説明

防振装置及びその取付構造

【課題】優れた防振性能を有利に確保しつつ、防振されるべき部材への取付工程が効果的に簡略化され得る防振装置を提供する。
【解決手段】二つの肩部22が設けられた基部18から延出する、空隙部34を有する肉抜空所32が設けられたゴム弾性体16の延出部位20に、第一の取付部材12を加硫接着する一方、ゴム弾性体16の延出部位20を包囲する包囲部38と、バーリング孔52を備えた二つの段部50を有するように、第二の取付部材14を構成した。そして、ゴム弾性体16を包囲部38にて包囲した状態で、各肩部22に設けられた係合突起24を、バーリング孔52内に挿通させると共に、各段部50において、各肩部22を防振されるべき部材58との間で挟圧、保持して、第二の取付部材14をゴム弾性体16に連結せしめるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振装置及びその取付構造に係り、特に防振されるべき二つの部材にそれぞれ取り付けられる第一及び第二の取付部材と、かかる第一及び第二の取付部材の間に介装されて、それらを弾性的に連結するゴム弾性体とを有する防振装置の構造とかかる防振装置の取付構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の防振装置の一種として、防振されるべき二つ部材にそれぞれ取り付けられた状態下で、径方向に離隔配置された、第一及び第二の取付部材としての内筒金具と外筒金具とをゴム弾性体にて連結してなる、所謂筒型マウントが知られており、これは、自動車のエンジンマウント等として、多く使用されてきている。
【0003】
ところで、このような筒型マウントにおいては、一般に、ゴム弾性体が、内筒金具と外筒金具とに対して、それぞれ加硫接着せしめられるようになっているところから、内筒金具と外筒金具とを連結したゴム弾性体に、加硫後の収縮による引っ張り歪みが生じ、それが、ゴム弾性体の耐久性に悪影響を及ぼすことが避けられなかった。それ故、かかる従来の筒型マウントでは、ゴム弾性体の引っ張り歪みを解消して、耐久性の向上を図るために、自動車のエンジンとボデーとの間等に介装せしめる際に、先ず、外筒金具を絞り加工し、その後、ボデー等に固定されるリング状ブラケットに外筒金具を圧入するといった、面倒で、手間の掛かる作業を行なう必要があったのである。
【0004】
かかる状況下、下記特許文献1には、ゴム弾性体が、エンジン等に取り付けられる、剛性を有する内側部材の外周面のみに対して加硫接着されることにより、内側部材に連結される一方、そのような内側部材が加硫接着されたゴム弾性体が、自動車のボデー等に取り付けられる、剛性を有する外側部材に設けられた凹部内に嵌入せしめられた状態下において、かかる外側部材の凹部の底面とボデー等との間で挟持されることにより、外側部材に対して連結され、以て、内側部材と外側部材とが、それらの間に介装されたゴム弾性体により、弾性的に連結されるように構成された防振装置が、明らかにされている。
【0005】
このような構造を有する防振装置にあっては、内側部材を取り囲むように位置して、内周面においてゴム弾性体に加硫接着される外筒部材が省略されているために、ゴム弾性体の加硫後の自由な収縮が可能となって、ゴム弾性体に引っ張り歪みが生ずるようなことが有利に回避され得る。そして、それにより、かかる引っ張り歪みを除去するために従来行なわれていた外筒部材に対する絞り加工や、外筒部材のリング状ブラケットへの圧入作業を行なう必要が皆無ならしめられ得て、製造工程の簡略化が効果的に図られ得ることとなる。
【0006】
しかしながら、かくの如き従来の防振装置の構造では、内側部材の外周面に加硫接着されて、内側部材への入力振動に対するばね部として機能するゴム弾性体部分が、外側部材とボデー等との間で挟持されて、かかるゴム弾性体部分に対して、所定の圧縮力が作用せしめられるようになっているため、ばね部として機能するゴム弾性体部分のばね特性を十分に柔らかく為すことが難しく、それ故に、防振性能の更なる向上を図ることが、極めて困難であった。
【0007】
そこで、本願出願人は、下記特許文献2において、上記の問題を一挙に解消し得る防振装置を提案した。この防振装置にあっては、ゴム弾性体が、主たる振動入力方向において所定の高さを有するブロック形状を呈し、その基部に、該主たる振動入力方向に対して直角な左右方向の両側においてそれぞれ膨出する二つの肩部が設けられている。また、かかる基部から高さ方向に延び出す延出部位の基部側部分に、高さ方向と左右方向の両方に対して直角となる方向において基部側部分を貫通して延びる肉抜空所が設けられている。更に、第一の取付部材が、その一部において、ゴム弾性体の基部からの延出部位の先端側部分に、肉抜空所の貫通方向に沿って延びるように埋設された状態で、ゴム弾性体に加硫接着されて、一体的に連結されている。一方、第二の取付部材は、ゴム弾性体の基部底面を除く側面及び先端面を取り囲むように屈曲形成されてなる、剛性を有する包囲部を有しており、この包囲部が、ゴム弾性体の基部に設けられた肩部に対応した屈曲形状の段部を有するように構成されている。そして、かかる包囲部が、ゴム弾性体の基部からの延出部位の左右両側面と先端面とに対して所定の距離を隔ててそれぞれ対向して、かかる延出部位を包囲しつつ、段部において、ゴム弾性体の二つの肩部を、第二の取付部材が取り付けられる、防振されるべき部材との間でそれぞれ挟圧、保持せしめることにより、第二の取付部材が、ゴム弾性体に連結されるように構成されているのである。
【0008】
このような構造によれば、筒型マウント等の従来装置における外筒部材が省略されて、かかる外筒部材に対する絞り加工や、外筒部材のリング状ブラケットへの圧入作業を行なう必要が皆無ならしめられ得る。そして、第一の取付部材が、その一部において、ゴム弾性体の基部からの延出部位に埋設されて、ゴム弾性体に連結される一方、かかる基部に設けられた二つの肩部が、第二の取付部材における包囲部の段部と、第二の取付部材が取り付けられる、防振されるべき部材との間でそれぞれ挟圧、保持されることで、第二の取付部材がゴム弾性体に連結されているところから、第二の取付部材が取り付けられる基部に対しては、包囲部の段部と防振されるべき部材との間にて及ぼされる挟圧力に基づく圧縮力が作用せしめられるものの、かかる基部から延び出す延出部位には、そのような圧縮力が、何等作用せしめられることがなく、従って、第一の取付部材が加硫接着されて、第一の取付部材と第二の取付部材間への入力振動に対するばね部として機能する延出部位のばね特性を十分に柔らかく為すことが出来る。その結果、防振性能の更なる向上が、有利に図られ得るのである。
【0009】
しかも、かかる防振装置では、十分に柔らかいばね特性を発揮するゴム弾性体の延出部位の基部側部分に、それを貫通する肉抜空所が設けられているため、例えば、自動車等への装着時に入力される初期荷重により、第一の取付部材がゴム弾性体の基部側方向に変位せしめられても、かかる変位量が肉抜空所にて有利に吸収され得、それによって、ゴム弾性体の上下方向における柔らかいばね特性が、有利に確保され得る。
【0010】
