説明

金属表面用酸性洗浄剤

本発明は、(i)リン酸、二リン酸またはポリリン酸のエステル;(ii)下記一般式(I):



(式中、基R1、R2、R3、R4およびR5は、各々同じかまたは異なり、水素原子、アルキル基、アルケニル基またはアシル基である)で表されるベンゾトリアゾール誘導体;(iii)一般式:R6−PO−(OH)2 (II)(式中、基R6はアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアリールアルキル基である)で表されるホスホン酸;ならびに(iv)酸源を含有する、腐食しやすい金属または合金の表面の洗浄用酸性組成物に関する。本発明は、さらに使用溶液および洗浄方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腐食されやすい金属または金属合金の表面洗浄用酸性組成物に関する。本発明は、さらに、前記組成物から製造される酸性水性使用溶液およびこの水性使用溶液を使用して金属表面を洗浄する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食料製造事業とサービス事業、健康管理施設とデイケア施設および医療施設のみならず、食料、飲料、医薬、化粧品などの加工産業における製造機械または加工機械を定期的に洗浄することは、製品の品質と公衆衛生を保持するために必要である。前記施設の表面に残留している残留物、または加工される食料を汚染する可能性がある残留物は、そこに残ってその後の処理生成物または重要な接触面の成長を促進することがある。
【0003】
このように洗浄を実施することは、食料の汚染を回避しかつ製造される食料製品の品質を保持するために、食品加工施設において特に必要である。
【0004】
洗浄しなければならない多くの施設は、酸性またはアルカリ性が高い洗浄液に接触すると腐食しやすい金属または合金で製造された部品を、少なくとも含むものである。
【0005】
特に、負の標準電位を有する金属はすべて、強酸を含有する酸性洗浄剤を使用すると、腐食を示す。これら金属の例は、スズ、鉄、アルミニウム、亜鉛、鉛、カドミウム、マグネシウムおよびこれら金属の合金であり、また亜鉛めっき金属、例えば亜鉛めっき鋼鉄などは、酸を使用すると腐食して、そのめっき表面が破壊される。
【0006】
酸性洗浄剤は、水の硬度が高いときに使用することが多い。というのは、この場合、アルカリ性洗浄剤は、その水の中のカルシウムイオンと反応して、カルシウム塩の層を蓄積するからである。カルシウム塩のこれらの層は、除去することが困難である。
【0007】
ドイツ特許第100 36 607 A1号には、リン酸、アルキルスルホン酸、硫酸および硝酸から選択される酸を含有する酸性洗浄組成物が記載されている。さらに、この組成物はウンデカン酸を含有している。
【0008】
この組成物は、硬質の表面を洗浄または消毒するのに使用される。
【0009】
別の酸性消毒洗浄組成物が、米国特許第6,472,358号に記載されている。この文献には、脂肪族の短鎖C5−C14脂肪酸もしくはその混合物、弱カルボン酸、および例えば硝酸もしくは硝酸とリン酸の混合物である強鉱酸を含有する消毒組成物が記載されている。
【0010】
さらに、最近、亜鉛めっき鋼鉄を洗浄するために、酸源としてのホスホン酸を、第四級アンモニウム化合物、硫黄有機物質および金属有機物質とともに含有する製品が使用されている。これらの物質を、組成物中の酸に加えて使用することによって、亜鉛めっき鋼鉄の亜鉛表面の腐食が回避される。しかし、この種の製品にはいくつもの欠点がある。例えば、第四級アンモニウム化合物は、処理された金属表面に黒青色の強靭な層を形成する。この層を除くことは極めて困難であり、この層は、加工される食料を汚染することがあるため食料製造工場では特に危険である。さらに、硫黄有機物質のみならず有機金属は、環境と排水に関する理由のため危険である。さらに、これら物質の毒性は、これら物質が生物によって容易に分解されないことを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の技術上の目的は、金属または合金の表面が腐食されるのを阻止する効果を有し、および危険な毒性を有する化合物の使用を回避しかつ処理された表面にいかなる層も形成しない酸性洗浄組成物を提供することである。
【0012】
さらに、前記組成物に使用される化合物は、環境および排水に関する理由から生物分解性でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記問題点は、
(i)リン酸、二リン酸またはポリリン酸のエステル、
(ii)下記一般式(I):
【化1】

(式中、基R1、R2、R3、R4およびR5は、各々同じかまたは異なり、水素原子、アルキル基、アルケニル基またはアシル基である)で表されるベンゾトリアゾール誘導体、
(iii)一般式:R6−PO−(OH)2 (II)(式中、基R6はアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアリールアルキル基である)で表されるホスホン酸、ならびに
(iv)酸源
を含有する、金属または合金の表面洗浄用の酸性組成物によって解決される。
【0014】
好ましい実施態様では、前記酸性組成物は水性酸性組成物である。
【0015】
