説明

金属化フィルム

提供されているのは、例えば、包装用途に用いられ得る多層フィルム構造体である。多層フィルム構造体は、第1の金属化熱可塑性フィルムおよび第2の熱可塑性フィルムを有する。これらの第1および第2のフィルムは、それらの表面積の少なくとも一部を重ねて互いに直接結合していて、構造「第1の熱可塑性フィルム/金属層/第2の熱可塑性フィルム」を有するラミネートを形成する。フィルムの熱可塑性層は、同一または異なっていてよく、1種類以上のエチレン酸コポリマーまたはそのアイオノマーを含む。第1の金属化熱可塑性フィルムの光学密度は3以下である。第1の金属化熱可塑性フィルムおよび第2の熱可塑性フィルムは、ヒートシーリングにより結合して、構造「熱可塑性フィルム/金属層/熱可塑性フィルム」を形成し、その内部シール強度は、少なくとも約4N/15mmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法35条120項に従って、その全文が参照として援用される2007年3月15日出願の米国仮特許出願第60/918,153号明細書の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、多層フィルム構造体に関する。特に、本発明は、内部金属化層と、金属化層に対する良好な内部接着力を有する多層フィルム構造体に関する。これらの多層フィルム構造体は、例えば、包装用途に用いられる。
【背景技術】
【0003】
本発明の関連する最新技術をより完全に説明するために、いくつかの特許および文献を引用している。これら各特許および文献の全開示内容が参考文献として援用される。
【0004】
金属化ポリマーフィルムは、フレシキブル包装に広く用いられている。それらは、装飾、光バリアまたは反射板、ガスバリア、断熱または導体等の1つ以上の機能を果たす。従来の金属化フィルムは、典型的に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(boPET)および二軸延伸ポリプロピレン(boPP)ベースである。
【0005】
しかしながら、概して、金属化表面への良好な接着力を達成するのは難しい。この接着力を改善する目的で、フランス特許公開第2850975 A1号明細書には、不飽和カルボン酸と共グラフトされたプロピレン系バインダーにより、金属化フィルムに適用されたboPPまたはboPETの層を含む多層が記載されている。さらにこれに関連して、国際公開第2003/072357号パンフレットには、金属化可能層としてメタロセンプロピレン(mPP)を含む多層配向ポリオレフィンフィルムが記載されている。さらに、欧州特許第885919 B1号明細書および米国特許第5,525,421号明細書には、ポリエステルフィルムまたは配向ポリプロピレン層ベースの、ポリビニルアルコールでコートされた金属化フィルムが記載されている。最後に、国際公開第2000/024967号パンフレットには、水性エチレンアクリルコポリマー分散液の形態の接着層でコートされた紙、カードまたはボード等の金属化基材が記載されている。
【0006】
しかしながら、これらの多層構造体は、金属とその基材との間の接着力が弱い。この接着力の弱さによって、多層構造体の劣化あるいは比較的短時間後または通常の使用条件下での剥離につながる。
【0007】
上記を考慮すると、金属化層を含み、金属に優れた内部接着力を有する多層フィルム構造体が現在必要とされている。さらに、金属化層を含み、容易に、かつ経済的に製造できる多層フィルム構造体が必要とされている。また、金属化層を含み、比較的長い時間にわたって、または通常から厳しい使用条件下で持続する優れたシール強度を有する多層フィルム構造体が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本明細書に記載されているのは、第1の金属化熱可塑性フィルムと第2の熱可塑性フィルムとを含む多層フィルム構造体である。これらの第1および第2のフィルムは表面積を有している。第1の金属化熱可塑性フィルムは、第1の熱可塑性フィルムと、第1の熱可塑性フィルムの表面積の少なくとも一部に直接コートされた金属層とを含む。第1および第2のフィルムは、それらの表面積の少なくとも一部を重ねて互いに直接結合していて、構造「第1の熱可塑性フィルム/金属層/第2の熱可塑性フィルム」を有するラミネートを形成する。
【0009】
第1および第2の熱可塑性フィルムは、同一または異なっていてもよく、独立して、1種類以上のエチレン酸コポリマーまたはそのアイオノマーを含む。エチレン酸コポリマーは、エチレンの共重合残基、3〜8個の炭素原子を有する1種類以上のα,β−不飽和カルボン酸の共重合残基、任意で、1種類以上のアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの共重合残基から本質的になる。
【0010】
金属層は、1種類以上の金属から本質的になり、3以下の光学密度を有する。
【0011】
最後に、第1の金属化熱可塑性フィルムおよび第2の熱可塑性フィルムを、少なくとも90℃の温度で加熱し、1.5〜7バールの圧力を、0.5〜4秒にわたって加えることにより結合して、「熱可塑性フィルム/金属層/熱可塑性フィルム」構造を形成するとき、第1の金属化熱可塑性フィルムと第2の熱可塑性フィルムとの間のシール強度は、少なくとも4N/15mmである。
【0012】
同じく、多層フィルム構造体を含むパウチも提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特定の場合に特に限定されない限り、以下の定義が、この明細書全体を通して使用される用語に当てはまる。
【0014】
