説明

電子回路基板及び遊技機

【課題】基板本体に実装される各種回路部品のレイアウトに影響を及ぼすことなく基板本体に情報記憶媒体を取り付ける。
【解決手段】アンテナ盤37aの下面に離間部材40を設ける。離間部材40の下部にストッパ41と爪部42とを形成する。プリント配線板32に取り付け穴32aを形成する。取り付け穴32aに離間部材40の爪部42を嵌入し、プリント配線板32をストッパ41と爪部42の先端に形成された係止片42bとで挟持する。これにより離間部材40はプリント配線板32に固定され、RFIDタグ33はメイン基板24から離間した箇所に設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路基板及び遊技機に関し、詳しくは情報記憶媒体が取り付けられた電子回路基板、及びその電子回路基板を備えた弾球遊技機又は回動式遊技機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
電波を介して非接触でIDコード(IDentificationCode)を認識する技術(RFID(RadioFrequencyIDentification))が急速に発展しており、現在、鉄道やバスの定期券、高速道路の料金回収などで多く実用化されている。この技術は工業製品に組み込まれている部品の管理にも採用されており、管理の効率化、確実化を促進している。
【0003】
例えば、工場などで工業製品を製造する場合、まず、工業製品を構成する構成部品に関する各種情報(例えば、製造日、出荷先、出荷日、機種名、製造番号、再利用回数などの情報)を格納したRFIDタグ(非接触で情報のやり取りができる記憶媒体)が構成部品に取り付けられる。RFIDタグが取り付けられた構成部品はベルトコンベアで搬送される。搬送経路の所定位置には読み出し及び書き込み装置、あるいは、読み出し又は書き込み装置(以下、「読み出し/書き込み装置」と称す)を組み込んだゲート又はアンテナ等の装置が設置されている。読み出し/書き込み装置はRFIDタグに対して電波を発信し、非接触で情報の読み出し、あるいは書き込みを行なうものであり、構成部品がゲート又はアンテナ等の装置を通過することで、読み出し/書き込み装置とRFIDタグとの間でデータ通信が行われる。
【0004】
また、遊技店などでは、携帯型の読み出し/書き込み装置が用いられる。これは、ユーザーが手に持って操作できるものであり、読み出し/書き込み装置を遊技店に設置されている工業製品のRFIDタグが備えられている箇所に向けて操作することによってRFIDタグに対して情報の読み書きを行なう。
【0005】
RFIDタグに格納されている情報を読み出し/書き込み装置で読み出した場合、読み出された情報は、読み出し/書き込み装置を介してホストコンピュータに転送される。また、RFIDタグに対して情報の書き込みを行なう場合、読み出し/書き込み装置は必要な情報をホストコンピュータから適宜に読み出し、その読み出した情報をRFIDタグに書き込む。このようにして、工業製品の構成部品に関する各種情報はホストコンピュータにて総合管理される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、遊技機における遊技動作を制御する回路部品にて構成される制御装置などを含む電子回路を備える基板に情報のやり取りができる情報記憶媒体を取り付ける場合、基板に情報記憶媒体を取り付けるためのスペースを確保しなければならず、そのため基板に実装することとなる所定回路部品などのレイアウトに大きな影響を及ぼしていた。
【0007】
基板に情報記憶媒体を取り付けるためのスペースを確保し、基板面に直接情報記憶媒体を取り付けた場合、読み出し/書き込み装置と情報記憶媒体との間で行われるデータ通信は、基板を収容するケースや、そのケースを組み込む遊技機の筺体などを間に挟んで行なわれるため、情報記憶媒体と読み出し/書き込み装置との通信距離が開いてしまい、読み出し/書き込み装置から情報記憶媒体に向けて発信される電波が微弱電波である場合には情報記憶媒体に対して確実に情報の読み出し/書き込みができなかった。
