説明

電子機器及びプログラム

【課題】ユーザに特別な操作を負わせることなく、第1の位置と第2の位置との距離関係などから地図表示を制御できるようにする。
【解決手段】中央制御部11は、自己の位置情報と相手の位置情報とを含めた地図データを表示部DPに所定の縮尺で表示することができるか否かを判別し、両者の位置情報を含めた地図を所定の縮尺では表示することができない場合には、表示部DPを2つの画面に分割して使用するための制御を行って、自己の位置情報を含む地図データと相手の位置情報を含む地図データとを別々の分割画面に表示させる表示制御をするが、両者の位置情報を含めた地図が表示可能となった場合には、表示部DPを統合画面として使用するための制御を行って、両者の位置情報を含めた地図データを当該統合画面に所定の縮尺で表示させる表示制御をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の画面に分割可能な表示部を有し、この表示部を複数に分割した各分割画面として使用するか、各分割画面を合わせた統合画面として使用するかの制御を行う電子機器及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、歩行者支援用として、自己の現在の位置情報と相手の現在の位置情報とを取得し、両者の位置情報を地図上に表示するようにしたナビゲーション機能を搭載した携帯電話装置が実用化されている。このナビゲーション機能によって両者の位置情報を地図上に表示するものとしては、自己の位置情報を含む地図と相手の位置情報を含む地図とを別々の画面で表示する技術のほか、両者の位置情報を含む地図を1つの画面で表示する技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平07−152997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この場合、前者の先行技術は、自己の位置を含む地図と相手の位置を含む地図を別画面表示することで、各地図を拡大表示することができ、自己と相手の近辺の様子を詳細に確認することができるという効果を有する。また、後者の先行技術は、両者の位置を含む地図を1画面表示することで、自己と相手との位置関係を容易に確認することができるという効果を有する。しかしながら、前者の技術では自己と相手との位置関係を確認することが困難となり、後者の技術では自己と相手の近辺の詳細を確認することが困難となり、両技術ともそれぞれ一長一短があった。
【0004】
そこで、自己と相手の位置を別々の画面で表示する方法と、1つの画面で自己と相手の位置を表示する方法をユーザ操作によって任意に切り替え可能とすることも考えられるが、互いに接近して相手と出会うような場合に、両者が遠く離れていれば、1画面表示に切り替えて両者の位置関係を確認したとしても、あまり意味があるものとはいえず、また、両者がかなり接近していれば、別画面表示に切り替えて各人の近辺の様子を確認したとしても、あまり意味があるとはいえない。
【0005】
この発明の課題は、ユーザに特別な操作を負わせることなく、地図表示を制御して、第1の位置と第2の位置における近辺の詳細や位置関係を確認できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、複数の画面に分割可能な表示部を有し、この表示部を複数に分割した各分割画面として使用するか、各分割画面を合わせた統合画面として使用するかの制御を行う電子機器であって、第1の位置情報と第2の位置情報を取得する位置取得手段と、前記表示部を複数の画面に分割して使用するための制御を行って、前記第1の位置情報を含む地図データと前記第2の位置情報を含む地図データとを別々の当該分割画面に表示させる表示制御をする第1の表示制御手段と、前記表示部を統合画面として使用するための制御を行って、前記第1及び第2の位置情報を含めた地図データを当該統合画面に表示させる表示制御をする第2の表示制御手段と、前記第1及び第2の位置情報を含めた地図データを前記表示部に所定の縮尺で表示することができるか否かを判別する判別手段と、
この判別手段による判別結果に基づいて、前記第1の表示制御手段による表示制御と前記第2の表示制御手段による表示制御とを切り替える第1の表示切替手段とを具備したことを特徴とする。
更に、コンピュータに対して、上述した請求項1記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項9記載の発明)。
【0007】
なお、上述した請求項1記載の発明は次のようなものであってもよい。
前記所定の縮尺は、ユーザ操作に応じて設定された縮尺であり、前記判別手段は、前記表示部を統合画面として使用する場合に、前記第1及び第2の位置情報を含めた地図データを当該統合画面に前記所定の縮尺で表示することができるか否かを判別する(請求項2記載の発明)。
