説明

配線基板

【課題】信号の反射損や挿入損が小さく、信号を正常に伝播させることが可能な配線基板を提供すること。
【解決手段】複数の絶縁層11〜17が積層されて成る絶縁基板10と、絶縁基板10の下面に形成されたペア伝送路用の外部接続パッドのペア41,42と、絶縁層11〜17間に配設されており、外部接続パッドのペア41,42に対応する位置に開口部91a〜96aが形成された複数の導体層22〜27と、開口部91a〜96a内に対応する位置において外部接続パッドのペア41,42に電気的に接続されて複数の絶縁層11〜17を貫通する貫通導体52〜57とを備える配線基板であって、導体層22〜27は、開口部91a〜96aを取り囲む電源パターン91〜96をその周囲の電源層73〜78から独立して有するとともに上下の電源パターン91〜96同士が貫通導体52〜57により同じ電源電位に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路素子等の半導体素子を搭載するための配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を搭載するための小型の配線基板は、複数の絶縁層が積層されて成る絶縁基板の内部および表面に配線導体用の複数の導体層が配置されているとともに絶縁層を貫通する貫通導体により上下の配線導体同士が接続された多層配線構造をしている。絶縁基板の上面中央部には半導体素子の電極が半田バンプ等を介して電気的に接続される複数の半導体素子接続パッドが形成されており、絶縁基板の下面には外部電気回路基板の配線導体に半田ボール等を介して電気的に接続される外部接続パッドが形成されている。これらの半導体素子接続パッドと外部接続パッドとは、所定のもの同士が絶縁基板の表面および内部に配置された配線導体および貫通導体により互いに電気的に接続されている。
【0003】
ところで近時、半導体素子を搭載するための配線基板においては、高周波伝送における電気的ロスの少ない形態が要求されている。そこで、信号用の伝送路として互いに差動線路として機能するペア伝送路を備えた配線基板が使用されている。ペア伝送路は、絶縁基板の表面または内部に互いに所定間隔で平行に延びる2本の帯状配線導体をペアとして設けるとともに、このペアをなす2本の帯状配線導体の上下や左右に接地または電源用導体を所定の間隔で設けてインピーダンス整合させることにより形成されている。また、ペアをなす帯状配線導体と上下の導体層との接続に使用される貫通導体も所定の間隔でペアをなして隣接するようにして設けられている。
【0004】
上述のようなペア伝送路を有する配線基板における従来の例を図4に示す。従来の配線基板200は、図4に示すように、コア用の絶縁層114の上面にビルドアップ用の絶縁層113,112および111を積層するとともに絶縁層114の下面にビルドアップ用の絶縁層115,116および117を積層して成る絶縁基板110の上下面および各絶縁層111,112,113,114,115,116,117の間に配線導体用の導体層121,122,123,124,125,126,127,128が配置されて成る。
【0005】
絶縁基板110の上面中央部には半導体素子Sの電極端子に半田バンプB1を介して電気的に接続される半導体素子接続パッド130が形成されており、絶縁基板110の下面には外部電気回路基板の配線導体に図示しない半田ボールを介して電気的に接続される外部接続パッド140が形成されている。これらの半導体素子接続パッド130と外部接続パッド140とは導体層121〜128内に形成された配線導体および各絶縁層111,112,113,114,115,116,117をそれぞれ貫通する貫通導体151,152,153,154,155,156,157を介して互いに電気的に接続されている。さらに、最上層の絶縁層111および導体層121の表面には半導体素子接続パッド130の中央部を露出させる開口部を有するソルダーレジスト層161が被着されており、最下層の絶縁層117および導体層128の表面には外部接続パッド140の中央部を露出させる開口部を有するソルダーレジスト層162が被着されている。
【0006】
ここで従来の配線基板におけるペア伝送路の一例について説明する。図5(a)〜(d)および図6(e)〜(h)は、上述した配線基板200における導体層121,122,123,124,125,126,127,128の一部および貫通導体151,152,153,154,155,156,157の一部のみを抜き出して示した上面図である。
【0007】
図5(a)は、導体層121を示している。導体層121は、ペア伝送路に接続される半導体素子接続パッド130のペア131,132と、第1の電源電位に接続される電源層171を含んでいる。半導体素子接続パッド131,132は直径が100〜200μm程度の円形であり、互いに110〜250μm程度のピッチで隣接している。また、電源層171は、絶縁基板110の中央部付近から外周縁近傍までベタ状に延在している。