また、第二の取付部材の包囲部が、ゴム弾性体の基部底面を除く側面及び先端面を取り囲んで位置せしめられている。それ故、例えば、自動車等への装着状態下で、第一の取付部材のリバウンド方向(ゴム弾性体の延出部位の延出方向)への第二の取付部材に対する相対的変位量を、包囲部材における、ゴム弾性体の延出部位の先端面との対向部位において、かかる先端面との当接により規制することが出来、また、左右方向への振動入力に伴う第一の取付部材の第二の取付部材に対する左右方向への相対的変位量も、包囲部材における、ゴム弾性体の延出部位の左右両側面との対向部位において、それら両側面との当接により規制することが出来る。それ故、かかる防振装置では、ゴム弾性体の基部からの延出部位の左右両側面及び先端面と包囲部材との間の距離を最適に設計すれば、第一の取付部材の第二の取付部材に対するリバウンド方向と左右方向への過剰な相対変位、ひいてはゴム弾性体の過大な弾性変形を阻止することが可能となるといった利点も得られる。
【0011】
このように、本願出願人が提案した防振装置においては、それまでの防振装置において惹起されていた問題が一挙に解消し得るだけでなく、装置全体の使用耐久性の向上をも有利に図られ得るのである。
【0012】
ところが、そのような防振装置にあっては、第二の取付部材が、防振されるべき部材との間で、ゴム弾性体の肩部を挟圧、保持せしめることによって、始めて、ゴム弾性体に組み付けられて、連結されるようになっているために、以下の如き問題が、内在していた。
【0013】
すなわち、かかる防振装置を防振されるべき二つの部材に取り付ける際には、例えば、ゴム弾性体を包囲部の内側に、所定位置に配置されるように位置決めし、そして、ゴム弾性体が包囲部から離脱することなく、位置決め状態が確実に維持されるように、注意を払いながら、第二の取付部材を防振されるべき部材に取り付けるといった面倒で手間の掛かる作業が強いられていた。
【0014】
また、そのような手間の掛かる作業を無くすために、第二の取付部材の二つの段部を跨いで延びる平板状の取付プレート等を用い、この取付プレートと二つの段部との間で、ゴム弾性体の肩部を挟圧、保持せしめた上で、第二の取付部材が防振されるべき部材に取り付けられることもあるが、その場合には、防振機能を発揮させる上において不必要な取付プレート等の余分な部材が必要となって、部品点数が増加し、それによって、組付工数やコストが増加乃至は増大することが避けられなかったのである。
【0015】
さらに、何等かの理由で、第二の取付部材の段部と防振されるべき部材との間での肩部の挟持力が低下した際には、第二の取付部材とゴム弾性体との連結強度が低下し、それによって、ゴム弾性体が第二の取付部材の包囲部内で変位し、その結果、所望の防振性能が十分に得られなくなってしまう恐れさえもあったのである。
【0016】
【特許文献1】特開平8−296681号公報
【特許文献2】特開2003−202053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、防振されるべき二つの部材にそれぞれ取り付けられる第一及び第二の取付部材が、それらの間に介装されるゴム弾性体にて弾性的に連結されてなる防振装置において、入力振動に対するばね部として機能するゴム弾性体部分の柔らかなばね特性に基づく優れた防振性能を十分に且つ長期に亘って安定的に確保しつつ、防振されるべき部材への取付工程を更に一層有利に簡略化することが出来るようにした新規な構造を提供することにある。また、本発明にあっては、そのような防振装置を防振されるべき二つの部材に有利に取り付ける構造を提供することをも、その解決課題とするところである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そして、本発明にあっては、防振装置に係る課題の解決のために、その要旨とするところは、防振されるべき二つの部材のうちの一方に取り付けられる第一の取付部材と、それらのうちの他方に取り付けられる第二の取付部材と、該第一の取付部材と該第二の取付部材との間に介装され、それらを弾性的に連結するゴム弾性体とを有する防振装置であって、前記ゴム弾性体が、主たる振動入力方向において所定の高さを有するブロック形状を呈し、その基部に、該主たる振動入力方向に対して直角な左右方向の両側においてそれぞれ膨出する二つの肩部が設けられると共に、該基部から高さ方向に延び出す延出部位の基部側部分に、高さ方向と左右方向の両方に対して直角となる方向において該基部側部分を貫通して延びる肉抜空所が設けられてなり、前記第一の取付部材が、その一部において、前記ゴム弾性体の基部からの延出部位の先端側部分に、前記肉抜空所の貫通方向に沿って延びるように埋設された状態で、該ゴム弾性体に加硫接着されて、一体的に連結される一方、前記第二の取付部材が、前記ゴム弾性体の基部底面を除く側面及び先端面を取り囲むように屈曲形成されてなる、剛性を有する包囲部を有し、且つかかる包囲部が、該ゴム弾性体の前記基部に設けられた肩部に対応した屈曲形状の段部を有するように構成され、そして、該包囲部が、前記ゴム弾性体の前記基部からの延出部位の左右両側面と先端面とに対して所定の距離を隔ててそれぞれ対向して、かかる延出部位を包囲しつつ、該包囲部の段部において、該ゴム弾性体の前記二つの肩部を、該第二の取付部材が取り付けられる前記防振されるべき部材との間でそれぞれ挟圧、保持せしめることにより、該第二の取付部材が、該ゴム弾性体に連結されるように構成したものにおいて、前記包囲部における前記二つの段部の前記高さ方向に延びる部分に、前記左右方向に貫通し、且つ外側開口周縁部が外方に突出する筒状の周壁部とされたバーリング孔をそれぞれ設けると共に、前記ゴム弾性体の前記基部に設けられた前記左側の肩部の左側面と前記右側の肩部の右側面とに対して、外方に突出し、且つ該バーリング孔に挿入されて、該周壁部の内周面の全周に係合する係合突起を一体的に設け、更に、該二つの肩部の間に位置する基部部分に、前記肉抜空所の一部からなる空隙部を設けて、該係合突起が突出方向内方に押圧されたときに、該肩部の弾性変形に伴って該空隙部の容積が減少せしめられることにより、該肩部の弾性変形が容易となるように構成したことを特徴とする防振装置にある。
【0019】
なお、このような本発明に従う防振装置の好ましい態様の一つによれば、前記空隙部が、前記二つの肩部の間に位置する基部部分の前記左右方向の両側に、それぞれ一つずつ設けられる。
【0020】
また、本発明に従う防振装置の別の好ましい態様の一つによれば、前記空隙部が、前記左右方向において互いに対向する二つの内面部分を有すると共に、前記肩部の前記側面からの前記係合突起の突出高さが、該空隙部の該二つの内面部分の間の距離よりも大きく且つかかる距離の1.5倍以下の範囲内の大きさとされる。
【0021】
さらに、本発明に従う防振装置の望ましい態様の一つによれば、前記係合突起が、その先端部を、前記バーリング孔の前記周壁部の外側開口部から外方に突出させるようにして、該バーリング孔に挿通せしめられると共に、該先端部に、該周壁部の外側端面に接触して、係合する係合面が設けられることとなる。
【0022】
更にまた、本発明に従う防振装置の有利な態様の一つによれば、前記肩部の高さが、前記包囲部の前記段部のうちの前記高さ方向に延びる部分の高さよりも所定寸法だけ大なる大きさとされて、該肩部の底面を含む前記基部底面が、前記延出部位の該基部からの延出側とは反対の側において、該包囲部から突出位置せしめられる。
