説明

電子部品の整列装置および整列方法

【課題】 反転ステーションにおいて、水平にスライドさせて電子部品を受け渡ししているため、長手方向での電子部品の寸法が大きくなると電子部品の受け渡しに時間を要し、長手方向での電子部品の寸法の大小が電子部品の整列の高速化に影響する。
【解決手段】 ターンテーブル外周縁の収納溝12aは抜き窓形状とされる。反転ステーションCにおいて、極性が所定方向に向いていない電子部品W2を反転テーブル24の昇降部材24bの上面に吸着して乗せたまま下降して収納溝12aから取出す。昇降部材24bを内蔵して一体的に回動する回動部材24aを180°回動して電子部品W2の向きを反転させて電子部品の極性を所定方向に向けると、昇降部材24bが上昇して電子部品を収納溝12aに戻し、それから吸着が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極性を有する電子部品を所定方向に整列させる電子部品の整列装置および整列方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDチップ、インダクターチップなどの極性を有する電子部品(ワーク、チップ)においては、その極性を所定方向に揃えて整列させることが必要とされる。電子部品の極性の整列は整列装置によってなされ、極性の整列化された電子部品は、たとえばエンボステープの凹所に格納され、カバーテープで覆ったエンボステープをリールに巻き取って次工程に送られる。
【0003】
電子部品の整列装置として、半径方向外方に開口して半径方向に延びた収納溝が所定角度(ターンテーブルの間欠送り)だけ離反してターンテーブル(インデックステーブル)の外周縁に形成され、電子部品は収納溝に収納されて送られ、極性が所定方向に向いていない電子部品の極性を反転テーブルによって所定方向に揃えて整列化する構成が知られている(たとえば、特開平08−236988号公報)。
【0004】
電子部品の整列装置においては、ターンテーブルの間欠送りに対応してターンテーブルの回りに、たとえば、供給ステーション、検査ステーション、反転ステーション、排出ステーション、梱包ステーションなどのステーションが設定される。
まず、供給ステーションでは、電子部品は、たとえば振動式のパーツフィーダーからターンテーブルに、極性の向きを問わず形状としての方向を整えて数珠つなぎに上向きで供給されて、ターンテーブル外周縁の収納溝に順次収納される。パーツフィーダーは釜形状の本体に加えてターンテーブルとの間に設けられたリニアフィーダーを持ち、電子部品はリニアフィーダーの先端からターンテーブルに供給されて、収納溝に収納される。
【0005】
ターンテーブル外周縁の収納溝に収納された状態で電子部品は、供給ステーションからターンテーブルの回りに設けられた他のステーションにターンテーブルの間欠送りに伴って送られ、たとえば、検査ステーションで電子部品の極性の向き、電気特性が検査、判定される。極性の向きが所定方向にないと判定された電子部品は、反転ステーションで極性の向きを反転して(180°回動して)所定方向に揃えて整列される。整列すべきにも拘らず整列ミスした電子部品や、検査ステーションで電気特性が不良(NG)と判定された電子部品は、次の排除ステーションで排除され、極性の整列された電子部品は梱包ステーションでエンボステープの凹部に順次格納され、エンボステープをカバーテープで覆ってリールに巻き取られる。
【0006】
ターンテーブルの回りに設定される検査ステーション、反転ステーション、排出ステーション、梱包ステーションにおいて、最もその処理に時間を要するのが反転ステーションにおける極性の反転、整列であるため、反転、整列を迅速に行うことがターンテーブルの送りの高速化の点から望まれている。
【0007】
反転ステーションにおける電子部品の極性の反転、整列について詳細に述べると、反転テーブルがターンテーブルの回りで反転ステーションに配置され、ターンテーブル外周縁の収納溝に連通した同一横断面形状の反転溝が反転テーブルに形成されている。
【0008】
検査ステーションで極性の向きが所定方向にないと判定された電子部品がターンテーブルの間欠送りによって反転ステーションに至ると、電子部品はターンテーブル外周縁の収納溝から反転テーブルの反転溝に送り込まれる。電子部品が反転溝に送り込まれると反転テーブルが180°回動され、それによって、反転溝内の電子部品の向きが反転されて、その極性が所定方向に揃えられて整列される。整列された電子部品は反転テーブルの反転溝からターンテーブル外周縁の収納溝に送り出される(戻される)。
【0009】
なお、極性が所定方向に向いていると検査された電子部品(すでに整列されている電子部品)については、反転ステーションでの反転、整列は不要であるため、その電子部品が反転ステーションに至っても、ターンテーブル外周縁の収納溝、ターンテーブルの反転溝間での電子部品の受け渡しは行われない。
【0010】
このように、反転ステーションにおいては反転テーブルを利用して電子部品の極性が反転、整列されており、ターンテーブル外周縁の収納溝、反転テーブルの反転溝の間での電子部品の受け渡し(送り込み、送り出し(戻し))は、たとえば空気をターンテーブル外周縁の収納溝、反転テーブルの反転溝の間に流し、その空気流のもとで電子部品をスライドさせて行われている。
【0011】
吸着アームに電子部品を吸着して受け渡しする構成では、吸着アームは吸着してから上昇し、回動してから下降しており、電子部品の移動距離は長く、また、空中を移動中に落下するおそれがある。
これに対して、スライドによる電子部品の受け渡しは、同一平面にあるターンテーブル外周縁の収納溝、反転テーブルの反転溝の間での水平面における平行移動であり、受け渡し中に電子部品が落下するおそれはなく、移動距離が少ないため、反転ステーションにおける電子部品の反転、整列が迅速に行える。そのため、ターンテーブルの送りが高速化でき、電子部品の供給から反転、整列を経てエンボステープへの梱包に至る一連の処理が高速で行え、高い生産性が確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平08−236988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
