説明

重合性組成物の製造方法、感光性フィルム及びその製造方法、並びに、永久パターンの形成方法

【課題】一液型の重合性組成物であっても、粘度が好適な状態で保たれて経時安定性に優れた重合性組成物の製造方法、該重合性組成物を作製した後、支持体に塗布して安定した感光層が形成され、プリント配線板、高密度多層板及び半導体パッケージ等の製造に好適に用いられる感光性フィルム及びその製造方法の提供。
【解決手段】バインダー、熱硬化促進剤、及び充填剤を含む分散液を調製した後、該分散液に重合性化合物及び熱架橋剤を添加することを特徴とする重合性組成物の製造方法であり、分散液の平均粒径が0.1〜10μmである態様、分散液が光重合開始剤を含む態様、などが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性組成物及び感光性フィルムの製造方法、並びに、永久パターン(保護膜、層間絶縁膜、ソルダーレジストなど)に関し、特に、経時安定性に優れた重合性組成物の製造方法、該重合性組成物を作製した後、支持体に塗布して安定した面状の感光層が得られる感光性フィルム及びその製造方法、配線基板や電子部品モジュールに用いられ、耐熱疲労性、耐湿性、絶縁性などに優れ、高精細な永久パターン及びその効率的な形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、導体回路を有するプリント配線板は、該導体回路を酸化や剥離から保護するために、前記プリント配線板の導体回路を有する面上にソルダーレジストなどの永久パターンが形成されている。
近年のプリント配線板では、電子機器の小型軽量化及び高性能化に伴ない、導体回路等の高密度化の必要が増しており、要求される部分のみソルダーレジストを形成したり、高精細なソルダーレジストを形成したり、また多層プリント配線板の層間樹脂絶縁層の形成などに高精細な永久パターンが必要となっている。このような永久パターンの形成方法として、重合性組成物溶液を前記プリント配線板に塗布して前記感光層を積層する液状フォトソルダーレジストによる永久パターン形成方法や感光層が積層された感光性フィルムを前記プリント配線板に転写する永久パターン形成方法が多く用いられている。
【0003】
前記感光性フィルムの製造方法として、一般的に重合性組成物を溶剤で調製して得られる重合性組成物塗布液を前記支持体上に塗布して、前記感光層を形成する方法が行われている。前記重合性組成物は、より高い光感度にして解像度を向上させ、更に保存安定性を向上させるため、重合禁止剤、バインダー、重合性化合物、熱架橋剤などが含まれている(特許文献1〜4参照)。
前記重合性組成物としては、バインダー、重合性化合物、熱架橋剤、熱硬化促進剤等を予め混ぜた上で調製する、いわゆる一液型のものと、熱架橋剤以外の成分を分散させた分散液と、熱架橋剤を分散又は溶解させた液とを作製しておき、後に両者を混合して調製する、いわゆる二液型のものとが知られている。
しかし、一液型のものは、熱架橋剤が熱硬化促進剤と反応しやすく、好適に塗布し得る粘度が保たれる時間が調製後24時間程度で、経時安定性が悪い問題があった。したがって、調製後24時間を超えると、好適な粘度より高くなるため、感光層の安定した面状が得られにくくなり、均一な感光層を得られずに、高精細な永久パターンが形成できない問題があった。特に、光重合開始剤などに用いられる多官能チオール化合物などの反応性の高い化合物を導入した場合には、変化がより顕著に現れ、24時間以内であっても感光層の面状が安定しない場合がある。
一方、二液型のものは、一液型に比して経時安定性には優れるものの、前述の通り、二種の液を別々に作製し、それらを後に混合する操作を要するため、一液型に比して相当なコストや手間がかかると共に、混合後は早期に塗布を行わないと、一液型と同様な問題が生じる虞がある。
【0004】
よって、一液型の重合性組成物であっても、液粘度が好適な状態で保たれて経時安定性に優れた重合性組成物の製造方法、該重合性組成物からなる溶液を調製した後、支持体に塗布して安定した面状の感光層が得られる感光性フィルム及びその製造方法が望まれているのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特開2002−268211号公報
【特許文献2】特開2003−29399号公報
【特許文献3】特開2004−4527号公報
【特許文献4】特開2004−4528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、一液型の重合性組成物であっても、粘度が好適な状態で保たれて経時安定性に優れた重合性組成物の製造方法、該重合性組成物を作製した後、支持体に塗布して安定した感光層が形成され、プリント配線板、高密度多層板及び半導体パッケージ等の製造に好適に用いられる感光性フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、前記感光性フィルムの製造方法により形成された感光層により、配線基板や電子部品モジュールに用いられ、耐熱疲労性、耐湿性、絶縁性などに優れ、高精細な永久パターン及びその効率的な形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> バインダー、熱硬化促進剤、及び充填剤を含む分散液を調製した後、該分散液に重合性化合物及び熱架橋剤を添加することを特徴とする重合性組成物の製造方法である。
該<1>に記載の重合性組成物の製造方法によれば、バインダー、熱硬化剤、及び顔料を含む分散液を調製した後、該分散液に重合性化合物及び熱架橋剤を添加するので、一液型の重合性組成物であっても、粘度が好適な状態で保たれて経時安定性に優れた重合性組成物を得ることができる。
<2> 分散液に、重合性化合物と熱架橋剤とを含む液を混合する前記<1>に記載の重合性組成物の製造方法である。
<3> 分散液と、重合性化合物を含む液と、熱架橋剤を含む液を混合する前記<1>に記載の重合性組成物の製造方法である。
<4> 重合性化合物と、熱架橋剤とを溶剤に溶解することなく分散液に混合し、溶解する前記<1>に記載の重合性組成物の製造方法である。
<5> 分散液における分散粒子の平均粒径が0.1〜10μmである前記<1>から<4>のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法である。
該<5>に記載の重合性組成物の製造方法によれば、分散粒子の平均粒径を0.1〜10μmとしたため、粘度をより好適な状態で長時間保つことができる。
<6> 重合性組成物が光重合開始剤を含む前記<1>から<5>のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法である。
該<6>に記載の重合性組成物の製造方法によれば、重合性組成物が光重合開始剤を含むため、重合性組成物に感光性が付与され、感光性組成物を得ることができる。したがって、該重合性組成物を、ソルダーレジスト等として好適に用いることができる。
<7> 熱硬化促進剤が、固体である前記<1>から<6>のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法である。
<8> 熱硬化促進剤が、アミン化合物、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩化合物、リン化合物、グアナミン化合物、S−トリアジン誘導体、芳香族酸無水物、脂肪族酸無水物、及びポリフェノールから選択される少なくとも1種である前記<1>から<7>のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法である。
<9> 充填剤が無機充填剤である前記<1>から<8>のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法である。
<10> 無機充填剤が、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、シリカ化合物、アルミニウム化合物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、及びクレーから選択される少なくとも1種である前記<9>に記載の重合性組成物の製造方法である。
<11> 無機充填剤の含有量が5〜50質量%である前記<9>から<10>のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法である。
<12> バインダーが、酸性基とエチレン性不飽和結合とを側鎖に有する高分子化合物を含む前記<1>から<11>のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法である。
<13> バインダーが、高分子化合物の酸性基の一部に環状エーテル基を含有する重合性化合物を触媒共存下で付加させたもの、及び高分子化合物の環状エーテル基の一部又は全部にカルボキシル基を含有する重合性化合物を触媒共存下で付加させたもののいずれかから選択された高分子化合物であり、前記触媒が酸性化合物及び中性化合物のいずれかから選択される前記<1>から<12>のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法である。
<14> バインダーが、酸性基と、ヘテロ環を含んでもよい芳香族基と、エチレン性不飽和結合とを側鎖に有する高分子化合物を含む前記<1>から<12>のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法である。
<15> バインダーが、エポキシ化合物に、エチレン性不飽和二重結合と酸性基とを導入した化合物からなる前記<1>から<11>のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法である。
<16> バインダーが、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体を含む前記<1>から<11>のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法である。
<17> バインダーが、無水マレイン酸共重合体の無水物基に対して0.1〜1.2当量の1級アミン化合物を反応させて得られる共重合体である前記<1>から<11>のいずれかに記載の感光性フィルムの製造方法である。
<18> 重合性化合物が、(メタ)アクリルレート基を有するモノマーから選択される少なくともいずれか1種を含む前記<1>から<17>のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法である。
<19> 熱架橋剤が、エポキシ樹脂化合物、オキセタン化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られる化合物、及びメラミン誘導体から選択される少なくとも1種である前記<1>から<18>のいずれかに記載の感光性フィルムの製造方法である。
【0008】
<20> 支持体上に、前記<1>から<19>のいずれかの重合性組成物の製造方法により製造された重合性組成物を塗布し、感光層を形成する感光層形成工程を少なくとも含むことを特徴とする感光性フィルムの製造方法である。
該<20>に記載の感光性フィルムの製造方法によれば、本発明の重合性組成物の製造方法により製造された重合性組成物を塗布し、感光層を形成する感光層形成工程を少なくとも含むため、感光層の面状が安定した感光性フィルムを得ることができる。
【0009】
<21> 前記<20>に記載の感光性フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする感光性フィルムである。
<22> 前記<21>に記載の感光性フィルムにおける感光層を、基体の表面に転写した後、露光し、現像することを特徴とする永久パターン形成方法である。
<23> 露光が、395〜415nmの波長のレーザ光を用いて行われる前記<21>から<22>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<24> 現像が行われた後、感光層に対して硬化処理を行う前記<21>から<23>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
該<24>に記載の永久パターン形成方法においては、現像が行われた後、前記感光層に対して前記硬化処理が行われる。その結果、前記感光層の硬化領域の膜強度が高められる。
<25> 硬化処理が、全面露光処理及び120〜200℃で行われる全面加熱処理の少なくともいずれかである前記<24>に記載の永久パターン形成方法である。
該<25>に記載の永久パターン形成方法では、前記全面露光処理において、前記重合性組成物中の樹脂の硬化が促進される。また、前記温度条件で行われる全面加熱処理において、硬化膜の膜強度が高められる。
<26> 保護膜、層間絶縁膜及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかを形成する前記<21>から<25>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
該<26>に記載の永久パターン形成方法では、保護膜、層間絶縁膜及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかが形成されるので、該膜の有する絶縁性、耐熱性などにより、配線が外部からの衝撃や曲げなどから保護される。
【0010】
<27> 前記<21>から<26>のいずれかに記載の永久パターン形成方法により形成されることを特徴とする永久パターンである。
該<27>に記載の永久パターンは、前記永久パターン形成方法により形成されるので、優れた耐薬品性、表面硬度、耐熱性などを有し、かつ高精細であり、半導体や部品の多層配線基板やビルドアップ配線基板などへの高密度実装に有用である。
<28> 保護膜、層間絶縁膜及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかである前記<27>に記載の永久パターンである。
該<28>に記載の永久パターンは、保護膜、層間絶縁膜及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかであるので、該膜の有する絶縁性、耐熱性などにより、配線が外部からの衝撃や曲げなどから保護される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一液型の重合性組成物塗布液であっても、粘度が好適な状態で保たれて経時安定性に優れた重合性組成物の製造方法、該重合性組成物を作製した後、支持体に塗布して安定した感光層が形成され、プリント配線板、高密度多層板及び半導体パッケージ等の製造に好適に用いられる感光性フィルム及びその製造方法を提供することができる。本発明はまた、前記感光性フィルムの製造方法により形成された感光層により、配線基板や電子部品モジュールに用いられ、耐熱疲労性、耐湿性、絶縁性などに優れ、高精細な永久パターン及びその効率的な形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(重合性組成物の製造方法)
本発明の重合性組成物の製造方法は、バインダー、熱硬化促進剤、及び充填剤を含む分散液を調製した後、該分散液に重合性化合物及び熱架橋剤を添加することを特徴とし、得られる重合性組成物に感光性を付与できる観点から、前記重合性組成物には光重合開始剤を含むことが好ましい。
【0013】
<分散液の調製>
前記分散液の調製としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バインダー、熱硬化促進剤、充填剤、必要に応じて、適宜選択したその他の成分を、溶剤に分散させて調製する。
前記調製は、分散液の調製から、熱架橋剤の混合をして重合性組成物の作製後、該重合性組成物の塗布までを自動的に行うディスペンサーシステム、スタチックミキサーやマイクロミキサー、インライン混合装置などを用いて行ってもよい。
前記分散液の平均分散粒径は、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましく、1〜3μmが特に好ましい。前記平均分散粒径が、0.1μm未満であると、分散粒子の合一乃至凝集による分散液の粘度上昇が起こることがあり、10μmを超えると、分散粒子の沈降が起こり、安定した液粘度の分散液が得られないことがある。
前記分散液における分散粒子の平均粒径は、体積平均粒径であり、例えば、粒子径測定装置(LB-500:(株)堀場製作所製)により、測定することができる。
【0014】
<重合性化合物及び熱架橋剤の混合>
前記分散液を調製後、重合性化合物及び熱架橋剤を混合する。
前記重合性化合物及び熱架橋剤の混合方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合性化合物及び熱架橋剤が含まれ、必要に応じて適宜選択したその他の成分を溶剤に、溶解、乳化、分散させて調製する。
具体的には、重合成化合物と、熱架橋剤を溶剤に溶解した液を、前記分散液に混合する方法がある。又、重合成化合物を溶剤に溶解した液と、熱架橋剤を溶剤に溶解した液をそれぞれ前記分散液に混合する方法がある。更には、重合成化合物と、熱架橋剤を溶剤に溶解することなく、それぞれ、前記分散液に混合する方法がある。
前記調製は、前記ディスペンサーシステム、スタチックミキサーやマイクロミキサー、インライン混合装置などを用いて行ってもよい。
前記重合性化合物及び熱架橋剤と、分散液成分とを、塗布工程の前に混合し塗布液調製後、長時間経過すると、熱架橋剤により架橋反応が開始し、塗布液の粘度が増加することがある。
具体的には、該熱架橋剤を混合し、得られた重合性組成物を含む塗布液は調製後から72時間以内に塗布されることが好ましく、塗布液調製後24時間以内がより好ましい。塗布液調製後、72時間経過後に塗布すると、液の粘度が増加して好適な塗布がなされず、感光層の安定した面状が得られないことがある。
前記重合性化合物及び熱架橋剤の混合により、得られた重合性組成物の粘度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10〜200cp(mPa・s)が好ましく、30〜100cp(mPa・s)がより好ましい。前記粘度が、10cp(mPa・s)未満であると、より流動的となり、感光層を形成する際に、目的の厚みが効率よく得られないことがあり、200cp(mPa・s)を超えると、流動性が低くなり、前記感光層の面に、リップルスジや、白抜けスジ等のピッチスジ、黒ムラ等のスジ状欠陥が発生し、安定な塗布面が得られないことがある。
【0015】
前記粘度の測定は、粘度計を用いて測定する。前記粘度計としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)ハーゲン・ポアズイユの法則に従い、一定量の試料が毛細管を通って流出するのに要する時間を求める:毛細管粘度計、(2)ストークスの法則に従い、試料中の物体落下速度または気泡上昇速度から求める:気泡粘度計、落体粘度計、ヘプラ粘度計、ビスコレータ、(3)流体中の物体が受ける粘度抵抗から求める:回転粘度計、振動粘度計、平板粘度計などが挙げられる。
【0016】
―バインダー―
前記バインダーとしては、水に不溶で、かつ、アルカリ性水溶液により膨潤あるいは溶解する化合物が好ましい。
前記バインダーは、酸性基とエチレン性不飽和結合を側鎖に含む高分子化合物が好ましい。酸性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等があげられるが、原料入手の点からカルボキシル基が好ましい。
また、前記バインダーとしては、分子内に少なくとも1つの重合可能な二重結合、例えば、(メタ)アクリレート基又は(メタ)アクリルアミド基等のアクリル基、カルボン酸のビニルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル等の各種重合性二重結合を用いることができる。より具体的には、酸性基としてカルボキシル基を含有するアクリル樹脂に、環状エーテル基含有重合性化合物、たとえばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、桂皮酸等の不飽和脂肪酸のグリシジルエステルや、脂環式エポキシ基(たとえば同一分子中にシクロヘキセンオキシド等のエポキシ基)と(メタ)アクリロイル基を有する化合物等のエポキシ基含有の重合性化合物を付加させて得られる化合物などが挙げられる。また、酸性基及び水酸基を含有するアクリル樹脂に、イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有の重合性化合物を付加させて得られる化合物、無水物基を含有するアクリル樹脂に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する重合性化合物を付加させて得られる化合物なども挙げられる。また、グリシジルメタクリレートなどの環状エーテル基含有重合性化合物と(メタ)アクリロイルアルキルエステルなどのビニルモノマーを共重合し、側鎖のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を付加させて得られる化合物なども挙げられる。
これらの例は、特許2763775号公報、特開平3−172301号公報、特開2000−232264号公報などが挙げられる。
【0017】
これらの中で、前記バインダーが、高分子化合物の酸性基の一部に環状エーテル基(たとえばエポキシ基、オキセタン基を部分構造に有する基)含有重合性化合物を付加させたもの、および高分子化合物の環状エーテル基の一部または全部にカルボキシル基含有重合性化合物を付加させたもののいずれかから選択された高分子化合物であることが、さらに好ましい。この際、酸性基と環状エーテル基を有する化合物との付加反応は触媒存在下で実施するのが好ましく、特に、その触媒が酸性化合物および中性化合物から選択されるものであることが好ましい。
その中でも、重合性組成物の経時での現像安定性の点から、バインダーは側鎖に、カルボキシル基とヘテロ環を含んでもよい芳香族基及び側鎖にエチレン性不飽和結合を含む高分子化合物が好ましい。
【0018】
−ヘテロ環を含んでもよい芳香族基−
前記ヘテロ環を含んでもよい芳香族基(以下、単に「芳香族基」と称することもある。)としては、例えば、ベンゼン環、2個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものをなどが挙げられる。
前記芳香族基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、ベンゾピロール環基、ベンゾフラン環基、ベンゾチオフェン環基、ピラゾール環基、イソキサゾール環基、イソチアゾール環基、インダゾール環基、ベンゾイソキサゾール環基、ベンゾイソチアゾール環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、ベンズイミダゾール環基、ベンズオキサゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、フタラジン環基、キナゾリン環基、キノキサリン環基、アシリジン環基、フェナントリジン環基、カルバゾール環基、プリン環基、ピラン環基、ピペリジン環基、ピペラジン環基、インドール環基、インドリジン環基、クロメン環基、シンノリン環基、アクリジン環基、フェノチアジン環基、テトラゾール環基、トリアジン環基などが挙げられる。これらの中では、炭化水素芳香族基が好ましく、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0019】
前記芳香族基は、置換基を有していてもよく、前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアミノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基、シリル基、ニトロ基、シアノ基、それぞれ置換基を有してもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、などが挙げられる。
【0020】
前記アルキル基としては、例えば、炭素原子数が1から20までの直鎖状のアルキル基、分岐状のアルキル基、環状のアルキル基などが挙げられる。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基などが挙げられる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状のアルキル基、炭素原子数3から12までの分岐状のアルキル基、炭素原子数5から10までの環状のアルキル基が好ましい。
【0021】
前記アルキル基が有してもよい置換基としては、例えば、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基が挙げられる。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィイナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基(ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))(以下、「alkyl」はアルキル基を意味する。)、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))(以下、「aryl」はアリール基を意味する。)、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))及びその共役塩基基(アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基(アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、シリル基などが挙げられる。
【0022】
これら置換基におけるアルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられる。
前記置換基におけるアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基などが挙げられる。
【0023】
前記置換基におけるアルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基などが挙げられる。
前記置換基におけるアルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基などが挙げられる。
前記置換基におけるアシル基(R01CO−)のR01としては、水素原子、前述のアルキル基、アリール基などが挙げられる。
これらの置換基の中でも、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、アルキルホスホナト基、モノアリールホスホノ基、アリールホスホナト基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基、アリール基、アルケニル基などが好ましい。
また、前記置換基におけるヘテロ環基としては、例えば、ピリジル基、ピペリジニル基などが挙げられ、前記置換基におけるシリル基としてはトリメチルシリル基などが挙げられる。
【0024】
一方、前記アルキル基における、アルキレン基としては、例えば、前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものが挙げられ、例えば、炭素原子数1から12までの直鎖状のアルキレン基、炭素原子数3から12までの分岐状のアルキレン基、炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基などが好ましい。
このような置換基とアルキレン基を組み合わせることで得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、s−ブトキシブチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、ピリジルメチル基、テトラメチルピペリジニルメチル基、N−アセチルテトラメチルピペリジニルメチル基、トリメチルシリルメチル基、メトキシエチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基などが挙げられる。
【0025】
前記アリール基としては、例えば、ベンゼン環、2個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものなどが挙げられる。
前記アリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基などが挙げられる。これらの中では、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
前記アルキル基は置換基を有してもよく、このような置換基を有するアリール基(以下、「置換アリール基」と称することもある。)としては、例えば、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素原子以外の一価の非金属原子団からなる基を有するものが挙げられる。
前記アリール基が有してもよい置換基としては、例えば、前述のアルキル基、置換アルキル基、前記アルキル基が有してもよい置換基として示したものが好ましい。
【0026】
前記置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基などが挙げられる。
【0027】
前記アルケニル基(−C(R02)=C(R03)(R04))及びアルキニル基(−C≡C(R05))としては、例えば、R02、R03、R04、及びR05が一価の非金属原子団からなる基のものが挙げられる。
前記R02、R03、R04、R05としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基などが挙げられる。これらの具体例としては、前述の例として示したものを挙げることができる。これらの中でも、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1から10までの直鎖状のアルキル基、分岐状のアルキル基、環状のアルキル基が好ましい。
【0028】
前記アルケニル基及びアルキニル基の好ましい具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−オクテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−フェニル−1−エテニル基、2−クロロ−1−エテニル基、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、フェニルエチニル基などが挙げられる。
前記ヘテロ環基としては、例えば、置換アルキル基の置換基として例示したピリジル基などが挙げられる。
【0029】
前記オキシ基(R06O−)としては、R06が水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基であるものが挙げられる。
このようなオキシ基としては、例えば、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基などが好ましい。
これらにおけるアルキル基及びアリール基としては、前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基として示したものを挙げることができる。また、アシルオキシ基におけるアシル基(R07CO−)としては、R07が、先の例として挙げたアルキル基、置換アルキル基、アリール基ならびに置換アリール基のものを挙げることができる。これらの置換基の中では、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、アリールスルホキシ基がより好ましい。
好ましいオキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、アリルオキシ基、フェネチルオキシ基、カルボキシエチルオキシ基、メトキシカルボニルエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、モルホリノエトキシ基、モルホリノプロピルオキシ基、アリロキシエトキシエトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、メシチルオキシ基、クメニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、エトキシフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基などが挙げられる。
【0030】
アミド基を含んでもよいアミノ基(R08NH−、(R09)(R010)N−)としては、例えば、R08、R09、及びR010が水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基のものが挙げられる。なお、R09とR010とは結合して環を形成してもよい。
前記アミノ基としては、例えば、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N’−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。これらにおけるアルキル基及びアリール基としては、前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基として示したものが挙げられる。また、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基おけるアシル基(R07CO−)のR07は前述の通りである。これらのうち、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、アシルアミノ基がより好ましい。
好ましいアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基などが挙げられる。
【0031】
前記スルホニル基(R011−SO−)としては、例えば、R011が一価の非金属原子団からなる基のものが挙げられる。
このようなスルホニル基としては、例えば、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが好ましい。これらにおけるアルキル基及びアリール基としては、前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基として示したものが挙げられる。
前記スルホニル基の具体例としては、ブチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基などが挙げられる。
【0032】
前記スルホナト基(−SO−)は、前述のとおり、スルホ基(−SOH)の共役塩基陰イオン基を意味し、通常は対陽イオンとともに使用されるのが好ましい。
このような対陽イオンとしては、一般に知られるものを適宜選択して用いることができ、例えば、オニウム類(例えば、アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、金属イオン類(例えば、Na、K、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0033】
前記カルボニル基(R013−CO−)としては、例えば、R013が一価の非金属原子団からなる基のものが挙げられる。
このようなカルボニル基としては、例えば、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N’−アリールカルバモイル基などが挙げられる。これらにおけるアルキル基及びアリール基としては、前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基として示したものが挙げられる。
前記カルボニル基としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基が好ましく、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基がより好ましい。
前記カルボニル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ジメチルアミノフェニルエテニルカルボニル基、メトキシカルボニルメトキシカルボニル基、N−メチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基などが好適に挙げられる。
【0034】
前記スルフィニル基(R014−SO−)としては、R014が一価の非金属原子団からなる基のものが挙げられる。
このようなスルフィニル基としては、例えば、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基などが挙げられる。これらにおけるアルキル基及びアリール基としては、前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基として示したものが挙げられる。これらの中でも、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基が好ましい。
前記置換スルフィニル基の具体例としては、ヘキシルスルフィニル基、ベンジルスルフィニル基、トリルスルフィニル基などが好適に挙げられる。
【0035】
前記ホスホノ基とは、ホスホノ基上の水酸基の一つ乃至二つが他の有機オキソ基によって置換されたものを意味し、例えば、前述のジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、アルキルアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、モノアリールホスホノ基などが好ましい。これらの中では、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基がより好ましい。
前記ホスホノ基のより好ましい具体例としては、ジエチルホスホノ基、ジブチルホスホノ基、ジフェニルホスホノ基などが挙げられる。
【0036】
前記ホスホナト基(−PO−、−POH−)とは、前述のとおり、ホスホノ基(−PO)の、酸第一解離、又は酸第二解離に由来する共役塩基陰イオン基を意味する。通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるものを適宜選択することができ、例えば、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、金属イオン類(Na、K、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0037】
前記ホスホナト基は、ホスホノ基の内、水酸基を一つ有機オキソ基に置換したものの共役塩基陰イオン基であってもよく、このような具体例としては、前述のモノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))の共役塩基が挙げられる。
【0038】
前記芳香族基は、芳香族基を含有するラジカル重合性化合物1種以上と、必要に応じて共重合成分として他のラジカル重合性化合物1種以上とを通常のラジカル重合法によって製造することできる。
前記ラジカル重合法としては、例えば、一般的に懸濁重合法あるいは溶液重合法などが挙げられる。
【0039】
前記芳香族基を含有するラジカル重合性化合物としては、例えば、構造式(A)で表される化合物、構造式(B)で表される化合物が好ましい。
【化1】

