説明

電子装置

【課題】 互いに異なる冷却要求事項を有する複数個のチップからの熱を効率的に放熱するためにチップ毎に異なる熱抵抗の熱伝導路を与え且つ熱による熱伝導接着部における応力を最小にする液冷モジュールを備えるマルチ・チップ・モジュール及びこれの製造方法を提供する。
【解決手段】 第1チップ及び第2チップに熱伝導的に結合され、冷却液入口と、冷却液出口と、冷却液入口から冷却液出口まで延びる冷却液流路とを有する冷却モジュールを備え、第1チップが、冷却モジュールのうち、冷却液流路内を流れる冷却液により冷却される第1部分に熱伝導的に結合され、第2チップが、冷却モジュールのうち、第1チップを冷却した結果暖められて冷却液流路を流れる冷却液により冷却される第2部分に熱伝導的に結合されている電子装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般的に本発明は、共通基板上に装着され、冷却要求事項が互いに異なる複数のチップを備えるマルチ・チップ・パッケージ構造を高効率で冷却する装置及び方法に関する。更に具体的には、本発明は、液冷モジュールを備えるマルチ・チップ・モジュールをパッケージする装置及び方法に関する。該液冷モジュールは、熱変動に基づく熱伝導接着部中の機械適応力を最小にしながら、冷却要求事項が互いに異なる多様なチップからの熱を効率的に伝えるに必要な互いに異なる熱抵抗の放熱路を与えるように設計される。
【背景技術】
【0002】
半導体IC(集積回路)チップ・パッケージ及び例えばSCM(単一チップ・モジュール)又はMCM(マルチ・チップ・モジュール)のようなモジュールの設計及び製造においては、デバイスの持続した信頼性の高い動作を確実にするために、ICチップ・デバイスにより発生される熱を効率的に除去することができる機構又は構造を実現することが必要である。しかしながら、チップ形状の寸法が小さくなり、そして動作速度が増大されて電力密度(power density)が増大するにつれて、効率的な熱の放散の問題が増大してきた。高いクロック周波数で動作するように改良されたICチップ・モジュールが開発されたけれども、ICチップ・モジュールの冷却を効率よく行う熱放散機構の能力により、システム・パフォーマンスを増大することが次第に制限されてきた。
【0003】
複数のチップのアレイが1つの共通基板上に装着(マウント)されるマルチ・チップ・モジュールまたは他のマルチ・チップ・パッケージ構造に対する冷却技術が特に問題である。1つの共通キャリア上の複数チップに対する従来の1つの冷却法は、機械的に柔軟性で且つ熱伝導性の材料(例えば、熱伝導性ペースト)を熱インターフェースとして使用して半導体ICチップの裏面(非動作表面)に、熱伝導カバー又はパッケージ・キャップ/蓋/カバーを熱伝導的に結合する。機械的に柔軟性で且つ熱伝導性の材料は、例えば熱伝導ペースト、熱伝導グリース又は油のような熱伝導流体を含み、そしてこれらはしばしば熱インターフェース材料(TIM)と呼ばれる。例えば銅又はアルミニウムのような高熱伝導性材料で形成されるパッケージの蓋(lid)又は熱伝導性カバー(hat)は、ICチップからの熱を伝え、そしてこの熱は、例えば空気を吹き付けことによる冷却又は液体冷却剤を循環させる冷却のような方法により、冷却板又はヒートシンク(放熱板)から放熱される。
【0004】
一般的に、ICチップ(代表的にはシリコン、Si)と、セラミック又はポリマーのようなパッケージ基板と、放熱カバーの材料との間の熱膨張率が比較的大きい場合に、柔軟性の熱伝導材料が(剛性又は半剛性なボンドと対立的に)、ICチップを熱伝導性カバーに熱伝導的に結合するために使用される。大型の高性能MCMの場合、良好な基板の材料は、シリコンの熱膨張係数(CTE)とほぼ同じCTEを有するガラス−セラミックである。例えば、シリコンは、約2.5ppm/℃のリニアなCTEを有し、銅は、約16.6ppm/℃のCTEを有し、そして、アルミニウムは、約23ppm/℃のCTEを有する。シリコン・チップ及びガラス・セラミック基板の間の熱膨張とCu又はAlで作られた放熱カバーの間の熱膨張とが著しく大きく、そして、熱伝導性カバー及び共通基板上に装着されている複数個のSiチップの間のコンタクト面積が大きい場合、熱膨張の差を解決するには比較的長い距離が存在する。これに関して、チップ及び熱伝導性カバーの間の熱インターフェースとして柔軟性の熱伝導性の材料層を使用すると、ICチップ、基板及び熱伝導性カバーの熱膨張の差に基づく熱インターフェースにおける応力を減少する。
【0005】
剛性の接着剤は一般的に、柔軟性の熱伝導材料の層よりも低い熱抵抗を有するが、剛性の接着剤(ボンド)を効果的に使用することは、熱伝導性カバー、ICチップ及び基板を形成する材料のCTEの差により制限されるばかりか、半導体パッケージが動作する又は曝される温度範囲(サイクル)そして剛性接着剤が形成される領域の寸法によっても制限される。実際、熱放散板、基板及びICチップを形成する材料の熱膨張がほぼ一致している場合には、熱放散板をICチップに熱伝導的に結合するために剛性の接着剤が使用され得る。
【0006】
他の技術は、“準剛性”の接着を形成するために可撓性の充填型のポリマー粘着材料を使用する。このような材料は、例えば面積がそれほど大きくなくそして温度範囲がそれほど広くない場合に限って、シリコン・チップ及び銅のカバーの間のわずかな熱膨張の不一致に対して適合できる。これらの型の熱伝導性接着剤は、これらが液体でなく、そして大きな剪断応力が加えられるならば裂かれそしてはがされるという点で、柔軟性の熱伝導性材料層と異なる。使用されるポリマーに依存して、充填型のポリマー材料は、例えば銀充填エポキシ(silver filled epoxy)のような剛性の熱伝導接着剤となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,139,172号
【特許文献2】米国特許第5,098,609号
【特許文献3】米国特許第6,404,638号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
柔軟性のTIMを備える一般的な熱伝導性カバーを使用するMCM(マルチ・チップ・モジュール)を冷却する方法に関する種々な解決策及び不利点がある。例えば、パッケージ基板、チップ及び熱伝導性カバーを形成する材料相互間の熱膨張の差は、通電即ち温度発生サイクルの間に、水平方向及び垂直方向の両方においてズレを生じる。これらのズレは、ICチップ及び熱伝導性カバーの間の空隙からの柔軟性の熱伝導性材料の逸脱を引き起こし、これによりボイドが生じてICチップ及び熱伝導性カバーの間の熱抵抗を増大し、ICチップの動作温度を局部的に増大する。
【0009】
共通の熱伝導性カバーを使用する従来のMCM冷却法の他の問題は、共通基板上にマウントされている複数のチップのそれぞれの冷却要求事項が大きく異なりカスタム的な対策を必要とすることである。例えば、プロセッサ・チップは、これと同じ基板上にマウントされているメモリ・チップの最高電力密度(power density、W/cm)よりも高い最高電力密度を有する。熱伝導性接着剤として柔軟性の熱伝導材料を使用すると、チップから熱伝導性カバーへの熱伝導のための熱抵抗を減少するためにこの材料の層の厚さをできるだけ薄くすることが望ましい。しかしながら、チップの厚さが変動すると共に傾きも変わり且つ基板が完全に平坦でないので、共通冷却体と複数チップの間に柔軟性熱伝導材料の薄い層を形成することは非常に困難である。
【0010】
例として、共通基板上にマウントされている複数チップの厚さが異なると、接着ラインの厚さは、一般的に最も厚いチップの背面により決められる。キャリア又は共通基板上の複数チップ上に熱伝導性カバーを取り付ける際には、高電力のチップに対する熱伝導材料の接着(ボンド)層を最も薄くすることが望ましい。もしもメモリ・チップの厚さがプロセッサ・チップの厚さよりも厚いならば、プロセッサ・チップを熱伝導性カバーに取り付けるために使用される熱伝導材料の接着ラインの厚さが、熱伝導性カバー及びメモリ・チップの間のTIM(熱インターフェース材料)の厚さよりも厚くなってしまう。
【0011】
更に、共通基板上にマウントされている異なるチップの最大許容デバイス接合温度が互いに異なるために、幾つかのチップと熱伝導性カバーの間の熱インターフェース材料の厚さが、或る値よりも低いことが要求される。チップの電力密度及びチップの所望の接合温度又は電力分布は、複数チップを適切に冷却するのに要求される熱抵抗を決める際に考慮されるべき要因である。
【0012】
更に、プロセッサ・チップ及び他の高性能チップは、平均熱流速(heat flux,W/cm)よりも著しく高い熱流速を示す“ホット・スポット”をしばしば示し、これは、平均チップ温度よりも約20℃も高くなる。MCM基板上にマウントされている多様なチップの平均チップ電力密度に適応するようにされた従来の熱対策は、チップのホット・スポット領域の信頼性ある動作に対しては不適当である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の例示的な実施形態は、共通基板上に装着され、必要とされる冷却要求事項が互いに異なる複数のチップを備えるマルチ・チップ・パッケージ構造を高効率で冷却する装置及び方法に関する。更に具体的には、本発明の例示的な実施形態は、冷却要求事項が互いに異なる種々なチップから熱を効率的に伝導するために互いに異なる熱抵抗の放熱路を与えるように設計され、且つ熱膨張に基づく熱伝導性接着層内の機械的応力を最小に維持する液体冷却モジュールをマルチ・チップ・モジュールにパッケージした装置及びこれの製造方法に関する。
【0014】