通常、振動式のパーツフィーダーからターンテーブルにその長手方向に沿って数珠つなぎに供給され、長手方向から収納溝に収納されており、長手方向に長い形状の電子部品については、ターンテーブル外周縁の収納溝も電子部品の外形に合わせて半径方向が円周方向より大きな形状に形成される。
【0014】
しかしながら、反転ステーションにおいて、ターンテーブル外周縁の収納溝、ターンテーブルの反転溝の間の電子部品の受け渡しが、電子部品を水平面でスライドさせて行われているため、長手方向での電子部品の寸法が大きくなれば電子部品の受け渡しに時間を要し、長手方向での電子部品の寸法の大小が電子部品の整列の高速化に影響する。
【0015】
また、水平にスライドさせて電子部品を受け渡しするためにターンテーブル外周縁の収納溝は半径方向外方に開口した形状となる。そして、電子部品はターンテーブル外周縁の収納溝に収納されたまま送られており、ターンテーブルの間欠送り時に生じる遠心力によって電子部品が収納溝から飛び出すおそれがある。そのため、ターンテーブルを積載するサポートディスクをターンテーブルより大径に成形し、ターンテーブルの外周縁の回りでサポートディスクから上方に突出させた円環状のガードを設けて収納溝からの電子部品の飛び出しを防止する必要がある。
【0016】
さらに、反転ステーションでの電子部品の受け渡しは、空気流を流してその推進力で電子部品を平面内でスライドさせており、空気の流路をカバーで覆えば大きな推進力が得られて迅速なスライドが可能となる。しかし、ストッパ(収納溝の奥の壁面など)に当てて電子部品を所定位置に停止させているため、大きな推進力でスライドさせるとストッパとの当接によって電子部品が破損するおそれがあり、空気流のもとでスライドさせて行う電子部品の受け渡しでは、高速での処理が制限される。
【0017】
本発明は、電子部品の長手方向の寸法の大小に関係なく高速処理が可能な電子部品の整列装置の提供を目的としている。
また、本発明は、電子部品の長手方向の寸法の大小に関係なく高速処理が可能な電子部品の整列方法の提供を別の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために本発明においては、電子部品は水平面で受け渡しされず、垂直方向で受け渡されている。すなわち、ターンテーブル外周縁の収納溝が、従来の構成では、底付形状に形成されて電子部品を収納溝上に載せて収納するのに対して、本発明では収納溝は抜き窓形状に形成され、抜き窓形状の収納溝の下方から垂直方向で電子部品が受け渡されている。
【0019】
すなわち、請求項1記載の本発明によれば、サポートディスクに積載されて間欠送りされるターンテーブルに極性のある電子部品を供給してターンテーブルの外周縁の収納溝に電子部品を収納し、極性の向きが所定方向に向いていない電子部品を収納溝から反転テーブルに移し、反転テーブルを180°回動させることにより電子部品の極性の向きを所定方向に揃えて極性を整列させる電子部品の整列装置において、ターンテーブル外周縁の収納溝が、収納した電子部品をサポートディスク上でスライドさせて送る抜き窓形状とされ、反転テーブルがその上面に負圧の作用する吸着孔を有して昇降可能かつ回動可能とされ、極性が所定方向に向いていない電子部品を吸着して載せたまま下降して収納溝から取出し、180°回動して電子部品の向きを反転させて電子部品を所定方向に向けてから上昇し、電子部品を収納溝に戻して吸着を解除する構成としている。
請求項2記載の本発明によれば、サポートディスクに積載されて間欠送りされるターンテーブルに極性のある電子部品を供給してターンテーブルの外周縁の収納溝に電子部品を収納し、極性の向きが所定方向に向いていない電子部品を収納溝から反転テーブルに移し、反転テーブルを180°回動させることにより電子部品の極性の向きを所定方向に揃えて極性を整列させる電子部品の整列装置において、ターンテーブル外周縁の収納溝が、収納した電子部品をサポートディスク上でスライドさせて送る抜き窓形状とされ、反転テーブルは、上面に負圧の作用する吸着孔を有してターンテーブルの収納溝と整列する位置でサポートディスクの一部を切り欠いてターンテーブルの下面とその上面が同一平面にターンテーブルの外周縁の下方に昇降可能で180°回動可能に配置され、収納溝内の電子部品をその上面の上に吸着して下降することにより電子部品を収納溝から取出し、180°回動して電子部材の極性の向きを反転させて所定方向に向けてから上昇し、電子部品を収納溝に戻して吸着を解除する構成としている。
【0020】
請求項3記載の本発明によれば、反転テーブルは、ターンテーブルの外周縁の下方に180°回動可能に配置された回動部材と、回動部材内に昇降可能に配置された昇降部材とを備え、昇降部材の上面に上記負圧孔が設けられ、昇降部材の上面がターンテーブルの下面と同一平面に位置している。
請求項4記載の本発明によれば、電子部品はパーツフィーダーからターンテーブルに供給されており、パーツフィーダーからターンテーブルに供給された電子部品を押し上げて下方から収納溝に収納させる押し上げ部材が、サポートディスクの一部を切り欠いてターンテーブル外周縁の下方に昇降可能に配設されている。
【0021】