用語「エステル」は、本明細書で使用する場合、モノエステル、ジエステル、トリエステル、多価エステルまたはこれらエステルの各種比率の混合物であると解すべきである。
【0016】
好ましい実施態様では、本発明の組成物は、水性液体組成物として、
(i)0.1〜10質量%好ましくは1〜3質量%のリン酸、二リン酸またはポリリン酸のエステル、
(ii)0.01〜2質量%好ましくは0.05〜0.5質量%の式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体
(iii)0.01〜2質量%好ましくは0.05〜0.5質量%のホスホン酸および
(iv)10〜70質量%好ましくは30〜50質量%の酸源
を含有している。
【0017】
好ましい実施態様では、前記リン酸のエステルはリン酸のモノエステルおよび/またはジエステルであり、好ましくは、そのエステルはリン酸のモノアルキルエステルおよび/またはジアルキルエステルであり、そして最も好ましくは、そのエステルはリン酸のモノC4−C15アルキルエステルおよび/またはジC4−C15アルキルエステルである。前記リン酸のモノエステルおよびジエステルのエステル基は、好ましくはC6−C13アルキル基である。
【0018】
前記一般式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体における基R1、R2、R3、R4およびR5は、各々同じかまたは異なり、そして好ましい実施態様では、これらの基は水素原子またはC1−C4アルキル基である。最も好ましくは、このベンゾトリアゾール誘導体は、一般式(I)(式中、R1〜R6は水素原子である)で表される誘導体である。
【0019】
一般式(II)で表されるホスホン酸は、好ましくは基R6がC5−C12アルキル基である酸である。
【0020】
本発明の組成物中には、追加の成分としてカルシウム化合物が存在していてもよい。組成物中にカルシウム化合物が存在している場合、カルシウム化合物は、好ましくは、塩化カルシウム、臭化カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムまたはその混合物からなる群から選択される。
【0021】
さらに好ましい実施態様では、本発明の組成物は、さらにマグネシウム化合物を含有していてもよい。組成物がマグネシウム化合物を含有している場合、マグネシウム化合物は、好ましくは、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムまたはその混合物からなる群から選択される。
【0022】
本発明の組成物の酸源は、好ましくは、有機もしくは無機の酸またはその混合物である。好ましい実施態様では、その酸は、リン酸、クエン酸、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸およびペルオキシカルボン酸からなる群から選択される。
【0023】
上記のように、本発明の組成物に、毒物学的に危険な物質を使用することは避けねばならない。好ましい実施態様では、本発明の組成物は、有機金属物質の含有量が100ppm未満であり、好ましくは有機金属物質を全く含有していない。さらに、本発明の組成物は、第四級アンモニウム化合物の含有量が100ppm未満であり、好ましくは第四級アンモニウム化合物を全く含有していないことが望ましい。別の実施態様では、本発明の組成物は、有機硫黄化合物の含有量が100ppm未満であり、好ましくは有機硫黄化合物を全く含有していない。
【0024】
本発明の組成物のpHは、好ましくは3未満であり、最も好ましくは2未満である。
【0025】
本明細書の実験の部分における本発明の実施例と比較例から分かるように、リン酸のエステル、ベンゾトリアゾールの誘導体およびホスホン酸の組合せは、当該技術分野の現在の化合物と比べて、洗浄効果は同一でありながら、亜鉛めっき鋼鉄の亜鉛層の質量減が少なくかつ可視変化が全くない。
【0026】
本発明の組成物は、亜鉛めっき鋼鉄、アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼および銅のような各種金属に使用できる。
【0027】
本発明の組成物は、さらに、酸性洗浄組成物に、一般的に使用されている他の成分、例えば金属イオン封鎖剤、界面活性剤、消毒剤、漂白剤、酸化剤、ビルダー、可溶化剤、溶媒またはこれらの混合物、消泡剤、カトラー(cutlers)、キレート化剤、染料、香料、レオロジー改質剤、生産工程助剤、他の腐食阻止剤、保存剤、緩衝剤、トレーサー、不活性充填剤、凝固剤および殺菌剤を含有していてもよい。
【0028】
適切な金属イオン封鎖剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、リン酸塩類特にポリリン酸塩類例えば三リン酸五ナトリウム、ポリヒドロキシカルボン酸類、クエン酸塩特にクエン酸アルカリ塩、ジメルカプロール、トリエタノールアミン、クラウン化合物類またはホスホノアルカンポリカルボン酸類を挙げることができる。
【0029】
