説明

電位依存性ナトリウムチャネルのモジュレーターとしてのプロリンアミド誘導体

本発明は、電位依存性ナトリウムチャネルの変調によって媒介される疾患または状態を治療または予防するための式(I):


[式中、
はHまたはCHであり;
はHまたはCHである]
で示される第4級α−アミノカルボキシアミド誘導体およびその医薬上許容される塩または溶媒和物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第4級α−アミノカルボキシアミド誘導体に関する。本発明は、また、電位依存性(voltage-gated)ナトリウムチャネルの変調によって媒介される疾患および状態の治療における該誘導体の使用に関する。さらに、本発明は、該誘導体を含む組成物およびそれらの製法に関する。
【背景技術】
【0002】
電位依存性ナトリウムチャネルは、ニューロン体にて通常開始され、神経軸索に沿って末端まで伝達される電気的脱分極の波である活動電位の開始段階に関与する。末端にて、活動電位は、カルシウム流入および神経伝達物質の放出を引き起こす。電位依存性ナトリウムチャネルを遮断するリドカインなどの薬物は、局所的麻酔剤として使用される。ラモトリジンおよびカルバムアゼピンなどの他のナトリウムチャネルブロッカーは、癲癇の治療に用いられる。後者の場合、電位依存性ナトリウムチャネルの部分的阻害がニューロン興奮性を減少させ、かつ、発作伝搬を減少させる。局所麻酔剤の場合、知覚ニューロンにおけるナトリウムチャネルの局所的遮断が疼痛性刺激の誘導を妨げる。これらの薬物の重要な特徴は、それらの使用依存性作用メカニズムである。該薬物は、チャネルが開いた後迅速に採用されるチャネルの不活性配置を安定化すると考えられている。この不活性状態は、再活性化されるようにチャネルがその休止(閉じた)状態に戻る前の不応期を提供する。結果として、使用依存性ナトリウムチャネルブロッカーは、例えば、疼痛性刺激に応答して、高周波数でのニューロンの発火を遅らせ、例えば、発作の間に起こりうる長期のニューロンの脱分極の間に、反復性発火を防ぐのに役立つ。例えば、心臓において、低周波数で引き起こされた活動電位は、これらの薬物によって有意に影響を受けないが、十分に高い濃度のこれらの薬物は、各々、チャネルの休止状態または開口状態を遮断することができるので、安全限界は各ケースで異なる。
【0003】
電位依存性ナトリウムチャネルファミリーは、10のサブタイプからなり、そのうち4つは脳特異的なNaV1.1、1.2、1.3および1.6である。他のサブタイプのうちNaV1.4は、骨格筋においてのみ見出され、NaV1.5は心筋に特異的であり、NaV1.7、1.8および1.9は、主に知覚ニューロンにおいて見出される。使用依存性ナトリウムチャネルブロッカーのための仮定の結合部位は、全てのサブタイプの間で高く保存されている。結果として、リドカイン、ラモトリジンおよびカルバムアゼピンなどの薬物は、サブタイプを区別しない。しかしながら、選択性は、チャネルが正常に作動する異なる周波数の結果として達成されることができる。
【0004】
使用依存的に電位依存性ナトリウムチャネルを遮断する薬物は、また、躁または鬱の症状を減少させるか、または気分安定剤として、気分エピソードの出現を防ぐために、双極性障害の治療においても使用される。臨床的および前臨床的証拠もまた、使用依存性ナトリウムチャネルブロッカーが統合失調症の症状を減少させるのに役立つことを示唆する。例えば、ラモトリジンは、健康なヒトボランティアにおいてケタミンによって誘導された精神病の症状を減少することが示され、さらに、患者における研究は、該薬物がクロザピンまたはオランザピンなどのいくつかの不定型抗精神病薬の抗精神病効果を増大することができることを示唆する。これらの精神医学的障害における効力は、一部、過剰なグルタメート放出の減少に由来しうると仮定される。グルタメート放出の減少は、前頭葉などの重要な脳領域における使用依存性ナトリウムチャネル阻害の結果であると考えられる。しかしながら、電位依存性カルシウムチャネルとの相互作用もまた、これらの薬物の効力に寄与しうる。
【0005】
国際特許出願公開WO05/000309(Ionix Pharmaceuticals Limited)は、式(I)
【化1】

[式中、Rは、有機置換基であり、XおよびXは、直接的な結合またはスペーサー基であり、Arは、アリールまたはヘテロアリールであり、Yは、置換されたアミノアルキル基またはヘテロアリール−、ヘテロシクリル−またはフェニル−含有基である]
で示される化合物の使用を開示する。
【0006】
かかる化合物は、知覚ニューロン特異的ナトリウムチャネルの阻害剤であり、慢性および急性疼痛、耳鳴り、腸障害、膀胱機能不全および脱髄疾患の治療において有用であると言われている。
【0007】
国際特許出願公開第WO04/083189号(Merck & Co.)は、ナトリウムチャネルブロッカーとして、式(I)、(II)および(III):
【化2】

で示されるビアリール置換トリアゾール化合物を開示する。
かかる化合物は、例えば、急性疼痛、慢性疼痛、内臓疼痛、癲癇、過敏性腸症候群、鬱などを包含するナトリウムチャネル活性に関連する状態の治療において有用であると言われている。
【0008】
国際特許出願公開第WO04/092140号(Merck & Co.)は、ナトリウムチャネルブロッカーとして、式(I)、(II)、(III)および(IV):
【化3】

で示されるビアリール置換ピラゾールを開示する。
該化合物は、急性疼痛、慢性疼痛、内臓疼痛、炎症性疼痛およびニューロパシー疼痛を包含する状態の治療において有用であると言われている。
【0009】
国際特許出願公開第WO04/094395号(Merck & Co.)は、ナトリウムチャネルブロッカーとして、式(I):
【化4】

で示されるビアリール置換チアゾール、オキサゾールおよびイミダゾールを開示する。
該化合物は、急性疼痛、慢性疼痛、内臓疼痛、炎症性疼痛およびニューロパシー疼痛を包含する状態の治療において有用であると言われている。
【0010】
国際特許出願公開第WO04/026826号(F. Hoffman La Roche AG)は、式(I):
【化5】

で示される4−ピロリジノフェニル−ベンジルエーテル誘導体を開示する。
該化合物は、モノアミンオキシダーゼB阻害剤であると言われ、アルツハイマー病または老年性認知症などの状態の治療において有用であると言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO05/000309
【特許文献2】WO04/083189
【特許文献3】WO04/092140
【特許文献4】WO04/094395
【特許文献5】WO04/026826
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、電位依存性ナトリウムチャネルを変調する別の化合物を同定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一の具体例において、該化合物は、使用依存性ナトリウムチャネル阻害剤である。
別の具体例において、該化合物は、サブタイプNaV1.3ナトリウムチャネル使用依存性阻害剤である。
【0014】
別の具体例において、本発明は、電位依存性ナトリウムチャネルを変調するが、モノアミンオキシダーゼB阻害を示さない化合物を提供する。
【0015】
第一の態様によると、本発明は、式(I):
【化6】

[式中、
は、HまたはCHであり;
は、HまたはCHである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0016】
一の具体例において、式(I)の化合物は、
((5R)−5−{4−[(2−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−2−(メトキシメチル)−N−メチル−L−プロリンアミド;
(5R)−5−{4−[(2−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−2−(メトキシメチル)−N,N−ジメチル−L−プロリンアミド;
(5R)−5−{4−[(2−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−2−(ヒドロキシメチル)−N,N−ジメチル−L−プロリンアミド;および
(5R)−5−{4−[(2−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−2−(ヒドロキシメチル)−N−メチル−L−プロリンアミド;またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物
からなるリストから選択される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
塩基性中心を含有する本発明の化合物の医薬上または獣医学上許容される塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸と、カルボン酸と、または有機スルホン酸と共に形成される非毒性酸付加塩である。例えば、HCl、HBr、HI、硫酸塩または重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩またはリン酸水素塩、酢酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、糖酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、カンシル酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩が包含される。適当な医薬塩の概説に関しては、Bergeら、J.Pharm,Sci.,66,1−19,1977;P L Gould,International Journal of Pharmaceutics,33(1986),201−217およびBighleyら、Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,Marcel Dekker Inc,New York 1996,Volume 13,page 453−497を参照のこと。
【0018】
本発明の別の具体例において、式(I)の化合物の医薬上許容される塩は、塩酸塩である。
【0019】
有機化学の分野における当業者には、多くの有機化合物が、溶媒中で反応し、または溶媒から沈澱もしくは結晶化する、その溶媒と共に複合体を形成することができることが明らかであろう。これらの複合体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は、「水和物」として知られている。本発明の化合物の医薬上許容される溶媒和物は、本発明の範囲内である。
【0020】
以下、本発明のいずれかの態様において定義される化合物(化学工程における中間体化合物を除く)およびその医薬上許容される塩、および溶媒和物およびプロドラッグを「本発明の化合物」という。
【0021】
本発明の化合物の医薬上許容される溶媒和物は、その水和物を包含する。
また、本発明の化合物および種々の塩の範囲に包含されるものには、その多形体がある。
本発明の化合物は、1以上の互変形態で存在しうる。全ての互変体およびその混合物は、本発明の範囲内に包含される。
【0022】
本発明は、また、本発明の化合物の全ての適当な同位体バリエーションを包含する。本発明の化合物の同位体バリエーションは、少なくとも1つの原子が同じ原子数を有するが、通常天然において見出される原子質量と異なる原子質量を有する原子によって置き換わっているものとして定義される。本発明の化合物中に組み込まれることのできる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、および塩素の同位体、例えば、各々、H、H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clを包含する。ある特定の本発明の同位体バリエーション、例えば、Hまたは14Cのような放射性同位体が組み込まれているものは、薬物および/または基質の組織分布研究において有用である。トリチウム化、すなわちH、および炭素−14、すなわち14C同位体は、その調製の容易さ、および検出能から特に好ましい。さらに、ジュウテリウム、すなわちHのような同位体での置換は、より大きな代謝安定性、例えば、イン・ビボ半減期の増加または投与必要量の減少に起因するある種の治療上の利点を提供することができ、そのため、ある環境において好ましい。本発明の化合物の同位体バリエーションは、一般に、従来法によって、例えば、実例のある方法によって、または適当な試薬の適当な同位体バリエーションを用いて下記の実施例に記載する製法によって、調製することができる。
【0023】
本発明の化合物は、種々の方法で調製されうる。下記の反応スキームおよび下記において、別記しないかぎり、RおよびRは、第一の態様において定義した通りである。これらの工程は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0024】
本明細書の全体を通して、一般式は、ローマ数字(I)、(II)、(III)、(IV)などによって表される。これらの一般式のサブセットは、(Ia)、(Ib)、(Ic)など、(IVa)、(IVb)、(IVc)などとして定義される。
【0025】
式(I)の化合物の塩酸塩は、反応スキーム1にしたがって、式(I)の化合物を過剰量(例えば、2.5当量)のジエチルエーテル中HClと反応させることによって調製されうる。典型的な反応条件は、適当な溶媒(例えば、EtOAcまたはメタノール)中、室温にて、(I)を反応させることを含む。
【0026】
反応スキーム1
【化7】