請求項5記載の本発明によれば、サポートディスクに積載されて間欠送りされるターンテーブルに極性のある電子部品をターンテーブルの回りに設けた反転ステーションにおいて、供給してターンテーブルの外周縁の収納溝に電子部品を収納し、ターンテーブルの回りに設けた反転ステーションにおいて、極性の向きが所定方向に向いていない電子部品を収納溝から反転テーブルに移し、反転テーブルを180°回動させることにより電子部品の極性の向きを所定方向に揃えて極性を整列させる電子部品の整列方法において、電子部品は抜き窓形状のターンテーブル外周縁の収納溝に収納されてサポートディスク上をスライドして送られ、電子部品を反転テーブルに吸着して載せたまま反転テーブルを下降させて電子部品を収納溝から取出し、反転テーブルを180°回動して電子部品の向きを反転し、電子部品の極性を所定方向に向けてから反転テーブルを上昇させて電子部品を収納溝に戻して吸着を解除する構成としている。
請求項6記載の本発明によれば、供給された電子部品が、その下面を吸着された状態で、ターンテーブル外周縁の収納溝の下方から押し上げられて収納溝に収納されている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の本発明では、ターンテーブル外周縁の収納溝が抜き窓形状とされ、反転テーブルによって電子部品を収納溝から下方に取出し、電子部品の向きを反転させてから電子部品を下方から収納溝に戻しており、電子部品の受け渡しは吸着されて垂直方向でなされている。電子部品の受け渡しが垂直方向でなされているため、電子部品の受け渡しは、電子部品の長手方向の寸法の大小に関係なく行える。そして、通常、電子部品の厚さ(垂直方向の大きさ)は薄く、受け渡しに要する距離は僅かであり、また、吸着しているから受け渡し中に位置ずれが生じるおそれはなく、電子部品の反転、整列が迅速に行える。そのため、ターンテーブルの送りが高速化でき、高い生産性が確保できる。
収納溝は抜き窓形状であり、遠心力による電子部品の飛び出しを防止するから、飛び出し防止用のガードを設ける必要がなく、構成が簡潔化される。
垂直方向での受け渡しにおいては、ストッパに電子部品を当てて位置決めすることなく受け渡しが行えるから、受け渡しにおいて電子部品を破損するおそれがない。
請求項2記載の本発明では、ターンテーブル外周縁の収納溝が抜き窓形状とされ、反転テーブルによって電子部品を収納溝から下方に取出し、電子部品の向きを反転させてから電子部品を下方から収納溝に戻しており、電子部品の受け渡しは吸着されて垂直方向でなされている。電子部品の受け渡しが垂直方向でなされているため、電子部品の受け渡しは、電子部品の長手方向の寸法の大小に関係なく行える。そして、通常、電子部品の厚さ(垂直方向の大きさ)は薄く、受け渡しに要する距離は僅かであり、また、吸着しているから受け渡し中に位置ずれが生じるおそれはなく、電子部品の反転、整列が迅速に行える。そのため、ターンテーブルの送りが高速化でき、高い生産性が確保できる。
収納溝は抜き窓形状であり、遠心力による電子部品の飛び出しを防止するから、飛び出し防止用のガードを設ける必要がなく、構成が簡潔化される。
垂直方向での受け渡しにおいては、ストッパに電子部品を当てて位置決めすることなく受け渡しが行えるから、受け渡しにおいて電子部品を破損するおそれがない。
【0023】
請求項3記載の本発明では、その上面に負圧孔を有してターンテーブルの下面と同一平面に位置する昇降部材を180°回動される回動部材内に昇降可能に配置することにより反転テーブルが構成され、簡単な構成で昇降可能かつ回動可能な反転テーブルが得られる。
請求項4記載の本発明では、パーツフィーダーから供給される電子部品のターンテーブル外周縁の収納溝への収納が、押し上げ部材の押し上げによってなされており、収納溝への電子部品の収納も垂直方向でなされているため、電子部品の長手方向の寸法の大小に関係なく行える。
【0024】
請求項5記載の本発明では、反転ステーションにおける電子部品の受け渡しは垂直方向でなされており、垂直方向での電子部品の受け渡しは電子部品の長手方向の寸法の大小に関係なく行える。通常、電子部品の厚さ(垂直方向の大きさ)は薄く、受け渡しに要する距離は僅かであり、また、吸着しているから受け渡し中に位置ずれが生じるおそれはなく、反転ステーションにおける電子部品の反転、整列が迅速に行える。そのため、ターンテーブルの送りが高速化でき、高い生産性が確保できる。
垂直方向での受け渡しにおいては、ストッパに電子部品を当てて位置決めすることなく受け渡しが行えるから、受け渡しにおいて電子部品を破損するおそれがない。
請求項6記載の本発明では、電子部品は吸着されてターンテーブル外周縁の収納溝の下方から押し上げられて収納溝に収納されているため、押し上げ中においても電子部品の位置ずれが防止され、収納溝に正確に収納される。また、垂直方向に押し上げられて収納溝に収納されているため、収納溝への電子部品の収納が電子部品の長手方向の寸法の大小に関係なく行える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例に係る電子部品の整列装置の概略平面図を示す。
【図2】本発明の一実施例に係る電子部品の整列装置における一連の処理のフローチャートを示す。
【図3】(A)(B)は供給ステーションにおけるターンテーブル、パーツフィーダーの一部を破断した平面図、断面図を示す。
【図4】(A)〜(C)は図3(B)のA部の拡大図であり、供給ステーションにおける収納溝への電子部品の収納処理を示す。
【図5】(A)(B)は、反転ステーションにおける反転テーブル、一部を破断したターンテーブルの平面図、断面図を示す。
【図6】(A−1)〜(A−4)、(B−1)〜(B−4)は、反転ステーションにおける一部を破断したターンテーブル、反転テーブルの平面図、断面図であり、反転ステーションにおける反転処理を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ターンテーブル外周縁の収納溝が、収納した電子部品をサポートディスク上でスライドさせて送る抜き窓形状とされ、電子部品の整列装置は、電子部品を押し上げて下方から収納溝に収納させる昇降可能な押し上げ部材と、極性が所定方向に向いていない電子部品を乗せたまま下降して収納溝から取出し、180°回動して電子部品の向きを反転させて電子部品を所定方向に向けてから上昇して電子部品を収納溝に戻す昇降可能かつ回動可能な反転テーブルとを具備して構成されている。
