説明

電力供給ユニット一体型回転電機

【課題】回転電機本体及び制御装置の一体化後のサイズを大型化させることなく、通風路の吸気口と排気口を、十分に離間させてリヤブラケットに形成することのできる電力供給ユニット一体型回転電機を得る。
【解決手段】リヤブラケット4A及びフロントブラケット4Bからなるハウジング3、回転子10、固定子15、及びファン18aを備える回転電機本体2と、回転電機本体2に一体に取り付けられる電力供給ユニット40Aと、を備え、電力供給ユニット40Aは、ファン18aとリヤブラケット4Aの底部5Aとの間に配置され、リヤブラケット4Aは、ファン18aの径方向外側に位置する部位に形成された排気口6b、及び電力供給ユニット40A,40Bより底部5A側に開口する吸気口6aを有し、電力供給ユニット40Aとファン18aとの間に配設され、吸気口6aから排気口6bに至る通風路を構成するための仕切り部材51を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電機子巻線を有する固定子、界磁巻線を有する回転子、及び固定子と回転子を支持するハウジングを有する回転電機本体に、電機子巻線や界磁巻線に電力を供給する電力供給ユニットが一体に取り付けられた電力供給ユニット一体型回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の制御装置一体型回転電機は、回転子、回転子を軸まわりに回転自在に支持する負荷側及び反負荷側ブラケット、回転子を囲繞するように配置され、負荷側及び反負荷側ブラケットに支持される固定子、及び回転子の軸方向両端に設けられ、回転子とともに回転し、固定子と回転子を冷却する冷却風を誘起するファンを有する回転電機本体と、回転電機本体を制御する制御部品、及び表面に制御部品が取り付けられる板状部と板状部の裏面に突設される放熱フィンにより構成され、放熱フィンを反負荷側ブラケットの回転子の軸方向の外側の壁部に向けるとともに、反負荷側ブラケットと板状部の間に所定の隙間をあけて配置され、当該隙間に冷却風が通過するように反負荷側ブラケットに固定された制御装置と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、反負荷側ブラケットと板状部の間の隙間を吸気部とし、吸気部からフィンを通過させて反負荷側ブラケットに形成した貫通孔を介して反負荷側ブラケット内に入り、ファンの外周部の外側に位置する反負荷側ブラケットの部位に形成した排気部に至る通風路が形成されている。
【0004】
ファンの回転に伴って絶えず誘起される冷却風が、吸気部から排気部に向かって通風路内を流れて、ハウジングの外側に排出される。これにより、制御部品に発生して放熱フィンに伝導された熱、及び固定子や回転子で発生する熱は、冷却風に奪われてハウジングの外側に排出されるので、制御部品、固定子、及び回転子が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−33986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の制御装置一体型回転電機において、排気部と吸気部との距離を離すと反負荷側ブラケットの回転子の軸方向の寸法が大きくなってしまう。従来の制御装置一体型回転電機は、小型化を実現するため、排気部と吸気部の互いの間の距離を短く設定し、反負荷側ブラケットのサイズを小さく製造していた。
この場合、制御部品、固定子、及び回転子の熱を奪い、暖められて排気部から排出される空気が、十分に冷やされないまま吸入部から再び通風路に吸い込まれてしまい、制御部品、固定子、及び回転子が、十分に冷却されないという問題があった。
【0007】
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、パワー回路モジュール、及び界磁回路モジュールが取り付けられるヒートシンクをハウジング内に配置する構成とし、一体化した回転電機本体及び電力供給ユニットのサイズを大型化させることなく、パワー回路モジュールや界磁回路モジュールの熱を冷却するための空気が流される通風路の吸気口と排気口を、十分に離間させてリヤブラケットに形成することのできる電力供給ユニット一体型回転電機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の電力供給ユニット一体型回転電機は、それぞれ、有底円筒状に形成され、開口部を相対させて連結されるリヤブラケット及びフロントブラケットからなるハウジング、一端側及び他端側をリヤブラケット及びフロントブラケットに回転可能に支持された回転軸に同軸に固定される回転子、回転子を囲繞するように配置され、リヤブラケット及びフロントブラケットの開口端部に挟持される固定子、及び回転子の一端部に取り付けられるファンを備える回転電機本体と、固定子と回転子に電力を供給するパワー回路モジュールと界磁回路モジュール、及びパワー回路モジュールと界磁回路モジュールが取り付けられるヒートシンクを有し、回転電機本体に一体に取り付けられる電力供給ユニットと、を備えている。そして、電力供給ユニットは、ファンとリヤブラケットの底部との間に配置され、リヤブラケットは、ファンの径方向外側に位置する部位に形成された排気口、及び電力供給ユニットより底部側に開口する吸気口を有し、さらに、電力供給ユニット一体型回転電機は、電力供給ユニットとファンとの間に、内径側を連通させるように配設され、ファンの回転時、ファンの内径側に発生する負圧によって吸気口から吸いこまれる空気を、ファンの負圧部に導いた後に排気口に送る通風路を構成するための仕切り部材を備えている。そして、ヒートシンクは、パワー回路モジュールと界磁回路モジュールが表面に取り付けられる板状のモジュール取付部、及びモジュール取付部の裏面に突設された第1放熱フィンを有し、第1放熱フィンを通風路内に延在させるように配置されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る電力供給ユニット一体型回転電機によれば、電力供給ユニットがリヤブラケット内に配置され、吸気口が電力供給ユニットより底部側のリヤブラケットの部位に設けられ、排気口が電力供給ユニットより回転子側のリヤブラケットの部位に設けられている。このため、電力供給ユニット一体型回転電機を大型化させることなく、吸気口と排気口の間の距離を長くとることができる。これにより、排気口から排気された空気が吸気口に回り込んで、再度通風路に吸い込まれることが防止され、パワー回路モジュール、界磁回路モジュール、固定子、及び回転子を効果的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る電力供給ユニット一体型回転電機の断面図である。
【図2】図1のII−II矢視断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る電力供給ユニット一体型回転電機のリヤブラケットの斜視図である。
【図4】図1のIV−IV矢視断面図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る電力供給ユニット一体型回転電機の断面図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係る電力供給ユニット一体型回転電機の要部断面図である。
【図7】撓み防止部材が取り付けられていない電力供給ユニット一体型回転電機のリヤブラケット側を模式的に示す要部断面図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係る電力供給ユニット一体型回転電機の断面図である。
【図9】図8のIX−IX矢視断面図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係る電力供給ユニット一体型回転電機のリヤブラケットの斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態5に係る電力供給ユニット一体型回転電機の要部断面図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係る電力供給ユニット一体型回転電機のヒートシンクの他の実施態様を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る電力供給ユニット一体型回転電機の断面図、図2は図1のII−II矢視断面図、図3はこの発明の実施の形態1に係る電力供給ユニット一体型回転電機のリヤブラケットの斜視図、図4は図1のIV−IV矢視断面図である。
【0013】
図1〜図4において、電力供給ユニット一体型回転電機1Aは、回転電機本体2と、回転電機本体2に一体に取り付けられる制御装置30と、を有する。
【0014】
回転電機本体2は、ボルト(図示せず)を用いて一体化されたリヤブラケット4A及びフロントブラケット4Bからなるハウジング3と、リヤブラケット4A及びフロントブラケット4Bに取り付けられた一対の軸受け9a,9bに軸周りに回転自在に支持される回転軸20と、ハウジング3内で回転軸20に同軸に固定されて回転軸20とともに回転する回転子10と、回転子10の外周側を囲繞するようにハウジング3に固定された固定子15と、回転軸20の一端に取り付けられ、回転子10の回転角度を検出するレゾルバ26と、回転軸20の他端に固定されたプーリ8と、を備える。
【0015】
また、回転電機本体2は、回転子10の回転軸方向の両端部に、回転子10に同軸に取り付けられるファン18a,18bと、回転子10の回転軸方向の一側で回転軸20に固定され、回転子10に電流を供給するスリップリング21と、スリップリング21に摺接するようにリヤブラケット4Aに支持されるブラシホルダ22に収納された一対のブラシ24と、を備えている。
