金型の真空システム用装置および真空システムを用いてシート材料を成形する方法
【課題】
ポリマー材料のシートを成形する方法および装置を提供することにある。
【解決手段】
協働してポリマーシートをクランプする第一および第二金型半部を有する、ポリマー材料のシートの成形方法および装置。真空機構は、シートを内部空間内に吸引する。真空機構は、真空をシートの特定部分に指向させるべく内部空間の周囲に配置された複数の制御可能な真空ポートを有している。また、検出機構がシートの吸引深さを測定する。
ポリマー材料のシートを成形する方法および装置を提供することにある。
【解決手段】
協働してポリマーシートをクランプする第一および第二金型半部を有する、ポリマー材料のシートの成形方法および装置。真空機構は、シートを内部空間内に吸引する。真空機構は、真空をシートの特定部分に指向させるべく内部空間の周囲に配置された複数の制御可能な真空ポートを有している。また、検出機構がシートの吸引深さを測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くはポリマー材料の成形技術に関し、より詳しくは、ポリマー材料の成形金型の真空システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー材料は、広範囲の用途に使用されている。一般に、ポリマー材料は、航空機、自動車、自動二輪車、ボート等を含む種々の用途の窓または風防ガラス等の透明パネルの製造に使用されている。このような用途、特に航空機への用途は、スクラッチングおよび衝撃に耐える極めてクリアで歪みのない透明パネルを必要とする。
【0003】
伝統的に、このような透明パネルの形成にはアクリル酸プラスチックが使用されている。アクリル酸プラスチックは、優れた光学的特性および耐候性を有しかつ長期間に亘る太陽光の作用および風雨への露出に対する顕著な抵抗性を有する点で注目されている。アクリル酸プラスチックは、風雨への長期間露出を受けても、目立つほど黄ばむことがなく、或いは物理的特性にいかなる大きな変化も見られない。しかしながら、アクリル酸プラスチックは、他のポリマー材料のような高い耐衝撃性をもたず、従って耐衝撃性が重要である用途には好ましくない。
【0004】
ポリカーボネートは、高い衝撃強度、光学的透明性、耐熱性および寸法安定性を備えた高性能熱可塑性プラスチックである。これに対し、ポリカーボネートは、アクリル酸プラスチックと同等の耐候性は備えていない。しかしながら、透明パネルは、それがアクリル酸プラスチックまたはポリカーボネートのいずれを用いて作られたものであっても、透明パネルの稼動寿命を低下させる虞れがあるスクラッチング、擦過傷または他のマーキングを防止する硬質保護コーティングを有している。また、硬質保護コーティングは、ベースシート(たとえそれがアクリル酸プラスチックまたはポリカーボネートのいずれであっても)をUV変質から保護する。この結果、透明パネルは、たとえベースシート(例えばポリカーボネート)がさもなくばこのような露出により変質しても、黄ばみ、歪み等のあらゆる変質から保護される。従って、産業界では、透明パネルの製造にポリカーボネートを使用することが望まれている。なぜならば、ポリカーボネートが高い衝撃強度を有すると同時に、使用される材料の如何にかかわらず、塗布される保護コーティングにより、UV変質から保護された状態に維持されるからである。
【0005】
伝統的に、アクリル酸プラスチックのポリマーシートは、上下の輪郭面(contoured surfaces)を備えた金型を用いて形成される。輪郭面は、ポリマーシートの上下全面に直接接触して、ポリマーシートの所望形状を形成する。アクリル酸プラスチックシートの上下の面が硬いため、上下の面を歪ませることなく、ポリマーシートの所望形状をこの方法で形成できる。しかしながら、ポリカーボネートの上下の面はこれほど硬くないため、加熱されると、成形工程中の接触により歪むことがある。この理由から、ポリマーシートの上下面を直接接触させる伝統的な方法の使用は、ポリカーボネートシートの形成には好ましくない。伝統的な金型は、ポリカーボネートシートの表面を歪ませる可能性が大きく、従って、多数の不良パネルを作りかつ製造コストを増大させてしまう。
【0006】
本件出願人の所有する下記特許文献1(該特許文献1の明細書および図面は本願に援用する)には、歪みのないポリマー材料の成形装置および方法が開示されている。この装置および方法は、意図した目的には首尾良く機能するが、設計者はこの技術を改善することに努力している。
【特許文献1】2004年5月11日付米国特許第6,733,714号明細書(名称「高い衝撃強度を有する透明で歪みのないポリマー材料の成形方法(Method for Forming High−impact Transparent, Distortion−Free Polymeric Material)」)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明は、ポリマー材料のシートを成形する装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の装置は、第一内部空間を形成する底壁および第一側壁を備えた第一金型半部を有し、第一側壁は第一縁部を備えている。第二金型半部は、第二内部空間を形成する頂壁および第二側壁を有し、第二側壁は第二縁部を備えている。第一および第二半部は、第一縁部と第二縁部との間にシートをクランプする。真空機構は、シートを、第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内に吸引し、複数の制御可能な真空ポートを備えている。複数の制御可能な真空ポートは金型半部の回りに配置され、真空源をシートの特定部分に指向させる。また、第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内でのシートの吸引深さを検出する機構を更に有している。複数のポートには、シートの特定部分に真空を指向させる複数のポートで真空を変える機構を設けることができる。各ポートには弁を設けることができる。通常、ポートは、第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間の周辺に配置される。また、複数のポートの多くを、第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間の中央近くに配置することができる。
【0009】