本発明に従う電子装置の1つの例示的な実施形態は、パッケージ基板、このパッケージ基板の第1表面上にフリップ・チップ方式でマウントされた第1集積回路チップ(第1ICチップ又は第1チップという)及び第2集積回路チップ(第2ICチップ又は第2チップという)、および第1表面と反対側のパッケージ基板の第2表面上に形成されたコンタクト・アレイを有するチップ・レベル・パッケージ構造と、第1ICチップ及び第2ICチップに熱伝導的に結合された冷却モジュールとを含む。冷却モジュールは、冷却液入口、冷却液出口、および冷却液入口から冷却液出口まで延びるように冷却モジュール内に設けられた冷却液流路を含む。第1チップは、冷却モジュールのうち冷却液流路を流れる冷却液により冷却される第1部分に熱伝導的に結合され、そして第2チップは、第1チップを冷却した結果暖められて冷却液流路を流れる冷却液により冷却される冷却モジュールの第2部分に熱伝導的に結合される。冷却液の流路は、冷却モジュールの第1部分に近接する冷却液流路を流れる冷却液の流圧(flow resistance)が、第1チップを冷却した結果暖められて冷却モジュールの第2部分に近接する冷却液流路を流れる冷却液の流圧よりも大きくなるように構成される。第1チップは、例えば準剛性、可撓性接着材料又は剛性の接着材料のような剛性で且つ熱伝導性の接着材料を使用して冷却モジュールに熱伝導的に結合され、そして第2チップは、機械的に柔軟性で且つ熱伝導性の材料を使用して冷却モジュールに熱伝導的に結合される。第1チップはプロセッサ・チップであり、そして、第2チップはメモリ・チップとすることができる。
【0015】
本発明の他の例示的な実施形態において、冷却モジュールは、第1の溝(チャネル)幅を有する微細溝を規定する熱伝導性の微細フィンの第1パターン及び第1溝幅よりも広い第2溝幅を有する微細溝を規定する熱伝導性の微細フィンの第2パターンを備える微細溝冷却装置(マイクロ・チャネル・クーラー)である。熱伝導性の微細フィンの第1パターンは、冷却モジュールのうち第1ICチップが熱伝導的に結合されている第1部分に位置合わせ(整列)されている冷却液流路の部分の微細溝を規定し、そして熱伝導性の微細フィンの第2パターンは、冷却モジュールのうち第2ICチップが熱伝導的に結合されている第2部分に位置合わせ(整列)されている冷却液流路の部分の微細溝を規定する。微細溝冷却装置は、金属材料で形成され、第1ICチップは、準剛性、可撓性接着材料又はインジウム・ハンダ層を使用して微細溝冷却装置に熱伝導的に接着され、そして第2ICチップは、機械的に柔軟性で且つ熱伝導性の材料を使用して微細溝冷却装置に熱伝導的に結合されている。本発明の他の例示的な実施形態において、第1ICチップ及び第2ICチップを囲む準密封性の囲みを形成するようにベース・リングが冷却モジュール及びパッケージ基板に接着されている。
【0016】
本発明の他の例示的な実施形態において、第1ICチップ及び第2ICチップに熱伝導的に結合されている冷却モジュールは、平坦状の熱伝導装置、冷却アセンブリ及び流体マニホルドを含む。平坦状の熱伝導装置は、互いに対向する第1表面及び第2表面並びにこれら第1表面及び第2表面の間でこの熱伝導装置を貫通する開口を有し、ここで、冷却アセンブリが、この平坦状の熱伝導装置の開口内に配置される。冷却アセンブリは、互いに対向する第1表面及び第2表面、第1表面に配置された流体入口及び流体出口、並びに流体入口から冷却アセンブリ内を通り流体出口に至る冷却液流路を含む。流体マニホルドは、入口室(インレット・プレナム)及び出口室(アウトプット・プレナム)を有し、そしてこれらは冷却モジュールの冷却液流路の部分を規定又は構成する。入口室及び出口室は、これら入口室及び出口室内を流れる流体が平坦状の熱伝導装置に直接接触するように構成される。平坦状の熱伝導装置は、第1レベルのチップ・パッケージ構造上に載置され、ここで、第1ICチップの背面は冷却アセンブリの第2表面に熱伝導的に結合され、そして第2ICチップは、平坦状の熱伝導装置の第2表面に熱伝導的に結合される。更に、冷却モジュールは、冷却アセンブリの入口と流体マニホルドの入口室との間の第1流体接続部、及び冷却アセンブリの出口と流体マニホルドの出口室との間の第2流体接続部を含む。
【0017】
本発明の1つの例示的な実施形態において、流体マニホルドは、互いに対向する第1表面及び第2表面、第2表面に形成された第1室(入口室)及び第2室(出口室)、並びに第1表面に形成された入口及び出口を有し、入口は第1表面から入口室に延び、出口は第1表面から出口室に延び、そして、流体マニホルドの第2表面は、入口室が冷却アセンブリの入口に位置合わせされそして出口室が冷却アセンブリの出口に位置合わせされるように平坦状の熱伝導装置の第1表面に機械的に結合される。
【0018】
本発明の他の例示的な実施形態において、流体マニホルドは、平坦状の熱伝導装置の一部として一体的に形成され、ここで入口室及び出口室は開口を囲むように平坦状の熱伝導装置の第1表面に形成されそしてマニホルド・カバー板により覆われる。
【0019】
本発明の1つの例示的な実施形態において、冷却アセンブリは、シリコンから成る熱伝導フィンのパターンにより規定される微細溝を有しそして第1ICチップに剛性的に接着されているシリコンの微細溝冷却装置と、微細溝冷却装置の上に設けられこの装置に冷却液を分配して回収する微細マニホルド装置とを含む。微細マニホルド装置は、冷却アセンブリの入口及び出口を有する冷却アセンブリの第1表面を規定する表面を有し、そして、微細マニホルド装置は、入口から出口へと冷却アセンブリ内を延びる冷却液流路の一部を規定又は構成する入口マニホルド及び出口マニホルドを含む。
【0020】
本発明の他の例示的な実施形態において、冷却アセンブリは金属で形成されそして第1ICチップに剛性的に接着されている一体型装置を含み、ここで、一体型装置は、冷却層と、マニホルドと、冷却アセンブリの入口及び出口を有する冷却アセンブリの第1表面を規定する表面とを有する。一体型装置は、冷却アセンブリ内を入口から出口に延びる冷却液流路の一部を規定又は構成する入口マニホルド及び出口マニホルドを含む。一体型装置は、積み重ねられた微細溝、メッシュ構造又はずれて(千鳥に)積み重ねられた微細溝を含む。
【0021】
本発明のこれら及び他の例示的な実施例態、態様、特徴及び利点は、図面を参照して説明する以下の実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】冷却要求事項が互いに異なる複数のICチップを備えるマルチ・チップ・モジュールに対して高効率の液体冷却を行う本発明の例示的な実施形態に従う電子モジュールの概略的な断面を示す図である。
【図2】冷却要求事項が互いに異なる複数のICチップを備えるマルチ・チップ・モジュールに対して高効率の液体冷却を行う本発明の例示的な実施形態に従う電子モジュールの概略的な破断図である。
【図3】本発明の例示的な実施形態に従う流体マニホルドの底面の概略的な平面図である。
【図4】図2の例示的な実施形態の概略的仮想上面図である。
【図5】本発明の例示的な実施形態に従う微細溝冷却装置を概略的に示す図である。
【図6】本発明の例示的な実施形態に従う微細溝冷却装置を概略的に示す図である。
【図7】本発明の例示的な実施形態に従う微細溝冷却装置を概略的に示す図である。
【図8】本発明の例示的な実施形態に従う微細溝冷却装置を概略的に示す図である。
【図9】本発明の例示的な実施形態に従う微細溝冷却装置を概略的に示す図である。
【図10】本発明の例示的な実施形態に従う微細溝マニホルド装置を概略的に示す図である。
【図11】本発明の例示的な実施形態に従う微細溝マニホルド装置を概略的に示す図である。
【図12】本発明の例示的な実施形態に従う微細溝マニホルド装置を概略的に示す図である。
【図13】本発明の例示的な実施形態に従う微細溝マニホルド装置を概略的に示す図である。
【図14】本発明の例示的な実施形態に従う微細溝マニホルド装置を概略的に示す図である。
【図15】冷却要求事項が互いに異なる複数のICチップを備えるマルチ・チップ・モジュールに対して高効率の液体冷却を行う本発明の他の例示的な実施形態に従う電子モジュールを概略的に示す図である。
【図16】冷却要求事項が互いに異なる複数のICチップを備えるマルチ・チップ・モジュールに対して高効率の液体冷却を行う本発明の他の例示的な実施形態に従う電子モジュールを概略的に示す図である。
【図17】冷却要求事項が互いに異なる複数のICチップを備えるマルチ・チップ・モジュールに対して高効率の液体冷却を行う本発明の他の例示的な実施形態に従う電子モジュールを概略的に示す図である。
【図18】本発明の例示的な実施形態に従う一体化された入り口室及び出口室を有する熱伝導性カバーの概略的な破断図である。
【図19】図18の線8B−8Bに沿う図18の例示的な熱伝導性カバーの概略的な断面図である。
【図20】図18の例示的な熱伝導性カバーを備える本発明の例示的な実施形態に従う電子モジュールの概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、共通キャリア上にフェイス・ダウン式にマウントされ、且つ冷却要求事項が互いに異なる複数のICチップを備えるマルチ・チップ・モジュールに対して高効率の液体冷却を行う本発明の例示的な実施形態に従う電子モジュールの概略的な断面図である。より具体的には、図1は、マルチ・チップ・キャリア即ち基板11上にフェイス・ダウン方式でマウントされている複数個のICチップ12及び13を備えるICチップ・モジュール10と、ICチップ12及び13の非動作表面に熱伝導的に結合されている共通液体冷却モジュール(即ち冷却器)20を含む電子モジュール1を概略的に示す。
【0024】
チップ・モジュール10は、高密度配線を含むチップ・キャリア11の上面に、高ピッチ(約0.45mmピッチ)で配列されたC4ハンダ・ボールのようなハンダ・ボールb1及びb2を有するICチップ12及び13がマウントされているデュアル・チップ・モジュール(DCM)又はマルチ・チップ・モジュール(MCM)である。チップ・キャリア11は、このチップ・キャリア11をカード又は印刷回路板(図示せず)にボンディングするための大型(約1mmピッチ)のハンダ・ボールのアレイ(例えば、BGA、ボール・グリッド・アレイ)又は上記印刷回路板へ接続するソケット又はランド・グリッド・アレイ・コネクタと共に使用されるパッドを備える第1レベルのパッケージ・キャリア(例えば、セラミック基板)である。チップ・キャリア11は、例えばC4ハンダ・ボールのような細かなピッチ(約0.15mmピッチ)のハンダ・ボール・アレイを介して従来の通常の第1レベルのパッケージ基板に接着される中間的なキャリア基板(例えば、シリコン基板)でもよい。基板11は、シリコン(Si)又は例えばGaAsのようなチップ12及び13を形成する他の基板材料の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有するセラミック材料又はポリマー材料で形成され得る。基板11は、チップ12及び13相互間を接続し、又はこれらチップを印刷回路板(PCB)又は他のパッケージ・レベルの基板上の接続点に電気的に接続するための基板11の底面上のコンタクトへ接続する多層レベルの配線を有する。
