説明

金融機関の処理システムおよび該処理システムの保守方法

【課題】 保守員の保守作業の効率を向上する。
【解決手段】
管理センタ1の外に保守作業を指示する保守端末30が設けられており、保守端末30から管理センタ内に設けられた保守管理装置20に保守作業資格情報を通知し、保守管理装置20は、保守作業資格情報に基づいて保守作業資格認証処理を行なうこと、保守作業資格を認証すると、管理センタ1内の処理装置10で遠隔操作認証を行なわせるための遠隔通信制御認証情報を処理装置10に通知する。処理装置10は、遠隔通信制御認証情報に基づいて認証処理を行ない認証許可を保守管理装置20に通知する。通知を受けた保守管理装置20は、保持する保守制御情報を処理装置10に通知し、処理装置10で保守制御情報に基づく制御を行なわせて、蓄積している監視情報を取得すると、該監視情報を保守端末30へ通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関の処理システムおよび該処理システムの保守方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金融機関において、金融取引を行なうための処理システムは、管理センタに処理装置を備えており、該処理装置は、顧客の氏名や口座番号や現住所や電話番号などの顧客情報などを管理する。
金融機関は、処理システムの円滑な稼動を図るべく、特許文献1に示すように処理装置の保守を行なっている。
【0003】
ところで、処理装置は、異常を検出した際のエラーログ、当該処理装置における記憶媒体としてのハードディスクおよびメモリなどの使用状況を示す監視ログおよびネットワーク接続された装置との通信ログなどの装置状態ログを保持している。
【0004】
従来、保守員は、管理センタにわざわざ出向いて、当該センタに備えられた処理装置にログインして、当該処理装置の保守作業を行なっていた。ログインした保守員が行なう保守内容としては、例えば、OS(Operating System)のバージョンアップ、金融取引のためのソフトウエア(アプリケーション)のバージョンアップ、障害発生時の復旧処理、および前記した各ログの読み出しなどが行なわれる。
【0005】
ところで、保守作業内容は、大別すると2種類に分類することができる。
一方は、OSのバージョンアップ、アプリケーションのバージョンアップ、障害発生時の復旧処理などであり、管理センタにわざわざ出向いて処理装置に直接ログインしなければ作業が出来ない保守であり、他方は、前記したエラーログ、監視ログおよび通信ログなどの監視情報の読み出し作業であり、管理センタに出向くことなく、管理センタに備えた処理装置から離れた場所での作業も可能な保守である。
【特許文献1】特開2001−257788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の保守作業は、管理センタに出向くことなく管理センタに備えた処理装置から離れた場所で作業可能な保守までも、保守員が管理センタにわざわざ出向いて保守作業を行なっており、保守員の作業効率が悪いことが問題となっていた。
【0007】
従って、本発明の目的は、金融機関の処理システムにおいて、保守員の保守作業の効率を向上し得る処理システムおよび保守方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
〈構成1〉
金融機関の管理センタ内に設けられており、自己の状態を監視するための監視情報が蓄積されている処理装置を備えた処理システムの保守方法であって、管理センタの外に、保守員が保守作業を行なうために指示する保守端末が設けられており、保守端末から、管理センタ内に設けられた保守管理装置に保守作業資格情報を通知すること、保守作業資格情報を受けた保守管理装置は、該保守作業資格情報および予め保持している保守作業資格判定情報に基づいて保守作業資格認証処理を行なうこと、保守作業資格を認証すると、処理装置に対する遠隔通信制御の認証に必要な遠隔通信制御認証情報を処理装置に通知すること、遠隔通信制御認証情報を受けた処理装置は、該遠隔通信制御認証情報および予め保持している遠隔通信制御認証判定情報に基づいて遠隔通信制御認証処理を行なうこと、遠隔通信制御を認証すると、遠隔通信制御許可を保守管理装置に通知すること、遠隔通信制御許可を受けた保守管理装置は、予め保持している保守制御情報を処理装置に通知すること、保守制御情報を受けた処理装置は、該保守制御情報に基づく制御を行なって、蓄積している監視情報を保守管理装置へ出力し、保守管理装置を介して保守端末へ通知すること、を特徴とする。
