説明

電子機器システムおよび携帯型電子機器

【課題】携帯型ナビゲーション装置2等の携帯型電子機器を、車両に固着された取付装置に装着しようとしている装着途中の状態および/または装着完了後の状態にあるときに、携帯型電子機器2の筐体21の背面に配置された入力手段による操作が無効化されるように構成することで、当該装着途中および/または装着完了後に、意図せず背面入力手段が操作されてしまうのを防止する。
【解決手段】前面に表示モニターが配置された筐体の背面に背面入力手段が配置された携帯型電子機器と、前記携帯型電子機器を取り付けるための取付装置と、を有してなり、前記携帯型電子機器を前記取付装置に着脱自在に装着されてなる電子機器システムであって、前記携帯型電子機器および/または前記取付装置は、前記携帯型電子機器の前記取付装置への装着状態を検出する装着状態検出手段を備え、更に、前記携帯型電子機器は、前記装着状態検出手段により所定の装着状態にあることが検出されたときには、前記筐体の背面に配置された背面入力手段による操作を無効とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の背面に入力手段が配置された携帯型電子機器と、これを車両のダッシュボード等に着脱自在に装着するための取付装置とを有してなる電子機器システムに関する。さらに詳しくは、携帯型電子機器を取付装置に装着しようとしている最中(以下、単に装着途中という)の状態および/または装着が済んでいる(以下、単に装着完了という)状態にある場合には、筐体背面に配置された入力手段の操作が無効化されるように構成することで、装着途中および/または装着完了後に意図せず当該筐体背面の入力手段により操作されてしまうのを防止できる電子機器システムおよび携帯型電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される電子機器システムとしては、例えば携帯型液晶テレビ若しくは携帯型ナビゲーション装置と、取付装置とからなるもの等、様々なものが知られている。このような携帯型電子機器を車両に搭載する場合には、クレードルと称される取付装置が用いられる。クレードルとは、車両のダッシュボードに予め固着されるものであり、携帯型電子機器を着脱自在に装着するための装着機構(携帯型電子機器の側にも設けられている場合もある)を有し、このクレードルに携帯型電子機器が装着されることで電子機器システムが構築される。
【0003】
例えば、下記特許文献1(特開2003−166848号公報)には、マンナビモード(携帯モード)と車両モードを有する携帯、車載兼用のナビゲーション装置が開示されている。このナビゲーション装置を車載モードで使用する際には、車両に設置された取付具にナビゲーション装置を取り付けるようにされている。
【0004】
一方、携帯型の電子機器にあっては、筐体の前面や側面(もっぱら前面)には、機械的な入力手段(電源ON/OFFスイッチ、トラックボール、ジョイスティック、その他押しボタン等)が配置されるのが一般的である。しかしながら、昨今では、片手で電子機器を持ち、電子機器の背面に添える指で、簡単な機器操作が行えるように、装置筐体の背面にも入力手段を配置した電子機器も提供されている。筐体の背面に入力手段が設けられるのには上記のような理由の他、例えば携帯型ナビゲーション装置であれば、筐体の小型化ないし薄型化と液晶モニターの大型化への要請から、機械的な入力手段を配置できる前面ないし側面のスペースが限られてくるという理由もある。
【0005】
このような携帯型の電子機器は、例えば、下記の特許文献2(特開平8−123760号公報)に開示されている。この電子機器は、携帯型電子機器背面に突出した入力手段を設けることで片手のみの操作を可能としたものであり、ハウジングの前面に表示手段を設け、ハウジングの背面上部に入力手段としてトラックボール、又は入力ボタンを設けた構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−166848号公報
【特許文献2】特開平8−123760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、携帯型電子機器を取付装置へ装着する際には、携帯型電子機器を手に持って、取付装置との位置合わせ、およびそれに続く装着動作、例えば携帯型電子機器に設けられた取付用の線状凸部を取付装置に設けられた取付用の線状凹部に位置合わせした後、線状凹部の中で線状凸部をスライドさせて装着を完了させる動作等が行われる。
【0008】
