説明

電子機器及びプログラム

【課題】位置情報や移動速度を取得できない状況であっても、低コストかつ的確に目的物の設置位置に関する情報の報知を行なう。
【解決手段】データベースにはトンネル内速度測定装置eと装置eの位置へ至るトンネル内の道路上位置に設けた誘導点b,c,dの位置情報を記憶している。誘導点bはトンネル進入前のGPS受信器によって測位可能な位置から1km以内の位置に設定し、各誘導点間の距離も1km以内に設定している。トンネル進入点aで測位不能になる直前の現在位置から誘導点bに向けて測位不能になる直前の速度で進行しているものとして現在位置を更新していき、各誘導点位置に到達したら次の誘導点に向けて同様に現在位置を更新する。次の誘導点がない場合にはトンネル内速度測定装置へ向けて同様に現在位置を更新する。トンネル内速度測定装置eとの現在位置の関係が2km、1km、500mになった際にそれぞれ接近警報を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的物の位置に関する報知を行なう電子機器等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載され、その車両の運転者等に各種の警報を報知する車載用電子機器が知られている。たとえば、自動車の速度を測定する速度測定装置のような目的物に接近した場合に、運転者に対してその警告を報知するレーダー探知機等の車載用電子機器が知られている。
【0003】
速度測定装置の一例としては、予め速度測定装置の設置位置情報を記憶させておき、GPS(Global Positioning System )等によって取得した現在位置が、記憶した設置位置に近づいた場合(所定の接近関係になった場合)に、マイクロ波の検知の有無に関係なく警告を発するようにしたレーダー探知機がある(特許文献1)。たとえば、現在位置が、速度測定装置の設置位置から1000m以内に入った位置になった場合に第一の警報を行い、さらに速度測定装置の設置位置から500m以内に入った位置になった場合に、第二の警報を行うなどしている。
【0004】
こうしたレーダー探知機による警告は、たとえば、LED等のランプを点滅させたり、音声やメロディー、電子音等の所定の警告音をスピーカ等から出力させたり、液晶パネル等の所定の警告画面を表示するなどして行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−64588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、目的物の位置情報を記憶させておき、GPS等によって取得した現在位置が、記憶した目的物の位置と所定の接近関係になった場合に、報知を行うためには、現在位置が正しく取得できる必要がある。
【0007】
ところが、例えばトンネルや高架下に入った場合など、GPSで衛星電波が取得できないような場所では、現在位置が取得できない状況になる場合がある。また、GPSからは自車の移動速度も取得できるが(現在位置の変化または衛星電波のドップラーシフト量等から算出できる)、例えばトンネルや高架下に入った場合など、GPSで衛星電波が取得できないような場所では移動速度も取得できない。
【0008】
そこで、本発明は、位置情報や移動速度を取得できない状況であっても、外部からの情報を取得する特別な構成やハードウェアを備えることなく、従来よりも低コストかつ的確に、目的物の設置位置に関する情報の報知を行なうことのできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、(1)現在位置を取得するための位置取得手段と、目的物の位置情報を記憶する記憶手段と、報知手段と、前記取得手段によって取得した現在位置と前記記憶手段によって記憶された目的物の位置情報との接近関係に基づいて当該目的物の設置位置に関する情報の報知を前記報知手段から報知させる制御を行う制御手段とを備える電子機器において、現在の移動速度を取得するための速度取得手段を備え、前記記憶手段は、前記目的物の位置情報として現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置情報を記憶し、前記制御手段は、前記位置取得手段によって現在位置が取得できない状態であり、かつ、前記速度取得手段によって現在の速度が取得できない状態である場合に、現在の推定速度を決定し、前記記憶手段に記憶された現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置へ前記推定速度で進行しているものとして当該目的物との前記接近関係を判定する。
【0010】
このようにすることで、位置情報や移動速度を取得できない状況であっても、外部からの情報を取得する特別な構成やハードウェアを備えることなく、従来よりも低コストかつ的確に、目的物の設置位置に関する情報の報知を行なうことができる。
【0011】
なお、現在の推定速度の決定は、当該電子機器の位置取得手段によって取得された過去の位置情報または速度情報か、記憶手段に記憶された情報か、これら双方に基づいて行うとよい。例えば、後述する(2)または(3)のようにするとよい。
【0012】
前記記憶手段に記憶された現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置へ前記推定速度で進行しているものとして当該目的物との前記接近関係を判定するとは、例えば、前記制御手段は、前記位置取得手段によって現在位置が取得できなくなる直前の取得できた位置から、前記目的物の位置情報として現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置へ前記推定速度で進行しているものとするとよい。
【0013】
(2)前記現在の推定速度の決定は、前記速度取得手段によって取得できていた過去の速度状態に基づいて行うとよい。
【0014】
例えば、前記速度取得手段によって取得できていた過去の速度状態に基づき現在の推定速度を決定する方法としては、前記速度取得手段によって取得できていた最後の速度を現在の推定速度として決定する方法や、前記速度取得手段によって取得できていた最後の所定距離ないし所定時間内の平均速度を利用する方法など各種の方法を採りうる。
【0015】
また例えば、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置へ直線的に前記推定速度で進行しているものとして当該目的物との前記接近関係を判定するものであり、前記記憶手段は、前記位置取得手段によって現在位置が取得できない状態となることが想定される位置から、前記記憶手段に記憶された現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置までの距離に関する情報を記憶し、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置までの距離に関する情報に基づき前記推定速度を決定するようにしてもよい。
【0016】
このようにすれば、位置情報や移動速度を取得できない状況であっても、多くの情報を付加することなく、より的確な目的物の設置位置に関する情報の報知を行なうことができる。