【0009】
〈構成2〉
金融機関の管理センタ内に設けられており、自己の状態を示す監視情報が蓄積されている処理装置を備えた処理システムにおいて、管理センタの外から処理装置の保守作業を行なうべく、保守員から保守作業資格を取得し、保守作業資格情報として通知する保守作業資格情報通知部を有した保守端末と、管理センタ内に設けられており、取得する保守作業資格情報と予め保持する保守作業資格判定情報とに基づいて、保守作業資格認証処理を行なう資格認証部と、保守作業資格を認証すると、処理装置に遠隔通信制御を認証させるために必要な遠隔通信制御認証情報を通知する遠隔通信制御部と、遠隔通信制御認証情報を取得した処理装置で、遠隔通信制御認証情報と予め保持されている遠隔通信制御認証判定情報とに基づいて遠隔通信制御認証処理が行なわれ、遠隔通信制御を認証した処理装置から遠隔通信制御許可が通知されると、処理装置を遠隔通信制御で保守するための保守制御情報を処理装置に通知する保守制御部と、保守制御情報を受けた処理装置で保守制御情報に基づく制御が行なわれ、処理装置から監視情報の通知を受けると、監視情報を保守端末に通知する監視情報通知部とを有する保守管理装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、金融機関の管理センタ内の処理装置を保守するために、管理センタの外に設けた保守端末から保守員が保守作業資格情報を管理センタ内に設けた保守管理装置に通知すると、該通知を受けた保守管理装置は、該保守作業資格情報に基づいて保守作業資格認証処理を行ない、保守作業資格を認証すると、遠隔通信制御認証情報を処理装置に通知する。
【0011】
通知を受けた処理装置は、遠隔通信制御認証情報に基づいて遠隔通信制御認証処理を行ない、遠隔通信制御を認証すると、遠隔通信制御許可を保守管理装置に通知し、該許可通知を受けた保守管理装置は、遠隔通信制御による保守を行なうための保守制御情報を前記処理装置に通知する。該通知を受けた処理装置は、保守制御情報に基づいて蓄積している自己の状態を示す監視情報を保守端末へ保守管理装置を中継して通知する。
【0012】
これにより、保守員がわざわざ管理センタに出向くことなく、管理センタの外に設けられた保守端末で、管理センタ内の処理装置の監視情報を取得することができ、処理装置の装置状態を遠隔監視することができ、保守員は効率に保守作業を行なうことができる。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。
本発明の処理システムは、金融取引を行なうための処理システムであり、図1に示すように、金融取引処理のための管理センタ1と、保守作業を行なうための保守センタ3とが、ISDNなどの公衆通信回線2で通信可能に接続されており、必要に応じて暗号通信が行なわれる。
【0014】
保守センタ3には、図1に示すように、保守員が操作する保守端末30が設けられており、管理センタ1には、金融取引の処理を行なう複数の処理装置10および11と、該各処理装置の保守管理を行なう保守管理装置20とが設けられている。
ところで、処理装置10および11は、その構成内容が同じであることから、以降の説明では処理装置10を例に説明する。
【0015】
管理センタ1は、ローカル・エリア・ネットワーク(以後 LANと略称する)19が構築されており、各処理装置と保守管理装置20とが通信可能に接続されている。尚、LAN19に接続する各装置には、予めIPアドレス(Internet Protokol Adress)が識別情報として付与されており、各装置は、IPアドレスに基づいて通信相手先を特定している。
【0016】
処理装置10は、各種情報を保持するための記憶部104を備えており、該記憶部104は、例えばハード・ディスク・ドライブ(以後、HDDと略称する)とランダム・アクセス・メモリ(以後、RAMと略称する)とで構成されており、HDDには、金融取引を行なう顧客に関する顧客情報を保持する。他方、RAMには、プログラム(保守制御情報)に基づく保守作業で収集する当該処理装置の装置状態を示す監視情報(装置状態情報)を保持する。
