説明

電気コネクタ組立体

【課題】リセプタクルコネクタとプラグコネクタとの取り外しを、容易かつ確実に行うことのできる電気コネクタ組立体を提供することを目的とする。
【解決手段】リセプタクルコネクタ20に、3つのプラグコネクタ30A、30B、30Cのうち両端側のフード26A、26Cに接続されるプラグコネクタ30A、30Cのレバー40A、40Cが、フード26A、26Cの外側に突出する長さを有し、フード26A、26Cの外側においてリセプタクルハウジング21に係合される構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方のコネクタを保持したプラグハウジングを有するプラグコネクタと、他方のコネクタを保持し、プラグハウジングを受容するリセプタクルコネクタとからなる電気コネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント配線基板等の回路基板(以下、単に基板という)に実装され、基板と他の電気回路とを接続する電気コネクタ(以下、単にコネクタという)が広く使われている。このコネクタは、コンタクトと、このコンタクトを保持するハウジングとを主たる構成要素としている。コネクタには、雌型のリセプタクルコネクタと雄型のプラグコネクタとが存在する。リセプタクルコネクタは、筒状のフードを有しており、このフード内に複数のコンタクトが配置されている。プラグコネクタは、フード内に挿入されるハウジングを有しており、このハウジングに、リセプタクルコネクタのコンタクトに嵌合するコンタクトが設けられている。
【0003】
リセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合する際のリセプタクルコネクタへのプラグコネクタの挿入力を低減するために、レバー付きのコネクタが従来より提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
レバー付きのコネクタは、プラグコネクタに対し、レバーが回動自在に設けられている。レバーの先端側(支点から離れた側)を作業者が手で回動操作することで、レバーの支点近傍に設けられた作用点部から、リセプタクルコネクタとプラグコネクタとの間に、双方を互いに接近または離間させる方向の力(この力を倍力と称する。)を作用させる。このレバーの発する倍力により、リセプタクルコネクタとプラグコネクタとをより軽い力で挿抜できる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−188663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のようなレバー付のコネクタ組立体には、以下に示すような課題が存在する場合がある。
プラグコネクタには、複数の配線を束ねたワイヤーハーネスが接続される。通常、ワイヤーハーネスは、リセプタクルコネクタに対するプラグコネクタの挿抜方向に沿って配索される。しかし、スペース上の理由から、このワイヤーハーネスが、リセプタクルコネクタに対するプラグコネクタの挿抜方向に対し、直交する方向に配索されることがある。
一方、前記のレバーは、レバーを倒すことで発揮した倍力によりプラグコネクタをリセプタクルコネクタに嵌合させた後、その状態を維持するため、レバーの一部をリセプタクルコネクタに係合させてロックされるのが通常である。その場合、嵌合後に再度プラグコネクタをリセプタクルコネクタから取り外す際、プラグコネクタの挿抜方向に対して直交する方向に配索されたワイヤーハーネスが邪魔になり、レバーのロックを解除するのが困難となることがある。特に、手探りで作業せざるを得ない場合、レバーのロックを解除してプラグコネクタをリセプタクルコネクタから取り外す作業が非常に困難になり、これは整備性の低下に繋がる場合もある。
【0006】
なお、上記したようなレバーを備えるプラグコネクタにおいては、嵌合の際にもプラグハウジングに保持されたコンタクトに配線を予め接続しておくのが通常である。そして、このプラグコネクタをリセプタクルコネクタに嵌合する。しかし、プラグコネクタに配線を接続した工程以降、プラグコネクタをリセプタクルコネクタに嵌合する工程までの間に、搬送中等に、配線がレバーとプラグハウジングとの間に挟み込まれてしまうことがある。配線がレバーとプラグハウジングとの間に挟み込まれると、プラグコネクタをリセプタクルコネクタに嵌合するに先立ち、挟み込まれた配線を作業者が取り外さなければならず、これに手間がかかり、生産効率の低下に繋がる。