【0017】
例えば、前記位置取得手段によって現在位置が取得できない状態となることが想定される位置から、前記記憶手段に記憶された現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置までの道路が直線路でない場合のその目的物の設置位置に関する情報の報知をより的確にできる。たとえば前記接近関係として現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置の1000m手前で当該目的物が1000m先にあることを報知する場合には、その報知した距離と実際の距離との誤差を小さくすることができる。
【0018】
なお、推定速度は、例えば、前記位置取得手段によって現在位置が取得できない状態となることが想定される位置から前記記憶手段に記憶された現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置までの実際の距離を、前記位置取得手段によって現在位置が取得できない状態となることが想定される位置から前記記憶手段に記憶された現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置までの直線距離で除した値で、例えば前記速度取得手段によって取得できていた最後の速度を除して求めればよい。これに限らず各種の算出方法を採りうる。
【0019】
(3)前記記憶手段は、前記目的物の位置情報として現在位置が取得できない箇所と目的物の位置との間の標準速度を記憶しておき、前記現在の推定速度の決定は、前記記憶手段に記憶された標準速度に基づいて行うようにしてもよい。
【0020】
例えば、現在の推定速度を(2)の「速度取得手段によって取得できていた過去の速度状態」として、速度取得手段によって取得できなくなった直前の速度とする場合、特に後述する(10)のように、位置取得手段及び前記速度取得手段がGPSモジュールであると、取得できなくなった直前の速度は、最も精度が低いデータと言える。また、道路に急カーブなどの箇所が含まれるとその点では走行速度が低くなる可能性が高い。よって、現在位置が取得できない箇所と目的物の位置との間の標準速度を記憶しておき、現在の推定速度の決定は、記憶手段に記憶された標準速度に基づいて行うとよい。このようにすれば、目的物との接近関係の判定をより精度よく行うことができる。
【0021】
(4)前記記憶手段は、前記位置取得手段によって現在位置が取得できない状態となることが想定される位置から前記現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置への経路に沿って設けた誘導点の位置情報を記憶しており、前記制御手段は、前記位置取得手段によって取得した現在位置と前記誘導点が所定の近接関係となったまま、前記位置取得手段によって現在位置が取得できない状態となった場合には、前記現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置と所定の接近関係になるまで、前記誘導点へ前記推定速度で進行しているものとして現在位置を更新し、当該誘導点に至ったら、次の誘導点へ前記推定速度で進行しているものとして現在位置を更新する処理を繰り返すとよい。
【0022】
このようにすれば、実際の走行距離を実際に走行して測定したり、地図上で計測したりすることなく、前記位置取得手段によって現在位置が取得できない状態となることが想定される位置から前記現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置への経路に沿って誘導点を置いていき、その誘導点の位置情報を記録するだけで、誤差の少ないより的確な目的物の設置位置に関する情報の報知を行なうことができる。例えば、前記位置取得手段によって現在位置が取得できない状態となることが想定される位置から、前記記憶手段に記憶された現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置までの道路(経路)が直線路でない場合のその目的物の設置位置に関する情報の報知をより的確にできる。例えば、たとえば前記接近関係として現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置の1000m手前で当該目的物が1000m先にあることを報知する場合に、その地点に至る経路が左右にカーブする場合であってもその形状に沿って誘導点を配置することで、その報知した距離(目的物の位置の1000m手前)と実際の距離との誤差を小さくすることができる。
【0023】
(5)(4)の構成を前提として、前記記憶手段は、前記誘導点ごとに標準走行速度を記憶しておき、前記現在の推定速度の決定は、前記記憶手段に記憶された前記誘導点ごとの標準走行速度に基づいて行うようにするとよい。
【0024】
このようにすれば、より的確に、目的物との接近関係の判定をより精度よく行うことができる。例えば、道路に急カーブなどの箇所が含まれるとその点では走行速度が低くなる可能性が高いので、例えば、急カーブ付近の誘導点の標準走行速度は低く設定し、直線の道路部分の誘導点の標準走行速度は高く設定することで、実際の走行に合致した目的物との接近関係の判定を行うことができる。誘導点ごとの標準走行速度は、例えば、実際に誘導点の位置に相当する箇所を走行した際の平均的な速度とするとよい。
【0025】
(6)次の誘導点は、予め定めたルールにそって決定するとよい。例えば、現在の誘導点の位置から所定距離範囲内(例えば500m)のもので最も近いもの(かつすでに現在の誘導点の直前に誘導点として利用されたものを除く)とすることができる。また、上記(4)または(5)の構成を前提とし、前記記憶手段は、前記誘導点への許容進入方向に関する情報を記憶し、前記制御手段は、前記許容進入方向を加味して前記次の誘導点を決定するとよい。このようにすれば、近接する場所に複数の誘導点があったとしても、前記許容進入方向を満たすものを誘導点として特定することが容易にできる。
【0026】
(7)上記(4)または(5)の構成を前提とし、前記記憶手段は、前記誘導点を複数備え、当該複数の誘導点の通過順序を特定可能に記憶しておき、前記制御手段は、前記複数の誘導点の通過順序にしたがって、前記次の誘導点を特定する構成としてもよい。このようにすれば、道路がループしている場合であっても、確実に実際の道路と同様の順に現在位置を更新することができる。その結果、目的物との接近関係を的確に判定できる。
【0027】
(8)前記記憶手段は、走行中の道路の制限速度に関する情報を記憶しており、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された制限速度を加味して前記推定速度を決定すると特によい。
【0028】
