説明

酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体及びその製造方法

【課題】フェノール系樹脂発泡体を製造する際に、フォームpHの低下を抑制するため中和剤を使用した場合においてもフォームの硬化が十分に進み、耐吸水性、面材接着性、機械的強度などに優れ、面材、補強材などの腐食や変色のない酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】フェノール系樹脂組成物に発泡剤、酸性硬化剤を配合し、発泡、硬化させてフェノール系樹脂発泡体を製造するに際して、フェノール系樹脂組成物に酸性硬化剤を添加した該組成物のpH変化が、式: Y=0.0034X+2.167以下の範囲にあることを特徴とする酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法。ここで示した「式」は、酸中和剤、充填剤などにより添加した酸性硬化剤が経時的に中和に消費されることで起こるpH値を、一定温度に調整したフェノール系樹脂組成物に酸性硬化剤を添加した後の経過時間(X:秒、0≦X≦120)と、pH値(Y)との関係を一定条件で測定したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェノール系樹脂組成物に発泡剤、酸性硬化剤を配合し、発泡、硬化させてフェノール系樹脂発泡体を製造するに際して、フェノール系樹脂組成物に酸性硬化剤を添加したのちの該組成物のpH変化を特定範囲に調整することによって、耐吸水性、面材接着性、機械的強度などに優れ、かつ金属の腐食や変色のない酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体を製造する方法及びその発泡体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体は、一般にフェノール系樹脂に、希釈剤、可塑剤、充填剤、酸中和剤、硫酸塩などの反応調整剤や整泡剤、分散剤、減粘剤などの界面活性剤、硬化促進剤、遅延剤、着色剤、難燃剤などを添加してなるフェノール系樹脂組成物に発泡剤、酸性硬化剤などを加え、発泡、加熱硬化させて製造される。フェノール系樹脂発泡体は、その難燃性が高く評価され、間仕切りパネル、クリーンルーム用パネルなどの内壁材、金属サイディングなどの外壁材、天井材、屋根下地材、床下断熱材、屋上断熱材、防火扉などの建築材料、メタン、プロパン、ブタンなどの貯蔵タンクのプラント分野、タンク、パイプ配管などの保冷保温用、冷凍冷蔵倉庫などの保冷材等に幅広く使用されている。
【0003】
しかし、フェノール系樹脂発泡体を製造する際には、生産性を上げるため多量の酸性硬化剤が使用されている。その結果、発泡、硬化後にフェノール系樹脂発泡体中に遊離の酸が多く残存し、発泡体のpH値を酸性側に引き下げ、発泡体を形成しているセル膜を経日的に劣化させたり、破壊を促進したりする。これにより、耐吸水性や機械的強度が低下し、面材の金属表面や樹脂塗膜を腐食するため断熱材製品としての寿命が著しく縮まるという大きな問題があった。
【0004】
これらの問題点を解決するためにホルムアルデヒド系樹脂組成物の中でも酸性硬化剤を多く必要とするフェノール系樹脂発泡組成物に、腐蝕防止剤として亜鉛、アルミニウムなどの金属酸化物又は金属粉末を用いる方法(特許文献1及び2)、中和剤としてIIA族の
炭酸塩(特許文献3)及び粒径が10〜500μmのIA、IIA族の炭酸塩を用いる方法
(特許文献4)、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化カルシウム、酸化バリウムなどの塩基性粉末物質やタルク、マイカ、パーライト粒、シラスバルーンなどを用いる方法(特許文献5)などが開示されている。
【0005】
しかし、特許文献1及び2の方法では、フェノール系樹脂と均一に混合することが難しいため、沈殿、凝集などを起こし、フェノール系樹脂の粘度を増粘させたり、発泡注入機の配管を詰まらせたりして生産性を大幅に低下させる。また発泡工程以前に酸性硬化剤と反応するため、フォームを形成するセルが不均一となり耐吸水性、脆性、機械的強度などが低下する。また、フェノール系樹脂中に溶解することなく分散していることにより、中和剤周辺部のみしか中和できないため、フェノール系樹脂発泡体に残留する遊離酸を十分に中和しがたい。そのため、耐腐食性を解決するのには不十分で品質の不安定なフェノール系樹脂発泡体しか得られない。
【0006】
特許文献3、4の方法では、炭酸が気体となって離脱することにより充分な中和効果が得られるものの、酸性硬化剤と炭酸塩が接触した際、瞬時にpHの上昇が起こり、発泡が急激となって均一な密度調整が困難となり、フォーム(発泡体)にボイドが多数発生するため熱伝導率や機械的強度の低下が著しく実用的でない。
【0007】
こうした問題を解決するために、メタホウ酸バリウムを配合する方法(特許文献5)が提案されているが、この方法ではフォームが脆くなり耐吸水性が悪化したり、燃焼時に爆裂が大きくフェノール系樹脂発泡体の最大の長所である難燃性が低下する欠点がある。
【0008】
また、発泡剤として炭酸塩を用い、炭酸塩の分解による発泡及び硬化速度を調整緩和するのに酸性硬化剤としてナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物とアリールスルホン酸の併用比を変えて使用する方法(特許文献6)及びナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物とアリールスルホン酸の混合酸にギ酸、リン酸及び乳酸を配合して使用する方法(特許文献7)が開示されているが、酸性硬化剤の使用量が多いためフォームを形成するセルが脆くなり、機械的強度や耐吸水性が低下する。また、通常に良く使用されるフェノールスルホン酸ではフェノール樹脂と混合した際、瞬時に発泡が起こり未硬化でボイドの多い発泡体しか得られない。このことは特許文献7の比較例にも記載されている。
【0009】
フェノール系樹脂へ分散性の悪い金属酸化物や金属粉末などの酸中和剤を使用すると、発泡注入機等の配管詰まりを起こしたり、また、酸性硬化剤、発泡剤との混合性が悪く作業性が低下する。一方、酸性硬化剤を多量に使用すると遊離酸によりフォーム特性が低下する。また、炭酸塩を酸中和剤に使用すると、酸性硬化剤との接触により炭酸塩の分解に伴う急激な発泡速度を抑制できずに作業性を悪化させるなどの問題が発生する。故に作業性や生産性を低下させずに、耐腐食性、耐吸水性、機械的強度、面材接着性などに優れた酸性硬化型フェノール系樹脂発体の開発が強く求められていた。
【特許文献1】特公平4−11583号公報
【特許文献2】特公昭62−25689号公報
【特許文献3】特開昭58−154734号公報
【特許文献4】特開昭59−152931号公報
【特許文献5】特開昭63−175042号公報
【特許文献6】特開平7−173315号公報
