説明

電動式射出成形機の圧力制御方法および装置

【課題】 ロードセル等の圧力検出器を用いることなく、精度の高い安定した推力制御を行う。
【解決手段】 射出成形機のスクリュー13とこれを駆動するモータ11とがベルトを含む伝達系12を介して結合された電動式射出成形機におけるモータ11の角速度ωが検出される。この検出されたモータ11の角速度ωとモータ11に与えられているトルク指令値TCMDとからオブザーバに基づいてスクリュー13の角速度推定値ω^、伝達系のベルトの張力推定値F^及び樹脂圧力推定値δ^が求められる。検出されたモータの角速度ω、並びに求められたスクリューの角速度推定値ω^、ベルトの張力推定値F^及び樹脂圧力推定値δ^がフィードバックされて樹脂圧力設定値δREFに追従させるようにモータ11が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式射出成形機の圧力制御方法および装置に関し、特にスクリューとモータとがそれぞれの回転軸に装着されたプーリを介してベルトによって連結される伝達系を有する電動式射出成形機の圧力制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から使用されている一般的な電動成形機は、制御対象(型開閉、押出、ノズルタッチ等)に圧力検出器を用いて圧力を検出し、圧力検出器からの信号をもとに閉ループ系の制御回路を構成して推力を制御している。
具体的には、例えば射出圧力を制御する場合には、スクリューの根元の部分等にロードセルを配してこのロードセルによりスクリューを押す力(前進力)を圧力の形態で検出し、この検出した圧力に基づいてロードセルで検出される圧力が所望の圧力になるようにフィードバック制御を行うことにより、スクリューの推力を制御するようにしている。
【0003】
しかし、ロードセル等の一般的な圧力検出器から出力される測定信号は、微弱なアナログ信号である。電動式の射出成形機は、ノイズ発生源となる電動機器を大量に使用しており、ロードセルから出力される微弱なアナログ信号に電動機器類から発生したノイズが乗って、推力をうまく制御することができないという現象が生じる場合があった。そのため、ロードセルラインからのアナログ信号ラインには、多段のノイズフィルタ等といった装置を設置して、ノイズによる制御不良を防止しているが、完全に無くすことは極めて困難である。
【0004】
また、ロードセルを調整する際には、アンプのゼロ点調整やスパン調整等といった人手による作業が必要である。そのため、調整する人によって、調整状態が微妙に異なり、その結果、制御状態が個々に異なるといった不具合がある。
【0005】
そこで、電動モータの角速度又は回転角度と、駆動電流又はトルクとから、状態方程式を用いて樹脂圧力制御に使用される現在の樹脂圧力値を推定するようにしたセンサレス型の樹脂圧力推定方法が開示されている(特許文献1:米国特許第6,695,994号)。この樹脂圧力推定方法においては、ピストンの前進運動が樹脂に及ぼす力を示す状態方程式を例えば数1のように算出する(Fig.9〜13参照)。
【0006】
【数1】