また、配線がレバーとプラグハウジングとの間に挟み込まれたまま、レバーに想定外の力が加えられた場合には、配線が断線してしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、リセプタクルコネクタとプラグコネクタとの取り外しを、容易かつ確実に行うことのできる電気コネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもとになされた本発明は、電気コネクタ組立体であって、第一のハウジングと、第一のハウジングに嵌合する第二のハウジングと、第一のハウジングに保持される第一のコンタクトと、第二のハウジングに保持され、第一のコンタクトに接続される第二のコンタクトと、を備える。そして、第一のハウジングは、第二のハウジングを受容する空間を形成するフードを備え、第二のハウジングは、フード内への第二のハウジングの挿入力を軽減するため、第二のハウジングに支軸を介して回動自在に設けられたレバーを備える。レバーは、第二のハウジングの長手方向に延び、第二のハウジングを第一のハウジングのフード内に挿入した状態で、フードの外部にまで延びて形成されるとともに、フードの外部において第二のハウジングの第一のハウジングに対する挿抜方向に略直交する方向にレバーを第一のハウジングに係合する係合部が設けられることを特徴とする。
このように、レバーが、フード内に位置する支軸からフードの外部にまで延びて形成されていることで、レバーの長さを稼ぐことができ、レバーを支軸まわりに回動させたときにレバーとフードの一部との間で生じる力、すなわちレバーによる倍力を増大させることができる。したがって、第二のハウジングを小さくしつつも、レバーを操作するために必要な力を抑えることができる。
係合部は、第二のハウジングの短手方向に臨む位置、つまり第二のハウジングの長手方向に沿う側面の延長面に臨む位置に設けるのが好ましい。この場合、係合部は、短手方向に沿って変形可能な変形片と、変形片に形成され、第二のハウジングに係止される係合爪と、を備える。このような構成においては、係合部の変形片を、第二のハウジングの短手方向に沿って押圧して変形させることで、変形片に形成された係合爪が第二のハウジングの短手方向に変位し、第二のハウジングとの係止を解除できる。
このような係合部は、第二のハウジングに保持された第二のコンタクトに電気的に接続される電線が、レバーが延びる方向に配索される場合に特に有効である。すなわち、電線の配索方向に影響されず、作業者は変形片を容易かつ確実に操作することができる。
【0009】
レバーを、フード内に位置する支軸からフードの外部にまで延ばして形成した場合、フードの外部においてレバーを第二のハウジングに係合する係合部と、第二のハウジングとの間に、フードが入り込むためのクリアランスが存在する。この部分に、第二のハウジングまたはレバーのいずれか一方に、突起を設けるのが好ましい。この突起により、第二のハウジングとレバーの間に電線が入り込むのを防止することができる。
【0010】
さらに、レバーの他端部に、凹部を形成するのが好ましい。レバーを引き起こすときに作業者はこの凹部に指や工具を掛けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、レバーを、支軸からフードの外側にまで延ばして形成することで、第二のハウジングを小型化しつつも、レバーの長さを稼ぐことができる。これにより、レバーを回動させたときに発する倍力を増大させることができる。その結果、第二のハウジングを小型化しつつも、より軽い操作力でレバーを回動操作して、その挿抜を容易かつ確実に行うことができる。
また、係合部を、第二のハウジングの短手方向に臨む位置、つまり第二のハウジングの長手方向に沿う側面の延長面に臨む位置に設ければ、このような係合部は、第二のハウジングに保持された第二のコンタクトに電気的に接続される電線が、第二のハウジングの第一のハウジングに対する挿抜方向に直交し、かつレバーが延びる方向に配索される場合であっても、電線の配索方向に影響されず、作業者は変形片を容易かつ確実に操作することができる。
【0012】
第二のハウジングまたはレバーのいずれか一方に突起を設けることで、第二のハウジングとレバーの間のクリアランスに、電線が入り込むのを防止することができる。
【0013】
さらに、レバーの他端部に、凹部を形成することで、作業者が凹部に指や工具を掛けてレバーを確実に起こすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における電気コネクタ組立体を示す図であり、(a)は電気コネクタ組立体の平面図、(b)は電気コネクタ組立体の正面図である。図2において、(a)は、電気コネクタ組立体をプラグコネクタ側から見た斜視図、(b)は、電気コネクタ組立体をリセプタクルコネクタ側から見た斜視図である。図3は、プラグコネクタをリセプタクルコネクタに嵌合させる状態を示す図である。図4はプラグコネクタの四面図であり、(a)はプラグコネクタの左側面図、(b)はプラグコネクタの正面図、(c)はプラグコネクタの右側面図、(d)はプラグコネクタの底面図である。図5は、プラグコネクタをリセプタクルコネクタに嵌合させた状態の係合部の断面図である。
