説明

電子部品マウント方法、電子回路モジュール製造方法、および表面実装部品

【課題】大型のSMDを容易にプリント基板実装できるようにする。
【解決手段】大型のSMD10に磁石板20を取り付ける。SMD10には磁性部品が実装されており、磁石板20は磁性部品に磁力によって固定される。その後、チップマウンタによって、SMD10の上部の取り付けられた磁石板20の中心部を吸着し、SMD10をプリント基板30上の所定の位置に定置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品マウント方法、電子回路モジュール製造方法、および表面実装部品に関し、特にチップマウンタ(表面実装機)を用いて表面実装部品をマウントする電子部品マウント方法および電子回路モジュール製造方法、並びにチップマウンタでプリント基板にマウントされる表面実装部品に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板に電子部品を実装する技術として、SMT(Surface Mount Technology)がある。SMTでは、表面実装部品(SMD:Surface Mount Device)を装着するためのペースト状のハンダをあらかじめ塗布したプリント基板を用意する。そして、チップマウンタでSMDをプリント基板に装着する。その後、高温炉(リフロー炉)内で加熱してハンダを溶融させ、SMDをプリント基板上に接着させる。
【0003】
チップマウンタが電子部品をハンドリングするための技術の1つに、マグネットチャックによって電子部品を磁力により吸着してハンドリングする技術がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。ただし、電磁石を用いる場合、電子部品側に磁性金属材料が必要となり、汎用性に欠ける面がある。
【0004】
チップマウンタが電子部品をハンドリングするための他の技術として、吸着ヘッドにより電子部品を吸着してハンドリングする技術がある。この技術を採用したチップマウンタは、プリント基板の配置場所とSMDの配置場所との間を移動可能な吸着ヘッドを有している。吸着ヘッドの先端には、SMDを吸着するための吸着ノズルが設けられている。チップマウンタは、吸着ノズルでSMDを吸着することで、プリント基板上の所定の位置にSMDを搬送することができる。
【0005】
多くの電子部品は、上部に平らな面を有しており、吸着ヘッドにより吸着可能である。しかも、電子部品のサイズに応じて吸着ノズルのサイズを変更するようにすれば、大小様々な電子部品に対応することができ、汎用性が高い。
【特許文献1】特開昭56−152243号公報
【特許文献2】特開2001−267367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、SMTでプリント基板に実装するSMDには、DC−DCコンバータのような大型の電子部品がある。このような大型のSMDを、吸着ノズルを用いたチップマウンタでプリント基板に搭載する場合、吸着ノズルの吸着位置がSMDの中心部からずれると、部品を水平に保てず、所定の位置への正確な定置が難しくなる。そのため、大型のSMDには、中心部に吸着ノズルで吸着するための平面部を設ける必要がある。一般的には、基板中心部に平面スペースを確保するか、上部に平面のある部品をSMDの中心に配置するといったアートワーク設計が必要となる。
【0007】
しかし、アートワーク設計上の制約が在ることにより、下記の問題が発生している。
1)デットスペースが発生しやすく、小型化の妨げとなっていた。
2)部品配置が電気的、冷却的および構造的に最適な配置にできず、機能の低下を招いていた。
【0008】
なお、SMDの中心部に平面部を作れない場合には、別の手段が必要となる。例えば、ダブルノズル(吸着ノズルを2つ有するヘッド)でSMDを吸着させる方法や、粘着テープ等を貼って平面部を作る方法が考えられる。これらの方法は、以下のような問題があり、汎用的ではない。
3)ダブルノズルでSMDを吸着させる方法は、特殊製造設備が必要となり、設備投資の負担が過大となってしまう。