【0008】
前記判別手段による判別結果に拘わらず、前記第1の表示制御手段による表示制御と前記第2の表示制御手段による表示制御とを切り替える第2の表示切替手段を更に設ける(請求項3記載の発明)。
【0009】
請求項3記載の発明において、前記第2の表示切替手段は、所定時間毎に表示制御の切り替えを実行するようにしてもよい(請求項4記載の発明)。また、請求項3記載の発明において、前記第2の表示切替手段は、ユーザ操作に応じて表示制御の切り替えを実行するようにしてもよい(請求項5記載の発明)。
【0010】
前記第1の表示切替手段によって前記第1の表示制御手段による表示制御と前記第2の表示制御手段による表示制御とを切り替えた旨を報知する報知手段を更に設ける(請求項6記載の発明)。
【0011】
前記電子機器は、機器本体を構成する複数の筐体の配置状態を変えることで当該機器本体を複数のスタイルに変更可能であって、前記機器本体のスタイルを検出するスタイル検出手段を更に設け、このスタイル検出手段によって検出されたスタイルが特定スタイルであれば、前記第1の表示切替手段による表示制御の切り替えを行い、それ以外のスタイルであれば、当該表示制御の切り替えを抑制する(請求項7記載の発明)。
【0012】
前記位置取得手段は、第1の位置情報、第2の位置情報のうち、少なくともそのいずれか一方の位置情報を一定時間毎に取得する(請求項8記載の発明)。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、ユーザに特別な操作を負わせることなく、地図表示を制御することができ、第1と第2の位置毎にその近辺の様子を詳細に確認できるほか、第1と第2の位置関係を容易に確認することができるなど、実用効果の高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1〜図11を参照して本発明の実施例を説明する。
この実施例は、電子機器として適用した携帯電話装置における通信ネットワークシステムを示したブロック図である。
携帯電話装置1は、最寄りの基地局2、交換機3から無線通信網(公衆移動体通信網)4に接続されているほか、この無線通信網4を介してインターネット5に接続されている。携帯電話装置1は、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)のほか、ナビゲーション機能が備えられている。
【0015】
ナビゲーション機能は、例えば、歩行者支援用の機能で、自己の現在の位置情報と相手の現在の位置情報とを取得して両者の位置情報を地図上に案内表示するようにしたもので、互いに接近して待合せ相手と出会うような場合などに活用されるが、その活用の仕方は任意である。ここで、「自己の位置情報」とは、自己の携帯電話装置1の現在位置を示し、GPS(Global Positioning System)衛星6から受信した信号に基づいて算出して取得してもよいし、無線通信網4を介して接続されている位置情報管理サーバ7から受信取得してもよいし、更にはインターネット5、無線通信網4を介してナビゲーションサービス装置8から受信取得してもよい。
【0016】
また、「相手の位置情報」とは、例えば、待合せ相手が所持している携帯電話装置1の現在位置を示し、無線通信網4を介して相手の携帯電話装置1から受信取得してもよいし、無線通信網4を介して接続されている位置情報管理サーバ7から受信取得してもよいし、更にはインターネット5、無線通信網4を介してナビゲーションサービス装置8から受信取得してもよい。なお、位置情報管理サーバ7は、携帯電話装置1の位置を管理しているサーバであり、ナビゲーションサービス装置8は、サービスに加入している携帯電話装置1の位置を管理したり、携帯電話装置1からのサービス要求に応じて地図データを要求元の携帯電話装置1に送信したりする装置である。また、地図データは、ナビゲーションサービス装置8からダウンロード受信したものであってもよく、着脱可能な記録メディア(図示せず)から特定地域の地図データを入手したものであってもよく、地図データの入手の仕方は任意である。
【0017】
図2は、回転2軸型の携帯電話装置1の概略外観図である。
装置本体を構成する2つの筐体1A、1Bは、ヒンジ部1Cを介して開閉可能に連結されているほか、回転軸(縦軸)を介して回転可能に連結されたもので、装置本体を複数のスタイルに変更可能となっている。図2(1)は2つの筐体1A、1Bを開いたオープンスタイルを示し、(2)はオープンスタイルから筐体1Aを180度回転させたのちに筐体1Bに重ねた状態のビュースタイルを示した図である。なお、オープンスタイルにおいて筐体1Aを筐体1Bに重ねた状態がクローズスタイルとなる。筐体1Aは、表示部筐体であり、その内面側(クローズスタイルで互いに対面する側)には、高精細液晶あるいは有機ELを使用した表示部DPが配置されている。筐体1Bは、操作部筐体であり、その内面側には押ボタン式の各種キーを備えた操作部KBが配置されている。なお、操作部KBは、表示パネルの上に透明タッチセンサを積層配置したタッチスクリーン(タッチパネル表示部)を構成するものであってもよい。