【0015】
図1および図2に示すように、コネクタ(電気コネクタ組立体)10は、プリント配線板側に固定されるリセプタクルコネクタ20と、このリセプタクルコネクタ20に嵌合可能なプラグコネクタ30とから構成される。
本実施の形態において、リセプタクルコネクタ20には、例えば3つのプラグコネクタ30A、30B、30Cが一方向に並べて嵌合される。なお、リセプタクルコネクタ20に対して嵌合するプラグコネクタ30の数は、本発明においては何ら限定する意図はなく、一つのみ、あるいは二つ、四つ以上等とすることもできる。
【0016】
リセプタクルコネクタ20は、樹脂製のリセプタクルハウジング(第一のハウジング)21と、銅系材料等の導電性材料から形成されたコンタクト(第一のコンタクト)22とから構成される。
【0017】
リセプタクルハウジング21には、複数のコンタクト22を、互いに間隔を隔てて配列した状態で保持するコンタクト保持壁23が設けられている。
図1(b)に示したように、リセプタクルハウジング21は、コンタクト保持壁23の一面側を電装ユニット等のユニットハウジング100内に挿入し、コンタクト保持壁23の他面側をユニットハウジング100の外方に向けた状態でユニットハウジング100に取り付けられる。コンタクト保持壁23の一面側には、ユニットハウジング100内に収められるプリント配線板(図示無し)に接続される複数のコンタクト22を覆う、庇状のカバー部24が形成されている。
【0018】
コンタクト保持壁23の他面側には、プラグコネクタ30A、30B、30Cが嵌合される嵌合部25が設けられている。嵌合部25は、コンタクト保持壁23から他面側に立ち上がる矩形の外周壁部25aと、外周壁部25a内を三つに区分する区分壁25b、25cとから形成されている。そして、外周壁部25a内が区分壁25b、25cによって三つに区分されることで、三つの筒状のフード26A、26B、26Cが形成されている。フード26A、26B、26Cの内側は、プラグコネクタ30A、30B、30Cを挿入するための受容空間27A、27B、27Cとされている。
【0019】
図1(a)に示したように、コンタクト保持壁23には、フード26A、26B、26C内において、複数のコンタクト22を互いに間隔を隔てて配列された状態で保持するための挿通孔23aが貫通して形成されている。
図1(b)に示したように、コンタクト保持壁23には、両端部のフード26A、26Cに隣接して、フード26A、26B、26Cの並ぶ方向の外側(フード26Bに隣接する側とは反対側)に突出する突出部29が形成されている。
【0020】
図3に示すように、プラグコネクタ30A、30B、30Cは、それぞれ、リセプタクルハウジング21のフード26A、26B、26Cに嵌合する樹脂製のプラグハウジング(第二のハウジング)31と、銅合金等の導電性材料からなるコンタクト(第二のコンタクト:図示無し)とから構成されている(図3においては、プラグコネクタ30A、30Cのみを図示している。)。
【0021】
図4に示すように、プラグハウジング31は、リセプタクルハウジング21のフード26A、26B、26Cに嵌め合う断面形状を有している(図4においては、プラグコネクタ30A、30Cの例を示している。)。プラグハウジング31には、リセプタクルコネクタ20の複数のコンタクト22に対応して、複数のコンタクト保持孔32が互いに間隔を隔てて形成されている。これらコンタクト保持孔32のそれぞれにコンタクト(図示無し)が保持されている。
【0022】
プラグハウジング31の上面側に開口したコンタクト保持孔32には、電線(図示無し)が挿入されている。この電線(図示無し)は、コンタクト保持孔32内のコンタクト(図示無し)に電気的に接続されている。
【0023】
このようなプラグコネクタ30A、30B、30Cは、プラグハウジング31をリセプタクルハウジング21のフード26A、26B、26Cに挿入することでリセプタクルコネクタ20に嵌合される。すると、プラグコネクタ30A、30B、30C側のコンタクト(図示無し)が、リセプタクルハウジング21のフード26A、26B、26C内に位置するコンタクト22に電気的に接続される。
【0024】
図1に示したように、プラグハウジング31をリセプタクルハウジング21に対して挿抜する時に必要な力を軽減するため、プラグハウジング31には、レバー40がその一端部40a側を回動自在に支持されて設けられている。プラグハウジング31をリセプタクルハウジング21に対して挿抜する時には、レバー40を回動させる。
また、レバー40は、プラグハウジング31をリセプタクルハウジング21に係合する機能をも有する。レバー40で、プラグハウジング31をリセプタクルハウジング21に係合するには、他端部40bを押してレバー40を倒し、他端部40bをリセプタクルハウジング21に係合させる。
