電動送風機
【課題】電動送風機に使用されるブラシ保持器の固定構造において、ブラシ保持器の保持固定を安定化させて、ブラシ保持器先端部の振動を抑制して、ブラシの異常振動を防止することで異常スパークの発生を抑制し、更にブラシ保持器端子と界磁端子の接触を安定化させて高信頼性で長寿命の電動送風機を提供する。
【解決手段】界磁３を保持固定するブラケット２の外周面にブラシ保持器１０を保持する保持孔とネジ止め一箇所にて固定するバーリングを設け、更にブラケット２の内側方向のブラシ保持器１０の端子１０ｂと界磁３の端子３ｄを接続する上部にブラシ保持器１０を保持固定する折り曲げ部２ａを設けて、ブラシ保持器１０をブラケット２の外周面一箇所と内側折り曲げ部２ａ一箇所の計二箇所にて保持固定することを特徴とする電動送風機である。
【解決手段】界磁３を保持固定するブラケット２の外周面にブラシ保持器１０を保持する保持孔とネジ止め一箇所にて固定するバーリングを設け、更にブラケット２の内側方向のブラシ保持器１０の端子１０ｂと界磁３の端子３ｄを接続する上部にブラシ保持器１０を保持固定する折り曲げ部２ａを設けて、ブラシ保持器１０をブラケット２の外周面一箇所と内側折り曲げ部２ａ一箇所の計二箇所にて保持固定することを特徴とする電動送風機である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電機掃除機等に用いられる電動送風機に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、電動送風機のブラシ保持器は、界磁を保持固定するブラケットとブラケットの外周面にブラシ保持器を保持する保持孔とネジ止め固定するバーリングを設け、ブラシ保持器をブラケットの外周面一箇所にて保持固定している(例えば、特許文献１参照)。
【０００３】
図３、図４に従来の電動送風機の構造を示す。図３、図４において、電動送風機本体１は、ブラケット２内に設けられた界磁３と電機子４とによって構成されている。界磁３は、界磁コア３ａと巻枠３ｂとコイル３ｃにて構成されている。
【０００４】
モータ軸５は、電機子４に設けられた回転軸を構成する。このモータ軸５は、ブラケット２内に回転自在に保持されて固定される構成である。回転するファン６は、モータ軸５に固定され、電機子４の回転によって回転するファンであり、このファン６の電機子側にはエアガイド７が設けられている。ファンケース８は、ブラケット２上部に設けられ、ファン６とエアガイド７を覆う構成である。
【０００５】
そして、ファン６によって吸気口９から空気を吸込み、エアガイド７で整流してブラケット２に形成した開口（図示せず）より排気するよう構造である。
【０００６】
つぎに、ブラシ保持器１０は、ブラケット２の外周面でネジ止め固定されている。ブラシ１１は、前記電機子４に設けられた整流子１２に通電するためのカーボンからなる構成である。ブラシ保持器１０に設けられた金属製の異形管１０ａに収納されており、異形管１０ａからスプリング１３によって整流子１２側に付勢されて突出可能に設けられている。また、ブラシ１１の整流子１２と接触する側とは反対側の面にはブラシ１１に給電するためのピグテール１５が設けられている。
【特許文献１】特開２０００−２１７３１３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