【特許文献7】特開平7−188446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体製造における上記の問題点に鑑み、表面に面材、特に鉄、ステンレス、アルミ、亜鉛などの金属板材を使用し、あるいは当該金属板材を補強材として使用したフェノール系樹脂発泡体を製造する際に、フォームpHの低下を抑制するため酸中和剤を使用した場合においてもフォームの硬化が十分に進み、耐腐食性、耐吸水性、面材接着性、機械的強度などに優れ、面材、補強材などの腐食や変色のない酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、フェノール系樹脂組成物に発泡剤、酸性硬化剤を配合し、発泡、硬化させてフェノール系樹脂発泡体を製造するに際して、特に酸中和剤として炭酸塩を使用した場合に炭酸塩の分解抑制剤として硫酸塩をフェノール系樹脂組成物に使用することにより、酸性硬化剤を添加しても炭酸塩の分解に伴う急激な発泡、pHの上昇を抑制することを可能とし、かつフェノール系樹脂組成物に酸性硬化剤を添加した該組成物のpH変化の範囲を限定することにより、作業性及び生産性の低下や意匠性を損なうことなく、耐腐食性、機械的強度、耐吸水性などに優れた酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体を製造出来ることを見出し本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明は、フェノール系樹脂組成物に発泡剤、酸性硬化剤を配合し、発泡、硬化させてフェノール系樹脂発泡体を製造するに際して、フェノール系樹脂組成物に酸性硬化剤を添加した該組成物のpH値が、式: Y=0.0034X+2.167(式1)
で示される値以下の範囲にあることを特徴とする酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法である。
上記式1は、フェノール系樹脂組成物中の酸中和剤、充填剤などにより酸性硬化剤が経時的に消費されることで起こるpH変化を、一定温度に調整したフェノール系樹脂組成物に酸性硬化剤を添加した後の経過時間(X)(単位:秒)と、pH値(Y)との関係を一定条件で測定したものである。
具体的には、フェノール系樹脂、酸中和剤、硫酸塩、充填剤などを配合したフェノール系樹脂組成物に酸価200〜300mgKOH/gの酸性硬化剤を添加し、該組成物を20
℃に温調後、ホモディスパー(商品名、特殊機化工業社製ミキサー)で4000rpmで15秒間混合攪拌した直後からの該組成物のpH変化をpHメーター計で測定し、経過時
間(X:秒、0≦X≦120)とpH値(Y)との関係で表したものである。
【0013】
本発明の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体は、フォーム特性が、密度が10〜500kg/m3、pHが4以上、吸水量が1〜15g/100cm2、であり、フォーム中に硫黄元素とカリウム元素及び/またはナトリウム元素を含むことを特徴とする。
本発明の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法では、フェノール系樹脂組成物に、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムなどの硫酸塩、更には酸中和剤として金属粉末、アルミニウム化合物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、酸化物、水酸化物からなる群の少なくとも1種を配合することを特徴とする。
【0014】
更に、本発明の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法では、フェノール系樹脂組成物に発泡剤、酸性硬化剤を添加、混合後のゲル化時間(Y1)と硬化剤量(X1)が式: Y1=−X1+16(式2) で示される値以下の範囲にあることを特徴とする。
ここで示した式2は、液温20℃、乾燥温度65℃の条件下で測定した、ゲル化時間(Y2分)とフェノール系樹脂の固形分100重量部に対する硬化剤量(X1重量部)の関係を表したものである。
ゲル化時間(Y1)と硬化剤量(X1)との関係が上記範囲を充たすには、フェノール系樹脂組成物に硫酸カリウム及び/または硫酸ナトリウムと、炭酸バリウムを添加、混合後、10分以上経過した後に発泡剤、酸性硬化剤を添加、混合する方法を用いるのが好ましい。
【0015】
また、本発明の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法では、フェノール系樹脂組成物に硫酸カリウム及び/または硫酸ナトリウムと、炭酸バリウムを添加、混合後、10分以上経過した後に発泡剤、酸性硬化剤を添加、混合した後の、ゲル化時間(Y2)と
硬化剤量(X2)が式: Y2=−0.75X2+14.5(式3) で示される値以下の
範囲にあることを特徴とする。
ここで示した式3は、式2と同じ条件下で測定したゲル化時間(Y2分)と硬化剤量(
2重量部)の関係を表したものである。
ゲル化時間(Y2)と硬化剤量(X2)との関係が上記範囲を充たすには、1)硫酸カリウム及び/または硫酸ナトリウムを、水溶液又は含水アルコール溶液として添加したり、2)硫酸カリウム及び/または硫酸ナトリウムの水溶液ないしは含水アルコール溶液と、炭酸バリウムとを予め混合した後に添加する方法を用いるのが好ましい。
更には、本発明の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法ではフェノール樹脂組成物に発泡剤、酸性硬化剤を添加、混合した後のクリームタイムが10秒以上であると特に好ましい。ここでクリームタイムとは、フェノール系樹脂組成物に発泡剤、酸性硬化剤を始めとする発泡体を構成する成分を全て混合し、発泡性樹脂組成物を調製した時から、該組成物が発泡を開始するまでの時間である。
【0016】
本発明において使用されるフェノール系樹脂とは、フェノール類とアルデヒド類を、必要に応じ反応触媒及び/または第1級アミン類の存在下で反応させて得られる、後述の酸
性硬化剤及び/または加熱によって硬化反応を促がす硬化性官能基、例えばメチロール基、ジメチレンエーテル基、ベンゾオキサジン環などを分子内に有するフェノール系樹脂及びその変性樹脂である。具体的には、例えば塩基性触媒の存在下で反応させて得られるレゾール型フェノール系樹脂、または酸性触媒下で反応させた後、塩基性触媒下で反応させて得られるノボラックレゾール型フェノール系樹脂、又は弱酸性触媒や塩基性及び酸性触媒の組み合わせで形成される弱酸性下で反応させて得られるベンジルエーテル型フェノール系樹脂、又はフェノール類、アルデヒド類及び第1級アミン類を反応させて得られるベンゾオキサジン型フェノール系樹脂、又はこれらの樹脂の製造ないしは製造後に任意の化合物、例えばキシレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、高吸水性樹脂、尿素系化合物、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、フルフラール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、タンニンなどの化合物を混合ないし反応して得られる変性樹脂などがある。これらの中でも、発泡硬化性の観点からレゾール型フェノール系樹脂が好ましい。これらは単独及び/または2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0017】
本発明において使用されるレゾール型フェノール系樹脂はモル比(ホルムアルデヒド/フェノール類)が0.50〜3.00、好ましくは1.00〜2.00、アルカリ触媒とフェノール類のモル比(フェノール類/アルカリ触媒)が0.01以上、数平均分子量が190〜370、含水量が2〜40重量%、不揮発分が50〜96重量%、粘度が800〜300,000mPa・s/23℃の範囲に包含されることが好ましい。
【0018】