以下、その構造について詳述する。ここで、説明の理解を容易にするため、プラグハウジング31をリセプタクルハウジング21に嵌合させたときに、コンタクト保持壁23に対向する側を下方、その反対側を上方として説明を行う。
【0025】
図2に示したように、両端側のフード26A、26Cに接続されるプラグコネクタ30A、30Cにおいては、フード26A、26Cにプラグハウジング31が挿入された状態でレバー40A、40Cを倒すと、レバー40A、40Cはフード26A、26Cの外側に突出する長さを有している。そして、レバー40A、40Cは、フード26A、26Cの外側の係合部70においてリセプタクルハウジング21に係合される。
一方、フード26A、26Cの間に位置するフード26Bに接続されるプラグコネクタ30Bにおいては、フード26Bにプラグハウジング31が挿入された状態で、レバー40Bはフード26Bの内側においてリセプタクルハウジング21に係合される。
【0026】
図4に示すように、レバー40A、40Cは、その一端部40a側において、プラグハウジング31の側面に設けられた支軸41に回動自在に連結されている。図1(b)に示したように、支軸41は、プラグハウジング31の中心に対し、プラグハウジング31をフード26A、26Cに嵌合させたときに中央のフード26Bに近接する側にオフセットして設けられている。
【0027】
レバー40A、40Cは、レバー40A、40Cを倒して係合状態としたときに、嵌合部25の長手方向に延びて形成されている。
図4に示したように、レバー40A、40Cにおいて、プラグハウジング31の両側の側面31a、31aに沿う部分は、薄板状のプレート部46により形成されている。ここで、プラグハウジング31の両側の側面31a、31aとは、嵌合部25の長手方向に連続する外周壁部25aに対向する部分である。そして、プレート部46を補強するために、プレート部46の上端部に、トラス構造状の補強ビーム部47が一体に形成されている。
また、プレート部46には、補強ビーム部47の下側にフード26A、26Cとの干渉を避けるための凹部48が形成されている。この凹部48には、係合部70の補強のため、補強ビーム部47から下方に延びる補強リブ49が形成されている。この補強リブ49は、フード26A、26Cと干渉する位置まで延出して形成されている。そこで、フード26A、26Cには、スリット(図示無し)が形成されており、このスリットに補強リブが収容可能とされている。
【0028】
プレート部46において、支軸41よりもレバー40A、40Cの一端部40a側に突出した位置に、レバー40A、40Cを回動させたときにその操作力をリセプタクルハウジング21に伝達するためのカム突起(作用点部)55が突出形成されている。
一方、図1に示したように、リセプタクルハウジング21の嵌合部25の外周壁部25aには、このカム突起55をガイドするカム溝56が形成されている。このカム溝56は、外周壁部25aの上端部から下方に向かって形成され、レバー40A、40Cを回動させるとカム突起55がカム溝56に沿って移動する。このとき、図3に示したように、レバー40A、40Cを起こした状態でプラグハウジング31をリセプタクルハウジング21のフード26A、26Cに挿入すると、カム突起55がカム溝56に入り込む。そして、レバー40A、40Cの他端部40bを押してレバー40A、40Cを倒していくと、カム突起55がカム溝56に沿って変位する。このときに、レバー40A、40Cの他端部40bに入力される操作力が、てこの原理により、カム突起55とカム溝56との間に作用し、これによってプラグハウジング31がリセプタクルハウジング21に挿抜される。したがって、カム溝56は、プラグハウジング31をリセプタクルハウジング21に挿抜させるための倍力を発揮する適宜の形状に形成されている。
【0029】
また、図4(b)に示すように、プレート部46の先端部には、支軸41よりもレバー40A、40Cの一端部40a側に突出した位置に、ストッパ部57が形成されている。
図4(c)に示すように、プラグハウジング31には、レバー40A、40Cを回動させたときに上下方向に移動するストッパ部57が入り込むスリット58が形成されている。スリット58には、レバー40A、40Cを起こしていったときにストッパ部57が当たってそれ以上の移動を規制するストッパ部59が形成されている。また、スリット58には、ストッパ部57に形成された爪57aと係合するストッパ爪60が形成されている。ストッパ爪60が爪57aに係合することで、レバー40A、40Cを、プラグハウジング31から起き上がった状態に保持できる。レバー40A、40Cを倒すときには、爪57aは、ストッパ爪60を乗り越えていく。
【0030】