【0008】
図5(b)は、導体層122およびその上に接続された貫通導体151を示している。導体層122は、上述した半導体素子接続パッド131,132の下方から後述する外部接続パッド140のペア141,142の上方に向けて延びる帯状配線導体のペア181,182と、上述した電源層171と同様に第1の電源電位に接続される電源層172とを有している。帯状配線導体のペア181,182は、その端部を除いて所定の間隔で並行に延びており、その一端が貫通導体151により半導体素子接続パッド131,132にそれぞれ接続されているとともに、他端部は外部接続パッド141,142の中央部に対応する位置まで拡がっている。また、電源層172は、これらの帯状配線導体のペア181,182を所定の間隔で取り囲むようにベタ状に配置されるとともに後述する外部接続パッドのペア141,142に対応する位置に長円形状の開口部172aを有している。そして電源層172は、帯状配線導体181,182および開口部172aの近傍において貫通導体151により上層の電源層171に接続されている。
【0009】
図5(c)は、導体層123およびその上に接続される貫通導体152を示している。導体層123は、前記第1の電源電位とは異なる第2の電源電位に接続される電源層173を有している。電源層173は、外部接続パッドのペア141,142に対応する位置に長円形状の開口部173aを有している。そして開口部173aの中において、貫通導体152が上述した帯状配線導体181,182の他端に接続されている。
【0010】
図5(d)は、導体層124およびその上に接続される貫通導体153を示している。導体層124は、上述した電源層173と同じ第2の電源電位に接続される電源層174を有している。電源層174は、外部接続パッドのペア141,142に対応する位置に長円形状の開口部174aを有している。そして開口部174aの近傍において貫通導体153により上層の電源層173に接続されている。また開口部174a内において、貫通導体153が上層の貫通導体152に接続されている。
【0011】
図6(e)は、導体層125およびその上に接続される貫通導体154を示している。導体層125は、前記第1および第2の電源電位とは異なる第3の電源電位に接続される電源層175を有している。電源層175は、外部接続パッドのペア141,142に対応する位置に長円形状の開口部175aを有している。また開口部175a内において、貫通導体154が上層の貫通導体153に接続されている。
【0012】
図6(f)は、導体層126およびその上に接続される貫通導体155を示している。導体層126は、上述した電源層175と同じ第3の電源電位に接続される電源層176を有している。電源層176は、外部接続パッドのペア141,142に対応する位置に長円形状の開口部176aを有している。そして開口部176aの近傍において貫通導体155により上層の電源層175に接続されている。また開口部176a内には、上層のランド175bに接続された貫通導体155が配置されている。
【0013】
図6(g)は、導体層127およびその上に接続される貫通導体156を示している。導体層127は、上述した電源層175,176と同じ第3の電源電位に接続される電源層177を有している。電源層177は、外部接続パッドのペア141,142に対応する位置に長円形状の開口部177aを有している。そして開口部177aの近傍において貫通導体156により上層の電源層176に接続されている。また開口部177a内には、上層の貫通導体155に接続された貫通導体156が配置されている。
【0014】
図6(h)は、導体層128およびその上に接続される貫通導体157を示している。導体層128は、上述した帯状配線導体のペア181,182に接続された外部接続パッド140のペア141,142を有しているとともに、上述した第2の電源電位に接続される電源層178を有している。外部接続パッド141,142は、直径が300〜500μm程度の円形であり、互いに500〜1000μm程度のピッチで隣接している。そして、貫通導体157により上層の貫通導体156に接続されている。電源層178は、外部接続パッドのペア141,142に対応する位置に長円形状の開口部178aを有している。
【0015】
以上のような構成により半導体素子接続パッドのペア131,132と外部接続パッドのペア141,142とが帯状配線導体のペア181,182および貫通導体151〜157を介して接続されたペア伝送路が形成されている。
【0016】