【実施例】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。図1、図2は本発明の一実施例に係る電子部品の整列装置の概略平面図、電子部品の整列装置における一連の処理のフローチャートを示す。
図1に示すように、電子部品の整列装置10は間欠送りされるターンテーブル12を具備し、パーツフィーダー14からLEDチップ、インダクターチップなどの極性を有する電子部品をターンテーブルに供給してターンテーブルで電子部品の極性の向きを所定方向に揃えて極性を整列するように構成されており、そのために複数のステーションが設定されている。
【0028】
実施例では、検査、排出、梱包の処理をターンテーブルの回りと、ターンテーブルから離反した位置とに分けて行っており、ターンテーブルから離反した位置においても検査、排出、梱包のステーションが設定されている。
すなわち、実施例では、図1に示すように、供給ステーションA、検査ステーションB1、反転ステーションC、排出ステーションD1、梱包ステーションE1の5つのステーションがターンテーブル12の間欠送りに対応した位置でターンテーブルの回りに設定されるとともに、別の検査ステーションB2、排出ステーションD2、梱包ステーションE2の3つのステーションがターンテーブルから離反した位置に設定されている。
【0029】
図2のフローチャートを参照しながら、本発明における一連の処理について述べると、まず、供給ステーションAでパーツフィーダー14から極性を有する電子部品がターンテーブル12に供給される。供給された電子部品の、たとえば波長が検査ステーションB1で検査されて、極性の向き、電気特性の良否が判定され、極性が所定方向に向いていない電子部品の向きが反転ステーションCで反転されて極性が所定方向に揃えられ整列される。検査ステーションB1の波長の検査から特性(電気特性)が不良と判定された電子部品は、排出ステーションD1で排出、回収される。そして、梱包ステーションE1でエンボステープ28aが供給され、エンボステープの凹所に電子部品が格納される。
【0030】
エンボステープ28aはターンテーブル12から離反する方向に延びており、エンボステープに沿って検査手段B2、排出ステーションD2、梱包ステーションE2が設けられており、まず、検査ステーションB1での検査、判定ミスで極性が整列されていない電子部品の有無が検査ステーションB2での画像処理で検査される。そして、電子部品の外形の画像処理から整列ミスと判定された電子部品があれば、排出ステーションD2で排出、回収される。それから、梱包ステーションE2でカバーテープが供給されてエンボステープ28aに被せられ、熱圧着されてエンボステープの凹所を封止し、カバーテープで被覆されたエンボステープがリールに巻き取られて一連の処理が終了する。
【0031】
ターンテーブル12の回りの供給ステーションA、検査ステーションB1、反転ステーションC、排出ステーションD1、梱包ステーションE1には、対応する処理をするための押し上げ部材20、検査手段22、反転テーブル24、排出手段26、梱包手段28がそれぞれ配置されている。
【0032】
図3(A)(B)は供給ステーションにおけるターンテーブル、パーツフィーダーの一部を破断した平面図、断面図を示す。図4(A)〜(C)は図3(B)のA部の拡大図であり、供給ステーションにおける収納溝への電子部品の収納処理を示す。
図3(A)(B)に示すように、電子部品Wを収納するための収納溝12aがターンテーブル12の外周縁にターンテーブルの間欠送りに対応した角度だけ円周方向に互いに離反して形成されており、収納溝はターンテーブルを貫通した抜き窓形状となっている。たとえば、ターンテーブル12の間欠送りが7.5°であれば、7.5°円周方向に互いに離反して48個の収納溝12aがターンテーブル12外周縁に形成される。実施例では電子部品Wの外形は矩形とされ、収納溝12aは電子部品の外形寸法よりも僅かに大きくその長手方向が半径方向に位置する矩形形状の抜き窓となっている。
【0033】
抜き窓形状の収納溝12aにおいては、収納した電子部品Wが抜け落ちるおそれがあるため、ターンテーブル12が回動可能に載せられたサポートディスク13は、その上面が収納溝12aを下から覆うようにターンテーブルとほぼ同一径に形成されている。そのため、収納溝12a内の電子部品は、収納溝から抜け落ちることなく、ターンテーブルの間欠送りに伴ってサポートディスク上をスライドして送られることとなる。
【0034】
なお、本発明では電子部品の受け渡しが垂直方向で行われるため、電子部品の受け渡しを行う供給ステーションA、反転ステーションCにおいては、後述するように、サポートディスク13の一部を切り欠いて押し上げ部材20、反転テーブル24をターンテーブル12の回りに配置して垂直方向での電子部品の受け渡しを可能としている。
【0035】
パーツフィーダー14は、振動式とされ、釜形状の本体14aに加えてリニアフィーダー14bを持ち、パーツフィーダーの本体から電子部品Wは上向きで極性の向きを問わず形状としての方向を整えて後ろから押されて数珠つなぎに送られている。
【0036】
パーツフィーダーのリニアフィーダー14bには、電子部品Wを供給するためのU字断面形状の通路14b1が供給ステーションAに位置する収納溝12a(12a1)の直下まで形成されている。また、ストッパ片14b2がリニアフィーダー14bの先端から供給ステーションAに位置する収納溝12a1を越えてターンテーブル外周縁の下に潜り込むように延出しており、ストッパ片のストッパ端14b2’は収納溝12a1の直下で通路14b1の末端に位置している。
【0037】
図4(A)からよくわかるように、ストッパ片のストッパ端14b2’の直前でリニアフィーダーの通路14b1は収納溝12a1の直下で底が抜けており、底の抜けた通路の直下に押し上げ部材20が配置され、供給ステーションAにおいて収納溝12a1、底の抜けた通路、押し上げ部材はほぼ整列した関係に位置している。