【0008】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、電子回路を構成する各種回路部品が実装された基板に情報記憶媒体が取り付けられた電子回路基板において、基板に実装される所定回路部品などのレイアウトに影響を及ぼすことなく情報記憶媒体を基板に取り付けることができ、且つ、読み出し/書き込み装置から発信される電波の強弱に関わらず、読み出し/書き込み装置と情報記憶媒体との間で確実にデータ通信を行うことができるようにした電子回路基板、及びその電子回路基板を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電子回路を構成する回路部品が実装された基板本体と、通信アンテナ及びこの通信アンテナを介して外部装置とのデータ通信が可能な集積回路を有する情報記憶媒体とを備え、前記基板本体に平行な天板を有する透明なケースで覆われる電子回路基板に関し、前記基板本体から突出して設けた離間部材を備え、この離間部材は、板状に形成した前記情報記憶媒体を、前記基板本体及び前記天板に対して略平行な位置関係に保ちながら、前記回路部品から離し前記天板に近接させた状態で支持することを特徴とする。なお、外部装置とは、データの読み出しやデータの書き込みを行う装置を意味する。電子回路基板は透明なケースで覆われているため、ケースを通して内部状況が分かる。また、電子回路基板がケースで覆われているため、情報記憶媒体に対して不正が行われることが防止され、また、情報記憶媒体の破損が防止される。
【0010】
前記情報記憶媒体は前記回路部品を覆う部位が透明になっていることが好ましい。この透明な部位を通して基板本体上の回路部品を見て、回路部品の状態を確認することができる。
【0011】
前記基板本体に形成した取り付け孔と、前記離間部材の基端部に設けられ前記基板本体の取り付け孔に挿入される爪部及びこの挿入方向への前記離間部材の移動を規制するストッパとを係合させて、前記離間部材の基端部を前記基板本体に取り付けることが好ましい。
【0012】
前記情報記憶媒体に形成した取り付け孔と、前記離間部材の先端部に設けられ前記情報記憶媒体の取り付け孔に挿入される爪部及びこの挿入方向への前記離間部材の移動を規制するストッパとを係合させて、前記情報記憶媒体を前記離間部材の先端部に取り付けることが好ましい。前記情報記憶媒体の下面に前記離間部材の先端を固着してもよく、これにより、情報記憶媒体の上面全体を前記天板に近接させることが可能になる。
【0013】
本発明の遊技機は、上記の電子回路基板を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基板本体に離間部材を設け、この離間部材は情報記憶媒体を回路部品から離しケースの天板に略平行に近接させるので、基板本体の回路部品のレイアウトに影響を及ぼすことなく情報記憶媒体を基板本体に取り付けることができるとともに、情報記憶媒体をケース内においてデータ通信が良好に行える場所に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に本発明を用いた遊技機の1実施例であるスロットマシン(回胴式遊技機)の外観を示す。スロットマシン10は、筐体11の前面扉12に4個の表示窓13が設けられており、各々の表示窓13の奥に位置するように第1リール14a、第2リール14b、第3リール14c及びサブリール15が回転自在に組み込まれている。周知のように、第1〜第3リール14a〜14cの外周には複数種類の当選絵柄を含む所定絵柄が一定ピッチで配列され、リールが停止した状態では表示窓13を通して1リールにつき3個の絵柄が観察可能になる。これにより、各リール毎に表示された絵柄を組み合わせてなる直線状の入賞有効ラインが例えば横3本斜め2本の合計5本が設定される。
【0016】
前面扉12は、上扉12aと下扉12bとから構成されている。上扉12a及び下扉12bはそれぞれヒンジ16により取り付けられ、それぞれ図中矢印Mの方向に回動させることができるようになっている。
【0017】