上記ホスホノアルカンポリカルボン酸類は、好ましくは、3〜6個の炭素原子と2〜5個のカルボン酸部分を有する直鎖炭化水素の骨格を含んでいる。特に好ましいホスホノアルカンポリカルボン酸は2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸である。これらの化合物は、カルシウム化合物またはマグネシウム化合物と組み合わせると特に有利である。前記金属イオン封鎖剤は、十分な金属イオン封鎖性能を得るため、全組成物に対して、2〜35質量%、好ましくは5〜25質量%および最も好ましくは9〜20質量%の合計量で、組成物中に含有されていなければならない。
【0030】
表面張力を低下させることによる表面湿潤の改善、土壌もしくはバイオフィルムの浸透の改善、有機土壌の除去と懸濁化、殺生物作用の強化、フォームプロファイル(foam profile)の特徴付けなどを含む各種理由から、本発明の組成物に、界面活性剤も随意選択的に添加することができる。本発明に有用な界面活性剤としては、非イオン、アニオンおよびカチオンの界面活性剤があり、最も適切に利用される界面活性剤としては、水溶性または水分散性のアニオンまたは非イオンの界面活性剤またはその組合せが挙げられる。
【0031】
有用なアニオン界面活性剤としては、限定されないが、アルキル、アルキルアリール、アルケニル、アシル、長鎖ヒドロキシアルキル、そのアルコキシル化誘導体などのC6−C22の疎水性基と、スルホン酸、硫酸エステル、リン酸エステルまたはカルボン酸由来の酸または塩の形態の少なくとも一種の水可溶化基とを有する化合物が挙げられる。上記塩が添加される特定の配合物に基づいて、これらの塩を選択することができる。
【0032】
本発明に利用されるより適切なアニオン界面活性剤としては、限定されないが、アルキルスルホネートもしくはアルキルジスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルジフェニルオキシドジスルホネートなどのスルホン化アニオン性化合物が挙げられる。
【0033】
より詳しく述べると、本発明に利用されるより適切なアニオン界面活性剤としては、限定されないが、直鎖または分枝鎖のC6−C14アルキルベンゼンスルホネート類、アルキルナフタレンスルホネート類、長鎖アルケンスルホネート類、長鎖ヒドロキシアルカンスルホネート類、アルカンスルホネート類、1−オクタンスルホネートと1,2−オクタンジスルホネートを含む対応するジスルホネート類、アルキルスルフェート類、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテルスルフェート類および芳香族ポリ(エチレンオキシ)スルフェート類、例えば一分子当たり1〜6個のオキシエチレン基を有するエチレンオキシドとノニルフェノールのスルフェート類または縮合生成物、その他のスルホン化界面活性剤などである、アニオン界面活性剤がある。
【0034】
本発明に使用するのに適切なアニオン界面活性剤の具体例としては、米国イリノイ州ノースフィールド所在のStepan Co.を含む各種企業から、例えば商品名BIOTERGE(登録商標)PAS−8で市販されている1−オクタンスルホネートのようなアルキルスルホネート;PILOT(登録商標)L−45すなわちPilot Chemica Co.から市販されているC11.5アルキルベンゼンスルホネート(「LAS」と呼称される);すべてStepan Co.から市販されているBIOSOFT(登録商標)S100とS130、すなわち中和されていない直鎖アルキルベンゼンスルホン酸類(「HLAS」と呼称される)およびS40とLAS;Dow Chemical Co.から市販されている、C−6を含有する(45%と78%)DOWFAX(登録商標)アニオンアルキル化ジフェニルオキシドジスルホネート(ADPODS)の界面活性剤;液体PETRO(登録商標)LBAを含むPETRO(登録商標)の商品名で、PetroChemicals Co.から市販されているC2−C18アルキルナフタレンスルホネート類などがある。
【0035】
本発明の組成物に有用な非イオン界面活性剤の例としては、限定されないが、下記に分類されるものがある。
1) プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、エチレンジアミンなどの開始水素化合物をプロポキシル化および/またはエトキシル化することによって製造される、例えばBASF Corp.から商品名PLURONIC(登録商標)およびTETRONIC(登録商標)で市販されているポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックポリマー類;
2) 例えばRhone−Poulencから商品名IGEPAL(登録商標)で市販されおよびUnion Carbideから商品名TRITON(登録商標)で市販されている、C8−C18の分枝鎖または直鎖のアルキルまたはジアルキルフェノール1モルと、エチレンオキシド約3モル〜約50モルとの縮合生成物;
3) 例えばShell Chemical Co.から商品名NEODOL(登録商標)で市販されおよびCondea Vista Co.から商品名ALFONIC(登録商標)で市販されている、飽和または不飽和の分枝鎖または直鎖のC6−C24アルコール1モルと、エチレンオキシド約3モル〜約50モルとの縮合生成物;
4) 例えばHenkel Corp.から商品名NOPALCOL(登録商標)で市販されおよびLipo Chemicals,Inc.から商品名LIPOPEG(登録商標)で市販されている、飽和または不飽和の分枝鎖または直鎖のC8−C18カルボン酸1モルと、エチレオキシド約6モル〜約50モルとの縮合生成物;ならびにカルボン酸と、グリセリド類、グリセリンおよび多価アルコール類との縮合生成物である他のアルカン酸エステル類;
