間隔保持部材、プロセスカートリッジ及び現像装置
【課題】電子写真感光体と現像剤担持体との間隔を一定に保持する間隔保持部材と、現像剤担持体との隙間への現像剤の侵入を抑制する。
【解決手段】間隔保持部材10cは、現像ローラ10dの長手方向の両端部でそれぞれ現像ローラ10dの外周面を覆い、現像ローラ10dに対して相対的に回転可能に配設される円筒状の本体部10c1と、前記長手方向における本体部10c1の内側に設けられ、現像ローラ10dに対する相対回転に伴って現像剤を前記長手方向の内側に流動させる流動力発生部10c2と、を備える。
【解決手段】間隔保持部材10cは、現像ローラ10dの長手方向の両端部でそれぞれ現像ローラ10dの外周面を覆い、現像ローラ10dに対して相対的に回転可能に配設される円筒状の本体部10c1と、前記長手方向における本体部10c1の内側に設けられ、現像ローラ10dに対する相対回転に伴って現像剤を前記長手方向の内側に流動させる流動力発生部10c2と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ、現像装置及びそれらに用いられる間隔保持部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた電子写真画像形成装置が知られている。この電子写真画像形成装置においては、電子写真感光体及び前記電子写真感光体に作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化して、このカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらずユーザ自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。そのため、このプロセスカートリッジ方式は画像形成装置において広く用いられている。
【0003】
このようなプロセスカートリッジにおいては、電子写真感光体を有する感光体ユニットが、現像手段を有する現像ユニットを揺動可能に支持し、現像手段を電子写真感光体に当接する方向に付勢する付勢手段を設ける構成が用いられている。そして、プロセス手段としての現像手段を電子写真感光体に対して所定の間隙あるいは接触圧を持って当接するように構成されている。
所定の間隙を保持する構成としては、現像手段としての現像剤担持体の長手方向両端部を覆うように、厚みが一定のキャップ部材を被せる等の方法が用いられている。しかしながら、このようなキャップ部材を現像剤担持体に設ける構成においては、画像形成中に浮遊した現像剤がキャップ部材と現像剤担持体との隙間に入り込む可能性が有る。そして、プロセスカートリッジの長寿命化を図る上では、隙間に入り込んだ現像剤の厚みにより、電子写真感光体と現像剤担持体との所定の隙間が広がり、印刷された画像に濃度ムラ等が発生してしまうことが懸念される。
【0004】
ここで、特許文献1において、電子写真感光体と現像剤担持体との間隔を一定に保持する間隔保持部材の表面に、現像剤担持体の中心軸に対して斜めに傾けられた溝を形成し、電子写真感光体表面に付着した現像剤をかき取る構成が提案されている。
一方、特許文献2において、現像剤担持体表面に現像剤担持体の外周面の母線に対して傾斜角を有する複数の溝を形成し、現像剤担持体の長手方向両端部において現像剤担持体と摺接するシール部材への現像剤の侵入を防止する構成のものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−033620号公報
【特許文献2】特開2000−242073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記の構成は、キャップ部材と現像剤担持体との隙間への現像剤侵入を防止するものではない。
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、電子写真感光体と現像剤担持体との間隔を一定に保持する間隔保持部材と、現像剤担持体との隙間への現像剤の侵入を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するための現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体と、前記電子写真感光体との間隔を一定にする間隔保持部材であって、前記電子写真感光体と前記現像剤担持体とが前記間隔保持部材を介して互いに押し合うように構成されることで、前記電子写真感光体と前記現像剤担持体との間隔を一定に保持する間隔保持部材において、
前記現像剤担持体の長手方向の両端部でそれぞれ前記現像剤担持体の外周面を覆い、前記現像剤担持体に対して相対的に回転可能に配設される円筒状の本体部と、
前記長手方向における前記本体部の内側に設けられ、前記現像剤担持体に対する相対回転に伴って現像剤を前記長手方向の内側に流動させる流動力発生部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子写真感光体と現像剤担持体との間隔を一定に保持する間隔保持部材と、現像剤担持体との隙間への現像剤の侵入を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の現像ユニットの要部の概略構成を示す斜視図
【図2】実施例1の画像形成装置の概略構成を示す断面図
【図3】実施例1のプロセスカートリッジの概略構成を示す断面図
【図4】実施例1のプロセスカートリッジの概略構成を示す斜視図
【図5】実施例1のプロセスカートリッジの概略構成を示す斜視図
【図6】実施例1の現像ローラの支持構成について説明する図
【図7】実施例1の現像ローラの支持構成について説明する図
【図8】実施例1の間隔保持部材の概略構成を示す図
【図9】実施例1のプロセスカートリッジの要部の概略構成を示す断面図
【図10】実施例2の間隔保持部材の概略構成を示す図
【図11】実施例2の現像ユニットの要部の概略構成を示す斜視図
【図12】間隔保持部材の他の形態を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0011】
(電子写真画像形成装置の全体説明)
まず、電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置)Aの全体構成について図2,3を用いて説明する。図2は本発明を適用可能なプロセスカートリッジを画像形成装置Aに装着した状態を示す概略断面図である。また、図3は本発明を適用可能なプロセスカートリッジの概略構成を示す断面図である。以下の説明では、現像剤担持体としての現像ローラ10dの回転軸線方向を長手方向とする。