【0038】
押し上げ部材20は、パーツフィーダー14からターンテーブル12に供給される電子部品Wを供給ステーションに位置するターンテーブル外周縁の収納溝12a1に垂直方向に押し上げ、収納させるものであり、サポートディスク13の一部を切り欠いてターンテーブル12の回りで収納溝12a1の下方に配置されている。
すなわち、押し上げ部材20は、供給ステーションの収納溝12a1の下方に整列して昇降可能に設けられており、押し上げ部材はその上面に吸着孔20aを持ち、吸着孔に連通する負圧空気の流路20bが軸線方向に形成されている。
【0039】
電子部品Wは、パーツフィーダーの本体14aからリニアフィーダーの通路14b1内を後ろから押されて数珠つなぎに送られており、先頭の電子部品が押されて底の抜けた通路部分に至ると押し上げ部材20の上面に乗るように、押し上げ部材はその上面が通路の底面とほぼ面一となる位置に待機している(図4(A)参照)。
【0040】
なお、押し上げ部材20は、昇降可能に設けられれば足り、パーツフィーダーのリニアフィーダー14bに昇降可能に設けてもよいし、押し上げ部材を昇降可能に支持する支持部材をリニアフィーダーと別に設けてもよい。
【0041】
先頭の電子部品W(W1)が底の抜けた通路部分に至って押し上げ部材20の上面に乗ってなおも押されて送られると、図3(B)に示すように、ストッパ片のストッパ端14b2’に行く手を阻まれて押し上げ部材の上面に留まり、電子部品は供給ステーションの収納溝12a1と整列して位置する。
【0042】
先頭の電子部品W1が所定の位置(ストッパ端14b2’に行く手を阻まれて収納溝12a1と整列した位置)にあるのをセンサなどが検出すると、押し上げ部材の流路20bに負圧空気が作用し、その上面の吸着孔20aに吸着力が生じて電子部品Wをその上面に吸着する。そして、電子部品W2をその上面に吸着したまま押し上げ部材20は上昇して、供給ステーションに位置する収納溝12a1に電子部品を押し上げ、収納させる。収納溝12a1に電子部品が押し上げられ収納されると、ターンテーブル12が間欠送りされ、電子部品は収納溝に収納されたままサポートディスク上をスライドして送られ、供給ステーションAから離れる。
なお、押し上げ部材20が収納溝12a1内に入り込むまで上昇すると、ターンテーブル12の間欠送りの障害になるから、押し上げ部材が収納溝内に入り込まないことはいうまでもない。
【0043】
上記のように、供給ステーションAにおける電子部品W(W1)の受け渡し、すなわち、パーツフィーダー14からターンテーブル外周縁の収納溝12a(12a1)への収納が押し上げ部材20の昇降動作によって垂直方向でなされており、垂直方向での電子部品の受け渡しは、電子部品の長手方向の寸法の大小に関係なく行える。通常、電子部品の厚さ(垂直方向の大きさ)は薄く、受け渡しに要する距離は僅かでよくから、供給ステーションにおける電子部品の受け渡しが短時間で行える。
【0044】
押し上げ部材20はその上面の吸着孔20aで吸着したまま電子部品を押し上げて収納溝に収納しているため、その押し上げ中(受け渡し中)での電子部品のずれが防止され、電子部品は収納溝に正確に供給、収納される。
また、収納溝12aは抜き窓形状に形成されて半径方向外方に肩部12a−1を持ち(図3(A)参照)、この肩部が遠心力による電子部品Wの飛び出しを防止するガードとして機能する。そのため、収納溝12aからの電子部品の飛び出しを防止するガードをサポートディスク13に設ける必要はなく、構成が簡潔化される。
【0045】
さらに、押し上げ部材20による収納溝12aへの電子部品W1の押し上げ、収納は押し上げ部材を所定距離上昇するだけで行え、電子部品をストッパに当てることなく電子部品の受け渡し(押し上げ)がなされ、受け渡し中に電子部品が破損するおそれがない。そして、電子部品の昇降は電子部品を吸着して行われ、受け渡し中に電子部品のずれは生じないから、供給ステーションAでの受け渡しが高速で行える。
【0046】
ターンテーブル12が間欠送りされて、供給ステーションAに位置した収納溝12a1が供給ステーションから離れると、押し上げ部材20はその上面が通路の底面とほぼ面一となる初期位置(図4(A)参照)まで下降し、次の電子部品W’が押されてストッパ片のストッパ端14b2’に行く手を阻まれて押し上げ部材20の上面に留まる位置まで送られる。そして、上流側で隣接する次の収納溝12a’(図3(A)参照)がターンテーブル12の間欠送りのもとで、電子部品W’に整列されるその供給ステーションAに至る。押し上げ部材20は、たとえばカムなどを利用して昇降される。
【0047】
電子部品の整列装置10は図示しないが中央処理回路(CPU)を備えており、供給ステーションAにおける収納溝への電子部品の収納(押し上げ)に必要な動作、すなわち、センサによる電子部品W1の検出、負圧空気の作用、押し上げ部材20の上昇、ターンテーブルの間欠送り、押し上げ部材の下降などの一連の処理は、中央処理回路の制御のもとで自動的、連続的に行われる。
なお、中央処理回路は、電子部品の整列装置10のすべて構成部材、すなわち、後述する検査手段22、反転テーブル24、排出手段26、梱包手段28などの動きも制御している。
【0048】
ターンテーブル外周縁の収納溝12aに収納された電子部品Wは、供給ステーションAの下流側に設定された検査ステーションB1に送られ、検査ステーションに設けられた検査手段22によって極性の向き、電気特性が検査される。たとえば、検査手段22はターンテーブル12の回りでその上方に配置されたテスターからなり、電子部品Wの端子にテスターから延びた端子(テスター端子)が接触することにより、収納溝に収納したまま電子部品の波長を測定して極性の向き、電気特性が検査される。
【0049】
