説明

電子装置

【課題】
本発明は、集積回路素子の電極パッドと、金バンプと半田で形成されたボールとの接合強度の低下のない電子装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明の電子装置は、集積回路素子と、集積回路素子の回路の形成された面の電極パッド上に固着される金バンプと、金バンプを包む半田と、集積回路素子の電極パッドが金バンプと半田を介して接合される素子搭載部材と、素子搭載部材に配置された集積回路素子搭載用パターンとを備え、半田の体積に対する金バンプの体積比率を12パーセント以上16パーセント以下とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯用の電子機器には、各種電子装置が用いられている。
これらの電子装置のうち、例えば、圧電発振器について説明する。
図4に示すように、従来の圧電発振器200は、素子搭載部材210、蓋部材214、圧電振動素子220、集積回路素子230から主に構成されている。
素子搭載部材210は、基板部211と、第一の枠部212と、第二の枠部213で構成される。素子搭載部材210を構成する基板部211と第一の枠部212と第二の枠部213は、例えば、ガラス−セラミックス、アルミナセラミックス等のセラミック材料からなる。
また、基板部211は、一方の主面に圧電振動素子220を搭載するための圧電振動素子搭載用パターン217が配置され、他方の主面に集積回路素子230を搭載するための集積回路素子搭載用パターン218が配置されている。また、基板部211の内部には、内層配線(図示せず)が設けられ、圧電振動素子搭載用パターン217と集積回路素子搭載用パターン218とが内層配線(図示せず)を介して接続されている。
また、基板部211の一方の主面には、第一の枠部212が形成され、基板部211と第一の枠部212とで第一の凹部K1が形成される。また、第一の凹部K1には、圧電振動素子220が収容される。圧電振動素子220が収容される第一の凹部K1は、第一の枠部212と蓋部材214とで気密封止されている。
また、基板部211の他方の主面には、第二の枠部213が形成され、基板部211と第二の枠部213とで第二の凹部K2が形成される。また、第二の凹部K2には、集積回路素子230が収容される。また、第二の枠部213の四隅部は、外部接続端子216を備える構成となっている。
【0003】
蓋部材214は、基板部211と第一の枠部212で形成された第一の凹部K1を気密封止している。また、蓋部材214の材質は、42アロイやコバール、リン青銅等からなる。
圧電振動素子220は、圧電素板の両主面に励振用電極(図示せず)と接続用電極(図示せず)を備える構造となっている。また、圧電振動素子220の接続用電極(図示せず)は、導電性接着剤221を介して素子搭載部材210に配置された圧電振動素子搭載パッド217に接続されている。
集積回路素子230は、回路が形成された面に電極パッド234が形成されている。また、図4に示すように、集積回路素子230の電極パッド234は、半田232が固着されている。集積回路素子230の電極パッド234に固着された半田232は、加熱工程で溶融し、冷却固化することで、素子搭載部材210に配置された集積回路素子搭載用パターン218と接合される(例えば、特許文献1参照)。
また、集積回路素子230の電極パッド234と、素子搭載部材210に配置された集積回路素子搭載用パターン218との間には、集積回路素子230の回路形成面を保護するための樹脂240が充填されている。
【0004】
また、別の集積回路素子230の電極パッド234と素子搭載部材210に配置された集積回路素子搭載用パターン218との接合技術としては、集積回路素子230の電極パッド234上に金バンプを固着し、その上に半田を形成したものがある。この集積回路素子230の電極パッド234に固着された金バンプ上への半田の形成は、金バンプ上にメタルマスクを設けて、スクリーン印刷にて行っている。(例えば、特許文献2参照)。
この接合技術は、電極パッド234に固着された金バンプ上の半田形成にメタルマスクを設けることで、半田の塗布量バラツキを抑えることができ、集積回路素子230の電極パッド234と、素子搭載部材210に配置された集積回路素子搭載用パターン218との接合不良を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−16949号公報
【特許文献2】特開2008−301260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の圧電発振器200の集積回路素子230の電極パッド234と、素子搭載部材210に配置された集積回路素子搭載用パターン218との接合を半田232で行う場合は、加熱温度250℃程度の加熱工程を複数回行うことで、半田232が再溶融することがあった。その結果、従来の圧電発振器200は、加熱工程で再溶融した半田232が、素子搭載部材210に配置された集積回路素子搭載用パターン218上に拡がり、集積回路素子230の電極パッド234と、半田232の接合部分の接触面積が小さくなり、接合強度が低下する場合や、半田232と、集積回路素子230の電極パッド234との間が接触せず接合不良となる場合があった。