【0023】
また、本発明に従う防振装置の他の望ましい態様の一つによれば、前記ゴム弾性体の前記延出部位における前記基部側部分の両側部に、該基部側部分における左右方向の寸法を、該延出部位の該基部側部分とは反対の先端側部分よりも小さく為す括れ部が、それぞれ設けられる。
【0024】
さらに、本発明に従う防振装置の好適な態様の一つによれば、前記係合突起が前記バーリング孔に挿入された状態下において、前記ゴム弾性体の前記基部と前記延出部位とが、弾性変形せしめられることなく、前記第二の取付部材の前記包囲部にて包囲せしめられるように構成される。
【0025】
そして、本発明にあっては、防振装置の取付構造に係る課題の解決のために、前記せる特徴を備えた防振装置を防振されるべき二つの部材に取り付けるための構造であって、前記ゴム弾性体の前記基部と前記延出部位とを、前記第二の取付部材の前記包囲部にて包囲せしめると共に、前記係合突起を前記バーリング孔に挿入し、該バーリング孔の前記周壁部の内周面の全周に係合させることにより、該ゴム弾性体を該第二の取付部材に組み付た状態において、前記二つの肩部を、該第二の取付部材が取り付けられる前記防振されるべき部材との間でそれぞれ挟圧、保持させつつ、該第二の取付部材を、それが取り付けられる防振されるべき部材に取り付ける一方、該ゴム弾性体に加硫接着された前記第一の取付部材を、該第一の取付部材が取り付けられる前記防振されるべき部材に取り付けるようにしたことを特徴とする防振装置の取付構造をも、また、その要旨とするものである。
【発明の効果】
【0026】
すなわち、本発明に従う防振装置にあっては、第一の取付部材が、その一部において、ゴム弾性体の基部からの延出部位に埋設されて、ゴム弾性体に連結される一方、かかる基部に設けられた二つの肩部が、第二の取付部材の段部と、第二の取付部材が取り付けられる、防振されるべき部材との間でそれぞれ挟圧、保持されることで、第二の取付部材がゴム弾性体に連結されており、しかも、第一の取付部材が埋設されるゴム弾性体の延出部位の基部側部分に肉抜空所が設けられている。それ故、第一の取付部材と第二の取付部材間への入力振動に対するばね部として機能する延出部位のばね特性が十分に柔らかく為され、それによって、防振性能の更なる向上が有利に図られ得る。
【0027】
そして、本発明に係る防振装置においては、特に、ゴム弾性体の基部と延出部位とを、第二の取付部材の包囲部にて包囲せしめた状態で、基部の左右両側に位置する肩部に設けられた係合突起を、包囲部の左右両側の二つの段部に設けられたバーリング孔に挿入するだけで、係合突起が、バーリング孔の周壁部の内周面の全周に係合せしめられるところから、ゴム弾性体が、第二の取付部材に対して、予め定められた所望の位置に配置された状態で、一体的に組み付けられ得る。
【0028】
これにより、従来装置とは異なって、例えば取付プレートのような余分な部材を何等用いることなく、第一の取付部材が埋設されたゴム弾性体と第二の取付部材とを、一体的な組付品からなる一つの部材として取り扱うことが可能となる。その結果、かかる防振装置を防振されるべき二つの部材間に取り付ける際に、例えば、ゴム弾性体を包囲部の内側に、所定位置に配置されるように位置決めし、そして、ゴム弾性体が包囲部から離脱することなく、位置決め状態が確実に維持されるように、注意を払いながら、第二の取付部材を防振されるべき部材に取り付けるといった面倒で手間の掛かる作業を行う必要が、効果的に皆無ならしめられ得るのであり、その上、部品点数の増加によって、組付工数やコストが増加乃至は増大することも、有利に回避され得る。
【0029】
また、本発明に係る防振装置では、係合突起のバーリング孔への挿入に際して、係合突起を、その突出方向内方に押圧せしめたときに、かかる係合突起が形成される左右両側の肩部の間に位置する基部部分に設けられた、肉抜空所の一部からなる空隙部の容積が減少せしめられて、肩部が容易に弾性変形せしめられるようになっているところから、係合突起のバーリング孔への挿入操作が、極めて容易に且つスムーズに行われ、しかも、係合突起や肩部が、無理な弾性変形によって損傷するようなことも、未然に阻止され得る。
【0030】
しかも、何等かの理由で、第二の取付部材の段部と防振されるべき部材との間での肩部の挟持力が低下した場合にあっても、ゴム弾性体が第二の取付部材の包囲部内で変位せしめられることがなく、それ故、そのようなゴム弾性体の包囲部内での変位に起因して、防振性能が低下するようなことも、効果的に防止され得る。
【0031】
従って、かくの如き本発明に従う防振装置にあっては、入力振動に対するばね部として機能するゴム弾性体部分の柔らかなばね特性に基づく優れた防振性能が、十分に且つ長期に亘って安定的に確保され得るのであり、その上、防振されるべき部材への取付工程の更なる簡略化と低コスト化とが、極めて効果的に実現され得ることとなるのである。
【0032】
また、このような本発明に従う防振装置において、空隙部が、二つの肩部の間に位置する基部部分の左右両側にそれぞれ一つずつ設けられると共に、係合突起の突出高さが、各空隙部の左右方向に対向する二つの内面部分の間の距離よりも大きく且つかかる距離の1.5倍以下の大きさとされる場合には、各係合突起を突出方向内方に押圧せしめたときに、肩部が、より容易に弾性変形せしめられて、各係合突起のバーリング孔への挿入操作が、更にスムーズに行われ得て、ゴム弾性体と第二の取付部材との組付工程、ひいては防振装置の防振されるべき部材への取付工程の簡略化が、更に一層効果的に達成され得る。その上、防振されるべき部材への取付状態下で、基部が左右方向に弾性変形せしめられた際にも、そのような基部の弾性変形に起因して、係合突起がバーリング孔から離脱するようなことが、有利に防止され得るのである。
【0033】
さらに、本発明に従う防振装置において、基部底面が包囲部から突出位置せしめられるように構成される場合には、包囲部の段部と、第二の取付部材が取り付けられる、防振されるべき部材との間で、肩部が挟圧、保持された状態下において、肩部に対して予圧縮が加えられ、それにより、予圧縮が加えられた分だけ、肩部のばね特性が硬くされる。その結果、例えば、肩部が外力により容易に弾性変形せしめられることで、係合突起がバーリング孔から簡単に離脱してしまうようなことが、有利に防止され得る。また、基部底面の全面が、第二の取付部材が取り付けられる、防振されるべき部材に対して、ゴム弾性体の復元力に基づいて、押圧状態で密接せしめられるようになり、それによって、例えば、ゴム弾性体に対して、その高さ方向に大きな振動荷重が入力せしめられた際に、基部底面と防振されるべき部材との間に隙間が生じることが回避され得る。その結果、それら基部底面と防振されるべき部材との衝突による異音が発生することが、有利に防止され得るのである。
【0034】
そして、本発明に従う防振装置の取付構造にあっては、上記せる本発明に従う防振装置において奏され得る作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、極めて有効に享受され得ることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る防振装置の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0036】