解決しようとする課題は、従来の電動送風機において、ブラシ保持器の保持固定がブラケットの外周面一箇所であるため、ブラシ保持器の先端部が振動し易く、ブラシ保持器先端部の振動により、ブラシが振動して異常スパーク発生の一要因となっており、ブラシの異常摩耗を促進し、ブラシ寿命の低下や効率のバラツキ増加を招いていた。また、ブラシ保持器の振動によりブラシ保持器端子と界磁端子との接触不安定も招いていた。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記課題を解決するために本件出願に係る第１の発明の電動送風機は、電機子巻線の端末が接続される整流子を有する電機子と、前記整流子と先端が摺動接触するブラシと、前記ブラシと電気的に接続されかつ前記ブラシを長手方向に摺動自在に収納する導電性材料からなる異形管と、前記異形管を固定保持するブラシ保持器と、前記ブラシ保持器の前記異形管の一部分に配置されるブラシ側端子と、前記ブラシ側端子と電気的に接続される界磁側接続端子を介して接続される界磁巻線を有する界磁と、前記界磁を固定保持すると同時に前記電機子を軸受を介して回転自在に支承しさらに前記ブラシ保持器を挿入するための挿入孔を有するブラケットとからなる整流子電動機において、
前記挿入孔の配置が前記ブラケットの側面部であり、
前記ブラシ保持器を前記ブラケットに固定するために前記挿入孔へ前記ブラシ保持器を挿入して固定する構成が、前記ブラシ保持器の一部を前記ブラケットの側面部に固定する第１の固定部と、前記ブラケットの電動送風機の送風方向側の底部に前記前記ブラシ保持器を固定する第２の固定部とから構成され、さらに前記第２の固定部と前記ブラシ側端子と前記界磁側接続端子との位置関係をこの電動送風機の軸方向からみて略重畳する配置とすることにより、前記整流子と前記ブラシの先端が摺動接触することで前記ブラシ保持器全体が振動しても、前記振動が前記第２の固定部を主な支点とした振動し、前記ブラシ側端子も前記第２の固定部と同様に前記振動の主な支点を構成し、前記主な支点の構成により前記ブラシ側端子と前記界磁側接続端子との電気的接続の振動が抑制されたことを特徴とする電動送風機である。このようにして、ブラシ保持器先端部の振動を抑制し、ブラシ先端部と整流子との間でのスパーク現象の発生を抑制することができるという効果が得られる。
【０００９】
また、本件出願に係る第２の発明の電動送風機は、上記発明において、第１の固定部が界磁を保持固定するブラケットとこのブラケットの外周面にブラシ保持器を保持する保持孔とネジ止め固定するバーリングとの構成であり、第２の固定部が前記ブラケットの内側方向にブラシ保持器を保持固定する折り曲げ部の構成であり、前記ブラシ保持器を前記ブラケットの前記第１の固定部及び前記第２の固定部とから保持固定する構成を有する電動送風機である。同様に、ブラシ保持器先端部の振動を抑制し、ブラシ先端部と整流子との間でのスパーク現象の発生を抑制することができるという効果が得られる。
【００１０】
また、本件出願に係る第３の発明の電動送風機は、上記発明のいずれかにおいて、界磁側接続端子が電動送風機の軸方向からみて界磁のコア上に配置された構成を有する電動送風機である。このようにして、ブラシ保持器先端部の振動を抑制し、ブラシ先端部と整流子との間での接触安定性を向上できるという好適な効果が得られる。また、界磁側接続端子の構成は、その構造的強度も得られるものである。
【００１１】
また、本件出願に係る第４の発明の電動送風機は、上記発明のいずれかにおいて、第２の固定部のブラケット内側方向の折り曲げ部が、ブラシ保持器を電動送風機の軸の回転方向と電動送風機の軸方向とから固定する構成を有する電動送風機である。同様に、ブラシ保持器先端部の振動を抑制し、ブラシ先端部と整流子との間でのスパーク現象の発生を抑制することができるという効果が得られる。また、本件出願に係る電動送風機を具備した電機掃除機は、ブラシ先端部と整流子との間でのスパーク現象の発生を抑制の点で、電機掃除機の信頼性を高める効果が図れる。
【発明の効果】
【００１２】
本件出願に係る電動送風機によれば、ブラシ保持器をブラケットの側面部一箇所とブラケット内側方向の折り曲げ部一箇所の計二箇所にて保持固定しているので、ブラシ保持器の保持固定を安定化させ、ブラシ保持器先端部の振動を抑制すると同時にブラシの振動を抑制し、異常スパークの発生を抑制することができる。
【００１３】