このような位置合わせおよび装着動作はこの種の電子機器システムには必須である。携帯型電子機器を単に取付装置の適当な箇所に載置するだけの構成とすると、走行時の車両の揺れにより携帯型電子機器が取付装置から簡単に外れて落下したりしてしまうので、これを防止するためには、携帯型電子機器を取付装置にしっかり固定する必要があるためである。このために、携帯型電子機器には例えば線状凸部が、取付装置には例えば前記線状凸部に嵌合する線状凹部が設けられたり、或いは例えばネジやスプリングによる締め付け機構等が備え付けられたりする。
【0009】
なお、この明細書でいう「装着」とは、上記説明からも明らかなように、携帯型電子機器を取付装置に載置するだけの状態を指すのではなく、携帯型電子機器が取付装置に固定ないし固定後の位置調整等を許容するために略固定された状態を指すものとする。ちなみに「略固定された状態」とは、携帯電子機器が取付装置にしっかりと装着されてはいるが、例えばモニター等の向きを変えられるように携帯型電子機器と取付装置との位置関係を一定の範囲内で変更することができる状態を指す。
【0010】
このように、携帯型電子機器を取付装置に装着するためには、装着に取りかかってから装着が完了するまでの間、つまり装着途中には、携帯型電子機器を片手或いは両手でしっかりと把持して、携帯型電子機器と取付装置にあてがって位置合わせを行ったのち取付装置に対して携帯型電子機器を押しつけたり嵌め込んだりする作業が必要である。更にはモニターの向きを調整してからネジ止め等により装着を完了させる等の作業が必要となる場合もある。このとき、筐体の背面に配置された入力手段(以下、背面入力手段)を意図せず押下等してしまいがちであることが経験上知られている。また、携帯型電子機器を取付装置に装着した後、つまり装着完了後に、携帯型電子機器の向きを調整可能とされているような場合には、当該調整中に背面入力手段を意図せず押下等してしまうことがあることも同じく経験上知られている。
【0011】
上述のような不具合は、携帯型電子機器の正面からは背面入力手段を視覚的に認識するのが困難であるために、携帯型電子機器を把持する際に、または装着後にモニターの向きを調整する際に、手の指が背面入力手段に不意に触れてしまうことによるものである。このような事象は、例えば携帯型ナビゲーション装置であれば、装置本体にユーザの意図しない電源投入がなされたり、意図しない画像表示がなされたりして、ときには元の状態に戻すのに煩雑な操作が要求される原因ともなる。
【0012】
本発明は上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、前面に表示モニターが配置された筐体の背面に背面入力手段が配置された携帯型電子機器と、前記携帯型電子機器を取り付けるための取付装置と、を有してなり、前記携帯型電子機器を前記取付装置に着脱自在に装着されてなる電子機器システムにおいて、装着途中の状態および/または装着完了された状態にあるときには、背面入力手段による操作が無効化されるように構成することで、当該装着途中および/または装着完了後に意図せずに背面入力手段が操作されてしまうのを防止できる電子機器システムおよび携帯型電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、前面に表示モニターが配置された筐体の背面に背面入力手段が配置された携帯型電子機器と、前記携帯型電子機器を取り付けるための取付装置と、を有してなり、前記携帯型電子機器を前記取付装置に着脱自在に装着されてなる電子機器システムであって、前記携帯型電子機器および/または前記取付装置は、前記携帯型電子機器の前記取付装置への装着状態を検出する装着状態検出手段を備え、更に、前記携帯型電子機器は、前記装着状態検出手段により所定の装着状態にあることが検出されたときには、前記筐体の背面に配置された背面入力手段による操作を無効とすることを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる電子機器システムにおいて、前記携帯型電子機器は、前記装着状態検出手段により所定の装着状態にあることが検出されたときには、前記筐体の背面に配置された背面入力手段による操作を無効とする制御手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または2にかかる電子機器システムにおいて、前記所定の装着状態は、前記携帯型電子機器を前記取付装置に装着しようとしている装着途中の状態および/または装着完了された状態であることを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1〜3の何れか1項にかかる電子機器システムにおいて、前記装着状態検出手段が、光電センサーあるいは近接センサーにより構成される非接触型スイッチ、または、機械的な状態を検出する接触型スイッチ、若しくはこれらの組み合わせにより構