【0017】
記憶部104は、予め取得した顧客の氏名、口座番号、現住所および電話番号などの顧客情報を管理すべく、HDDに保持している。
ところで、顧客情報は、顧客数に応じて情報量が増減することから、情報量の増加に伴って記憶部104における使用容量(HDDにおける使用量)が増加する。記憶部104のRAM(主記憶部)は、処理状況に応じて逐次使用量が増減する。
【0018】
処理装置10は、顧客情報を保持するHDDの使用状況、RAMの使用状況および後述する通信ログ、監視ログおよびエラーログなどを監視情報として保持管理しており、プログラムに基づく保守作業により、保持管理する監視情報を保守管理装置20へ通知する。
【0019】
ところで、保守作業には、保守員が保守センタ3で管理センタ1内の処理装置10の装置状態を示す監視情報を取得する遠隔監視と、管理センタ1に保守員がわざわざ出向いて処理装置10に直接ログインして作業を行なう構内保守とがあり、本発明は処理装置10の装置状態を遠隔監視することが特徴であり、その特徴を実現するための構成を以下に述べる。
【0020】
尚、管理センタ1に設けられた処理装置10および保守管理装置20は、金融機関の係員により運用されており、金融機関の許可を得なければ、保守センタ3の保守員が管理センタ1内に立ち入ることも、処理装置10の保守作業を行なうこともできない。
【0021】
保守センタ3の保守員が、保守端末30により管理センタ1の処理装置10の装置状態をLAN19および保守管理装置20および公衆通信回線2を介して遠隔監視する本発明の特徴を実現する保守端末30、保守管理装置20および処理装置10の構成を図2を用いて、説明する。
【0022】
保守端末30は、処理装置10を遠隔監視するとき、保守員からの操作入力を受けるとともに遠隔監視結果として監視情報などを表示するための端末操作表示部301と、保守管理装置20を介して処理装置10から監視情報を取得する監視情報取得部302と、保守員の保守作業資格を保守管理装置20に認証させるための保守作業資格情報を保守管理装置20へ通知する保守作業資格情報通知部303と、公衆通信回線2を介して保守管理装置20と通信する端末通信部304と備える。
【0023】
端末操作表示部301は保守員から入力された保守作業資格情報を保守作業資格情報通知部303に送ると、保守作業資格情報通知部303は受けた保守作業資格情報を保守管理装置20に通知する。尚、公衆通信回線2を介した保守端末30および保守管理装置20間の通信は、端末通信部304により接続通信制御が行なわれる。
【0024】
監視情報取得部302は、保守管理装置20が処理装置10から取得した監視情報を公衆通信回線2を介して取得すると、該監視情報を端末操作表示部301に通知する。端末操作表示部301は、監視情報を受けると、該監視情報に基づいて画面表示を行なう。
【0025】
これにより、端末操作表示部301は、処理装置10の装置状態を示す監視情報に基づいて通信ログと、監視ログと、エラーログと、記憶部104のHDDの使用量およびRAMの使用量などとを画面表示する。
【0026】
ところで、保守作業資格情報は、保守者に付与されたアカウント名と、該アカウント名に対応付けられたパスワードとで構成されており、アカウント名に基づいて保守管理装置20で保持する後述する保守作業認資格判定情報を検索することができる。
【0027】
つぎに、保守管理装置20は、係員又は保守員からの入力を受けるとともに、該入力に応じた画面表示を行なう保守管理操作表示部201と、保守端末30から取得する保守作業資格情報に基づいて保守作業資格を認証する資格認証部202と、処理装置10を遠隔的に保守作業するための遠隔通信制御認証情報を処理装置10へ通知する遠隔通信制御部203と、遠隔的な保守作業のための各種情報を保持する情報保持部204と、処理装置10から取得した監視情報を保守端末30に通知する監視情報通知部205と、処理装置10とLAN19を介して通信するための通信制御と、保守端末30と公衆通信回線2を介して通信するための通信制御とを行なう保守管理通信部206とを備えている。
【0028】
保守管理操作表示部201は、例えば保守作業資格判定情報の更新を行なう際、管理センタ1の係員からの入力を受けるとともに更新内容などを画面表示する。
【0029】
