説明

電子制御装置

【課題】簡便な構成により、ケース内の防水性を高めると共に、動作時に相対的に大きな熱量を発生する電子部品から残余の電子部品に対して不要な熱を伝えることを抑制できる電子制御装置を提供する。
【解決手段】複数の電子部品10、12と、複数の電子部品を実装した基板20と、複数の電子部品を実装した基板を収容するケース30と、複数の電子部品及び基板を外部から封止すると共に、ケースに伝熱自在なように、ケースの内部に充填された充填樹脂40と、を備え、ケースの熱伝導率が、充填樹脂の熱伝導率よりも大きく設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御装置に関し、特に、ケース内の基板に実装された電子部品の周囲に樹脂を充填した電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両は、温度や湿度の異なる種々の環境下で使用されるため、その耐久性についてもより厳しい要求がなされてきており、かかる車両に搭載されて種々の制御を行う電子制御装置に対しても充分な耐久性を持たせることが必要となっている。
【0003】
かかる電子制御装置は、複数の電子部品をケース内に備えるものであるため、特に、ケース内を充分に防水して、水分が電子部品の動作に不要な影響を与えないように配慮する必要がある。
【0004】
特許文献1は、内燃機関用制御ユニットに関し、ケース6内に充填される樹脂表面7aの高さが、プリント基板2からの高さの一番高い電子部品が存在する側で高く、その反対側で低くなるように設定し、樹脂表面7aを傾斜面とした構成を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−324705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1が開示する構成では、ケース6内に充填される樹脂表面7aを傾斜面とした構成を採用して、ケース内の防水性を維持することに加えて充填樹脂の軽量化を企図したものであるが、ケース内に実装された電子部品が動作時に発熱することにより発生した熱をケース外に逃がす構成については、何等の配慮がなされていない。例えば、動作時に相対的に大きな熱量を発生する電子部品を充填樹脂で完全に覆った場合には、充填樹脂内に熱がこもるし、かかる電子部品の上部を充填樹脂から露出した場合には、充填樹脂とケースの内面との間の空間内に熱がこもって、いずれにしても残余の電子部品に不要な熱を印加してしまう。
【0007】
一方で、動作時に相対的に大きな熱量を発生する電子部品に対して付加的な排熱構造を設けると、確かに残余の電子部品に伝える熱量を減少することができるのであるが、構成が煩雑となって、装置全体が大型化したりコストが増加する傾向が強い。
【0008】
つまり、電子制御装置においては、ケース内の防水性を高めると共に、動作時に相対的に大きな熱量を発生する電子部品から残余の電子部品に不要な熱を伝えることを抑制できる新規な構成が待望されている状況にある。
【0009】
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、簡便な構成により、ケース内の防水性を高めると共に、動作時に相対的に大きな熱量を発生する電子部品から残余の電子部品に対して不要な熱を伝えることを抑制できる電子制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上のような目的を達成するため、本発明は、第1の局面においては、複数の電子部品と、前記複数の電子部品を実装した基板と、前記複数の電子部品を実装した前記基板を収
容するケースと、前記複数の電子部品及び前記基板を外部から封止すると共に、前記ケースに伝熱自在なように、前記ケースの内部に充填された充填樹脂と、を備えた電子制御装置であって、前記ケースの熱伝導率が、前記充填樹脂の熱伝導率よりも大きく設定された構成を有する。
【0011】
また本発明は、第1の局面に加えて、更に、前記ケースの一部に、前記充填樹脂から前記ケースに伝熱された熱を、前記ケースから外部に伝熱するための伝熱促進部が設けられたことを第2の局面とする。
【0012】
また本発明は、第1又は第2の局面に加えて、前記伝熱促進部は、前記複数の電子部品の内で動作時の発熱量が相対的に大きい発熱電子部品から前記充填樹脂を介して前記ケースに至る伝熱経路領域に対応して、前記ケースの前記一部にその表面積を増大するように設けられたフィン状部を有することを第3の局面とする。
【0013】