次に、電子部品Wは反転ステーションCに送られ、検査手段22で極性が所定の方向に向いていないと判定された電子部品は反転テーブル24によってその向きが反転されて電子部品の極性が所定方向に揃えられ整列される。反転ステーションCにおいてターンテーブル外周縁の収納溝12a、反転テーブル24の間で電子部品が受け渡される。
【0050】
図5(A)(B)は、反転ステーションにおける反転テーブル、一部を破断したターンテーブルの平面図、断面図を示す。なお、図5(A)においては、電子部品の極性の向きを区別するためにマークmを電子部品の表面に表示しており、マークmが半径方向内側に位置する向きが所定の方向と仮定している。
【0051】
図5(A)(B)に示すように、反転テーブル24は、サポートディスク13の一部を切り欠いてターンテーブル12の回りに設けられ、収納溝12aに収納されて送られる電子部品Wが反転ステーションCに至ったとき電子部品がその上に載せられる位置、つまり、反転ステーションCに位置する収納溝に整列する位置でターンテーブルの下方に待機している。
すなわち、反転テーブル24は、たとえば円筒形状の回動可能な回動部材24aと、回動部材内に昇降可能に配置された昇降部材24bとを備えており、昇降部材の上面には吸着孔24b1が形成され、吸着孔に連通した負圧空気の流路24b2が昇降部材の軸線方向に延びている。
【0052】
昇降部材24bが昇降可能に配置される回動部材の中央孔の上端部24a’の内形形状は、電子部品W2が降下可能に電子部品の外形寸法よりも僅かに大きな形状に形成され、昇降部材の上端部24b’の外形形状は電子部品を載せて回動部材の中央孔の上端部24a’を昇降可能に、たとえば電子部品の外形寸法とほぼ同一の大きさに形成されている。
【0053】
回動部材24aは上下2つのボール軸受24a1によってサポートブロック24a2に回動自在に保持され、その下端はローラ24a3に嵌合されてローラと一体化されている。そして、モータ24a4、ローラ24a3の間にベルト24a5が張設されている。
電子部品Wは矩形とされ、非円形であり、電子部品に対応した形状の昇降部材の上端部24b’も非円形であるため、回動部材24a内に配置された昇降部材24bは、回動部材24aが回動すれば、回動部材と一体的に回動する。
【0054】
図6(A−1)〜(A−4)、(B−1)〜(B−4)は、反転ステーションにおける一部を破断したターンテーブル、反転テーブルの平面図、断面図であり、反転ステーションにおける反転処理を示す。
反転ステーションCにおいては、図6(A−1)(B−1)に示すように、電子部品W2を収納する収納溝12aが反転テーブルに整列され、収納溝内の電子部品が昇降部材24bの上面に位置している。
【0055】
検査ステーションB1の検査手段(テスター)22によって極性が所定方向に向いていないと判定された電子部品W2が反転ステーションCに送られると、負圧空気を昇降部材の流路24b2に作用させ、昇降部材上面の吸着孔24b1に吸着力を発生させて電子部品W2を昇降部材24bの上面に吸着させる。そして、電子部品W2を吸着しながら上面に電子部品を載せて昇降部材24bは下降して、図6(A−2)(B−2)に示すように、電子部品を収納溝12aから下方に取り出す。昇降部材24bはその上面に電子部品Wが載る位置にあるから、電子部品の高さより僅かに大きな距離だけ下降すれば、電子部品を収納溝12aから取り出すことができる。
【0056】
電子部品Wが収納溝12aから下方に取り出されると、モータ24a4が起動され、モータの駆動力がベルト24a5を介してローラ24a3に伝達されて、図6(A−3)(B−3)に示すように、回動部材24aが180°回動される。回動部材24aが180°回動されると、昇降部材24bは、その上面に電子部品W2に載せて回動部材とともに180°回動される。
【0057】
回動部材が180°回動されるとモータ24a4が停止され、図6(A−4)(B−4)に示すように昇降部材24bは上昇してその上面の電子部材W2を押し上げ、電子部材は収納溝12aに戻され、収納される。電子部品のマークmが半径方向内方に位置する状態で電子部品は収納溝12aに戻されており、電子部品の極性は反転されて所定方向に揃えられ整列されている。
【0058】
極性の向きを揃えて電子部品W2が収納溝12aに戻されると、ターンテーブル12が間欠送りされて、上流側の電子部品W’が反転ステーションCに送られる。図6(A−4)に示すように、この電子部品W’はマークmが半径方向内方に位置しており、検査ステーションB1において極性が所定方向に向いていると判定されたものであるから、反転テーブルによる反転処理は施されず、反転ステーションCはスルーされる。
【0059】
次の電子部品W’’はマークが半径方向外方に位置しており、検査ステーションB1において極性が所定方向に向いていないと判定されたものであるから、この電子部品については、上記の電子部品W2と同様な反転処理が施される。
図6(A−1)〜(A−4)に示すように、反転ステーションCを経た電子部品Wはその向きが揃えられ、極性が整列されて次のステーション(排出ステーションD1)に送られる。
【0060】
反転ステーションCにおけるターンテーブル12、反転テーブル24における電子部品の受け渡し、すなわち、ターンテーブル外周縁の収納溝12aからの電子部品の取出し、反転テーブルでその向きを反転させてからの収納溝への電子部品の戻しが、昇降部材24bの昇降動作によって垂直方向でなされており、垂直方向での電子部品の受け渡しは、電子部品の長手方向の寸法の大小に関係なく行える。そして、電子部品の厚さ(垂直方向の大きさ)は薄く、受け渡しに要する距離は僅かでよいから、反転ステーションCにおける電子部品の受け渡しが短時間で行える。
【0061】
反転ステーションにおける電子部品の受け渡し(収納溝12aからの電子部品の取出し、反転させた後での収納溝への戻し)は、昇降部材を所定距離上昇するだけで行え、電子部品を吸着して行っているから受け渡し中に電子部品のずれはなく、受け渡しが可能な限り高速で行える。