【0012】
以下に、本実施例における画像形成装置Aの画像形成動作について説明する。まず、図2に示すように、ドラム形状で感光層を有する電子写真感光体(以下、感光体ドラム)7に、光学系1から画像情報に基づいたレーザ光Lが照射される。それによって、感光体ドラム7に静電潜像が形成される。そして、現像剤tを担持する現像剤担持体としての現像ローラ10dに電圧が印加されることにより、現像ローラ10dから感光体ドラム7に現像剤tが移動する現像動作が行われる。これによって、感光体ドラム7上に現像剤tの像
が形成される。そして、現像剤像の形成と同期して記録媒体としての記録材(記録シート、OHPシート等)2がカセット3aから搬送手段3bによって搬送される。そして、プロセスカートリッジ(以下、カートリッジ)Bとしてカートリッジ化された画像形成部において感光体ドラム7に形成された現像剤像が、転写手段としての転写ローラ4に電圧が印加されることによって、記録材2に転写される。そして、その記録材2が定着手段5へと搬送される。定着手段5は、駆動ローラ5a及びヒータ5bを内蔵する定着ローラ5cを有する。定着手段5を通過した記録材2は、図2に3f,3gで示される2対の排出ローラ対で搬送され、反転搬送路を通して排出部6へと排出される。尚、この画像形成装置Aは図示しない手差しトレイ及びローラによって手差し給送も可能である。
【0013】
(カートリッジの構成)
カートリッジBは、感光体ドラム7と、少なくともプロセス手段として、感光体ドラム7に形成された静電潜像を現像する現像ローラ10dと、を備え、画像形成装置本体に着脱可能に構成されている。
図3に示すように、本実施例のカートリッジBを用いて画像を形成する際には、感光体ドラム7が矢印R方向に回転する。そして、感光体ドラム7の表面は、帯電手段としての帯電ローラ8によって一様に帯電される。そして、光学系1からのレーザ光Lが、感光体枠体としてのクリーニング枠体11と現像容器10との間に在る露光開口部9bを通過して感光体ドラム7の周面を露光する。そして、感光体ドラム7に静電潜像が形成される。
【0014】
現像容器10には、現像剤規制部材(現像ブレード)10eと現像ローラ10dとが設けられている。また、現像容器10は、現像ローラ10dへ供給するための現像剤tを収納する現像剤収納部10hを有する。そして、現像ローラ10d上(現像剤担持体上)の現像剤tが現像ブレード10eによって規制されることにより、現像ローラ10d上に均一な現像剤層が形成される。そして、現像ローラ10dに現像バイアスが印加されることにより、現像剤tが潜像に応じて感光体ドラム7に転移する。これによって、潜像に応じた現像剤像が感光体ドラム7上に形成される。
そしてその現像剤像が、転写ローラ4に転写バイアスが印加されることよって記録材2に転写される。そして、現像剤像が記録材2に転写された後に感光体ドラム7に残留した現像剤tは、クリーニング手段としてのクリーニングブレード11aによって除去される。そして、除去された現像剤tは、除去現像剤収納部11cに集められる。
【0015】
図4,5は、カートリッジBの概略構成を示す斜視図である。図4に示すように、カートリッジBは、第一ユニットとしての感光体ユニットvと、第二ユニットとしての現像ユニット(現像装置)uとを有する。感光体ユニットvは、クリーニング枠体11と感光体ドラム7と帯電ローラ8とクリーニングブレード11aとを有する。また、感光体ドラム7には、画像形成装置A本体からの駆動力を感光体ドラム7に入力するためのドラムギア7aが取り付けられている。そして、感光体ドラム7はクリーニング枠体11と支持部材13により回転可能に支持されている。
現像ユニットuは、図4に示すように、現像容器10と、端部部材81,82と、現像ローラ10dを有する。端部部材81,82は、現像容器10の長手方向両端部に固定されており、現像ローラ10dを回転可能に支持している。
【0016】
次に、感光体ユニットvに対する現像ユニットuの支持構成を説明する。図4に示すように、端部部材81,82にはそれぞれアーム部81a,82aが設けられている。ここで、アーム部81a,82aは、感光体ユニットvに向かって(現像容器10の長手方向と交差する交差方向(本実施例では直交方向)に向かって)突出している。そして、アーム部81a,82aの先端には、それぞれ、現像容器10の長手方向と平行な方向に穴部81b,82bが設けられている。
【0017】
また、クリーニング枠体11には、現像ユニットuの支持部として穴部11e,11fが設けられている。そして、穴部11eと穴部81b、及び穴部11fと穴部82bとを合せるように、現像ユニットuのアーム部81a,82aを、クリーニング枠体のアーム挿入部11g,11hに挿入し、各々の穴部を貫通するように支持ピン21を嵌入させる。
これにより、感光体ユニットvに現像ユニットuが回転(揺動)可能に支持される。この際、クリーニング枠体11に設けられたアーム挿入部11hの幅をアーム挿入部11gに対して狭くしており、このアーム挿入部11hとアーム部82aの幅とで現像ユニットuの長手方向の位置が規制されるように構成されている。これにより、感光体ユニットvに対する現像ユニットuの長手方向の位置が規制される。
また、図5に示すように、付勢部材としての圧縮コイルバネ20が、端部部材81,82とクリーニング枠体11との間に配置(縮設)される。これにより現像ユニットuが感光体ドラム7の方向へ付勢され、現像ローラ10dの長手方向両端部に配設された後述する間隔保持部材10cが感光体ドラム7と接触する。これにより、現像ローラ10dと感光体ドラム7とが所定の間隙をもって対向する。このように、間隔保持部材10cは、現像ローラ10dと感光体ドラム7とが間隔保持部材10cを介して互いに押し合うように構成されることで、現像ローラ10dと感光体ドラム7との間隔を一定に保持するものである。
【0018】
(現像ユニットの現像ローラ支持構成)
図6,7は、現像ユニットuにおける現像ローラ10dの支持構成について説明するための図である。図6,7に示すように、現像ローラ10dの長手方向両端部には、キャップ状の間隔保持部材10cが被せられ、さらに現像ローラ支持部材83,84が間隔保持部材10cよりも長手方向外側で現像ローラ10dを回転可能に支持している。また、画像形成装置A本体から感光体ドラム7のドラムギア7aに伝達された駆動力を現像ローラ10dに入力するために、現像ローラ10dには現像ローラギア10fが取り付けられている。そして、現像ローラ支持部材83,84に各々設けられた位置決め穴83a,84aを通して、端部部材81,82の位置決め軸81c,82cが、現像容器10に設けられた位置決め穴10g(端部部材82側は不図示)に貫通される。この状態で、端部部材81,82を現像容器10に固定することで、現像ローラ10dが現像ユニットuに回転可能に支持される。