【0018】
図3は、携帯電話装置1の基本的な構成要素を示したブロック図である。
中央制御部11は、ROM12内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話装置の全体動作を制御する。ROM12のプログラム領域には、後述する図7〜図11に示す動作手順に応じて本実施例を実現するためのプログラムが格納されており、また、ROM12のデータ領域には、出荷初期時の待受画像などが記憶されている。RAM13は、例えば、ワーク領域を有する内部メモリで、後述する位置情報記憶部M1、設定情報記憶部M2などが設けられている。無線通信部14は、アンテナに接続された送受信部(ベースバンド部)の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、音声信号処理部15を介して受話スピーカSPから音声出力させる。また、無線通信送受信部14は、送話マイクMCから入力された音声データを音声信号処理部15から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのちに送受信部の送信側に与えられてアンテナから送信出力させる。
【0019】
表示部DPは、その全体が長方形の画面であり、この画面全体をその縦方向の中心部分を境に複数の画面(2つの画面)に論理的に分割した分割画面として使用可能なほか、各分割画面を合わせた統合画面として使用可能なもので、中央制御部11は、ナビゲーション機能において地図データを表示部DPに表示させる場合に、表示部DPの全体画面を統合画面として使用するか、2つの画面に分割した分割画面として使用するかを決定してその表示制御を行うようにしている。
【0020】
すなわち、自己の位置情報と相手の位置情報とを含めた地図データを表示部DPに所定の縮尺で表示することができるか否か、言い換えれば、自己の位置情報と相手の位置情報とを含む所定縮尺の地図データを表示部DPの統合画面内に表示させることができるか否かをその地図サイズと画面サイズを比較することによって判別する。その結果、距離的に両者が離れていて、両者の位置情報を含めた地図を所定の縮尺では表示することができない場合には、表示部DPを2つの画面に分割して使用するための制御を行うほか、自己の位置情報を含む地図データと相手の位置情報を含む地図データとを別々の分割画面に拡大表示させる表示制御をする。また、自己と相手とがかなり近づくことによって、両者の位置情報を含めた所定縮尺の地図データを統合画面内に表示させることができる場合には、表示部DPを統合画面として使用するための制御を行い、両者の位置情報を含めた地図データを当該統合画面に所定の縮尺で表示させる表示制御をするようにしている。
【0021】
以下、位置毎にその周辺の地図データを各分割画面に拡大表示させる表示制御を“個別表示(別画面表示)”と呼称し、また、各位置を含む地図データを統合画面に所定の縮尺で表示させる表示制御を“同時表示(1画面表示)”と呼称すると、中央制御部11は、上述のように両者の距離と地図縮尺との関係から両者の位置情報を含む所定縮尺の地図データを表示できる否かの判別結果に応じて“個別表示”と“同時表示”とを自動的に切り替えるようにしている。このように中央制御部11は、自己と相手との距離関係などに応じて“個別表示”と“同時表示”との自動切り替えを行うほか、後述する切替タイマに応じて“個別表示”と“同時表示”とを定期的に切り替えるタイマ切り替えを行うようにしている。
【0022】
操作部KBは、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、中央制御部11は、操作部KBから入力された操作信号に基づいてその操作に応じた処理を実行する。RTC(リアルタイムクロックモジュール)17は、時計部を構成するもので、中央制御部11は、RTC17から現在日時を取得する。振動発生部16は、振動モータを備え、バイブレーション報知を行う。
【0023】
スタイル検出部18は、回転2軸型の装置本体を構成する2つの筐体1A、1Bの位置関係に応じて変化する各スタイルを検出可能なもので、磁気センサあるいはマイクロスイッチなどによって構成され、クローズスタイル、オープンスタイル、ビュースタイルなどを検出するもので、中央制御部11は、このスタイル検出部18からの検出信号に基づいて現在のスタイルを判別する。GPS受信部19は、自己の現在位置を得るためにGPS衛星6からの信号を受信する。
【0024】