しかしながら、この従来のペア伝送路によると、帯状配線導体のペア181,182と外部接続パッドのペア141,142を接続する貫通導体152〜157が互いに異なる電源電位に接続される電源層172〜177に設けられた開口部172a〜177a内を通る貫通導体152〜157を介して接続されるため、この開口部172a〜177a内を通る貫通導体152〜157における特性インピーダンスの整合がとりにくい。その結果、ペア伝送路を伝播する信号が例えば10GHzを超えるような高周波となると、信号の反射損や挿入損が大きくなり、信号を正常に伝播させることが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2004−289094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の課題は、ペア伝送路を伝播する信号が例えば10GHzを超えるような高周波であったとしても、信号の反射損や挿入損が小さく、信号を正常に伝播させることが可能な配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の配線基板は、複数の絶縁層が積層されて成る絶縁基板と、該絶縁基板の下面に形成されたペア伝送路用の外部接続パッドのペアと、前記絶縁層間に配設されており、前記外部接続パッドのペアに対応する位置に開口部が形成された複数の導体層と、前記開口部内に対応する位置において前記外部接続パッドのペアに電気的に接続されて前記複数の絶縁層を貫通する貫通導体とを備える配線基板であって、前記導体層は、前記開口部を取り囲む電源パターンをその周囲の導体層から独立して有するとともに上下の前記電源パターン同士が貫通導体により同じ電源電位に接続されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の配線基板によれば、ペア伝送路用の外部接続パッドのペアに対応する位置に開口部が形成された複数の電源層は、開口部を取り囲む第1の電源パターンをその周囲の電源層から独立して有するとともに上下の第1の電源パターン同士が貫通導体により接続されていることから、外部接続パッドのペアに接続された貫通導体は、同じ電位の第1の電源パターンで取り囲まれて開口部内を通ることとなり、そのため特性インピーダンスが整合されやすい。したがって、ペア伝送路を伝播する信号が例えば10GHzを超えるような高周波であったとしても、信号の反射損や挿入損が小さく、信号を正常に伝播させることが可能な配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の配線基板の実施形態の一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、図1に示す配線基板の導体層の一部および貫通導体の一部のみを抜き出して示した平面図である。
【図3】図3は、図1に示す配線基板の導体層の一部および貫通導体の一部のみを抜き出して示した平面図である。
【図4】図4は、従来の配線基板を示す概略断面図である。
【図5】図5は、図4に示す配線基板の導体層の一部および貫通導体の一部のみを抜き出して示した平面図である。
【図6】図6は、図4に示す配線基板の導体層の一部および貫通導体の一部のみを抜き出して示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の配線基板における実施形態の一例を説明する。図1は、本例の配線基板100を示す概略断面図であり、図中、10は絶縁層11,12,13,14,15,16,17が積層されて成る絶縁基板、21,22,23,24,25,26,27,28は導体層、30は半導体素子接続パッド、40は外部接続パッド、51,52,53,54,55,56,57は貫通導体、61,62はソルダーレジスト層である。本例の配線基板100は、コア用の絶縁層14の上面にビルドアップ用の絶縁層13,12および11を積層するとともに絶縁層14の下面にビルドアップ用の絶縁層15,16および17を積層して成る絶縁基板10の上下面および絶縁層11,12,13,14,15,16,17の間に配線導体用の導体層21,22,23,24,25,26,27,28が配置されて成る。絶縁基板10の上面中央部には半導体素子Sの電極端子に半田バンプB1を介して電気的に接続される半導体素子接続パッド30が形成されており、絶縁基板10の下面には外部電気回路基板の配線導体に図示しない半田ボールを介して電気的に接続される外部接続パッド40が形成されている。これらの半導体素子接続パッド30と外部接続パッド40とは導体層21,22,23,24,25,26,27,28に形成された配線導体および各絶縁層11,12,13,14,15,16,17をそれぞれ貫通する貫通導体51,52,53,54,55,56,57を介して互いに電気的に接続されている。さらに、最上層の絶縁層11および導体層21の表面には半導体素子接続パッド30の中央部を露出させる開口部を有するソルダーレジスト層61が被着されており、最下層の絶縁層17および導体層28の表面には外部接続パッド40の中央部を露出させる開口部を有するソルダーレジスト層62が被着されている。
