説明

電動車両、電動車両の制御装置、および電動車両の制御プログラム

【課題】ストール発進時の加速性への影響を軽減または回避しつつ、インバータの素子の損失を低減する。
【解決手段】電動車両1は、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータ40と、昇圧コンバータ40から昇圧電圧を受けてモータMG2を制御するインバータ52と、モータMG2がロック状態であり、且つ、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態でないと判断される場合に、上記昇圧電圧を制限する制御を行う制御装置60とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両、電動車両の制御装置、および電動車両の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
モータおよび内燃機関を駆動源とするハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)や、モータを駆動源とする電気自動車(Electric Vehicle)などの電動車両がある(例えば、特許文献1〜3を参照)。具体的には、直流電力をインバータにより交流電力に変換して走行用のモータに供給し、これによりモータを駆動する電動車両がある。
【0003】
このような電動車両では、モータの通常回転時には、インバータの各素子(スイッチング素子やダイオード)に交流電流が流れる。ところが、モータがロック状態(例えば、停止状態または超低速回転状態)にある場合には、インバータの特定の素子に大きな直流電流が流れ、その素子の損失が大きくなり、ひいては発熱が大きくなる。
【0004】
ところで、電動車両の構成の一つとして、直流電源からの直流電圧を昇圧コンバータによって昇圧し、昇圧された直流電圧をインバータに供給する構成が知られている。これは、モータの高出力化とエネルギー効率の向上とを図るものである。
【0005】
当該構成では、昇圧コンバータで昇圧された電圧がインバータに印加されるため、モータがロック状態となった場合に、インバータの特定の素子に非常に大きな電流が流れ、その素子の発熱が非常に大きくなる場合がある。
【0006】
上記問題を回避するために、特許文献1では、モータのロック状態を検知した場合に昇圧コンバータの出力電圧を制限する技術が提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開2007−124746号公報
【特許文献2】特開2007−120382号公報
【特許文献3】特開2007−143303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1に記載の技術のように、モータのロック状態を検知した場合に常に昇圧コンバータの出力電圧を制限することとすると、ストール発進時の加速性に影響を与える可能性がある。
【0009】
そこで、本発明は、ストール発進時の加速性への影響を軽減または回避しつつ、インバータの素子の損失を低減することが可能な電動車両、電動車両の制御装置、および電動車両の制御プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電動車両は、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて走行用の回転電機を制御するインバータと、前記回転電機がロック状態であり、且つ、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態でないと判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御装置と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る電動車両は、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて走行用の回転電機を制御するインバータと、前記回転電機がロック状態であり、且つ、パーキングブレーキがオン操作された状態であると判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御装置と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る電動車両の制御装置は、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、当該昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて走行用の回転電機を制御するインバータとを備える電動車両の制御装置であって、前記回転電機の回転状態を示す情報と、アクセルの操作状態を示す情報と、ブレーキの操作状態を示す情報とを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された情報に基づき、前記回転電機がロック状態であり、且つ、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態でないと判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る電動車両の制御装置は、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、当該昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて走行用の回転電機を制御するインバータとを備える電動車両の制御装置であって、前記回転電機の回転状態を示す情報と、パーキングブレーキの操作状態を示す情報とを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された情報に基づき、前記回転電機がロック状態であり、且つ、パーキングブレーキがオン操作された状態であると判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電動車両の制御プログラムは、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、当該昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて走行用の回転電機を制御するインバータとを備える電動車両の制御プログラムであって、コンピュータに、前記回転電機の回転状態を示す情報と、アクセルの操作状態を示す情報と、ブレーキの操作状態を示す情報とを取得する手順と、前記取得された情報に基づき、前記回転電機がロック状態であり、且つ、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態でないと判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う手順と、を実行させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る電動車両の制御プログラムは、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、当該昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて走行用の回転電機を制御するインバータとを備える電動車両の制御プログラムであって、コンピュータに、前記回転電機の回転状態を示す情報と、パーキングブレーキの操作状態を示す情報とを取得する手順と、前記取得された情報に基づき、前記回転電機がロック状態であり、且つ、パーキングブレーキがオン操作された状態であると判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う手順と、を実行させることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る電動車