また、ブラケット内側方向の折り曲げ部が、ブラシ保持器の端子と界磁の端子との接続部上部に設けられているので、ブラシ保持器の端子と界磁の端子との接触安定性が確保できる。
【００１４】
また、界磁の端子が界磁のコア上に設けられているので、端子の保持を安定化でき更に端子の接触安定性が確保できる。
【００１５】
また、ブラケット内側方向の折り曲げ部が、ブラシ保持器を回転方向と上下方向にて固定されているので、ブラシ保持器先端部の振動を更に抑制でき好適できる。
【００１６】
また、本件出願に係る電動送風機によれば、上記構造としているのでブラシ保持器の保持固定を安定化でき、これによりブラシ保持器先端部の振動を抑制することが可能となり、長寿命で高効率の電動送風機を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、本件出願に係る発明は実施の形態により限定されるものではない。設計事項、仕様の範囲で変更、改良できることはいうまでもない。
【００１８】
（実施の形態１）
実施の形態１について具体的に説明する。本件出願に係る発明の電動送風機について、図１から図２に基づき説明する。
【００１９】
電動送風機本体１は、電気掃除機等に使用されるものである。この電動送風機本体１は、ブラケット２内に設けられた界磁３と電機子４とによって構成されている。界磁３は、界磁コア３ａと巻枠３ｂとコイル３ｃと界磁端子３ｄにて構成され、界磁端子３ｄは界磁コア３ａ上の巻枠３ｂに保持固定されている。モータ軸５は、電機子４に設けられた回転軸となる構成である。このモータ軸５は、ブラケット２内に回転自在に保持されて固定された構成である。ファン６は、モータ軸５に固定され、電機子４の回転によって回転するものである。このファン６の電機子側にはエアガイド７が設けられている。ファンケース８は、ブラケット２上部に設けられ、ファン６とエアガイド７を覆う構成である。
【００２０】
そして、ファン６によって吸気口９から空気を吸込み、エアガイド７で整流してブラケット２に形成した開口（図示せず）より排気する構造である。
【００２１】
つぎに、ブラシ保持器１０は、第１の固定部として、ブラケットの側面部に設けられた保持孔（符号なし）に挿入されブラケット２の側面部でバーリング加工部にネジ止め固定される。ブラシ保持器１０の第２の固定部として、ブラケット２の底面内側方向の界磁端子３ｄの位置と同位置に折り曲げ部２ａを設けて、上下方向と回転方向とに対して保持固定される構造である。
【００２２】
ブラシ１１は、電機子４に設けられた整流子１２に通電するためのカーボンから構成されている。ブラシ保持器１０に設けられた金属製の異形管１０ａに収納されており、異形管１０ａからスプリング１３によって整流子１２側に付勢されて突出可能に設けられている。
【００２３】
異形管１０ａの一部分には、界磁端子３ｄと接続固定する端子１０ｂを形成し、界磁端子３ｄと接続固定されている。また、ブラシ１１の整流子１２と接触する側とは反対側の面にはブラシ１１に給電するためのピグテール１４が設けられている。
【００２４】
上記の第２の固定部とブラシ側端子（端子１０ｂ）と界磁側接続端子（界磁端子３ｄ）との位置関係をこの電動送風機の軸方向からみて略重畳する配置とすることにより、整流子１２とブラシ１１の先端が摺動接触することでブラシ保持器１０全体が振動しても、振動が第２の固定部を主な支点とした振動し、ブラシ側端子（端子１０ｂ）も第２の固定部と同様に振動の主な支点を構成し、この支点の構成によりブラシ側端子（端子１０ｂ）と界磁側接続端子（界磁端子３ｄ）との電気的接続の振動が抑制される。
【００２５】
