や、ソルダーレジスト層13に形成された貫通孔131の径が小さい場合には、貫通孔131の径に合わせた半田ボール40を用いると十分なバンプ高さを確保することができない。一方、図15に例示されるように、バンプの高さを確保するために、半田ボール40の径を大きくすると、半田ボール40の曲率が小さくなるために、ソルダーレジスト層13下の導体層12aに半田ボール40が接することができなくなる(いわゆる「はじき」)という問題がある。また、隣接する半田ボール40同士が接続されてしまう(いわゆる「ブリッジ」)という不具合を生じるおそれもある。
【0006】
これらの従来汎用されている方法に代替し得る方法としてバンプをめっき形成する方法が考えられる。しかし、この方法では、通常、めっき液は樹脂層に対する浸食性を有するために、フォトリソ法を用いて形成されるソルダーレジスト層が十分な耐食性を発揮できない。また、バンプをめっき形成する場合のバンプの概形を決定することとなる型枠層を用いる必要があるものの、この型枠層に形成する開口部と、前記ソルダーレジスト層に形成された開口部と、を十分に一致させて形成することが困難となるという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、高密度化に対応した導体ポストを備える配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は以下に示す通りである。
〈1〉導体層と、該導体層上に積層されたソルダーレジスト層と、該ソルダーレジスト層に設けられた貫通孔の下方に配置された導体層に導通される導体ポストと、を備える配線基板の製造方法であって、
熱硬化性樹脂を含む前記ソルダーレジスト層に前記貫通孔を穿設して、前記導体層を該貫通孔内に露出させる貫通孔穿設工程と、
前記貫通孔内に銅を主体とする第1導体部を形成する第1導体部形成工程と、
前記第1導体部上に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部を形成する第2導体部形成工程と、をこの順に備えることを特徴とする配線基板の製造方法。
〈2〉前記第2導体部形成工程前に、前記第1導体部上に、ニッケル及び金を含む導電性の介在層を形成する介在層形成工程を備え、且つ、
前記第2導体部形成工程では、前記介在層の表面に第2導体部を形成する前記〈1〉に記載の配線基板の製造方法。
〈3〉前記第2導体部形成工程では、前記第2導体部として半田ペーストを印刷する印刷工程を含む前記〈1〉又は〈2〉に記載の配線基板の製造方法。
〈4〉前記第2導体部形成工程は、前記第1導体部上に前記第2導体部として半田ボールを配置するボール配置工程と、前記半田ボールを加熱して第2導体部として成形する半田ボール加熱工程と、をこの順に含む前記〈1〉又は〈2〉に記載の配線基板の製造方法。
〈5〉前記第2導体部形成工程は、
これまでに得られた素基板の表面を覆うようにフォトレジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、
フォトリソグラフィー法を用いて前記第1の貫通孔に連通されると共に、該第1の貫通孔と実質的に同じ大きさ又は該第1の貫通孔よりも大きい径の第2の貫通孔を前記フォトレジスト層に穿設する第2貫通孔穿設工程と、
前記第2の貫通孔内に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部をめっき形成する第2導体部めっき形成工程と、
前記フォトレジスト層を除去するフォトレジスト層除去工程と、をこの順に含む前記〈1〉又は〈2〉に記載の配線基板の製造方法。
〈6〉前記第2導体部形成工程では、前記第2の貫通孔内に、スズからなる第2導体部をめっき形成すると共に、
前記フォトレジスト層除去工程の後に、前記第1導体部及び第2導体部を加熱する加熱工程を備える前記〈5〉に記載の配線基板の製造方法。
〈7〉導体層と、該導体層上に積層されたソルダーレジスト層と、該ソルダーレジスト層に設けられた貫通孔の下方に配置された導体層に導通される導体ポストと、を備える配線基板であって、
前記ソルダーレジスト層は、熱硬化性樹脂を含み、
前記導体ポストは、
前記貫通孔内に形成された第1導体部と、前記第1導体部上に形成された第2導体部とを有し、
前記第1導体部は銅を主体とし、前記第2導体部はスズ、銅又は半田を主体とすることを特徴とする配線基板。
【発明の効果】
【0008】
本発明の配線基板の製造方法によれば、導体ポスト16の高密度化に対応できる。即ち、従来に比べてアスペクト比(幅に対する高さの割合)が大きな導体ポスト16が形成された配線基板10を得ることができる。これにより、ピッチが小さくともソルダーレジスト層の表面から十分な高さを有する導体ポスト16を用いることができる。更に、この導体ポスト16を用いて、配線基板10とこの配線基板10に実装される部品との間で信頼性の高い接続を行うことができる。
第2導体部形成工程PR6前に、第1導体部181上に、ニッケル及び金を含む導電性の介在層17を形成する介在層形成工程PR4を備え、且つ、第2導体部形成工程PR6では、介在層17の表面に第2導体部182を形成する場合は、第1導体部181と第2導体部182との接合強度を向上させることができる。
第2導体部形成工程PR6において、第2導体部182として半田ペーストを印刷する印刷工程PR6−22を含む場合には、本方法を用いることによるメリットを更に効果的に得ることができる。
第2導体部形成工程PR6において、第1導体部181上に第2導体部182として半田ボール40を配置するボール配置工程PR6−31と、半田ボール40を加熱して第2導体部182として成形する半田ボール加熱工程PR6−32と、をこの順に含む場合には、本方法を用いることによるメリットを更に効果的に得ることができる。
第2導体部形成工程PR6において、これまでに得られた素基板20の表面を覆うようにフォトレジスト層15を形成するフォトレジスト層形成工程PR6−11と、フォトリソグラフィー法を用いて第1の貫通孔131に連通されると共に、第1の貫通孔131と実質的に同じ大きさ又は第1の貫通孔131よりも大きい径の第2の貫通孔151をフォトレジスト層15に穿設する第2貫通孔穿設工程PR6−12と、第2の貫通孔151内に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部182をめっき形成する第2導体部めっき形成工程PR6−13と、フォトレジスト層15を除去するフォトレジスト層除去工程PR6−14と、をこの順に含む場合は、本方法を用いることによるメリットを更に効果的に得ることができる。
第2導体部形成工程PR6において、第2の貫通孔151内に、スズからなる第2導体部182をめっき形成すると共に、フォトレジスト層除去工程PR6−14の後に、第1導体部181及び第2導体部182を加熱する加熱工程PR6−16を備える場合には、第1導体部181及び第2導体部182の界面で各部を構成する金属成分同士が拡散しあい、強固に融合されて一体化された導体ポスト16を得ることができ、より信頼性に優れた導体ポスト16を有する配線基板10を得ることができる。
【0009】