また本発明は、第1から第3のいずれかの局面に加えて、前記伝熱促進部は、前記複数の電子部品の内で動作時の発熱量が相対的に大きい発熱電子部品から前記充填樹脂を介して前記ケースに至る伝熱経路領域に対応して、前記ケースの前記一部に設けられ、前記ケースの前記熱伝導率よりも大きい熱伝導率を有する伝熱部材を有することを第4の局面とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の局面における電子制御装置においては、複数の電子部品を実装した基板を収容するケースの熱伝導率が、ケースの内部に充填された充填樹脂の熱伝導率よりも大きく設定されているため、典型的には、複数の電子部品の内で動作時の発熱量が大きい電子部品から発生した熱を、充填樹脂及びケースを順次に介して、ケースの外部に存在する大気に確実に伝熱することができ、簡便な構成により、ケース内の防水性を高めると共に、動作時に相対的に大きな熱量を発生する電子部品から残余の電子部品に対して不要な熱を伝えることを抑制することができる。
【0015】
本発明の第2の局面における電子制御装置においては、ケースの一部に、充填樹脂からケースに伝熱された熱を、ケースから外部に伝熱するための伝熱促進部が設けられているため、充填樹脂からケースに伝熱された熱を、伝熱促進部材を介して、ケースの外部に存在する大気により確実に伝熱することができる。
【0016】
本発明の第3の局面における電子制御装置においては、伝熱促進部が、ケースの一部にその表面積を増大するように設けられたフィン状部を有することにより、簡便な構成で、充填樹脂からケースに伝熱された熱を、フィン状部を介して、ケースの外部に存在する大気により確実に伝熱することができる。
【0017】
本発明の第4の局面における電子制御装置においては、伝熱促進部が、ケースの一部に設けられてケースの熱伝導率よりも大きい熱伝導率を有する伝熱部材を有することにより、簡便な構成で、充填樹脂からケースに伝熱された熱を、伝熱促進部材を介して、ケースの外部に存在する大気により確実に伝熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態における電子制御装置の模式的断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における電子制御装置の模式的断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態における電子制御装置の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の各実施形態における電子制御装置につき、適宜図面を参照して、詳細に説明する。なお、図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、z軸の方向が上下方向である。
【0020】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態における電子制御装置につき、図1を参照して、詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態における電子制御装置の模式的断面図である。
【0022】
図1に示すように、電子制御装置S1は、複数の電子部品10、12と、複数の電子部品10、12を実装した基板20と、複数の電子部品10、12を実装した基板20を収容するケース30と、複数の電子部品10、12及び基板20を外部から封止するように、ケース30の内部に充填された充填樹脂40と、を備える。
【0023】
具体的には、複数の電子部品10、12の内、電子部品10は、CPU(Central Processing Unit)等の半導体装置を含み、その動作時の発熱量が相対的に大きいものである。また、残余の電子部品12は、コンバータ等の半導体装置を含み、その動作時の発熱量が、電子部品10の動作時の発熱量に比較して相対的に小さいものである。なお、図中、電子部品10は1個のみ示し、電子部品12は2個のみ示すが、かかる個数はもちろん限定的なものではなく、動作時の発熱量が相対的に大きい電子部品及び動作時の発熱量が相対的に小さい電子部品が、基板20上に適宜実装されている構成であれば足りる。
【0024】
基板20は、典型的にはプリント基板であり、図示は省略するが、その上面20aにパッド部等を有し、かかるパッド部には、複数の電子部品10、12の各リードが半田等により固着されて、複数の電子部品10、12と基板20とがそれぞれ対応して電気的に接続される。
【0025】