5) エチレンオキシドとプロピレンオキシドをエチレングリコールおよびエチレンジアミンを逐次付加して、末端に疎水性ブロック(すなわちプロピレンオキシド)を有する親水性部分を生成させる(親水性ブロックと疎水性ブロックが逆転している)ことによって製造された、各分子量が約1,000〜約3,100で、中央の親水性部分が最終分子の約10質量%〜約80質量%の界面活性剤、例えばBASF Corp.から市販されている界面活性剤PLURONIC(登録商標)RおよびTETRONIC(登録商標)R(エチレンジアミンとエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド)ならびに
6) 末端の単一または複数のヒドロキシ基を、1〜約5個の炭素原子を有する小さい疎水性分子、例えばプロピレンオキシド、ブチレンオキシド、塩化ベンジル、短鎖脂肪酸類、アルコール類またはアルキルハライド類と反応させて塩化チオニルで塩化物に変換するなどしてキャッピング(capping)またはエンドブロッキング(end blocking)して、オールブロック、ブロック−ヘテリック(block-heteric)、ヘテリック−ブロックまたはオールヘテリックの非イオン界面活性剤にすることによって改質された(1)、(2)、(3)および(4)由来の化合物。
【0036】
本発明に一層適切に有用な非イオン界面活性剤としては、限定されないが、アミンオキシド類、二官能価または四官能価の反応性水素を有する開始剤で逐次縮合されたエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー類、およびアルコールアルコキシレート類がある。本発明の組成物に利用される特に好ましい界面活性剤は、アルキルスルホネート類と開始剤のエチレンジアミンに逐次縮合されたエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーとの混合物である。
【0037】
特別の用途に望ましい特性を達成するため、本発明に、界面活性剤の混合物を適切に利用できる。例えば、具体例として、乳化用界面活性剤、土壌除去用界面活性剤すなわち洗浄性(detersive)界面活性剤などを挙げることができる。幾つかの実施態様として、望ましくない泡を生成せず、抗菌活性を阻害せず、さらにその他に不溶性のまたは相が不安定な脂肪酸類を可溶化し、表面の湿潤性と固体浸透性が改善されるので有利であることが分かっている、低発泡性の非イオン界面活性剤を添加する方法を挙げることができる。したがって、界面活性剤の混合物が望ましいことがある。したがって、組成物のこの部分は、単一の界面活性剤を本発明の組成物に使用できること、または2種以上の界面活性剤を含む混合物を本発明に使用できることを正確に示す界面活性剤の成分と呼称できる。この界面活性剤の成分は、一般に濃厚液の0質量%〜約50質量%であり、濃厚液の約0.1質量%〜約50質量%が適切であり、約0.25質量%〜約45質量%がより適切であり、約0.5質量%〜約40質量%がさらにより適切であり、および約1質量%〜約30質量%が最も適切である。
【0038】
土壌の種類および洗浄すべき金属表面の形状と位置にしたがって、上記説明を考慮することによって、発泡性洗浄剤または非発泡性洗浄剤のいずれかを使用できる。なお非発泡性は、あらゆる種類の界面活性剤を完全に省くかまたは低発泡性の界面活性剤を使用することによって達成できる。
【0039】
上記組成物から均一な溶液を得るため、さらに一種または二種以上の可溶化剤を添加することが有効である。この可溶化剤は、特に、水溶液中の一種または二種以上の界面活性剤などの有機成分を分散しやすくする。適切な可溶化剤の例としては、キシレン、トルエン、安息香酸エチル、イソプロピルベンゼン、ナフタレンまたはアルキルナフタレンのスルホネートのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびアルカノールアンモニウム塩類;アルコキシル化アルキルフェノール類のリン酸エステル類;アルコキシル化アルコール類のリン酸エステル類;アルキルサルコシネート類のナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩類;およびこれらの混合物がある。
【0040】
好ましい実施態様では、組成物中に、一種または二種以上の可溶化剤が、合計、1〜35質量%含有され、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは9〜20質量%含有されている。
【0041】
本発明の組成物は、さらに、消毒剤、ビルダー物質、溶媒および漂白剤からなる群から選択される、洗浄組成物に通常使用される一種または二種以上の他の化合物を含有していてもよい。これらの化合物は、本発明の組成物に、合計して、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは2〜15質量%、さらにより好ましくは10質量%未満含有されている。
【0042】
