説明

電子部品装着装置

【課題】
高さを測定するセンサとピッカとの相対位置関係が変化し、ズレが発生した場合にも、その誤差を補正し、高精度な電子部品の装着を可能とする電子部品装着装置とする。

【解決手段】
装着ヘッドに、電子部品を吸着するピッカと基板上面の高さを測定する第1高さ測定手段とを設け、基板に電子部品を位置決めして装着する装置に次の手段を採用する。
1、基板ステージに、高さ基準面が形成され、ピッカ下端により高さ基準面を押し下げてピッカとの相対位置関係を測定可能な第2高さ測定手段を設ける。
2、第1高さ測定手段で高さ基準面を測定し、第2高さ測定手段によりピッカの高さを測定し、第1高さ測定手段とピッカとの相対位置関係を測定する。
3、装着時に第1高さ測定手段で基板上面の高さを測定し、第1高さ測定手段とピッカの相対位置関係をもとに基板と電子部品とを位置決めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品装着装置に関するもので、詳しくは、基板ステージに支持された基板に対して電子部品を高精度に装着するために、基板と電子部品の相対高さを正確に管理する方式の電子部品装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を高精度に装着するためには、高さ制御を行って基板と電子部品の相対高さを正確に管理する必要がある。この要求に対応しようとする技術として、基板と電子部品ではないが、基板とクリーム半田の吐出ノズルの高さ管理を行うものが特許文献1に示されている。
【0003】
特許文献1に示されるクリーム半田の塗布装置は、図8に示されるようにヘッドA側に吐出ノズルBと基板高さ測定用のレーザ変位計18を設け、基板1が載置される基板ステージ12側に基準台と称する変位計Cを設けており、ヘッドAを下降させて、ヘッドAの吐出ノズルBを変位計Cに押しつけて吐出ノズルBの高さを測定し、生産時にはレーザ変位計18により基板ステージ12上の基板1の高さを測定し、吐出ノズルBと基板1の高さを管理し、その誤差を補正している。
【0004】
この技術は、吐出ノズルBを交換したときに、その高さ位置がズレるのを補正するため高さ管理を行うものである。しかし、装置の運転による熱膨張や周囲の気温が変化することにより、高さを測定するセンサとノズル(特許文献1では吐出ノズルとレーザ変位計)との相対位置関係が変化すると、ノズル交換後の高さ位置のズレを補正しても、塗布位置に誤差が発生する。
【0005】
【特許文献1】特開平5−200543号公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、装置の運転による熱膨張や周囲の気温が変化することにより、高さを測定するセンサとピッカとの相対位置関係が変化し、ズレが発生した場合にも、その誤差を補正し、高精度な電子部品の装着を可能とする電子部品装着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、基板ステージに支持された基板に対して電子部品を装着するための装着ヘッドに、下端に電子部品を吸着可能なピッカと基板上面の高さを測定する第1高さ測定手段とを設け、基板ステージ上の基板に電子部品を位置決めして接合剤を介して装着する電子部品装着装置に次の手段を採用する。
【0008】
第1に、前記基板ステージに、上端面に高さ基準面が形成され、ピッカ下端により高さ基準面を押し下げることによってピッカとの相対位置関係を測定可能な第2高さ測定手段を設ける。
【0009】
第2に、第1高さ測定手段により前記高さ基準面を測定するとともに、第2高さ測定手段によりピッカの高さを測定することによって、第1高さ測定手段とピッカとの相対位置関係を測定する。
【0010】
装着時に第1高さ測定手段によりステージ上の基板上面の高さを測定して、前記第1高さ測定手段とピッカとの相対位置関係をもとに基板と電子部品とを位置決めすることを特徴とする電子部品装着装置とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、第1高さ測定手段により高さ基準面を測定するとともに、第2高さ測定手段によりピッカの高さを測定することによって、第1高さ測定手段とピッカとの相対位置関係を求め、そのもとで基板と電子部品とを位置決めするものであるため、経時的要因で相対位置関係が変化し、ズレが発生した場合にも、その誤差を補正し、高精度な電子部品の装着が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に従って、実施例と共に本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施例にかかる電子部品装着装置の概略を示す全体正面説明図であり、図2は、同装置の概略を示す全体平面説明図である。