図4は、位置情報記憶部M1を説明するための図である。
位置情報記憶部M1は、定期的(例えば、30秒毎)に取得した自己の位置情報と相手の位置情報とを対応付けて記憶するもので、「日時」、「自己の位置情報」、「相手の位置情報」の各項目を有する構成となっている。「日時」は、位置情報を取得した日時を示し、「自己の位置情報」、「相手の位置情報」は、自己、相手の現在の位置を示す経緯度情報である。なお、待合せ相手と出会うために互いに接近する場合には、自己及び相手の携帯電話装置1は移動体となるが、目的地に向かって進行している場合には、相手(目的地)の位置は変わらないため、その位置情報を定期的に取得する必要がないので、「相手の位置情報」の項目には最初に取得した位置情報のみを記憶するようにしている。
【0025】
図5は、設定情報記憶部M2を説明するための図である。
設定情報記憶部M2は、ナビゲーション機能に関する各種の設定情報を記憶するもので、この設定情報の「種類」に対応してその「内容」を記憶する構成となっている。すなわち、設定情報記憶部M2は、予めユーザ操作によって任意に設定された情報であり、「縮尺」、「取得タイマ」、「切替タイマ」に対してその「内容」を記憶する構成となっている。「縮尺」は、表示部DPを統合画面として使用して地図データを表示する場合に、その地図の縮尺(例えば、1/500など)を示している。
【0026】
「取得タイマ」は、自己の位置情報と相手の位置情報(移動体の位置情報)を定期的に取得するための時間を計測する減算タイマの設定値であり、図示の例では、“30秒”毎に各位置情報を取得すべきことが設定された場合である。「切替タイマ」は、定期的に“個別表示”と“同時表示”とを切り替えるための時間を計測する減算タイマの設定値であり、図示の例では、“10秒”毎に表示切り替えを行うべきことが設定された場合である。
【0027】
図6は、ビュースタイルでのナビゲーション表示例で、自己の位置と相手の位置に対応してその周辺の地図を分割画面に拡大表示する“個別表示”と、自己及び相手の位置を含む地図を統合画面に表示する“同時表示”の具体的を示した図である。
図6(1)は、個別表示の場合、(2)は、同時表示の場合を示し、また、図中、黒丸の印は、自己の位置情報を示し、黒の星印は、相手の位置情報を示している。図6(1)に示す個別表示例において、表示部DPの画面全体を2つに分割した各分割画面のうち、その下側の分割画面は、自己の位置情報を含む地図データがその画面サイズに拡大表示された画面であり、また、上側の分割画面は、相手の位置情報を含む地図データがその画面サイズに拡大表示された画面である。図6(2)に示す同時表示例においては、表示部DPの画面全体を統合画面とした場合で、自己と相手の位置情報を含む地図データが設定情報記憶部M2の「縮尺」で表示される。
【0028】
次に、この実施例における携帯電話装置1の動作概念を図7〜図11に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施例特有の動作を実行することもできる。
【0029】
図7は、電源投入に伴って実行開始される携帯電話装置1の全体動作を示したフローチャートである。
先ず、中央制御部11は、電源を投入する電源オン操作が行われると(ステップA1でYES)、無線通信部14を作動させるほか、所定の待受画像を読み出して表示させる待受処理を行う(ステップA2)。この待受状態において中央制御部11は、設定情報記憶部M2に対する設定操作の有無をチェックし(ステップA3)、その設定操作が行われると、設定情報記憶部M2への設定処理に移る(ステップA4)。この設定処理は、ユーザ操作に応じて設定情報記憶部M2の「縮尺」、「取得タイマ」、「切替タイマ」に対応してその「内容」を任意に設定する処理である。また、待受状態において中央制御部11は、ナビゲーション機能の起動を指示する操作が行われたか否かの操作有無を調べ(ステップA5)、このナビゲーション操作が行われた場合には、それに応答してナビゲーション処理に移る(ステップA6)。
【0030】
図8及び図9は、ナビゲーション処理(図7のステップA6)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、中央制御部11は、ナビゲーション機能の起動時にその初期化処理として「同時表示フラグ」をリセットする(ステップB1)。この「同時表示フラグ」は、自己と相手の位置情報とを含む地図データを統合画面に表示する“同時表示”の場合にセットされるフラグであり、ナビゲーション機能の起動時には、この「同時表示フラグ」に“0”を書き込むことによってそれをリセットしておく。
【0031】