ケース30は、典型的には合成樹脂製の成形品であり、その内部に複数の電子部品10、12を実装した状態の基板20を固定して収容し、その壁部の上部は例えば平坦状面である上面30aを画成すると共に、その壁部の一部は外部に開放された開口部30bを成す。かかるケース30の材質としては、いわゆるエンジニアリングプラスチックが好適に用いられ、典型的にはPPS(ポリフェニレンサルファイド)及びPBT(ポリブチレンテレフタレート)のみならず、芳香族ポリエステル系樹脂から成るLCP(液晶ポリマー)等の合成樹脂をも用い得る。
【0026】
充填樹脂40は、典型的には合成樹脂材であり、ケース30の内部に収容された複数の電子部品10、12及びそれらを実装した基板20の周囲を覆ってケース30の内面にその外輪郭が接するように、ケース30の内部に充填され、ケース30の開口部30bを閉じて、複数の電子部品10、12及び基板20を外部から封止する。かかる充填樹脂40の材質としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーンゴム等の合成樹脂が用い得る。
【0027】
ここで、ケース30の熱伝導率は、充填樹脂40の熱伝導率よりも大きく設定される。
【0028】
より詳しくは、ケース30及び充填樹脂40の各材質は、ケース30の熱伝導率が充填樹脂40の熱伝導率よりも大きくなるように、適宜選択されて組み合わされる。例えば、ケース30の材質としてPPSを用いた場合には、その熱伝導率が0.75(W/m・℃)であるから、熱伝導率が0.5(W/m・℃)であるウレタン樹脂が用い得て、ケース
30の材質としてLCPを用いた場合には、その熱伝導率が0.81(W/m・℃)であるから、熱伝導率が0.5(W/m・℃)であるエポキシ樹脂が用い得て、また、ケース30の材質としてPBTを用いた場合には、その熱伝導率が0.3(W/m・℃)であるから、熱伝導率が0.16(W/m・℃)であるシリコーンゴムが用い得る。
【0029】
更に、電子部品10で発生した熱を、充填樹脂40及びケース30の上面30aを順次介した伝熱経路Hで外部の大気に伝熱させる場合を例示すれば、複数の電子部品10、12の内で動作時に発生する発熱量が相対的に大きい電子部品10からケース30の外部までの距離を、ケース30の上面30aを経由する場合がケース30の側面等を経由する場合よりも短くなるように設定して、ケース30の上面30aを伝熱経路Hに対応して電子部品10を覆うように上方に配置すると共に、ケース30の開口部30bには充填樹脂40が露出するため、かかる開口部30bをケース30の上面30a以外の位置に配置する必要がある。同時に、充填樹脂40については、ケース30の開口部30bを完全に塞ぐと共に、少なくとも、電子部品10の周囲を完全に覆いながら伝熱経路Hに対応して設定されたケース30の上面30aの裏面側であるケース30の内面に接するように伝熱経路Hに対応した充填構造を採る必要がある。なお、充填樹脂40中の伝熱経路Hは、実際には、電子部品10の上方に向かって放射状に拡がるような伝熱経路領域を呈するものであるため、ケース30の上面30a及び充填樹脂40は、かかる伝熱経路領域に対応して設ければよく、開口部30bは、かかる伝熱経路領域を避けて配置すればよい。また、ケース30の内部の防水性をより高める観点からは、ケース30の開口部30bを含むケース30の内部全体を充填樹脂40で埋めてもよい。
【0030】
そして、以上の構成の電子制御装置S1において、複数の電子部品10、12を動作させると、動作時に発生する発熱量が相対的に大きい電子部品10で発生した熱は、充填樹脂40中でこもらずにその中の伝熱経路Hでケース30の上面30aに伝熱した後、かかる上面30aからケース30の外部の大気に伝熱することになる。
【0031】
以上の構成においては、複数の電子部品10、12を実装した基板20を収容するケース30の熱伝導率が、ケース30の内部に充填された充填樹脂40の熱伝導率よりも大きく設定されているため、典型的には、複数の電子部品10、12の内で動作時の発熱量が大きい電子部品10から発生した熱を、充填樹脂40及びケース30を順次に介して、ケース30の外部に存在する大気に確実に伝熱することができ、簡便な構成により、ケース30内の防水性を高めると共に、動作時に相対的に大きな熱量を発生する電子部品10から残余の電子部品12に対して不要な熱を伝えることを抑制することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態における電子制御装置につき、図2をも参照して、詳細に説明する。
【0033】