ただし、前記構造式(A)中、R、R、及びRは水素原子又は1価の有機基を表す。Lは有機基を表し、なくてもよい。Arはヘテロ環を含んでもよい芳香族基を表す。
【化2】

ただし、前記構造式(B)中、R、R、及びR3、並びに、Arは前記構造式(A)と同じ意を表す。
【0040】
前記Lの有機基としては、例えば、非金属原子からなる多価の有機基であり、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものが挙げられる。
より具体的には、前記Lの有機基としては、下記の構造単位が組み合わさって構成されるもの、多価ナフタレン、多価アントラセンなどを挙げることができる。
【0041】
【化3】

【0042】
前記Lの連結基は置換基を有してもよく、前記置換基としては、前述のハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホナト基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換オキシ基、置換スルホニル基、置換カルボニル基、置換スルフィニル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスホナト基、シリル基、ヘテロ環基が挙げられる。
【0043】
前記構造式(A)で表される化合物、及び構造式(B)で表される化合物においては、構造式(A)の方が感度の点で好ましい。また、前記構造式(A)のうち、連結基を有しているものが安定性の点で好ましく、前記Lの有機基としては、炭素数1〜4のアルキレン基が非画像部の除去性(現像性)の点で好ましい。
前記構造式(A)で表される化合物は、下記構造式(I)の構造単位を含む化合物となる。また、前記構造式(B)で表される化合物は、下記構造式(II)の構造単位を含む化合物となる。この内、構造式(I)の構造単位の方が、保存安定性の点で好ましい。
【0044】
【化4】

