説明

電子部品

【課題】優れた高温負荷寿命および容量温度特性を有する電子部品を提供する。
【解決手段】誘電体層を有する電子部品であって、前記誘電体層は、AがAサイトの元素、B1がBサイトの元素、Oが酸素元素をそれぞれ示す場合に、一般式がAB1Oで表わされ、A/B1のモル比がγで表わされる主成分と、少なくともA元素とB1元素とを含有し、A/B1のモル比αが前記γよりも小さい第1複合酸化物と、少なくともA元素とB1元素とを含有し、A/B1のモル比βが前記γよりも大きい第2複合酸化物と、を有する電子部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば積層セラミックコンデンサなどの誘電体層を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子回路の高密度化に伴う電子部品の小型化・大容量化が急速に進んでいる。特に高い定格電圧(たとえば100V以上)で使用される中高圧用コンデンサの小型・大容量化には、誘電体層に対して高い信頼性が要求される。
【0003】
これに対して、たとえば、特許文献1には、誘電体セラミックに、希土類元素、Mg、SiおよびMnからなる結晶性複合酸化物を主成分として含む二次粒子を存在させることにより、容量温度特性や高温負荷試験に対する信頼性を向上させる技術が開示されている。しかし、組成の異なる2種類以上の複合酸化物などの二次粒子を含むことにより、信頼性を向上させることについては研究されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−63114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、優れた高温負荷寿命および容量温度特性を有する電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討を行い、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明に係る電子部品は、
誘電体層を有する電子部品であって、
前記誘電体層は、
AがAサイトの元素、B1がBサイトの元素、Oが酸素元素をそれぞれ示す場合に、一般式がAB1Oで表わされ、A/B1のモル比がγで表わされる主成分と、
少なくともA元素とB1元素とを含有し、A/B1のモル比αが前記γよりも小さい第1複合酸化物と、
少なくともA元素とB1元素とを含有し、A/B1のモル比βが前記γよりも大きい第2複合酸化物と、を有する。
【0008】
本発明の第1の観点に係る電子部品は、このように、誘電体層にそれぞれ所定の組成を有する2種類の複合酸化物を有することで、高温負荷寿命が向上し、容量温度特性が良好になるという効果を有する。
【0009】
前記電子部品は、好ましくは、前記γが、1.3≦γ≦1.7であり、
前記αが、0.2≦α≦0.6であり、
前記βが、1.8≦β≦2.2である。
【0010】
前記電子部品は、好ましくは、前記第1複合酸化物が、少なくともA元素とB1元素とR元素とを含有し、モル成分量の大小関係がB1元素>R元素>A元素であり、
前記第2複合酸化物が、少なくともA元素とB1元素とSi元素とR元素とを含有し、モル成分量の大小関係がR元素>A元素>B1元素>Si元素であり、前記R元素は希土類元素から選ばれる少なくとも1種である。
【0011】
前記電子部品は、好ましくは、前記第1複合酸化物に含まれる酸素を除く元素の合計を100モル部としたとき、前記第1複合酸化物中のA元素、B1元素およびR元素の含有量の合計が90モル部以上であり、
前記第2複合酸化物に含まれる酸素を除く元素の合計を100モル部としたとき、前記第2複合酸化物中のA元素、B1元素、Si元素およびR元素の含有量の合計が80モル部以上90モル部未満である。
【0012】
本発明に係る電子部品は、誘電体層を有する電子部品であれば、特に限定されず、たとえば誘電体層と内部電極層とが交互に積層してある積層セラミックコンデンサなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。
【図2】図2(A)は本発明の実施例に係る誘電体層の微細構造をSTEM−EDS分析して表わされたDy元素の元素分布を示す図であり、図2(B)は本発明の実施例に係る誘電体層の微細構造をSTEM−EDS分析して表わされたSi元素の元素分布を示す図である。
【図3】図3(A)は本発明の実施例に係る誘電体層の微細構造をSTEM−EDS分析して第1複合酸化物に関して相分離計算した図であり、図3(B)は本発明の実施例に係る誘電体層の微細構造をSTEM−EDS分析して第2複合酸化物に関して相分離計算した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0015】
積層セラミックコンデンサの全体構成