【0007】
また、従来の接合技術である集積回路素子230の電極パッド234上に金バンプを固着し、金バンプの表面に半田を設けたボールの場合は、加熱工程を複数回行うことで半田が再溶融し、半田が素子搭載基板210に配置された集積回路素子搭載用パターン218上に拡がり、集積回路素子230の電極パッド234と、金バンプと半田で形成されたボールとの接触面積が小さくなり、接合強度が低下するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、集積回路素子の電極パッドと、金バンプと半田で形成されたボールとの接合強度の低下を防ぐ電子装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子装置は、集積回路素子と、集積回路素子の回路の形成された面の電極パッド上に固着される金バンプと、金バンプを包む半田と、集積回路素子の電極パッドが金バンプと半田を介して接合される素子搭載部材と、素子搭載部材に配置された集積回路素子搭載用パターンとを備え、半田の体積に対する金バンプの体積比率を12パーセント以上16パーセント以下としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電子装置は、集積回路素子の電極パッドと、素子搭載部材に配置された集積回路素子搭載用パターンとの接合に用いられる金バンプと金バンプを包む半田によるボールの、半田の体積に対する金バンプの体積比率を、12パーセント以上16パーセント以下とすることで、集積回路素子の電極パッド上に金バンプと金バンプを包む半田で形成されたボールを固着する際に、集積回路素子の電極パッドと金バンプと金バンプを包む半田で形成されるボールとの接合強度の低下を防止できる。また、本発明の電子装置は、集積回路素子の電極パッドのアルミ剥がれモードの不良の発生を防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る圧電発振器の一例を示した断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る圧電発振器の集積回路素子の電極パッドと、金バンプと半田で形成されたボールとの接合部分のボールシェア強度の実験結果である。
【図3】本発明の実施形態に係る圧電発振器の集積回路素子の電極パッド部分のアルミ剥がれモードの不良発生率の実験結果である。
【図4】従来の圧電発振器を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の電子装置を、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の電子装置を、圧電発振器として説明する。以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る圧電発振器100の一例を示した断面図である。
図1に示すように、圧電発振器100は、素子搭載部材110、蓋部材114、圧電振動素子120、集積回路素子130とで主に構成されている。
【0014】
素子搭載部材110は、基板部111、第一の枠部112、第二の枠部113とから主に構成される。
素子搭載部材110を構成する基板部111と、第一の枠部112と、第二の枠部113は、例えば、ガラス−セラミックス、アルミナセラミックス等のセラミック材料からなる。
【0015】
また、基板部111は、一方の主面に圧電振動素子120を搭載するための圧電振動素子搭載用パターン117が配置され、他方の主面に集積回路素子130を搭載するための集積回路素子搭載用パターン118が配置されている。
また、基板部111の他方の主面の集積回路素子搭載用パターン118は、例えば3行2列に6個配置されている。図1では、例えば、集積回路素子搭載用パターン118の1列3個分の断面図を示している。素子搭載部材110に配置された集積回路素子搭載用パターン118は、後述する集積回路素子130の電極パッド134が金バンプ131と半田132を介して接合される。ここで、金バンプ131を半田132で包んだ状態をボールという。また、基板部111の内部には、内層配線(図示せず)が設けられ、圧電振動素子搭載用パターン117と集積回路素子搭載用パターン118とが内層配線(図示せず)を介して接続されている。
【0016】
また、基板部111の一方の主面には、第一の枠部112が形成され、基板部111と第一の枠部112とで第一の凹部K1が形成される。また、第一の凹部K1には、圧電振動素子120が収容される。圧電振動素子120が収容される第一の凹部K1は、第一の枠部112と蓋部材114とで気密封止されている。
【0017】
また、基板部111の他方の主面には、第二の枠部113が形成され、基板部111と第二の枠部113とで第二の凹部K2が形成される。また、第二の凹部K2には、集積回路素子130が収容される。また、第二の枠部113の四隅部は、外部接続端子116を備える構成となっている。また、第二の枠部113の四隅部に形成された外部接続端子116は、それぞれVCC端子、VCON端子、OUT端子、グランド端子として機能している。