本発明の配線基板によれば、導体ポスト16を高密度化することができる。特に従来に比べてアスペクト比(幅に対する高さの割合)が大きな導体ポスト16、即ち、ピッチが小さくともソルダーレジスト層の表面から十分な高さを有した導体ポスト16を有することができる。従って、この導体ポスト16を用いて、実装される半導体チップ部品との間で信頼性の高い接続を行うことができる。また、特にソルダーレジスト層13が熱硬化性樹脂を含むとともに、第1導体部181が銅を主体とすることで、ソルダーレジスト層13及び第1導体部181の熱膨張率を低下でき、ICチップ等の半導体チップ部品を搭載した際の応力ストレスに対する配線基板全体の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本方法により得られる配線基板の一例を示す模式的な断面図である。
【図2】本配線基板の製造方法の概略を説明する模式的な工程図である。
【図3】本方法における介在層形成工程(PR4)から第2導体部形成工程(PR6)の一例を説明する模式的な工程図である。
【図4】図3に続く模式的な工程図である。
【図5】本方法における介在層形成工程(PR4)から第2導体部形成工程(PR6)の一例を説明する模式的な工程図である。
【図6】図5に続く模式的な工程図である。
【図7】本方法における介在層形成工程(PR4)から第2導体部形成工程(PR6)の一例を説明する模式的な工程図である。
【図8】図7に続く模式的な工程図である。
【図9】本方法における介在層形成工程(PR4)から第2導体部形成工程(PR6)の一例を説明する模式的な工程図である。
【図10】第1導体部形成工程(PR3)から第2導体部形成工程(PR6)までの工程のバリエーションを説明する模式的な工程図である。
【図11】第1導体部形成工程(PR3)から第2導体部形成工程(PR6)までの工程のバリエーションを説明する模式的な工程図である。
【図12】従来の製造方法を説明する模式的な説明図である。
【図13】従来の製造方法における問題点を説明する模式的な説明図である。
【図14】従来の製造方法を説明する模式的な他の説明図である。
【図15】従来の製造方法における問題点を説明する模式的な他の説明図である。
【図16】本発明の配線基板の一例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明について、図1〜11及び図16を参照しながら以下詳細に説明する。
[1]配線基板
本発明の配線基板10及び本発明の製造方法により得られる配線基板10は、導体層12と、ソルダーレジスト層13と、導体ポスト16と、を備える。
導体層12は、配線基板10において導体回路等として機能される層である。これらの導体層12は、一連(即ち、連続した一枚)の導体からなってもよく、同一平面内に配設された複数の導体からなってもよい。また、導体層12のうち、ソルダーレジスト層13に穿設された貫通孔131の下方に配置された導体層は導体層12aである。この導体層12aは、導体層12内の独立した1つの導体であってもよく、連続する導体の一部であってもよい。また、導体層12の形状等は特に限定されない。また、その材質も特に限定されないが、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金等であることが好ましく、このうち、通常、銅が用いられる。
【0012】
ソルダーレジスト層13は、熱硬化性樹脂を含む層である。このソルダーレジスト層13は、導体層12上に積層された層であり、通常、ソルダーレジスト層13は、この配線基板に部品を実装する際に利用されるリフロー工程において、半田が意図しない部位へ付着することを防止するための層として機能される。このソルダーレジスト層13は、導体層12との間に絶縁層等の他の層を介在していてもよい。
【0013】
導体ポスト16は、ソルダーレジスト層13に設けられた貫通孔131の下方に配置された導体層12aに導通される導体である。そして、導体ポスト16は、貫通孔131の下方に配置された導体層12aをソルダーレジスト層13外へ導出する導体として機能できる。
また、通常、導体ポスト16は、図1及び図16に例示されるように、貫通孔131内を充塞すると共に、ソルダーレジスト層13から外側に張り出した形状をなす。ソルダーレジスト層13から導体ポスト16が外側に張り出すとは、換言すれば、ソルダーレジスト層13の外表面よりも外側へ向かって導体ポスト16が突出していることを意味する。これにより、導体ポスト16は、配線基板10の表面から突出して、部品を実装できる構成となっている。
導体ポスト16のうちのソルダーレジスト層13から外側に張り出した部分の形状(平面形状及び側面形状等を含む)は特に限定されないが、例えば、平面形状は円形状、四角形状等とすることができる。また、側面形状(側断面の形状)は、略円形状、半円形状、四角形状等とすることができる。
【0014】
更に、導体ポスト16は、図16に例示されるように、ソルダーレジスト層13に穿孔された貫通孔(第1の貫通孔)131内に形成された第1導体部181と、この第1導体部181上に形成された第2導体部182とを有する。第1導体部181を有することで、ソルダーレジスト層13に開口された貫通孔131の開口径に対する深さの割合(深さ/開口径)を小さくしたり、或いは、貫通孔131を充填して塞いだりすることができる。これにより、第2導体部182を第1導体部181を介して、導体層12aへ確実に電気的に接続できる。即ち、導体ポスト16と導体層12aとの接続を確実且つ容易に行うことができる。
【0015】
また、第1導体部181は、銅を主体とし、第2導体部182は、スズ、銅又は半田を主体とする。このうち第1導体部181が、銅を主体とすることについては、本方法の「第1導体部形成工程(PR3)」において詳述する。また、第2導体部182が、スズ、銅又は半田を主体とすることについては、本方法の「第2導体部形成工程(PR6)」において詳述する。
更に、導体ポスト16は、第1導体部181と第2導体部182とに挟まれた合金層165を備えることができる。この合金層165は、後述するように、特に、介在層17を利用して形成した場合に、第1導体部181及び第2導体部182の層間で介在層17の合金化(介在層17を構成する成分の拡散)によって形成できる。
【0016】
更に、本発明の配線基板10及び本方法で得られる配線基板10には、前記以外にも他部を備えることができる。他部としては、コア基板、絶縁層、内装部品等が挙げられる。
このうち、コア基板は、絶縁材料から構成され、通常、板状体である。また、配線基板10の厚さ方向における中心部をなすことができる。コア基板を構成する絶縁材料としては絶縁性樹脂が好ましく、例えば、エポキシ樹脂やビスマレイミド−トリアジン樹脂等が挙げられる。また、コア基板には、補強材(ガラス繊維等の補強繊維)及び充填剤(シリカ、アルミナ等の各種フィラー)等が含まれてもよい。即ち、例えば、コア基板としては、ガラス繊維強化エポキシ樹脂等の繊維強化樹脂板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂板等の耐熱性樹脂板などを用いることができる。また、このコア基板は、複層化されていてもよく、更には、内部に導体層(内層パターン)を有していてもよい。また、絶縁層は、コア基板上に積層された導体層間を絶縁する機能を有する層である。この絶縁層は、前記コア基板を構成する絶縁材料と同様の絶縁材料から構成できる。