【0007】
ここでE1は樹脂圧力方程式、E2は注入力方程式、E3はモータ加速度方程式である。また、PMELT:樹脂圧力値、Finj:注入力、ABARREL:成形空間面積、e:ボールスクリュー係数、e:ベルト係数、NSP/NMP:ボールスクリューとモータの伝達プーリの直径比、l:ボールスクリュー導入長、T:トルク計測値、JTOT:慣性モーメント、α:モータの角加速度、T:軸受の摩擦トルク、FLOSS:損失力、ω:角速度である。
【特許文献1】米国特許第6,695,994号、25頁16欄42行〜26頁18欄61行、図9〜13
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した特許文献1に開示された樹脂圧力推定方法では、樹脂圧力推定のため、得られた電動モータのトルク指令値及び角速度から、数1に示した状態方程式を直接解いて樹脂圧力PMELTを求めるようにしているので、式中にE3で示す微分項が含まれることになり、ノイズに対する耐性が低下し、結果として精度の良い樹脂圧力制御が困難であるという問題がある。
【0009】
また、スクリューとモータとがそれぞれの回転軸に装着されたプーリを介してベルトによって連結された電動式射出成形機では、VP切換時等にベルトの張力や2次側速度(ω)に振動が発生し、これが安定制御を阻害する要因になっているという問題がある。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、ロードセル等の圧力検出器を用いることなく、精度の高い安定した推力制御を行うことができる電動式射出成形機の圧力制御方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電動射出成形機の圧力制御方法は、射出成形機のスクリューとこれを駆動するモータとがベルトを含む伝達系を介して結合された電動式射出成形機の圧力制御方法において、前記モータの角速度ωを検出し、この検出されたモータの角速度ωと前記モータに与えられているトルク指令値TCMDとからオブザーバに基づいて前記スクリューの角速度推定値ω^、伝達系のベルトの張力推定値F^及び樹脂圧力推定値δ^を求め、モータの角速度ω、スクリューの角速度推定値ω^、ベルトの張力推定値F^及び樹脂圧力推定値δ^をフィードバックさせて樹脂圧力設定値δREFに追従させるように前記モータを制御することを特徴とする。
【0012】
本発明で定義される「オブザーバ(状態観測器)」とは、状態変数を推定する(状態変数に収束する)ように表現した微分方程式を解いて制御対象の出力とモデルの出力が一致するように状態変数の推定値を得る方程式である。このように予め微分方程式を解いて作った本発明の「オブザーバ」は、実際に樹脂圧力推定値δ^を得る際に微分する必要がない。
前記オブザーバは、例えば下記数2のように表される。
【0013】
【数2】




但し、d〜d:所定の係数
:モータ側の慣性モーメント
ω:モータの角速度
:モータ側のプーリ半径
F:ベルトの張力
:ベルトのバネ定数
:スクリュー側の慣性モーメント
ω:スクリュー側の角速度
:スクリュー側のプーリ半径
(ω):スクリュー側の動摩擦抵抗
【0014】
また、本発明に係る電動射出成形機の圧力制御装置は、射出成形機のスクリューを、ベルトを含む伝達系を介して前進させるモータの角速度ωと前記モータに与えられているトルク指令値TCMDとからオブザーバに基づいて前記スクリューの角速度推定値ω^、伝達系のベルトの張力推定値F^及び樹脂圧力推定値δ^を求めるオブザーバ演算手段と、前記モータの角速度ω、前記オブザーバ演算器で求められた前記スクリューの角速度推定値ω^、伝達系のベルトの張力推定値F^及び樹脂圧力推定値δ^から前記モータのトルク指令値TCMDを算出し、前記モータにフィードバックするトルク演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
なお、ここで、樹脂圧力推定値δ^及び樹脂圧力設定値δREFにおける「樹脂圧力」とは、射出成形機のスクリューが樹脂を押す力であり、従来のロードセルが検出しているスクリューを押す力とは異なる。すなわち、スクリューの推力制御のうちの制御対象が従来と本願発明とは異なっている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、射出成形機のスクリューを前進させるモータの角速度ωを求め、この求められた角速度ωからオブザーバ理論によって樹脂圧力推定値δ^を求めると共に、この樹脂圧力推定値δ^が樹脂圧力設定値δREFに追従するように前記モータを制御するようにしているので、ロードセル等の圧力検出器を一切使用せずに、樹脂圧力を精度良く制御することができる。
また、本発明では、予め樹脂圧力推定値δ^の算出式に微分を含まないので、ノイズに対する耐性も高い。
【0017】
更に、本発明によれば、モータの角速度ωとモータに与えられているトルク指令値TCMDとからオブザーバに基づいてスクリューの角速度推定値ω^、伝達系のベルトの張力推定値F^及び樹脂圧力推定値δ^を求め、求められたスクリューの角速度推定値ω^、伝達系のベルトの張力推定値F^についてもフィードバックさせているので、伝達系に起因する振動を抑制して安定性を上げることができる。この結果、圧力制御ゲインを上げて応答性を上げられるという効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電動式射出成形機の圧力制御装置の構成を示すブロック図である。
射出機構1を構成する制御対象であるモータ11は、伝達系12を介して図示しない射出シリンダ内でスクリュー13を前後移動させるための射出用モータである。モータ11には、その位置情報(回転角θ)を検出し、モータの角速度ωを出力するエンコーダ14が連結されている。エンコーダ14からの角速度ωは制御装置2にフィードバックされている。
【0019】
制御装置2には、オブザーバ演算器21が設けられている。オブザーバ演算器21は、エンコーダ14からのモータ角速度ωとモータ11に対するトルク指令値TCMDとを入力し、スクリューの角速度ω、伝達系13のベルト張力F及び樹脂圧力δを推定する。モータ角速度ω、スクリューの角速度推定値ω^、伝達系13のベルト張力F^及び樹脂圧力δ^は、乗算器22,23,24,25でそれぞれk,k,k,kを乗算されてフィードバックされ、減算器26,27,28,29にて樹脂圧力設定値δREFから減算され、その誤差信号が定常偏差補償器30に入力されてトルク指令値TCMDが求められ、制御対象であるモータ11にフィードバックされるようになっている。
【0020】
図2は、射出機構1の伝達系12の詳細を示す図である。
モータ11の回転軸121にはプーリ122が結合され、このプーリ122がベルト123を介してロード側のプーリ124と連結され、このプーリ124の回転軸125の回転でスクリュー13を回転させる。ここで、モータ11側の慣性モーメントJ、角速度ω及びプーリ半径R、ベルト123の張力F、バネ定数K、ロード側の慣性モーメントJ、角速度ω、プーリ半径R及び動摩擦抵抗F(ω)を考慮すると、射出機構1の状態方程式は、下記数3のように表される。
【0021】
【数3】