【0019】
(間隔保持部材の構成)
図8は、本実施例における間隔保持部材の概略構成を示す図である。図8(a)は、間隔保持部材10cを現像ローラ10dの中心軸に直交する方向から見た図、図8(b)は、図8(a)中の矢印方向から間隔保持部材10cを見た図、図8(c)は間隔保持部材10cの概略構成を示す斜視図である。図9は、カートリッジBの要部の概略構成を示す断面図である。図1は、現像ユニットuの要部の概略構成を示す斜視図である。
【0020】
本実施例の特徴として、間隔保持部材10cは、円筒状の本体部10c1と、現像ローラ10dの長手方向における本体部10c1の内側に設けられた流動力発生部10c2とを有している。ここで、本体部10c1は、現像ローラ10dの長手方向の両端部でそれぞれ現像ローラ10dの外周面を覆い、現像ローラ10dに対して相対的に回転可能に配設されている。流動力発生部10c2は、現像ローラ10dに対する相対回転に伴って現像剤を長手方向の内側に流動させるものであり、本実施例では、間隔保持部材10cの長手方向の内側の端面を、現像ローラ10dの中心軸に対して斜めにカットした形状で構成している。
また、間隔保持部材10cは、図8(b)に示す点線Cを境に対称形状である。すなわち、間隔保持部材10cは、図8(b)における点線Cで構成される面に対して対称形状(面対称)に構成されている。図中には端部部材82側のみ示してあるが、端部部材81
側も同様の構成である。
【0021】
ここで、感光体ドラム7及び現像ローラ10dの回転方向は、図9に示すように、感光体ドラム7が時計周り、現像ローラ10dが反時計周りである。そして、感光体ドラム7と現像ローラ10dの回転速度は、感光体ドラム7の外周面の周速に対して、現像ローラ10dの外周面の周速が速くなるように設定されている。つまり、各々の外周面に周速差が生じる設定となっている。
一方、間隔保持部材10cの内径は、現像ローラ10dの外径に対して僅かに大きく形成されており、間隔保持部材10cの内周面と、現像ローラ10dの外周面との間に僅かな隙間が生じる寸法関係となっている。つまり、間隔保持部材10cは現像ローラ10dに対して回転可能に支持されている。
また、間隔保持部材10cは、感光体ドラム7によって現像ローラ10d方向へ押圧されることで、感光体ドラムと現像ローラ10dに挟み込まれ、感光体ドラム7と現像ローラ10dとの間隔が、所定の間隔Gとなる。
【0022】
次に、間隔保持部材10cの回転速度について、仮に間隔保持部材10cが感光体ドラム7から押圧されない場合、間隔保持部材10cは現像ローラ10dに従動し、現像ローラ10dとほぼ等速で回転する。しかし、現像ローラ10dより周速の遅い感光体ドラム7に押圧された場合、感光体ドラム7によりブレーキが掛けられ、現像ローラ10dより遅い回転速度で回転することとなる。従って、間隔保持部材10cと現像ローラ10dとの間に相対的な回転速度差が生じ、間隔保持部材10cの内周面と現像ローラ10dの外周面は当接部Qにおいて摺擦(摺動)する。ここで、間隔保持部材10cの回転速度は現像ローラ10dより遅いため、間隔保持部材10cに対する現像ローラ10dの相対的な回転方向は、図1に示す矢印S方向となる。
【0023】
また、流動力発生部10c2は、現像ローラ10dの回転方向に対して傾斜した傾斜面10c3を有しており、これは、前述したように、間隔保持部材10cの長手方向内側端面が、現像ローラの中心軸に対して斜めにカットした形状で構成されることによる。傾斜面10c3は、図8(b)で点線Cで示す対称線の左半分側の端面である。また、傾斜面10c3の傾斜方向は、間隔保持部材10cに対する現像ローラ10dの相対的な回転方向の上流側から下流側へ向かうにつれて、長手方向の外側から内側へ傾斜した方向である。すなわち、傾斜面10c3は、間隔保持部材10cに相対回転する現像ローラ10dの回転方向の上流側から下流側へ向かうにつれて、長手方向の外側から内側へ傾斜した傾斜面である。
【0024】
ここで、画像形成時、つまりカートリッジBの使用時は、現像剤を担持した現像ローラ10dが回転しており、少なからず現像剤が現像ローラ近傍に浮遊している。こうした浮遊した現像剤は、現像ローラ10dの長手方向端部にも在るため、間隔保持部材10c付近の現像ローラ10d表面上にも付着し、徐々に間隔保持部材10c内周部に堆積されることなる。そして、感光体ドラム7と現像ローラ10dとの所定の間隔Gの規格を超える厚みとなった場合、感光体ドラム7と現像ローラ10dとの間の距離が一定に保てなくなり、堆積部分で印刷画像上に濃度ムラ等が発生し得る。
【0025】
しかしながら、本実施例においては、間隔保持部材10cに形成された傾斜面10c3が、現像ローラ表面上と摺擦しながら相対的に回転している。
このため、間隔保持部材10c付近の現像ローラ10dに付着した現像剤のうち、図1の斜線部にある現像剤は、間隔保持部材10cの傾斜面10c3によって、現像ローラ10dの長手方向内側へとかき寄せられることとなる。すなわち、現像ローラ10dに対する相対回転に伴って、流動力発生部10c2の内周面が現像ローラ10dの外周面に摺動することで、傾斜面10c3により現像ローラ10d上の現像剤が長手方向の内側に流動
されることとなる。
従って、間隔保持部材10cの内周面と現像ローラ10dの外周面との隙間への現像剤の侵入を防止することが可能となる。これにより、感光体ドラム7と現像ローラ10dとの間の間隔を一定に保つことができ、濃度ムラ等の画像不良の発生を抑制することが可能となる。
【0026】
ここまで、現像ローラ10dに対する間隔保持部材10cの回転数が遅い場合について示してきた。しかし、感光体ドラム7の外周面の周速に対して現像ローラ10dの外周面の周速が遅く設定された場合等、現像ローラ10dに対する間隔保持部材10cの回転数が遅い場合も想定される。この際、間隔保持部材10cに対する現像ローラ10dの相対的な回転方向が本実施例とは逆になる。この場合においても、図8(b)に示すように、本実施例の間隔保持部材10cは対称線(点線C)を挟んで左右対称形状であるため、傾斜面10c3の対称部である傾斜面10c4が、傾斜面10c3同様の機能を果たすこととなる。
【実施例2】
【0027】