このようにすれば、実際の走行速度から大きく推定速度がかけ離れてしまうことを防止できる。前記記憶手段に記憶された制限速度を加味して前記推定速度を決定する方法としては、例えば、過去の速度状態に基づく現在の推定速度が、前記記憶手段に記憶された制限速度より、所定の割合以上、上回っている場合には、現在の推定速度を小さくするようにする。例えば、前記記憶手段に記憶された走行中の道路の制限速度が80km/hであり、過去の速度状態に基づく現在の速度(例えば、前記速度取得手段によって取得できていた最後の速度)が120km/hである場合、その差分である120−80=40km/hの半分である20km/hを差し引いた値である100km/hを現在の推定速度に決定する。
【0029】
なお、走行中の道路の制限速度に関する情報は当該速度測定装置の設置箇所の制限速度に関する情報として、前記現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置情報と関連づけて記憶するとよい。
【0030】
(9)前記記憶手段は、前記現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置情報として速度測定装置の位置情報と、当該速度測定装置の設置箇所の制限速度に関する情報を記憶しており、前記制御手段は、前記目的物の設置位置に関する情報の報知として、前記記憶手段に記憶された速度測定装置の設置箇所の制限速度に関する情報の報知を行ない、前記推定速度が当該速度測定装置の設置箇所の制限速度を越える所定の関係にある場合に、当該制限速度に関する情報に基づき前記推定速度を補正すると特によい。
【0031】
前記記憶手段に記憶された速度測定装置の設置箇所の制限速度に関する情報の報知を行なった場合、制限速度を越える速度で走行している車両は、速度を落とす可能性が高い。すなわち、例えば、速度測定装置の2km手前・1km手前・500m手前・通過時の4箇所で、接近警報を報知する構成の場合、前記記憶手段に記憶された速度測定装置の設置箇所の制限速度が80km/hであり、過去の速度状態に基づく現在の速度(例えば、前記速度取得手段によって取得できていた最後の速度)が120km/hであり、実際も120km/hを維持して走行している際に、前記記憶手段に記憶された速度測定装置の設置箇所の制限速度が80km/hであることの1回目の報知(2km手前)を行なうと、ドライバは減速するはずである。したがって、この場合、例えば、100km/hに減速したものとして推定速度を100km/hへ補正する。推定速度を補正しないと1km手前での報知が、実際の1km手前よりも手前になってしまう問題があるが、このようにすれば、誤差を小さくすることができる。
【0032】
したがって、より的確に、目的物の設置位置に関する情報の報知を行なうことができる。
【0033】
なお、前記位置取得手段は例えばビーコン、無線基地局情報等から送信される情報を受信する受信機とすることもできる。また速度取得手段は例えば車速パルスを取得するセンサ等を用いることができる。しかし、両者を共用できるものを用いると特によく下記(10)のようにすると特によい。
(10)前記位置取得手段及び前記速度取得手段は、GPSモジュールとするとよい。
【0034】
また、特に(11)のようにするとよい。すなわち、(11)前記記憶手段は、現在位置が取得できない箇所にある目的物としてトンネル内の速度測定装置の位置情報を記憶し、前記報知手段からの報知はトンネル内速度測定装置への接近警告とするとよい。
【0035】
(12)前記制御手段は、前記目的物の位置へ前記推定速度で進行している旨を示す報知をさせる制御を行うとよい。
【0036】
このようにすれば、当該電子機器が、目的物との接近関係の判定を、現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置へ推定速度で進行しているものとして行なっている状態にあるということを知ることが出来る。したがって、このような報知がなされているときに、推定速度からずれた速度で走行している場合には、接近警告とのずれが生じうることを容易に認識することができ、運転者は予め注意して走行することができる。
【0037】
(13)上記(1)〜(12)のいずれかに記載の電子機器における制御手段としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば位置情報や移動速度を取得できない状況であっても、外部からの情報を取得する特別な構成やハードウェアを備えることなく、従来よりも低コストかつ的確に、目的物の設置位置に関する情報の報知を行なうことのできる電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の好適な一実施形態であるレーダー探知機の構成を示す図である。
【図2】レーダー探知機のブロック図である。
【図3】待ち受け画面・レーダースコープ・GPS警報の表示例を示す図である。
【図4】レーダー波警報機能における警報画面の表示例を示す図である。
【図5】トンネル内速度測定装置警報画面の表示例を示す図である。
【図6】トンネル内速度測定装置への接近警告を行なう場合の誘導点等の設定状況を示す図である。
【図7】現在位置推定処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】ループ状の道路と誘導点の関係を例示する図である。
【図9】推定速度進行中アイコンの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1,図2は、本発明の電子機器として好適な一実施形態であるレーダー探知機の構成を示している。本レーダー探知機は通常ダッシュボード上に取り付けられる。本レーダー探知機は、図1に示すように、ケース本体1の上面にソーラーパネル2並びにスイッチ部3を配置し、ケース本体1の前面側(車両前方へ配置される側(フロントガラス側))内部に速度測定装置の発する周波数帯のマイクロ波を検知するマイクロ波受信器4を配置し、ケース本体1の後面側(車両後方へ配置される側(ユーザ側))に表示部5と警報ランプ6と赤外線通信機7とリモコン受信器16を配置している。また、ケース本体1の上面側内部には、GPS受信器8を配置する。さらに、ケース本体1の一方の側面には、アダプタージャック9を配置し、他方の側面には電源スイッチ10並びに図示省略するDCジャックを配置する。また、ケース本体1内には、スピーカ20も内蔵している。本実施形態では、表示部5は2.4インチの小型液晶ディスプレイであり、表示部5を実装するケース本体1の後方側の高さHは、その他の部位の高さH0よりも大きくしている。
【0041】
図2に示すように、赤外線通信機7は携帯電話機12等の赤外線通信機を内蔵した通信装置との間でデータの送受を行なう。アダプタージャック9は、メモリカードリーダ13を接続する端子である。アダプタージャック9にメモリカードリーダ13を接続することで、そのメモリカードリーダ13に装着されたメモリカード14に格納されたデータを内部に取り込むことができる。より具体的には、メモリカード14に格納されたデータは、新規な目的物の情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)などの更新情報があり、その更新情報が制御部18経由で装置に内蔵されるデータベース19に格納(ダウンロード)され、データ更新がされる。なお、メモリカードリーダ13の機能は、本体ケース1内に内蔵するように構成してもよい。