【0016】
リヤブラケット4Aは、図3に示されるように底部5A及び筒状部6Aからなる概略有底円筒状に作製され、軸挿通孔が底部の中央部に開口するように形成されている。
また、複数の吸気口6aが、筒状部6Aの軸方向の一端側に周方向に略等角ピッチで形成され、排気口6bが、筒状部6Aの軸方向の他端側に周方向に吸気口6aと同じピッチで形成されている。
吸気口6a及び排気口6bは、長手方向が筒状部6Aの軸方向に一致する長穴形状に形成されている。また、吸気口6aの長手方向の一端は、筒状部6Aから底部5Aの外縁を含む部位に至るように形成されている。
【0017】
また、フロントブラケット4Bは、底部5B及び筒状部6Bからなる概略有底円筒状に作製され、軸挿通孔が底部5Bの中央部に開口するように形成されている。
そして、リヤブラケット4A及びフロントブラケット4Bは、それぞれの開口部を相対させて配置され、図示しないボルトにより連結されてハウジング3を構成している。
【0018】
そして、回転軸20が、一端及び他端を、底部5A,5Bのそれぞれに形成された軸挿通孔に取り付けられた一対の軸受け9a,9bに回転自在に支持されている。
【0019】
回転子10は、電流が流されて磁束を発生する界磁巻線11と、界磁巻線11を覆うように設けられ、界磁巻線11に発生した磁束によって磁極が形成される一対のポールコア体12とから構成される。一対のポールコア体12は、鉄製で、それぞれ、例えば8つの爪状磁極が外周縁に周方向に等角ピッチで軸方向に突設され、爪状磁極をかみ合わせるように対向して回転軸20に固定されている。
【0020】
固定子15は、固定子コア16と、固定子コア16に巻装された電機子巻線17と、を備えている。なお、電機子巻線17は、それぞれスター結線された2つの3相交流巻線(図示せず)により構成されている。
【0021】
固定子15は、回転子10を囲繞して配置され、リヤブラケット4A及びフロントブラケット4Bの開口端部に挟持されている。このとき、リヤブラケット4Aに形成された排気口6bは、ファン18aの径方向外側に位置している。
【0022】
また、ブラシホルダ22は、一面が開口し、開口部と相対する底部と開口部の間に所定の奥行きを有する箱状に形成されている。そして、一対のブラシ24が、一部を開口から突出させ、それぞれ奥行き方向に延在するように互いに平行にブラシホルダ22に収納されている。なお、ブラシホルダ22は、ブラシ24の配列方向に所定の幅を有している。また、詳細には図示しないが、ブラシホルダ22には、一対のブラシ24の配列方向に空気を通すための通し穴が形成されている。
【0023】
そして、ブラシホルダ22は、開口部をスリップリング21に向けるとともに、幅方向を回転軸20の軸方向に一致させて配置されている。また、ブラシホルダ22の開口部から突出されるブラシ24の端部が、スリップリング21に接している。
以上のように回転電機本体2が構成されている。
【0024】
制御装置30は、電力供給ユニット40Aと、通風路形成手段50Aと、制御ユニット60と、により構成されている。
【0025】
電力供給ユニット40Aは、ベースプレート42A、及びベースプレート42Aから延出される第1放熱フィン43aからなり、リヤブラケット4Aに支持されてハウンジング3内に配置されるヒートシンク41Aと、ベースプレート42Aに取り付けられ、固定子15に供給する電流をON/OFFするスイッチング素子(図示せず)を有する3対の第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと、ベースプレート42Aに取り付けられ、回転子10に供給する電流をON/OFFするスイッチング素子を有する界磁回路モジュール45cと、を備えている。
【0026】
ヒートシンク41Aはアルミダイキャストにより作製されている。ベースプレート42Aは、中心に貫通孔が挿通された円盤形状をなし、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cが取り付けられる取付面を表面に有するモジュール取付部42a、及び第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cが取り付けられる部位の径方向外側の縁部に突設された第1ガイド部42bを有している。
【0027】
また、複数の第1放熱フィン43aは、モジュール取付部42aの周方向全域に等角ピッチで延出されている。なお、界磁回路モジュール25cが取り付けられるモジュール取付部42aの部位の裏側から延出される第1放熱フィン43aの延出長さは、他のモジュール取付部42aの裏面から延出される第1放熱フィン43aの長さより短くなっている。
このとき、延出長さの短い複数の第1放熱フィン43aのうち、配列方向の両端に位置する第1放熱フィン43a間の間隔が、おおよそブラシホルダ22の幅に対応している。
【0028】
第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bは、スイッチング素子の制御信号の入力に利用される複数の第1リード端子46、固定子15の電機子巻線17との間の電力授受に利用される複数の第2リード端子47、及びスイッチング素子を封止する封止体48を備えている。なお、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bは、第1リード端子46、及び第2リード端子47をモールド成形により一体化して作製されるモールド封止型モジュールとして構成されている。
【0029】
封止体48は、モールド成形に用いられた樹脂が硬化されたものからなり、詳細には図示しないが、封止体48の裏面には、第2リード端子47に接続される放熱導電部(図示せず)が露出されている。また、封止体48は、第1リード端子46及び第2リード端子47のそれぞれが延出される互いに相対する側面を有し、一方の側面から第1リード端子46が延出され、他方の側面から第2リード端子47が延出されている。
【0030】
また、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bは、鏡面対称構造に作製されている。
具体的には、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bは、第1リード端子46が延出される封止体48の側面が、第1リード端子46の配列方向に位置するように、同一平面上に放熱伝導部を載置して並べたときに、封止体48が、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bの配列方向の中間部の両側で鏡面対称になるように構成されている。
【0031】
また、界磁回路モジュール45cは、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと同様の構成を有する。但し、界磁回路モジュール45cの第2リード端子47は回転子10の界磁巻線11との間の電力授受に利用される。
【0032】
通風路形成手段50Aは、電力供給ユニット40Aとファン18aとの間を仕切る仕切り部材51、及び第1ガイド部42bにより構成される。
仕切り部材51は、仕切り板52及びブラシ24が装着されたブラシホルダ22により構成されている。
仕切り板52は、図4に示されるようにC字形の平板形状に作製され、C字の両端部間に形成される空間の幅は、ブラシホルダ22の幅に対応している。
【0033】
また、制御ユニット60は、リヤブラケット4Aの外部に固定される外部ケース61と、外部ケース61内に装着され、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cのスイッチング素子の制御信号を出力する制御回路部(図示せず)を有する制御基板62と、を備えている。
【0034】
次いで、回転電機本体2への制御装置30の取付構造について説明する。
界磁回路モジュール45cは、長さの短い第1放熱フィン43aに対応するモジュール取付部42aの表面に取り付けられている。さらに、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bが、残りのモジュール取付部42aの表面にモジュール取付部42aの周方向に、第1パワー回路モジュール45aと第2パワー回路モジュール45bが交互に配列されるように取り付けられて電力供給ユニット40Aが構成される。
【0035】
このとき、界磁回路モジュール45cと第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bは、第2リード端子47をモジュール取付部42aの径方向の外側に向けるとともに裏面をモジュール取付部42aの表面に向け、ヒートシンク41Aとの間の電気的な絶縁を保ってモジュール取付部42aの表面に取り付けられている。
【0036】
そして、電力供給ユニット40Aは、ファン18aとリヤブラケット4Aの底部5Aとの間に配置される。このとき、電力供給ユニット40Aは、ヒートシンク41Aの第1放熱フィン43aの先端を一方のファン18aに向け、モジュール取付部42aが回転軸20に直交するように、モジュール取付部42aに形成された貫通孔に回転軸20を同軸に挿通させて配置されている。
【0037】
このとき、ヒートシンク41Aは、延出長さの短い第1放熱フィン43aの先端側にブラシホルダ22が収納されるように配置されている。
【0038】
そして、ボルト65が、ヒートシンク41Aの第1放熱フィン43a側からモジュール取付部42aに挿通されてリヤブラケット4Aの底部5Aに螺着され、電力供給ユニット40Aは、ボルト65を介してリヤブラケット4Aに固定されている。これにより、ヒートシンク41Aとハウジング3とは同電位となる。
