説明

防振装置および防振装置組立て体

【課題】防振装置を外郭筒内に強固に固定する。
【解決手段】外筒11にはその全周にわたって凹部15が形成され、この外筒11の一端側部分11aに対する径方向外側からの拘束を解除した状態で、外筒11の他端側部分11bを縮径変形させたときに、一端側部分11aが凹部15回りに径方向外側に向けて反り返るようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車や産業機械等に用いられる防振装置および防振装置組立て体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の防振装置として、例えば下記特許文献1に示されるような、外郭筒内に圧入される外筒と、この外筒の内側に配置された内筒と、これらの外筒と内筒との間に配置されて両者を弾性的に連結する筒状の弾性体と、を備える構成が知られている。そして、この防振装置は、例えばサスペンションアーム等が備える外郭筒内に圧入されて用いられる。この圧入時に、外筒の径方向外側へ向けた弾性反発力が外郭筒の内周面に加えられることにより、外筒の外周面と外郭筒の内周面との間に摩擦力が発生する。
【特許文献1】特開2000−227139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の防振装置は、前記摩擦力のみによって外郭筒内に固定されていたので、外郭筒に対してぐらつくおそれがあり、適用可能な装置が限定され易いという問題があった。
【0004】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、外郭筒内に強固に固定することができる防振装置および防振装置組立て体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の防振装置は、外郭筒内に圧入される外筒と、この外筒の内側に配置された内筒と、これらの外筒と内筒との間に配置されて両者を弾性的に連結する筒状の弾性体と、を備える防振装置であって、前記外筒の軸方向一端部にはその全周にわたって凹部が形成され、この外筒において、前記凹部よりも軸方向一端側に位置する一端側部分に対する径方向外側からの拘束を解除した状態で、前記凹部よりも軸方向他端側に位置する他端側部分を縮径変形させたときに、前記一端側部分が前記凹部回りに径方向外側に向けて反り返る構成とされたことを特徴とする。
また、本発明の防振装置組立て体は、本発明の防振装置と、前記外筒が内側に圧入された外郭筒と、を備える防振装置組立て体であって、前記外筒の一端側部分は、外郭筒の内面において前記外筒の他端側部分が圧入される圧入面から軸方向外側に突出し、かつその外径が、前記圧入面の内径よりも大きくなっていることを特徴とする。
この発明では、外筒において、凹部よりも軸方向一端側に位置する一端側部分に対する径方向外側からの拘束を解除した状態で、凹部よりも軸方向他端側に位置する他端側部分を縮径変形させたときに、前記一端側部分が凹部回りに径方向外側に向けて反り返るようになっているので、外筒を縮径変形させつつその軸方向一端側から外郭筒の圧入面に押し込んでいき、外筒の一端側部分を圧入面から軸方向外側に突出させたときに、この一端側部分が前述のように反り返って拡径変形することによりその外径を圧入面の内径よりも大きくすることができる。
これにより、外筒の他端側部分と外郭筒の圧入面との間に摩擦力を発生させることのみならず、外筒の一端側部分を外郭筒において圧入面に軸方向一端側から連なる部分に係合させることも可能になり、防振装置を外郭筒内に強固に固定することができる。
また、前記凹部が外筒の軸方向一端部に限定して形成されており、外筒において前記一端側部分および他端側部分のいずれか一方の全体を薄肉にしていないので、前述の作用効果を有する反面、外筒の強度が大きく低下してしまうのを防ぐこともできる。
【0006】
ここで、前記凹部は、外筒の軸方向一端部にその全周にわたって連続して延在してもよい。
この場合、凹部が外筒の軸方向一端部にその全周にわたって連続して延在しているので、前述のように外筒の一端側部分を圧入面から軸方向外側に突出させたときに、この一端側部分をその全周にわたって均等に拡径変形させることが可能になり、外筒の一端側部分と外郭筒において圧入面に軸方向一端側から連なる部分との係合力が周方向でばらつくのを防ぐことができる。
【0007】
また、前記凹部は外筒の外周面に形成されてもよい。
この場合、凹部を容易に形成することができる。
【0008】
さらに、前記弾性体の軸方向一端部は、外筒において前記凹部が位置する軸方向部分に位置してもよい。
この場合、弾性体の軸方向一端部が、外筒において凹部が位置する軸方向部分に位置しているので、外筒の一端側部分に、外筒自体の弾性復元力のみならず、弾性体の弾性復元力をも作用させて、この一端側部分を前述のように拡径変形させることが可能になり、この拡径変形量を大きくすることができる。