【化5】

ただし、前記構造式(I)及び(II)中、R、R、及びR、並びに、Arは前記構造式(A)及び(B)と同じ意を表す。
前記構造式(I)及び(II)において、R及びRは水素原子、Rはメチル基である事が、非画像部の除去性(現像性)の点で好ましい。
また、前記構造式(I)のLは、炭素数1〜4のアルキレン基が非画像部の除去性(現像性)の点で好ましい。
【0045】
前記構造式(A)で表される化合物又は構造式(B)で表される化合物としては、特に制限はないが、例えば、以下の例示化合物(1)〜(30)が挙げられる。
【0046】
【化6】

【0047】
【化7】

【0048】
前記例示化合物(1)〜(30)の中でも、(5)、(6)、(11)、(14)、及び(28)が好ましく、これらの中でも、(5)及び(6)が保存安定性及び現像性の点でより好ましい。
【0049】
前記ヘテロ環を含んでもよい芳香族基の前記バインダーにおける含有量は、特に制限はないが、高分子化合物の全構造単位を100mol%とした場合に、前記構造式(I)で表される構造単位を20mol%以上含有することが好ましく、30〜45mol%含有することがより好ましい。前記含有量が20mol%未満であると、保存安定性が低くなることがあり、45mol%を超えると現像性が低下することがある。
【0050】
−エチレン性不飽和結合−
前記エチレン性不飽和結合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式(III)〜(V)で表されるものが好ましい。
【0051】
【化8】

ただし、前記構造式(III)〜(V)中、R〜R11は、それぞれ独立して1価の有機基を表す。X及びYは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、又は−N−Rを表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、−N−R、又はフェニレン基を表す。Rは、水素原子、又は1価の有機基を表す。
【0052】
前記構造式(III)において、Rとしては、それぞれ独立して、例えば、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが好ましく、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことからより好ましい。
前記R及びRとしては、それぞれ独立して、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことからより好ましい。
前記Rとしては、例えば、置換基を有してもよいアルキル基などが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことからより好ましい。
ここで、導入しうる前記置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
【0053】
前記構造式(4)において、R〜Rとしては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが好ましく、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がより好ましい。
導入しうる前記置換基としては、前記構造式(III)において挙げたものが例示される。
【0054】
前記構造式(5)において、Rとしては、例えば、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが好ましく、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことからより好ましい。
前記R10、R11としては、それぞれ独立して、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが好ましく、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことからより好ましい。
ここで、導入しうる前記置換基としては、構造式(III)において挙げたものが例示される。
前記Zとしては、酸素原子、硫黄原子、−NR13−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13は、置換基を有してもよいアルキル基などを表し、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
【0055】
前記構造式(III)〜(V)で表される側鎖エチレン性不飽和結合の中でも、構造式(III)のものが、重合反応性が高く感度が高くなり、より好ましい。
前記エチレン性不飽和結合の前記高分子化合物における含有量は、特に制限はないが、0.5〜3.0meq/gが好ましく、1.0〜3.0meq/gがより好ましく、1.5〜2.8meq/gが特に好ましい。前記含有量が0.5meq/g未満であると、硬化反応量が少ないため低感度となることがあり、3.0meq/gより多いと、保存安定性が劣化することがある。
ここで、前記含有量(meq/g)は、例えば、ヨウ素価滴定により測定することができる。
【0056】
前記構造式(III)で表されエチレン性不飽和結合を側鎖に導入する方法としては、特に制限はないが、例えば、側鎖にカルボキシル基を含有する高分子化合物とエチレン性不飽和結合及びエポキシ基を有する化合物を付加反応させることで得ることができる。
前記側鎖にカルボキシル基を含有する高分子化合物は、例えば、カルボキシル基を含有するラジカル重合性化合物1種以上と、必要に応じて共重合成分として他のラジカル重合性化合物1種以上とを通常のラジカル重合法によって製造することでき、前記ラジカル重合法としては、例えば、懸濁重合法、溶液重合法などが挙げられる。
【0057】
前記エチレン性不飽和結合及びエポキシ基を有する化合物としては、これらを有すれば特に制限はないが、例えば、下記構造式(VI)で表される化合物及び(VII)で表される化合物が好ましい。特に、構造式(VI)で表される化合物を使用するほうが、高感度化の点で好ましい。
【化9】

ただし、前記構造式(VI)中、R1は水素原子又はメチル基を表す。L1は有機基を表す。
【化10】

ただし、前記構造式(VII)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Lは有機基を表す。Wは4〜7員環の脂肪族炭化水素基を表す。
前記構造式(VI)で表される化合物及び構造式(VII)で表される化合物の中でも、構造式(VI)で表される化合物が好ましく、前記構造式(VI)においても、Lが炭素数1〜4のアルキレン基のものがより好ましい。
【0058】
前記構造式(VI)で表される化合物又は構造式(VII)で表される化合物としては、特に制限はないが、例えば、以下の例示化合物(31)〜(40)が挙げられる。
【化11】

【0059】
前記カルボキシル基を含有するラジカル重合性化合物しては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、インクロトン酸、マレイン酸、p−カルボキシルスチレンなどがあり、特に好ましいものは、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
【0060】
前記側鎖への導入反応としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ピリジン、トリフェニルフォスフィンなどを触媒として有機溶剤中、反応温度50〜150℃で数時間〜数十時間反応させることにより行うことができる。
【0061】
前記側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構造単位としては、特に制限はないが、例えば、下記構造式(i)で表される構造、構造式(ii)で表される構造、及びこれらの混合により表されるものが好ましい。
【化12】

ただし、前記構造式(i)及び(ii)中、Ra〜Rcは水素原子又は1価の有機基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。Lは連結基を有してもよい有機基を表す。
【0062】
前記構造式(i)で表される構造乃至構造式(ii)で表される構造の高分子化合物における含有量は、20mol%以上が好ましく、20〜50mol%がより好ましく、25〜45mol%が特に好ましい。前記含有量が20mol%未満では、硬化反応量が少ないため低感度となることがあり、50mol%より多いと、保存安定性が劣化することがある。
【0063】
−カルボキシル基−
本発明の高分子化合物においては、非画像部除去性などの諸性能を向上させるために、カルボキシル基を有していてもよい。
前記カルボキシル基は、酸基を有するラジカル重合性化合物を共重合させることにより、前記高分子化合物に付与することができる。
このようなラジカル重合性が有する酸基としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、リン酸基などが挙げられ、カルボン酸が特に好ましい。
前記カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、インクロトン酸、マレイン酸、p−カルボキシルスチレンなどが挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、p−カルボキシルスチレンが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0064】
前記カルボキシル基のバインダーにおける含有量は、1.0〜4.0meq/gであり、1.5〜3.0meq/gが好ましい。前記含有量が1.0meq/g未満では現像性が不十分となることがあり、4.0meq/gを越えるとアルカリ水現像による画像強度ダメージを受けやすくなることがある。
【0065】
本発明の高分子化合物は、画像強度などの諸性能を向上する目的で、前述のラジカル重合性化合物の他に、更に他のラジカル重合性化合物を共重合させることが好ましい。
前記他のラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類などから選ばれるラジカル重合性化合物などが挙げられる。
【0066】
具体的には、アルキルアクリレート等のアクリル酸エステル類、アリールアクリレート、アルキルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、アリールメタクリレート、スチレン、アルキルスチレン等のスチレン類、アルコキシスチレン、ハロゲンスチレンなどが挙げられる。
前記アクリル酸エステル類としては、アルキル基の炭素原子数は1〜20のものが好ましく、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸エチルへキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなどが挙げられる。
前記アリールアクリレートとしては、例えば、フェニルアクリレートなどが挙げられる。
【0067】
前記メタクリル酸エステル類としては、アルキル基の炭素原子は1〜20のものが好ましく、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレー卜、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなどが挙げられる。
前記アリールメタクリレートとしては、例えば、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0068】
前記スチレン類としては、例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロへキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレンなどが挙げられる。
前記アルコキシスチレンとしては、例えば、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレンなどが挙げられる。
前記ハロゲンスチレンとしては、例えばクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレンなどが挙げられる。
これらのラジカル重合性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
本発明の高分子化合物を合成する際に用いられる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0070】
本発明の高分子化合物の分子量は、質量平均分子量で、10,000以上が好ましく、10,000〜50,000がより好ましい。前記質量平均分子量が10,000を下回ると硬化膜強度が不足することがあり、50,000を超えると現像性が低下する傾向にある。
また、本発明の高分子化合物中には、未反応の単量体を含んでいてもよい。この場合、前記単量体の前記高分子化合物における含有量は、15質量%以下が好ましい。
【0071】
本発明に係る高分子化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、他の高分子化合物を混合して用いてもよい。この場合、前記他の高分子化合物の前記本発明の高分子化合物における含有量は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
【0072】
前記バインダーの前記重合性組成物中の固形分含有量は、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。
【0073】
更に、エポキシ樹脂にエチレン性不飽和二重結合と酸性基とを導入した化合物も好適である。また、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体も好ましい。
【0074】
−−エポキシ樹脂にエチレン性不飽和二重結合と酸性基とを導入した化合物−−
前記エポキシ樹脂にエチレン性不飽和二重結合と酸性基とを導入した化合物としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ基含有重合性化合物と不飽和カルボン酸とを反応させた反応生成物、及びエポキシ基含有重合性化合物と不飽和カルボン酸とを反応させ、更に多塩基酸無水物を付加させた反応生成物などが挙げられる。
【0075】
前記エポキシ基含有重合性化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ノボラック型ビフェニル型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等の多官能グリシジルアミン樹脂;テトラフェニルグリシジルエーテルエタン等の多官能性グリシジルエーテル樹脂;フェノール、o−クレゾール、ナフトール等のフェノール化合物と、フェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合反応により得られるポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応物;フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応によって得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物;4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酢酸等でエポキシ化したもの;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環を有するエポキシ樹脂;などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0076】
前記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、α−シアノ桂皮酸、β−スチルアクリル酸、β−アクリロキシプロピオン酸、及び1個の水酸基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物と二塩基酸無水物との反応物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
前記多塩基酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニルコハク酸無水物、無水クロレンド酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、及びベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0078】
前記エポキシ化合物にエチレン性不飽和二重結合と酸性基とを導入した化合物の中でも、下記構造式(1)及び(2)で表されるエポキシアクリレート化合物が好ましい。
【化13】

ただし、前記構造式(1)中、Xは、水素原子、又は少なくとも酸性基を含む置換基を表す。Yは、メチレン基、イソプロピリデン基、又はスルホニル基を表す。nは、1〜20の整数を表す。
【0079】
【化14】

ただし、前記構造式(2)中、nは、1〜20の整数を表す。
【0080】
また、前記構造式(1)で表されるエポキシアクリレート化合物としては、具体的には、下記構造式(3)で表されるビスフェノールF型エポキシアクリレート化合物、及び下記構造式(4)で表されるビスフェノールA型エポキシアクリレート化合物がより好ましい。
【化15】

【化16】

【0081】
前記エポキシ樹脂にエチレン性不飽和二重結合と酸性基とを導入した化合物の分子量は、200〜1,500が好ましく、300〜1,000がより好ましい。該分子量が200未満であると、感光層表面のタック性が強くなることがあり、後述する感光層の硬化後において、膜質が脆くなる、あるいは、表面硬度が劣化することがあり、1,000を超えると、現像性が悪化することがある。
【0082】
また、前記バインダーとしては、例えば、不飽和−塩基酸共重合樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物との反応により得られる不飽和樹脂、エポキシ基含有共重合樹脂と酸基含有不飽和化合物との反応により得られる不飽和樹脂、などが挙げられる。
これら不飽和樹脂としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、サイクロマーPシリーズ(ダイセル社製)、などが挙げられる。
【0083】
−−側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体−−
前記側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体としては、例えば(1)酸性基を有するビニルモノマー、(2)必要に応じて後述する高分子反応に利用可能な官能基を有するビニルモノマー、及び(3)必要に応じてその他の共重合可能なビニルモノマーのビニル(共)重合で得られた(共)重合体を合成し、更に(4)該(共)重合体中の酸性基、又は高分子反応に利用可能な官能基の少なくとも1種に対して反応性を有する官能基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを高分子反応させることによって得られる。
前記(1)酸性基を有するビニルモノマーの酸性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられ、これらの中でもカルボキシル基が好ましい。カルボキシル基を有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有する単量体(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等)と環状無水物(例えば、無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物)との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、共重合性やコスト、溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。またこれらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の無水物を有するモノマーを用いてもよい。
前記(2)の高分子反応に利用可能な官能基を有するビニルモノマーにおける、高分子反応に利用可能な官能基としては水酸基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、酸ハライド基、活性ハライド基、などが挙げられる。また前述(1)のカルボシキル基や酸無水物基も利用可能な官能基として挙げられる。
【0084】
前記水酸基を有するビニルモノマーとしては、例えば、下記構造式(5)〜(13)で表される化合物が挙げられる。
【0085】
【化17】

【0086】
【化18】

【0087】
【化19】

【0088】
【化20】

【0089】
【化21】

【0090】
【化22】

【0091】
【化23】

【0092】
【化24】

【0093】
【化25】

【0094】
但し、前記構造式(5)〜(13)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、n、n1及びn2は1以上の整数を表す。
【0095】
前記アミノ基を有するビニルモノマーとしては、例えば、ビニルベンジルアミン、アミノエチルメタクリレート、などが挙げられる。
【0096】
前記イソシアネート基を有するモノマーとしては、例えば、下記構造式(14)〜(16)で表される化合物が挙げられる。
【0097】
【化26】