【0025】
一般的に、冷却モジュール20は、微細溝(マイクロ・チャネル)冷却アセンブリ30,熱伝導板40及び共通冷却液分配マニホルド(集合管)又は流体マニホルド50を有する。微細溝(マイクロ・チャネル)冷却アセンブリ30は、ICチップ12の背面状に積み重ねられた微細溝冷却部31、微細溝冷却マニホルド32及び位置決め素子33を含む。微細溝冷却アセンブリ30は、流体入口34及び流体出口35を含む。微細溝冷却アセンブリ30は、熱伝導板40に形成された開口内に配置され、そして、ICチップ12の裏面に対して熱伝導性接着剤(TB)を介して熱伝導的に結合されている。
【0026】
熱伝導板40は、ICチップ13の裏面(非動作面)が熱伝導性接着剤(TB)を介して熱伝導板40の底面に熱伝導的に結合されるようにチップ・モジュール10の上に位置決めされている。流体マニホルド50は、流体入口51、流体出口52、入口室53及び出口室54を含む。微細溝冷却アセンブリ30の流体入口34は、流体マニホルド50の入口室53に位置が合わされ(整列され)、そして微細溝冷却アセンブリ30の流体出口35は、流体マニホルド50の出口室54に位置合わせ(整列)されている。
【0027】
微細溝冷却アセンブリ30の種々なコンポーネント(31、32及び33)は、異なる機能を行うが、全体的には、入口34から出口35に至る微細溝冷却アセンブリ30内を通る冷却液の流路を与える。例えば、ICチップ12に直接的に結合される微細溝冷却部31は、冷却液(水)に対する複数の溝状の流路を規定する複数個の互いに平行な微細な熱伝導性のフィンを含み、そして熱の除去は、フィンと溝を通って流れる冷却液との間の熱伝導接触により達成される。微細溝冷却部31は、当業者により理解されるように、所望の冷却特性を達成するように、種々な手法を使用して実現されることができる。例えば、微細溝冷却部31は、米国特許第7,139,172号において説明されている方法を使用して形成され得る。微細溝冷却部31は、例えば図5乃至図9を参照して以下に説明する例示的な構造を有することができる。
【0028】
冷却マニホルド32は、一体的な微細溝冷却部31へ冷却流体を供給しそして回収する流体供給溝/回収溝を有するように設計される。図10乃至図14は、マニホルド32の構造を概略的に示す。更に、マニホルド32は、上記米国特許第7,139,172号において説明されている方法及び手法を使用して形成され得る。機械的な柔軟性を与えるために、機械的に柔軟性のガスケット又はシール36が、流体分配マニホルド32及び微細溝冷却部31の間に設けられてこれらの間の接合を封止する。機械的に柔軟性のガスケット36は、冷却剤分配マニホルド32を微細溝冷却部31に結合するときに圧縮され、但し集積回路チップ間の高さの差を許容又は補償し、そしてチップ12を損傷するほどの大きな圧力を必要としない例えばエラストマーまたは他の適切な材料のような任意の適切な圧縮可能な材料で構成され得る。柔軟性のガスケット材料36は、微細溝冷却部31及び流体分配マニホルド32に接着され又は接続され、流体封止を形成するために圧縮状態に維持される必要はない。
【0029】
マニホルド32は、上面に流体入口及び流体出口を有し、これらは、位置決め部材33の底面で露出されている流体入口34及び流体出口35に位置合わせされて(整列されて)おり、ここで、図2の例示的な実施形態を参照して詳細に説明するように、Oリングが、流体入口/出口を封止するためにマニホルド32及び位置決め部材33の間の界面に使用される。位置決め部材33は、熱伝導板40の開口の内壁に堅固に固定され、Oリング及びガスケット36へ適切な圧縮力を与えるように働き、これによりマニホルド32及び位置決め部材33の間の界面とマニホルド32及び微細溝冷却部31の間の界面の冷却剤流路に対して水漏れのない封止を与える。以下に説明するように、位置決め部材33は、チップの厚さ、チップを基板に取り付けるために使用される微細なハンダ・ボールの高さの変動並びに他のチップの傾き及び垂直性の誤差を許容又は補償するように、熱伝導板40に対して調整可能に固定される。
【0030】
冷却モジュール20は、共通基板(例えばチップ・キャリア11)上にマウントされ、冷却要求事項が互いに異なる複数のチップ(例えば、チップ12及び13)に対する高性能の冷却を実現する構造を有する。説明の便宜上、図1において、ICチップ12は、高電力密度、要求される接合温度、ホット・スポットの電力密度又はこれらの組み合わせに関連する冷却要求事項を満足するように外部雰囲気に対する非常に低い熱抵抗の放熱路を必要とするチップ(例えば、プロセッサ・チップ)であり、一方チップ13は、ICチップ12よりも低い冷却要求事項を有する、(即ち、ICチップ12の放熱路よりも熱抵抗が高い放熱路を必要とする)チップ(メモリ・チップ)であるとする。
【0031】
図1の例示的な構造において、チップ12を冷却する低熱抵抗の構造は、(低熱抵抗の剛性又は準剛性の接着材料を使用して)チップ12に熱伝導的に結合された微細溝冷却部31を備える微細溝冷却アセンブリ30を使用し、そして微細溝冷却アセンブリ30を通して液体冷却剤を循環させることにより実現される。チップ13の冷却要求事項は、例えば熱伝導性ペースト又は熱伝導性グリースのような機械的に柔軟性で且つ熱伝導性の材料を使用してチップ13の裏面を熱伝導板40に熱伝導的に結合し、そして、チップ12を冷却した結果暖められた冷却液を微細溝冷却アセンブリ30の流体出口35から出口室54へ流して、熱伝導板40の第1表面のうちチップ13の上側の領域を冷却することにより満足される。本質的に、熱伝導板40は、チップ13により発生された熱を、この熱伝導板40の上面にマウントされている流体マニホルド50の出口室54内を流れる液体冷却剤に伝導する熱放散体として働く。
【0032】
更に具体的に説明すると、図1において、液体冷却剤は、マニホルドの流体入口51に入り、入口室53内を流れ、微細溝冷却アセンブリ30の流体入口34に流れ込む。液体冷却剤は、微細溝冷却アセンブリ30内を循環し、ICチップ12の裏面から熱を吸収し、そして液体冷却剤は、流体出口35を介して流体マニホルド50の出口室54へ流れることにより微細溝冷却アセンブリ30から流れ出る。液体冷却剤が、出口室54を介して流体出口52に流れる即ち循環するにつれて、この液体冷却剤は、チップ13に位置合わせされている熱伝導板40の表面領域から熱を吸収することにより更に暖められる。更に説明すると、ICチップ13により発生された熱は、熱接着剤TBを介して熱伝導板40の底面へ伝わり、更にこの熱伝導板40の上面に伝わり、ここで、この熱は、出口室54内を流れる液体冷却剤により吸収される。この液体冷却剤は、流体出口52を介して流体マニホルド50から流れ出る。
【0033】
一般的に、チップ12から冷却剤までの熱伝導のための実効熱抵抗は、例えば、チップ12の厚さ、微細溝冷却アセンブリ30の構造/設計、微細溝冷却装置31をチップ12に結合するのに使用される接着剤の種類及び厚さ等の種々な要因に依存する。微細溝冷却装置31が、ICチップ12を形成する材料のCTEに一致するCTEを有するシリコンまたは他の材料で形成される場合、熱伝導性接着剤TBは、チップ12及び微細溝冷却装置31の間に非常に低い熱抵抗接着を生じるために剛性又は半剛性の熱接着を与える材料で形成される。剛性接着を生じる材料は、チップ12からの熱を十分に伝えることのできる例えばハンダ、金属層、Agエポキシ又は充填ポリマーのような低熱抵抗の任意の適切な材料でよい。接着層の厚さが十分に薄くそして冷却要求事項を満足する限り、例えば、金属接続体、ハンダ接続体、又はAgエポキシのような充填型の熱伝導性接着剤または他の接着手段のような低熱抵抗の接着剤が使用されることができる。更に、或る場合には、必要に応じて微細溝冷却アセンブリ30をチップ12から取り外して微細溝冷却アセンブリ30を交換し又はチップ12を交換できるように、熱伝導性接着剤TBは、修理の際に溶融可能であることが望ましい。
【0034】
他方、微細溝冷却アセンブリ31が、チップ12の熱膨張に一致する熱膨張を有する材料で形成されないならば、低熱抵抗接着剤は、可撓性の充填型ポリマー、充填型熱伝導性ペースト又は充填型熱伝導性グリースで形成される半剛性又は柔軟性のTIM層を使用して形成され得る。例えば、微細溝冷却装置は、例えば銅のような金属材料で形成されることができ、又は微細溝冷却装置は、チップの材料のCTEとほぼ一致するCTEを有するベース(例えばセラミック、AINベース)を有する銅で形成され得る。
【0035】
一般的に、チップ13から冷却剤までの熱伝導のための実効熱抵抗は、例えば、チップ13の厚さ、熱伝導板40を形成する材料の種類及び厚さ、熱伝導板又は冷却板40のベースとチップ13との間に使用される熱インターフェース材料の種類及び厚さ、並びにマニホルド50内を流れる冷却剤の種類及び冷却条件等の種々な要因に依存する。熱伝導板40は、半導体チップにより発生される熱を放熱するためにマルチ・チップ・パッケージにおいて使用されている任意の熱伝導性装置でもよい。例えば、熱伝導板40は、チップ・パッケージを構築するのに使用される熱伝導性ハット、熱伝導性キャップ、パッケージ蓋/キャップ/カバー等として呼ばれている周知の手段のうちの任意のものでよい。熱伝導板40は、チップ材料(例えばシリコン)の熱膨張係数と異なる熱膨張係数を有する例えば銅(Cu)又はアルミニウム(Al)のような高い熱伝導性を有する金属または他の材料で形成されることができる。図1に示していないが、パッケージ10は、チップ12及び13を備える基板11をPCB(または他の第2レベルのパッケージ)及び熱伝導板40にマウントするための手段を与えるようにパッケージ基板11を取り囲む基板ベース・リングを含むことができる。基板11は、ベース・リングに固定され、そして熱伝導板40は、チップ12及び13を湿気及び周囲雰囲気から保護するための密封又はほぼ密封型の封止領域を形成するように、接着剤または他の手段を使用して基板11に接着(ボンディング)される。
【0036】