【0042】
データベース19は、制御部18のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)である。データベース19には、出荷時に一定の目的物に関する情報を登録しており、その後に追加された目的物についてのデータ等が上記のようにしてデータ更新することができる。また、データ更新は、赤外線通信機7を介して行なうこともできる。
【0043】
DCジャックは、図示省略のシガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得るようにする。無線受信器15は、飛来する所定周波数の無線を受信する。リモコン受信器16は、赤外線によりリモコン(携帯機:子機)17とデータ通信をし、装置に対する各種の設定を行なう。また、スイッチ部3も制御部18に接続され(図示省略)、リモコン17と同様の設定を行えるようになっている。リモコン17には、待受切替ボタン、詳細切替ボタン、履歴表示ボタン、キャンセルボタン、決定ボタンと、上下左右の十字ボタンを備えている。
【0044】
また、制御部18は、上記の各種の入力機器(GPS受信器8、マイクロ波受信器4、無線受信器15、リモコン受信器16、メモリカードリーダ13、赤外線通信機7)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示部5,警報ランプ6,スピーカ20)を利用して所定の警報・メッセージを出力する。なお、これらの基本構成は、基本的に従来のものと同様のものを用いることができる。
【0045】
本実施形態のレーダー探知機における機能は、制御部18に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部18のEEPROM上に格納され、これを制御部18に有するコンピュータが実行することで実現される。
【0046】
制御部18の有するプログラムによってコンピュータが実現する機能としては、待ち受け画面表示機能、レーダースコープ表示機能、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能、トンネル内速度測定装置警報機能などが挙げられる。
【0047】
待ち受け画面表示機能は、図3(a)に示すように、GPS受信器8によって検出した自車両の速度、緯度、経度、高度を表示する機能である。レーダースコープ表示機能は、図3(b)に示すように、GPS受信器8によって検出した現在位置から所定の範囲内(例えば約1kmの範囲内)にある目的物をデータベース19に記憶された位置情報に基づいて検索し、自車位置と目的物の位置との相対的な位置関係を表示部5に表示させる機能である。図3(b)中の左側の「W」が西、右側の「E」が東、上側の「N」が北の方角を示し、「W」と「E」を結ぶ左右方向の線と「N」から下へ伸びる上下方向の線との交点にあるアイコンが自車位置を示している。また「L」「RD」「P」「N」等の文字を有するアイコンが目的物の種類と位置を示す。図3(a)に示すような待ち受け画面表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、図3(b)に示すようなレーダースコープ表示機能に切り替える。また、レーダースコープ表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、待ち受け画面表示機能に切り替える処理を行う。
【0048】
制御部18は、待ち受け画面表示機能またはレーダースコープ表示機能の実行中に、発生したイベントに応じて、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能、トンネル内速度測定装置警報機能等の各機能を実現する処理を実行する。
【0049】
GPS警報機能は、待ち受け画面表示機能またはレーダースコープ表示機能の実行中に、データベース19に記憶された目的物の緯度経度とGPS受信器8によって検出した現在位置の緯度経度から両者の距離を求め、求めた距離がデータベース19に記憶された接近警報距離になった場合に、データベース19に記憶された写真または模式図のデータを読み出して表示部5に表示させるとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出してスピーカ20から接近警報音声を出力する接近報知を行なう機能である。
【0050】
こうした目的物としては、固定式速度測定装置(レーダーのようにレーダー波(マイクロ波)を発する速度測定装置やループコイルのように、レーダー波を発しない速度測定装置を含む)、制限速度切替りポイント、取締エリア、検問エリア、駐禁監視エリア、Nシステム、交通監視システム、交差点監視ポイント、信号無視抑止システム、警察署、事故多発エリア、車上狙い多発エリア、急/連続カーブ(高速道)、分岐/合流ポイント(高速道)、ETCレーン事前案内(高速道)、サービスエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、ハイウェイオアシス(高速道)、スマートインターチェンジ(高速道)、PA/SA内 ガソリンスタンド(高速道)、トンネル(高速道)、ハイウェイラジオ受信エリア(高速道)、県境告知、道の駅、ビューポイントパーキング等があり、これらの目的物の位置を示す緯度経度情報と目的物の種別情報と表示部5に表示する模式図または写真のデータとスピーカ20から出力する音声の音声データとを対応付けてデータベース19に記憶している。
【0051】
例えば、図3(a)の待ち受け画面表示機能または図3(b)のレーダースコープ機能の実行中に、目的物であるループコイルと自車との距離がデータベース19に記憶された接近警告距離である2km、1km、500mのいずれかになった場合には、目的物であるループコイルの模式図または写真のデータをデータベース19から読み出して表示部5に表示させるとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出してスピーカ20から警報音声を出力する接近報知を行なう。例えば、500mに接近した場合には、図3(c)のように、画面右側に図3(b)と同様のレーダースコープ画面を表示して目的物であるループコイルと自車位置との位置関係を表示するとともに、ループコイルを示す目的物であるループコイルの模式図または写真のデータをデータベース19から読み出して表示部5に表示させ、「500m先ループコイルです、スピード注意」という音声データをデータベース19から読み出してスピーカ20から出力させる。また、警報音声の出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
【0052】