両は、内燃機関と、第1の回転電機と、前記内燃機関の動力を前記第1の回転電機と車輪とに分配する動力分配機構と、前記車輪に駆動力を付与する第2の回転電機と、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第1の回転電機を制御する第1のインバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第2の回転電機を制御する第2のインバータと、前記第2の回転電機がロック状態であり、且つ、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態でないと判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御装置と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る電動車両は、内燃機関と、第1の回転電機と、前記内燃機関の動力を前記第1の回転電機と車輪とに分配する動力分配機構と、前記車輪に駆動力を付与する第2の回転電機と、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第1の回転電機を制御する第1のインバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第2の回転電機を制御する第2のインバータと、前記第2の回転電機がロック状態であり、且つ、パーキングブレーキがオン操作された状態であると判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御装置と、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る電動車両の制御装置は、内燃機関と、第1の回転電機と、前記内燃機関の動力を前記第1の回転電機と車輪とに分配する動力分配機構と、前記車輪に駆動力を付与する第2の回転電機と、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第1の回転電機を制御する第1のインバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第2の回転電機を制御する第2のインバータとを備える電動車両の制御装置であって、前記第2の回転電機の回転状態を示す情報と、アクセルの操作状態を示す情報と、ブレーキの操作状態を示す情報とを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された情報に基づき、前記第2の回転電機がロック状態であり、且つ、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態でないと判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る電動車両の制御装置は、内燃機関と、第1の回転電機と、前記内燃機関の動力を前記第1の回転電機と車輪とに分配する動力分配機構と、前記車輪に駆動力を付与する第2の回転電機と、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第1の回転電機を制御する第1のインバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第2の回転電機を制御する第2のインバータとを備える電動車両の制御装置であって、前記第2の回転電機の回転状態を示す情報と、パーキングブレーキの操作状態を示す情報とを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された情報に基づき、前記第2の回転電機がロック状態であり、且つ、パーキングブレーキがオン操作された状態であると判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る電動車両の制御プログラムは、内燃機関と、第1の回転電機と、前記内燃機関の動力を前記第1の回転電機と車輪とに分配する動力分配機構と、前記車輪に駆動力を付与する第2の回転電機と、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第1の回転電機を制御する第1のインバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第2の回転電機を制御する第2のインバータとを備える電動車両の制御プログラムであって、コンピュータに、前記第2の回転電機の回転状態を示す情報と、アクセルの操作状態を示す情報と、ブレーキの操作状態を示す情報とを取得する手順と、前記取得された情報に基づき、前記第2の回転電機がロック状態であり、且つ、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態でないと判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う手順と、を実行させることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る電動車両の制御プログラムは、内燃機関と、第1の回転電機と、前記内燃機関の動力を前記第1の回転電機と車輪とに分配する動力分配機構と、前記車輪に駆動力を付与する第2の回転電機と、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第1の回転電機を制御する第1のインバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第2の回転電機を制御する第2のインバータとを備える電動車両の制御プログラムであって、コンピュータに、前記第2の回転電機の回転状態を示す情報と、パーキングブレーキの操作状態を示す情報とを取得する手順と、前記取得された情報に基づき、前記第2の回転電機がロック状態であり、且つ、パーキングブレーキがオン操作された状態であると判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う手順と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ストール発進時の加速性への影響を軽減または回避しつつ、インバータの素子の損失を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る電動車両1の構成の一例を示す概略図である。電動車両1は、走行用の駆動源として回転電機を有する車両である。図1の例では、電動車両1は、走行用の駆動源として内燃機関および回転電機を有するハイブリッド車両である。
【0025】
図1において、電動車両1は、内燃機関としてのエンジン10、回転電機としてのモータMG1,MG2、動力分配機構20、直流電源30、昇圧コンバータ40、インバータ51,52、および制御装置60を有する。
【0026】
エンジン10は、ガソリンや軽油などの燃料により動力を発生する動力源である。エンジン10は動力分配機構20に連結されており、エンジン10の動力はモータMG1と車両の車輪70とに分配される。
【0027】
モータMG1,MG2は、発電機としても電動機としても機能し得る発電電動機(モータジェネレータ)である。
【0028】
図1の例では、モータMG1,MG2は、それぞれ、3相交流同期発電電動機であり、U,V,W相の3つのコイルを備えた固定子と、不図示の回転子とを含む。U,V,W相の3つのコイルの一端は、中性点で互いに接続され、他端はインバータ51,52に接続される。
【0029】
モータMG1は、主として発電機として動作する。具体的には、モータMG1は、動力分配機構20により分配されたエンジン10の駆動力によって発電する。モータMG1により発電された電力は、モータMG2の駆動や直流電源30の充電に利用される。
【0030】
また、モータMG1は、直流電源30からの電力の供給を受けて電動機として動作し、エンジン10をクランキングして始動させる。すなわち、モータMG1は、エンジン10を始動させる始動機としても用いられる。