下扉12bの上部にはゲームの開始時に操作される1枚ベットボタン、MAXベットボタン、ペイアウトボタンなどの各種の操作ボタンの他に、メダルを投入するためのメダル投入口17が設けられている。なお、これらの操作ボタンの機能はいずれも周知であるので、その詳細については省略する。また、これら操作ボタンの下部には、メダルベットが行われた後に操作される押下式スタートレバー18や、スタートレバー18の押下操作により回転し始めるリールの動作を停止させるための第1〜第3ストップボタン19a〜19cが設けられている。さらに、下扉12bの下部には、メダル受け皿20が設けられており、このメダル受け皿20には、ゲームで入賞状態となるときに得られる配当メダルが払い出し口21から払い出される。
【0018】
図2に示すように、上扉12aを開くと、筐体11内部には、基本制御装置であるメイン基板24(電子回路基板)が配設されている。このメイン基板24は、メイン基板収納ケース25に収納されている。リールユニット26は、支持枠27に取り付けられ、支持枠27は筐体11内部に着脱自在に装着されている。
【0019】
次に、図2〜4を参照してメイン基板24の構成について説明する。図2に示すように、筺体11の背面側の内壁には、スロットマシン10における遊技の基本となる動作を生成してリール回転の制御などを行うためのメイン基板24を収容したメイン基板収納ケース25が組み付けられている。
【0020】
図3に示すように、メイン基板収納ケース25は、大別してケース本体25aと蓋25bとから構成される。略直方形状であるケース本体25a底面の4隅には台座29が設けられており、この台座29にメイン基板24が固着される。図4に示すように、蓋25bはケース本体25aの開口25cを閉塞するようにケース本体25aに固定されており、ケース本体25aとともに、CPU(CentralProcessingUnit)30及びスロットマシン10の遊技動作プログラムを記憶したROM(ReadOnlyMemory)31などの各種回路部品をプリント配線板32(基板本体)に実装してなるメイン基板24と、後述するRFIDタグ33(情報記憶媒体)とを収容するための基板収容空間34を形成している。なお、不図示であるが、ケース本体25aと蓋と25bはビスによりビス締め固定されており、これによりメイン基板24に対して何人も接触できないように防護している。ケース本体25aと蓋25bとはビス締め固定に限らず、例えば、離脱不能とする接着剤やカシメによる固定、あるいは熱溶接などの公知の方法によって、ケース本体25aと蓋25bとが分離されないように固定されていれば良い。また、ケース本体25a及び蓋25bはいずれも透光性を有するABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)などの合成樹脂で成形される。
【0021】
図3に示すように、メイン基板24には、RFIDタグ33が取り付けられている。RFIDタグ33は、ICチップ35(集積回路)と、このICチップ35に銅線36を介して接続された円盤状の送信及び受信アンテナ、或いは送信又は受信アンテナのいずれかからなる送受信アンテナ37(通信アンテナ)とを備えている。この送受信アンテナ37は、読み出し/書き込み装置となるRFIDリーダ/ライタ38(外部装置)(以下、「リーダ/ライタ」は「R/W」と記載)から受けた電波を電磁誘導によって電力として蓄積し、これをエネルギーとしてICチップ35を動作させる。なお、本実施形態においては、この送受信アンテナ37のアンテナ盤37aも上述したケース基板25aや蓋25bと同様に透光性を有するABS樹脂によって成形されている。
【0022】
ICチップ35には、製造日、出荷日、出荷先、機種名、機種番号、再利用回数などのメイン基板24に纏わる各種情報が記憶可能なメモリ(不図示)と、送受信アンテナ37を介してRFIDR/W38と通信を行なう通信回路(不図示)とが設けられている。RFIDR/W38には、RFIDタグ33あるいはホストコンピュータ(不図示)との間で電波の送受信を行なうアンテナ38aが設けられている。
【0023】
前記各種情報はホストコンピュータによって一括管理されている。RFIDR/W38は、ホストコンピュータから前記各種情報の更新情報などを適宜に読み出し、その読み出した情報をICチップ35のメモリに書き込んで記録するか、または、ICチップ35のメモリに記録されている情報を読み取るか、の少なくともいずれか一方を行う。従って、メイン基板24の更新情報を適宜に確認することができる。また、読み取られた情報は一旦RFIDR/W38内の記憶可能なメモリ(不図示)に蓄積され、データ転送用ケーブル39又は無線電信などを介してホストコンピュータへ転送され、点検管理される。