図2は、本実施形態における電子制御装置の模式的断面図である。
【0034】
本実施形態の電子制御装置S2においては、第1の実施形態の電子制御装置S1に対して、更に伝熱促進部を設けたことが主たる相違点であり、残余の構成は同一である。よって、本実施形態においては、かかる相違点に着目して説明することとし、同一な構成については同一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
【0035】
図2に示すように、電子制御装置S2は、電子制御装置S1の構成に加えて、ケース30の上面30aに対して、伝熱促進部であるフィン状部50が設けられている。
【0036】
具体的には、フィン状部50は、ケース30の上面30aから外方に突出する複数のフ
ィンを有して、ケース30の外方に対する上面30aの表面積を増大することにより、ケース30の外方に存在する大気に対する上面30aの熱伝達率を増大するものであり、典型的には、ケース30を成形する際に同時に一体的に成形されるものである。また、充填樹脂40中の伝熱経路Hは、電子部品10の上方に向かって放射状に拡がるような伝熱経路領域を呈するものであるため、フィン状部50は、ケース30の上面30aにおいてかかる伝熱経路領域に対応して電子部品10を覆うように上方に配置すればよく、開口部30bは、かかる伝熱経路領域を避けてフィン状部50以外の位置に配置すればよい。なお、フィン状部50の複数のフィンの上下方向の各高さは、それに起因する熱抵抗の大きさと得られる表面積との兼ね合いで適宜設定すればよい。
【0037】
そして、以上の構成の電子制御装置S2において、複数の電子部品10、12を動作させると、動作時に発生する発熱量が相対的に大きい電子部品10で発生した熱は、充填樹脂40中でこもらずにその中の伝熱経路Hでケース30の上面30aに設けられたフィン状部50に伝熱した後、かかるフィン状部50からケース30の外部の大気に伝熱することになる。
【0038】
以上の構成においては、ケース30の一部に、充填樹脂40からケース30に伝熱された熱を、ケース30から外部に伝熱するための伝熱促進部が、ケース30の一部にその表面積を増大するように設けられたフィン状部50として設けられているため、充填樹脂40からケース30に伝熱された熱を、伝熱促進部材であるフィン状部50を介して、ケース30の外部に存在する大気により確実に伝熱することができる。特に、伝熱促進部がフィン状部50として構成されることにより、簡便な構成で、充填樹脂40からケース30に伝熱された熱を、フィン状部50を介して、ケース30の外部に存在する大気により確実に伝熱することができる。
【0039】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態における電子制御装置につき、図3をも参照して、詳細に説明する。
【0040】
図3は、本実施形態における電子制御装置の模式的断面図である。
【0041】
本実施形態の電子制御装置S3においては、第1の実施形態の電子制御装置S1及び第2の実施形態の電子制御装置S2に対して、更に別種の伝熱促進部を設けたことが主たる相違点であり、残余の構成は同一である。よって、本実施形態においては、かかる相違点に着目して説明することとし、同一な構成については同一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
【0042】
図3に示すように、電子制御装置S3は、電子制御装置S2の構成におけるフィン状部50に換えて、ケース30の上面30aに対して、伝熱促進部である伝熱部材60が設けられている。
【0043】
具体的には、伝熱部材60は、典型的にはアルミニウム合金等の金属製で、ケース30の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有し、ケース30の上面30aに当接して固定される支持部62と、支持部62から外方に突出する複数のフィンを有するフィン状部64と、を同一の熱伝導率を呈するように一体的に備える。
【0044】
かかる伝熱部材60は、ケース30の熱伝導率よりも更に大きいその熱伝導率に起因して、電子部品10から発生してケース30の上面30aに伝熱した熱を更に伝熱部材60に伝熱すると共に、ケース30の外方に対する伝熱部材60の表面積を増大するフィン状部64により、ケース30の外方に存在する大気に対する伝熱部材60の熱伝達率を増大