本発明において使用される酸性硬化フェノール系樹脂のフェノール類としては、例えばフェノール、クレゾール、エチルフェノール、キシレノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、パラターシャリブチルフェノール、レゾルシン、カテコールなど及びその変性物が挙げられ、アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ポリオキシメチレン、トリオキサン、フルフラール、アセトアルデヒド、グリオキザールなどが挙げられる。また、第1級アミン類としては、例えばメチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンなどが挙げられる。反応触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、アンモニア、トリエチルアミンなどの塩基性触媒や、例えば塩酸、硫酸、リン酸、酢酸亜鉛、ホウ酸、蓚酸、ギ酸、乳酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの酸性触媒が挙げられる。かかる反応物や反応触媒は、それぞれ、単独及び/または2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0019】
このフェノール類と組み合わせて用いる他方の原料のアルデヒド類についても、特に制限はなく、従来フェノール系樹脂製造の際に慣用されているものの中から適宜選択して用いることができる。これらのアルデヒド類は単独及び/または2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記フェノール類とアルデヒド類の使用割合についても従来のフェノール系樹脂の場合と全く同じであり、フェノール類1モルに対し、アルデヒド類が通常0.5〜3.0モル、好ましくは1.0〜2.0モルの範囲で用いられ、樹脂種に応じ10℃〜還流温度の温度で0.5〜24時間反応後必要に応じ中和、濃縮して製造される。なお、反応触媒(無添加、一括添加又は分割添加)、アルデヒド類の使用(一括、分割)、反応雰囲気(空気、窒素、常圧、減圧、加圧)、反応方法(滴下、一段、二段)などの反応要領については適宜その都度目的に応じて選択される。
【0020】
本発明における硫酸塩としては、硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硫酸アルミニウムなどがあり、これらは単独で、または2種以上を併せて使用しても良い。そのうち、硫酸カリウム及び/または硫酸ナトリウムが好適である。これらの硫酸塩の添加量は、酸性硬化型フェノール系樹脂100重量部に対して0.01〜10.0重量部、好ましくは
0.1〜7.0重量部である。更に、硫酸カリウム及び/又は硫酸ナトリウムの場合には2.0重量部以下が特に好ましい。
フェノール系樹脂組成物への硫酸塩の添加は、上記塩化合物の添加のほかに、水酸化ナトリウムと硫酸の添加のように組成物中で硫酸塩を形成するものの添加を包含する。
【0021】
本発明における酸中和剤としては、アルミニウム、亜鉛、クロムなどの金属粉末、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどのアルミニウム化合物、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、酸化物、水酸化物があり、これらは1種単独であるいは2種以上を混合して使用できるが、そのうち、炭酸バリウムが好適である。これらの酸中和剤の添加量は、酸性硬化型フェノール系樹脂100重量部に対して0.5〜30.0重量部、好ましくは1.0〜20.0重量部である。更に、炭酸バリウムの場合には15.0重量部以下が特に好ましい。
【0022】
本発明においては、更に、整泡剤、充填剤、希釈剤、硬化促進剤、遅延剤、難燃剤などの、通常フェノール系樹脂発泡体製造時に使用される添加剤を必要に応じて使用することができる。
整泡剤としては、非イオン系界面活性剤、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレートなどに代表されるソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエレートなどに代表されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンジメチルシリコン、ひまし油エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物、エチレンオキサイドープロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、エトキシ化ひまし油、エポキシ化大豆油エトキシ化物、シリコーン系界面活性剤等があり、単独でまたは2種以上を併せて使用できる。これらの整泡剤の添加量は、酸性硬化型フェノール系樹脂100重量部に対して0.1〜10.0重量部、好ましくは0.2〜7.0重量部である。
【0023】
本発明で使用される発泡剤としては、特定フロン、代替フロンなどのフッ素化合物、塩化メチレンなどのハロゲン化合物、酢酸エチルなどのエステル類、ヘプタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、3−メチルペンタン、n−ペンタン、シクロペンタンなどの低沸点の脂肪族炭化水素、イソプロピルエーテルなどのエーテル、メタノール、エタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキソランなどの環状エーテル化合物類、更に酸を作用させることで炭酸ガスや窒素等の気体を発生させるような炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、パラトルエンスルホニルヒドラジッド等の化学的反応発泡剤があり、これらは単独又は2種以上を併せて使用できる。更にはこれら以外に液化炭酸ガス、空気、窒素、ブタン、アルゴン等の気体もこれらと混合して使用できる。これら発泡剤の添加量は、酸性硬化型フェノール系樹脂100重量部に対して0.2〜20.0重量部、好ましくは0.5〜15.0重量部である。
【0024】
本発明で使用される酸性硬化剤には、フェノールスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、レゾルシンスルホン酸、メタキシレンスルホン
酸、エチルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸、アントラセンスルホン酸、オルソクレゾール4スルホン酸、メタクレゾールスルホン酸等の有機スルホン酸類及びこれらとホルマリンとの縮合物の他、γ―ブチロラクトン、トリエチレングリコールジアセテート、トリアセチン、ギ酸メチル等のカルボン酸エステル類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状アルキレンカーボーネート類、正リン酸、ポリリン酸、トリポリリン酸、メタリン酸、塩酸等の無機酸類、ギ酸、酢酸、シュウ酸などの有機酸などがあり、これらは単独で又は2種以上を混合して使用できる。その
添加量は、酸性硬化型フェノール系樹脂100重量部に対して200〜300mgKOH/gの酸価のものとして1.0〜20.0重量部で好ましくは2.0〜15.0重量部である。
【0025】
