説明

防振ブラケット

【課題】防振装置を取り付けるための防振ブラケットにおいて、同じ設備を用いて、形状の異なる数種類の防振ブラケットを確実に自動識別することができる技術を提供する。
【解決手段】エンジン側と車体側との間に介設されるエンジンマウント3を当該車体側に取り付けるための防振ブラケット1である。サイドフレームに締結される、互いに同一平面上に位置する第1及び第2締結面7a,17aと、タイヤハウスに締結される、第1及び第2締結面7a,17aに対して傾斜している第3締結面27aと、第3締結面27aに連続して形成された、第1及び第2締結面7a,17aと略同方向を向いた延長面37とを有している。第1締結面7aと第2締結面17aと第3締結面27aとの位置関係が不変であり、且つ、延長面37にブラケットの種別を表示する溝47が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動源側と振動受側との間に介設される防振装置を振動受側に取り付けるための防振ブラケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動源側に取り付けられる取付金具と、振動受側に取り付けられる取付金具と、これらの取付金具を連結するゴム弾性体とを備える防振装置(液体封入式を含む)を、振動受側へ取り付ける場合には、取付金具に形成された取付脚部を振動受側の部材に直接ボルト締結したり、振動受側にボルト締結された防振ブラケットに取付金具を取り付けたりすることが多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、固定側(振動受側)に取り付けられるブラケットに設けられた係合部に対し、防振部材のプレート片を当該係合部の断面形状に沿って折り曲げることで、防振部材をブラケットに組み付けるようにする技術が開示されている。
【0004】
また、防振装置の中には、各組立品の組み込みミスに起因する防振装置の特性不良の発生を抑制するべく、オリフィス形成壁に切欠き部を複数形成し、これら複数の切欠き部に、各切欠き部を他の切欠き部と識別するための識別手段を設けたものもある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−290999号公報
【特許文献2】特許第4338585号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、防振装置の形状は要求される特性に応じて多種多様であるところ、これが取り付けられる防振ブラケットの形状も、防振装置の形状に合わせて多種多様となっている。それ故、防振装置との組み付けミスを防止するために、上記のように防振装置を識別するのみならず、防振ブラケットも識別する必要がある。
【0007】
しかしながら、大量生産される防振ブラケットを一つ一つ作業員が識別するのは非現実的であるし、判定ミスも伴い易い。そこで、カメラを備えた自動識別装置を用いて、カメラにより撮影された画像データに基づいて防振ブラケットを自動的に識別することが考えられるが、防振ブラケットの形状は、防振装置の形状に比して種類によって大きく異なることから、例えば識別記号を設けようとしても、常に同じ位置に識別記号を設けられるとは限らない。このため、例えば固定式カメラを備えた自動識別装置を用いて識別記号を自動的に識別しようとしても、ある種類の防振ブラケットの識別記号はカメラで撮影できても、他の種類の防振ブラケットの識別記号はカメラの視界に入らず撮影できないといった具合に、同じ設備(自動識別装置)を用いて形状の異なる数種類の防振ブラケットを種類分けするのは困難であるという問題がある。また、あらゆる箇所を撮影できるように複数のカメラを備えた自動識別装置を用いるのは非常にコストがかかる。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、振動源側と振動受側との間に介設される防振装置を当該振動受側に取り付けるための防振ブラケットにおいて、同じ設備を用いて、形状の異なる数種類の防振ブラケットを確実に自動識別することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る防振ブラケットでは、形状の異なる数種類の防振ブラケットにおいても、振動受側に締結される締結面の位置自体は異ならないことに着目し、これら締結面を基準とするとともに、締結面の近傍に識別記号を設けるようにしている。
【0010】
具体的には、第1の発明は、振動源側と振動受側との間に介設される防振装置を当該振動受側に取り付けるための防振ブラケットを対象とする。
【0011】
そして、上記振動受側の部材に締結される2以上の締結面を有し、各締結面の位置関係が不変であり、且つ、いずれか1つの締結面の近傍にブラケットの種別を表示する識別記号が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
第1の発明では、自動識別装置を用いてブラケットの種別を判定する際に、少なくとも1つの締結面を基準として、防振ブラケットを自動識別装置にセットすれば、各締結面の位置関係が不変であることから、当該自動識別装置における各締結面の位置が決まることになる。これにより、いずれか1つの締結面の近傍に形成された、ブラケットの種別を表示する識別記号もまた自動識別装置において常にほぼ同じ位置に位置することになる。