また、このように弾性体の軸方向一端部が、外筒において凹部が位置する軸方向部分に位置していることから、外筒において凹部が形成されて強度が低下した軸方向部分を弾性体によって補強することも可能になる。
【0009】
ここで、前記防振装置組立て体においては、前記外筒の一端側部分は、外郭筒の外周面における軸方向一端縁よりも軸方向内側に位置してもよい。
この場合、外筒の一端側部分が、外郭筒の外周面における軸方向一端縁よりも軸方向内側に位置しているので、この一端側部分を外郭筒の軸方向内側に位置させることが可能になり、例えば外筒の一端側部分が外気にさらされて劣化し易くなったり、あるいは飛び石等が衝突して割れ易くなったりするのを防ぐことができる。
【0010】
また、前記外筒の軸方向他端縁にはフランジ部が突設され、前記外郭筒は、前記外筒におけるフランジ部および一端側部分により軸方向で挟まれてもよい。
この場合、外郭筒が外筒におけるフランジ部および一端側部分により軸方向で挟まれているので、防振装置および外郭筒の軸方向に沿った相対的な変位を抑制することが可能になり、防振装置を外郭筒内に一層強固に固定することができるとともに、この固定状態を長期にわたって維持することも可能になる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、防振装置を外郭筒内に強固に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る防振装置の一実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。
この防振装置10は、外筒11と、この外筒11の内側に配置された内筒12と、これらの外筒11と内筒12との間に配置されて両者を弾性的に連結する筒状の弾性体13と、を備えるとともに、外筒11が外郭筒21の内側に圧入されて、例えばトーションビーム式リアサスペンションのトレーリングアームと車体との連結部分等に配設されて用いられる。
図示の例では、外郭筒21、外筒11、内筒12および弾性体13は共通軸と同軸に配置されている。以下、この共通軸を中心軸線Oという。
【0013】
外郭筒21は金属材料で円筒状に形成されている。また、外郭筒21の内面のうち、外筒11が圧入される圧入面21aに前記中心軸線O方向の一端側から連なる一端面21bは、前記中心軸線O方向の内側から外側に向かうに従い漸次拡径した傾斜面となっている。さらに、外郭筒21の前記中心軸線O方向における他端縁21cは径方向に沿って延びる平坦面となっている。
なお図示の例では、外郭筒21の内面において圧入面21aと一端面21bとの連結部分は、径方向内方に向けて尖る角部になっている。また、一端面21bは、前記中心軸線O方向の内側から外側に向かうに従い漸次径方向外方に向けて直線状に延在している。さらに、圧入面21aは前記中心軸線O方向に沿って平行に延在している。
【0014】
外筒11は樹脂材料で円筒状に形成され、その肉厚は全域にわたって同等でかつ外郭筒21および内筒12よりも薄くなっている。なお、前記樹脂材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ABS、ポリアセタール、ポリカボーボネイト若しくはポリイミド等の熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ樹脂若しくはフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、さらにはエラストマ等が挙げられる。
【0015】
また本実施形態では、外筒11の前記中心軸線O方向における他端縁にはフランジ部14が突設されている。このフランジ部14は、外筒11の全周にわたって連続して延在している。このフランジ部14の外径は、外郭筒21の外径と同等になっている。さらにフランジ部14において前記中心軸線O方向の内側を向く表面は、外郭筒21の前記他端縁21c上に当接している。
【0016】
内筒12は金属材料若しくは外筒11を形成する樹脂材料よりも剛性の高い樹脂材料で円筒状に形成され、その肉厚は外郭筒21よりも薄くかつ外筒11よりも厚くなっている。なお、内筒12の肉厚はその全域にわたって同等になっている。また、内筒12の前記中心軸線O方向における両端部は外郭筒21から前記中心軸線O方向の外側に突出している。
【0017】
弾性体13はゴム材料で形成され、外筒11の内周面および内筒12の外周面に加硫接着されている。また、弾性体13は、外筒11の内周面および内筒12の外周面におけるほぼ全域にわたって接着されている。なお、弾性体13において前記中心軸線O方向の外側を向く両端面は、内筒12の外周面側から外筒11の内周面側に向かうに従い漸次、前記中心軸線O方向の内側に向けて傾斜している。さらに、弾性体13は、外筒11のフランジ部14において前記中心軸線O方向の外側を向く表面を被覆している。また、この弾性体13には、図2示されるように、前記中心軸線O方向から見た平面視でこの軸線Oを径方向で挟む互いに反対となる各位置に、前記中心軸線O方向に沿って延びる空所13aが形成されている。