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項5にかかる発明は、前面に表示モニターが配置された筐体の背面に背面入力手段が配置された携帯型電子機器と、前記携帯型電子機器を取り付けるための取付装置と、を有してなり、前記携帯型電子機器を前記取付装置に着脱自在に装着されてなる電子機器システムを構成する携帯型電子機器であって、前記携帯型電子機器は、前記携帯型電子機器の前記取付装置への装着状態を検出する装着状態検出手段を備え、前記携帯型電子機器は、前記装着状態検出手段により所定の装着状態にあることが検出されたときには、前記筐体の背面に配置された背面入力手段による操作を無効とすることを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項5にかかる携帯型電子機器において、前記携帯型電子機器は、前記装着状態検出手段により所定の装着状態にあることが検出されたときには、前記筐体の背面に配置された背面入力手段による操作を無効とする制御手段を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項7にかかる発明は、請求項5または6にかかる携帯型電子機器において、前記所定の装着状態は、前記携帯型電子機器を前記取付装置に装着しようとしている装着途中の状態および/または装着完了された状態であることを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項8にかかる発明は、請求項5〜7の何れか1項にかかる携帯型電子機器において、前記装着状態検出手段が、光電センサーあるいは近接センサーにより構成される非接触型スイッチ、または、機械的な状態を検出する接触型スイッチ、若しくはこれらの組み合わせにより構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本願発明は上記構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏するものである。すなわち、請求項1にかかる電子機器システムによれば、前記携帯型電子機器の装着状態が所定の装着状態にあるとき、筐体の背面に配置された入力手段(背面入力手段)による操作が無効とされる。したがって、上記期間中に意図せず入力手段が操作されてしまうのを防止できる。
【0022】
また、請求項2にかかる電子機器システムによれば、請求項1にかかる電子機器システムにおいて、前記携帯型電子機器は、前記装着状態検出手段により所定の装着状態にあることが検出されたときには、前記筐体の背面に配置された背面入力手段による操作を無効とする制御手段を備えることを特徴とする。すなわち、制御手段の制御により筐体の背面に配置された入力手段(背面入力手段)による操作が無効とされる。
【0023】
また、本願の請求項3にかかる電子機器システムによれば、請求項1または2にかかる電子機器システムにおいて、前記所定の装着状態は、前記携帯型電子機器を前記取付装置に装着しようとしている装着途中の状態および/または装着完了された状態であることを特徴とする。これにより、少なくとも携帯型電子機器が取付装置に装着されようとしている期間および/又は装着完了後から携帯型電子機器が取付装置から取り外しされるまでの期間は、筐体の背面に配置された入力手段(背面入力手段)による操作が無効とされる。したがって、上記期間中に意図せず入力手段が操作されてしまうのを防止できる。すなわち、上記期間中は携帯型電子機器でユーザの意図しない処理が実行されてしまう一大要因が排除されるので、元の状態に戻すのに煩雑な操作が要求されるといったこともなくなる。
【0024】
なお、装着状態検出手段が検出する対象は、「装着しようとしている装着途中の状態および/または装着完了された状態」であるが、「装着しようとしている装着途中の状態」については、例えば「装着開始時点」と「装着完了時点」とをそれぞれ特定することにより検出することができる。この状態検出により装着の際の作業中に不意に背面入力手段に指が触れたりして誤操作されるのを防止できる。
【0025】
また「装着完了後の状態」については、例えば「装着完了時点」と「携帯型電子機器が取付装置から取り外される時点」をそれぞれ特定することにより検出することができる。この状態検出により、装着完了後に携帯電子機器のモニターの向きを変えるなどの作業をする際に背面入力手段が誤操作されるのを防止できる。
【0026】
また、「装着しようとしている装着途中の状態および装着完了された状態」は、「装着開始時点」と「携帯型電子機器が取付装置から取り外される時点」をそれぞれ特定することにより検出することができる。この状態検出により、携帯型電子機器が取付装置に装着されようとしている時点から携帯型電子機器が取付装置から取り外されるまでの連続期間中、すなわち、背面入力手段が誤操作され易いやすい全期間に亘って背面入力手段が誤操作されるのを防止できる。