さらに説明すると、上記の第２の固定部とブラシ側端子（端子１０ｂ）と界磁側接続端子（界磁端子３ｄ）との位置関係をこの電動送風機の軸方向からみて略重なる位置関係に配置することで、ブラシ保持器１０全体が振動しても、振動が第２の固定部を主な支点とした振動となり、この支点の位置付近では振動があってもその振動量は最も少ないという効果が図れる。ブラシ側端子も第２の固定部と同様に振動の主な支点を構成し、この支点の構成により前記ブラシ側端子と前記界磁側接続端子との電気的接続の振動が抑制される。このようにして、ブラシ保持器先端部の振動を抑制し、ブラシ先端部と整流子との間でのスパーク現象の発生を抑制することができるという効果が得られる。
【００２６】
また、ブラシ保持器１０がブラケット２の外周面側でネジ止め固定され、ブラケット２の底面内側方向の折り曲げ部２ａにて上下方向と回転方向とで保持固定されているので、従来例よりもブラシ保持器１０の保持固定を安定化させ、ブラシ保持器先端部の振動を抑制し、異常スパークの発生を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【００２７】
本件出願に係る電動送風機は、信頼性向上に最適であり、長寿命を必要とする業務用掃除機用途などにも有用である。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】実施の形態１の電動送風機を示す半断面図
【図２】実施の形態１の電動送風機を示す下面図
【図３】従来の電動送風機を示す半断面図
【図４】従来の電動送風機を示す下面図
【符号の説明】
【００２９】
１ 電動送風機本体
２ ブラケット
２ａ ブラケット折り曲げ部
３ 界磁
３ａ 界磁コア
３ｂ 巻枠
３ｄ 界磁端子
１０ ブラシ保持器
１０ａ 異形管
１０ｂ ブラシ保持器端子
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電機掃除機等に用いられる電動送風機に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、電動送風機のブラシ保持器は、界磁を保持固定するブラケットとブラケットの外周面にブラシ保持器を保持する保持孔とネジ止め固定するバーリングを設け、ブラシ保持器をブラケットの外周面一箇所にて保持固定している(例えば、特許文献１参照)。
【０００３】
図３、図４に従来の電動送風機の構造を示す。図３、図４において、電動送風機本体１は、ブラケット２内に設けられた界磁３と電機子４とによって構成されている。界磁３は、界磁コア３ａと巻枠３ｂとコイル３ｃにて構成されている。
【０００４】
モータ軸５は、電機子４に設けられた回転軸を構成する。このモータ軸５は、ブラケット２内に回転自在に保持されて固定される構成である。回転するファン６は、モータ軸５に固定され、電機子４の回転によって回転するファンであり、このファン６の電機子側にはエアガイド７が設けられている。ファンケース８は、ブラケット２上部に設けられ、ファン６とエアガイド７を覆う構成である。
【０００５】
そして、ファン６によって吸気口９から空気を吸込み、エアガイド７で整流してブラケット２に形成した開口（図示せず）より排気するよう構造である。
【０００６】
つぎに、ブラシ保持器１０は、ブラケット２の外周面でネジ止め固定されている。ブラシ１１は、前記電機子４に設けられた整流子１２に通電するためのカーボンからなる構成である。ブラシ保持器１０に設けられた金属製の異形管１０ａに収納されており、異形管１０ａからスプリング１３によって整流子１２側に付勢されて突出可能に設けられている。また、ブラシ１１の整流子１２と接触する側とは反対側の面にはブラシ１１に給電するためのピグテール１５が設けられている。
【特許文献１】特開２０００−２１７３１３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