【0031】
モータMG2は、主として電動機として動作する。具体的には、モータMG2は、直流電源30に蓄えられた電力およびモータMG1により発電された電力の少なくとも一方により駆動される。モータMG2は減速機80を介して車輪70に連結されており、モータMG2の駆動力は減速機80を介して車輪70に付与される。これにより、モータMG2は、エンジン10をアシストして車両を走行させたり、自己の駆動力のみにより車両を走行させたりする。
【0032】
また、モータMG2は、車両の回生制動時には、車輪70により回転させられて発電機として動作する。モータMG2により発電された回生電力は、直流電源30の充電に利用される。
【0033】
動力分配機構20は、エンジン10の動力をモータMG1と車輪70とに分配する。具体的には、動力分配機構20は、エンジン10とモータMG1とモータMG2とに連結され、これらの間で動力を分配する。例えば、動力分配機構20は、図2に示されるように、外歯歯車のサンギヤ21と、内歯歯車のリングギヤ22と、サンギヤ21に噛合すると共にリングギヤ22に噛合する複数のピニオンギヤ23と、複数のピニオンギヤ23を自転かつ公転自在に保持するキャリア24とを備え、サンギヤ21とリングギヤ22とキャリア24とを回転要素とする遊星歯車機構として構成される。キャリア24の回転軸はエンジン10の出力軸に接続され、サンギヤ21の回転軸はモータMG1の回転軸に接続され、リングギヤ22の回転軸であるリングギヤ軸22aはモータMG2の回転軸に接続されると共に減速機80を介して車輪70に接続される。
【0034】
直流電源30は、モータMG1,MG2に電力を供給するための電源であり、例えば、ニッケル水素やリチウムイオン等のバッテリや、キャパシタなど、充電可能な蓄電装置である。
【0035】
昇圧コンバータ40は、直流電源30からの電圧(すなわち電源電圧)を昇圧して昇圧電圧をインバータ51,52に供給する。また、昇圧コンバータ40は、インバータ51,52から供給される電圧を降圧して直流電源30を充電する。すなわち、昇圧コンバータ40は、直流電源30とインバータ51,52との間で電圧変換を行う。
【0036】
図1の例では、昇圧コンバータ40は、リアクトルL1と、スイッチング素子(例えばIGBT)Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを有する。スイッチング素子Q1,Q2は、インバータ51,52の電源ラインとアースラインとの間に直列に接続される。上アームのスイッチング素子Q1のコレクタは電源ラインに接続され、下アームのスイッチング素子Q2のエミッタはアースラインに接続される。スイッチング素子Q1,Q2の中間点、すなわちスイッチング素子Q1のエミッタとスイッチング素子Q2のコレクタの接続点にはリアクトルL1の一方端が接続されている。このリアクトルL1の他方端は、直流電源30の正極に接続される。また、スイッチング素子Q2のエミッタは、直流電源30の負極に接続される。また、各スイッチング素子Q1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側に電流を流すようにダイオードD1,D2が配置される。上記リアクトルL1の他方端とアースラインとの間には平滑用コンデンサC1が接続され、スイッチング素子Q1のコレクタとアースラインとの間には平滑用コンデンサC2が接続される。昇圧コンバータ40は、制御装置60からの制御信号に基づき、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング(オン/オフ)することにより電圧変換を行う。
【0037】
インバータ51は、昇圧コンバータ40から昇圧電圧を受けてモータMG1を制御する。具体的には、インバータ51は、昇圧コンバータ40から供給される直流電力を交流電力に変換してモータMG1に供給し、これによりモータMG1を回転駆動する。また、インバータ51は、モータMG1で発電された交流電力を直流電力に変換して昇圧コンバータ40に供給する。すなわち、インバータ51は、昇圧コンバータ40とモータMG1との間で電力変換を行う。
【0038】
図1の例では、インバータ51は、電源ラインとアースラインとの間に互いに並列に配置されるU相、V相、W相のアームを含んで構成される。U相アームはスイッチング素子Q11,Q12の直列接続からなり、V相アームはスイッチング素子Q13,Q14の直列接続からなり、W相アームはスイッチング素子Q15,Q16の直列接続からなる。スイッチング素子Q11〜Q16は、例えばIGBTである。各スイッチング素子Q11〜Q16のコレクタ−エミッタ間には、それぞれ、エミッタ側からコレクタ側に電流を流すダイオードD11〜D16が配置されている。U相アームのスイッチング素子Q11,Q12の中間点はモータMG1のU相コイルに接続され、V相アームのスイッチング素子Q13,Q14の中間点はモータMG1のV相コイルに接続され、W相アームのスイッチング素子Q15,Q16の中間点はモータMG1のW相コイルに接続される。インバータ51は、制御装置60からの制御信号に基づき、スイッチング素子Q11〜Q16をスイッチング(オン/オフ)することにより電力変換を行う。
【0039】
インバータ52は、昇圧コンバータ40から昇圧電圧を受けてモータMG2を制御する。具体的には、インバータ52は、昇圧コンバータ40から供給される直流電力を交流電力に変換してモータMG2に供給し、これによりモータMG2を回転駆動する。また、インバータ52は、モータMG2で発電された交流電力を直流電力に変換して昇圧コンバータ40に供給する。すなわち、インバータ52は、昇圧コンバータ40とモータMG2との間で電力変換を行う。
【0040】
図1の例では、インバータ52は、電源ラインとアースラインとの間に互いに並列に配置されるU相、V相、W相のアームを含んで構成される。U相アームはスイッチング素子Q21,Q22の直列接続からなり、V相アームはスイッチング素子Q23,Q24の直列接続からなり、W相アームはスイッチング素子Q25,Q26の直列接続からなる。スイッチング素子Q21〜Q26は、例えばIGBTである。各スイッチング素子Q21〜Q26のコレクタ−エミッタ間には、それぞれ、エミッタ側からコレクタ側に電流を流すダイオードD21〜D26が配置されている。U相アームのスイッチング素子Q21,Q22の中間点はモータMG2のU相コイルに接続され、V相アームのスイッチング素子Q23,Q24の中間点はモータMG2のV相コイルに接続され、W相アームのスイッチング素子Q25,Q26の中間点はモータMG2のW相コイルに接続される。インバータ52は、制御装置60からの制御信号に基づき、スイッチング素子Q21〜Q26をスイッチング(オン/オフ)することにより電力変換を行う。
【0041】
制御装置60は、昇圧コンバータ40およびインバータ51,52を制御して、モータMG1,MG2の動作を制御する。制御装置60は、一つの態様では、ハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現され、例えば電子制御ユニット(ECU: Electronic Control Unit)である。具体的には、制御装置60の機能は、ROM(Read Only Memory)等の記録媒体に記録された制御プログラムがメインメモリに読み出されてCPU(Central Processing Unit)により実行されることによって実現される。上記制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されることも可能であるし、データ信号として通信により提供されることも可能である。ただし、制御装置60は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。また、制御装置60は、物理的に1つの装置により実現されてもよいし、複数の装置により実現されてもよい。例えば、制御装置60は、エンジン10を制御するエンジンECUと、モータMG1,MG2を制御するモータECUと、これらを制御するハイブリッドECUとにより実現されてもよい。