【0027】
また、請求項4にかかる電子機器システムによれば、本発明にかかる装着状態検出手段を容易に実現することができる。すなわち、非接触型スイッチおよび/または接触型スイッチを用いれば、例えば、携帯型電子機器が取付装置に接触されたとき、または携帯型電子機器が取付装置に近づけられたときを検知することで「装着開始時点」を特定し、又は装着機構に注目して携帯型電子機器と取付装置とが所定の位置関係になったときを検知することで「装着完了時点」ないし「携帯型電子機器が取付装置から取り外される時点」を特定し、所望の装着状態を検出することができるようになる。
【0028】
また、請求項5にかかる発明によれば、請求項1にかかる電子機器システムを構成する携帯型電子機器を提供することができるようになる。
【0029】
また、請求項6にかかる発明によれば、請求項2にかかる電子機器システムを構成する携帯型電子機器を提供することができるようになる。
【0030】
また、請求項7にかかる発明によれば、請求項3にかかる電子機器システムを構成する携帯型電子機器を提供することができるようになる。
【0031】
また、請求項8にかかる発明によれば、請求項4にかかる電子機器システムを構成する携帯型電子機器を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】携帯型電子機器としての携帯型ナビゲーション装置を、取付装置としてのクレードルに装着してなる電子機器システムを示す図である。
【図2】取付装置の外観を示す全体斜視図である。
【図3】携帯型ナビゲーション装置の外観を示す全体斜視図であり、図3のAは携帯型ナビゲーション装置の前面を示す図、図3のBは携帯型ナビゲーション装置の背面を示す図である。
【図4】携帯型ナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化した携帯型電子機器と取付装置とからなる電子機器システムの一例を示すものであって、本発明をこの電子機器システムに限定することを意図するものではなく、特に、携帯型電子機器を携帯型ナビゲーション装置に限定するものではなく、また取付装置をクレードルに限定するものではなく、本発明は、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0034】
図1は携帯型電子機器としての携帯型ナビゲーション装置を、取付装置としてのクレードルに装着してなる本実施形態の電子機器システムを示す一部透視外観図である。なお、点線で示される部分が実際には表側から視認できない部分を表している。同図から明らかであるように、本実施形態の電子機器システムは、クレードル1に携帯型ナビゲーション装置2を、装着機構を介して装着してなるものである。ここでは、まず、クレードル1の構成について説明する。
【0035】
図2に示されるように、クレードル1は、車両のダッシュボード等にたとえば粘着テープ等を介して下面が固着される円筒状の合成樹脂からなるスタンド11と、携帯型ナビゲーション装置が着脱自在に装着されるための載置部121と背もたれ部122とを有する合成樹脂からなる載置台12と、載置台12がスタンド11に対して所定範囲内で上下左右に揺動可能となるように、湾曲した姿勢に変更できるじゃばら状(同図には直線として簡略化されて示されている)の金属製アーム13を有してなる。アーム13をこのような構成とすることにより、携帯型ナビゲーション装置2がクレードル1に装着された際には、携帯型ナビゲーション装置2もスタンド11に対して所定範囲内で上下左右に揺動可能となっている。
【0036】
また同図2に示されるように、載置台12の背もたれ部122からは、水平方向の断面が逆L字型の線状凸部12Aと、水平方向の断面がL字型の線状凸部12Bが、互いに平行になるように突出されている。これら線状凸部12A、12Bは、後述する携帯型ナビゲーション装置2の線状凹部に勘合される形状となっている。すなわち、これら線状凸部12A、12Bは、クレードル1側の装着機構として機能するものである。
【0037】
次に図3に示されるように、携帯型ナビゲーション装置2は、先に図2において示した載置台12の載置部121の奥行きとほぼ同じ奥行きと、載置台12の背もたれ部122の横幅、高さより長い横幅と高さとを有する直方体状の筐体21を有してなる。図3のAに示されるように、筐体21の表面には、その大部分を占めるモニター22(タッチパネル)が配置されており、モニター22の左下の狭小なスペースには、タッチパネルでは実現困難な、前面入力手段としての電源ON/OFFスイッチ23が配置されている。なお、同図3のAでは、モニター22の下方スペースには電源ON/OFFスイッチ23のみしか示されていないが、必要に応じて、トラックボール、ジョイスティック、その他押しボタン等を配置することができる。