レーダー波警報機能は、マイクロ波受信器4によって速度測定装置(移動式レーダー等のレーダー波を発する速度測定装置)から発せられる周波数帯のマイクロ波に対応する信号が検出された場合に、表示部5に対して警報画面を表示するとともに、スピーカ20から警報音を出力する警報機能である。例えば、レーダーの発するマイクロ波の周波数帯のマイクロ波がマイクロ波受信器4によって検出された場合に、図4に示すように、データベース19に記憶されたレーダーの模式図または写真を表示部5に警報画面として表示するとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出して「レーダーです。スピード注意」という音声をスピーカ20から出力する。音声出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
【0053】
無線警報機能は、無線受信器15によって、緊急車両等の発する無線を受信した場合に、その走行等の妨げとならないよう、警報を発する機能である。無線警報機能においては、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、署活系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警備無線等の周波数をスキャンし、スキャンした周波数で、無線を受信した場合には、データベース19に無線種別ごとに記憶されたその周波数に対応する無線を受信した旨の模式図を警報画面として表示部5に表示するとともに、データベース19に無線種別ごとに記憶された音声データを読み出して、スピーカ20からその無線の種別を示す警報音声を出力する。たとえば、取締無線を受信した場合には「取締無線です。スピード注意」のように音声を出力する。音声出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
【0054】
本実施例のレーダー探知機は、さらに、トンネル内速度測定装置警報機能を備える。この機能は、GPS受信器8によって、GPS電波が受信できず、現在位置や現在速度が取得できないトンネル内に設置された速度測定装置(ループコイルタイプなどの速度測定装置)の位置への接近警報を発する機能である。すなわち、待ち受け画面表示機能またはレーダースコープ表示機能の実行中に、データベース19に記憶されたトンネル内速度測定装置の緯度経度と現在位置推定処理によって求めた現在位置の緯度経度から両者の距離を求め、求めた距離がデータベース19に記憶された接近警報距離になった場合に、データベース19に記憶された写真または模式図のデータを読み出して表示部5に表示させるとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出してスピーカ20から接近警報音声を出力する接近報知(警報)を行なう機能である。この機能を実現するために制御部18は、現在位置推定処理及びトンネル内速度測定装置警報処理を行う。
【0055】
トンネル内では、GPS受信器8によって、GPS電波が受信できず、現在位置や現在速度が取得できないため現在位置推定処理を行う。
【0056】
この現在位置推定処理及びトンネル内速度測定装置警報処理のために、データベース19には、トンネル内速度測定装置と、トンネル内速度測定装置の位置へ至るトンネル内の道路上位置に設けた誘導点の位置情報を記憶している。例えば、図6に示すように、点a(現在位置が取得できない状態となることが想定される位置)から点fに至る破線部分がトンネルでありこの部分の両端外側の実線部分がトンネル外である道路において、トンネル内速度測定装置(例えばループコイル式速度測定装置)eの位置(現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置)の位置情報(緯度経度情報)と、トンネル内速度測定装置eの位置へ至るトンネル内の道路上位置に順に設けた誘導点b,c,dの位置情報(緯度経度情報)とをデータベース19に記憶しておく。最初の誘導点である誘導点bはトンネル進入前のGPS受信器8によって測位可能な位置から1km以内の位置に設定している(誘導点bから1kmの範囲を円Bで図示している)。誘導点bと誘導点c、誘導点cと誘導点dのように、ある誘導点から次の誘導点までの距離も1km以内に設定しており、かつ、ある誘導点から次の誘導点が1つに決定できる位置に各誘導点の位置を設定する。すなわち、すでに誘導に利用済みの誘導点を除いて1km以内には誘導点が1つになるように各誘導点の位置を設定する。図6では、誘導点cから1kmの範囲を円Cで、誘導点dから1kmの範囲を円Dで図示している。図6のように誘導点bの位置から1km以内には次の誘導点であるcのみを配置し、誘導点cの位置から1km以内には次の誘導点であるdのみを配置する(誘導点bの位置も誘導点cの位置から1km以内の位置であるがすでに誘導に利用済みであるので、次の誘導点の候補から除外し、結果、次の誘導点はdに定まる。)
【0057】
現在位置推定処理は、図7に示すように、現在位置が誘導点から1km以内か否かを判定する(S10)。現在位置が誘導点から1km以内である場合(S10:Y)、S20へ移行する。一方、現在位置が誘導点から1km以内でない場合(S10:N)、この判定(S10)を繰り返し実行する。
【0058】
S20では、誘導点から1km以内に現在位置が入る誘導点を現在の誘導点として設定し、GPS受信器8から取得した現在位置を制御部18内のRAM上に設けたトンネル内現在位置記憶領域に記憶し、GPS受信器8から取得した現在速度を制御部18内のRAM上に設けたトンネル内現在速度記憶領域に記憶し、制御部18のマイコン内のタイマTをリスタートする。なお、GPS受信器8から現在位置や現在速度が取得できない場合にはこれらの記憶処理は行わない。
【0059】
続くS30では、GPS受信器8から現在位置と現在速度が取得できない状態(この状態を非測位状態と称する)が5秒以上継続しているか否かを判定する。非測位状態が5秒以上継続している場合(S30:Y)、S40へ移行し、非測位状態が5秒以上継続していない場合には、S10へ戻る。
【0060】
S40では、トンネル内現在位置記憶領域に記憶された現在位置(推定位置)から、現在の誘導点の方向へ向けて、トンネル内現在速度記憶領域に記憶された現在速度(推定速度)にて走行しているものとして、タイマTの示す時間にこの現在速度を乗じて、トンネル内現在位置記憶領域に記憶された現在位置を更新する。そして、タイマTをリスタートする。
【0061】
続くS50では、トンネル内現在位置記憶領域に記憶された現在位置が現在の誘導点の位置に到達したか否かを判定する。トンネル内現在位置記憶領域に記憶された現在位置が現在の誘導点の位置に到達した場合(S50:Y)、S60へ移行する。一方、トンネル内現在位置記憶領域に記憶された現在位置が現在の誘導点の位置に到達していない場合(S50:N)、S40へ戻る。
【0062】
S60では、次の誘導点があるか否かを判定する。すなわち、未利用の誘導点であって、誘導点から1km以内に現在位置が入る誘導点があるか否かを判定する。このような誘導点がある場合(S60:Y)、S70へ移行する。一方このような誘導点がない場合(S60:N)、S80へ移行する。
【0063】
S70では、未利用の誘導点であって、誘導点から1km以内に現在位置が入る誘導点を次の誘導点として設定し、S40へ移行する。
【0064】