情報保持部204は、保守員の保守作業資格を認証するための保守作業資格判定情報を保持する保守作業資格判定情報保持部2041と、処理装置10に対する遠隔操作を行なうべく、処理装置10に遠隔操作認証(リモート認証)させるために必要な遠隔操作認証情報を保持する遠隔操作認証情報保持部2042と、処理装置10へのログイン認証に必要なログイン情報を保持するログイン情報保持部2043と、処理装置10を遠隔的に保守作業すべく、該遠隔保守作業による遠隔監視を行なうためのプログラムを保守制御情報として保持する保守制御情報保持部2044と、を備えている。
【0030】
保守作業資格判定情報保持部2041は、アカウント名と該アカウント名に対応づけられた認証パスワードを保守作業資格判定情報として保持している。本実施例では、部外者から保守管理装置20への不正アクセスを防止するため、3ケ月に少なくとも1回該保守作業資格判定情報を更新している。
ところで、処理装置10は、図示しないオペレーティング・システム(以後、OSと略称する)を備えており、該OS上で各種制御が行なわれている。該OSには、保守管理装置20から処理装置10を遠隔操作制御させるための遠隔操作制御機能を備えている。
【0031】
遠隔操作制御機能は保守管理装置20から送られる情報に基づいて2回の認証を行なった後、すなわち、第1回目の認証として遠隔操作認証を行ない、第2回目の認証としてログイン認証を行なった後、保守管理装置20からの遠隔操作制御を受け付ける。尚、遠隔操作認証およびログイン認証は、後述する遠隔通信制御認証部103で詳細に説明する。
【0032】
保守制御情報保持部2044は、処理装置10に対する遠隔操作による遠隔監視を行なうためのプログラムを保守制御情報として保持しており、管理センタ1内に複数の処理装置が配備されているとき、各処理装置に対する各保守制御情報を、各処理装置に付与されたIPアドレスに対応付けて保持することで、該各IPアドレスに基づいて保守制御情報が処理装置に通知される。
【0033】
資格認証部202は、保守端末30から保守作業資格情報を受けると、該保守作業資格情報および保守作業資格判定情報保持部2041で保持する保守作業資格判定情報に基づいて保守作業資格を認証する。すなわち資格認証部202は、保守作業資格情報のアカウント名をキーワードとして保守作業資格判定情報保持部2041の保守作業資格判定情報を検索する。すなわち、資格認証部202は、取得した保守作業資格情報のアカウント名
と一致する保守作業資格判定情報のアカウント名を検索し、該検索されたアカウント名に対応づけられた認証パスワードを取得し、該取得した認証パスワードと保守作業資格情報のパスワードとの照合を行なう。
【0034】
該照合においてパスワードと認証パスワードが一致すれば、資格認証部202は、遠隔通信制御部203を起動するとともに、保守作業資格情報の発信元である保守端末30に保守作業資格を認証した旨を通知する。不一致ならば、資格認証部202は、保守作業資格が認証されない旨を保守端末30に通知する。
【0035】
遠隔通信制御部203は、遠隔通信制御認証情報を処理装置10に通知する。本実施例では、遠隔通信制御認証情報は遠隔操作認証情報およびログイン情報からなる。
遠隔通信制御部203は、処理装置10と保守管理装置20の間で遠隔操作のための認証に必要な遠隔操作認証情報を処理装置10に通知し、処理装置10における遠隔操作の認証結果を取得する遠隔操作部2031と、処理装置10へのログインの認証に必要なログイン情報を処理装置10に通知し、処理装置10におけるログイン認証結果を取得するログイン部2032と、処理装置10の装置状態を示す監視情報を取得するためのプログラムを保守制御情報として通知し、処理装置10から監視情報を取得する保守制御部2033と、を備える。
【0036】
遠隔通信制御部203が起動すると、先ず遠隔操作部2031が動作する。
遠隔操作部2031は、遠隔操作認証情報保持部2042に予め保持されている遠隔操作認証情報を読み出して、該遠隔操作認証情報を処理装置10に通知する。通知を受けた処理装置10は遠隔操作の認証判定を行ない、判定結果を保守管理装置20の遠隔操作部2031に通知する。
【0037】
遠隔操作部2031は、処理装置10からの遠隔操作の許可通知を受けると、ログイン部2032を起動させる。尚、不許可の場合には、その旨が保守端末30に通知される。
【0038】