解決しようとする課題は、従来の電動送風機において、ブラシ保持器の保持固定がブラケットの外周面一箇所であるため、ブラシ保持器の先端部が振動し易く、ブラシ保持器先端部の振動により、ブラシが振動して異常スパーク発生の一要因となっており、ブラシの異常摩耗を促進し、ブラシ寿命の低下や効率のバラツキ増加を招いていた。また、ブラシ保持器の振動によりブラシ保持器端子と界磁端子との接触不安定も招いていた。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記課題を解決するために本件出願に係る第１の発明の電動送風機は、電機子巻線の端末が接続される整流子を有する電機子と、前記整流子と先端が摺動接触するブラシと、前記ブラシと電気的に接続されかつ前記ブラシを長手方向に摺動自在に収納する導電性材料からなる異形管と、前記異形管を固定保持するブラシ保持器と、前記ブラシ保持器の前記異形管の一部分に配置されるブラシ側端子と、前記ブラシ側端子と電気的に接続される界磁側接続端子を介して接続される界磁巻線を有する界磁と、前記界磁を固定保持すると同時に前記電機子を軸受を介して回転自在に支承しさらに前記ブラシ保持器を挿入するための挿入孔を有するブラケットとからなる整流子電動機において、
前記挿入孔の配置が前記ブラケットの側面部であり、
前記ブラシ保持器を前記ブラケットに固定するために前記挿入孔へ前記ブラシ保持器を挿入して固定する構成が、前記ブラシ保持器の一部を前記ブラケットの側面部に固定する第１の固定部と、前記ブラケットの電動送風機の送風方向側の底部に前記前記ブラシ保持器を固定する第２の固定部とから構成され、さらに前記第２の固定部と前記ブラシ側端子と前記界磁側接続端子との位置関係をこの電動送風機の軸方向からみて略重畳する配置とすることにより、前記整流子と前記ブラシの先端が摺動接触することで前記ブラシ保持器全体が振動しても、前記振動が前記第２の固定部を主な支点とした振動し、前記ブラシ側端子も前記第２の固定部と同様に前記振動の主な支点を構成し、前記主な支点の構成により前記ブラシ側端子と前記界磁側接続端子との電気的接続の振動が抑制されたことを特徴とする電動送風機である。このようにして、ブラシ保持器先端部の振動を抑制し、ブラシ先端部と整流子との間でのスパーク現象の発生を抑制することができるという効果が得られる。
【０００９】
また、本件出願に係る第２の発明の電動送風機は、上記発明において、第１の固定部が界磁を保持固定するブラケットとこのブラケットの外周面にブラシ保持器を保持する保持孔とネジ止め固定するバーリングとの構成であり、第２の固定部が前記ブラケットの内側方向にブラシ保持器を保持固定する折り曲げ部の構成であり、前記ブラシ保持器を前記ブラケットの前記第１の固定部及び前記第２の固定部とから保持固定する構成を有する電動送風機である。同様に、ブラシ保持器先端部の振動を抑制し、ブラシ先端部と整流子との間でのスパーク現象の発生を抑制することができるという効果が得られる。
【００１０】
また、本件出願に係る第３の発明の電動送風機は、上記発明のいずれかにおいて、界磁側接続端子が電動送風機の軸方向からみて界磁のコア上に配置された構成を有する電動送風機である。このようにして、ブラシ保持器先端部の振動を抑制し、ブラシ先端部と整流子との間での接触安定性を向上できるという好適な効果が得られる。また、界磁側接続端子の構成は、その構造的強度も得られるものである。
【００１１】
また、本件出願に係る第４の発明の電動送風機は、上記発明のいずれかにおいて、第２の固定部のブラケット内側方向の折り曲げ部が、ブラシ保持器を電動送風機の軸の回転方向と電動送風機の軸方向とから固定する構成を有する電動送風機である。同様に、ブラシ保持器先端部の振動を抑制し、ブラシ先端部と整流子との間でのスパーク現象の発生を抑制することができるという効果が得られる。また、本件出願に係る電動送風機を具備した電機掃除機は、ブラシ先端部と整流子との間でのスパーク現象の発生を抑制の点で、電機掃除機の信頼性を高める効果が図れる。
【発明の効果】
【００１２】