教示の第二態様によれば、ポリマー材料のシートを形成する本発明の装置は、第一内部空間を形成する底壁および第一側壁を備えた第一金型半部を有し、第一側壁は第一縁部を備えている。第二金型半部は第二内部空間を形成する頂壁および第二側壁を有し、第二側壁は第二縁部を備えている。第一および第二半部は、第一縁部と第二縁部との間にシートをクランプする。真空機構は、シートを第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内に吸引し、1つ以上のマニホルドを備えている。1つ以上のマニホルドは複数のポートを有し、各ポートは、シートの特定部分に真空を指向させて、シートの特定部分を前記第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内に吸引する、独立的に制御される真空源を備えている。シートの吸引深さを検出する機構が第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内に配置されている。
【0010】
また、真空源には2つのマニホルドを設けることができる。1つのマニホルドは、第一または第二内部空間のうちの一方の内部空間の周辺に隣接して配置され、1つのマニホルドは、第一または第二内部空間のうちの一方の内部空間の中央に隣接して配置される。マニホルドの各ポートは、その真空源を独立的に制御して、真空源をシートの特定部分に指向させる弁を有している。
【0011】
教示の他の態様によれば、ポリマー材料のシートを成形する本発明の方法は、シートを第一温度に加熱する段階を有している。シートは、その周縁部に沿って、成形金型の第一金型半部と第二金型半部との間で保持される。シートの一方の側に真空が発生され、これにより、シートが、前記第一および第二金型半部のうちの一方の金型半部の内部空間内に吸引される。真空が、第一および第二金型半部のうちの一方の金型半部の内部空間内の特定位置で制御され、該特定位置に異なる真空圧力を発生させ、特定位置での内部空間内へのシートの吸引を増大させる。シートは、第一および第二金型半部のうちの一方の金型半部内でのシートの特定吸引深さが達成されたときに、前記第一温度から第二温度に冷却される。金型半部の周縁部の少なくとも一部に隣接する第一真空が吸引され、かつ内部空間の中央に隣接する第二真空が吸引される。第一真空は第二真空より大きい。また、シートに沿う特定位置で、複数の独立的真空を発生させることができ、真空は特定位置で制御される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の他の適用領域は、本願の以下の説明から明らかになるであろう。本願の説明および特定例は単なる例示を目的とするものであって、本願の開示範囲を限定するものではない。
【0013】
添付図面は、単に例示を目的とするものであって、いかなる意味においても本願の開示範囲を制限するものではない。
【0014】
以下の説明は本質の単なる例示であって、本願の開示、用途または使用方法を限定するものではない。
【0015】
図面、特に図1を参照すると、ここには、ポリマー材料の加熱されたシート16を形成すべく一体化される上下の半部12、14からなる成形金型10が示されている。シート16は、好ましくは光学的クオリティをもつポリカーボネート材料でありかつ剛性フレーム18内に保持される。フレーム18は、上下の半部12、14の長さおよび幅より幾分大きい長さおよび幅を有している。フレームは、この周囲でシート16をクランプする。上下の半部12、14の縁部22、24は、シート16の周縁部にとって望ましい端部形状を形成する輪郭を有している。真空システム30により、下方金型半部14の内部空間26内に真空を発生させてシート16を下方に吸引し、上下の半部12、14の輪郭縁部22、24により定められたシートを形成する。この吸引工程は、シートがセンサ・アイ32により記録されるまで確保され、次に真空が停止される。シートは、冷却機構25によりその所望形状に冷却される。
【0016】
一例示実施形態では、成形金型10は、航空機の風防ガラスを形成するように構成されている。図1および図2に示すように、金型の周囲は、特定用途の形状に一致している。しかしながら、金型10は、種々の用途の条件に従ってシート16を種々の形状および輪郭に成形するように構成できる。下方半部14は、内部空間26を形成する底壁42と、4つの側壁44、46、48、50とを有している。側壁44、46、48、50は、それぞれ上縁部52、54、56、58を有しかつシート16の周縁部の端部形状を形成すべく、それぞれの長さに沿って選択的に輪郭が定められる。上縁部52、54、56、58は、下方半部14の内部に向かって下方に傾斜したべべル状に形成されるのが好ましい。上方半部12は、内部空間34を形成する頂壁62と、4つの側壁64、66、68、70とを有している。側壁64、66、68、70は、それぞれ下縁部72、74、76、78を有しかつ上縁部52、54、56、58と係合すべく、それぞれの長さに沿って対応する輪郭を有している。下縁部72、74、76、78は、べべル状上縁部52、54、56、58と対応係合するように、下方半部14の内部に向かって下方に傾斜したべべル状に形成されるのが好ましい。
【0017】
シート16は、上記特許文献1に開示されたものと同様な機構により金型内に保持される。また、ポリカーボネートシートをトリミングする機構も、上記特許文献1に開示されたものと同様な機構である。
【0018】
真空システム30は、下方半部14の底壁42を通して真空源に連結される。真空システム30は1つ以上のマニホルドを有している。ここでは、下方金型半部は3つのマニホルド92、94、96を有している。各マニホルドは、金型半部の底部を通って延びる真空源に連結される。マニホルド92、94、96は複数のポート98を有し、各ポートは調節弁100を備えている。図示のように、弁100は手動操作される。弁100は、マニホルドに対して所望角度で配置されている。これにより、真空源の「狙い」をシート16に向けることができる。或いは、弁をソレノイド弁で構成して、コンピュータ制御することもできる。弁100は、特定位置またはシート16に沿う位置の各弁で、真空源の独立制御を行うことができる。かくして、各弁の真空を調節することにより、シート16を、該シートに沿う種々の位置で金型内に吸引することができる。これにより、シートをより深く吸引させるべき領域またはシートの表面形状を変えるべき領域に向かう真空の方向を制御できる。
【0019】
