説明

電子部品冷却ケース

【課題】 従来に比べて、電子部品の冷却効果を高めることができ、ケースの軽量化を図ることができる、電子部品冷却ケースの提供。
【解決手段】(1)発熱する電子部品51が取付けられる基板50が表裏一側面に配置される金属製板状部21と、金属製板状部21の表裏他側面に配置される樹脂製板状部22と、で構成される壁部20を備えており、電子部品51を冷却するための冷媒が流れる冷媒流路Rが、金属製板状部21および/または樹脂製板状部22に冷媒流路形成用凹部23を設けることで、金属製板状部21と樹脂製板状部22との間に形成されている、電子部品冷却ケース10。(2)ケース10は、自動車の発熱部品60の熱の影響を受ける環境に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載され、発熱する電子部品(発熱素子)を液体の冷媒を用いて冷却する、電子部品冷却ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品冷却ケースの構造として、つぎの(a)〜(c)がある。
(a)図10に示すように、アルミダイカスト製のケース1の外面に、ケース1と別体に形成されてケース1にブラケット2a等を用いて固定される金属製パイプ4を配設し、該金属製パイプ4内に冷媒を流すことで電子部品(発熱素子)5を冷却する構造。
(b)特開平10−70386号公報の図2(B)に示す構造であり、一面が開放した金属製ケースの底面部に、ケースと別体に形成されてケースに溶接される断面コ字状部を配設し、該断面コ字状部とケースの底面部とで囲まれる空間内に冷媒を流すことで電子部品(発熱素子)を冷却する構造。
(c)特開平10−70386号公報の図2(C)に示す構造であり、一面が開放した金属製ケースの底面部に中空状のトンネルを形成し、このトンネルを冷媒流路とする構造。
【0003】
しかし上記(a)〜(c)のいずれにもつぎの問題点がある。
冷媒流路が金属製材料によってのみ形成されているため(比較的熱伝導率の高い材料のみで形成されているため)、電子部品冷却ケースが自動車の発熱部品(エンジンやモータ等の自動車の動力源であり作動時に発熱する部品)の熱の影響を受ける環境に設けられている場合、冷媒流路内を流れる冷媒がその発熱部品の熱(輻射熱)の影響を受けやすい。そのため、電子部品の冷却効果上改善の余地がある。
また、冷媒流路が金属製材料によってのみ形成されているため、電子部品冷却ケースの軽量化を図ることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−70386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来に比べて、電子部品の冷却効果を高めることができ、ケースの軽量化を図ることができる、電子部品冷却ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 発熱する電子部品が取付けられる基板が表裏一側面に配置される金属製板状部と、該金属製板状部の表裏他側面に配置される樹脂製板状部と、で構成される壁部を備えており、
前記電子部品を冷却するための冷媒が流れる冷媒流路が、前記金属製板状部および/または前記樹脂製板状部に冷媒流路形成用凹部を設けることで、前記金属製板状部と前記樹脂製板状部との間に形成されている、電子部品冷却ケース。
(2) 自動車の発熱部品の熱の影響を受ける環境に設けられている、(1)記載の電子部品冷却ケース。
(3) 前記壁部の周縁部から該壁部の面直方向に延びる側壁部を備えており、前記壁部と前記側壁部とで一面が開放された箱状とされており、該開放された一面が樹脂板または複数枚の金属板で構成されるカバーにて閉塞されており、
前記基板は前記壁部と前記側壁部と前記カバーで囲まれる空間内に位置している、(1)記載の電子部品冷却ケース。
【発明の効果】
【0007】
上記(1)、(2)の電子部品冷却ケースによれば、電子部品を冷却するための冷媒が流れる冷媒流路が、金属製板状部および/または樹脂製板状部に冷媒流路形成用凹部を設けることで、金属製板状部と樹脂製板状部との間に形成されているため、つぎの効果を得ることができる。
冷媒流路の一部を熱伝導率が金属製材料に比べて極端に低い樹脂製材料を用いて形成できる。そのため、電子部品冷却ケースが自動車の発熱部品(エンジンやモータ等の自動車の動力源であり作動時に発熱する部品)の熱の影響を受ける環境に設けられている場合であっても、従来に比べて、冷媒流路内を流れる冷媒がその発熱部品の熱(輻射熱)の影響を受けにくい。その結果、電子部品の冷却効果を従来に比べて改善できる。