【0042】
制御装置60には、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサからのアクセル開度Accや、車速センサからの車速Vなど、制御に必要なデータが入力される。
【0043】
制御装置60は、アクセル開度Accや車速Vなどのデータに基づき、車輪70(またはリングギヤ軸22a)に出力すべき要求トルクを算出し、この要求トルクに対応する要求動力が車輪70(またはリングギヤ軸22a)に出力されるように、エンジン10およびモータMG1,MG2を運転制御する。
【0044】
具体的には、制御装置60は、図3に示される駆動制御処理を所定時間毎に繰り返し実行する。
【0045】
図3の駆動制御処理において、制御装置60は、まず、アクセル開度Acc、車速V、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2、直流電源30が要求する充放電要求パワーPb*など、制御に必要なデータを取得する(S11)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサの出力に基づいて演算される。充放電要求パワーPb*は、例えば、直流電源30の残容量(SOC: State Of Charge)に基づいて求められる。
【0046】
ついで、制御装置60は、アクセル開度Accと車速Vとに基づき、車両に要求されるトルクとして、車輪70に連結された駆動軸としてのリングギヤ軸22aに出力すべき要求トルクTr*を設定する(S12)。
【0047】
ついで、制御装置60は、設定された要求トルクTr*に基づき、エンジン10に要求される要求パワーPe*を設定する(S13)。例えば、制御装置60は、要求トルクTr*にリングギヤ軸22aの回転数を乗じたものと充放電要求パワーPb*との和を計算し、これを要求パワーPe*として設定する。なお、リングギヤ軸22aの回転数は、車速VやモータMG2の回転数Nm2から求めることができる。
【0048】
ついで、制御装置60は、設定された要求パワーPe*に基づき、エンジン10を運転すべき運転ポイントとしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(S14)。
【0049】
ついで、制御装置60は、エンジン10の目標回転数Ne*と、モータMG2の回転数Nm2と、動力分配機構20のギヤ比とに基づき、モータMG1の目標回転数Nm1*を設定する(S15)。
【0050】
ついで、制御装置60は、エンジン10の目標トルクTe*と、モータMG1の目標回転数Nm1*と、モータMG1の回転数Nm1とに基づき、モータMG1の目標トルクTm1*を設定する(S16)。
【0051】
ついで、制御装置60は、リングギヤ軸22aに出力すべき要求トルクTr*と、モータMG1の目標トルクTm1*と、動力分配機構20のギヤ比とに基づき、モータMG2の目標トルクTm2*を設定する(S17)。
【0052】
ついで、制御装置60は、昇圧コンバータ40が出力すべき目標昇圧電圧VH*を設定する(S18)。具体的には、制御装置60は、モータMG1の目標トルクTm1*と回転数Nm1とに基づき、モータMG1の駆動に必要な電圧値Vm1を求め、モータMG2の目標トルクTm2*と回転数Nm2とに基づき、モータMG2の駆動に必要な電圧値Vm2を求め、電圧値Vm1,Vm2のうち大きい方の値を目標昇圧電圧VH*として決定する。
【0053】
上記駆動制御処理により、エンジン10の目標回転数Ne*および目標トルクTe*、昇圧コンバータ40の目標昇圧電圧VH*、モータMG1,MG2の目標トルクTm1*,Tm2*が設定されると、制御装置60は、これらの値に基づいて、エンジン10、昇圧コンバータ40、インバータ51,52を制御する。具体的には、制御装置60は、エンジン10が目標回転数Ne*および目標トルクTe*によって示される運転ポイントで運転されるように、エンジン10における吸入空気量制御、燃料噴射制御、点火制御などを行う。また、制御装置60は、昇圧コンバータ40の昇圧電圧(すなわちインバータ51,52の入力電圧)が目標昇圧電圧VH*となるように、昇圧コンバータ40のスイッチング制御を行う。また、制御装置60は、モータMG1が目標トルクTm1*を出力するようにインバータ51のスイッチング制御を行い、モータMG2が目標トルクTm2*を出力するようにインバータ52のスイッチング制御を行う。
【0054】
上記の電動車両1において、モータMG2がロック状態にある場合には、インバータ52の特定の素子に大きな直流電流が集中して流れ、その素子の損失が大きくなり、ひいては発熱が大きくなる。ここで、モータMG2のロック状態とは、モータMG2の回転数がゼロまたは略ゼロにある状態、すなわちモータMG2が停止または超低速回転している状態を意味する。
【0055】
さらに、モータMG2がロック状態にある場合に、アクセルペダルが踏み込まれてアクセル開度が増加すると、車両に要求される動力が増加し、エンジン10の要求パワーが増加する。そして、要求パワーの増加に応じてエンジン10の回転数が増加し、これによりモータMG1の回転数が増加する。ここで、モータMG2の回転数がゼロの場合、モータMG1の回転数とエンジン10の回転数とは比例関係となる。したがって、エンジン10の回転数が増加すると、これに比例してモータMG1の回転数が増加することとなる。モータMG1の回転数が増加すると、これに伴って昇圧電圧が高くなる。この昇圧電圧はインバータ52にも供給されるため、インバータ52の特定の素子には、非常に大きな電流が流れることとなる。
【0056】
そこで、本実施の形態では、インバータ52の素子の損失を低減する観点より、制御装置60は、モータMG2がロック状態にある場合には、昇圧コンバータ40の昇圧電圧を制限する。具体的には、制御装置60は、モータMG2がロック状態にあるか否かを判断し、ロック状態にあると判断した場合には、昇圧コンバータ40の昇圧電圧の上限値を下げる制御を行う。
【0057】
しかし、モータMG2がロック状態である場合に常に昇圧電圧を制限することとすると、ストール発進時の加速性が悪化してしまう可能性がある。これは、昇圧電圧の上限値を下げると、モータMG1の回転数の上限値が下がり、エンジン10の回転数の上限値も低回転側にシフトすることになるためである。モータMG2の回転数がゼロである場合、エンジン10の回転数はモータMG1の回転数に比例するので、モータMG1の回転数の上限が低下すると、これに比例してエンジン10の回転数の上限が低下することとなる。
【0058】
そこで、本実施の形態では、上記ストール発進時の加速性の悪化を回避する観点より、制御装置60は、以下のように昇圧電圧の制限を行う。以下、本実施の形態における制御装置60の昇圧電圧の制限について、第1および第2の態様を示す。
【0059】
(第1の態様)
図4は、第1の態様における制御装置60の昇圧電圧の制限に関する機能構成を示すブロック図である。図4において、制御装置60は、取得部61と制御部62とを有する。
【0060】
取得部61は、モータMG2の回転状態を示す情報と、アクセルの操作状態を示す情報と、ブレーキの操作状態を示す情報とを取得する。例えば、取得部61は、回転位置検出センサの出力に基づいて演算されるモータMG2の回転数Nm2と、アクセルポジションセンサからのアクセル開度Accと、ブレーキセンサからのブレーキ圧力Bkとを取得する。
【0061】
制御部62は、取得部61により取得された情報に基づき、モータMG2がロック状態であり、且つ、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態でないと判断される場合に、昇圧コンバータ40の昇圧電圧を制限する制御を行う。上記アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態は、例えば、アクセルペダルとブレーキペダルの両方が踏み込まれた状態であり、ストール状態と呼ばれる。
【0062】