【0027】
一般式(I)の化合物は、反応スキーム2にしたがって、極性プロトン性溶媒(例えば、メタノール)中に溶解した一般式(II)の化合物を触媒(例えば、炭上のパラジウム)の存在下、水素雰囲気(1atm)下、室温で処理することによって生成されうる。
【0028】
反応スキーム2
【化8】

【0029】
一般式(IIa)の化合物(RはHではない)は、反応スキーム3にしたがって、式(IIIa)の化合物(RはHではない)を塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)および適当な試薬の存在下、NHMeRと反応させて、0℃〜室温にて非プロトン性溶媒(例えば、DMF)中、カルボン酸官能基(例えば、TBTU)を活性化させることによって生成されうる。
【0030】
反応スキーム3
【化9】

【0031】
一般式(IIIa)の化合物は、反応スキーム4にしたがって、一般式(IVa)の化合物(ここに、Rは低級非分枝アルキル鎖(例えば、メチルまたはエチル)である)を適当な溶媒(例えば、THF)中、室温〜還流温度にて、マイクロ波加熱を用いて、または用いないで、塩基(例えば、LiOH.HO)と反応させることによって生成されうる。
【0032】
反応スキーム4
【化10】

【0033】
一般式(IVa)の化合物は、反応スキーム5にしたがって、一般式(V)の化合物を適当な溶媒(例えば、THF)中、低温(例えば、−40℃)にて、塩基(例えば、リチウムジイソプロピルアミド)と反応させ、次いで、−78℃〜室温にて、適当な求核原子YCHOR(例えば、MOMCl)(ここに、Yは脱離基(例えば、Cl、BrまたはOSOCHである)と反応させることによって生成されうる。
【0034】
反応スキーム5
【化11】

【0035】
一般式(V)の化合物は、反応スキーム6にしたがって、一般式(VI)の化合物を塩素化溶媒(例えば、ジクロロメタン)中、適当な塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)の存在下、0℃〜室温でベンジルクロロホルメートと反応させることによって、生成されうる。
【0036】
反応スキーム6
【化12】

【0037】
式(VI)の化合物は、反応スキーム7にしたがって、式(VII)の化合物を水素雰囲気下、高圧(例えば、2atm)にて、適当な溶媒(例えば、EtOAc)中、室温にて、Pt/Cと反応させることによって調製することができる。
【0038】
反応スキーム7
【化13】

【0039】
式(VII)の化合物は、反応スキーム8にしたがって、式(VIII)の化合物をハロゲン化炭化水素溶媒(例えば、DCM)中、0℃〜室温で、トリフルオロ酢酸と反応させることによって調製されうる。別法として、式(VII)の化合物は、式(IX)の化合物から、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリルまたは同様の物理化学特性を有する溶媒中、0℃〜還流温度にて、金属触媒、例えば、銀(I)−トリフラートを用いて調製されうる。式(IX)の化合物は、文献(van Esseveldtら、Journal of Organic Chemistry 2005,70,1791−1795およびその引用文献)に記載の手法と類似の手法によって、容易に調製される。関連する出発物質の調製は、文献公知であるか、または下記の方法を用いてもよい。
【0040】
反応スキーム8
【化14】

【0041】
式(VIII)の化合物は、反応スキーム9にしたがって得られうる。典型的な反応条件は、式(X)の化合物を適当な非プロトン性溶媒(例えば、ジエチルエーテルまたはTHF)中、低温(−60℃)にて、適当な式(XI)の金属化(metallated)化合物(ここに、XはCl、BrまたはIである)と反応させることを含む。
【0042】
反応スキーム9
【化15】

【0043】
一般式(XI)の化合物は、反応スキーム10にしたがって、一般式(XII)の適当な化合物をTHF中、マグネシウム金属と反応させることによって生成されうる。典型的な反応条件は、室温〜65℃にて、適当な溶媒(例えば、エーテルまたはTHF)中における反応を含む。
【0044】
反応スキーム10
【化16】

【0045】
一般式(XII)の化合物は、反応スキーム11に記載の手法にしたがって、式(XIII)の化合物を適当な塩基(例えば、炭酸カリウム)の存在下、適当な溶媒(例えば、アセトンまたはアセトニトリル)中、室温〜還流温度にて、一般式(XIV)の適当な化合物(ここに、Zは適当な脱離基、例えば、Cl、Br、IまたはOSOCHである)と反応させることによって合成されうる。一般式(XIII)および(XIV)の化合物は、市販されているか、または文献に記載の手法もしくは当業者に既知の方法で調製されうる。
【0046】
反応スキーム11
【化17】

【0047】
式(X)の化合物は、反応スキーム12にしたがって、式(XV)の化合物を塩基(例えば、4−DMAP)の存在下、非プロトン性溶媒(例えば、DCM)中、室温にて、アミン上にBOC基を移動させるのに適当な試薬(例えば、ジ−tert−ブチルジカルボネート)を用いて反応させることによって調製されうる。
【0048】
反応スキーム12
【化18】

【0049】
一般式(XV)の化合物は、市販されているか、または当業者に既知の合成手法によって得ることができる。
【0050】
一般式(Ia)の化合物(ここに、RはHである)は、反応スキーム13にしたがって、一般式(XVI)の化合物(ここに、Pは適当なケイ素保護基、例えば、tert−ブチルジメチルシリルである)を適当な溶媒(例えば、THF)中、室温にて、フッ化テトラブチルアンモニウムで処理することによって調製されうる。
【0051】
反応スキーム13
【化19】

【0052】
一般式(XVI)の化合物は、反応スキーム14にしたがって、極性プロトン性溶媒(例えば、メタノール)中に溶解した一般式(XVII)の化合物を触媒(例えば、炭上のパラジウム)の存在下、水素雰囲気(1atm)中、室温にて処理することによって生成されうる。
【0053】
反応スキーム14
【化20】

【0054】
一般式(XVII)の化合物は、反応スキーム15にしたがって、式(XVIII)の化合物を塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)およびカルボン酸官能基を活性化するのに適当な試薬(例えば、TBTU)の存在下、非プロトン性溶媒(例えば、DMF)中、0℃〜室温にて、NHMeRと反応させることによって生成されうる。
【0055】
反応スキーム15
【化21】

一般式(XVIII)の化合物は、反応スキーム16にしたがって、式(XIX)の化合物を適当な溶媒(例えば、THF)中、室温〜還流温度にて、マイクロ波加熱を用いて、または用いないで、塩基(例えば、LiOH.HO)と反応させることによって生成されうる。
【0056】
反応スキーム16
【化22】

【0057】
一般式(XIX)の化合物は、反応スキーム17にしたがって、一般式(XX)の化合物を適当な塩基(例えば、2,6−ジメチルピリジン)の存在下、適当な溶媒(例えば、DCM)中、0℃〜室温にて、適当なシリルクロリドまたはトリフラート(例えば、tert−ブチルジメチルシリルトリフラート)と反応させることによって生成されうる。
【0058】
反応スキーム17
【化23】

【0059】
式(XX)の化合物は、反応スキーム18にしたがって、化合物(V)を非プロトン性溶媒(例えば、THF)中、低温(例えば、−40℃)にて、塩基(例えば、LiHMDS)と反応させ、次いで、適当なアシル化剤(例えば、エチルホルメート)で処理することによって生成されうる。得られた化合物は、適当な後処理を施した後、すぐにアルコール性溶媒(例えば、メタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコール)中に溶解し、次いで、0℃〜室温にて、適当な還元剤(例えば、NaBH)で処理してもよい。
【0060】
反応スキーム18
【化24】