一般に、先に例示した化合物は、酸化剤と組み合わせると、漂白剤として働く。しかし、このことによって、漂白剤として、先に引用されていない化合物を使用することは除外されない。
【0043】
適切なビルダーとしては、例えば、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、三リン酸五ナトリウムなどのリン酸塩類、ニトリロ三酢酸もしくはその塩、クエン酸もしくはその塩、これらの混合物がある。
【0044】
酸化剤とともに先に引用した化合物以外で、本発明の組成物に使用するのに適切な消毒剤としては、ホルムアルデヒド、グリオキサルもしくはグルタルアルデヒドなどのアルデヒド類、フェノール誘導体、アルコール類またはこれらの混合物がある。
【0045】
好ましい実施態様では、本発明の組成物は粉末または固体ブロックの形状である。前記洗浄剤の粉末または固体ブロックは、現在の技術水準の方法で製造される。例えば、その粉末は、上記組成物の水性スラリーを製造し、乾燥塔の上端に、高圧で、ノズルを通じて噴霧して、球形中空粉末を形成することによって得ることができる。
【0046】
本発明の組成物は、好ましくはカートリッジ中に入れた酸源を溶融し、次いでその溶融物に組成物の他の成分を添加することによって固体ブロックに形成できる。前記他の成分は、アニオン界面活性剤と非イオン界面活性剤から始め、次に一種または二種以上の金属イオン封鎖剤、酸化剤、可溶化剤、その後、残りの成分があればそれらの順で、逐次的に添加するほうが好ましい。
【0047】
上記のように、本発明の組成物はその水溶液の形態で、洗浄すべき表面に適用される。前記水溶液は、使用する直前に調製するかまたは予め調製してもよい。溶液を使用する直前に調製する場合は、上記のような粉末または固体ブロック形状の組成物の必要量を、必要量の水中に分散させ溶解させて、予め定められた濃度の使用溶液を得ることが好ましい。しかし、固体ブロックの形状の組成物を使用する場合は、その固体ブロックを規定量の水ですすぐことによって、予め定められた濃度の使用溶液を得ることもできる。
【0048】
好ましい実施態様では、本発明の酸性水性使用溶液は、全使用溶液に対して、酸性組成物を、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、最も好ましくは1〜5質量%含有している。100質量%までの残りは水である。
【0049】
本発明の水性使用溶液は、水溶液としてまたは泡の形状で製造できる。
【0050】
水性濃厚液は、さらに下記の一価もしくは多価のアルコール類またはグリコールエーテルから選択される一種または二種以上の溶媒を含有していてもよい。すなわち、特に、エタノール、n−プロパノールもしくはi−プロパノール、ブタノール、グリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、ジグリコール、プロピルジグリコール、ブチルジグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルもしくはプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、1−ブトキシエトキシ−2−プロパノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルおよびその混合物から選択される一種または二種以上の溶媒を含有していてもよい。
【0051】
最適の洗浄結果を得るため、本発明の洗浄用水性濃厚液は、均一な溶液でなければならない。したがって、第一に、固体成分を、水に溶解し、その後、他の成分を添加して本発明の濃厚液を調製することが好ましい。その添加順序は、特に限定されないが、第一に、一種または二種以上の酸源を添加し、続いて、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、金属イオン封鎖剤、酸化剤、可溶化剤を添加し、その後、残りの成分があればそれらを添加することが有利である。また、腐食防止剤は、最初に溶解させず、濃厚液を調製する最後の段階で添加することも可能である。腐食防止剤は、溶解性が低い場合、例えば、最初、酸に溶解し次いで他の成分と混合することができる。
【0052】
前記洗浄用水性濃厚液または使用溶液の用途は、酸性液体中での腐食に敏感な金属に限定されないが、本発明の洗浄用水性濃厚液または使用溶液を、前記敏感な金属の表面に使用すると、腐食が全く起こらないことが主な利点の一つである。特に本発明の洗浄用水性濃厚液または使用溶液は、アルミニウム、スズ、亜鉛、鉛、もしくはカドミウムなどの軟質金属、それらの合金、または亜鉛めっき鋼鉄、特にこれら金属のいずれかでめっきされた鋼鉄などの他の金属もしくは合金の表面を洗浄するのに利用するのに適している。最も好ましい金属表面は、アルミニウム、アルミニウム合金または亜鉛めっき鋼鉄の表面である。アルミニウム合金に添加される主な合金添加物は、好ましくは銅、マグネシウム、ケイ素、マンガン、亜鉛および真鍮である。
【0053】
本発明の方法の好ましい実施態様では、洗浄すべき表面を、第一に、本発明の洗浄用水性濃厚液または使用溶液に接触させる。その接触させた表面は、その後、必要に応じてすすぎおよび/または乾燥させる。洗浄用水性濃厚液または使用溶液と金属の表面との接触は、金属の表面を洗浄用水性濃厚液または使用溶液中に浸漬するか、または金属の表面に、洗浄用水性濃厚液または使用溶液を導く例えば噴霧するまたは注ぎかけるなどの、当該技術分野で公知の通常の方法で達成できる。
