説明

銅箔積層構造体及び銅箔の表面処理方法

【課題】銅箔と絶縁材との間の接着力を向上させることで、電子機器の信頼性を改善することにあり、この様な技術的課題を達成することができる銅箔積層構造体及び銅箔の表面処理方法を提供する。
【解決手段】絶縁材との接着力向上のために銅箔1表面に接着力向上層として、アミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤の混合シランカップリング剤を塗布したことを特徴とする。これにより、絶縁材表面の反応基(reaction group)の特性(塩基性または酸性)に影響を受けずに混合カップリング剤の使用によるシナジー(synergy)効果を極大化して、銅箔と絶縁材との間の接着力を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅箔積層構造体及び銅箔の表面処理方法に関するものであって、より詳しくは、シランカップリング剤を用いて銅箔表面を塗布することで、後続して銅箔の上面に積層される絶縁材層表面の反応基(reaction group)の特性(塩基性または酸性)に影響を受けずにカップリング剤の使用によるシナジー(synergy)効果を極大化して、電子機器の信頼性を改善することができる銅箔積層構造体及び銅箔の表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電気・電子機器の軽薄短小化が加速化されるにつれて基板上に形成された印刷回路が微細化・高集積・小型化されている。これによって印刷回路基板に用いられる銅箔にも様々な物性が要求されている。
硬性印刷回路基板の製造に用いられている銅箔には、強い接着強度、高い耐熱特性及び耐薬品性が要求され、層間絶縁のために用いられる絶縁材も低い単価の材料として、外部衝撃に強い有機繊維をエポキシ樹脂に含浸させたFR‐4 プリプレグ(prepreg)が用いられている。
【0003】
一方、軟性印刷回路基板の製造に用いられる銅箔としては、高屈曲特性を示すように低粗度、高延伸率、高屈曲特性を示す銅箔が採用されており、絶縁材としても屈曲特性に優れているポリイミドフィルムまたはワニス(varnish)を採用している。
一般に、印刷回路基板は銅箔を高温高圧下で積層させた後フォトリソグラフィー工程などを通じて基板上に回路パターンを形成して製造されている。
印刷回路基板の製造工程において銅箔と絶縁材との間の接着力を向上させるために従来技術で使用する方法としては、銅箔表面に小さい凹凸を形成させた後銅箔の表面にシランカップリング剤を塗布して銅箔と絶縁材との間の密着力を確保する方法がある。特に、従来技術の場合、シランカップリング剤の作用基として、エポキシ(epoxy)、メルカプタン(mercaptan)、ビニル(vinyl)、アミノ(amino)系などを単独で適用して銅箔と絶縁材との間の接着力を向上させる技術であるが、シランカップリング剤と絶縁材との間の化学的結合力を極大化するのに技術的限界が確認されている。
従って、前述した従来技術の問題点を解決するための努力が関連業界で持続されており、このような技術的背景の下で本発明が案出された。
【特許文献1】特開平9−278884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、銅箔の上面に積層される絶縁材表面の反応基の特性(塩基性または酸性)に影響を受けずに混合カップリング剤の使用によるシナジー効果を極大化して、銅箔と絶縁材との間の接着力を向上させることで電子機器の信頼性を改善しようとすることにあり、このような技術的課題を達成することができる銅箔積層構造体及び銅箔の表面処理方法を提供することに本発明の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題を達成するために提供される銅箔積層構造体の一つは、銅箔;及び上記銅箔表面に塗布された接着力向上層;を含んでなり、上記接着力向上層は、アミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ(glycidoxy)作用基を有したシランカップリング剤の混合シランカップリング剤を用いて形成されたことを特徴とする。このとき、上記銅箔と上記接着力向上層との間に防錆処理層がさらに形成され得る。
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題を達成するために提供される銅箔積層構造体のもう一つは、銅箔;上記銅箔表面に形成されたノジュール(nodule)層;上記ノジュール層を包むバリアメッキ層;及び上記バリアメッキ層の上面に塗布された接着力向上層;を含んでなり、上記接着力向上層は、アミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤の混合シランカップリング剤を用いて形成されたことを特徴とする。このとき、上記バリアメッキ層と上記接着力向上層との間に防錆処理層がさらに形成され得る。
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題を達成するために提供される銅箔とその上面に積層される絶縁材層との接着力向上のための銅箔の表面処理方法は、(S1)上記銅箔の上面を粗化メッキ処理してノジュールを形成させる段階;(S2)上記銅箔の上面に形成されたノジュールの表面が包まれるようにバリアメッキ層を形成させる段階;及び(S3)上記バリアメッキ層の上面にアミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤が混合されたシランカップリング剤を塗布して接着力向上層を形成する段階;を含んで行うことを特徴とする。このとき、上記(S2)段階のバリアメッキ層を形成した後、防錆処理層を形成する工程をさらに行った後、その上面に接着力向上層を形成する(S3)段階を行うこともできる。
【0008】