【0024】
図3に示すように、送受信アンテナ37のアンテナ盤37a下面の略中心にはメイン基板24に向けて離間部材40が一体に設けられている。この離間部材40は、プリント配線板32におけるCPU30やメモリ31などの各種回路部品や記憶媒体の実装に影響を与えないように、RFIDタグ33とメイン基板24とを離間させるためのものである。
【0025】
図4(a)に示すように、離間部材40のRFIDタグ33が形成されていない先端部近傍にはメイン基板24とRFIDタグ33との距離を一定に保持するための円盤状のストッパ41が形成されており、さらに、ストッパ41よりも先端側には碇状の爪部42が形成されている。この爪部42は貫装軸42aと係止片42bとから構成されており、ストッパ41から突出している貫装軸42aの先端の両側に、その軸心方向に向かってに撓む弾性を有する変形可能な一対の係止片42bが形成されている。
【0026】
メイン基板24のプリント配線板32には、爪部42の貫装軸42aよりもやや径が大きく、且つストッパ41の直径よりもやや径が小さい取り付け孔32aが形成されている。この取り付け孔32aは、離間部材40の先端部に形成された爪部42を嵌入し離間部材40をプリント配線板32に係止するためのものであり、プリント配線板32に実装される各種回路部品のレイアウトの妨げにならないような位置に穿設される。
【0027】
離間部材40をプリント配線板32に組み付けるにあたって、図4(b)に示すように、離間部材40の爪部42を先端からプリント配線板32の取り付け孔32aに嵌入する。このとき、係止片42が貫装軸42aの軸心方向に狭まった変形状態で嵌入される。そして、係止片42aが取り付け孔32aに完全に挿通した後は、図4(c)に示すように、係止片42aは自身の弾性復元力によって元の状態に戻る。この状態時においてストッパ41は嵌入方向に移動するのを規制する。これによりストッパ41と爪部42の係止片42bとでプリント配線板32は挟持される。このようにして離間部材40はプリント配線板32に確実に固定される。
【0028】
上記のように構成されたスロットマシンの作用について説明する。プリント配線板32に形成された取り付け孔32aに、RFIDタグ33と一体に形成された離間部材40の爪部42を嵌入し、取り付け孔32aにおける嵌入方向の移動を規制するストッパ41と、爪部42の先端に形成された係止片42bとで挟持する。これにより離間部材40はプリント配線板32に固定され、離間部材40の他方端部に設けられたRFIDタグ33は、メイン基板24から離間した箇所に設置される。次に、RFIDタグ33が取り付けられたメイン基板24をメイン基板収納ケース25に収納した状態で、筺体11の所定位置に取り付ける。なお、収納状態時においてRFIDタグ33の設置場所がメイン基板収納ケース25の内壁面に近接するように調整しておくことで、RFIDR/W38とRFIDタグ33との通信距離の短縮を図ることができる。
【0029】
このようにRFIDタグ33を離間部材40を用いてプリント配線板32の上方に固定することによって、プリント配線板32に実装される各種回路部品のレイアウトに影響を及ぼすことなく、RFIDタグ33をメイン基板24に配設することができる。
【0030】
さらに、RFIDR/W38はメイン基板収納ケース25、あるいは筺体11を介してRFIDタグ33と交信を行なうので、RFIDタグ33をメイン基板24から離間させて設置することにより、RFIDタグ33をプリント配線板32に直接取り付けた場合よりも、RFIDタグ33とRFIDR/W38との交信距離が近くなり、仮に微弱電波で送受信を行なったとしてもRFIDR/W38はRFIDタグ33に対して確実に更新情報などの読み出し/書き込みを行なうことができる。
【0031】