先ず、図1及び図2には、本発明に従う構造を有する防振装置の一実施形態として、主たる振動が上下方向に入力せしめられるFF型自動車用のエンジンマウントが、その断面形態と上面形態とにおいて、それぞれ、概略的に示されている。それらの図から明らかなように、本実施形態のエンジンマウント10は、第一の取付部材としての内側金具12と第二の取付部材としての外側金具14が、所定距離を隔てて配設されて、それら両金具12,14間に介装されたゴム弾性体16によって弾性的に連結されており、内側金具12と外側金具14とが、図示しないパワーユニットとボデーとに対して固定的に取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。
【0037】
より詳細には、内側金具12は、全体として、所定厚さを有する略小径円筒形状を呈している。一方、このような内側金具12と前記外側金具14との間に介装されるゴム弾性体16は、エンジンマウント10の自動車への装着状態下で、主たる振動入力方向となる上下方向において所定の高さを有し、且つかかる主たる振動入力方向に対して直角な左右方向たる幅方向(図1における左右方向に相当する方向)の寸法が、高さ方向(上下方向)と幅方向の両方に対して直角な方向となる厚さ方向(図1における紙面に垂直な方向に相当する方向)の寸法よりも十分に大きくされた、全体として、略矩形のブロック形状を有して、構成されている。なお、以下からは、便宜上、ゴム弾性体16の高さ方向を上下方向、幅方向を左右方向と言うこととする。
【0038】
そして、かかるゴム弾性体16にあっては、その下側端部を与える基部18の下側底面となる基部底面19が、水平方向に広がる平坦面にて構成されている。また、かかる基部18には、左右方向の両側においてそれぞれ膨出して、該基部18の幅を、基部18から上方に延び出す延出部位20の幅よりも大きく為す二つの肩部22a,22bが、それぞれ形成されている。なお、それら二つの肩部22a,22bの下側底面も、基部底面19に含まれて、水平方向に広がる平坦面とされている。
【0039】
また、それら二つの肩部22a,22bのうち、基部18の左側に位置する左側肩部22aの左側面と、基部18の右側に位置する右側肩部22bの右側面とには、左側係合突起24aと右側係合突起24bが、それぞれ、左側及び右側の各側面の同一の高さ位置で、且つ各肩部22a,22bの厚さ方向の中央となる位置において、一体的に突出形成されている。
【0040】
これら左側及び右側の各係合突起24a,24bは、何れも、挿通部26と係止部28とからなっており、それらのうち、挿通部26は、左側及び右側肩部22a,22bの左側及び右側の各側面から外方(左方向や右方向)に向かって水平に延び出す、比較的に高さ(軸方向長さ)の低い(短い)円柱状を有している。
【0041】
一方、係止部28は、挿通部26の突出方向先端部に一体形成され、挿通部26の外径よりも一周り大きな外径を有する円筒面状の側面と、先端に向かうに従って次第に小径化する、テーパ角度が大きなテーパ面からなる先端面とを有している。そして、円筒面状の側面の外径が、挿通部26の外径よりも大きくされていることで、基部側端面が、挿通部26の周方向に連続して延びる円環面状の係合面30とされている。
【0042】
また、ゴム弾性体16の高さ方向の中間部分、つまり基部18からの延出部位20の基部18側部分における幅方向の中央部には、肉抜空所32が、設けられている。この肉抜空所32は、下底が上底よりも大なる大きさとされた略台形状の断面形状を有し、ゴム弾性体16の高さ方向と幅方向の両方に対して直角となる方向、つまり厚さ方向において、該延出部位20の基部18側部分を貫通して延びる形態をもって構成されている。つまり、ここでは、かかる肉抜空所32の存在によって、ゴム弾性体16の基部18からの延出部位20の基部18側部分における幅方向の中央部が、略台形状をもって、ゴム弾性体16の厚さ方向に連続的に刳り抜かれているのである。
【0043】
また、そのような肉抜空所32の内周面のうち、断面台形状の下底を与える下側底部部分の幅方向の両端部、即ち、ゴム弾性体16を貫通して延びる延出方向に対して直角な方向で、ゴム弾性体16の幅方向に対応する方向の両側端部には、かかる下側底部部分において上方に開口して、肉抜空所32内に連通する空隙部34a,34bが、それぞれ一つずつ設けられている。これら各空隙部34a,34bは、略縦長のU字状の断面形状を呈し、全体として、ゴム弾性体16の基部18を、その厚さ方向において貫通して延びる凹溝形態を有している。そして、そのような凹溝形態を呈する空隙部34a,34bが、ゴム弾性体16の基部18(左右両側肩部22a,22b)の左側及び右側係合突起24a,24bが形成される高さ位置よりも低い位置に底部を位置させて、基部底面19の近くにまで達する深さを有している。
【0044】
換言すれば、左右両側の二つの肩部22a,22bとの間に、それらに挟まれて位置する基部18部分における幅方向中央から左側と右側とにそれぞれ偏寄した部位に、肉抜空所32の一部からなる左側空隙部34aと右側空隙部34bとが、それぞれ設けられている。そして、それら左側及び右側の各空隙部34a,34bが、左右両側の二つの肩部22a,22bにそれぞれ一体形成された左側及び右側係合突起24a,24bの中心軸同士を結ぶ延長線:Pを跨いで上下方向に延び、且つ基部16の厚さ方向に連続して延びる凹溝形態をもって、基部16を厚さ方向に貫通して、形成されているのである。
【0045】
これによって、本実施形態では、左側肩部22aに設けられる左側係合突起24aを、その突出方向内方たる右側に押圧したときに、左側肩部22aも右側に押圧され、それに伴って、左側空隙部34aが押し潰されて、その容積が減少せしめられるようになる。そして、それによって、左側係合突起24aの右側への押圧時に、左側肩部22aが、右側に屈曲するように、容易に弾性変形せしめられるようになっている。また、それと同様に、右側肩部22bに設けられる右側係合突起24bを、その突出方向内方たる左側に押圧したときにも、右側空隙部34bが容積を減らすように押し潰されることで、右側肩部22bが、左側に屈曲するように、容易に弾性変形せしめられるようになっているのである。
【0046】
また、ここでは、そのような二つの空隙部34a,34bのそれぞれが、左右方向に対向位置する二つの内面部分を有している。そして、それら二つの内面部分の間の距離、つまり凹溝形態を呈する各空隙部34a,34bの左右方向の幅:wよりも、左右両側の二つの肩部22a,22bの左側面又は右側面から各係合突起24a,24bの先端までの軸方向長さ、つまり係合突起24の突出高さ:hが、所定寸法大きくされている。
【0047】