更に、熱伝導性接着部TBは、例えば熱伝導性ペースト、熱伝導性グリース又はオイルのような熱伝導型の流体等の任意の適切な機械的に柔軟性で且つ熱伝導性の材料を、使用環境に応じて使用することにより形成されることができる。熱伝導性のペーストは、米国特許第5,098,609号において説明されている例えば熱伝導性ペーストのようなバインダ材料又はマトリクス(母材)内に分散されている粒径の熱伝導性の粒子を含む。代表的な熱インターフェース材料(TIM)は、シリコーン・ベース(silicone−based)のマトリクスを有する相変化材料として知られているワックス・マトリクス並びに例えばグラファイト及び金属粉末のような乾燥型の粒子潤滑剤を含む。例えばオイルのような粘性の低い熱伝導材料は、ペーストよりも熱伝導性が低いが、薄い層にされることにより熱伝導特性が改善されるが機械的な柔軟性は減少する。使用することができる他の熱伝導性で且つ柔軟性の材料は、高熱伝導性でそして高粘度の(ここで、固体から成る材料の成分は非常に粘度が高い)熱インターフェース材料を与える上記米国特許第5,098,609号において説明されているような材料を含む。
【0037】
図1は、例示的な構造についての高いレベルの概念的な構造を示し、ここで、共通冷却流体分配マニホルドが、マルチ・チップ・モジュール(MCM)上にマウントされ且つ非常に低熱抵抗の放熱路を要求するチップを冷却するための1つ以上の微細溝冷却装置に冷却液を供給するために使用され、そして、チップ12を冷却した結果上記微細溝冷却装置から出される暖められた冷却液を使用して、MCM上にマウントされている残りのチップ(これは例えば熱伝導性ペースト又はグリースのような柔軟性のTIMを使用して熱伝導板に結合されている)に接する熱伝導板の領域を冷却する。図1の例示的なアーキテクチャは、共通基板上にマウントされている種々なチップのそれぞれの冷却要求事項を満たすように種々な構造で実現されることができる。例えば、図2は、図1を参照して説明した上述の概念的構造に基づく本発明の例示的な実施形態に従う電子モジュールを概略的に示す。概略的にいうと、図2は、マルチ・チップ・モジュール110及び共通冷却モジュール120を有する電子モジュール100の概略的な破断図である。マルチ・チップ・モジュール110は、チップ・キャリア112上にマウントされている複数個のチップ112及び113を含む。冷却モジュール120は、複数個の微細溝冷却アセンブリ130,熱伝導板(放熱カバー)140及び流体マニホルド150を有する。
【0038】
例示的な実施形態において、チップ・キャリア111の中心領域には2x2のアレイで配列された4つのチップ112がマウントされ、そして、この内側のチップ112のアレイを取り囲むように4つのチップ113が配列され、そしてこれらのチップ113のそれぞれは、チップ・キャリア基板111のコーナ(角部)に配置されている。1つの例示的な実施形態において、チップ・キャリア111は、セラミック配線基板(第1レベルパッケージ)であり、ここで、チップ112は高性能のプロセッサ・チップでありチップ113はキャッシュ・メモリ・チップであり、そして、基板111の上面には複数個のデカップリング・キャパシタ114が取り付けられている。説明の便宜上、配線基板111の中央領域に配置されている4つのプロセッサ・チップ112は、高電力密度及びホット・スポットに基づいてキャッシュ・メモリ・チップ113よりもより低い熱抵抗を要求するものとする。共通冷却モジュール120は、チップ112及び113のそれぞれの互いに異なる冷却要求事項を満たすように設計されている。
【0039】
高性能チップ112を冷却するための非常に低い熱抵抗又は熱抵抗通路を達成するために、各微細溝冷却アセンブリ130が、チップ112の裏面に熱伝導的に接着されている。微細溝冷却アセンブリ130のそれぞれは、微細溝冷却装置(マイクロ・チャネル・クーラー)131,微細溝マニホルド板132及び位置決め素子133を有する。微細溝冷却装置131は、シリコン又はチップの材料のCTEに一致するCTEを有する任意の材料で形成されている。チップ112の材料のCTEに一致するCTEを有する材料(例えば、シリコン)で形成されている場合、微細溝冷却装置131は、例えばAgエポキシ、重点型ポリマー、金属又はハンダ層のような低熱抵抗(<≠10C・mm/W)を使用してチップ112の裏面即ち非動作面に堅固に接着される。例えば、0.00127cm(0.0005インチ)の接着ラインのAgエポキシは、約7C・mm/Wの単位抵抗(unit resistance)を有し、そして薄いIn(インジウム)層(<0.1mm)は、上記の値の約半分の単位抵抗を有する。微細溝冷却装置131の例示的な実施形態については、後に図5乃至図9を参照して説明する。
【0040】
マニホルド板132は、これの上面の単一入口132a及び単一出口132bを有し、そしてこれらは、板132の底面に設けられた多数の入口スロット及び出口スロットにそれぞれ連通しており、そしてこれらのスロットは、チップ112に接着されている裏面を有する微細溝冷却装置131の上面の流体入口開口及び流体出口開口に位置合わせ(整列)されている。マニホルド板132については、図10乃至図14を参照して後に説明する。マニホルド板132は、可撓性の冷却ガスケットを介して微細溝冷却装置131に結合されている。マニホルド板132は、入り口132a及び出口132bのそれぞれを囲む窪んだ溝R1及びR2内に挿入されているOリングを使用して位置決め部材133に結合されており、ここで、入口132a及び出口132bは、位置決め部材133の底面に露出している入口134及び出口135の開口に位置合わせされている。
【0041】
熱伝導板140は、上面140a及び下面140bを有するほぼ平坦上の正方形又は長方形であり、そして中央領域にこの熱伝導板140を貫通する複数個の開口141が設けられている。これらの開口141は、熱伝導板140が熱の除去のためにチップ113及び基板111に対して熱伝導するようにマウントされるときに、微細溝冷却アセンブリ130のそれぞれが挿入されて支持されるような寸法、形状にされている。又熱伝導板140は、MCM110をマウントするための支持リング(図示せず)へ取り付けるための手段を含む。熱伝導板140は、支持リング及び基板111と共に従来周知のアセンブリ技術を使用してチップ112及び113を保護するための準密封性の封止環境を形成する。
【0042】
流体マニホルド150は、上面150a及び下面150bを有する八角形の平坦な部材として図2に示されている。流体マニホルド150は、流体入口151及び流体出口152を有し、これらは図2において、マニホルド150の上面150aの開口として示されている。図3に示すように、流体入口151及び流体出口152のそれぞれは、流体マニホルド150の底面150bに形成されている入口室153及び出口室154への開口を与える。具体的に説明すると、図3は、図2に示されている流体マニホルド150の底面150bの概略的な平面図であり、ここで、入口室153及び出口室154は、底面150bに形成されているほぼ円形状の通路である。入口室153は、流体入口151に位置合わせされている(整列されている)ほぼ円形状の流体入口分配通路である。出口室154は、入口室153をほぼ同心的に囲み且つ流体出口152に位置合わせされているほぼ円形状の流体出口分配通路である。
【0043】
流体マニホルド150は、このマニホルド150及び熱伝導板140が圧力附与システム(例えば、流体マニホルド150の周辺に設けられた8つのネジ)により堅固に結合されるときに、流体封止機構として使用される封止用のOリングを受け入れる3つの同心状のOリング溝155、156及び157を有する。最も内側のOリング溝155は、モジュール100を組み立てるのに使用される熱伝導板140の取り付けネジの上の中心領域から冷却流体が漏洩するのを防止するのに使用されるOリングがはめ込まれる形状を有する。中央のOリング溝156は、入口室153及び出口室154の間で冷却流体が漏洩するのを防止するためのOリングがはめ込まれる形状を有する。最も外側のOリング溝157は、冷却流体が出口室154から漏洩するのを防止するためのOリングがはめ込まれる形状を有する。
【0044】
電子モジュール100を印刷回路板(図示せず)に電気的に接続するための一様な力をLGAに加えるように調節される負荷ネジのためのネジ孔142が熱伝導板140に設けられている。円形状の金属部材138が配線基板111の中心部に取り付けられており、負荷ネジ(図示せず)がこの配線基板111に取り付けられている。又、熱伝導板140は、MCMがマウントされる支持リングに取り付けるための手段を有する。熱伝導板140は、支持リング及び配線基板111と共にチップを保護するための準密封性の封止環境を形成する。
【0045】
モジュール100を組み立てるために、微細溝冷却装置131、ガスケット及び冷却マニホルド132は、もしも必要ならば接着剤を使用して互いに組み立てられ、そして、漏洩テストが行われる。次に、位置決め部材133の位置が仮組みにより固定され、ここで、最終的なTIM層の厚さに等しい厚さの金属シムがチップ113上に置かれ、熱伝導板140が支持リング(図示せず)と共に基板111の上に位置合わせされて置かれる。次いで、最終的なTIM層の厚さに等しい厚さの追加のシムがチップ112上に置かれ、そして、既に組み立てられている微細溝冷却装置131、薄い可撓性ガスケット及びマニホルド132と位置決め部材133とが熱伝導板140の開口141内に配置される(ここで、マニホルド132及び位置決め部材133の間には如何なるOリングも使用しない)。
【0046】
次いで、この組み立て体(アセンブリ)はリフロー炉を通されて、ハンダまたは他の密封性の堅固な接続手段を使用することにより位置決め部材を所定の位置に固定する。この構造を再組み立てするときに、種々な備品の位置及び配向が記されそして保持される。次いで、部品は分解され、そして熱伝導板140の上面は、フライカット加工により平坦化され(fly−cut flat)、位置決め部材は、最初上面140aよりもわずか突出するように設計される。シムが全てチップ上から除去される。チップ113の裏面は、機械的に柔軟性で且つ熱伝導性の材料の層で被覆される。
【0047】