ここで、ナビゲーション相手を指定するための操作として、例えば、地図上でのポイント指定、住所入力、名称入力などが行われると(ステップB2)、中央制御部11は、自己の位置情報(現在位置情報)のほか、この相手の位置情報(現在位置情報)を取得する(ステップB3)。この場合、上述したように自己の位置情報をGPS衛星6から受信した信号に基づいて算出して取得してもよいし、無線通信網4を介して接続されている位置情報管理サーバ7から受信取得してもよいし、更にはインターネット5、無線通信網4を介してナビゲーションサービス装置8から受信取得してもよい。また、相手の位置情報を無線通信網4を介して相手の携帯電話装置1から受信取得してもよいし、無線通信網4を介して接続されている位置情報管理サーバ7から受信取得してもよいし、更にはインターネット5、無線通信網4を介してナビゲーションサービス装置8から受信取得してもよい。
【0032】
このようにして取得した自己の位置情報及び相手の位置情報とRTC17から取得した現在日時(取得日時)とを対応付けて位置情報記憶部M1に記憶させたのち(ステップB4)、中央制御部11は、スタイル検出部18から検出信号を取り込んで現在のスタイルの判別を行う(ステップB5)。その結果、現在のスタイルがビュースタイルであれば(ステップB6でYES)、表示制御A処理の実行に移り(ステップB7)、ビュースタイル以外のスタイルであれば(ステップB6でNO)、表示制御B処理の実行に移る(ステップB8)。
【0033】
図10は、ビュースタイルで実行される表示制御A処理(図8のステップB7)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、中央制御部11は、設定情報記憶部M2に設定されている「縮尺」を読み出し(ステップC1)、この設定縮尺で自己の位置情報と相手の位置情報とを含めた地図データを表示部DPの全体画面(統合画面)に表示することができるか否かをその地図サイズと画面サイズとの比較によって判別する(ステップC2)。
【0034】
その結果、距離的に両者が離れていて、両方の位置を含めた地図データを設定縮尺では表示することができない場合には(ステップC2でNO)、表示部DPを2つの画面に分割して使用するための制御を行うほか、拡大縮尺で自己の位置情報を含む近辺の地図データ(自己近辺の地図データ)を一方の分割画面に拡大表示させると共に、ステップC7)、拡大縮尺で相手の位置情報を含む地図データ(相手近辺の地図データ)を他方の分割画面に拡大表示させる(ステップC8)。これによって、ビュースタイルでは図6(1)に示すように自己の位置を含む近辺の地図は、表示部DPの下側の分割画面に拡大表示され、また、相手の位置を含む近辺の地図は、表示部DPの上側の分割画面に拡大表示される。
【0035】
そして、「同時表示フラグ」は“1”であるか、つまり、“同時表示”の状態から“個別表示”の状態に切り替わった場合であるかを判別するが(ステップC9)、ナビゲーション機能を起動した時点では「同時表示フラグ」が“0”にセットされているので(ステップC9でNO)、この表示制御A処理から抜けるが、「同時表示フラグ」が“1”にセットされていれば(ステップC9でYES)、“同時表示”の状態から“個別表示”の状態に切り替わった場合であるから、振動発生部16を駆動してバイブレーションを発生させて、その切り替わりを報知したのち(ステップC10)、「同時表示フラグ」を“0”にセットしておく(ステップC11)。
【0036】
また、自己と相手が近づくことによって、両位置を含む地図が表示可能となった場合には(ステップC2でYES)、設定情報記憶部M2から読み出した設定縮尺で自己の位置情報と相手の位置情報とを含む地図データを表示部DPに表示させる(ステップC3)。これによって、図6(2)に示すように、自己の位置情報及び相手の位置情報を含めた地図データが各分割画面を合わせた統合画面に表示される。そして、「同時表示フラグ」は“0”であるか、つまり、“個別表示”の状態から“同時表示”の状態に切り替わった場合かを判別する(ステップC4)。
【0037】
いま、「同時表示フラグ」が“1”であれば(ステップC4でNO)、つまり、“同時表示”の状態のままであれば、この表示制御A処理から抜けるが、「同時表示フラグ」が“0”であれば(ステップC4でYES)、“個別表示”の状態から“同時表示”の状態に切り替わった場合であるから、振動発生部16を駆動してバイブレーションを発生させて、その切り替わりを報知したのち(ステップC5)、「同時表示フラグ」を“1”にセットしておく(ステップC6)。
【0038】
図11は、ビュースタイル以外のスタイルで実行される表示制御B処理(図8のステップB8)を詳述するためのフローチャートである。
ここで、上述したようにビュースタイルでは、自己と相手の距離情報と地図縮尺との関係から両位置を含む地図を表示可能か否かを判別し、この判別結果に応じて“個別表示”と“同時表示”とを自動的に切り替えるようにしたが、ビュースタイル以外のスタイル、例えば、オープンスタイルでは、筐体1B側に配置されている操作部KBが使用可能となって、ユーザ操作で“個別表示”と“同時表示”との切り替えが可能となるため、この表示制御B処理では“個別表示”のみを行い、上述の自動切り替えを抑制するようにしている。