上記混合シランカップリング剤は、アミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤の重量比が1:4ないし4:1の比率で混合されたものであれば望ましい。
【0009】
上記アミノ作用基を有したシランカップリング剤は、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン(3‐aminopropyltrimethoxysilane)、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン(3‐aminopropyltriethoxysilane)及びN‐2‐アミノエチル‐3‐アミノプロピルトリエトキシシラン(N‐2‐aminoethyl‐3‐aminopropyltriethoxysilane)からなる群より選択された単一物または二つ以上の混合物であれば望ましい。
【0010】
上記グリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤は、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3‐glycidoxypropyltrimethoxysilane)、3‐グリシドキシプロピルエトキシジメトキシシラン(3‐glycidoxypropylethoxydimethoxysilane)及び3‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(3‐glycidoxypropyltriethoxysilane)からなる群より選択された単一物または二つ以上の混合物であれば望ましい。
上記バリアメッキ層は、Zn‐As組成液、Zn‐Co組成液、Ni‐Mo‐Zn組成液、Mo‐Zn組成液及びCo‐Ni‐Zn組成液からなる群より選択された単一物または二つ以上の混合物を用いて形成されたものであれば望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、絶縁材表面の反応基の特性(塩基性または酸性)に影響を受けずに混合カップリング剤の使用によるシナジー効果を極大化して、シランカップリング剤を用いないか単独で用いたときより銅箔と絶縁材との間の接着力が向上されるため、電子機器の信頼性を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立って、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはいけず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念とに解釈されなければならない。従って、本明細書に記載された実施例は本発明の最も望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないため、本出願時点においてこれらに代替できる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0013】
以下、本発明に従って印刷回路基板用銅箔積層構造体及び銅箔の表面処理方法を図1及び図2を参照しながら詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施例に従って表面処理された銅箔積層構造体の断面図である。
図2は、本発明の一実施例に従って銅箔の表面処理方法を説明するための工程流れ図である。
図1及び図2を参照すれば、本発明による銅箔の表面処理は、下記(S1)ないし(S3)段階を順次行ってなされる。
【0014】
ノジュールの形成段階(S1)
銅箔1と後続工程で形成される絶縁材層(図示せず)との間の接着力を向上させるために、まず、銅箔1の上面を粗化メッキ処理してノジュールを形成する。上記ノジュールの形成段階(S1)は、上記銅箔1の上面に溝を形成させる通常の方法を使用する。上記銅箔1の表面にノジュールが形成されることで、銅箔の表面積が増加し、これによって後続して接着される絶縁材との接着強度が増進される。
【0015】
バリアメッキ層の形成段階(S2)
上記銅箔1の上面に微細な凹凸形のノジュールが形成された後、その表面に対して金属メッキ処理を行ってバリア層を形成する、上記バリアメッキ層2は、Zn‐As組成液、Zn‐Co組成液、Ni‐Mo‐Zn組成液、Mo‐Zn組成液またはCo‐Ni‐Zn組成液などを用いて形成される。
【0016】
接着力向上層の形成段階(S3)
上記バリアメッキ層(S2)の上面に対してシランカップリング剤を塗布し後続工程で形成される絶縁材層(図示せず)を対接して接着される接着力向上層3が形成される。
一方、上記(S1)段階以後に上記(S2)段階を行わずに、(S3)段階に進行して、銅箔1の上面に接着力向上層3が直接塗布される積層構造に形成され得、銅箔1の上面にクロメイトを用いた防錆処理層(図示せず)を形成した後、その上面に接着力向上層3が塗布された積層構造に形成され得る。
【0017】
また、上記(S2)段階のバリアメッキ層2を形成した後、クロメイトを用いて上記バリアメッキ層2の上面に対して防錆処理層(図示せず)を形成する工程をさらに行った後、上記(S3)段階の接着力向上層3を形成して他の積層構造を形成することもできる。
【0018】
上記のように、既存の段階を省略するか新しい段階を追加することは、当業者に自明な範囲内で自由になされ得、これらは全て本発明の技術的範疇に含まれることは言うまでもない。
【0019】
上記接着力向上層3は、シランカップリング剤を用いて形成され、特にアミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤が、その重量比が1:4ないし4:1の比率で混合されたシランカップリング剤を用いて形成されば、その接着力の向上に望ましい効果が奏される。
【0020】