準密封性の接着剤が、基板110又は熱伝導板140の周辺部に塗られる。チップ112の背面は、例えば銀が充填されているエポキシ又はハンダのような剛性の熱伝導性材料の層で被覆される。微細溝冷却装置131、ガスケット、及びマニホルド132はこれらのOリングと共に、熱伝導板140の底面の適切な開口141内に挿入される。冷却器及びマニホルド(131,132)の積層体が開口141内にそれぞれ挿入され、そして熱伝導板140の底面140bがチップ113上の柔軟性の熱伝導材料に接触するように、熱伝導板140が基板110上にマウントされる。熱伝導板140内の位置決め部材133は、チップ132上のOリングを圧縮するように働き、そして微細溝冷却装置131及びマニホルド132の間のガスケットを圧縮する。
【0048】
熱伝導板140及び基板111は、熱伝導板140及びチップ113の間の柔軟性の熱伝導材層を所望の厚さにし、そして微細溝冷却装置131及びチップ112の間の剛性の熱伝導材料層を所望の厚さにするように圧縮機構により徐々に圧縮される。次いで、必要であれば、これらの材料は硬化される。位置決め部材133の使用は、米国特許第6,404,638号に説明されている技法を使用することによりチップを配線基板に取り付けるために使用する微少ハンダ・ボールの高さの変動及びチップの厚さの変動にかかわらずTIMの厚さを薄くし且つ一様にする。
【0049】
図4は、組み立て後の電子モジュール100の平面図である。図4は、マニホルド150の流体入口室153及び流体出口室154と、内側アレイのチップ112の上面にマウントされている微細溝冷却アセンブリ130の位置決め部材133の入口134及び出口135との位置合わせを示す概略的な想像図である。具体的に説明すると、図4に示すように、マニホルド150の上面の流体入口151を介して供給される冷却流体が入口134に送られるように、環状の入口室153が、位置決め部材133の入口134のそれぞれに位置合わせされている。更に、微細溝冷却アセンブリ130から流体出口135を経て流れ出る暖められた冷却流体が出口室154に流れるように、環状の出口室154が、位置決め部材133の出口135のそれぞれに位置合わせされている。更に図4は、基板110にマウントされているチップ113の裏面(上面)上の熱伝導板140の上にマニホルド150の出口室154が位置合わせされていることを示す。
【0050】
図4を参照すると、図2の冷却モジュール120のアセンブリが、マニホルド150の流体入口151及び流体出口152の間に冷却剤が流れる通路を与え、これにより冷却剤は位置決め部材133の入口134のそれぞれに分配される。ここで冷却剤は、入口134及びマニホルド132のOリングで封止されている入口132aを介して微細溝冷却装置131の入口に流れ込む。微細溝冷却装置131内を循環してチップ112を冷却した結果暖められた冷却液は微細溝冷却装置131からマニホルド132のマニホルド出口領域に流れ込み、そしてOリングで封止された出口132a及び位置決め部材の出口135を介してマニホルドの出口室154に流れ込む。微細溝冷却アセンブリ130のそれぞれからの暖められた冷却液は、出口室154に流れ込み、ここで、この暖められた冷却液は、熱伝導板140のうちチップ113に位置合わせされている領域からの熱を吸収し、次いで、流体出口152を介してこのアセンブリ外に流れ出る。次いで、周知のシステム及び技法を使用することにより、この暖められた冷却液は冷却されそして再び流体入口151に供給される。
【0051】
例示的な実施形態においては、キャッシュ・メモリ・チップ113は、熱伝導板140のうち、チップ113に熱伝導的に接続されている底面(下面)140bから上面140aに至る熱伝導により冷却され、そして熱は熱伝導板140の上面140aに接触する冷却液により吸収される。再び説明すると、キャッシュ・メモリ・チップ113は、熱サイクル中に熱伝導板140及びキャッシュ・メモリ・チップ113の間に剪断力を伝えない機械的に柔軟性で且つ熱伝導性の材料を使用して熱伝導板140の底面140bに熱伝導的に接着されている。更に、チップ112を基板111及び熱伝導板140の中央領域に配置することにより(ここで、パッケージ100の中心点は応力がゼロの点と考えられる)、中心点から放射方向に向かう基板111及び熱伝導板140の間の相対的な熱膨張の差が最小にされ、これにより、チップ112及び熱伝導板140の間の熱伝導性接続にかかる応力を最小にすることができる。
【0052】
図2の微細溝冷却装置131は、チップに固有の冷却要求事項を満たすように多様な構造を有して形成されることができる。図5乃至図9は、上述の米国特許第7,139,172号に記載されている方法を使用して製造され得る微細溝冷却装置の例示的な実施形態を示す。具体的に説明すると、図5は、図2の例示的な実施形態の微細溝冷却装置131として使用され得るシリコン製の微細溝冷却装置の例示的な実施形態の三次元的な透視図である。概略的に説明すると、微細溝冷却装置131は、微細溝板131−1に接着されたマニホルド板131−2を含む。図5,図6,図7及び図8は、マニホルド板131−2の例示的な実施形態を詳細に示し、そして、図9は、上述の米国特許第7,139,172号に説明されているような微細溝板131−1の例示的な実施形態を概略的に示す。
【0053】
図6及び図7は、平坦状のシリコン基板で形成される例示的なマニホルド板131−2の上面及び底面をそれぞれ示す。図6において、シリコン基板の上面S1にはバイア(開口)V1乃至V7(即ち,Vi個)のパターンが形成されている。各バイア・パターンV1及びV7は、直線状に配置された複数個の円形開口を有し、そして、各バイア・パターンV2乃至V6は、ジグザグ・パターン状に配置された複数個の円形開口を有する。各バイア・パターンViは、複数個の開口を有し、そしてこれらの開口は、図7に示すように、基板の対向面即ち下面S2上に形成されている入口/出口マニホルド溝Ciへの流体入口/出口として働く。図7に示すように、マニホルド板131−2は、底面即ち下面S2に形成されている複数個の流体マニホルドM1乃至M7(即ちMi個)を有する。各流体マニホルドM1乃至M7は、対応するマニホルド溝C1乃至C7(即ち、Ci個)を有し、ここで、対応する流体バイア・パターンV1乃至V7の流体バイアは、上面S1から対応するマニホルド溝C1乃至C7に沿う種々な点へ延びる開口を形成する。
【0054】
図8は、基板の表面S2に形成されているマニホルド溝Ciを示すためのマニホルド板131−2の一部を示す透視図であり、このマニホルド溝Ciは、表面S1の流体バイアViの各流体バイアvを接続するに十分は深さまでパターン化され即ち窪まされた連続的な空洞(キャビティ)を構成する。
【0055】
図9は、微細溝板131−1の例示的な実施形態を示し、これは、微細溝131−1bを規定する複数個の互いに平行な熱伝導微細フィン131−1aを形成するようにエッチングされたシリコン基板を有する。一体的な微細溝冷却装置131を形成するようにマニホルド板131−2がマニホルド溝板131−1に結合されるときに、微細フィン131−1aは、対応するマニホルド溝C1乃至C7(図7)に整列される(位置合わせされる)窪まされた領域R1乃至R7において不連続である。流体バイアV(入口マニホルドに対応)から微細溝へ流れる流体の分配領域及び微細溝から流体バイア(出口マニホルドに対応)へ流れる流体の分配領域を増大するために、窪まされた領域R1乃至R7は、マニホルド板131−2の対応するマニホルド溝C1乃至C7と共にマニホルドとして働く。
【0056】
図6,図7及び図9の例示的な微細溝板131−1及びマニホルド板131−2は、図9において“1”及び“0”により示してあるように、交互に並べられた入口マニホルド及び出口マニホルド相互間の6つの熱交換領域を含む。実際、図7及び図9を参照すると、6つの熱交換領域が、交互に設けられた入口マニホルド及び出口マニホルドにより規定され、ここで、入口マニホルドM2,M4及びM6は、出口マニホルドM1,M3,M5及びM7で終端する2つの微細溝の領域に冷却流体を供給する。これにより、微細溝冷却装置は、入口と出口の間の流路が短い6つの平行な熱交換領域に分けられる。マニホルド板131−2及び微細溝板131−1は、密封性の封止を与えるように結合され得る(しかしながら、この結合自体は低熱抵抗を与えなくてもよい)。従って、微細溝板131−1及びマニホルド板131−2を接合するために、例えば、直接ウエハ・ボンディング、溶融ボンディング、陽極ボンディング、ガラス・フリット・ボンディング、ハンダ・ボンディング、ポリマー接着ボンディング又は他の適切なボンディング方法のようなボンディング方法が使用され得る。
【0057】
図10乃至図14は、本発明の例示的な実施形態に従う微細溝マニホルドを概略的に示す。具体的に説明すると、図10乃至図14は、図5乃至図9の例示的な微細溝冷却装置と共に使用されることができる微細溝マニホルド132の例示的な実施形態を示す。図10は、第1マニホルド素子132−1及び第2マニホルド素子132−2を有するマニホルド132の概略的な側面図であり、図11は、図10の線6B−6Bに沿うマニホルド素子132−1の平面図であり、そして図12は、図10の線6C−6Cに沿うマニホルド素子132−1の平面図である。更に、図13は、図10の線6D−6Dに沿うマニホルド素子132−2の平面図であり、そして図14は、図10の線6E−6Eに沿うマニホルド素子132−2の平面図である。
【0058】
図10及び図11に示すように、マニホルド素子132−1の上面S1は、部分的に窪まされたOリング溝R1及びR2によりそれぞれ囲まれている流体通過開口132a及び132bを有する。図10及び図12に示してあるように、流体通過通路(スルーホール)132a及び132bは、マニホルド素子132−1に形成されている入口室132d及び出口室132cにそれぞれ接続されている。
【0059】
更に図10及び図13に示してあるように、複数個のマニホルド出口バイア132e及びマニホルド入口バイ132fが第2マニホルド素子132−2に形成されている。図10及び図14に示すように、複数個の入口スロット132h及び複数個の出口スロット132gが、マニホルド素子132−2の底部領域に交互に形成されている。出口バイア132e(図13)は出口スロット132g(図14)に位置合わせされており、そして、入口バイア132fは入口スロット132hに位置合わせされている。
【0060】