【0054】
十分な洗浄結果を達成するための接触時間は、数秒間〜数時間の範囲内としてよい。その接触時間は、好ましくは30秒間〜2時間、より好ましくは1分間〜30分間の範囲内である。その接触時間は、一回の接触で全接触時間、接触させるか、または金属表面を、洗浄用水性濃厚液または使用溶液と、特定の短い時間、逐次接触させることによって(接触時間はそれぞれの短い接触時間の合計に相当する)達成できる。
【0055】
洗浄結果は、洗浄用水性濃厚液または使用溶液を、全接触時間中または全接触時間のうちの特定時間、撹拌することによって改善することができる。場合によっては、洗浄用水性濃厚液または使用溶液の温度を、例えば20〜90℃、好ましくは40〜60℃まで上げることも有効である。
【0056】
本発明の方法は、例えば、物品の金属の外表面、内表面、または外表面と内表面の両方を洗浄する方法を意味しうる。外表面の洗浄方法は、対応する表面に到達する困難さに関して、内表面を洗浄する方法と主に相違すると考えられる。一般に、外表面を洗浄する場合、その物品はそのままにしておいて、洗浄溶液を、洗浄すべき表面に適用する。例えば、物品または機械の内表面を洗浄する場合に、洗浄溶液が洗浄しようとする表面に届かない場合は、その洗浄しようとする表面を含む物品または機械の対応する部分を分解しなければならない場合がある。この方法は、所定位置外洗浄(cleaning out of place)(COP)と呼称されることが多い。この方法は、周囲温度(一般に室温)で実施することが好ましい。しかし、場合によっては、60℃まで昇温することが適切な場合もある。
【0057】
しかし、物品または機械の内表面に届かせるのが困難な場合の別の洗浄法は、洗浄用水性濃厚液または使用溶液を、物品または機械を通じて循環させて、洗浄すべき表面を、洗浄用水性濃厚液または使用溶液に接触させる方法である。この方法は、所定位置洗浄(cleaning in place)(CIP)と呼称されることが多い。この方法は、上記の温度範囲で実施することが好ましい。これらの洗浄法(COPおよびCIP)は両方とも、本発明の洗浄用水性濃厚液または使用溶液を用いて可能である。
【0058】
本発明の洗浄方法は手動でまたは自動で実施できる。自動的に洗浄する場合は、完全にまたは部分的に自動で実施できる。
【0059】
本発明の方法は、家庭の洗浄用途のみならず公共施設の洗浄用途に利用できる。
【0060】
本発明の方法によって洗浄できる表面の例は以下の通りである。すなわち、窓枠、建物の正面(facade)、機械類例えば食器洗浄機のような特殊な金属表面を有する(自動)洗浄機械、ウォークビハインド型洗浄乾燥機もしくはライドオン型洗浄乾燥機を含む洗浄乾燥機、包装機械、食品や飲料の加工機械などのすべての産業分野の製造機械もしくは加工機械、化粧品配合物、医薬もしくは消費財の製造および包装に使用する機械、医療分野の装置と器具、タンク、パイピング装置、冷却塔、冷却装置、充填機、ポット、(フライ)パン、装飾アクセサリー、家具もしくはそれらの一部などの家庭用品に見出すことのできる金属表面、フレーム、ならびに自動車、トラック、船舶、ボート、自転車もしくはオートバイなどの乗り物におけるすべての種類の対応する表面である。
【0061】
本発明を、限定することなく下記実施例でさらに説明する。量の表示は、特に断らない限り、すべて質量%で示した。
【実施例】
【0062】
下記表1には、金属または金属合金の表面を洗浄するための各種酸性組成物を示してある。例1〜5が記載されている。さらに、請求項1に記載の成分の一つを省いた3種の比較例が記載されている。比較例6にはオクタンホスホン酸が存在せず、比較例7にはリン酸エステルが存在せず、そして比較例8にはベンゾトリアゾールが存在していない。
【0063】
さらに、表1は、腐食しやすい金属もしくは金属合金の表面を洗浄するための酸性組成物として使用される、当該技術分野における現行製品の一例を含んでいる。これは比較例9である。
【0064】
表1に記載されている量は、すべて質量%である。
【0065】
これらの組成物は、特定の量の成分を水と混合し、次いでその混合物を、均一な溶液が得られるまで撹拌することによって調製した。
【0066】
例1、3、4および5は、追加のカルシウム化合物を含有する本発明の実施例である。そのカルシウム化合物は、例3、4および5では水酸化カルシウムであり、例1では酢酸カルシウムである。しかし、後に示すように、カルシウム化合物は、本発明の組成物の、任意選択的な化合物に過ぎない。例2はカルシウム化合物を全く含有していない。
【0067】
【表1】

【0068】
亜鉛めっき鋼鉄に対する材質適合性(material compatibility)
本発明の組成物および比較組成物の材質適合性を、亜鉛めっき鋼鉄で試験した。試験片として、大きさが5cm×10cmの標準試験プレートを使用した。そのプレートの両面を、亜鉛めっきコーティングで被覆した。
【0069】
試験プレートを、ブラシを使って、中性界面活性剤ベースの洗剤で洗浄し、次に水ですすいだ。乾燥した後、試験片を、アセトンで処理し次いで一夜乾燥させた。試験片の縁端は、腐食試験中の、鋼鉄と亜鉛の間の電気化学的作用を排除するため、耐薬品性塗料で被覆した。その後、この試験片を再び50℃で乾燥させた。次いで、その調製された試験片を、500mLの試験溶液が入っている600mLビーカー中に、完全に浸漬されるように入れた。試験溶液として、表1の組成物を5質量%の使用濃度で使用した。