【0013】
実施例にかかる電子部品装着装置は、基板1の上面に対して電子部品2を所定の傾斜角度で位置合わせして装着する装置である。具体的には、図6(イ)、(ロ)に示されるように基板1に対して電子部品2を傾斜させた上、接合剤27を介して装着する装置である。電子部品装着装置を図1及び図2に従って、その概要を説明すると、電子部品供給部3と、電子部品中継部4と、電子部品装着部5とが設けられている。本発明の特徴は電子部品装着部5に現れる。
【0014】
電子部品装着装置には、電子部品供給部3と、電子部品中継部4と、電子部品装着部5の各部の上方に、位置ズレ検出のための第1のカメラ6,第2のカメラ7,第3のカメラ8が設置され、更に、電子部品供給部3と電子部品中継部4の間で電子部品2の移送を行う中継ヘッド9、電子部品中継部4より電子部品2を受け取って基板1に装着する装着ヘッド10及び接合剤27を塗布するディスペンサ11、接合剤27を硬化させる紫外線を照射するUV照射器20が装備されている。
【0015】
電子部品供給部3は、X軸方向(図2中左右方向)及びY軸方向(図2中上下方向)へ移動可能なXYテーブル30よりなり、XYテーブル30の上面には、別途搬送されてきた電子部品2が載置される。
【0016】
電子部品中継部4の詳細は、図3及び図4に示されている。電子部品中継部4は、本発明における供給ステージとなる中継ステージ31と、中継ステージ31をY軸方向へ移動可能とするY軸駆動機構32と、中継ステージ31を傾斜させる傾斜機構33を有している。図中符号34は、Y軸駆動モータであり、符号35は、傾斜駆動モータである。
【0017】
傾斜機構33の詳細は図示されていないが、傾斜機構33に、傾斜駆動モータ35により回動するボールねじを設け、他方、中継ステージ31の底面を、側面円弧形の曲面に形成し、この底面にボールねじとの係合部を設け、該係合部とボールねじを係合させ、ボールねじの回動により中継ステージ31が傾斜するように構成されている。
【0018】
中継ステージ31の上面は、電子部品載置面17とされている。電子部品載置面17は、中継ステージ31の傾斜機構33により基板1に対して装着しようとする電子部品2の所望の傾斜角度に傾斜させられる。このため、電子部品載置面17の中央部には吸着穴38が形成されている。吸着穴38は、図示しない吸引装置と接続され、電子部品載置面17に載置された電子部品2を吸着保持し、落下することを防止している。
【0019】
電子部品装着部5は、基板1が載置される基板ステージ12と、該基板ステージ12をX軸方向及びY軸方向へ移動させるX軸駆動機構13、Y軸駆動機構14とを備えている。尚、基板ステージ12には、上端に高さ基準面15を有する接触式変位計16が備え付けられている。接触式変位計16が、本発明における第2高さ測定手段となる。
【0020】
中継ヘッド9は、図示しない吸引装置と接続されたピックアップノズル36と、該ピックアップノズル36を昇降させるZ軸駆動機構37、ピックアップノズル36をXYテーブル30より中継ステージ31まで移動させる移動機構を有している。
【0021】
装着ヘッド10は、図5に詳細に示されるように、取付板23に上下動手段としてのZ軸駆動機構24と回動手段としてのθ軸駆動機構25を介して図示しない吸引装置と接続されたピッカ19とレーザ変位計18とを取り付けたものである。ピッカ19は、電子部品2を吸着し、装着するツールであり、レーザ変位計18は、本発明における第1高さ測定手段となり、基板1上面とピッカ19の相対位置関係を測定するものである。レーザ変位計18は、基板1上面の高さや接触式変位計16上端の基準面15の高さを測定する。
【0022】
取付板23は、X軸駆動機構22に装備されている。従って、装着ヘッド10は、X軸方向(図1、図2中左右方向)に移動可能である。尚、装着ヘッド10付近にはUV照射器20が設置されている。UV照射器20は、接合剤27を硬化させ電子部品2を基板1に装着するための紫外線を照射するものであり、図5に示されるようにピッカ19の電子部品吸着面21付近を照射できるよう設置されており、電子部品2の装着時に基板1と電子部品2の間の接合剤27を照射する。