本件出願に係る電動送風機によれば、ブラシ保持器をブラケットの側面部一箇所とブラケット内側方向の折り曲げ部一箇所の計二箇所にて保持固定しているので、ブラシ保持器の保持固定を安定化させ、ブラシ保持器先端部の振動を抑制すると同時にブラシの振動を抑制し、異常スパークの発生を抑制することができる。
【００１３】
また、ブラケット内側方向の折り曲げ部が、ブラシ保持器の端子と界磁の端子との接続部上部に設けられているので、ブラシ保持器の端子と界磁の端子との接触安定性が確保できる。
【００１４】
また、界磁の端子が界磁のコア上に設けられているので、端子の保持を安定化でき更に端子の接触安定性が確保できる。
【００１５】
また、ブラケット内側方向の折り曲げ部が、ブラシ保持器を回転方向と上下方向にて固定されているので、ブラシ保持器先端部の振動を更に抑制でき好適できる。
【００１６】
また、本件出願に係る電動送風機によれば、上記構造としているのでブラシ保持器の保持固定を安定化でき、これによりブラシ保持器先端部の振動を抑制することが可能となり、長寿命で高効率の電動送風機を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、本件出願に係る発明は実施の形態により限定されるものではない。設計事項、仕様の範囲で変更、改良できることはいうまでもない。
【００１８】
（実施の形態１）
実施の形態１について具体的に説明する。本件出願に係る発明の電動送風機について、図１から図２に基づき説明する。
【００１９】
電動送風機本体１は、電気掃除機等に使用されるものである。この電動送風機本体１は、ブラケット２内に設けられた界磁３と電機子４とによって構成されている。界磁３は、界磁コア３ａと巻枠３ｂとコイル３ｃと界磁端子３ｄにて構成され、界磁端子３ｄは界磁コア３ａ上の巻枠３ｂに保持固定されている。モータ軸５は、電機子４に設けられた回転軸となる構成である。このモータ軸５は、ブラケット２内に回転自在に保持されて固定された構成である。ファン６は、モータ軸５に固定され、電機子４の回転によって回転するものである。このファン６の電機子側にはエアガイド７が設けられている。ファンケース８は、ブラケット２上部に設けられ、ファン６とエアガイド７を覆う構成である。
【００２０】
そして、ファン６によって吸気口９から空気を吸込み、エアガイド７で整流してブラケット２に形成した開口（図示せず）より排気する構造である。
【００２１】
つぎに、ブラシ保持器１０は、第１の固定部として、ブラケットの側面部に設けられた保持孔（符号なし）に挿入されブラケット２の側面部でバーリング加工部にネジ止め固定される。ブラシ保持器１０の第２の固定部として、ブラケット２の底面内側方向の界磁端子３ｄの位置と同位置に折り曲げ部２ａを設けて、上下方向と回転方向とに対して保持固定される構造である。
【００２２】
ブラシ１１は、電機子４に設けられた整流子１２に通電するためのカーボンから構成されている。ブラシ保持器１０に設けられた金属製の異形管１０ａに収納されており、異形管１０ａからスプリング１３によって整流子１２側に付勢されて突出可能に設けられている。
【００２３】
異形管１０ａの一部分には、界磁端子３ｄと接続固定する端子１０ｂを形成し、界磁端子３ｄと接続固定されている。また、ブラシ１１の整流子１２と接触する側とは反対側の面にはブラシ１１に給電するためのピグテール１４が設けられている。
【００２４】
上記の第２の固定部とブラシ側端子（端子１０ｂ）と界磁側接続端子（界磁端子３ｄ）との位置関係をこの電動送風機の軸方向からみて略重畳する配置とすることにより、整流子１２とブラシ１１の先端が摺動接触することでブラシ保持器１０全体が振動しても、振動が第２の固定部を主な支点とした振動し、ブラシ側端子（端子１０ｂ）も第２の固定部と同様に振動の主な支点を構成し、この支点の構成によりブラシ側端子（端子１０ｂ）と界磁側接続端子（界磁端子３ｄ）との電気的接続の振動が抑制される。
【００２５】