なお、この係合突起24の突出高さ:hは、好ましくは、空隙部34の幅:wよりも大きく且つ空隙部34の幅:wの1.5倍以下の範囲内の大きさとされる。何故なら、係合突起24の突出高さ:hが、空隙部34の幅:wよりも小さい場合には、後述するように、係合突起24が、外側金具14に設けられるバーリング孔52に挿通せしめられた状態下で、肩部22が、空隙部34の左右方向に対向する二つの内面部分が互いに接触せしめられるまで、空隙部34を押し潰しつつ、係合突起24の突出方向内方に弾性変形せしめられたときに、係合突起24が、バーリング孔52から容易に離脱せしめられるようになってしまうからである。また、係合突起24の突出高さ:hが、空隙部34の幅:wの1.5倍を越える寸法とされている場合には、後述する如く、係合突起24をバーリング孔52に挿入(圧入)せしめるに際して、例えば、空隙部34の左右方向に対向する二つの内面部分が互いに接触せしめられるまで、空隙部34を押し潰した上で、更に肩部22を左右方向において過度に大きく圧縮変形させなければならなくなり、それによって、係合突起24のバーリング孔52への挿入操作を円滑に行うことが困難となるからである。
【0048】
すなわち、ここでは、係合突起24のバーリング孔52への挿入操作をスムーズに行うため、また、バーリング孔52に挿入された係合突起24のバーリング孔52からの無用な離脱を防止する上で、係合突起24の突出高さ:hが、空隙部34の幅:wよりも大きく且つそれの1.5倍以下の範囲内の大きさとされていることが、望ましいのである。
【0049】
また、このような二つの空隙部34a,34bを有する肉抜空所32が設けられたゴム弾性体16の延出部位20の基部18側部分における幅方向の両側側面には、それぞれ凹み部分が形成されており、この凹み部分が、該基部18側部分の幅を、ゴム弾性体16の延出部位20の先端側部分の幅よりも小さく為す括れ部36とされている。
【0050】
そして、前記内側金具12が、かくの如き構成とされたゴム弾性体16における基部18からの延出部位20の先端側部分に、その延出部位20に設けられた肉抜空所32の貫通方向となる厚さ方向に沿って延出しつつ、軸方向の中間部において埋設され、且つ軸方向の両端部を外方に突出させた状態で、かかるゴム弾性体16に加硫接着されて、一体的に連結されている。つまり、ここでは、ゴム弾性体16が、基部18からの延出部位20の先端側部分に対して、内側金具12が、その軸方向の中間部の外周面において加硫接着された一体加硫成形品とされているのである。
【0051】
一方、外側金具14は、包囲部38と二つの縦壁部40,40とを有している。それらのうち、包囲部38は、ゴム弾性体16の厚さと略同一の幅を有する長手矩形の金属板材を、長手方向の中間部分において、厚さ方向にコ字状に屈曲せしめてなる如き形態を有しており、その長手方向の中間部分が、天井壁部42と、該天井壁部42の左右方向両端部からそれぞれ垂直な方向延びる二つの側壁部44,44とを有するコ字状部46とされている一方、その両端部が、略中心部にボルト孔47が穿設された取付フランジ部48とされている。そして、この包囲部38の幅方向両側端面に、縦壁部40が、それぞれ外フランジ形態をもって一体形成されているのである。
【0052】
また、かかる外側金具14の包囲部38においては、コ字状部46が、ゴム弾性体16の基部18からの延出部位20における幅方向の両側側面と先端面を、非接触下で取り囲み得る大きさとされていると共に、各側壁部44,44の天井壁部42とは反対側の端部に、ゴム弾性体16の基部18に設けられた左側及び右側の二つの肩部22a,22bに対応した屈曲形状を呈する左側及び右側段部50a,50bが、それぞれ設けられて、構成されている。
【0053】
さらに、そのような左側及び右側段部50a,50bは、その内面部分の高さが、それぞれ、左側及び右側肩部22a,22bよりも所定寸法小さくされている。換言すれば、各肩部22a,22bの高さが、各段部50における高さ方向に延びる部分の高さ、つまり各段部50の水平方向に延びる部分の下面から高さ方向に延びる部分の下端面までの高さよりも所定寸法だけ大きくされている。
【0054】
また、そのような包囲部38の左側及び右側段部50a,50bのそれぞれにおける高さ方向に延びる部分には、その高さ方向の略中央部で且つ包囲部38の幅方向中央部に、それを貫通する左側及び右側バーリング孔52a,52bが、それぞれ形成されている。これら左側及び右側バーリング孔52a,52bは、何れも、各段部50に対して、所謂バーリング加工が施されて形成された貫通孔からなり、外側開口周縁部が外方(左方又は右方)に突出する円筒状の周壁部54とされている。
【0055】
そして、このような各バーリング孔52においては、その内側開口径と周壁部54の内径とが、前記左側及び右側係合突起24a,24bの挿通部26の外径と同じか又はよりも僅かに小さな大きさとされており、また、周壁部54の軸方向長さが、かかる挿通部26の軸方向長さと略同じか或いはそれよりも僅かに小なる大きさとされている。更に、それら各バーリング孔52にあっては、中心軸から包囲部38の各段部50における水平方向に延びる部分の下面までの高さが、各係合突起24a,24bの中心軸から各肩部22a,22bの上端面までの高さと略同じ大きさとされている。
【0056】
そして、ここでは、このような外側金具14の包囲部38が、ゴム弾性体16をコ字状部46内に収容せしめた状態下で、かかるコ字状部46の天井壁部42と二つの側壁部44,44とにおいて、ゴム弾性体16における、内側金具12が加硫接着された延出部位20の先端面と幅方向の両側側面とに対して、所定距離を隔てて、それぞれ対向しつつ、かかる延出部位20を包囲すると共に、左側及び右側の二つの段部50a,50bにおいて、ゴム弾性体16における基部18に設けられた左側及び右側の二つの肩部22a,22bに接触して、位置せしめられている。つまり、ゴム弾性体16の全体が、弾性変形せしめられることなく、包囲部38に包囲された状態で、包囲部38の内側に嵌め込まれているのである。
【0057】
また、そのような配置下において、ゴム弾性体16の厚さ方向中心部と包囲部38の幅方向中心部とを位置させつつ、左側及び右側肩部22a,22bに設けられた左側及び右側係合突起24a,24bが、左側及び右側段部50a,50bに設けられた左側及び右側の二つのバーリング孔52a,52bにそれぞれ対応位置せしめられて、それら各係合突起24a,24bが、各バーリング孔52内に圧入されて、挿通されている。そして、それら各係合突起24a,24bは、各バーリング孔52内への挿通下において、挿通部26が、各バーリング孔52の周壁部54内に圧入(挿入)位置せしめられて、かかる周壁部54の内周面の全周に係合せしめられている。また、係止部28が、各バーリング孔52の周壁部54から外方に突出せしめられて、係合面30において、周壁部54の外側端面(先端面)に接触し、係合せしめられている。
【0058】
なお、ここでは、例えば、各係合突起24a,24bを、その突出方向内方に押圧して、各空隙部34の左右方向に対向する二つの内面部分が近接するように、つまり、各空隙部34の容積を減少させるように、各空隙部34を押し潰しつつ、各肩部22a,22bを基部18の幅方向中心側に弾性変形させた状態で、各肩部22a,22bを包囲部38の各段部50内に、各係合突起24a,24bが各バーリング孔52に対応位置する深さまで押し込めば、それら各係合突起24a,24bの復元力に基づいて、上記の如き、各係合突起24a,24bの各バーリング孔52内への挿通状態が、容易に実現されるようになっている。