マニホルド92、94は、下方金型半部14の周辺に配置するのが好ましい。マニホルド96は、金型半部の中央近くに配置される。弁100の角度および方向は、成形すべきシートの特定設計に適合するように変えることができる。シートを好ましい位置で金型内に吸引するには、周辺に沿う弁を実質的に幅広に開き、全真空がシートに向くようにするのが好ましいことが判明している。中央マニホルド96は、シートを特定位置で所望形状に吸引すべく、1/2より小さい開度で開かれる。通常、中央マニホルドの弁は約40%の開度で開かれる。かくして、各ポートは、シートに沿う位置で真空源の独立的制御を行うことができる。かくして、シート16に沿う特定位置で、吸引深さを制御できる。
【0020】
センサ・アイ32は、マニホルド92、94、96に隣接して配置できる。通常、センサは、吸引深さを制御するアイを備えた超音波形式のセンサである。上記特許文献1に開示されたものと同様な検出システムを使用することもできる。
【0021】
上方半部14の頂壁内面には、冷却機構を配置しかつ固定的に取付けることができる。冷却機構は、上記特許文献1に開示されたものと同様なもので構成できる。
【0022】
コントローラが設けられており、該コントローラは、検出機構32および冷却機構を含む成形金型10の種々のコンポーネンツに電気的に接続されている。特定実施形態に基いて、コントローラ200は、レーザまたはウォータージェットトリミング機構に電気的に接続して、これらの作動を制御するように構成することもできる。コントローラ200は、詳細に後述する成形工程を制御する。
【0023】
本発明は、好ましくは詳細に上述した成形金型10を用いて、ポリマー材料のシート16を成形する方法を提供する。本発明の方法を以下に説明する。最初に、シート16をフレーム18内に装填する。シート16は、該シートがガラスの遷移点を超えてガラス遷移段階を達成し、これにより粘性を帯びまたはゴム状になるまで数段階で加熱される。しかしながら、シートは、融点に到達して溶融しかつスクラップになるまで加熱すべきでないことに留意すべきである。加熱段階の数、それぞれの段階での加熱時間および加熱温度は、使用される材料の種類および厚さに従って変えることができる。シートを数段階で加熱することにより、さもなくば生じるであろうシート表面のブリスタリング(気泡発生)を防止できる。
【0024】
シート16は、次に成形段階に移行され、シートの下面102が側壁44、46、48、50の上縁部52、54、56、58上に載置されるようにして、下方半部14の頂部上に置かれる。上方半部12が下方半部14と整合して下降され、これにより、上方半部の側壁64、66、68、70の下縁部72、74、76、78がシート16の上面104と係合して、上方半部12と下方半部14との間にシート16が保持される。フレーム18がシート16の周囲を剛性形態で保持し、これにより、シート16は、成形金型10内に包囲されると、引っ張られかつ引伸ばされる。同時に、保持機構が下向きの力を加え、シート16の下面102を側壁44、46、48、50の上縁部52、54、56、58に押し付けて該上縁部と気密係合させ、これらの間に気密シールを形成する。また、シート16の縁部が、成形金型10の周辺形状に従ってトリミングされる。好ましい実施形態によれば、シート16のトリミングは、上方半部12と下方半部14とを閉じると同時に行われる。しかしながら、他の実施形態では、トリミングは、上下の半部12、14が閉じた後に行うことができる。或いは、トリミング作業は、シート16が成形された後に行うこともできる。
【0025】
シート16がひとたび上下の半部12、14の間に保持されたならば、弁100およびマニホルドポート98を介して下方半部14の内部空間26から空間を吸引することにより、内部空間26内に真空が発生される。真空は、シート16の下面102と、側壁44、46、48、50の上縁部52、54、56、58との間の気密シールにより達成できる。真空ポート98は、シートの適正吸引を確保するようにシートに向けることができる。また、各ポートの真空源は、その弁100を介して制御できる。この結果、シート16は、内部空間26内への方向が制御された真空力により下方に吸引され、これにより所望の形状が形成される。検出機構32は、シートが内部空間26内で特定吸引経路を達成する時点を検出する。この吸引経路を達成するシート16を検出すると、冷却機構が作動されて、シート16をそのガラス遷移点より低い温度に冷却し、これにより再び剛性状態を達成する。冷却工程中は真空が定常状態に保持され、シート16が充分に冷却されるまで真空が緩和されることはない。シートの冷却時間は、上記各作動を制御するコントローラ200によりモニタされる。シート16が充分に冷却されたならば、下方半部14および上方半部12の吸引力が緩和される。余剰のシート材料と一緒にフレーム18も引っ込められ、これにより、成形されたシート16を成形金型10から取出すべくアクセスできるようになる。シート16の周縁部を掴んで残りの工程を通して搬送するのに、第二クランピング機構が使用される。
【0026】
成形工程の後、余剰材料を再処理すべく、フレームおよび余剰材料が運び出され、成形されたシート16は、目的製品を作るべく幾つかの仕上げ加工を受ける。これらの段階として、好ましくは、第一品質チェック工程、それぞれの工程でのプライマ(下塗り)およびコーティング段階、および第二品質チェックがある。第一および第二品質チェックは、ポリマーシート16の何らかの歪み、スクラッチおよび/または擦過傷についてチェックすべく、カメラ等の光学的手段を用いて達成するのが好ましい。プライマおよびコーティング段階として、好ましくは、ディッピングまたはスプレーによるプライミング、プライマ乾燥副工程、ハードコート塗布副工程、ハードコート乾燥副工程がある。しかしながら、ここに述べる仕上げ工程は本質的な単なる例示であり、当業界で一般的に知られている他の多くの仕上げ工程のうちの任意の工程に置換できる。完成シート16は、最後に顧客に配送すべくパッケージングされる。
【0027】
少なくともプライマおよびコーティング段階は、シート16に流れのない適正コーティングを確保すべく、厳格な温度、湿度および塵埃管理の下で行われることに留意すべきである。プライマコートは、シート16およびトップコート(上塗り)にクリヤで歪みのない接合を付与できる任意の適当な材料で形成できる。現在、好ましいプライマおよびトップコーティング材料として、General Electric Co.(ゼネラルエレクトリック社)から供給され、フローコーティング法により塗布される実験材料があり、この実験材料は、この目的で使用できる、現在入手可能な材料よりもかなり長い8−10年の優れた寿命が得られると考えられている。プライマおよびハードコートは、シート16の両面に塗布するのが好ましい。
【0028】