【0061】
上記で論じたように、本発明の化合物は、電位依存性ナトリウムチャネルの変調によって媒介される疾患および状態の治療に有用でありうる。
【0062】
したがって、さらなる態様によると、本発明は、医薬、好ましくはヒト用医薬として使用するための本発明の化合物を提供する。
【0063】
さらなる態様によれば、本発明は、電位依存性ナトリウムチャネルの変調によって媒介される疾患または状態を治療または予防するための医薬の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0064】
理論に捕らわれることは望ましくないが、電位依存性ナトリウムチャネルの変調によって媒介される疾患または状態は、下記のリストから選択される。下記に列挙した疾患名の後ろの括弧内の数字は、アメリカ精神病医学会(the American Psychiatric Association)によって出版された精神障害の診断および統計学的マニュアル(the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第4版(DSM−IV)および/または国際疾患分類(the International Classification of Diseases)第10版(ICD−10)における分類コードを示す。
【0065】
i)抑鬱および気分障害(大鬱病エピソード、躁病エピソード、混合エピソードおよび軽躁エピソードを包含する);抑鬱性障害(大鬱病性障害、気分変調性障害(300.4)、不特定の抑鬱性障害(311)を包含する);双極性障害(I型双極性障害、II型双極性障害(軽躁エピソードを伴う再発性大鬱病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)および不特定の双極性障害(296.80)を包含する);他の気分障害(鬱病性特徴、大鬱病様エピソード、躁病性特徴および混合性特徴を伴うサブタイプを包含する一般的病状に起因する気分障害(293.83)を包含する);物質誘導性気分障害(鬱病性特徴、躁病性特徴および混合性特徴を伴うサブタイプを包含する);および不特定の気分障害(296.90)。
【0066】
ii)統合失調症(サブタイプ妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、鑑別不能(undifferentiated)型(295.90)および残遺型(295.60)を包含する);統合失調症様障害(295.40);統合失調性感情障害(295.70)(サブタイプ双極型および抑鬱型を包含する);妄想障害(297.1)(サブタイプ恋愛(Erotomanic)型、誇大(Gradiose)型、嫉妬(Jealous)型、迫害(Persecutory)型、身体(Somatic)型、混合(Mixed)型および不特定(Unspecified)型を包含する);短期精神障害(298.8);感応性精神障害(297.3);一般的病状に起因する精神障害(妄想を伴うサブタイプおよび幻覚を伴うサブタイプを包含する);物質誘導性精神障害(妄想を伴う(293.81)および幻覚を伴う(293.82)サブタイプを包含する);および不特定の精神障害(298.9)。
【0067】
iii)パニック発作を包含する不安障害;広場恐怖症を伴わないパニック障害(300.01)および広場恐怖症を伴うパニック障害(300.21)を包含するパニック障害;広場恐怖症;パニック障害の病歴をもたない広場恐怖症(300.22);特定恐症(300.29、以前の単一恐怖症)(動物型、自然環境型、血液注入傷害(Blood−Injection−Injury)型、状況型および他の型のサブタイプを包含する);社会恐怖症(社会不安障害、300.23);強迫障害(300.3);外傷後ストレス障害(309.81);急性ストレス障害(308.3);全般性不安障害(300.02);一般的病状に起因する不安障害(293.84);物質誘導性不安障害;分離不安障害(309.21);不安を伴う適応障害(309.24)および不特定の不安障害(300.00)。
【0068】
iv)物質使用障害(例えば、物質依存、物質渇望および物質濫用)を包含する物質関連障害;物質誘導性障害(例えば、物質中毒、物質離脱、物質誘導性せん妄、物質誘導性持続性認知症、物質誘導性持続性健忘障害、物質誘導性精神障害、物質誘導性気分障害、物質誘導性不安障害、物質誘導性性的機能不全、物質誘導性睡眠障害および幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック));アルコール関連障害(例えば、アルコール依存(303.90)、アルコール濫用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘導性持続性認知症、アルコール誘導性持続性健忘障害、アルコール誘導性精神障害、アルコール誘導性気分障害、アルコール誘導性不安障害、アルコール誘導性性的機能不全、アルコール誘導性睡眠障害および不特定のアルコール関連障害(291.9));アンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害(例えば、アンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン濫用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘導性精神障害、アンフェタミン誘導性気分障害、アンフェタミン誘導性不安障害、アンフェタミン誘導性性的機能不全、アンフェタミン誘導性睡眠障害および不特定のアンフェタミン関連障害(292.9));カフェイン関連障害(例えば、カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘導性不安障害、カフェイン誘導性睡眠障害および不特定のカフェイン関連障害(292.9));大麻関連障害(例えば、大麻依存(304.30)、大麻濫用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘導性精神障害、大麻誘導性不安障害および不特定の大麻関連障害(292.9)を包含する);コカイン関連障害(コカイン依存(304.20)、コカイン濫用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘導性精神障害、コカイン誘導性気分障害、コカイン誘導性不安障害、コカイン誘導性性的機能不全、コカイン誘導性睡眠障害および不特定コカイン関連障害(292.9));幻覚剤関連障害(例えば、幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤濫用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘導性精神障害、幻覚剤誘導性気分障害、幻覚剤誘導性不安障害および不特定の幻覚剤関連障害(292.9));吸入剤関連障害(例えば、吸入剤依存(304.60)、吸入剤濫用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤誘導性持続性認知症、吸入剤誘導性精神障害、吸入剤誘導性気分障害、吸入剤誘導性不安障害および不特定吸入剤関連障害(292.9));ニコチン関連障害(例えば、ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)および不特定のニコチン関連障害(292.9));オピオイド関連障害(例えば、オピオイド依存(304.00)、オピオイド濫用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド誘導性精神障害、オピオイド誘導性気分障害、オピオイド誘導性性的機能不全、オピオイド誘導性睡眠障害および不特定オピオイド関連障害(292.9));フェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害(例えば、、フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン濫用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘導性精神障害、フェンシクリジン誘導性気分障害、フェンシクリジン誘導性不安障害および不特定のフェンシクリジン関連障害(292.9));鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤関連障害(例えば、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤依存(304.10)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤濫用(305.40)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤中毒(292.89)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤離脱(292.0)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤中毒せん妄、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤離脱せん妄、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤持続性認知症、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤持続性健忘障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性精神障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性気分障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性不安障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性性的機能不全、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性睡眠障害および不特定の鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤関連障害(292.9));多物質関連障害(例えば、多物質依存(304.80));および他の(または未知の)物質関連障害(例えば、アナボリックステロイド、硝酸塩吸入剤および亜酸化窒素)。
【0069】
v)統合失調症、双極性障害、鬱病、認識障害(例えば、アルツハイマー病)に関連した他の精神障害および精神異常などの他の疾患における認識障害の治療を包含する認識の強化。
【0070】
vi)睡眠異常(Dyssomnias)などの原発性睡眠障害を包含する睡眠障害、例えば、原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)および不特定の睡眠異常(307.47);睡眠時異常行動などの原発性睡眠障害例えば、悪夢障害(307.47)、睡眠恐怖障害(307.46)、夢中歩行障害(307.46)および不特定の睡眠時異常行動(307.47);別の精神障害に関連した睡眠障害、例えば、別の精神障害に関連した不眠症(307.42)および別の精神障害に関連した過眠症(307.44);一般的病状に起因する睡眠障害、特に、神経学的障害、ニューロパシー痛、下肢静止不能症候群、心臓および肺疾患のような疾患に関連した睡眠障害;および物質誘導性睡眠障害(不眠型、過眠型、睡眠時異常行動型および混合型のサブタイプを包含する);睡眠時無呼吸および時差ボケ(jet-lag)症候群。
【0071】
vi)摂食障害、例えば、神経性無食欲症(307.1)(制限型および過食/瀉下型サブタイプを包含する);神経性食欲昂進症(307.51)(瀉下型および非瀉下型サブタイプを包含する);肥満;強迫性摂食障害;過食障害および不特定の摂食障害(307.50)。
【0072】
vii)自閉障害(299.00)、アスペルガー障害(299.80)、レット障害(299.80)、小児期崩壊性障害(299.10)および不特定の広汎性障害(299.80、不定型自閉症を包含する)を包含する自閉症領域の障害。
【0073】
viii)注意欠陥/多動性障害(混合型の注意欠陥/多動性障害(314.01)、不注意型の注意欠陥/多動性障害(314.00)、多動−衝動型の注意欠陥/多動性障害(314.01)および不特定の注意欠陥/多動性障害(314.9)サブタイプを包含する);多動障害;破壊的行動障害、例えば、行為障害(幼児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)および不特定発症型(312.89)を包含する)、反抗的行動障害(313.81)および不特定の破壊的行動障害;およびトゥーレット障害(307.23)などのチック障害。
【0074】
ix)妄想性人格障害(301.0)、統合失調症的人格障害(301.20)、統合失調症型人格障害(301,22)、非社会性人格障害(301.7)、境界性人格障害(301,83)、演技性人格障害(301.50)、自己愛性人格障害(301,81)、回避性人格障害(301.82)、依存性人格障害(301.6)、強迫性人格障害(301.4)および不特定の人格障害(301.9)サブタイプを包含する人格障害。
【0075】
x)性的欲求障害、例えば、性的欲求低下障害(302.71)および性的嫌悪障害(302.79);性的刺激障害、例えば、女性性的刺激障害(302.72)および男性勃起障害(302.72);オルガスム障害、例えば、女性オルガスム障害(302.73)、男性オルガスム障害(302.74)および早漏(302.75);性的疼痛障害、例えば、性交疼痛症(302.76)および膣痙(306.51);不特定の性的機能不全(302.70);性的倒錯、例えば、露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、摩擦愛好症(302.89)、ペドフィリア(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯性フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)および不特定の性的倒錯(302.9);性的自己同一性障害、例えば、子供の性的自己同一性障害(302.6)および青年または成人における性的自己同一性障害(302.85);および不特定の性的障害(302.9)を包含する性的機能不全。
【0076】
xi)間欠性爆発性障害(312.34)、窃盗癖(312.32)、病的賭博(312.31)、放火狂(312.33)、抜毛癖(312.39)、不特定の衝動調節障害(312.3)、過食症、衝動買い、強迫的性行動および強迫的貯蔵を包含する衝動調節障害。
【0077】
別の具体例において、電位依存性ナトリウムチャネルの変調によって媒介されうる疾患または状態は、鬱病または気分障害である。
【0078】
別の具体例において、電位依存性ナトリウムチャネルの変調によって媒介されうる疾患または状態は、物質関連障害である。
【0079】
さらなる具体例において、電位依存性ナトリウムチャネルの変調によって媒介されうる疾患または状態は、双極性障害(双極性I型障害および双極性II型障害(すなわち、軽躁エピソードを伴う再発性大鬱病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)および不特定の双極性障害(296.80))を包含する)である。
【0080】
またさらなる具体例において、電位依存性ナトリウムチャネルの変調によって媒介されうる疾患または状態は、ニコチン関連障害、例えば、ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)および不特定のニコチン関連障害(292.9)である。
【0081】
1の具体例において、本発明の化合物は、鎮痛剤として有用でありうる。例えば、それらは、慢性炎症性疼痛(例えば、関節リウマチ、骨関節炎、リウマチ様脊椎炎、通風性関節炎および若年性関節炎に関連する疼痛);筋骨格痛;腰痛および頸痛;捻挫および緊張;ニューロパシー痛;交感神経依存性疼痛;筋炎;癌および線維筋痛に関連した疼痛;偏頭痛に関連した疼痛;インフルエンザまたは他のウイルス感染、例えば、感冒に関連した疼痛;リウマチ熱;機能的腸障害、例えば、非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛および過敏性腸症候群に関連した疼痛;心筋虚血に関連した疼痛;術後疼痛;頭痛;歯痛;および月経困難症の治療において有用でありうる。
【0082】
本発明の化合物は、ニューロパシー痛の治療において有用でありうる。ニューロパシー痛症候群は、ニューロン傷害に続いて発症し、その結果生じる疼痛は何ヶ月または何年もの間、元々の傷害が治癒した後であっても持続しうる。ニューロン傷害は、末梢神経、後根、脊髄、または脳における特定領域において起こりうる。ニューロパシー痛症候群は、伝統的には、それらを引き起こした疾患または事象にしたがって分類される。ニューロパシー痛症候群は:糖尿病性ニューロパシー;座骨神経痛;非特異的腰痛;多発性硬化症疼痛;線維筋痛;HIV−関連ニューロパシー;ヘルペス後神経痛;三叉神経痛;および物理的外傷、切断、癌、毒または慢性炎症状態に起因する疼痛を包含する。これらの症状は治療が困難であり、限られた効力を有するいくつかの薬物が知られているが、完全な疼痛抑制はめったに達成されない。ニューロパシー痛の徴候は、信じられないほど不均一であり、しばしば、自発的な撃つような痛みおよび刺すような痛み、または進行中の焼けているような痛みとして描写される。さらに、「しびれ(pins and needles)」のような普通は痛みのない感覚に付随する疼痛(感覚異常および知覚不全)、触感に対する感受性増加(知覚過敏症)、無害の刺激後の痛みのある感覚(動的、静的または温度による異疼痛)、有害な刺激に対する感受性増加(温度、冷気、機械的痛覚過敏)、刺激の除去後に持続する疼痛感覚(痛覚過敏)または選択的知覚経路の不在もしくは該経路における欠損(痛覚不全)がある。
【0083】
本発明の化合物は、また、炎症障害の緩和、例えば、皮膚の状態(例えば、日焼け、火傷、湿疹、皮膚炎、乾癬);眼病;肺障害(例えば、喘息、気管支炎、気腫、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、咳、呼吸障害症候群、鳩飼病、農夫肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD));胃腸管障害(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、局所性回腸炎、過敏性大腸症候群、炎症性腸疾患、胃腸逆流疾患);炎症性成分を伴う他の症状、例えば、偏頭痛、多発性硬化症、心筋虚血の治療において有用でありうる。
【0084】
本発明の化合物は、また、抗痙攣剤での治療および/または予防が可能な障害、例えば、外傷後癲癇を包含する癲癇、強迫障害(OCD)、睡眠障害(概日リズム障害、不眠およびナルコレプシーを包含する)、チック(例えば、ジル・ドラ・トゥレット症候群)、運動失調、筋肉固縮(痙性)、および顎関節機能不全の治療および/または予防において有用でありうる。
【0085】
本発明の化合物は、また、膀胱炎症後の膀胱反射過敏の治療において有用でありうる。
【0086】
本発明の化合物は、また、認知症、特に神経変性認知症(老年性認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏症、パーキンソン防およびクロイツフェルト・ヤコブ病、運動ニューロン疾患を包含する)などの神経変性疾患および神経変性の治療において有用でありうる。本発明の化合物は、また、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および神経炎症の治療に有用でありうる。
【0087】
本発明の化合物は、また、神経保護、および卒中、心臓停止、肺バイパス、外傷性脳傷害、脊髄傷害などの後の神経変性の治療において有用でありうる。
【0088】
本発明の化合物は、また、耳鳴りの治療において有用であり、また、局所麻酔薬として有用でありうる。
【0089】
本発明の化合物は、また、他の治療剤と組み合わせて使用されうる。本発明は、かくして、さらなる態様において、本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体と、さらなる治療剤とを含む組み合わせを提供する。
【0090】
本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体が同じ病態に対して活性な第2の治療剤と組み合わせて使用される場合、各化合物の投与量は、該化合物を単独使用した場合と異なっていてもよい。適当な投与量は、当業者に容易に明らかであろう。当然のことながら、治療における使用に必要とされる本発明の化合物の量は、治療される疾患の性質ならびに患者の年齢および状態によって変化し、結局、担当の内科医または獣医師の裁量による。本発明の化合物は、他の抗血栓薬、例えば、トロンビン阻害剤、トロンボキサン受容体アンタゴニスト、プロスタサイクリン模倣物、ホスホジエステラーゼ阻害剤、フィブリノゲンアンタゴニスト、血栓溶解薬、例えば、組織プラミノーゲン活性化剤およびストレプトキナーゼ、非ステロイド性抗炎症薬、例えば、アスピリンなどと組み合わせて使用してもよい。
【0091】