【0017】
更に、本発明の配線基板10及び本方法で得られる配線基板10は、その内部に収容部を備える場合には、収容部内に内装部品を有することができる。
収容部の平面形状は特に限定されず、例えば、略四角形(四角形、角部が面取りされた四角形等が含まれる)であってもよく、略円形(真円形状、楕円形状等が含まれる)などであってもよい。また、前記内装部品としては、コンデンサ、インダクタ、フィルタ、抵抗及びトランジスタ等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、コンデンサが好ましく、特に積層セラミックコンデンサが好適である。更に、収容部内に内装された内装部品と収容部との間隙には、内装部品とコア基板との熱膨張係特性を緩和する機能を有する絶縁材が充填されてなる充填部を有することができる。通常、充填部は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等の樹脂からなるか、又は、これらの樹脂とシリカ及びアルミナ等の低熱膨張性セラミック;チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム及びチタン酸鉛等の誘電性セラミック;窒化アルミナ、窒化ホウ素、炭化硅素、窒化珪素等の耐熱性セラミック;ホウケイ酸系ガラス等のガラスなどの無機材料からなる無機フィラーと、の混合物からなる。
【0018】
[2]配線基板の製造方法
本発明の配線基板の製造方法は、貫通孔穿設工程PR2と、第1導体部形成工程PR3と、第2導体部形成工程PR6と、をこの順に備えることを特徴とする。
【0019】
前記「貫通孔穿設工程(PR2)」は、熱硬化性樹脂を含むソルダーレジスト層13に貫通孔(第1の貫通孔)131を穿設する工程である。この貫通孔131の穿孔によって、導体層12aがソルダーレジスト層13の層下から、貫通孔131内に(貫通孔131の底部に)露出されることとなる。そして、穿孔された貫通孔131を介して、導体層12aは導体ポスト16と接続され、導体層12aはソルダーレジスト層13外へと導通される。
【0020】
ソルダーレジスト層13の厚さは特に限定されないが、1μm以上100μm以下であることが好ましい。ソルダーレジスト層13の厚さがこの範囲である場合には、本発明による効果をより得易いからである。このソルダーレジスト層13の厚さは5μm以上50μm以下がより好ましく、10μm以上40μm以下が特に好ましい。
【0021】
また、ソルダーレジスト層13は、熱硬化性樹脂(未硬化状態、半硬化状態、硬化状態のいずれをも含む)を含む。ソルダーレジスト層13が、熱硬化性樹脂を含むことにより、リフロー工程(本方法により得られる配線基板10に部品を実装する際に利用される工程)における不要な半田の付着を防止しながら、めっき液に対する耐性(特に耐アルカリ性)を付与できる。これにより、導体層12aの表面12apや、特にソルダーレジスト層13の表面13pにも無電解めっき及び電解めっきのうちの少なくとも一方を形成することが可能となる。
更に、熱硬化性樹脂を含むソルダーレジスト層13は、感光性樹脂のみから形成されたソルダーレジスト層に比べて、より優れた耐クラック性及び耐マイグレーション性を得ることができる。更に、後述するように、導体材料としてSn(スズ)が採用される場合には、感光性樹脂のみから形成されたソルダーレジスト層を備えた配線基板では、半導体チップ部品搭載後の応力ストレスが大きくなることが考えられる。これは、熱膨脹率が4ppm/℃程度の半導体チップ部品に対して、感光性樹脂の熱膨張率が50〜70ppm/℃と高いためである。これに対して、ソルダーレジスト層に感光性樹脂より熱膨脹率の小さい熱硬化性樹脂を含有させることで、半導体チップ部品との熱膨張差を抑制して、半導体チップ部品を搭載した配線基板の応力ストレスを低減することができる。
【0022】
ソルダーレジスト層13を構成する熱硬化性樹脂の種類は特に限定されないが、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、シアネート樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらのなかでも特にエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、などのノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変成した脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0023】
また、ソルダーレジスト層13に含まれる熱硬化性樹脂の量は特に限定されないが、通常、ソルダーレジスト層13を構成する有機材料中に最も多く(体積として最も多く含まれる)含まれる。即ち、ソルダーレジスト層13を構成する有機材料において熱硬化性樹脂が主体となっている。より具体的には、ソルダーレジスト層13を構成する有機材料を100体積%において熱硬化性樹脂は50体積%を超え(100体積%であってもよい)で含まれることが好ましい。このソルダーレジスト層13を構成する有機材料中における熱硬化性樹脂の含有量は特に限定されないが、より好ましくは50体積%を超え且つ100体積%以下とすることができ、更に好ましくは80体積%以上且つ100体積%以下とすることができる。また、ソルダーレジスト層13に含むことができる熱硬化性樹脂以外の他の有機材料としては、ゴム及び熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0024】
また、ソルダーレジスト層には、上記熱硬化性樹脂を含む有機材料以外に充填剤(シリカ、アルミナ等の各種無機フィラー、通常、無機材料である)等が含まれてもよい。充填剤が含まれる場合、ソルダーレジスト層13全体を100質量%とした場合に、充填剤は70質量%以下である。
【0025】
貫通孔穿孔工程PR2では、どのようにして貫通孔13を穿孔してもよい。即ち、例えば、フォトリソグラフィー法を用いて第1貫通孔131を形成してもよく、レーザー穿孔法を用いて第1貫通孔131を形成してもよく、これらの方法を併用してもよい。
また、穿孔する貫通孔131の形態はソルダーレジスト層13を貫通するものであればよく、その形状は特に限定されない。例えば、貫通孔131の平面形状は、円形状であってもよく、四角形等の多角形状であってもよく、更にその他の形状であってもよいが、円形状が好ましい。また、この貫通孔131の大きさも特に限定されないが、通常、導体層12aの一部のみが露出される大きさ(即ち、導体層12aの全部が露出されないことが好ましい)である。
【0026】
更に、通常、貫通孔131の開口の大きさは特に限定されないが、貫通孔131の平面形状が円形状である場合、その直径は10μm以上100μm以下であると共に、深さ(ソルダーレジスト層13の厚さ)は1μm以上100μm以下であることが好ましい。このような貫通孔131を備える配線基板10では、本発明の効果をより得易い。この直径は30μm以上150μm以下であると共に、深さは5μm以上50μm以下であることがより好ましく、直径は40μm以上100μm以下であると共に、深さは5μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