【0039】
電力供給ユニット40Aがこのように底部5Aとファン18aとの間に配置されているので、筒状部6Aの軸方向の一端側に形成された吸気口6aの開口部は、電力供給ユニット40Aより底部5A側に位置する。排気口6bは、ファン18aの径方向外側に位置しているので、電力供給ユニット40Aより回転子10側に位置する。
【0040】
また、仕切り板52が、表裏両面を回転軸20の軸方向(回転子10の回転軸方向)に直交させ、ファン18aの外周側の部位と、当該部位と相対する第1放熱フィン43aの先端との間を仕切るようにリヤブラケット4A内に設けられている。このとき、仕切り板52は、図4に示されるように、回転軸20を囲むように配置され、C字の一端及び他端の間にブラシホルダ22が配置されるように、回転軸20の軸まわりの位置が調整されている。また、仕切り板52の外周部は、図1に示されるように、排気口6bの吸気口6a側に隣接するリヤブラケット4Aの部位と略隙間なく相対している。
【0041】
以上をまとめると、仕切り部材51は、電力供給ユニット40Aとファン18aとの間に、電力供給ユニット40A及びファン18aの内径側を連通させるようにリヤブラケット4A内に設けられている。
【0042】
上述したように、ブラシホルダ22の一端側には、内部に収納される一対のブラシ24の配列方向に空気を通すための通し穴が形成されている。
そして、図1の矢印付きの一点鎖線で示されるように、吸気口6aから排気口6bに至る第1通風路が、ベースプレート42A、通風路形成手段50A、回転子10、及び固定子15によってリヤブラケット4A内に構成される。
【0043】
第1通風路は、吸気口6aからモジュール取付部42aの外周部を通って、モジュール取付部42aの裏面と仕切り部材51との間を、仕切り部材51の内径側に向かって進んでファン18aの径方向の内側を経由し、さらに回転子10及び固定子15と仕切り部材51との間を通って排気口6bに至るように構成されている。このとき、第1通風路の延在方向は、ファン18aの内径側の前後で反転している。
【0044】
また、このように第1通風路を構成したので、ヒートシンク41Aは、第1通風路内に第1放熱フィン43aを延在させて配置される。
【0045】
また、制御ユニット60の外部ケース61は、リヤブラケット4Aの底部5Aの外壁に固定されている。
さらに、中継基板70が、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cの第1リード端子46に取り付けられ、制御基板62と中継基板70とが図示しないコネクタを介して連結されている。中継基板70は、各第1リード端子46が連結される部位とコネクタが連結される部位とを接続する配線パターンを有している。
【0046】
これにより、制御基板62の制御回路部は、制御信号を第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cの第1リード端子46に出力可能となる。
【0047】
また、詳細には図示しないが、電機子巻線17を構成する各3相交流巻線の口出し線19のそれぞれは、仕切り板52に設けられた中継ターミナルのそれぞれに連結されている。そして、口出し線19は、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bの第2リード端子47と中継ターミナルとを連結する配線部材を介して第2リード端子47に電気的に接続されている。また、ブラシ24と界磁回路モジュール45cの第2リード端子47とが配線部材により電気的に接続されている。これにより、電機子巻線17と界磁巻線11のそれぞれに、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cのそれぞれの第2リード端子47から電力を供給することが可能になる。
以上のように回転電機本体2と制御装置30とが一体化されて電力供給ユニット一体型回転電機1Aが構成されている。
【0048】
次いで、電力供給ユニット一体型回転電機1Aのシステム構成について説明する。
電力供給ユニット一体型回転電機1Aでは、詳細には図示しないが、計6つの第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bのうちの3つずつのパワー回路モジュールが、インバータユニットを構成している。また、制御基板62の制御回路部は、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cのスイッチング素子のON/OFFを制御可能に接続されている。
【0049】
また、バッテリ、電機子巻線17を構成する3相交流巻線、及びインバータユニットが、3相交流巻線の各相巻線への電力供給制御を、インバータユニットを構成するパワー回路モジュールのスイッチング素子のON/OFF制御により行うことが可能なように、
に接続されている。
また、バッテリ、界磁巻線11、及び界磁回路モジュール45cが、界磁巻線11への電力供給制御を、界磁回路モジュール45cのスイッチング素子のON/OFF制御により行うことが可能なように接続されている。
【0050】
電力供給ユニット一体型回転電機1Aの動作について説明する。
電力供給ユニット一体型回転電機1Aは、電動機及び発電機の両方の機能を併せ持ち、例えば、エンジンの停止と始動が頻繁に行われるアイドリングストップ車などに用いられる。
【0051】
まず、電動機としての動作について説明する。詳細には図示しないが、エンジンの始動時には、直流電力がバッテリからインバータユニットに供給される。制御基板62に実装された制御回路部が、各インバータユニットを構成する第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bのスイッチング素子をON/OFF制御し、バッテリからインバータユニットに入力された直流電流が3相交流電流に変換されて3相交流巻線に供給される。
【0052】
また、制御基板62から入力される制御信号に応じた電流が供給されている界磁巻線11の周囲に回転磁界が発生し、回転子10が回転される。回転子10の回転力が、プーリ8(図1参照)から図示しないベルトを介してエンジンに伝達されてエンジンが始動される。
【0053】
このとき、回転子10が回転されると、ファン18a,18bが回転し、一方のファン18a側では、ファン18aの内径側から径方向の外側に向かって空気が流れて排気口6bから排出され、ファン18aの内径側が負圧となる。
【0054】
これにより、吸気口6aから、リヤブラケット4Aの外部の空気が吸い込まれ、吸い込まれた空気は、モジュール取付部42aの外周部を通って、モジュール取付部42aの裏面と仕切り部材51との間を内径側に流れてファン18aの負圧部に導かれる。
このとき、第1ガイド部42bが、吸気口6aから吸入された空気を、モジュール取付部42aの裏面と仕切り部材51の間に案内する。
そして、ファン18aの負圧部に導かれた空気は、仕切り部材51と回転子10との間を通って排気口6bに送られて、リヤブラケット4Aの外側に排出される。
【0055】
第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cで発生して第1放熱フィン43aに伝導された熱、及び固定子15や回転子10で発生する熱が、第1通風路を移動する空気により奪われて排気口6bからハウンジング3の外部に放出されるので、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45b、界磁回路モジュール45c、固定子15、及び回転子10が冷却される。
【0056】
次いで、発電機としての動作を説明する。
エンジンが始動されると、エンジンの回転力が図示しないクランク軸、ベルト及びプーリ8を介して回転軸20に伝達される。これにより、回転子10が回転され、電機子巻線17の3相交流巻線に3相交流電圧が誘起される。そこで、制御基板62に実装された制御回路部がインバータユニットのスイッチング素子をON/OFF制御し、3相交流巻線に誘起された3相交流電力を直流電力に変換し、この直流電力によりバッテリが充電される。
【0057】
また、回転子10が回転されると、電動機としての動作説明と同様に第1と第2パワー回路モジュール45a,45b、界磁回路モジュール45c、固定子15、及び回転子10が冷却される。
【0058】
この実施の形態1による電力供給ユニット一体型回転電機1Aは、電力供給ユニット40Aが、ファン18aとリヤブラケット4Aの底部5Aとの間に配置されている。リヤブラケット4Aには、排気口6bが、電力供給ユニット40Aより回転子10側の部位に形成され、吸気口6aが、電力供給ユニット40Aより底部5A側に開口するように形成されている。また、回転軸20を囲繞する仕切り部材51が、電力供給ユニット40Aとファン18aとの間に、電力供給ユニット40B及びファン18aの内径側を連通させるように配設されている。そして、仕切り部材51の配設によって、ファン18aの回転時、ファン18aの内径側に発生する負圧によって吸気口6aから吸いこまれる空気を、ファン18aの負圧部に導いた後に排気口6bに送る第1通風路が、ベースプレート42A、及び回転子10及び固定子15とともにリヤブラケット4A内に構成される。
【0059】
また、ヒートシンク41Aは、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cが表面に取り付けられる板状のモジュール取付部42a、及びモジュール取付部42aの裏面に突設された第1放熱フィン43aを有し、第1放熱フィン43aを通風路内に延在させるように配置されている。