第1素子132−1の嵌合面には溝132−11が形成されており、そしてこの溝132−11は、第2マニホルド素子132−2の上面に形成されているトルク素子132−21にはめ込まれて嵌合する。マニホルド素子132−1及び132−2は、別々に作られる素子であり(金属、プラスチック等により作られる)、種々なバイア開口、溝、スロット等を形成後に互いに接合される。互いに接合されると、マニホルド素子132−1に形成されている入口室132d及び出口室132c(図12)は、下側のマニホルド素子132−2に形成されている入口スロット・バイア132f及び出口スロット・バイア132e(図13)にそれぞれ位置合わせされる。
【0061】
マニホルド132の底面S2には、図14に示すように、交互に配置された流体入口スロット及び流体出口スロットからなる一連の細長いスロットが形成されており、これらは、機械的に柔軟性のガスケットを介して、図6の微細溝マニホルド板131−2の表面S1のバイア・パターンV1乃至V7に結合されている。例えば例示的な実施形態において、図14の流体出口スロット(文字“O”により示されている)は、図6の流体バイア・パターンV1,V3,V5及びV7の対応する1つに位置合わせされて結合されており、微細溝冷却装置131から戻される暖められた流体を受けとり、一方、図14の流体入口スロット(文字“I”により示されている)は、図6の流体バイア・パターンV2,V4及びV6に位置合わせされて結合されており、冷却液を微細溝冷却装置131に供給する。
【0062】
図5乃至図9及び図10乃至図14を参照して説明した微細溝冷却装置及び微細溝マニホルドの例示的な実施形態は、説明のためのものであり、そして本発明の例示的な実施形態に従う微細溝冷却アセンブリは、使用するチップの冷却要求事項を達成するように種々な技法を使用して構成され、そして種々なカスタム設計を有するように構成されることができる。例えば、上述の米国特許第7,139,172号は、異なる局部的な冷却能力を与えるように配列されそして構成された微細溝を有する微細溝冷却装置の例示的な種々な設計を説明している。
【0063】
更に図1及び図2の例示的な実施形態は、ほぼ平坦な形状の熱伝導装置及び熱伝導板を示している。他の実施形態において、低電力のメモリ・チップ13(113)を冷却するための熱抵抗は、熱伝導板40(140)のうちメモリ・チップ13(113)の上側の領域に更に狭い溝又はフィンを設けることにより、そして冷却剤及び熱伝導板40(140)の間の温度差を減少するために上記溝を通って冷却液が流れるように流体マニホルド50(150)を修正することにより減少されることができる。この例示的な実施形態においては、冷却液は、非常に低い熱抵抗の放熱路を必要とするプロセッサ・チップ12(112)に最初向けられ、次いで、低熱抵抗を必要としない、即ち、プロセッサ・チップ12(112)の低い熱抵抗の放熱路よりも高い熱抵抗の放熱路を必要とするメモリ・チップ13(113)を冷却するために使用される。更に、熱伝導板40(140)のうちメモリ・チップ13(113)の上側の領域に溝を形成することができ、この場合これらの溝の深さ及び幅は、プロセッサ・チップ12(112)を冷却するのに使用されるシリコンの微細溝冷却装置31(131)の溝の深さ及び幅よりも大きくすることができる。全ての実施形態において、配管、ポンプ、熱交換器及び他の構成部品の寸法を減少するために、冷却流体の流れを最小限にすることが望ましい。所定の熱負荷に対して小さな流体の流れを使用すると、流体中に大きな温度差ΔTを生じ、これは、熱交換の効率を増大しそして所定の熱負荷に対する熱交換器の寸法を減少する。
【0064】
本発明の他の例示的な実施形態において、共通基板上にフェイス・ダウンでマウントされている複数個のチップに共通的に取り付けられている金属冷却器(例えば、銅)を使用する集積マルチ・チップ・モジュール及び共通冷却モジュールを有する電子装置が提供され、ここで、冷却モジュール及び熱伝導結合は、複数チップのそれぞれの冷却要求事項を満足するための互いに異なる熱抵抗を与えるように設計される。例えば、図15乃至図17は、デュアル・チップ・モジュール210及び共通冷却モジュール220を有する本発明の他の実施形態に従う電子モジュール200を概略的に示す。図15は例示的なモジュール200の概略的な側面図であり、図16は図15の線7B−7Bに沿って得られた上面図であり、そして図17は図15の線7C−7Cに沿って得られた上面図である。
【0065】
図示のように、デュアル・チップ・モジュール210は、チップ・キャリア211上にフリップ・チップ方式でマウントされている一対のチップ212及び213を含む。冷却モジュール220は冷却基部231,冷却ボディ232及び冷却蓋又は冷却カバー233を有する微細溝冷却アセンブリ230を含む。流体入口224及び流体出口225が設けられ、流体入口224は微細溝冷却アセンブリ230への流体の入口を与え、そして流体出口225は微細溝冷却アセンブリ230からの流体の出口を与える。説明の便宜上、チップ212はプロセッサ・チップでありそしてチップ213はキャッシュ・メモリ・チップであるとする。そして、プロセッサ・チップ212は、高出力密度、必要な接合温度、ホット・スポット出力密度又はこれらの組み合わせに基づいて非常に低い熱抵抗を要求し、一方、キャッシュ・メモリ・チップ213は、熱除去のための低熱抵抗を必要としないものとする。基板211は第1レベルのチップ・パッケージの一部である。
【0066】
微細溝冷却アセンブリ230は、例えば銅のような金属材料で形成されることができ、ここで、種々なコンポーネント231、232及び233は別々に形成された銅から成るコンポーネントであり、これらは微細溝冷却アセンブリ230を構成するように組み立てられる。例えば、冷却基部231は平坦な銅板であり、そしてこれの上面に熱伝導フィンが形成されてこれらの間に微細溝が形成されているか又は周知の技術を使用してこのような微細溝を有する構造体が設けられており、そして冷却基部231は、内部に微細溝が設けられている冷却ボディ232に結合されている。
【0067】
図17は、細かなピッチの微細溝232aの第1パターン及び粗いピッチの微細溝232bの第2パターンを示し、これらは、冷却ボディ232の内部空洞内に形成されそして冷却基部231上に形成されている。微細溝を規定する熱伝導フィンは、冷却ボディ232の側壁と同じ高さま又は冷却ボディ232の側壁の高さよりも低いレベルまで冷却基部231の表面から垂直方向に延びる。冷却蓋233は、冷却ボディ232の上面に結合され、これにより微細溝パターン232a及び232bを内部空洞領域内に完全に密封し、そして冷却剤の流路を形成する。具体的にいうと、入口224を介して供給される冷却流体は、入口室224aに流入し、微細溝232a及び232bを通って出口室225aに至りそして流体出口225から取り出される。
【0068】
冷却基部231が、チップの材料(シリコン)のCTEと一致しないCTEを有する銅または他の金属材料で作られている例示的な実施形態においては、高性能チップ212は、シリコン及び銅の間の熱膨張の不一致を許容又は補償する可撓性(準剛性)の充填型ポリマー接着剤(0.03mm(0.0012インチ)の幅で約13C・mm/Wの熱抵抗)で形成される熱伝導接着剤TBを使用して銅の冷却基部231の底面のうち細かなピッチの微細溝232aに対応する領域に熱伝導的に結合され、一方、シリコン及び銅の間の熱膨張の不一致を許容又は補償できる厚いインジウム・ハンダ層(0.1乃至0.25mm、約6C・mm/Wの熱抵抗)により効果的な低熱抵抗を与えることができる(但し、薄いインジウム・ハンダ層(<0.1mm)ではこれを行うことはできない)。減少した熱抵抗を与えるために、細かなピッチの微細溝パターン222aが、プロセッサ・チップと位置が一致する領域に使用され、これによりプロセッサ・チップ212は、流体入口224を介して供給される冷却液を使用して冷却され得る。
【0069】
低性能のキャッシュ・メモリ・チップ213は、機械的に柔軟性で且つ熱導電型の材料から形成される熱伝導接着剤TBを使用して冷却基部231の底面に熱伝導的に結合され、この熱伝導接着剤TBは剪断応力を伝えず、かくして、冷却基部231及びプロセッサ・チップ212の背面の間の熱伝導接着剤TBに横方向の剪断負荷は加えられない。キャッシュ・メモリ・チップ213は、細かなピッチの微細溝領域232aを通過するときに暖められた水即ち冷却流体(冷却液)がこの微細溝領域232aの下流にある粗いピッチの微細溝領域232bを通過することにより冷却される。
【0070】
チップ213に対する熱抵抗は、プロセッサ・チップ212の上の微細溝232aの寸法に比べて微細溝232bの幅または高さ或いはその両方を増大することにより調整されることができる。再び説明すると、キャッシュ・メモリ・チップ213の上を流れる冷却流体の総圧力低下は、プロセッサ・チップ212の上を流れる冷却流体の総圧力低下よりも小さい。
【0071】
本発明の他の例示的な実施形態において、プロセッサ・チップ212上の層をできるだけ薄くするために、キャッシュ・メモリ・チップ213上の熱伝導接着層TBが、プロセッサ・チップ212上の熱伝導接着層TBよりも厚くすることが要求される場合、キャッシュ・メモリ・チップはプロセッサ・チップよりも薄くされ、又は冷却基部のうちキャッシュ・メモリ・チップの上の領域に窪みを付けることができる。
【0072】
本発明の他の例示的な実施形態において、図15乃至図17を参照して説明した微細構造の代わりに、高熱性能(及び流れ抵抗又は流圧)の第1領域に続いて低熱性能(及び流れ抵抗)の第2領域が設けられている米国特許出願番号12/120,069号(名称:Stacked and Redundant Coolers)に説明されている例えばメッシュ層、積層化された微細溝、ズレて積層化された微細溝のような冷却構造を使用することができる。
【0073】