上記の組み合わせは、好都合には、医薬処方の形態で使用するために提供され、上記の組み合わせと医薬上許容される担体または賦形剤とを含んでなるこのような医薬処方は、本発明のさらなる態様を形成する。かかる組み合わせの個々の成分は、いずれかの都合のよい経路によって、別々または組み合わせた医薬処方において連続的または同時に投与すればよい。
【0092】
連続投与の場合、本発明の化合物または第2の治療剤のいずれかを最初に投与すればよい。同時投与の場合、該組み合わせは、同一の医薬組成物または異なる医薬組成物のいずれかにおいて投与すればよい。
【0093】
同一処方において組み合わせる場合、当然のことながら、2つの化合物は安定であり、かつ、互いに、および処方中の他の成分と適合性でなければならない。別々に処方する場合、それらは、いずれかの好都合な処方において、好都合には、当該分野においてかかる化合物のために知られているような方法で提供すればよい。
【0094】
本発明の化合物は、下記の薬剤との組み合わせにおいて、精神障害の治療または予防のために使用されうる。i)抗精神病薬;ii)錐体外路副作用のための薬剤、例えば、抗コリン作用薬(例えば、ベンズトロピン、ビペリデン、プロシクリジンおよびトリヘキシフェニジル)、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)およびドーパミン作用薬(例えば、アマンタジン);iii)抗鬱剤;iv)不安緩下剤;およびv)認知強化剤、例えば、コリンエステラーゼ阻害剤(例えば、タクリン、ドネペジル、リバスチグミンおよびガランタミン)。
【0095】
本発明の化合物は、鬱病および気分障害の治療または予防のために抗鬱剤と組み合わせて使用されうる。
本発明の化合物は、双極性疾患の治療または予防のために下記の薬剤と組み合わせて使用されうる。i)気分安定化剤;ii)抗精神病薬;およびiii)抗鬱剤。
本発明の化合物は、不安障害の治療または予防のために下記の薬剤と組み合わせて使用されうる。i)不安緩下剤;およびii)抗鬱剤。
【0096】
本発明の化合物は、ニコチン離脱を改善するため、およびニコチン渇望を減少するために下記の薬剤と組み合わせて使用されうる。i)ニコチン置換療法、例えば、ニコチンベータ−シクロデキストリンの舌下処方およびニコチンパッチ;およびii)ブプロピオン。
本発明の化合物は、アルコール離脱を改善するため、およびアルコール渇望を減少するために下記の薬剤と組み合わせて使用されうる。i)NMDA受容体アンタゴニスト、例えば、アカムプロセート;ii)GABA受容体アゴニスト、例えば、テトラバマート;およびiii)オピオイド受容体アンタゴニスト、例えば、ナルトレキソン。
【0097】
本発明の化合物は、アヘン剤離脱を改善するため、およびアヘン剤渇望を減少するために下記の薬剤と組み合わせて使用されうる。i)オピオイドミュー受容体アゴニスト/オピオイドカッパ受容体アンタゴニスト、例えば、ブプレノルフィン;ii)オピオイド受容体アンタゴニスト、例えば、ナルトレキソン;およびiii)血管拡張性抗高血圧剤、例えば、ロフェキシジン。
【0098】
本発明の化合物は、睡眠障害の治療または予防のために下記の薬剤と組み合わせて使用されうる。i)ベンゾジアゼピン、例えば、テマゼパム、ロルメタゼパム、エスタゾラムおよびトリアゾラム;ii)非ベンゾジアゼピン睡眠薬、例えば、ゾルピデム、ゾピクロン、ザレプロン、およびインジプロン;iii)バルビツール剤、例えば、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ペントバルビタール、セコバルビタール、およびフェノバルビタール;iv)抗鬱剤;v)他の鎮静−睡眠薬、例えば、抱水クロラールおよびクロルメチアゾール。
【0099】
本発明の化合物は、食欲不振の治療または予防のために下記の薬剤と組み合わせて使用されうる。i)食欲刺激薬、例えば、シプロヘプチジン;ii)抗鬱剤;iii)抗精神病薬;iv)亜鉛;およびv)月経前用の薬、例えば、ピリドキシンおよびプロゲステロン。
本発明の化合物は、病的飢餓の治療のために下記の薬剤と組み合わせて使用されうる。i)抗鬱剤;ii)オピオイド受容体アンタゴニスト;iii)制吐剤、例えば、オンダンセトロン;iv)テストステロン受容体アンタゴニスト、例えば、フルタミド;v)気分安定化剤;vi)亜鉛;およびvii)月経前用の薬。
【0100】
本発明の化合物は、自閉症の治療または予防のために下記の薬剤と組み合わせて使用されうる。i)抗精神病薬;ii)抗鬱剤;iii)不安緩下剤;およびiv)刺激剤、例えば、メチルフェニデート、アンフェタミン処方およびペモリン。
本発明の化合物は、ADHDの治療または予防のために下記の薬剤と組み合わせて使用されうる。i)刺激剤、例えば、メチルフェニデート、アンフェタミン処方およびペモリン;およびii)非刺激剤、例えば、ノルエピネフリン再取込阻害剤(例えば、アトモキセチン)、アルファ2アドレノセプターアゴニスト(例えば、クロニジン)、抗鬱剤、モダフィニル、およびコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ガランタミンおよびドネゼピル)。
【0101】
本発明の化合物は、人格障害の治療のために下記の薬剤と組み合わせて使用されうる。:i)抗精神病薬;ii)抗鬱剤;iii)気分安定化剤;およびiv)不安緩下剤。
【0102】
本発明の化合物は、男性性的機能不全の治療または予防のために下記の薬剤と組み合わせて使用されうる。i)ホスホジエステラーゼV阻害剤、例えば、バルデナフィルおよびシルデナフィル;ii)ドーパミンアゴニスト/ドーパミン輸送阻害剤、例えば、アポモルヒネおよびブプロプリオン;iii)アルファアドレノセプターアンタゴニスト、例えば、フェントラミン;iv)プロスタグランジンアゴニスト、例えば、アルプロスタジル;v)テストステロンアゴニスト、例えば、テストステロン;vi)セロトニン輸送阻害剤、例えば、セロトニン再取込阻害剤;v)ノルアドレナリン輸送阻害剤、例えば、レボキセチン;およびvii)5−HT1Aアゴニスト、例えば、フリバンセリン。
【0103】
本発明の化合物は、女性性的機能不全の治療または予防のために、男性性的機能不全治療または予防のために明記したのと同じ薬剤と、さらに、エストロゲンアゴニスト、例えば、エストラジオールと組み合わせて使用されうる。
【0104】
抗精神病薬は、典型的な抗精神病薬(例えば、クロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、トリフルオペラジン、チオチキシン、ハロペリドール、モリンドンおよびロキサピン);および非定型抗精神病薬(例えば、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピラゾール、ジプラシドンおよびアミスルプリド)を包含する。
【0105】
抗鬱剤は、セロトニン再取込阻害剤(例えば、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチンおよびセルトラリン);セロトニン/ノルアドレナリン二重再取込阻害剤(例えば、ベンラファキシン、ジュロキセチンおよびミルナシプラン);ノルアドレナリン再取込阻害剤(例えば、レボキセチン);三環式抗鬱剤(例えば、アミトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびトリミプラミン);モノアミンオキシダーゼ阻害剤(例えば、イソカルボキシアジド、モクロベミド、フェネルジンおよびトラニルシプロミン);およびその他の薬剤(例えば、ブプロピオン、ミアンセリン、ミルタザピン、ネファゾドンおよびトラゾドン)を包含する。
【0106】
気分安定化剤は、リチウム、ナトリウムバルプロエート/バルプロン酸/ジバルプロエックス、カルバムアゼピン、ラモトリギン、ガバペンチン、トピラマート、およびチアガビンを包含する。
【0107】
不安緩下剤は、ベンゾジアゼピン類、例えば、アルプラゾラムおよびロラゼパムを包含する。
【0108】
当然のことながら、本発明では、「治療」なる語は、予防、再発予防および症状(軽度、中程度または重篤)の抑制または緩和ならびに確立された病状の治療にまで及ぶ。
【0109】
本発明の化合物は、そのままの化学物質として投与してもよいが、好ましくは、活性成分を医薬処方として提供する。
【0110】
さらなる態様によると、本発明は、本発明の化合物を1以上の医薬上許容される担体、希釈剤および/または賦形剤と共に含んでなる医薬組成物を提供する。担体、希釈剤および/または賦形剤は、該組成物の他の成分と適合性であって、そのレシピエントに有害でないという意味で「許容」されなければならない。
【0111】
本発明の化合物は、当該分野でよく知られた従来の方法にしたがって、本発明の化合物を標準的な医薬担体または希釈剤と組み合わせることによって調製された従来の投与形において投与されうる。これらの方法は、成分を適宜、混合、造粒および圧縮または溶解して所望の製剤にすることを含みうる。
【0112】
本発明の医薬組成物は、いずれかの経路による投与用に処方されていてもよく、ヒトを包含する哺乳動物に対する経口、局所または非経口投与に適応した形態のものを包含する。
【0113】
該組成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、ロゼンジ、クリームまたは液体製剤、例えば、経口または滅菌非経口溶液若しくは懸濁液の形態であってもよい。
【0114】
本発明の局所処方は、例えば、軟膏、クリームまたはローション、目用軟膏および点眼剤または点耳剤、含浸包帯およびエーロゾルとして提供されてもよく、適当な従来の添加剤、例えば、保存料、浸透を補助するための溶剤および軟膏およびクリームにおける皮膚軟化剤を含有していてもよい。
【0115】
該処方は、また、適合性の従来の担体、例えば、クリームまたは軟膏基剤およびローションのためのエタノールまたはオレイルアルコールを含有していてもよい。かかる担体は、処方の約1%〜約98%配合されてもよい。より普通には、それらは処方の約80%までを形成する。
【0116】
経口投与のための錠剤およびカプセルは、単位投与提供形態であってもよく、従来の賦形剤、例えば、結合剤、例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントゴム、またはポリビニルピロリドン、増量剤、例えば、ラクトース、砂糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン、錠剤滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ、崩壊剤、例えば、ジャガイモデンプン、または許容される湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを含有していてもよい。錠剤は、通常の製薬習慣においてよく知られた方法にしたがって、被覆されていてもよい。経口液体製剤は、例えば、水性または油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップまたはエリキシルの形態であってもよく、または使用前に水または他の適当なビヒクルで復元するための乾燥品として提供されてもよい。かかる液体製剤は、従来の添加剤、例えば、懸濁化剤、例えば、ソルビトール、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素添加食用油脂、乳化剤、例えば、レシチン、ソルビタンモノオレエートまたはアラビアゴム、非水性ビヒクル(食用油を包含しうる)、例えば、アーモンド油、グリセリンなどの油性エステル、プロピレングリコール、またはエチルアルコール、保存料、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルあるいはソルビン酸、および所望により、従来のフレーバー剤または着色料を含有していてもよい。
【0117】
座剤は、従来の座剤基材、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドを含有する。
【0118】
非経口投与の場合、該化合物および滅菌ビヒクル(好ましくは水)を用いて、流体単位投与形態が調製される。該化合物は、使用されるビヒクルおよび濃度にもよるが、ビヒクル中に懸濁または溶解することができる。溶液の調製の場合、該化合物を注射用水に溶解し、濾過滅菌後に、適当なバイアルまたはアンプル中に充填し、密封することができる。
【0119】
有利には、局所麻酔剤、保存料および緩衝化剤などの剤をビヒクル中に溶解することができる。安定性を向上させるために、該組成物をバイアル充填後に冷凍し、真空下で水分を除去することができる。該凍結乾燥粉末を次いで、バイアル中に密封し、使用前に液体に復元するために、バイアルに添付する注射用水を提供してもよい。非経口懸濁液は、化合物をビヒクル中に溶解する代わりに懸濁し、濾過によって滅菌できないことを除き、実質的に同じ方法で調製される。該化合物は、エチレンオキシドに曝露することによって滅菌することができ、その後、滅菌したビヒクル中に懸濁する。有利には、化合物の均一な分布を容易にするために、界面活性剤または湿潤剤が組成物中に含まれる。
【0120】
該組成物は、投与方法にもよるが、0.1重量%、好ましくは10−60重量%の活性材料を含有しうる。該組成物が投与単位からなる場合、各単位は、例えば、5〜1000mgの活性成分を含有する。成人の治療に用いられる場合、投与量は、投与経路および頻度にもよるが、例えば、10〜3000mg/日であってもよい。経口投与の場合、典型的な投与量は、50〜1500mg/日、例えば、120〜1000mg/日でありうる。
【0121】
当業者には、本発明の化合物の最適量および個々の投与の間隔が治療されている病態の性質および程度、投与形態、経路および部位、および治療されている特定の哺乳動物によって決定され、かかる最適条件が従来の技術によって決定できることが明らかであろう。また、最適な治療方針、すなわち、所定の日数の間に1日に与えられる本発明の化合物の投与回数は、治療決定試験の通常の方針を用いて当業者が確定できることは、当業者に明らかであろう。
【0122】
限定するものではないが、本明細書中に引用される特許および特許出願を包含する全ての出版物は、あたかも個々の出版物が出典明示により本明細書の一部とされることが詳細かつ個別に示されているかの如く、出典明示により、本明細書の一部とされる。
【0123】
本発明が下記のさらなる態様を包含することは明らかである。第一の態様に関して記載される具体例は、同様に、これらのさらなる態様に応用する。上記の疾患および状態は、適宜、これらのさらなる態様に及ぶ。
i)電位依存性ナトリウムチャネルの変調によって媒介される疾患または状態の治療または予防において有用な本発明の化合物。
ii)有効量の本発明の化合物を投与することを特徴とする、哺乳動物における電位依存性ナトリウムチャネルの変調によって媒介される疾患または状態の治療または予防方法。
iii)電位依存性ナトリウムチャネルの変調によって媒介される疾患または状態を治療または予防するための医薬の製造における本発明の化合物の使用。
iv)電位依存性ナトリウムチャネルの変調によって媒介される疾患または状態を治療または予防するための本発明の化合物の使用。
【実施例】
【0124】
実験
本発明を化合物D9、D11、D17およびD20ならびに下記の実施例によって説明する。
下記の方法において、典型的には、各出発物質の後ろに記載例への言及が提供される。これは単に、当該分野の化学者を手助けするために提供されるにすぎない。出発材料は、必ずしも、記載のバッチから調製されなくてもよい。
【0125】
以下に記載する実施例に記載の化合物は、メチル 5−オキソ−L−プロリナートの立体化学的に純粋な誘導体から第一工程として調製された。記載例および実施例の化合物の立体化学は、5−オキソ−L−プロリナートの純粋な配置がその後に続く反応条件を通して維持されると仮定して決定された。
【0126】
化合物は、ACD/Name PRO 6.02化学命名ソフトウェア(Advanced Chemistry Development Inc., Toronto, Ontario, M5H2L3, Canada)を用いて命名される。
【0127】
プロトン磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Varian装置において300、400、500または600MHzにて、またはBruker装置において300または400MHzにて記録される。化学シフトは、内部標準として残留溶媒ラインを用いて、ppm(δ)で報告される。分離パターンは、s シングレット;d ダブレット;t トリプレット;q カルテット;m マルチプレット;b 幅広として示される。NMRスペクトルは、25〜90℃で記録した。1以上の配座異性体が検出された場合、最も豊富な1つについての化学シフトを報告する。
【0128】
(HPLC):x分によって示されるHPLC分析は、Agilent 1100シリーズ装置にて、Luna 3u C18(2)100A(50x2.0mm)カラム(移動相:100%[水+0.05%TFA]〜95%[アセトニトリル+0.05%TFA]を8分、流量=1ml/分、検出波長220nm)を用いて実施された。
【0129】
全イオン電流(TIC)およびDAD UVクロマトグラフィートレースはまた、ピークと関連するMSおよびUVスペクトルと共に、2996 PDA検出器を備え、正または負のエレクトロスプレーイオン化モードで作動するWaters Micromass ZQTM質量分光計に結合したUPLC/MS AcquityTMシステムで得られた。[LC/MS−ES(+/−):分析はAcquityTM UPLC BEH C18カラム(50x21mm,1.7μm粒子サイズ)、カラム温度40℃(移動相:A−水+0.1%HCOOH/B−MeCN+0.075%HCOOH、流速:1.0mL/分、勾配:t=0分 3%B,t=0.05分 6%B,t=0.57分 70%B,t=1.4分 99%B,t=1.45分 3%B)を用いて行った]。該方法の使用は、記載の化合物の分析的特徴において「UPLC」によって示される。
【0130】
質量スペクトル(MS)は、典型的には、ES(+)およびES(−)イオン化モードにおいて操作する4 II三連四重極質量分析計(Micromass UK)またはAgilent MSD1100質量分析計において、またはHPLC装置Agilent1100シリーズと一体となったES(+)およびES(−)イオン化モードにおいて操作するAgilent LC/MSD1100質量分析計において行われる。[LC/MS−ES(+):分析はSupelcosil ABZ +Plus(33x4.6mm,3μm)において行う(移動相:100%[水+0.1%HCOH]1分間、次いで、100%[水+0.1%HCOH]〜5%[水+0.1%HCOH]および95%[CHCN]5分、最後に、これらの条件下で2分間);T=40℃;流量=1mL/分;LC/MS−ES(−):分析はSupelcosil ABZ +Plus(33x4.6mm,3μm)において行う(移動相:100%[水+0.05%NH]1分間、次いで、100%[水+0.05%NH]〜5%[水+0.05%NH]および95%[CHCN]5分、最後に、これらの条件下で2分間);T=40℃;流量=1mL/分]。質量スペクトルにおいて、分子イオンクラスターにおける唯一のピークが報告される。
【0131】
マイクロ波照射を含む反応の場合、Personal Chemistry EmrysTM Optimizerを用いた。
【0132】
フラッシュシリカゲルクロマトグラフィーは、シリカゲル230−400メッシュ(供給元Merck AG Darmstadt, Germany)において、またはVarian Mega Be−Siプレパックカートリッジ、もしくはプレパックBiotageシリカカートリッジ上で行われた。
【0133】
SPE−SCXカートリッジは、Varianによって供給されるイオン交換固相抽出カラムである。SPE−SCXカートリッジで用いられる溶出液は、メタノール、次いで、メタノール中における2Nアンモニア溶液である。
【0134】
製法のいくつかにおいて、Biotageマニュアルフラッシュクロマトグラフィー(Flash+)または自動フラッシュクロマトグラフィー(Horizon)システムを用いる精製が行われた。これらの装置の全ては、Biotageシリカカートリッジと共に使用される。
【0135】
SPE−Siカートリッジは、Varianによって供給されるシリカ固相抽出カラムである。
【0136】
下記の表に、使用した略語を挙げる。
BOCO ビス(1,1−ジメチルエチル)ジカルボネート
CbzCl ベンジルクロロホルメート
DCM ジクロロメタン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4−(ジメチルアミノ)ピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
LiHDMS リチウムヘキサメチルジシラジド
MOM−Cl メトキシメチルクロリド
TBTU O−(ベンゾトロアゾール−1−イル)−N,N,N’N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート
TBAF N,N,N,N−テトラブチルアンモニウムフルオリド
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
MTBE メチル−t−ブチルエーテル
EtO ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
【0137】
記載例1:1−[(4−ブロモフェノキシ)メチル]−2−フルオロベンゼン(D1)
【化25】