【0070】
試験は、周囲温度20℃で実施した。試験片は、各々、浸漬した後、水を流しブラシを使ってすすいで、失われた材料を除いた。前記塗料をプラスチック製スクレーパーで除いた。紙タオルで乾燥させた後、アセトンを使って、試験片を洗浄した。その後、試験片を、一夜風乾した。
【0071】
試験片の質量減を、処理前の質量と処理後の質量の差によって計算した。質量減はg/m2×時間の単位で計算した。試験片は、組成物中に24時間入れた。
【0072】
質量減は、三つの範疇に分類した。すなわち、1.00g/m2×時間未満の低質量減、1.00g/m2×時間を超えて1.50g/m2×時間までのより多い質量減、および1.5g/m2×時間を超える高質量減の範疇である。
【0073】
さらに、試験片の外観を目視評価で評価した。試験片に変色または表面の変化があるかどうかを検査した。表面の外観または色を有意に変化させる試験溶液は、適切でない。試験結果を評価するため下記評点を選択した。
【0074】
1. 可視変化が全くなくかつ1.00g/m2×時間未満の低い質量減=適切である(s)。
2. わずかに可視変化がありかつ1.00g/m2×時間未満の低い質量減=適切である(s)/限定的に適切である(ls)。
3. 可視変化が全くなくかつ1.00〜1.50g/m2×時間の質量減=限定的に適切である(ls)。
4. 有意の可視変化(酸化による変色など)がありかつ1.5g/m2×時間を超える高質量減=適切でない(ns)。
5. 光沢のある表面および1.00g/m2×時間未満の低質量減=適切である(s)。
6. 有意な変色を示す。
【0075】
亜鉛めっき鋼鉄に対する材質適合性の試験結果を、下記表2に列挙した。
【0076】
【表2】

【0077】
比較例6〜9の化合物はすべて、試験片に対して高い質量減と有意な可視変化を示すことが分かるであろう。これとは対照的に、本発明の例1〜5は、わずかな可視変化と低い質量減だけを示す。それ故、亜鉛めっき鋼鉄に対する材質適合性のこの試験結果は、本発明の組成物が、洗浄される金属表面に強い腐食または強い可視変化をもたらさないことを示している。
【0078】
さらに、現在の技術水準の比較例9を、例1〜5と比較すると、比較例9の組成物の質量減は、例2〜5のそれと類似しているが、洗浄後の表面の褐色がかった色への変色が観察されたことが分かるであろう。この可視変化は、例1〜5の化合物を使うことによって回避される。
【0079】
その他の金属に対する組成物の材質適合性
以下の実験で、表1−例2の組成物の、他の金属に対する材質適合性を試験した。表3は処理期間が1時間の場合の試験結果を示し、表4は処理期間が24時間の場合の試験結果を示す。重量差は、g/m2×時間の単位で計算した。組成物は、温度20℃にて、使用濃度2〜5質量%で使用した。この試験は、CaO含有量が0mg/Lの硬度0°dの軟水およびCaO含有量が160mg/Lの硬度16°dの硬水で実施した。この試験は、異なる金属および合金の標準試験片を使用したこと以外、表2と同じ方法で実施した。表3と4に記載の試験では、ステンレス鋼、クロム金属含有軟鋼、亜鉛めっき鋼鉄、亜鉛めっき熱浸漬鋼鉄、アルミニウム、銅および真鍮を使用した。試験結果を下記表3と4に示す。
【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
表3と4から、本発明の例2の組成物は、他の金属または合金に対しても高い材質適合性を有するので、これらの金属または合金の表面を洗浄するのに適切であることが分かるであろう。
【0083】
上記試験結果は、例1〜5の組成物が、亜鉛めっき鋼鉄および他の金属および合金に対しても優れた腐食防止性を有することを示している。現行の標準組成物(比較例9)と比較して、同一のまたはより優れた腐食防止性を示す試験結果が得られている。さらに、例1〜5は泡としても使用することができ、泡はこれら組成物から容易に調製できる。
【0084】
さらに、重要なことには、本発明の組成物は、現行の製品と比べて、毒性についてはるかに優れていることが強調される。本発明の組成物は第四級アンモニウム化合物を含有していない。第四級アンモニウム化合物は、この化合物を含有する組成物で洗浄された表面が褐色の可視変化を示す欠点がある。この化合物のさらなる欠点は、洗浄表面に、除去することが困難な層を形成することである。これらの層は、食料製造工場で加工される食料の衛生基準および/または汚染のため、食料製造工場では非常に重大問題である。
【0085】
さらに、本発明の組成物は、硫黄含有有機物質または金属有機物質などの癌を発生する可能性のある化合物として分類されている物質を全く含有していない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)リン酸、二リン酸またはポリリン酸のエステル、
(ii)下記一般式(I):
【化1】

(式中、基R1、R2、R3、R4およびR5は、各々同じかまたは異なり、水素原子、アルキル基、アルケニル基またはアシル基である)で表されるベンゾトリアゾール誘導体、