本発明に使用する難燃剤としては、デカブロモジフェニルエーテル、ペンタブロモトルエン、ペンタブロモジフェニルエーテルなどの添加型臭素系難燃剤、テトラブロモ無水フタル酸、ジブロモフェノール、トリブロモフェノールのグリシジルエーテル等の反応型臭素系難燃剤、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、キシレルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル類、トリス−(クロロエチル)ホスフェート、トリス−(β−クロロプロピル)ホスフェート、トリス−(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス−(2,3−ジブロモクロロプロピル)ホスフェートなどの含ハロゲンリン酸エステル類及び含ハロゲン縮合リン酸エステル類、トリフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類、リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等のリン酸類、ホウ素化合物、水酸化アルミニウム、尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなどがあり、これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。その添加量は、酸性硬化型フェノール系樹脂100重量部に対して3.0〜200重量部、好ましくは5.0〜90.0重量部である。
【0026】
また、これら以外にフェノール樹脂系発泡体を製造するに際しては、各種の添加剤を加えて発泡体の性能を改質することができる。例えば、1)フェノール繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ロックウール繊維などに代表される繊維類(機械的強度や寸法
精度の改善)、2)エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール
、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の低分子ポリエチレン及びポリプロピレングリコール類、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル類などの脂肪族グリシジルエーテル化合物類、芳香族多価アルコールのジ又はトリグリシジルエーテル化合物類、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、スターチ類等の合成及び天然高分子、アクリル系エマルジョン類(脆性の改質)、3)アセトン、テトラヒドロフラン、1,3ジオキソランなど(粘度の低減)、4)硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等のアンモニウ塩類、分子内にアミノ基、アミド基、イミノ基を有する尿素、尿素樹脂、メラミン、メラミン樹脂、チオ尿素、ジシアンジアミド、ベンゾグアナミン、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム等の亜硫酸塩類、重亜硫酸塩類(ホルムアルデヒド捕捉)などが挙げられる。その他にに、タルク、マイカ、ワラストナイト、カオリン、シリカ等の無機質充填剤、染料、顔料等の着色剤、紫外線吸収剤なども併用しても良い。その添加量には特に制限はないが、通常、酸性硬化型フェノール系樹脂100重量部に対して0.1〜50.0重量部、好ましくは0.2〜40.0重量部である。
【0027】
本発明で酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体に使用される面材は特に限定されるものではなく、クラフト紙、炭カル紙、合板、繊維板、突板等の繊維、アルミニウム箔、亜鉛メッキ鋼鈑、ガルバニウム鋼鈑などの金属、珪カル板、石膏ボードなどの無機の材質のものが利用可能である。
【0028】
次に、本発明において、酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体を製造する方法としては、前記の組成成分のレゾール型フェノール系樹脂に整泡剤、充填材、酸中和剤、硫酸塩及びその他添加剤などを混合したフェノール系樹脂組成物と発泡剤、酸性硬化剤を高速攪拌で混合しバッチ式で製造する方法、連続的に高速攪拌して製造する方法など、従来公知の方法が利用できる。これらの各操作によって得られる混合物は、エンドレスコンベア上に流出させる成形方法、スポット的に流出させて部分的に発泡させる方法、ある大きさの空洞中に投入して発泡ブロックを作る方法、空洞中に圧入しながら充填発泡させる方法などに用いられる。これらの方法による発泡、硬化温度は30〜100℃、硬化時間は1〜15分の条件であり、また、半硬化状態(プレキュア)でカットした後、更に後硬化(アフターキュア)により硬化を完了させる方法がある。得られたフェノール系樹脂発泡体は、生産性が低下することなく、機械的強度の高い、耐吸水性、耐脆性に優れた高品質の発泡体を形成するものである。主な用途としては、例えば鉄、ステンレス、アルミ、亜鉛等の金属板材、石膏ボード、ロックウールボード等の無機質板、クラフト紙、アスベスト紙、合板等とを複合化して床下材、天井材、屋根下地材、外壁材、内壁材、防火扉などの建材用及びメタン、プロパン、ブタン等の貯蔵タンクなどのプラント分野、重油タンク、パイプ配管などの保冷保温用、冷凍冷蔵倉庫などの保冷材などに幅広く応用される。
【実施例】
【0029】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0030】

実施例1
(1)フェノール系レゾール樹脂組成物の調製
フェノール4451g、41.5重量%ホルマリン水溶液5135gを還流管、攪拌機付き反応缶中に仕込み、攪拌を開始する。触媒として25%水酸化ナトリウム水溶液を添加後85℃まで昇温させ、同温度で70分間反応させた後、硫酸を添加してpHを6.3に調整し、減圧下に脱水率29.0重量%まで脱水濃縮してモル比(ホルムアルデヒド/フェノール)が1.50の液状フェノール系レゾール樹脂6800gを得た。次いで、該樹脂100重量部に対して水酸化アルミニウム30重量部、クレー30重量部、シリコーン系整泡剤SH−193(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)1.5重量部、酸中和剤として炭酸バリウム8重量部を添加してフェノール系レゾール樹脂組成物を調製し、6時間放置した。
(2)1000mlディスポカップに、予め20℃に温調した上記(1)のフェノール系レゾール樹脂組成物600重量部、予め20℃に温調したn−ペンタン 18重量部、予め20℃に温調した酸価260mgKOH/gの67%フェノールスルホン酸60重量部を仕込み、ホモディスパー(商品名、特殊機化工業社製ミキサー)で5000rpmで30秒間混合したのち、ただちにディスポカップを60°の角度で10秒間傾けて予め70℃に温調した両面材クラフト紙を使用したアルミ製モールド(容積:300mm×300mm×50mm)内に均一に散布(注入)した後、モールドの蓋を4箇所で固定し、70℃乾燥機中で10分間加熱した後脱型して酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体を作成した。
(3)成形した発泡体を室温20℃、湿度65%の雰囲気下に5日間放置した後、諸物性をJIS A‐9511に準拠して測定した。