以下に、実施例2について説明する。図10は本実施例の間隔保持部材10cの概略構成を示す図であり、(a)側面図、(b)は斜視図である。図11は、本実施例の現像ユニットuの要部の概略構成を示す斜視図である。なお、本実施例の画像形成装置及びカートリッジ構成は実施例1で説明したものと同様であり、実施例1と同様の構成部分は同一の符号を付してその説明は省略する。
本実施例の間隔保持部材10cは、実施例1同様、円筒状の本体部10c1と、流動力発生部10c2とを有している。
そして、流動力発生部10c2は、本実施例の特徴として、図10に示すように、第一の傾斜面10c5及び第二の傾斜面10c6を有している。傾斜面10c5,10c6の傾斜方向はともに、間隔保持部材10cに対する現像ローラ10dの相対的な回転方向の上流側から下流側へ向かうにつれて、長手方向の外側から内側へ傾斜した方向である。
【0028】
実施例1と同様に、間隔保持部材10cに対する現像ローラ10dの相対的な回転方向は図10中の矢印方向であり、また間隔保持部材10cに形成された傾斜面10c5,10c6は、現像ローラ表面上と摺擦しながら相対的に回転している。このため、間隔保持部材10c付近に付着した現像剤のうち、図11の斜線部にある現像剤は、間隔保持部材10cの傾斜面10c5,10c6によって、現像ローラ10dの長手方向内側へとかき寄せられることとなる。
従って、間隔保持部材10cの内周面と現像ローラ10dの外周面との隙間への現像剤の侵入を防止することが可能となる。これにより、感光体ドラム7と現像ローラ10dとの間の間隔を一定に保つことができ、濃度ムラ等の画像不良の発生を抑制することが可能となる。
【0029】
本実施例においては、傾斜面10c5,10c6を有する突起部と同形状のものを円周上に6箇所配置した形状としているが、流動力発生部10c2が少なくとも1つの傾斜面を有するものであれば同様の効果が得られる。但し、傾斜面を複数設けた方が、現像剤をより多くかき寄せることができるため、現像剤の侵入防止に関して、より高い効果が得られることとなる。
【0030】
ここまで現像ローラ10dに対する間隔保持部材10cの回転数が遅い場合について示してきた。しかし、感光体ドラム7の外周面の周速に対して現像ローラ10dの外周面の周速が遅く設定された場合等、現像ローラ10dに対する間隔保持部材10cの回転数が遅い場合も想定される。この際、間隔保持部材10cに対する現像ローラ10dの相対的な回転方向が本実施例とは逆になる。この場合においては、間隔保持部材10cに設けら
れた傾斜面の傾斜方向を逆に形成すれば、同様の効果が得られる。
【0031】
上述した実施例1,2において、感光体ユニットと現像ユニットを一体的に有するプロセスカートリッジとして説明してきた。しかし、感光体ドラムと現像ローラとに周速差のある構成、つまり間隔保持部材と現像ローラに相対的な回転速度差のある構成のものであればこれに限定されるものではない。
また、間隔保持部材の長手方向内側端部の形状としては、間隔保持部材に対する現像剤担持体の相対的な回転方向の上流側から下流側へ向かうにつれて、長手方向の外側から内側へ傾斜した傾斜面を有するものであれば良い。従って、間隔保持部材の形状が、例えば図12(a),(b)に示すような形状であっても同様の効果を得ることが可能である。
【0032】
以上説明したように、実施例1,2では、感光体ドラムと現像剤担持体との間隔を保持する間隔保持部材に、現像剤担持体表面と摺擦し、かつ現像剤担持体の回転方向に対して傾いた傾斜面を設けている。これにより、間隔保持部材内周と現像剤担持体表面との隙間への現像剤の侵入を防止し、感光体ドラムと現像剤担持体との間隔を一定に保持することが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
7 感光体ドラム ; 10c 間隔保持部材 ; 10c1 本体部 ; 10c2
流動力発生部 ; 10d 現像ローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ、現像装置及びそれらに用いられる間隔保持部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた電子写真画像形成装置が知られている。この電子写真画像形成装置においては、電子写真感光体及び前記電子写真感光体に作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化して、このカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらずユーザ自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。そのため、このプロセスカートリッジ方式は画像形成装置において広く用いられている。
【0003】
このようなプロセスカートリッジにおいては、電子写真感光体を有する感光体ユニットが、現像手段を有する現像ユニットを揺動可能に支持し、現像手段を電子写真感光体に当接する方向に付勢する付勢手段を設ける構成が用いられている。そして、プロセス手段としての現像手段を電子写真感光体に対して所定の間隙あるいは接触圧を持って当接するように構成されている。
所定の間隙を保持する構成としては、現像手段としての現像剤担持体の長手方向両端部を覆うように、厚みが一定のキャップ部材を被せる等の方法が用いられている。しかしながら、このようなキャップ部材を現像剤担持体に設ける構成においては、画像形成中に浮遊した現像剤がキャップ部材と現像剤担持体との隙間に入り込む可能性が有る。そして、プロセスカートリッジの長寿命化を図る上では、隙間に入り込んだ現像剤の厚みにより、電子写真感光体と現像剤担持体との所定の隙間が広がり、印刷された画像に濃度ムラ等が発生してしまうことが懸念される。
【0004】
ここで、特許文献1において、電子写真感光体と現像剤担持体との間隔を一定に保持する間隔保持部材の表面に、現像剤担持体の中心軸に対して斜めに傾けられた溝を形成し、電子写真感光体表面に付着した現像剤をかき取る構成が提案されている。
一方、特許文献2において、現像剤担持体表面に現像剤担持体の外周面の母線に対して傾斜角を有する複数の溝を形成し、現像剤担持体の長手方向両端部において現像剤担持体と摺接するシール部材への現像剤の侵入を防止する構成のものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−033620号公報
【特許文献2】特開2000−242073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記の構成は、キャップ部材と現像剤担持体との隙間への現像剤侵入を防止するものではない。