【0022】
ここで、樹脂圧δの微分値δ′=0として、上記状態方程式は、下記数4のように表すことができる。
【0023】
【数4】



【0024】
ここで、オブザーバ(状態観測器)を下記数5のように定義する。
【0025】
【数5】



【0026】
ここで、サンプル(又は処理)周期をdt、前サンプル(又は前処理)時のデータxをx−1とすると、
【0027】
【数6】


【0028】
と表わされるので、角速度推定値ω^,ω^、ベルト張力推定値F^及び樹脂圧推定値δ^は、次の数7のように表せる。
【0029】
【数7】



【0030】
この式から明らかなように、本装置の場合、微分項を含むことなく、樹脂圧力推定値δ^を求めることができる。このため、ノイズ耐性に優れた制御系が実現できる。
【0031】
ここで、数5を下記数8のように置き換える。
【0032】
【数8】

【0033】
図3は、数8の演算を実行するオブザーバ演算器21の詳細を示すブロック図である。
エンコーダ14から出力される角速度ωは、yとして調節器211を通って係数E=(d,d,d,d)に応じた振幅に調節される。また、1つ前に求められたトルク指令値TCMD−1がuとして調節器212によって係数B=(1/J,0,0,0)に応じた振幅に調整される。一方、予め求めておいたv(=動摩擦抵抗F(ω))を調節器213によって係数C=(0,1/J,0,0)に応じた振幅に調整し、この値を加算器214で調節器212の出力に加算する。また、1つ前に求められた推定値X^−1が調節器215によって係数Dに応じた振幅に調整される。そして、加算器216において、加算器214の出力と調節器215の出力とを加算すると共に調節器211の出力を減算することにより、数8で示すXの推定値X^の微分値が得られる。この値は、積分器217で積分されることにより、数5に基づく推定値ω^、F^及びδ^が求められるようになっている。
【0034】
そして、本実施形態では、樹脂を弾性体と見なして制御対象を定義した下記数9の状態方程式に対して数10のようなフィードバックを行う。ここでKは、樹脂の弾性係数である。なお、実際には、ω,F,δの推定値ω^,F^,δ^をフィードバックするが、ω,F,δとこれらの推定値ω^,F^,δ^とは一致しているものと見なして数10を考える。
【0035】
【数9】