なお、回動部材24aを180°正確に回動させることに各別の困難はなく、昇降部材は回動部材と一体的に180°回動されて回動ずれはなく、反転された電子部品Wは収納溝に整列されて受け渡されており、受け渡し中に電子部品が収納溝に当接して破損するおそれがない。
【0062】
回動部材24aは180°ずつ間欠送りされるが、同じ方向に連続して回動してもよいし、モータ24a4を可逆モータとして交互に異なる方向に回動してもよい。
【0063】
検査ステーションB1で電気特性が基準値を満たさず、電気特性が不良(NG)と判定された電子部品は、反転ステーションCの次の排出ステーションD1において排除、回収される。
すなわち、NGの電子部品を収納溝12aから取り除き、排出する排出手段26が、ターンテーブルの回りで排出ステーションD1に設けられている。たとえば、排出手段26は回動可能かつ昇降可能な吸着アームとされ、NGの電子部品が排出ステーションD1に送られると、吸着アームが下降して電子部品を吸着し、上昇して収納溝から取り除き、排出して、排出ステーションに隣接して設けられた回収ボックスの上まで回動して下降し、吸着を解除することによって、回収ボックスにNGの電子部品が回収される。
【0064】
吸着アームによらずに、たとえば、NGの電子部品が収納溝12に収納されてサポートディスク13の上面の上を送られて排出ステーションD1に至ると、サポートディスク13の上面を開口して落し穴を作り、その開口(落し穴)から落下させて回収ボックスに回収する構成としてもよい。この落し穴による電子部品の回収は、たとえば、電子部品より僅かに大きなヒンジドア形状の部材をサポートディスク13の上面に配置し、NGの電子部品が排出ステーションD1に至ってその上に来たとき、下方に回動させて開くことによって行える。
【0065】
排出ステーションD1を反転ステーションCの下流でなく上流、すなわち、供給ステーションA、検査ステーションB1の間に設けて、反転ステーションに送られる前にNGの電子部品を排出、回収してもよい。
【0066】
反転ステーションCでその向きが揃えられて整列され、排出ステーションD1で電気特性が不良の電子部品を排出した後、電子部品は梱包ステーションE1に送られる。ターンテーブル12の回りで梱包ステーションE1に、梱包手段28が配置されており、梱包ステーションに供給されたエンボステープ28aの凹所に電子部品Wが梱包手段によって格納される。梱包手段28は、たとえば、排出ステーションD1の排出手段26と同様に回動可能で昇降可能な吸着アームとされ、吸着アームが下降してターンテーブル外周縁の収納溝12a内の電子部品を吸着してから上昇して、エンボステープ28aの凹所の上に回動し、下降する。そして、吸着を解除して電子部品Wをエンボステープの凹所に格納して上昇することによって、梱包手段28は電子部品を収納溝からエンボステープの凹所に移して格納する。
【0067】
実施例では、エンボステープ28aにカバーテープを被せ、熱圧着してエンボステープの凹所を封止する処理は、ターンテーブル12の回りでなく、ターンテーブルから離された位置で行っている。
すなわち、エンボステープ28aの走路に沿って検査ステーションB2、排出ステーションD2、梱包ステーションE2が設けられ、そのための検査手段122、排出手段126、梱包手段128がターンテーブルから離された位置でエンボステープ28aの走路に沿って順次配置されている。
【0068】
たとえば、検査手段122はエンボステープ28aの上方で配置された画像処理部材とされ、画像処理部材(検査手段)は、極性が所定方向に向いていないにも拘らずテスターによる検査手段22で見逃されたり、反転ステーション24で反転処理されずにここまで送られてきた電子部品をその画像処理のもとで判定する。そして、画像処理部材122で極性が整列されていないと判定された電子部品は、次の排出ステーションD2に配置された排出手段126でエンボステープの凹所から排出されて回収される。たとえば、排出ステーションD2の排出手段126は、ターンテーブルの回りの排出ステーションD1の排出手段26と同様な吸着アームとされ、排出手段126によって電子部品を回収ボックスに排出、回収している。
【0069】
排出手段126は、その極性が所定方向に整列されていないにすぎず、電気特性的には良品であるから、その極性を反転させてエンボステープ28aの凹所に直接戻してもよく、エンボステープの凹所に戻さない場合には、パーツフィーダー14に戻される。
【0070】
電子部品を凹所に格納したエンボステープ28aが梱包ステーションE2に送られると、梱包手段128によってカバーテープ(図示しない)が供給されてエンボステープに被せられ、熱圧着されてエンボステープの凹所が封止され、カバーテープで被覆されたエンボステープをリールに巻き取って一連の処理が終了する。
【0071】
上記のように、本発明によれば、反転ステーションにおける電子部品の受け渡しが垂直方向に行われているため、電子部品の受け渡しは、電子部品の長手方向の寸法の大小に関係なく行え、受け渡しが短時間で行える。そのため、電子部品を高速で供給、反転、整列でき、高速処理が可能となる。
また、供給ステーションにおける電子部品の受け渡しも垂直方向で行われており、供給ステーションにおける受け渡しも短時間で行える。
【0072】
反転、整列が水平面のスライドで行われる従来の構成では、たとえば単位時間(1秒)当たり4.5個の電子部品の処理が限界であったのに対し、本発明では15個の電子部品を処理することが可能となった。
【0073】
上述した実施例は、この発明を説明するためのものであり、この発明を何等限定するものでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。
【0074】
たとえば、実施例では、ターンテーブル外周縁の収納溝12aは閉じられた抜き窓形状に形成されている。しかしながら、電子部品の飛び出しを防止するガードとして機能する肩部12a−1(図3(A)参照)を半径方向外方に持つものであれば足り、収納溝は閉じられた抜き窓形状に限定されず、肩部の一部を開口した形状の抜き窓形状としてもよい。