さらに、別に定義しない限り、本明細書で用いる全ての技術および科学用語は、本発明の属する当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾がある場合には、本明細書の定義を含めた本明細書を優先する。
【0015】
本明細書に記載したものと同様または等価の方法および材料を、本発明の実施または試験に用いることができるが、好適な方法および材料を本明細書には記載している。
【0016】
本明細書で使用される「約」という用語は、量、大きさ、配合、パラメーター、および他の数量および特性が、厳密ではない、かつ厳密である必要がないが、所望どおりの、近似の、かつ/またはより大きなまたは小さな、反射許容差、換算係数、端数処理、測定誤差等、および当業者に公知の因子であり得ることを意味する。一般に、量、大きさ、配合、パラメーターまたは他の数量または特性は、そのようであることが明確に指定されているかどうかにかかわらず、「約」または「近似」である。
【0017】
本明細書で使用される「または」という用語は包括的であり;さらに具体的には、「AまたはB」は、「A、B、またはAとBの両方」を意味する。排他的な「または」は、「AまたはBのいずれか」および「AまたはBのうちの1つ」などの用語によって本明細書で示される。
【0018】
さらに、本明細書に記載の範囲は、限定された状況で明確に指定がない限り、その終点を含む。さらに、量、濃度、または他の値もしくはパラメーターが、ある範囲、1つまたは複数の好ましい範囲または好ましい上限値および好ましい下限値のリストとして示されている場合、これは、その対が別々に開示されているかどうかにかかわらず、上限範囲または好ましい値と、下限範囲または好ましい値との対から形成されるすべての範囲を具体的に開示するものとして理解される。
【0019】
さらに、ある範囲の数値を本明細書で示す場合、特定の状況において別段の指示がない限り、範囲は、その終点、範囲内の全ての整数および分数を含むものとする。本発明の範囲が、範囲を定義する場合に指定された特定の値に限定されるものではない。最後に、「約」という用語が、範囲の値または終点を記載するのに用いられるとき、開示内容は、参照された特定の値または終点を含むと理解するものとする。
【0020】
材料、方法、または機械類が、「当業者に知られている」という用語、または類義語もしくは句によって本明細書中で記載されるとき、この用語は、本出願の出願時において一般的な材料、方法、または機械類が、本説明に包含されることを意味する。現在、一般的ではないが、類似の目的のために好適であると当技術分野で認められることになるであろう材料、方法、および機械類もまた包含される。
【0021】
本明細書で使用される「含む(comprises、comprising、includes、including、containing)」、「特徴とする(characterized by)」「有する(has、having)」、またはこれらの任意のその他の同義語または変形例は、非排他的な包含を指すものとする。例えば、要素の具体的なリストを含むプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもこれらの具体的にリストされた要素に限定されず、明確にリストされていない、あるいはかかるプロセス、方法、物品、または装置に固有なその他の要素を含んでもよい。
【0022】
移行句「〜からなる(consists of)」は、請求項において規定されていない要素、工程または成分を排除し、通常附随する不純物を除いて、列挙された以外の材料を請求項に含めない。句「〜からなる(consists of)」が、前段の直後ではなく請求項の本文に現れるとき、それは、その本文に示された要素を限定するにすぎない。他の要素は全体として請求項から除外されない。
【0023】
移行句「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲を特定の材料または工程および請求された発明の基本的および新規な特徴に大きな影響を与えないものに限定する。請求項の「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」は、「〜からなる(consisting of)」形式で書かれるクローズドクレームと「含む(comprising)」形式で書かれる完全オープンクレームとの間の中立的立場をとる。
【0024】
本発明またはその一部を、「含む(comprising)」等の広い解釈ができる用語で記載した場合、特定の状況において別段の指示がない限り、この記載には、上記に定義したとおり、「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」および「〜からなる(consisting of)」を用いた本発明の記載も含まれる。
【0025】
不定冠詞「a」および「an」は、本発明の要素および成分を記載するために使用される。これらの冠詞の使用は、これらの要素または成分のうち1つまたは少なくとも1つが存在することを意味する。これらの冠詞は、通常、被修飾名詞が単数名詞であることを表すために用いられるが、特定の状況において別段の指示がない限り、本明細書で用いる冠詞「a」および「an」には複数も含まれる。同様に、本明細書で用いる定冠詞「the」もまた、この場合も、特定の状況において別段の指示がない限り、被修飾名詞が単数または複数であってもよいことを表す。
【0026】