【0023】
Z軸駆動機構24は、取付板23に固定され、Z軸駆動機構24のボールねじ29にナット部材40が装着されている。Z軸駆動機構24のZ軸駆動モータが動作し、ボールねじ29が回動すると、ボールねじ29に装着されているナット部材40は上下動する。
【0024】
θ軸駆動機構25は、ナット部材40に傾斜角変更ブロック28を介して固定され、ピッカ19の電子部品吸着面21と直交する方向に設けた回転軸39を中心にピッカ19を回動自在に装着したものである。
【0025】
ピッカ19の先端部には電子部品吸着面21が形成されている。電子部品吸着面21は、供給ステージである中継ステージ31の電子部品載置面17の傾斜角度に傾斜している。この傾斜角度は、傾斜角変更ブロック28により決定される。従って傾斜角変更ブロック28を交換することにより、異なる傾斜角に変更することができる。電子部品吸着面21を有するピッカ19の先端部は、装着される電子部品2の種類に対応して変更できるよう交換アタッチメント26とされている。従って、交換アタッチメント26の先端が電子部品吸着面21となる。
【0026】
次に本実施例にかかる電子部品装着装置による装着方法を図1に従って説明する。第1段階として、中継ヘッド9のピックアップノズル36にてピックアップしようとする電子部品2がピックアップ位置に至るようにXYテーブル30がX軸方向及びY軸方向に移動する。ピックアップ位置では第1のカメラ6が、電子部品2を撮像し、位置ズレを検出し、この位置ズレをXYテーブル30にて補正する。
【0027】
第2段階として、位置ズレの補正の間に、ピックアップノズル36が、ピックアップ位置に移動し、下降してXYテーブル30上の電子部品2をピックアップする。その後、ピックアップノズル36は、上昇し、XYテーブル30と反対側X軸方向に配置されている中継ステージ31上方に至り、下降して中継ステージ31に電子部品2を載置する。このとき中継ステージ31の電子部品載置面17は水平状態である。
【0028】
第3段階として、中継ステージ31をY軸方向に移動させるとともに、中継ステージ31の電子部品載置面17を電子部品2を装着する所定の傾斜角度に傾斜させる。この時点で第2のカメラ7により中継ステージ31上の電子部品2を撮像し位置ズレを検出する。
【0029】
第4段階として、第2のカメラ7での撮像までに、電子部品装着部5では、レーザ変位計18で基板1の上面の高さを測定しておき、第2のカメラ7での撮像後ただちに装着ヘッド10は、中継ステージ31上に移動し、下降して、電子部品2をピッカ19で吸着する。尚、吸着前に装着ヘッド10のX軸駆動機構22と中継ステージ31のY軸駆動機構32により第2のカメラ7で検出した位置ズレを補正している。また、このとき、電子部品装着部5では、ディスペンサ11が基板1に接合剤を塗布する。
【0030】
第5段階として、電子部品2を吸着保持したピッカ19は、電子部品装着部5の装着位置上方の装着理想位置に移動する。尚、ピッカ19の電子部品吸着面21はあらかじめ電子部品2を装着する傾斜角度に設定されている。この時点で、第3のカメラ8が、基板1のアライメントマークと電子部品2を合わせて撮像し、両者の位置ズレを検出して、X軸方向、Y軸方向、θ軸方向及びZ軸方向の各移動量を算出する。この位置ズレをピッカ19及び基板ステージ12を相対移動させて補正する。尚、θ軸方向の位置ズレを検出した場合にはθ軸方向の移動に伴い生じるZ軸方向のズレを補正するようにしている。
【0031】
第6段階として、第4段階で測定した基板1の上面の高さにもとづいて、ピッカ19は下降し、電子部品2を基板1上面に対して所定の角度を保って接合剤27に押しつけて、UV照射器20により、UV照射を行い、接合剤27を硬化させて装着を完了する。尚、ピッカ19による装着中(上記第4段階から第6段階までの工程)に、電子部品供給部3及び中継ステージ31での工程(上記第1段階から第5段階までの工程)を並行して進めている。
【0032】