【0018】
蓋部材114は、基板部111と第一の枠部112で形成された第一の凹部K1を気密封止している。また、蓋部材114の材質は、42アロイやコバール、リン青銅等からなる。
【0019】
圧電振動素子120は、圧電素板の両主面に励振用電極(図示せず)と接続用電極(図示せず)を備える構造となっている。また、圧電振動素子120の接続用電極(図示せず)は、導電性接着剤121を介して素子搭載部材110に配置された圧電振動素子搭載パッド117に接続されている。また、圧電振動素子120は、所定の結晶軸でカットした圧電素板に外部からの変動電圧が一対の接続用電極と励振用電極を介して圧電素板に印加されると、所定の周波数で厚みすべり振動を起こすようになっている。また、圧電素板としては、例えば水晶が用いられる。
【0020】
集積回路素子130は、少なくとも発振回路を備える構成となっている。また、集積回路素子130は、回路が形成された面に電極パッド134が形成される。電極パッド134は、素子搭載部材110に配置された集積回路素子搭載用パターン118に、半田132と金バンプ131を介して接合されている。また、集積回路素子130の電極パッド134は、集積回路素子130の回路が形成された面に、例えば3行2列に6個配置されている。尚、図1では、集積回路素子130の電極パッド134の1列3個分の断面図を示している。また、集積回路素子130の電極パッド134と、素子搭載部材110に配置された集積回路素子搭載用パターン118との間には、樹脂140が充填されている。
【0021】
金バンプ131は、集積回路素子130の回路の形成された面の電極パッド134上に超音波接合法により固着され、バンプ径が例えば40〜60μm程度であり、高さが例えば30〜40μm程度の大きさで形成されている。また、金バンプ131を半田132で包んだボールは、ボール径が例えば80〜100μm程度で、高さが例えば60〜100μm程度の大きさで形成されている。
【0022】
半田132は、金バンプ131を包んで形成される。金バンプ131と半田132は、集積回路素子130の電極パッド134と、素子搭載部材110に配置された集積回路素子搭載用パターン118との接合に用いられる。また、本発明に用いられる半田132は、例えばSn―Cu−Ni系の組成を持つ鉛フリー半田を用いても良い。
【0023】
ここで、本発明の圧電発振器100の素子搭載部材110に配置された集積回路素子搭載用パターン118と、集積回路素子130の電極パッド134との接合は、金バンプ131と、金バンプ131を包む半田132により行っている。本発明の圧電発振器100に用いられる金バンプ131と半田132による接合は、半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率の最適な比率を求めることで、集積回路素子130の電極パッド134と、金バンプ131と半田132で形成されたボールとの接合部分の接合強度の低下を防止している。半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率の最適な比率は、以下の実験を行うことで求めている。
【0024】
実験では、まず、半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率が10パーセント、11パーセント、12パーセント、14パーセント、16パーセント、17パーセント、18パーセントの実験用サンプルを体積比率毎に30個程度作成した。尚、実験用サンプルは、集積回路素子130の電極パッド134上に、超音波接合法により金バンプ131を固着し、金バンプ131上に半田132を形成し、加熱温度のピーク温度が250〜270℃の第一加熱工程を40秒程度通過させ、冷却固化することで、金バンプ131上に半田132を固着し、金バンプ131と半田132からなるボールを形成した。尚、ここで第一の加熱工程は、後述する本発明の圧電発振器100の製造方法に示すように、集積回路素子130の電極パッド134上に、金パンプ131を包む半田132を固着する際の工程である。また、比較のために、金バンプ131単独の実験用サンプルを作成した。本実験における接合強度の評価は、前述の実験用サンプルを用いて、集積回路素子130の電極パッド134上に固着された金バンプ131と半田132からなるボールを、シェアツールで水平方向に押し、ボールが破断(せん断)された時のボールシェア強度(mN)を測定している。ここでボールシェア強度とは、シェアツールによりボールを水平方向に押しボールが破断(せん断)された時の荷重値である。また、シェアツールとは、集積回路素子130の電極パッド134と金バンプ131と半田132からなるボールの接合界面に水平方向から力を加える道具である。
【0025】
図2は、前述の実験の半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率と、接合強度の関係であり、縦軸に予測確率(パーセント)、横軸にボールシェア強度(mN)を示している。図2のグラフは、グラフ左側の実験データより順に、半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率が10パーセント(◆印)、11パーセント(▲印)、体積比率が12パーセント(□印)、14パーセント(◇印)、16パーセント(△印)、17パーセント(■印)、18パーセント(●印)、金バンプ単独(○印)の場合のボールシェア強度の実験結果を示している。