本願の上記説明は、ポリマー材料を成形するための全体としてリニアな加工ラインを述べたが、当業者ならば、加工ラインのレイアウトは変えることができることは理解されよう。例えば、加工ラインをロータリラインとして、加工工程を全体として円形に構成することも考えられる。この方法では、シート16は、完成製品を形成するための各加工段階を通って、円形レイアウトの回りで回転される。
【0029】
本発明の好ましい実施形態は上記長所を得るのに良く適しているが、本発明は、特許請求の範囲に記載の適正範囲または公正な意味から逸脱することなく種々の変更が考えられることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】成形金型を示す斜視図である。
【0031】
【図2】真空システムを備えた金型半部を示す平面図である。
【0032】
【図3】図2の3−3線に沿う金型半部を通る断面図である。
【0033】
【図4】図2の4−4線に沿う断面図である。
【0034】
【図5】図2の5−5線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0035】
10 成形金型
12 上方金型半部
14 下方金型半部
16 シート
25 冷却機構
30 真空システム
32 センサ・アイ(検出機構)
92 マニホルド
98 ポート
100 調節弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くはポリマー材料の成形技術に関し、より詳しくは、ポリマー材料の成形金型の真空システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー材料は、広範囲の用途に使用されている。一般に、ポリマー材料は、航空機、自動車、自動二輪車、ボート等を含む種々の用途の窓または風防ガラス等の透明パネルの製造に使用されている。このような用途、特に航空機への用途は、スクラッチングおよび衝撃に耐える極めてクリアで歪みのない透明パネルを必要とする。
【0003】
伝統的に、このような透明パネルの形成にはアクリル酸プラスチックが使用されている。アクリル酸プラスチックは、優れた光学的特性および耐候性を有しかつ長期間に亘る太陽光の作用および風雨への露出に対する顕著な抵抗性を有する点で注目されている。アクリル酸プラスチックは、風雨への長期間露出を受けても、目立つほど黄ばむことがなく、或いは物理的特性にいかなる大きな変化も見られない。しかしながら、アクリル酸プラスチックは、他のポリマー材料のような高い耐衝撃性をもたず、従って耐衝撃性が重要である用途には好ましくない。
【0004】
ポリカーボネートは、高い衝撃強度、光学的透明性、耐熱性および寸法安定性を備えた高性能熱可塑性プラスチックである。これに対し、ポリカーボネートは、アクリル酸プラスチックと同等の耐候性は備えていない。しかしながら、透明パネルは、それがアクリル酸プラスチックまたはポリカーボネートのいずれを用いて作られたものであっても、透明パネルの稼動寿命を低下させる虞れがあるスクラッチング、擦過傷または他のマーキングを防止する硬質保護コーティングを有している。また、硬質保護コーティングは、ベースシート(たとえそれがアクリル酸プラスチックまたはポリカーボネートのいずれであっても)をUV変質から保護する。この結果、透明パネルは、たとえベースシート(例えばポリカーボネート)がさもなくばこのような露出により変質しても、黄ばみ、歪み等のあらゆる変質から保護される。従って、産業界では、透明パネルの製造にポリカーボネートを使用することが望まれている。なぜならば、ポリカーボネートが高い衝撃強度を有すると同時に、使用される材料の如何にかかわらず、塗布される保護コーティングにより、UV変質から保護された状態に維持されるからである。
【0005】
伝統的に、アクリル酸プラスチックのポリマーシートは、上下の輪郭面(contoured surfaces)を備えた金型を用いて形成される。輪郭面は、ポリマーシートの上下全面に直接接触して、ポリマーシートの所望形状を形成する。アクリル酸プラスチックシートの上下の面が硬いため、上下の面を歪ませることなく、ポリマーシートの所望形状をこの方法で形成できる。しかしながら、ポリカーボネートの上下の面はこれほど硬くないため、加熱されると、成形工程中の接触により歪むことがある。この理由から、ポリマーシートの上下面を直接接触させる伝統的な方法の使用は、ポリカーボネートシートの形成には好ましくない。伝統的な金型は、ポリカーボネートシートの表面を歪ませる可能性が大きく、従って、多数の不良パネルを作りかつ製造コストを増大させてしまう。
【0006】
本件出願人の所有する下記特許文献1(該特許文献1の明細書および図面は本願に援用する)には、歪みのないポリマー材料の成形装置および方法が開示されている。この装置および方法は、意図した目的には首尾良く機能するが、設計者はこの技術を改善することに努力している。
【特許文献1】2004年5月11日付米国特許第6,733,714号明細書(名称「高い衝撃強度を有する透明で歪みのないポリマー材料の成形方法(Method for Forming High−impact Transparent, Distortion−Free Polymeric Material)」)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明は、ポリマー材料のシートを成形する装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の装置は、第一内部空間を形成する底壁および第一側壁を備えた第一金型半部を有し、第一側壁は第一縁部を備えている。第二金型半部は、第二内部空間を形成する頂壁および第二側壁を有し、第二側壁は第二縁部を備えている。第一および第二半部は、第一縁部と第二縁部との間にシートをクランプする。真空機構は、シートを、第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内に吸引し、複数の制御可能な真空ポートを備えている。複数の制御可能な真空ポートは金型半部の回りに配置され、真空源をシートの特定部分に指向させる。また、第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内でのシートの吸引深さを検出する機構を更に有している。複数のポートには、シートの特定部分に真空を指向させる複数のポートで真空を変える機構を設けることができる。各ポートには弁を設けることができる。通常、ポートは、第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間の周辺に配置される。また、複数のポートの多くを、第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間の中央近くに配置することができる。