【0027】
前記「第1導体部形成工程(PR3)」は、貫通孔(第1の貫通孔)131の穿孔により導体層12aが露出された貫通孔131内に銅を主体とする第1導体部181を形成する工程である。
この第1導体部181を形成することで、ソルダーレジスト層13に開口された貫通孔131の開口径に対する深さの割合(深さ/開口径)を小さくしたり、或いは、貫通孔131を充填して塞いだりできる。これにより、第2導体部182を第1導体部181を介して、導体層12aへ確実に電気的に接続することができる。即ち、導体ポスト16と導体層12aとの接続を容易に行うことができるようになる。
【0028】
前記第1導体部181は、どのように形成してもよい。即ち、例えば、無電解めっき法により形成してもよく、導体ペーストを用いて充填する方法により形成してもよい。
また、この第1導体部181はどの程度、形成してもよく、例えば、図10に例示されるように、貫通孔131の一部のみ埋まるように第1導体部181を形成してもよく、図2に例示されるように、貫通孔131の全部が埋まるように第1導体部181を形成してもよく、図11に例示されるように、貫通孔131の全部を埋めると共に、貫通孔131からソルダーレジスト層13の外へ張り出す(即ち、外へ突出する)ように第1導体部181を形成してもよい。尚、後述する介在層17を有する場合には、第1導体部181の深さ方向における厚みが、介在層17の厚みよりも大きいことが好ましい。この場合には、本発明で第1導体部181を形成することの技術的意義がより大きい。
【0029】
第1導体部181は、銅を主体とする材料から構成される。第1導体部181が低熱膨張材料である銅を主体とする材料で形成されることで、導体ポスト16全体に占める銅の割合が増えて、導体ポスト16全体の熱膨張率を低下させることができる(例えば、導体ポスト16を熱膨脹率が23.5ppm/℃であるSnのみから形成した場合等に比べて低熱膨張化できる)。
第1導体部181が、銅を主体とするとは、第1導体部全体を100質量%とした場合に、95質量%以上(好ましくは97質量%以上、100質量%であってもよい)のCuを含むことを意味する。また、Cu以外の他の金属元素を含む場合、他の金属元素としては、Sn等が挙げられ、1種のみが含まれてもよく2種以上が含まれてもよい。
尚、第1導体部181に含まれる成分は、EPMAにより1000倍以上に拡大して観察して得られる。
【0030】
前記「第2導体部形成工程(PR6)」は、第1導体部181上に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部182を形成する工程である。
この第2導体部182はスズ、銅又は半田を主体とする。第2導体部182が、スズを主体とするとは、第2導体部全体を100質量%とした場合に、95質量%以上(好ましくは97質量%以上、100質量%であってもよい)のSnを含むことを意味する。また、Sn以外の他の金属元素を含む場合、他の金属元素としては、Cu、Ag、Zn、In、Bi、Sb及びPb等が挙げられ、これらは1種のみが含まれてもよく2種以上が含まれてもよい。
【0031】
また、第2導体部182が、銅を主体とするとは、第2導体部全体を100質量%とした場合に、95質量%以上(好ましくは97質量%以上、100質量%であってもよい)のCuを含むことを意味する。また、Cu以外の他の金属元素を含む場合、他の金属元素としては、Sn等が挙げられ、1種のみが含まれてもよく2種以上が含まれてもよい。
更に、第2導体部182が、半田を主体とするとは、Sn、Ag、Cu、Zn、Al、Ni、Ge、Bi、In、Pb及びAuの群から選ばれる2種以上の金属元素の合計含有量が、第1導体部全体を100質量%とした場合に、95質量%以上(好ましくは97質量%以上、100質量%であってもよい)であることを意味する。より具体的には、第2導体部182を構成する半田として、SnPb半田、SnAgCu半田、SnBi半田、SnZnBi半田、SnCu半田、SnAgInBi半田、SnZnAl半田、SnCuNiGe半田等が挙げられる。
尚、第2導体部182に含まれる成分は、EPMAにより1000倍以上に拡大した状態で測定して得られる。
また、第1導体部181と、第2導体部182とは、同じ材料からなってもよく、異なる材料からなってもよい。
【0032】
この第2導体部182も、前記第1導体部181と同様に、どのようにして形成してもよい。即ち、例えば、(1)図3〜図4{(PR6−11)〜(PR6−16)}、及び、図5〜図6{(PR6−11)〜(PR6−16)}、に例示されるようにフォトリソ法を用いて第2導体部182を形成する方法、(2)図7及び図8に例示されるようにスクリーン印刷法を用いて第2導体部182を形成する方法、(3)図9に例示されるように半田ボール40を用いて第2導体部182を形成する方法、などが挙げられる。以下、これらの方法について説明する。
【0033】
(1)フォトリソ法を用いた第2導電部182の形成(図3〜4及び図5〜6参照)
このフォトリソ法を用いて第2導電部182を形成する第2導体部形成工程PR6は、
これまでに得られた素基板20の表面を覆うようにフォトレジスト層15を形成するフォトレジスト層形成工程PR6−11と、
フォトリソグラフィー法を用いて前記第1の貫通孔131に連通されると共に、該第1の貫通孔131と実質的に同じ大きさ又は該第1の貫通孔131よりも大きい径の第2の貫通孔151を前記フォトレジスト層15に穿設する第2貫通孔穿設工程PR6−12と、
前記第1の貫通孔131及び前記第2の貫通孔151の両孔内に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部182をめっき形成する第2導体部めっき形成工程PR6−13と、
前記フォトレジスト層15を除去するフォトレジスト層除去工程PR6−14と、をこの順に含む。
【0034】
前記フォトレジスト層形成工程(PR6−11)は、これまでに得られた素基板20を覆うようにフォトレジスト層15を形成する工程である。即ち、(1)第1導体部形成工程PR3を経て第1導体部181が形成された素基板20上にフォトレジスト層15を形成する工程、(2)後述する介在層形成工程PR4を経て介在層17が形成された素基板20上にフォトレジスト層15を形成する工程(図3参照)、(3)後述する無電解めっき層形成工程PR5(第2導体部182を電解めっき形成する際の通電極として利用される無電解めっき層14)を経て無電解めっき層14が形成された素基板20上にフォトレジスト層15を形成する工程(図5参照)、のこれら(1)〜(3)のうちのいずれかを行う工程である。
【0035】