ログイン部2032は、ログイン情報保持部2043に予め保持されているログイン情報を読み出して、該ログイン情報を処理装置10に通知する。通知を受けた処理装置10はログイン認証を行ない、認証結果を保守管理装置20に通知する。
【0039】
ログイン部2032は、処理装置10からのログイン許可通知を受けると、保守制御部2033を起動させる。尚、不許可の場合には、その旨が保守端末30に通知される。
【0040】
保守制御部2033は、保守制御情報保持部2044に予め保持されている保守制御情報を読み出して、該保守制御情報を処理装置10に通知する。保守制御情報を取得した処理装置10は、保守制御部102で該保守制御情報に基づいて自己の装置状態を示す監視情報を取得し保守管理装置20へ通知する。保守制御部2033は、処理装置10からの監視情報を取得すると、該監視情報を監視情報通知部205へ送る。
【0041】
上述のように、処理装置10に対する保守制御情報に基づいた遠隔監視を実行するためには、保守管理装置20が処理装置10から2つの認証許可、即ち、処理装置10と保守管理装置20の間での遠隔操作許可および処理装置10へのログイン認証許可を受けることが必要となり、部外者から管理センタ1内の処理装置10へ不正アクセスすることが困難となる。
【0042】
監視情報通知部205は、処理装置10からの監視情報を取得すると、該監視情報を保守管理通信部206を介して保守端末30に通知する。ところで、監視情報通知部205は、処理装置10から取得した監視情報の中から保守端末30で必要とする情報を適宜抽出する情報抽出部(図示せず)を備えており、例えば、監視情報におけるエラーログのステータスや通信ログにおけるステータスのみを抽出して、保守端末30に通知させるようにしてもよい。
これにより、保守管理装置20および保守端末30間における公衆通信回線2を介した通信量を低減させることができ、遠隔監視に伴って発生する通信費の節約することができる。
【0043】
保守管理通信部206は、LAN19を介して処理装置10と通信し、公衆通信回線2を介して保守端末30と通信するべく通信制御する。
【0044】
処理装置10は、操作入力を受けるとともに画面表示を行なう操作表示部101と、保守制御情報に基づいて自己の装置状態を示す監視情報を保守管理装置20に通知するための制御を行なう保守制御部102と、保守管理装置20からの遠隔通信制御に伴う認証判定を行なう遠隔通信制御認証部103と、種々の情報を蓄積する記憶部104と、監視情報を保守管理装置20に通知する監視情報通知部105と、LAN19を介して保守管理装置20と通信すべく通信制御を行なう処理装置通信部106と、を備える。
【0045】
記憶部104は、顧客の氏名、現住所および電話番号などの顧客情報を口座番号に対応付けた顧客情報を保持する顧客情報記憶部1041と、遠隔操作の認証に必要な遠隔操作認証判定情報を保持する遠隔操作認証判定情報記憶部1042と、ログイン認証に必要なログイン認証判定情報を保持するログイン認証判定情報記憶部1043と、RAMで構成され、自装置の各処理で生成される情報を一時保持する主記憶部1044と、を備える。
【0046】
保守制御部102は、保守制御情報に基づいて処理装置10の装置状態を示す記憶部104のメモリの使用状況と、監視ログと、通信ログを収集し、これらを監視情報として監視情報通知部105に出力する。
【0047】
監視情報通知部105は、保守制御情報に基づいて保守制御部102で取得する監視情報を処理装置通信部106を介して保守管理装置20へ通知する。
尚、監視情報を取得した処理装置通信部106は、LAN19を介して保守管理装置20に監視情報を出力する。
【0048】
遠隔通信制御認証部103は、保守管理装置20からの遠隔操作を認証するための遠隔操作認証部1031と、保守管理装置20からのログイン認証を行なうためのログイン認証部1032とを備える。
【0049】
遠隔操作認証部1031は、保守管理装置20からの遠隔操作認証情報を受けると、該遠隔操作認証情報および遠隔操作認証判定情報記憶部1042から読み出した遠隔操作認証判定情報に基づいて処理装置10と保守管理装置20の間で遠隔操作を認証するか否かを判定する。
【0050】
また、ログイン認証部1032は、保守管理装置20からのログイン情報を受けると、該ログイン情報およびログイン認証判定情報記憶部1043から読み出したログイン認証判定情報に基づいて処理装置10へのログインを認証するか否かを判定する。