【0031】
実施例2
(1)フェノール系レゾール樹脂組成物の調製
フェノール4451g、41.5重量%ホルマリン水溶液5135gを還流管、攪拌機付き反応缶中に仕込み、攪拌を開始する。触媒として25%水酸化カリウム水溶液を添加後
85℃まで昇温させ、同温度で70分間反応させた後、硫酸を添加してpHを6.3に調整し、減圧下に脱水率29.0重量%まで脱水濃縮してモル比(ホルムアルデヒド/フェノール)が1.50の液状フェノール系レゾール樹脂6800gを得た。次いで、該樹脂100重量部に対して水酸化アルミニウム30重量部、クレー30重量部、シリコーン系整泡剤SH−193(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)1.5重量部、酸中和剤として炭酸カルシウム6重量部、5%硫酸ナトリウム水溶液15部を添加してフェノール系レゾール樹脂組成物を調製し、6時間放置した。
(2)1000mlディスポカップに、予め20℃に温調した上記(1)のフェノール系レゾール樹脂組成物600重量部、予め20℃に温調したシクロペンタン 7.8重量部、予め20℃に温調した酸価260mgKOH/gの67%フェノールスルホン酸84重量部を仕込み、ホモディスパー(商品名、特殊機化工業社製ミキサー)で5000rpmで30秒間混合したのち、ただちにディスポカップを60°の角度で10秒間傾けて予め70℃に温調した両面材亜鉛鋼鈑を使用したアルミ製モールド(容積:300mm×300mm×50mm)に均一に散布した後、蓋を4箇所で固定し、70℃乾燥機中で10分間加熱脱型し酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体を作成した。
(3)成形した発泡体を室温20℃、湿度65%に5日間放置した後、諸物性をJIS A‐9511に準拠して測定した。
【0032】
実施例3
(1)フェノール系レゾール樹脂組成物の調製
フェノール4451g、41.5重量%ホルマリン水溶液5135gを還流管、攪拌機付き反応缶中に仕込み、攪拌を開始する。触媒として25%水酸化ナトリウム水溶液を添加後85℃まで昇温させ、同温度で70分間反応させた後、シュウ酸を添加してpHを6.3に調整し、減圧下に脱水率29.0重量%まで脱水濃縮してモル比(ホルムアルデヒド/フェノール)が1.50の液状フェノール系レゾール樹脂6800gを得た。次いで、該樹脂100重量部に対して水酸化アルミニウム30重量部、クレー30重量部、シリコーン系整泡剤SH−193(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)1.5重量部、酸中和剤として炭酸バリウム8重量部、5%硫酸カリウム水溶液15部を添加してフェノール系レゾール樹脂組成物を調製し、6時間放置した。
(2)1000mlディスポカップに、予め20℃に温調した上記(1)のフェノール系レゾール樹脂組成物600重量部、予め20℃に温調したHCHC−141b 18重量部、予め20℃に温調した酸価260mgKOH/gの67%フェノールスルホン酸54重量部を仕込み、ホモディスパー(商品名、特殊機化工業社製ミキサー)で5000rpmで30秒間混合したのち、ただちにディスポカップを60°の角度で10秒間傾けて予め70℃に温調した両面材クラフト紙を使用したアルミ製モールド(容積:300mm×300mm×50mm)に均一に散布した後、蓋を4箇所で固定し、70℃で10分間乾燥後脱型し酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体を作成した。
(3)成形した発泡体を室温20℃、湿度65%に5日間放置した後、諸物性をJIS A‐9511に準拠して測定した。
【0033】
実施例4
(1)フェノール系レゾール樹脂組成物の調製
フェノール4451g、41.5重量%ホルマリン水溶液5135gを還流管、攪拌機付き反応缶中に仕込み、攪拌を開始する。触媒として25%水酸化カリウム水溶液を添加後85℃まで昇温させ、同温度で70分間反応させた後、硫酸を添加してpHを6.3に調整し、減圧下に脱水率29.0重量%まで脱水濃縮してモル比(ホルムアルデヒド/フェノール)が1.50の液状フェノール系レゾール樹脂6800gを得た。次いで、該樹脂100重量部に対して水酸化アルミニウム30重量部、クレー30重量部、シリコーン系整泡剤SH−193(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)1.5重量部、酸中和剤として炭酸カルシウム8重量部を添加してフェノール系レゾール樹脂組成物を調製し、6時
間放置した。
(2)1000mlディスポカップに、予め20℃に温調した上記(1)のフェノール系レゾール樹脂600重量部、予め20℃に温調したシクロペンタン12重量部、予め20℃に温調した酸価260mgKOH/gの67%フェノールスルホン酸42重量部を仕込み、ホモディスパー(商品名、特殊機化工業社製ミキサー)で5000rpmで30秒間混合したのち、ただちにディスポカップを60°の角度で10秒間傾けて予め70℃に温調したアルミ製モールド(容積:300mm×300mm×50mm、0.5mm亜鉛鋼板を内底部にひいておく)に均一に散布した後、蓋を4箇所で固定し、70℃乾燥機中でで10分間加熱後脱型し酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体を作成した。
(3)成形した発泡体を室温20℃、湿度65%に5日間放置した後、諸物性をJIS A‐9511に準拠して測定した。
【0034】
実施例5
(1)フェノール系レゾール樹脂組成物の調製
フェノール4451g、41.5重量%ホルマリン水溶液5135gを還流管、攪拌機付き反応缶中に仕込み、攪拌を開始する。触媒として25%水酸化カリウム水溶液を添加後85℃まで昇温させ、同温度で70分間反応させた後、硫酸を添加してpHを4.5に調整し、減圧下に脱水率5.0重量%まで脱水濃縮してモル比(ホルムアルデヒド/フェノール)が1.65、粘度が70000mPa・s/23℃の液状フェノール系レゾール樹脂
6800gを得た。次いで、該樹脂100重量部に対してシリコーン系整泡剤SH−193(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)1.5重量部を添加してフェノール系レゾール樹脂組成物を調製し、6時間放置した。
(2)1000mlディスポカップに、予め20℃に温調した上記(1)のフェノール系レゾール樹脂600重量部、予め20℃に温調したHCFC−141b 21重量部、予め20℃に温調した酸価260mgKOH/gの67%フェノールスルホン酸9重量部を仕込み、ホモディスパー(商品名、特殊機化工業社製ミキサー)で8000rpmで30秒間混合したのち、ただちにディスポカップを60°の角度で10秒間傾けて予め70℃に温調したアルミ製モールド(容積:300mm×300mm×50mm、0.5mmクラフト紙を内底部にひいておく)に均一に散布した後、蓋を4箇所で固定し、70℃乾燥機中で5分間加熱後脱型した。次いで脱型後のフォームを90℃に加熱したホットプレスで硬化成形し酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体を作成した。
(3)成形した発泡体を室温20℃、湿度65%に5日間放置した後、諸物性をJIS A‐9511に準拠して測定した。
【0035】
実施例6
(1)フェノール系レゾール樹脂組成物の調製
