説明

電動車両

【課題】ばね下荷重の低減化が図れる電動車両を提供することを課題とする。
【解決手段】無段変速機20は、車体フレーム11にサブフレーム51を介してスイング可能に取付けられる。スイングはリヤクッション49で制御される。
【効果】無段変速機20の出力軸33に駆動輪16を取付け、無段変速機20の入力軸をスイング軸46と同軸にすることで、重い電動機を車体フレームに支持させることができ、ばね下荷重を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
燃費向上の一環として、駆動源を内燃機関から電動機に置き換える技術が進められてきた。そして、電動車両の形態が各種提案されてきた(例えば、特許文献1(図2、図4)参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図9は従来の技術の基本構成を説明する図であり、車体フレーム101からアッパアーム102とリーフスプリング形状のロアアーム103が延ばされ、これらのアッパアーム102の先端とロアアーム103の先端にホイールインモータ104が連結され、このホイールインモータ104に駆動輪105が取付けられる。そして、車体フレーム101とロアフレーム103の先端とにクッションユニット106が掛け渡される。
【0004】
ホイールインモータ104で駆動輪105が直接駆動されるため、従来のプロペラシャフト、デフ、ドライブシャフトを省くことができ、車両の軽量化が図れる。
【0005】
しかし、電動機は磁石や鉄心やコイルを内蔵するため不可避的に重くなる。電動機の一種であるホイールインモータ104も重くなる。結果、いわゆる、ばね下荷重が大きくなり(重くなり)、車両の乗り心地や操縦性に影響が出る。
そこで、電動車両であっても、ばね下荷重の低減化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−343920公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ばね下荷重の低減化が図れる電動車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、電動機で駆動輪を駆動する電動車両において、車体フレームに、無段変速機がスイング可能に取付けられ、この無段変速機の出力軸に前記駆動輪が取付けられ、前記無段変速機の入力軸に前記電動機が取付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明では、無段変速機に設けられるスイング軸は、入力軸と同軸上に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明では、重い電動機を駆動輪から十分に離すことができるため、ばね下荷重を小さくすることができる。
【0011】
請求項2に係る発明では、スイング軸を入力軸と同軸上に配置する。
無段変速機において、入力軸と出力軸は十分に離れている。出力軸に駆動輪を取付け、入力軸に電動機を取付けると共に、入力軸をスイング軸と同軸にすることで、重い電動機を車体フレームに支持させることができ、ばね下荷重を更に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る電動車両の平面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図2の3矢視図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】別実施例に係る電動車両の平面図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【図7】図6の7矢視図である。
【図8】図7の8−8線断面図である。
【図9】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、電動車両10は、車体フレーム11に前輪12L、12R(Lは左、Rは右を示す添え字である。以下同様)及び後輪13L、13Rを備える四輪車であり、前輪12L、12Rがステアリングハンドル14により転舵される操向輪であり、後輪13L、13Rが無段変速機20、20で駆動される駆動輪16、16である。
【0015】
以下、図2〜図4に基づいて詳細を説明するが、先に図4に基づいて無段変速機20の内部構造を説明する。
図4に示すように、無段変速機20は、分割可能なケース半体21、22と、これらのケース半体21、22に軸受23、24を介して支持される入力軸25と、この入力軸25に一体形成される固定側プーリ26と、入力軸25に軸方向移動自在に嵌められる可動側プーリ27と、この可動側プーリ27を移動させるプーリアクチュエータ28と、ケース半体21、22に軸受31、32を介して支持される出力軸33と、この出力軸33に一体形成される固定側プーリ34と、出力軸33に軸方向移動自在に嵌められる可動側プーリ35と、この可動側プーリ35を移動させるプーリアクチュエータ36と、プーリ26、27とプーリ34、35に掛け渡されるベルト37とからなる。
【0016】
出力軸33の一端にスプライン38が切られ、駆動輪16のハブ39が嵌められる。