電子部品2の種類を変更する場合には、ピッカ19の交換アタッチメント26をその電子部品2に応じたものに交換し、図7に示されるキャリブレーション動作を行う。キャリブレーション動作は次のように行われる。第1に、交換アタッチメント26の取付を行う。第2に装着ヘッド10のピッカ19を下降させ、交換アタッチメント26下端を接触式変位計16の基準面15に接触させて、ピッカ19の高さを測定する。第3に、装着ヘッド10に取り付けられたレーザ変位計18により接触式変位計16の基準面15を測定する。これによりピッカ19とレーザ変位計18のズレ量を認識する。ここで第2の手順と第3の手順は逆であってもよい。
【0033】
更に、基板1に電子部品2を装着するときには、レーザ変位計18で基板1上面の高さを測定し、この測定した装着高さに、上記キャリブレーション動作により取得したピッカ19とレーザ変位計18のズレ量を加味して装着動作を行っている。尚、キャリブレーション動作は、装着ごとに行う必要はなく、交換アタッチメント26の取付時や生産開始時や所定装着回数ごとに行えばよい。また、アタッチメント26の交換時は、キャリブレーション動作の第2手順を行うだけでもよい。
【0034】
実施例では、電子部品装着部5において第3のカメラ8で、基板1と電子部品2のアライメントマークをともに撮像して位置決めをしているが、第3のカメラ8で基板1を撮像し、ピッカ19の移動路の下方に第4のカメラを設け、電子部品2を撮像して第3のカメラ8と第4のカメラの撮像画像により位置決めを行う構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例にかかる電子部品装着装置の概略を示す全体正面説明図
【図2】同装置の概略を示す全体平面説明図
【図3】電子部品中継部を示す側面説明図
【図4】電子部品中継部を示す平面説明図
【図5】ピッカの取付状態を示す説明図
【図6】基板に対する電子部品の装着状態を示す説明図で、(イ)は側面説明図であり、(ロ)は平面説明図である。
【図7】本発明におけるピッカの高さ管理手段の説明図
【図8】従来のノズル高さ管理手段の説明図
【符号の説明】
【0036】
1・・・基板
2・・・電子部品
3・・・電子部品供給部
4・・・電子部品中継部
5・・・電子部品装着部
6・・・第1のカメラ
7・・・第2のカメラ
8・・・第3のカメラ
9・・・中継ヘッド
10・・・装着ヘッド
11・・・ディスペンサ
12・・・基板ステージ
13・・・X軸駆動機構
14・・・Y軸駆動機構
15・・・基準面
16・・・接触式変位計
17・・・電子部品搭載面
18・・・レーザ変位計
19・・・ピッカ
20・・・UV照射器
21・・・電子部品吸着面
22・・・X軸駆動機構
23・・・Y軸駆動機構
24・・・Z軸駆動機構
25・・・θ軸駆動機構
26・・・交換アタッチメント
27・・・接合剤
28・・・傾斜角変更ブロック
29・・・ボールねじ
30・・・XYテーブル
31・・・中継ステージ
32・・・Y軸駆動機構
33・・・傾斜機構
34・・・Y軸駆動モータ
35・・・傾斜駆動モータ
36・・・ピックアップノズル
37・・・Z軸駆動機構
38・・・吸着穴
39・・・回転軸
40・・・ナット部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板ステージに支持された基板に対して電子部品を装着するための装着ヘッドに、下端に電子部品を吸着可能なピッカと基板上面の高さを測定する第1高さ測定手段とを設け、基板ステージ上の基板に電子部品を位置決めして接合剤を介して装着する電子部品装着装置において、
前記基板ステージに、上端面に高さ基準面が形成され、ピッカ下端により高さ基準面を押し下げることによってピッカとの相対位置関係を測定可能な第2高さ測定手段を設け、
第1高さ測定手段により前記高さ基準面を測定するとともに、第2高さ測定手段によりピッカの高さを測定することによって、第1高さ測定手段とピッカとの相対位置関係を測定し、
装着時に第1高さ測定手段によりステージ上の基板上面の高さを測定して、前記第1高さ測定手段とピッカとの相対位置関係をもとに基板と電子部品とを位置決めすることを特徴とする電子部品装着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−40685(P2010−40685A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200386(P2008−200386)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】