図1は本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、コンデンサ素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。
【0017】
誘電体層2の厚みは、用途等に応じて適宜決定すればよく、通常、一層あたり2〜4.5μm程度である。なお、誘電体層2の積層数は、通常2〜1000程度である。
【0018】
内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
【0019】
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
【0020】
外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、本実施形態では安価なNi,Cuや、これらの合金を用いることができる。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよい。
【0021】
誘電体層2
本実施形態の誘電体層2は、AがAサイトの元素、B1がBサイトの元素、Oが酸素元素をそれぞれ示す場合に、一般式がAB1Oで表わされ、A/B1のモル比がγで表わされる主成分と、少なくともA元素とB1元素とを含有し、A/B1のモル比αが前記γよりも小さい第1複合酸化物と、少なくともA元素とB1元素を含有し、A/B1のモル比βが前記γよりも大きい第2複合酸化物と、を有する。誘電体層2が前記主成分と、前記第1複合酸化物と、前記第2複合酸化物と、を有することにより、高温負荷寿命が向上し、容量温度特性が良好になる傾向となる。
【0022】
前記主成分中のA/B1のモル比γは1.3≦γ≦1.7であることが好ましい。モル比γをこの範囲にすることで高温負荷寿命が向上するとともに容量温度特性が向上する傾向となる。
【0023】
前記第1複合酸化物中のA/B1のモル比αは、0.2≦α≦0.6であることが好ましい。モル比αをこの範囲にすることにより、高温負荷寿命が向上するとともに容量温度特性が向上する傾向となる。
【0024】
前記第2複合酸化物中のA/B1のモル比βは、1.8≦β≦2.2であることが好ましい。モル比βをこの範囲にすることにより、高温負荷寿命が向上するとともに傾向となる。
【0025】
本実施形態の第1複合酸化物は、少なくともA元素とB1元素とR元素とを含有し、モル成分量の大小関係がB1元素>R元素>A元素であることが好ましい。これにより、高温負荷寿命が向上し、容量温度特性が良好になる傾向となる。
【0026】
本実施形態の第2複合酸化物は、少なくともA元素とB1元素とSi元素とR元素とを含有し、モル成分量の大小関係がR元素>A元素>B1元素>Si元素であることが好ましい。これにより、静電容量の容量温度特性が良好になり、高温負荷寿命が向上する傾向となる。
【0027】
前記A元素としては、特に限定されないが、好ましくはBa、Ca、Srから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはBaである。
【0028】
前記B1元素としては、特に限定されないが、好ましくはTi、Zrから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはTiである。
【0029】
前記R元素とは希土類元素であり、その種類は特に限定されず、たとえばY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luより選ばれる少なくとも1種であるが、好ましくはY、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luより選ばれる少なくとも1種である。
【0030】
前記第1複合酸化物に含まれる酸素を除く元素の合計を100モル部としたとき、前記第1複合酸化物中のA元素、B1元素およびR元素の含有量の合計は好ましくは90モル部以上である。前記第1複合酸化物中のA元素、B1元素およびR元素の含有量の合計を、この範囲内にすることで、高温負荷寿命が向上し、容量温度特性が良好になる傾向となる。
【0031】
前記第2複合酸化物に含まれる酸素を除く元素の合計を100モル部としたとき、前記第2複合酸化物中のA元素、B1元素、Si元素およびR元素の含有量の合計は好ましくは80モル部以上90モル部未満である。前記第2複合酸化物中のA元素、B1元素、Si元素およびR元素のモル含有量の合計をこの範囲内にすることで、高温負荷寿命が向上し、容量温度特性が良好になる傾向となる。
【0032】
本実施形態における誘電体層は、さらに副成分を有していてもよく、副成分は、前記主成分、前記第1複合酸化物または前記第2複合酸化物とは別に存在してもよいし、前記主成分、前記第1複合酸化物または前記第2複合酸化物の一部として存在してもよい。副成分の種類と含有量は特に限定されないが、たとえば、以下の第1副成分〜第5副成分が挙げられる。
【0033】