本明細書で用いる、用語「コポリマー」は、共重合単位または2つ以上のコモノマーの共重合から得られる残基を含むポリマーのことを指す。これに関連して、コポリマーは、本明細書において、構成コモノマーまたは構成コモノマーの量を参照して、例えば、「エチレンと9重量%のアクリル酸を含むコポリマー」または同様の記載により、記載される。かかる記載は、共重合単位としてコモノマーは参照されない、例えば、Union of Pure and Applied Chemisty(IUPAC)命名法による、コモノマーに通常の命名は含まれない、プロダクト・バイ・プロセスの用語は用いないという点または他の理由から、通常のものと考えられる。しかしながら、本明細書で用いる、構成コモノマーまたはその構成コモノマーの量を参照するコポリマーの記載は、コポリマーが、特定のコモノマーの共重合単位(指定されたときは指定量で)を含有することを意味する。当然のことながら、コポリマーは、そのように限定された状況で明示的な指示のない限り、ある量のあるコモノマーを含有する反応混合物の生成物ではないということになる。
【0027】
材料、方法および例は、特に指示する場合を除き、例示に過ぎず、限定しようとするものではない。
【0028】
本明細書に規定されたパーセンテージ、部、比等は全て、特定の例において別段の指示がない限り、重量当たりである。
【0029】
多くの理由から、いくつかは上にまとめたが、金属化ポリマーフィルムは、フレキシブル包装に広く用いられている。例えば、特定の金属化ポリマーフィルムは、熱の漏れを減じ、優れた絶縁効果を与える目的で開発されてきた。従って、金属化表面は、放射による伝熱を最少にするために用いられてきた。さらに、金属化フィルムは、酸素や水分等のガスに対する不透バリアを提供することができる。これは、食品やその他敏感な製品用の包装の重要な特徴である。
【0030】
好適な金属化フィルムは、例えば、スパッタリング、電子ビーム加熱、イオンめっきおよび直接真空金属化プロセス等の通常の方法により作製することができる。概して、真空で実施されるプロセスが本発明で用いるのに好ましい。
【0031】
特に好ましいのは、基材、概して、ポリマー層が真空チャンバに導入され、基材表面上に気化した金属が堆積する真空金属化プロセスである。かかる方法は、典型的に、大気圧より低い圧力まで両方共排気された2つのセクションに分割されたチャンバからなる通常のメタライザで実施してよい。概して、10-2〜10-6バール、好ましくは10-3〜10-4バールの真空を用いる。
【0032】
基材のリールまたはロール、すなわち、非金属化ポリマー層が、2つのセクションのうち1つに配置されている。非金属化基材が、リールまたはロールから他方のセクションへ通過し、そこで、金属が気化し、基材の表面に堆積する。概して、基材が金属化チャンバを運ばれる速度は、約1〜約10m/s、好ましくは約2〜約6m/sの速度である。金属化チャンバにおいて、基材は、−5℃〜−35℃の温度に維持された冷却シリンダ上を通る。金属化後、金属化フィルムは、通常、メタライザの第1のセクションに戻り、そこで、ロールまたはリールへと巻き戻される。
【0033】
金属層は、第1の熱可塑性フィルムの表面積の少なくとも一部に直接コートされる。好ましくは、金属層は、第1の熱可塑性フィルムの全表面積に直接コートされる。
【0034】
金属層の厚さは、典型的に、例えば、1ミクロン未満と非常に薄いため、直接測定するのは困難、不便または不経済である。X線蛍光または飛行時間型質量分析計等の特別な分析技術が必要である。このため、基材を金属化する量または程度は、通常、金属化基材の光学密度を測定することにより、間接的に求められる。本明細書で用いる用語「光学密度」は、試験試料を透過する光の強度対試験試料に入射した光の強度の比のことを指す。光学密度は、本明細書では、この比の対数(基底10)として記録される。例えば、光学密度1は、透過光の強度が、入射光の強度の十分の一(1/10または0.1)であることを示し、光学密度2は、透過光の強度が、入射光の強度の百分の一(1/100または0.01)であることを示す。
【0035】
光学密度を測定する条件(例えば、測定された温度、波長)は、典型的に、測定装置の要件により決まる。たいていの市販のメタライザは、光学密度を測定するためのイン・ラインデバイスを備えている。
【0036】
典型的な包装用途では、約2.2の光学密度値を有するフィルムが必要とされ、光またはガスに対するバリアを必要とする用途では、約2.4の光学密度値を有するフィルムが求められ、光、ガスまたは熱に対する優れたバリアを必要とする用途では、少なくとも約2.6の光学密度値を有するフィルムが求められる。
【0037】
本明細書に記載された多層フィルム構造体は、熱可塑性層上に直接コートされた金属層を含んでおり、光学密度が約3以下、あるいは、約2.6以下、約2.4以下、または約2.2以下の金属化熱可塑性フィルムを作製する。金属層はまた、本明細書では、「金属層」または「金属化層」と同義でありいずれを用いても変わりがない。
【0038】
好ましくは、金属層は、アルミニウム、鉄、銅、錫、ニッケル、銀、クロムおよび金からなる群から選択される1種類以上の金属を含む。アルミニウムを含む金属層が好ましく、アルミニウムから本質的になる金属層がより好ましい。
【0039】
本明細書に記載した多層フィルム構造体は、第1の金属化熱可塑性フィルムと第2の熱可塑性フィルムとを含む。第1の金属化熱可塑性フィルムは、第1の熱可塑性フィルムと、第1の熱可塑性フィルムの少なくとも一部に直接コートされた金属層とを含む。好ましくは、第1の熱可塑性フィルムおよび第2の熱可塑性フィルムは自立している。これについて、それは、典型的な接着層とは異なり、概して、自立していない。これに関して、本明細書に記載した熱可塑性フィルムのそれぞれの厚さは、好ましくは3〜100μmである。
【0040】
第1の金属化熱可塑性フィルムおよび第2の熱可塑性フィルムは、その表面積の少なくとも一部で、互いに直接結合していて、構造「第1の熱可塑性フィルム/金属層/第2の熱可塑性フィルム」を有するラミネートを形成する。本明細書で用いる「互いに直接結合した」という用語は、タイ層または接着層等の介在層を用いずに、しっかりと一緒に接合されたラミネートした層を指す。詳細は後述するが、この「フィルム接着力」の大きさは、好ましくは4N/15mm以上である。