また、メイン基板収納ケース25及びアンテナ盤37aは透光性を有する素材で形成されているので、メイン基板収納ケース25及びアンテナ盤37aを通してプリント配線板32上の様子を容易に視認することができる。これにより、RFIDタグ33と確実に交信できるようにRFIDR/W38を適正部位に位置させることが可能となり、さらに、プリント配線板32に実装されている各種部品の点検や管理を容易に行うことができる。
【0032】
上記実施形態ではRFIDタグ33と離間部材40とは一体に形成されているが、図5に示すように、離間部材40のRFIDタグ32側に、爪部42及びストッパ41と同様の構成をした爪部43及びストッパ44を設け、さらにRFIDタグ33を構成する板形状のアンテナ盤37aに取り付け孔45を設け、爪部43を取り付け孔45に嵌入し、爪部43とストッパ44とでアンテナ盤37aを挟持することによって、離間部材40とアンテナ盤37aとを着脱自在に固定するようにしても良い。
【0033】
また、図6に示すように、離間部材40の端部を加熱コテなどで溶融し、凸状のかしめ頭40aを形成して、このかしめ頭40aとストッパ46とでアンテナ盤37aを挟持してRFIDタグ33を固定しても良い。また、離間部材が金属で構成されている場合は、ハンダ溶着によって離間部材40をRFIDタグ33に固定しても良い。さらに、図7に示すように、ストッパとしてワッシャ47を用いてメイン基板24とRFIDタグ33との離間距離を保持するようにしても良い。この他にも、図8に示すように、メイン基板24とRFIDタグ33との間にストッパとしてのパイプ式スペーサ48を介在させることで、メイン基板24とRFIDタグ33とを離間させることもできる。このように、RFIDタグ33を棒状の離間部材40の所定位置に固定し、メイン基板24とRFIDタグ33とを離間させ、離間距離を一定に保持する方法は適宜に変更することが可能である。
【0034】
また、離間部材40の構成素材がナイロンやポリエステル等の合成樹脂である場合には、爪部42の代わりに、離間部材40の先端部を溶融し、凸状のかしめ頭を形成して、このかしめ頭とストッパ41とでプリント配線板32を挟持するようにしても良い。また、離間部材40が金属で構成されている場合には、ハンダ溶着によって離間部材40をプリント配線板32に固定しても良い。あるいは、凸部と凹部の嵌合による接続固定や、プリント配線板32又は離間部材のいずれか一方にビス止め受けを設け、ビスによって接続固定しても良い。このように、離間部材40をプリント配線板32に固定する方法は適宜に変更することが可能である。
【0035】
上記実施形態では、スロットマシンを取り上げて説明したが、パチンコ機等の遊技機に対しても実施することは可能である。図9にパチンコ機の背面側の外観を示す。パチンコ機50の基体となる本体枠51には、遊技を行う際に各種装置を作動させるための主制御を行う主制御回路装置52(電子回路基板)の他に、副制御回路装置53(電子回路基板)、球発射装置54、球払出装置55等がそれぞれ組み付けられている。これら装置は、図示しないケーブル又はハーネス等を介して電気的に接続されている。主制御回路装置52を本体枠51に組み込むにあたって、主制御回路装置52には、上記実施形態で説明したメイン基板24と同様の構成で、離間部材40を用いてRFIDタグ33が取り付けられる。RFIDタグ33が取り付けられた主制御回路装置52は透光性を有する主制御回路装置収納ケース56の内面にRFIDタグ33が近接するように収納される。また、主制御回路装置52と同様にして、副制御回路装置53にもRFIDタグ33が取り付けられる。RFIDタグ33が取り付けられた副制御回路装置53は透光性を有する副制御回路装置収納ケース57に収納される。このような構成にすることで、パチンコ機50においても上述したスロットマシン10と同様の効果を得ることができる。なお、本発明はスロットマシンやパチンコ機などの遊技機にのみ適用されるものではなく、電子回路基板を用いる各種電子機器についても適用することは可能である。
【0036】