さらに説明すると、上記の第２の固定部とブラシ側端子（端子１０ｂ）と界磁側接続端子（界磁端子３ｄ）との位置関係をこの電動送風機の軸方向からみて略重なる位置関係に配置することで、ブラシ保持器１０全体が振動しても、振動が第２の固定部を主な支点とした振動となり、この支点の位置付近では振動があってもその振動量は最も少ないという効果が図れる。ブラシ側端子も第２の固定部と同様に振動の主な支点を構成し、この支点の構成により前記ブラシ側端子と前記界磁側接続端子との電気的接続の振動が抑制される。このようにして、ブラシ保持器先端部の振動を抑制し、ブラシ先端部と整流子との間でのスパーク現象の発生を抑制することができるという効果が得られる。
【００２６】
また、ブラシ保持器１０がブラケット２の外周面側でネジ止め固定され、ブラケット２の底面内側方向の折り曲げ部２ａにて上下方向と回転方向とで保持固定されているので、従来例よりもブラシ保持器１０の保持固定を安定化させ、ブラシ保持器先端部の振動を抑制し、異常スパークの発生を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【００２７】
本件出願に係る電動送風機は、信頼性向上に最適であり、長寿命を必要とする業務用掃除機用途などにも有用である。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】実施の形態１の電動送風機を示す半断面図
【図２】実施の形態１の電動送風機を示す下面図
【図３】従来の電動送風機を示す半断面図
【図４】従来の電動送風機を示す下面図
【符号の説明】
【００２９】
１ 電動送風機本体
２ ブラケット
２ａ ブラケット折り曲げ部
３ 界磁
３ａ 界磁コア
３ｂ 巻枠
３ｄ 界磁端子
１０ ブラシ保持器
１０ａ 異形管
１０ｂ ブラシ保持器端子
【特許請求の範囲】
【請求項１】
電機子巻線の端末が接続される整流子を有する電機子と、前記整流子と先端が摺動接触するブラシと、前記ブラシと電気的に接続されかつ前記ブラシを長手方向に摺動自在に収納する導電性材料からなる異形管と、前記異形管を固定保持するブラシ保持器と、前記ブラシ保持器の前記異形管の一部分に配置されるブラシ側端子と、前記ブラシ側端子と電気的に接続される界磁側接続端子を介して接続される界磁巻線を有する界磁と、前記界磁を固定保持すると同時に前記電機子を軸受を介して回転自在に支承しさらに前記ブラシ保持器を挿入しかつ保持するための保持孔を有するブラケットとからなる整流子電動機において、
前記保持孔の配置が前記ブラケットの側面部であり、
前記ブラシ保持器を前記ブラケットに固定するために前記保持孔へ前記ブラシ保持器を挿入して固定する構成が、前記ブラシ保持器の一部を前記ブラケットの側面部に固定する第１の固定部と、前記ブラケットの電動送風機の送風方向側の底部に前記前記ブラシ保持器を固定する第２の固定部とから構成され、さらに前記第２の固定部と前記ブラシ側端子と前記界磁側接続端子との位置関係をこの電動送風機の軸方向からみて略重畳する配置とすることにより、前記整流子と前記ブラシの先端が摺動接触することで前記ブラシ保持器全体が振動しても、前記振動が前記第２の固定部を主な支点とした振動し、前記ブラシ側端子も前記第２の固定部と同様に前記振動の主な支点を構成し、前記支点の構成により前記ブラシ側端子と前記界磁側接続端子との電気的接続の振動が抑制されたことを特徴とする電動送風機。
【請求項２】
請求項１記載の電動送風機において、第１の固定部がブラケットの外周面にブラシ保持器を保持孔へ挿入しかつ前記ブラシ保持器をネジ止め固定するバーリングの構成であり、第２の固定部が前記ブラケットの内側方向にブラシ保持器を保持固定する折り曲げ部の構成であり、前記ブラシ保持器を前記ブラケットの前記第１の固定部及び前記第２の固定部とから保持固定する構成を有する電動送風機。
【請求項３】
請求項１又は請求項２のいずれかに記載の電動送風機において、
界磁側接続端子が電動送風機の軸方向からみて界磁のコア上に配置された構成を有する電動送風機。