【0041】
本明細書に記載した多層フィルム構造体は、経時または使用に際しての劣化または剥離に対して極めて抵抗性があるのが望ましい。熱可塑性フィルムと金属層間に強度な接着ボンドまたはシール強度が得られるのが好ましい。本明細書で用いる「シール強度」という用語は、張力をかけたシールを破断するのに必要な熱可塑性フィルムの幅当たりの力の大きさを指す。従って、シール強度は、本明細書に記載した多層構造体の、その層の分離に対する能力の尺度である。多層フィルム構造体は、この抵抗を経時にわたって維持するシール強度を示すのが好ましい。言い換えると、シール強度は、少なくとも約2週間、より好ましくは約4週間の期間にわたって一定であるのが好ましい。シール強度に関して本明細書で用いる「一定」という用語は、ヒートシールを形成した後約24時間以内に測定された値の約10%以内である、後に測定された値のことを指す。
【0042】
本明細書に記載した多層構造体は、熱可塑性フィルムの15mmの幅にわたって、この構造体を分離するのに、4N以上の力を加えなければならないときに、剥離に対して適切な抵抗性があるものと考えられる。さらに、多層構造体は、そのシール強度が、少なくとも約2週間または少なくとも約4週間にわたって一定であるときに、適切な抵抗性があるものと考えられる。多層構造体は、剥離と劣化の両方に対して適切な抵抗性があるのが好ましい。シール強度は、当該技術分野において公知の手段により測定され、例えば、Zwick Roell,AG(Ulm,Germany)より入手可能な引張り試験機で、引張り角度180°およびヘッド速度100mm/分で測定されるのが好ましい。
【0043】
第1および第2の熱可塑性フィルムが、1種類以上の独立して選択されるエチレン酸コポリマーまたはそのアイオノマーを含むとき、金属層と熱可塑性フィルム間の接着力は十分で、多層フィルム構造体の強度および耐久性も適切であることを見出した。特に、第1の金属化熱可塑性フィルムの基材である第1の熱可塑性フィルムと、第2の熱可塑性フィルムは同じ組成であってもよい。あるいは、それらは、異なる組成であってもよい。
【0044】
エチレン酸コポリマーは、エチレンと、3〜8個の炭素原子を含む1種類以上のα,β−エチレン化不飽和カルボン酸との共重合残基を含む。アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい酸コポリマーである。エチレン酸コポリマーは、任意で、第3の軟化モノマーを含有していてもよい。この「軟化」モノマーは、エチレン酸コポリマーの結晶化度を減少する。好適な「軟化」コモノマーは、アルキル基が1〜8個の炭素原子を有するアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートから選択される。
【0045】
エチレン酸コポリマーは、E/X/Yコポリマーと記載され、Eはエチレンの共重合単位を表し、Xはα,β−エチレン化不飽和カルボン酸の共重合単位を表し、Yは軟化コポリマーの共重合単位を表す。エチレン酸コポリマー中のXの量は、エチレン酸コポリマーの総重量に基づいて、約1〜約20、好ましくは9〜20、より好ましくは12〜15wt%、Yの量は、0〜約30wt%、好ましくは2〜15wt%、より好ましくは4〜12wt%である。コポリマーの残部は、エチレンの共重合残基を含む、または本質的になる。
【0046】
好ましいのは、コポリマーのYが0%であるエチレン酸コポリマーである。すなわち、エチレンと、3〜8個の炭素原子を含む1種類以上のα,β−エチレン化不飽和カルボン酸の共重合残基から本質的になるE/Xジポリマーが好ましい。これらの好ましいエチレン酸コポリマーの具体例としては、これらに限られるものではないが、エチレン/アクリル酸およびエチレン/メタクリル酸ジポリマーが挙げられる。
【0047】
また、好適なエチレン酸コポリマーのメルトフローインデックスは、ASTM法D1238により、190℃で、2160gの重りを用いて測定すると、10〜30デシグラム/10分、好ましくは20〜30デシグラム/10分、より好ましくは23〜28デシグラム/10分である。
【0048】
最後に、エチレン酸コポリマーの調製方法は公知である。高レベルの酸(X)を備えたエチレン酸コポリマーは、米国特許第5,028,674号明細書に記載された「共溶媒技術」を用いる連続重合装置で、または、低酸のコポリマーを調製するよりもやや高い圧力を用いることにより調製することができる。また、本明細書に記載した多層フィルム構造体に用いるのに好適なエチレン酸コポリマーは、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Delaware,U.S.A.)(以降、「DuPont」)よりNucrel(登録商標)という商品名で市販されている。
【0049】
本明細書で用いる「アイオノマー」という用語は、コポリマー中のカルボン酸基の少なくともいくつかを中和して、対応のカルボキシレート酸であるエチレン酸コポリマーのことを指す。好適なアイオノマーは、上述したエチレン酸コポリマーから調製することができる。
【0050】