【0009】
教示の第二態様によれば、ポリマー材料のシートを形成する本発明の装置は、第一内部空間を形成する底壁および第一側壁を備えた第一金型半部を有し、第一側壁は第一縁部を備えている。第二金型半部は第二内部空間を形成する頂壁および第二側壁を有し、第二側壁は第二縁部を備えている。第一および第二半部は、第一縁部と第二縁部との間にシートをクランプする。真空機構は、シートを第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内に吸引し、1つ以上のマニホルドを備えている。1つ以上のマニホルドは複数のポートを有し、各ポートは、シートの特定部分に真空を指向させて、シートの特定部分を前記第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内に吸引する、独立的に制御される真空源を備えている。シートの吸引深さを検出する機構が第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内に配置されている。
【0010】
また、真空源には2つのマニホルドを設けることができる。1つのマニホルドは、第一または第二内部空間のうちの一方の内部空間の周辺に隣接して配置され、1つのマニホルドは、第一または第二内部空間のうちの一方の内部空間の中央に隣接して配置される。マニホルドの各ポートは、その真空源を独立的に制御して、真空源をシートの特定部分に指向させる弁を有している。
【0011】
教示の他の態様によれば、ポリマー材料のシートを成形する本発明の方法は、シートを第一温度に加熱する段階を有している。シートは、その周縁部に沿って、成形金型の第一金型半部と第二金型半部との間で保持される。シートの一方の側に真空が発生され、これにより、シートが、前記第一および第二金型半部のうちの一方の金型半部の内部空間内に吸引される。真空が、第一および第二金型半部のうちの一方の金型半部の内部空間内の特定位置で制御され、該特定位置に異なる真空圧力を発生させ、特定位置での内部空間内へのシートの吸引を増大させる。シートは、第一および第二金型半部のうちの一方の金型半部内でのシートの特定吸引深さが達成されたときに、前記第一温度から第二温度に冷却される。金型半部の周縁部の少なくとも一部に隣接する第一真空が吸引され、かつ内部空間の中央に隣接する第二真空が吸引される。第一真空は第二真空より大きい。また、シートに沿う特定位置で、複数の独立的真空を発生させることができ、真空は特定位置で制御される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の他の適用領域は、本願の以下の説明から明らかになるであろう。本願の説明および特定例は単なる例示を目的とするものであって、本願の開示範囲を限定するものではない。
【0013】
添付図面は、単に例示を目的とするものであって、いかなる意味においても本願の開示範囲を制限するものではない。
【0014】
以下の説明は本質の単なる例示であって、本願の開示、用途または使用方法を限定するものではない。
【0015】
図面、特に図1を参照すると、ここには、ポリマー材料の加熱されたシート16を形成すべく一体化される上下の半部12、14からなる成形金型10が示されている。シート16は、好ましくは光学的クオリティをもつポリカーボネート材料でありかつ剛性フレーム18内に保持される。フレーム18は、上下の半部12、14の長さおよび幅より幾分大きい長さおよび幅を有している。フレームは、この周囲でシート16をクランプする。上下の半部12、14の縁部22、24は、シート16の周縁部にとって望ましい端部形状を形成する輪郭を有している。真空システム30により、下方金型半部14の内部空間26内に真空を発生させてシート16を下方に吸引し、上下の半部12、14の輪郭縁部22、24により定められたシートを形成する。この吸引工程は、シートがセンサ・アイ32により記録されるまで確保され、次に真空が停止される。シートは、冷却機構25によりその所望形状に冷却される。
【0016】
一例示実施形態では、成形金型10は、航空機の風防ガラスを形成するように構成されている。図1および図2に示すように、金型の周囲は、特定用途の形状に一致している。しかしながら、金型10は、種々の用途の条件に従ってシート16を種々の形状および輪郭に成形するように構成できる。下方半部14は、内部空間26を形成する底壁42と、4つの側壁44、46、48、50とを有している。側壁44、46、48、50は、それぞれ上縁部52、54、56、58を有しかつシート16の周縁部の端部形状を形成すべく、それぞれの長さに沿って選択的に輪郭が定められる。上縁部52、54、56、58は、下方半部14の内部に向かって下方に傾斜したべべル状に形成されるのが好ましい。上方半部12は、内部空間34を形成する頂壁62と、4つの側壁64、66、68、70とを有している。側壁64、66、68、70は、それぞれ下縁部72、74、76、78を有しかつ上縁部52、54、56、58と係合すべく、それぞれの長さに沿って対応する輪郭を有している。下縁部72、74、76、78は、べべル状上縁部52、54、56、58と対応係合するように、下方半部14の内部に向かって下方に傾斜したべべル状に形成されるのが好ましい。
【0017】
シート16は、上記特許文献1に開示されたものと同様な機構により金型内に保持される。また、ポリカーボネートシートをトリミングする機構も、上記特許文献1に開示されたものと同様な機構である。
【0018】
真空システム30は、下方半部14の底壁42を通して真空源に連結される。真空システム30は1つ以上のマニホルドを有している。ここでは、下方金型半部は3つのマニホルド92、94、96を有している。各マニホルドは、金型半部の底部を通って延びる真空源に連結される。マニホルド92、94、96は複数のポート98を有し、各ポートは調節弁100を備えている。図示のように、弁100は手動操作される。弁100は、マニホルドに対して所望角度で配置されている。これにより、真空源の「狙い」をシート16に向けることができる。或いは、弁をソレノイド弁で構成して、コンピュータ制御することもできる。弁100は、特定位置またはシート16に沿う位置の各弁で、真空源の独立制御を行うことができる。かくして、各弁の真空を調節することにより、シート16を、該シートに沿う種々の位置で金型内に吸引することができる。これにより、シートをより深く吸引させるべき領域またはシートの表面形状を変えるべき領域に向かう真空の方向を制御できる。