4)粘着テープ等を貼って平面部を作る方法では、粘着テープの貼り方が難しい。しかも、リフロー後に粘着剤が部品側に残留し、残留した粘着テープの除去作業に多くの工数を要する。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、大型のSMDを容易にプリント基板実装できる電子部品マウント方法、電子回路モジュール製造方法、および表面実装部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、電子部品をプリント基板にマウントするための電子部品マウント方法であって、上面に平らなノズル吸着ポイントを有する磁石板を、磁性体を有する表面実装部品に磁力によって固定し、磁石板のノズル吸着ポイントにチップマウンタの吸着ノズルを吸着させ、チップマウンタによって表面実装部品をプリント基板上に定置させる電子部品マウント方法が提供される。
【0011】
また、上記課題を解決するために、電子回路モジュール製造方法であって、上面に平らなノズル吸着ポイントを有する磁石板を、磁性体を有する表面実装部品に磁力によって固定し、磁石板のノズル吸着ポイントにチップマウンタの吸着ノズルを吸着させ、チップマウンタによって表面実装部品をプリント基板上に定置させ、リフローハンダ付けによって、表面実装部品をプリント基板にハンダ付けし、表面実装部品から磁石板を取り除く電子回路モジュール製造方法が提供される。
【0012】
さらに、上記課題を解決するために、表面実装部品であって、回路基板上面の少なくとも2箇所に配置された磁性体からなるスタッドを有する表面実装部品が提供される。
【発明の効果】
【0013】
上記電子部品マウント方法、電子回路モジュール製造方法、および表面実装部品では、磁石板の吸着ポイントに吸着ノズルを吸着させて、表面実装部品の搬送が可能であり、大型の表面実装部品のプリント基板への実装が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態は、表面実装部品(SMD)上の磁性部品に、磁石板を磁力で固定するようにしたものである。
【0015】
図1は、SMDを実装した電子回路モジュールの製造手順を示す図である。まず最初に大型のSMD10に磁石板20を取り付ける(ステップS1)。SMD10には、磁性体を含む磁性部品が実装されており、磁石板20は磁性部品に磁力によって固定される。磁石板20は、板状の永久磁石である。
【0016】
次に、チップマウンタの所定の位置にSMD10とプリント基板30とを取り付ける(ステップS2)。例えば、SMD10はチップマウンタの部品用トレイ内に配置される。プリント基板30は、基板移送機構(ローダ)によって電子部品取り付け位置に設置される。プリント基板30の上面には、ペースト状のハンダ31,32が塗布されている。なお、本実施の形態では、リフローハンダ付けでSMD10を実装すべき側の面を、プリント基板30の「上面」と呼んでいる。
【0017】
次に、チップマウンタによって、SMD10をプリント基板30にマウントする(ステップS3)。この際、チップマウンタは、SMD10の上部の取り付けられた磁石板20の中心部を吸着し、SMD10を持ち上げる。そして、チップマウンタは、SMD10をプリント基板30上の所定の位置に定置する。
【0018】
次に、リフローハンダ付けを行う(ステップS4)。すなわち、SMD10がマウントされたプリント基板30をリフロー炉に送り、リフロー炉内でプリント基板30に熱風を吹きかける。これにより、SMD10がプリント基板30にハンダ付けされる。最後に、SMD10から磁石板20を除去する(ステップS5)。
【0019】
このような手順でSMD10を実装した電子回路モジュールが製造される。
なお、磁石板20に用いる永久磁石には、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石などがある。磁石板20に用いる永久磁石は、SMD10の重さや、磁性部品の大きさおよび磁性の帯びやすさなどに応じて決定される。例えば、磁性部品が小さければ、ネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石のように、磁力の強い永久磁石が磁石板20として用いられる。
【0020】
また、リフローハンダ付けを行った後でも磁力を保つことを考慮すると、例えばサマリウムコバルト磁石のように最大使用可能温度が高い物質が適している。リフローハンダ付け後も磁石板20の磁力が十分に保たれていれば、磁石板20を繰り返し使用することができる。
【0021】
以下に、SMDの実装方法をより詳細に説明する。
図2は、SMDへの磁石板の装着状況を示す図である。SMD10の上部には、インダクタ11とトランス12とを含む電子部品が実装されている。インダクタ11とトランス12は、磁性部品である。すなわち、インダクタ11とトランス12とは、磁石に着く性質を有している。また、インダクタ11とトランス12とは、SMD10に実装されている他の電子部品よりも高さがあり、上方に磁石板20をかぶせたときに磁石板20に直接接することができる。SMD10の下部には、リード13〜18が設けられている。