具体的には、エチレン酸コポリマーを中和するのに好適な化合物としては、塩基性アニオンおよびアルカリ金属カチオン(例えば、リチウムまたはナトリウムまたはカリウムイオン)、遷移金属カチオン(例えば、亜鉛イオン)またはアルカリ土類金属カチオン(例えば、マグネシウムまたはカルシウムイオン)およびかかるカチオンの混合物または組み合わせを有するイオン化合物が挙げられる。エチレン酸コポリマーを中和するのに用いてよいイオン化合物としては、アルカリ金属ギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物またはアルコキシドが挙げられる。他の有用なイオン化合物としては、ギ酸アルカリ土類金属塩、酢酸塩、硝酸塩、酸化物、水酸化物またはアルカリ土類金属のアルコキシドが挙げられる。ギ酸遷移金属塩、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物またはアルコキシドを用いてもよい。好ましい中和剤は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、リチウムイオン、遷移金属イオン、アルカリ土類金属カチオンおよびこれらの2つ以上の組み合わせの源である。
【0051】
本明細書に記載した多層フィルム構造体に用いるのに好適なアイオノマーにおいて、酸部分は、1.0〜99.9等量%、好ましくは20〜75等量%、さらにより好ましくは20〜40等量%のレベルまで中和される。エチレン酸コポリマー中の目標量の酸部分の脱プロトン可能な中和剤の量は、単純な化学量論計算により求めることができる。このように、比較的単純なプロセスで、十分な塩基性化合物を利用でき、凝集体において、所望のレベルの中和が達成できる。中和反応は、ポリマーブレンドを作製するのに好適な装置、例えば、押し出し機で実施することができる。
【0052】
さらに、好適なアイオノマーのメルトフローインデックスは、ASTM法D1238により、190℃で、2160gの重りを用いて測定すると、1〜15デシグラム/10分、好ましくは約3〜6デシグラム/10分である。さらに、好適なアイオノマーの融点は、ASTM法D3417により測定すると、80〜110℃、好ましくは85〜95℃である。
【0053】
最後に、好適なアイオノマーおよびアイオノマーを製造する方法は、例えば、米国特許第3,264,272号明細書にさらに記載されている。本明細書に記載した多層フィルム構造体に用いるのに好適なアイオノマーも、Surlyn(登録商標)という商品名でDuPontより市販されている。
【0054】
本明細書に記載した多層フィルム構造体は、ヒートシーリングにより形成される。具体的に、第1の金属化熱可塑性フィルムおよび第2の熱可塑性フィルムを、少なくとも90℃の温度で加熱し、1.5〜7バールの圧力を、0.5s〜4sにわたって加えることにより結合して、構造「第1の熱可塑性フィルム/第1の金属層/第2の熱可塑性フィルム」を有するラミネートを形成する。
【0055】
好ましくは、第1および第2の熱可塑性フィルムは、自身に、または第1の金属層にヒートシール可能である。より好ましくは、第1および第2の熱可塑性フィルムは、自身および第1の金属層にヒートシール可能である。特に、「第2の熱可塑性フィルム」という用語は、第1の金属化熱可塑性フィルムの第1の熱可塑性フィルムの一部のことを指す。本明細書で用いる「ヒートシール可能」という用語は、0.5s〜4sの時間にわたって加えられる90℃以上の温度、1.5〜7バールの圧力で、融着可能なフィルムのことを指す。本明細書で用いる「自身にヒートシール可能」という用語は、自身の他の部分に、ラップシールまたは横断シールで、従来の加熱手段により、その構造的完全性を失うことなく、融着可能なフィルムのことを指す。好ましくは、第1の金属化熱可塑性フィルムは、0.5s〜4sの時間にわたって加えられる90℃以上の温度、1.5〜7バールの圧力で、融着可能なフィルムのことを指す。
【0056】
金属接着力をさらに改善する、または多層フィルム構造体の全体のコストを下げるために、熱可塑性フィルム中のエチレン酸コポリマーまたはアイオノマーを、1種類以上の追加のヒートシール可能なポリマーに部分的に交換することができる。追加のヒートシール可能なポリマーはまた、費用効率も高いのが好ましい。すなわち、エチレン酸コポリマーまたはアイオノマーのブレンドまたは化合から、追加のヒートシール可能なポリマーと共に処方された熱可塑性フィルムは、多層フィルム構造体のヒートシール性能特性、例えば、強度または耐久性の大幅な減少を伴わず、純エチレン酸コポリマーまたはアイオノマーに対して、コストが低い。
【0057】
好ましくは、1種類以上の追加のヒートシール可能なポリマーは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンメチルアクリレートコポリマー(EMA)、エチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)、エチレンエチルアクリレートコポリマー(EEA)およびこれらのブレンドからなる群から選択される。様々な種類のポリエチレンポリマーを用いてよく、例えば、低密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンまたはメタロセンポリエチレンを用いてもよい。
【0058】
1種類以上の追加のヒートシール可能なポリマーは、熱可塑性フィルムの組成物の総重量に基づいて、5〜90wt%、好ましくは10〜50wt%、より好ましくは20〜40wt%の量で存在していてよい。
【0059】
化合またはブレンドは、1種類以上のエチレン酸コポリマーおよび/またはそのアイオノマーと、1種類以上の追加のヒートシール可能なポリマーを、これらに限られるものではないが、単または二軸押し出し機、ブレンダー、ニーダー、Haakeミキサー、Brabenderミキサー、Banburyミキサー、ロールミキサー等の装置を用いる溶融混合をはじめとする当該技術分野において公知の方法を用いることにより化合することにより実施してよい。化合またはブレンドした組成物は、押出し、カレンダ加工、ホットラミネーション、フィルム鋳造またはフィルムブロー等の従来の技術により後に処理して、任意で、金属化基材として機能する好適な熱可塑性フィルムを形成してもよい。
【0060】