【0038】
一方、図3のBに示されるように、筐体21の背面には、上下左右の4方向を指定するための4つのスクロールボタンおよびそれらスクロールボタンの中央に配置された現在位置ボタンとからなる背面入力手段24が配置されている。また、先に図2で示した載置台12の背もたれ部122から突出する2つの線状凸部12A、12Bとそれぞれ一対一で対応する線状凹部25A、25Bが設けられている。これら線状凹部25A、25Bは、携帯型ナビゲーション装置2側の装着機構として機能するものである。
【0039】
なお、本実施例においては、背面入力手段24のスクロールボタンを押下することで、予め定められた方向に予め定められた距離だけ地図画像をスクロールする。また、現在位置ボタンを押下することで、後述する現在位置検出手段により検出された現在位置を中心とした地図画像が表示される。
【0040】
また、本実施形態では、線状凹部25Aおよび25Bの上端部には、不図示の接点開閉スイッチ(機械的スイッチ)が取付られており、この携帯型ナビゲーション装置の線状凹部25A、25Bに、クレードルの線状凸部12A、12Bがそれぞれ挿入されると、線状凸部の上端部が、接点開閉スイッチを「閉」状態とするように構成されている。すなわちクレードル1に携帯型ナビゲーション装置2が装着されていないときには、接点開閉スイッチは「開」状態となっている。
【0041】
このような接点開閉スイッチを線状凹部25Aおよび25Bのそれぞれの上端部に取り付けることにより、携帯型ナビゲーション装置2がクレードル1に装着完了されているか否かを検出することができる。すなわち、本発明でいうところの「所定の装着状態」を検出することができる。そして、携帯型ナビゲーション装置2がクレードル1に装着されている間、後述する携帯型ナビゲーション装置2の制御手段は、背面入力手段24が押下されても当該操作を無効として取り扱うことができるようになっている。このような構成とすることにより、装着完了後に携帯型ナビゲーション装置2の向きを変えるなどの作業をする際に背面入力手段24が誤操作されるのを防止できる。特に、装着完了後は、携帯型ナビゲーション装置2に電源が投入され稼働中であっても、角度調節が行われるケースが多く、そのような場合に背面入力手段24が誤操作されても問題を生じることがなくなる。
【0042】
なお、上記のような接点開閉スイッチはいわゆる接触式スイッチであり、この接触式スイッチと、線状凸部12A、12Bと、線状凹部25A、25Bにより、本発明の装着状態検出手段が実現されているが、これらのうち、上記接点開閉スイッチは、光電センサーや近接センサー等の非接触スイッチで構成してもよい。
【0043】
また、接点開閉スイッチを、線状凹部25A、25Bのそれぞれの下端部にも取り付けることにより、「装着開始時点」と「装着完了時点」とをそれぞれ特定することができ、それにより「装着しようとしている装着途中の状態」を所定の装着状態として検出するようにすることができる。あるいはまた、線状凹部25A、25Bのそれぞれの下端部にのみ、あるいは上端部と下端部の双方に接点開閉スイッチを取り付けることにより「装着開始時点」と「携帯型ナビゲーション装置がクレードルから取り外された時点」を、上端部および/または下端部の接点開閉スイッチでそれぞれ特定することにより携帯型ナビゲーション装置がクレードルに装着されようとしている時点から携帯型ナビゲーション装置がクレードルから取り外されるまでの連続期間中、すなわち、背面入力手段24が誤操作され易いやすい全期間に亘って背面入力手段24が誤操作されるのを防止することもできる。
【0044】
次に、図4を参照して携帯型ナビゲーション装置2の構成、機能について説明する。図4は、携帯型ナビゲーション装置2の概略構成を示すブロック図である。携帯型ナビゲーション装置2は、制御手段30と、現在位置検出手段31と、前面入力手段32Aおよび背面入力手段32Bとからなる入力手段32と、表示手段33と、地図データ記憶手段34と、通信手段35と、音声報知手段36と、装着状態検出手段37とを有している。
【0045】
制御手段30は、CPUおよびROM,RAM等の内部メモリ(不図示)を備えてナビゲーション装置の制御を統括するほか、経路探索のための計算を行ったり、装着状態検出手段37により携帯型ナビゲーション装置2がクレードル1に装着されていると検出されている間、先に図3に示した背面入力手段24(同図4では符号32B)の操作を無効化する処理を実行する。すなわち、背面入力手段24(同図4では符号32B)から信号が送信されても、信号に基づいて行うスクロール等の制御を行わない。