フォトレジスト層15を形成する方法は特に限定されず、(A)液状のフォトレジスト組成物を、ソルダーレジスト層13上に、塗布した後、必要に応じて乾燥、硬化(半硬化)等を行って得ることができる。更に、(B)フォトレジスト層15となるドライフィルムを、ソルダーレジスト層13上に、貼着した後、必要に応じて乾燥、硬化(半硬化)等を行って得ることができる。前記(A)の方法を利用する場合には、液状のフォトレジスト組成物は、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布方法により塗布できる。一方、前記(B)の方法を利用する場合には、ドライフィルムを押圧して密着させることができる。この場合には、バッチ式プレス機で行ってもよいが、製造ラインを流通させながら押圧を行うことができるために、ローラー式プレス機等を用いることができる。
【0036】
前記フォトレジスト層15の厚さは特に限定されないが、1μm以上500μm以下であることが好ましい。フォトレジスト層15の厚さがこの範囲である場合には、第2導体部182をソルダーレジスト層13より外側へ十分に張り出して形成できると共に、導体ポスト16を介した外部との良好な接続を得ることができる。このフォトレジスト層15の厚さは5μm以上300μm以下がより好ましく、10μm以上100μm以下が特に好ましい。
【0037】
前記第2貫通孔穿設工程(PR6−12)」は、フォトリソグラフィー法を用いて第1の貫通孔131に連通されると共に、第1の貫通孔131と実質的に同じ大きさ、又は、第1の貫通孔131よりも大きい径の第2の貫通孔151をフォトレジスト層15に穿設する工程である。第2の貫通孔151は、フォトレジスト層15の表裏に貫通された貫通孔であり、フォトレジスト層15の表面側から穿孔されて、ソルダーレジスト層13の側まで貫通されている。この第2の貫通孔151は、第2導体部182を形成するための型枠となる孔である。
尚、図11に例示されるようなソルダーレジスト層13の外側へ突出して第1導体部181が形成されている場合や、介在層17が形成されている場合には、第2の貫通孔151内に第1導体部181や介在層17が配置された状態となる。
【0038】
また、この第2の貫通孔151は、第1の貫通孔131と実質的に同じ大きさの孔、又は、第1の貫通孔131よりも大きい径の孔である。実質的に同じ大きさの孔とは、即ち、第1の貫通孔131の直径をL131とし、第2の貫通孔の直径をL151とした場合に、0.5≦L151/L131≦1であることを意味する。一方、第2の貫通孔151が第1の貫通孔131よりも大きい径の孔である場合には、1<L151/L131≦5であることが好ましく、1<L151/L131≦1.5がより好ましく、1<L151/L131≦1.2が特に好ましい。尚、直径L131は、第1の貫通孔131の開口面を8等分する4本の直径の長さの平均長さである。また、同様に、直径L151は、第2の貫通孔151の開口面を8等分する4本の直径の長さの平均長さである。
【0039】
前記第2導体部めっき形成工程(PR6−13)は、第1の貫通孔131及び第2の貫通孔151の両孔内に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部182をめっき形成する工程である。但し、図3及び図11に例示されるように、第1の貫通孔131が第1導体部181により充塞されている場合には、第2の貫通孔151の孔内に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部182をめっき形成する工程である。即ち、第1導体部181上(後述する介在層17や、無電解めっき層14を介してもよい)に第2導体部182を形成する工程である。
この工程PR6−13では、どのようなめっき形成手段を用いてもよい。即ち、例えば、無電解めっきで第2導体部182を形成してもよく、電解めっきで第2導体部182を形成してもよい。
【0040】
前記フォトレジスト層除去工程(PR6−14)は、フォトレジスト層15を除去する工程である。即ち、フォトレジスト層15を除去すると共に、第2導体部182を基板上に露出させる工程である。フォトレジスト層15の除去はどのような方法で行ってもよく、例えば、レーザーや熱を加える等して焼失させて(アッシングして)もよく、また、溶剤等により溶解除去してもよい。特にフォトレジストとして、ポジ型フォトレジストを用いた場合には、溶剤により簡便に除去することができる。
【0041】
更に、この第2導体部形成工程PR6では、図6に例示されるように、フォトレジスト層除去工程PR6−14においてフォトレジスト層15を除去した後、その層下に無電解めっき層14が現れる場合には、この無電解めっき層14の不要部を除去する無電解めっき層除去工程PR6−15を備えることができる。この工程は、エッチング等の方法により行うことができる。
【0042】
また、第2導体部形成工程PR6では、図4及び図6に例示されるように、これまでの工程において形成された導体部(第1導体部181、介在層17、無電解めっき層14、第2導体部182等)を加熱(リフロー)して一体化させる加熱工程PR6−16を備えることができる。即ち、第1導体部181及び第2導体部182を加熱する加熱工程PR6−16を備えることができる。この工程PR6−16により、第1導体部181及び第2導体部182の界面で各部を構成する金属成分同士が拡散しあい、強固に融合されて一体化された導体ポスト16を得ることができる。更に、この加熱により、各導体部が適度に溶解されると共に、特に溶解された第2導体部182は、その表面張力によって形状の歪みを補正でき、丸みを帯びさせることができる(図4及び図6参照)。更には、セルフアライメント効果により、導体層12aと軸中心を合わせるように導体ポスト16全体の位置を補正できる。これらの作用により、より信頼性に優れた導体ポスト16を有する配線基板10を得ることができる。この加熱工程PR6−16による上記効果は、第2導体部182がスズを主体として形成されている場合に特に効果的である。
【0043】
加熱工程PR6−16における加熱条件(リフロー条件)などは特に限定されないが、例えば、第2導体部がスズ又は半田を主体として形成される場合には、大気雰囲気下において、温度100℃以上400℃以下に加熱するものであることが好ましい。この範囲の温度であれば、前記セルフアライメント効果をも得ることができる。この温度は150℃以上300℃以下がより好ましく、180℃以上260℃以下が特に好ましい。特にリフロー時の最高到達温度は、第2導体部182を構成する材料(とりわけSn又は半田)の融点(第2導体部182自体の融点)よりも30℃以上高温であることが好ましい。
【0044】
また、第2導体部めっき形成工程PR6−13を、電解めっきにより行う場合には、図5に例示されるように、無電解めっき層形成工程PR5を備えることができる。即ち、工程PR5を行うまでに得られた素基板20の表面に、無電解めっきを行って、無電解めっき層14を形成する工程である。この工程で得られる無電解めっき層14は、第2導体部182を電解めっき法により形成する際の通電極として利用される。
この無電解めっき層14を構成する材料は導電性を有すればよく特に限定されないが、上記第2導体部182を構成する材料と同様に、スズ、銅を主体とすることが好ましい。また、図6に例示されるように、フォトレジスト層除去工程PR6−14においてフォトレジスト層15を除去した後、フォトレジスト層15の層下から露出された無電解めっき層14の不要部を除去する無電解めっき層除去工程PR6−15を、通常、備えることとなる。無電解めっき層除去工程PR6−15は、通常、エッチングにより行う。