【0098】
【化27】

【0099】
【化28】

【0100】
但し、前記構造式(14)〜(16)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
【0101】
前記エポキシ基を有するビニルモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、下記構造式(17)で表される化合物などが挙げられる。
【0102】
【化29】

但し、前記構造式(17)中、RはH及びMeのいずれかを表す。
【0103】
前記酸ハライド基を有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸クロリド、などが挙げられる。
前記活性ハライド基を有するビニルモノマーとしては、例えば、クロロメチルスチレン、などが挙げられる。
これらの市販品としては、例えば、「カネカレジンAXE;鐘淵化学工業(株)製」、「サイクロマー(CYCLOMER) A−200;ダイセル化学工業(株)製」、「サイクロマー(CYCLOMER) M−200;ダイセル化学工業(株)製」、「SPCP1X、SPCP2X、SPCP3X;昭和高分子(株)製」などを用いることができる。
また、前記各モノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0104】
前記(3)の必要に応じて用いられるその他の共重合可能なモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類(例えば、スチレン、スチレン誘導体等)、(メタ)アクリロニトリル、ビニル基が置換した複素環式基(例えば、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール等)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクトン、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、リン酸モノ(2―アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2―アクリロイルオキシエチルエステル)、官能基(例えば、ウレタン基、ウレア基、スルホンアミド基、イミド基)を有するビニルモノマーなどが挙げられる。
【0105】
前記(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、アセトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、β−フェノキシエトキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0106】
前記クロトン酸エステル類としては、例えば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシルなどが挙げられる。
【0107】
前記ビニルエステル類としては、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、安息香酸ビニルなどが挙げられる。
【0108】
前記マレイン酸ジエステル類としては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0109】
前記フマル酸ジエステル類としては、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
【0110】
前記イタコン酸ジエステル類としては、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0111】
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
【0112】
前記スチレン類としては、例えば、前記スチレン、前記スチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えば、t-Boc等)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン等)、などが挙げられる。
【0113】
前記ビニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0114】
前記官能基としてウレタン基又はウレア基を有するビニルモノマーの合成方法としては、例えば、イソシアナート基と水酸基又はアミノ基の付加反応が挙げられ、具体的には、イソシアナート基を有するモノマーと、水酸基を1個含有する化合物又は1級若しくは2級アミノ基を1個有する化合物との付加反応、水酸基を有するモノマー又は1級若しくは2級アミノ基を有するモノマーと、モノイソシアネートとの付加反応が挙げられる。
【0115】
前記イソシアナート基を有するモノマーとしては、例えば、前述の(2)に示したものと同様に、前記構造式(10)〜(12)で表される化合物が挙げられる。
前記モノイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート、トルイルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、フェニルイソシアネート等が挙げられる。
前記水酸基を有するモノマーとしては、例えば、前述の(2)に示したものと同様に、前記構造式(1)〜(9)で表される化合物が挙げられる。
【0116】
前記水酸基を1個含有する化合物としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−オクタデカノール、シクロペンタノール、シクロへキサノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等)、フェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、ナフトール等)、更に置換基を含むものとして、フロロエタノール、トリフロロエタノール、メトキシエタノール、フェノキシエタノール、クロロフェノール、ジクロロフェノール、メトキシフェノール、アセトキシフェノール等が挙げられる。
【0117】
前記1級又は2級アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、ビニルベンジルアミンなどが挙げられる。
【0118】
前記1級又は2級アミノ基を1個含有する化合物としては、例えば、アルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン)、環状アルキルアミン(シクロペンチルアミン、シクロへキシルアミン等)、アラルキルアミン(ベンジルアミン、フェネチルアミン等)、アリールアミン(アニリン、トルイルアミン、キシリルアミン、ナフチルアミン等)、更にこれらの組合せ(N−メチル−N−ベンジルアミン等)、更に置換基を含むアミン(トリフロロエチルアミン、ヘキサフロロイソプロピルアミン、メトキシアニリン、メトキシプロピルアミン等)などが挙げられる。
【0119】
また、これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらをビニル(共)重合させることにより酸性基、酸無水物基および必要に応じて水酸基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、酸ハライド基、活性ハライド基などを含有する(共)重合体が得られる。前記ビニル(共)重合体は、それぞれ相当するモノマーを公知の方法により常法に従って共重合させることで調製することができる。例えば、前記モノマーを適当な溶媒中に溶解し、ここにラジカル重合開始剤を添加して溶液中で重合させる方法(溶液重合法)を利用することにより調製することができる。また、水性媒体中に前記モノマーを分散させた状態でいわゆる乳化重合等で重合を利用することにより調製することができる。
このようにして得られた(共)重合体に対して、前記(4)として、これらの共重合体中の酸性基、および必要に応じて水酸基、アミノ基、イソシアネート基、グリシジル基、酸ハライド基の少なくとも1種に対して反応性を有する官能基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを高分子反応させることによって得られる。
【0120】
前記該(4)の(共)重合体中の酸性基、又は高分子反応に利用可能な官能基の少なくとも1種に対して反応性を有する官能基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、前述の(2)に示した化合物などが利用できる。
これらの高分子反応を行なう場合の官能基の組合せの例としては、例えば、酸性基(カルボキシル基など)を有する共重合体とエポキシ基を有するビニルモノマーの組合せ、アミノ基を有する共重合体とエポキシ基を有するビニルモノマーの組合せ、アミノ基を有する共重合体とイソシアネート基を有するビニルモノマーの組合せ、水酸基を有する共重合体とイソシアネート基を有するビニルモノマーの組合せ、水酸基を有する共重合体と酸ハライド基を有するビニルモノマーの組合せ、アミノ基を有する共重合体と活性ハライド基を有するビニルモノマーの組合わせ、酸無水物基を有する共重合体と水酸基を有するビニルモノマーの組合せ、イソシアネート基を有する共重合体とアミノ基を有するビニルモノマーの組合せ、イソシアネート基を有する共重合体と水酸基を有するビニルモノマーの組合せ、活性ハライド基を有する共重合体とアミノ基を有するビニルモノマーの組合わせ、などが挙げられる。またこれらの組合せは2種以上を併用しても構わない。
【0121】
−−その他のバインダー−−
前記バインダーは、その他のバインダーを用いてもよい。
前記その他のバインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、マレアミド酸系共重合体、などが挙げられる。
前記マレアミド酸系共重合体は、無水マレイン酸共重合体の無水物基に対して1級アミン化合物を1種以上反応させて得られる共重合体である。該共重合体は下記構造式(VII)で表される、マレイン酸ハーフアミド構造を有するマレアミド酸ユニットBと、前記マレイン酸ハーフアミド構造を有しないユニットAと、を少なくとも含むマレアミド酸系共重合体であるのが好ましい。
前記ユニットAは1種であってもよいし、2種以上であってもよい。例えば、前記ユニットBが1種であるとすると、前記ユニットAが1種である場合には、前記マレアミド酸系共重合体が2元共重合体を意味することになり、前記ユニットAが2種である場合には、前記マレアミド酸系共重合体が3元共重合体を意味することになる。
前記ユニットAとしては、置換基を有していてもよいアリール基と、後述するビニル単量体であって、該ビニル単量体のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃未満であるビニル単量体(c)との組合せが好適に挙げられる。
【0122】
【化30】

ただし、前記構造式(18)中、R及びRは水素原子及び低級アルキル基のいずれかを表す。x及びyは繰り返し単位のモル分率を表し、例えば、前記ユニットAが1種の場合、xは85〜50モル%であり、yは15〜50モル%である。
【0123】
前記構造式(18)中、Rとしては、例えば、(−COOR10)、(−CONR1112)、置換基を有していてもよいアリール基、(−OCOR13)、(−OR14)、(−COR15)などの置換基が挙げられる。ここで、前記R10〜R15は、水素原子(−H)、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基及びアラルキル基のいずれかを表す。該アルキル基、アリール基及びアラルキル基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。
前記R10〜R15としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、アリル、n−ヘキシル、シクロへキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、メトキシエチル、フェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、ベンジル、フェネチル、ナフチル、クロロフェニルなどが挙げられる。
前記Rの具体例としては、例えば、フェニル、α−メチルフェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル等のベンゼン誘導体;n−プロピルオキシカルボニル、n−ブチルオキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、n−ブチルオキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、メチルオキシカルボニルなどが挙げられる。
【0124】
前記Rとしては、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。これらは、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。前記Rの具体例としては、例えば、ベンジル、フェネチル、3−フェニル−1−プロピル、4−フェニル−1−ブチル、5−フェニル−1−ペンチル、6−フェニル−1−ヘキシル、α−メチルベンジル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2−(p−トリル)エチル、β―メチルフェネチル、1−メチル−3−フェニルプロピル、2−クロロベンジル、3−クロロベンジル、4−クロロベンジル、2−フロロベンジル、3−フロロベンジル、4−フロロベンジル、4−ブロモフェネチル、2−(2−クロロフェニル)エチル、2−(3−クロロフェニル)エチル、2−(4−クロロフェニル)エチル、2−(2−フロロフェニル)エチル、2−(3−フロロフェニル)エチル、2−(4−フロロフェニル)エチル、4−フロロ−α,α−ジメチルフェネチル、2−メトキシベンジル、3−メトキシベンジル、4−メトキシベンジル、2−エトキシベンジル、2−メトキシフェネチル、3−メトキシフェネチル、4−メトキシフェネチル、メチル、エチル、プロピル、1−プロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ラウリル、フェニル、1−ナフチル、メトキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、3−メトキシプロピル、2−ブトキシエチル、2−シクロへキシルオキシエチル、3−エトキシプロピル、3−プロポキシプロピル、3−イソプロポキシプロピルアミンなどが挙げられる。
【0125】
前記バインダーは、特に、(a)無水マレイン酸と、(b)芳香族ビニル単量体と、(c)ビニル単量体であって、該ビニル単量体のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃未満であるビニル単量体と、からなる共重合体の無水物基に対して1級アミン化合物を反応させて得られる共重合体であるのが好ましい。該(a)成分と、該(b)成分と、からなる共重合体では、後述する感光層の高い表面硬度を得ることはできるものの、ラミネート性の確保が困難になることがある。また、該(a)成分と、該(c)成分と、からなる共重合体では、ラミネート性は確保することができるものの、前記表面硬度の確保が困難になることがある。
【0126】
<<(b)芳香族ビニル単量体>>
前記芳香族ビニル単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明の感光性組成物(重合性組成物)を用いて形成される感光層の表面硬度を高くすることができる点で、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃以上である化合物が好ましく、100℃以上である化合物がより好ましい。
前記芳香族ビニル単量体の具体例としては、例えば、スチレン(ホモポリマーのTg=100℃)、α−メチルスチレン(ホモポリマーのTg=168℃)、2−メチルスチレン(ホモポリマーのTg=136℃)、3−メチルスチレン(ホモポリマーのTg=97℃)、4−メチルスチレン(ホモポリマーのTg=93℃)、2,4−ジメチルスチレン(ホモポリマーのTg=112℃)などのスチレン誘導体が好適に挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0127】
<<(c)ビニル単量体>>
前記ビニル単量体は、該ビニル単量体のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃未満であることが必要であり、40℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましい。
前記ビニル単量体としては、例えば、n−プロピルアクリレート(ホモポリマーのTg=−37℃)、n−ブチルアクリレート(ホモポリマーのTg=−54℃)、ペンチルアクリレート、あるいはヘキシルアクリレート(ホモポリマーのTg=−57℃)、n−ブチルメタクリレート(ホモポリマーのTg=−24℃)、n−ヘキシルメタクリレート(ホモポリマーのTg=−5℃)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0128】
<<1級アミン化合物>>
前記1級アミン化合物としては、例えば、ベンジルアミン、フェネチルアミン、3−フェニル−1−プロピルアミン、4−フェニル−1−ブチルアミン、5−フェニル−1−ペンチルアミン、6−フェニル−1−ヘキシルアミン、α−メチルベンジルアミン、2−メチルベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、2−(p−トリル)エチルアミン、β−メチルフェネチルアミン、1−メチル−3−フェニルプロピルアミン、2−クロロベンジルアミン、3−クロロベンジルアミン、4−クロロベンジルアミン、2−フロロベンジルアミン、3−フロロベンジルアミン、4−フロロベンジルアミン、4−ブロモフェネチルアミン、2−(2−クロロフェニル)エチルアミン、2−(3−クロロフェニル)エチルアミン、2−(4−クロロフェニル)エチルアミン、2−(2−フロロフェニル)エチルアミン、2−(3−フロロフェニル)エチルアミン、2−(4−フロロフェニル)エチルアミン、4−フロロ−α,α−ジメチルフェネチルアミン、2−メトキシベンジルアミン、3−メトキシベンジルアミン、4−メトキシベンジルアミン、2−エトキシベンジルアミン、2−メトキシフェネチルアミン、3−メトキシフェネチルアミン、4−メトキシフェネチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、1−プロピルアミン、ブチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、アニリン、オクチルアニリン、アニシジン、4−クロルアニリン、1−ナフチルアミン、メトキシメチルアミン、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、2−ブトキシエチルアミン、2−シクロヘキシルオキシエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミンなどが挙げられる。これらの中でも、ベンジルアミン、フェネチルアミンが特に好ましい。
前記1級アミン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0129】
前記1級アミン化合物の反応量としては、前記無水物基に対して0.1〜1.2当量であることが必要であり、0.1〜1.0当量が好ましい。該反応量が1.2当量を超えると、前記1級アミン化合物を1種以上反応させた場合に、溶解性が著しく悪化することがある。
【0130】
前記(a)無水マレイン酸の前記バインダーにおける含有量は、15〜50mol%が好ましく、20〜45mol%がより好ましく、20〜40mol%が特に好ましい。該含有量が15mol%未満であると、アルカリ現像性の付与ができず、50mol%を超えると、耐アルカリ性が劣化し、また、前記共重合体の合成が困難になり、正常な永久パターンの形成を行うことができないことがある。また、この場合における、前記(b)芳香族ビニル単量体、及び(c)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃未満であるビニル単量体の前記バインダーにおける含有量は、それぞれ20〜60mol%、15〜40mol%が好ましい。該含有量が該数値範囲を満たす場合には、表面硬度及びラミネート性の両立を図ることができる。
【0131】
前記マレアミド酸系共重合体の分子量は、3,000〜500,000が好ましく、8,000〜150,000がより好ましい。該分子量が3,000未満であると、後述する感光層の硬化後において、膜質が脆くなり、表面硬度が劣化することがあり、500,000を超えると、前記重合性組成物の加熱積層時の流動性が低くなり、適切なラミネート性の確保が困難になることがあり、また、現像性が悪化することがある。
【0132】
また、特開平5−70528号公報記載のフルオレン骨格を有するエポキシアクリレートに酸無水物を付加させて得られる化合物、特開平11−288087号公報記載のポリアミド(イミド)樹脂、特開平2−097502号公報や特開2003−20310号公報記載のアミド基を含有するスチレン又はスチレン誘導体と酸無水物共重合体、特開平11−282155号公報記載のポリイミド前駆体などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0133】
前記フルオレン骨格を有するエポキシアクリレートに酸無水物を付加させて得られる化合物、ポリアミド(イミド)、アミド基含有スチレン/酸無水物共重合体、あるいは、ポリイミド前駆体などのバインダーの分子量は、3,000〜500,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましい。該分子量が3,000未満であると、感光層表面のタック性が強くなることがあり、後述する感光層の硬化後において、膜質が脆くなる、あるいは、表面硬度が劣化することがあり、500,000を超えると、現像性が劣化することがある。
【0134】
前記バインダーの前記重合性組成物固形分中の固形分含有量は、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。該固形分含有量が、5質量%未満であると、後述する感光層の膜強度が弱くなりやすく、該感光層の表面のタック性が悪化することがあり、70質量%を超えると、露光感度が低下することがある。
【0135】
−熱硬化促進剤−
前記熱硬化促進剤は、前記エポキシ樹脂化合物や前記多官能オキセタン化合物の熱硬化を促進する機能があり、前記感光性樹脂に好適に添加される。
前記熱硬化促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミンなどのアミン化合物;トリエチルベンジルアンモニウムクロリドなどの4級アンモニウム塩化合物;ジメチルアミンなどのブロックイソシアネート化合物;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩;トリフェニルホスフィンなどのリン化合物;メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどのグアナミン化合物;2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物などのS−トリアジン誘導体、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、有機ヒドラジド累、無水フタル酸、無水トリメリット酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などの芳香族酸無水物、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの脂肪族酸無水物類、ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラックなどのポリフェノール類などを用いることができる。これらの中でも、ジシアンジアミド、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物などが好ましい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、前記エポキシ樹脂化合物や前記多官能オキセタン化合物の硬化触媒、あるいは、これらとカルボキシル基の反応を促進することができるものであれば、特に制限はなく、上記以外の熱硬化を促進可能な化合物を用いてもよい。
前記熱硬化促進剤の前記重合性組成物溶液の固形分中の固形分含有量は、特に制限はないが、0.1〜3質量%であることが好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。該固形分含有量が0.1質量%未満であると、熱による硬化の促進ができないことがあり、3質量%を超えると、塗布液の粘度が増加して好適な塗布がなされず、感光層の安定した面状が得られないことがある。
【0136】
−充填剤−
前記充填剤は、永久パターンの表面硬度を向上でき、線膨張係数を低く抑えることができ、硬化層自体の誘電率や誘電正接を低く抑えることができる機能がある。
前記充填剤としては、特に制限はないが、上記の機能をより効果的に発揮できる観点から、無機充填剤が好ましい。
前記無機充填剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、シリカ化合物、アルミニウム化合物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、クレーなどが挙げられる。
前記シリカ化合物としては、例えば、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、気相法シリカ、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカなどが挙げられる。
前記アルミニウム化合物としては、例えば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
【0137】
前記充填剤の平均粒径は、3μm未満が好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。該平均粒径が3μm以上であると、光錯乱により解像度が劣化することがある。
前記充填剤の添加量は、5〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましく、20〜35質量%が特に好ましい。該添加量が5質量%未満であると、十分に線膨張係数を低下させることができないことがあり、50質量%を超えると、感光層表面に硬化膜を形成した場合に、該硬化膜の膜質が脆くなり、永久パターンを用いて配線を形成する場合において、配線の保護膜としての機能が損なわれることがある。
【0138】
更に必要に応じて有機微粒子を添加することも可能である。好適な有機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂などが挙げられる。また、平均粒径0.1〜2μm、吸油量100〜200ml/g程度のシリカ、架橋樹脂からなる球状多孔質微粒子などを用いることができる。
【0139】
前記充填剤に、平均粒径が0.1〜2μmの粒子を含有していることから、永久パターンをプリント配線基板の薄型化にともなって、厚み5〜20μmに薄層化したとしても、無機充填剤粒子が永久パターンの表裏両面を架橋することはなく、その結果、高加速度試験(HAST)においてもイオンマイグレーションの発生がなく、耐熱性、耐湿性に優れた永久パターンとすることができる。
【0140】
−重合性化合物−
前記重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、分子中に少なくとも1個の付加重合可能な基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物が好ましく、例えば、(メタ)アクリル基を有するモノマーから選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。
【0141】
前記(メタ)アクリル基を有するモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンやグリセリン、ビスフェノールなどの多官能アルコールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加反応した後で(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公報などの各公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報などの各公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類などの多官能アクリレートやメタクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0142】
前記重合性化合物の前記重合性組成物固形分中の固形分含有量は、5〜75質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。該固形分含有量が5質量%未満であると、現像性の悪化、露光感度の低下などの問題を生ずることがあり、75質量%を超えると、感光層の粘着性が強くなりすぎることがあり、好ましくない。
【0143】
−熱架橋剤−
前記熱架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂及び多官能オキセタン化合物などが好適に挙げられる。
前記エポキシ樹脂及び多官能オキセタン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の感光性組成物(重合性組成物)を用いて形成される感光層の硬化後の膜強度を改良するために、現像性などに悪影響を与えない範囲で、1分子内に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ樹脂化合物、1分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を有するオキセタン化合物、下記構造式I〜IIIで表される化合物などを用いることができる。
【0144】
【化31】