【0046】
現在位置検出手段31は、GPS受信機、速度センサー、方位センサー等を備え、これらにより携帯型ナビゲーション装置2の現在位置を検出する。
【0047】
入力手段32は、先に図3で示した前面入力手段23(同図4では符号32A)と、先に図3で示した背面入力手段24(同図4では符号32B)とからなり、携帯型ナビゲーション装置2における電源のON/OFFや、目的地の入力やその他各種の入力を行うための機械的スイッチなどから構成される。
【0048】
表示手段33は、地図画像や経路の画像を表示してユーザが視認できるようにするためのマンマシンインターフェースとしての役割を担うものであり、例えば液晶ディスプレイで構成される。なお、この表示手段33は、タッチセンサーを具備させて前面入力手段32Aの一部を担うように構成することもできる。この場合は画面上に表示されるアイコンをユーザが触れることで入力が行われるようにする。
【0049】
地図データ記憶手段34は、道路の交差点や分岐点などの結節点をノードとする道路ノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路リンクデータとを含む地図データおよび地図画像が記憶されている。より詳細には地図データの道路の結節点、屈曲点の位置を道路ノードとし、各道路ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。
【0050】
制御手段30は、現在位置検出手段31により検出された現在位置あるいは入力手段32を介して入力された出発地から入力手段32を介して入力された目的地までの経路を、地図データ記憶手段34に格納された地図データを参照して、探索する。そして、探索された経路に基づいて表示手段33に地図、経路、現在位置などの画像を表示し、目的地までの案内を実行する。
【0051】
通信手段35は、アンテナを含んで構成され、ネットワーク上の所定サーバから適宜最新の地図データを取得する。また、VICS(登録商標)情報等の取得にも利用される。
【0052】
音声報知手段36は、スピーカ等で構成され、経路の案内時の案内報知、キー操作音、その他携帯型ナビゲーション装置2に関する種々の音声報知を行う。
【0053】
最後に、装着状態検出手段37は、先に示したように、接触式スイッチまたは非接触スイッチで構成されるが、実質的には、さらに、クレードル1の線状凸部12A、12B(図2参照)と、携帯型ナビゲーション装置2の線状凹部25A、25B(図3のB参照)を含んで構成され、先述したように、携帯型ナビゲーション装置2をクレードル1に装着しようとしている装着途中の状態および/または装着完了された状態を検出する。
【0054】
なお、上記実施形態では、携帯型ナビゲーション装置2とクレードル1との装着機構を、線状凸部と線状凹部とを採用して具現化したが、装着機構は、これ以外にも様々なものが適用可能であり、いわゆる当業者が必要に応じて適宜なしえる設計事項である。
【0055】
以上のように、本実施形態の電子機器システムおよび携帯型電子機器によれば、携帯型ナビゲーション装置をクレードルに装着しようとしている装着途中の状態および/または装着完了された状態を検出して、この期間中は、背面入力手段の操作が無効化されるので、ユーザの意図しない不要な操作が引き起こされることがないようにすることができ、元の状態に戻すのに煩雑な操作が要求されることもない。
【0056】
また、上記実施形態では、装着状態検出手段37により、携帯型ナビゲーション装置2をクレードル1に装着しようとしている装着途中の状態および/または装着完了された状態が検出されると、制御手段10は、背面入力手段32Bによる操作を無効にしたが、これに限ることはなく、例えば、背面入力手段32Bと制御手段30とを繋ぐバスなどの回線中にスイッチを設け、当該スイッチを装着状態検出手段37で用いるスイッチとして使用する、あるいは、当該スイッチと装着状態検出手段37で用いるスイッチとが連動するように構成して、携帯型ナビゲーション装置2の線状凹部25A、25Bに、クレードル1の線状凸部12A、12Bがそれぞれ挿入されると、当該スイッチが「開」状態となるように構成してもよい。すなわち、携帯型ナビゲーション装置2をクレードル1に装着しようとしている装着途中の状態および/または装着完了された状態では、当該スイッチが「開」状態となるため、背面入力手段32Bと制御手段30が電気的に切断され、背面入力手段32Bからの信号が制御手段30まで送信できない構成としてもよい。
【0057】