図10に他の実施形態を示す。上記実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図10に示すように、離間部材60の一端にはストッパ41と爪部42とが設けられている。また、プリント配線板32には取り付け孔32aが形成されている。この取り付け孔32aには離間部材60の爪部42が嵌入され、プリント配線板32はストッパ41と爪部42とで挟持される。このようにして離間部材60がプリント配線板32に固定される。離間部材60の他端には、離間部材60が軸となるようにRFIDタグ33を挟持する挟持部材61が回動自在に取り付けられている。挟持部材61は、第1支持体61aと第2支持体61bとからなり、RFIDタグ33を構成する円盤状のアンテナ盤37aは、プリント配線板32の基板面に対して直交するように配置され、第1支持体61aと第2支持体61bとによって挟持される。
【0037】
このような構成にすることで、離間部材60に軸着された挟持部材61を回動させることにより、送受信アンテナ37の向きを情報の読み出し/書き込みに適した位置へと変位させることが可能となる。なお、軸着部61cにはクリック機構(不図示)が備えられており、送受信アンテナ37を所望の角度で固定することできる。また、クリック機構を用いずに挟持部材61を回動させ、摩擦機能により所望の角度でフリーストップできるように構成すれば、挟持部材61を無段階式に回動できるので、クリック機構よりも自由度の高い角度調節が可能となる。
【0038】
また、図11に示すように、離間部材として針金からなる屈曲部材62を用いても良い。このような構成にすることで、送受信アンテナ37の方向変位の自由度が高まり、情報の読み出し/書き込みに適した任意の向きに送受信アンテナ37を変位させることが可能となる。
【0039】
なお、上記実施形態では屈曲部材62を構成する素材として針金を用いたが、これに限ることなく、形状記憶合金を含む屈曲性を有する素材であればどのようなものあっても良い。
【0040】
また、爪部42の形状は上記実施形態で説明した形状に限ることなく、上述した機能を有するものであればどのようなものあっても良い。
【0041】
図12に更に他の実施形態を示す。上記実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図12(A)に示すように、メイン基板24は、CPU(CentralProcessingUnit)及びスロットマシン2の遊技動作プログラムを記憶したROM(ReadOnlyMemory)などの各種回路部品を実装してなるプリント配線板32と、RFIDタグ70とから構成されている。プリント配線板32には、円形の取り付け孔32b(嵌入孔)が穿設されている。この取り付け孔32bは、プリント配線板32に実装される各種回路部品のレイアウトの妨げにならないような箇所に穿設されている。なお、各種回路部品は、図中のハッチング箇所に実装されている。
【0042】
RFIDタグ70はシート状に形成されている。図示しないが、RFIDタグ70は、上記実施形態と同様に、ICチップと、送受信アンテナとを備えており、RFIDリーダ/ライタ38(図3参照)と交信を行なう。
【0043】
矩形状の板片である支持部材71の前面には矩形状の凹部71a(保護部)が形成されている。この凹部71aはRFIDタグ70の外形よりも一回り大きく形成されている。凹部71aの底面である貼り付け面71bは、支持部材71をプリント配線板32に立設させた際に、支持部材71がプリント配線板32から突出している方向に略平行となるように形成されている。RFIDタグ70は、凹部71aの底面である貼り付け面71bに工業用接着剤などによって貼り付けられる。
【0044】
支持部材71の下面にはプリント配線板32の取り付け孔32bに嵌入される2つ係止突起72が設けられており、支持部材71と係止突起72とは透光性を有するABS樹脂などの合成樹脂で一体成形されている。なお、支持部材71と係止突起72とを別個に形成し、係止突起72を工業用接着剤などを用いて支持部材71に取り付けるようにしても良い。この場合、支持部材71は少なくとも透光性を有する合成樹脂で成形し、係止突起72を少なくとも可撓性を有する合成樹脂で成形すると好適である。
【0045】
係止突起72は、貫装軸72aと係止凸部72bとから構成されており、支持部材71の下面から下方に向けて円柱状に突出している貫装軸72aの先端に鏃状である係止凸部72bが形成されている。また、貫装軸72aの高さはプリント配線板32の厚みよりもやや小さく、さらに、貫装軸72aの径は取り付け孔32bの径よりもやや小さく形成されている。係止凸部72bは、その最外径、すなわち係止凸部72bの後端面の径が取り付け孔32bの径よりもやや大きくなるように形成されている。