上記アミノ作用基を有したシランカップリング剤は、pH9〜pH11の範囲で水によく溶解され、エポキシプリプレグ及びポリイミド樹脂と化学的結合を形成するときにも塩基性反応基で縮合反応がよく行われるものが望ましい。
【0021】
上記アミノ作用基を有したシランカップリング剤は、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、または、N‐2‐アミノエチル‐3‐アミノプロピルトリエトキシシランなどを用いることができる。
【0022】
上記グリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤は、pH4〜pH5の範囲で水によく溶解され、エポキシプリプレグ及びポリイミド樹脂と化学的結合を形成するときにも酸性反応基で縮合反応がよく行われるものが望ましい。
【0023】
上記グリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤は、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルエトキシジメトキシシラン、または、3‐グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどを用いることができる。
【0024】
上記アミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤は、1:4ないし4:1の重量比で混合して用いることが望ましい。上記アミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤の重量比率が1:4未満の場合には、銅箔の塩基性表面に作用するアミノ作用基を有したシランカップリング剤の濃度が低くて銅箔の塩基性表面においてアミノ作用基を有したシランカップリング剤の塗布量不足のため局部的な剥離強度の低下が発生して望ましくない。上記アミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤の重量比率が4:1を超過すれば、銅箔の酸性表面に作用するグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤の濃度が低くて銅箔の酸性表面においてグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤の塗布量不足のため局部的な剥離強度の低下が発生して望ましくない。
【0025】
上記のようにアミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤を混合したシランカップリング剤を塗布した銅箔は、絶縁材と強い化学的結合を形成する。従って、従来のようにシランカップリング剤を単独で用いるか用いなかった場合に比べてシナジー効果を極大化することができ、これによって銅箔と絶縁材との間の接着力をさらに向上させることができる。
【0026】
上記シランカップリング剤に含まれるシラン化合物が無機物との反応のためにはアルキルシラン部分でアルコキシに該当する低分子物質の除去が先行されなければならない。その後、接着面上に水/メタノールにより加水分解された混合シランカップリング剤を塗布するか、または接着対象面を加水分解された混合シランカップリング剤の溶液に浸してカップリング剤による化学結合を有機‐無機混合物の界面に導入するようになる。このように導入されたシランを含む有機官能基が他の有機物との化学結合及び吸着による物理的結合をもたらして強い結合を形成するようになる。
【0027】
上記のような混合液で表面処理された銅箔の表面に塗布した後150℃以上の温度で熱処理することができる。上記熱処理の温度が上記範囲未満の場合には、シランカップリング剤が乾燥されないため工程中シランカップリング剤が脱離され、銅箔と絶縁材を積層するとき乾燥されていないシランカップリング剤の揮発による銅箔と絶縁樹脂との間の接着力低下などを引き起こす恐れがあるため望ましくない。
【0028】
以下、本発明の望ましい実施例と比較例を通じてより具体的に説明する。
実施例1
電解銅箔に銅ノジュールを形成するため粗化メッキ処理をし、その表面にバリア層形成のためのメッキ処理をした。その後、電解クロメイト防錆処理をした電解銅箔の表面に、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン3g/l及び3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1g/lを水/メタノールの混合溶液で加水分解させて得た液を塗布した。次いで、上記電解銅箔にポリイミドワニスをコートした後、200℃で10分間乾燥した。なお、必要に応じては、ノジュール形成のための粗化メッキ処理、バリアメッキ層を形成するためのメッキ処理、及び防錆処理などをしない場合もあり、それから形成される銅箔積層構造体も本発明の範疇に含まれることは自明である。
【0029】
実施例2
上記実施例1で使用した3‐アミノプロピルトリメトキシシランを1g/lにし3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシランを4g/lにして、上記実施例1と同様の方法で実施した。
【0030】
実施例3
上記実施例1で使用した3‐アミノプロピルトリメトキシシランを4g/lにし3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1g/lにして、上記実施例1と同様の方法で実施した。
【0031】
比較例1
上記実施例1で用いた3‐アミノプロピルトリメトキシシラン3g/l及び3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1g/lの代わりに、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン4g/lを用いたことを除いては、上記実施例1と同様の方法で実施した。