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、電子写真感光体と現像剤担持体との間隔を一定に保持する間隔保持部材と、現像剤担持体との隙間への現像剤の侵入を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するための現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体と、前記電子写真感光体との間隔を一定にする間隔保持部材であって、前記電子写真感光体と前記現像剤担持体とが前記間隔保持部材を介して互いに押し合うように構成されることで、前記電子写真感光体と前記現像剤担持体との間隔を一定に保持する間隔保持部材において、
前記現像剤担持体の長手方向の両端部でそれぞれ前記現像剤担持体の外周面を覆い、前記現像剤担持体に対して相対的に回転可能に配設される円筒状の本体部と、
前記長手方向における前記本体部の内側に設けられ、前記現像剤担持体に対する相対回転に伴って現像剤を前記長手方向の内側に流動させる流動力発生部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子写真感光体と現像剤担持体との間隔を一定に保持する間隔保持部材と、現像剤担持体との隙間への現像剤の侵入を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の現像ユニットの要部の概略構成を示す斜視図
【図2】実施例1の画像形成装置の概略構成を示す断面図
【図3】実施例1のプロセスカートリッジの概略構成を示す断面図
【図4】実施例1のプロセスカートリッジの概略構成を示す斜視図
【図5】実施例1のプロセスカートリッジの概略構成を示す斜視図
【図6】実施例1の現像ローラの支持構成について説明する図
【図7】実施例1の現像ローラの支持構成について説明する図
【図8】実施例1の間隔保持部材の概略構成を示す図
【図9】実施例1のプロセスカートリッジの要部の概略構成を示す断面図
【図10】実施例2の間隔保持部材の概略構成を示す図
【図11】実施例2の現像ユニットの要部の概略構成を示す斜視図
【図12】間隔保持部材の他の形態を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0011】
(電子写真画像形成装置の全体説明)
まず、電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置)Aの全体構成について図2,3を用いて説明する。図2は本発明を適用可能なプロセスカートリッジを画像形成装置Aに装着した状態を示す概略断面図である。また、図3は本発明を適用可能なプロセスカートリッジの概略構成を示す断面図である。以下の説明では、現像剤担持体としての現像ローラ10dの回転軸線方向を長手方向とする。
【0012】
以下に、本実施例における画像形成装置Aの画像形成動作について説明する。まず、図2に示すように、ドラム形状で感光層を有する電子写真感光体(以下、感光体ドラム)7に、光学系1から画像情報に基づいたレーザ光Lが照射される。それによって、感光体ドラム7に静電潜像が形成される。そして、現像剤tを担持する現像剤担持体としての現像ローラ10dに電圧が印加されることにより、現像ローラ10dから感光体ドラム7に現像剤tが移動する現像動作が行われる。これによって、感光体ドラム7上に現像剤tの像
が形成される。そして、現像剤像の形成と同期して記録媒体としての記録材(記録シート、OHPシート等)2がカセット3aから搬送手段3bによって搬送される。そして、プロセスカートリッジ(以下、カートリッジ)Bとしてカートリッジ化された画像形成部において感光体ドラム7に形成された現像剤像が、転写手段としての転写ローラ4に電圧が印加されることによって、記録材2に転写される。そして、その記録材2が定着手段5へと搬送される。定着手段5は、駆動ローラ5a及びヒータ5bを内蔵する定着ローラ5cを有する。定着手段5を通過した記録材2は、図2に3f,3gで示される2対の排出ローラ対で搬送され、反転搬送路を通して排出部6へと排出される。尚、この画像形成装置Aは図示しない手差しトレイ及びローラによって手差し給送も可能である。
【0013】
(カートリッジの構成)
カートリッジBは、感光体ドラム7と、少なくともプロセス手段として、感光体ドラム7に形成された静電潜像を現像する現像ローラ10dと、を備え、画像形成装置本体に着脱可能に構成されている。
図3に示すように、本実施例のカートリッジBを用いて画像を形成する際には、感光体ドラム7が矢印R方向に回転する。そして、感光体ドラム7の表面は、帯電手段としての帯電ローラ8によって一様に帯電される。そして、光学系1からのレーザ光Lが、感光体枠体としてのクリーニング枠体11と現像容器10との間に在る露光開口部9bを通過して感光体ドラム7の周面を露光する。そして、感光体ドラム7に静電潜像が形成される。
【0014】
現像容器10には、現像剤規制部材(現像ブレード)10eと現像ローラ10dとが設けられている。また、現像容器10は、現像ローラ10dへ供給するための現像剤tを収納する現像剤収納部10hを有する。そして、現像ローラ10d上(現像剤担持体上)の現像剤tが現像ブレード10eによって規制されることにより、現像ローラ10d上に均一な現像剤層が形成される。そして、現像ローラ10dに現像バイアスが印加されることにより、現像剤tが潜像に応じて感光体ドラム7に転移する。これによって、潜像に応じた現像剤像が感光体ドラム7上に形成される。
そしてその現像剤像が、転写ローラ4に転写バイアスが印加されることよって記録材2に転写される。そして、現像剤像が記録材2に転写された後に感光体ドラム7に残留した現像剤tは、クリーニング手段としてのクリーニングブレード11aによって除去される。そして、除去された現像剤tは、除去現像剤収納部11cに集められる。
【0015】
図4,5は、カートリッジBの概略構成を示す斜視図である。図4に示すように、カートリッジBは、第一ユニットとしての感光体ユニットvと、第二ユニットとしての現像ユニット(現像装置)uとを有する。感光体ユニットvは、クリーニング枠体11と感光体ドラム7と帯電ローラ8とクリーニングブレード11aとを有する。また、感光体ドラム7には、画像形成装置A本体からの駆動力を感光体ドラム7に入力するためのドラムギア7aが取り付けられている。そして、感光体ドラム7はクリーニング枠体11と支持部材13により回転可能に支持されている。