【0023】
絶縁層14は、配線基板100のコア基板となる部材であり、例えばガラス繊維束を縦横に織り込んだガラス織物にエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて成り、厚みが0.3〜1.5mm程度であり、その上面から下面にかけて直径が0.1〜0.3mm程度の複数のスルーホール14aを有している。そして、その上下面には導体層24,25が被着されており、スルーホール14aの内面には貫通導体54が被着されている。なお、貫通導体54が被着されたスルーホール14a内は樹脂により充填されている。
【0024】
このような絶縁層14は、ガラス織物に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させた絶縁シートを熱硬化させた後、これに上面から下面にかけてスルーホール14aをドリル加工することにより製作される。なお、絶縁層14上下面の導体層24,25は、絶縁層14用の絶縁シートの上下全面に厚みが3〜50μm程度の銅箔を貼着しておくとともに、この銅箔をシートの硬化後にエッチング加工することにより所定のパターンに形成される。また、スルーホール14a内面の貫通導体54は、スルーホール14a内面に無電解めっき法および電解めっき法により厚みが3〜50μm程度の銅めっき膜を析出させることにより形成される。なお、スルーホール14a内を樹脂により充填するには、貫通導体54が形成されたスルーホール14a内に未硬化のペースト状の熱硬化性樹脂をスクリーン印刷法により充填し、その後、充填された樹脂を熱硬化させる方法が採用される。
【0025】
絶縁層14の上下面に積層された各絶縁層11,12,13,15,16,17は、ビルドアップ絶縁層であり、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に酸化珪素粉末等の無機絶縁物フィラーを30〜70質量%程度分散させた絶縁材料から成る。絶縁層11,12,13,15,16,17は、それぞれの厚みが20〜60μm程度であり、各層の上面から下面にかけて直径が30〜100μm程度の複数のビアホール11a,12a,13a,15a,16a,17aを有している。ビアホール11a,12a,13a,15a,16a,17a内には、貫通導体51,52,53,55,56,57がそれぞれ充填されており、これらの貫通導体51,52,53,55,56,57を介して導体層21,22,23,24,25,26,27,28の所定の配線パターン同士を電気的に接続することにより高密度配線が立体的に形成可能となっている。このような各絶縁層11,12,13,15,16,17は、厚みが20〜60μm程度の未硬化の熱硬化性樹脂から成る絶縁フィルムを絶縁層14の上下面に貼着し、これを熱硬化させるとともにレーザ加工によりビアホール13a,15aを穿孔し、さらにその上に同様にして次の絶縁層12,11および16,17を順次積み重ねることによって形成される。なお、各絶縁層11,12,13,15,16,17の表面に被着された導体層21,22,23,26,27,28およびビアホール11a,12a,13a,15a,16a,17a内に充填された貫通導体51,52,53,55,56,57は、各絶縁層11,12,13,15,16,17を形成する毎に各絶縁層11,12,13,15,16,17の表面およびビアホール11a,12a,13a,15a,16a,17a内に5〜50μm程度の厚みの銅めっき膜を公知のセミアディティブ法等のパターン形成法により所定のパターンに被着させることによって形成される。
【0026】
また、ソルダーレジスト層61,62は、例えばアクリル変性エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂にシリカやタルク等のフィラーを含有させて成り、上面側のソルダーレジスト層61であれば、半導体素子接続パッド30の中央部を露出させる開口部を有しているとともに、下面側のソルダーレジスト層62であれば、外部接続パッド40の中央部を露出させる開口部を有している。このようなソルダーレジスト層61,62は、その厚みが10〜50μm程度であり、感光性を有するソルダーレジスト層61,62用の未硬化樹脂ペーストをロールコーター法やスクリーン印刷法を採用して絶縁層11,17の上に塗布し、これを乾燥させた後、露光および現像処理を行なって半導体素子接続パッド30や外部接続パッド40の中央部を露出させる開口部を形成した後、これを熱硬化させることによって形成される。