【0059】
そして、本実施形態においては、特に、左側及び右側空隙部34a,34bが、左側係合突起24aが設けられる左側肩部22aと右側係合突起24bが設けられる右側肩部22bとの間に位置する基部18部分において、左側及び右側係合突起24a,24bの中心軸同士を結ぶ延長線:Pを跨いで上下方向に延びるように形成され、また、各係合突起24a,24bの突出高さ:hが、各空隙部34の幅:wよりも大きく且つそれの1.5倍以下程度の大きさとされている。そのため、各係合突起24a,24bを突出方向内方に押圧したときに、各空隙部34が、容積が減らされるように確実に押し潰されて、各肩部22a,22bが、よりスムーズに弾性変形せしめられるようになり、また、各係合突起24a,24bや各肩部22a,22bが、無理な弾性変形によって損傷するようなことも、未然に阻止され得る。
【0060】
これによって、各係合突起24a,24bを押圧するのに、然程大きな力を必要とすることなく、比較的に小さな力で、各係合突起24a,24bを押圧しつつ、各係合突起24a,24bを各バーリング孔52内に、一層円滑に且つ有利に挿通させることが出来るのである。また、各係合突起24a,24bを各バーリング孔52内に挿通させた状態下でも、各空隙部34の容積の減少を伴う各肩部22a,22bの弾性変形によって、各係合突起24a,24bが、各バーリング孔52内から無用に離脱せしめられることな有利に防止され得るようになっている。更に、各係合突起24a,24bの係止部28の係合面30が、各バーリング孔52の周壁部54の先端面に係合せしめられていることによっても、各係合突起24a,24bの各バーリング孔52内からの容易な離脱が可及的に阻止されるようになっている。
【0061】
かくして、本実施形態のエンジンマウント10にあっては、外側金具14が、内側金具12が加硫接着されたゴム弾性体16に対して一体的に組み付けられ、以て、内側金具12と外側金具14とが、それらの間に介装されたゴム弾性体16にて、弾性的に連結されるようになっているのである。
【0062】
また、ここでは、前述せるように、各肩部22a,22bの高さが、各段部50の高さよりも所定寸法だけ大きくされている。そのため、上記の如き外側金具14とゴム弾性体16との組付状態下において、各肩部22a,22bの下端部、更にはそれを含むゴム弾性体16の基部18の下端部の全体が、包囲部38から下方に所定高さだけ突出位置せしめられている。即ち、ゴム弾性体16における各肩部22a,22bの下端面(底面)を含む平坦な基部底面19が、外側金具14の取付フランジ部48の平坦な下端面よりも所定寸法だけ下方に位置せしめられているのである。
【0063】
而して、かくの如き構造を有する、内側金具12が加硫接着されたゴム弾性体16と外筒金具14との一体組付品からなるエンジンマウント10は、図3に示されるように、筒状の内側金具12の内孔内に、防振されるべき二つの部材のうちの一方たるパワーユニットに固定された所定の軸部材(図示せず)が挿入、固定される一方、外側金具14における包囲部38の各取付フランジ部48のボルト孔47内に挿通された取付ボルト56が、防振されるべき二つの部材のうちの他方たるボデー側のフレーム58に、ナット60により締付固定されることによって、本実施形態のエンジンマウント10が、自動車に装着されるようになっている。
【0064】
また、このような装着下において、外側金具14とボデー側フレーム58とが協働して、ゴム弾性体16を全周に亘って取り囲んだ状態で、包囲部38の各段部50とボデー側フレーム58との間で、ゴム弾性体16の基部18における左側及び右側肩部22a,22bをそれぞれ挟圧、保持せしめるようになっており、更に、ゴム弾性体16が弾性変形に基づく防振機能を発揮し得るように、フレーム58が、ゴム弾性体16に連結されるようになっている。
【0065】
そして、ここでは、前記せるように、各肩部22a,22bの下側底面を含む基部18の基部底面19側部分が、各取付フランジ部48の下面から下方に突出位置せしめられているため、各肩部22a,22bが、包囲部38の各段部50とボデー側フレーム58との間で挟圧、保持された状態下で、各肩部22a,22bに対して予圧縮が加えられるようになっている。
【0066】
このように、本実施形態のエンジンマウント10においては、内側金具12が加硫接着されたゴム弾性体16を、外側金具14の包囲部38に対して、それに包囲されるように嵌め込むと共に、ゴム弾性体16に一体形成された各係合突起24a,24bを、包囲部38に設けられたバーリング孔52内に圧入させるだけで、ゴム弾性体16が、包囲部38の内側において、所定位置に位置決めされた状態で、外側金具14と一体的に組み付けられるようになっている。これによって、かかるエンジンマウント10が、自動車への装着前の状態において、内側金具12が加硫接着されたゴム弾性体16と外側金具14との一体組付品からなる一つの部材として取り扱われて、より優れた取扱性が発揮され得るようになる。
【0067】
その結果、かかるエンジンマウント10にあっては、例えば、自動車への装着前の状態において、内側金具12が加硫接着されたゴム弾性体16と外側金具14とが、互いに独立した二つの部材として取り扱われる従来品とは異なって、自動車への装着に際して、ゴム弾性体16を包囲部38の内側に、所定位置に配置されるように位置決めし、そして、ゴム弾性体16が包囲部38から離脱することなく、位置決め状態が確実に維持されるように、注意を払いながら、外側金具14に取り付けるといった面倒で手間の掛かる作業を行う必要が、効果的に皆無ならしめられ得る。また、所定の取付プレート等を用いて、それら内側金具12が加硫接着されたゴム弾性体16と外側金具14とが一体組付品として構成される従来品等とも異なって、エンジンマウント10全体での部品点数が可及的に少なくされ、以て、自動車への装着に際して、部品点数の増加に伴う工程数の増加やコストの高騰等が生ずることが有利に回避され得て、自動車への組付性が、飛躍的に高められ得ることとなる。
【0068】
また、本実施形態では、ゴム弾性体16に設けられた肉抜空所32に左側及び右側空隙部34a,34bが設けられ、各係合突起24a,24bの各バーリング孔52内への挿入に際して、それら各空隙部34の容積が減少せしめられつつ、各肩部22a,22bが容易に弾性変形せしめられることで、各係合突起24a,24bの各バーリング孔52内への挿入操作が、より容易に且つスムーズに行われ得るようになっている。また、各係合突起24a,24bの突出高さ:hと各空隙部34の幅:wとの大きさの比率が適正化されていること、更には、各係合突起24a,24bの係止部28の係合面30が、各バーリング孔52の周壁部54の先端面に係合されていること等によって、各係合突起24a,24bの各バーリング孔52内からの無用な離脱が阻止され得るようになっている。そのため、何等かの理由で、包囲部38の各段部50とボデー側フレーム58とによる各肩部22a,22bに対する挟持力が低下せしめられるようなことがあっても、ゴム弾性体16が、包囲部38内で変位して、位置ずれを起こしたり、或いは包囲部38内から離脱するようなことが、効果的に防止され得る。
【0069】