【0018】
以上の構成において、防振装置10は、前記中心軸線O方向の一端部側が車両内側に位置し、かつ他端部側が車両外側に位置させられた状態で外郭筒21内に固定されて用いられる。
【0019】
そして、本実施形態では、外筒11の前記中心軸線O方向における一端部にその全周にわたって凹部15が形成されている。この凹部15は、外筒11の前記中心軸線O方向における一端部にその全周にわたって連続して延在している。図示の例では、凹部15は外筒11の外周面に形成されている。なお、凹部15の深さは、外筒11の厚さの例えば10%〜80%程度になっている。具体的には、凹部15の深さは例えば0.2mm〜3.2mm、外筒11の厚さは例えば2mm〜4mmとなっている。また、凹部15は、外筒11を形成するとき同時に金型内で成型することで形成してもよいし、あるいは切削加工で形成してもよい。なお、この凹部15は、外筒11の前記中心軸線O方向に沿った縦断面視で、底面と、この底面における前記中心軸線O方向の両端から径方向外側に向けて立ち上がる一対の立ち上がり面と、により画成されている。
【0020】
ここで、弾性体13の前記中心軸線O方向における一端部は、外筒11の内周面において凹部15と対応する部分に位置している。さらに、この弾性体13の前記一端部は、外筒11の内周面において凹部15と対応する部分の全周にわたって連続している。
【0021】
さらに、外筒11において凹部15よりも前記中心軸線O方向の一端側に位置する一端側部分11aは、外郭筒21の圧入面21aから前記中心軸線O方向の外側に突出している。また、外筒11の一端側部分11aにおける外径は、外郭筒21の圧入面21aにおける内径よりも大きくなっている。
そして、凹部15を画成する前記一対の立ち上がり面のうち、前記中心軸線O方向の一端側に位置する立ち上がり面、若しくはこの立ち上がり面と外筒11の一端側部分11aの外周面との連結部分が、外郭筒21の前記一端面21bに圧接している。さらに前述のように、フランジ部14において前記中心軸線O方向の内側を向く表面が、外郭筒21の前記他端縁21c上に当接していることから、外郭筒21は、外筒11におけるフランジ部14および一端側部分11aにより前記中心軸線O方向で挟まれている。
また、外筒11の一端側部分11aの外周面は、外郭筒21の外周面における前記中心軸線O方向の一端縁21dよりも前記中心軸線O方向の内側に位置している。
【0022】
ここで、外郭筒21に圧入する前の防振装置10においては、図3に示されるように、外筒11の一端側部分11aの外径は、外筒11において凹部15よりも前記中心軸線O方向の他端側に位置し、かつ外郭筒21の圧入面21aに圧入される他端側部分11bの外径と同等かそれよりも大きくなっている。なお、図示の例では、外筒11の一端側部分11aの外径は、他端側部分11bの外径と同等になっている。
【0023】
そして、外筒11を縮径変形させつつその前記中心軸線O方向の一端側から外郭筒21の圧入面21aに押し込んでいき、フランジ部14において前記中心軸線O方向の内側を向く表面を外郭筒21の他端縁21cに当接させ、かつ外筒11の一端側部分11aを圧入面21aから前記中心軸線O方向の外側に突出させる。この際、外筒11の一端側部分11aに、その弾性復元力および弾性体13の前記一端部の弾性復元力が作用することによって、この一端側部分11aが凹部15回りに径方向外側に向けて反り返り拡径変形させられる。これにより、外筒11において、凹部15を画成する前記一対の立ち上がり面のうち、前記中心軸線O方向の一端側に位置する立ち上がり面、若しくはこの立ち上がり面と前記一端側部分11aの外周面との連結部分が、外郭筒21の一端面21bに圧接する。
すなわち、この外筒11は、前記一端側部分11aに対する径方向外側からの拘束を解除した状態で、前記他端側部分11bを縮径変形させたときに、この一端側部分11aが凹部15回りに径方向外側に向けて反り返ることにより拡径変形させられるようになっている。
【0024】
以上説明したように、本実施形態による防振装置組立て体によれば、外筒11の他端側部分11bと外郭筒21の圧入面21aとの間に摩擦力を発生させることのみならず、外筒11の一端側部分11aを外郭筒21の一端面21bに係合させることも可能になり、防振装置10を外郭筒21内に強固に固定することができる。
また、凹部15が外筒11の前記中心軸線O方向における一端部に限定して形成されており、外筒11において一端側部分11aおよび他端側部分11bのいずれか一方の全体を薄肉にしていないので、前述の作用効果を有する反面、外筒11の強度が大きく低下してしまうのを防ぐこともできる。
【0025】