【0039】
先ず、表示部DPを2つの画面に分割して使用するための制御を行い、拡大縮尺で自己の位置情報を含む近辺の地図データ(自己近辺の地図データ)を一方の分割画面に拡大表示させ(ステップD1)、また、拡大縮尺で相手の位置情報を含む地図データ(相手近辺の地図データ)を他方の分割画面に拡大表示させる(ステップD2)。その後、「同時表示フラグ」を“0”にセットする(ステップD3)。
【0040】
このようにスタイルに応じて表示制御A処理(図8のステップB7)あるいは表示制御B処理(図8のステップB8)を実行したのちは、設定情報記憶部M2から「取得タイマ」、「切替タイマ」の設定値を読み出して、対応する取得タイマ、切替タイマの初期値としてセットし、この取得タイマ、切替タイマの計測動作を開始させる(図8のステップB9、B10)。その後、図9のフローに移り、取得タイマがタイムアウトになったか(ステップB11)、切替タイマがタイムアウトになったかを調べる(ステップB12)。いま、取得タイマのタイムアウトを検出すると(ステップB11でYES)、図8のステップB3に戻り、自己及び相手の位置情報を取得して、現在日時と共に位置情報記憶部M1に記憶させたのち(ステップB4)、以下、上述と同様の動作が行われる。
【0041】
また、切替タイマのタイムアウトを検出すると(図9のステップB12でYES)、自己の位置情報と相手の位置情報を同時に表示中か否か、つまり、“同時表示”中か“個別表示”中かを調べ(ステップB13)、“個別表示”中であれば、“個別表示”から“同時表示”に切り替えるために、ステップB14に移り、表示部DPを統合画面として使用するための制御を行い、自己の位置情報と相手の位置情報を含む地図データを統合画面に表示可能な縮尺に変換して表示させる。
【0042】
また、“同時表示”中であれば(ステップB13でYES)、“同時表示”から“個別表示”に切り替えるために、表示部DPを2つの画面に分割して使用するための制御を行い、拡大縮尺で自己の位置情報を含む近辺の地図データを一方の分割画面に拡大表示させると共に(ステップB15)、拡大縮尺で相手の位置情報を含む地図データを他方の分割画面に拡大表示させる(ステップB16)。そして、切替タイマを再起動させたのち(ステップB17)、上述のステップB11に戻る。
【0043】
一方、ユーザ操作によって“同時表示”と“個別表示”との切り替えを指示する切り替え操作が行われた場合にも(ステップB18でYES)、自己の位置情報と相手の位置情報を同時に表示中かを調べ(ステップB13)、その結果、“個別表示”から“同時表示”への切り替え(ステップB14)あるいは“同時表示”から“個別表示”への切り替えを行う(ステップB15、B16)。以下、ナビゲーションの終了を指示する終了操作が行われるまで(ステップB19でYES)、上述のステップB11に戻り、上述の動作を繰り返すが、ナビゲーション終了操作が行われると(ステップB19でYES)、画面表示を消去するなどのナビゲーション終了処理を行ったのち(ステップB20)、図7の待受状態に戻る。
【0044】
なお、待受状態において中央制御部11は、無線通信部14から着信有無をチェックしたり(ステップA7)、電源オフ操作の有無(ステップA9)、その他の操作有無をチェックしたりする(ステップA11)。ここで、着信ありを検出すると(ステップA7でYES)、その相手との回線接続に応答して通話処理を行う(ステップA8)。また、電源オフ操作が行われると(ステップ019でYES)、電源オフ処理を行うが(ステップA10)、その他の操作が行われた場合には(ステップA11でYES)、操作に対応するその他の処理として、例えば、発信処理、メール作成処理などを行う(ステップA12)。
【0045】
以上のように、この実施例において中央制御部11は、自己と相手の距離と地図縮尺との関係から両者の位置情報を含む所定縮尺の地図データを表示できる否かの判別結果に応じて“個別表示”と“同時表示”とを自動的に切り替えるようにしたので、ユーザに特別な操作を負わせることなく、地図表示を制御することができ、自己と相手の位置毎にその近辺の様子を詳細に確認できるほか、自己と相手の位置関係を容易に確認することができるなど、実用効果の高いものとなる。
【0046】
ユーザ操作によって任意に設定した「縮尺」が設定情報記憶部M2に記憶されている状態において、表示部DPを統合画面として使用する場合に、設定情報記憶部M2から「縮尺」を読み出し、自己と相手の位置情報を含めた地図データを当該統合画面に当該「縮尺」で表示することができるか否かを判別するようにしたので、ユーザが所望する縮尺で地図表示が可能となる。