【0060】
以上のように、電力供給ユニット40Aをリヤブラケット4A内に配置し、吸気口6a及び排気口6bをリヤブラケット4Aの底部5A側及び回転子10側に設けたので、回転軸20の軸方向に関し、ヒートシンクの放熱フィンに対応する位置に吸気部を有していた従来の制御装置一体型回転電機に比べ、電力供給ユニット一体型回転電機1Aのサイズを大型化させることなく、吸気口6aと排気口6bとの間の距離を長くとることができる。
【0061】
これにより、排気口6bでは、吸気口6aでの空気の吸引の影響を受けにくくなり、排気口6bから排気された空気が、吸気口6aに回り込んで、再び第1通風路に吸い込まれることが防止される。また、仮に、排気口6bから排出された空気が吸気口6aに回り込んでも、吸気口6aに回り込む間に冷やされてから第1通風路に流れ込む。従って、第1と第2パワー回路モジュール45a,45b、界磁回路モジュール45c、固定子15、及び回転子10を効果的に冷却することができる。
【0062】
また、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cが、ヒートシンク41Aに電気的に絶縁されて取り付けられ、また、ヒートシンク41Aとハウジング3は同電位となるように接続されている。
【0063】
通常、自動車に搭載される電力供給ユニット一体型回転電機1Aでは、ハウジング3は接地される。仮に、ヒートシンク41Aとハウジング3とが同電位に設定されていない場合、以下の不具合が生じる。
つまり、自動車に衝撃が加わって、リヤブラケット4Aがある程度変形し、ヒートシンク41Aに接触してしまうと、ヒートシンク41Aとリヤブラケット4Aが短絡し、大きな電流が流れてしまう。この問題に対応するため、ヒートシンク41Aとリヤブラケット4Aとの間の隙間を広くして、リヤブラケット4Aが変形してもヒートシンク41Aに接触させないようにする対策が取られる。この場合、ヒートシンク41Aが小型化されるので、第1放熱フィン43aの放熱面積の縮小してしまう。
【0064】
一方、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45b及び界磁回路モジュール45cをヒートシンク41Aに対して電気的に絶縁し、予め、ヒートシンク41Aとハウジング3とを同電位にしておけば、ヒートシンク41Aとリヤブラケット4Aとの接触を考慮して、ヒートシンク41Aとリヤブラケット4Aとの間の隙間を広くとる必要がなくなる。
このため、第1放熱フィン43aの放熱面積を拡大することができるので、ヒートシンク41Aの放熱性能が向上する。
【0065】
なお、この実施の形態1では、第1ガイド部42bが、ヒートシンク41Aのベースプレート42Aの一部を構成するようにモジュール取付部42aに一体に作製されるものとして説明したが、第1ガイド部は、ヒートシンクとは別の部材で構成されていてもよい。
【0066】
さらに、第1ガイド部42bは、必ずしも設ける必要はなく、省略してもよい。
但し、第1ガイド部42bを設けることで、吸気口6aから吸入された空気を、モジュール取付部42aの裏面側にスムーズに案内する役割を果たすので、ファン18aの回転時に第1通風路を流れる空気の乱れを抑えることができる。
【0067】
また、第1放熱フィン43aは、モジュール取付部42aの裏面の全域から突出されるものとして説明したが、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cの裏側に位置するモジュール取付部42aの裏面の部位に突設されていれば、モジュール取付部42aの裏面の全域から突出させる必要はない。
また、排気口6bは、筒状部6Aの開口端から離れた位置に開口を有するようにリヤブラケット4Aに形成されるものとして説明したが、排気口は、筒状部6Aの開口側端部に開口する切り欠きにより形成されていてもよい。
【0068】
排気口6bが形成されたリヤブラケット4Aをダイキャストにより作製しようとする場合、リヤブラケット4Aの筒状部6Aの軸方向にスライドさせる金型と、リヤブラケット4Aの筒状部6Aの径方向にスライド移動させる排気口形成用の金型と、を用意する必要がある。
これに対し、排気口が、筒状部の開口側端部に開口する切り欠きで形成されていれば、リヤブラケットの筒状部の軸方向にスライドさせる金型のみでリヤブラケットを作製可能となるので、リヤブラケットを低コストで作製することができる。
【0069】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2に係る電力供給ユニット一体型回転電機の断面図である。
なお、図5において、上記実施の形態1と同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0070】
図5において、電力供給ユニット一体型回転電機1Bは、ヒートシンク41Aに代えヒートシンク41Bが用いられている他は、電力供給ユニット一体型回転電機1Aと同様に構成されている。
【0071】
ヒートシンク41Bのベースプレート42Bは、モジュール取付部42aの中央部に形成した貫通穴の縁部全域からモジュール取付部42aの表面側に突設された筒状の第2ガイド部42cを有する。また、第2放熱フィン43bが、第2ガイド部42cの内面から第2ガイド部42cのおおよそ周方向に配列されるように突設されている。このとき、第2放熱フィン43bの放熱面は、モジュール取付部42aに直交する方向に平行となっている。ヒートシンク41Bの他の構成は、ヒートシンク41Aと同様である。そして、通風路形成手段50Bは、仕切り部材51、第1ガイド部42b、及び第2ガイド部42cにより構成される。
【0072】
ヒートシンク41Bは、モジュール取付部42aとリヤブラケット4Aの配置関係が、ヒートシンク41Aのモジュール取付部42aとリヤブラケット4Aとの配置関係と同様となるように、リヤブラケット4A内に支持されている。これにより、第2ガイド部42cは、モジュール取付部42aの内周部から底部5A側に延在する。
【0073】
以上のように構成された電力供給ユニット一体型回転電機1Bにおいては、図5の矢印付きの一点鎖線で示されるように、第2通風路は、ベースプレート42Bのモジュール取付部42aの表面とリヤブラケット4Aの底部5Aとの間の空間、及び第2ガイド部42cとリヤブラケット4Aの軸挿通孔を形成する部位との間の空間を経由して第1通風路に合流する経路をとるように形成されている。
【0074】
つまり、第2通風路は、ファン18aの回転時、吸気口6aから吸いこまれた空気が、モジュール取付部42aの表面側を内径側に流れ、モジュール取付部42aの表面側からモジュール取付部42aの内周部を経由して回転子10側に向かい、第1通風路に合流するように構成されている。
また、第2ガイド部42cに突設された第2放熱フィン43bは、第2通風路に延在される。
【0075】
以上のように構成された電力供給ユニット一体型回転電機1Bでは、ファン18a,18bが回転されると、ファン18aの内側から外側に向かって空気が流れて排気口6bから排出される。これにより、ファン18aの中央部側が負圧となるので、吸気口6aから吸いこまれる。吸い込まれた空気は、第1通風路を流れて排気口6bから排出されるものと、第2通風路を流れた後、ファン18aの負圧部の手前で第1通風路に合流して排気口6bから排出されるものに分かれる。このとき、第2ガイド部42cは、吸気口6aから、モジュール取付部42aの表面側を通過して内周部まで導かれた空気を、モジュール取付部42aの裏面側に案内する役割を果たす。
【0076】
この実施の形態2の電力供給ユニット一体型回転電機1Bによれば、第1通風路に加え、第2通風路が、吸気口6aからモジュール取付部42aの表面側を筒状部6Aの内径側に流れ、モジュール取付部42aの表面側からモジュール取付部42aの内周部を経由して回転子10側に流れて第1通風路に合流するように、空気を流すように形成される。
また、第2ガイド部42cが、モジュール取付部42aの内周部から底部5A側に延在するように設けられ、第2放熱フィン43bが、第2通風路内に延在するように第2ガイド部42cに突設されている。
【0077】
第1放熱フィン43aに加えて、第2放熱フィン43bを第2通風路に設けたことにより、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cの熱を放熱するための放熱面積が増大する。従って、実施の形態1の効果に加えて、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cを効果的に冷却することができるという効果が得られる。
【0078】
ここで、前述したように、第1通風路の延在方向は、ファン18aの負圧部を通過する前後でファン18aの内径側からファン18aの外径側に反転している。このため、仮に第2通風路がない場合、第1通風路を流れる空気は、ファン18aの回転時、ファン18aの負圧部付近で滞留しがちとなる。
【0079】
しかし、第2通風路が、ファン18aの負圧部に至る手前で第1通風路と合流するように設けられており、かつ、第1通風路との合流部での第2通風路内の空気は、ファン18aの負圧部と相対する側から回転子10(ファン18a)側に向かって流れる。
このため、第1通風路との合流部まで第2通風路を流れていきた空気は、ファン18aの負圧部の手前まで第1通風路を流れてきた空気を、ファン18aの負圧部までスムーズに導く。これにより、ファン18aの手前で空気が滞留することが抑制される。従って、吸気口6aから吸入された空気が、第1通風路及び第2通風路内で滞留することなく流れるので、第1と第2パワー回路モジュール45a,45b、界磁回路モジュール45c、固定子15、及び回転子10を一層効果的に冷却することができる。