【0013】
したがって、形状の異なる数種類の防振ブラケットを種類分けする場合にも、少なくとも1つの締結面を基準として防振ブラケットを固定できる機構と、締結面の近傍を撮影できるように固定されたカメラとを有していさえすれば、同じ設備(自動識別装置)を用いて識別記号を確実に認識することができる。
【0014】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記振動受側の部材に締結される、互いに同一平面上に位置する第1及び第2締結面と、上記第1及び第2締結面が締結される部材とは異なる、上記振動受側の部材に締結される、上記第1及び第2締結面に対して傾斜している第3締結面と、上記第3締結面に連続して形成された、上記第1及び第2締結面と略同方向を向いた延長面とを有し、上記識別記号が上記延長面に形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
第2の発明では、自動識別装置を用いてブラケットの種別を判定する際に、位置関係が不変な第1及び第2締結面を基準として、防振ブラケットを自動識別装置にセットすれば、2面を基準としているので、自動識別装置における防振ブラケットの姿勢が確実に決まるとともに、第1締結面と第2締結面と第3締結面との位置関係が不変であることから、第3締結面が自動識別装置において常に同じ位置に位置することになる。そうして、第1及び第2締結面と略同方向を向いた延長面は、第3締結面に連続して形成されていることから、自動識別装置において常にほぼ同じ位置(第3締結面の近傍)に位置するとともに、かかる延長面に形成された、ブラケットの種別を表示する識別記号もまた自動識別装置において常にほぼ同じ位置に位置することになる。
【0016】
したがって、形状の異なる数種類の防振ブラケットを種類分けする場合にも、第1及び第2締結面を基準として防振ブラケットを固定できる機構と、第3締結面の近傍を撮影できるように固定されたカメラとを有していさえすれば、同じ設備を用いて識別記号を確実に認識することができる。
【0017】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記識別記号は、上記延長面に形成された1又は2以上の溝であることを特徴とするものである。
【0018】
第3の発明によれば、防振ブラケットの材質が、例えばアルミニウムのように反射光の強いものであっても、ドットや着色等とは異なり、溝の影によって溝の輪郭が強調されるので、識別記号を確実に認識することができる。また、第3締結面ではなく、その延長面に溝を形成していることから、防振ブラケットを振動受側に取り付けた場合に、第3締結面の面圧等に影響を与え難くなっている。
【0019】
第4の発明は、上記第2又は第3の発明において、上記防振装置はエンジンマウントであり、上記第1及び第2締結面が締結される部材は、車両のサイドフレームである一方、上記第3締結面が締結される部材は、車両のタイヤハウスであり、上記エンジンマウントの側部に装着されたストッパゴムが当接する、各々上下方向に延びる一対の脚部と、上記エンジンマウントの上端部に装着されたストッパゴムが当接する、上記一対の脚部の上端部を連結する上側梁部と、上記エンジンマウントの下端部が固定される、上記一対の脚部の中央部を連結する下側梁部と、をさらに備え、上記第1及び第2締結面は、上記一対の脚部の下端部にそれぞれ形成された第1及び第2締結部の下面であり、上記第3締結面は、上記一対の脚部のいずれか一方の上端部に形成された、斜め下方に延びる第3締結部の傾斜した下面であり、上記延長面は、上記第3締結部を補強するために当該第3締結部と上記一方の脚部との間に形成された補強部に形成されていることを特徴とするものである。
【0020】
第4の発明によれば、防振ブラケットを、エンジンマウントを車体に取り付けるためのブラケットとして好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る防振ブラケットによれば、自動識別装置を用いてブラケットの種別を判定する際に、少なくとも1つの締結面を基準として、防振ブラケットを自動識別装置にセットすれば、各締結面の位置関係が不変であることから、当該自動識別装置における各締結面の位置が決まることになる。これにより、いずれか1つの締結面の近傍に形成された、ブラケットの種別を表示する識別記号もまた自動識別装置において常にほぼ同じ位置に位置することになる。したがって、形状の異なる数種類の防振ブラケットを種類分けする場合にも、同じ設備を用いて、識別記号を確実に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る、エンジンマウントが取り付けられた防振ブラケットを示す斜視図である。
【図2】エンジンマウントを防振ブラケットを介して車体に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図3】エンジンマウントが取り付けられた防振ブラケットを示す斜視図である。