現像ユニットuは、図4に示すように、現像容器10と、端部部材81,82と、現像ローラ10dを有する。端部部材81,82は、現像容器10の長手方向両端部に固定されており、現像ローラ10dを回転可能に支持している。
【0016】
次に、感光体ユニットvに対する現像ユニットuの支持構成を説明する。図4に示すように、端部部材81,82にはそれぞれアーム部81a,82aが設けられている。ここで、アーム部81a,82aは、感光体ユニットvに向かって(現像容器10の長手方向と交差する交差方向(本実施例では直交方向)に向かって)突出している。そして、アーム部81a,82aの先端には、それぞれ、現像容器10の長手方向と平行な方向に穴部81b,82bが設けられている。
【0017】
また、クリーニング枠体11には、現像ユニットuの支持部として穴部11e,11fが設けられている。そして、穴部11eと穴部81b、及び穴部11fと穴部82bとを合せるように、現像ユニットuのアーム部81a,82aを、クリーニング枠体のアーム挿入部11g,11hに挿入し、各々の穴部を貫通するように支持ピン21を嵌入させる。
これにより、感光体ユニットvに現像ユニットuが回転(揺動)可能に支持される。この際、クリーニング枠体11に設けられたアーム挿入部11hの幅をアーム挿入部11gに対して狭くしており、このアーム挿入部11hとアーム部82aの幅とで現像ユニットuの長手方向の位置が規制されるように構成されている。これにより、感光体ユニットvに対する現像ユニットuの長手方向の位置が規制される。
また、図5に示すように、付勢部材としての圧縮コイルバネ20が、端部部材81,82とクリーニング枠体11との間に配置(縮設)される。これにより現像ユニットuが感光体ドラム7の方向へ付勢され、現像ローラ10dの長手方向両端部に配設された後述する間隔保持部材10cが感光体ドラム7と接触する。これにより、現像ローラ10dと感光体ドラム7とが所定の間隙をもって対向する。このように、間隔保持部材10cは、現像ローラ10dと感光体ドラム7とが間隔保持部材10cを介して互いに押し合うように構成されることで、現像ローラ10dと感光体ドラム7との間隔を一定に保持するものである。
【0018】
(現像ユニットの現像ローラ支持構成)
図6,7は、現像ユニットuにおける現像ローラ10dの支持構成について説明するための図である。図6,7に示すように、現像ローラ10dの長手方向両端部には、キャップ状の間隔保持部材10cが被せられ、さらに現像ローラ支持部材83,84が間隔保持部材10cよりも長手方向外側で現像ローラ10dを回転可能に支持している。また、画像形成装置A本体から感光体ドラム7のドラムギア7aに伝達された駆動力を現像ローラ10dに入力するために、現像ローラ10dには現像ローラギア10fが取り付けられている。そして、現像ローラ支持部材83,84に各々設けられた位置決め穴83a,84aを通して、端部部材81,82の位置決め軸81c,82cが、現像容器10に設けられた位置決め穴10g(端部部材82側は不図示)に貫通される。この状態で、端部部材81,82を現像容器10に固定することで、現像ローラ10dが現像ユニットuに回転可能に支持される。
【0019】
(間隔保持部材の構成)
図8は、本実施例における間隔保持部材の概略構成を示す図である。図8(a)は、間隔保持部材10cを現像ローラ10dの中心軸に直交する方向から見た図、図8(b)は、図8(a)中の矢印方向から間隔保持部材10cを見た図、図8(c)は間隔保持部材10cの概略構成を示す斜視図である。図9は、カートリッジBの要部の概略構成を示す断面図である。図1は、現像ユニットuの要部の概略構成を示す斜視図である。
【0020】
本実施例の特徴として、間隔保持部材10cは、円筒状の本体部10c1と、現像ローラ10dの長手方向における本体部10c1の内側に設けられた流動力発生部10c2とを有している。ここで、本体部10c1は、現像ローラ10dの長手方向の両端部でそれぞれ現像ローラ10dの外周面を覆い、現像ローラ10dに対して相対的に回転可能に配設されている。流動力発生部10c2は、現像ローラ10dに対する相対回転に伴って現像剤を長手方向の内側に流動させるものであり、本実施例では、間隔保持部材10cの長手方向の内側の端面を、現像ローラ10dの中心軸に対して斜めにカットした形状で構成している。
また、間隔保持部材10cは、図8(b)に示す点線Cを境に対称形状である。すなわち、間隔保持部材10cは、図8(b)における点線Cで構成される面に対して対称形状(面対称)に構成されている。図中には端部部材82側のみ示してあるが、端部部材81
側も同様の構成である。
【0021】
ここで、感光体ドラム7及び現像ローラ10dの回転方向は、図9に示すように、感光体ドラム7が時計周り、現像ローラ10dが反時計周りである。そして、感光体ドラム7と現像ローラ10dの回転速度は、感光体ドラム7の外周面の周速に対して、現像ローラ10dの外周面の周速が速くなるように設定されている。つまり、各々の外周面に周速差が生じる設定となっている。
一方、間隔保持部材10cの内径は、現像ローラ10dの外径に対して僅かに大きく形成されており、間隔保持部材10cの内周面と、現像ローラ10dの外周面との間に僅かな隙間が生じる寸法関係となっている。つまり、間隔保持部材10cは現像ローラ10dに対して回転可能に支持されている。
また、間隔保持部材10cは、感光体ドラム7によって現像ローラ10d方向へ押圧されることで、感光体ドラムと現像ローラ10dに挟み込まれ、感光体ドラム7と現像ローラ10dとの間隔が、所定の間隔Gとなる。
【0022】
次に、間隔保持部材10cの回転速度について、仮に間隔保持部材10cが感光体ドラム7から押圧されない場合、間隔保持部材10cは現像ローラ10dに従動し、現像ローラ10dとほぼ等速で回転する。しかし、現像ローラ10dより周速の遅い感光体ドラム7に押圧された場合、感光体ドラム7によりブレーキが掛けられ、現像ローラ10dより遅い回転速度で回転することとなる。従って、間隔保持部材10cと現像ローラ10dとの間に相対的な回転速度差が生じ、間隔保持部材10cの内周面と現像ローラ10dの外周面は当接部Qにおいて摺擦(摺動)する。ここで、間隔保持部材10cの回転速度は現像ローラ10dより遅いため、間隔保持部材10cに対する現像ローラ10dの相対的な回転方向は、図1に示す矢印S方向となる。
【0023】