アセトン(7322mL)中に溶解した4−ブロモフェノール(502.08g)の溶液に、KCO(570g)を加え、次いで、ベンジルブロミド(523g)を加えた。該混合物を2時間熱還流した。次いで、反応混合物を25℃で冷却し、濾過し、濾過ケークをMTBE(1046mL)で洗浄した。合わせた濾液を1000mLに濃縮し、MTBE(4184mL)を加えた。混合物を水性1M NaOH溶液(1464mL)、次いで、ブライン(1300mL)で洗浄し、濃縮乾固した。THF(1300mL)を加え、溶媒を減圧下で除去して、標題化合物を得た(902.1g)。
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ(ppm):7.54(td,1H);7.46(d,2H);7.42(m,1H);7.23(m,2H);7.01(d,2H);5.13(s,2H)
【0138】
記載例2:(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−{4−[(2−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−5−オキソペンタン酸メチル(D2)
【化26】

マグネシウム金属(90g)の乾燥THF(600mL)中攪拌懸濁液に、窒素雰囲気下、室温にて、ヨウ素(0.3g)を加えた。該混合物を内温63−65℃に加熱した。1−[(4−ブロモフェノキシ)メチル]−2−フルオロベンゼン(D1,693g)のTHF(1500mL)中溶液を2つのバッチに加え、まず、45mLを一度に加えた。次に、残りの溶液(1500mL)を滴下した。添加後、反応物を1時間熱還流した。反応混合物を室温に冷却した。次いで、反応混合物をゆっくりと、−60℃に冷却した(2S)−5−オキソピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチル 2−メチル(ISOCHEM,300g)のTHF(1500mL)中溶液に、内温を−60℃以下に維持しながら加えた。該添加は1.25時間で完了した。反応混合物を添加後さらに1時間攪拌した。次いで、イソプロピルアルコール(300mL)を滴下し、その間、温度を−60℃以下に維持した。水性飽和塩化アンモニウム溶液/水性飽和塩化ナトリウム溶液(2/1;900mL)の混合物を加え、その間、温度を−50℃に維持した。水(600mL)を加えて黄色沈澱を溶解した。有機相を分離し、水性13%NaCl溶液(600mL)で洗浄した。有機相を濃縮乾固した。次いで、EtOAc(1500mL)を加え、溶液を減圧下で蒸発させて水を除去した。残渣をシクロヘキサン/酢酸エチル(95:5〜8:2)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た(287g)。
H NMR(600MHz,DMSO−d6)δ(ppm):7.93(d,2H);7.57(td,1H);7.44(m,1H);7.27(m,3H);7.14(d,2H);5.24(s,2H);4.04(m,1H);3.61(s,3H);3.03(m,2H);1.94(m,2H);1.38(s,9H)
【0139】
記載例3:(2S)−5−{4−[(2−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸メチル(D3)
【化27】