【0047】
中央制御部11は、自己と相手の距離と地図縮尺との関係から両者の位置を含む地図を表示可能か否かの判別結果に応じて“個別表示”と“同時表示”とを自動的に切り替えるほか、切替タイマがタイムアウトとなる毎に“個別表示”と“同時表示”とを定期的に切り替えたり、ユーザからの切り替え操作が行われる毎に“個別表示”と“同時表示”と切り替えたりすることができ、利便性を高めることが可能となる。
【0048】
中央制御部11は、自己と相手の距離と地図縮尺との関係から両者の位置を含む地図を表示可能か否かの判別結果に応じて“個別表示”と“同時表示”とを切り替えた場合に、その切り替えられたことを報知するようにしたので、個別表示”から“同時表示”に切り替えられたことを知ることによって、ユーザは両者がある一定の距離より近くになったことを知ることが可能となる。また、“同時表示”から“個別表示”に切り替えられたことを知ることによって、ユーザは両者がある一定の距離より遠くになったことを知ることが可能となる。また“個別表示”と“同時表示”との誤認混同、見間違えなどを効果的に防ぐことが可能となる。
【0049】
中央制御部11は、スタイル検出部18からの検出信号に基づいても現在のスタイルを判別した結果、ビュースタイルであれば、表示制御A処理を実行し、自己と相手の距離と地図縮尺との関係から両者の位置を含む地図を表示可能か否かの判別結果に応じて“個別表示”と“同時表示”との切り替えを行い、ビュースタイル以外のスタイルであれば、表示制御B処理を実行し、“個別表示”と“同時表示”との切り替えを行わず、“個別表示”のままとするようにしたので、例えば、ビュースタイル以外のスタイルのように操作し易いスタイル(多くの操作キーが露出しているスタイル)では操作によってその切り替えを行うことができ、ビュースタイルのように操作が困難なスタイル(操作キーのほとんどが露出していないスタイル)では自動切り替えが可能となり、便利なものとなる。
【0050】
また、取得タイマのタイムアウトを検出すると、自己及び相手の位置情報を取得して、現在日時と共に位置情報記憶部M1に記憶させるようにしたから、定期的に最新の位置情報を得て表示することができる。
【0051】
なお、上述した実施例においては、ナビゲーション機能の活用例として、自己の位置情報と相手の位置情報とを取得して両位置を地図上に表示することによって互いに接近して待合せ相手と出会うような場合を例示したが、目的地に出向く場合であってもよい。この場合、目的地の位置は不変のため、その位置情報を定期的に取得する必要がないので、位置情報記憶部M1の「相手の位置情報」の項目には、最初に取得した位置情報のみを記憶するようにすればよい。
また、位置情報は定期的に取得することに限らず、例えば、移動速度に応じて取得周期を可変とするようにしてもよいし、取得するタイミングは任意である。
また、自己の位置情報と相手の位置情報とをナビゲーションする場合に限らず、自己を含まない2者の位置情報をナビゲーションする場合にも適用可能である。
【0052】
その他、電子機器としては携帯電話装置に限らず、例えば、ナビゲーション機能を備えたPDA、電子カメラ、電子腕時計、音楽再生機などにも同様に適用可能であり、また、車載用のカーナビゲーション装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】電子機器として適用した携帯電話装置における通信ネットワークシステムを示したブロック図。
【図2】回転2軸型の携帯電話装置1の概略外観図。
【図3】携帯電話装置1の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図4】位置情報記憶部M1を説明するための図。
【図5】設定情報記憶部M2を説明するための図。
【図6】ビュースタイルでのナビゲーション表示例で、自己の位置と相手の位置に対応してその周辺の地図を分割画面に拡大表示する“個別表示”と、自己及び相手の位置を含む地図を統合画面に表示する“同時表示”の具体的を示した図で、(1)は、個別表示の場合、(2)は、同時表示の場合を示した図。
【図7】電源投入に伴って実行開始される携帯電話装置1の全体動作を示したフローチャート。
【図8】ナビゲーション処理(図7のステップA6)を詳述するためのフローチャート。
【図9】図8に続くフローチャート。
【図10】ビュースタイルで実行される表示制御A処理(図8のステップB7)を詳述するためのフローチャート。
【図11】ビュースタイル以外のスタイルで実行される表示制御B処理(図8のステップB8)を詳述するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0054】
1 携帯電話装置
1A、1B 筐体
4 無線通信網
5 インターネット
7 位置情報管理サーバ
8 ナビゲーションサービス装置