例えば、図1及び図2を参照して説明したようなシリコンの微細溝冷却アセンブリ構造30(130)の代わりに、上記米国特許出願番号12/120,069号において説明されているような銅製の冷却器を使用することができる。上記特許出願は、全て一体化されている流体流路、マニホルド及び冷却層を有し、そして冷却層が積み重ねられた微細溝、積み重ねられずらされた微細溝、メッシュ又は他の構造を有する銅の冷却構造を示している。例えば、銅の冷却構造が図2の例示的な構造100において使用されるならば、熱伝導板140がMCM及びベース・リングに取り付けられた後に、銅の冷却器は、例えばシリコーン(silicone)のような準密封性の接着剤を使用して熱伝導板140の各開口141の側部に直接固定され、そして可撓性の充填型ポリマー材料又は厚いインジウム・ハンダ層を使用してチップ112の背面に熱伝導的に接着される。流体マニホルドが熱伝導板140にマウントされている別の流体マニホルド150内に形成されている第2図の実施形態のようにではなく、ホースバーブ(タケノコ型)フィッテング(出入り口)が、銅の冷却器の上面に取り付けられ、そして、可撓性のホースが熱伝導板140の上面に形成されているマニホルド上にマウントされた出入り口からの冷却剤の流れを与えるために使用されることができる。
【0074】
例として、図18及び図19は、図2の電子モジュール100の熱伝導板40及び流体マニホルド50の代わりに使用されることができる本発明の例示的な実施形態に従う熱伝導板(サーマルハット)構造240を概略的に示す。具体的にいうと、図18は、本発明の例示的な実施形態に従う一体型の入口室及び出口室を備える熱伝導板240の概略的な破断図であり、そして図19は、線8B−8Bに沿った図18の例示的な熱伝導板240の断面図である。図18及び図19に示すように、熱伝導板240は、上面240a、下面240b及び上面240aに形成されている窪まされた領域(パターン化された領域)250を有する平坦な正方形又は長方形のパッケージ・カバーである。窪まされた領域250は、複数個の開口241及び隆起された(メサ)中央領域243に形成されたネジ孔242を有する。開口241は、熱伝導板240が基板上にマウントされそして熱除去のためにチップに熱伝導的に結合されたときに(これについては図20を参照して説明する)、銅製の冷却器のそれぞれが嵌合されるようにされた寸法及び形状を有する。
【0075】
更に、窪まされた領域250は、熱伝導板240の一部として一体的に形成された出口室254及び入口室253を備える窪まされた八角形の溝を含む。出口室254は側壁255及び256により部分的に規定され、そして入口室253は側壁256及び257により部分的に規定される。側壁255は、隆起された中央領域243を取り囲む周囲側壁240dの底部を囲む隆起構造を形成し、そして側壁257は、窪まされた領域250の周囲を規定する側壁240cの底部の周りに隆起構造を形成する。
【0076】
熱伝導板240は、外側側壁面251a、内側側壁面251b並びに複数個の出口258及び入口259を有するリング状の板251を含む。リング状の板251は、入口室253及び出口室254を封止し、但し内側隆起領域243を露出するように、熱伝導板240の窪まされた領域250内に嵌合されるような寸法及び形状を有する。具体的にいうと、リング型板251は、このリング型板251の側壁251a及び251bが側壁面240c及び240dの間に配置されて適合するように、そして板251の底面が側壁255,256及び257の上面に配置されるような寸法及び形状を有する。板251は、周知の技法を使用するロウ付けにより固定的に接続される。リングの形の板251が熱伝導板240の窪まされた領域250に固定されるときに、出口258は出口室254に位置合わせされ、そして入口259は入口室253に位置合わせされる。複数個のネジ付管260が入口259に固定され、そして複数個のネジ付管261が出口258に固定される。
【0077】
図20は、図18の例示的な熱伝導板を組み込んだ本発明の例示的な実施形態に従う電子モジュールの透視図である。図20は、図18及び図19の例示的な熱伝導板240を図2のMCM110に組み込むことにより形成された電子モジュール300の透視図である。図20は、窪まされた領域250に配置されて内側メサ領域243を露出するリング型の板251,複数個のネジ付管260,261及びMCM110(図示せず)を熱伝導板240の底面240bに固定するベース・リング310を有する熱伝導板240を示す。図20の例示的な実施形態において、熱伝導板240がMCM110及びベース・リング310に取り付けられた後に、銅の冷却構造は、例えばシリコーン(silicone)のような準耐水性の接着剤を使用して熱伝導板240の各開口の内側側壁に直接固定され、そして、チップ基板111(図2)上のチップ112の背面へ熱伝導的に結合される。
【0078】
もしも必要ならば、機械的に柔軟性で且つ熱伝導型の材料が、銅の冷却構造及びチップ112の背面の間に使用され得ることに注目されたい。個々の銅冷却構造がチップ毎に112に使用されるので、厚さ及び傾きの変動を補償することができ、そして薄い接着ラインがもたらされる。複数個のホースバーブ(タケノコ型)の管270及び271が、各開口241内を延びる銅の冷却器の上面に取り付けられ、ここで、管270は冷却器の流体入口に接続され、そして管271は冷却器の流体出口に接続される。
【0079】
図20に示す例示的な実施形態においては、5個のネジ付管260が熱伝導板240の入口室253に連通する流体入口250に固定され、そして、5個のネジ付管261が熱伝導板240の出口室254の連通する出口258に固定される。銅製の冷却器の入口に連通する管270のそれぞれは、冷却液ホース(図示せず)を介して4個の管260のそれぞれに接続され、一方、第5番目の管260は外部の冷却液供給ラインに接続される。同様に、銅製の冷却器の出口に連通する管271のそれぞれは、冷却液ホースを介して管261の4つのそれぞれに接続され、一方、第5番目の管261は、外部の冷却液回収ラインに接続される。この構成において、冷却流体は、入口室253に流れ込みそして入口259のそれぞれに分配され、ここで冷却流体は接続している冷却剤ホースを介して銅製冷却器の入口室253から入口管270に流れ、一方、冷却流体は、管261及び接続冷却液ホースを介して銅製冷却器の出口管271から熱伝導板240の出口室254に流れ、ここで、冷却流体は、冷却流体供給戻しホースへ接続されている出口管261に連通している出口室254に流れる。
【0080】
図18,図19及び図20に示した実施形態においては、キャッシュ・メモリ・チップ113は、出口室254に位置合わせされている熱伝導板240の底面240b(これにチップ113が熱伝導的に結合されている)からの熱伝導通路を介して冷却され、ここで、熱は、熱伝導板240の底面240bから出口室254内の暖められた冷却流体により吸収される。キャッシュ・メモリ・チップ113は、熱サイクルの間熱伝導板240及びキャッシュ・メモリ・チップ113の間の剪断力を伝えない機械的に柔軟性で且つ熱伝導性の材料を使用して熱伝導板240の底面240bに熱伝導的に結合される。例示的な実施形態において、入口マニホルド溝253は、出口マニホルド溝254と比べてキャッシュ・メモリ・チップ113に対してより一層位置合わせされるならば出口マニホルドとして使用されることができ、この出口マニホルドは、銅製の冷却器の入口管270へ分配される冷却剤の流れを受けとる。出口マニホルド溝254は、この中を流れる流体によりキャッシュ・メモリ・チップ113へ与えられる冷却量を減少するように再位置決めされることができる。
【0081】
図面を参照して例示的な実施形態を説明したが、本発明のシステム及び方法は、これらの実施形態に限定されるのではなく、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者により種々な変更及び修正がなされ得ることが明らかである。このような全ての変更及び修正は、本発明の範囲内のものになるであろう。
【符号の説明】
【0082】
1 電子モジュール
10 ICチップ・モジュール
11 基板
12,13 チップ
20 共通液体冷却モジュール
30 冷却アセンブリ
31 微細溝冷却装置
32 微細溝冷却マニホルド
33 位置決め素子
34 流体入口
35 流体出口
40 熱伝導板
50 共通冷却剤マニホルド
51 流体入口
52 流体出口
53 入口室
54 出口室
TB,TB 熱伝導接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ基板と、該パッケージ基板の第1表面上にフリップ・チップ方式でマウントされた第1集積回路チップ及び第2集積回路チップと、前記パッケージ基板の前記第1表面に対向する第2表面上に設けられたコンタクト・アレイとを有するチップ・レベルのパッケージ構造と、
前記第1集積回路チップ及び前記第2集積回路チップに熱伝導的に結合された冷却モジュールであって、冷却液入口と、冷却液出口と、前記冷却液入口から前記冷却モジュール内を通って前記冷却液出口まで延びる冷却液流路とを有する前記冷却モジュールとを備え、
前記第1集積回路チップが、前記冷却モジュールのうち、前記冷却液流路内を流れる冷却液により冷却される第1部分に熱伝導的に結合され、
前記第2集積回路チップが、前記冷却モジュールのうち、前記第1集積回路チップを冷却した結果暖められて前記冷却液流路を流れる冷却液により冷却される第2部分に熱伝導的に結合されている電子装置。
【請求項2】
前記第1集積回路チップが、準剛性の可撓性接着材料及び剛性接着材料から成る群から選択された非柔軟性の熱伝導性接着材料により前記冷却モジュールに熱伝導的に結合されており、前記第2集積回路チップが、機械的に柔軟性で且つ熱伝導性の材料により前記冷却モジュールに熱伝導的に結合されている、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記第1集積回路チップがプロセッサ・チップであり、前記第2集積回路チップがメモリ・チップである、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記冷却液流路が、前記冷却モジュールの前記第1部分に近接する冷却液流路を流れる冷却液の流圧が、前記冷却モジュールの前記第2部分に近接する冷却液体流路を流れ前記第1集積回路チップを冷却した結果暖められた冷却液の流圧よりも大きい、請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
前記冷却モジュールが微細溝冷却装置であり、該微細溝冷却装置が、
第1溝幅を有する微細溝を規定する熱伝導性の微細フィンの第1パターンであって、前記冷却モジュールのうち前記第1集積回路チップが熱伝導的に結合されている前記冷却モジュールの前記第1部分に近接する冷却液流路の一部を規定する、前記熱伝導性の微細フィンの第1パターンと、