【0022】
このようなSMD10の上部に永久磁石からなる磁石板20が取り付けられる。磁石板20は、上下方向に磁極が分かれている。すなわち、磁石板20の上面がN極であれば下面がS極、逆に上面がS極であれば下面がN極となる。
【0023】
なお、図2では、磁石板20は矩形をしているが、円形やその他の形状であってもよい。また、磁石板20の上面は、少なくともチップマウンタの吸着ノズルを吸着可能な程度の面積の平らな領域が、ノズル吸着ポイント21として確保されている。ノズル吸着ポイント21は、磁石板20とSMD10とからなる質点系の重心の上方に設けられる。吸着ノズルを重心上方のノズル吸着ポイント21に吸着させることで、SMD10を移動させる際にSMD10を水平に保つことができる。磁石板20は均質な物質で作れる(重心を中心にすることができる)ため、SMD10単体での重心がSMD10のほぼ中心にあれば、ノズル吸着ポイント21は磁石板20の中央部分となる。
【0024】
なお、磁石板20の下面は、少なくともインダクタ11とトランス12とに接触する領域については、平面であることが望ましい。ただし、SMD10を持ち上げて移動させるのに十分な磁力が確保できるのであれば、インダクタ11とトランス12とに接触する領域が全くの平面でなくてもよい。例えば、磁石板20の下面に多少の凹凸や、湾曲があってもよい。
【0025】
このような磁石板20をSMD10の上面に配置すると、磁石板20と磁性部品(インダクタ11とトランス12)が磁力により引き合う。その結果、磁石板20がSMD10の上面に固定される。
【0026】
次に、磁石板20を固定したSMD10をチップマウンタに装着する。
図3は、チップマウンタの構造例を示す図である。チップマウンタ100は、SMD10を吸着し、プリント基板30上に定置するための吸着ヘッド110を有している。吸着ヘッド110は、先端に設けられた吸着ノズルによって磁石板20を吸着させることができる。
【0027】
吸着ヘッド110は、Z軸移送部121に移動可能に搭載されている。Z軸移送部121は、制御部150からの指示に従って吸着ヘッド110を上下方向(Z軸方向)に移動させる。Z軸移送部121は、X軸移送部122に移動可能に搭載されている。X軸移送部122は、制御部150からの指示に従ってZ軸移送部121をX軸方向に移動させる。X軸移送部122は、Y軸移送部123に移動可能に搭載されている。Y軸移送部123は、制御部150からの指示に従ってX軸移送部122をY軸方向に移動させる。
【0028】
チップマウンタ100では、部品用トレイ130の設置場所が決められている。部品用トレイ130は、複数のSMD10を収納した状態で所定の位置に設置される。基板移送部140は、制御部150からの指示に従ってプリント基板30を移送する。
【0029】
制御部150は、操作入力によるSMD10のマウント指示に応答して、チップマウンタ100全体の動作を制御する。具体的には、制御部150は、SMD10が収納された部品用トレイ130が設定された後、基板移送部140を制御し、プリント基板30を所定の位置に移動させる。次に、制御部150は、Z軸移送部121、X軸移送部122、およびY軸移送部123を制御し、吸着ヘッド110を部品用トレイ130内の所定のSMD10の位置に移動させる。さらに、制御部150は、吸着ヘッド110を制御し、SMD10の上部に固定された磁石板20を吸着させる。磁石板20とSMD10は磁力で固定されているため、以後、SMD10は吸着ヘッド110に伴って移動する。
【0030】
吸着ヘッド110で磁石板20を吸着させた後、制御部150は、Z軸移送部121、X軸移送部122、およびY軸移送部123を制御し、SMD10をプリント基板30上の所定の位置に定置する。その後、制御部150は、吸着ヘッド110の制御し、磁石板20の吸着状態を解除する。
【0031】
このようにして、チップマウンタ100によるSMD10のプリント基板30への自動マウントが行われる。
図4は、吸着ノズルでの吸着状況を示す図である。吸着ヘッド110がSMD10の位置に移動された場合、吸着ヘッド110の先端にある吸着ノズル111が磁石板20上面のノズル吸着ポイント21(図2参照)に合致するように、吸着ノズル111の位置決めが行われる。そして、磁石板20がノズル吸着ポイント21に吸着される。すなわち、チップマウンタ100は、吸着ノズル111の内部を減圧し、真空にする。これにより、吸着ノズル111と磁石板20が吸着する。