【0036】
【数10】



【0037】
以下、係数k〜kの求め方について説明する。まず、状態方程式数4及び数10をそれぞれ数11及び数12のように置き換える。
【0038】
【数11】

【0039】
【数12】

【0040】
数12を数11に代入すると、
【数13】

【0041】
となる。ここで、
【0042】
【数14】

【0043】
の解は、
【0044】
【数15】

(x:初期外乱)
【0045】
であるので、(A−BK)の固有値の実部が負であれば、t→∞において、X→0となる。従って、閉ループ系の安定性を確保するために、(A−BK)の固有値の実数部が負となるようにKを設定する。
【0046】
具体的には、G=A−BKと置くと、Gの固有値λを根とする特性方程式は、
【0047】
【数16】

【0048】
となる。また、閉ループ系の極配置を4重根(実数部をR(R>0)、虚数部を0とする)とすると、特性方程式は、
【0049】
【数17】

【0050】
となる。数16,17を、下記数18,19のように展開する。
【0051】
【数18】

【数19】











【0052】
数18,19の係数比較を行うことにより、k〜kは下記のように求められる。
【0053】
【数20】







【0054】
ここで、数20のRに適当な値を代入すれば、その他は射出機構により決定されている値なので、ゲインk〜kが求められる。
【0055】
次に、図4及び図5を参照して動摩擦抵抗F(ω)の求め方(較正方法)について説明する。
ここでは、動摩擦抵抗モデルを速度依存成分と荷重依存成分の和と定義する。速度依存成分は、エアーショット(空打ち)時のモータ速度(又は位置)とトルク値(又は電流値)の関係から求めることができる。また、荷重依存成分は、ノズルをプラグした状態で射出した際のトルク値(又は電流値)と圧力値との関係から求めることができる。
【0056】
速度依存成分
いま、定常状態においては、ω’=0,ω’=0であるから、数3の1式及び2式の左辺はそれぞれ0となる。従って、動摩擦抵抗F(ω)は、
【0057】
【数21】

【0058】
となり、空打ち時(δ=0とみなす)ではトルクのみに依存する。従って、図4の左側に示すように、空打ちで速度を1,2のように変化させ、射出前進させた際のそれぞれのトルク値1,2を計測することで動摩擦抵抗1,2を求める。これを図4の右側のグラフのようにプロットすることで速度依存成分の特性曲線が求められる。射出後退時の速度依存成分も同様にして求めることができる。
【0059】
荷重依存成分
次に、圧力計測用センサ(圧力センサや歪みゲージ等)を取り付けた較正治具を用意し、ノズル先端をプラグした状態で射出した際のトルク値と圧力値とを計測することで、図5の左側で示すように、動摩擦抵抗1,2を求める。これを図5の右側のグラフのようにプロットすることで荷重依存成分の特性曲線が求められる。
これら速度依存成分と荷重依存成分とを併せたものを射出機構の動摩擦抵抗モデルとして圧力推定の際に使用することができる。
【0060】
図6は、制御装置においてVP切換後、樹脂圧力設定値δREFを150Mpaから40Mpaへ圧力制御した場合の応答波形を示すグラフであり、同図(a)は、図7に示すように、スクリュー(2次側)角速度推定値ω^及びベルト張力推定値F^をフィードバックしない場合、同図(b)は、本実施形態のようにω^,F^をフィードバックする場合をそれぞれ示している。図7の制御装置では、張力F及び2次側速度ωに振動が発生しており、その結果、樹脂圧力δにも振動が発生している。これに対し、本実施形態では、オブザーバで推定された張力及び2次側速度も補償するようにしているので、振動を抑えて安定性を向上させることができる。その結果、圧力制御ゲインを上げて応答性を上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態に係る電動式射出成形機の射出機構及び制御回路のブロック図である。
【図2】同射出機構における伝達系を説明するための図である。
【図3】同制御回路におけるオブザーバ演算器のブロック図である。
【図4】同電動式射出成形機における動摩擦抵抗の速度依存成分の取得方法を説明するための図である。
【図5】同電動式射出成形機における動摩擦抵抗の荷重依存成分の取得方法を説明するための図である。
【図6】比較例と本実施形態の制御装置においてVP切換後の応答波形を示すグラフである。
【図7】比較例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
1…射出機構、2…制御回路、11…モータ、12…伝達系、13…スクリュー、14…エンコーダ、21…オブザーバ演算器、22〜25…乗算器、26〜29…減算器、30…定常偏差補償器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機のスクリューとこれを駆動するモータとがベルトを含む伝達系を介して結合された電動式射出成形機の圧力制御方法において、
前記モータの角速度ωを検出し、
この検出されたモータの角速度ωと前記モータに与えられているトルク指令値TCMDとからオブザーバに基づいて前記スクリューの角速度推定値ω^、伝達系のベルトの張力推定値F^及び樹脂圧力推定値δ^を求め、
モータの角速度ω、スクリューの角速度推定値ω^、ベルトの張力推定値F^及び樹脂圧力推定値δ^をフィードバックさせて樹脂圧力設定値δREFに追従させるように前記モータを制御する
ことを特徴とする電動式射出成形機の圧力制御方法。
【請求項2】
前記オブザーバが、下記数1で表されることを特徴とする請求項1記載の電動式射出成形機の圧力制御方法。
【数1】