【図4】防振ブラケットを示す斜視図である。
【図5】図1に示す、エンジンマウントが取り付けられた防振ブラケットの上下を反転させた状態を示す斜視図である。
【図6】図4に示す防振ブラケットの上下を反転させた状態を示す斜視図である。
【図7】防振ブラケットの識別方法を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る、エンジンマウントが取り付けられた防振ブラケットを示す斜視図である。この防振ブラケット1は、アルミダイキャスト製であり、振動源側(本実施形態ではエンジン5側)と振動受側(本実施形態では車体15,25側)との間に介設されるエンジンマウント(防振装置)3を車体15,25側に取り付けるためのものである。なお、本実施形態のエンジンマウント3は、エンジン5側に取り付けられる第1取付金具13と、車体側に取り付けられる第2取付金具23と、当該第1取付金具13と当該第2取付金具23とを連結するゴム弾性体33(図3及び図5参照)と、オリフィス盤(図示せず)と、ダイヤフラム43と、当該第1取付金具13に装着された一対のストッパゴム53と、を備えた液体封入式エンジンマウントである。
【0024】
この防振ブラケット1は、エンジンマウント3の側部に装着されたストッパゴム53が当接する、各々上下方向に延びる一対の脚部11と、エンジンマウント3の上端部に装着されたストッパゴム53が当接する、一対の脚部11の上端部を連結する上側梁部21と、エンジンマウント3の第2取付金具23がかしめ固定される、一対の脚部11の中央部を連結する下側梁部31と、を備えている。そうして、一方(図1の左側)の脚部11の下端部には、図2に示すように、当該脚部11をサイドフレーム(振動受側の部材)15に取り付けるための第1締結部7が設けられている一方、他方(図1の右側)の脚部11の下端部には、当該脚部11をサイドフレーム15に取り付けるための第2締結部17が設けられている。また、脚部11の上端部には、当該脚部11をタイヤハウス(異なる部材)25に取り付けるための第3締結部27が設けられている。
【0025】
第1及び第2締結部7,17は、各々その中心部に上下方向に延びる貫通孔7b,17bを有する略筒状に形成されているとともに、それらの下面である第1及び第2締結面7a,17aが互いに同一平面上に位置するように形成されている。そうして、第1及び第2締結部7,17は、かかる貫通孔7b,17bに挿通される不図示の締結ボルトによって、第1及び第2締結面7a,17aをサイドフレーム15の上面に接触させた状態で当該サイドフレーム15に固定されるようになっている。
【0026】
一方、第3締結部27は、その中心部に斜め下方に延びる貫通孔27bを有する、脚部11の上端部から斜め下方に延びる略筒状に形成されていて、その下面である第3締結面27aは第1及び第2締結面7a,17aに対して傾斜している。そうして、第3締結部27は、かかる貫通孔27bに挿通される不図示の締結ボルトによって、その傾斜した下面である第3締結面27aをタイヤハウス25の斜面に接触させた状態で当該タイヤハウス25に固定されるようになっている。第3締結部27は、斜め下方に延びているので、下側ほど脚部11から離れるようになっていることから、第3締結部27と脚部11との間には、当該第3締結部27を補強するための補強部41が形成されている。
【0027】
そうして、エンジンマウント3が取り付けられた防振ブラケット1をこれら第1〜3締結部7,17,27で車体15,25に取り付けると、例えば自動車が停止していてエンジン5がアイドル運転状態にあるときには、トルク変動等に起因する低周波のアイドル振動がゴム弾性体33により吸収され、車体15,25への振動伝達が抑制される。一方、例えば自動車の急加速時のように大きな駆動反力(トルク)が作用してエンジン5が前後に揺れようとすると、一対のストッパゴム53が防振ブラケット1の脚部11に当接することにより、ゴム弾性体33の前後の変形が制限されるとともに、エンジン5が上下に揺れようとすると、一対のストッパゴム53が防振ブラケット1の上側梁部21に当接することにより、ゴム弾性体33の上下の変形が制限されるようになっている。
【0028】
ところで、エンジンマウント3の形状は要求される特性に応じて変化するところ、これが取り付けられる防振ブラケット1の形状も、図1と図3とを見比べれば分かるように、エンジンマウント3の形状に合わせて変化する。それ故、エンジンマウント3と防振ブラケット1との組み付けミスを防止するために、エンジンマウント3の組み付けに先立ち、防振ブラケット1を識別する必要がある。
【0029】
ここで、大量生産される防振ブラケット1を一つ一つ作業員が識別するのは非現実的であるし、判定ミスも伴い易いことから、例えばカメラを備えた自動識別装置を用いて、防振ブラケット1を自動的に識別することが考えられるが、防振ブラケット1の形状は、図4に示すように、種類によって大きく異なることから、例えば識別記号を設けようとしても、常に同じ位置に識別記号を設けられるとは限らない。
【0030】