【0045】
(2)スクリーン印刷法を用いた第2導電部182の形成(図7及び図8参照)
スクリーン印刷法を用いて第2導電部182を形成する第2導体部形成工程PR6は、前記第2導体部として半田ペースト30を印刷する印刷工程を含む。より具体的には、図7及び図8に例示されるように、スクリーンマスク22を配置するマスク配置工程PR6−21と、スクリーンマスク22を利用して半田ペースト30を第1導体部181上(後述する介在層17を介してもよい)に印刷する半田ペースト印刷工程PR6−22と、半田ペースト印刷工程PR6−22後に、スクリーンマスク22を除去するマスク除去工程PR6−23と、を備えることができる。
【0046】
また、この第2導体部形成工程PR6では、図8に例示されるように、これまでの工程において形成された導体部を加熱(リフロー)して一体化させることができる。即ち、第1導体部181及び第2導体部182(半田ペースト30)を加熱する加熱工程PR6−25を備えることができる。この工程PR6−25により、第1導体部181及び第2導体部182の界面で各部を構成する金属成分同士が拡散しあい、強固に融合されて一体化された導体ポスト16を得ることができる。更に、この加熱により、各導体部が適度に溶解されると共に、特に溶解された第2導体部182は、その表面張力によって形状の歪みを補正でき、丸みを帯びさせることができる。更には、セルフアライメント効果により、導体層12aと軸中心を合わせるように導体ポスト16全体の位置を補正できる。これらの作用により、より信頼性に優れた導体ポスト16を有する配線基板10を得ることができる。この加熱工程PR6−25による上記効果は、第2導体部182がスズを主体として形成されている場合に特に効果的である。
加熱工程PR6−25における加熱条件(リフロー条件)などは特に限定されないが、前記(1)フォトリソ法を用いた第2導電部182の形成における条件をそのまま適用できる。
【0047】
(3)半田ボールを用いた第2導電部182の形成(図9参照)
半田ボールを用いて第2導電部182を形成する第2導体部形成工程PR6は、第1導体部181上(図9中の介在層17は形成してもしなくてもよい)に前記第2導体部として半田ボール40を配置するボール配置工程PR6−31と、前記半田ボール40を加熱して第2導体部182として成形する半田ボール加熱工程PR6−32と、をこの順に含むことができる。
更に、他の形成方法におけると同様に、この第2導体部形成工程PR6でも、図9に例示されるように、これまでの工程において形成された導体部を加熱(リフロー)して一体化させることができる。即ち、第1導体部181及び第2導体部182(半田ボール40)を加熱する加熱工程PR6−32を備えることができる。この工程PR6−32により、第1導体部181及び第2導体部182の界面で各部を構成する金属成分同士が拡散しあい、強固に融合されて一体化された導体ポスト16を得ることができる。更に、この加熱により、各導体部が適度に溶解されると共に、特に溶解された第2導体部182は、その表面張力によって形状の歪みを補正でき、丸みを帯びさせることができる。更には、セルフアライメント効果により、導体層12aと軸中心を合わせるように導体ポスト16全体の位置を補正できる。これらの作用により、より信頼性に優れた導体ポスト16を有する配線基板10を得ることができる。この加熱工程PR6−32による上記効果は、第2導体部182がスズを主体として形成されている場合に特に効果的である。
加熱工程PR6−32における加熱条件(リフロー条件)などは特に限定されないが、前記(1)フォトリソ法を用いた第2導電部182の形成における条件をそのまま適用できる。
【0048】
このように、本発明の製造方法では、PR1〜PR6までの前記に説明した各工程を備えることができる他、更に他の工程を備えることができる。更に他の工程としては、第2導体部形成工程PR6前に、第1導体部181の表面に、ニッケル及び金を含む導電性の介在層17を形成する介在層形成工程PR4が挙げられる。この介在層形成工程PR4を備える場合には、第2導体部形成工程PR6では、介在層17の表面に第2導体部182を形成することとなる。第2導体部182を形成する前に、下地層としてこの介在層17を、第2導体部182と第1導体部181との間に介在させることにより、第1導体部181及び第2導体部182が異なる材料からなる場合においては、前記加熱工程(PR6−16、PR6−25及びPR6−32等)において各構成成分が相互に拡散される際の接合強度を低下させる要因となる成分(例えば、Cu6:Sn5の組成比で各金属元素が含まれる成分等)の形成を効果的に抑制できる。その結果、より優れた接合強度を有する導体ポスト16を有する配線基板10を得ることができる。
【0049】
この介在層17の形成方法は特に限定されないが、例えば、無電解ニッケルめっきを施し、無電解ニッケルめっき層を形成した後、無電解金めっきを施すことで、無電解ニッケルめっき層上に無電解金めっき層を形成した複層構造の介在層17を得ることができる。
介在層17におけるニッケル及び金の含有量は特に限定されないが、例えば、前記の無電解ニッケルめっき層と、この無電解ニッケルめっき層上に積層された無電解金めっき層とを備える複層構造の介在層17である場合には、無電解ニッケルめっき層全体を100質量%とした場合に、無電解ニッケルめっき層におけるニッケル含有量は90〜95質量%であることが好ましい。更に、無電解金めっき層全体を100質量%とした場合に、無電解金めっき層における金の含有量は95〜100質量%であることが好ましい。この範囲では、前記接合強度を低下させる要因となる成分の形成を効果的に抑制できる。
【0050】
更に、この介在層17の厚さも特に限定されないが、1μm以上20μm以下であることが好ましい。介在層17の厚さがこの範囲である場合には、前記接合強度を低下させる要因となる成分の形成をより効果的に抑制できる。この介在層17の厚さは3μm以上15μm以下がより好ましく、6μm以上12μm以下が特に好ましい。
【0051】
本発明の方法では、前記各工程以外にも、他の工程を備えることができる。他の工程としては、デスミア工程が挙げられる。デスミア工程は、第1の貫通孔131を形成した後、第2の貫通孔151を形成した後、等に行うことができる。このデスミア工程を行うことで、貫通孔内の残留物除去することができる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明の配線基板10について実施例により具体的に説明する。但し、本発明は本実施例において利用する条件等に拘束されるものではない。
【0053】
(1)配線基板10
本実施例で製造する配線基板10(図1参照)は、コア基板11の一面側に積層された導体層12と、この導体層12上に積層されたソルダーレジスト層13と、ソルダーレジスト層13に設けられた貫通孔131の下方に配置された導体層12aに導通される導体ポスト16と、を備える。