【0075】
また、実施例では、電子部品の外形形状を矩形としているが、電子部品の形状は矩形に限定されず、ターンテーブルの昇降部材(および押し上げ部材)の上面が、電子部品を吸着して積載可能な電子部品の形状に対応した形状であれば、垂直方向で電子部品の受け渡しが行えるから、種々の形状の電子部品についても本発明が応用できる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は極性を持つ種々な形状の電子部品の極性の整列化のために広範囲に応用できる。
【符号の説明】
【0077】
10 電子部品の整列装置
12 ターンテーブル
12a 収納溝
12a1、12a2 供給ステーション、反転ステーションに位置する収納溝
12a−1 肩部
14 パーツフィーダー
14a、14b 本体、リニアフィーダー
14b2 ストッパ
20 押し上げ部材
20a、20b 吸着孔、負圧空気の流路
22、122 検査手段(テスター、画像処理部材)
24 反転テーブル
24a,24b 回動部材、昇降部材
24b1,24b2 吸着孔、負圧空気の流路
26、126 排出手段
28、128 梱包手段
W 電子部品
W1,W’ 先頭の電子部品、次の電子部品
W2,W’ 反転ステーションの電子部品、次の電子部品
A 供給ステーション
C 反転ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポートディスクに積載されて間欠送りされるターンテーブルに極性のある電子部品を供給してターンテーブルの外周縁の収納溝に電子部品を収納し、極性の向きが所定方向に向いていない電子部品を収納溝から反転テーブルに移し、反転テーブルを180°回動させることにより電子部品の極性の向きを所定方向に揃えて極性を整列させる電子部品の整列装置において、
ターンテーブル外周縁の収納溝が、収納した電子部品をサポートディスク上でスライドさせて送る抜き窓形状とされ、
反転テーブルがその上面に負圧の作用する吸着孔を有して昇降可能かつ回動可能とされ、極性が所定方向に向いていない電子部品を吸着して載せたまま下降して収納溝から取出し、180°回動して電子部品の向きを反転させて電子部品を所定方向に向けてから上昇し、電子部品を収納溝に戻して吸着を解除していることを特徴とする電子部品の整列装置。
【請求項2】
サポートディスクに積載されて間欠送りされるターンテーブルに極性のある電子部品を供給してターンテーブルの外周縁の収納溝に電子部品を収納し、極性の向きが所定方向に向いていない電子部品を収納溝から反転テーブルに移し、反転テーブルを180°回動させることにより電子部品の極性の向きを所定方向に揃えて極性を整列させる電子部品の整列装置において、
ターンテーブル外周縁の収納溝が、収納した電子部品をサポートディスク上でスライドさせて送る抜き窓形状とされ、
反転テーブルは、上面に負圧の作用する吸着孔を有してターンテーブルの収納溝と整列する位置でサポートディスクの一部を切り欠いてターンテーブルの下面とその上面が同一平面にターンテーブルの外周縁の下方に昇降可能で180°回動可能に配置され、収納溝内の電子部品をその上面の上に吸着して下降することにより電子部品を収納溝から取出し、180°回動して電子部材の極性の向きを反転させて所定方向に向けてから上昇し、電子部品を収納溝に戻して吸着を解除していることを特徴とする電子部品の整列装置。
【請求項3】
反転テーブルは、ターンテーブルの外周縁の下方に180°回動可能に配置された円筒形状の回動部材と、回動部材内に昇降可能に配置された昇降部材とを備え、昇降部材の上面に上記負圧孔が設けられ、昇降部材の上面がターンテーブルの下面と同一平面に位置する請求項2記載の電子部品の整列装置。
【請求項4】
電子部品はパーツフィーダーからターンテーブルに供給されており、
パーツフィーダーからターンテーブルに供給された電子部品を押し上げて下方から収納溝に収納させる押し上げ部材が、サポートディスクの一部を切り欠いてターンテーブル外周縁の下方に昇降可能に配設されている請求項1〜3のいずれか記載の電子部品の整列装置。
【請求項5】
サポートディスクに積載されて間欠送りされるターンテーブルに極性のある電子部品をターンテーブルの回りに設けた反転ステーションにおいて、供給してターンテーブルの外周縁の収納溝に電子部品を収納し、ターンテーブルの回りに設けた反転ステーションにおいて、極性の向きが所定方向に向いていない電子部品を収納溝から反転テーブルに移し、反転テーブルを180°回動させることにより電子部品の極性の向きを所定方向に揃えて極性を整列させる電子部品の整列方法において、
電子部品は抜き窓形状のターンテーブル外周縁の収納溝に収納されてサポートディスク上をスライドして送られ、
電子部品を反転テーブルに吸着して載せたまま反転テーブルを下降させて電子部品を収納溝から取出し、反転テーブルを180°回動して電子部品の向きを反転し、電子部品の極性を所定方向に向けてから反転テーブルを上昇させて電子部品を収納溝に戻して吸着を解除していることを特徴とする電子部品の整列方法。
【請求項6】
供給された電子部品が、その下面を吸着された状態で、ターンテーブル外周縁の収納溝の下方から押し上げられて収納溝に収納される請求項5記載の電子部品の整列方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−20759(P2011−20759A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165042(P2009−165042)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(390033271)ハイメカ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】