また、ケース半体21に電動機41が取付けられ、モータ軸42が入力軸25に嵌められる。
【0017】
このような構造の無段変速機20において、図3に示すように、モータ軸42の近傍、この例ではモータ軸42の上方位置にて、ケース半体21、22から耳状のフック部21a、21bが上方に膨出形成される。フック部21a、21bは、1個であってもよい。1個の場合はフック部21aを、ケース半体21又は22から膨出させればよい。
【0018】
また、車体フレーム11から、ブラケット11a、11bが下方へ張り出し形成され、これらのブラケット11a、11bにピボット軸15が渡され、このピボット軸15がブラケット11a、11bとフック部21a、21bに貫通される。
以上により、無段変速機20は、車体フレーム11に、ピボット軸15を揺動中心としてスイング可能に取付けられる。スイングはリヤクッション49で制御される。
電動機41がピボット軸15の近傍にある。重量物である電動機41が車体フレーム11で支持されるため、ばね下荷重は十分に小さくなる。
【0019】
図2に示すように、車体フレーム11から下ろされるブラケット11a、11b間にフック部21a、21bが挟まれ、ピボット軸15で連結される。
【0020】
さらには、図1に示すように、左右の駆動輪16、16間に大きな空間が確保でき、スペアタイヤ54が収納可能となる。
【0021】
次に、別実施例を図5〜図8に基づいて説明する。
【0022】
図8に示す無段変速機20の内部構造は、図4で説明したものと同一であるため、符号を流用して、詳細な説明は省略する。
【0023】
図4との相違点は次の通りである。
先ず、電動機41を囲うようにしてブラケット43がケース半体21にボルト44、44で固定され、ブラケット43から内側スイング軸45が延ばされる。また、ケース半体22に外側スイング軸46がボルト47、47で固定される。 好ましくは、ブラケット43に通気穴48、48を設けることで、電動機41の冷却を促すと共にブラケット43の軽量化を図る。
この実施例では、入力軸25と同軸上に内側スイング軸45及び外側スイング軸46が配置される。
【0024】
内側スイング軸45及び外側スイング軸46を、出力軸33から十分に離すことができる。しかし、内側スイング軸45及び外側スイング軸46を、入力軸25からオフセットして設けることは差し支えない。
【0025】
ただし、内側スイング軸45及び外側スイング軸46を、出力軸33寄りにオフセットさせると、出力軸33との距離が確保できなくなり、また、内側スイング軸45及び外側スイング軸46を、反出力軸33寄りにオフセットさせるとケース半体21、22が大型化する。そこで、オフセットさせる場合でも、オフセット量を小さく設定し、内側スイング軸45及び外側スイング軸46を、入力軸25の近傍に配置することが望ましい。結果、出力軸33との距離を確保できると共にケース半体21、22のコンパクト化が達成できる。
【0026】
このような構造の無段変速機20は、図7に示すように、車体フレーム11に、サブフレーム51を介してスイング可能に取付けられる。スイングはリヤクッション49で制御される。
【0027】
図6に示すように、外側のサブフレーム51に外側スイング軸46を支持させ、内側サブフレーム52に内側スイング軸45を支持させる。2点で支持されるため、捻れに強いリヤサスペンション機構が提供される。
そして、電動機41を囲う、ブラケット43が車体フレーム11で支持され、重量物である電動機41が車体フレーム11で支持されるため、ばね下荷重は十分に小さくなる。
【0028】
さらには、図5に示すように、左右の駆動輪16、16の車両前方にブラケット43、43が配置され、これらのブラケット43、43内に電動機が配置される。結果、図から明らかなように、左右の駆動輪16、16間に大きな空間が確保でき、スペアタイヤ54が収納可能となる。
【0029】
尚、車両は四輪車の他、前一輪、後二輪の三輪車であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、四輪車に好適である。
【符号の説明】
【0031】
10…電動車両、11…車体フレーム、16…駆動輪、41…電動機、45…スイング軸(内側スイング軸)、46…スイング軸(外側スイング軸)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機で駆動輪を駆動する電動車両において、
車体フレームに、無段変速機がスイング可能に取付けられ、この無段変速機の出力軸に前記駆動輪が取付けられ、前記無段変速機の入力軸に前記電動機が取付けられていることを特徴とする電動車両。
【請求項2】
前記無段変速機に設けられるスイング軸は、前記入力軸と同軸上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の電動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−225434(P2012−225434A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94303(P2011−94303)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】