フェノール4451g、41.5重量%ホルマリン水溶液5135gを還流管、攪拌機付き反応缶中に仕込み、攪拌を開始する。触媒として25%水酸化ナトリウム水溶液を添加後85℃まで昇温させ、同温度で70分間反応させた後、硫酸を添加してpHを6.3に調整し、減圧下に脱水率29.0重量%まで脱水濃縮してモル比(ホルムアルデヒド/フェノール)が1.50の液状フェノール系レゾール樹脂6800gを得た。次いで、該樹脂100重量部に対して水酸化アルミニウム30重量部、クレー30重量部、シリコーン系整泡剤SH−193(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)1.5重量部、酸中和剤として炭酸バリウム6.8重量部を添加してフェノール系レゾール樹脂組成物を調製し10分間放置した。
(2)1000mlディスポカップに、予め20℃に温調した上記(1)のフェノール系レゾール樹脂組成物600重量部、予め20℃に温調したシクロペンタン 18重量部、予め20℃に温調した酸価260mgKOH/gの67%フェノールスルホン酸60重量部を仕込み、ホモディスパー(商品名、特殊機化工業社製ミキサー)で5000rpmで30秒間混合したのち、ただちにディスポカップを60°の角度で10秒間傾けて予め7
0℃に温調した両面材クラフト紙を使用したアルミ製モールド(容積:300mm×300mm×50mm)内に均一に散布(注入)した後、モールドの蓋を4箇所で固定し、70℃乾燥機中で10分間加熱した後脱型して酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体を作成した。
(3)成形した発泡体を室温20℃、湿度65%の雰囲気下に5日間放置した後、諸物性をJIS A‐9511に準拠して測定した。
【0036】
実施例7
(1)フェノール系レゾール樹脂組成物の調製
フェノール4451g、41.5重量%ホルマリン水溶液5135gを還流管、攪拌機付き反応缶中に仕込み、攪拌を開始する。触媒として25%水酸化ナトリウム水溶液を添加後85℃まで昇温させ、同温度で70分間反応させた後、50%パラトルエンスルホン酸を添加してpHを6.3に調整し、減圧下に脱水率29.0重量%まで脱水濃縮してモル比(ホルムアルデヒド/フェノール)が1.50の液状フェノール系レゾール樹脂6800gを得た。次いで、該樹脂100重量部に対して水酸化アルミニウム92.7重量部、シリコーン系整泡剤SH−193(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)1.5重量部、9%硫酸カリウム水溶液12重量部、酸中和剤として炭酸バリウム6.8重量部を添加してフェノール系レゾール樹脂組成物を調製し、10分間放置した。
(2)1000mlディスポカップに、予め20℃に温調した上記(1)のフェノール系レゾール樹脂組成物600重量部、予め20℃に温調したシクロペンタン 7.8重量部、予め20℃に温調した酸価260mgKOH/gの67%フェノールスルホン酸60重量部を仕込み、ホモディスパー(商品名、特殊機化工業社製ミキサー)で5000rpmで30秒間混合したのち、ただちにディスポカップを60°の角度で10秒間傾けて予め70℃に温調した両面材クラフト紙を使用したアルミ製モールド(容積:300mm×300mm×50mm)内に均一に散布(注入)した後、モールドの蓋を4箇所で固定し、70℃乾燥機中で10分間加熱した後脱型して酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体を作成した。
(3)成形した発泡体を室温20℃、湿度65%の雰囲気下に5日間放置した後、諸物性をJIS A‐9511に準拠して測定した。
【0037】
実施例8
(1)フェノール系レゾール樹脂組成物の調製
フェノール4451g、41.5重量%ホルマリン水溶液5135gを還流管、攪拌機付き反応缶中に仕込み、攪拌を開始する。触媒として25%水酸化ナトリウム水溶液を添加後85℃まで昇温させ、同温度で70分間反応させた後、50%パラトルエンスルホン酸を添加してpHを6.3に調整し、減圧下に脱水率29.0重量%まで脱水濃縮してモル比(ホルムアルデヒド/フェノール)が1.50の液状フェノール系レゾール樹脂6800gを得た。次いで、該樹脂100重量部に対して水酸化アルミニウム92.7重量部、シリコーン系整泡剤SH−193(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)1.5重量部、事前に用意しておいた9%硫酸カリウム水溶液12重量部と炭酸バリウム6.8重量部の混合液を添加してフェノール系レゾール樹脂組成物を調製し、10分間放置した。
(2)1000mlディスポカップに、予め20℃に温調した上記(1)のフェノール系レゾール樹脂組成物600重量部、予め20℃に温調したシクロペンタン 18重量部、予め20℃に温調した酸価260mgKOH/gの67%フェノールスルホン酸60重量部を仕込み、ホモディスパー(商品名、特殊機化工業社製ミキサー)で5000rpmで30秒間混合したのち、ただちにディスポカップを60°の角度で10秒間傾けて予め70℃に温調した両面材クラフト紙を使用したアルミ製モールド(容積:300mm×300mm×50mm)内に均一に散布(注入)した後、モールドの蓋を4箇所で固定し、70℃乾燥機中で10分間加熱した後脱型して酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体を作成した。
(3)成形した発泡体を室温20℃、湿度65%の雰囲気下に5日間放置した後、諸物性をJIS A‐9511に準拠して測定した。
【0038】
実施例1〜5の結果を表1に、実施例6〜8の結果を表2に示す。表中、pH変化はフェノール系樹脂組成物のpHの変化量を示す。

【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
比較例1
(1)フェノール系レゾール樹脂組成物の調製
フェノール4451g、41.5重量%ホルマリン水溶液5135gを還流管、攪拌機付き反応缶中に仕込み、攪拌を開始する。触媒として25%水酸化ナトリウム水溶液を添加後85℃まで昇温させ、同温度で70分間反応させた後、PTSを添加してpHを6.3
に調整し、減圧下に脱水率29.0重量%まで脱水濃縮してモル比(ホルムアルデヒド/フェノール)が1.50の液状フェノール系レゾール樹脂6800gを得た。次いで、該組成物100重量部に対して水酸化アルミニウム30重量部、クレー30重量部、シリコーン系整泡剤SH−193(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)1.5重量部、酸中和剤として炭酸バリウム5重量部を添加してフェノール系レゾール樹脂組成物を調製し、6時間放置した。
(2)1000mlディスポカップに、予め20℃に温調した上記(1)のフェノール系レゾール樹脂組成物600重量部、予め20℃に温調したn−ペンタン18重量部、予め20℃に温調した酸価260mgKOH/gの67%フェノールスルホン酸66重量部を仕込み、ホモディスパー(商品名、特殊機化工業社製ミキサー)で5000rpmで30秒間混合後、直ぐに炭酸塩の分解が起こり 式: Y=0.0034X+2.167以下の範囲に入らず硬化しないため発泡体が得られなかった。
【0042】
比較例2
(1)フェノール系レゾール樹脂組成物の調製