図1に示したように、嵌合部25の長手方向に延ばして形成されたレバー40A、40Cの他端部40bには、フード26A、26Cの外側において下方に延びる係合部70が設けられている。このようにして係合部70によりリセプタクルハウジング21に係合されるレバー40A、40Cは、フード26A、26Cを跨ぐような構成とされている。
【0031】
図5に示すように、係合部70には、リセプタクルハウジング21に係合する係合爪71を有した変形片72が設けられている。変形片72は、係合部70において、嵌合部25の短手方向の一方に臨んで形成されている。つまり、変形片72は、嵌合部25の外側の突出部29に、外周壁部25aに連続する平面に沿って設けられている。この変形片72は、その中間部が板バネ状の弾性支持部72aを介してレバー40A、40Cに一体に設けられている。そして、上端部72b側を押圧すると、弾性支持部72aの弾性変形により、下端部72c側が嵌合部25の短手方向、すなわち嵌合部25の長手方向に連続する外周壁部25aに直交する方向に変位する。係合爪71は、この変形片72の下端部72cにおいて、プラグコネクタ30の内方に臨む側に形成されており、変形片72の前記の変形・変位により、前記の方向に変位する。
【0032】
一方、リセプタクルハウジング21の突出部29には、係合爪71と係合する係合突起73が設けられている。この係合突起73に係合爪71が係合することにより、レバー40A、40Cがリセプタクルハウジング21に係合される。
【0033】
また、レバー40A、40Cにおいて、変形片72が設けられた側とは反対側の面の下部に、凹部75が形成されている。レバー40A、40Cを引き起こすときには、この凹部75に指や工具を掛けることができるようになっている。
【0034】
また、図3に示したように、プラグハウジング31において、レバー40A、40Cの係合部70に対向する側面31bには、プラグハウジング31の側面31bとレバー40A、40Cの係合部70との隙間に配線が挟み込まれるのを防止するため、突起80が設けられている。
この突起80は、側面31bの上端部から係合部70側の斜め上方に延びて形成されている。この突起80により、レバー40A、40Cを倒した状態で、プラグハウジング31の側面31bの上端部において、レバー40A、40Cの係合部70との隙間が塞がれる。
【0035】
上述したように、リセプタクルコネクタ20に、3つのプラグコネクタ30A、30B、30Cを一方向に並べて嵌合することで、プラグコネクタ30A、30B、30Cのそれぞれを小型化することができる。
また、フード26A、26Cの間に位置するフード26Bに接続されるプラグコネクタ30Bにおいては、レバー40Bはフード26Bの内側においてリセプタクルハウジング21に係合されるのに対し、両端側のフード26A、26Cに接続されるプラグコネクタ30A、30Cにおいては、レバー40A、40Cはフード26A、26Cの外側に突出する長さを有し、フード26A、26Cの外側においてリセプタクルハウジング21に係合される。これにより、両端側のフード26A、26Cに接続されるプラグコネクタ30A、30Cにおいては、プラグハウジング31を小型化しつつも、レバー40A、40Cの長さを稼ぐことができる。その結果、プラグハウジング31を小型化しつつも、より軽い操作力でレバー40A、40Cを回動操作して、その挿抜を容易かつ確実に行うことができる。
また、レバー40A、40Cは、フード26A、26Cの外側においてリセプタクルハウジング21に係合される構造を有しているため、フード26A、26Cには、プラグハウジング31のみが挿入されることになる。したがって、手探りでプラグハウジング31をフード26A、26Cに挿入しようとした場合にも、フード26A、26C内でプラグハウジング31がズレることもなく、挿入作業を容易かつ確実に行える。
【0036】
係合部70の変形片72は、係合部70において、嵌合部25の短手方向の一方に臨んで形成されている。これにより、係合部70を嵌合部25の短手方向に挟み込むようにして変形片72を変形させることで、係合部70におけるリセプタクルハウジング21に対する係合を解除できる。したがって、プラグハウジング31に保持されたコンタクトに電気的に接続される電線が、プラグハウジング31のリセプタクルハウジング21に対する挿抜方向に直交し、かつレバー40A、40Cが延びる方向に延在している場合であっても、電線の配索方向に影響されず、作業者は変形片72を容易かつ確実に操作することができる。その結果、レバー40A、40Cによるリセプタクルハウジング21に対する係合を解除することができる。
【0037】
プラグハウジング31において、側面31bとレバー40A、40Cの係合部70との隙間に突起80が設けられている。この突起80により、レバー40A、40Cを倒した状態で、プラグハウジング31の側面31bの上端部において、レバー40A、40Cの係合部70との隙間を塞ぐことができる。したがって、この隙間に配線が挟み込まれるのを防止することができる。