コア基板11は、厚さ0.8mmのガラスエポキシ(ガラス繊維を芯材として含むエポキシ樹脂)からなる。また、導体層12は、コア基板11の一面に貼着された、厚さ12μmの銅箔をパターニングしてなる。
更に、ソルダーレジスト層13は、厚さ21μmであり、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂(ソルダーレジスト層13は、40質量%のシリカからなるフィラーと、60質量%の有機材料とを含む、更に、有機材料は、エポキシ樹脂をその全体100体積%に対して、80体積%含有する)を含む。ソルダーレジスト層13に穿孔された貫通孔(第1の貫通孔)131は、口径64μmの円形状であり、ソルダーレジスト層13の層下の導体層12aまで表裏に貫通されている。
【0054】
導体ポスト16は、貫通孔131内を充塞してなる。更に、導体ポスト16のうちのソルダーレジスト層13内に位置された円柱形状をなす下部は、直径64mm且つ高さ21μmである。また、ソルダーレジスト層13外に位置された略球形状の上部は、最大径が74μm且つ高さ(最も高い位置)58μmである。
【0055】
以下、この配線基板10の製造方法を図2〜4を用いて説明する。尚、各工程における製造途中の基板についての各々異なる名称を用いるのは煩雑であるため、配線基板10となる以前の各工程における基板は全て素基板20という。
図2に示す、工程PR1以前の素基板20を用意する。この素基板20は、厚さ0.8mmのガラスエポキシ(ガラス繊維を芯材として含むエポキシ樹脂)からなるコア基板11と、コア基板11の一面に貼着された厚さ12μmの銅箔がパターニングされてなる導体層12と、を備える。
【0056】
(2)ソルダーレジスト層形成工程PR1
前記(1)の素基板20の導体層12を備える側の表面に、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を含むフィルム状のソルダーレジスト層形成用組成物を貼着した後、加熱硬化させ、厚さ21μmの、熱硬化性樹脂からなるソルダーレジスト層13を得る。
【0057】
(3)第1貫通孔穿設工程PR2
前記(2)で得られたソルダーレジスト層13に表面側からレーザーを照射し、直径60μmの第1の貫通孔131を穿孔する。これにより、ソルダーレジスト層13下の導通が必要な導体層12aが露出される。また、その後、第1の貫通孔131内のスミアを除去するためにデスミア処理を行う。
【0058】
(4)第1導体部形成工程PR3
前記(3)までに得られた第1の貫通孔131が穿孔された素基板20を、ニッケル塩、硫酸銅、水酸化ナトリウム、キレート剤、錯化剤等を含む無電解銅めっき液に浸漬して、無電解銅めっきを行い、第1導体部181を形成した。
【0059】
(5)介在層形成工程PR4
前記(4)までに得られた第1導体部181が形成された素基板20の第1導体部181の表面に、無電解ニッケルめっきにより無電解ニッケルめっき層を形成し、次いで、この無電解ニッケルめっき層に積層するように、無電解金めっきにより無電解金めっき層を形成して、ニッケル及び金を含む導電性の介在層17を形成する。得られる介在層17は、無電解ニッケルめっき層全体を100質量%とした場合にこの層にニッケルを93量%、無電解金めっき層全体を100質量%とした場合、この層に金を100質量%、各々含有し、厚さが3μmである。
【0060】
(6)フォトレジスト層形成工程PR6−11
前記(5)までに得られた介在層17が形成された素基板20の表面に、厚さが75μmのドライフィルム式フォトレジスト層15を圧着する。
【0061】
(7)第2貫通孔穿設工程PR6−12
前記(6)までに得られたフォトレジスト層15が形成された素基板20に、フォトリソグラフィー法を用いて第1の貫通孔131に連通され、且つ、第1貫通孔131と同径の第2貫通孔151を穿設する。即ち、露光工程及び現像工程等を経て第2の貫通孔151を形成する。これにより、フォトレジスト層15下の介在層17の表面が第2の貫通孔151内に露出される。また、その後、第2の貫通孔151内のスミアを除去するためにデスミア処理を行う。
【0062】
(8)第2導体部めっき形成工程PR6−13
前記(7)までに得られた第2の貫通孔151が形成された素基板20を、第1塩化スズ、スズ酸ナトリウムをスズ源として含有するめっき液に浸漬して、無電解Snめっきを行い、第2の貫通孔151内をスズめっきで充塞して、第2導体部182を形成する。
【0063】
(9)フォトレジスト層除去工程PR6−14
前記(8)までに得られた第1導体部181及び第2導体部182を備える素基板20の表面からフォトレジスト層15をアミン系剥離液に浸漬して除去する。
【0064】
(10)加熱工程PR6−16
前記(9)までに得られた素基板20を、所定のリフロー炉にてスズの融点以上の温度となるように、最高温度270℃(融点以上の温度を50秒間保持)でリフローに供した。これにより、第1導体部181及び第2導体部182が一体的な1つの導体となり、第1導体部181及び第2導体部182の層間では、介在層17の合金化(介在層17を構成する成分の拡散)も促進されて、これらが一体の導体ポスト16となる。そして、合金層165が形成される。更に、セルフアライメント効果により、導体ポスト16は、導体層12aの中心軸上に寄ると共に、溶解された導体金属の表面張力により、より綺麗な円形状に成形される。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は電子部品関連分野において広く利用できる。また、本発明の配線基板等は、マザーボード等の通常の配線基板、フリップチップ用配線基板、CSP用配線基板及びMCP用配線基板等の半導体素子搭載用配線基板、アンテナスイッチモジュール用配線基板、ミキサーモジュール用配線基板、PLLモジュール用配線基板及びMCM用配線基板等のモジュール用配線基板等に利用される。
【符号の説明】
【0066】
10;配線基板、
11;コア基板、
12;導体層、12a;導体層、12ap;導体層12aの表面、
13;ソルダーレジスト層、131;貫通孔(第1の貫通孔)、131c;内側面(第1の貫通孔の内側面)、
14;無電解めっき層、
15;フォトレジスト層、151;貫通孔(第2の貫通孔)、
16;導体ポスト、181;第1導体部、182;第2導体部、
165;合金層、
17;介在層、
20;素基板、21;スキージ、22;スクリーンマスク、
30;半田ペースト、
40;半田ボール、
PR1;ソルダーレジスト層形成工程、PR2;貫通孔(第1の貫通孔)穿孔工程、PR3;第1導体部形成工程、PR4;介在層形成工程、PR5;無電解めっき層形成工程、PR6;第2導体部形成工程、PR6−11;フォトレジスト層形成工程、PR6−12;第2貫通孔穿設工程、PR6−13;第2導体部めっき形成工程、PR6−14;フォトレジスト層除去工程、PR6−15;無電解めっき層除去工程、PR6−16;加熱工程、PR6−21;マスク配置工程、PR6−22;半田ペースト印刷工程、PR6−23;マスク除去工程、PR6−25;加熱工程、PR6−31;ボール配置工程、PR6−32;加熱工程。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体層と、該導体層上に積層されたソルダーレジスト層と、該ソルダーレジスト層に設けられた貫通孔の下方に配置された導体層に導通される導体ポストと、を備える配線基板の製造方法であって、