フェノール4451g、41.5重量%ホルマリン水溶液5135gを還流管、攪拌機付き反応缶中に仕込み、攪拌を開始する。触媒として25%水酸化ナトリウム水溶液を添加後85℃まで昇温させ、同温度で70分間反応させた後、キシレンスルホン酸を添加してpHを6.3に調整し、減圧下に脱水率29.0重量%まで脱水濃縮してモル比(ホルムアルデヒド/フェノール)が1.50の液状フェノール系レゾール樹脂6800gを得た。次いで、該樹脂100重量部に対して水酸化アルミニウム30重量部、クレー30重量部、シリコーン系整泡剤SH−193(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)1.5重量部、酸中和剤として炭酸カルシウム6重量部を添加してフェノール系レゾール樹脂組成物を調製し、6時間放置した。
(2)1000mlディスポカップに、予め20℃に温調した上記(1)のフェノール系レゾール樹脂組成物600重量部、予め20℃に温調したシクロペンタン9.0重量部、予め20℃に温調した酸価260mgKOH/gの67%フェノールスルホン酸60重量部を仕込み、ホモディスパー(商品名、特殊機化工業社製ミキサー)で5000rpmで30秒間混合中に炭酸塩の分解が急激に起こり 式: Y=0.0034X+2.167以下の範囲に入らず硬化しないため発泡体が得られなかった。
【0043】
比較例3
(1)フェノール系レゾール樹脂組成物の調製
フェノール4451g、41.5重量%ホルマリン水溶液5135gを還流管、攪拌機付き反応缶中に仕込み、攪拌を開始する。触媒として25%水酸化ナトリウム水溶液を添加後85℃まで昇温させ、同温度で70分間反応させた後、蟻酸を添加してpHを6.3に調整し、減圧下に脱水率29.0重量%まで脱水濃縮してモル比(ホルムアルデヒド/フェノール)が1.50の液状フェノール系レゾール樹脂6800gを得た。次いで、該樹脂100重量部に対して水酸化アルミニウム30重量部、クレー30重量部、シリコーン系整泡剤SH−193(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)1.5重量部、酸中和剤として炭酸バリウム8重量部を添加してフェノール系レゾール樹脂組成物を調製し、6時間放置した。
(2)1000mlディスポカップに、予め20℃に温調した上記(1)のフェノール系レゾール樹脂組成物600重量部、予め20℃に温調したHCFC−141b 18重量部、予め20℃に温調した酸価260mgKOH/gの67%フェノールスルホン酸42重量部を仕込み、ホモディスパー(商品名、特殊機化工業社製ミキサー)で5000rpmで30秒間混合したのち、ただちにディスポカップを60°の角度で10秒間傾けて予め70℃に温調したアルミ製モールド(容積:300mm×300mm×50mm)に均一に散布した後、蓋を4箇所で固定し、70℃乾燥機中で10分間加熱後脱型したが硬化不足のため発泡体が得られなかった。
【0044】
比較例4
(1)フェノール系レゾール樹脂組成物の調製
フェノール4451g、41.5重量%ホルマリン水溶液5135gを還流管、攪拌機付き反応缶中に仕込み、攪拌を開始する。触媒として25%水酸化ナトリウム水溶液を添加後85℃まで昇温させ、同温度で70分間反応させた後、50%パラトルエンスルホン酸を添加してpHを6.3に調整し、減圧下に脱水率29.0重量%まで脱水濃縮してモル比(ホルムアルデヒド/フェノール)が1.50の液状フェノール系レゾール樹脂6800gを得た。次いで、該樹脂100重量部に対して水酸化アルミニウム92.7重量部、シリコーン系整泡剤SH−193(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)1.5重量部、9%硫酸カリウム水溶液12重量部、酸中和剤として炭酸バリウム12重量部を添加してフェノール系レゾール樹脂組成物を調製し、10分間放置した。
(2)1000mlディスポカップに、予め20℃に温調した上記(1)のフェノール系レゾール樹脂組成物600重量部、予め20℃に温調したシクロペンタン 7.8重量部、予め20℃に温調した酸価260mgKOH/gの67%フェノールスルホン酸60重量部を仕込み、ホモディスパー(商品名、特殊機化工業社製ミキサー)で5000rpmで30秒間混合したが、フェノール樹脂固形分に対する炭酸バリウム量が過剰なため、混合中に炭酸塩の分解が急激に起こり 発泡体が得られなかった。
(3)成形した発泡体を室温20℃、湿度65%の雰囲気下に5日間放置した後、諸物性をJIS A‐9511に準拠して測定した。
【0045】
比較例5
(1)フェノール系レゾール樹脂組成物の調製
フェノール4451g、41.5重量%ホルマリン水溶液5135gを還流管、攪拌機付き反応缶中に仕込み、攪拌を開始する。触媒として25%水酸化ナトリウム水溶液を添加後85℃まで昇温させ、同温度で70分間反応させた後、50%パラトルエンスルホン酸を添加してpHを6.3に調整し、減圧下に脱水率29.0重量%まで脱水濃縮してモル比(ホルムアルデヒド/フェノール)が1.50の液状フェノール系レゾール樹脂6800gを得た。次いで、該樹脂100重量部に対して水酸化アルミニウム92.7重量部、シリコーン系整泡剤SH−193(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)1.5重量部、9%硫酸カリウム水溶液12重量部、酸中和剤として炭酸バリウム6.8重量部を添加してフェノール系レゾール樹脂組成物を調製し、1分間放置した。
(2)1000mlディスポカップに、予め20℃に温調した上記(1)のフェノール系レゾール樹脂組成物600重量部、予め20℃に温調したシクロペンタン 7.8重量部、予め20℃に温調した酸価260mgKOH/gの67%フェノールスルホン酸60重量部を仕込み、ホモディスパー(商品名、特殊機化工業社製ミキサー)で5000rpmで30秒間混合したが、放置時間が1分であったため混合中に炭酸塩の分解が急激に起こり 発泡体が得られなかった。
(3)成形した発泡体を室温20℃、湿度65%の雰囲気下に5日間放置した後、諸物性をJIS A‐9511に準拠して測定した。
【0046】
比較例6
(1)フェノール系レゾール樹脂組成物の調製
フェノール4451g、41.5重量%ホルマリン水溶液5135gを還流管、攪拌機付き反応缶中に仕込み、攪拌を開始する。触媒として25%水酸化ナトリウム水溶液を添加後85℃まで昇温させ、同温度で70分間反応させた後、50%パラトルエンスルホン酸を添加してpHを6.3に調整し、減圧下に脱水率29.0重量%まで脱水濃縮してモル比(ホルムアルデヒド/フェノール)が1.50の液状フェノール系レゾール樹脂6800gを得た。次いで、該樹脂100重量部に対して水酸化アルミニウム92.7重量部、シリコーン系整泡剤SH−193(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)1.5重量
部、9%硫酸カリウム水溶液12重量部、酸中和剤として炭酸バリウム11重量部を添加してフェノール系レゾール樹脂組成物を調製し、10分間放置した。
(2)1000mlディスポカップに、予め20℃に温調した上記(1)のフェノール系レゾール樹脂組成物600重量部、予め20℃に温調したシクロペンタン 7.8重量部、予め20℃に温調した酸価260mgKOH/gの67%フェノールスルホン酸24重量部を仕込み、ホモディスパー(商品名、特殊機化工業社製ミキサー)で5000rpmで30秒間混合したが、硬化剤投入後のpHの落ち込みが少なく、混合中に炭酸塩の分解によるクリームが起こり、発泡体が得られなかった。
(3)成形した発泡体を室温20℃、湿度65%の雰囲気下に5日間放置した後、諸物性をJIS A‐9511に準拠して測定した。