【0145】
【化32】

【0146】
【化33】

【0147】
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビキシレノール型若しくはビフェノール型エポキシ樹脂(「YX4000;ジャパンエポキシレジン社製」など)又はこれらの混合物、イソシアヌレート骨格などを有する複素環式エポキシ樹脂(「TEPIC;日産化学工業社製」、「アラルダイトPT810;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製」など)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、グリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂(「ESN−190,ESN−360;新日鉄化学社製」、「HP−4032,EXA−4750,EXA−4700;大日本インキ化学工業社製」など)、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂(「HP−7200,HP−7200H;大日本インキ化学工業社製」など)、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂(「CP−50S,CP−50M;日本油脂社製」など)、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0148】
前記多官能オキセタン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート又はこれらのオリゴマーあるいは共重合体などの多官能オキセタン類の他、オキセタン基と、ノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、シルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂など、とのエーテル化合物が挙げられ、この他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0149】
前記エポキシ樹脂又は多官能オキセタン化合物の前記重合性組成物溶液の固形分中の固形分含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2〜50質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。該固形分含有量が2質量%未満であると、硬化膜の吸湿性が高くなり、絶縁性の劣化を生ずる、あるいは、半田耐熱性や耐無電解メッキ性などが低下することがあり、50質量%を超えると、現像性の悪化や露光感度の低下が生ずることがあり、好ましくない。
【0150】
−−その他の熱架橋剤−−
前記その他の熱架橋剤は、前記エポキシ樹脂や多官能オキセタン化合物とは別に添加することができる。前記熱架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開平5−9407号公報記載のポリイソシアネート化合物を用いることができ、該ポリイソシアネート化合物としては、少なくとも2つのイソシアネート基を含む脂肪族、環式脂肪族又は芳香族基置換脂肪族化合物から誘導されていてもよい。
具体的には、1,3−フェニレンジイソシアネートと1,4−フェニレンジイソシアネートとの混合物、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−及び1,4−キシリレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネート−フェニル)メタン、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの2官能イソシアネート;該2官能イソシアネートと、トリメチロールプロパン、ペンタリスルトール、グリセリンなどとの多官能アルコール;該多官能アルコールのアルキレンオキサイド付加体と、前記2官能イソシアネートとの付加体;ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート及びその誘導体などの環式三量体などが挙げられる。
【0151】
更に、前記重合性組成物の保存性を向上させることを目的として、前記ポリイソシアネート及びその誘導体のイソシアネート基にブロック剤を反応させて得られる化合物を用いてもよい。
前記イソシアネート基ブロック剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソプロパノール、tert−ブタノールなどのアルコール類;ε−カプロラクタムなどのラクタム類;フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、p−sec−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノールなどのフェノール類;3−ヒドロキシピリジン、8−ヒドロキシキノリンなどの複素環式ヒドロキシル化合物;ジアルキルマロネート、メチルエチルケトキシム、アセチルアセトン、アルキルアセトアセテートオキシム、アセトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどの活性メチレン化合物;などが挙げられる。これらの他に、特開平6−295060号公報記載の分子内に少なくとも1つの重合可能な二重結合及び少なくとも1つのブロックイソシアネート基のいずれかを有する化合物などを用いることができる。
【0152】
また、アルデヒド縮合生成物、樹脂前駆体などを用いることができる。具体的には、N,N’−ジメチロール尿素、N,N’−ジメチロールマロンアミド、N,N’−ジメチロールスクシンイミド、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、1,3−N,N’−ジメチロールテレフタルアミド、2,4,6−トリメチロールフェノール、2,6−ジメチロール−4−メチロアニソール、1,3−ジメチロール−4,6−ジイソプロピルベンゼンなどが挙げられる。なお、これらのメチロール化合物の代わりに、対応するエチル若しくはブチルエーテル、又は酢酸あるいはプロピオン酸のエステルを使用してもよい。また、メラミンと尿素とのホルムアルデヒド縮合生成物とからなるヘキサメチル化メチロールメラミンや、メラミンとホルムアルデヒド縮合生成物のブチルエーテルなどを使用してもよい。
【0153】
−光重合開始剤−
前記光重合開始剤は、重合性組成物に感光性を付与し、感光性組成物とすることができ、ソルダーレジスト等に好適に用いることができるようになるので、含有することが好ましい。
前記光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができ、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、前記光重合開始剤は、約300〜800nm(330〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。
【0154】
前記光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するものなど)、ホスフィンオキサイド、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテルなどが挙げられる。
【0155】
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物、などが挙げられる。
【0156】
前記若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物としては、例えば、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0157】
前記英国特許1388492号明細書記載の化合物としては、例えば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記特開昭53−133428号公報記載の化合物としては、例えば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0158】
前記独国特許3337024号明細書記載の化合物としては、例えば、2−(4−スチリルフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−メトキシスチリル)フェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(1−ナフチルビニレンフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−クロロスチリルフェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−チオフェン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−チオフェン−3−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−フラン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(4−ベンゾフラン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0159】
前記F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物としては、例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリ(ブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロロメチル−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0160】
前記特開昭62−58241号公報記載の化合物としては、例えば、2−(4−フェニルエチニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ナフチル−1−エチニルフェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−トリルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−メトキシフェニル)エチニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−イソプロピルフェニルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−エチルフェニルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0161】
前記特開平5−281728号公報記載の化合物としては、例えば、2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0162】
前記特開平5−34920号公報記載化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−1,3,5−トリアジン、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−s−トリアジン化合物、更に2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
【0163】
前記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物(例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリプロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾールなど)などが挙げられる。
【0164】
本発明で好適に用いられるオキシム誘導体としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0165】
また、上記以外の光重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニル)ヘプタンなど)、N−フェニルグリシンなど、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンなど)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5−19475号公報、特開平7−271028号公報、特開2002−363206号公報、特開2002−363207号公報、特開2002−363208号公報、特開2002−363209号公報などに記載のクマリン化合物など)、アミン類(例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸フェネチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−フタルイミドエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−メタクリロイルオキシエチル、ペンタメチレンビス(4−ジメチルアミノベンゾエート)、3−ジメチルアミノ安息香酸のフェネチル、ペンタメチレンエステル、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、2−クロル−4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジメチルアミノベンジルアルコール、エチル(4−ジメチルアミノベンゾイル)アセテート、4−ピペリジノアセトフェノン、4−ジメチルアミノベンゾイン、N,N−ジメチル−4−トルイジン、N,N−ジエチル−3−フェネチジン、トリベンジルアミン、ジベンジルフェニルアミン、N−メチル−N−フェニルベンジルアミン、4−ブロム−N,N−ジメチルアニリン、トリドデシルアミン、アミノフルオラン類(ODB,ODBIIなど)、クリスタルバイオレットラクトン、ロイコクリスタルバイオレットなど)、アシルホスフィンオキサイド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPOなど)、メタロセン類(例えば、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η−シクロペンタジエニル−η−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)など)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
【0166】
前記ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾルフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシー2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
【0167】
また、後述する感光層への露光における露光感度や感光波長を調整する目的で、前記光重合開始剤に加えて、増感剤を添加することが可能である。
前記増感剤は、後述する光照射手段としての可視光線や紫外光レーザ、可視光レーザなどにより適宜選択することができる。
前記増感剤は、活性エネルギー線により励起状態となり、他の物質(例えば、ラジカル発生剤、酸発生剤など)と相互作用(例えば、エネルギー移動、電子移動など)することにより、ラジカルや酸などの有用基を発生することが可能である。
【0168】
前記増感剤としては、特に制限はなく、公知の増感剤の中から適宜選択することができ、例えば、公知の多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、インドカルボシアニン、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリドン類(例えば、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなど)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリンなどがあげられ、他に特開平5−19475号公報、特開平7−271028号公報、特開2002−363206号公報、特開2002−363207号公報、特開2002−363208号公報、特開2002−363209号公報などの各公報に記載のクマリン化合物など)が挙げられる。
【0169】
前記光重合開始剤と前記増感剤との組合せとしては、例えば、特開2001−305734号公報に記載の電子移動型開始系[(1)電子供与型開始剤及び増感色素、(2)電子受容型開始剤及び増感色素、(3)電子供与型開始剤、増感色素及び電子受容型開始剤(三元開始系)]などの組合せが挙げられる。
【0170】
前記増感剤の含有量は、前記重合性組成物中の全成分に対し、0.05〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.2〜10質量%が特に好ましい。該含有量が、0.05質量%未満であると、活性エネルギー線への感度が低下し、露光プロセスに時間がかかり、生産性が低下することがあり、30質量%を超えると、保存時に前記感光層から前記増感剤が析出することがある。
【0171】
前記光重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤の特に好ましい例としては、後述する露光において、波長が405nmのレーザ光に対応可能である、前記ホスフィンオキサイド類、前記α−アミノアルキルケトン類、前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物と後述する増感剤としてのアミン化合物とを組合せた複合光開始剤、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、あるいは、チタノセンなどが挙げられる。
【0172】
前記光重合開始剤の前記重合性組成物における含有量は、0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。
【0173】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶剤、密着促進剤、熱重合禁止剤、着色剤及びその他の添加剤などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする感光性組成物あるいは感光性フィルムの安定性、写真性、膜物性などの性質を調整することができる。
【0174】
−−溶剤−−
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、及びメトキシプロピルアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノールなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
【0175】
−−密着促進剤−−
前記密着促進剤は、各層間の密着性、又は感光層と基材との密着性、電食性を向上させる機能がある。
前記密着促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアテミン、メラミン−フェノールホルマリン樹脂、エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジンなどのトリアジン化合物が挙げられる。市販されているトリアジン化合物としては、下記構造式(B1)〜(D1)に示す四国化成工業社製;2MZ−AZINE(構造式(B1)),2E4MZ−AZINE(構造式(C1)),CllZ−AZINE(構造式(D1))などが挙げられる。
【0176】
【化34】