するものである。支持部62及びフィン状部64は、典型的には、伝熱部材60を成形する際に同時に一体的に成形されるものである。また、充填樹脂40中の伝熱経路Hは、電子部品10の上方に向かって放射状に拡がるような伝熱経路領域を呈するものであるため、伝熱部材60は、ケース30の上面30aにおいてかかる伝熱経路領域に対応して電子部品10を覆うように上方に配置すればよく、開口部30bは、かかる伝熱経路領域を避けて伝熱部材60以外の位置に配置すればよい。なお、フィン状部64の複数のフィンの上下方向の各高さは、それに起因する熱抵抗の大きさと得られる表面積との兼ね合いで適宜設定すればよい。
【0045】
そして、以上の構成の電子制御装置S3において、複数の電子部品10、12を動作させると、動作時に発生する発熱量が相対的に大きい電子部品10で発生した熱は、充填樹脂40中でこもらずにその中の伝熱経路Hでケース30の上面30aに設けられた伝熱部材60に伝熱した後、そのフィン状部64からケース30の外部の大気に伝熱することになる。
【0046】
なお、第2の実施形態におけるフィン状部50と、第3の実施形態における伝熱部材60と、は、伝熱促進部として両立自在であり、例えば、ケース30の上面30aにおいて、フィン状部50及び伝熱部材60の双方を隣接等して設けてもかまわない。
【0047】
以上の構成においては、ケース30の一部に、充填樹脂40からケース30に伝熱された熱を、ケース30から外部に伝熱するための伝熱促進部が、ケース30の一部に設けられてケース30の熱伝導率よりも大きい熱伝導率を有する伝熱部材60として設けられているため、充填樹脂40からケース30に伝熱された熱を、伝熱促進部材である伝熱部材60を介して、ケース30の外部に存在する大気により確実に伝熱することができる。特に、伝熱促進部が伝熱部材60として構成されることにより、簡便な構成で、充填樹脂40からケース30に伝熱された熱を、伝熱部材60が受けとることができ、伝熱部材60を介して、ケース30の外部に存在する大気により確実に伝熱することができる。
【0048】
なお、本発明においては、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明においては、簡便な構成により、ケース内の防水性を高めると共に、動作時に相対的に大きな熱量を発生する電子部品から残余の電子部品に対して不要な熱を伝えることを抑制できる電子制御装置を提供することができ、その汎用普遍的な性格から車両等の電子制御装置に広範に適用され得るものと期待される。
【符号の説明】
【0050】
10、12…電子部品
20…基板
20a、30a…上面
30…ケース
30b…開口部
40…充填樹脂
50、64…フィン状部
60…伝熱部材
62…支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品と、
前記複数の電子部品を実装した基板と、
前記複数の電子部品を実装した前記基板を収容するケースと、
前記複数の電子部品及び前記基板を外部から封止すると共に、前記ケースに伝熱自在なように、前記ケースの内部に充填された充填樹脂と、
を備えた電子制御装置であって、
前記ケースの熱伝導率が、前記充填樹脂の熱伝導率よりも大きく設定されていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
更に、前記ケースの一部に、前記充填樹脂から前記ケースに伝熱された熱を、前記ケースから外部に伝熱するための伝熱促進部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記伝熱促進部は、前記複数の電子部品の内で動作時の発熱量が相対的に大きい発熱電子部品から前記充填樹脂を介して前記ケースに至る伝熱経路領域に対応して、前記ケースの前記一部にその表面積を増大するように設けられたフィン状部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記伝熱促進部は、前記複数の電子部品の内で動作時の発熱量が相対的に大きい発熱電子部品から前記充填樹脂を介して前記ケースに至る伝熱経路領域に対応して、前記ケースの前記一部に設けられ、前記ケースの前記熱伝導率よりも大きい熱伝導率を有する伝熱部材を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−60014(P2012−60014A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203388(P2010−203388)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】