尚、遠隔操作認証部1031およびログイン部2032における認証結果は、監視情報通知部105を介して保守管理装置20へ通知される。
【0051】
監視情報通知部105は、保守制御情報に基づいて保守制御部102で取得する監視情報を処理装置通信部106を介して保守管理装置20へ通知する。
【0052】
処理装置通信部106は、管理センタ1に構築されたLAN19を介して保守管理装置20と通信すべく通信制御を行なう。
【0053】
本処理システムの遠隔監視の動作を図3のフロー図に沿って説明する。
保守センタ3の保守員から入力された保守作業資格情報を端末操作表示部301で取得した保守端末30は、取得した保守作業資格情報を保守作業資格情報通知部303により、保守管理装置20に通知する(S301)。通知を受けた保守管理装置20は、資格認証部202で保守作業資格情報および保守作業資格判定情報保持部2041に予め保持されている保守作業資格判定情報に基づいて保守員の保守作業資格の認証判定を行なう(S302)。
【0054】
資格認証部202は、保守作業資格を認証すると、遠隔通信制御部203の遠隔操作部2031を起動する。起動した遠隔操作部2031は、遠隔操作認証情報保持部2042に予め保持している遠隔操作認証情報を読み出して、該遠隔操作認証情報を処理装置10に通知する。通知を受けた処理装置10は、遠隔通信制御認証部103の遠隔操作認証部1031で遠隔操作認証情報および遠隔操作認証判定情報記憶部1042に予め保持されている遠隔操作認証判定情報に基づいて処理装置10と保守管理装置20との間の遠隔操作認証(リモート認証)を行なう(S303)。
【0055】
遠隔操作認証部1031は、処理装置10と保守管理装置20との間の遠隔操作認証の認証を許可すると、許可した旨を守管理装置20に通知する。認証結果を受けた保守管理装置20の遠隔操作部2031は、ログイン部2032を起動する。起動したログイン部2032は、ログイン情報保持部2043に予め保持されているログイン情報を読み出して、該ログイン情報を処理装置10へ通知する。通知を受けた処理装置10は、ログイン認証部1032で、ログイン情報およびログイン認証判定情報記憶部1043に予め保持されているログイン認証判定情報に基づいて処理装置10へのログイン認証を行なう(S304)。
【0056】
ログイン認証部1032は、処理装置10へのログイン認証の認証を許可すると、許可した旨を保守管理装置20に通知する。ログイン認証許可を受けた保守管理装置20のログイン部2032は、保守制御部2033を起動する。起動した保守制御部2033は、保守制御情報保持部2044に保持されている保守制御情報を読み出して、該保守制御情報を処理装置10に通知する(S305)。
【0057】
通知を受けた処理装置10は、保守制御部102で保守制御情報に基づいて処理装置10の装置状態を示す監視情報を取得し、該監視情報を監視情報通知部105に通知する。監視作業情報通知部105は、取得した監視情報を保守管理装置20へ通知する(S306)。
【0058】
監視情報を受けた保守管理装置20の保守制御部2033は、監視情報を監視情報通知部205へ通知すると、該監視情報通知部205は監視情報を保守管理通信部206を介して保守端末30へ出力する(S307)。
【0059】
監視情報を受けた保守端末30は、端末操作表示部301で監視情報に基づく画面を表示する(ステップS308)。
【0060】
一方、ステップS302において保守員の保守作業資格認証が不許可であるとき、資格認証部202は、認証不許可を保守端末30に通知する(S309)。
【0061】
また、ステップS303において処理装置10と保守管理装置20との間の遠隔操作認証が不許可であるとき、遠隔操作認証部1031は不許可を保守管理装置20に通知する。通知を受けた保守管理装置20は、遠隔通信制御部203により、遠隔操作認証が不許可である旨が保守端末30に通知される(S310)。
【0062】
また、ステップS304において処理装置10へのログイン認証が不許可であるとき、ログイン認証部1032は、ログイン認証が不許可である旨を保守管理装置20に通知する。通知を受けた保守管理装置20は、遠隔通信制御部203により、ログイン認証が不許可である旨が保守端末30に通知される(S311)。