【0177】
【化35】

【0178】
【化36】

【0179】
これらの化合物は、銅回路との密着性を高め、耐PCT性を向上させ、電食性にも効果がある。これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。密着促進剤の配合量は、重合性組成物固形分に対して0.1〜40質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましい。
【0180】
−−熱重合禁止剤−−
前記熱重合禁止剤は、前記重合性化合物の熱的な重合又は経時的な重合を防止し、保存安定性を向上させるために添加することが好ましい。
前記熱重合禁止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、アルキル又はアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、及びフェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレートなどが挙げられる。
【0181】
前記熱重合禁止剤の含有量は、前記重合性化合物に対して0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜2質量%がより好ましく、0.01〜1質量%が特に好ましい。該含有量が、0.001質量%未満であると、保存時の安定性が低下することがあり、5質量%を超えると、活性エネルギー線に対する感度が低下することがある。
【0182】
−−着色剤−−
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の染料の中から、適宜選択した着色顔料などの染料を使用することができる。
【0183】
前記着色顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタロシアニングリーン、ビクトリア・ピュアーブルーBO(C.I.42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・エローGT(C.I.ピグメント・エロー12)、パーマネント・エローGR(C.I.ピグメント・エロー17)、パーマネント・エローHR(C.I.ピグメント・エロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)、カーボン、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー15:6、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0184】
前記着色顔料の前記重合性組成物溶液の固形分中の固形分含有量は、永久パターン形成の際の感光層の露光感度、解像性などを考慮して決めることができ、前記着色顔料の種類により異なるが、一般的には0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましい。
【0185】
−−その他の添加剤−−
前記その他の添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベントン、モンモリロナイト、エアロゾル、アミドワックスなどのチキソ性付与剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤、レベリング剤のような添加剤類を用いることができる。
本発明の重合性組成物の製造方法は、得られる重合性組成物の粘度が好適な状態で保たれて経時安定性に優れるため、後述する本発明の感光性フィルムの製造方法に好適に用いることができる。
【0186】
(感光性フィルムの製造方法)
本発明の感光性フィルムの製造方法は、前記本発明の重合性組成物の製造方法により製造された重合性組成物からなる感光層を塗布し、感光層を形成する感光層形成工程を少なくとも含み、必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
【0187】
<感光層形成工程>
前記感光層形成工程は、前記重合性組成物溶液を、塗布装置を用いて、支持体上に塗布することにより行われる。前記塗布の時間は、特に制限はないが、重合性組成物完成から72時間以内に開始することが好ましく、24時間以内に開始することがより好ましい。前記混合から72時間を経過すると、前記重合性組成物の粘度が変化し、安定した塗布面が得られないことがある。そのため、前記重合性組成物完成から塗布までの時間は短い程、前記重合性組成物の粘度変化は小さく、塗布面も良好である。この感光層形成工程により、前記重合性組成物からなる感光層が支持体上に形成される。
【0188】
前記重合性組成物の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布作業を連続して行ってもよく、不連続で行ってもよい。前記不連続の塗布作業としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30分間の塗布継続の後30分間中断し、60分間の塗布を行う断続的なものでもよく、前記継続中断の繰り返しなどでもよく、一定の厚みの感光層を形成した後、乾燥のための中断を設け、更に上塗りするなどの塗布方法でもよい。
具体的な塗布方法としては、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、スリットコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ナイフコート法などの各種の塗布方法が挙げられる。
【0189】
前記塗布装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布液の混合から塗布を自動的に行うディスペンサーシステム、スタチックミキサーやマイクロミキサー、インライン混合装置、送液装置などと組み合わせた塗布装置などが挙げられる。
【0190】
−支持体−
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記感光層を剥離可能であり、かつ光の透過性が良好であるのが好ましく、更に表面の平滑性が良好であるのがより好ましい。
【0191】
前記支持体は、合成樹脂製で、かつ透明であるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルムなどの各種のプラスチックフィルムが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、前記支持体としては、例えば、特開平4−208940号公報、特開平5−80503号公報、特開平5−173320号公報、特開平5−72724号公報などに記載の支持体を用いることもできる。
【0192】
前記支持体の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4〜300μmが好ましく、5〜175μmがより好ましい。
前記支持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、長尺状が好ましい。前記長尺状の支持体の長さは、特に制限はなく、例えば、10m〜20,000mの長さのものが挙げられる。
【0193】
−感光層−
前記感光層の前記感光性フィルムにおいて設けられる箇所としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記支持体上の全面であってもよく、一部のみであってもよい。
【0194】
前記感光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3〜100μmが好ましく、5〜70μmがより好ましい。
【0195】
前記感光層は、後述する露光工程において、光照射手段からの光を受光し出射する描素部をn個有する光変調手段により、前記光照射手段からの光を変調させた後、前記描素部における出射面の歪みによる収差を補正可能な非球面を有するマイクロレンズを配列したマイクロレンズアレイを通した光で、露光されるのが好ましい。
【0196】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥工程、保護フィルム形成工程、その他の層形成工程などが挙げられる。
【0197】
−乾燥工程−
前記乾燥工程としては、各成分、溶媒の種類、使用割合などによっても異なるが、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、60〜110℃の温度で30秒間〜15分間乾燥装置により乾燥させる工程などが挙げられる。
【0198】
−保護フィルム形成工程−
前記保護フィルム形成工程は、前記感光層の汚れや損傷を防止し、保護する機能を有する保護フィルムを形成する工程である。
前記保護フィルムの前記感光性フィルムにおいて設けられる箇所としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、前記感光層上に設けられる。
前記保護フィルムとしては、例えば、前記支持体に使用されるもの、シリコーン紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙、ポリオレフィン又はポリテトラフルオルエチレンシート、などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
前記保護フィルムの厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜100μmが好ましく、8〜30μmがより好ましい。
【0199】
前記保護フィルムを用いる場合、前記感光層及び前記支持体の接着力Aと、前記感光層及び保護フィルムの接着力Bとが、接着力A>接着力Bの関係であることが好ましい。
前記支持体と保護フィルムとの組合せ(支持体/保護フィルム)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロフアン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、支持体及び保護フィルムの少なくともいずれかを表面処理することにより、上述のような接着力の関係を満たすことができる。前記支持体の表面処理は、前記感光層との接着力を高めるために施されてもよく、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理などを挙げることができる。
【0200】
また、前記支持体と前記保護フィルムとの静摩擦係数としては、0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。
前記静摩擦係数が、0.3未満であると、滑り過ぎるため、ロール状にした場合に巻ズレが発生することがあり、1.4を超えると、良好なロール状に巻くことが困難となることがある。
【0201】
前記感光性フィルムは、例えば、円筒状の巻芯に巻き取って、長尺状でロール状に巻かれて保管されるのが好ましい。前記長尺状の感光性フィルムの長さは、特に制限はなく、例えば、10〜20,000mの範囲から適宜選択することができる。また、ユーザーが使いやすいようにスリット加工し、100〜1,000mの範囲の長尺体をロール状にしてもよい。なお、この場合には、前記支持体が一番外側になるように巻き取られるのが好ましい。また、前記ロール状の感光性フィルムをシート状にスリットしてもよい。保管の際、端面の保護、エッジフュージョンを防止する観点から、端面にはセパレーター(特に防湿性のもの、乾燥剤入りのもの)を設置するのが好ましく、また梱包も透湿性の低い素材を用いるのが好ましい。
【0202】
前記保護フィルムは、前記保護フィルムと前記感光層との接着性を調整するために表面処理してもよい。前記表面処理は、例えば、前記保護フィルムの表面に、ポリオルガノシロキサン、弗素化ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリビニルアルコールなどのポリマーからなる下塗層を形成させる。該下塗層の形成は、前記ポリマーの塗布液を前記保護フィルムの表面に塗布した後、30〜150℃(特に50〜120℃)で1〜30分間乾燥させることにより形成させることができる。
【0203】
−−その他の層形成工程−−
前記その他の層形成工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クッション層、酸素遮断層(PC層)、剥離層、接着層、光吸収層、表面保護層などの層を形成する工程などが挙げられる。
前記クッション層は、常温ではタック性が無く、真空及び加熱条件で積層した場合に溶融し、流動する層である。前記PC層は、通常ポリビニルアルコールを主成分として形成された1.5μm程度の被膜である。
本発明の感光性フィルムは、保存安定性に優れ、現像後に優れた耐薬品性、表面硬度、耐熱性などを発揮する感光性組成物が積層された感光層を有してなる。このため、プリント配線板、カラーフィルタや柱材、リブ材、スペーサー、隔壁などのディスプレイ用部材、ホログラム、マイクロマシン、プルーフなどの永久パターン形成用として広く用いることができ、本発明の永久パターン及びその形成方法に好適に用いることができる。
特に、本発明の感光性フィルムは、該フィルムの厚みが均一であるため、永久パターンの形成に際し、永久パターン(保護膜、層間絶縁膜、ソルダーレジストなど)を薄層化しても、耐熱性、耐湿性に優れた高精細な永久パターンが得られるため、基材への積層がより精細に行われる。
【0204】
<永久パターン及び永久パターン形成方法>
本発明の永久パターンは、本発明の永久パターン形成方法により得られる。
本発明の永久パターン形成方法は、第1の態様として、本発明の重合性組成物を、基材の表面に塗布し、乾燥して感光層を形成した後、露光し、現像する。
また、本発明の永久パターン形成方法は、第2の態様として、本発明の感光性フィルムを、加熱及び加圧の少なくともいずれかの下において基材の表面に積層した後、露光し、現像する。
以下、本発明の永久パターン形成方法の説明を通じて、本発明の永久パターンの詳細も明らかにする。
【0205】
−基材−
前記基材としては、特に制限はなく、公知の材料の中から表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を有するものまで適宜選択することができ、板状の基材(基板)が好ましく、具体的には、公知のプリント配線板形成用基板(例えば、銅張積層板)、ガラス板(例えば、ソーダガラス板など)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられ、これらの中でも、プリント配線板形成用基板が好ましく、多層配線基板やビルドアップ配線基板などへの半導体などの高密度実装化が可能となる点で、該プリント配線板形成用基板が配線形成済みであるのが特に好ましい。
【0206】
前記基材は、前記第1の態様として、該基材上に本発明の感光性組成物(重合性組成物)による感光層が形成されてなる積層体、又は前記第2の態様として、前記感光性フィルムにおける感光層が重なるようにして積層されてなる積層体を形成して用いることができる。即ち、前記積層体における前記感光層に対して後述する露光することにより、露光した領域を硬化させ、後述する現像により永久パターンを形成することができる。
【0207】
−積層体−
前記第1の態様の積層体の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記基材上に、本発明の感光性組成物(重合性組成物)を塗布及び乾燥して形成した感光層を積層するのが好ましい。
前記塗布及び乾燥の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記感光性フィルムにおける感光層を形成する際に行われる、前記感光性組成物溶液の塗布及び乾燥と同様な方法で行うことができ、例えば、該感光性組成物溶液をスピンコーター、スリットスピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどを用いて塗布する方法が挙げられる。
【0208】
前記第2の態様の積層体の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記基材上に前記感光性フィルムを加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら積層するのが好ましい。なお、前記感光性フィルムが前記保護フィルムを有する場合には、該保護フィルムを剥離し、前記基材に前記感光層が重なるようにして積層するのが好ましい。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、70〜130℃が好ましく、80〜110℃がより好ましい。
前記加圧の圧力は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.01〜1.0MPaが好ましく、0.05〜1.0MPaがより好ましい。
【0209】
前記加熱及び加圧の少なくともいずれかを行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒートプレス、ヒートロールラミネーター(例えば、大成ラミネータ社製、VP−II)、真空ラミネーター(例えば、名機製作所製、MVLP500)などが好適に挙げられる。
【0210】
<露光工程>
前記露光工程は、前記感光層に対し、露光を行う工程である。
【0211】
前記露光の対象としては、感光層を有する材料である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材上に本発明の感光性組成物(重合性組成物)又は前記感光性フィルムが形成されてなる前記積層体に対して行われることが好ましい。
【0212】
前記露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、デジタル露光、アナログ露光などが挙げられ、これらの中でもデジタル露光が好ましい。
【0213】
前記デジタル露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、形成するパターン形成情報に基づいて制御信号を生成し、該制御信号に応じて変調させた光を用いて行うのが好ましい。
【0214】
前記デジタル露光の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光を照射する光照射手段、形成するパターン情報に基づいて該光照射手段から照射される光を変調させる光変調手段などが挙げられる。
【0215】
<光変調手段>
前記光変調手段としては、光を変調することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、n個の描素部を有するのが好ましい。
前記n個の描素部を有する光変調手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空間光変調素子が好ましい。
【0216】
前記空間光変調素子としては、例えば、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの空間光変調素子(SLM;Special Light Modulator)、電気光学効果により透過光を変調する光学素子(PLZT素子)、液晶光シャッタ(FLC)などが挙げられ、これらの中でもDMDが好適に挙げられる。
【0217】
前記光変調手段の一例については、たとえば特開2005−258431号公報の明細書[0016]から[0047]に記載されている手段などが挙げられる。
【0218】
<光照射手段>
前記光照射手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(超)高圧水銀灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、ハロゲンランプ、複写機用などの蛍光管、LED、半導体レーザなどの公知光源、又は2以上の光を合成して照射可能な手段が挙げられ、これらの中でも2以上の光を合成して照射可能な手段が好ましい。
前記光照射手段から照射される光としては、例えば、支持体を介して光照射を行う場合には、該支持体を透過し、かつ用いられる光重合開始剤や増感剤を活性化する電磁波、紫外から可視光線、電子線、X線、レーザ光などが挙げられ、これらの中でもレーザ光が好ましく、2以上の光を合成したレーザ光(以下、「合波レーザ光」と称することがある)がより好ましい。また支持体を剥離してから光照射を行う場合でも、同様の光を用いることができる。
【0219】
前記紫外から可視光線の波長は、例えば、300〜1,500nmが好ましく、320〜800nmがより好ましく、330〜650nmが特に好ましい。
前記レーザ光の波長は、例えば、200〜1,500nmが好ましく、300〜800nmがより好ましく、330〜500nmが更に好ましく、395〜415nmが特に好ましい。
【0220】
前記合波レーザ光を照射可能な手段としては、例えば、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザからそれぞれ照射したレーザ光を集光して前記マルチモード光ファイバに結合させる集合光学系とを有する手段が好ましい。
【0221】
以下、前記合波レーザ光を照射可能な手段(ファイバアレイ光源)については、例えば特開2005−258431号公報の明細書[0110]から[0157]に記載されている手段などが挙げられる。
【0222】
<マイクロレンズアレイ>
また、前記露光は、前記変調させた光を、マイクロレンズアレイを通して行うのが好ましく、更にアパーチャアレイ、結像光学系などを通して行ってもよい。
【0223】
前記マイクロレンズアレイとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記描素部における出射面の歪みによる収差を補正可能な非球面を有するマイクロレンズを配列したものが好適に挙げられる。
【0224】
前記非球面としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トーリック面が好ましい。
【0225】
以下、前記マイクロレンズアレイ、前記アパーチャアレイ、及び前記結像光学系などについては、例えば特開2005−258431号公報の明細書[0050]から[0073]、及び[0083]から[0088]に記載されている手段などが挙げられる。
【0226】
<その他の光学系>
本発明の永久パターン形成方法では、公知の光学系の中から適宜選択したその他の光学系と併用してもよく、例えば、1対の組合せレンズからなる光量分布補正光学系などが挙げられる。
前記光量分布補正光学系は、光軸に近い中心部の光束幅に対する周辺部の光束幅の比が入射側に比べて出射側の方が小さくなるように各出射位置における光束幅を変化させて、光照射手段からの平行光束をDMDに照射するときに、被照射面での光量分布が略均一になるように補正する。以下、前記光量分布補正光学系については、例えば特開2005−258431号公報の明細書[0090]から[0105]に記載されている手段などが挙げられる。
【0227】
−現像工程―
前記現像工程は、前記露光工程により前記感光層を露光し、該感光層の露光した領域を硬化させた後、未硬化領域を除去することにより現像し、永久パターンを形成する工程である。
【0228】
前記未硬化領域の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、現像液を用いて除去する方法などが挙げられる。
【0229】
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物若しくは炭酸塩、炭酸水素塩、アンモニア水、4級アンモニウム塩の水溶液などが好適に挙げられる。これらの中でも、炭酸ナトリウム水溶液が特に好ましい。
【0230】
前記現像液は、界面活性剤、消泡剤、有機塩基(例えば、ベンジルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、モルホリン、トリエタノールアミンなど)や、現像を促進させるため有機溶剤(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、ラクトン類など)などと併用してもよい。また、前記現像液は、水又はアルカリ水溶液と有機溶剤を混合した水系現像液であってもよく、有機溶剤単独であってもよい。
【0231】
−硬化処理工程―
本発明の永久パターン形成方法は、更に、硬化処理工程を含むことが好ましい。
前記硬化処理工程は、前記現像工程が行われた後、形成された永久パターンにおける感光層に対して硬化処理を行う工程である。
【0232】
前記硬化処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
【0233】
前記全面露光処理の方法としては、例えば、前記現像工程の後に、前記永久パターンが形成された前記積層体上の全面を露光する方法が挙げられる。該全面露光により、前記感光層を形成する感光性組成物中の樹脂の硬化が促進され、前記永久パターンの表面が硬化される。
前記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
【0234】
前記全面加熱処理の方法としては、前記現像工程の後に、前記永久パターンが形成された前記積層体上の全面を加熱する方法が挙げられる。該全面加熱により、前記永久パターンの表面の膜強度が高められる。
前記全面加熱における加熱温度は、120〜250℃が好ましく、120〜200℃がより好ましい。該加熱温度が120℃未満であると、加熱処理による膜強度の向上が得られないことがあり、250℃を超えると、重合性組成物中の樹脂の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることがある。
前記全面加熱における加熱時間は、10〜120分が好ましく、15〜60分がより好ましい。
前記全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
【0235】
なお、前記基材が多層配線基板などのプリント配線板である場合には、該プリント配線板上に本発明の永久パターンを形成し、更に、以下のように半田付けを行うことができる。
即ち、前記現像工程により、前記永久パターンである硬化層が形成され、前記プリント配線板の表面に金属層が露出される。該プリント配線板の表面に露出した金属層の部位に対して金メッキを行った後、半田付けを行う。そして、半田付けを行った部位に、半導体や部品などを実装する。このとき、前記硬化層による永久パターンが、保護膜あるいは絶縁膜(層間絶縁膜)としての機能を発揮し、外部からの衝撃や隣同士の電極の導通が防止される。
【0236】
本発明の永久パターン形成方法においては、保護膜及び層間絶縁膜の少なくともいずれかを形成するのが好ましい。前記永久パターン形成方法により形成される永久パターンが、前記保護膜又は前記層間絶縁膜であると、配線を外部からの衝撃や曲げから保護することができ、特に、前記層間絶縁膜である場合には、例えば、多層配線基板やビルドアップ配線基板などへの半導体や部品の高密度実装に有用である。
【0237】
本発明の永久パターン形成方法は、高速でパターン形成が可能であるため、各種パターンの形成に広く用いることができ、特に配線パターンの形成に好適に使用することができる。
また、本発明の永久パターン形成方法により形成される永久パターンは、優れた表面硬度、絶縁性、耐熱性、耐湿性などを有し、保護膜、層間絶縁膜、ソルダーレジストパターン、として好適に使用することができる。
【実施例】
【0238】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0239】
(合成例1)
1,000mL三口フラスコに1-メトキシ−2−プロパノール159gを入れ、窒素
気流下、85℃まで加熱した。これに、ベンジルメタクリレート63.4g、メタクリル酸72.3g、V−601(和光純薬製)4.15gの1−メトキシ−2−プロパノール159g溶液を、2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に5時間加熱して反応させた。次いで、加熱を止め、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(30/70mol%比)の共重合体を得た。
次に、前記共重合体溶液の内、120.0gを300mL三口フラスコに移し、グリシジルメタクリレート16.6g、p−メトキシフェノール0.16gを加え、撹拌し溶解させた。溶解後、トリフェニルホスフィン2.4gを加え、100℃に加熱し、付加反応
を行った。グリシジルメタクリレートが消失したことを、ガスクロマトグラフィーで確認し、加熱を止めた。1−メトキシ−2−プロパノールを加え、固形分45質量%の下記構造式で表される高分子化合物1の溶液を調製した。
得られた高分子化合物の質量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定した結果、15,000であった。また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価(カルボキシル基の含有量)は、2.2meq/gであった。
更に、ヨウ素価滴定により求めた固形分あたりのエチレン性不飽和結合の含有量(C=C価)は、2.1meq/gであった。
【化37】