前記第1溝幅よりも大きな第2溝幅を有する微細溝を規定する熱伝導性の微細フィンの第2パターンであって、前記第2集積回路チップが熱伝導的に結合されている前記冷却モジュールの前記第2部分に近接する冷却液流路の一部を規定する、前記熱伝導性の微細フィンの第2パターンと、を有する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記冷却モジュールが、
互いに対向する第1表面及び第2表面と、前記第1表面から前記第2表面にまで貫通する開口とを有する平坦状の熱伝導装置と、
前記平坦状の熱伝導装置の前記開口内に配置された冷却アセンブリであって、互いに対応する第1表面及び第2表面と、前記第1表面に配置された入口及び出口と、前記入口から前記冷却アセンブリ内を通って前記出口まで延びる冷却液流路とを有する前記冷却アセンブリと、
前記冷却モジュールの前記冷却液流路の一部を規定する入口室及び出口室を有する流体マニホルドであって、前記入口室及び前記出口室は、該入口室及び出口室を流れる前記冷却液が前記平坦状の熱伝導装置に直接接触するように構成されている、前記流体マニホルドと、を備え、
前記平坦な熱伝導装置が前記チップ・レベルのパッケージ構造上に載置され、前記第1集積回路チップの背面が前記冷却アセンブリの前記第2表面に熱伝導的に結合され、前記第2集積回路チップの背面が前記平坦な熱伝導装置の前記第2表面に熱伝導的に結合されており、
前記冷却アセンブリの前記入口が前記流体マニホルドの前記入口室に接続されており、
前記冷却アセンブリの前記出口が前記流体マニホルドの前記出口室に接続されている、請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記流体マニホルドが互いに対向する第1表面及び第2表面を有する平坦状の装置であり、前記入口室及び前記出口室が前記第2表面に設けられており、入口及び出口が前記第1表面に設けられており、前記入口が前記第1表面から前記入口室まで延びており、前記出口が前記出口室まで延びており、前記流体マニホルドの前記入口室が前記冷却アセンブリの前記入口に接続されそして前記流体マニホルドの前記出口室が前記冷却アセンブリの前記出口に接続するように前記流体マニホルドの前記第2表面が前記平坦な熱伝導装置の第1表面に結合されている、請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記流体マニホルドが前記平坦な熱伝導装置の一部として一体的に形成され、前記入口室及び前記出口室が前記開口を囲むように前記平坦な熱伝導装置の前記第1表面に形成され、マニホルド・カバー板により覆われている、請求項6に記載の電子装置。
【請求項9】
前記冷却アセンブリが、
前記第1集積回路チップに剛性接着されシリコンで形成された微細溝冷却装置であって、シリコンの熱伝導性のフィンのパターンにより規定される冷却流路を有する前記微細溝冷却装置と、
前記微細溝冷却装置上に載置され、該微細溝冷却装置に前記冷却液を分配し回収する微細マニホルド装置と、を備え、
前記微細マニホルド装置が、前記入口及び前記出口を有する前記冷却アセンブリの前記第1表面を規定する表面を有し、
前記微細マニホルド装置が、前記冷却アセンブリの前記入口から前記出口まで延びる前記冷却液流路の一部を規定する入口マニホルド及び出口マニホルドを有する請求項6に記載の電子装置。
【請求項10】
前記冷却アセンブリが、金属で形成されそして前記第1集積回路チップに剛性接着されている一体型装置を有し、
前記一体型装置が、冷却層と、マニホルドと、前記冷却アセンブリの前記入口及び前記出口を有する前記冷却アセンブリの前記第1表面を規定する表面とを有し、
前記一体型装置が、前記入口から前記出口まで前記冷却アセンブリ内を延びる前記冷却液流路の一部を規定する入口マニホルド及び出口マニホルドを有する、請求項6に記載の電子装置。
【請求項11】
前記一体型装置が、積層された微細溝、メッシュ型の構造、又はずらされて積み重ねられた微細溝を含む、請求項10に記載の電子装置。
【請求項12】
前記冷却モジュール及び前記パッケージ基板が、前記第1集積回路チップ及び前記第2集積回路チップを囲む準密封性の封止を形成するように結合されている、請求項1に記載の電子装置。
【請求項13】
パッケージ基板と、該パッケージ基板の第1表面上にフリップ・チップ方式でマウントされた第1集積回路チップ及び第2集積回路チップと、前記パッケージ基板の前記第1表面に対向する第2表面上に設けられたコンタクト・アレイとを有するチップ・レベルのパッケージ構造と、
互いに対向する第1表面及び第2表面と、前記第1表面から前記第2表面にまで貫通する開口とを有する平坦状の熱伝導装置と、
前記平坦状の熱伝導装置の前記開口内に配置された冷却アセンブリであって、互いに対応する第1表面及び第2表面と、前記第1表面に配置された入口及び出口と、前記入口から前記冷却アセンブリ内を通って前記出口まで延びる冷却液流路とを有する前記冷却アセンブリと、
互いに対向する第1表面及び第2表面を有し、前記第1表面に入口及び出口が設けられており、前記第2表面に入口室及び出口室が設けられている平坦状の流体マニホルドであって、前記入口が前記第1表面から前記入口室まで延びており、前記出口が前記第1表面から前記出口室まで延びている前記平坦状の流体マニホルドと、を備え、
前記平坦状の熱伝導装置が前記チップ・レベルのパッケージ構造の上に載置されており、前記第1集積回路チップの背面が前記冷却アセンブリの前記第2表面に位置合わせされて熱伝導的に結合されており、前記第2集積回路チップの背面が前記平坦な熱伝導装置の前記第2表面の領域に熱伝導的に結合されており、
前記流体マニホルドの前記第2表面は、(i)前記流体マニホルドの前記入口室が前記冷却アセンブリの前記入口に位置合わせされて前記入口室から前記冷却アセンブリの入口に冷却液を送るように、そして(ii)前記流体マニホルドの前記出口室が前記冷却アセンブリの前記出口に位置合わせされて前記冷却アセンブリの前記出口から前記流体マニホルドの前記出口室に前記冷却液を送るように、前記平坦状の熱伝導装置の前記第1表面に結合されている、電子装置。
【請求項14】
前記平坦状の熱伝導装置が、パッケージの蓋、熱伝導カバー又は放熱板の働きをし、前記流体マニホルドの前記入口室及び出口室が前記第2表面に設けられ、前記流体マニホルドが前記平坦状の熱伝導装置に結合されたときに、前記入口室から前記出口室へ流れる冷却液が前記平坦状の熱伝導装置の前記第1表面に直接接触し、前記冷却アセンブリ内を流れる前記冷却液が前記第1集積回路チップを冷却し、前記第2集積回路チップが熱伝導的に結合されている前記平坦状の熱伝導装置の第2表面の領域に対向する該熱伝導装置の第1表面の領域上にある前記流体マニホルドの前記出口室内を流れる前記冷却液が前記第2集積回路チップを冷却する、請求項13に記載の電子装置。
【請求項15】
前記第1集積回路チップが、準剛性の可撓性接着材料及び剛性接着材料から成る群から選択された非柔軟性の熱伝導性接着材料により前記冷却アセンブリに熱伝導的に結合されており、前記第2集積回路チップが、機械的に柔軟性で且つ熱伝導性の材料により前記平坦状の熱伝導装置の前記第2表面の一部に熱伝導的に結合されている、請求項13に記載の電子装置。
【請求項16】
前記第1集積回路チップがプロセッサ・チップであり、前記第2集積回路チップがメモリ・チップであり、前記平坦状の熱伝導装置及び前記パッケージ構造が前記第1集積回路チップ及び前記第2集積回路チップに対する準密封性の包囲体を形成するように接合されている、請求項13に記載の電子装置。
【請求項17】
互いに対向する第1表面及び第2表面と、前記第1表面から前記第2表面に達する開口と、前記第1表面に設けられた入口室及び出口室と、前記第1表面に設けられ前記入口室に連通する入口及び前記出口室に連通する出口とを有する平坦状の熱伝導装置と、
前記平坦状の熱伝導装置の前記開口内に配置された冷却アセンブリであって、互いに対向する第1表面及び第2表面と、該第1表面に設けられた入口及び出口と、前記入口から前記冷却アセンブリ内を延びて前記出口まで達する冷却液流路とを有する前記冷却アセンブリと、を備え、
第1集積回路チップが前記冷却アセンブリの前記第2表面に熱伝導的に結合され、そして第2集積回路チップが前記平坦状の熱伝導装置の前記第2表面のうち前記平坦状の熱伝導装置の前記出口室に位置合わせされた領域に熱伝導的に結合されるように、前記平坦状の熱伝導装置が前記第1集積回路チップ及び前記第2集積回路チップを有するチップ・レベル・パッケージ構造上に載置されており、
前記冷却アセンブリの前記入口が前記平坦状の熱伝導装置の前記入口室に接続され、
前記冷却アセンブリの前記出口が前記平坦状の熱伝津装置の前記出口室に接続されている、電子装置。
【請求項18】
前記平坦状の熱伝導装置の前記入口室及び前記出口室が、前記平坦状の熱伝導装置の前記第1表面の窪まされた領域内に形成されており、そして前記窪まされた領域に配置される平坦状のマニホルド板により封止されており、前記入口室及び前記出口室が前記平坦状の熱伝導装置の前記開口を取り囲むように形成された通路である、請求項17に記載の電子装置。
【請求項19】
前記冷却アセンブリが、金属で形成されそして前記第1集積回路チップに剛性接着されている一体型装置を有し、
前記一体型装置が、冷却層と、マニホルドと、前記冷却アセンブリの前記入口及び前記出口を有する前記冷却アセンブリの前記第1表面とを規定する表面を有し、
前記一体型装置が、前記入口から前記出口まで前記冷却アセンブリ内を延びる前記冷却液流路の一部を規定する入口マニホルド及び出口マニホルドを有する、請求項17に記載の電子装置。
【請求項20】
前記平坦状の熱伝導装置及び前記パッケージ構造が、前記第1集積回路チップ及び前記第2集積回路チップを囲む準密封性の封止を形成するように結合されている、請求項17に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−278089(P2009−278089A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113560(P2009−113560)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】