【0027】
ここで本発明の配線基板におけるペア伝送路の一例について説明する。図2(a)〜(d)および図3(e)〜(h)は、上述した配線基板100における導体層21,22,23,24,25,26,27,28の一部および貫通導体51,52,53,54,55,56,57の一部のみを抜き出して示した上面図である。
【0028】
図2(a)は、導体層21を示している。導体層21は、ペア伝送路に接続される半導体素子接続パッド30のペア31,32と、第1の電源電位に接続される電源層71を含んでいる。半導体素子接続パッド31,32は直径が100〜200μm程度の円形であり、互いに110〜250μm程度のピッチで隣接している。また、第1の電源層71は、絶縁基板10の中央部付近から外周縁近傍までベタ状に延在している。
【0029】
図2(b)は、導体層22およびその上に接続された貫通導体51を示している。導体層22は、上述した半導体素子接続パッド31,32の下方から後述する外部接続パッド40のペア41,42の上方に向けて延びる帯状配線導体のペア81,82と、上述した電源層71と同様に第1の電源電位に接続される電源層72とを有している。帯状配線導体のペア81,82は、その端部を除いて所定の間隔で並行に延びており、その一端が貫通導体51により半導体素子接続パッド31,32にそれぞれ接続されているとともに、他端部は外部接続パッド41,42の中央部に対応する位置まで拡がっている。また、電源層72は、これらの帯状配線導体のペア81,82を所定の間隔で取り囲むようにベタ状に配置されるとともに後述する外部接続パッドのペア41,42に対応する位置に長円形状の開口部72aを有している。そして電源層72は、帯状配線導体81,82および開口部72aの近傍において貫通導体51により上層の電源層71に接続されている。
【0030】
図2(c)は、導体層23およびその上に接続される貫通導体52を示している。導体層23は、前記第1の電源電位とは異なる第2の電源電位に接続される電源層73と前記第1の電源電位に接続される電源パターン91とを有している。電源層73は、絶縁基板10の中央部からベタ状に延在している。電源パターン91は、絶縁基板10の外周部に電源層73から独立して配置されており、外部接続パッドのペア41,42に対応する位置に長円形状の開口部91aを有している。電源パターン91は、開口部91aの近傍において貫通導体52により上層の電源層72に接続されている。また開口部91aの中においては、貫通導体52が上述した帯状配線導体81,82の他端に接続されている。
【0031】
図2(d)は、導体層24およびその上に接続される貫通導体53を示している。導体層24は、上述した電源層73と同じ第2の電源電位に接続される電源層74と前記第1の電源電位に接続される電源パターン92とを有している。電源層74は、絶縁基板10の中央部からベタ状に延在している。電源パターン92は、絶縁基板10の外周部に電源層74から独立して配置されており、外部接続パッドのペア41,42に対応する位置に長円形状の開口部92aを有している。電源パターン92は、開口部92aの近傍において貫通導体53により上層の電源パターン91に接続されている。また開口部92aの中においては、貫通導体53が上層の貫通導体52に接続されている。
【0032】
図3(e)は、導体層25およびその上に接続される貫通導体54を示している。導体層25は、前記第1および第2の電源電位とは異なる第3の電源電位に接続される電源層75と前記第1の電源電位に接続される電源パターン93とを有している。電源層75は、絶縁基板10の中央部からベタ状に延在している。電源パターン93は、絶縁基板10の外周部に電源層75から独立して配置されており、外部接続パッドのペア41,42に対応する位置に長円形状の開口部93aを有している。電源パターン93は、開口部93aの近傍において貫通導体54により上層の電源パターン92に接続されている。また開口部93aの中においては、貫通導体54が上層の貫通導体53に接続されている。
【0033】
図3(f)は、導体層26およびその上に接続される貫通導体55を示している。導体層26は、上述した電源層75と同じ第3の電源電位に接続される電源層76と前記第1の電源電位に接続される電源パターン94とを有している。電源層76は、絶縁基板10の中央部からベタ状に延在している。電源パターン94は、絶縁基板10の外周部に電源層76から独立して配置されており、外部接続パッドのペア41,42に対応する位置に長円形状の開口部94aを有している。電源パターン94は、開口部94aの近傍において貫通導体55により上層の電源パターン93に接続されている。また開口部94aの中においては、貫通導体55が上層の貫通導体54に接続されている。
