説明

銀含有金属オーミック接触電極

【課題】既存の業界工程と互換でき、有効に、生産コストを低減できる銀含有金属オーミック接触電極を提供する。
【解決手段】ニッケル(Ni)層とゲルマニウム(Ge)層、銀(Ag)層、パラジウム(Pd)層或いはプラチナ(Pt)層及び厚い膜金属(Thick Metal)層からなり、順に、n形III-V族化合物半導体層上に堆積されてから、アニール(Anneal)処理を介して形成された構造で、上記銀層とゲルマニウム層との厚さ比例範囲が、Ag/Ge=7〜8の間にある。また、上記の低い電気抵抗率(Electric
Resistivity)と高い熱伝導率(Thermal Conductivity)のオーミック接触電極は、銀が材料として形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀含有金属オーミック接触電極に関し、特に、低い電気抵抗率(Electric Resistivity)と高い熱伝導率(Thermal
Conductivity)のオーミック接触電極であって、銀を材料として、既存の業界工程と互換でき、生産コストを低減できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
ほぼ全ての半導体素子に、低いインピーダンスのオーミック接触が必要であり、それにより、素子特性が、最適化される。高いインピーダンス接触は、素子の作動期間に、半導体材料との接触面が、過熱になって、素子特性が劣化するためである。一般のガリウム砒素(GaAs)半導体のオーミック電極には、材料として、合金化が必要であるゲルマニウム化金/ニッケル(AuGe/Ni)が常用される。上記AuGe/Niは、オーミック電極の材料として使用される場合、400℃〜500℃でのアニール(Anneal)温度で、GaAs半導体オーミック接触のオーミック電極に作製される。
【0003】
しかしながら、そのオーミック電極は、金が、材料とされ、図2のように、金属銀と金属金との電気抵抗率と熱伝導率特性から分かるように、金属金の電気抵抗率が、金属銀よりも低く、また、熱伝導率も、金属銀より低く、また、金を材料とする場合の価額が、銀を材料とする場合よりも、高くなる。そのため、金属金が、業界によって利用されるが、その生産コストが高くて、大量生産に向かない。そのため、実用的とは言えない。
【0004】
本発明者は、上記欠点を解消するため、慎重に研究し、また、学理を活用して、有効に上記欠点を解消でき、設計が合理である本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、低い電気抵抗率と高い熱伝導率のオーミック接触電極を提供し、特に、銀を材料とし、既存の業界工程と互換でき、生産コストを低減できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するため、蒸着法や電気メッキ法により、ニッケル層とゲルマニウム層、銀層、パラジウム層或いはプラチナ層及び厚い膜金属を、順に、n形III-V族化合物半導体層上に堆積してから、アニール処理を介して、上記オーミック接触電極を形成する銀含有金属オーミック接触電極である。また、上記低い電気抵抗率と高い熱伝導率のオーミック接触電極は、上記各金属層の厚さを制御してアニール温度に合わせて形成される。
【0007】
以下、図面を参照しながら、本発明の特徴や技術内容について、詳しく説明するが、それらの図面等は、参考や説明のためであり、本発明は、それによって制限されることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のより良い実施例の構造断面概念図
【図2】本発明に係る銀含有金属のオーミック接触電極の電気抵抗率と熱伝導率特性の分析概念図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1と図2を参照しながら、それぞれ、本発明のより良い実施例の構造断面概念図と、本発明に係る銀含有金属のオーミック接触電極の電気抵抗率と熱伝導率特性との分析概念図である。図のように、本発明は、銀含有金属オーミック接触電極であり、上記オーミック接触電極1は、ニッケル(Ni)層11とゲルマニウム(Ge)層12、銀(Ag)層13、パラジウム(Pd)層或いはプラチナ(Pt)層14及び厚い膜金属(Thick Metal)層15からなり、順に、n形III-V族化合物半導体層2上に堆積されてから、300℃〜500℃の温度でのアニール(Anneal)処理を介して形成された構造である。また、上記ニッケル層の厚さ範囲が、1nm〜20nmの間にあり、上記ゲルマニウム層の厚さ範囲が、1nm〜50nmの間にあり、上記銀層の厚さ範囲が、5nm〜200nmの間にあり、そして、上記パラジウム層の厚さ範囲が、20nm〜200nmの間にあり、また、上記プラチナ層を利用する場合、その厚さ範囲が、10nm〜200nmの間にある。
【0010】