熱硬化性樹脂を含む前記ソルダーレジスト層に前記貫通孔を穿設して、前記導体層を該貫通孔内に露出させる貫通孔穿設工程と、
前記貫通孔内に銅を主体とする第1導体部を形成する第1導体部形成工程と、
前記第1導体部上に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部を形成する第2導体部形成工程と、をこの順に備えることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記第2導体部形成工程前に、前記第1導体部上に、ニッケル及び金を含む導電性の介在層を形成する介在層形成工程を備え、且つ、
前記第2導体部形成工程では、前記介在層の表面に第2導体部を形成する請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記第2導体部形成工程では、前記第2導体部として半田ペーストを印刷する印刷工程を含む請求項1又は2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記第2導体部形成工程は、前記第1導体部上に前記第2導体部として半田ボールを配置するボール配置工程と、前記半田ボールを加熱して第2導体部として成形する半田ボール加熱工程と、をこの順に含む請求項1又は2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記第2導体部形成工程は、
これまでに得られた素基板の表面を覆うようにフォトレジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、
フォトリソグラフィー法を用いて前記第1の貫通孔に連通されると共に、該第1の貫通孔と実質的に同じ大きさ又は該第1の貫通孔よりも大きい径の第2の貫通孔を前記フォトレジスト層に穿設する第2貫通孔穿設工程と、
前記第2の貫通孔内に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部をめっき形成する第2導体部めっき形成工程と、
前記フォトレジスト層を除去するフォトレジスト層除去工程と、をこの順に含む請求項1又は2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記第2導体部形成工程では、前記第2の貫通孔内に、スズからなる第2導体部をめっき形成すると共に、
前記フォトレジスト層除去工程の後に、前記第1導体部及び第2導体部を加熱する加熱工程を備える請求項5に記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
導体層と、該導体層上に積層されたソルダーレジスト層と、該ソルダーレジスト層に設けられた貫通孔の下方に配置された導体層に導通される導体ポストと、を備える配線基板であって、
前記ソルダーレジスト層は、熱硬化性樹脂を含み、
前記導体ポストは、
前記貫通孔内に形成された第1導体部と、前記第1導体部上に形成された第2導体部とを有し、
前記第1導体部は銅を主体とし、前記第2導体部はスズ、銅又は半田を主体とすることを特徴とする配線基板。
【請求項1】
導体層と、該導体層上に積層されたソルダーレジスト層と、該ソルダーレジスト層に設けられた貫通孔の下方に配置された導体層に導通される導体ポストと、を備える配線基板の製造方法であって、
熱硬化性樹脂を含む前記ソルダーレジスト層に前記貫通孔を穿設して、前記導体層を該貫通孔内に露出させる貫通孔穿設工程と、
前記貫通孔内に銅を主体とする第1導体部を形成する第1導体部形成工程と、
前記第1導体部上に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部を形成する第2導体部形成工程と、をこの順に備えることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記第2導体部形成工程前に、前記第1導体部上に、ニッケル及び金を含む導電性の介在層を形成する介在層形成工程を備え、且つ、
前記第2導体部形成工程では、前記介在層の表面に第2導体部を形成する請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記第2導体部形成工程では、前記第2導体部として半田ペーストを印刷する印刷工程を含む請求項1又は2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記第2導体部形成工程は、前記第1導体部上に前記第2導体部として半田ボールを配置するボール配置工程と、前記半田ボールを加熱して第2導体部として成形する半田ボール加熱工程と、をこの順に含む請求項1又は2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記第2導体部形成工程は、
これまでに得られた素基板の表面を覆うようにフォトレジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、
フォトリソグラフィー法を用いて前記第1の貫通孔に連通されると共に、該第1の貫通孔と実質的に同じ大きさ又は該第1の貫通孔よりも大きい径の第2の貫通孔を前記フォトレジスト層に穿設する第2貫通孔穿設工程と、
前記第2の貫通孔内に、スズ、銅又は半田を主体とする第2導体部をめっき形成する第2導体部めっき形成工程と、
前記フォトレジスト層を除去するフォトレジスト層除去工程と、をこの順に含む請求項1又は2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記第2導体部形成工程では、前記第2の貫通孔内に、スズからなる第2導体部をめっき形成すると共に、
前記フォトレジスト層除去工程の後に、前記第1導体部及び第2導体部を加熱する加熱工程を備える請求項5に記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
導体層と、該導体層上に積層されたソルダーレジスト層と、該ソルダーレジスト層に設けられた貫通孔の下方に配置された導体層に導通される導体ポストと、を備える配線基板であって、
前記ソルダーレジスト層は、熱硬化性樹脂を含み、
前記導体ポストは、
前記貫通孔内に形成された第1導体部と、前記第1導体部上に形成された第2導体部とを有し、
前記第1導体部は銅を主体とし、前記第2導体部はスズ、銅又は半田を主体とすることを特徴とする配線基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−142557(P2012−142557A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227310(P2011−227310)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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