(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−{4−[(2−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−5−オキソペンタン酸メチル(D2,243g)の乾燥DCM(2430mL)中溶液に、0℃にて、TFA(461mL)を滴下した。混合物を室温に加温し、3時間攪拌した。溶媒および過剰なTFAを真空下で除去し、得られた暗色油をEtOAc(2x1215mL)でストリッピングし、高真空下で一晩放置した。標題化合物を赤色油として得(392g)、さらに精製することなく下記の工程に用いた。
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ(ppm):8.16(m,2H);7.60(td,1H);7.46(m,1H);7.34(m,2H);7.27(m,2H);5.32(s,2H);5.25(m,1H);3.77(s,3H);3.57(m,2H);2.60(m,1H);2.34(m,1H)
【0140】
記載例4:(5R)−5−{4−[(2−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−L−プロリン酸メチル(D4)
【化28】

(2S)−5−{4−[(2−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸メチル(D3)(392g)を水素化反応器中、EtOAc(3160mL)中に溶解した。炭素上の5%白金(Engelhardコード44379,水分含量約50%,15.8g)を加え、反応器を2atmの圧力になるまで水素ガスで満たし、反応混合物を約1.5時間攪拌した。反応器を減圧し、使用済みの触媒をCeliteで濾過し、EtOAc(2x500mL、次いでさらに200mL)で洗浄した。水性飽和NaHCO溶液(600)を濾液に加え、次いで、水性13%w/w NaCO溶液(pH=9まで,1000mL)を加えた。該混合物を10分間攪拌し、次いで、相を分離させた。水相を除去し、次いで、有機層をブライン(600mL)で1回洗浄した。得られた溶液を濃縮乾固し、残渣をシクロヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た(133g)。
H NMR(600MHz,DMSO−d6)δ(ppm):7.55(dt,1H);7.41(m,1H);7.34(m,2H);7.23(m,2H);6.97(m,2H);5.12(s,2H);4.09(dd,1H);3.83(dd,1H);3.66(s,3H);2.97(bs,1H);2.04(m,2H);1.94(m,1H);1.52(m,1H)
【0141】
記載例5:(2S,5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,2−ピロリジンジカルボン酸2−メチル 1−(フェニルメチル)(D5)
【化29】

上記と類似の方法で調製された(5R)−5−{4−[(2−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−L−プロリン酸メチル(D4,2.5g,7.6mmol)のDCM(乾燥,25ml)中溶液に、DIPEA(2ml,11.4mmol)を加えた。該溶液を0℃に冷却し、CbzCl(1.3ml,9.1ml)を滴下した。該混合物を攪拌下、1時間かけて室温に温め、次いで、20%水性クエン酸溶液およびブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:シクロヘキサン 85:15)によって精製して、標題化合物を得た(3.4g)。Rt(HPLC):6.56分。
H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):7.60−7.44(m,3H),7.43−7.29(m,3H),7.26−7.05(m,4H),7.03−6.87(m,3H),5.18−4.83(m,5H),4.61−4.42(m,1H),3.90−3.62(d,3H),2.42−2.18(m,2H),2.17−2.05(m,1H),2.04−1.91(m,1H)
【0142】
記載例6:(2R,5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−[(メチルオキシ)メチル]−1,2−ピロリジンジカルボン酸2−メチル 1−(フェニルメチル)(D6)
【化30】

上記と類似の方法を用いて調製された(2S,5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,2−ピロリジンジカルボン酸2−メチル 1−(フェニルメチル)(D5,800mg,1.726mmol)の乾燥THF(16ml)中溶液に、−78℃にて、THF中におけるLiHMDS(1.899ml,1.899mmol)1M溶液を滴下し、反応混合物を−40℃で30分間攪拌した。該混合物を−78℃になるまで冷却し、MOM−Cl(1.311ml,17.26mmol)を加えた。次いで、反応混合物を同温度で3時間攪拌した。
反応物をNaHCO(飽和溶液2ml)でクエンチし、水で希釈し、酢酸エチル(3x100ml)で抽出した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させた。残渣をカラム25+Mおよびシクロヘキサン〜シクロヘキサン/酢酸エチル 7:3を溶出液として用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system)によって精製して、標題化合物を無色油として得た(680mg,1.340mmol,78%収率)。Rt(HPLC):6.78分;MS−ES(+):508[MH+],C29H30FNO6の理論値507。
【0143】
記載例7:(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−[(メチルオキシ)メチル]−1−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−L−プロリン(D7)
【化31】

(2R,5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−[(メチルオキシ)メチル]−1,2−ピロリジンジカルボン酸2−メチル 1−(フェニルメチル)(D6,680mg,1.340mmol)のメタノール(5ml)中溶液に、水酸化リチウム(64.2mg,2.68mmol)の水(2.5ml)中溶液を加え、反応混合物を80℃で1時間、マイクロ波照射下で攪拌した。有機溶媒を真空下で除去し、得られた水層をクエン酸バッファーを用いてpH5に調整し、酢酸エチル(3x80ml)で抽出した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させて、標題化合物を白色ゴムとして得た(615mg,1.246mmol,93%収率)。UPLC:Rt=0.88分;MS−ES(+):494,MS−ES(−):492 C28H28FNO6の理論値493。
【0144】
記載例8:(2R,5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−[(メチルアミノ)カルボニル]−2−[(メチルオキシ)メチル]−1−ピロリジンジカルボン酸フェニルメチル(D8)
【化32】

(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−[(メチルオキシ)メチル]−1−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−L−プロリン(D7,300mg,0.608mmol)およびDIPEA(0.212ml,1.216mmol)のDMF(5ml)中溶液に、TBTU(234mg,0.729mmol)を加え、反応混合物を室温で5分間攪拌した。THF中におけるメチルアミン2M溶液(0.456ml,0.912mmol)を加え、混合物を室温で1時間攪拌した。反応物をブラインでクエンチし、水で希釈し、酢酸エチル(3x50ml)で抽出した。有機層を氷冷ブライン(3x50ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させ、残渣を、カラム25+Mおよび溶出液としてシクロヘキサン〜シクロヘキサン/酢酸エチル 7:3を用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system)によって精製した。標題化合物を無色油として得た(260mg,0.513mmol,84%収率)。Rt(HPLC):6.23分、MS−ES(+):507、C29H31FN2O5の理論値506。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):7.73−7.29(m,6H),7.26−7.15(m,4H),7.15−7.07(m,1H),7.01−6.81(m,1H),5.20−5.08(m,2H),5.08−4.73(m,3H),4.01−3.88(m,1H),3.86−3.65(m,1H),3.48−3.25(m,3H),3.04−2.75(m,3H),2.63−2.41(m,1H),2.41−2.18(m,2H),1.87−1.74(m,1H)
【0145】
記載例9:(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−N−メチル−2−[(メチルオキシ)メチル]−L−プロリンアミド(D9)
【化33】

(2R,5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−[(メチルアミノ)カルボニル]−2−[(メチルオキシ)メチル]−1−ピロリジンカルボン酸フェニルメチル(D8,260mg,0.513mmol)のメタノール(10ml)中溶液に、Pd/C(30mg,0.282mmol)を加え、反応混合物を水素下(1atm)で20分間攪拌した。触媒を濾過により除去し、溶媒を蒸発させて標題化合物を無色油として得た(184mg,0.494mmol,96%収率)。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):8.10−7.97(bs,1H),7.57−7.50(m,1H),7.38−7.29(m,3H),7.22−7.15(m,1H),7.15−7.07(m,1H),7.02−6.95(m,2H),5.19(s,2H),4.33−4.25(m,1H),3.98−3.92(d,1H),3.40−3.33(m,4H),2.87(d,3H),2.79−2.66(m,1H),2.24−2.16(m,1H),2.11−2.02(m,1H),1.86−1.75(m,1H),1.70−1.63(m,1H)
【0146】
記載例10:(2R,5R)−2−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−[(メチルオキシ)メチル]−1−ピロリジンカルボン酸フェニルメチル(D10)
【化34】

(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−[(メチルオキシ)メチル]−1−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−L−プロリン(D7,300mg,0.608mmol)およびDIPEA(0.212ml,1.216mmol)のDMF(5ml)中溶液に、TBTU(234mg,0.729mmol)を加え、反応混合物を室温で15分間攪拌した。次いで、THF中におけるジメチルアミン2M溶液(0.456ml,0.912mmol)を加え、混合物を室温で1時間攪拌した。反応物をブラインでクエンチし、水で希釈し、酢酸エチル(3x50ml)で抽出した。有機層を氷冷ブライン(3x50ml)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させ、残渣を、カラム25+Mおよび溶出液としてシクロヘキサン〜シクロヘキサン/酢酸エチル 7:3を用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system)によって精製した。標題化合物を無色油として得た(270mg,0.519mmol,85%収率)。UPLC:Rt=0.90分、MS−ES(+):521、C30H33FN2O5の理論値520。
【0147】
記載例11:(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−N,N−ジメチル−2−[(メチルオキシ)メチル]−L−プロリンアミド(D11)
【化35】

(2R,5R)−2−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−[(メチルオキシ)メチル]−1−ピロリジンカルボン酸フェニルメチル(D10,270mg,0.519mmol)のメタノール(10ml)中溶液にPd/C(55.2mg,0.519mmol)を加え、反応混合物を水素下(1atm)で20分間攪拌した。触媒を濾過によって除去し、溶媒を蒸発させて、標題化合物を無色油として得た(195mg,0.505mmol,97%収率)。UPLC:Rt=0.61分、M=387、C22H27FN2O3の理論値386。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):7.52(t,1H),7.33(m,3H),7.17(m,1H),7.10(m,1H),6.96(m,2H),5.14(s,2H),4.30(m,1H),3.78(d,2H),3.54(m,1H),3.41(s,3H),3.18(bs,6H),2.40(m,1H),2.16(m,1H),1.90(m,1H),1.69(m,1H)
【0148】
記載例12:(2R,5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,2−ピロリジンジカルボン酸2−メチル 1−(フェニルメチル)(D12)
【化36】