具体的には、例えば図4(a)の防振ブラケット1における符号51で示す部位に識別記号を設けようとしても、図4(b)〜図4(e)の防振ブラケット1における同じ部位には突出部が形成されていて識別記号を設けることができず、また、例えば図4(b),(c)及び(e)の防振ブラケット1における符号61で示す部位に識別記号を設けようとしても、図4(a)及び(d)の防振ブラケット1における同じ部位には段差部が形成されていて識別記号を設けることができない。
【0031】
このため、例えばカメラを備えた自動識別装置を用いて識別記号を自動的に識別しようとしても、同じ設備を用いて、形状の異なる数種類の防振ブラケット1を種類分けするのは困難であるという問題があり、また、あらゆる箇所を撮影できるように複数のカメラを備えた自動識別装置を用いるのは非常にコストがかかる。
【0032】
そこで、本実施形態の防振ブラケット1では、形状の異なる数種類の防振ブラケット1においても、振動受側に締結される締結面の位置自体は異ならないことに着目し、これら締結面の一部を基準とするとともに、残りの締結面の近傍に識別記号を設けるようにしている。具体的には、図5及び図6(a)〜図6(e)に示すように、第1締結面7aと第2締結面17aと第3締結面27aとの位置関係は不変であることから、第1締結面7aと第2締結面17aとを基準として、固定設置されたカメラで常に識別記号を撮影できるように、第1及び第2締結面7a,17aと略同方向を向いた延長面37を、第3締結面27aに連続するように、第3締結部27を補強するための補強部41に形成し、かかる延長面37にブラケットの種別を表示する識別記号47を形成している。
【0033】
このように防振ブラケット1に識別記号47を有する延長面37を形成することにより、自動識別装置を用いてブラケットの種別を判定する際に、第1及び第2締結面7a,17aを基準として防振ブラケット1を自動識別装置にセットすれば、第1及び第2締結面7a,17aと略同方向を向いた延長面37及びこれに形成された識別記号47が、自動識別装置において常にほぼ同じ位置に位置することになる。
【0034】
本実施形態における識別記号は、延長面37に形成された1又は2以上の溝47であり、具体的には、図6(a)の防振ブラケット1には3本の溝47が、図6(b)の防振ブラケット1には2本の溝47が、図6(c)の防振ブラケット1には4本の溝47が、図6(d)の防振ブラケット1には1本の溝47が、図6(e)の防振ブラケット1には大きな間隔をあけた2本の溝47がそれぞれ形成されている。なお、各溝47は、本実施形態では、深さ2.0mm、幅2.5mm、長さ10.0mmで形成されている。
【0035】
このような溝状の識別記号には以下のような利点がある。すなわち、アルミダイキャスト製の防振ブラケット1を型抜きする際には、一対の脚部11と上側梁部21と下側梁部31とで囲まれる開口部(エンジンマウント3が配置される開口部)の形状から明らかなように、図6(a)〜図6(e)の白抜き矢印の方向に型抜きが行われるところ、識別記号を白抜き矢印と同方向に延びる溝47とすることで、溝47の形成及び型抜きを容易に行うことができる。また、防振ブラケット1の材質が、アルミニウムのように反射光の強いものであっても、ドットや着色等とは異なり、溝47の影によって溝47の輪郭が強調されるので、識別記号を確実に認識することができる。なお、本実施形態の防振ブラケット1では、第3締結面27aではなく、その延長面37に溝47を形成していることから、防振ブラケット1を車体に取り付けた場合に、締結面の面圧等に影響を与え難くなっている。
【0036】
次いで、本実施形態の防振ブラケット1の識別方法について説明する。
【0037】
防振ブラケット1を識別するに当たり、先ず、図7に示すように、防振ブラケット1を固定するためのセット機構19と、カメラ49と、カメラ49により撮影された画像データに基づいてブラケットの種類を識別する識別機構を有するコントローラ59とを備えた自動識別装置9を用意する。この自動識別装置9では、カメラ49は固定台39に固定されており、セット機構19の基準面19aとカメラ49との位置関係は常に同じとなっている。
【0038】
次に、第1及び第2締結面7a,17aが上を向くように、これら締結面7a,17a,27aを基準面19aに当てた状態で固定手段29によって防振ブラケット1を固定する。このように、第1及び第2締結面7a,17aを基準として防振ブラケット1を固定すると、第1及び第2締結面7a,17aと略同方向を向いた延長面37がカメラ49の真下に位置する。この状態で、カメラ49による撮影を行えば、延長面37に形成された溝47を確実に撮影することができるとともに、撮影された画像データに基づいてコントローラ59がブラケットの種類を識別することができる。
【0039】
そうして、異なる種類の防振ブラケット1を識別する場合にも、第1締結面7aと第2締結面17aと第3締結面27aとの位置関係が不変であることから、第1及び第2締結面7a,17aを基準面19aに当てた状態で防振ブラケット1を固定すれば、延長面37及び延長面37に形成された溝47が常にカメラ49の真下に位置することになる。したがって、形状の異なる数種類の防振ブラケット1を種類分けする場合にも、第1及び第2締結面7a,17aを基準として防振ブラケット1を固定できる機構と、第3締結面27aの近傍を撮影できるように固定されたカメラ49とを有していさえすれば、同じ設備を用いて、識別記号47を確実に認識することができる。