【0034】
図3(g)は、導体層27およびその上に接続される貫通導体56を示している。導体層27は、上述した電源層75,76と同じ第3の電源電位に接続される電源層77と前記第1の電源電位に接続される電源パターン95とを有している。電源層77は、絶縁基板10の中央部からベタ状に延在している。電源パターン95は、絶縁基板10の外周部に電源層77から独立して配置されており、外部接続パッドのペア41,42に対応する位置に長円形状の開口部95aを有している。電源パターン95は、開口部95aの近傍において貫通導体56により上層の電源パターン94に接続されている。また開口部95aの中においては、貫通導体56が上層の貫通導体55に接続されている。
【0035】
図3(h)は、導体層28およびその上に接続される貫通導体57を示している。導体層28は、上述した帯状配線導体のペア81,82に接続された外部接続パッド40のペア41,42を有しているとともに、上述した第2の電源電位に接続される電源層78と前記第1の電源電位に接続される電源パターン96とを有している。外部接続パッド41,42は、直径が300〜500μm程度の円形であり、互いに500〜1000μm程度のピッチで隣接している。電源層78は、絶縁基板10の中央部からベタ状に延在している。電源パターン96は、絶縁基板10の外周部に電源層78から独立して配置されており、外部接続パッドのペア41,42に対応する位置に長円形状の開口部96aを有している。半導体素子接続パッド41,42は、開口部96a内において貫通導体57により上層の貫通導体56に接続されている。また電源パターン96は、開口部96aの近傍において貫通導体57により上層の電源パターン95に接続されている。
【0036】
以上のような構成により半導体素子接続パッドのペア31,32と外部接続パッドのペア41,42とが帯状配線導体のペア81,82および貫通導体51〜57を介して接続されたペア伝送路が形成されている。本発明においては上述したように、例えば導体層23〜28において、開口部91a〜96aを取り囲む電源パターン91〜96がその周囲の電源層73〜78から独立して設けられているとともに、上下の電源パターン91〜96が開口部91a〜96aの近傍において貫通導体52〜57により同じ第1の電源電位に接続されている。そして、これにより帯状配線導体のペア81,82と外部接続パッドのペア41,42とを接続する貫通導体52〜57が第1の電源電位に接続された電源パターン91〜96およびこれらを接続する貫通導体52〜57により囲まれるので、ペア伝送路の特性インピーダンスの整合が容易となり、その結果、ペア伝送路を伝播する信号が例えば10GHzを超えるような高周波であったとしても、信号の反射損や挿入損が小さく、信号を正常に伝播させることが可能な配線基板を提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
10・・・絶縁基板
11,12,13,14,15,16,17・・・絶縁層
41,42・・・外部接続パッドのペア
51,52,53,54,55,56,57・・・貫通導体
71,72,73,74,75,76,77,78・・・電源層
91,92,93,94,95,96・・・電源パターン
91a,92a,93a,94a,95a,96a・・・開口部
100・・・配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁層が積層されて成る絶縁基板と、該絶縁基板の下面に形成されたペア伝送路用の外部接続パッドのペアと、前記絶縁層間に配設されており、前記外部接続パッドのペアに対応する位置に開口部が形成された複数の導体層と、前記開口部内に対応する位置において前記外部接続パッドのペアに電気的に接続されて前記複数の絶縁層を貫通する貫通導体とを備える配線基板であって、前記導体層は、前記開口部を取り囲む電源パターンをその周囲の導体層から独立して有するとともに上下の前記電源パターン同士が貫通導体により同じ電源電位に接続されていることを特徴とする配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−33529(P2012−33529A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169145(P2010−169145)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(304024898)京セラSLCテクノロジー株式会社 (213)
【Fターム(参考)】