S80では、現在位置から最も近いトンネル内速度測定装置の位置へ向けてトンネル内現在速度記憶領域に記憶された現在速度にて走行しているものとして、タイマTの示す時間にこの現在速度を乗じて、トンネル内現在位置記憶領域に記憶された現在位置を更新する。そして、タイマTをリスタートする。
【0065】
続くS90では、トンネル内現在位置記憶領域に記憶された現在位置が現在位置から最も近いトンネル内速度測定装置の位置に到達したか否かを判定する。トンネル内現在位置記憶領域に記憶された現在位置が現在位置から最も近いトンネル内速度測定装置の位置に到達した場合(S90:Y)、本処理を終了して、再度S10から処理を開始する。一方、トンネル内現在位置記憶領域に記憶された現在位置が現在位置から最も近いトンネル内速度測定装置の位置に到達していない場合(S90:N)、S80へ戻る。
【0066】
以上のような現在位置推定処理によって求められる現在位置及び現在速度はトンネル内現在位置記憶領域及びトンネル内現在速度記憶領域それぞれ参照することで他の処理から取得することができる。
【0067】
制御部18は、マルチタスクにてトンネル内速度測定装置警報処理を行う。トンネル内速度測定装置警報処理は、トンネル内速度測定装置eとのこの現在位置の関係が2km、1km、500mになった際にそれぞれ接近警報を発する処理である。接近警報は、従来のGPS警報の処理と同様であるが、参照する現在位置は、トンネル内現在位置記憶領域に記憶された現在位置とする。例えば、図3(a)の待ち受け画面表示機能または図3(b)のレーダースコープ機能の実行中に、目的物であるトンネル内速度測定装置の位置と現在位置との距離がデータベース19に記憶された接近警告距離である2km、1km、500mのいずれかになった場合には、目的物であるトンネル内速度測定装置の模式図または写真のデータをデータベース19から読み出して表示部5に表示させるとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出してスピーカ20から警報音声を出力する接近報知を行なう。例えば、2kmに接近した場合には、図5(a)のように、画面右側に図3(b)と同様のレーダースコープ画面を表示して目的物であるトンネル内速度測定装置と自車位置との位置関係を表示するとともに、トンネル内速度測定装置を示す目的物であるトンネル内速度測定装置の模式図または写真のデータをデータベース19から読み出して表示部5に表示させる。データベース19にはトンネル内速度測定装置の位置情報に関連付けて、当該トンネル内速度測定装置の設置箇所の制限速度に関する情報を記憶しておき、図5の画面内にある制限速度標識内にその制限速度を表示する(図5では80km/hが制限速度として記憶されている場合の表示例である)。同時に「2km先トンネル内速度測定装置です。制限速度は80km/hです。」という音声データをデータベース19から読み出してスピーカ20から出力させる。また、警報音声の出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
【0068】
以上のような処理によれば、図6において、点oから点aへ向けて本車載機器を設置した車両が走行する場合、トンネル進入点aでGPS8は測位不能になり、制御部18は、現在位置(緯度経度情報)と現在速度が取得不能となる。そこで、制御部18は、現在位置推定処理によって、測位可能であったトンネル進入点aの直前の現在位置から誘導点bに向けての直線上を、測位不能になる直前の速度(以下現在速度と称する)で進行しているものとして現在位置を更新していき、現在位置が誘導点bの位置に達したら、次の誘導点cに向けて、bcを結ぶ直線上で、同様に現在位置を更新していくこととなる。そして現在位置が誘導点cの位置に達したら、次の誘導点dに向けて、cdを結ぶ直線上で、同様に現在位置を更新していく。そして次の誘導点がないため、現在位置から最も近いトンネル内速度測定装置eへ向けて、deを結ぶ直線上で、同様に現在位置を更新する。トンネル内速度測定装置eに現在位置が到達したら、現在位置の更新を停止する。そのまま車両が走行しつづけ、トンネル退出点fに至った場合、GPS受信器8から現在位置と現在速度が取得可能となる。
【0069】
制御部18は、マルチタスクにてトンネル内速度測定装置警報処理を行うので、トンネル内速度測定装置eとのこの現在位置の関係が2km、1km、500mになった際にそれぞれ接近警報が発せられる。図6には、トンネル内速度測定装置eの位置から2kmの箇所を円E1で、1kmの箇所を円E2で、500mの箇所を円E3で図示している。地点o、地点a、地点b、地点c、地点d、地点e、地点fの順に車両が走行する場合、まず、bcを結ぶ直線と円E1との交点で、図5(a)に示すようなトンネル内速度測定装置まで2kmであることを示す警報画面が表示部5に表示され、「2km先トンネル内速度測定装置です。制限速度は80km/hです。」という警報音声がスピーカ20から報知される。次にdeを結ぶ直線と円E2との交点で、図5(b)に示すようなトンネル内速度測定装置まで1kmであることを示す警報画面が表示部5に表示され、「1km先トンネル内速度測定装置です。制限速度は80km/hです。」という警報音声がスピーカ20から報知される。最後にdeを結ぶ直線と円E3との交点で、図5(c)に示すようなトンネル内速度測定装置まで1kmであることを示す警報画面が表示部5に表示され、「500m先トンネル内速度測定装置です。制限速度は80km/hです。」という警報音声がスピーカ20から報知される。
【0070】
以上のように、本発明に係る電子機器によれば、位置情報や移動速度を取得できない状況であっても、外部からの情報を取得する特別な構成やハードウェアを備えることなく、従来よりも低コストかつ的確に、目的物の設置位置に関する情報の報知を行なうことができる。
【0071】
なお、本発明の実施形態はこれに限らず各種の形態を採りうる。例えば、本実施例で説明した速度や距離の値などは、適宜の値をとることができる。
【0072】
また、たとえば、最初の誘導点や次の誘導点は、予め定めたほかのルールにそって決定するようにしてもよい。例えば、データベース19の誘導点の位置情報と関連付けて図6の矢印で示すような誘導点への許容進入方向に関する情報(例えば誘導点の位置から北方向を0度とした時計回りの角度情報など)を記憶し、現在位置推定処理の図7のS10やS70での誘導点の有無や決定の処理では、さらに、この許容進入方向に対して所定角度(例えばプラスマイナス30度)の範囲内にトンネル内現在位置記憶領域に記憶された現在位置がある場合にのみ、その誘導点を対象の誘導点として決定すると決定するとよい。このようにすれば、近接する場所に複数の誘導点があったとしても、許容進入方向を満たすものを誘導点として特定することができる。
【0073】
また、たとえば、次の誘導点がどの誘導点であるかの情報は、予めデータベース19に記憶しておくようにしてもよい。例えば、図8に示すように、誘導点を複数備え、これら複数の誘導点の通過順序を特定可能とするため、その順序を示す番号(図では1〜7)を誘導点の位置情報とともに記憶しておく。そして、制御部18は、図7のS60、S70の処理において、複数の誘導点の順序にしたがって、前記次の誘導点を特定する構成としてもよい。このようにすれば、図7に示すように、道路がループしている場合であっても、確実に実際の道路と同様の順に現在位置を更新することができる。その結果、目的物との接近関係を的確に判定できる。