また、冷媒流路の一部を金属製材料よりも軽い樹脂製材料を用いて形成できるため、従来に比べて電子部品冷却ケースの軽量化を図ることができる。
【0008】
上記(3)の電子部品冷却ケースによれば、電子部品冷却ケースが壁部と側壁部とで一面が開放された箱状とされており、該開放された一面が樹脂板または複数枚の金属板で構成されるカバーにて閉塞されているため、つぎの効果を得ることができる。
カバーが単一の金属板で構成される場合と異なり、カバーが断熱構造を有する。そのため、電子部品冷却ケースが自動車の発熱部品の熱の影響を受ける環境に設けられている場合であっても、カバーが単一の金属板で構成される場合に比べて、壁部と側壁部とカバーとで囲まれる空間の温度(壁部と側壁部とカバーとで囲まれる空間内に位置する基板の環境温度)を低くすることができ、電子部品の冷却効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明実施例の電子部品冷却ケースの、冷媒流路が樹脂製板状部に冷媒流路形成用凹部を設けることで形成されている場合の、カバー以外の分解斜視図である。
【図2】本発明実施例の電子部品冷却ケースの、自動車の発熱部品側に壁部を向けて配置されている場合の、断面図である。なお、図面の明瞭化のために、基板と基板に取付けられる電子部品の断面表示を省略している。
【図3】本発明実施例の電子部品冷却ケースの、自動車の発熱部品側にカバーを向けて配置されている場合の、断面図である。なお、図面の明瞭化のために、基板と基板に取付けられる電子部品の断面表示を省略している。
【図4】本発明実施例の電子部品冷却ケースの、冷媒流路が樹脂製板状部に冷媒流路形成用凹部を設けることで形成されている場合であって冷媒流路の横断面形状が矩形の場合の、冷媒流路とその近傍のみの断面図である。
【図5】本発明実施例の電子部品冷却ケースの、冷媒流路が樹脂製板状部に冷媒流路形成用凹部を設けることで形成されている場合であって冷媒流路の横断面形状が半円形の場合の、冷媒流路とその近傍のみの断面図である。
【図6】本発明実施例の電子部品冷却ケースの、冷媒流路が金属製板状部と樹脂製板状部の両方に互いに向かい合う冷媒流路形成用凹部を設けることで形成されている場合であって冷媒流路の横断面形状が矩形の場合の、冷媒流路とその近傍のみの断面図である。
【図7】本発明実施例の電子部品冷却ケースの、冷媒流路が金属製板状部に冷媒流路形成用凹部を設けることで形成されている場合であって冷媒流路の横断面形状が矩形の場合の、冷媒流路とその近傍のみの断面図である。
【図8】本発明実施例の電子部品冷却ケースの、冷媒流路が樹脂製板状部に冷媒流路形成用凹部を設けることで形成されている場合における、冷媒流路の経路の変形例を示す樹脂製板状部の斜視図である。
【図9】本発明実施例の電子部品冷却ケースの、冷媒流路が樹脂製板状部に冷媒流路形成用凹部を設けることで形成されている場合における、冷媒流路の経路の変形例を示す樹脂製板状部の斜視図である。
【図10】従来の電子部品冷却ケースの、金属製パイプを配設し金属製パイプ内に冷媒を流すことで電子部品(発熱素子)を冷却する場合の、概略断面図である。なお、図面の明瞭化のために、基板と基板に取付けられる電子部品の断面表示を省略している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明実施例の電子部品冷却ケースを、図1〜図9を参照して、説明する。本発明実施例の電子部品冷却ケース(以下、端にケースともいう)10は、図2に示すように、発熱する電子部品(発熱素子)51が取付けられる基板(プリント基板)50を保護するケースであり、電子部品51を冷却する冷却構造を有するケースである。
ケース10は、自動車(車両)に搭載されている。ケース10は、特に限定するものではないが、たとえば、エンジン(内燃機関)やモータ等の自動車の動力源であり作動時に発熱する部品を制御するECU(Electronic Control Unit)のケースである。
【0011】
ケース10は、自動車の発熱部品60が搭載される空間(部屋)と同じ空間(部屋)に設けられており、自動車の発熱部品60の熱(輻射熱)の影響を直接受ける環境に設けられている(自動車の発熱部品60の熱の影響を直接受ける環境で用いられる)。なお、自動車の発熱部品60とは、たとえば、エンジン(内燃機関)やモータ等の自動車の動力源であり作動時に発熱する部品である。