【0063】
前記したように、本発明の処理システムによれば、保守センタ3の保守端末30から保守作業資格情報を、管理センタ1内の保守管理装置20に通知して保守作業資格認証を行ない、保守作業資格を認証すると、保守管理装置20は、遠隔通信制御認証情報を管理センタ1内の処理装置10に通知して、該処理装置10で遠隔操作認証が許可されると、ログイン情報を処理装置10に通知して、該処理装置10でログイン認証を行なわせる。
【0064】
処理装置10でログイン認証が許可されると、保守管理装置20は、遠隔操作による遠隔監視を行なうための保守制御情報を処理装置10に通知する。処理装置10は、保守制御部102で保守制御情報に基づいて自己の装置状態を示す監視情報を取得し、該取得した監視情報を保守管理装置20に通知する。該通知を受けた保守管理装置20は、監視情報通知部205で監視情報を保守端末30へ通知することから、保守センタ3の保守員がわざわざ管理センタ1に出向かなくても、管理センタ1内の処理装置10の装置状態を示す監視情報を取得することができ、処理装置10の装置状態を遠隔監視することができる。
【0065】
従って、管理センタ1内の処理装置10を保守作業するとき、エラーログ、監視ログおよび通信ログなどの監視情報の読み出し作業は、わざわざ管理センタに出向くことなく、保守センタ3から遠隔監視することから、保守員は、効率的に保守作業を行なうことができる。
【0066】
また、本実施例の処理システムにおいて保守制御情報に基づいて遠隔通信制御による保守を実行するためには、処理装置10と保守管理装置20との間の遠隔操作認証の後、処理装置10へのログイン認証を行なうことから、部外者が容易に管理センタ1外から保守管理装置20を介して処理装置10の遠隔監視を行なうことができず、処理装置10のセキュリティを保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
前記した実施例では、保守管理装置20で保持するプログラム(保守制御情報)を処理装置10に通知する例で説明したが、予め処理装置10にプログラム(保守制御情報)を保持させて、該プログラムに基づく動作を行なわせるための起動コマンドを保守管理装置20から処理装置10へ通知するようにしてもよい。
また、管理センタ1内において、保守員が複数の処理装置10を効率的に構内保守作業を行なうために、構内保守作業用のプログラム(保守制御情報)を保守管理装置20に保持させ、該保守管理装置20から構内保守作業用のプログラムを処理装置10に通知して動作させるようにしてもよい。
【0068】
また、保守端末と管理センタの保守管理装置とを公衆通信回線で接続する例を説明したが、保守端末と保守管理装置をTCP/IPプロトコルを利用したテルネットで接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の処理システムの構成図である。
【図2】本発明の処理システムを構成する主要装置の構成図である。
【図3】本発明の処理システムの遠隔監視のフロー図である。
【符号の説明】
【0070】
1 管理センタ
2 公衆通信回線
3 保守センタ
10、11 処理装置
19 LAN
20 保守管理装置
30 保守端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関の管理センタ内に設けられており、自己の状態を監視するための監視情報が蓄積されている処理装置を備えた処理システムの保守方法であって、
前記管理センタの外に、保守員が保守作業を行なうために指示する保守端末が設けられており、該保守端末から、前記管理センタ内に設けられた保守管理装置に保守作業資格情報を通知すること、
前記保守作業資格情報を受けた保守管理装置は、該保守作業資格情報および予め保持している保守作業資格判定情報に基づいて保守作業資格認証処理を行なうこと、保守作業資格を認証すると、前記処理装置に対する遠隔通信制御の認証に必要な遠隔通信制御認証情報を前記処理装置に通知すること、
前記遠隔通信制御認証情報を受けた処理装置は、該遠隔通信制御認証情報および予め保持している遠隔通信制御認証判定情報に基づいて遠隔通信制御認証処理を行なうこと、遠隔通信制御を認証すると、遠隔通信制御許可を前記保守管理装置に通知すること、
前記遠隔通信制御許可を受けた保守管理装置は、予め保持している保守制御情報を前記処理装置に通知すること、