(2S,5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,2−ピロリジンジカルボン酸2−メチル 1−(フェニルメチル)(D5,2.0g,4.31mmol)のTHF(乾燥,25ml)中溶液に、アルゴン下、−78℃にて、LiHDMS(4.7ml,4.7mmol)を滴下した。該混合物をさらに40分間攪拌し、−40℃に温めた。該溶液を再び−78℃にし、エチルホルメート(8.4ml)を加え、該溶液を−78℃でさらに7時間攪拌した。反応物をブラインでクエンチし、酢酸エチルおよび水で希釈した。有機層を乾燥させ、濾過して、黄色を帯びた油を得(約2.5g)、それをさらに精製することなく用いた。該粗中間体をMeOH(20ml)中0℃で溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(160mg,4.3mmol)を加えた。該混合物を0℃で2時間攪拌した。反応物を5%NaHCOでクエンチし、メタノールを蒸発させ、残渣を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を乾燥させ、濾過した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン:EtOAc 9:1〜7:3)によって精製して、標題化合物を得た(1.19g)。Rt(HPLC):6.06分。
【0149】
記載例13:(2R,5R)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,2−ピロリジンジカルボン酸2−メチル 1−(フェニルメチル)(D13)
【化37】

(2R,5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,2−ピロリジンジカルボン酸2−メチル 1−(フェニルメチル)(D12,600mg,1.216mmol)および2,6−ルチジン(0.212ml,1.824mmol)の乾燥DCM(5ml)中溶液に、0℃にて、ゆっくりと、TDBMSOTf(0.335ml,1.459mmol)を加え、反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応物を水で希釈し、DCM(3x80ml)で抽出した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させた。残渣を、カラム25+Mおよび溶出液としてシクロヘキサン〜シクロヘキサン/酢酸エチル 7:3を用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system)によって精製して、標題化合物を無色油として得た(730mg,1.201mmol,99%収率)。UPLC:Rt=1.23分。
H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):7.61−7.29(m,5H),7.24−6.73(m,8H),5.18−4.75(m,5H),4.51−4.38(m,1H),4.02−3.88(d,1H),3.86−3.76(s,2H),3.65−3.50(s,1H),2.79−2.57(m,1H),2.43−2.18(m,2H),1.90−1.70(m,1H),0.92−0.86(m,9H),0.09−0.0(m,6H)
【0150】
記載例14:(5R)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−L−プロリン(D14)
【化38】

(2R,5R)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,2−ピロリジンジカルボン酸2−メチル 1−(フェニルメチル)(D13,730mg,1.201mmol)のメタノール(8ml)中溶液に、LiOH.HO(101mg,2.402mmol)の水(4.00ml)中溶液を加え、混合物を90℃にて、マイクロ波照射下で2時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を水中に溶解し、クエン酸バッファーでpH=5に調整し、該溶液を酢酸エチル(2x100ml)で抽出した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させて、標題化合物を白色ゴムとして得た(590mg,0.994mmol,83%収率)。UPLC:Rt=1.15分。
【0151】
記載例15:(2R,5R)−2−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1−ピロリジンカルボン酸フェニルメチル(D15)
【化39】

(5R)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−L−プロリン(D14,295mg,0.497mmol)のDMF(4ml)中溶液に、DIPEA(0.174ml,0.994mmol)およびTBTU(191mg,0.596mmol)を加え、反応混合物を室温で15分間攪拌した。THF中におけるジメチルアミン2M溶液(0.373ml,0.745mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応物をブラインでクエンチし、水で希釈し、酢酸エチル(3x80ml)で抽出した。有機層を氷冷ブライン(3x100ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させた。残渣を、カラム25+Mおよび溶出液としてシクロヘキサン〜シクロヘキサン/酢酸エチル 7:3を用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system)によって精製して、標題化合物を無色油として得た(240mg,0.387mmol,78%収率)。Rt(HPLC):8.09分、UPLC:Rt=1.18分。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):7.58−7.49(m,1H),7.48−7.15(m,8H),7.15−7.06(m,1H),7.06−6.78(m,3H),5.34−5.09(m,3H),5.09−4.79(m,2H),4.69−4.19(d,1H),4.14−4.04(m,1H),3.20−2.98(m,3H),2.98−2.78(m,3H),2.78−2.52(m,1H),2.52−2.24(m,2H),2.11−1.82(m,1H),0.90(s,9H),0.05(d,6H)
【0152】
記載例16:(5R)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−N,N−ジメチル−L−プロリンアミド(D16)
【化40】

(2R,5R)−2−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1−ピロリジンカルボン酸フェニルメチル(D15,240mg,0.387mmol)のメタノール(10ml)中溶液に、Pd/C 10%w/w(30mg,0.028mmol)を加え、反応混合物をH2雰囲気下(P=1atm)、室温で1時間攪拌した。該混合物をCELITE上で濾過し、溶媒を蒸発させて、標題化合物を無色油として得た(185mg,0.380mmol,98%収率)。UPLC:Rt=0.78分、M=487、C27H39FN2O3Siの理論値486、Rt(HPLC):5.33分。
【0153】
記載例17:(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−(ヒドロキシメチル)−N,N−ジメチル−L−プロリンアミド(D17)
【化41】

(5R)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−N,N−ジメチル−L−プロリンアミド(D16,185mg,0.380mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(THF)(8ml)中溶液に、0℃にて、THF中におけるTBAF 1M(0.418ml,0.418mmol)を滴下し、反応混合物を同温度で1時間攪拌した。反応物を5%NaHCO溶液(10ml)でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させて、残渣を、カラム12+Mおよび溶出液としてジクロロメタン〜DCM/MeOH 95:5を用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system)によって精製して、標題化合物を白色固体として得た(70mg,0.188mmol,49.4%収率)。UPLC:Rt=0.59分、M=373、C21H25FN2O3の理論値372、Rt(HPLC):3.35分。
【0154】
記載例18:(2R,5R)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−[(メチルアミノ)カルボニル]−1−ピロリジンカルボン酸フェニルメチル(D18)
【化42】

(5R)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−L−プロリン(D14,295mg,0.497mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4ml)中溶液に、DIPEA(0.174ml,0.994mmol)およびTBTU(191mg,0.596mmol)を加え、反応混合物を室温で15分間攪拌した。THF中におけるメチルアミン2M溶液(0.373ml,0.745mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応をブラインでクエンチし、水で希釈し、酢酸エチル(3x80ml)で抽出した。有機層を氷冷ブライン(3x100ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させた。残渣を、カラム25+Mおよび溶出液としてシクロヘキサン〜シクロヘキサン/酢酸エチル 7:3を用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system)によって精製して、標題化合物を無色油として得た(215mg,0.354mmol,71.3%収率)。UPLC:Rt=1.16分。
H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):7.70−7.58(m,1H),7.57−7.49(m,1H),7.47−7.29(m,3H),7.26−7.06(m,5H),7.06−6.74(m,4H),5.21−5.10(s,2H),5.09−4.75(m,3H),4.24−3.94(m,2H),3.03−2.67(m,3H),2.64−2.42(m,1H),2.42−2.16(m,2H),1.86−1.72(m,1H),0.93(s,9H),0.16−0.04(d,6H)
【0155】
記載例19:(5R)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−N−メチル−L−プロリンアミド(D19)
【化43】

(2R,5R)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−[(メチルアミノ)カルボニル]−1−ピロリジンカルボン酸フェニルメチル(D18,215mg,0.354mmol)のメタノール(10ml)中溶液に、Pd/C 10%w/w(30mg,0.028mmol)を加え、反応混合物をH2雰囲気下(P=1atm)、室温で1時間攪拌した。混合物をCELITE上で濾過し、溶媒を蒸発させて、標題化合物を無色油として得た(160mg,0.339mmol,96%収率)。UPLC:Rt=0.82分、M=473、C26H37FN2O3Siの理論値472、Rt(HPLC):5.21分。
【0156】
記載例20:(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−(ヒドロキシメチル)−N−メチル−L−プロリンアミド(D20)
【化44】

(5R)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−N−メチル−L−プロリンアミド(D19,160mg,0.339mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(THF)(6ml)中溶液に、0℃にて、THF中におけるTBAF 1M(0.372ml,0.372mmol)を滴下し、反応混合物を同温度で1時間攪拌した。反応物を5%NaHCO溶液(10ml)でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させ、残渣を、カラム12+Mおよび溶出液としてジクロロメタン〜ジクロロメタン/メタノール 95:5を用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system)によって精製して、標題化合物を白色固体として得た(85mg,0.237mmol,70.1%収率)。Rt(HPLC):3.67分、UPLC:Rt=0.57分、M=359、C20H23FN2O3の理論値358。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δppm:8.07(m,1H),7.55(t,1H),7.39(m,3H),7.25(m,2H),6.97(m,2H),5.12(s,2H),4.87(t,2H),4.20(m,1H),3.69(q,1H),3.37(q,1H),3.01(d,3H),1.98−1.87(m,2H),1.69(m,1H),1.37(m,1H)
【0157】
実施例
実施例1:(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−N−メチル−2−[(メチルオキシ)メチル]−L−プロリンアミド塩酸塩(E1)
【化45】

(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−N−メチル−2−[(メチルオキシ)メチル]−L−プロリンアミド(D9,184mg)をジエチルエーテル(4ml)中に溶解し、Et2O中におけるHCl 1M(0.5ml)を加えた。溶媒を除去して、標題化合物を白色固体として得た(200mg,0.489mmol,95%収率)。MS−ES(+):374、C21H25FN2O3の理論値373。
H NMR(500MHz,DMSO−d) d ppm 10.04−10.26(m,1H)8.64−8.85(m,1H)8.16−8.33(m,1H)7.57(t,1H)7.46(d,2H)7.41−7.48(m,1H)7.23−7.30(m,2H)7.11(d,2H)5.18(s,2H)4.57−4.76(m,1H)3.98(d,1H)3.76(d,1H)3.30(s,3H)2.75(d,3H)2.29−2.38(m,1H)2.19−2.31(m,1H)2.03−2.17(m,1H)1.80−1.96(m,1H)
【0158】
実施例2:(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−N,N−ジメチル−2−[(メチルオキシ)メチル]−L−プロリンアミド塩酸塩(E2)
【化46】

(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−N,N−ジメチル−2−[(メチルオキシ)メチル]−L−プロリンアミド(D11,195mg)をジエチルエーテル(4ml)中に溶解し、Et2O中におけるHCl 1M(0.5ml)を加えた。溶媒を除去して、標題化合物を白色固体として得た(206mg,0.504mmol,97%収率)。Rt(HPLC):3.97分、UPLC:Rt=0.58分、M=387、C22H27FN2O3の理論値386。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δppm:10.17−10.36(m,1H)8.41−8.67(m,1H)7.57(t,1H)7.46(d,2H)7.41−7.49(m,1H)7.23−7.31(m,2H)7.11(d,2H)5.18(s,2H)4.65−4.78(m,1H)4.05(d,1H)3.86(d,1H)3.34(s,3H)3.14(s,3H)2.99(s,3H)2.42−2.53(m,1H)2.29−2.39(m,1H)2.20−2.31(m,1H)1.93−2.04(m,1H)
【0159】
実施例3:(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−(ヒドロキシメチル)−N,N−ジメチル−L−プロリンアミド塩酸塩(E3)
【化47】