【0012】
基板50は、プリント基板である。基板50には、図示はしないが、電子部品51だけでなくさらに種々の部品が取付けられている。電子部品51は、基板50の表面または裏面(表裏一側面)のみに配置されていてもよく、表裏両側面に配置されていてもよい。基板50には、基板50の表裏を導通させるとともに表裏一側から表裏他側に熱を伝えるためのサーマルビア(スルーホール)52が設けられている。
【0013】
ケース10は、壁部(底壁部)20と、壁部20の周縁部から壁部20の面直方向に延びる(立ち上がる)側壁部30と、を備えており、壁部20と側壁部30とで一面のみ(一方向のみ)が開放された箱状とされている。ケース10は、また、この開放された一面を閉塞するカバー40を備える。
【0014】
壁部20は、層構造となっている。壁部20は、基板50が表裏一側面に固定して配置(設置)される金属製板状部21と、金属製板状部21の表裏他側面に固定して配置される樹脂製板状部22と、で構成されている。ただし、壁部20は、樹脂製板状部22の、金属製板状部21と反対側に、さらに別の図示略の樹脂製または金属製の板状部(層)を備えていてもよい。
【0015】
金属製板状部21は金属製である。金属製板状部21は、ステンレス鋼などの高防錆性能を有する金属材料で構成されている。ただし、金属製板状部21は、高防錆性能を有さない金属材料の表面に皮膜処理を施すことで高防錆性能を有するようにされていてもよい。金属製板状部21は、コスト削減を図るためにプレス成形品であることが望ましく、厚み方向の熱伝導性を高めるために薄板形状とされていることが望ましい。
金属製板状部21の表裏一側面には、電子部品51が直接または基板50を介して接触している。なお、電子部品51が直接金属製板状部21に接触している場合には電子部品51と金属製板状部21との接触部に、また、電子部品51が基板50を介して間接的に金属製板状部21に接触している場合には基板50の電子部品51取付け部分の裏面と金属製板状部21との接触部に、両者の密着性を高めることで熱抵抗を低減させて熱伝導性を向上させるために、熱伝導グリスG等が設けられていてもよい。
【0016】
樹脂製板状部22は、樹脂性である。樹脂製板状部22は、たとえば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂材料で構成されている。
樹脂製板状部22は、型成形品である。樹脂製板状部22は、接着剤等を用いて、金属製板状部21の表裏他側面に接着(固定)されている。ただし、樹脂製板状部22は、金属製板状部21を成形型内にインサートして成形(インサート成形)されていてもよく、金属製板状部21に溶着(バイブレーション溶着)されていてもよい。樹脂製板状部22の厚みは、金属製板状部21の厚みよりも厚い。
【0017】
金属製板状部21と樹脂製板状部22との間には、電子部品51を冷却するための冷媒が流れる冷媒流路Rが形成されている。冷媒流路Rを流れる冷媒は、金属製板状部21と樹脂製板状部22の両方に(両方のみに)接触している。冷媒は、液体であり、たとえば水である。ただし、冷媒は、水に限定されるものではなく油などであってもよい。冷媒は、図8、図9に示すように、金属製板状部21および/または樹脂製板状部22に設けられる導入口(導入パイプ)24からケース10内に(冷媒流路Rに)流入し、冷媒流路Rを流れ、金属製板状部21および/または樹脂製板状部22に設けられる排出口(排出パイプ)25からケース10外に(冷媒流路R外に)流出する。
【0018】
冷媒流路Rは、金属製板状部21および/または樹脂製板状部22に(金属製板状部21と樹脂製板状部22の少なくとも一方に)冷媒流路形成用凹部23を設けることで、形成されている。なお、図1〜図5、図8、図9は、樹脂製板状部22のみに冷媒流路形成用凹部23を設けることで冷媒流路Rが形成されている場合を示しており、図6は、金属製板状部21と樹脂製板状部22の両方に互いに向かい合う冷媒流路形成用凹部23を設けることで冷媒流路Rが形成されている場合を示しており、図7は、金属製板状部21のみに冷媒流路形成用凹部23を設けることで冷媒流路Rが形成される場合を示している。
【0019】