【0019】
マニホルド92、94は、下方金型半部14の周辺に配置するのが好ましい。マニホルド96は、金型半部の中央近くに配置される。弁100の角度および方向は、成形すべきシートの特定設計に適合するように変えることができる。シートを好ましい位置で金型内に吸引するには、周辺に沿う弁を実質的に幅広に開き、全真空がシートに向くようにするのが好ましいことが判明している。中央マニホルド96は、シートを特定位置で所望形状に吸引すべく、1/2より小さい開度で開かれる。通常、中央マニホルドの弁は約40%の開度で開かれる。かくして、各ポートは、シートに沿う位置で真空源の独立的制御を行うことができる。かくして、シート16に沿う特定位置で、吸引深さを制御できる。
【0020】
センサ・アイ32は、マニホルド92、94、96に隣接して配置できる。通常、センサは、吸引深さを制御するアイを備えた超音波形式のセンサである。上記特許文献1に開示されたものと同様な検出システムを使用することもできる。
【0021】
上方半部14の頂壁内面には、冷却機構を配置しかつ固定的に取付けることができる。冷却機構は、上記特許文献1に開示されたものと同様なもので構成できる。
【0022】
コントローラが設けられており、該コントローラは、検出機構32および冷却機構を含む成形金型10の種々のコンポーネンツに電気的に接続されている。特定実施形態に基いて、コントローラ200は、レーザまたはウォータージェットトリミング機構に電気的に接続して、これらの作動を制御するように構成することもできる。コントローラ200は、詳細に後述する成形工程を制御する。
【0023】
本発明は、好ましくは詳細に上述した成形金型10を用いて、ポリマー材料のシート16を成形する方法を提供する。本発明の方法を以下に説明する。最初に、シート16をフレーム18内に装填する。シート16は、該シートがガラスの遷移点を超えてガラス遷移段階を達成し、これにより粘性を帯びまたはゴム状になるまで数段階で加熱される。しかしながら、シートは、融点に到達して溶融しかつスクラップになるまで加熱すべきでないことに留意すべきである。加熱段階の数、それぞれの段階での加熱時間および加熱温度は、使用される材料の種類および厚さに従って変えることができる。シートを数段階で加熱することにより、さもなくば生じるであろうシート表面のブリスタリング(気泡発生)を防止できる。
【0024】
シート16は、次に成形段階に移行され、シートの下面102が側壁44、46、48、50の上縁部52、54、56、58上に載置されるようにして、下方半部14の頂部上に置かれる。上方半部12が下方半部14と整合して下降され、これにより、上方半部の側壁64、66、68、70の下縁部72、74、76、78がシート16の上面104と係合して、上方半部12と下方半部14との間にシート16が保持される。フレーム18がシート16の周囲を剛性形態で保持し、これにより、シート16は、成形金型10内に包囲されると、引っ張られかつ引伸ばされる。同時に、保持機構が下向きの力を加え、シート16の下面102を側壁44、46、48、50の上縁部52、54、56、58に押し付けて該上縁部と気密係合させ、これらの間に気密シールを形成する。また、シート16の縁部が、成形金型10の周辺形状に従ってトリミングされる。好ましい実施形態によれば、シート16のトリミングは、上方半部12と下方半部14とを閉じると同時に行われる。しかしながら、他の実施形態では、トリミングは、上下の半部12、14が閉じた後に行うことができる。或いは、トリミング作業は、シート16が成形された後に行うこともできる。
【0025】
シート16がひとたび上下の半部12、14の間に保持されたならば、弁100およびマニホルドポート98を介して下方半部14の内部空間26から空間を吸引することにより、内部空間26内に真空が発生される。真空は、シート16の下面102と、側壁44、46、48、50の上縁部52、54、56、58との間の気密シールにより達成できる。真空ポート98は、シートの適正吸引を確保するようにシートに向けることができる。また、各ポートの真空源は、その弁100を介して制御できる。この結果、シート16は、内部空間26内への方向が制御された真空力により下方に吸引され、これにより所望の形状が形成される。検出機構32は、シートが内部空間26内で特定吸引経路を達成する時点を検出する。この吸引経路を達成するシート16を検出すると、冷却機構が作動されて、シート16をそのガラス遷移点より低い温度に冷却し、これにより再び剛性状態を達成する。冷却工程中は真空が定常状態に保持され、シート16が充分に冷却されるまで真空が緩和されることはない。シートの冷却時間は、上記各作動を制御するコントローラ200によりモニタされる。シート16が充分に冷却されたならば、下方半部14および上方半部12の吸引力が緩和される。余剰のシート材料と一緒にフレーム18も引っ込められ、これにより、成形されたシート16を成形金型10から取出すべくアクセスできるようになる。シート16の周縁部を掴んで残りの工程を通して搬送するのに、第二クランピング機構が使用される。
【0026】
成形工程の後、余剰材料を再処理すべく、フレームおよび余剰材料が運び出され、成形されたシート16は、目的製品を作るべく幾つかの仕上げ加工を受ける。これらの段階として、好ましくは、第一品質チェック工程、それぞれの工程でのプライマ(下塗り)およびコーティング段階、および第二品質チェックがある。第一および第二品質チェックは、ポリマーシート16の何らかの歪み、スクラッチおよび/または擦過傷についてチェックすべく、カメラ等の光学的手段を用いて達成するのが好ましい。プライマおよびコーティング段階として、好ましくは、ディッピングまたはスプレーによるプライミング、プライマ乾燥副工程、ハードコート塗布副工程、ハードコート乾燥副工程がある。しかしながら、ここに述べる仕上げ工程は本質的な単なる例示であり、当業界で一般的に知られている他の多くの仕上げ工程のうちの任意の工程に置換できる。完成シート16は、最後に顧客に配送すべくパッケージングされる。
【0027】
少なくともプライマおよびコーティング段階は、シート16に流れのない適正コーティングを確保すべく、厳格な温度、湿度および塵埃管理の下で行われることに留意すべきである。プライマコートは、シート16およびトップコート(上塗り)にクリヤで歪みのない接合を付与できる任意の適当な材料で形成できる。現在、好ましいプライマおよびトップコーティング材料として、General Electric Co.(ゼネラルエレクトリック社)から供給され、フローコーティング法により塗布される実験材料があり、この実験材料は、この目的で使用できる、現在入手可能な材料よりもかなり長い8−10年の優れた寿命が得られると考えられている。プライマおよびハードコートは、シート16の両面に塗布するのが好ましい。