第1副成分は、Mn、Cr、Co、NiおよびFeから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含み、好ましくはMnおよびCrから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む。本実施形態の誘電体層において、誘電体層に含まれるB1元素100モル部に対する第1副成分の比率は、酸化物換算で好ましくは0.10〜0.2モル部である。
【0034】
第2副成分は、V、MoおよびWから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む。本実施形態の誘電体層において、誘電体層に含まれるB1元素100モル部に対する第2副成分の比率は、元素換算で好ましくは0.03〜0.12モル部である。
【0035】
第3副成分は、R酸化物(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選択される少なくとも1種)を含む。本実施形態の誘電体層において、誘電体層に含まれるB1元素100モル部に対する第3副成分の比率は、酸化物換算で好ましくは0.01〜10モル部である。なお、第3副成分は、その一部または全部が、第1複合酸化物または第2複合酸化物として含まれていてもよい。
【0036】
また、第3副成分は、R酸化物をさらにRA酸化物、RB酸化物、RC酸化物に分類することができる。
【0037】
具体的には、RA酸化物は、Dy、GdおよびTbから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含む。本実施形態における誘電体層は、誘電体層に含まれるB1元素100モル部に対して、酸化物換算で1.0〜2.5モル部のRA酸化物を第3副成分の一部として含有することが好ましい。
【0038】
RB酸化物は、HoおよびYから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含む。本実施形態における誘電体層は、誘電体層に含まれるB1元素100モル部に対して、酸化物換算で0.2〜1.0モル部のRB酸化物を第3副成分の一部として含有することが好ましい。
【0039】
RC酸化物は、YbおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含む。本実施形態における誘電体層は、誘電体層に含まれるB1元素100モル部に対して、酸化物換算で0.1〜1.0モル部のRC酸化物を第3副成分の一部として含有することが好ましい。
【0040】
第4副成分は、Mgの酸化物からなる。本実施形態の誘電体層において、誘電体層に含まれるB1元素100モル部に対する第4副成分の比率は、元素換算で好ましくは0.8〜3.0モル部である。第4副成分の含有量がこの範囲内であることにより、高温負荷寿命が向上し、容量温度特性が良好になる。なお、第4副成分の含有量は、より好ましくは1.0〜3.0モル部である。
【0041】
第5副成分は、Si、Li、Al、Ge、Ba、CaおよびBから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む。なお、第5副成分として、より好ましくはSi、Alであり、さらに好ましくはSiである。本実施形態の誘電体層において、誘電体層に含まれるB1元素100モル部に対する第5副成分の比率は、元素換算で好ましくは1.0〜4.5モル部である。第5副成分の含有量がこの範囲内であることにより、高温負荷寿命が向上し、容量温度特性が良好になる傾向となる。
【0042】
本実施形態における誘電体層を任意の切断面で切断したときに、任意の範囲の面積に占める第1複合酸化物と第2複合酸化物の合計面積の割合は10%以下であることが好ましい。面積割合がこの範囲をよりも大きくなると、容量温度特性が低下する傾向になる。具体的には、SEMによる観察を倍率7000倍で5視野行ったとき、各視野における視野面積に対する第1複合酸化物と第2複合酸化物の合計面積の割合の平均が10%以下であることが好ましい。
【0043】
積層セラミックコンデンサ1の製造方法
図1に示す誘電体層および内部電極層を有する積層セラミックコンデンサ1の製造方法は特に限定されないが、たとえば以下のようにして製造される。
【0044】
まず、誘電体原料を含む誘電体層用ペーストを準備する。誘電体原料の製法は特に限定されないが、たとえば、以下の製法が挙げられる。
【0045】
BaTiOなどの主成分AB1Oを構成する酸化物と、Rと、を混合し、800〜1200℃で、1〜8時間、熱処理し、ボールミルで10〜30時間粉砕し、第1複合酸化物原料を得る。
【0046】
ここで、後述する誘電体原料中のB1元素100モル部に対して、AB1O30.1〜4.0モル部を、第1複合酸化物原料に含有させることが好ましい。
【0047】
また、第1複合酸化物原料中のRの成分量は、後述する誘電体原料中のB1元素100モル部に対して0.4〜4.0モル部であることが好ましい。