【0080】
なお、第1通風路に合流する手前の第2通風路内の風量を第1通風路内の風量よりも大きくすることで、第1通風路のファン18aの手前で滞留しようとする空気をファン18aまで導く効果が一層高くなる。第1通風路及び第2通風路内の風量は、第1放熱フィン43aの配列ピッチと第2放熱フィン43bの配列ピッチに差を持たせたり、第1放熱フィン43aと第2放熱フィン43bのベースプレート42Bからの延出長に差を持たせたりすることで、適宜異なる風量に設定できる。具体的には、例えば、第2放熱フィン43bの配列ピッチを第1放熱フィン43aの配列ピッチより広くして、第2放熱フィン間を流れる空気の圧力損失を、第1放熱フィン43b間を流れる空気の圧力損失より小さくするなどすればよい。
【0081】
また、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cで発生する熱を、第2放熱フィン43bに伝導しやすくすることで、第2放熱フィン43bによる放熱を有効に活用できる。この場合、例えば、第2ガイド部42cの厚みをなるべく厚くするなどすればよい。
【0082】
なお、この実施の形態2では、第2ガイド部42cは、ヒートシンク41Bのベースプレート42Bの一部を構成するように、モジュール取付部42aに一体に作製されるものとして説明したが、第2ガイド部は、ヒートシンクとは別の部材で構成されていてもよい。
【0083】
さらに、第2ガイド部42c及び第2放熱フィン43bは、必ずしも設ける必要はなく、省略してもよい。
但し、第2ガイド部42cを設けることで、モジュール取付部42aの表面側からモジュール取付部42aの内周部を経由して回転子10側に向かう空気の流れが安定するので、ファン18aの負圧部の手前での空気の滞留防止効果を高めることできる。
【0084】
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3に係る電力供給ユニット一体型回転電機の要部断面図である。
なお、図6において上記実施の形態1,2と同一及び相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0085】
図6において、電力供給ユニット一体型回転電機1Cは、ヒートシンク41Bに代えてヒートシンク41Cが用いられ、さらにリヤブラケット4Aの筒状部6Aに一体に固定される複数の撓み防止部材80を備える他は、電力供給ユニット一体型回転電機1Bと同様に構成されている。
【0086】
ヒートシンク41Cのベースプレート42Cは、第1ガイド部42bが省略されている他は、ベースプレート42Bと同様に構成されている。
そして、通風路形成手段50Cが、仕切り部材51、及び第2ガイド部42cにより構成される。
【0087】
撓み防止部材80は、アルミなどの剛性を有する材料を用いて所定の厚さで所定の長さの板状に形成されている。
撓み防止部材80は、長手方向を筒状部6Aの軸方向に一致させ、筒状部6Aの内周面から筒状部6Aの径方向内側に延出されるように固定されている。
【0088】
ここで、撓み防止部材80を取り付けたことによる効果を説明するため、撓み防止部材80の配設されていない電力供給ユニット一体型回転電機1Aを自動車に搭載して用いる場合について説明する。
図7は撓み防止部材が取り付けられていない電力供給ユニット一体型回転電機のリヤブラケット側を模式的に示す要部断面図であり、図7の(a)は、リヤブラケットの通常時の状態を示し、図7の(b)は自動車の走行による振動によってリヤブラケットが撓んだ状態を示している。
【0089】
電力供給ユニット一体型回転電機1Aは、例えば、図示しない自動車に搭載され、図7の(a)に示されるように、例えば、自動車が停止されており、リヤブラケット4Aに応力がかかっていなければ、筒状部6Aは、回転子10を囲繞する固定子15の軸心に一致するように配置されている。
そして、自動車が走行して振動すると、図7の(b)のように、筒状部6Aは、軸心が撓むように変形することがある。
【0090】
上述したように、口出し線19は、電力供給ユニット40Aの仕切り板52に取り付けられた図示しない中継ターミナルに連結されているが、筒状部6Aが撓み変形を繰り返すと、口出し線19の中継ターミナルへの連結部が伸縮を繰り返すので、口出し線19の金属疲労の原因となる。
【0091】
一方、撓み防止部材80が筒状部6Aに取り付けられた場合、筒状部6Aの両端間が撓もうとする変形抵抗が、撓み防止部材の長さの3乗に比例して大きくなることが知られている。
【0092】
従って、この実施の形態3の電力供給ユニット一体型回転電機1Cによれば、電力供給ユニット一体型回転電機1Cが振動したときのリヤブラケット4Aの撓みを防止できる。これにより、口出し線19の金属疲労が抑制されるので、実施の形態1の効果に加えて、電力供給ユニット一体型回転電機1Cの耐震性を向上させることができるという効果が得られる。
【0093】
なお、この実施の形態3では、撓み防止部材80は、板状に作製されるものとして説明したが、ブロック状に作製されていてもよい。
また、撓み防止部材80は、リヤブラケット4Aの筒状部6Aの内周面に取り付けられるものに限定されず、外周面に取り付けられていてもよい。
【0094】
実施の形態4.
図8はこの発明の実施の形態4に係る電力供給ユニット一体型回転電機の断面図、図9は図8のIX−IX矢視断面図、図10はこの発明の実施の形態4に係る電力供給ユニット一体型回転電機のリヤブラケットの斜視図である。
なお、図8〜図10において上記実施の形態と同一及び相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0095】
図8〜図10において、電力供給ユニット一体型回転電機1Dは、リヤブラケット4Cが、リヤブラケット4Aに代えて用いられ、ヒートシンク41Dがヒートシンク41Cに代えて用いられている他は、電力供給ユニット一体型回転電機1Cと同様に構成されている。
【0096】
リヤブラケット4Cは、吸気口6aと排気口6bの間に、筒状部6Aの径方向の外側に突出する突出部7が、筒状部6Aの周方向全域に形成されている他はリヤブラケット4Aと同様に構成されている。また、孔方向が筒状部6Aの軸方向に一致する第1取付用孔が、突出部7に、周方向に離間して形成されている。
また、取付用突出部4aが、フロントブラケット4Bの外周面に突出部7と相対するように設けられ、取付用突出部4aには、第2取付用孔が、第1取付用孔に同軸に形成されている。
【0097】
また、ヒートシンク41Dは、第1ガイド部42bからモジュール取付部42aの径方向外側に向けて突出された複数の第3放熱フィン43cを有する他はヒートシンク41Bと同様に構成されている。
複数の第3放熱フィン43cは、放熱面をモジュール取付部42aに直交する方向に平行にして、おおよそモジュール取付部42aの周方向に配列されている。
【0098】
そして、ヒートシンク41Dは、モジュール取付部42aとリヤブラケット4Cとの配置関係が、ヒートシンク41Aのモジュール取付部42aとの配置関係と同様となるように、リヤブラケット4C内に支持されている。これにより、第3放熱フィン43cの延出端が筒状部6Aの内周面に向けられる。
【0099】
以上のように構成された電力供給ユニット一体型回転電機1Dにおいて、第1及び第2取付用孔は、例えば、電力供給ユニット一体型回転電機1Dを自動車のエンジンルーム(図示せず)の壁部に固定するのに利用される。
また、電力供給ユニット一体型回転電機1Dでは、第1通風路及び第2通風路が、電力供給ユニット一体型回転電機1Bの第1及び第2通風路と同様の経路をとるように形成され、第3放熱フィン43cが第1通風路内に配置される。
【0100】
そして、回転子10の回転に連動してファン18aが回転されると、吸気口6aからリヤブラケット4C内に吸い込まれた空気が、第1通風路及び第2通風路に分かれて流れた後、排気口6bから排出されるように流れる。
【0101】
この実施の形態4の電力供給ユニット一体型回転電機1Dは、吸気口6aと排気口6bとの間のリヤブラケット4Aの筒状部6Aの外周部に、周方向に延在するように突設された突出部7を有している。これにより、排気口6bから排気された空気が、吸気口6aに回り込むことが抑制される。
従って、第1と第2パワー回路モジュール45a,45b、界磁回路モジュール45c、固定子15、及び回転子10の冷却を一層効果的に行うことができる。さらに、新たに第3放熱フィン43cが、第1通風路内に延在されるように設けられたので、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cで発生される熱の放熱性が一層向上し、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cをさらに効果的に冷却することができる。
【0102】
なお、突出部7は、筒状部6Aの周方向全域に亘って突出されるものとして説明したが、突出部が、吸気口6a及び排気口6bとの間に位置する筒状部6Aの外周部の一部の部位に突設されているものでも、排気口6bから排気される空気が吸気口6a側にまわりこむのを抑える効果は残る。
【0103】
但し、突出部7が筒状部6Aの周方向全域に亘って突出されている場合、例えば、客先仕様により、第2取付用孔が形成された取付用突出部4aの筒状部6Bの周方向の突設位置が変わっても、第1取付用孔を第2取付用孔と同軸に突出部7に形成することができる。つまり、取付用突出部4aの筒状部6Bの周方向の位置が変わるごとに、別プロセスで形成したリヤブラケット4Cを用意する必要がなくなる。
【0104】
実施の形態5.