具体的には、制御部62は、モータMG2がロック状態であるか否か、およびストール状態か否かを判断する。そして、制御部62は、モータMG2がロック状態であり、且つ、ストール状態でないと判断した場合に、昇圧電圧を制限する。一方、モータMG2がロック状態であっても、ストール状態であると判断した場合には、昇圧電圧の制限を行わない。
【0063】
例えば、モータMG2がロック状態でない場合(すなわち通常時)における昇圧電圧の上限値が最大昇圧電圧VHmaxである場合において、制御部62は、モータMG2がロック状態であり、且つ、ストール状態でないと判断したときには、昇圧電圧の上限値を最大昇圧電圧VHmaxより低い制限上限電圧VHlimに設定する。一方、モータMG2がロック状態であっても、ストール状態であると判断した場合には、昇圧電圧の上限値を最大昇圧電圧VHmaxとする。すなわち、昇圧電圧の制限を行わず、最大昇圧電圧VHmaxまでの昇圧を許容する。
【0064】
通常時など、最大昇圧電圧VHmaxまでの昇圧が許容されている場合、制御装置60は、昇圧電圧が最大昇圧電圧VHmaxを超えないように駆動制御を行う。例えば、制御装置60は、最大昇圧電圧VHmaxで許容されるモータMG1の動作領域内にモータMG1の動作点(トルク、回転数)が収まるように、エンジン10の動作点(トルク、回転数)を設定する。
【0065】
一方、昇圧制限時、すなわち昇圧電圧の上限値が制限上限電圧VHlimに設定された場合、制御装置60は、昇圧電圧が制限上限電圧VHlimを超えないように駆動制御を行う。例えば、制御装置60は、制限上限電圧VHlimで許容されるモータMG1の動作領域内にモータMG1の動作点(トルク、回転数)が収まるように、エンジン10の動作点(トルク、回転数)を設定する。
【0066】
ここで、制限上限電圧VHlimで許容されるモータMG1の動作領域は、最大昇圧電圧VHmaxで許容される動作領域よりも狭く、低回転側に制限される。すなわち、昇圧電圧が制限された場合、モータMG1の回転数は低回転側に制限され、これに伴いエンジン10の回転数も低回転側に制限される。この場合、エンジン10の回転数が低下するので、エンジン10のトルクは増加することになる。このように、昇圧電圧を制限すると、エンジン10の動作点は、低回転側かつ高トルク側にシフトすることとなる。
【0067】
モータMG2がロック状態か否かの判断は、例えば次のように行なわれる。制御部62は、モータMG2の回転数Nm2が所定回転数Nth以下か否かを判断し、所定回転数Nth以下である場合に、モータMG2がロック状態であると判断し、そうでない場合にはロック状態でないと判断する。
【0068】
ここで、上記所定回転数Nthは、例えば、熱的に最も厳しい状況である、パーキングブレーキおよびアクセルの両方がオン操作された状況で、モータMG2の回転数が確実に所定回転数Nth以下となるように設定される。ここで、パーキングブレーキは、主として車両の駐車時に使用される制動装置であり、例えば機械的な機構により車輪に制動力を加え、車輪をロックするものである。
【0069】
図5は、パーキングブレーキおよびアクセルの両方がオン操作された状況のタイムチャートの一例である。図5には、パーキングブレーキの操作状態、アクセルの操作状態、モータMG2のトルク、モータMG2の回転数、および昇圧電圧が示されている。図5に示されるように、パーキングブレーキおよびアクセルの両方がオンされた状況において、モータMG2の回転数は変動する。所定回転数Nthは、この回転数の変動を考慮して設定される。例えば、所定回転数Nthは、モータMG2の回転数の変動のピーク値が所定回転数Nth以下に収まるように設定される。なお、図5において、モータMG2のトルクが周期的に低下しているが、これはインバータ52の素子の保護のためのトルク抜き制御によるものである。
【0070】
ストール状態であるか否かの判断は、例えば次のように行なわれる。制御部62は、アクセル開度Accが所定値以上か否か、およびブレーキ圧力Bkが所定値以上か否かを判断し、アクセル開度Accが所定値以上であり、且つブレーキ圧力Bkが所定値以上である場合に、ストール状態であると判断し、そうでない場合にはストール状態でないと判断する。
【0071】
以上のように、本態様では、ストール発進時の加速性の悪化を回避するため、モータMG2がロック状態であっても、ストール状態のときには昇圧電圧の制限を行なわないようにしている。しかし、ストール状態の解除後、直ちに昇圧電圧の制限を開始すると、エンジン10の回転数は一度低回転側にシフトすることとなり、加速性に悪影響を及ぼすことになる。
【0072】
そこで、好適な一態様では、制御部62は、ストール状態の解除後、所定時間の間は、昇圧電圧の制限を行なわない。例えば、制御部62は、ストール状態が解除されたと判断した後、所定時間t1が経過するまでの間は、モータMG2の回転数Nm2が所定回転数Nth以下であっても、最大昇圧電圧VHmaxを許容する。
【0073】
ここで、上記所定時間t1は、例えば以下の条件(a),(b)を満たすように決定され、例えば1秒程度である。
(a)ストール状態解除後の加速時に、所定時間t1以内に、モータMG2の回転数Nm2が所定回転数Nthを超えること。
(b)ストール状態解除後、再度モータMG2がロック状態に入った場合でも、インバータ52の素子について熱的に問題がないこと。
【0074】
図6は、第1の態様における制御装置60の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図6を参照して、第1の態様における制御装置60の動作を説明する。なお、以下の処理は繰り返し実行されるものである。
【0075】
ここでは、制御装置60は、経過時間を計時するための計時手段としてカウンタを有するものとする。このカウンタはフリーランニングカウンタであり、その初期値は所定時間t1(例えば1秒)以上に設定され、上限値でカウントアップを停止し、上限値を保持するものとする。また、制御装置60は、判定履歴フラグを記憶しており、当該フラグの初期状態はオンであるとする。また、昇圧電圧の上限値の初期値は制限上限電圧VHlimであるものとする。また、モータMG2の回転数Nm2は、車両前進方向を正とし、車両後進方向を負とする。
【0076】
まず、制御装置60は、モータMG2の回転数Nm2と、アクセル開度Accと、ブレーキ圧力Bkとを取得する(S21)。
【0077】
ついで、制御装置60は、モータMG2がロック状態にあるか否かを判定する(S22)。
【0078】
具体的には、シフトレンジが前進レンジの場合、制御装置60は、次のように判定を行う。
【0079】
判定履歴フラグがオンの場合、制御装置60は、モータMG2の回転数Nm2が閾値NF1より小さいとき、すなわちNm2<NF1が成立するとき、ロック状態にあると判定し、それ以外のときにはロック状態でないと判定する。
【0080】
判定履歴フラグがオフの場合、制御装置60は、モータMG2の回転数Nm2が閾値NF2より小さいとき、すなわちNm2<NF2が成立するとき、ロック状態であると判定し、それ以外のときにはロック状態でないと判定する。ここでは、NF1>NF2>0である。
【0081】
一方、シフトレンジが後進レンジの場合、制御装置60は、次のように判定を行う。
【0082】
判定履歴フラグがオンの場合、制御装置60は、モータMG2の回転数Nm2が閾値NB1より大きいとき、すなわちNm2>NB1が成立するとき、ロック状態にあると判定し、それ以外のときにはロック状態でないと判定する。
【0083】
判定履歴フラグがオフの場合、制御装置60は、モータMG2の回転数Nm2が閾値NB2より大きいとき、すなわちNm2>NB2が成立するとき、ロック状態であると判定し、それ以外のときにはロック状態でないと判定する。ここでは、NB1<NB2<0である。また、例えば、|NF1|=|NB1|、|NF2|=|NB2|である。
【0084】
モータMG2がロック状態でないと判定された場合(S22:NO)、制御装置60は、判定履歴フラグをオフに設定し(S23)、制限上限電圧VHlimを超える昇圧を許可する(S24)。例えば、制御装置60は、昇圧電圧の上限値に最大昇圧電圧VHmaxを設定する。ここで、VHmax>VHlimである。