また、前述の通り、線状凹部25A、25Bのそれぞれの上端部と下端部の双方に接点開閉スイッチを取り付けた場合、「装着しようとしている装着途中の状態」が検出可能であるが、この「装着しようとしている装着途中の状態」では、前面入力手段23Aによる操作も無効としてもよい。これは、通常、装着途中であれば操作は行われないため、前面入力手段23Aによる操作も無効とすることにより、さらに、意図しない操作を防ぐことができる。また、装着途中は、装着が完了していない装着未完了状態であり、前面入力手段23Aによる操作も無効にすることで、装着が完了していないことを知らせることもできる。
【符号の説明】
【0058】
1 クレードル(取付装置)
2 携帯型ナビゲーション装置(携帯型電子機器)
11 スタンド
12 載置台
12A 線状凸部
12B 線状凸部
13 アーム
21 筐体
22 モニター
23 電源ON/OFFスイッチ(前面入力手段)
24 背面入力手段
25A 線状凹部
25B 線状凹部
30 制御手段
31 現在位置検出手段
32 入力手段
32A 前面入力手段
32B 背面入力手段
33 表示手段
34 地図データ記憶手段
35 通信手段
36 音声報知手段
37 装着状態検出手段
121 載置部
122 背もたれ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に表示モニターが配置された筐体の背面に背面入力手段が配置された携帯型電子機器と、前記携帯型電子機器を取り付けるための取付装置と、を有してなり、前記携帯型電子機器を前記取付装置に着脱自在に装着されてなる電子機器システムであって、
前記携帯型電子機器および/または前記取付装置は、前記携帯型電子機器の前記取付装置への装着状態を検出する装着状態検出手段を備え、
更に、前記携帯型電子機器は、
前記装着状態検出手段により所定の装着状態にあることが検出されたときには、前記筐体の背面に配置された背面入力手段による操作を無効とすることを特徴とする電子機器システム。
【請求項2】
前記携帯型電子機器は、
前記装着状態検出手段により所定の装着状態にあることが検出されたときには、前記筐体の背面に配置された背面入力手段による操作を無効とする制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器システム。
【請求項3】
前記所定の装着状態は、前記携帯型電子機器を前記取付装置に装着しようとしている装着途中の状態および/または装着完了された状態であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器システム。
【請求項4】
前記装着状態検出手段が、光電センサーあるいは近接センサーにより構成される非接触型スイッチ、または、機械的な状態を検出する接触型スイッチ、若しくはこれらの組み合わせにより構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電子機器システム。
【請求項5】
前面に表示モニターが配置された筐体の背面に背面入力手段が配置された携帯型電子機器と、前記携帯型電子機器を取り付けるための取付装置と、を有してなり、前記携帯型電子機器を前記取付装置に着脱自在に装着されてなる電子機器システムを構成する携帯型電子機器であって、
前記携帯型電子機器は、前記携帯型電子機器の前記取付装置への装着状態を検出する装着状態検出手段を備え、
前記携帯型電子機器は、前記装着状態検出手段により所定の装着状態にあることが検出されたときには、前記筐体の背面に配置された背面入力手段による操作を無効とすることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項6】
前記携帯型電子機器は、
前記装着状態検出手段により所定の装着状態にあることが検出されたときには、前記筐体の背面に配置された背面入力手段による操作を無効とする制御手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の携帯型電子機器。
【請求項7】
前記所定の装着状態は、前記携帯型電子機器を前記取付装置に装着しようとしている装着途中の状態および/または装着完了された状態であることを特徴とする請求項5または6に記載の携帯型電子機器。
【請求項8】
前記装着状態検出手段が、光電センサーあるいは近接センサーにより構成される非接触型スイッチ、または、機械的な状態を検出する接触型スイッチ、若しくはこれらの組み合わせにより構成されていることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−75394(P2011−75394A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226810(P2009−226810)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】