図11はこの発明の実施の形態5に係る電力供給ユニット一体型回転電機の要部断面図である。
なお、図11において上記実施の形態と同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0105】
図11において、電力供給ユニット一体型回転電機1Eは、電力供給ユニット40Aに代え、電力供給ユニット40Bを有し、制御基板62と第1パワー回路モジュール45aの間の信号伝送及び第1パワー回路モジュール45aと固定子15の間の電力授受を行う配線部材としての配線基板78を備え、中継基板70は省略されている。他の電力供給ユニット一体型回転電機1Eの構成は電力供給ユニット一体型回転電機1Aと同様に構成されている。
【0106】
電力供給ユニット40Bは、6つの第1パワー回路モジュール45a、界磁回路モジュール45c、及び第1パワー回路モジュール45aと界磁回路モジュール45cのそれぞれが、それぞれ取り付けられる複数の分割ヒートシンク41aからなるヒートシンク41Eを備えている。
各分割ヒートシンク41aには、第1パワー回路モジュール45a、及び界磁回路モジュール45cのいずれかが取り付けられる。そして、第1分割ユニット40aが、第1パワー回路モジュール45a、及び第1パワー回路モジュール45aが取り付けられる分割ヒートシンク41aにより構成され、図示しない第2分割ユニットが界磁回路モジュール45c、及び界磁回路モジュール45cが取り付けられる分割ヒートシンク41aにより構成される。
【0107】
分割ヒートシンク41aは、互いに直交する板状のモジュール取付部42d及び第3ガイド部42eからなり、幅方向に垂直な断面がL字状のベースプレート42Dと、モジュール取付部42d及び第3ガイド部42eから延出される複数の第4放熱フィン43d及び複数の第5放熱フィン43eと、を備える。
【0108】
第3ガイド部42eが延在される側のモジュール取付部42d表面は、第1パワー回路モジュール45aまたは界磁回路モジュール45cが取り付けられる取付面を構成し、複数の第4放熱フィン43dはベースプレート42Dの幅方向に配列されるようにモジュール取付部42dの裏面から延出されている。また、複数の第5放熱フィン43eが、ベースプレート42Dの幅方向に配列されるように、第3ガイド部42eの裏面から延出されている。
【0109】
複数の第1パワー回路モジュール45aは、複数のモジュール取付部42dの取付面に取り付けられている。このとき、第1パワー回路モジュール45aは、第2リード端子47をモジュール取付部42dの先端側に、また、第2リード端子46をモジュール取付部42dの基端側に配置させてモジュール取付部42dの取付面に取り付けられている。
同様に、界磁回路モジュール45cが分割ヒートシンク41aのモジュール取付部42dに取り付けられている。
【0110】
また、通風路形成手段50Dが、仕切り部材51、モジュール取付部42d、及び第3ガイド部42eにより構成される。
【0111】
電力供給ユニット40Bを構成する第1分割ユニット40a及び第2分割ユニットは、回転軸20の軸方向にモジュール取付部42dの取付面を平行にして、筒状部6Aの周方向に互いに間隔をあけ、ファン18aとリヤブラケット4Aの底部5Aとの間に配置されて、リヤブラケット4Aに支持されている。詳細には図示しないが、第1及び第2分割ユニットの分割ヒートシンク41aは、同電位にされている。
【0112】
また、第1分割ユニット40a及び第2分割ユニットは、モジュール取付部42dの取付面を筒状部6Aの内面に相対させるとともに、第5放熱フィン43eの先端を底部5Aに向けて配置されている。このとき、第4放熱フィン43dは、筒状部6Aの中心側に向けられる。また、リヤブラケット4Aの吸気口6aは、電力供給ユニット40Bより底部5A側に開口部を有する位置にある。
【0113】
そして、仕切り部材51は、電力供給ユニット40Bとファン18aとの間に、電力供給ユニット40B及びファン18aの内径側を連通させるように配設されている。
【0114】
このように構成された電力供給ユニット一体型回転電機1Eでは、図11の矢印付きの一点鎖線で示されるように、吸気口6aから排気口6bに至る第3通風路が、ベースプレート42D、通風路形成手段50D、回転子10、及び固定子15によりリヤブラケット4A内に形成されている。
【0115】
第3通風路は、吸気口6aから、リヤブラケット4Aの底部5Aと第3ガイド部42eとの間を通ってモジュール取付部42dの表面側から裏面側に向かい、さらにモジュール取付部42dの裏面と回転軸20の一端側を囲繞するリヤブラケット4Aの壁部やスリップリング21との間の空間を通ってファン18aの内径側に至る経路を有している。さらに、第3通風路は、回転子10及び固定子15と仕切り部材51との間の空間を通って排気口6bに至る経路を有している。このように形成された第3通風路内に、第4放熱フィン43d及び第5放熱フィン43eが延在される。
【0116】
ファン18aが回転されると、ファン18aの内径側から径方向の外側に向かって空気が流れて排気口6bから排出され、ファン18aの内径側が負圧となる。ファン18aの内径側に発生した負圧によって吸気口6aから吸いこまれる空気は、第5放熱フィン43e間、及び第4放熱フィン43d間を通過してファン18aの負圧部に導かれた後、排気口6bに送られて排気口6bから排出される。
【0117】
第1パワー回路モジュール45aで発生して第4放熱フィン43d及び第5放熱フィン43eに伝導された熱、及び固定子15や回転子10で発生する熱が、第3通風路を通過する空気により奪われるので、第1パワー回路モジュール45a、界磁回路モジュール45c、回転子10、及び固定子15が冷却される。
【0118】
この実施の形態5の電力供給ユニット一体型回転電機1Eによれば、電力供給ユニット40Bは、第1パワー回路モジュール45aと界磁回路モジュール45cのそれぞれがそれぞれ取り付けられる複数の分割ヒートシンク41aにより構成されている。
そして、電力供給ユニット40Bは、ファン18aとリヤブラケット4Aの底部5Aとの間に配置されている。このとき、リヤブラケット4Aには、排気口6bが、ファン18aの径方向外側に位置する部位に形成され、吸気口6aが電力供給ユニット40Bより底部5A側に開口するように形成されている。
【0119】
また、仕切り部材51が、電力供給ユニット40Bとファン18aとの間に、電力供給ユニット40Bとファン18aの内径側を連通させるように配設されている。そして、ファン18aの回転時、ファン18aの内径側に発生する負圧によって吸気口6aから吸いこまれる空気を、ファン18aの負圧部に導いた後に排気口6bに送る第3通風路が、仕切り部材51の配設によって構成されている。
【0120】
そして、分割ヒートシンク41aのそれぞれは、表面に第1パワー回路モジュール45a及び界磁回路モジュール45cのいずれかが取り付けられる板状のモジュール取付部42d、及びモジュール取付部42dの裏面に突設される第5放熱フィン43eを備え、
複数の分割ヒートシンク41aは、モジュール取付部42dを回転軸20の軸方向に平行に、かつ第5放熱フィン43eを第3通風路内に延在させて配列されている。
【0121】
以上のように、電力供給ユニット40Bをリヤブラケット4A内に配置し、吸気口6aを電力供給ユニット40Bより底部5A側のリヤブラケット4Aの部位に設け、排気口6bを電力供給ユニット40Bより回転子10側のリヤブラケット4Aの部位に設けている。このため、電力供給ユニット一体型回転電機1Eを大型化させることなく、吸気口と排気口の間の距離を長くとることができ、電力供給ユニット一体型回転電機1Eによれば、電力供給ユニット一体型回転電機1Aと同様の効果が得られる。
【0122】
さらに、取付面42fを回転軸20の軸方向に平行に配置することで、上述した回転軸20の軸方向に直交するモジュール取付部42aの取付面に取り付けるものに比べ、第1パワー回路モジュール45aまたは界磁回路モジュール45cを取り付けるための取付面の面積を広くとることが可能になる。
【0123】
ここで、例えば、電力供給ユニット一体型回転電機1Aのように、回転軸20の軸方向に直交させて配置したモジュール取付部42aに、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cを取り付ける場合では、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bを取り付けるのに必要なモジュール取付部42aの取付面の面積を小さくするため、図1に示されるように、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bと界磁回路モジュール45cの封止体48の外形を工夫することがある。