【0085】
一方、モータMG2がロック状態であると判定された場合(S22:YES)、制御装置60は、判定履歴フラグをオンに設定し(S25)、ストール状態か否かを判定する(S26)。具体的には、制御装置60は、アクセル開度Accが所定値以上であり、且つ、ブレーキ圧力Bkが所定値以上である場合に、ストール状態であると判定し、それ以外の場合にはストール状態でないと判定する。
【0086】
ストール状態であると判定された場合(S26:YES)、制御装置60は、制限上限電圧VHlimを超える昇圧を許可する(S27)。例えば、制御装置60は、昇圧電圧の上限値に最大昇圧電圧VHmaxを設定する。そして、制御装置60は、カウンタをゼロにクリアする(S28)。
【0087】
一方、ストール状態でないと判定された場合(S26:NO)、制御装置60は、カウンタの値が所定時間t1を超えているか否かを判定する(S29)。
【0088】
そして、カウンタの値が所定時間t1を超えていると判定された場合(S29:YES)、制御装置60は、昇圧電圧を制限上限電圧VHlim以下に制限する(S30)。例えば、制御装置60は、昇圧電圧の上限値に制限上限電圧VHlimを設定する。
【0089】
一方、カウンタの値が所定時間t1を超えていないと判定された場合(S29:NO)、制御装置60は、制限上限電圧VHlimを超える昇圧を許可する(S31)。例えば、制御装置60は、昇圧電圧の上限値に最大昇圧電圧VHmaxを設定する。
【0090】
なお、図6の例では、判定履歴フラグを設け、ロック状態の判定履歴に応じてロック状態判定用の閾値を切り替えているが、これはロック状態の判定にヒステリシス性を持たせるためである。ただし、判定履歴フラグを省略し、ロック状態判定用の閾値を切り替えないようにしてもよい。
【0091】
また、図6の例では、モータMG2のロック状態の判定用の閾値を正または負の一方に設け、他方に設けていない。具体的には、シフトレンジが前進レンジの場合には正側にのみ閾値を設定し、シフトレンジが後進レンジの場合には負側にのみ閾値を設定している。これは、急坂路発進時等における車両ずり下がりによる昇圧電圧の制限の解除を回避するためである。具体的には、例えば、急坂路発進時等においては、車両が一旦ずり下がり(モータMG2が負回転し)、その後、前進する(モータMG2が正回転する)場合がある。このような場合において、ずり下がったときに昇圧制限を解除すると、昇圧電圧が高い状態で、ずり下がりから前進に転じる際のロック状態に突入することになり、インバータ52の素子の発熱が大きくなってしまう。このような事情を考慮して、図6の例では、閾値を正または負の一方にのみ設けている。ただし、正および負の両方にロック状態判定用の閾値を設定することも可能である。例えば、モータMG2の回転数の絶対値|Nm2|が所定閾値Nth(>0)より小さい場合に、モータMG2がロック状態であると判定するようにしてもよい。
【0092】
図7は、ストール発進時のタイムチャートの一例である。具体的には、図7には、車両停止中に、運転者がアクセルとブレーキの両方を踏み込み、その後、アクセルを踏み込んだままブレーキを解除した場合が示されている。
【0093】
図7において、当初、モータMG2の回転数Nm2は略ゼロであり、ブレーキ圧力Bkは略最大であり、アクセル開度は略全開である。この場合、制御装置60は、ストール状態であると判定し、最大昇圧電圧VHmaxまで昇圧電圧を許容している。また、制御装置60は、ストール状態を検知していることから、モータMG2のトルクを所定値以下に制限する制御を実施している。
【0094】
時刻taにおいて、ブレーキがオフされると、ストール状態は解除されるが、所定時間t1が経過するまで、すなわち時刻(ta+t1)までは、昇圧制限は行われず、最大昇圧電圧VHmaxまで昇圧電圧が許容される。また、ブレーキがオフされると、モータMG2の回転数Nm2が上昇していく。モータMG2の回転数Nm2は、所定時間t1が経過する前に所定回転数Nthを超え、ロック状態が解除される。このため、所定時間t1が経過した後も、昇圧制限は実施されない。
【0095】
以上のとおり、第1の態様では、走行用の回転電機がロック状態であり、且つ、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態でないと判断される場合に、昇圧電圧を制限する制御を行う。このため、本態様によれば、ストール発進時の加速性への影響を軽減または回避しつつ、インバータの素子の損失を低減することが可能となる。具体的には、回転電機がロック状態であっても、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態であると判断された場合には、昇圧電圧の制限を行わないことにより、ストール発進時の加速性の悪化を避けることが可能となる。また、インバータの素子の損失を低減することが可能となることから、例えば、インバータの素子の発熱を抑制することが可能となり、インバータの素子のサイズを小型化することが可能となる。
【0096】
(第2の態様)
第2の態様は、昇圧電圧を制限するか否かの判定条件について上記第1の態様と相違するが、多くの点で上記第1の態様と同様である。そこで、以下の説明では、第1の態様と相違する部分を主に説明し、第1の態様と同様の部分については説明を省略または簡略化する。
【0097】
図8は、第2の態様における制御装置60の昇圧電圧の制限に関する機能構成を示すブロック図である。図8において、制御装置60は、取得部61と制御部62とを有する。
【0098】
第2の態様では、取得部61は、モータMG2の回転状態を示す情報と、パーキングブレーキの操作状態を示す情報とを取得する。例えば、取得部61は、回転位置検出センサの出力に基づいて演算されるモータMG2の回転数Nm2と、パーキングブレーキのオン/オフを検出するパーキングブレーキスイッチからのパーキングブレーキ信号PKBとを取得する。
【0099】
制御部62は、取得部61により取得された情報に基づき、モータMG2がロック状態であり、且つ、パーキングブレーキがオン操作された状態であると判断される場合に、昇圧コンバータ40の昇圧電圧を制限する制御を行う。上記パーキングブレーキがオン操作された状態は、例えば、パーキングブレーキペダルやサイドブレーキがオン操作されて、パーキングブレーキの制動力が車輪に加えられている状態である。
【0100】
具体的には、制御部62は、モータMG2がロック状態であるか否か、およびパーキングブレーキがオン操作された状態(以下、「PKBオン状態」と略称する)か否かを判断する。そして、制御部62は、モータMG2がロック状態であり、且つ、PKBオン状態であると判断した場合に、昇圧電圧を制限する。一方、モータMG2がロック状態であっても、PKBオン状態でないと判断した場合には、昇圧電圧の制限を行わない。
【0101】
例えば、モータMG2がロック状態でない場合(すなわち通常時)における昇圧電圧の上限値が最大昇圧電圧VHmaxである場合において、制御部62は、モータMG2がロック状態であり、且つ、PKBオン状態であると判断したときには、昇圧電圧の上限値を最大昇圧電圧VHmaxより低い制限上限電圧VHlimに設定する。一方、モータMG2がロック状態であっても、PKBオン状態でないと判断した場合には、昇圧電圧の上限値を最大昇圧電圧VHmaxとする。すなわち、昇圧電圧の制限を行わず、最大昇圧電圧VHmaxまでの昇圧を許容する。
【0102】
図9は、第2の態様における制御装置60の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図9を参照して、第2の態様における制御装置60の動作を説明する。なお、以下の処理は繰り返し実行されるものである。
【0103】
ここでは、昇圧電圧の上限値の初期値は制限上限電圧VHlimであるものとする。また、モータMG2の回転数「Nm2」は、回転数の絶対値を示すものとする。
【0104】