前記保守制御情報を受けた処理装置は、該保守制御情報に基づく制御を行なって、蓄積している前記監視情報を前記保守管理装置へ出力し、該保守管理装置を介して前記保守端末へ通知すること、
を特徴とする処理システムの保守方法。
【請求項2】
前記管理センタ内に複数の前記処理装置が設けられており、
前記保守管理装置は、前記各処理装置に対する各保守制御情報を、前記各処理装置に付与された識別情報に対応付けて保持しており、
前記保守制御情報は、当該保守制御情報に対応付けられた前記識別情報に基づいて通知されることを特徴とする請求項1記載の処理システムの保守方法。
【請求項3】
金融機関の管理センタ内に設けられており、自己の状態を示す監視情報が蓄積されている処理装置を備えた処理システムにおいて、
前記管理センタの外から前記処理装置の保守作業を行なうべく、保守員から保守作業資格を取得し、保守作業資格情報として通知する保守作業資格情報通知部を有した保守端末と、
前記管理センタ内に設けられており、
取得する前記保守作業資格情報と予め保持する保守作業資格判定情報とに基づいて、保守作業資格認証処理を行なう資格認証部と、
前記保守作業資格を認証すると、前記処理装置に遠隔通信制御を認証させるために必要な遠隔通信制御認証情報を通知する遠隔通信制御部と、
前記遠隔通信制御認証情報を取得した処理装置で、該遠隔通信制御認証情報と予め保持されている遠隔通信制御認証判定情報とに基づいて遠隔通信制御認証処理が行なわれ、遠隔通信制御を認証した処理装置から遠隔通信制御許可が通知されると、前記処理装置を遠隔通信制御で保守するための保守制御情報を前記処理装置に通知する保守制御部と、
前記保守制御情報を受けた処理装置で当該保守制御情報に基づく制御が行なわれ、当該処理装置から前記監視情報の通知を受けると、該監視情報を前記保守端末に通知する監視情報通知部とを有する保守管理装置と、
を備えることを特徴とする処理システム。
【請求項4】
前記処理装置は、
前記遠隔通信制御認証判定情報を保持する遠隔通信制御認証判定情報記憶部と、
取得する前記遠隔通信制御認証情報および前記遠隔通信制御認証判定情報に基づいて、当該処理への遠隔通信制御認証の可否判定を行ない、該判定結果を前記保守管理装置に通知する遠隔通信制御認証部と、
通知される前記保守制御情報に基づいて当該装置の保守制御を行なう保守制御部と、
該保守制御部で取得する前記監視情報を前記保守管理装置に通知する監視情報通知部と、を有することを特徴とする請求項3に記載の処理システム。
【請求項5】
前記遠隔通信制御認証情報は、前記処理装置および前記保守管理装置の間の遠隔操作認証に必要な遠隔操作認証情報と、前記処理装置にログインするためのログイン情報とを有しており、
前記遠隔通信制御認証部は、前記遠隔操作認証情報および遠隔操作を認証判定するための遠隔操作認証判定情報に基づいて遠隔操作認証処理を行なう遠隔操作認証部と、
前記ログイン情報およびにログイン認証判定するためのログイン認証判定情報に基づいて当該装置へのログイン認証処理を行なうログイン認証部とを備えることを特徴とする請求項4に記載の処理システム。
【請求項6】
前記保守端末は、前記保守作業として、通知される前記監視情報に基づいて前記処理装置の動作状態を監視することを特徴とする請求項3に記載の処理システム。
【請求項7】
前記監視情報通知部は、取得した前記監視情報の中から所定の情報を抽出するための情報抽出部を備えることを特徴とする請求項3に記載の処理システム。
【請求項8】
前記管理センタ内に複数の前記処理装置が設けられており、
前記保守管理装置は、前記各処理装置に対する各保守制御情報を、前記各処理装置に付与された識別情報に対応付けて保持しており、
前記保守制御部は、前記保守制御情報に対応付けられた前記識別情報に基づいて該当する前記処理装置に前記保守制御情報を通知することを特徴とする請求項3記載の処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−343994(P2006−343994A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168970(P2005−168970)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】