【0046】
支持部材71の凹部71aの貼り付け面71bにRFIDタグ70を貼り付けた後、支持部材71の係止突起72を先端部からプリント配線板32の取り付け孔32bに挿し込むと、図13に示すように、プリント配線板32は、支持部材71に設けられた係止突起72の係止凸部72bの後端面と、支持部材71の下面とで挟持された状態となり、図12(B)に示すように、支持部材71は、凹部71aの貼り付け面71bがプリント配線板32の実装面32cに対して略垂直となるようにプリント配線板32に固定される。したがって、貼り付け面71bに貼り付けられたシート状のRFIDタグ70がプリント配線板32の実装面32cに対して略垂直に配置される。
【0047】
このようにRFIDタグ70が配置されることで、RFIDタグ70をプリント配線板32に直接貼り付けるよりも、プリント配線板32におけるRFIDタグ70が占有するスペースを小さくすることができる。また、RFIDタグ70が凹部71aに設けられているので、例えば、プリント配線板32やプリント配線板32の周辺部品の修理や点検などの作業を行う場合、その作業を行ってる者がRFIDタグ70に接触することを防止することができる。
【0048】
上記実施形態では、RFIDタグ70をシート状に形成したが、薄板状に形成しても良い。この場合、RFIDタグ70は、凹部71aからはみ出さないように形成されていると好適である。
【0049】
上記実施形態では、支持部材71に係止突起72を設け、この係止突起72が嵌入される取り付け孔32bをプリント配線板32に設けたが、係止突起72をプリント配線板32に設け、取り付け孔32bを支持部材71に設けても良い。すなわち、支持部材71の下面に取り付け孔32bを設け、この取り付け孔32bにプリント配線板32に設けた係止突起72を嵌入することで、支持部材71をプリント配線板32上に突出するように立設すれば良い。また、支持部材71の下面工業用接着剤を塗布し、支持部材71をプリント配線板32の実装面32cに直接的に取り付けるようにしても良い。また、ビス止め、カシメ固定、溶着などの方法を用いても良く、このように、支持部材71をプリント配線板32に取り付ける方法は適宜決定すれば良い。
【0050】
上記実施形態では、支持部材71の凹部71aにRFIDタグ70を設けたが、これに限ることなく、図14(A)に示すように、支持部材73の内部にRFIDタグ70を設けても良い。この場合、支持部材73及び係止突起74は、可撓性を有するABS樹脂などの合成樹脂によって一体成形される。図14(B)に示すように、支持部材73は、第1支持片75と、第1支持片75に回動自在に連結された第2支持片76とで構成される。上記実施形態の係止突起72と同形状である係止突起74は2分され、係止突起片77、78が形成される。係止突起片77が第1支持片75に、係止突起片78が第2支持片76に形成される。第1支持片75の内側に凹部75aを形成し、この凹部75aにRFIDタグ70を貼り付ける。そして第2支持片76を円弧矢印方向に回動させ、第1支持片75と第2支持片76とを密着させる。この密着状態を維持しながら、係止突起74を取り付け孔32bに嵌入させる。
【0051】
これにより、図14(A)に示すように、RFIDタグ70が第1支持片75と第2支持片76とで被覆され、RFIDタグ70が支持部材73に内包された状態となる。したがって、RFIDタグ70を外部の接触や衝撃などから保護することができる。また、上記実施形態と同様に、支持部材73をプリント配線板32上に立設させることができる。また、RFIDタグ70を支持部材73にインサート成形しても良く、RFIDタグ70を支持部材73に内包する方法は適宜に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明を実施したスロットマシンの外観を示す斜視図である。
【図2】上扉を開放した状態を示す斜視図である。
【図3】RFIDタグが取り付けられたメイン基板をメイン基板収納ケースに収納した状態を示す斜視図である。