11 中央制御部
12 ROM
14 無線通信部
17 RTC
16 振動発生部
18 スタイル検出部
19 GPS受信部
DP 表示部
KB 操作部
M1 位置情報記憶部
M2 設定情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画面に分割可能な表示部を有し、この表示部を複数に分割した各分割画面として使用するか、各分割画面を合わせた統合画面として使用するかの制御を行う電子機器であって、
第1の位置情報と第2の位置情報を取得する位置取得手段と、
前記表示部を複数の画面に分割して使用するための制御を行って、前記第1の位置情報を含む地図データと前記第2の位置情報を含む地図データとを別々の当該分割画面に表示させる表示制御をする第1の表示制御手段と、
前記表示部を統合画面として使用するための制御を行って、前記第1及び第2の位置情報を含めた地図データを当該統合画面に表示させる表示制御をする第2の表示制御手段と、
前記第1及び第2の位置情報を含めた地図データを前記表示部に所定の縮尺で表示することができるか否かを判別する判別手段と、
この判別手段による判別結果に基づいて、前記第1の表示制御手段による表示制御と前記第2の表示制御手段による表示制御とを切り替える第1の表示切替手段と、
を具備したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記所定の縮尺は、ユーザ操作に応じて設定された縮尺であり、
前記判別手段は、前記表示部を統合画面として使用する場合に、前記第1及び第2の位置情報を含めた地図データを当該統合画面に前記所定の縮尺で表示することができるか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記判別手段による判別結果に拘わらず、前記第1の表示制御手段による表示制御と前記第2の表示制御手段による表示制御とを切り替える第2の表示切替手段を更に設け、
たことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2の表示切替手段は、所定時間毎に表示制御の切り替えを実行する、
ようにしたことを特徴とする請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2の表示切替手段は、ユーザ操作に応じて表示制御の切り替えを実行する、
ようにしたことを特徴とする請求項3記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1の表示切替手段によって前記第1の表示制御手段による表示制御と前記第2の表示制御手段による表示制御とを切り替えた旨を報知する報知手段を更に設けた、
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子機器は、機器本体を構成する複数の筐体の配置状態を変えることで当該機器本体を複数のスタイルに変更可能であって、
前記機器本体のスタイルを検出するスタイル検出手段を更に設け、
このスタイル検出手段によって検出されたスタイルが特定スタイルであれば、前記第1の表示切替手段による表示制御の切り替えを行い、それ以外のスタイルであれば、当該表示制御の切り替えを抑制する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項8】
前記位置取得手段は、第1の位置情報、第2の位置情報のうち、少なくともそのいずれか一方の位置情報を一定時間毎に取得する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項9】
コンピュータに対して、
第1の位置情報と第2の位置情報を取得する機能と、
表示部を複数の画面に分割して使用するための制御を行って、前記第1の位置情報を含む地図データと前記第2の位置情報を含む地図データとを別々の当該分割画面に表示させる表示制御をする機能と、
前記表示部を統合画面として使用するための制御を行って、前記第1及び第2の位置情報を含めた地図データを当該統合画面に表示させる表示制御をする機能と、
前記第1及び第2の位置情報を含めた地図データを前記表示部に所定の縮尺で表示することができるか否かを判別する機能と、
前記判別結果に基づいて、前記分割画面に地図データを表示させる表示制御と前記統合画面に地図データを表示させる表示制御とを切り替える機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−2664(P2009−2664A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161117(P2007−161117)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】