【0032】
磁石板20は、インダクタ11とトランス12とに磁力で固定されているため、磁石板20が吸着ノズル111によって上に持ち上げられれば、同時にSMD10も持ち上げられる。そこで、チップマウンタ100は、吸着ヘッド110を移動させ、SMD10をプリント基板30上に定置する。
【0033】
図5は、SMDをマウントしたプリント基板を示す図である。SMD10は、リード15,18がプリント基板30のハンダ31,32の上になるように定置されている。チップマウンタ100は、吸着ノズル111内部の真空破壊をすることで、磁石板20の吸着状態を解除する。
【0034】
SMD10をマウントしたプリント基板30はリフロー炉に投入され、熱が加えられる。すると、ハンダ31,32が溶融する。その後、冷風によりプリント基板30の温度が下げられる。その結果、SMD10のリード13〜18がプリント基板30にハンダ付けされる。
【0035】
図6は、SMDがハンダ付けされたプリント基板を示す図である。プリント基板30上に設けられたハンダ31,32でSMD10のリード15,18が接合されている。図示されていないが、他のリード13,14,16,17(図2参照)も同様にハンダで接合されている。その後、SMD10に固定されている磁石板20が除去される。
【0036】
図7は、磁石板除去後の状態を示す図である。SMD10はプリント基板30にハンダ31,32によって強固に固定されているため、磁石板20を上から引っ張ることで、SMD10から磁石板20を引き離すことができる。
【0037】
以上のように、大型のSMD10上の磁性部品(インダクタ11、トランス12)に磁石板20を結合させることにより、SMD10の中心部にノズルの吸着スペースがなくても、ノズル吸着機構を用いたチップマウンタ100により、プリント基板30上にSMD10を自動マウントできる。
【0038】
これにより、吸着ノズルの吸着場所を考慮せずに最適な部品配置が可能であり、デッドスペースをなくすことができる。その結果、SMDの小型化が容易となる。
また、部品配置が、電気的、冷却的および構造的に最適化することもできる。その結果、SMDの機能の向上が期待できる。
【0039】
また、リフロー後、簡単に磁石板20を外すことができる。すなわち、磁石板の着脱は容易である。しかも、粘着剤が残るようなこともないため、粘着テープ等を貼って平面部を作った場合と比べると、接着剤の除去作業が不要となり、工数の大幅な削減が可能となる。
【0040】
さらに、ダブルノズルのチップマウンタのような特殊製造設備を用意しなくてもよい。すなわち、従来のシングルノズルのチップマウンタ100を使用できる。そのため、大規模な追加投資が不要である。
【0041】
なお、磁性体を有するSMD10は、電磁石のマグネットチャックで電子部品をハンドリングするチップマウンタでプリント基板にマウントすることも可能である。ただし、マグネットチャックを用いたマウンタは、多種多様なSMDのハンドリングが難しい。他方、本実施の形態に係るマウント方法であれば、大型のSMD10に対して磁石板20を取り付けるだけで、吸着ヘッドを用いた1台のチップマウンタ100で大小様々なSMDをマウント可能である。従って、吸着ヘッドを用いたチップマウンタ100の汎用性がより高くなる。
【0042】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、SMDに磁石に引きつけられる性質(例えば鉄)のスタッドを設けることで、磁石板とSMDとの結合力を高めたものである。
【0043】
図8は、スタッドをSMDへの磁石板の装着状況を示す図である。SMD50の回路基板上部には、インダクタ51とトランス52とを含む電子部品が実装されている。SMD50の下部には、リード53〜58が設けられている。また、SMD50の回路基板上部の対角にスタッド61,62が取り付けられている。
【0044】
スタッド61,62は、柱状の磁性体である。例えば、スタッド61,62として、鉄などの強磁性体が用いられる。図8に示したスタッド61,62は四角柱であるが、円柱のスタッドを用いることもできる。
【0045】
また、スタッド61,62は、インダクタ51やトランス52と同等以上の高さを有している。これにより、磁石板20をかぶせたときに、スタッド61,62と磁石板20を直接接触させ、引きつけ合う磁力を強固にすることができる。
【0046】