さらに本実施形態では、凹部15が外筒11の前記中心軸線O方向における一端部にその全周にわたって連続して延在しているので、前述のように外筒11の一端側部分11aを圧入面21aから前記中心軸線O方向の外側に突出させたときに、この一端側部分11aをその全周にわたって均等に拡径変形させることが可能になり、外筒11の一端側部分11aと外郭筒21の一端面21bとの係合力が周方向でばらつくのを防ぐことができる。
また、凹部15が外筒11の外周面に形成されているので、この凹部15を外筒11に容易に形成することができる。
【0026】
さらに、弾性体13の前記一端部が、外筒11の内周面において凹部15と対応する部分に位置しているので、外筒11の一端側部分11aに、外筒11自体の弾性復元力のみならず、弾性体13の弾性復元力をも作用させて、この一端側部分11aを前述のように拡径変形させることが可能になり、この拡径変形量を大きくすることができる。
また、このように弾性体13の前記一端部が、外筒11の内周面において凹部15と対応する部分に位置していることから、外筒11において凹部15が形成されて強度が低下した部分を弾性体13によって補強することも可能になる。
【0027】
さらに、外筒11の一端側部分11aが、外郭筒21の外周面における前記一端縁21dよりも前記中心軸線O方向の内側に位置しているので、この一端側部分11aを外郭筒21の前記中心軸線O方向における内側に位置させることが可能になり、例えば外筒11の一端側部分11aが外気にさらされて劣化し易くなったり、あるいは飛び石等が衝突して割れ易くなったりするのを防ぐことができる。
【0028】
また、外郭筒21が外筒11におけるフランジ部14および一端側部分11aにより前記中心軸線O方向で挟まれているので、防振装置10および外郭筒21の前記中心軸線O方向に沿った相対的な変位を抑制することが可能になり、防振装置10を外郭筒21内に一層強固に固定することができるとともに、この固定状態を長期にわたって維持することも可能になる。
【0029】
さらに本実施形態では、外筒11において、凹部15を画成する前記一対の立ち上がり面のうち、前記中心軸線O方向の一端側に位置する立ち上がり面、若しくはこの立ち上がり面と前記一端側部分11aの外周面との連結部分が、前述の弾性復元力により外郭筒21の一端面21bに圧接しているので、前述のような、外筒11の他端側部分11bと外郭筒21の圧入面21aとの間の摩擦力、および外郭筒21の一端面21bと外筒11の一端側部分11aとの係合のみならず、前記立ち上がり面、若しくは前記連結部分と外郭筒21の一端面21bとの間の摩擦力をも発生させることが可能になり、防振装置10を外郭筒21内により一層強固に固定することができる。
【0030】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、防振装置10および防振装置組立て体として、トーションビーム式リアサスペンションのトレーリングアームと車体との連結部分に配設されて用いられる構成を示したが、これに限られるものではない。
【0031】
また、前記実施形態では、凹部15が、外筒11の前記中心軸線O方向における一端部にその全周にわたって連続して延在した構成を示したが、これに限らず例えば断続的に延在若しくは点在させてもよい。
さらに、前記実施形態では、凹部15を外筒11の外周面に形成したが、内面に形成してもよい。このように凹部を外筒11の内面に形成した場合には、この凹部内を弾性体13の前記一端部で満たすようにしてもよい。
【0032】
また、凹部15の形状は、図示の形態に限らず適宜変更してもよい。例えば、この防振装置10の縦断面視で、矩形状、曲面状若しくは台形状等に形成してもよい。
さらに、外郭筒21の内面において圧入面21aと一端面21bとの連結部分の形状は、図示の形態に限らず適宜変更してもよい。例えば、この防振装置10の縦断面視で、曲面状等にしてもよい。
【0033】
また、前記実施形態では、外郭筒21の内面に前記一端面21bを形成したが、この一端面21bを有さず、外郭筒21の内面の全体を圧入面21aにしてもよい。さらにまた、この一端面21bは、例えば径方向内方に向けて凸の曲面状に形成する等適宜変更してもよい。
さらに、前記実施形態では、外郭筒21の前記他端縁21cを径方向に沿って延びる平坦面にしたが、これに限らず例えば、面取り形状若しくは曲面形状にする等適宜変更してもよい。
また、前記実施形態では、フランジ部14の外径を外郭筒21の外径と同等にしたが、互いに異ならせてもよい。
さらに、内筒12は前記実施形態で示した形態に限らず、適宜変更してもよい。
また、弾性体13として空所13aを有しない構成を採用してもよい。
【0034】
さらに、前記実施形態では、外筒11にフランジ部14を設けたが、このフランジ部14を有しない外筒を採用してもよい。
さらにまた、凹部15は、外筒11の前記中心軸線O方向における一端部のみならず他端部にも形成してよい。そして、外筒11において前記他端部に形成された凹部15よりも前記中心軸線O方向の他端側に位置する部分を、外郭筒21の圧入面21aから前記中心軸線O方向の外側に突出させるようにしてもよい。