【0240】
(実施例1)
−感光性組成物の作製−
<硫酸バリウム分散液の調製>
硫酸バリウム(堺化学工業(株)製、B30)30質量部、
熱硬化促進剤(ジシアンジアミド)0.50質量部、
HELIOGEN BLUE D7086(BASF社製) 0.2質量部、
PALIOTOL YELLOW D1155(BASF社製) 0.05質量部、
前記(合成例1)で示される高分子化合物1(前記1−メトキシ−2−プロパノール溶液中に固形分質量45質量%)・・・57.4質量部
酢酸n-プロピル40質量部
【0241】
硫酸バリウム分散液は、上記成分を予め混合した後、モーターミルM−200(アイガー社製)で、直径1.0mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sにて3時間分散して調製した。
【0242】
<分散液の平均粒径の測定>
調製した分散液における分散粒子の平均粒径を、粒子径測定装置(LB-500:(株)堀場製作所製)により測定したところ、2.5μmであった。
【0243】
<塗布液の調製>
下記の各成分と上記分散液40質量部を混合して、塗布液を調製した。
〔感光性組成物溶液の各成分量〕
・前記(合成例1)で示される高分子化合物1(前記1−メトキシ−2−プロパノール溶液中に固形分質量45質量%)・・・84.6質量部
・重合性化合物(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)・・・12質量部
・光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュア819(アシルホスフィンオキシド化合物))・・・6質量部
・下記式S−1で表される増感剤(チオキサントン系化合物)・・・0.6質量部
・・フッ素系界面活性剤(メガファックF−780F,大日本インキ化学工業(株)製、30質量%2−ブタノン溶液)・・・0.2質量部
・メチルエチルケトン・・・15質量部
・熱架橋剤(下記構造式B)・・・11質量部
・F780F(大日本インキ化学工業(株)製)の30重量%メチルエチルケトン溶液・・・0.10質量部
・ 溶剤(メチルエチルケトン)・・・50質量部
【0244】
【化38】