【0028】
本願の上記説明は、ポリマー材料を成形するための全体としてリニアな加工ラインを述べたが、当業者ならば、加工ラインのレイアウトは変えることができることは理解されよう。例えば、加工ラインをロータリラインとして、加工工程を全体として円形に構成することも考えられる。この方法では、シート16は、完成製品を形成するための各加工段階を通って、円形レイアウトの回りで回転される。
【0029】
本発明の好ましい実施形態は上記長所を得るのに良く適しているが、本発明は、特許請求の範囲に記載の適正範囲または公正な意味から逸脱することなく種々の変更が考えられることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】成形金型を示す斜視図である。
【0031】
【図2】真空システムを備えた金型半部を示す平面図である。
【0032】
【図3】図2の3−3線に沿う金型半部を通る断面図である。
【0033】
【図4】図2の4−4線に沿う断面図である。
【0034】
【図5】図2の5−5線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0035】
10 成形金型
12 上方金型半部
14 下方金型半部
16 シート
25 冷却機構
30 真空システム
32 センサ・アイ(検出機構)
92 マニホルド
98 ポート
100 調節弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一内部空間を形成する底壁および第一側壁を備えた第一金型半部を有し、第一側壁は第一縁部を備え、
第二内部空間を形成する頂壁および第二側壁を備えた第二金型半部を有し、第二側壁は第二縁部を備え、
第一および第二半部は、第一縁部と第二縁部との間にシートをクランプし、シートを第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内に吸引するための真空機構を有し、該真空機構は複数の制御可能な真空ポートを備え、該複数の制御可能な真空ポートは、前記金型半部の回りに配置され、真空源をシートの特定部分に指向させ、
前記第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内でのシートの吸引深さを検出する機構を更に有していることを特徴とするポリマー材料のシートの成形装置。
【請求項2】
前記複数のポートは、シートの特定部分に真空を指向させる複数のポートで真空源を変える機構を備えていることを特徴とする請求項1記載の成形装置。
【請求項3】
前記機構は、前記複数のポートの各ポートの弁を備えていることを特徴とする請求項2記載の成形装置。
【請求項4】
前記複数のポートは、第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間の周辺に隣接して配置されていることを特徴とする請求項1記載の成形装置。
【請求項5】
前記複数のポートの多くが、第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間の中央近くに配置されていることを特徴とする請求項4記載の成形装置。
【請求項6】
第一内部空間を形成する底壁および第一側壁を備えた第一金型半部を有し、第一側壁は第一縁部を備え、
第二内部空間を形成する頂壁および第二側壁を備えた第二金型半部を有し、第二側壁は第二縁部を備え、
第一および第二半部は、第一縁部と第二縁部との間にシートをクランプし、シートを第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内に吸引するための真空機構を有し、該真空機構は1つ以上のマニホルドを備え、該1つ以上のマニホルドは複数のポートを有し、各ポートは、シートの特定部分に真空源を指向させて、シートの特定部分を前記第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内に吸引する、独立的に制御される真空源を備え、
前記第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内でのシートの吸引深さを検出する機構を更に有していることを特徴とするポリマー材料のシートの成形装置。
【請求項7】
少なくとも2つのマニホルドを更に有することを特徴とする請求項6記載の成形装置。
【請求項8】
前記マニホルドのうちの1つのマニホルドは、前記第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間の周辺に隣接して配置されていることを特徴とする請求項7記載の成形装置。
【請求項9】
前記マニホルドのうちの1つのマニホルドは、前記第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間の中央に隣接して配置されていることを特徴とする請求項7記載の成形装置。
【請求項10】
前記各ポートはその真空源を独立的に制御して、真空源をシートの特定部分に指向させる弁を有していることを特徴とする請求項6記載の成形装置。
【請求項11】
シートを第一温度に加熱する段階と、
シートをその周縁部に沿って、成形金型の第一金型半部と第二金型半部との間で保持する段階と、
シートの一方の側に真空を発生させて、シートを、前記第一および第二金型半部のうちの一方の金型半部の内部空間内に吸引する段階と、
前記第一および第二金型半部のうちの一方の金型半部の前記内部空間内の特定位置の真空を制御して該特定位置に異なる真空圧力を発生させ、特定位置での内部空間内へのシートの吸引を増大させる段階と、
前記第一および第二金型半部のうちの一方の金型半部内でのシートの特定吸引深さが達成されたときに、シートを前記第一温度から第二温度に冷却する段階とを有することを特徴とするポリマー材料のシートの成形方法。
【請求項12】
前記金型半部の周縁部の少なくとも一部に隣接する第一真空を吸引する段階を更に有することを特徴とする請求項11記載の成形方法。
【請求項13】
前記内部空間の中央に隣接する第二真空を吸引する段階を更に有することを特徴とする請求項12記載の成形方法。
【請求項14】
前記第一真空は第二真空より大きいことを特徴とする請求項13記載の成形方法。
【請求項15】
前記特定位置で複数の独立的真空を発生させる段階を更に有することを特徴とする請求項11記載の成形方法。
【請求項16】
前記特定位置での真空圧力を制御する段階を更に有することを特徴とする請求項15記載の成形方法。