【0048】
第1複合酸化物原料中のAB1OとRの成分量を前記のようにすることで、誘電体層中に所定の組成を有する第1複合酸化物原料を存在させることができる。
【0049】
次に、BaTiOなどの主成分AB1Oを構成する酸化物と、Rと、SiOと、を混合し、800〜1200℃で、1〜8時間、熱処理し、ボールミルで10〜30時間粉砕し、第2複合酸化物原料を得る。
【0050】
ここで、後述する誘電体原料中のB1元素100モル部のうち、0.1〜4.0モル部を、第2複合酸化物原料に含有させることが好ましい。
【0051】
また、第2複合酸化物原料中のRの成分量は、後述する誘電体原料中のB1元素100モル部に対して0.4〜4.0モル部であることが好ましい。
【0052】
さらに、第2複合酸化物原料中のSiOの成分量は、後述する誘電体原料中のB1元素100モル部に対して1.0〜4.5モル部であることが好ましい。
【0053】
第2複合酸化物原料中のAB1OとRとSiOとの成分量を前記のようにすることで、誘電体層中に所定の組成を有する第2複合酸化物原料を存在させることができる。
【0054】
次に、残りのAB1Oと、前記第1複合酸化物原料と、前記第2複合酸化物原料と、必要に応じて焼成後に第1副成分〜第5副成分となる化合物の一部または全部と、を混合し、誘電体原料を得る。なお、ここで残りのAB1Oを添加することにより、誘電体原料に含まれるA元素の量を100モル部とする。
【0055】
焼成後に第1副成分〜第5副成分となる化合物の添加量は、焼成後の誘電体層に所望の含有量の第1副成分〜第5副成分が含有されているように適宜調整すればよい。
【0056】
第1複合酸化物原料、第2複合酸化物原料および第1副成分〜第5副成分の製造に用いる原料粉末としては、上記した酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができるが、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。
【0057】
また、誘電体原料を得るための他の方法としては、以下の方法が挙げられる。
【0058】
と、SiOと、を混合し、800〜1200℃で4時間、熱処理し、その際、R−Siの反応相が存在していることを確認し、ボールミルで20時間粉砕して、第1反応物を得る。
【0059】
次に、AB1Oと、前記第1反応物とを混合し、800〜1200℃で1〜8時間、熱処理し、ボールミルで10〜30時間粉砕し、第2反応物を得た後、前記第2反応物とAB1Oと、焼成後に第1副成分〜5副成分になる化合物を混合し、誘電体原料を得ることができる。
【0060】
さらに他の方法としては、以下の方法が挙げられる。
【0061】
AB1Oと、Rと、SiOと、を混合し、800〜1200℃で1〜8時間、熱処理し、その際にAB1OにRが反応している第1複合酸化物原料と、AB1OにRとSiOが反応している第2複合酸化物原料が存在していることを確認する。
【0062】
そして、これらの混合物と焼成後に第1〜第5副成分となる化合物を適宜混合して、誘電体原料を得る。
【0063】
このようにして得られた誘電体原料を含む誘電体層用ペーストと、内部電極層用ペーストと、を準備する。そして、誘電体層用ペーストからなるグリーンシートと、内部電極層用ペーストからなる内部電極パターン層と、を積層してグリーンチップを得る。
【0064】
得られたグリーンチップは、脱バインダーされ、焼成され、必要に応じてアニールされて、焼結体で構成されるコンデンサ素子本体となる。そして、得られたコンデンサ素子本体に、外部電極を形成して、積層セラミックコンデンサが製造される。
【0065】
このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0067】
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、上記の誘電体層を有する電子部品であれば何でも良い。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0069】
試料1
A/B1比が1.000であるBaTiO2.0モル部と、R1.2モル部と、を混合し、1000℃で4時間、熱処理し、ボールミルで20時間粉砕し、第1複合酸化物原料を得た。
【0070】
A/B1比が1.000であるBaTiO2.0モル部と、R1.2モル部と、SiO2.0モル部と、を混合し、1000℃で4時間、熱処理し、ボールミルで20時間粉砕し、第2複合酸化物原料を得た。
【0071】
第1複合酸化物原料と第2複合酸化物原料のそれぞれに配合された各成分量を表1に示す。
【0072】
なお、第1複合酸化物原料と第2複合酸化物原料にそれぞれ含まれるRの量は、DyとHoとYbとの合計量であり、モル配合比は、Dy:Ho:Yb=1.7:0.4:0.3であった。
【0073】