【0074】
なお、これら複数の誘導点の通過順序を特定可能とするため、その順序を示す番号を誘導点の位置情報とともに記憶しておくこととしたが、誘導点の通過順序を特定可能とするためには、他の方法を採ってもよい。例えば通過順に誘導点の位置情報を順番に記録しておき、この記憶の順番に次の誘導点を設定するようにしてもよい。
【0075】
また、たとえば、速度測定装置の設置箇所の制限速度に関する情報の報知を行なった場合、制限速度を越える速度で走行している車両は、速度を落とす可能性が高い。すなわち、例えば、図5に示して説明したようにトンネル内速度測定装置の2km手前・1km手前・500m手前の3箇所で、接近警報を報知する構成の場合であって、データベース19に記憶されたトンネル内速度測定装置の設置箇所の制限速度が80km/hであり、トンネル内現在速度記憶領域に記憶された現在速度が120km/hであり、実際も120km/hを維持して走行している際に、データベース19に記憶されたトンネル内速度測定装置の設置箇所の制限速度が80km/hであることの1回目の報知(2km手前)を行なうと、ドライバは減速するはずである。したがって、この場合、例えば、100km/hに減速したものとしてトンネル内速度測定装置警報処理における1回目の報知(2km手前)後に、トンネル内現在速度記憶領域に記憶された現在速度をデータベース19に記憶された当該トンネル内速度測定装置の制限速度の20%増しの速度(この例では96km/h)へ補正する処理を行う。現在速度の補正処理をしないと500m手前での報知が、実際の500m手前よりも手前になってしまい、再度加速してしまうなどの問題が生じる可能性があるが、このようにすれば、誤差を小さくすることができ、適切な警報を行なうことができる。したがって、より的確に、目的物の設置位置に関する情報の報知を行なうことができる。なお、S20で記憶された現在速度が当該トンネル内速度測定装置の設置箇所の制限速度を越える関係にある場合に、この補正を行うようにするとよく、S20で記憶された現在速度が当該トンネル内速度測定装置の設置箇所の制限速度を越えない場合には補正は行わなくてもよい。また例えばデータベース19の当該制限速度切替りポイントに、切り替る制限速度の値を関連付けて記憶しておき、トンネル内現在位置記憶領域に記憶された現在位置が、データベース19の制限速度切替りポイントの位置に到達した場合にも、同様にして、この制限速度の値を用いて現在速度の補正を行うようにしてもよい。例えば、100km/hから80km/hへ切り替わるという情報を記録しておき、この割合分(80/100)を現在速度に乗じて新たな現在速度としてトンネル内現在速度記憶領域に記憶するなどして、現在速度を補正する(減速する)。
【0076】
また、上述した実施例では、GPS受信器8から取得した現在速度を制御部18内のRAM上に設けたトンネル内現在速度記憶領域に記憶してこの速度で走行しているものとして処理を行ったが、GPS受信器8によって速度が取得できなくなるトンネル進入直前の速度は、最も精度が低いデータと言える。また、道路に急カーブなどの箇所が含まれるとその点では走行速度が低くなる可能性が高い。そこで、現在位置が取得できない箇所と目的物の位置との間の標準速度をトンネル内現在速度記憶領域に記憶してこの速度で走行しているものとして処理を行うようにしてもよい。このようにすれば、目的物との接近関係の判定をより精度よく行うことができる。
【0077】
さらにデータベース19には、誘導点ごとに標準走行速度を記憶しておき、図7のS70の処理ではトンネル内現在速度記憶領域に記憶された推定速度を次の誘導点の標準走行速度に設定する処理を行うようにしてもよい。例えば、図8の番号1と番号7の誘導点は道路の直線部分にあるので標準走行速度として60km/hをそれぞれ記憶しておき、図8の番号2から番号6の標準走行速度として40km/hをそれぞれ記憶しておく。同様に、道路に急カーブの箇所が含まれるとその点では走行速度が低くなる可能性が高いので、例えば、急カーブ付近の誘導点の標準走行速度は低く設定し、直線の道路部分の誘導点の標準走行速度は高く設定することで、実際の走行に合致した目的物との接近関係の判定を行うことができる。誘導点ごとの標準走行速度は、例えば、実際に誘導点の位置に相当する箇所を走行した際の平均的な速度とするとよい。このようにすれば、より的確に、目的物との接近関係の判定をより精度よく行うことができる。なお、上記の例では、図7のS70の処理でトンネル内現在速度記憶領域に記憶された推定速度を次の誘導点の標準走行速度に設定する処理を行うこととしたが、これに限らず、現在の誘導点の標準走行速度と次の誘導点の標準走行速度の平均値をトンネル内現在速度記憶領域に記憶して推定速度としてもよい。
【0078】
また、目的物の位置へ推定速度で進行している旨を示す報知をさせる制御を行うとよい。例えば、図7のS30:Yの場合に、S40の処理へ入る前に、図9に示すように推定速度進行中アイコン100を図3の同部にある方位磁針形状のアイコンに替えて表示部5に表示し、S90:Yの場合に、推定速度進行中アイコン100に替えて図3の同部にある方位磁針形状のアイコンに戻す処理を行うとよい。このようにすれば、本レーダー探知機が、目的物との接近関係の判定を、推定速度で進行しているものとして行なっている状態にあるということをアイコンの表示を見て知ることが出来る。したがって、このような報知がなされているときに、推定速度からずれた速度で走行している場合には、接近警告とのずれが生じうることを運転者は容易に認識することができ、運転者は予め注意して走行することができる。この報知は、アイコンの表示内容の変更で行うようにしてもよいし、一定時間間隔で画面上に「推定速度で報知中」のような文字を表示させるようにしてもよいし、音声で「推定速度で報知中」のようにスピーカ20から行なうようにしてもよい。
【0079】
本実施例では、位置の取得はGPS受信器8で行うこととしたが、例えばビーコン、無線基地局情報等から送信される情報を受信する受信機とすることもできる。また例えば車速パルスを取得するセンサ等を用いることができる。しかし、両者を共用できるものを用いると特によくGPS受信器8が特によい。
【0080】
また、目的物の位置へ推定速度で進行している旨を示す報知とは別にさらにGPS受信器8が測位状態にあるか非測位状態にあるかを示す報知を行うとよい。例えば、目的物の位置へ推定速度で進行している旨を示す報知を行うアイコン等の表示や音声出力とGPS受信器8が測位状態にあるか非測位状態にあるかを示す報知を行うアイコン等の表示や音声出力とを行うようにするとよい。このようにすれば、GPSの受信状態を知ることができるとともに、目的物の位置へ推定速度で進行しているものとして目的物との接近関係が報知される状態にあるのか否かが容易に理解できる。
【0081】