【0026】
図2の結果より、半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率が10パーセント(◆印)と、11パーセント(▲印)では、集積回路素子130の電極パッド134と、金バンプ131と半田132で形成されたボールとの接合部分のボールシェア強度が147mN(◆印)と、ボールシェア強度が210mN(▲印)に低下することがわかった。その比較としては、金バンプ131単独(○印)の場合の集積回路素子130の電極パッド134と金パンプ131との接合部分のボールシェア強度が310mNである。また、半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率が12パーセント(□印)では、集積回路素子130の電極パッド134と金バンプ131と半田132で形成されたボールとの接合部分のボールシェア強度が350mNとなり、金バンプ131単独(○印の場合よりボールシェア強度が向上することがわかった。
【0027】
また、図2の実験結果より、半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率が10パーセント(◆印)と11パーセント(▲印)では、金バンプ131中の金と、半田132に含まれる錫(Sn)により、加熱温度のピーク温度が250〜270℃の第一加熱工程を40秒程度通過させ、冷却固化させる第一の加熱工程で合金層が形成され、金バンプ131中の金が、半田132中に拡散し、金パンプ131の体積が縮小するのが確認された。その結果、半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率が10パーセントと、11パーセントでは、集積回路素子130の電極パッド134と、金バンプ131と半田132で形成されたボールとの接合部分の接触面積が小さくなり、集積回路素子130の電極パッド134と、金パンプ131と半田132で形成されたボールとの接合部分のボールシェア強度が低下したと推測される。
【0028】
また、図2より、半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率が14パーセント(×印)以上は、体積比率が12パーセントよりも更に、集積回路素子130の電極パッド134と、金パンプ131と半田132で形成されたボールとの接合部分のボールシェア強度が向上することが確認された。また、半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率が16パーセントを超える場合は、前述のボールシェア強度の測定で、集積回路素子130の電極パッド134と金バンプ131と半田132で形成されたボールとの接合部分で、電極パッド134を形成するアルミが剥がれる、アルミ剥がれモードの不良が発生することが確認された。その実験結果を図3のグラフに示す。
【0029】
図3のグラフは、縦軸に、集積回路素子130の電極パッド134部分のアルミ剥がれモード不良発生率(パーセント)、横軸に、半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率(パーセント)を示す。図3のグラフから、半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率の10〜16パーセントは、アルミ剥がれモードの不良がないことがわかる。これに対し、半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率の17パーセント(図2の■印)と、18パーセント(図2の●印)では、集積回路素子130の電極パッド134を形成するアルミが剥がれる、アルミ剥がれモードの不良が発生することがわかった。このアルミ剥がれモードは、集積回路素子130の電極パッド134と、金バンプ131と半田132で形成されたボールとの接合部分が強固過ぎるために、集積回路素子130の電極パッド134部分のアルミが剥がれる状態が生じている。
【0030】
以上より、本発明の圧電発振器100の半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率が12パーセント以上は、金バンプ131単独(図2の○印)の場合よりボールシェア強度が向上することがわかった。これは、集積回路素子130の電極パッド134を、金バンプ131と半田132を介して、素子搭載部材110に配置された集積回路素子搭載用パターン118に接合する工程で、加熱温度のピーク温度が250〜270℃の第一加熱工程を40秒程度通過させるが、この第一加熱工程で、金パンプ131の体積が縮小することがなく、半田132の素子搭載部材110に配置された集積回路素子搭載パターン118への拡がりを抑え、集積回路素子130の電極パッド134と、金バンプ131と半田132で形成されたボールとの接合部分の接触面積が小さくなることがなくいためと推測される。その結果、半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率が12パーセント以上は、集積回路素子130の電極パッド134と、金バンプ131と半田132で形成されたボールとの接合部分の接合強度の低下を防止することができる。