冷媒流路Rの横断面形状は、(a)図4、図6、図7に示すように矩形(略矩形を含む)であってもよく、(d)図5に示すように半円形(略半円形を含む)であってもよく、(c)図示はしないが、略を含んで、楕円形、半楕円形、長円形、半長円形、台形、平行四辺形、弾丸形(半弾丸形を含む)等のその他の形状であってもよい。冷媒流路Rの横断面形状が図4に示す矩形の場合、冷媒流路Rの横断面形状は、図4に示す場合よりも幅広であってもよく深底であってもよい。
冷媒流路Rの横断面形状は、冷媒流路Rの全経路において同一(相似形含む)であってもよく異なっていてもよい。
【0020】
冷媒流路Rの径路は、電子部品51に対応する位置を通っていれば、すなわち、ケース10を壁部20の面直方向(基板50と金属製板状部21と樹脂製板状部22の積層方向)から見たときに電子部品51と同じ位置(重なり合う位置)を通っていれば、特に限定されるものではなく、たとえば、図1に示すようであっても、図8に示すようであっても、図9に示すようであっても、その他であってもよい。なお、図8、図9における矢印は、冷媒の流れを示している。
【0021】
冷媒流路Rの流路断面積が、導入口24および排出口25における流路断面積と略同じとされている場合、図1に示すように、冷媒流路Rの、電子部品51に対応する位置にある流路部分(図1の符号R1にて示す部分)における流路断面積は、流路部分R1以外の位置にある流路部分R2における流路断面積より大とされていることが望ましい。流路部分R1における冷媒の熱容量を流路部分R2における冷媒の熱容量よりも大にすることができるからであり、低速走行を続けるなどして自動車の発熱部品60が配置される空間(エンジンルームなど)の温度が上昇した状態でエンジンを停止し冷媒の流れが止まってしまった場合であっても、流路部分R1が流路部分R2と同じ流路断面積である場合に比べて、電子部品51の冷却効果を高めることができるからである。
また、冷媒流路Rの流路断面積が導入口24および排出口25における流路断面積と略同じとされている場合であって、冷媒流路Rの経路に曲がり部(屈曲部、Uターン部)R3が設けられている場合には、曲がり部R3における流路断面積は、曲がり部R3における冷媒流路Rの流路抵抗を低減させるために、流路部分R2における流路断面積より大とされていることが望ましい。
【0022】
側壁部30は、壁部20の周縁部の全体から(全周から)壁部20の面直方向に延びる(立ち上がる)部分である。側壁部30の立ち上がり量は、周方向で一定である。側壁部30は、金属製であってもよく、樹脂製であってもよい。側壁部30が金属製の場合、部品点数を削減してコストを低減させるために、側壁部30は、図2に示すように、金属製板状部21と一体形成されていることが望ましい。また、側壁部30が樹脂製の場合、部品点数を削減してコストを低減させるために、側壁部30は、図1に示すように、樹脂製板状部22と一体形成されていることが望ましい。なお、側壁部30が樹脂製の場合、側壁部30が壁部20と異なり金属板部分を有さないため、側壁部30を構成する樹脂は、基板50に取付けられる電子部品51等の部品がケース10の周囲に存在する電磁波の影響を受けることを抑制するため(電磁波ノイズ対策のため)、金属フィラー含有樹脂などであることが望ましい。
【0023】
カバー40は、図2に示すように、壁部20と側壁部30とで一面が開放された箱状とされたケース10の、該開放された一面の一部または全部を閉塞するカバーである。壁部20と側壁部30とカバー40とで囲まれる空間S内に基板50が固定して配置されている。カバー40は、側壁部30と別体に形成されて側壁部30に固定される。
【0024】
カバー40は、(a)複数枚(たとえば2枚)の金属板41、41で構成されていてもよく、(b)図示はしないが、一枚または複数枚の樹脂板で構成されていてもよい。
上記(a)の場合、すなわち、カバー10が複数枚(たとえば2枚)の金属板41,41で構成される場合、金属板41,41間には、空気層(断熱層)42が形成されている。また、金属板41,41は、コスト低減のためプレス成形品とされていることが望ましい。
上記(b)の場合、すなわち、カバー10が一枚または複数枚の樹脂板で構成される場合、カバー40が壁部20と異なり金属板部分を有さないため、カバー40を構成する樹脂は、基板50に取付けられる電子部品51等の部品がケース10の周囲に存在する電磁波の影響を受けることを抑制するため(電磁波ノイズ対策のため)、金属フィラー含有樹脂などであることが望ましい。なお、カバー40を構成する樹脂は、たとえば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂材料である。