【0124】
前述したように、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bは、鏡面対称構造に作製されている。第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bの封止体48の外形は、封止体48の表面から見ておおよそ矩形形状であるが、以下のように角部の一部が角取りされている。即ち、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bの封止体48は、図2に示されるように、モジュール取付部42aの内径側に第1リード端子46を向けて一対の第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bをモジュール取付部42aの周方向に並べたときに、モジュール取付部42aの内径側で互いに隣接する角部を角取りした形状に構成されている。
【0125】
これにより、図2に示されるように、封止体48に角取り部を形成した第1及び第2パワー回路モジュール45a、45bでは、角取り部を形成しないものに比べ、パワー回路モジュール45a,45bを衝突させることなく近接させることが可能となる。このため、パワー回路モジュール45a、45bを取り付けるのに必要な取付面の面積が小さくなり、取付面の狭いモジュール取付部42aに対して、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bを取り付けることを可能にしている。
【0126】
以上のように第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bの封止体48を形成する場合、パワー回路モジュール45a,45bは鏡面対照構造とする必要がある。このため、異なる2種の金型が、第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bをモールド成形により作製するのに必要となる。
【0127】
これに対し、ヒートシンク41Eを構成する分割ヒートシンク41aは、モジュール取付部42dを回転軸20に平行にして配置可能な構成であり、パワー回路モジュール45aを搭載するためのモジュール取付部42dの取付面の面積を広くとることができる。従って、パワー回路モジュールの封止体48を異なる形状にして、第1パワー回路モジュール45aを取り付けるのに必要なモジュール取付部42d上の取付面の面積を小さくする必要がなくなる。つまり、異なる外形の封止体48を有する第1及び第2パワー回路モジュール45a,45bを用いる必要がなくなる。
【0128】
これにより、複数のパワー回路モジュールとして、同一の第1パワー回路モジュール45aを採用するだけでよく、第2パワー回路モジュール45bをモールド成形により作製するのに必要な金型が不要となるので、電力供給ユニット一体型回転電機1Eの製造コストの削減につながる。
【0129】
また、モジュール取付部42dを回転軸20に平行にして配置すると、第1リード端子46、第2リード端子47を、制御基板62と仕切り板52とを結ぶ線上に配置させることが容易に行える。
【0130】
例えば、制御基板62から長尺の一枚の配線基板78を、第1リード端子46から仕切り板52に至るように直線的に配設し、かつ、予め、配線基板78に、第1リード端子46と制御基板62の制御信号送信用端子とを接続するとともに、口出し線19が接続される仕切り板52に取り付けられている中継ターミナルと第2リード端子47とを接続する配線パターンを形成しておく。これにより、制御基板62と第1リード端子46との間の接続、及び第2リード端子47と口出し線19との間の接続に、同一工程で作製可能な配線基板78を用いることが可能となり、電力供給ユニット一体型回転電機1Eの製造コストが削減できる。
【0131】
また、複数の分割ヒートシンク41aとリヤブラケット4Aとを同電位に接続されているので、リヤブラケット4Aがある程度変形し、ヒートシンク41Aに接触してしまっても、分割ヒートシンク41aとリヤブラケット4Aが短絡することがなくなる。これにより、分割ヒートシンク41aをリヤブラケット4Aの内面との間に隙間をなくすように大型化してリヤブラケット4A内に配置することができ、分割ヒートシンク41aの放熱性能が向上する。
【0132】
なお、この実施の形態5では、第3ガイド部42e及び第5放熱フィン43eを設けるものとして説明したが、第3ガイド部42e及び第5放熱フィン43eは省略してもよい。
【0133】
また、ヒートシンクは、それぞれ、板状のモジュール取付部42dを有する複数の分割ヒートシンク41aからなるヒートシンク41Eを用いるものとして説明したが、ヒートシンクには、以下の図12に示されるように、筒状のモジュール取付部を有するものを用いることもできる。
【0134】
図12はこの発明の実施の形態5に係る電力供給ユニット一体型回転電機のヒートシンクの他の実施態様を示す分解斜視図である。
【0135】
図12において、ヒートシンク41Fは、略断面7角形の外形形状を有する筒状に形成されたモジュール取付部42g、モジュール取付部42gに突設された第6放熱フィン43fを有している。
モジュール取付部42gの外周部を構成する7面のそれぞれが、パワー回路モジュール45a,45b及び界磁回路モジュール45cのいずれかを取り付けるための取付面42fを構成している。また、第6放熱フィン43fは、モジュール取付部42gの内周部に突設されている。第6放熱フィン43fは、モジュール取付部42gの長手方向の全域に亘って、互いに間隔をあけてモジュール取付部42gの内周部に垂直に突設されている。
【0136】
そして、図示しない電力供給ユニットが、ヒートシンク41Fと、7つの取付面42fにわかれて取り付けられた第1パワー回路モジュール45a及び界磁回路モジュール45cと、により構成される。
【0137】
このように構成された電力供給ユニットを、電力供給ユニット40Bに代えて用いた電力供給ユニット一体型回転電機でも、電力供給ユニット一体型回転電機1Eと同様の効果が得られる。
【0138】
具体的には、ヒートシンク41Fを、モジュール取付部42gが回転軸20を囲繞し、取付面42fが回転軸20に平行に配置されるように配置する。このように構成される電力供給ユニット一体型回転電機でも、ヒートシンク41Eを分割ヒートシンク41aで構成したのと同様に、第1パワー回路モジュール45aと界磁回路モジュール45cを取り付けるためのモジュール取付部42gの取付面42fの面積を広くとることができる。これにより、ヒートシンク41Fを用いた電力供給ユニット一体型回転電機でも、電力供給ユニット一体型回転電機1Eと同様の効果が得られる。
【0139】
なお、この実施態様では、ヒートシンクは、筒状に構成されるものとして説明したが、ヒートシンクは、断面C字状であってもよい。
また、モジュール取付部42gの外周部に取付面42fが構成され、内周部に第6放熱フィン43fが突設されるものとして説明したが、モジュール取付部42gの内周部に取付面42fが構成され、外周部に第6放熱フィン43fが突設されるものでもよい。
【符号の説明】
【0140】
2 回転電機本体、3 ハウジング、4A リヤブラケット、4B フロントブラケット、5A 底部、6a 吸気口、6b 排気口、7 突出部、10 固定子、15 固定子、18a ファン、20 回転軸、40A,40B 電力供給ユニット、41A〜41F ヒートシンク、41a 分割ヒートシンク、42a モジュール取付部、42b 第1ガイド部、42c 第2ガイド部、42d モジュール取付部、42f 取付面、42g モジュール取付部、43a 第1放熱フィン、43b 第2放熱フィン、43c 第3放熱フィン、43d 第4放熱フィン(放熱フィン)、43f 第6放熱フィン(放熱フィン)、45a,45b パワー回路モジュール、45c 界磁回路モジュール、51 仕切り部材、80 撓み防止部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、有底円筒状に形成され、開口部を相対させて連結されるリヤブラケット及びフロントブラケットからなるハウジング、一端側及び他端側を上記リヤブラケット及び上記フロントブラケットに回転可能に支持された回転軸に同軸に固定される回転子、上記回転子を囲繞するように配置され、上記リヤブラケット及び上記フロントブラケットの開口端部に挟持される固定子、及び上記回転子の一端部に取り付けられるファンを備える回転電機本体と、