但し、d〜d:所定の係数
:モータ側の慣性モーメント
ω:モータの角速度
:モータ側のプーリ半径
F:ベルトの張力
:ベルトのバネ定数
:スクリュー側の慣性モーメント
ω:スクリュー側の角速度
:スクリュー側のプーリ半径
(ω):スクリュー側の動摩擦抵抗
【請求項3】
前記オブザーバが、下記数2で表されることを特徴とする請求項1記載の電動式射出成形機の圧力制御方法。
【数2】






但し、d〜d:所定の係数
:モータ側の慣性モーメント
ω:モータの角速度
:モータ側のプーリ半径
F:ベルトの張力
:ベルトのバネ定数
:スクリュー側の慣性モーメント
ω:スクリュー側の角速度
:スクリュー側のプーリ半径
(ω):スクリュー側の動摩擦抵抗
−1 :xの処理周期の一つ手前の値
【請求項4】
前記スクリューの角速度推定値ω^、ベルトの張力推定値F^及び樹脂圧力推定値δ^が、それぞれスクリューの角速度ω、ベルトの張力F及び樹脂圧力δと一致していると仮定して、フィードバックモータの角速度ω、スクリューの角速度ω、ベルトの張力F及び樹脂圧力δをそれぞれ下記数3に示す係数k,k,k,kを掛けてフィードバックさせることを特徴とする請求項1記載の電動式射出成形機の圧力制御方法。
【数3】



【請求項5】
動摩擦抵抗F(ω)をエアーショット(空打ち)時のモータの速度又は位置とトルク値又は電流値との関係から求めるようにした請求項1記載の電動式射出成形機の圧力制御方法。
【請求項6】
動摩擦抵抗F(ω)を速度依存成分と荷重依存成分の和として、前記動摩擦抵抗の速度依存成分をエアーショット(空打ち)時のモータの速度又は位置とトルク値又は電流値との関係から求めると共に、前記動摩擦抵抗の荷重依存成分をノズルをプラグした状態で射出した際のトルク値又は電流値と圧力値との関係から求めるようにしたことを特徴とする請求項1記載の電動式射出成形機の圧力制御方法。
【請求項7】
射出成形機のスクリューを、ベルトを含む伝達系を介して前進させるモータの角速度ωと前記モータに与えられているトルク指令値TCMDとからオブザーバに基づいて前記スクリューの角速度推定値ω^、伝達系のベルトの張力推定値F^及び樹脂圧力推定値δ^を求めるオブザーバ演算手段と、
前記モータの角速度ω、前記オブザーバ演算器で求められた前記スクリューの角速度推定値ω^、伝達系のベルトの張力推定値F^及び樹脂圧力推定値δ^から前記モータのトルク指令値TCMDを算出し、前記モータにフィードバックするトルク演算手段と
を備えたことを特徴とする電動式射出成形機の圧力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−256067(P2006−256067A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75918(P2005−75918)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【特許番号】特許第3724504号(P3724504)
【特許公報発行日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(300041192)宇部興産機械株式会社 (268)
【Fターム(参考)】