次に、A/B1比が1.000であるBaTiO96モル部と、前記第1複合酸化物原料と、前記第2複合酸化物原料と、MnO 0.15モル部と、MgO 1.0モル部と、V0.080モル部と、を混合し、誘電体原料を得た。
【0074】
得られた誘電体原料を、ボールミルで混合し、ペースト化して誘電体層用ペーストを得た。
【0075】
得られた誘電体層用ペーストを用いてPETフィルム上にグリーンシートを形成した。この上に内部電極用ペーストを印刷した後、PETフィルムからシートを剥離した。次いで、これらのグリーンシートと保護用グリーンシート(内部電極層用ペーストを印刷しないもの)とを積層、圧着して、グリーンチップを得た。
【0076】
次いで、グリーンチップを所定サイズに切断し、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、積層セラミック焼成体を得た。
【0077】
脱バインダ処理条件は、保持温度:220〜300℃、温度保持時間:5〜10時間、雰囲気:空気中とした。
【0078】
焼成条件は、保持温度:1220〜1300℃、温度保持時間:2時間、雰囲気ガス:加湿したN+H混合ガス(酸素分圧:10−13Pa)とした。
【0079】
アニール条件は、保持温度:900〜1100℃、温度保持時間:1〜5時間、雰囲気ガス:加湿したNガス(酸素分圧:10−7Pa)とした。
【0080】
次いで、得られた積層セラミック焼成体の端面を研磨した後、外部電極としてIn−Gaを塗布し、図1に示す積層セラミックコンデンサのサンプル(コンデンササンプル)を得た。
【0081】
得られたコンデンササンプルのサイズは、3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は4であり、1層あたりの誘電体層の厚み(層間厚み)は約3μmであり、内部電極層の厚さは1.0μmであった。コンデンササンプルの誘電体層に含まれる各成分の量を表2に示す。また、コンデンササンプルについて下記特性の評価を行った結果を表3に示す。
【0082】
(複合酸化物中の各元素の定量分析)
コンデンサのサンプルの誘電体層の任意の範囲について、R元素とSi元素それぞれのSTEM−EDS分析を行い、R元素のマッピングデータとSi元素のマッピングデータを得た。そして、R元素とSi元素を用いて、R元素のみが存在する箇所を第1複合酸化物、R元素とSi元素が両方存在する箇所を第2複合酸化物と認定する相分離計算を行った。
【0083】
このようにして認定された任意の第1複合酸化物と任意の第2複合酸化物について、STEM−EDS分析により、各複合酸化物含まれる各元素の定量分析を行った。
【0084】
(高温負荷寿命)
コンデンサのサンプルに対し、195℃で42.5V/μmの直流電圧の印加状態に保持することにより、高温負荷寿命を測定した。本実施例では印加開始から抵抗が一桁落ちるまでの時間を寿命と定義し、これを10個のコンデンササンプルに対して行い、その平均寿命時間を算出した。本実施例では、50時間以上を良好とし、80時間以上をより良好とした。なお、各表には、試料1の高温負荷寿命を100とした場合の比率を記載している。
【0085】
(容量温度特性)
コンデンサのサンプルに対し、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz、入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条件下で、静電容量を測定し、25℃での静電容量(C25)と、−55での静電容量(C−55)と、125℃での静電容量(C125)と、を測定し、下記式(1)または(2)で表わされる静電容量変化率を算出した。
(C125−C25)/C25×100 ・・・(1)
(C−55−C25)/C25×100 ・・・(2)
そして、前記式(1)または式(2)により算出された静電容量変化率のうち絶対値がより大きい方の絶対値を表に示した。本実施例では、EIA規格のX7R特性(静電容量電化率が−15%〜+15%)またはX7S特性(静電容量変化率が−22%〜+22%)を満足するか否かを基準に評価した。
【0086】
試料A
2.4モル部と、SiO2.0モル部と、を混合し、1000℃で4時間、熱処理し、その際、R−Siの反応相とRの単相が共に存在していることを確認し、ボールミルで20時間粉砕し、第1反応物eを得た。
なお、Rの量は、DyとHoとYbとの合計量であり、Dy:Ho:Ybのモル配合比は、1.7:0.4:0.3であった。
【0087】
A/B1比が1.000であるBaTiO4モル部と、第1反応物と、を混合し、1050℃で4時間、熱処理し、ボールミルで20時間粉砕し、第2反応物を得た。
【0088】
前記第2反応物とA/B1比が1.000であるBaTiO96モル部と、MnO 0.15モル部と、MgO 1.0モル部と、V0.08モル部と、を混合し、誘電体原料を得た。
【0089】
これ以外は、試料1と同様にしてコンデンササンプルを作成し、上記の特性の評価を行った。コンデンササンプルの誘電体層に含まれる各成分の量を表2に示す。また、コンデンササンプルの特性の評価の結果を表3に示す。