このようなSMD50の上部に永久磁石からなる磁石板20が取り付けられる。スタッド61,62は、磁石板20が生じさせる磁場によって磁気を帯びる。そして、スタッド61,62と磁石板20が引きつけ合い、磁石板20がSMD50に固定される。
【0047】
図9は、吸着ノズルでの吸着状況を示す図である。吸着ノズル111は、磁石板20のノズル吸着ポイント21(図8参照)に吸着されている。
このように、SMD50にスタッド61,62を設けることで、SMD50上に適当な磁性部品がない場合であっても、磁石板20を結合させることができる。その後の工程は、図1に示した第1の実施の形態と同様である。
【0048】
なお、図8,図9の例では、SMD50の1つの対角にのみスタッド61,62が設けられているが、すべての角にスタッドを設けてもよい。
また、スタッド61,62として永久磁石を用いることもできる。その場合、磁石板20の下面の磁極と引き合う磁極が、スタッド61,62の上部になるように取り付けられる。
【0049】
さらに、図8、図9の例では、スタッド61,62がSMD50上に設けられているが、磁石板20の下面の対角にスタッドを設けることもできる。その場合、SMD50の上面の少なくとも1つの対角(磁石板20のスタッドと合致する位置)に、磁性体のパッドを設けておく。
【0050】
このように、SMD50にあらかじめスタッド61,62を設けたことで、SMD50の機能を実現するために搭載される部品の中に磁性部品が無くても、磁石板20を固定することが可能となる。
【0051】
以上の2つの実施の形態で説明したように、磁石板をSMDに取り付けて、その磁石板を吸着ノズルで吸着させることで、SMDのデットスペースを最小限に抑え、SMD品の小型化が容易となる。
【0052】
ところで、電子回路モジュールの製造者は、外部の業者からSMDを購入し、購入したSMDを自社の工場でプリント基板に実装する場合がある。この場合、SMDの製造業者が、SMDの上部に磁石板を取り付けておくこともできる。すなわち、SMDの製造強者は、上部に磁石板を取り付けた形態のSMDを、電子回路モジュールの製造者に引き渡す。これにより、電子回路モジュールの製造者は、磁石板を取り付ける手間を省くことができる。
【0053】
なお、本発明は、上述の実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
以上説明した実施の形態の主な技術的特徴は、以下の付記の通りである。
【0054】
(付記1) 電子部品をプリント基板にマウントするための電子部品マウント方法であって、
上面に平らなノズル吸着ポイントを有する磁石板を、磁性体を有する表面実装部品に磁力によって固定し、
前記磁石板の前記ノズル吸着ポイントにチップマウンタの吸着ノズルを吸着させ、前記チップマウンタによって前記表面実装部品を前記プリント基板上に定置させる、
ことを特徴とする電子部品マウント方法。
【0055】
(付記2) 前記ノズル吸着ポイントは、前記磁石板と前記表面実装部品とからなる質点系の重心の上方に設けられていることを特徴とする付記1記載の電子部品マウント方法。
【0056】
(付記3) 前記表面実装部品は、電子回路上必要な部品として、前記磁性体を含む磁性部品が実装されていることを特徴とする付記1記載の電子部品マウント方法。
(付記4) 前記磁性部品は、インダクタまたはキャパシタであることを特徴とする付記3記載の電子部品マウント方法。
【0057】
(付記5) 前記表面実装部品は、前記磁性体からなるスタッドが、上部の少なくとも2箇所に設けられていることを特徴とする付記1記載の電子部品マウント方法。
(付記6) 前記スタッドは、前記表面実装部品の対角に設けられていることを特徴とする付記5記載の電子部品マウント方法。
【0058】
(付記7) 電子回路モジュール製造方法であって、
上面に平らなノズル吸着ポイントを有する磁石板を、磁性体を有する表面実装部品に磁力によって固定し、
前記磁石板の前記ノズル吸着ポイントにチップマウンタの吸着ノズルを吸着させ、前記チップマウンタによって前記表面実装部品をプリント基板上に定置させ、
リフローハンダ付けによって、前記表面実装部品を前記プリント基板にハンダ付けし、
前記表面実装部品から前記磁石板を取り除く、
ことを特徴とする電子回路モジュール製造方法。
【0059】
(付記8) 前記表面実装部品は、電子回路上必要な部品として、前記磁性体を含む磁性部品が実装されていることを特徴とする付記7記載の電子回路モジュール製造方法。
(付記9) 前記磁性部品は、インダクタまたはキャパシタであることを特徴とする付記8記載の電子回路モジュール製造方法。