【0025】
ケース10は、図2に示すように、自動車の発熱部品60側に壁部20の樹脂製部材22を向けて配置されていてもよく、図3に示すように自動車の発熱部品60側にカバー40を向けて配置されていてもよい。
【0026】
次に、本発明実施例の作用、効果を説明する。
(i)電子部品51を冷却するための冷媒が流れる冷媒流路Rが、金属製板状部21および/または樹脂製板状部22に冷媒流路形成用凹部23を設けることで、金属製板状部21と樹脂製板状部22との間に形成されているため、つぎの作用、効果を得ることができる。
冷媒流路Rの一部を熱伝導率が金属製材料に比べて極端に低い樹脂製材料を用いて形成できる。そのため、ケース10が自動車の発熱部品60の熱の影響を受ける環境に設けられている場合であっても、従来に比べて、冷媒流路R内を流れる冷媒がその発熱部品60の熱(輻射熱)の影響を受けにくい。その結果、電子部品51の冷却効果を従来に比べて改善できる。
また、冷媒流路Rの一部を金属製材料よりも軽い樹脂製材料を用いて形成できるため、従来に比べてケース10の軽量化を図ることができ、その結果、ケース10が搭載される自動車の燃費向上を図ることができる。
また、樹脂製板状部22に冷媒流路形成用凹部23が設けられる場合には、樹脂製板状部22を成形するための成形型を変更することにより、任意の形状(任意の経路及び任意の断面形状)の冷媒流路を形成できる。そのため、金属製材料のみで冷媒流路を形成する場合に比べて(従来に比べて)、冷媒流路Rの形状の自由度が高い。
【0027】
(ii)ケース10が壁部20と側壁部30とで一面が開放された箱状とされており、該開放された一面が樹脂板または複数枚の金属板41で構成されるカバー40にて閉塞されているため、つぎの作用、効果を得ることができる。
カバー40が単一の金属板で構成される場合と異なり、カバー40が断熱構造を有する。そのため、ケース10が自動車の発熱部品60の熱の影響を受ける環境に設けられている場合であっても、カバー40が単一の金属板で構成される場合に比べて、壁部20と側壁部30とカバー40とで囲まれる空間Sの温度(壁部20と側壁部30とカバー40とで囲まれる空間S内に位置する基板50の環境温度)を低くすることができ、電子部品51の冷却効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0028】
10 電子部品冷却ケース
20 壁部
21 金属製板状部
22 樹脂製板状部
23 冷媒流路形成用凹部
24 導入口
25 排出口
30 側壁部
40 カバー
41 金属板
42 空気層
50 基板
51 電子部品
52 サーマルビア(スルーホール)
60 自動車の発熱部品
R 冷媒流路
G 熱伝導グリス
S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱する電子部品が取付けられる基板が表裏一側面に配置される金属製板状部と、該金属製板状部の表裏他側面に配置される樹脂製板状部と、で構成される壁部を備えており、
前記電子部品を冷却するための冷媒が流れる冷媒流路が、前記金属製板状部および/または前記樹脂製板状部に冷媒流路形成用凹部を設けることで、前記金属製板状部と前記樹脂製板状部との間に形成されている、電子部品冷却ケース。
【請求項2】
自動車の発熱部品の熱の影響を受ける環境に設けられている、請求項1記載の電子部品冷却ケース。
【請求項3】
前記壁部の周縁部から該壁部の面直方向に延びる側壁部を備えており、前記壁部と前記側壁部とで一面が開放された箱状とされており、該開放された一面が樹脂板または複数枚の金属板で構成されるカバーにて閉塞されており、
前記基板は前記壁部と前記側壁部と前記カバーで囲まれる空間内に位置している、請求項1記載の電子部品冷却ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−233726(P2011−233726A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102984(P2010−102984)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】