【0090】
試料B
A/B1比が1.000であるBaTiO100モル部と、R2.4モル部と、SiO2.0モル部と、を混合し、1000℃で4時間、熱処理し、その際にBaTiOにRが反応している第1複合酸化物原料と、BaTiOにRとSiO2 が反応している第2複合酸化物原料が存在していることを確認した。
【0091】
そして、これらの混合物とMnO 0.15モル部と、MgO 1.0モル部と、V0.08モル部と、を混合して、誘電体原料を得た。
【0092】
なお、試料Bで用いられたRの量は、DyとHoとYbとの合計量であり、Dy:Ho:Ybのモル配合比は、1.7:0.4:0.3であった。
【0093】
これ以外は、試料1と同様にしてコンデンササンプルを作成し、上記の特性の評価を行った。コンデンササンプルの誘電体層に含まれる各成分の量を表2にまとめた。また、コンデンササンプルの特性の評価の結果を表3に示す。
【0094】
試料101
試料1と同様にして第1複合酸化物原料を得た。第1複合酸化物原料に配合された各成分量を表4に示す。
【0095】
A/B1比が1.000であるBaTiO98モル部と、前記第1複合酸化物原料と、MnO 0.15モル部と、MgO 1.0モル部と、V0.080モル部と、R1.2モル部と、SiO2.0モル部と、を混合し、誘電体原料を得た。
【0096】
これ以外は試料1と同様にして積層セラミックコンデンサを作成し、上記の特性の評価を行った。コンデンササンプルの誘電体層に含まれる各成分の量を表5に示す。また、コンデンササンプルの特性の評価の結果を表6に示す。
【0097】
試料102
試料1と同様にして第2複合酸化物原料を得た。第2複合酸化物原料に配合された各成分量を表4に示す。
【0098】
A/B1比が1.000であるBaTiO98モル部と、前記第2複合酸化物原料と、MnO 0.15モル部と、MgO 1.0モル部と、V0.080モル部と、R1.2モル部と、を混合し、誘電体原料を得た。
【0099】
これ以外は試料1と同様にして積層セラミックコンデンサを作成し、上記の特性の評価を行った。コンデンササンプルの誘電体層に含まれる各成分の量を表5に示す。また、コンデンササンプルの特性の評価の結果を表6に示す。
【0100】
試料103
A/B1比が1.000であるBaTiO98モル部と、MnO 0.15モル部と、MgO 1.0モル部と、V0.080モル部と、R1.2モル部と、SiO2.0モル部と、を混合し、誘電体原料を得た。これ以外は試料1と同様にして積層セラミックコンデンサを作成し、上記の特性の評価を行った。コンデンササンプルの誘電体層に含まれる各成分の量を表5に示す。また、コンデンササンプルの特性の評価の結果を表6に示す。
【0101】
試料2〜7、104〜109
第1複合酸化物原料の母材として用いられたBaTiOのBaとTiの比を示すA/B1比と、第2複合酸化物原料の母材として用いられたBaTiOのBaとTiの比を示すA/B1比は、それぞれ、表7に記載の通りであった。
【0102】
次に、表7に示すA/B1比のBaTiO 96モル部と、前記第1複合酸化物原料と、前記第2複合酸化物原料と、MnO 0.15モル部と、MgO 1.0モル部と、V 0.080モル部と、を混合し、誘電体原料を得た。
【0103】
これ以外は、試料1と同様にして誘電体原料を得て、積層セラミックコンデンサを作成し、上記の特性の評価を行った。コンデンササンプルの誘電体層に含まれる各成分の量は試料1の場合と同じである。また、コンデンササンプルの特性の評価の結果を表8に示す。
【0104】
試料110〜112
表9に記載の量のA/B1比が1.000であるBaTiOとRを用いて第1複合酸化物原料を準備し、表9に記載の量のA/B1比が1.000であるBaTiOとRとSiOを用いて第2複合酸化物原料を準備した。
【0105】
なお、第1複合酸化物原料と第2複合酸化物原料にそれぞれ含まれるRの量は、DyとHoとYbとの合計量であり、Dy:Ho:Ybのモル配合比は、試料110は0.3:0.3:0.2、試料111は4:3:1、試料112は0.8:0.2:0.2であった。
【0106】
これ以外は、試料1と同様にして誘電体原料を得て、積層セラミックコンデンサを作成し、上記の特性の評価を行った。コンデンササンプルの誘電体層に含まれる各成分の量を表10に示す。また、コンデンササンプルの特性の評価の結果を表11に示す。
【0107】
試料113〜116
表12に記載の量のA/B1比が1.000であるBaTiOとRとSiOを用いて第2複合酸化物原料を準備し、MgOの添加量を試料115と116では3.0モル部とした以外は試料1と同様にして誘電体原料を得て、積層セラミックコンデンサを作成し、上記の特性の評価を行った。コンデンササンプルの誘電体層に含まれる各成分の量を表13に示す。また、コンデンササンプルの特性の評価の結果を表14に示す。
【0108】
【表1】