【0032】
比較例2
上記実施例1で用いた3‐アミノプロピルトリメトキシシラン3g/l及び3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1g/lの代わりに、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン4g/lを用いたことを除いては、上記実施例1と同様の方法で実施した。
上記比較例1または比較例2は、本発明による実施例とは異なり、混合型のシランカップリング剤を用いず、それぞれ、アミノ作用基を有するシランカップリング剤である3‐アミノプロピルトリメトキシシランのみを用いるか、グリシドキシ作用基を有するシランカップリング剤である3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシランのみを用いた。
【0033】
比較例3
上記実施例1で用いた3‐アミノプロピルトリメトキシシラン3g/l及び3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1g/lの代わりに、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン1g/l及び3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5g/lを用いたことを除いては、上記実施例1と同様の方法で実施した。
【0034】
比較例4
上記実施例1で用いた3‐アミノプロピルトリメトキシシラン3g/l及び3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1g/lの代わりに、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン5g/l及び3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1g/lを用いたことを除いては、上記実施例1と同様の方法で実施した。
【0035】
上記比較例3及び比較例4は、本発明による実施例と同様に混合型のシランカップリング剤を用いたが、その混合比率を本発明の範囲を逸脱するようにすることで実施例と対比させた。
【0036】
前述した方法により用意された銅箔とポリイミドとの間の初期接着強度及び18% HCl浸漬後の接着強度をそれぞれ測定した後、下記数1に従う接着強度低下率を計算し、その結果を下記表1に示した。
【0037】
初期接着強度は、前述した方法により製造されたそれぞれのFCCLサンプルをフォトリソグラフィー工程を通じて1mmのパターンを形成した後、その試片をJIS C 6471 8.1規格の90゜接着強度分析法で測定した値である。
接着強度低下率は、上記のように初期接着強度を測定したそれぞれの試片を18% HCl溶液に1時間浸漬した後、同一のJIS C 6471 8.1規格の90゜接着強度分析法で測定した値である。
【0038】
【数1】

【0039】
【表1】

【0040】
上記表1に示したように、本発明に従ってアミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤を両方共に用いた実施例1ないし実施例3の場合は、比較例1ないし比較例4に比べて接着強度が顕著に改善されたことを確認することができる。さらに、実施例1ないし実施例3の全ての場合において、HClに浸漬させた後の接着強度低下率を見ても比較例1ないし比較例4に比べて低いことが分かる。これによって、本発明によると、接着強度は顕著に改善され、外部環境に対する接着率低下の問題は相対的に減少して、より安定な銅箔積層構造体が製造できることが分かる。
【0041】
以上のように、本発明はたとえ限定された実施例と図面とによって説明されたが、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を持つ者により本発明の技術思想と特許請求範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能なのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本明細書に添付される下記の図面は本発明の望ましい実施例を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項にのみ限定されて解釈されてはいけない。
【図1】図1は、本発明の一実施例に従って表面処理された銅箔積層構造体の断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施例に従って銅箔の表面処理方法を説明するための工程流れ図である。
【符号の説明】
【0043】
1 銅箔
2 バリアメッキ層
3 シランカップリング剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅箔積層構造体において、
銅箔;及び
上記銅箔表面に塗布された接着力向上層;を含んでなり、
上記接着力向上層は、アミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ(glycidoxy)作用基を有したシランカップリング剤の混合シランカップリング剤を用いて形成されたことを特徴とする銅箔積層構造体。
【請求項2】
上記銅箔と上記接着力向上層との間に防錆処理層がさらに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の銅箔積層構造体。
【請求項3】
銅箔積層構造体において、
銅箔;
上記銅箔表面に形成されたノジュール(nodule)層;
上記ノジュール層を包むバリアメッキ層;及び
上記バリアメッキ層の上面に塗布された接着力向上層;を含んでなり、