【0040】
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0041】
上記実施形態では、締結面を3つとしたが、これに限らず、締結面の数は2つ又は4つ以上としてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、識別記号を延長面37に形成したが、識別記号を形成する位置は、締結面の面圧等に影響を与えず、且つ、締結面の近傍でさえあれば、これに限られず、例えば、第1又は第2締結部7,17の上面や側面に形成してもよい。
【0043】
さらに、上記実施形態では、識別記号を1又は2以上の溝47としたが、これに限らず、例えば延長面37から突出する1又は2以上の突条部としてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、エンジンマウント3を液体封入式エンジンマウントとしたが、これに限らず、例えば、第1取付金具13と、第2取付金具23と、ゴム弾性体33と、ストッパゴム53とを備える、液体を封入していないエンジンマウントとしてもよい。
【0045】
さらに、上記実施形態では、第1及び第2締結面7a,17aが上を向くように、これら締結面を基準面19aに当てた状態で防振ブラケット1を固定するような自動識別装置9を用いたが、これに限らず、第1及び第2締結面7a,17aを基準として防振ブラケット1を固定できる機構と、第3締結面27aの近傍を撮影できるように固定されたカメラ49とを有していさえすれば、どのような自動識別装置を用いてもよい。
【0046】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明は、振動源側と振動受側との間に介設される防振装置を当該振動受側に取り付けるための防振ブラケット等について有用である。
【符号の説明】
【0048】
1 防振ブラケット
3 エンジンマウント(防振装置)
5 エンジン(振動源)
7 第1締結部
7a 第1締結面
11 脚部
15 サイドフレーム(振動受側の部材)
17 第2締結部
17a 第2締結面
21 上側梁部
25 タイヤハウス(異なる部材)
27 第3締結部
27a 第3締結面
31 下側梁部
37 延長面
41 補強部
47 溝(識別記号)
53 ストッパゴム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動源側と振動受側との間に介設される防振装置を当該振動受側に取り付けるための防振ブラケットであって、
上記振動受側の部材に締結される2以上の締結面を有し、各締結面の位置関係が不変であり、且つ、いずれか1つの締結面の近傍にブラケットの種別を表示する識別記号が形成されていることを特徴とする防振ブラケット。
【請求項2】
請求項1記載の防振ブラケットにおいて、
上記振動受側の部材に締結される、互いに同一平面上に位置する第1及び第2締結面と、
上記第1及び第2締結面が締結される部材とは異なる、上記振動受側の部材に締結される、上記第1及び第2締結面に対して傾斜している第3締結面と、
上記第3締結面に連続して形成された、上記第1及び第2締結面と略同方向を向いた延長面とを有し、
上記識別記号が上記延長面に形成されていることを特徴とする防振ブラケット。
【請求項3】
請求項2記載の防振ブラケットにおいて、
上記識別記号は、上記延長面に形成された1又は2以上の溝であることを特徴とする防振ブラケット。
【請求項4】
請求項2又は3記載の防振ブラケットにおいて、
上記防振装置はエンジンマウントであり、
上記第1及び第2締結面が締結される部材は、車両のサイドフレームである一方、上記第3締結面が締結される部材は、車両のタイヤハウスであり、
上記エンジンマウントの側部に装着されたストッパゴムが当接する、各々上下方向に延びる一対の脚部と、
上記エンジンマウントの上端部に装着されたストッパゴムが当接する、上記一対の脚部の上端部を連結する上側梁部と、
上記エンジンマウントの下端部が固定される、上記一対の脚部の中央部を連結する下側梁部と、をさらに備え、
上記第1及び第2締結面は、上記一対の脚部の下端部にそれぞれ形成された第1及び第2締結部の下面であり、
上記第3締結面は、上記一対の脚部のいずれか一方の上端部に形成された、斜め下方に延びる第3締結部の傾斜した下面であり、
上記延長面は、上記第3締結部を補強するために当該第3締結部と上記一方の脚部との間に形成された補強部に形成されていることを特徴とする防振ブラケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−108555(P2013−108555A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253032(P2011−253032)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)
【Fターム(参考)】