(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−(ヒドロキシメチル)−N,N−ジメチル−L−プロリンアミド(D17,70mg,0.188mmol)。該固体をジエチルエーテル(3ml)中に溶解し、Et2O中におけるHCl 1M(0.26ml)を加え、該懸濁液をトリチュレートし、真空下で溶媒を除去して、標題化合物(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−(ヒドロキシメチル)−N,N−ジメチル−L−プロリンアミド.HClを白色固体として得た(75mg,0.183mmol,48.3%収率)。UPLC:Rt=0.58分、M=373、C21H25FN2O3の理論値372。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δppm 10.02−10.25(m,1H)8.37−8.58(m,1H)7.55(t,1H)7.46(d,2H)7.39−7.47(m,1H)7.21−7.29(m,2H)7.09(d,2H)5.82(t,1H)5.15(s,2H)4.64−4.76(m,1H)4.05(dd,1H)3.94(dd,1H)3.12(s,3H)2.95(s,3H)2.37−2.46(m,1H)2.21−2.37(m,2H)1.96−2.07(m,1H)
【0160】
実施例4:(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−(ヒドロキシメチル)−N−メチル−L−プロリンアミド塩酸塩
【化48】

(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−(ヒドロキシメチル)−N−メチル−L−プロリンアミド(D20,85mg,0.237mmol)をジエチルエーテル(3ml)中に溶解し、EtO中におけるHCl 1M(0.26ml)を加え、該懸濁液をトリチュレートし、真空下で溶媒を除去して、標題化合物(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−2−(ヒドロキシメチル)−N−メチル−L−プロリンアミド.HClを白色固体として得た(90mg,0.228mmol,67.3%収率)。Rt(HPLC):3.68分、UPLC:Rt=0.55分、M=359、C20H23FN2O3の理論値358。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δppm:9.97−10.21(m,1H)8.58−8.82(m,1H)8.05−8.25(m,1H)7.57(t,1H)7.46(d,2H)7.41−7.50(m,1H)7.22−7.32(m,2H)7.12(d,2H)5.69(t,1H)5.19(s,2H)4.57−4.79(m,1H)3.76−4.06(m,2H)2.75(d,3H)2.23−2.35(m,2H)2.06−2.21(m,1H)1.83−2.00(m,1H)
【0161】
生物学的アッセイ
Naチャネルアッセイプロトコール
本発明の化合物の電位依存性ナトリウムチャネルサブタイプNaV1.3を変調する能力は、下記のアッセイによって決定されうる。
【0162】
細胞生物学
hNaV1.3チャネルを発現している安定な細胞系統は、リポフェクタミン(Invitrogen)トランスフェクション法を用いて、CHO細胞をpCIN5−hNav1.3ベクターでトランスフェクトすることによって作成された。pCIN5は、CMVプロモーターの下流でネオマイシン選択性マーカーcDNAに連結している組み換えcDNAによって(詳細は、Chen YH,Dale TJ,Romanos MA,Whitaker WR,Xie XM,Clare JJ.Cloning,distribution and functional analysis of the type III sodium channel from human brain Eur J Neurosci,2000 Dec;12,4281−9参照のこと)、全てのネオマイシン耐性細胞を組み換え蛋白を発現するようにする哺乳動物細胞系統の作成のためのビシストロンベクターである(Rees S.,Coote J.,Stable J.,Goodson S.,Harris S.&Lee M.G.(1996)Biotechniques,20,102−112参照)。細胞を、10%ウシ胎仔血清、1%L−グルタミン、1%ペニシリン−ストレプトマイシン(Invitrogen)、1%非必須アミノ酸、2%H−Tサプリメントおよび1%G418(Invitrogen)を含有するIscove修飾Dulbecco培地(Invitrogen)中で培養し、空気中5%COを含有する湿潤環境において37℃で維持した。細胞を継代および採取のために、Versene(Invitrogen)を用いてT175培養フラスコから遊離させた。
【0163】
細胞調製
細胞をT75フラスコ中、60〜95%密集度まで生育させた。生育培地を除去し、1.5mlの温めた(37℃)Versene(Invitrogen,15040−066)で6分間インキュベートすることによって、細胞を浮上させた。浮上した細胞を10mlのPBS(Invitrogen,14040−133)中に懸濁した。次いで、細胞懸濁を10ml遠心管に入れ、700rpmで2分間遠心分離した。遠心分離後、上清を除去し、細胞ペレットを3mlのPBS中に再懸濁した。
【0164】
電気生理学
IonWorksHT平面アレイ電気生理学テクノロジー(Molecular Devices Corp.)を用いて、室温(21〜23℃)で電流を記録した。刺激プロトコールおよびデータ取得は、マイクロコンピューター(Dell Pentium 4)を用いて行った。平面電極ホール抵抗(Rp)を決定するために、10mV、160ms電位差を各ホールに与えた。これらの測定は、細胞添加前に実施した。細胞添加後、細胞内アクセスを達成するための抗生物質(アンフォテリシン)循環の前に、シール試験を行った。全ての実験において、160ms過分極(10mV)プレパルス200msを与えることによってリーク・サブトラクションを実施した後に、リーク・コンダクタンスを測定するための試験パルスを与えた。−90mVの保持電位から0mVへの段階的試験パルスを20ms間与え、10Hzの周波数で10回繰り返した。全実験において、試験パルスプロトコールは、化合物の不在下(プレリード(pre-read))および存在下(ポストリード(post-read))において行った。プレリードおよびポストリードは、化合物添加、続いて、3〜3.5分インキュベーションによって隔てられた。
【0165】
溶液および薬物
細胞内溶液は、下記のものを含有していた(mM単位):グルコン酸K 100、KCl 40mM、MgCl 3.2、EGTA 3、HEPES 5、pH7.25に調整。アンフォテリシンは、30mg/mlストック溶液として調製され、最終的な使用時の濃度0.1mg/mlに内部バッファー溶液で希釈された。外部溶液は、DulbeccoのPBS(Invitrogen)であり、下記のものを含有していた(mM単位):CaCl 0.90、KCl 2.67、KPO 1.47、MgCl 0.50、NaCl 138、NaPO 8.10、pH7.4。化合物は、DMSO中、10mMストック溶液として調製され、次いで、1:3連続希釈を行った。最終的に、化合物は、外部溶液中に1:100で希釈され、その結果、最終DMSO濃度は1%であった。
【0166】
データ分析
記録を分析し、さらなる分析から不適当な細胞を排除するために、化合物の不在下におけるシール抵抗(>40MΩ)およびピーク電流振幅(>200pA)の両方を用いてフィルターにかけた。薬物添加前および薬物添加後間の対の比較を用いて、各化合物の阻害効果を決定した。第1の脱分極パルスによって導かれる電流を50%阻害するのに必要な化合物の濃度(緊張性(tonic)pIC50)は、Hill方程式を濃度応答データに当て嵌めることによって決定された。さらに、化合物の使用依存性阻害特性は、第10の脱分極パルス 対 第1の脱分極パルスにおける化合物の効果を評価することによって決定された。第1パルスに対する第10パルスの比は、薬物の不在下および存在下で計算され、%使用依存性阻害が計算された。データは、緊張性pIC50と同じ方程式に当て嵌め、15%阻害をもたらす濃度(使用依存性pUD15)を計算した。
実施例1〜4の化合物を上記のアッセイにおいて試験し、pUD15値5.0以上を示した。
【0167】
モノアミンオキシダーゼ−Bアッセイプロトコール
該プロトコールは、MAO−B阻害を試験するためのアッセイを記述する。それは、基質としてベンジルアミンを用いる蛍光に基づく終点アッセイである。MAO−Bによる基質の酸化は、過酸化水素放出をもたらし、次いで、該生成物を用いて、ペルオキシダーゼによって、非蛍光性Amplex Red(TM)を蛍光性レソルフィン(resorufin)に変換する。全体的な反応を下記に示す。
【0168】
【化49】

【0169】
かくして、試験化合物による該酵素の阻害は、蛍光減少をもたらす。
該アッセイは、バキュロウイルス感染昆虫細胞由来のミクロソームに存在するヒト組み換えモノアミンオキシダーゼB(Gentest−BD Scienceより供給)を用いる。化合物は、該アッセイにおける酵素活性の最大阻害の半分を引き起こす濃度(IC50)を決定するために、一連の濃度範囲において試験される。パルギリン(Sigma)は、該アッセイにおける正の対照として用いられ、0.4〜2μMの範囲のIC50を与える。
【0170】
無水DMSO中における試験化合物0.1μlを黒色低量Greiner384−ウェルプレートに分注する。5μlの基質溶液(100μMベンジルアミン(Sigma)、50μM Amplex Red(Molecular Probes)、50mMリン酸カリウム、pH7.4、1IU/ml西洋ワサビペルオキシダーゼXII型(Sigma))を加える。5μlのアッセイバッファー(50mMリン酸カリウム、pH7.4)をブランクのウェルに加える。5μlの酵素溶液(0.23IU/mlヒト組み換えモノアミンオキシダーゼB,1IU/ml西洋ワサビペルオキシダーゼXII型(Sigma)、50mMリン酸カリウム、pH7.4)を残りのウェルに加える。正確に混合されるように振盪させる。室温、暗所で60分間インキュベートする。Viewluxリーダー(PerkinElmer;レソルフィン:Ex:525/20;EM:598/25;Dichroic:Bodipy)を用いて蛍光を読み取る。
【0171】
与えられた化合物の効果は、下記のように計算される。
%阻害=100x[(データ−対照1)/(対照2−対照1)]
式中、対照1は、最大活性を示す酵素(すなわち、阻害されていない)に相当し、対照2は、HRPの不在下におけるマイナスの酵素蛍光に相当する。
【0172】
実施例1〜4の各々を該アッセイにおいて試験し、pIC50 6.0未満を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
は、HまたはCHであり;
は、HまたはCHである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
((5R)−5−{4−[(2−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−2−(メトキシメチル)−N−メチル−L−プロリンアミド;
(5R)−5−{4−[(2−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−2−(メトキシメチル)−N,N−ジメチル−L−プロリンアミド;
(5R)−5−{4−[(2−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−2−(ヒドロキシメチル)−N,N−ジメチル−L−プロリンアミド;または
(5R)−5−{4−[(2−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−2−(ヒドロキシメチル)−N−メチル−L−プロリンアミド
である式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
請求項1または2記載の式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物、および医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項4】
治療において用いられる請求項1または2記載の式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
電位依存性ナトリウムチャネルの変調によって媒介される疾患または状態の治療または予防に用いられる請求項1または2記載の式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項6】
疾患または状態が鬱または気分障害である請求項5記載の化合物。
【請求項7】
疾患または状態が双極性障害である請求項6記載の化合物。
【請求項8】
疾患または状態が物質関連障害である請求項5記載の化合物。
【請求項9】
電位依存性ナトリウムチャネルの変調によって媒介される疾患または状態を治療または予防するための医薬の製造における請求項1または2記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
【請求項10】
疾患または状態が鬱または気分障害である請求項9記載の使用。
【請求項11】
疾患または状態が双極性障害である請求項10記載の使用。
【請求項12】
疾患または状態が物質関連障害である請求項9記載の使用。
【請求項13】
請求項1または2記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することを特徴とする、哺乳動物における電位依存性ナトリウムの変調によって媒介される疾患または状態の治療または予防方法。
【請求項14】
疾患または状態が鬱または気分障害である請求項13記載の方法。
【請求項15】
疾患または状態が双極性障害である請求項14記載の方法。
【請求項16】
疾患または状態が物質関連障害である請求項13記載の方法。
【請求項17】
一般式(II)の化合物と水素を触媒の存在下で反応させることを特徴とする、請求項1記載の式(I)の化合物の製法:
【化2】


【公表番号】特表2011−516397(P2011−516397A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501500(P2010−501500)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053886
【国際公開番号】WO2008/122546
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PENTIUM
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】