<感光性組成物の粘度の測定>
作製直後、作成後24時間経過後、及び72経過後の感光性組成物の粘度を、粘度計(B型粘度計、東京計器(株)製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0245】
−感光性フィルムの作製−
得られた前記感光性組成物を図1に示す支持体1として、厚み16μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、16FB50)を用い、該支持体1上に、バーコーターにより、乾燥後の感光層2の厚みが約30μmになるように連続して、塗布し、80℃、30分間熱風循環式乾燥機中で乾燥させ、次いで、該感光層の上に、保護フィルム3として厚み20μmのポリプロピレンフィルムをラミネートで積層し、感光性フィルムを作製した。
得られた前記感光性フィルムの前記感光層の塗布面状について、下記の評価方法により、評価し、結果を表1に示す。
【0246】
<永久パターンの形成>
−積層体の調製−
次に、前記基材として、配線形成済みの銅張積層板(スルーホールなし、銅厚み12μmのプリント配線板)の表面に化学研磨処理を施して調製した。該銅張積層板上に、前記感光性フィルムの感光層が前記銅張積層板に接するようにして前記感光性フィルムにおける保護フィルムを剥がしながら、真空ラミネーター(名機製作所製、MVLP500)を用いて積層させ、前記銅張積層板と、前記感光層と、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)とがこの順に積層された積層体を調製した。
圧着条件は、圧着温度90℃、圧着圧力0.4MPa、ラミネート速度1m/分とした。
【0247】
−露光工程−
前記調製した積層体における感光層に対し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)側から、所定のパターンを有する青紫色レーザ露光によるパターン形成装置を用いて、405nmのレーザ光を、所定のパターンが得られるようにエネルギー量40mJ/cmを照射し露光し、前記感光層の一部の領域を硬化させた。
【0248】
−現像工程−
室温にて10分間静置した後、前記積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取り、銅張積層板上の感光層の全面に、アルカリ現像液として、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、30℃にて60秒間、0.18MPa(1.8kgf/cm)の圧力でスプレー現像し、未露光の領域を溶解除去した。その後、水洗し、乾燥させ、永久パターンを形成した。前記現像に要した時間(秒)を表1に示す。
【0249】
−硬化処理工程−
前記永久パターンが形成された積層体の全面に対して、150℃で1時間、加熱処理を施し、永久パターンの表面を硬化し、膜強度を高めた。
このように得られた前記永久パターンーレジストによれば、上記組成で温度が85℃で相対湿度が85%の環境中に168時間放置後の絶縁抵抗を1010Ω以上になるように処理されていることから、高温及び高湿雰囲気で使用したとしても配線導体層間が短絡したり、配線導体層が腐蝕することがなく、耐湿性に優れる。更に、得られたプリント配線基板は、絶縁基板の表面に、配線導体層を被着形成するとともに、この絶縁基板の一部を覆って、前記永久パターンを被着形成したことから、該永久パターンがプリント配線基板に電子部品を実装する際の熱から絶縁層を保護するとともに、配線導体層を湿気による酸化や腐蝕から保護することができ、その結果、耐熱性、耐湿性に優れる。
【0250】
<解像度>
得られた前記永久パターン形成済みのプリント配線基板の表面を光学顕微鏡で観察し、硬化層パターンの穴部に残膜が無い、最小の穴径を測定し、これを解像度とした。該解像度は数値が小さいほど良好である。結果を表1に示す。
【0251】
<塗布面状の評価>
塗布乾燥後の感光層の塗布面状を、目視により観察し、表面の平滑性を検査した。結果を表1に示す。
○:平滑である。
△:一部に、スジ、異物、又はハジキあり。
×:全面に、スジ、異物、又はハジキあり。
【0252】
(実施例2)
実施例1において、分散液調製の周速9m/sを12m/sに、分散時間3時間を6時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び永久パターンを作製し、分散液の平均粒径の測定、感光性組成物の粘度の測定、感光層の塗布面状の評価、現像時間の測定、及び解像度の測定をした。これらの結果を表1に示す。
【0253】
(実施例3)
実施例1において、分散液調製の周速9m/sを3m/sに、分散時間3時間を1時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び永久パターンを作製し、分散液の平均粒径の測定、感光性組成物の粘度の測定、感光層の塗布面状の評価、現像時間の測定、及び解像度の測定をした。これらの結果を表1に示す。
【0254】
(実施例4)
実施例1において、無機充填剤の含有量を10質量%(11.9質量部)とした以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び永久パターンを作製し、分散液の平均粒径の測定、感光性組成物の粘度の測定、感光層の塗布面状の評価、現像時間の測定、及び解像度の測定をした。これらの結果を表1に示す。
【0255】
(実施例5)
実施例1において、無機充填剤の含有量を45質量%(53.54質量部)とした以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び永久パターンを作製し、分散液の平均粒径の測定、感光性組成物の粘度の測定、感光層の塗布面状の評価、現像時間の測定、及び解像度の測定をした。これらの結果を表1に示す。
【0256】
(実施例6)
実施例1において、分散液組成の硫酸バリウム30質量部を、硫酸バリウム27質量部とタルク(LMP-100タルク、富士タルク工業社製)3質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び永久パターンを作製し、分散液の平均粒径の測定、感光性組成物の粘度の測定、感光層の塗布面状の評価、現像時間の測定、及び解像度の測定をした。これらの結果を表1に示す。
【0257】
(実施例7)
実施例1において、分散液組成の酢酸n-プロピル40質量部をエチレングリコールモノメチルエーテル40質量部に変え、分散液調製の周速9m/sを18m/sに、分散時間3時間を5時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び永久パターンを作製し、分散液の平均粒径の測定、感光性組成物の粘度の測定、感光層の塗布面状の評価、現像時間の測定、及び解像度の測定をした。これらの結果を表1に示す。
【0258】
(実施例8)
実施例1において、分散液組成の酢酸n-プロピル40質量部をメチルエチルケトン40質量部に変え、分散液調製の周速を9m/sを3m/sに、分散時間3時間を1時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び永久パターンを作製し、分散液の平均粒径の測定、感光性組成物の粘度の測定、感光層の塗布面状の評価、現像時間の測定、及び解像度の測定をした。これらの結果を表1に示す。
【0259】
(実施例9)
実施例1において、無機充填剤の含有量を4質量%(4.76質量部)とした以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び永久パターンを作製し、分散液の平均粒径の測定、感光性組成物の粘度の測定、感光層の塗布面状の評価、現像時間の測定、及び解像度の測定をした。これらの結果を表1に示す。
【0260】
(実施例10)
実施例1において、無機充填剤の含有量を55質量%(65.4質量部)とした以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び永久パターンを作製し、分散液の平均粒径の測定、感光性組成物の粘度の測定、感光層の塗布面状の評価、現像時間の測定、及び解像度の測定をした。これらの結果を表1に示す。
【0261】
(実施例11)
エポキシアクリレートとアクリル系バインダーの併用時の実施例を示す。
実施例1において、感光性組成物溶液成分中のバインダーを前記(合成例1)で示される高分子化合物1(前記1−メトキシ−2−プロパノール溶液中に固形分質量45質量%)21.9質量部とバインダー(下記構造式Aで表される68質量%のジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液)23.5質量部をとした以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び永久パターンを作製し、分散液の平均粒径の測定、感光性組成物の粘度の測定、感光層の塗布面状の評価、現像時間の測定、及び解像度の測定をした。これらの結果を表1に示す。
【化39】

ただし、前記構造式A中、nは6〜7を表す。
【0262】
(実施例12)
実施例1において、硫酸バリウム分散液の前記(合成例1)で示される高分子化合物1(前記1−メトキシ−2−プロパノール溶液中に固形分質量45質量%)57.4質量部をバインダー(上記構造式Aで表される68質量%のジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液)38質量部に代え、感光性組成物溶液成分中の前記(合成例1)で示される高分子化合物1(前記1−メトキシ−2−プロパノール溶液中に固形分質量45質量%)84.6質量部をバインダー(上記構造式Aで表される68質量%のジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液)56質量部とした以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び永久パターンを作製し、分散液の平均粒径の測定、感光性組成物の粘度の測定、感光層の塗布面状の評価、現像時間の測定、及び解像度の測定をした。これらの結果を表1に示す。
【0263】
(実施例13)
実施例1において、熱架橋剤(構造式B)11質量部をエポトートYD-8125(東都化成社製、エポキシ当量170g/eq、アルカリ不溶性ビスフェノールA系エポキシ化合物)11質量部にした以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び永久パターンを作製し、分散液の平均粒径の測定、感光性組成物の粘度の測定、感光層の塗布面状の評価、現像時間の測定、及び解像度の測定をした。これらの結果を表1に示す。
【0264】
(比較例1)
実施例1において、熱架橋剤を分散液調製後でなく、当初から分散剤に添加した以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び永久パターンを作製し、分散液の平均粒径の測定、感光性組成物の粘度の測定、感光層の塗布面状の評価、現像時間の測定、及び解像度の測定をした。これらの結果を表1に示す。
【0265】
(比較例2)
実施例1において、熱硬化促進剤(ジシアンジアミド)を分散液に添加せず、塗布液調製時に添加した以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物、感光性フィルム、及び永久パターンを作製し、分散液の平均粒径の測定、感光性組成物の粘度の測定、感光層の塗布面状の評価、現像時間の測定、及び解像度の測定をした。これらの結果を表1に示す。
【0266】
【表1】


表1中、「スジ」とは全面にスジがあったことを、「ブツ」とは全面に異物があったことを意味する。
【0267】
表1に示す結果より、バインダー、熱硬化促進剤、及び充填剤を含む分散液を調製した後、該分散液に重合性化合物及び熱架橋剤を添加することにより作製した実施例1〜13の感光性組成物は、液粘度が好適な状態で保たれて経時安定性に優れることが判った。特に、分散液の平均粒径が0.1〜10μmであり、無機充填剤の含有量が5〜50質量%である実施例1〜6の感光性組成物は、比較例1及び2の感光性組成物に比して、顕著に、液粘度が好適な状態で保たれて経時安定性に優れることが判った。
また、該該感光性組成物を支持体に塗布して作製した実施例1〜10の感光性フィルムは、感光層の塗布面状が、比較例1及び2の感光性フィルムに比べ良好であることが判った。特に、実施例1〜6の感光性フィルムは、感光層の塗布面状が、比較例1及び2の感光性フィルムに比べ、著しく良好であることが判った。このため、現像時間及び解像度も良好であり、信頼性の高い永久パターンが得られることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0268】
本発明の重合性組成物の製造方法により得られた重合性組成物は、粘度が好適な状態で保たれて経時安定性に優れ、本発明の感光性フィルムの製造方法に好適に用いることができる。
本発明の感光性フィルムの製造方法により得られた感光性フィルムは、塗布面状が極めて安定しており、保存安定性に優れ、現像後に優れた耐薬品性、表面硬度、耐熱性などを発現する。また、本発明の永久パターン(保護膜、層間絶縁膜、ソルダーレジストなど)を薄層化しても、表面硬度、絶縁性、耐熱性、耐湿性に優れた高精細な永久パターンが得られるため、保護膜、層間絶縁膜として好適に使用することができ、プリント配線板(多層配線基板、ビルドアップ配線基板など)、カラーフィルタや柱材、リブ材、スペーサー、隔壁などのディスプレイ用部材、ホログラム、マイクロマシン、プルーフなどの永久パターン形成用として広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0269】
【図1】図1は、感光性フィルムの層構成を示す説明図である。
【図2】図2は、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)の構成を示す部分拡大図の一例である。
【図3】図3(A)及び(B)は、DMDの使用領域の例を示す図の一例である。
【図4】図4(A)は、結合光学系の異なる他の露光ヘッドの構成を示す光軸に沿った断面図の一例であり、図4(B)は、マイクロレンズアレイなどを使用しない場合に被露光面に投影される光像を示す平面図の一例であり、図4(C)は、マイクロレンズアレイなどを使用した場合に被露光面に投影される光像を示す平面図の一例である。
【図5】図5(A)は、ファイバアレイ光源の構成を示す斜視図であり、図5(B)は、図5(A)の部分拡大図の一例であり、図5(C)及び(D)は、ファイバアレイ光源のレーザ出射部における発光点の配列を示す正面図の一例である。
【図6】図6は、マルチモード光ファイバの構成を示す図の一例である。
【図7】図7は、合波レーザ光源の構成を示す平面図の一例である。
【図8】図8は、レーザモジュールの構成を示す平面図の一例である。
【図9】図9は、図8に示すレーザモジュールの構成を示す側面図の一例である。
【図10】図10は、図8に示すレーザモジュールの構成を示す部分側面図である。
【符号の説明】
【0270】
1 支持体
2 感光層
3 保護フィルム
B1〜B7 レーザービーム
LD1〜LD7 GaN系半導体レーザ
10 ヒートブロック
11〜17コリメータレンズ
20 集光レンズ
30〜31 マルチモード光ファイバ
30a〜31a コア
44 コリメータレンズホルダー
45 集光レンズホルダー
46 ファイバホルダー
50 デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)
60 メモリセル
62 マイクロミラー
63 保護板
64 レーザモジュール
65 支持板
66 ファイバアレイ光源
68 レーザ出射部
454 レンズ系
468 露光エリア
472 マイクロレンズアレイ
476 アパーチャアレイ
478 アパーチャ
480 レンズ系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー、熱硬化促進剤、及び充填剤を含む分散液を調製した後、該分散液に重合性化合物及び熱架橋剤を添加することを特徴とする重合性組成物の製造方法。
【請求項2】
分散液に、重合性化合物と熱架橋剤とを含む液を混合する請求項1に記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項3】
分散液と、重合性化合物を含む液と、熱架橋剤を含む液を混合する請求項1に記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項4】
重合性化合物と、熱架橋剤とを溶剤に溶解することなく分散液に混合し、溶解する請求項1に記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項5】
分散液における分散粒子の平均粒径が0.1〜10μmである請求項1から4のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項6】
重合性組成物が光重合開始剤を含む請求項1から5のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項7】
熱硬化促進剤が、固体である請求項1から6のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項8】
熱硬化促進剤が、アミン化合物、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩化合物、リン化合物、グアナミン化合物、S−トリアジン誘導体、芳香族酸無水物、脂肪族酸無水物、及びポリフェノールから選択される少なくとも1種である請求項1から7のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項9】
充填剤が無機充填剤である請求項1から8のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項10】
無機充填剤が、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、シリカ化合物、アルミニウム化合物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、及びクレーから選択される少なくとも1種である請求項9に記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項11】
無機充填剤の含有量が5〜50質量%である請求項9から10のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項12】
バインダーが、酸性基とエチレン性不飽和結合とを側鎖に有する高分子化合物を含む請求項1から11のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項13】
バインダーが、高分子化合物の酸性基の一部に環状エーテル基を含有する重合性化合物を触媒共存下で付加させたもの、及び高分子化合物の環状エーテル基の一部又は全部にカルボキシル基を含有する重合性化合物を触媒共存下で付加させたもののいずれかから選択された高分子化合物であり、前記触媒が酸性化合物及び中性化合物のいずれかから選択される請求項1から12のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項14】
バインダーが、酸性基と、ヘテロ環を含んでもよい芳香族基と、エチレン性不飽和結合とを側鎖に有する高分子化合物を含む請求項1から12のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項15】
バインダーが、エポキシ化合物に、エチレン性不飽和二重結合と酸性基とを導入した化合物からなる請求項1から11のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項16】
バインダーが、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体を含む請求項1から11のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項17】
重合性化合物が、(メタ)アクリルレート基を有するモノマーから選択される少なくとも1種を含む請求項1から16のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項18】
熱架橋剤が、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られる化合物、及びメラミン誘導体から選択される少なくとも1種である請求項1から17のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項19】
光重合開始剤が、ハロゲン化炭化水素誘導体、ホスフィンオキシド、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、アシルホスフィンオキシド化合物、芳香族オニウム塩及びケトオキシムエーテルから選択される少なくとも1種を含む請求項6から18のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
【請求項20】
支持体上に、請求項1から19のいずれかの重合性組成物の製造方法により製造された重合性組成物を塗布し、感光層を形成する感光層形成工程を少なくとも含むことを特徴とする感光性フィルムの製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載の感光性フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする感光性フィルム。
【請求項22】
請求項21に記載の感光性フィルムにおける感光層を、基体の表面に転写した後、露光し、現像することを特徴とする永久パターン形成方法。
【請求項23】
露光が、395〜415nmの波長レーザ光を用いて行われる請求項22に記載の永久パターン形成方法。
【請求項24】
保護膜、層間絶縁膜、及び、ソルダーレジストパターンの少なくともいずれかを形成する請求項22から23のいずれかに記載の永久パターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−156404(P2007−156404A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153973(P2006−153973)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】