より良い実施例によれば、上記ニッケル層11と上記ゲルマニウム層12、上記銀層13、上記パラジウム層或いはプラチナ層14及び上記厚い膜金属層15からなるオーミック接触電極1は、その形成として、まず、蒸着法や電気メッキ法により、上記各金属層を、順に、上記n形III-V族化合物半導体層2上に堆積し、また、本実施例において、使用されたn形III-V族化合物半導体層2が、ガリウム砒素(GaAs)である。
【0011】
最後に、アニール処理を行って、低い電気抵抗率(Electric
Resistivity)と高い熱伝導率(Thermal Conductivity)のオーミック接触電極1が形成される。また、上記オーミック接触電極1は、上記各金属層の厚さを制御してアニール処理のアニール温度に合わせて、低い電気抵抗率と高い熱伝導率のオーミック接触電極1が得られ、本実施例において、上記ニッケル層の厚さ範囲が、10nmで、上記ゲルマニウム層の厚さ範囲が、1nm〜50nmで、上記銀層の厚さ範囲が、5nm〜200nmであり、また、上記銀層と上記ゲルマニウム層の厚さ比例範囲が、Ag /Ge=7〜8の間にあり、そして、上記パラジウム層の厚さ範囲が、80nm以上で、或いは、上記プラチナ層の厚さ範囲が、50nm以上であり、また、アニール温度が、約400℃で、銀含有金属のオーミック接触電極1(図2のように)が形成される。また、上記n形III-V族化合物半導体層2は、発光ダイオードやレーザダイオード、太陽電池及びトランジスタから選ばれた何れかの一つである。
【0012】
本発明によれば、上記オーミック接触電極は、銀が材料とされ、従来の、金が材料とされることに比して、金属銀の導電性と熱伝導性が、一般常用の金属金より良く、既存の業界工程と互換でき、また、コストが低い(図2のように)、そのため、有効に生産コストを低減できる。
【0013】
以上のように、本発明に係る銀含有金属オーミック接触電極は、有効に従来の諸欠点を解消でき、低い電気抵抗率と高い熱伝導率のオーミック接触電極は、銀が、材料とされ、既存の業界工程と互換でき、有効に生産コストを低減でき、そのため、本発明は、より進歩的かつより実用的で、法に従って特許請求を出願する。
【0014】
以上は、ただ、本発明のより良い実施例であり、本発明は、それによって制限されることが無く、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正は、全てが、本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0015】
1 オーミック接触電極
11 ニッケル層
12 ゲルマニウム層
13 銀層
14 パラジウム層或いはプラチナ層
15 厚い膜金属層
2 n形III-V族化合物半導体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル(Ni)層とゲルマニウム(Ge)層、銀(Ag)層、パラジウム(Pd)層或いはプラチナ(Pt)層及び厚い膜金属(Thick Metal)層からなり、順に、n形III-V族化合物半導体層上に堆積されてから、アニール(Anneal)処理を介して形成された構造で、上記銀層と上記ゲルマニウム層との比例範囲が、Ag/Ge=7〜8にあるオーミック接触電極が備えられる、
ことを特徴とする銀含有金属オーミック接触電極。
【請求項2】
上記n形III-V族化合物半導体層が、ガリウム砒素(GaAs)であることを特徴とする請求項1に記載の銀含有金属オーミック接触電極。
【請求項3】
上記ニッケル層の厚さ範囲が、1nm〜20nmの間にあることを特徴とする請求項1に記載の銀含有金属オーミック接触電極。
【請求項4】
上記ゲルマニウム層の厚さ範囲が、1nm〜50nmの間にあることを特徴とする請求項1に記載の銀含有金属オーミック接触電極。
【請求項5】
上記銀層の厚さ範囲が、5nm〜200nmの間にあることを特徴とする請求項1に記載の銀含有金属オーミック接触電極。
【請求項6】
上記パラジウム層の厚さ範囲が、20nm〜200nmの間にあることを特徴とする請求項1に記載の銀含有金属オーミック接触電極。
【請求項7】
上記プラチナ層の厚さ範囲が、10nm〜200nmの間にあることを特徴とする請求項1に記載の銀含有金属オーミック接触電極。
【請求項8】
上記アニール処理の温度範囲が、300°C〜500°Cの間にあることを特徴とする請求項1に記載の銀含有金属オーミック接触電極。
【請求項9】
上記n形III-V族化合物半導体層が、発光ダイオードやレーザダイオード、太陽電池及びトランジスタから選ばれた何れかの一つであることを特徴とする請求項1に記載の銀含有金属オーミック接触電極。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−263029(P2010−263029A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111720(P2009−111720)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(595165656)行政院原子能委員会核能研究所 (51)
【Fターム(参考)】