上記接着力向上層は、アミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤が混合されたシランカップリング剤を用いて形成されたことを特徴とする銅箔積層構造体。
【請求項4】
上記バリアメッキ層と上記接着力向上層との間に防錆処理層がさらに形成されていることを特徴とする請求項3に記載の銅箔積層構造体。
【請求項5】
上記バリアメッキ層は、Zn‐As組成液、Zn‐Co組成液、Ni‐Mo‐Zn組成液、Mo‐Zn組成液及びCo‐Ni‐Zn組成液からなる群より選択された単一物または二つ以上の混合物を用いて形成されたことを特徴とする請求項3に記載の銅箔積層構造体。
【請求項6】
上記混合シランカップリング剤は、上記アミノ作用基を有したシランカップリング剤及び上記グリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤の重量比が1:4ないし4:1の比率で混合されたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のうち何れか1項に記載の銅箔積層構造体。
【請求項7】
上記アミノ作用基を有したシランカップリング剤は、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン(3‐aminopropyltrimethoxysilane)、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン(3‐aminopropyltriethoxysilane)及びN‐2‐アミノエチル‐3‐アミノプロピルトリエトキシシラン(N‐2‐aminoethyl‐3‐aminopropyltriethoxysilane)からなる群より選択された単一物または二つ以上の混合物であることを特徴とする請求項6に記載の銅箔積層構造体。
【請求項8】
上記グリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤は、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3‐glycidoxypropyltrimethoxysilane)、3‐グリシドキシプロピルエトキシジメトキシシラン(3‐glycidoxypropylethoxydimethoxysilane)及び3‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(3‐glycidoxypropyltriethoxysilane)からなる群より選択された単一物または二つ以上の混合物であることを特徴とする請求項6に記載の銅箔積層構造体。
【請求項9】
銅箔とその上面に積層される絶縁材層との接着力向上のための銅箔の表面処理方法において、
(S1)上記銅箔の上面を粗化メッキ処理してノジュールを形成させる段階;
(S2)上記銅箔の上面に形成されたノジュールの表面が包まれるようにバリアメッキ層を形成させる段階;及び
(S3)上記バリアメッキ層の上面にアミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤が混合されたシランカップリング剤を塗布して接着力向上層を形成する段階;を含んで行うことを特徴とする銅箔の表面処理方法。
【請求項10】
上記バリアメッキ層は、Zn‐As組成液、Zn‐Co組成液、Ni‐Mo‐Zn組成液、Mo‐Zn組成液及びCo‐Ni‐Zn組成液からなる群より選択された単一物または二つ以上の混合物を用いて形成することを特徴とする請求項9に記載の銅箔の表面処理方法。
【請求項11】
上記(S2)段階のバリアメッキ層を形成した後、防錆処理層を形成する工程をさらに行った後、上記(S3)段階の接着力向上層を形成することを特徴とする請求項9に記載の銅箔の表面処理方法。
【請求項12】
上記バリアメッキ層は、Zn‐As組成液、Zn‐Co組成液、Ni‐Mo‐Zn組成液、Mo‐Zn組成液及びCo‐Ni‐Zn組成液からなる群より選択された単一物または二つ以上の混合物を用いて形成することを特徴とする請求項11に記載の銅箔の表面処理方法。
【請求項13】
上記混合シランカップリング剤は、上記アミノ作用基を有したシランカップリング剤及びグリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤の重量比が1:4ないし4:1の比率で混合されたことを特徴とする請求項9ないし請求項12のうち何れか1項に記載の銅箔の表面処理方法。
【請求項14】
上記アミノ作用基を有したシランカップリング剤は、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン及びN‐2‐アミノエチル‐3‐アミノプロピルトリエトキシシランからなる群より選択された単一物または二つ以上の混合物であることを特徴とする請求項12に記載の銅箔の表面処理方法。
【請求項15】
上記グリシドキシ作用基を有したシランカップリング剤は、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルエトキシジメトキシシラン及び3‐グリシドキシプロピルトリエトキシシランからなる群より選択された単一物または二つ以上の混合物であることを特徴とする請求項13に記載の銅箔の表面処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−179127(P2008−179127A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303111(P2007−303111)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(506336603)エルエス ケーブル リミテッド (9)
【Fターム(参考)】