(iii)一般式:R6−PO−(OH)2 (II)(式中、基R6はアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアリールアルキル基である)で表されるホスホン酸、ならびに
(iv)酸源
を含有する、腐食しやすい金属または合金の表面洗浄用酸性組成物。
【請求項2】
水性液体組成物が、全組成に対して、
(i)0.1〜10質量%の前記リン酸、二リン酸またはポリリン酸のエステル、
(ii)0.01〜2質量%の前記ベンゾトリアゾール誘導体、
(iii)0.01〜2質量%の前記ホスホン酸、
(iv)10〜70質量%の前記酸源
を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エステルが、リン酸のモノエステルおよび/またはジエステルである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記エステルが、リン酸のモノアルキルエステルおよび/またはジアルキルエステルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記エステルが、リン酸のモノC4−C15アルキルエステルおよび/またはジC4−C15アルキルエステルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
式(I)中の基R1、R2、R3、R4およびR5が、各々同じかまたは異なり、水素原子またはC1−C4アルキル基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
一般式(II)中のR6がC5−C12アルキル基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物中に、カルシウム化合物がさらに存在している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記カルシウム化合物が、塩化カルシウム、臭化カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムおよびその混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
組成物中に、マグネシウム化合物がさらに存在している、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記マグネシウム化合物が、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムおよびその混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記酸源が有機または無機の酸またはその混合物である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
金属有機物質を含有しない、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
第四級アンモニウム化合物を含有しない、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
硫黄有機物質を含有しない、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
pHが3未満である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
全使用溶液に対して、0.1〜10質量%の量で、好ましくは0.5〜8質量%の量で、最も好ましくは1〜5質量%の量で、請求項1〜16のいずれか一項に記載の酸性組成物を含有する水性使用溶液。
【請求項18】
前記水性使用溶液が泡の形態で調製される、請求項17に記載の水性使用溶液。
【請求項19】
請求項17または18に記載の水性使用溶液を提供するステップ、その水性使用溶液を金属の表面に適用するステップ、その表面を洗浄するステップ、およびその表面をすすぐかまたは乾燥することによってその溶液を表面から除くステップを含む、腐食しやすい金属の表面を洗浄する方法。
【請求項20】
前記金属の表面が、亜鉛めっき鋼鉄、アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼および銅からなる群から選択される表面である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記金属の表面が、外表面または内表面である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記表面の洗浄が、所定位置洗浄(CIP)または所定位置外洗浄(COP)である、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−536263(P2009−536263A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508143(P2009−508143)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062138
【国際公開番号】WO2007/128345
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】