【0031】
また、本発明の圧電発振器100の半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率が16パーセント以下は、集積回路素子130の電極パッド134部分のアルミ剥がれモードの不良の発生を抑えることができる。
【0032】
よって、図2と図3の結果より、本発明における圧電発振器100に用いられる半田132の体積に対する金バンプ131の体積比率の12パーセント以上16パーセント以下は、集積回路素子130の電極パッド134と、金パンプ131と半田132で形成されたボールとの接合部分の接合強度が向上し、更に、集積回路素子130の電極パッド134のアルミ剥がれモードの不良の発生のない、最適な体積比率であることがわかった。
【0033】
本発明の圧電発振器100の製造方法は、以下の通りである。ここでは、集積回路素子130の電極パッド134と、素子搭載部材110に配置された集積回路素子搭載用パターン118を、金バンプ131と、半田132を介して接合する工程を中心に説明する。まず、ウェハ状の集積回路素子の電極パッド134上に、超音波接合法により金パンプ131を固着する。
【0034】
そして、ウェハ状の集積回路素子の電極パッド134に固着された金バンプ131上に、半田132形成用に設計されたメタルマスク(図示せず)を用いて半田132を設ける。その後、半田132形成用のメタルマスクを、ウェハ状の集積回路素子上から除去した後、加熱温度のピーク温度が250〜270℃の第一の加熱工程を40秒程度通過させ、冷却固化することで、ウェハ状の集積回路素子の電極パッド134上に、金パンプ131を包むように半田132が固着される。
【0035】
その後、ウェハ状の集積回路素子を、ダイシングにより個片の集積回路素子130に切断する。個片化された集積回路素子130は、圧電発振器100の蓋部材114側を下にした状態で、素子搭載部材110に配置された集積回路素子搭載用パターン118上に、集積回路素子130の電極パッド134に固着された金バンプ131と、半田132を介して載置される。
【0036】
その後、集積回路素子130の電極パッド134は、圧電発振器100の蓋部材114側を下にした状態で、加熱温度のピーク温度が260〜280℃の第二の加熱工程を10秒程度通過させ、冷却固化することで、素子搭載部材110に配置された集積回路素子搭載用パターン118上に、金パンプ131と半田132を介して接合される。最後に、圧電発振器100の蓋部材114側を下にした状態で、集積回路素子130の回路形成面を保護する目的で、集積回路素子130と基板部111間に、樹脂140を塗布注入し硬化させることで、圧電発振器100が完成する。
【0037】
また、前記した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態に示した圧電発振器100の第一の凹部K1に搭載される圧電振動素子120は、平面視矩形状の圧電素板の両主面に励振用電極と接続用電極を備える構造を示したが、これに限定することなく、例えば、平面視形状が円形や、音叉形の圧電素板に各種電極を設けた形態の圧電振動素子でもよく、又圧電振動素子に変えて弾性表面波素子を用いても構わない。
【符号の説明】
【0038】
100・・・圧電発振器(電子装置)
110・・・素子搭載部材
111・・・基板部
112・・・第一の枠部
113・・・第二の枠部
114・・・蓋部材
116・・・外部接続端子
117・・・圧電振動素子搭載用パターン
118・・・集積回路素子搭載用パターン
120・・・圧電振動素子
121・・・導電性接着剤
130・・・集積回路素子
131・・・金バンプ
132・・・半田
134・・・電極パッド
140・・・樹脂
K1・・・第一の凹部
K2・・・第二の凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路素子と、
前記集積回路素子の回路の形成された面の電極パッド上に固着される金バンプと
前記金バンプを包む半田と、
前記集積回路素子の電極パッドが前記金バンプと前記半田を介して接合される素子搭載部材と、前記素子搭載部材に配置された集積回路素子搭載用パターンとを備え、
前記半田の体積に対する前記金バンプの体積比率を12パーセント以上16パーセント以下としたことを特徴とする電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−9729(P2012−9729A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145983(P2010−145983)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】