また本実施例では、現在位置が取得できない箇所にある目的物の例としてトンネル内速度測定装置の例を用いて説明したが、例えば図6のトンネル内速度測定装置eとした場所がトンネル出口直後の場所である場合ように、現在位置が取得しにくい箇所にある目的物としてもよい。すなわち現在位置が取得できない箇所にある目的物とは、現在位置が取得できない可能性のある箇所にある目的物を含むとよい。トンネル出口直後は、例えば、予め定めた基準距離以内とすることができる。また、現在位置が取得できない箇所にある目的物としては、トンネル内速度測定装置に限らず、各種の箇所にある目的物として適用できる。目的物(オブジェクト)は具体的に実在する物体としてもよいし、具体的に実在するものだけでなく、仮想的に存在するものを含むようにしてもよい。特に、電波によって現在位置を取得する構成の場合には現在位置が取得できない箇所として例えば電波状況の悪い箇所とし、目的物としては交通取締りや安全運転・エコ運転に関する情報を発すべき場所などとするとよい。
【符号の説明】
【0082】
1 ケース本体
2 ソーラーパネル
4 マイクロ波受信器
5 表示部
6 ランプ
7 赤外線通信機
8 GPS受信器
9 アダプタージャック
10 電源スイッチ
11 携帯電話機
12 メモリカードリーダ
14 メモリカード
15 無線受信器
16 リモコン受信器
17 リモコン
18 制御部
19 データベース
20 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的物の位置情報を記憶する記憶手段と、
得した現在位置と前記記憶手段によって記憶された目的物の位置情報との接近関係に基づいて当該目的物の設置位置に関する情報の報知を報知手段から報知させる制御を行う制御手段とを備える電子機器において、
記記憶手段は、前記目的物の位置情報として現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置情報を記憶し、
前記制御手段は、現在位置が取得できない状態である場合に、現在の推定速度を決定し、前記記憶手段に記憶された現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置へ前記推定速度で進行しているものとして当該目的物との前記接近関係を判定すること
を特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記現在の推定速度の決定は、取得できていた過去の速度状態に基づいて行うこと
を特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記目的物の位置情報として現在位置が取得できない箇所と目的物の位置との間の標準速度を記憶しておき、
前記現在の推定速度の決定は、前記記憶手段に記憶された標準速度に基づいて行うこと
を特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記記憶手段は、現在位置が取得できない状態となることが想定される位置から前記現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置への経路に沿って設けた誘導点の位置情報を記憶しており、
前記制御手段は、取得した現在位置と前記誘導点が所定の近接関係となったまま、現在位置が取得できない状態となった場合には、前記現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置と所定の接近関係になるまで、前記誘導点へ前記推定速度で進行しているものとして現在位置を更新し、当該誘導点に至ったら、次の誘導点へ前記推定速度で進行しているものとして現在位置を更新する処理を繰り返すこと
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記誘導点ごとに標準走行速度を記憶しておき、
前記現在の推定速度の決定は、前記記憶手段に記憶された前記誘導点ごとの標準走行速度に基づいて行うこと
を特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記誘導点への許容進入方向に関する情報を記憶し、
前記制御手段は、前記許容進入方向を加味して前記次の誘導点を決定すること
を特徴とする請求項4または5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記記憶手段は、前記誘導点を複数備え、当該複数の誘導点の通過順序を特定可能に記憶しておき、
前記制御手段は、前記複数の誘導点の通過順序にしたがって、前記次の誘導点を特定すること
を特徴とする請求項4または5に記載の電子機器。
【請求項8】
前記記憶手段は、走行中の道路の制限速度に関する情報を記憶しており、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された制限速度を加味して前記推定速度を決定すること
を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
前記記憶手段は、前記現在位置が取得できない箇所にある目的物の位置情報として速度測定装置の位置情報と、当該速度測定装置の設置箇所の制限速度に関する情報を記憶しており、
前記制御手段は、前記目的物の設置位置に関する情報の報知として、前記記憶手段に記憶された速度測定装置の設置箇所の制限速度に関する情報の報知を行ない、前記推定速度が当該速度測定装置の設置箇所の制限速度を越える所定の関係にある場合に、当該制限速度に関する情報に基づき前記推定速度を補正する制御を行うこと
を特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子機器。
【請求項10】
前記現在位置及び前記速度は、GPSモジュールから取得すること
を特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電子機器。
【請求項11】
前記記憶手段は、現在位置が取得できない箇所にある目的物としてトンネル内の速度測定装置の位置情報を記憶し、
前記報知手段から報知させる制御はトンネル内速度測定装置への接近警告をする制御であること
を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項12】
前記制御手段は、前記目的物の位置へ前記推定速度で進行している旨を示す報知をさせる制御を行うこと
を特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の電子機器。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の電子機器における制御手段としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−63356(P2012−63356A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232327(P2011−232327)
【出願日】平成23年10月22日(2011.10.22)
【分割の表示】特願2010−139828(P2010−139828)の分割
【原出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】