【0038】
レバー40A、40Cにおいて、変形片72が設けられた側とは反対側の面の下部に、凹部75が形成されている。レバー40A、40Cを引き起こすときには、この凹部75に指や工具を掛けることができ、レバー40A、40Cを確実に起こすことができる。
【0039】
なお、上記実施の形態で示した構成は一例に過ぎず、具体的な構造等は、上記実施の形態で示した以外に変更することが可能である。
また、係合部70は、係合爪71を有した変形片72を有する構成としたが、これに限るものではない。係合部70は、公知の他の係合方法を適宜採用して適用することができる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施の形態における電気コネクタ組立体を示す図であり、(a)は電気コネクタ組立体の平面図、(b)は電気コネクタ組立体の正面図である。
【図2】(a)は、電気コネクタ組立体をプラグコネクタ側から見た斜視図、(b)は、電気コネクタ組立体をリセプタクルコネクタ側から見た斜視図である。
【図3】プラグコネクタをリセプタクルコネクタに嵌合させる状態を示す図である。
【図4】プラグコネクタの四面図であり、(a)はプラグコネクタの左側面図、(b)はプラグコネクタの正面図、(c)はプラグコネクタの右側面図、(d)はプラグコネクタの底面図である。
【図5】プラグコネクタをリセプタクルコネクタに嵌合させた状態の係合部の断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10…コネクタ(電気コネクタ組立体)、20…リセプタクルコネクタ、21…リセプタクルハウジング(第一のハウジング)、22…コンタクト(第一のコンタクト)、25…嵌合部、26A、26B、26C…フード、27A、27B、27C…受容空間、30、30A、30B、30C…プラグコネクタ、31…プラグハウジング(第二のハウジング)、40、40A、40C…レバー、40a…一端部、40b…他端部、41…支軸、46…プレート部、47…補強ビーム部、49…補強リブ、55…カム突起(作用点部)、58…スリット、70…係合部、71…係合爪、72…変形片、72a…弾性支持部、73…係合突起、75…凹部、80…突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コネクタ組立体であって、
第一のハウジングと、
前記第一のハウジングに嵌合する第二のハウジングと、
前記第一のハウジングに保持される第一のコンタクトと、
前記第二のハウジングに保持され、前記第一のコンタクトに接続される第二のコンタクトと、を備え、
前記第一のハウジングは、前記第二のハウジングを受容する空間を形成するフードを備え、
前記第二のハウジングは、前記フード内への前記第二のハウジングの挿入力を軽減するため、前記第二のハウジングに支軸を介して回動自在に設けられたレバーを備え、
前記レバーは、前記第二のハウジングの長手方向に延び、前記第二のハウジングを前記第一のハウジングの前記フード内に挿入した状態で、前記フードの外部にまで延びて形成されるとともに、前記フードの外部において前記第二のハウジングの前記第一のハウジングに対する挿抜方向に略直交する方向に前記レバーを前記第一のハウジングに係合する係合部が設けられることを特徴とする電気コネクタ組立体。
【請求項2】
前記係合部は、前記第二のハウジングの短手方向に臨む位置に、前記短手方向に沿って変形可能な変形片と、前記変形片に形成され、前記第二のハウジングに係止される係合爪と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項3】
前記第二のハウジングに保持された前記第二のコンタクトに電気的に接続される電線は、前記レバーが延びる方向に配索されることを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項4】
前記第二のハウジングまたは前記レバーのいずれか一方に、前記第二のハウジングと前記レバーの間に突起が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項5】
前記レバーの他端部に、凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−118255(P2010−118255A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290680(P2008−290680)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000227995)タイコエレクトロニクスジャパン合同会社 (340)
【Fターム(参考)】