上記固定子と上記回転子に電力を供給するパワー回路モジュールと界磁回路モジュール、及び上記パワー回路モジュールと上記界磁回路モジュールが取り付けられるヒートシンクを有し、上記回転電機本体に一体に取り付けられる電力供給ユニットと、
を備える電力供給ユニット一体型回転電機であって、
上記電力供給ユニットは、上記ファンと上記リヤブラケットの底部との間に配置され、
上記リヤブラケットは、上記ファンの径方向外側に位置する部位に形成された排気口、及び上記電力供給ユニットより上記底部側に開口する吸気口を有し、
上記電力供給ユニットと上記ファンとの間に、内径側を連通させるように配設され、上記ファンの回転時、上記ファンの内径側に発生する負圧によって上記吸気口から吸いこまれる空気を、上記ファンの負圧部に導いた後に上記排気口に送る通風路を構成する仕切り部材を備え、
上記ヒートシンクは、上記パワー回路モジュールと上記界磁回路モジュールが表面に取り付けられる板状のモジュール取付部、及び上記モジュール取付部の裏面に突設された第1放熱フィンを有し、上記第1放熱フィンを上記通風路内に延在させるように配置されていることを特徴とする電力供給ユニット一体型回転電機。
【請求項2】
上記モジュール取付部は、平板リング形状に作製され、
上記ヒートシンクは、上記第1放熱フィンを上記ファンに向け、かつ、上記モジュール取付部が上記回転軸を囲繞して上記回転軸の軸方向に直交するように配置され、
上記仕切り部材は、上記ファンの外周側と上記第1放熱フィンとの間に配置され、
上記通風路は、上記吸気口から上記モジュール取付部の外周部を通って、上記モジュール取付部の裏面と上記仕切り部材との間を内径側に流れて上記ファンの負圧部を経由し、さらに上記仕切り部材と上記回転子との間を通って上記排気口に至る第1通風路と、上記吸気口から上記モジュール取付部の表面側を内径側に流れ、上記モジュール取付部の表面側から上記モジュール取付部の内周部を経由して上記回転子側に流れて上記第1通風路に合流する第2通風路と、を有することを特徴とする請求項1記載の電力供給ユニット一体型回転電機。
【請求項3】
上記モジュール取付部の外周部から上記リヤブラケットとの間に間隔をあけて上記底部側に延在し、上記吸気口から吸気される空気を上記モジュール取付部の裏面と上記仕切り部材との間に案内する第1ガイド部4を備えていることを特徴とする請求項2に記載の電力供給ユニット一体型回転電機。
【請求項4】
上記モジュール取付部の内周部から上記底部側に延在し、上記モジュール取付部の表面側を内周部まで導かれた空気を上記モジュール取付部の裏面側に案内する第2ガイド部を備えていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の電力供給ユニット一体型回転電機。
【請求項5】
上記第2ガイド部は、上記モジュール取付部に一体に作製され、第2放熱フィンが上記第2通風路内に延在するように上記第2ガイド部に突設されていることを特徴とする請求項4記載の電力供給ユニット一体型回転電機。
【請求項6】
上記第1ガイド部は、上記モジュール取付部に一体に作製され、第3放熱フィンが上記第1通風路内に延在するように上記第1ガイド部に突設されていることを特徴とする請求項3記載の電力供給ユニット一体型回転電機。
【請求項7】
それぞれ、有底円筒状に形成され、開口部を相対させて連結されるリヤブラケット及びフロントブラケットからなるハウジング、一端側及び他端側を上記リヤブラケット及び上記フロントブラケットに回転可能に支持された回転軸に同軸に固定される回転子、上記回転子を囲繞するように配置され、上記リヤブラケット及び上記フロントブラケットの開口端部に挟持される固定子、及び上記回転子の一端部に取り付けられるファンを備える回転電機本体と、
上記固定子と上記回転子に電力を供給するパワー回路モジュールと界磁回路モジュール、及び上記パワー回路モジュールと上記界磁回路モジュールが取り付けられるヒートシンクを有し、上記回転電機本体に一体に取り付けられる電力供給ユニットと、
を備える電力供給ユニット一体型回転電機であって、
上記電力供給ユニットは、上記ファンと上記リヤブラケットの底部との間に配置され、
上記リヤブラケットは、上記ファンの径方向外側に位置する部位に形成された排気口、及び上記電力供給ユニットより上記底部側に開口する吸気口を有し、
上記電力供給ユニットと上記ファンとの間に、内径側を連通させるように配設され、上記ファンの回転時、上記ファンの内径側に発生する負圧によって上記吸気口から吸いこまれる空気を、上記ファンの負圧部に導いた後に上記排気口に送る通風路を構成する仕切り部材を備え、
上記ヒートシンクは、断面C状、あるいは筒状に形成され、上記パワー回路モジュール及び上記界磁回路モジュールのそれぞれが、それぞれ取り付けられる取付面が、内周部及び外周部の一方に形成されるモジュール取付部、及び上記取付面の裏側に位置する上記モジュール取付部の内周部及び外周部の他方の部位に突設される放熱フィンを有し、上記取付面を上記回転軸の軸方向に平行に、かつ上記放熱フィンを上記通風路内に延在させて配置されていることを特徴とする電力供給ユニット一体型回転電機。
【請求項8】
上記パワー回路モジュール及び上記界磁回路モジュールは上記ヒートシンクと電気的に絶縁され、上記ヒートシンクと上記リヤブラケットとが同電位にされていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の電力供給ユニット一体型回転電機。
【請求項9】
それぞれ、有底円筒状に形成され、開口部を相対させて連結されるリヤブラケット及びフロントブラケットからなるハウジング、一端側及び他端側を上記リヤブラケット及び上記フロントブラケットに回転可能に支持された回転軸に同軸に固定される回転子、上記回転子を囲繞するように配置され、上記リヤブラケット及び上記フロントブラケットの開口端部に挟持される固定子、及び上記回転子の一端部に取り付けられるファンを備える回転電機本体と、
上記固定子と上記回転子に電力を供給するパワー回路モジュールと界磁回路モジュール、及び上記パワー回路モジュールと上記界磁回路モジュールのそれぞれが、それぞれ取り付けられる複数の分割ヒートシンクを有し、上記回転電機本体に一体に取り付けられる電力供給ユニットと、
を備える電力供給ユニット一体型回転電機であって、
上記電力供給ユニットは、上記ファンと上記リヤブラケットの底部との間に配置され、
上記リヤブラケットは、上記ファンの径方向外側に位置する部位に形成された排気口、及び上記電力供給ユニットより上記底部側に開口する吸気口を有し、
上記電力供給ユニットと上記ファンとの間に、内径側を連通させるように配設され、上記ファンの回転時、上記ファンの内径側に発生する負圧によって上記吸気口から吸いこまれる空気を、上記ファンの負圧部に導いた後に上記排気口に送る通風路を構成する仕切り部材を備え、
上記分割ヒートシンクは、それぞれ、表面に上記パワー回路モジュール及び界磁回路モジュールのいずれかが取り付けられる板状のモジュール取付部、及び上記モジュール取付部の裏面に突設される放熱フィンを備え、
複数の上記分割ヒートシンクは、上記モジュール取付部を上記回転軸の軸方向に平行に、かつ上記放熱フィンを上記通風路内に延在させて配列されていることを特徴とする電力供給ユニット一体型回転電機。
【請求項10】
撓み防止部材が、剛性を有する部材により作製され、上記回転軸の軸方向に延在するように上記リヤブラケットの壁面に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の電力供給ユニット一体型回転電機。
【請求項11】
突出部が、上記吸気口と上記排気口との間の上記リヤブラケットの外周部に、周方向に延在するように突設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の電力供給ユニット一体型回転電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−166948(P2011−166948A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27349(P2010−27349)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】