さらに提供されるのは、第1または第2の熱可塑性フィルムが3層共押し出し層を含む多層フィルム構造体である。第1の共押し出し層は、金属層(存在するとき)に近接しており、1種類以上のエチレン酸コポリマーおよび/またはそのアイオノマーを含む。第2の共押し出し層は、第1の共押し出し層に近接しており、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンメチルアクリレート(EMA)、エチレンブチルアクリレート(EBA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)およびこれらのブレンドからなる群から選択されるヒートシール可能なポリマーから本質的になる。第3の共押し出し層は第2の共押し出し層に近接していて、1種類以上のエチレン酸コポリマーおよび/またはそのアイオノマーを含む。第3の共押し出し層の組成は、独立して選択され、第1の共押し出し層の組成と同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、3層の共押し出し層は、隣接している、または、より好ましくは連続している。言い換えると、3層の共押し出し層は、より好ましくは、互いに直接結合している。
【0061】
さらに提供されるのは、上述した第1の金属化フィルムを含むシールされたパウチである。このパウチにおいて、金属層は、パウチの外側に向いている。パウチは、その長さに沿って、ラップシールでシールされていて、シールにおける無駄な材料を減じるのが好ましい。具体的に、ラップシールにおいて、金属化フィルムの2つの端部は重なって、熱可塑性フィルム層は、同じフィルムの金属化層にシールされている。パウチを好適な製品で充填した後、パウチを、その幅を超えて、好ましくは2つの交差シールにより、さらにシールする。交差シールにおいて、パウチの内部で包装された製品に向いた熱可塑性フィルム層は自身にシールされる。
【0062】
本明細書に記載した材料および方法を用いることにより、低シール初期温度を有する多層フィルム構造体を得ることが可能であり、ライン速度の増大、良好なホットタック強度、強固な耐久性および信頼性のあるヒートシールにつながる。
【0063】
本発明は、以下の実施例においてさらに記載されている。この実施例は、本発明をさらに詳細に説明するために提供される。本発明を実施するために本発明で企図される好ましい形式を示すこれらの実施例は、本発明を例証することを意図するものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0064】
多層フィルム構造体を作製するのに以下の材料を用いた。
アイオノマー:エチレンおよび15w%のMAA(メタクリル酸)を含むコポリマー、入手可能なカルボン酸部分の23%が中和され、金属対イオンが亜鉛(II)カチオンである。この製品は、Surlyn(登録商標)という商品名でDuPontより市販されている。
【0065】
実施例1(E1):25μmのアイオノマーフィルムを鋳造フィルムライン(Windmoeller&Hoelscher,Germany)で作製した。押し出し機温度を、160℃、190℃、220℃、240℃および250℃の温度プロフィールに従って、同じ長さの5つの押し出し機ゾーンについて設定した。ダイ(幅2.4m)の温度および接続パイプは両者共250℃に設定した。鋳造ロールの温度は20℃に設定した。ライン速度は100m/分であった。幅1.1m、長さ4000mのフィルムの2つのロールを同時に作製した。
【0066】
実施例2(E2):実施例1と同じフィルムを作製し、巻き取る前に、10kWの電力でオンラインでコロナ処理した。
【0067】
実施例3(E3):実施例1の方法に従って、アイオノマーフィルムを作製した。このフィルムの厚さは17μmであった。
【0068】
熱可塑性フィルムE1、E2およびE3を、真空メタライザ(Leybold(Germany))で、10-4バールの真空、4m/sの速度および−15℃のシリンダ温度で金属化した。金属化フィルムの光学密度は2.8であった。フィルムを巻き戻し、大気圧下で巻き戻した。厚さ25μmの2枚のフィルム(E1およびE2)を100m/分で巻き戻し、厚さ17μm(E1)のフィルムを最大速度12m/分で巻き戻して、ブロッキングによる破裂を避けた。
【0069】
比較の目的で、以下の3枚の従来の金属化フィルムのシール強度を測定した。
比較例1(C1):Hoch−Vakuum−Beschichtungs GmbH(Berlin,Germany)により金属化されたDuPont Teijin Films(Japan)よりMelinex(登録商標)800という商品名で供給された
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:12μm)。
【0070】
比較例2(C2):Exxon Mobil Corporation(Buffalo,New York,USA)よりMetallyte(登録商標)MM488(厚さ:18μm)という商品名で供給された金属化二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
【0071】
比較例3(C3):Pliant,USA(厚さ:25μm)より供給された金属化ポリエチレンフィルム。
【0072】