従って、このような本実施形態のエンジンマウント10にあっては、所望の防振性能が、十分に且つ長期に亘って安定的に確保され得るのであり、しかも、自動車への装着工程の更なる簡略化と低コスト化が、極めて効果的に実現され得ることとなるのである。
【0070】
また、かかるエンジンマウント10においては、各肩部22a,22bが、包囲部38の各段部50とボデー側フレーム58との間で挟圧、保持されて、自動車に装着された状態下で、各肩部22a,22bに対して予圧縮が加えられている。そのため、予圧縮が加えられた分だけ、各肩部22a,22bのばね特性が硬くされ、それによって、例えば、外力による各肩部22a,22bの容易な弾性変形に起因して、各係合突起24a,24bが各バーリング孔52内から容易に離脱してしまうようなことが、有効に防止され得る。また、基部底面19の全面が、ボデー側フレーム58に対して、ゴム弾性体16の復元力に基づいて、押圧状態で密接せしめられるようになる。それによって、例えば、ゴム弾性体16に対して、その高さ方向に大きな振動荷重が入力せしめられた際に、基部底面19とボデー側フレーム58との間に隙間が生じ、それに伴って、それら基部底面19とボデー側フレーム58との衝突による異音が発生することも、有利に防止され得るのである。
【0071】
さらに、本実施形態のエンジンマウント10では、左側空隙部34aと右側空隙部34bとが、肉抜空所32の幅方向両側にそれぞれ設けられることで、左側肩部22aと右側肩部22bの間に位置する基部16部分の左右両側に、それぞれ配置されている。そのため、左側及び右側係合突起24a,24bが突出方向内方にそれぞれ押圧されたときに、左側及び右側肩部22a,22bが、それの近傍に位置する左側及び右側空隙部34a,34bのそれぞれの潰れ変形に基づいて、より容易に且つ有利に弾性変形せしめられ得るようになり、その結果として、前記せる如き各係合突起24a,24bの各バーリング孔52内への挿入操作が、よりスムーズに行われ得ることとなる。
【0072】
そして、本実施形態のエンジンマウント10においては、ゴム弾性体16に対して、内側金具12だけが、その外周面において加硫接着されるようになっているところから、ゴム弾性体16の加硫後の自由な収縮が可能となって、ゴム弾性体16に引っ張り歪みが生ずるようなことが有利に回避され得、それによって、そのような引っ張り歪みを除去して、ゴム弾性体16の耐久性を確保するために従来行なわれていた外筒部材の絞り加工や圧入作業を行なう必要が、効果的に皆無ならしめられ得るのである。そして、その結果として、それらの面倒な作業を行なわない分だけ、製造工程の簡略化が極めて有利に図られ得るのである。
【0073】
また、本実施形態のエンジンマウント10にあっては、ゴム弾性体16が、その基部18において、外側金具14における包囲部38の各段部50と、ボデー側フレーム58との間で挟圧、保持されることにより、外側金具14がゴム弾性体16に連結される一方、内側金具12が、ゴム弾性体16の基部18からの延出部位20の先端側部分に埋設される状態で、加硫接着されることにより、ゴム弾性体16に連結されるようになっているため、外側金具14が連結されるゴム弾性体16の基部18に対しては、包囲部38の各段部50とボデー側フレーム58との間において及ぼされる挟圧力に基づく圧縮力が作用せしめられるものの、ゴム弾性体16の基部18からの延出部位20には、そのような圧縮力が、何等作用せしめられることがない。
【0074】
それ故、このようなエンジンマウント10においては、内側金具12が加硫接着されて、内側金具12と外側金具14間への入力振動に対するばね部として機能する、ゴム弾性体16の延出部位のばね特性が、十分に柔らかく為され得るのである。
【0075】
しかも、本実施形態のエンジンマウント10では、ゴム弾性体16の基部18からの延出部位20に、それを厚さ方向に貫通して延びる肉抜空所32と、かかる延出部位20の幅を小さく為す括れ部36とが設けられているところから、自動車への装着により、初期荷重が入力せしめられた状態下でも、ゴム弾性体16の上下方向におけるばね特性と、幅方向におけるばね特性とが、何れも、十分に柔らかく為され得る。
【0076】
さらに、かかるエンジンマウント10においては、ゴム弾性体16の基部18と延出部位20とが、包囲部38にて包囲された状態で、何等弾性変形せしめられることなく、外側金具14に対して一体的に組み付けられており、これによっても、延出部位20において柔らかいばね特性が確保され得る。
【0077】
従って、かくの如き本実施形態に係るエンジンマウント10にあっては、入力振動に対するばね部として機能するゴム弾性体16の基部18からの延出部位20のばね特性が、更に一層十分に柔らかく為され得て、より優れた防振性能が、極めて効果的に発揮され得ることとなるのである。そして、この本実施形態のエンジンマウント10を、ゴム弾性体16の幅方向とボデーの前後方向とが一致するように自動車に装着した場合、ゴム弾性体16の幅方向におけるばね特性が十分に柔らかく為され得ていることによって、エンジンのアイドリング振動等に対する防振効果が、より一層有利に高められ得るのである。
【0078】
また、本実施形態のエンジンマウント10では、上述の如き柔らかいばね特性を発揮するゴム弾性体16の延出部位20における先端面と幅方向の両側側面とが、外側金具14の包囲部38におけるコ字状部46の天井壁部42と側壁部44,44とに対して、所定の距離を隔てて対向しつつ、包囲されるようになっているところから、入力振動によって、内側金具12が、外側金具14に対して、上下方向や左右方向(ゴム弾性体16の幅方向)に相対変位せしめられる際にも、かかる包囲部38の天井壁部42と側壁部44,44とに対する延出部位20の当接により、過剰な相対変位が惹起されるようなことが、有利に防止され得るのであり、その結果として、ゴム弾性体16、ひいてはエンジンマウント10全体の使用耐久性の向上が、効果的に図られ得ることとなるのである。
【0079】
さらに、本実施形態のエンジンマウント10にあっては、溶接による接合部位が何等存在しないため、溶接時の熱歪みの発生に伴う強度の低下が有利に皆無ならしめられ得て、装置全体の耐久性が、効果的に高められ得るといった利点も得られる。
【0080】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0081】
例えば、前記実施形態では、内側金具12が、略円筒状の全体形状を有していたが、パワーユニットやボデー等の防振されるべき部材に取り付けられ得るものであり、且つゴム弾性体に埋設されるように加硫接着され得るものであれば、その形状が、何等これに限定されるものではない。
【0082】
また、外側金具14の包囲部38の形状、更には外側金具14の全体形状も、前記実施形態に示されるものに、特に限定されるものではないことは、言うまでもないところである。
【0083】
さらに、空隙部34の形状も、例示のものに特に限定されるものではなく、係合突起24が突出方向内方に押圧されたときに、肩部22の弾性変形に伴って、容積が減少せしめられて、かかる肩部22の弾性変形を容易とするものであれば、如何なる形状も、採用され得る。
【0084】