また、前記実施形態では、弾性体13の前記一端部が、外筒11の内周面において凹部15と対応する部分に位置した構成を示したが、弾性体13の前記一端部を、外筒11の内周面において凹部15と対応する部分よりも前記中心軸線O方向の他端部側(内側)に位置させてもよい。
【0035】
また、前記実施形態では、外筒11の一端側部分11aを、外郭筒21の外周面における前記中心軸線O方向の一端縁21dよりもこの軸線O方向の内側に位置させたが、これに限らず、外筒11の一端側部分11aを外郭筒21から前記中心軸線O方向の外側に突出させてもよい。
【0036】
さらにまた、外筒11の一端側部分11aは前記実施形態に限らず適宜変更してもよい。例えば図4に示されるように、外筒11の一端側部分11aにおいて凹部15に連なる前記中心軸線O方向の他端部を、外筒11の他端側部分11bの外径よりも大きくしてもよい。なお、この図4に示される一端側部分11aは、前記中心軸線O方向に沿って他端部側から一端部側に向かうに従い漸次縮径し、この一端側部分11aにおける前記中心軸線O方向の他端縁は、径方向外方に向けて尖る角部になっている。
さらに、この図4に示される構成に代えて例えば、外筒11の一端側部分11aにおいて凹部15に連なる前記中心軸線O方向の他端部を、この軸線O方向に沿って平行に延在させ、かつその外径を前記他端側部分11bの外径よりも大きくしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
防振装置を外郭筒内に強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る一実施形態として示した防振装置組立て体の縦断面図である。
【図2】図1に示す防振装置組立て体の平面図である。
【図3】図1に示す防振装置であって外郭筒内に圧入する前の状態を示す縦断面図である。
【図4】本発明に係る他の実施形態として示した防振装置の外筒の要部拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0039】
10 防振装置
11 外筒
11a 一端側部分
11b 他端側部分
12 内筒
13 弾性体
14 フランジ部
15 凹部
21 外郭筒
21a 圧入面
21d 一端縁
O 中心軸線(軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭筒内に圧入される外筒と、この外筒の内側に配置された内筒と、これらの外筒と内筒との間に配置されて両者を弾性的に連結する筒状の弾性体と、を備える防振装置であって、
前記外筒の軸方向一端部にはその全周にわたって凹部が形成され、
この外筒において、前記凹部よりも軸方向一端側に位置する一端側部分に対する径方向外側からの拘束を解除した状態で、前記凹部よりも軸方向他端側に位置する他端側部分を縮径変形させたときに、前記一端側部分が前記凹部回りに径方向外側に向けて反り返る構成とされたことを特徴とする防振装置。
【請求項2】
請求項1記載の防振装置であって、
前記凹部は、外筒の軸方向一端部にその全周にわたって連続して延在していることを特徴とする防振装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の防振装置であって、
前記凹部は外筒の外周面に形成されていることを特徴とする防振装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の防振装置であって、
前記弾性体の軸方向一端部は、外筒において前記凹部が位置する軸方向部分に位置していることを特徴とする防振装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の防振装置と、前記外筒が内側に圧入された外郭筒と、を備える防振装置組立て体であって、
前記外筒の一端側部分は、外郭筒の内面において前記外筒の他端側部分が圧入される圧入面から軸方向外側に突出し、かつその外径が、前記圧入面の内径よりも大きくなっていることを特徴とする防振装置組立て体。
【請求項6】
請求項5記載の防振装置組立て体であって、
前記外筒の一端側部分は、外郭筒の外周面における軸方向一端縁よりも軸方向内側に位置していることを特徴とする防振装置組立て体。
【請求項7】
請求項5または6に記載の防振装置組立て体であって、
前記外筒の軸方向他端縁にはフランジ部が突設され、前記外郭筒は、前記外筒におけるフランジ部および一端側部分により軸方向で挟まれていることを特徴とする防振装置組立て体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−270586(P2009−270586A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119008(P2008−119008)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】