【請求項４】
請求項１から請求項３のいずれかに記載の電動送風機において、
第２の固定部のブラケット内側方向の折り曲げ部が、ブラシ保持器を電動送風機の軸の回転方向と電動送風機の軸方向とから固定する構成を有する電動送風機。
【請求項５】
請求項１から請求項４のいずれかに記載の電動送風機を具備した電機掃除機。
【請求項１】
電機子巻線の端末が接続される整流子を有する電機子と、前記整流子と先端が摺動接触するブラシと、前記ブラシと電気的に接続されかつ前記ブラシを長手方向に摺動自在に収納する導電性材料からなる異形管と、前記異形管を固定保持するブラシ保持器と、前記ブラシ保持器の前記異形管の一部分に配置されるブラシ側端子と、前記ブラシ側端子と電気的に接続される界磁側接続端子を介して接続される界磁巻線を有する界磁と、前記界磁を固定保持すると同時に前記電機子を軸受を介して回転自在に支承しさらに前記ブラシ保持器を挿入しかつ保持するための保持孔を有するブラケットとからなる整流子電動機において、
前記保持孔の配置が前記ブラケットの側面部であり、
前記ブラシ保持器を前記ブラケットに固定するために前記保持孔へ前記ブラシ保持器を挿入して固定する構成が、前記ブラシ保持器の一部を前記ブラケットの側面部に固定する第１の固定部と、前記ブラケットの電動送風機の送風方向側の底部に前記前記ブラシ保持器を固定する第２の固定部とから構成され、さらに前記第２の固定部と前記ブラシ側端子と前記界磁側接続端子との位置関係をこの電動送風機の軸方向からみて略重畳する配置とすることにより、前記整流子と前記ブラシの先端が摺動接触することで前記ブラシ保持器全体が振動しても、前記振動が前記第２の固定部を主な支点とした振動し、前記ブラシ側端子も前記第２の固定部と同様に前記振動の主な支点を構成し、前記支点の構成により前記ブラシ側端子と前記界磁側接続端子との電気的接続の振動が抑制されたことを特徴とする電動送風機。
【請求項２】
請求項１記載の電動送風機において、第１の固定部がブラケットの外周面にブラシ保持器を保持孔へ挿入しかつ前記ブラシ保持器をネジ止め固定するバーリングの構成であり、第２の固定部が前記ブラケットの内側方向にブラシ保持器を保持固定する折り曲げ部の構成であり、前記ブラシ保持器を前記ブラケットの前記第１の固定部及び前記第２の固定部とから保持固定する構成を有する電動送風機。
【請求項３】
請求項１又は請求項２のいずれかに記載の電動送風機において、
界磁側接続端子が電動送風機の軸方向からみて界磁のコア上に配置された構成を有する電動送風機。
【請求項４】
請求項１から請求項３のいずれかに記載の電動送風機において、
第２の固定部のブラケット内側方向の折り曲げ部が、ブラシ保持器を電動送風機の軸の回転方向と電動送風機の軸方向とから固定する構成を有する電動送風機。
【請求項５】
請求項１から請求項４のいずれかに記載の電動送風機を具備した電機掃除機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００８−２９５１８０（Ｐ２００８−２９５１８０Ａ）
【公開日】平成２０年１２月４日（２００８．１２．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１３７４３４（Ｐ２００７−１３７４３４）
【出願日】平成１９年５月２４日（２００７．５．２４）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１２月４日（２００８．１２．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年５月２４日（２００７．５．２４）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
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