更にまた、かかる空隙部34は、左側及び右側肩部22a,22bの間に位置する基部16部分に、肉抜空所32の一部にて構成されて、形成されるものであれば、形成個数が1個であっても、或いは3個以上であっても良い。
【0085】
また、係合突起24の全体形状や個数も、特に限定されるものではなく、包囲部38の段部50に設けられるバーリング孔52(周壁部54)の形状や個数等によって、適宜に変更されるところである。
【0086】
加えて、前記実施形態では、本発明を、主たる振動が上下方向に入力せしめられるFF型自動車用のエンジンマウントとその取付構造とに適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、FF型以外の自動車用エンジンマウントや、エンジンマウント以外の自動車用防振装置、或いは自動車以外の防振装置、更にはそれらのエンジンマウント乃至は防振装置の取付構造の何れに対しても、有利に適用され得ることは、勿論である。
【0087】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に従う構造を有するエンジンマウントの一例を示す縦断面説明図である。
【図2】図1における上面説明図である。
【図3】図1に示されたエンジンマウントを自動車に装着した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0089】
10 エンジンマウント 12 内側金具
14 外側金具 16 ゴム弾性体
18 基部 20 延出部位
22 肩部 24 係合突起
30 係合面 32 肉抜空所
34 空隙部 38 包囲部
50 段部 52 バーリング孔
54 周壁部 58 ボデー側フレーム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
防振されるべき二つの部材のうちの一方に取り付けられる第一の取付部材と、それらのうちの他方に取り付けられる第二の取付部材と、該第一の取付部材と該第二の取付部材との間に介装され、それらを弾性的に連結するゴム弾性体とを有する防振装置であって、
前記ゴム弾性体が、主たる振動入力方向において所定の高さを有するブロック形状を呈し、その基部に、該主たる振動入力方向に対して直角な左右方向の両側においてそれぞれ膨出する二つの肩部が設けられると共に、該基部から高さ方向に延び出す延出部位の基部側部分に、高さ方向と左右方向の両方に対して直角となる方向において該基部側部分を貫通して延びる肉抜空所が設けられてなり、前記第一の取付部材が、その一部において、前記ゴム弾性体の基部からの延出部位の先端側部分に、前記肉抜空所の貫通方向に沿って延びるように埋設された状態で、該ゴム弾性体に加硫接着されて、一体的に連結される一方、前記第二の取付部材が、前記ゴム弾性体の基部底面を除く側面及び先端面を取り囲むように屈曲形成されてなる、剛性を有する包囲部を有し、且つかかる包囲部が、該ゴム弾性体の前記基部に設けられた肩部に対応した屈曲形状の段部を有するように構成され、そして、該包囲部が、前記ゴム弾性体の前記基部からの延出部位の左右両側面と先端面とに対して所定の距離を隔ててそれぞれ対向して、かかる延出部位を包囲しつつ、該包囲部の段部において、該ゴム弾性体の前記二つの肩部を、該第二の取付部材が取り付けられる前記防振されるべき部材との間でそれぞれ挟圧、保持せしめることにより、該第二の取付部材が、該ゴム弾性体に連結されるように構成したものにおいて、
前記包囲部における前記二つの段部の前記高さ方向に延びる部分に、前記左右方向に貫通し、且つ外側開口周縁部が外方に突出する筒状の周壁部とされたバーリング孔をそれぞれ設けると共に、前記ゴム弾性体の前記基部に設けられた前記左側の肩部の左側面と前記右側の肩部の右側面とに対して、外方に突出し、且つ該バーリング孔に挿入されて、該周壁部の内周面の全周に係合する係合突起を一体的に設け、更に、該二つの肩部の間に位置する基部部分に、前記肉抜空所の一部からなる空隙部を設けて、該係合突起が突出方向内方に押圧されたときに、該肩部の弾性変形に伴って該空隙部の容積が減少せしめられることにより、該肩部の弾性変形が容易となるように構成したことを特徴とする防振装置。
【請求項2】
前記空隙部が、前記二つの肩部の間に位置する基部部分の前記左右方向の両側に、それぞれ一つずつ設けられている請求項1に記載の防振装置。
【請求項3】
前記空隙部が、前記左右方向において互いに対向する二つの内面部分を有すると共に、前記肩部の前記側面からの前記係合突起の突出高さが、該空隙部の該二つの内面部分の間の距離よりも大きく且つかかる距離の1.5倍以下の範囲内の大きさとされている請求項2に記載の防振装置。
【請求項4】
前記係合突起が、その先端部を、前記バーリング孔の前記周壁部の外側開口部から外方に突出させるようにして、該バーリング孔に挿通せしめられると共に、該先端部に、該周壁部の外側端面に接触して、係合する係合面が設けられている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の防振装置。
【請求項5】
前記肩部の高さが、前記包囲部の前記段部のうちの前記高さ方向に延びる部分の高さよりも所定寸法だけ大なる大きさとされて、該肩部の底面を含む前記基部底面が、前記延出部位の該基部からの延出側とは反対の側において、該包囲部から突出位置せしめられている請求項1乃至請求項4のうちの何れか1項に記載の防振装置。
【請求項6】
前記ゴム弾性体の前記延出部位における前記基部側部分の両側部に、該基部側部分における左右方向の寸法を、該延出部位の該基部側部分とは反対の先端側部分よりも小さく為す括れ部が、それぞれ設けられている請求項1乃至請求項5のうちの何れか1項に記載の防振装置。
【請求項7】
前記係合突起が前記バーリング孔に挿入された状態下において、前記ゴム弾性体の前記基部と前記延出部位とが、弾性変形せしめられることなく、前記第二の取付部材の前記包囲部にて包囲せしめられるようになっている請求項1乃至請求項6のうちの何れか1項に記載の防振装置。
【請求項8】
前記請求項1乃至請求項7のうちの何れか1項に記載の防振装置を防振されるべき二つの部材に取り付けるための構造であって、
前記ゴム弾性体の前記基部と前記延出部位とを、前記第二の取付部材の前記包囲部にて包囲せしめると共に、前記係合突起を前記バーリング孔に挿入し、該バーリング孔の前記周壁部の内周面の全周に係合させることにより、該ゴム弾性体を該第二の取付部材に組み付た状態において、前記二つの肩部を、該第二の取付部材が取り付けられる前記防振されるべき部材との間でそれぞれ挟圧、保持させつつ、該第二の取付部材を、それが取り付けられる防振されるべき部材に取り付ける一方、該ゴム弾性体に加硫接着された前記第一の取付部材を、該第一の取付部材が取り付けられる前記防振されるべき部材に取り付けるようにしたことを特徴とする防振装置の取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−241004(P2008−241004A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86238(P2007−86238)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】