【0109】
【表2】

【0110】
【表3】

【0111】
【表4】

【0112】
【表5】

【0113】
【表6】

【0114】
【表7】

【0115】
【表8】

【0116】
【表9】

【0117】
【表10】

【0118】
【表11】

【0119】
【表12】

【0120】
【表13】

【0121】
【表14】

【0122】
試料1、試料A、試料B
試料1の高温負荷寿命は14時間であった。したがって、表3より、モル比αがモル比γよりも小さく、モル比βがモル比γよりも大きい場合には、高温負荷寿命が高くなり、容量温度特性がX7R特性を満たすことが確認できた(試料1)。
【0123】
また、試料A、Bより、試料1とは製造方法が異なるものの、モル比αがモル比γよりも小さく、モル比βがモル比γよりも大きい場合には、高温負荷寿命が試料1と同等になり、容量温度特性がX7R特性を満たすことが確認できた。
【0124】
試料1、試料101〜103
表6より、試料1は誘電体層に第2複合酸化物がない試料101または試料103に比べて、高温負荷寿命良好になることが確認できた。また、試料1は誘電体層に第1複合酸化物がない試料102または試料103に比べて、高温負荷寿命が良好になり、容量温度特性も良好になることが確認できた。
【0125】
なお、試料101においてBa/Tiが0.97と原料のBaTiOのBa/Ti比に近い値を示したのは、試料101は第2複合酸化物原料を用いなかったため、第1複合酸化物原料と第2複合酸化物原料との反応が起きなかったためであると考えられる。
【0126】
また、試料102においてBa/Tiが1.05と原料のBaTiOのBa/Ti比に近い値を示したのは、試料102は第1複合酸化物原料を用いなかったため、第1複合酸化物原料と第2複合酸化物原料との反応が起きなかったためであると考えられる。
【0127】
言い換えると、試料1では第1複合酸化物原料と第2複合酸化物原料とが反応することにより、誘電体層に、所定の第1複合酸化物と第2複合酸化物を得ることができると考えられる。
【0128】
表8より以下のことが確認できた。
【0129】
モル比γが1.3≦γ≦1.7の場合(試料1〜3)は、γがこの範囲よりも小さい場合(試料104)に比べて、高温負荷寿命が高く、容量温度特性が良好になることが確認できた。
【0130】
モル比が1.3≦γ≦1.7の場合(試料1〜3)は、γがこの範囲よりも大きい場合(試料105)に比べて、高温負荷寿命が高くなることが確認できた。
【0131】
モル比αが0.2≦α≦0.6の場合(試料1、4、5)は、αがこの範囲よりも小さい場合(試料106)に比べて、高温負荷寿命が高く、容量温度特性が良好になることが確認できた。
【0132】
モル比αが0.2≦α≦0.6の場合(試料1、4、5)は、αがこの範囲よりも大きい場合(試料107)に比べて、高温負荷寿命が高くなることが確認できた。
【0133】
モル比βが1.8≦β≦2.2の場合(試料1、6、7)は、βがこの範囲よりも小さい場合(試料108)に比べて、高温負荷寿命が高く、容量温度特性が良好になることが確認できた。
【0134】
モル比βが1.8≦β≦2.2の場合(試料1、6、7)は、βがこの範囲よりも大きい場合(試料109)に比べて、高温負荷寿命が高く、容量温度特性が良好になることが確認できた。
【0135】
試料1、試料110〜112
表11より、前記誘電体層に、BaTiOの主成分と、モル成分量の大小関係がTi元素>R元素>Ba元素である第1複合酸化物と、モル成分量の大小関係がR元素>Ba元素>Ti元素>Si元素である第2複合酸化物と、を有する試料1は、第1複合酸化物または第2複合酸化物のいずれかまたは両方が前記のモル成分量の大小関係を満たしていない場合(試料110〜112)に比べて、高温負荷寿命が高く、かつ、容量温度特性が良好であることが確認できた。