【図4】RFIDタグをメイン基板に取り付ける態様を示す断面図である。
【図5】RFIDタグを爪部とストッパとで固定した状態を示す断面図である。
【図6】RFIDタグをかしめた状態を示す断面図である。
【図7】ストッパとしてワッシャを用いたときの状態を示す断面図である。
【図8】メイン基板とRFIDタグとの間にパイプ式スペーサを介在させたときの状態を示す断面図。
【図9】本発明を適用したパチンコ機の背面側の外観を示す斜視図である。
【図10】本発明の他の実施形態のメイン基板及びRFIDタグを示す斜視図である。
【図11】離間部材として屈曲部材を用いたときの状態を示す斜視図である。
【図12】さらに他の実施形態を示すメイン基板の斜視図である。
【図13】支持部材がプリント配線板に取り付けられた状態を示す断面図である。
【図14】支持部材の別の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
10 スロットマシン
11 筺体
24 メイン基板
25 メイン基板収納ケース
32 プリント配線板
32a、45 取り付け孔
32b 取り付け孔(嵌入孔)
32c 実装面
33、70 RFIDタグ
35 ICチップ
37 送受信アンテナ
37a アンテナ盤
38 RFIDリーダ/ライタ
40、60 離間部材
41、44、46 ストッパ
42、43 爪部
42b 係止片
47 ワッシャ
48 パイプ式スペーサ
61 挟持部材
62 屈曲部材
71、73 支持部材
71a、75a 凹部
71b 貼り付け面
72、74 係止突起
75 第1支持片
76 第2支持片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路を構成する回路部品が実装された基板本体と、通信アンテナ及びこの通信アンテナを介して外部装置とのデータ通信が可能な集積回路を有する情報記憶媒体とを備え、前記基板本体に平行な天板を有する透明なケースで覆われる電子回路基板において、
前記基板本体から突出して設けた離間部材を備え、
この離間部材は、板状に形成した前記情報記憶媒体を、前記基板本体及び前記天板に対して略平行な位置関係に保ちながら、前記回路部品から離し前記天板に近接させた状態で支持することを特徴とする電子回路基板。
【請求項2】
前記情報記憶媒体は前記回路部品を覆う部位が透明になっていることを特徴とする請求項1記載の電子回路基板。
【請求項3】
前記基板本体に形成した取り付け孔と、前記離間部材の基端部に設けられ前記基板本体の取り付け孔に挿入される爪部及びこの挿入方向への前記離間部材の移動を規制するストッパとを係合させて、前記離間部材の基端部を前記基板本体に取り付けることを特徴とする請求項1または2記載の電子回路基板。
【請求項4】
前記情報記憶媒体に形成した取り付け孔と、前記離間部材の先端部に設けられ前記情報記憶媒体の取り付け孔に挿入される爪部及びこの挿入方向への前記離間部材の移動を規制するストッパとを係合させて、前記情報記憶媒体を前記離間部材の先端部に取り付けることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の電子回路基板。
【請求項5】
前記情報記憶媒体の下面に前記離間部材の先端を固着したことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の電子回路基板。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか1項記載の電子回路基板を備えたことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−80277(P2007−80277A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265075(P2006−265075)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【分割の表示】特願2003−385500(P2003−385500)の分割
【原出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】