まず、制御装置60は、モータMG2の回転数Nm2と、パーキングブレーキ信号PKBとを取得する(S41)。
【0105】
ついで、制御装置60は、モータMG2がロック状態にあるか否かを判定する(S42)。ここでは、制御装置60は、モータMG2の回転数Nm2が所定回転数Nthより小さいとき、すなわちNm2<Nthが成立するとき、ロック状態にあると判定し、それ以外のときにはロック状態でないと判定する。
【0106】
モータMG2がロック状態でないと判定された場合(S42:NO)、制御装置60は、制限上限電圧VHlimを超える昇圧を許可する(S43)。例えば、制御装置60は、昇圧電圧の上限値に最大昇圧電圧VHmaxを設定する。ここで、VHmax>VHlimである。
【0107】
一方、モータMG2がロック状態であると判定された場合(S42:YES)、制御装置60は、パーキングブレーキ信号PKBに基づき、PKBオン状態か否かを判定する(S44)。
【0108】
PKBオン状態でないと判定された場合(S44:NO)、制御装置60は、制限上限電圧VHlimを超える昇圧を許可する(S45)。例えば、制御装置60は、昇圧電圧の上限値に最大昇圧電圧VHmaxを設定する。
【0109】
一方、PKBオン状態であると判定された場合(S44:YES)、制御装置60は、昇圧電圧を制限上限電圧VHlim以下に制限する(S46)。例えば、制御装置60は、昇圧電圧の上限値に制限上限電圧VHlimを設定する。
【0110】
なお、図9の例では、ロック状態判定用の閾値を切り替えていないが、図6の場合と同様にロック状態の判定履歴やシフトレンジに応じてロック状態判定用の閾値を切り替えるようにしてもよい。
【0111】
また、図9の例では、モータMG2の回転数Nm2を絶対値として扱い、実質的にロック状態判定用の閾値をモータMG2の回転数の正および負の両側に設定しているが、図6の場合と同様に正または負の一方側のみに設定するようにしてもよい。
【0112】
以上のとおり、第2の態様では、走行用の回転電機がロック状態であり、且つ、パーキングブレーキがオン操作された状態であると判断される場合に、昇圧電圧を制限する制御を行う。このため、本態様によれば、ストール発進時の加速性への影響を軽減または回避しつつ、インバータの素子の損失を低減することが可能となる。具体的には、パーキングブレーキがオン操作されている場合に限定して昇圧電圧の制限を行うことができることより、ストール発進時の加速性の悪化を避けることが可能となる。また、インバータの素子の損失を低減することが可能となることから、例えば、インバータの素子の発熱を抑制することが可能となり、インバータの素子のサイズを小型化することが可能となる。
【0113】
また、走行用の回転電機がロック状態であり、且つ、パーキングブレーキがオン操作された状態であると判断される場合に、昇圧電圧を制限する制御を行うので、パーキングブレーキがオン時の坂路発進時において、エンジン動作点が高トルク側にシフトし、エンジン直達トルクが上昇し、これにより登坂性能の向上を図ることが可能となる。
【0114】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更することができる。
【0115】
例えば、本発明は、図1に示されるようなエンジンと2つの回転電機を有するタイプの電動車両に限られず、他のタイプの電動車両に適用されてもよい。具体的には、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、当該昇圧コンバータから昇圧電圧を受けて走行用の回転電機を制御するインバータとを有する電動車両であって、昇圧電圧を制限するとストール発進時の加速性が悪化する構成を有する電動車両であれば、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本実施の形態に係る電動車両の構成の一例を示す概略図である。
【図2】動力分配機構の構成の一例を示す概略図である。
【図3】駆動制御処理のフローチャートである。
【図4】第1の態様における制御装置の昇圧電圧の制限に関する機能構成を示すブロック図である。
【図5】パーキングブレーキおよびアクセルの両方がオン操作された状況のタイムチャートの一例である。
【図6】第1の態様における制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】ストール発進時のタイムチャートの一例である。
【図8】第2の態様における制御装置の昇圧電圧の制限に関する機能構成を示すブロック図である。
【図9】第2の態様における制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0117】
1 電動車両、10 エンジン、20 動力分配機構、21 サンギヤ、22 リングギヤ、22a リングギヤ軸、23 ピニオンギヤ、24 キャリア、30 直流電源、40 昇圧コンバータ、51,52 インバータ、60 制御装置、70 車輪、80 減速機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、
前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて走行用の回転電機を制御するインバータと、
前記回転電機がロック状態であり、且つ、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態でないと判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御装置と、
を有することを特徴とする電動車両。
【請求項2】
電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、
前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて走行用の回転電機を制御するインバータと、
前記回転電機がロック状態であり、且つ、パーキングブレーキがオン操作された状態であると判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御装置と、
を有することを特徴とする電動車両。
【請求項3】
電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、当該昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて走行用の回転電機を制御するインバータとを備える電動車両の制御装置であって、
前記回転電機の回転状態を示す情報と、アクセルの操作状態を示す情報と、ブレーキの操作状態を示す情報とを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づき、前記回転電機がロック状態であり、且つ、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態でないと判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする電動車両の制御装置。
【請求項4】
電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、当該昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて走行用の回転電機を制御するインバータとを備える電動車両の制御装置であって、
前記回転電機の回転状態を示す情報と、パーキングブレーキの操作状態を示す情報とを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づき、前記回転電機がロック状態であり、且つ、パーキングブレーキがオン操作された状態であると判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする電動車両の制御装置。
【請求項5】