【0060】
(付記10) 前記表面実装部品は、前記磁性体からなるスタッドが、上部の少なくとも2箇所に設けられていることを特徴とする付記7記載の電子回路モジュール製造方法。
(付記11) 前記スタッドは、前記表面実装部品の対角に設けられていることを特徴とする付記10記載の電子回路モジュール製造方法。
【0061】
(付記12) 表面実装部品であって、
回路基板上面の少なくとも2箇所に配置された磁性体からなるスタッド、
を有することを特徴とする表面実装部品。
【0062】
(付記13) 前記スタッドは、前記回路基板の対角に設けられていることを特徴とする付記12記載の表面実装部品。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】SMDを実装した電子回路モジュールの製造手順を示す図である。
【図2】SMDへの磁石板の装着状況を示す図である。
【図3】チップマウンタの構造例を示す図である。
【図4】吸着ノズルでの吸着状況を示す図である。
【図5】SMDをマウントしたプリント基板を示す図である。
【図6】SMDがハンダ付けされたプリント基板を示す図である。
【図7】磁石板除去後の状態を示す図である。
【図8】スタッドをSMDへの磁石板の装着状況を示す図である。
【図9】吸着ノズルでの吸着状況を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
10 SMD
20 磁石板
30 プリント基板
31,32 ハンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品をプリント基板にマウントするための電子部品マウント方法であって、
上面に平らなノズル吸着ポイントを有する磁石板を、磁性体を有する表面実装部品に磁力によって固定し、
前記磁石板の前記ノズル吸着ポイントにチップマウンタの吸着ノズルを吸着させ、前記チップマウンタによって前記表面実装部品を前記プリント基板上に定置させる、
ことを特徴とする電子部品マウント方法。
【請求項2】
前記ノズル吸着ポイントは、前記磁石板と前記表面実装部品とからなる質点系の重心の上方に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子部品マウント方法。
【請求項3】
前記表面実装部品は、電子回路上必要な部品として、前記磁性体を含む磁性部品が実装されていることを特徴とする請求項1記載の電子部品マウント方法。
【請求項4】
前記磁性部品は、インダクタまたはキャパシタであることを特徴とする請求項3記載の電子部品マウント方法。
【請求項5】
前記表面実装部品は、前記磁性体からなるスタッドが、上部の少なくとも2箇所に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子部品マウント方法。
【請求項6】
前記スタッドは、前記表面実装部品の対角に設けられていることを特徴とする請求項5記載の電子部品マウント方法。
【請求項7】
電子回路モジュール製造方法であって、
上面に平らなノズル吸着ポイントを有する磁石板を、磁性体を有する表面実装部品に磁力によって固定し、
前記磁石板の前記ノズル吸着ポイントにチップマウンタの吸着ノズルを吸着させ、前記チップマウンタによって前記表面実装部品をプリント基板上に定置させ、
リフローハンダ付けによって、前記表面実装部品を前記プリント基板にハンダ付けし、
前記表面実装部品から前記磁石板を取り除く、
ことを特徴とする電子回路モジュール製造方法。
【請求項8】
前記表面実装部品は、電子回路上必要な部品として、前記磁性体を含む磁性部品が実装されていることを特徴とする請求項7記載の電子回路モジュール製造方法。
【請求項9】
前記表面実装部品は、前記磁性体からなるスタッドが、上部の少なくとも2箇所に設けられていることを特徴とする請求項7記載の電子回路モジュール製造方法。
【請求項10】
表面実装部品であって、
回路基板上面の少なくとも2箇所に配置された磁性体からなるスタッド、
を有することを特徴とする表面実装部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−87381(P2010−87381A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256919(P2008−256919)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】