【請求項17】
前記内部空間内に1つ以上のマニホルドを配置しかつ前記1つ以上のマニホルドを通して真空を吸引する段階を更に有することを特徴とする請求項11記載の成形方法。
【請求項1】
第一内部空間を形成する底壁および第一側壁を備えた第一金型半部を有し、第一側壁は第一縁部を備え、
第二内部空間を形成する頂壁および第二側壁を備えた第二金型半部を有し、第二側壁は第二縁部を備え、
第一および第二半部は、第一縁部と第二縁部との間にシートをクランプし、シートを第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内に吸引するための真空機構を有し、該真空機構は複数の制御可能な真空ポートを備え、該複数の制御可能な真空ポートは、前記金型半部の回りに配置され、真空源をシートの特定部分に指向させ、
前記第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内でのシートの吸引深さを検出する機構を更に有していることを特徴とするポリマー材料のシートの成形装置。
【請求項2】
前記複数のポートは、シートの特定部分に真空を指向させる複数のポートで真空源を変える機構を備えていることを特徴とする請求項1記載の成形装置。
【請求項3】
前記機構は、前記複数のポートの各ポートの弁を備えていることを特徴とする請求項2記載の成形装置。
【請求項4】
前記複数のポートは、第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間の周辺に隣接して配置されていることを特徴とする請求項1記載の成形装置。
【請求項5】
前記複数のポートの多くが、第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間の中央近くに配置されていることを特徴とする請求項4記載の成形装置。
【請求項6】
第一内部空間を形成する底壁および第一側壁を備えた第一金型半部を有し、第一側壁は第一縁部を備え、
第二内部空間を形成する頂壁および第二側壁を備えた第二金型半部を有し、第二側壁は第二縁部を備え、
第一および第二半部は、第一縁部と第二縁部との間にシートをクランプし、シートを第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内に吸引するための真空機構を有し、該真空機構は1つ以上のマニホルドを備え、該1つ以上のマニホルドは複数のポートを有し、各ポートは、シートの特定部分に真空源を指向させて、シートの特定部分を前記第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内に吸引する、独立的に制御される真空源を備え、
前記第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間内でのシートの吸引深さを検出する機構を更に有していることを特徴とするポリマー材料のシートの成形装置。
【請求項7】
少なくとも2つのマニホルドを更に有することを特徴とする請求項6記載の成形装置。
【請求項8】
前記マニホルドのうちの1つのマニホルドは、前記第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間の周辺に隣接して配置されていることを特徴とする請求項7記載の成形装置。
【請求項9】
前記マニホルドのうちの1つのマニホルドは、前記第一および第二内部空間のうちの一方の内部空間の中央に隣接して配置されていることを特徴とする請求項7記載の成形装置。
【請求項10】
前記各ポートはその真空源を独立的に制御して、真空源をシートの特定部分に指向させる弁を有していることを特徴とする請求項6記載の成形装置。
【請求項11】
シートを第一温度に加熱する段階と、
シートをその周縁部に沿って、成形金型の第一金型半部と第二金型半部との間で保持する段階と、
シートの一方の側に真空を発生させて、シートを、前記第一および第二金型半部のうちの一方の金型半部の内部空間内に吸引する段階と、
前記第一および第二金型半部のうちの一方の金型半部の前記内部空間内の特定位置の真空を制御して該特定位置に異なる真空圧力を発生させ、特定位置での内部空間内へのシートの吸引を増大させる段階と、
前記第一および第二金型半部のうちの一方の金型半部内でのシートの特定吸引深さが達成されたときに、シートを前記第一温度から第二温度に冷却する段階とを有することを特徴とするポリマー材料のシートの成形方法。
【請求項12】
前記金型半部の周縁部の少なくとも一部に隣接する第一真空を吸引する段階を更に有することを特徴とする請求項11記載の成形方法。
【請求項13】
前記内部空間の中央に隣接する第二真空を吸引する段階を更に有することを特徴とする請求項12記載の成形方法。
【請求項14】
前記第一真空は第二真空より大きいことを特徴とする請求項13記載の成形方法。
【請求項15】
前記特定位置で複数の独立的真空を発生させる段階を更に有することを特徴とする請求項11記載の成形方法。
【請求項16】
前記特定位置での真空圧力を制御する段階を更に有することを特徴とする請求項15記載の成形方法。
【請求項17】
前記内部空間内に1つ以上のマニホルドを配置しかつ前記1つ以上のマニホルドを通して真空を吸引する段階を更に有することを特徴とする請求項11記載の成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2007−301998(P2007−301998A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127586(P2007−127586)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(507156037)
【氏名又は名称原語表記】EDWIN J.OAKEY
【住所又は居所原語表記】43056 W. Kirkwood Drive Clinton Township, Michigan 48038 United States of America
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(507156037)
【氏名又は名称原語表記】EDWIN J.OAKEY
【住所又は居所原語表記】43056 W. Kirkwood Drive Clinton Township, Michigan 48038 United States of America
【Fターム(参考)】
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