比較例1〜3の結果を表3に、比較例4〜6の結果を表4に示す。表中、pH変化はフェノール系樹脂組成物のpHの変化量を示す。
【0047】
【表3】

注)
・ 硫黄(S)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)の各元素は蛍光X線分析にて測定し
た。
・ フォーム物性の密度はJIS A−9511に準拠して測定した。
・ フォームpHは室温20℃、湿度65%に5日間放置した後、フォーム中央部から
カッターナイフで3〜5mm角にフォームをカットし0.1gを200mlビーカーに
秤り取った。次いで蒸留水100mlを入れ、15分間マグネティックスターラーに
て攪拌した。(攪拌は浮いているフォームを巻き込むぐらいに激しく行なった) 攪拌
終了後、ろ過を行い、ろ液をpHメーター計にて測定した。
・ 鋼鈑の腐蝕性及び鋼鈑表面の変色試験は両面0.5mm厚の亜鉛鋼鈑で接着された
発泡体をポリ袋へ入れ密閉した。次いで、80℃の乾燥機内に1ヶ月間放置後、腐蝕
の進行及び鋼鈑表面の変色を目視にて観察した。
【0048】
【表4】

【0049】
表1、表2、表3、表4の結果より、本発明の製造方法によるフェノール系樹脂発泡体は、セルおよび硬化の状態も良好でフォーム物性も優れていることが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール系樹脂組成物に発泡剤、酸性硬化剤を配合し、発泡、硬化させてフェノール系樹脂発泡体を製造するに際して、フェノール系樹脂組成物に酸性硬化剤を添加した該組成物のpH値が、式: Y=0.0034X+2.167(式1) で示される値以下の範囲にあることを特徴とする酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法。
ここで示した式1は、フェノール系樹脂組成物中の酸中和剤、充填剤などにより酸性硬化剤が経時的に消費されることで起こるpH変化を、一定温度に調整したフェノール系樹脂組成物に酸性硬化剤を添加した後の経過時間(X:秒、0≦X≦120)と、pH値(Y)との関係を一定条件で測定したものである。
【請求項2】
硫酸塩を含有することを特徴とする請求項1に記載の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法。
【請求項3】
酸中和剤として金属粉末、アルミニウム化合物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、酸化物、水酸化物からなる群の少なくとも1種を配合することを特徴とする請求項1または2に記載の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法。
【請求項4】
硫酸塩が硫酸カリウム及び/または硫酸ナトリウムである請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法。
【請求項5】
酸中和剤が炭酸バリウムで、発泡剤がシクロペンタンである請求項4に記載の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法。
【請求項6】
フェノール系樹脂の固形分100重量部に対する、硫酸カリウム及び/または硫酸ナトリウムの含有量が、2.0重量部以下であり、炭酸バリウムの含有量が15.0重量部以下である請求項4に記載の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法。
【請求項7】
フェノール系樹脂組成物に発泡剤、酸性硬化剤を添加、混合後のゲル化時間(Y1)と
硬化剤量(X1)が式: Y1=−X1+16(式2) で示される値以下の範囲にあるこ
とを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法。
ここで示した式2は、液温20℃、乾燥温度65℃の条件下で測定したゲル化時間(Y1分)とフェノール系樹脂の固形分100重量部に対する硬化剤量(X1重量部)の関係を表したものである。
【請求項8】
フェノール系樹脂組成物に硫酸カリウム及び/または硫酸ナトリウムと、炭酸バリウムを添加、混合後、10分以上経過した後に発泡剤、酸性硬化剤を添加、混合することを特徴とする請求項7に記載の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法。
【請求項9】
フェノール系樹脂組成物に硫酸カリウム及び/または硫酸ナトリウムと、炭酸バリウムを添加、混合後、10分以上経過した後に発泡剤、酸性硬化剤を添加、混合した後の、ゲル化時間(Y2)と硬化剤量(X2)が式: Y2=−0.75X2+14.5(式3) で示される値以下の範囲にあることを特徴とする請求項8に記載の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法。
ここで示した式3は、液温20℃、乾燥温度65℃の条件下で測定した、ゲル化時間(Y2分)とフェノール系樹脂の固形分100重量部に対する硬化剤量(X2重量部)の関係を表したものである。
【請求項10】
硫酸カリウム及び/または硫酸ナトリウムを、水溶液又は含水アルコール溶液として添
加することを特徴とする請求項9に記載の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法。
【請求項11】
硫酸カリウム及び/または硫酸ナトリウムの水溶液ないしは含水アルコール溶液と、炭酸バリウムとを予め混合した後に添加することを特徴とする請求項5に記載の酸性硬化型フェノール樹脂発泡体の製造方法。
【請求項12】
フェノール樹脂組成物に発泡剤、酸性硬化剤を添加、混合した後のクリームタイムが10秒以上であることを特徴とする請求項4、5、10、または11のいずれかに記載の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体の製造方法。
【請求項13】
フォーム特性が、密度が10〜500kg/m3、pHが4以上、吸水量が1〜15g
/100cm2、であり、フォーム中に硫黄元素とカリウム元素及び/またはナトリウム
元素を含むことを特徴とする酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法により製造され、フォーム特性が、密度が10〜500kg/m3、pHが4以上、吸水量が1〜15g/100cm2、であり、フォーム中に硫黄元素とカリウム元素及び/またはナトリウム元素を含むことを特徴とする酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体。
【請求項15】
両面または片面が、繊維、金属、無機物の群から選ばれる1種以上の面材で被覆されて
なる請求項13または14に記載の酸性硬化型フェノール系樹脂発泡体。

【公開番号】特開2007−131859(P2007−131859A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346667(P2006−346667)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【分割の表示】特願2004−111490(P2004−111490)の分割
【原出願日】平成16年4月5日(2004.4.5)
【出願人】(504284009)株式会社J−ケミカル (12)
【Fターム(参考)】