また、流動力発生部10c2は、現像ローラ10dの回転方向に対して傾斜した傾斜面10c3を有しており、これは、前述したように、間隔保持部材10cの長手方向内側端面が、現像ローラの中心軸に対して斜めにカットした形状で構成されることによる。傾斜面10c3は、図8(b)で点線Cで示す対称線の左半分側の端面である。また、傾斜面10c3の傾斜方向は、間隔保持部材10cに対する現像ローラ10dの相対的な回転方向の上流側から下流側へ向かうにつれて、長手方向の外側から内側へ傾斜した方向である。すなわち、傾斜面10c3は、間隔保持部材10cに相対回転する現像ローラ10dの回転方向の上流側から下流側へ向かうにつれて、長手方向の外側から内側へ傾斜した傾斜面である。
【0024】
ここで、画像形成時、つまりカートリッジBの使用時は、現像剤を担持した現像ローラ10dが回転しており、少なからず現像剤が現像ローラ近傍に浮遊している。こうした浮遊した現像剤は、現像ローラ10dの長手方向端部にも在るため、間隔保持部材10c付近の現像ローラ10d表面上にも付着し、徐々に間隔保持部材10c内周部に堆積されることなる。そして、感光体ドラム7と現像ローラ10dとの所定の間隔Gの規格を超える厚みとなった場合、感光体ドラム7と現像ローラ10dとの間の距離が一定に保てなくなり、堆積部分で印刷画像上に濃度ムラ等が発生し得る。
【0025】
しかしながら、本実施例においては、間隔保持部材10cに形成された傾斜面10c3が、現像ローラ表面上と摺擦しながら相対的に回転している。
このため、間隔保持部材10c付近の現像ローラ10dに付着した現像剤のうち、図1の斜線部にある現像剤は、間隔保持部材10cの傾斜面10c3によって、現像ローラ10dの長手方向内側へとかき寄せられることとなる。すなわち、現像ローラ10dに対する相対回転に伴って、流動力発生部10c2の内周面が現像ローラ10dの外周面に摺動することで、傾斜面10c3により現像ローラ10d上の現像剤が長手方向の内側に流動
されることとなる。
従って、間隔保持部材10cの内周面と現像ローラ10dの外周面との隙間への現像剤の侵入を防止することが可能となる。これにより、感光体ドラム7と現像ローラ10dとの間の間隔を一定に保つことができ、濃度ムラ等の画像不良の発生を抑制することが可能となる。
【0026】
ここまで、現像ローラ10dに対する間隔保持部材10cの回転数が遅い場合について示してきた。しかし、感光体ドラム7の外周面の周速に対して現像ローラ10dの外周面の周速が遅く設定された場合等、現像ローラ10dに対する間隔保持部材10cの回転数が遅い場合も想定される。この際、間隔保持部材10cに対する現像ローラ10dの相対的な回転方向が本実施例とは逆になる。この場合においても、図8(b)に示すように、本実施例の間隔保持部材10cは対称線(点線C)を挟んで左右対称形状であるため、傾斜面10c3の対称部である傾斜面10c4が、傾斜面10c3同様の機能を果たすこととなる。
【実施例2】
【0027】
以下に、実施例2について説明する。図10は本実施例の間隔保持部材10cの概略構成を示す図であり、(a)側面図、(b)は斜視図である。図11は、本実施例の現像ユニットuの要部の概略構成を示す斜視図である。なお、本実施例の画像形成装置及びカートリッジ構成は実施例1で説明したものと同様であり、実施例1と同様の構成部分は同一の符号を付してその説明は省略する。
本実施例の間隔保持部材10cは、実施例1同様、円筒状の本体部10c1と、流動力発生部10c2とを有している。
そして、流動力発生部10c2は、本実施例の特徴として、図10に示すように、第一の傾斜面10c5及び第二の傾斜面10c6を有している。傾斜面10c5,10c6の傾斜方向はともに、間隔保持部材10cに対する現像ローラ10dの相対的な回転方向の上流側から下流側へ向かうにつれて、長手方向の外側から内側へ傾斜した方向である。
【0028】
実施例1と同様に、間隔保持部材10cに対する現像ローラ10dの相対的な回転方向は図10中の矢印方向であり、また間隔保持部材10cに形成された傾斜面10c5,10c6は、現像ローラ表面上と摺擦しながら相対的に回転している。このため、間隔保持部材10c付近に付着した現像剤のうち、図11の斜線部にある現像剤は、間隔保持部材10cの傾斜面10c5,10c6によって、現像ローラ10dの長手方向内側へとかき寄せられることとなる。
従って、間隔保持部材10cの内周面と現像ローラ10dの外周面との隙間への現像剤の侵入を防止することが可能となる。これにより、感光体ドラム7と現像ローラ10dとの間の間隔を一定に保つことができ、濃度ムラ等の画像不良の発生を抑制することが可能となる。
【0029】
本実施例においては、傾斜面10c5,10c6を有する突起部と同形状のものを円周上に6箇所配置した形状としているが、流動力発生部10c2が少なくとも1つの傾斜面を有するものであれば同様の効果が得られる。但し、傾斜面を複数設けた方が、現像剤をより多くかき寄せることができるため、現像剤の侵入防止に関して、より高い効果が得られることとなる。
【0030】
ここまで現像ローラ10dに対する間隔保持部材10cの回転数が遅い場合について示してきた。しかし、感光体ドラム7の外周面の周速に対して現像ローラ10dの外周面の周速が遅く設定された場合等、現像ローラ10dに対する間隔保持部材10cの回転数が遅い場合も想定される。この際、間隔保持部材10cに対する現像ローラ10dの相対的な回転方向が本実施例とは逆になる。この場合においては、間隔保持部材10cに設けら
れた傾斜面の傾斜方向を逆に形成すれば、同様の効果が得られる。
【0031】
上述した実施例1,2において、感光体ユニットと現像ユニットを一体的に有するプロセスカートリッジとして説明してきた。しかし、感光体ドラムと現像ローラとに周速差のある構成、つまり間隔保持部材と現像ローラに相対的な回転速度差のある構成のものであればこれに限定されるものではない。
また、間隔保持部材の長手方向内側端部の形状としては、間隔保持部材に対する現像剤担持体の相対的な回転方向の上流側から下流側へ向かうにつれて、長手方向の外側から内側へ傾斜した傾斜面を有するものであれば良い。従って、間隔保持部材の形状が、例えば図12(a),(b)に示すような形状であっても同様の効果を得ることが可能である。
【0032】
以上説明したように、実施例1,2では、感光体ドラムと現像剤担持体との間隔を保持する間隔保持部材に、現像剤担持体表面と摺擦し、かつ現像剤担持体の回転方向に対して傾いた傾斜面を設けている。これにより、間隔保持部材内周と現像剤担持体表面との隙間への現像剤の侵入を防止し、感光体ドラムと現像剤担持体との間隔を一定に保持することが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