【0136】
試料1、試料113〜116
表14より、前記第1複合酸化物中のBa元素、Ti元素およびR元素の含有量の合計が90モル部以上であり、前記第2複合酸化物中のBa元素、Ti元素、Si元素およびR元素の含有量の合計が80モル部以上90モル部未満である試料1は、第1複合酸化物または第2複合酸化物のいずれかまたは両方が前記の含有量の合計の範囲を満たしていない場合(試料113〜116)に比べて、高温負荷寿命が高く、かつ、容量温度特性が良好であることが確認できた。
【0137】
図2(A)、図2(B)、図3(A)および図3(B)は、本発明の試料1に関する。図2(A)は誘電体層の微細構造をSTEM−EDS分析して表わされたDy元素の元素分布を示す図であり、図2(B)は誘電体層の微細構造をSTEM−EDS分析して表わされたSi元素の元素分布を示す図である。また、図示しないが、Dy以外の希土類成分についても、存在する場合は図2(A)と同様に検出される。また、図3(A)は誘電体層の微細構造をSTEM−EDS分析して第1複合酸化物に関して相分離計算した図であり、図3(B)は誘電体層の微細構造をSTEM−EDS分析して第2複合酸化物に関して相分離計算した図である。図3(A)と図3(B)より、試料1は誘電体層に組成の異なる2種類の複合酸化物を有することが確認できた。
【符号の説明】
【0138】
1… 積層セラミックコンデンサ
10… コンデンサ素子本体
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層を有する電子部品であって、
前記誘電体層は、
AがAサイトの元素、B1がBサイトの元素、Oが酸素元素をそれぞれ示す場合に、一般式がAB1Oで表わされ、A/B1のモル比がγで表わされる主成分と、
少なくともA元素とB1元素とを含有し、A/B1のモル比αが前記γよりも小さい第1複合酸化物と、
少なくともA元素とB1元素とを含有し、A/B1のモル比βが前記γよりも大きい第2複合酸化物と、を有する電子部品。
【請求項2】
前記γが、1.3≦γ≦1.7であり、
前記αが、0.2≦α≦0.6であり、
前記βが、1.8≦β≦2.2である請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第1複合酸化物が、少なくともA元素とB1元素とR元素とを含有し、モル成分量の大小関係がB1元素>R元素>A元素であり、
前記第2複合酸化物が、少なくともA元素とB1元素とSi元素とR元素とを含有し、モル成分量の大小関係がR元素>A元素>B1元素>Si元素であり、
前記R元素は希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴とする請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第1複合酸化物に含まれる酸素を除く元素の合計を100モル部としたとき、前記第1複合酸化物中のA元素、B1元素およびR元素の含有量の合計が90モル部以上であり、
前記第2複合酸化物に含まれる酸素を除く元素の合計を100モル部としたとき、前記第2複合酸化物中のA元素、B1元素、Si元素およびR元素の含有量の合計が80モル部以上90モル部未満である請求項2に記載の電子部品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−204787(P2012−204787A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70632(P2011−70632)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】