金属層とポリマー基材間の接着力は、破損しそうな力を加えることのできない、金属層の薄さのために、直接測定することは難しい。また、当業者に知られた「テープ接着力」方法では、異なる金属製フィルムの接着強度を必ずしも見分けられない。これは、ポリマーフィルムと金属製フィルム間の接着力が、金属層とテープの接着剤間の接着力より強いことが多いからである。このように、接着力は、金属製フィルムにシールされた厚い構造体のシール強度によって直接特徴付けられなかった。試料E1、E2およびE3の金属接着力を、試料C1、C2およびC3と比べるために、Al(35μm)/エチレン酸コポリマー(40μm、Nucrel(登録商標)3990E)の構造体を、これら6枚のフィルムのそれぞれの金属化表面にシールした。シーリングは、圧力3バール、温度160℃およびシーリング時間2秒の条件で、Sentinel heat sealer(Packaging industry(Massachusetts,USA)、Model 12AS)で行った。試料を周囲条件(23℃および30%RH)で保管し、シーリング後24時間、そのシール強度を、引張試験機(Zwick Roell,AG(Ulm,Germany))で、引張角度180°、100mm/分で測定した。いずれの場合も、試料C1、C2、C3、E1、E2およびE3の熱可塑性フィルムと金属層間の界面で、シールは破断した。この実験で測定したシール強度データを表1に示す。
【0073】
表1

【0074】
表1に示したデータによれば、試料E1、E2およびE3は、比較試料C1、C2およびC3よりも金属に対して強い接着力を与えることが分かる。特に、E1およびE2から形成された多層フィルム構造体のシールを破断するのに5〜6N/15mmの力が必要であり、試料E3から形成された多層フィルム構造体のシールを破断するのに4〜5N/15mmの力が必要である。これは、試料C1、C2およびC3から形成された多層フィルム構造体に比べて、シール強度において2倍の増大に対応している。
【0075】
また、試料E1を、上述した同じシーリング条件下で自身にシールして、構造「金属層/熱可塑性フィルム/熱可塑性フィルム/金属層」、「熱可塑性フィルム/金属層/熱可塑性フィルム/金属層」および「熱可塑性フィルム/金属層/金属層/熱可塑性フィルム」を有する一連の多層フィルムを形成した。シール強度を上述した方法により測定した。この実験の結果を表2に示す。
【0076】
表2

【0077】
表2のデータによれば、試料E1の熱可塑性フィルムが、自身と試料の金属層の両方にヒートシール可能であることが分かる。さらに、試料E1の熱可塑性フィルムの試料の金属層に対するシール強度を、シール形成後4週間測定したところ、4.5〜5.0N/15mmの値であった。
【0078】
理論に固執するのは望まないが、通常、アイオノマーと金属ホイルまたは金属製フィルム間の良好な接着力は、アイオノマーの非中和酸基と酸化金属層の表面ヒドロキシル基間の共有結合を形成する化学反応によるものと考えられる。酸化金属層は、例えば、周囲大気条件に露出した結果として、酸素または水と接触する、金属ホイルまたは金属化フィルムの表面に形成される。しかしながら、金属層の酸化は、酸素および水を試薬としてあまり利用できないため、高真空下のメタライザにおいてかなりの程度まではなされないものと仮定される。従って、金属化層のそのアイオノマー基材への接着力が比較的強いことは意外である。さらに、これに関連して、試料E2における熱可塑性フィルムのコロナ処理によって、金属接着力のさらなる改善につながらないことも注記しておく。
【0079】
本発明の特定の好ましい実施形態が上述され、具体的に例示されているが、本発明をかかる実施形態に限定するものではない。以下の特許請求の範囲に記載のように、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、種々の修正を加えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属化熱可塑性フィルムと第2の熱可塑性フィルムとを含む多層フィルム構造体であって、前記第1および前記第2のフィルムは、表面積を有し、前記第1の金属化熱可塑性フィルムは、第1の熱可塑性フィルムと、前記第1の熱可塑性フィルムの表面積の少なくとも一部に直接コートされた金属層とを含み、前記第1および前記第2のフィルムは、それらの表面積の少なくとも一部を重ねて互いに直接結合していて、構造「第1の熱可塑性フィルム/金属層/第2の熱可塑性フィルム」を有するラミネートを形成し、
前記第1および第2の熱可塑性フィルムは、同一または異なっていてもよく、独立して、1種類以上のエチレン酸コポリマーまたはそのアイオノマーを含み、前記1種類以上のエチレン酸コポリマーは、エチレンの共重合残基、3〜8個の炭素原子を有する1種類以上のα,β−不飽和カルボン酸の共重合残基、任意成分であるアルキル基が1〜8個の炭素原子を含む1種類以上のアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの共重合残基から本質的になり、
前記金属層が、1種類以上の金属から本質的になり、3以下の光学密度を有し、
前記第1の金属化熱可塑性フィルムおよび前記第2の熱可塑性フィルムを、少なくとも90℃の温度で加熱し、1.5〜7バールの圧力を、0.5〜4秒にわたって加えることにより結合して、「熱可塑性フィルム/金属層/熱可塑性フィルム」構造を形成するとき、前記第1の金属化熱可塑性フィルムと前記第2の熱可塑性フィルムとの間のシール強度が、少なくとも4N/15mmである、多層フィルム構造体。
【請求項2】
シール形成後24時間以内に測定した前記シール強度が、シール形成後少なくとも2週間で測定したシール強度の10%以内である請求項1に記載の多層構造体。
【請求項3】
シール形成後24時間以内に測定した前記シール強度が、シール形成後少なくとも4週間で測定したシール強度の10%以内である請求項1に記載の多層構造体。
【請求項4】
前記1種類以上のエチレン酸コポリマーが、エチレンの共重合残基およびアクリル酸またはメタクリル酸の共重合残基から本質的になる請求項1、2または3のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項5】