7 感光体ドラム ; 10c 間隔保持部材 ; 10c1 本体部 ; 10c2
流動力発生部 ; 10d 現像ローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するための現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体と、前記電子写真感光体との間隔を一定にする間隔保持部材であって、前記電子写真感光体と前記現像剤担持体とが前記間隔保持部材を介して互いに押し合うように構成されることで、前記電子写真感光体と前記現像剤担持体との間隔を一定に保持する間隔保持部材において、
前記現像剤担持体の長手方向の両端部でそれぞれ前記現像剤担持体の外周面を覆い、前記現像剤担持体に対して相対的に回転可能に配設される円筒状の本体部と、
前記長手方向における前記本体部の内側に設けられ、前記現像剤担持体に対する相対回転に伴って現像剤を前記長手方向の内側に流動させる流動力発生部と、
を備えることを特徴とする間隔保持部材。
【請求項2】
前記流動力発生部は、
相対回転する前記現像剤担持体の回転方向の上流側から下流側に向かうにつれて、前記長手方向の外側から内側へ傾斜した傾斜面を少なくとも1つ有し、
前記現像剤担持体に対する相対回転に伴って、前記流動力発生部の内周面が前記現像剤担持体の外周面に摺動することで、前記傾斜面により前記現像剤担持体上の現像剤が前記長手方向の内側に流動される
ことを特徴とする請求項1に記載の間隔保持部材。
【請求項3】
画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するために現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の長手方向の両端部でそれぞれ前記現像剤担持体の外周面を覆い、前記現像剤担持体に対して相対的に回転可能に設けられた間隔保持部材であって、
前記電子写真感光体と前記現像剤担持体とが前記間隔保持部材を介して互いに押し合うように構成されることで、前記電子写真感光体と前記現像剤担持体との間隔を一定に保持する請求項1又は2に記載の間隔保持部材と、
を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項4】
電子写真感光体に形成された静電潜像を現像する現像装置において、
前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するために現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の長手方向の両端部でそれぞれ前記現像剤担持体の外周面を覆い、前記現像剤担持体に対して相対的に回転可能に設けられた間隔保持部材であって、
前記電子写真感光体と前記現像剤担持体とが前記間隔保持部材を介して互いに押し合うように構成されることで、前記電子写真感光体と前記現像剤担持体との間隔を一定に保持する請求項1又は2に記載の間隔保持部材と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項1】
電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するための現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体と、前記電子写真感光体との間隔を一定にする間隔保持部材であって、前記電子写真感光体と前記現像剤担持体とが前記間隔保持部材を介して互いに押し合うように構成されることで、前記電子写真感光体と前記現像剤担持体との間隔を一定に保持する間隔保持部材において、
前記現像剤担持体の長手方向の両端部でそれぞれ前記現像剤担持体の外周面を覆い、前記現像剤担持体に対して相対的に回転可能に配設される円筒状の本体部と、
前記長手方向における前記本体部の内側に設けられ、前記現像剤担持体に対する相対回転に伴って現像剤を前記長手方向の内側に流動させる流動力発生部と、
を備えることを特徴とする間隔保持部材。
【請求項2】
前記流動力発生部は、
相対回転する前記現像剤担持体の回転方向の上流側から下流側に向かうにつれて、前記長手方向の外側から内側へ傾斜した傾斜面を少なくとも1つ有し、
前記現像剤担持体に対する相対回転に伴って、前記流動力発生部の内周面が前記現像剤担持体の外周面に摺動することで、前記傾斜面により前記現像剤担持体上の現像剤が前記長手方向の内側に流動される
ことを特徴とする請求項1に記載の間隔保持部材。
【請求項3】
画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するために現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の長手方向の両端部でそれぞれ前記現像剤担持体の外周面を覆い、前記現像剤担持体に対して相対的に回転可能に設けられた間隔保持部材であって、
前記電子写真感光体と前記現像剤担持体とが前記間隔保持部材を介して互いに押し合うように構成されることで、前記電子写真感光体と前記現像剤担持体との間隔を一定に保持する請求項1又は2に記載の間隔保持部材と、
を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項4】
電子写真感光体に形成された静電潜像を現像する現像装置において、
前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するために現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の長手方向の両端部でそれぞれ前記現像剤担持体の外周面を覆い、前記現像剤担持体に対して相対的に回転可能に設けられた間隔保持部材であって、
前記電子写真感光体と前記現像剤担持体とが前記間隔保持部材を介して互いに押し合うように構成されることで、前記電子写真感光体と前記現像剤担持体との間隔を一定に保持する請求項1又は2に記載の間隔保持部材と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−164350(P2011−164350A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26825(P2010−26825)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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