電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、当該昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて走行用の回転電機を制御するインバータとを備える電動車両の制御プログラムであって、コンピュータに、
前記回転電機の回転状態を示す情報と、アクセルの操作状態を示す情報と、ブレーキの操作状態を示す情報とを取得する手順と、
前記取得された情報に基づき、前記回転電機がロック状態であり、且つ、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態でないと判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う手順と、
を実行させることを特徴とする電動車両の制御プログラム。
【請求項6】
電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、当該昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて走行用の回転電機を制御するインバータとを備える電動車両の制御プログラムであって、コンピュータに、
前記回転電機の回転状態を示す情報と、パーキングブレーキの操作状態を示す情報とを取得する手順と、
前記取得された情報に基づき、前記回転電機がロック状態であり、且つ、パーキングブレーキがオン操作された状態であると判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う手順と、
を実行させることを特徴とする電動車両の制御プログラム。
【請求項7】
内燃機関と、
第1の回転電機と、
前記内燃機関の動力を前記第1の回転電機と車輪とに分配する動力分配機構と、
前記車輪に駆動力を付与する第2の回転電機と、
電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、
前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第1の回転電機を制御する第1のインバータと、
前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第2の回転電機を制御する第2のインバータと、
前記第2の回転電機がロック状態であり、且つ、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態でないと判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御装置と、
を有することを特徴とする電動車両。
【請求項8】
内燃機関と、
第1の回転電機と、
前記内燃機関の動力を前記第1の回転電機と車輪とに分配する動力分配機構と、
前記車輪に駆動力を付与する第2の回転電機と、
電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、
前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第1の回転電機を制御する第1のインバータと、
前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第2の回転電機を制御する第2のインバータと、
前記第2の回転電機がロック状態であり、且つ、パーキングブレーキがオン操作された状態であると判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御装置と、
を有することを特徴とする電動車両。
【請求項9】
内燃機関と、第1の回転電機と、前記内燃機関の動力を前記第1の回転電機と車輪とに分配する動力分配機構と、前記車輪に駆動力を付与する第2の回転電機と、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第1の回転電機を制御する第1のインバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第2の回転電機を制御する第2のインバータとを備える電動車両の制御装置であって、
前記第2の回転電機の回転状態を示す情報と、アクセルの操作状態を示す情報と、ブレーキの操作状態を示す情報とを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づき、前記第2の回転電機がロック状態であり、且つ、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態でないと判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする電動車両の制御装置。
【請求項10】
内燃機関と、第1の回転電機と、前記内燃機関の動力を前記第1の回転電機と車輪とに分配する動力分配機構と、前記車輪に駆動力を付与する第2の回転電機と、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第1の回転電機を制御する第1のインバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第2の回転電機を制御する第2のインバータとを備える電動車両の制御装置であって、
前記第2の回転電機の回転状態を示す情報と、パーキングブレーキの操作状態を示す情報とを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づき、前記第2の回転電機がロック状態であり、且つ、パーキングブレーキがオン操作された状態であると判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする電動車両の制御装置。
【請求項11】
内燃機関と、第1の回転電機と、前記内燃機関の動力を前記第1の回転電機と車輪とに分配する動力分配機構と、前記車輪に駆動力を付与する第2の回転電機と、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第1の回転電機を制御する第1のインバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第2の回転電機を制御する第2のインバータとを備える電動車両の制御プログラムであって、コンピュータに、
前記第2の回転電機の回転状態を示す情報と、アクセルの操作状態を示す情報と、ブレーキの操作状態を示す情報とを取得する手順と、
前記取得された情報に基づき、前記第2の回転電機がロック状態であり、且つ、アクセルおよびブレーキが共にオン操作された状態でないと判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う手順と、
を実行させることを特徴とする電動車両の制御プログラム。
【請求項12】
内燃機関と、第1の回転電機と、前記内燃機関の動力を前記第1の回転電機と車輪とに分配する動力分配機構と、前記車輪に駆動力を付与する第2の回転電機と、電源電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第1の回転電機を制御する第1のインバータと、前記昇圧コンバータから前記昇圧電圧を受けて前記第2の回転電機を制御する第2のインバータとを備える電動車両の制御プログラムであって、コンピュータに、
前記第2の回転電機の回転状態を示す情報と、パーキングブレーキの操作状態を示す情報とを取得する手順と、
前記取得された情報に基づき、前記第2の回転電機がロック状態であり、且つ、パーキングブレーキがオン操作された状態であると判断される場合に、前記昇圧電圧を制限する制御を行う手順と、
を実行させることを特徴とする電動車両の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−119158(P2010−119158A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288418(P2008−288418)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】