前記1種類以上のアイオノマーが、1種類以上のエチレン酸コポリマーの酸性基の1.0〜99.9%を中和することにより得られ、対イオンが、ナトリウム、カリウム、亜鉛、マグネシウム、リチウム、またはナトリウム、カリウム、亜鉛、マグネシウムおよびリチウムのうち2つ以上の組み合わせを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項6】
前記アイオノマーが、酸性基の20〜75%を中和することにより得られる請求項5に記載の多層構造体。
【請求項7】
前記α,β−不飽和カルボン酸の共重合残基の総量が、前記1種類以上のエチレン酸コポリマーの総重量の1〜20wt%である請求項1〜6のいずれか1項に多層構造体。
【請求項8】
前記α,β−不飽和カルボン酸の共重合残基の総量が、前記1種類以上のエチレン酸コポリマーの総重量の9〜20wt%である請求項7に多層構造体。
【請求項9】
前記第1または第2の熱可塑性フィルムが、1種類以上の追加のヒートシール可能なポリマーを含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項10】
前記第1および第2の熱可塑性フィルムのうち1つが、5〜90wt%の1種類以上の追加のヒートシール可能なポリマーを含み、または前記第1および第2の熱可塑性フィルムのそれぞれが、独立して、5〜90wt%の1種類以上の追加のヒートシール可能なポリマーを含み、前記第1および第2の熱可塑性フィルム中の前記1種類以上の追加のヒートシール可能なポリマーおよび前記1種類以上の追加のヒートシール可能なポリマーの量は、同一または異なっていてもよく、重量パーセンテージは、前記熱可塑性フィルムの総重量に基づいている、請求項9に記載の多層構造体。
【請求項11】
前記1種類以上の追加のヒートシール可能なポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンメチルアクリレートコポリマー(EMA)、エチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)、エチレンエチルアクリレートコポリマー(EEA)およびこれらのブレンドからなる群から独立して選択される請求項10に記載の多層構造体。
【請求項12】
前記金属層が、アルミニウム、鉄、銅、錫、ニッケル、銀、クロムおよび金からなる群から選択される1種類以上の金属を含む請求項1〜11のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項13】
前記第2の熱可塑性フィルムが、前記第2の熱可塑性フィルムおよび前記第2の熱可塑性フィルム上に直接コートされた前記第1の金属層と同一または異なっていてもよい第2の金属層を含む第2の金属化熱可塑性フィルムであり、前記ラミネートが、構造「第1の熱可塑性フィルム/第1の金属層/第2の熱可塑性フィルム/第2の金属層」を有する請求項1〜12のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項14】
前記第1の熱可塑性フィルムまたは前記第2の熱可塑性フィルムが、
a.前記金属層に近接していて、1種類以上のエチレン酸コポリマーおよび/またはそのアイオノマーを含む第1の共押し出し層、
b.前記第1の共押し出し層に近接していて、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンメチルアクリレート(EMA)、エチレンブチルアクリレート(EBA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)およびこれらのブレンドからなる群から選択されるヒートシール可能なポリマーから本質的になる第2の共押し出し層、
c.前記第1の共押し出し層と同一または異なっていてよく、前記第2の共押し出し層に近接していて、1種類以上のエチレン酸コポリマーおよび/またはそのアイオノマーを含む第3の共押し出し層の
3つの共押し出し層を含む請求項1〜13のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項15】
前記第1および第2の熱可塑性フィルムが、同一または異なっていてもよく、3〜100μmの厚さを有している請求項1〜14のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の前記多層構造体を含むシールされたパウチ。
【請求項17】
前記第2の熱可塑性フィルムが、前記第1の金属化熱可塑性フィルムの前記第1の熱可塑性フィルムの一部であり、前記金属層が前記パウチの外部に向いている請求項16に記載のシールされたパウチ。
【請求項18】
前記パウチが、ラップシールにおいてその長さに沿ってシールされている請求項16または17に記載のシールされたパウチ。
【請求項19】
前記パウチが、任意の好適な製品を含有しており、その幅を超えて横断シールによりシールされている請求項16、17または18のいずれか一項に記載のシールされたパウチ。
【請求項20】
前記熱可塑性フィルム層が、前記パウチの内部に向いており、横断シールで自身にシールされている請求項16〜19のいずれか一項に記載のシールされたパウチ。

【公表番号】特表2010−521340(P2010−521340A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553655(P2009−553655)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/003525
【国際公開番号】WO2008/112322
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】